(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070596
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】光学装置及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/55 20230101AFI20240516BHJP
H04N 23/698 20230101ALI20240516BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240516BHJP
G03B 17/17 20210101ALI20240516BHJP
G03B 19/02 20210101ALI20240516BHJP
G03B 37/00 20210101ALI20240516BHJP
【FI】
H04N5/225 400
H04N5/232 380
G03B15/00 W
G03B17/17
G03B19/02
G03B37/00 A
H04N23/55
H04N23/698
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181189
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】菅原 俊
(72)【発明者】
【氏名】林 佑介
(72)【発明者】
【氏名】佐東 将行
【テーマコード(参考)】
2H054
2H059
2H101
5C122
【Fターム(参考)】
2H054BB02
2H059BA03
2H101FF08
5C122EA37
5C122FA02
5C122FB02
5C122FB03
5C122FB11
5C122FB15
5C122FC01
5C122FC02
5C122FH00
(57)【要約】
【課題】広範囲かつ拡大された光学情報を生成できる光学装置及び撮像装置を提供する。
【解決手段】光学装置21は、入射する第1の光を所定の領域paに結像させる光学系11と、光学系11の光軸と光学系11に入射する主光線とのなす角度が第1の光と異なる第2の光を所定の領域paに導く光学素子13と、光学系11と光学素子13と所定の領域paとで囲まれる空間に位置するプリズム30とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する第1の光を所定の領域に結像させる光学系と、
前記光学系の光軸と前記光学系に入射する主光線とのなす角度が前記第1の光と異なる第2の光を前記所定の領域に導く光学素子と、
前記光学系と前記光学素子と前記所定の領域とで囲まれる空間に位置するプリズムと
を備える、光学装置。
【請求項2】
前記光学素子は、前記プリズムの少なくとも1つの面として構成される反射面を含む、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記第2の光の主光線と前記光軸とのなす角度は、前記第1の光の主光線と前記光軸とのなす角度より大きい、請求項1又は2に記載の光学装置
【請求項4】
前記光学素子は、前記第2の光を反射して前記所定の領域に導くミラーを含む、請求項1又は2に記載の光学装置。
【請求項5】
入射する第1の光を所定の領域に結像させる光学系と、
前記光学系の光軸と前記光学系に入射する主光線とのなす角度が前記第1の光と異なる第2の光を前記所定の領域に導く光学素子と、
前記光学系から出力される前記第1の光および前記第2の光の光路の少なくとも一部に位置するプリズムと
を備える、光学装置。
【請求項6】
請求項1、2又は5に記載の光学装置と、
前記所定の領域と撮像領域とが重なるように配置されている撮像素子と
を備える撮像装置。
【請求項7】
前記光学系は、異なる光軸を有し、それぞれの被写体の一部が共通する第1光学系と第2光学系とを含み、
前記第1光学系によって結像した像の一部と、前記第2光学系によって結像した像の一部とが、前記撮像素子の受光領域で重畳する、請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記光学系は、異なる光軸を有し、それぞれの被写体の一部が共通する第1光学系と第2光学系とを含み、
前記プリズムは、前記第1光学系に対応する第1プリズムと、前記第2光学系に対応する第2プリズムとを含む、請求項6に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記プリズムは、前記プリズムの反射面が前記光学系の光軸と平行になるように構成される、請求項6に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像素子が撮像した画像を、前記第1の光に対応する第1の画像成分と、前記第2の光に対応する第2の画像成分とに分離するプロセッサを更に備える、請求項6に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学装置及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
観察対象を結像させる撮像光学系は、焦点距離、画角等の多様な物性を有する。焦点距離が長くなると、観察対象が拡大化された像が形成されるので、遠方の観察対象の詳細な光学情報、言換えると拡大された光学情報が得られる。画角は広角化するほど、広範囲に位置する観察対象の光学情報が得られる。しかし、焦点距離と画角とはトレードオフの関係があり、焦点距離が長くなると画角は狭角化し、焦点距離が短くなると画角は広角化する。
【0003】
それゆえ、状況に応じて望まれる光学情報を得られるように焦点距離の調整が行われている。例えば、撮像光学系に含まれるズームレンズを変位させることにより、焦点距離の調整が行われる。又、複数の単焦点レンズを切替えることにより、焦点距離の調整が行われる(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-311832号公報
【特許文献2】特開2004-279556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2においては、焦点距離の切替えにより、拡大された光学情報及び広範囲の光学情報が別々に提供され得る。しかし、広範囲且つ拡大された光学情報を同時に得ることはできなかった。
【0006】
かかる点に鑑みてなされた本開示の目的は、広範囲且つ拡大された光学情報を生成する光学装置及び撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る光学装置は、光学系と、光学素子と、プリズムとを備える。前記光学系は、入射する第1の光を所定の領域に結像させる。前記光学素子は、前記光学系の光軸と前記光学系に入射する主光線とのなす角度が前記第1の光と異なる第2の光を前記所定の領域に導く。前記プリズムは、前記光学系と前記光学素子と前記所定の領域とで囲まれる空間に位置する。
【0008】
本開示の一実施形態に係る撮像装置は、前記光学装置と、前記所定の領域と撮像領域とが重なるように配置されている撮像素子とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、広範囲且つ拡大された光学情報が生成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す構成図である。
【
図2】
図1の光学素子の変形例を示すために、光軸に垂直な方向から撮像装置を見た図である。
【
図3】
図1の光学素子の別の変形例を示すために、光軸に垂直な方向から撮像装置を見た図である。
【
図4】
図1の光学素子の更に別の変形例を示すために、光軸に垂直な方向から撮像装置を見た図である。
【
図5】
図1の光学素子の更に別の変形例を示すために、光軸に垂直な方向から撮像装置を見た図である。
【
図6】
図1の光学素子の更に別の変形例を示すために、光軸に垂直な方向から撮像装置を見た図である。
【
図7】
図1の光学素子の更に別の変形例を示すために、受光領域の法線方向から撮像装置を見た図である。
【
図8】
図1の光学素子の更に別の変形例を示すために、受光領域の法線方向から撮像装置を見た図である。
【
図9】
図1の撮像素子及び光学系の物性を説明するための図である。
【
図10】
図1の受光領域に到達する像を説明する概念図である。
【
図11】
図1の光学素子の更に別の変形例を示すために、受光領域の法線方向から撮像装置を見た図である。
