(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070560
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】不動産電子契約システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20240101AFI20240516BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181130
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】522070639
【氏名又は名称】株式会社PICK
(74)【代理人】
【識別番号】110003650
【氏名又は名称】弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100132621
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 孝行
(74)【代理人】
【識別番号】100123364
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 徳子
(72)【発明者】
【氏名】普家 辰哉
(72)【発明者】
【氏名】林 憲吾
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049BB67
5L049CC27
5L050CC27
(57)【要約】
【課題】ある契約当事者の押印が遅れても、それがボトルネックとなることなくスムーズに契約を締結することができ、かつ宅地建物取引業法に規定された手順で契約を締結することになる(宅地建物取引業法に従って契約したものであることを担保できる)不動産電子契約システムを提供する。
【解決手段】
宅地建物取引士が、契約者に対して電子契約上の重要な事項を説明するための重要事項説明書および電子契約の内容を示す電子契約書を確認する。その後、宅地建物取引士の説明を受けたことを示す情報が入力されてから、契約当事者が、順不同で電子契約書に電子署名する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不動産に関する電子契約に関与する宅地建物取引士に使用される宅建士用端末と、
前記不動産に関する前記電子契約に関与する、複数の契約者にそれぞれ使用される複数の契約者用端末と、
前記複数の契約者用端末と、前記宅建士用端末とにネットワークを介して接続される不動産契約管理サーバと、を具備し、
前記宅地建物取引士が、前記前記契約者に対して前記電子契約上の重要な事項を説明するための重要事項説明書および前記電子契約の内容を示す電子契約書を確認した後に、前記契約者が前記電子契約書への電子署名に利用する不動産電子契約システムであって、
前記宅建士用端末は、
前記宅地建物取引士が前記重要事項説明書を確認したことを示す重要事項確認情報および前記電子契約書を確認した旨を示す電子契約確認情報を入力する宅建士用入力部と、
前記宅建士用入力部に入力された前記重要事項確認情報および前記電子契約確認情報を前記不動産契約管理サーバに送信する宅建士用送信部と、
前記重要事項説明書および前記電子契約書に関する情報を表示する宅建士用表示部と、を有し、
前記契約者用端末の少なくとも1つは、
前記重要事項説明書上に配置される前記重要事項確認情報の位置を示す重要事項確認位置情報を入力する重要事項確認位置情報入力部と、
前記電子契約書上に配置される前記電子契約確認情報の位置を示す電子契約確認位置情報を入力する電子契約確認位置情報入力部と、
前記契約者が前記電子契約に合意したことを示す合意情報の前記電子契約書上の位置を示す合意位置情報を入力する合意位置情報入力部と、を有し、
前記契約者用端末は、
前記契約者が、前記宅地建物取引士から前記重要事項説明書の説明を受けた後で、前記電子契約に合意することを示す合意情報を入力する合意情報入力部と、
前記重要事項説明書および前記電子契約書に関する情報を表示する契約者用表示部と、を有し、
前記不動産契約管理サーバは、
前記重要事項説明書、前記電子契約書、前記重要事項確認位置情報、前記電子契約確認位置情報および前記合意位置情報を格納する契約書データベースと、
前記契約書データベースから、前記重要事項説明書および前記重要事項確認位置情報を抽出し、前記宅建士用端末の前記宅建士用表示部に、前記重要事項説明書および前記重要事項確認位置情報が示す当該重要事項説明書上の位置に前記重要事項確認情報の入力を促す重要事項確認情報催促情報を表示させる重要事項確認情報入手部と、
前記契約書データベースから、前記電子契約書および前記電子契約確認位置情報を抽出し、前記宅建士用端末の前記宅建士用表示部に、前記電子契約書と、前記電子契約確認位置情報が示す当該電子契約書上の位置に前記電子契約確認情報の入力を促す電子契約確認情報催促情報を表示させる電子契約確認情報入手部と、
前記契約書データベースから、前記電子契約に関する前記電子契約書および前記合意位置情報を抽出し、前記契約者用端末の前記契約者用表示部に、前記電子契約書と、前記合意位置情報が示す当該電子契約書上の位置に前記合意情報の入力を促す合意情報催促情報を表示させる合意情報入手部と、
前記宅建士用入力部に入力された前記重要事項確認情報を、前記重要事項説明書の前記重要事項確認位置情報位置に配置した確認情報付重要事項説明書を作成する確認情報付重要事項説明書作成部と、
前記確認情報付重要事項説明書を電子署名して電子署名確認情報付重要事項説明書を作成する電子署名確認情報付重要事項説明書作成部と、
