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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007059
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】成形装置及び成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/26 20060101AFI20240111BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
B29C45/26
B29C45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108246
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】平栗 征一
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202CA11
4F202CB01
4F202CM03
4F206JA07
4F206JL02
4F206JQ81
4F206JW41
(57)【要約】
【課題】エジェクタピンの位置を避けることなく成型体の溶着部位の位置を設定できる成形装置及び成形方法を提供する。
【解決手段】成形装置1は、第1金型部11及び第2金型部12により構成され、成型体30を形成する空間15を有する金型10と、金型10内の空間15の一部を形成する端面22を有し、第2金型部12から空間15側に突出可能に構成されたエジェクタピン21と、を備え、端面22には、成型体30の表面に溶着部位31を形成する溶着部位形成部23が設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金型部(11)及び第2金型部(12)により構成され、成型体(30)を形成する空間(15)を有する金型(10)と、
前記金型(10)内の前記空間(15)の一部を形成する端面(22)を有し、前記第2金型部(12)から前記空間(15)側に突出可能に構成されたエジェクタピン(21)と、を備え、
前記端面(22)には、前記成型体(30)の表面に溶着部位(31)を形成する溶着部位形成部(23)が設けられる、
成形装置。
【請求項2】
前記溶着部位形成部(23)は、前記成型体(30)の表面に、溶着部位(31)として溶着用突起(31a)を形成する凹部である、
請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記溶着部位形成部(23)は、前記成型体(30)の表面に、溶着部位(31)として溶着用突起を受ける溶着用凹部(31b)を形成する突起である、
請求項1に記載の成形装置。
【請求項4】
前記金型(10)は、前記成型体(30)として、レゾルバをカバーするレゾルバカバーを形成する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の成形装置。
【請求項5】
第1金型部(11)及び第2金型部(12)により構成され、成型体(30)を形成する空間(15)を有する金型(10)と、前記金型(10)内の前記空間(15)の一部を形成すると共に溶着部位形成部(23)が設けられた端面(22)を有し、前記第2金型部(12)から前記空間(15)側に突出可能に構成されたエジェクタピン(21)と、を用いた成型体(30)の成形方法であって、
前記金型(10)内の前記空間(15)に溶融樹脂を充填し、
前記空間(15)内に充填された前記溶融樹脂により溶着部位(31)を備えた成型体(30)を成形し、
前記第2金型部(12)から前記成型体(30)を取り外すために、前記第2金型部(12)の内面から前記エジェクタピン(21)を突出させる、
成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、成形装置及び成形方法に関し、特に、金型により成形される成型体における溶着部位の位置に配慮された成形装置及び成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金型によって形成された空間内に溶融樹脂を充填し、金型内の溶融樹脂が固化した後、金型を分解し、金型の内面からエジェクタピンを突出させることにより、金型に貼り付いた成型体を取り外す、成形方法が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-79626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一対の成型体のうちの一方に溶着用突起等の溶着部位を設けておき、一対の成型体を位置合わせした状態で溶着部位に超音波と圧力とを加えることで、溶着を行う技術が存在している。溶着用突起は、金型に微細な形状を加工することで形成している。
【0005】
成型体の中央付近にエジェクタピンが当たる場合、中央付近のエジェクタピンの位置を避けて成型体の端に近い複数の位置に溶着突起部を設ける必要があり、金型の加工費が増加する問題がある。