【
図12】
図1の光学素子の更に別の変形例を示すために、受光領域の法線方向から撮像装置を見た図である。
【
図13】
図1の光学素子の更に別の変形例を示すために、受光領域の法線方向から撮像装置を見た図である。
【
図14】
図1の光学素子の更に別の変形例を示すために、受光領域の法線方向から撮像装置を見た図である。
【
図15】
図1の光学素子の更に別の変形例を示すために、受光領域の法線方向から撮像装置を見た図である。
【
図16】
図1の光学素子の更に別の変形例を示すために、受光領域の法線方向から撮像装置を見た図である。
【
図17】
図1の受光領域に到達する重畳画像が形成される状況を説明する概念図である。
【
図18】
図1のコントローラにより重畳画像から復元画像を生成する過程を説明するための概念図である。
【
図19】
図1のコントローラが実行する測距処理を説明するためのフローチャートである。
【
図20】第2の実施形態に係る撮像装置の概略構成例を示す図である。
【
図21】2つの撮像光学系それぞれで結像した像の重畳画像の例を示す図である。
【
図22】
図20の構成において直接画角外の物点を結像させる例を示す図である。
【
図23】第3の実施形態に係る撮像装置の概略構成例を示す図である。
【
図24】第4の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す構成図である。
【
図25】
図24の受光領域に到達する画像成分を説明するための概念図である。
【
図26】
図20の変形例における受光領域に到達する画像成分を説明するための概念図である。
【
図27】
図20の別の変形例における受光領域に到達する画像成分を説明するための概念図である。
【
図28】第5の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す構成図である。
【
図29】
図28の撮像素子における画素構造を説明するための構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の図面に示す構成要素において、同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0012】
図1に示すように、本開示の第1の実施形態に係る撮像装置10は、光学装置21と、撮像素子12と、プリズム30とを含んで構成される。撮像装置10は、更にコントローラ14を含んで構成されてよい。光学装置21は、撮像光学系11及び光学素子13を含んで構成される。撮像光学系11は、単に光学系とも称される。
【0013】
撮像光学系11は、被写体から入射する光又は光束を結像させる。被写体から入射する光又は光束は、被写体光又は被写体光束とも称される。撮像光学系11は、所定の領域paに、入射する第1の光を結像させる。第1の光は、撮像光学系11単体の画角内に位置する物点が放射する光であってよい。所定の領域paは、例えば、中心が撮像光学系11の光軸oxと交差する三次元空間上の仮想の平面又は曲面であってよい。以後、撮像光学系11単体の画角、言い換えると光学素子13を含まない構成における撮像光学系11の画角を、直接画角とも呼ぶ。撮像光学系11は、位置の異なる物点から放射する光又は光束を、単体で、言換えると光学素子13無しで、異なる像点に結像させる光学素子によって構成される。撮像光学系11を構成する光学素子は、例えば、レンズ、ミラー、絞り等である。
【0014】
撮像光学系11は、像側テレセントリックでなくてよい。言換えると、撮像光学系11を通過する任意の光束の主光線の光軸に対する角度は0°より大きくてよい。又は、撮像光学系11は、像側テレセントリックであってもよい。
【0015】
光学素子13は、撮像光学系11に入射する第2の光を、所定の領域paに導く。第2の光は、撮像光学系11の光軸oxと撮像光学系11に入射する主光線とのなす角度が第1の光と異なる。第2の光は、撮像光学系11の画角外、言換えると直接画角の外に位置する物点が放射する光であってよい。したがって、第2の光の主光線と光軸oxとのなす角度は、第1の光の主光線と光軸oxとのなす角度より大きくてよい。主光線は、撮像光学系15の開口絞りの中心を通る光線、撮像光学系15の入射瞳の中心を通る光線、及び任意の一つの物点から放射され撮像光学系15に入射する光束の中心の光線のいずれかであってよい。更に、光学素子13は、撮像光学系11を通過した第2の光を所定の領域paに結像させてよい。
【0016】
光学素子13は、第2の光を反射して所定の領域paに導くミラーであってよい。ミラーの反射面は、撮像光学系11の光軸oxに平行であってよい。又は、ミラーの反射面は、光軸oxに平行でなくてよい。
【0017】
プリズム30は、撮像光学系11と撮像素子12との間、かつ、2つの光学素子13の間に位置する。言い換えれば、プリズム30は、撮像光学系11と光学素子13と所定の領域paとで囲まれる空間に位置する。プリズム30は、例えばガラス又は樹脂等の透明材料で構成される。プリズム30は、撮像光学系11に対向する第1面31を有する。プリズム30は、光学素子13に対向する第2面32を有する。プリズム30は、撮像素子12に対向する第3面33を有する。
【0018】
撮像光学系11を通過した被写体からの光又は光束は、プリズム30の第1面31に入射し、プリズム30を通過して撮像素子12に入射する。撮像素子12は、受光領域raを有する。撮像素子12は、受光領域raに入射した光を撮像する。受光領域raは撮像領域とも称される。撮像光学系11は、プリズム30の第1面31における光の屈折を考慮して被写体光又は被写体光束を撮像素子12の受光領域raに結像させるように構成される。撮像光学系11のうち撮像素子12の最も近くに位置する光学素子は、プリズム30の第1面31と一体に構成されてよい。プリズム30は、撮像光学系11に含まれ、撮像光学系11のうち撮像素子12の最も近くに位置する光学素子として機能してもよい。
【0019】
プリズム30は、第2面32において、光学素子13を構成するミラーの反射面に接触する。プリズム30の第2面32は、光学素子13と一体に構成されてよい。つまり、プリズム30の第2面32は、光学素子13を構成するミラーの反射面として機能してよい。プリズム30の第2面32は、ミラーの反射面として機能する場合、透明部材の表面に金属又は樹脂等の高い反射率を有する材料で被膜されてよい。
【0020】
プリズム30は、第3面33において、撮像素子12のカバーの表面に接触する面を有してよい。プリズム30は、撮像素子12のカバーと一体に構成されてもよい。
【0021】
ミラーの反射面は、
図2に示すように、撮像光学系11側を向く外側傾斜の姿勢となるように、光軸oxに対して傾斜してよい。外側傾斜の姿勢では、ミラーの反射面が光軸oxと平行な構成に比べて、光学装置21全体の画角を広角化し得る。この場合でも、プリズム30は、光学素子13のミラーの反射面の間に位置してよい。
【0022】
外側傾斜の構成において、光学装置21には、撮像光学系11及びミラーである光学素子13の間に、光路長調整用の第1のレンズ22が配置されてよい。第1のレンズ22が配置されることにより、ミラーの反射面が光軸oxに平行な構成に比べて光路長が長くなることによる合焦位置の所定の領域paからのずれが低減され得る。第1のレンズ22は、ミラーが平面ミラーのように光軸oxに垂直な方向に平行な面を有するミラーである構成においては、シリンドリカルレンズであってよい。第1のレンズ22は、撮像光学系11の射出瞳の外縁を通る第1の光の主光線と所定の領域paを結ぶ線よりも光軸oxから外側に位置してよい。
【0023】
又、外側傾斜の構成において、光学装置21には、
図3に示すように、プリズム23が設けられてよい。第2の光は、ミラーである光学素子13に反射され、更にプリズム23で反射されることにより、所定の領域paに導かれてよい。プリズム23が設けられることにより、外側傾斜の構成におけるミラーと光軸oxとの傾斜角度を広角化し得る。この場合でも、プリズム30が撮像素子12の上に設置されてよい。プリズム23は、プリズム30の少なくとも一部に接触するように配置されてよい。プリズム23は、プリズム30と一体に構成されてもよい。
【0024】
外側傾斜の構成において、ミラーである光学素子13は、例えば、平面ミラー、曲面ミラー、DMD(Digital Mirror Device)、及びフレネルミラーであってよい。
【0025】
ミラーの反射面は、