前記電子署名確認情報付重要事項説明書を前記重要事項説明書に置き換えて前記契約書データベースに格納する確認情報付重要事項説明書作成部と、
前記宅建士用入力部に入力された前記電子契約確認情報を、前記電子契約書の前記電子契約確認位置情報が示す当該電子契約書上の位置に配置した確認情報付電子契約書を作成する確認情報付電子契約書作成部と、
前記確認情報付電子契約書を電子署名して電子署名確認情報付電子契約書を作成する電子署名確認情報付電子契約書作成部と、
前記電子署名確認情報付電子契約書を前記電子契約書に置き換えて前記契約書データベースに格納する確認情報付電子契約書格納部と、
前記契約者用入力部に入力された前記合意情報を、前記電子契約書の合意確認情報位置に配置した合意情報付電子契約書を作成する合意情報付電子契約書作成部と、
前記合意情報付電子契約書を電子署名して電子署名合意情報付電子契約書を作成する電子署名合意情報作成部と、
前記電子署名合意情報付電子契約書を前記電子契約書に置き換えて前記契約書データベースに格納する合意情報付電子契約書格納部と、
前記契約者の全員の合意情報を含む前記電子契約書に、新たな情報が追加できない形式で電子署名して完全合意情報付電子契約書を作成する完全電子署名合意情報作成部と、
前記完全電子署名合意情報付電子契約書を前記電子契約書に置き換えて前記契約書データベースに格納する完全合意情報付電子契約書格納部と、
を有することを特徴とする不動産電子契約システム。
【請求項2】
前記宅建士用端末および前記契約者用端末の少なくとも1つは、前記重要事項説明書および前記電子契約書を入力し、前記契約書データベースに格納する電子契約書入力部を有することを特徴とする請求項1に記載の不動産電子契約システム。
【請求項3】
前記契約当事者である不動産管理業者または不動産仲介業者が使用する前記契約者用端末が、前記重要事項確認位置情報入力部と、前記電子契約確認位置情報入力部と、前記合意位置情報入力部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の不動産電子契約システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産物件の売買契約、賃貸借契約等を電子的に行う不動産電子契約システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不動産物件の契約では、その契約に関与する複数の契約当事者が、契約書にそれぞれ押印することで締結されている。例えば、売買契約書では、契約当事者である、買主、売主、仲介業者および宅地建物取引士等が複数関与し、宅地建物取引業法に従い、次のような流れで契約を締結している。
【0003】
まず、契約当事者の何れか(主に、宅地建物取引業者)が、重要事項説明書および売買契約書案を作成する。次いで、宅地建物取引士が、買主および売主に重要事項を説明し、重要事項説明書に押印した後、売買契約書に押印する。その後、契約当事者全員が集合し、その場で契約当事者全員が契約書に署名・捺印を行ったり、契約当事者が遠隔地等に居住している場合には、売買契約書を郵送などによりリレー方式で契約当事者間を回覧させ、各自が署名・捺印を行うことで、契約が締結される。
【0004】
このような状況において、電子契約による不動産賃貸契約支援システムであって、借主に対する契約当事者によって提供される契約書データ別に、電子契約による署名を依頼する前記契約当事者が予め設定された契約種別を記憶する記憶部と、前記借主の賃貸契約に関連した異なる前記契約書データを複数選択可能に制御するとともに、前記契約書データ毎に対応する前記契約種別を関連付ける契約書データ登録部と、選択された複数の前記契約書データそれぞれの各契約当事者の署名依頼先を一括して設定可能な共通設定画面を提供するとともに、前記共通設定画面で設定された前記契約当事者の中から前記契約種別を用いて該当する前記契約当事者の署名依頼先を抽出し、抽出された前記契約当事者の前記署名依頼先を含む個別設定画面を、前記契約書データ別に提供する契約当事者設定部と、前記個別設定画面を通じて設定された前記署名依頼先に対して、前記各契約書データ別に署名依頼を通知するとともに、前記契約当事者それぞれから提供される署名情報を取得する署名情報収集部と、前記契約書データに取得した前記署名情報を反映し、署名済み契約書データを生成する電子署名済み契約書データ生成部と、を有し、前記契約書データは、前記契約書データを提供する契約当事者によって設定されたメタ情報が組み込まれており、前記契約当事者設定部は、選択された前記各契約書データに前記メタ情報が含まれている場合に、前記メタ情報に基づいて前記契約当事者及び前記署名依頼先を自動的に設定することを特徴とする電子契約による不動産賃貸契約支援システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
このシステムは、借主との間で契約種別の異なる複数の契約書を電子契約で取り交わす際に、各契約当事者に対する署名依頼の漏れや設定ミスを低減しつつ、契約書を発行した契約当事者に間違いなく署名依頼が設定されるので、借主との間で締結される複数の契約書の電子契約上の取り扱いを円滑かつ的確に支援することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の不動産物件の契約では、契約書を郵送などによりリレー方式で多数の契約当事者間を回覧させて行うため、ある契約当事者の押印が遅れてしまうと、そこがボトルネックとなってしまい、契約締結自体が大幅に遅れてしまう可能性があるという問題点があった。
【0008】