一方、溶着突起部を成型体の中央に設けるのであれば、溶着用突起を避け、かつ、バランスを取るためにエジェクタピンを複数設ける必要があり、この場合も金型の加工費が増加する問題がある。
【0006】
従って、エジェクタピンと溶着部位との位置を最適に設定できると共に、金型の加工費を削減できることが望まれている。
本発明は、エジェクタピンの位置を避けることなく成型体の溶着部位の位置を設定できる成形装置及び成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る成形装置は、第1金型部及び第2金型部により構成され、成型体を形成する空間を有する金型と、金型内の空間の一部を形成する端面を有し、第2金型部から空間側に突出可能に構成されたエジェクタピンとを備え、端面には、成型体の表面に溶着部位を形成する溶着部位形成部が設けられる。
【0008】
この成形装置において、溶着部位形成部は、成型体の表面に溶着部位として、溶着用突起を形成する凹部であることが望ましい。
【0009】
この成形装置において、溶着部位形成部は、成型体の表面に溶着部位として、溶着用突起を受ける溶着用凹部を形成する突起であることが望ましい。
【0010】
この成形装置において、金型は、成型体として、レゾルバをカバーするレゾルバカバーを形成することが望ましい。
【0011】
この発明に係る成形方法は、第1金型部及び第2金型部により構成され、成型体を形成する空間を有する金型と、金型内の空間の一部を形成すると共に溶着部位形成部が設けられた端面を有し、第2金型部から空間側に突出可能に構成されたエジェクタピンと、を用いた成型体の成形方法であって、金型内の空間に溶融樹脂を充填し、空間内に充填された溶融樹脂により溶着部位を備えた成型体を成形し、第2金型部から成型体を取り外すために、第2金型部の内面からエジェクタピンを突出させる。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る成形装置及び成形方法によれば、エジェクタピンの位置を避けることなく、成型体の溶着部位の位置を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1における成形装置の断面構成を示す断面図である。
図2】実施の形態1における成形装置と成型体との断面構成を示す断面図である。
図3】実施の形態1における成形装置と成型体との断面構成を示す断面図である。
図4】実施の形態1における成形装置と成型体との断面構成を示す断面図である。
図5】実施の形態1における成形装置による成形方法の処理手順を示すフローチャートである。
図6】実施の形態2における成形装置の断面構成を示す断面図である。
図7】実施の形態2における成形装置と成型体との断面構成を示す断面図である。
図8】実施の形態2における成形装置と成型体との断面構成を示す断面図である。
図9】実施の形態2における成形装置と成型体との断面構成を示す断面図である。
図10】実施の形態1における成型体の具体的構成を示す構成図である。
図11】実施の形態2における成型体の具体的構成を示す構成図である。
図12】比較例における成形装置の断面構成を示す断面図である。
図13】比較例における成形装置と成型体との断面構成を示す断面図である。
図14】比較例における成形装置と成型体との断面構成を示す断面図である。
図15】比較例における成形装置と成型体との断面構成を示す断面図である。
図16】比較例における溶着用突起を備える成型体の構成を示す構成図である。
図17】比較例における溶着用凹部を備える成型体の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態に係る成形装置及び成形方法について、図面を用いて説明する。なお、各図において、同一部分には同一符号を付している。
【0015】
比較例.
以下、実施の形態1の成形装置1及び成形方法に対する比較例について、図12図15を参照して説明する。図12は、比較例における成形装置1Cの断面構成を示す断面図である。図13図15は、比較例における成形装置1Cと成型体30Cとの断面構成を示す断面図である。
【0016】
図12において、成形装置1Cは、主に、金型10Cと、エジェクタ装置20とを備えている。
金型10Cは、第1金型部11C及び第2金型部12Cにより構成され、成型体30Cを形成する空間15を有するように構成されている。
第1金型部11Cには、射出ユニットから供給される溶融樹脂の流路11c1が設けられている。第2金型部12Cには、成型体30Cの表面に溶着部位を形成するための溶着部位形成部12c,12dと、成型体30Cを押し出すエジェクタピン21Cを収容する穴部12eとが設けられている。溶着部位形成部12c,12dは、成型体30Cの表面に溶着部位として溶着用突起31c,31dを形成するための凹部である。
【0017】
エジェクタ装置20は、エジェクタピン21Cを備えている。エジェクタピン21Cは、金型10C内の空間15の一部を形成する端面22Cを有し、第2金型部12Cの穴部12eに収容されており、第2金型部12Cから金型10C内の空間15側に突出可能に構成されている。