図4に示すように、撮像光学系11の結像面側を向く内側傾斜の姿勢となるように、光軸oxに対して傾斜してよい。内側傾斜の姿勢では、ミラーの反射面が光軸oxと平行な構成に比べて、光学装置21全体を小型化し得る。この場合でも、プリズム30は、光学素子13のミラーの反射面の間に位置してよい。
【0026】
内側傾斜の構成において、ミラーである光学素子13は、例えば、平面ミラー、
図5に示すように曲面ミラー、
図6に示すようにDMD又はフレネルミラーであってよい。プリズム30は、
図5の光学素子13のミラーの反射面の間に位置してよい。プリズム30は、
図6のDMD又はフレネルミラーの間に位置してもよい。プリズム30は、
図6のミラーがDMDである場合、DMDの動作を阻害しないように配置され得る。
【0027】
ミラーの反射面は、後述する撮像素子12の矩形の受光領域raのいずれかの辺に平行であってよい。又は、ミラーの反射面は、
図7に示すように、受光領域raのいずれかの辺に対して交差してよい。この場合でも、プリズム30は、ミラーの反射面に沿って、又は、ミラーの反射面に接するように配置されてよい。ミラーの反射面が受光領域raのいずれかの辺に対して交差する構成においては、後述する画像分離モデルによる分離精度を向上させ得る。なお、ミラーの反射面が受光領域raのいずれかの辺に対して交差する構成においては、受光領域raの法線方向から見てミラーである光学素子13の両端から垂直に延ばした2直線の間に挟まれる領域と受光領域raとの重畳領域が最大となるように、光学素子13を配置することが好ましい。
【0028】
ミラーは、撮像光学系11の光軸ox方向から見て、当該撮像光学系11の射出瞳の外側に位置してよい。更に詳細には、反射面が射出瞳の外側に位置するように、ミラーは撮像光学系11に対して配置されてよい。又は、ミラーは、光軸ox方向から見て、射出瞳の内側に位置してよい。特に、受光領域raが瞳径より小さい構成においては、ミラーが射出瞳の内側に位置してよい。
【0029】
ミラーは、複数の平面ミラーを含んでよい。複数の平面ミラーの中の少なくとも1組に属する2つの平面ミラーは、反射面が互いに対向し平行になるように位置してよい。又は、複数の平面ミラーは2つの平面ミラーであって、
図8に示すように、反射面が互いに直交するように位置してよい。更に、反射面が互いに直交する2つの平面ミラーは、矩形である受光領域raの互いに垂直な2辺にそれぞれ平行であってよい。平面ミラーと撮像素子12の受光領域raの外縁とは、当該平面ミラーの法線方向において密接していてよい。又は、平面ミラーと受光領域raの外縁とは平面ミラーの法線方向において密接せずに隙間を有していてよい。この場合でも、プリズム30は、ミラーの反射面に沿って、又は、ミラーの反射面に接するように配置されてよい。
【0030】
図9に示すように、反射面が互いに平行な2つの平面ミラーそれぞれと、光軸oxとの間隔Hが等しくてよい。互い平行な2つの平面ミラー、撮像光学系11、及び撮像素子12は、CRA≦tan-1(H/B)を満たすように設計され、配置されてよい。CRAは、直接画角の2倍の角度における物点ppから放射される光束の撮像光学系11による主光線の光軸oxに対する角度である。Bは、撮像光学系11のバックフォーカスである。この場合でも、プリズム30は、光学素子13のミラーの反射面の間に位置してよい。
【0031】
後述するように撮像装置10内における撮像素子12の配置と上述のような構成の組合せにより、
図10に示すように、撮像素子12の受光領域raには、第1の光に対応する第1の画像成分im1が光学素子13を介することなく到達する。第1の光に対応する第1の画像成分im1とは、より具体的には、直接画角内に位置する被写体像に相当する。また、受光領域raには、第2の光に対応する第2の画像成分im2が光学素子13を介して反転して到達する。第2の光に対応する第2の画像成分im2とは、より具体的には、直接画角外に位置する被写体像に相当する。
【0032】
上述の説明では、光学素子13が、光軸oxに対して垂直な方向に平行な面を有するミラーであるが、光軸oxから見て曲線状の面を有するミラーであってよい。例えば、光学素子13は、
図11に示すように、受光領域raの法線方向から見て、矩形の受光領域raの一組の対辺に設けられる一組の曲面ミラーであってよい。当該曲面ミラーは、受光領域raの法線方向に平行であってよい。又は、光学素子13は、
図12に示すように、受光領域raの法線方向から見て、矩形の受光領域raを内包する円形の曲面状の面を有するミラーであってよい。又は、光学素子13は、
図13に示すように、受光領域raの法線方向から見て、矩形の受光領域raを内包する楕円形の曲面状の面を有するミラーであってよい。楕円形の曲面状の面を有するミラーは、受光領域raが正方形を除く矩形である構成において好ましい。又は、光学素子13は、
図14に示すように、受光領域raの法線方向から見て、矩形の受光領域raに内包される円形の曲面状の面を有するミラーであってよい。又は、光学素子13は、
図15に示すように、受光領域raの法線方向から見て、矩形の受光領域raに内包される楕円形の曲面状の面を有するミラーであってよい。光学素子13が矩形の受光領域raに内包される曲面状の面を有するミラーである構成においては、受光領域raの法線方向から見て、受光領域raとミラーとの間の隙間が排除され得る。このような構成においては、隙間が排除されることにより、隙間を有する構成に比較して、後述する重畳画像における光学情報の連続性を向上させ得る。ミラーが曲線状の面を有する場合であっても、プリズム30は、ミラーの反射面に沿って、又は、ミラーの反射面に接するように配置されてよい。プリズム30の外形は、ミラーの反射面の形状に合わせた形状であってよい。
【0033】
撮像素子12は、受光領域ra内に結像する像を撮像する。撮像素子12は、撮像装置10において、光学装置21の所定の領域paと受光領域raとが重なるように配置されていてよい。したがって、撮像素子12の受光領域raは直接画角に対応してよい。直接画角は、光学素子13を介することなく受光領域ra内に結像する物点の範囲に相当する画角であってよい。受光領域raには、撮像光学系11の直接画角内から撮像光学系11に入射する第1の光である光束の少なくとも一部が結像してよい。又、受光領域raには、撮像光学系11の直接画角の外から撮像光学系11に入射し光学素子13を介する第2の光である光束の少なくとも一部が結像してよい。
【0034】
撮像素子12は、可視光、赤外線及び紫外線等の不可視光による像を撮像可能であってよい。撮像素子12は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等である。撮像素子12は、カラーイメージセンサであってよい。言換えると、撮像素子12の受光領域raに配置される複数の画素は、例えばRGB(Red, Green and Blue)のカラーフィルタによって受光領域ra内で均等に分布するように覆われてよい。また、撮像素子12の受光領域raは、カバーで覆われてよい。カバーは、ガラス又は樹脂等の透明部材として構成されてよい。撮像素子12は、撮像により受光する画像に相当する画像信号を生成する。撮像素子12は、30fps(frames per second)等の所定のフレームレートで画像信号を生成してよい。
【0035】
撮像素子12では、光学素子13が設けられる側の受光領域raの外縁は、撮像光学系11の射出瞳の外縁よりも外側に位置してよい。射出瞳の外縁より外側とは、撮像光学系11の光軸oxを基準として外側であることを意味する。前述のように、受光領域raは、矩形であってよい。
【0036】
撮像装置10には、複数の撮像素子12が設けられてよい。複数の撮像素子12が設けられる構成において、
図16に示すように、互いに隣接する2つの撮像素子12の間に光学素子13が設けられてよい。互いに隣接する2つの撮像素子12の間に光学素子13が設けられることにより、光学素子13が設けられない構成において隣接する2つの撮像素子12の受光領域raの間に生じる隙間に結像する被写体光又は被写体光束が少なくとも一方の撮像素子12において撮像され得る。プリズム30は、光学素子13が設けられている撮像素子12の上に、ミラーの反射面に沿って、又は、ミラーの反射面に接するように配置されてよい。プリズム30は、光学素子13が設けられていない撮像素子12の上にも配置されてよい。プリズム30は、光学素子13が設けられている撮像素子12と、光学素子13が設けられていない撮像素子12とにまたがって配置されてもよい。