また、上述したような不動産賃貸契約支援システムでは、締結された契約が、宅地建物取引業法に従って締結されたものであるか担保できないという問題点があった。
【0009】
本発明は上述した事情に鑑み、ある契約当事者の押印が遅れても、それがボトルネックとなることなくスムーズに契約を締結することができ、かつ宅地建物取引業法に規定された手順で契約を締結することになる(宅地建物取引業法に従って契約したものであることを担保できる)不動産電子契約システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者は、上述した問題点に関して鋭意研究・開発を続けた結果、以下のような画期的な不動産電子契約システムを見出した。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の第1の態様は、不動産に関する電子契約に関与する宅地建物取引士に使用される宅建士用端末と、不動産に関する電子契約に関与する、複数の契約者にそれぞれ使用される複数の契約者用端末と、複数の契約者用端末と、宅建士用端末とにネットワークを介して接続される不動産契約管理サーバと、を具備し、宅地建物取引士が、契約者に対して電子契約上の重要な事項を説明するための重要事項説明書および電子契約の内容を示す電子契約書を確認した後に、契約者が電子契約書への電子署名に利用する不動産電子契約システムであって、宅建士用端末は、宅地建物取引士が重要事項説明書を確認したことを示す重要事項確認情報および電子契約書を確認した旨を示す電子契約確認情報を入力する宅建士用入力部と、宅建士用入力部に入力された重要事項確認情報および電子契約確認情報を不動産契約管理サーバに送信する宅建士用送信部と、重要事項説明書および電子契約書に関する情報を表示する宅建士用表示部と、を有し、契約者用端末の少なくとも1つは、重要事項説明書上に配置される重要事項確認情報の位置を示す重要事項確認位置情報を入力する重要事項確認位置情報入力部と、電子契約書上に配置される電子契約確認情報の位置を示す電子契約確認位置情報を入力する電子契約確認位置情報入力部と、契約者が電子契約に合意したことを示す合意情報の電子契約書上の位置を示す合意位置情報を入力する合意位置情報入力部と、を有し、契約者用端末は、契約者が、宅地建物取引士から重要事項説明書の説明を受けた後で、電子契約に合意することを示す合意情報を入力する合意情報入力部と、重要事項説明書および電子契約書に関する情報を表示する契約者用表示部と、を有し、不動産契約管理サーバは、重要事項説明書、電子契約書、重要事項確認位置情報、電子契約確認位置情報および合意位置情報を格納する契約書データベースと、契約書データベースから、重要事項説明書および重要事項確認位置情報を抽出し、宅建士用端末の宅建士用表示部に、重要事項説明書および重要事項確認位置情報が示す重要事項説明書上の位置に重要事項確認情報の入力を促す重要事項確認情報催促情報を表示させる重要事項確認情報入手部と、契約書データベースから、電子契約書および電子契約確認位置情報を抽出し、宅建士用端末の宅建士用表示部に、電子契約書と、電子契約確認位置情報が示す電子契約書上の位置に電子契約確認情報の入力を促す電子契約確認情報催促情報を表示させる電子契約確認情報入手部と、契約書データベースから、電子契約に関する電子契約書および合意位置情報を抽出し、契約者用端末の契約者用表示部に、電子契約書と、合意位置情報が示す電子契約書上の位置に合意情報の入力を促す合意情報催促情報を表示させる合意情報入手部と、宅建士用入力部に入力された重要事項確認情報を、重要事項説明書の重要事項確認位置情報位置に配置した確認情報付重要事項説明書を作成する確認情報付重要事項説明書作成部と、確認情報付重要事項説明書を電子署名して電子署名確認情報付重要事項説明書を作成する電子署名確認情報付重要事項説明書作成部と、電子署名確認情報付重要事項説明書を重要事項説明書に置き換えて契約書データベースに格納する確認情報付重要事項説明書作成部と、宅建士用入力部に入力された電子契約確認情報を、電子契約書の電子契約確認位置情報が示す電子契約書上の位置に配置した確認情報付電子契約書を作成する確認情報付電子契約書作成部と、確認情報付電子契約書を電子署名して電子署名確認情報付電子契約書を作成する電子署名確認情報付電子契約書作成部と、電子署名確認情報付電子契約書を電子契約書に置き換えて契約書データベースに格納する確認情報付電子契約書格納部と、契約者用入力部に入力された合意情報を、電子契約書の合意確認情報位置に配置した合意情報付電子契約書を作成する合意情報付電子契約書作成部と、合意情報付電子契約書を電子署名して電子署名合意情報付電子契約書を作成する電子署名合意情報作成部と、電子署名合意情報付電子契約書を電子契約書に置き換えて契約書データベースに格納する合意情報付電子契約書格納部と、契約者の全員の合意情報を含む電子契約書に、新たな情報が追加できない形式で電子署名して完全合意情報付電子契約書を作成する完全電子署名合意情報作成部と、完全電子署名合意情報付電子契約書を電子契約書に置き換えて契約書データベースに格納する完全合意情報付電子契約書格納部と、を有することを特徴とする不動産電子契約システムにある。
【0012】
ここで、「不動産に関する電子契約」とは、不動産の売買契約および賃貸借契約を含む概念である。また、「契約者」とは、売買契約の場合には、例えば買主、売主、不動産仲介業者(不動産仲介会社を含む)等が挙げられ、賃借借契約の場合には、借主、貸主、不動産管理業者(不動産管理会社を含む)および不動産仲介業者(不動産仲介会社を含む)等が挙げられる。
【0013】
