(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070584
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】多目的車両
(51)【国際特許分類】
B60P 1/26 20060101AFI20240516BHJP
B62D 33/027 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
B60P1/26 G
B62D33/027 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181173
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】石井 優史
(57)【要約】
【課題】後部ゲートと荷台の下方にある排気マフラー等の機器等とが、接近してしまうこと及び接触してしまうことを防ぐことができる多目的車両を提供する。
【解決手段】フロアパネル22と、フロアパネル22に対して垂直姿勢である閉状態とフロアパネル22の後方に揺動した開状態とに亘って揺動可能に支持されている後部ゲート24と、が設けられている荷台と、後部ゲート24を所定の揺動角度である第1角度で保持する保持状態と保持解除状態とに人為操作可能な保持機構と、が備えられ、荷台は、保持解除状態のとき、後部ゲート24が、第1角度よりも大きな揺動角度である第2角度よりも開状態側へ揺動するのを規制する規制機構40を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルと、前記フロアパネルに対して垂直姿勢である閉状態と前記フロアパネルの後方に揺動した開状態とに亘って揺動可能に支持されている後部ゲートと、が設けられている荷台と、
前記後部ゲートを所定の揺動角度である第1角度で保持する保持状態と保持解除状態とに人為操作可能な保持機構と、が備えられ、
前記荷台は、前記保持解除状態のとき、前記後部ゲートが、前記第1角度よりも大きな揺動角度である第2角度よりも前記開状態側へ揺動するのを規制する規制機構を備える多目的車両。
【請求項2】
前記規制機構は、前記後部ゲートに設けられた第1当接部と、前記荷台の後方に設けられ、前記後部ゲートの揺動角度が前記第2角度のときに当接する第2当接部とを有する請求項1に記載の多目的車両。
【請求項3】
前記後部ゲートは、左右方向に延び、前記荷台の後下側部分に設けられた揺動軸周りに揺動する請求項1に記載の多目的車両。
【請求項4】
前記荷台の下方に設けられ、排気口が前記荷台の後側部分に対応する位置に位置する排気マフラーが備えられ、
前記後部ゲートの揺動角度が前記第2角度のとき、前記排気口の後方に前記後部ゲートが位置する請求項3に記載の多目的車両。
【請求項5】
前記荷台は、水平姿勢と傾斜姿勢とに亘り上下揺動可能に構成され、
前記荷台が前記傾斜姿勢のとき、前記排気口の後方に前記後部ゲートが位置する請求項4に記載の多目的車両。
【請求項6】
前記荷台の下方にエンジンが備えられ、
前記後部ゲートの揺動角度が前記第2角度のとき、前記エンジンの後方に前記後部ゲートが位置する請求項3に記載の多目的車両。
【請求項7】
前記荷台は、水平姿勢と傾斜姿勢とに亘り上下揺動可能に構成され、
前記荷台が前記傾斜姿勢のとき、前記エンジンの後方に前記後部ゲートが位置する請求項6に記載の多目的車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台が備えられた多目的車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多目的車両は、特許文献1に記載されているように、荷物への物品の積み込み及び荷台からの積み降ろしを簡易にするため、荷台の後部ゲート(文献では「テイルゲート」)は、揺動可能に構成されている。
【0003】
また、特許文献1に記載された多目的車両では、ワイヤ等からなる保持機構(文献では「水平保持機構」)を利用して、後部ゲートを水平に保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された多目的車両では、保持機構のワイヤは、取外し可能に構成されている。そして、ワイヤを取り外すと、後部ゲートは、水平状態からさらに揺動することができる構成となっている。
【0006】
一般的な多目的車両では、特許文献1に記載されているように、荷台の下方に、エンジンや、エンジン用の排気マフラーが備えられており、保持機構のワイヤが取り外された後部ゲートは、排気マフラーに接近した状態となっていた。また、保持機構のワイヤが取り外された後部ゲートが、勢いがついた状態で揺動すると、後部ゲートは、排気マフラーに勢いよく接触することがあった。