【0037】
又、上述のような構成により、
図17に示すように、第1の画像成分im1と、光学素子13がミラーである構成において反転した第2の画像成分im2とが受光領域raにおいて重畳する。したがって、撮像素子12は、第1の画像成分im1と、光学素子13がミラーである構成において反転した第2の画像成分im2との重畳画像olimを撮像する。
【0038】
コントローラ14は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路又はこれらの組み合わせを含んで構成される。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等であってもよい。コントローラ14は、撮像素子12から取得する画像信号に画像処理を施してよい。
【0039】
図18に示すように、コントローラ14は、画像処理により、画像信号に相当する重畳画像olimを、第1の画像成分im1と、第2の画像成分im2とに分離する画像処理を施してよい。コントローラ14は、例えば、独立成分分析、ウェーブレット法、画像分離モデル等の画像処理方法の適用により、重畳画像olimを分離する。画像分離モデルは、例えば、事前に、複数の画像を重ねた重畳画像を作成し、当該重畳画像に対して、複数の画像を正解として学習させることにより構築されるモデルである。画像分離モデルは、Encoder-Decoderモデルのように画像を生成するgeneratorと、生成された画像が偽画像かどうか判定するdiscriminatorとを競わせて、その関係を反映したペア画像を生成するPix-to-Pixを適用したモデルであってよい。コントローラ14は、分離した第1の画像成分im1及び第2の画像成分im2を結合させることにより、復元画像rcimを生成してよい。
【0040】
コントローラ14は、復元画像rcimを用いて、撮像装置10周辺において撮像された被写体の測距を行ってよい。コントローラ14は、例えば、DFD(Depth From Defocus)に基づいて、復元画像rcimを用いて測距を行う。コントローラ14は、運動視差法(SLAM:Simultaneous Localization and Mapping, Motion Stereo)、Deep Learningに基づく分離モデル、足元測距法等に基づいて、復元画像rcimを用いた測距を行ってよい。足元測距法は、被写体像の下端が地面に位置することを前提として画像座標に基づいて3次元座標を算出する方法である。
【0041】
コントローラ14は、復元画像rcimの各アドレスに対応する距離に基づいて、距離画像を生成してよい。距離画像は、各画素の画素値が距離に対応した画像である。コントローラ14は、距離画像を外部機器に付与してよい。
【0042】
次に、本実施形態においてコントローラ14が実行する、測距処理について、
図19のフローチャートを用いて説明する。測距処理は、撮像素子12から画像信号を取得するたびに開始する。
【0043】
ステップS100において、コントローラ14は、取得した画像信号に相当する重畳画像olimから第2の画像成分im2を分離する。分離後、プロセスはステップS101に進む。
【0044】
ステップS101では、コントローラ14は、重畳画像olimからステップS100において分離した第2の画像成分im2を減算することにより、第1の画像成分im1を生成する。第1の画像成分im1の生成後、プロセスはステップS102に進む。
【0045】
ステップS102では、コントローラ14は、ステップS100において分離した第2の画像成分im2と、ステップS101において生成した第1の画像成分im1とを結合させることにより復元画像rcimを生成する。復元画像rcimの生成後、プロセスはステップS103に進む。
【0046】
ステップS103では、コントローラ14は、ステップS102において生成した復元画像rcimを用いて、復元画像rcimに写る各被写体に対して測距を行う。測距後、プロセスはステップS104に進む。
【0047】
ステップS104では、コントローラ14は、ステップS103において算出した距離と当該距離に対応する復元画像rcimの位置とに基づいて、距離画像を生成する。又、コントローラ14は、距離画像を外部機器に付与する。距離画像の生成後、測距処理は終了する。
【0048】
以上のような構成の第1の実施形態の光学装置21は、入射する第1の光を所定の領域paに結像させる撮像光学系11と、撮像光学系11の光軸oxと撮像光学系11に入射する主光線とのなす角度が第1の光と異なる第2の光を所定の領域paに導く光学素子13を備える。このような構成により、光学装置21は、焦点距離が比較的長い撮像光学系11を採用しながら、当該焦点距離に対応する画角より広角の範囲の光学情報を含む画像を所定の領域raに導き得る。したがって、光学装置21は、広範囲かつ拡大された光学情報を生成し得る。
【0049】
また、第1の実施形態の撮像装置10では、光学素子13は第2の光を反射して所定の領域paに導くミラーであり、ミラーの反射面が光軸ox、及び撮像素子12の矩形の受光領域raのいずれかの辺に平行である。このような構成により、撮像装置10では、ミラーを介して受光領域raに到達する像の歪む方向は1方向以下になる。したがって、撮像装置10は、撮像した画像に含まれるミラーによる反射光成分の歪を除去する画像処理の負荷を低減し得るので、反射光成分の再現性を向上させ得る。
【0050】
また、第1の実施形態の撮像装置10は、プリズム30を備える。プリズム30の第2面32は、光学素子13の反射面に接触する、又は、光学素子13の反射面と一体に構成される。このような構成により、光学素子13の反射面が撮像光学系11に対して動きにくい。つまり、光学素子13の位置が安定する。その結果、振動又は衝撃等による光学素子13のズレの影響が低減される。
【0051】
また、第1の実施形態の撮像装置10では、ミラーは複数の平面ミラーを含み、複数の平面ミラーの少なくとも1組の2つの平面ミラーは反射面が互いに平行になるように位置する。このような構成により、撮像装置10は、光軸oxを中心として、直接画角から両側に拡大させた光学情報を取得し得る。
【0052】
また、第1の実施形態の撮像装置10では、光軸oxと互いに平行な2つの平面ミラーの反射面それぞれとの間隔Hが等しく、且つ直接画角の2倍の角度における物点ppからの光束の主光線の角度CRAがCRA≦tan-1(H/B)を満たす。このような構成により、撮像装置10では、一方の平面ミラーからの反射光成分と、他方の平面ミラーからの反射光成分との重畳による3層の画像成分の重畳が防がれ、後の画像処理による画像成分の分離精度を向上させ得る。
【0053】
また、第1の実施形態の撮像装置10では、平面ミラーと撮像素子12の受光領域raの外縁とは、当該平面ミラーの法線方向において密接している。当該法線方向において、平面ミラーと撮像素子12の受光領域raとの間に隙間が生じていると、当該隙間において結像する被写体の光学情報は失われる。このような事象に対して、上述の構成を有する撮像装置10は、光学情報の喪失を防止する。
【0054】
また、第1の実施形態の撮像装置10では、ミラーは光軸ox方向から見て、撮像光学系11の射出瞳の外側に位置する。このような構成により、撮像装置10は、射出瞳の端部近傍を通過する光又は光束をミラーに入射させ得る。したがって、撮像装置10は、射出瞳近傍を通過する光又は光束の一部のケラレによる光量の低下を低減させ得る。
【0055】
また、第1の実施形態の撮像装置10では、撮像光学系11における任意の光束の主光線の光軸oxに対する角度が0°より大きい。このような構成により、撮像装置10では、撮像光学系11は像側テレセントリックでないので、直接画角より広い角度の物点からの光又は光束を光学素子13に入射させ得る。したがって、撮像装置10は、直接画角から広角化させた範囲の光学情報を確実に生成させ得る。
【0056】
また、第1の実施形態の撮像装置10では、画像信号に相当する画像を、第1の光に対応する第1の画像成分im1と、第2の光に対応する第2の画像成分im2とに分離するコントローラ14を備える。このような構成により、撮像装置10は、複数の画像成分が重畳した重畳画像olimの重畳を解消させた画像を生成し得る。
【0057】
次に、本開示の第2の実施形態に係る撮像装置について説明する。第2の実施形態では、1つの撮像素子12に対して、2つの撮像光学系11が配置される点で、第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0058】