かかる第1の態様によれば、宅地建物取引業法に定められた次の手順に従って契約が締結され、かつ各手続が行われた事実やその事実が入力された時刻の改ざんされていないことを、電子署名等で容易に確認することができる。
(1)宅地建物取引士が重要事項説明書および電子契約書の内容を確認する。
(2)宅地建物取引士が契約当事者に重要事項説明書を説明する。
(3)契約当事者が電子契約書に合意する。
【0014】
その結果、宅地建物取引業法に従った手順で契約を締結したことを容易に証明することができる(宅地建物取引業法に従って契約したものであることを担保することができる)。
【0015】
また、かかる第1の態様によれば、電子契約書への合意は、従来のリレー方式とは異なり、押印順序(合意順序)に無関係に行うことができるので、ある契約当事者の押印が遅れても、それがボトルネックとなることなくスムーズに電子契約を締結することができる。
【0016】
本発明の第2の態様は、宅建士用端末および契約者用端末の少なくとも1つは、重要事項説明書および電子契約書を入力し、契約書データベースに格納する電子契約書入力部を有することを特徴とする第1の態様に記載の不動産電子契約システムにある。
【0017】
かかる第2の態様によれば、重要事項説明書および電子契約書を契約書データベースに容易に格納することができる。
【0018】
本発明の第3の態様は、契約当事者である不動産管理業者または不動産仲介業者が使用する契約者用端末が、重要事項確認位置情報入力部と、電子契約確認位置情報入力部と、合意位置情報入力部とを有することを特徴とする第1または第2の態様に記載の不動産電子契約システムにある。
【0019】
かかる第3の態様では、不動産に関する電子契約に精通した不動産管理業者または不動産仲介業者が、重要事項確認位置情報、電子契約確認位置情報および合意位置情報を入力することになるので、電子契約の不備を防止することができる。
【0020】
なお、本発明において、「データベース」、「システム」、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「データベース」、「システム」、「部」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む概念である。また、1つの「データベース」、「システム」、「部」が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「データベース」、「システム」、「部」の機能が1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は実施形態1に係る不動産電子契約システムの概略図である。
【
図2】
図2は実施形態1に係る宅建士用端末の概略図である。
【
図3】
図3は実施形態1に係る契約者用端末の概略図である。
【
図4】
図4は重要事項確認位置情報の具体例を示す概略図である。
【
図5】
図5は電子契約確認位置情報の具体例を示す概略図である。
【
図6】
図6は実施形態1に係る不動産契約管理サーバの概念図である。
【
図7】
図7は実施形態1に係る不動産電子契約システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る不動産電子契約システムの実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(実施形態1)
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係る不動産電子契約システムは、宅建士用端末10と、複数の契約者用端末20と、不動産契約管理サーバ30とが、ネットワーク40を介して接続されて構成されている。なお、宅建士用端末10は、この不動産電子契約システム1に複数接続されていてもよい。
【0024】
次に、各構成について詳説する。宅建士用端末10は、宅地建物取引士に使用される端末で、
図2に示すように、宅建士用入力部110と、宅建士用送信部120と、宅建士用表示部130とを有している。
【0025】
宅建士用入力部110は、宅地建物取引士が、重要事項説明書を確認したことを示す重要事項確認情報および、後述する電子契約書312を確認した旨を示す電子契約確認情報を入力することができるものであれば特に限定されない。宅建士用入力部110としては、例えば、キーボードやタッチパネル等が挙げられる。
【0026】
ここで、重要事項説明書とは、不動産取引において、宅地建物取引業法にもとづき、物件の内容や、取引の条件などについて、必要な情報が記載された書面(宅地建物取引業法第35条に規定された事項が記載された書面)を電子化したものをいう。また、不動産取引に関する電子契約書312とは、契約書を電子化したものをいう。電子化の形式(ファイル形式)は特に限定されず、例えば、BMP、JPEG、GIF、PDF等が挙げられる。
【0027】
重要事項確認情報としては、具体的には、宅地建物取引士が重要事項説明書を確認したことを示す、その宅地建物取引士の氏名、印鑑データ(印鑑の画像)等の情報が挙げられる。また、電子契約確認情報としては、宅地建物取引士が電子契約書312を確認した旨を示す、その宅地建物取引士の氏名、印鑑データ(印鑑の画像)等の情報が挙げられる。なお、同じ印鑑データ(印鑑の画像)を、重要事項確認情報および電子契約確認情報として使用してもよい。
【0028】
宅建士用送信部120は、宅建士用入力部110に入力された重要事項確認情報および電子契約確認情報を不動産契約管理サーバ30に送信することができるものであれば特に限定されない。宅建士用送信部120としては、例えば、このような機能を有するプログラム等が挙げられる。
【0029】