エジェクタ装置20は、第2金型部12Cから成型体30Cを取り外すために、第2金型部12Cの内面からエジェクタピン21Cを突出させる。エジェクタピン21Cは、成型体30Cを確実に取り出せるように、成型体30Cの中央付近を押し出すように設けられている。
【0018】
図13において、図示しない射出ユニットから流路11c1を介して溶融樹脂を金型10C内の空間15に充填し、成型体30Cを形成する。この際、金型10Cの各部に圧力を加えてもよい。成型体30Cには、第2金型部12Cに設けられた凹部形状の溶着部位形成部12c及び12dにより、溶着部位として溶着用突起31c及び31dが形成される。
【0019】
図14は、完成した成型体30Cを金型10Cから剥がす様子を示している。まず、金型10Cを開き、第1金型部11Cと第2金型部12Cとを分離する。
その後、エジェクタ装置20は、第2金型部12Cの内面からエジェクタピン21Cを突出させる。これにより、成型体30Cは、エジェクタピン21の端面22Cにより押圧され、第2金型部12Cから剥がれて押し出される。
【0020】
図15において、成型体30Cは、成形装置1Cから取り出される。その後にエジェクタ装置20は突出させたエジェクタピン21Cを退避させる。この結果、溶着部位として溶着用突起31c及び31dとを備えた成型体30Cが完成する。
【0021】
以上の成形装置1Cにおいて、成型体30Cを確実に取り出せるように、エジェクタピン21Cは、成型体30Cの中央付近を押し出すように設けられている。このため、成型体30Cの中央以外の複数の位置に溶着用突起31c及び31dを形成するため、溶着部位形成部12cと溶着部位形成部12dとを第2金型部12Cに設ける必要があった。これにより、金型10Cの加工費が増加するという問題がある。
一方、図示していないが、溶着部位を成型体30Cの中央に設けるのであれば、中央の溶着部位の位置を避けてエジェクタピン21Cを複数設ける必要がある。この場合も金型10Cの加工費が増加する問題がある。
【0022】
以下、比較例において成形装置1Cにより形成された成型体としてレゾルバ用端子カバー30C1の具体例を図16により説明し、比較例において成形装置1Cにより形成された成型体としてレゾルバカバー30C2の具体例を図17により説明する。前提として、レゾルバ用端子カバー30C1及びレゾルバカバー30C2は、それぞれの中央部付近をエジェクタピン21Cにより押し出されて形成される。
【0023】
図16は、比較例における溶着用突起31c1及び31d1を備えるレゾルバ用端子カバー30C1の構成を示す構成図である。図16において、レゾルバ用端子カバー30C1は、レゾルバの端子部を絶縁しつつカバーするレゾルバ用端子カバーとして構成されている。レゾルバ用端子カバー30C1には、長手方向の両端部付近の2カ所に、溶着部位としての溶着用突起31c1及び31d1と、位置合わせ用突起32a1及び32b1とが形成されている。
【0024】
図17は、比較例における溶着用凹部31c2及び31d2を備えるレゾルバカバー30C2の構成を示す構成図である。図17において、レゾルバカバー30C2は、レゾルバのステータ・コア部及び端子部を絶縁しつつカバーするレゾルバカバーとして構成されている。
レゾルバカバー30C2には、端子部の長手方向の両端部付近の2カ所に、溶着部位としての溶着用凹部31c2及び31d2とが形成されている。溶着用凹部31c2は、溶着用突起31c1を受ける凹部として形成されている。溶着用凹部31d2は、溶着用突起31d1を受ける凹部として形成されている。レゾルバカバー30C2には、端子部の長手方向の両端部付近の2カ所に、位置合わせ用穴部32a2及び32b2が形成されている。
【0025】
まず、レゾルバ用端子カバー30C1の位置合わせ用突起32a1をレゾルバカバー30C2の位置合わせ用穴部32a2に挿入すると共に、レゾルバ用端子カバー30C1の位置合わせ用突起32b1をレゾルバカバー30C2の位置合わせ用穴部32b2に挿入し、レゾルバ用端子カバー30C1とレゾルバカバー30C2とを位置合わせをする。これにより、レゾルバ用端子カバー30C1の溶着用突起31c1とレゾルバカバー30C2の溶着用凹部31c2とが接すると共に、レゾルバ用端子カバー30C1の溶着用突起31d1とレゾルバカバー30C2の溶着用凹部31d2とが接する状態になる。
そして、溶着用突起31c1及び溶着用凹部31c2、並びに、溶着用突起31d1及び溶着用凹部31d2に超音波と圧力とを加えて、超音波溶着を実行する。これにより、レゾルバ用端子カバー30C1と、レゾルバカバー30C2とが、溶着されて一体化する。
【0026】
レゾルバ用端子カバー30C1レゾルバカバーと30C2とにおいて、中央付近のエジェクタピンの位置を避けて両端部の2カ所に溶着部位が形成されている。この結果、金型10Cの加工費が増加する。また、レゾルバ用端子カバー30C1及びレゾルバカバー30C2は、端子部付近の両端部で溶着されているため、外部からの振動により中央付近において共振の振幅が増大することがある。
【0027】
実施の形態1.