第2の実施形態に係る撮像装置は、2つの撮像光学系11のそれぞれによって対象物の視差像を結像させ、撮像素子12によって視差像を撮像することによって、対象物の視差画像を生成する。対象物の視差画像は、対象物の各物点までの距離を算出するために用いられる。
【0059】
図20に示すように、第2の実施形態に係る撮像装置102は、撮像光学系11として、第1撮像光学系11Aと第2撮像光学系11Bとを備える。第1撮像光学系11Aは、第1光学系とも称される。第2撮像光学系11Bは、第2光学系とも称される。第1光学系と第2光学系とは並列して位置してよい。撮像装置102は、プリズム30と光学素子13とを更に備える。プリズム30は、第1の実施形態に係る撮像装置10におけるプリズム30と同一又は類似に構成されてよい。光学素子13は、第1の実施形態に係る撮像装置10における光学素子13と同一又は類似に構成されてよい。
【0060】
第1撮像光学系11A及び第2撮像光学系11Bは、物点から入射する光又は光束を撮像素子12の受光領域raに結像させる。ここで、撮像装置102が物点pp1及びpp2を両端に有する対象物を撮像すると仮定する。この場合、第1撮像光学系11Aは、物点pp1を受光領域raの上の結像点ip1に結像し、対象物の他の部分を結像点ip1よりも左側の領域に結像する。第2撮像光学系11Bは、物点pp2を受光領域raの上の結像点ip2に結像し、対象物の他の部分を結像点ip2よりも右側の領域に結像する。その結果、第1撮像光学系11Aが対象物を結像した像と、第2撮像光学系11Bが対象物を結像した像とは、互いに受光領域raの中央の領域で重畳する。
【0061】
図21に示すように、第1撮像光学系11Aが対象物を結像した像は、第1像imAとして表される。第2撮像光学系11Bが対象物を結像した像は、第2像imBとして表される。第1像imAは、受光領域raの上で第2像imBと重畳しない第1非重畳像im_A1と、受光領域raの上で第2像imBと重畳する第1重畳像im_A2とを含む。第2像imBは、受光領域raの上で第1像imAと重畳しない第2非重畳像im_B1と、受光領域raの上で第1像imAと重畳する第2重畳像im_B2とを含む。
【0062】
撮像素子12は、第1非重畳像im_A1と、第2非重畳像im_B1と、第1重畳像im_A2と第2重畳像im_B2とが重畳した像とを撮像し、重畳画像olimを生成する。
【0063】
撮像装置102は、コントローラ14を更に備えてよい。コントローラ14は、重畳画像olimのうち第1重畳像im_A2と第2重畳像im_B2とが重畳した像を分離し、重畳画像olimから第1像imAと第2像imBとを生成してよい。
【0064】
図22に示すように、第1撮像光学系11Aによって物点pp2を結像したときの結像点ip2は、受光領域raの外に位置することがある。つまり、物点pp2が第1撮像光学系11Aの直接画角外に位置することがある。この場合でも、結像点ip2に結像される光又は光束は、光学素子13によって受光領域raの内側に反射されて、受光領域raの上に重畳して結像される。その結果、重畳画像olimは、第1像imAにおいて直接画角内の物点の像と直接画角外の物点の像を重畳した像を含む。また、第2撮像光学系11Bによって物点pp1を結像したときの結像点ip1は、受光領域raの外に位置することがある。つまり、物点pp1が第2撮像光学系11Bの直接画角外に位置することがある。この場合でも、結像点ip1に結像される光又は光束は、光学素子13によって受光領域raの内側に反射されて、受光領域raの上に重畳して結像される。その結果、重畳画像olimは、第2像imBにおいて直接画角内の物点の像と直接画角外の物点の像を重畳した像を含む。
【0065】
コントローラ14は、重畳画像olimのうち第1像imA及び第2像imBそれぞれについて、直接画角内の物点の像と直接画角外の物点の像とを分離して直接画角外の物点まで拡張した画像を生成してよい。
【0066】
以上述べてきたように、第2の実施形態に係る撮像装置102は、撮像素子12の受光領域raの上で第1像imAと第2像imBとが重畳した像を撮像し、重畳画像olimから第1像imAと第2像imBとを分離できる。このようにすることで、撮像装置102は、1つの撮像素子12で、2枚の画像で構成される視差画像を撮像できる。
【0067】
また、撮像装置102は、視差画像を構成する2枚の画像が互いに重複するように撮像することによって、単に、受光領域raを2つの領域に分けてそれぞれの領域で視差画像を撮像する場合と比較して、広い画角で視差画像を撮像できる。また、撮像装置102は、撮像素子12の受光領域raに対応する撮像光学系11の直接画角の外から当該撮像光学系11に入射する光又は光束の少なくとも一部を当該受光領域ra内に結像させる光学素子13を備える。このような構成により、撮像装置10は、焦点距離が比較的長い撮像光学系11を採用しながら、当該焦点距離に対応する画角より広角の範囲の光学情報を含む画像を結像し得る。したがって、撮像装置10は、広範囲かつ拡大された光学情報を生成し得る。
【0068】
視差画像に基づく測距において、基線長が大きいほど距離データの分解能及び精度が高められる。基線長は、視差画像を構成する2枚の画像を撮影する装置の間隔に対応する。測距データを生成するための視差画像を撮影する方法として、以下の比較例に係る方法が考えられる。
【0069】
第1の比較例としてステレオカメラを用いる方法が考えられる。ステレオカメラは、平行に配置した2つのカメラで三角測量を行う方式である。ステレオカメラにおいて、2つのカメラの間隔が基線長に対応する。したがって、ステレオカメラの基線長を長くすることによって距離データの分解能及び精度が高められ得る。また、2つのカメラそれぞれの焦点距離を設定できることによって、撮影画像が広角化され得る。しかし、ステレオカメラにおいて基線長を長くする場合、2つのカメラを離して配置することによって装置が大きくなる。また、2つのカメラの校正が必要になる。
【0070】
第2の比較例として瞳分割法が考えられる。瞳分割法は、カメラの瞳を分割することによって、レンズ内でステレオカメラを構成する方式である。瞳分割法に係る装置は、瞳が1つで構成できることによって、ステレオカメラと比較して小型化され得る。しかし、基線長が瞳径で制限される。その結果、基線長を長くすることが難しい。したがって、距離データの分解能及び精度を高めることが難しい。ここで、瞳分割法において、距離データの分解能及び精度を高めるために、焦点距離を長くする方法が考えられる。しかし、焦点距離を長くすることによって撮像画像の広角化が難しくなる。つまり、基線長が制限されることによって、撮像画像の広角化又は距離データの分解能及び精度の向上のいずれかが難しくなる。
【0071】
第3の比較例として2つの瞳の入力を重畳して1つの撮像素子で撮像する方法が考えられる。この方法に係る装置は、ステレオカメラのように基線長を長くしたり撮像画像を広角化したりできるとともに、ステレオカメラより少ない撮像素子で構成され得る。しかし、2つの瞳の入力を重畳するために、光学系が特殊な光学設計を必要とする。また、光学系の部品点数が増大する。その結果、小型化するためにコストがかかる。
【0072】
一方で、第2の実施形態に係る撮像装置102は、1つの撮像素子12によって2枚の画像を撮像できることによって、撮像画像の広角化を実現しつつ、第1の比較例に係るステレオカメラよりも小型化され得る。また、第2の実施形態に係る撮像装置102は、1つの撮像素子12に対して第1撮像光学系11Aと第2撮像光学系11Bとを備えることによって、第2の比較例に係る瞳分割法よりも基線長を長くでき、距離データの分解能及び精度を向上できる。また、第2の実施形態に係る撮像装置102は、撮像素子12の受光領域raの上で重畳して結像させた像を撮像した重畳画像から、重畳されたそれぞれの像に対応する画像を分離できることによって、第3の比較例に係る方法よりも簡便かつ小型に構成され得る。
【0073】
以上述べてきたように、第2の実施形態に係る撮像装置102は、上述した比較例に対して、簡便かつ小型の構成として実現されつつ、撮像画像の広角化並びに距離データの分解能及び精度の向上を実現し得る。
【0074】