宅建士用表示部130は、電子契約書312を表示することができるものであれば特に限定されない。宅建士用表示部130としては、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が挙げられる。
【0030】
次に、契約者用端末20について説明する。契約者用端末20は、不動産に関する電子契約に関与する複数の契約者にそれぞれ使用される端末で、
図3に示すように、重要事項確認位置情報入力部210と、電子契約確認位置情報入力部220と、合意位置情報入力部230と、合意情報入力部240と、契約者用表示部250とを有している。
【0031】
重要事項確認位置情報入力部210は、重要事項確認位置情報313を入力することができるものであれば、特に限定されない。重要事項確認位置情報入力部210としては、例えば、キーボードやタッチパネル等が挙げられる。
【0032】
ここで、重要事項確認位置情報313とは、重要事項確認情報の重要事項説明書上の位置を示す情報である。重要事項確認位置情報313としては、例えば、
図4に示すように、後述する重要事項確認情報の入力を促す重要事項確認情報催促情報(宅地建物取引士の氏名の入力を促す四角の欄Aやその印鑑データの入力を促す円B)の重要事項説明書の任意の座標系(例えばXY座標等)上における座標(位置)等の情報が挙げられる。
【0033】
電子契約確認位置情報入力部220は、電子契約確認情報の電子契約書上の位置を示す電子契約確認位置情報314を入力することができるものであれば、特に限定されない。電子契約確認位置情報入力部220としては、例えば、キーボードやタッチパネル等が挙げられる。
【0034】
ここで、電子契約確認位置情報314とは、電子契約確認情報の電子契約書上の位置を示す情報である。電子契約確認情報としては、例えば、
図5に示すように、後述する電子契約確認情報催促情報(売主の氏名の入力を促す四角の欄C、その印鑑データの入力を促す円D、買主の氏名の入力を促す四角の欄E、その印鑑データの入力を促す円F)の電子契約書312上の任意の座標系(例えばXY座標等)上における座標(位置)等の情報が挙げられる。
【0035】
合意位置情報入力部230は、契約者が電子契約に合意したことを示す合意情報の電子契約書312上の位置を示す合意位置情報315を入力することができるものであれば特に限定されない。合意位置情報入力部230としては、例えば、、例えば、キーボードやタッチパネル等が挙げられる。ここで、合意位置情報315としては、具体的には、契約者が電子契約に合意したことを示す印鑑データ(印鑑の画像)等の情報が挙げられる。また、合意位置情報315としては、電子契約書312上の任意の座標系(例えばXY座標等)における座標等の情報が挙げられる。
【0036】
合意情報入力部240は、宅地建物取引士から重要事項説明書311の説明を受けた後で、電子契約に合意することを示す合意情報を入力することができるものであれば特に限定されない。合意情報入力部240としては、例えば、キーボードやタッチパネル等が挙げられる。なお、同一のキーボードやタッチパネル等を、重要事項確認位置情報入力部210、電子契約確認位置情報入力部220、合意位置情報入力部230および合意情報入力部240として使用してもよい。
【0037】
契約者用表示部250は、重要事項説明書311および電子契約書312に関する情報を表示することができるものであれば特に限定されない。契約者用表示部250としては、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が挙げられる。
【0038】
ここで、契約者用端末20は、重要事項確認位置情報入力部210と、電子契約確認位置情報入力部220と、合意位置情報入力部230と、合意情報入力部240と、契約者用表示部250とを有していると説明したが、すべての契約者用端末20がこれらの構成要素を有していなくてもよい。少なくとも1つの契約者用端末20がこれらのすべての構成要素を有していればよく、他の契約者用端末20は、合意情報入力部240および契約者用表示部250を有していればよい。
【0039】
さらに、不動産契約管理サーバ30について説明する。不動産契約管理サーバ30は、
図6に示すように、契約書データベース310と、重要事項確認情報入手部320と、電子契約確認情報入手部321と、合意情報入手部322と、確認情報付重要事項説明書作成部330と、電子署名確認情報付重要事項説明書作成部331と、確認情報付重要事項説明書格納部332と、確認情報付電子契約書作成部333と、電子署名確認情報付電子契約書作成部334と、確認情報付電子契約書格納部340と、合意情報付電子契約書作成部360と、電子署名合意情報作成部361と、合意情報付電子契約書格納部370と、完全電子署名合意情報作成部371と、完全合意情報付電子契約書格納部372とを有する。
【0040】
契約書データベース310は、重要事項説明書311、電子契約書312、重要事項確認位置情報313、電子契約確認位置情報314および合意位置情報315を格納することができるものであれば特に限定されない。契約書データベース310としては、例えば、市販のリレーショナルデータベースソフトウェア等が挙げられる。
【0041】
重要事項確認情報入手部320は、契約書データベース310から、重要事項説明書311および重要事項確認位置情報313を抽出し、宅建士用端末10の宅建士用表示部130に、重要事項説明書311および重要事項確認位置情報313が示す重要事項説明書311上の位置に重要事項確認情報の入力を促す重要事項確認情報催促情報を表示させることができるものであれば特に限定されない。重要事項確認情報入手部320としては、例えば、このような機能を有するプログラム等が挙げられる。