【0007】
排気マフラーに、後部ゲートが接触すると、後部ゲートは、排気マフラーの高熱により、変形してしまうという不都合が生じていた。また、後部ゲートが排気マフラーに勢いよく接触することにより、排気マフラーや後部ゲートが破損してしまうことがあった。
【0008】
本発明の目的は、後部ゲートと荷台の下方にある排気マフラー等の機器等とが、接近してしまうこと及び接触してしまうことを防ぐことができる多目的車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の多目的車両は、フロアパネルと、前記フロアパネルに対して垂直姿勢である閉状態と前記フロアパネルの後方に揺動した開状態とに亘って揺動可能に支持されている後部ゲートと、が設けられている荷台と、前記後部ゲートを所定の揺動角度である第1角度で保持する保持状態と保持解除状態とに人為操作可能な保持機構と、が備えられ、前記荷台は、前記保持解除状態のとき、前記後部ゲートが、前記第1角度よりも大きな揺動角度である第2角度よりも前記開状態側へ揺動するのを規制する規制機構を備える。
【0010】
この発明によれば、保持機構が保持解除状態のときであっても、後部ゲートは、規制機構によって第2角度よりも開状態側へ揺動することが規制されるため、荷台の上方及び下方にある機器等に、後部ゲートが、接近してしまうこと及び接触してしまうことを防ぐことが可能となる。
【0011】
また、第2角度は、第1角度よりも大きな揺動角度であり、保持機構で保持されているときは、後部ゲートは、第2角度まで揺動しない構成となる。つまり、後部ゲートは、保持機構で保持されているときと、規制機構で規制されているときとでは、異なる角度で保持又は規制される構成となる。この構成により、作業者は、後部ゲートが、保持機構により保持されている状態であるのか、又は、規制機構により規制されているのかを、判断することが可能となる。
【0012】
本発明においては、前記規制機構は、前記後部ゲートに設けられた第1当接部と、前記荷台の後方に設けられ、前記後部ゲートの揺動角度が前記第2角度のときに当接する第2当接部とを有すると好適である。
【0013】
この構成によれば、後部ゲートに設けられた第1当接部が、荷台の後方に設けられた第2当接部に当接するという簡易な構成で、規制機構を構成することが可能となる。
【0014】
本発明においては、前記後部ゲートは、左右方向に延び、前記荷台の後下側部分に設けられた揺動軸周りに揺動すると好適である。
【0015】
この構成によれば、開状態のとき遊端側が荷台の下方に向けて揺動する構成を備える後部ゲートが、規制機構によって下方に向けた揺動が規制される構成となる。後部ゲートが下方に向けて揺動するとき、重力の作用により勢いよく揺動してしまうが、規制機構により、このような後部ゲートが勢いよく揺動してしまうことを防ぐことが可能となる。
【0016】
本発明においては、前記荷台の下方に設けられ、排気口が前記荷台の後側部分に対応する位置に位置する排気マフラーが備えられ、前記後部ゲートの揺動角度が前記第2角度のとき、前記排気口の後方に前記後部ゲートが位置すると好適である。
【0017】
この構成によれば、後部ゲートの揺動角度が第2角度のとき、排気マフラーの後方に位置する構成となる。つまり、規制機構により後部ゲートが規制されることによって、後部ゲートが、排気マフラーに接近及び接触してしまうことを防ぐことが可能となる。
【0018】
本発明においては、前記荷台は、水平姿勢と傾斜姿勢とに亘り上下揺動可能に構成され、前記荷台が前記傾斜姿勢のとき、前記排気口の後方に前記後部ゲートが位置すると好適である。
【0019】
この構成によれば、荷台が傾斜姿勢であっても、後部ゲートの揺動角度が第2角度のとき、排気マフラーの後方に位置する構成となる。つまり、この構成により、荷台が傾斜姿勢であっても、後部ゲートが、排気マフラーに接近及び接触しまうことを防ぐことが可能となる。
【0020】
本発明においては、前記荷台の下方にエンジンが備えられ、前記後部ゲートの揺動角度が前記第2角度のとき、前記エンジンの後方に前記後部ゲートが位置すると好適である。
【0021】
この構成によれば、後部ゲートの揺動角度が第2角度のとき、エンジンの後方に位置する構成となる。つまり、規制機構により後部ゲートが規制されることによって、後部ゲートが、エンジンに接近及び接触しまうことを防ぐことが可能となる。
【0022】
本発明においては、前記荷台は、水平姿勢と傾斜姿勢とに亘り上下揺動可能に構成され、前記荷台が前記傾斜姿勢のとき、前記エンジンの後方に前記後部ゲートが位置すると好適である。
【0023】