図23に示すように、第3の実施形態に係る撮像装置103は、第1撮像光学系11Aに対応する第1プリズム30Aと、第2撮像光学系11Bに対応する第2プリズム30Bとを備える。撮像装置103は、第1プリズム30Aの側面に位置する第1光学素子13Aと、第2プリズム30Bの側面に位置する第2光学素子13Bとを備える。撮像装置103において、撮像素子12の受光領域raは、第1プリズム30Aが位置する第1受光領域raAと、第2プリズム30Bが位置する第2受光領域raBとに分けられる。
【0075】
第1撮像光学系11Aは、物点pp3から入射する光又は光束を第1受光領域raAの上の第1結像点ipAで結像させる。第1撮像光学系11Aは、他の物点から入射する光又は光束を第1受光領域raAの外で結像させることがある。第1受光領域raAの外で結像される光又は光束は、第1光学素子13Aによって反射され、第1受光領域raAの上の点で結像される。つまり、第1撮像光学系11Aと第1プリズム30Aと第1光学素子13Aとを組み合わせた構成は、第1撮像光学系11Aの直接画角外の物点の像も含めて、対象物を第1受光領域raAの上に結像させ得る。
【0076】
第2撮像光学系11Bは、物点pp3から入射する光又は光束を第2受光領域raBの上の第2結像点ipBで結像させる。第2撮像光学系11Bは、他の物点から入射する光又は光束を第2受光領域raBの外で結像させることがある。第2受光領域raBの外で結像される光又は光束は、第2光学素子13Bによって反射され、第2受光領域raBの上の点で結像される。つまり、第2撮像光学系11Bと第2プリズム30Bと第2光学素子13Bとを組み合わせた構成は、第2撮像光学系11Bの直接画角外の物点の像も含めて、対象物を第2受光領域raBの上に結像させ得る。
【0077】
第3の実施形態に係る撮像装置103は、1つの撮像光学系11と1つのプリズム30とプリズム30の側面に位置する光学素子13とを組み合わせた構成を2組有する。このように2組の同一の構成を組み合わせた撮像装置103によれば、1組の構成が汎用的に適用され得ることによって、製造工数又はコストが低減され得る。
【0078】
第3の実施形態に係る撮像装置103において、撮像素子12は、第1撮像光学系11Aで結像される像と、第2撮像光学系11Bで結像される像とを分離して撮像する。この場合、重畳画像olimは、第1像imA及び第2像imBそれぞれの中だけで直接画角内の物点の像と直接画角外の物点の像とが重畳した像を含む。その結果、第1の実施形態に係る撮像装置10で重畳画像olimから重畳した像を分離するために用いられた、画像分離モデル等の手法がそのまま適用され得る。
【0079】
第3の実施形態に係る撮像装置103において、第1光学素子13Aが第1プリズム30Aの側面に反射膜として形成され、かつ、第2光学素子13Bが第2プリズム30Bの側面に反射膜として形成され得る。この場合、撮像素子12の受光領域raにおいて、第1光学素子13A及び第2光学素子13Bが占める面積が小さくなる。つまり、第1受光領域raA及び第2受光領域raBのいずれにも属さない受光できない領域の面積が小さくなる。逆に言えば、受光領域raで撮像できる像の面積が広げられ得る。その結果、撮像装置103の画角が広げられ得る。
【0080】
次に、本開示の第4の実施形態に係る撮像装置について説明する。第4の実施形態では、光学素子の構成及びコントローラによる分離処理が第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第4の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0081】
図24に示すように、第4の実施形態に係る撮像装置100は、第1の実施形態と類似して、撮像光学系11、撮像素子12、プリズム30、及び光学素子130を含んで構成される。撮像装置100は、更にコントローラ14を含んで構成されてよい。第4の実施形態における撮像光学系11及び撮像素子12の構造及び機能は、第1の実施形態と同じである。第4の実施形態におけるコントローラ14の構造は、第1の実施形態と同じである。
【0082】
第4の実施形態において、光学素子130は、第1の実施形態と類似して、撮像光学系11の直接画角の外から撮像光学系11に入射する光又は光束の少なくとも一部を撮像素子12の受光領域ra内に結像させる。第4の実施形態において、光学素子130は、第1の実施形態と異なり、入射する光又は光束に、光学的処理を施して出射する。
【0083】
光学的処理は、例えば、入射する光又は光束の帯域の変化である。具体的には、光学素子130は、入射する光又は光束の中で、撮像素子12を覆う複数のカラーフィルタの中の一部のカラーフィルタに対応する帯域の光を減衰させる。したがって、光学素子130は、当該帯域の光を除く帯域の光を受光領域ra内に結像させる。
【0084】
光学素子130は、減衰させる色の帯域とは他の帯域の光を反射するミラーであってよい。光学素子130は、例えば、R光を減衰させ、GB光を反射する。
【0085】
上述のような構成により、
図25に示すように、第4の実施形態においては、受光領域raには、直接画角内の物点に対応し且つ全カラーフィルタの色に対応した第1のR画像成分im1r、第1のG画像成分im1g、及び第1のB画像成分im1bが光学素子130を介することなく到達する。また、受光領域raには、直接画角外の物点に対応し且つ減衰させた色成分以外の色に対応した第2のG画像成分im2g及び第2のB画像成分im2bが光学素子130を介して到達する。
【0086】
または、光学的処理は、例えば、入射する光又は光束への入射位置に応じた明暗差パターンの付加である。具体的には、
図26に示すように、光学素子130は、第1の領域190及び第2の領域200が、例えば、市松状に分布する表面を有する。第1の領域190は、入射する光の輝度を第1の減衰率で減衰して出射させる。第1の減衰率は、0%超且つ100%未満である。第2の領域200は、入射する光の輝度を第2の減衰率で減衰して出射させる。第2の減衰率は、0%以上且つ第1の減衰率未満である。したがって、光学素子130は、入射する光又は光束に、第1の領域190及び第2の領域200のパターンに応じた明暗差を付与して、受光領域ra内に結像させる。
【0087】
または、光学的処理は、例えば、入射する光又は光束が受光領域ra内に結像させる像への歪みの付与である。具体的には、
図27に示すように、光学素子130は、光軸と平行な線を軸とした円筒状の曲面を有するミラーであり、入射する光又は光束を反射して歪が付与された像を受光領域ra内に結像させる。より具体的には、光学素子130は、光軸に垂直な平面によるミラーである光学素子の断面の円弧の両端を結ぶ方向に拡大するように歪んだ画像である。
【0088】
第4の実施形態において、コントローラ14は、第1の実施形態に類似して、画像処理により、画像信号に相当する重畳画像olimを、第1の画像成分im1と、第2の画像成分im2とに分離する画像処理を施してよい。第4の実施形態においては、コントローラ14は、画像分離モデルを用いた画像処理方法により重畳画像olimを分離する。
【0089】
第4の実施形態における画像分離モデルについて、以下に説明する。画像分離モデルは、事前に、光学的処理を施さない第1画像と、当該第1画像とは別の第2画像に対して光学素子130が行う光学的処理に相当する画像処理を施して第1画像に重畳させた重畳画像とを生成し、重畳画像に対して当該第1画像及び第2画像を正解として学習することにより構築されるモデルである。
【0090】
光学的処理が帯域の変化である構成において、第1画像は任意の画像のRGB画像成分である。又、当該構成において、第2画像は当該任意の画像とは別の画像のGB画像成分である。光学的処理が帯域の変化である構成においては、任意の画像のR画像成分も重畳画像に加えて、学習に用いられ得る。
【0091】
光学的処理が明暗差パターンの付加である構成において、第1画像は任意の画像である。また、当該構成において、第2画像は当該任意の画像とは別の画像の輝度を、光学素子130の明暗差パターンで変化させた画像である。
【0092】
光学的処理が歪の付与である構成において、第1画像は任意の画像である。また、当該構成において、第2画像は当該任意の画像とは別の画像を、光学素子130と同じ曲面のミラーで反射させた像である。
【0093】
第4の実施形態において、コントローラ14は、第1の実施形態と同じく、分離した第1の画像成分im1及び第2の画像成分im2を結合させることにより、復元画像rcimを生成してよい。第4の実施形態において、コントローラ14は、第1の実施形態と同じく、復元画像rcimを用いて、撮像装置100周辺において撮像された被写体の測距を行ってよい。第4の実施形態において、コントローラ14は、第1の実施形態と同じく、復元画像rcimの各アドレスに対応する距離に基づいて、距離画像を生成し、外部機器に付与してよい。