【0042】
ここで、重要事項確認情報催促情報は、重要事項確認情報の入力を促す情報であれば特に限定されない。重要事項確認情報催促情報としては、上述したように、
図4に示す宅地建物取引士の氏名の入力を促す四角の欄A、その印鑑データの入力を促す円Bや、「ここに電子印鑑を押してください」という情報、情報の入力を促す入力欄の情報等の情報等が挙げられる。
【0043】
電子契約確認情報入手部321は、契約書データベース310から、電子契約書312および電子契約確認位置情報314を抽出し、宅建士用端末10の宅建士用表示部130に、電子契約書312と、電子契約確認位置情報314が示す電子契約書312上の位置に電子契約確認情報の入力を促す電子契約確認情報催促情報を表示させることができるものであれば特に限定されない。電子契約確認情報入手部321としては、例えば、このような機能を有するプログラム等が挙げられる。
【0044】
ここで、電子契約確認情報催促情報は、電子契約確認情報の入力を促す情報であれば特に限定されない。電子契約確認情報催促情報としては、上述したように、
図5に示す売主の氏名の入力を促す四角の欄C、その印鑑データの入力を促す円D、買主の氏名の入力を促す四角の欄E、その印鑑データの入力を促す円Fや、「ここに電子印鑑を押してください」という情報、情報の入力を促す入力欄の情報等の情報等が挙げられる。
【0045】
合意情報入手部322は、契約書データベース310から、電子契約書312および合意位置情報315を抽出し、契約者用端末20の契約者用表示部250に、電子契約書312と、合意位置情報315が示す電子契約書312上の位置に合意情報の入力を促す合意情報催促情報を表示させることができるものであれば特に限定されない。合意情報入手部322としては、例えば、このような機能を有するプログラム等が挙げられる。
【0046】
ここで、合意情報催促情報は、合意情報の入力を促す情報であれば特に限定されない。重要事項確認情報催促情報としては、「ここに電子印鑑を押してください」という情報、情報の入力を促す入力欄の情報等の情報等が挙げられる。
【0047】
確認情報付重要事項説明書作成部330は、宅建士用入力部110に入力された重要事項確認情報を、重要事項説明書311上の重要事項確認位置情報313に配置した確認情報付重要事項説明書を作成することができるものであれば特に限定されない。確認情報付重要事項説明書作成部330としては、例えば、このような機能を有するプログラム等が挙げられる。
【0048】
電子署名確認情報付重要事項説明書作成部331は、確認情報付重要事項説明書を電子署名して電子署名確認情報付重要事項説明書を作成することができるものであれば特に限定されない。ここで、電子署名は、不動産契約管理サーバ30で行うようにしてもよいが、ネットワーク40を介して接続された外部システムを用いて電子署名を行ってもよい。具体的には、外部システムに確認情報付重要事項説明書を送信し、その外部システムで確認情報付重要事項説明書に電子署名を行って電子署名確認情報付重要事項説明書を作成し、それを不動産契約管理サーバ30に送信するようにしてもよい。電子署名確認情報付重要事項説明書作成部331としては、例えば、このような機能を有するプログラム等が挙げられる。
【0049】
なお、電子署名とは、電磁的記録に記録された情報について作成者を示す目的で行う暗号化等の措置で、改変があれば検証可能な方法により行うものをいう。電子署名としては、具体的には、サイバートラスト株式会社が提供するiTrust(登録商標)リモート署名サービス等が挙げられる
【0050】
確認情報付重要事項説明書格納部332は、電子署名確認情報付重要事項説明書を重要事項説明書311に置き換えて契約書データベース310に格納することができるものであれば特に限定されない。確認情報付重要事項説明書格納部332としては、例えば、このような機能を有するプログラム等が挙げられる。電子署名確認情報付重要事項説明書を重要事項説明書311に置き換えることにより、重要事項説明書311が電子署名されたものとなる。その結果、改ざんされたか否かを容易に識別できる。
【0051】
確認情報付電子契約書作成部333は、宅建士用入力部110に入力された電子契約確認情報を、電子契約書312の電子契約確認位置情報314が示す電子契約書312上の位置に配置した確認情報付電子契約書を作成することができるものであれば特に限定されない。確認情報付電子契約書作成部333としては、例えば、このような機能を有するプログラム等が挙げられる。
【0052】
電子署名確認情報付電子契約書作成部334は、確認情報付電子契約書を電子署名して電子署名確認情報付電子契約書を作成することができるものであれば特に限定されない。ここで、電子署名確認情報付重要事項説明書作成部331と同様に、電子署名は、不動産契約管理サーバ30で行うようにしてもよいが、ネットワーク40を介して接続された外部システムを用いて電子署名を行ってもよい。具体的には、外部システムに確認情報付電子契約書を送信し、その外部システムで確認情報付電子契約書に電子署名を行って電子署名確認情報付電子契約書を作成し、それを不動産契約管理サーバ30に送信するようにしてもよい。電子署名確認情報付電子契約書作成部334としては、例えば、このような機能を有するプログラム等が挙げられる。
【0053】