この構成によれば、荷台が傾斜姿勢であっても、後部ゲートの揺動角度が第2角度のとき、エンジンの後方に位置する構成となる。つまり、この構成により、荷台が傾斜姿勢であっても、後部ゲートが、エンジンに接近及び接触しまうことを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図4】後部ゲートが垂直姿勢のときの規制機構の構成を示す図である。
【
図5】第1当接部と第2当接部が当接しているときの規制機構の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図中の矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、図中の矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0026】
〔全体構成について〕
図1には、多目的車両を示している。
図1に示すように、多目的車両には、操向可能且つ駆動可能な左右の前車輪1と、駆動可能な左右の後車輪2と、操縦者等が搭乗可能な搭乗部3と、荷物を積載可能な荷台4と、荷台4の下方に位置する原動部5等が備えられている。
【0027】
搭乗部3の内部の前側には、操縦者が着座する運転座席を含む前側座席6が備えられ、搭乗部3の内部の後側に後側座席7が備えられている。さらに、搭乗部3には、操舵操作を行うためのステアリングホイール8等が備えられている。ステアリングホイール8は、前側座席6の前方に位置する運転パネル9に配置されている。
【0028】
搭乗部3の横側部には、開閉可能に構成されたドア10が備えられている。前側座席6の機体左右方向の横側部、及び、後側座席7の機体左右方向の横側部に、ドア10が配置されている。
【0029】
原動部5には、エンジン11、エンジン用の排気マフラー12、エンジン11の後方に位置するミッションケース13、エンジン11及びミッションケース13の左方に位置してエンジン11からミッションケース13に伝動する無段変速装置14、エンジン11に燃焼用の空気を供給する給気装置(図示せず)、エンジン11からの排気を処理する排気装置(図示せず)等が備えられている。
【0030】
排気マフラー12は、後方に向けて延びるように構成され、荷台4の後側部分に対応する位置に位置する排気口12aを備える。
【0031】
無段変速装置14は、周囲がケースにより覆われており、ケースの内部に図示しないベルト式無段変速機構が内装されている。無段変速装置14は、エンジン11、及び、ミッションケース13の横側部に連結支持されている。ミッションケース13は、エンジン11の後部側に連結支持されている。
【0032】
多目的車両は、多目的車両の前部及び中間部を支持するメインフレーム15と、原動部5を支持する後部フレーム16とを備える。詳しくは説明しないが、後部フレーム16は、リアサスペンションを介して左右の後車輪2を支持し、メインフレーム15は、図示しないフロントサスペンションを介して左右の前車輪1を支持している。
【0033】
荷台4の下方に、後部フレーム16に支持されている荷台支持フレーム17が設けられている。荷台4は、荷台支持フレーム17に支持されている。
【0034】
エンジン11の動力は、無段変速装置14にて無段階に変速されたのちミッションケース13に伝達される。ミッションケース13内に備えられる図示しないギヤ式変速機構により、前進状態、後進状態、中立状態を、それぞれ、現出可能となっている。そして、ミッションケース13の動力が左右の前車輪1及び左右の後車輪2に伝達される。
【0035】
〔荷台について〕
荷台4は、荷台4を下方から支持する梁構造体20を備える。梁構造体20は、多目的車両の前後方向に延びる複数の前後方向部材T(
図4参照)と、多目的車両の横方向に延びる複数の横方向部材Y(
図4参照)とを備える。梁構造体20を構成する前後方向部材T及び横方向部材Yは互いに溶接などにより接合され、それにより強固な構造の梁構造体20が形作られる。
【0036】
梁構造体20の後部に設けられたブラケット21が荷台支持フレーム17の左右方向の軸芯P1周りに揺動可能に支持されている。これにより、
図3に示すように、荷台4は、軸芯P1周りに、水平姿勢S1と傾斜姿勢S2とに亘り上下揺動可能に構成されている。本実施形態では、荷台4の水平姿勢S1に対して、荷台4の傾斜姿勢S2の傾斜角度θsは、約50度となるように構成されている。
【0037】
図1に示すように、荷台4は、荷物が載置される荷物積載面を有するフロアパネル22と、フロアパネル22の左端部及び右端部から立ち上がる左右のサイドカバー23と、フロアパネル22の前端部から立ち上がる前側板と、フロアパネル22の後端部から立ち上がる後部ゲート24と、を有する箱型に形成されている。
【0038】