以下、実施の形態1の成形装置及び成形方法について、図1図5を参照して説明する。図1は、実施の形態1における成形装置1の断面構成を示す断面図である。図2図4は、実施の形態1における成形装置1と成型体30との断面構成を示す断面図である。図5は、実施の形態1の成形装置1による成形方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0028】
以下、図1図4の構成について、図5のフローチャートの処理手順と共に説明する。
図1において、成形装置1は、主に、金型10と、エジェクタ装置20とを備えている。金型10は、第1金型部11及び第2金型部12により構成され、成型体30を形成する空間15を有するように構成されている。第1金型部11には、射出ユニット供給される溶融樹脂の流路11aが設けられている。第2金型部12には、エジェクタピン21を収容する穴部12aが設けられている。
【0029】
エジェクタ装置20は、エジェクタピン21を備えている。エジェクタピン21は、金型10内の空間15の一部を形成する端面22を有し、第2金型部12の穴部12aに初期状態として収容されており、第2金型部12から金型10内の空間15側に突出可能に構成されている。
【0030】
エジェクタピン21の端面22には、成型体30の表面に溶着部位31を形成するため、溶着部位形成部23が設けられている。溶着部位形成部23は、成型体30の表面に溶着部位31として溶着用突起を形成するための凹部である。
以上のように、ステップS1として、成型体30を形成する空間15を設けるように、第1金型部11と第2金型部12とにより金型10を構成し、エジェクタ装置20とを準備する。この後、処理は、図2に示す断面構成について、図5のステップS2へと進む。
【0031】
図2において、図示しない射出ユニットから流路11aを介して溶融樹脂を金型10内の空間15に充填し、成型体30を形成する。この際、金型10の各部に圧力を加えてもよい。成型体30には、凹部形状の溶着部位形成部23により、溶着部31として溶着用突起が形成される。
以上のように、ステップS2として、溶融樹脂の充填による成型体30の形成と、溶着部位形成部23による溶着部位31の形成とを行う。この後、図3に示す断面構成について、図5のステップS3へと進む。
【0032】
図3は、完成した成型体30を金型10から剥がす様子を示している。まず、金型10を開き、第1金型部11Cと第2金型部12Cとを分離する。
その後、エジェクタ装置20は、第2金型部12の内面からエジェクタピン21を突出させる。これにより、成型体30は、エジェクタピン21の端面22により押圧され、第2金型部12から剥がれて押し出される。
以上のように、ステップS3として、金型10を開くと共に、エジェクタピン21の突出により、完成した成型体30を金型10から剥がす。この後、図4に示す断面構成について、図5のステップS4へと進む。
【0033】
図4において、成型体30は、成形装置1から取り出される。その後にエジェクタ装置20は突出させたエジェクタピン21を退避させて初期状態に戻す。この結果、溶着用突起としての溶着部位31を備えた成型体30が完成する。
以上のように、ステップS4として、完成した成型体30を成形装置1から取り出し、エジェクタピン21を次の成形に備えて初期状態に戻す。これにより、図5の一連の処理を終了する。
【0034】
以上の実施の形態1では、成形装置1において、エジェクタピン21は、成型体30の中央付近を押し出すことができる。そして、エジェクタピン21の端面22に設けられた溶着部位形成部23により、成型体30の中央付近に溶着用突起としての溶着部位31が形成される。すなわち、成型体30の中央に溶着部位31を設けると共に、成型体30の中央をエジェクタピン21により押し出すことができる。
したがって、実施の形態1の成形装置1を用いた成形方法によれば、エジェクタピン21の位置を避けることなく、成型体30の溶着部位31の位置を設定することができる。そして、溶着部位31の成形をエジェクタピン21に任せることができるため、金型10の細かな加工が不要になり、金型費を抑えることができる。
【0035】
実施の形態2.