確認情報付電子契約書格納部340は、電子署名確認情報付電子契約書を電子契約書312に置き換えて契約書データベース310に格納することができるものであれば特に限定されない。確認情報付電子契約書格納部340としては、例えば、このような機能を有するプログラム等が挙げられる。電子署名確認情報付電子契約書を電子契約書312に置き換えることにより、電子契約書312が電子署名されたものとなる。その結果、改ざんされたか否かを容易に識別できる。
【0054】
なお、契約者用表示部250に、すべての合意情報催促情報を表示させてもよいし、契約者が使用する契約者用端末20ごとに、その契約者用の合意情報催促情報のみを表示させるようにしてもよい。契約者ごとに、その契約者用の合意情報催促情報のみを表示させた場合には、電子契約書312上の誤った位置に合意情報が入力されるのを防止することができる。
【0055】
合意情報付電子契約書作成部360は、合意情報入力部240に入力された合意情報を、電子契約書312上の合意位置情報が示す位置に配置した合意情報付電子契約書を作成することができるものであれば特に限定されない。合意情報付電子契約書作成部360としては、例えば、このような機能を有するプログラム等が挙げられる。
【0056】
電子署名合意情報作成部361は、合意情報付電子契約書を電子署名して電子署名合意情報付電子契約書を作成することができるものであれば特に限定されない。ここで、電子署名確認情報付重要事項説明書作成部331と同様に、電子署名は、不動産契約管理サーバ30で行うようにしてもよいが、ネットワーク40を介して接続された外部システムを用いて電子署名を行ってもよい。具体的には、外部システムに合意情報付電子契約書を送信し、その外部システムで合意情報付電子契約書に電子署名を行って電子署名合意情報付電子契約書を作成し、それを不動産契約管理サーバ30に送信するようにしてもよい。電子署名合意情報作成部361としては、例えば、このような機能を有するプログラム等が挙げられる。
【0057】
合意情報付電子契約書格納部370は、電子署名合意情報付電子契約書を電子契約書312に置き換えて契約書データベース310に格納することができるものであれば特に限定されない。合意情報付電子契約書格納部370としては、例えば、このような機能を有するプログラム等が挙げられる。電子署名合意情報付電子契約書を電子契約書312に置き換えることにより、合意情報が含まれた電子契約書312が電子署名されたものとなる。その結果、改ざんされたか否かを容易に識別することができる。
【0058】
完全電子署名合意情報作成部371は、契約者の全員の合意情報を含む電子契約書312に、新たな情報が追加できない形式で電子署名して完全合意情報付電子契約書を作成することができるものであれば特に限定されない。ここで、電子署名確認情報付重要事項説明書作成部331と同様に、電子署名は、不動産契約管理サーバ30で行うようにしてもよいが、ネットワーク40を介して接続された外部システムを用いて電子署名を行ってもよい。具体的には、外部システムに契約者の全員の合意情報を含む電子契約書312を送信し、その外部システムで契約者の全員の合意情報を含む電子契約書312に電子署名を行って完全合意情報付電子契約書を作成し、それを不動産契約管理サーバ30に送信するようにしてもよい。合意情報付電子契約書格納部370としては、例えば、このような機能を有するプログラム等が挙げられる。なお、新たな情報が追加できない形式とは、例えばISO 32000に準拠した署名済みのPDF等である。
【0059】
完全合意情報付電子契約書格納部372は、完全電子署名合意情報付電子契約書を電子契約書312に置き換えて契約書データベース310に格納することができるものであれば特に限定されない。合意情報付電子契約書格納部370としては、例えば、このような機能を有するプログラム等が挙げられる。完全電子署名合意情報付電子契約書を電子契約書312に置き換えることにより、宅建士の確認および契約者全員の合意に関する情報が含まれ、かつ電子署名された電子契約書312となる。
【0060】
次に、不動産電子契約システム1の動作について説明する。
図7は、不動産電子契約システム1の動作を示すフローチャートである。この図に示すように、不動産電子契約システム1が稼働すると、まず契約者用端末20の1つから、重要事項説明書311および電子契約書312並びに、重要事項確認位置情報入力部210により入力された重要事項確認位置情報313および電子契約確認位置情報入力部220に入力された電子契約確認位置情報314が不動産契約管理サーバ30に送信される(S1)。
【0061】
それらを受領した不動産契約管理サーバ30は、契約書データベース310にそれらを格納する。そして、不動産契約管理サーバ30は、重要事項説明書311および電子契約書312を宅建士用端末10送信すると共に、重要事項確認情報入手部320および電子契約確認情報入手部321により、宅建士用端末10の宅建士用表示部130に、重要事項確認情報催促情報および電子契約確認情報催促情報を表示させる(S2)。
【0062】
宅建士用入力部110に、重要事項確認情報および電子契約確認情報が入力されると、不動産契約管理サーバ30に送信される(S3)。不動産契約管理サーバ30の確認情報付重要事項説明書作成部330によって確認情報付重要事項説明書が作成されると共に、確認情報付電子契約書作成部333によって確認情報付電子契約書が作成される。
【0063】
その後、電子署名確認情報付重要事項説明書作成部331によって電子署名確認情報付重要事項説明書が作成された後、電子署名確認情報付電子契約書作成部334によって電子署名確認情報付電子契約書が作成される。
【0064】
このように、不動産電子契約システム1では、宅地建物取引士が重要事項説明書および電子契約書を確認した上で、契約手続が進むことになる。その結果、不動産電子契約システム1を用いることにより、宅地建物取引業法に従った手続(手順)となっていることを保証することができる。