図2に示すように、後部ゲート24は、フロアパネル22に対して垂直姿勢G1である閉状態とフロアパネル22の後方に揺動した開状態とに亘って揺動可能に支持されている。後部ゲート24は、梁構造体20の左右の後端に固定されている左右のゲートブラケット25に、揺動軸26を介して、揺動可能に支持されている。
【0039】
揺動軸26は、後部ゲート24の左右の縁部分に設けられ、垂直姿勢G1において上下方向に沿って延びる左右の縁部材24aの下端領域に固定されている。詳しくは説明しないが、左右の縁部材24aは、断面形状が左右方向の内側と外側とに面を有する略C字形状に構成されており、揺動軸26は、左右の縁部材24aの内面に固定されている。この構成により、後部ゲート24は、荷台4の後下側部分に設けられた揺動軸26を左右方向に延びる軸芯P2として、軸芯P2周りに揺動可能に構成されている。
【0040】
図2に示すように、後部ゲート24は、垂直姿勢G1に対して、後方に向けて所定の揺動角度である第1角度θ1に揺動させた保持姿勢G2で、保持機構30によって保持される。本実施形態では、垂直姿勢G1と保持姿勢G2とのなす角度、つまり第1角度θ1は、約90度である。
【0041】
保持機構30は、左右のサイドカバー23のそれぞれの後端に設けられた第1金具31と、後部ゲート24の左右端に設けられた第2金具32と、一端を第1金具31に他端を第2金具32に装着された保持ワイヤ33とを有する。
【0042】
本実施形態では、保持ワイヤ33は第1金具31に固定され、第2金具32に取り外し可能に係止されている。この構成により、保持機構30は、保持ワイヤ33が第2金具32に係止され、後部ゲート24を所定の揺動角度である第1角度θ1で保持する保持状態と、保持ワイヤ33が第2金具32から取り外される保持解除状態とに人為操作可能に構成されている。なお、本発明はこの構成に限定されず、保持ワイヤ33は第2金具32に固定され、第2金具32に取り外し可能に係止されてもよく、また、保持ワイヤ33は、第1金具31及び第2金具32の両方において取り外し可能に係止されてもよい。
【0043】
〔規制機構について〕
図4及び
図5に示すように、荷台4には、後部ゲート24が、第1角度θ1(
図2参照)よりも大きな揺動角度である第2角度θ2(
図2参照)よりも開状態側へ揺動するのを規制する規制機構40が備えられている。ここでは、規制機構40により揺動規制されているときの後部ゲート24の姿勢を、規制姿勢G3とする。本実施形態では、第2角度θ2、つまり垂直姿勢G1と規制姿勢G3とのなす角度は、約95度である。なお、
図2では、説明の便宜上、第2角度θ2は95度よりも大きな角度で表している。
【0044】
本実施形態では、規制機構40は、後部ゲート24の左右の縁部材24aに設けられた第1当接部41と、梁構造体20に設けられた左右の第2当接部42とを有する。
図4及び
図5においては、左右の縁部材24a及び第2当接部42のうち、左の縁部材24a及び第2当接部42を示すが、右の縁部材24a及び第2当接部42も同様の構成を有する。
【0045】
第1当接部41は、垂直姿勢G1における後部ゲート24の左右の下端に2つ形成されている。詳しくは、
図4及び
図5に示すように、断面形状が左右方向の内側と外側とに面を有する略C字形状に構成されている左右の縁部材24aのうち、左右の縁部材24aの内側面の下端に第1当接部41が形成されている。
【0046】
左右の第1当接部41は、垂直姿勢G1において、後部ゲート24の左右の縁部材24aのうち、揺動軸26に対して遊端側とは反対側となる縁部材24aの下端に形成されている。左右の第1当接部41は、垂直姿勢G1において、上下方向に延びる当接部分41aが形成されており、後部ゲート24が、垂直姿勢G1や保持姿勢G2等から規制姿勢G3に向けて揺動されると、当接部分41aは、荷台4の梁構造体20の後端部分に近づくように移動する。
【0047】
荷台4の梁構造体20を構成する複数の横方向部材Yのうち、最も後方に位置する後部横方向部材Yrは、後部ゲート24の下側部分と前後方向で隣り合う箇所に設けられている。つまり、後部横方向部材Yrは、複数の横方向部材Yのうち最も後部ゲート24に近い位置に設けられている。
【0048】
後部横方向部材Yrの後端部分には、垂直部eが形成されている。垂直部eは、金属板から構成されている後部横方向部材Yrの後側部分を曲げ加工して形成されている。後部ゲート24が、垂直姿勢G1や保持姿勢G2等から規制姿勢G3に向けて揺動されると、当接部分41aは、垂直部eに近づくように移動する。
【0049】