【0094】
以上のような構成の第4の実施形態の光学装置210も、入射する第1の光を所定の領域paに結像させる撮像光学系11と、撮像光学系11の光軸oxと撮像光学系11に入射する主光線とのなす角度が第1の光と異なる第2の光を所定の領域paに導く光学素子130を備える。したがって、撮像装置100も、広範囲かつ拡大された光学情報を生成し得る。
【0095】
また、第4の実施形態の撮像装置100でも、光学素子130は第2の光を反射して所定の領域pa内に結像させるミラーであり、ミラーの反射面が光軸ox、及び撮像素子12の矩形の受光領域raのいずれかの辺に平行である。したがって、撮像装置100も、撮像した画像に含まれるミラーによる反射光成分の歪を除去する画像処理の負荷を低減し得るので、反射光成分の再現性を向上させ得る。
【0096】
また、第4の実施形態の撮像装置100でも、ミラーは複数の平面ミラーを含み、複数の平面ミラーの少なくとも1組の2つの平面ミラーは反射面が互いに平行になるように位置する。したがって、撮像装置100も、光軸oxを中心として、直接画角から両側に拡大させた光学情報を取得し得る。
【0097】
また、第4の実施形態の撮像装置100でも、光軸oxと互いに平行な2つの平面ミラーの反射面それぞれとの間隔Hが等しく、且つ直接画角の2倍の角度における物点ppからの光束の主光線の角度CRAがCRA≦tan-1(H/B)を満たす。したがって、撮像装置100でも、一方の平面ミラーからの反射光成分と、他方の平面ミラーからの反射光成分との重畳による3層の画像成分の重畳が防がれ、後の画像処理による画像成分の分離精度を向上させ得る。
【0098】
また、第4の実施形態の撮像装置100でも、平面ミラーと撮像素子12の受光領域raの外縁とは、当該平面ミラーの法線方向において密接している。したがって、撮像装置100も、光学情報の喪失を防止する。
【0099】
また、第4の実施形態の撮像装置100でも、ミラーは光軸ox方向から見て、撮像光学系11の射出瞳の外側に位置する。したがって、撮像装置100も、射出瞳近傍を通過する光又は光束の一部のケラレによる光量の低下を低減させ得る。
【0100】
また、第4の実施形態の撮像装置100でも、撮像光学系11における任意の光束の主光線の光軸oxに対する角度が0°より大きい。したがって、撮像装置100も、直接画角から広角化させた範囲の光学情報を確実に生成させ得る。
【0101】
また、第4の実施形態の撮像装置100でも、画像信号に相当する画像を、第1の光に対応する第1の画像成分im1と、第2の光に対応する第2の画像成分im2とに分離するコントローラ14を備える。したがって、撮像装置100も、複数の画像成分が重畳した重畳画像olimの重畳を解消させた画像を生成し得る。
【0102】
また、第4の実施形態の撮像装置100では、光学素子130は、当該光学素子130に入射する光又は光束に光学的処理を施して出射する。このような構成により、撮像装置100では、分離される画像成分に当該光学的処理に対応する光学的特徴が付与される。したがって、撮像装置100では、分離精度を向上させるように学習された画像分離モデルが構築され得る。それゆえ、撮像装置100では、復元画像の復元精度を向上し得る。
【0103】
次に、本開示の第5の実施形態に係る撮像装置について説明する。第5の実施形態では、撮像素子の構成及びコントローラによる分離処理が第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第5の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0104】
図28に示すように、第5の実施形態に係る撮像装置101は、第1の実施形態と類似して、撮像光学系11、撮像素子121、プリズム30、及び光学素子13を含んで構成される。撮像装置101は、更にコントローラ14を含んで構成されてよい。第5の実施形態における撮像光学系11及び光学素子13の構造及び機能は、第1の実施形態と同じである。第5の実施形態におけるコントローラ14の構造は、第1の実施形態と同じである。
【0105】
第5の実施形態において、撮像素子121は、第1の実施形態に類似して、撮像光学系11を介して受光領域ra内に結像する像を撮像する。撮像素子121は、第1の実施形態に類似して、可視光、赤外線及び紫外線等の不可視光による像を撮像可能であってよい。撮像素子121は、カラーイメージセンサであってよい。撮像素子121は、第1の実施形態に類似して、撮像により受光する画像に相当する画像信号を生成する。撮像素子121は、第1の実施形態に類似して、30fps等の所定のフレームレートで画像信号を生成してよい。撮像素子121では、第1の実施形態と同じく、光学素子13が設けられる側の受光領域raの外縁は、撮像光学系11の射出瞳の外縁よりも外側に位置してよい。受光領域raは、第1の実施形態と同じく、矩形であってよい。
【0106】
第5の実施形態において、撮像素子121は、第1の実施形態と異なり、デュアルピクセルタイプのイメージセンサであってよい。
図29に示すように、デュアルピクセルタイプのイメージセンサである撮像素子121は、各マイクロレンズ151が覆う画素161に第1のPD(Photo Diode)171及び第2のPD181が設けられており、光又は光束の入射方向によりいずれかのPDにのみ入射可能な構造を有するイメージセンサである。例えば、各画素161において、第1のPD171には光軸ox側に傾斜した方向からの光又は光束のみが入射可能であり、第2のPD181には光学素子13側に傾斜した方向からの光又は光束のみが入射可能である。
【0107】
上述のような構成により、受光領域raにおける第1のPD171には、第1の光に対応する第1の画像成分im1が光学素子13を介することなく到達する。また、受光領域raにおける第2のPD181には、第2の光に対応する第2の画像成分im2が光学素子13を介して反転して到達する。
【0108】
第5の実施形態において、コントローラ14は、第1の実施形態に類似して、画像処理により、画像信号に相当する重畳画像olimを、第1の画像成分im1と、第2の画像成分im2とに分離する画像処理を施してよい。第5の実施形態においては、コントローラ14は、第1のPD171が生成する信号のみに基づいて第1の画像成分im1を生成してよい。第1のPD171が生成する信号のみに基づいてとは、第2のPD181が生成する信号を用いないことを規定しており、例えば同期信号等のように第2のPD181の出力する信号とは無関係の信号を用いることを含んでよい。また、第5の実施形態においては、コントローラ14は、第2のPD181が生成する信号のみに基づいて反転した第2の画像成分im2を生成してよい。第2のPD181が生成する信号のみに基づくという意味は、第1のPD171が生成する信号のみに基づくと類似した意味である。
【0109】
第5の実施形態において、コントローラ14は、第1の実施形態と同じく、分離した第1の画像成分im1及び第2の画像成分im2を結合させることにより、復元画像rcimを生成してよい。第5の実施形態において、コントローラ14は、第1の実施形態と同じく、復元画像rcimを用いて、撮像装置101周辺において撮像された被写体の測距を行ってよい。第5の実施形態において、コントローラ14は、第1の実施形態と同じく、復元画像rcimの各アドレスに対応する距離に基づいて、距離画像を生成し、外部機器に付与してよい。
【0110】
以上のような構成の第5の実施形態の撮像装置101でも、光学素子13は第2の光を反射して所定の領域pa内に導くミラーであり、ミラーの反射面が光軸ox、及び撮像素子121の矩形の受光領域raのいずれかの辺に平行である。したがって、撮像装置101も、撮像した画像に含まれるミラーによる反射光成分の歪を除去する画像処理の負荷を低減し得るので、反射光成分の再現性を向上させ得る。
【0111】
また、第5の実施形態の撮像装置101でも、ミラーは複数の平面ミラーを含み、複数の平面ミラーの少なくとも1組の2つの平面ミラーは反射面が互いに平行になるように位置する。したがって、撮像装置101も、光軸oxを中心として、直接画角から両側に拡大させた光学情報を取得し得る。
【0112】