【0065】
そして、電子署名確認情報付重要事項説明書は、確認情報付重要事項説明書格納部332によって、重要事項説明書311に置き換えられて契約書データベース310に格納されると共に、電子署名確認情報付電子契約書は、確認情報付電子契約書格納部340によって電子契約書に置き換えられて、契約書データベース310に格納される。
【0066】
その後、不動産契約管理サーバ30は、合意情報入手部322によって、各契約者用端末20の契約者用表示部250に合意情報催促情報を表示させる(S4)。なお、合意情報催促情報は、各契約者用端末20の契約者用表示部250に同時に表示されてもよいし、非同時に表示されるようにしてもよい。具体的には、各契約者が不動産電子契約システム1にそれぞれアクセスした際に表示されることになるので、非同時に表示されることが多い。
【0067】
次に、各契約者用端末20の合意情報入力部240に合意情報が入力されると、不動産契約管理サーバ30に送信され(S5)、不動産契約管理サーバ30は、合意情報付電子契約書作成部360により、合意情報付電子契約書を作成する。なお、合意情報が入力される順番(各契約者が合意情報を入力する順番)は特に限定されない。したがって、従来の契約手続のように、契約書を郵送などによりリレー方式で多数の契約当事者間を回覧させて行うため、ある契約当事者の押印が遅れてしまうというボトルネックを解消することができる。
【0068】
なお、合意情報付電子契約書作成部360は、各契約者用端末20に合意情報が入力される都度、合意情報付電子契約書を作成するようにしてもよいし(ある契約者用端末20から合意情報が入力されると、合意情報付電子契約書を作成し、さらに別の契約者用端末20から合意情報が入力されると、合意情報付電子契約書を作成し、これらをすべての契約者の合意情報が入力されるまで行う)、すべての契約者用端末20に合意情報が入力された場合に合意情報付電子契約書を作成するようにしてもよい。
【0069】
その後、合意情報付電子契約書格納部370および電子署名合意情報作成部361によって電子署名合意情報付電子契約書が作成される。さらに、完全電子署名合意情報作成部371により、完全合意情報付電子契約書作成された後、完全合意情報付電子契約書格納部372により、よって完全電子署名合意情報付電子契約書を電子契約書に置き換えて契約書データベース310に格納する。
【0070】
以上説明したような不動産電子契約システム1を構成することにより、ある契約当事者の押印が遅れても、それがボトルネックとなることなくスムーズに契約を締結することができ、かつ宅地建物取引業法に従って契約を締結することができる。
(実施形態2)
【0071】
実施形態1では、重要事項説明書および電子契約書は、予め契約書データベースに格納されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、重要事項説明書および電子契約書を、宅建士用端末および契約者用端末の少なくとも1つから入力できるように、不動産電子契約システムを構成してもよい。
【0072】
具体的には、宅建士用端末および契約者用端末の少なくとも1つに、重要事項説明書および電子契約書を入力して、それらを契約書データベースに格納する電子契約書入力部を有するように、不動産電子契約システムを構成してもよい。なお、宅建士用端末および契約者用端末のすべてが電子契約書入力部を有するように、不動産電子契約システムを構成してもよいのは言うまでもない。
(実施形態3)
【0073】
上述した実施形態では、すべての契約者用端末が、重要事項確認位置情報入力部と、電子契約確認位置情報入力部と、合意位置情報入力部とを有するように、不動産電子契約システムを構成したが、本発明はこれに限定されない。
【0074】
これら3つの入力部は、少なくとも1つの契約者用端末が有するように不動産電子契約システムを構成すればよい。例えば、これら3つの入力部を、1つの特定の契約者用端末(具体的には、不動産管理業者または不動産仲介業者が使用する契約者用端末)が有するように不動産電子契約システムを構成してもよい。
【0075】
このように不動産電子契約システムを構成することにより、不動産に関する電子契約に精通した不動産管理業者または不動産仲介業者が、重要事項確認位置情報、電子契約確認位置情報および合意位置情報を入力することになるので、電子契約の不備を防止することができる。その結果、スムーズに不動産に関する契約を締結することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 不動産電子契約システム
10 宅建士用端末
110 宅建士用入力部
120 宅建士用送信部
130 宅建士用表示部
20 契約者用端末
210 重要事項確認位置情報入力部
220 電子契約確認位置情報入力部
230 合意位置情報入力部
240 合意情報入力部
250 契約者用表示部
30 不動産契約管理サーバ
310 契約書データベース
320 重要事項確認情報入手部
321 電子契約確認情報入手部
322 合意情報入手部
330 確認情報付重要事項説明書作成部
331 電子署名確認情報付重要事項説明書作成部
332 確認情報付重要事項説明書格納部
333 確認情報付電子契約書作成部
334 電子署名確認情報付電子契約書作成部
340 確認情報付電子契約書格納部
360 合意情報付電子契約書作成部
361 電子署名合意情報作成部
370 合意情報付電子契約書格納部
371 完全電子署名合意情報作成部
372 完全合意情報付電子契約書格納部
40 ネットワーク