後部ゲート24は、後部ゲート24の第2金具32から保持ワイヤ33が取り外される保持解除状態のとき、垂直姿勢G1に対して第1角度θ1よりさらに大きな揺動角度となる側に揺動可能に構成されている。そして、後部ゲート24が、垂直姿勢G1や保持姿勢G2等から規制姿勢G3に向けて揺動され、垂直姿勢G1に対して揺動角度が第2角度θ2になると、第1当接部41が垂直部eの下端部分に当接する。つまり、垂直部eの下端部分は、第1当接部41が当接する第2当接部42として構成されている。この構成により、後部ゲート24は、後部ゲート24の第2金具32から保持ワイヤ33が取り外される保持解除状態のとき、規制機構40によって、垂直姿勢G1に対して第1角度θ1よりも大きな揺動角度である第2角度θ2よりも開状態側へ揺動するのを規制される。
【0050】
図3で示すように、本実施形態では、荷台4の水平姿勢S1に対する傾斜姿勢S2の傾斜角度θsは、約50度となるように構成されていることから、地面に対する垂直方向Vに対する規制姿勢G3の後部ゲート24の角度は、約145度(θs+θ2)となる。
【0051】
後部ゲート24の揺動角度が第2角度θ2のとき、エンジン11及び排気マフラー12の排気口12aの後方に後部ゲート24が位置する。また、荷台4が傾斜姿勢S2であり、かつ、後部ゲート24の揺動角度が第2角度θ2のときであっても、エンジン11及び排気マフラー12の排気口12aの後方に後部ゲート24が位置する。
【0052】
つまり、荷台4が水平姿勢S1及び傾斜姿勢S2のいずれであっても、後部ゲート24の揺動角度が第2角度θ2のとき、高温になるエンジン11及び排気マフラー12の排気口12aから離れた位置に位置する。この構成により、後部ゲート24が、エンジン11及び排気マフラー12の排気口12aに接近及び接触しない構成となる。その結果、後部ゲート24が、エンジン11及び排気マフラー12に接近及び接触しまうことによる破損や変形等を防ぐことが可能となる。
【0053】
〔別実施形態〕
以下、上記実施形態に変更を加えた別実施形態を例示する。
【0054】
(1)上記実施形態では、第1角度θ1は約90度であり、第2角度θ2は約95度である構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、第2角度θ2は、第1角度θ1よりも大きい角度であれば、第1角度θ1及び第2角度θ2は、上記実施形態以外の角度の組み合わせでもよい。
【0055】
(2)上記実施形態では、規制機構40は、後部ゲート24が第2角度θ2よりも開状態側へ揺動することを規制する構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、左右のサイドカバー23が揺動可能に構成されたうえで、これらの揺動角度が第2角度θ2よりも開状態側へ揺動することを規制する構成としてもよい。このとき、左右のサイドカバー23の揺動角度が第2角度θ2のとき、エンジン11及び排気マフラー12の排気口12aの外側方に、左右のサイドカバー23が位置するように構成されていてもよい。
【0056】
(3)上記実施形態では、規制機構40は、第1当接部41と第1当接部41に当接する第2当接部42とを有する構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、規制機構40は、フロアパネル22の後端部から後方に向けて延び、後部ゲート24の揺動角度が第2角度θ2になると後部ゲート24の後側面に当接する板状部材で構成されていてもよい。
【0057】
(4)上記実施形態では、揺動軸26は、後部ゲート24の左右の下端領域に固定されている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、揺動軸26は、後部ゲート24の左右の上端領域に固定され、後部ゲート24は、上方に向けて揺動する構成であってもよい。
【0058】
(5)上記実施形態では、搭乗部3の横側部には、開閉可能に構成されたドア10が備えられている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、ドア10を備えない構成としてもよい。
【0059】
(6)上記実施形態では、搭乗部3に、前側座席6と後側座席7とが備えられている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、搭乗部3に、前側座席6のみが備えられている構成としてもよい。
【0060】
尚、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、人員の移動や荷物の運搬、レクリエーション等に使用される多目的車両に適用できる。
【符号の説明】
【0062】
4 :荷台
11 :エンジン
12 :排気マフラー
12a :排気口
22 :フロアパネル
24 :後部ゲート
26 :揺動軸
30 :保持機構
40 :規制機構
41 :第1当接部
42 :第2当接部
G1 :垂直姿勢
P2 :軸芯
S1 :水平姿勢
S2 :傾斜姿勢
θ1 :第1角度
θ2 :第2角度