また、第5の実施形態の撮像装置101でも、光軸oxと互いに平行な2つの平面ミラーの反射面それぞれとの間隔Hが等しく、且つ直接画角の2倍の角度における物点ppからの光束の主光線の角度CRAがCRA≦tan-1(H/B)を満たす。したがって、撮像装置101でも、一方の平面ミラーからの反射光成分と、他方の平面ミラーからの反射光成分との重畳による3層の画像成分の重畳が防がれ、後の画像処理による画像成分の分離精度を向上させ得る。
【0113】
また、第5の実施形態の撮像装置101でも、平面ミラーと撮像素子121の受光領域raの外縁とは、当該平面ミラーの法線方向において密接している。したがって、撮像装置101も、光学情報の喪失を防止する。
【0114】
また、第5の実施形態の撮像装置101でも、ミラーは光軸ox方向から見て、撮像光学系11の射出瞳の外側に位置する。したがって、撮像装置101も、射出瞳近傍を通過する光又は光束の一部のケラレによる光量の低下を低減させ得る。
【0115】
また、第5の実施形態の撮像装置101でも、撮像光学系11における任意の光束の主光線の光軸oxに対する角度が0°より大きい。したがって、撮像装置101も、直接画角から広角化させた範囲の光学情報を確実に生成させ得る。
【0116】
また、第5の実施形態の撮像装置101でも、画像信号に相当する画像を、第1の光に対応する第1の画像成分im1と、第2の光に対応する第2の画像成分im2とに分離するコントローラ14を備える。したがって、撮像装置101も、複数の画像成分が重畳した重畳画像olimの重畳を解消させた画像を生成し得る。
【0117】
本開示に係る実施形態について説明する図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。
【0118】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが可能であることに注意されたい。従って、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0119】
本開示に記載された構成要件の全て、及び/又は、開示された全ての方法、又は、処理の全てのステップについては、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。また、本開示に記載された特徴の各々は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、または類似する目的のために働く代替の特徴に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一、又は、均等となる特徴の一例にすぎない。
【0120】
さらに、本開示に係る実施形態は、上述した実施形態のいずれの具体的構成にも制限されるものではない。本開示に係る実施形態は、本開示に記載された全ての新規な特徴、又は、それらの組合せ、あるいは記載された全ての新規な方法、又は、処理のステップ、又は、それらの組合せに拡張することができる。
【0121】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1の画像成分は、第2の画像成分と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【0122】
一実施形態において、(1)光学装置は、入射する第1の光を所定の領域に結像させる光学系と、前記光学系の光軸と前記光学系に入射する主光線とのなす角度が前記第1の光と異なる第2の光を前記所定の領域に導く光学素子と、前記光学系と前記光学素子と前記所定の領域とで囲まれる空間に位置するプリズムとを備える。
【0123】
(2)上記(1)の光学装置において、前記光学素子は、前記プリズムの少なくとも1つの面として構成される反射面を含んでよい。
【0124】
(3)上記(1)又は(2)の光学装置において、前記第2の光の主光線と前記光軸とのなす角度は、前記第1の光の主光線と前記光軸とのなす角度より大きくてよい。
【0125】
(4)上記(1)から(3)までのいずれか1つの光学装置において、前記光学素子は、前記第2の光を反射して前記所定の領域に導くミラーを含んでよい。
【0126】
一実施形態において、(5)光学装置は、入射する第1の光を所定の領域に結像させる光学系と、前記光学系の光軸と前記光学系に入射する主光線とのなす角度が前記第1の光と異なる第2の光を前記所定の領域に導く光学素子と、前記光学系から出力される前記第1の光および前記第2の光の光路の少なくとも一部に位置するプリズムとを備える。
【0127】
一実施形態において、(6)撮像装置は、上記(1)から(5)までのいずれか1つに記載の光学装置と、前記所定の領域と撮像領域とが重なるように配置されている撮像素子とを備える。
【0128】
(7)上記(6)の撮像装置において、前記光学系は、異なる光軸を有し、それぞれの被写体の一部が共通する第1光学系と第2光学系とを含んでよい。前記第1光学系によって結像した像の一部と、前記第2光学系によって結像した像の一部とが、前記撮像素子の受光領域で重畳してよい。
【0129】
(8)上記(6)の撮像装置において、前記光学系は、異なる光軸を有し、それぞれの被写体の一部が共通する第1光学系と第2光学系とを含んでよい。前記プリズムは、前記第1光学系に対応する第1プリズムと、前記第2光学系に対応する第2プリズムとを含んでよい。
【0130】
(9)上記(6)から(8)までのいずれか1つの撮像装置において、前記プリズムは、前記プリズムの反射面が前記光学系の光軸と平行になるように構成されてよい。
【0131】
(10)上記(6)から(9)までのいずれか1つの撮像装置は、前記撮像素子が撮像した画像を、前記第1の光に対応する第1の画像成分と、前記第2の光に対応する第2の画像成分とに分離するプロセッサを更に備えてよい。
【0132】
以上、撮像装置10、100、101、102、103を用いた撮像方法の実施形態を説明してきたが、本開示の実施形態としては、装置を実施するための方法又はプログラムの他、プログラムが記録された記憶媒体(一例として、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、磁気テープ、ハードディスク、又はメモリカード等)としての実施態様をとることも可能である。
【0133】
また、プログラムの実装形態としては、コンパイラによってコンパイルされるオブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード等のアプリケーションプログラムに限定されることはなく、オペレーティングシステムに組み込まれるプログラムモジュール等の形態であってもよい。さらに、プログラムは、制御基板上のCPUにおいてのみ全ての処理が実施されるように構成されてもされなくてもよい。プログラムは、必要に応じて基板に付加された拡張ボード又は拡張ユニットに実装された別の処理ユニットによってその一部又は全部が実施されるように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0134】
10、100、101、102、103 撮像装置
11 撮像光学系(11A:第1撮像光学系、11B:第2撮像光学系)
12、121 撮像素子
13、130 光学素子(13A:第1光学素子、13B:第2光学素子)
14 コントローラ
151 マイクロレンズ
161 画素
171 第1のPD(Photo-Diode)
181 第2のPD
190 第1の領域
200 第2の領域
21、210、211 光学装置
22 第1のレンズ
23 プリズム
30 プリズム(30A:第1プリズム、30B:第2プリズム、31:第1面、32:第2面、33:第3面)
CRA 直接画角の2倍の角度における物点から放射される光束の撮像光学系による主光線の光軸に対する角度
im1 第1の画像成分
im1b 第1のB画像成分
im1g 第1のG画像成分
im1r 第1のR画像成分
im2 第2の画像成分
im2b 第2のB画像成分
im2g 第2のG画像成分
imA 第1像(im_A1:第1非重畳像、im_A2:第1重畳像)
imB 第2像(im_B1:第2非重畳像、im_B2:第2重畳像)
ip1、ip2 結像点
ipA、ipB 第1結像点、第2結像点
olim 重畳画像
ox 光軸
pa 所定の領域
rcim 復元画像
pp 直接画角の2倍の角度における物点
pp1、pp2、pp3 物点
ra 受光領域(raA:第1受光領域、raB:第2受光領域)