以下、実施の形態2の成形装置及び成形方法について、図6図9を参照して説明する。図6は、実施の形態2における成形装置1の断面構成を示す断面図である。図7図9は、実施の形態2における成形装置1と成型体30との断面構成を示す断面図である。
なお、実施の形態1と同一部分には同一符号を付し、重複した説明を省略すると共に、異なる部分を中心に説明する。
【0036】
図6に示す成形装置1において、金型10内の空間15の一部を形成するエジェクタピン21の端面22には、成型体30の表面に溶着部位31を形成するため、溶着部位形成部23が設けられている。溶着部位形成部23は、成型体30の表面に溶着部位31として溶着用凹部を形成するための突起である。
【0037】
図7において、射出ユニットから流路11aを介して溶融樹脂を金型10内の空間15に充填し、成型体30を形成する。成型体30には、突起形状の溶着部位形成部23により、溶着用凹部としての溶着部位31が形成される。
【0038】
図8は、完成した成型体30を金型10から剥がす様子を示している。まず、金型10を開き、第1金型部11と第2金型部12とを分離する。
その後、エジェクタ装置20は、第2金型部12の内面からエジェクタピン21を突出させる。これにより、成型体30は、エジェクタピン21の端面22により押圧され、第2金型部12から剥がれて押し出される。
【0039】
図9において、成型体30は、成形装置1から取り出される。その後にエジェクタ装置20は突出させたエジェクタピン21を退避させる。この結果、溶着用凹部としての溶着部位31を備えた成型体30が完成する。
【0040】
実施の形態2において、成型体30に溶着用凹部として設けられた溶着部位31は、実施の形態1に示した溶着用突起としての溶着部位31と対になるもので、超音波溶着により用いられる部位である。
【0041】
以上の実施の形態2では、成形装置1において、エジェクタピン21は、成型体30の中央付近を押し出すことができる。そして、エジェクタピン21の端面22に設けられた溶着部位形成部23により、成型体30の中央付近に溶着用凹部としての溶着部位31が形成される。すなわち、成型体30の中央に溶着部位31を設けると共に、成型体30の中央をエジェクタピン21により押し出すことができる。
したがって、実施の形態2の成形装置1を用いた成形方法によれば、エジェクタピン21の位置を避けることなく、成型体30の溶着部位31の位置を設定することができる。そして、溶着部位31の成形をエジェクタピン21に任せることができるため、金型10の細かな加工が不要になり、金型費を抑えることができる。
【0042】
以下、実施の形態1において成形装置1により形成された成型体の具体例を図10により説明し、実施の形態2において成形装置1により形成された成型体の具体例を図11により説明する。
【0043】
図10は、実施の形態1における溶着用突起31aを備える成型体の構成を示す構成図である。図10において、成型体は、レゾルバの端子部を絶縁しつつカバーするレゾルバ用端子カバー30Aとして構成されている。
レゾルバ用端子カバー30Aの長手方向の中央部付近には、溶着部位として溶着用突起31aが形成されている。レゾルバ用端子カバー30Aの長手方向の両端部付近の2カ所に、位置合わせ用突起32a1及び32b1が形成されている。
【0044】
図11は、実施の形態2における溶着用凹部31bを備える成型体の構成を示す構成図である。図11において、成型体は、レゾルバのステータ・コア部及び端子部を絶縁しつつカバーするレゾルバカバー30Bとして構成されている。
レゾルバカバー30Bの端子部の長手方向の中央部付近には、溶着部位としての溶着用凹部31bが形成されている。溶着用凹部31bは、溶着用突起31aを受ける凹部として形成されている。レゾルバカバー30Bの端子部の長手方向の両端部付近の2カ所には、位置合わせ用穴部32a2及び32b2が形成されている。
【0045】
まず、レゾルバ用端子カバー30Aの位置合わせ用突起32a1をレゾルバカバー30Bの位置合わせ用穴部32a2に挿入すると共に、レゾルバ用端子カバー30Aの位置合わせ用突起32b1をレゾルバカバー30Bの位置合わせ用穴部32b2に挿入し、レゾルバ用端子カバー30Aとレゾルバカバー30Bとを位置合わせをする。これにより、レゾルバ用端子カバー30Aの溶着用突起31aとレゾルバカバー30Bの溶着用凹部31bとが接する状態になる。
そして、溶着用突起31aと溶着用凹部31bとに超音波及び圧力を加えて、超音波溶着を実行する。これにより、レゾルバ用端子カバー30Aとレゾルバカバー30Bとが溶着されて一体化する。
【0046】
レゾルバ用端子カバー30Aとレゾルバカバー30Bとにおいて、エジェクタピン21の位置を避けることなく、溶着部位として溶着用突起31a及び溶着用凹部31bを最適な位置に設定することができる。そして、溶着部位31の成形をエジェクタピン21に任せることができるため、金型10の細かな加工が不要になり、金型費を抑えることができる。
さらに、エジェクタピン21を、レゾルバ用端子カバー30Aと、レゾルバカバー30Bの端子部との中央付近に設置しており、レゾルバ用端子カバー30Aとレゾルバカバー30Bの端子部とは中央付近において溶着されるため、外部からの振動による共振を抑えることが可能になる。
【0047】
[実施の形態により得られる効果]
実施の形態1及び2に係る成形装置1は、第1金型部11及び第2金型部12により構成され、成型体30を形成する空間15を有する金型10と、金型10内の空間15の一部を形成する端面22を有し、第2金型部から空間15側に突出可能に構成されたエジェクタピン21とを備え、端面22には、成型体30の表面に溶着部位31を形成する溶着部位形成部23が設けられる。
実施の形態1及び2に係る成形方法は、第1金型部11及び第2金型部12により構成され、成型体30を形成する空間15を有する金型10と、金型10内の空間15の一部を形成すると共に溶着部位形成部23が設けられた端面22を有し、第2金型部12から空間15側に突出可能に構成されたエジェクタピン21とを用い、金型10内の空間15に溶融樹脂を充填し、空間15内に充填された溶融樹脂により溶着部位31を備えた成型体30を成形し、第2金型部12から成型体30を取り外すために、第2金型部12の内面からエジェクタピン21を突出させる。
【0048】
これにより、エジェクタピン21の位置を避けることなく、成型体30の溶着部位31の位置を設定することができる。そして、溶着部位31の成形をエジェクタピン21に任せることができるため、金型10の細かな加工が不要になり、金型費を抑えることができる。さらに、エジェクタピン21を成型体30の中央付近に設置しており、成型体30は中央付近において溶着されるため、外部からの振動による共振を従来よりも抑えることが可能になる。
【0049】
実施の形態1及び2に係る成形装置1において、溶着部位形成部23は、成型体30の表面に溶着部位31として溶着用突起31aを形成する凹部、または、溶着用突起31aを受ける溶着用凹部31bを形成する突起とすることができる。この結果、エジェクタピン21に設けられた溶着部位形成部23により、溶着部位31として、溶着用突起31aを形成する凹部、または、溶着用突起31aを受ける溶着用凹部31bを形成する突起を形成することが可能になる。
【0050】
実施の形態1及び2に係る成形装置1において、金型10は、成型体30として、レゾルバ用端子カバー30Aと、レゾルバのコア・ステータ部及び端子部を絶縁しつつカバーするレゾルバカバー30Bとを形成することが望ましい。例えば、鉄道車両用に用いられるレゾルバのレゾルバカバーであれば、溶着後のレゾルバ用端子カバー30Aとレゾルバカバー30Bの端子部とは中央付近において溶着されるため、振動による共振を従来よりも抑えることにより、溶着後のレゾルバ用端子カバー30A及びレゾルバカバー30Bを良好な状態に保つことができる。
【0051】
その他の実施の形態.
以上の説明において、エジェクタピン21は成型体30の長手方向の中央部付近に設けられていると説明したが、これに限定されるものではない。成型体30の形状の中心位置、あるいは、成型体30の部分的な厚みの違いを考慮した重心位置などに、エジェクタピン21の位置を設定し、同じ位置に溶着部位31を設けることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 成形装置、10 金型、11 第1金型部、11a 流路、12 第2金型部、12a 穴部、15 空間、20 エジェクタ装置、21 エジェクタピン、22 端面、23 溶着部位形成部、30 成型体、30A レゾルバ用端子カバー、30B レゾルバカバー、31 溶着部位、31a 溶着用突起、31b 溶着用凹部、32a1,32b1 位置合わせ用突起、32a2,32b2 位置合わせ用穴部。
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