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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000706
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】半導体光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0232 20140101AFI20231226BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20231226BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20231226BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H01L31/02 D
H01L31/10 A
G02B6/12 301
G02B6/122 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099561
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】沖本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】米田 昌博
【テーマコード(参考)】
2H147
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
2H147AB05
2H147AB10
2H147AB24
2H147BA06
2H147BB05
2H147CA27
2H147DA08
2H147DA19
2H147EA12A
2H147EA12B
2H147EA12C
2H147FC01
2H147GA11
2H147GA19
5F149AA03
5F149AA04
5F149AB07
5F149DA06
5F149GA06
5F149HA20
5F149JA14
5F149XB05
5F849AA03
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5F849HA20
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5F849XB05
(57)【要約】
【課題】スポットサイズ変換部と光検出部との間における光の散乱を抑制できる半導体光素子を提供する。
【解決手段】半導体光素子は、基板とスポットサイズ変換部と光検出部とを備え、スポットサイズ変換部は、コア層と、第1III-V族化合物半導体層とを備え、コア層は、基板と第1III-V族化合物半導体層との間に配置され、光検出部は、光吸収層と、第2III-V族化合物半導体層と、絶縁膜とを備え、光吸収層は、基板と第2III-V族化合物半導体層との間に配置され、第2III-V族化合物半導体層は、光吸収層と絶縁膜との間に配置され、光吸収層は、コア層に光学的に結合され、スポットサイズ変換部は、光検出部に接続される第1端面と、第1端面とは反対の第2端面と、を備え、第1端面において、第1III-V族化合物半導体層は、第2III-V族化合物半導体層及び絶縁膜に接続される。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域及び前記第1領域に隣り合う第2領域を含む主面を備える基板と、
前記第1領域上に設けられるスポットサイズ変換部と、
前記第2領域上に設けられる光検出部と、
を備え、
前記スポットサイズ変換部は、コア層と、第1III-V族化合物半導体層とを備え、前記コア層は、前記基板と前記第1III-V族化合物半導体層との間に配置され、
前記光検出部は、光吸収層と、第2III-V族化合物半導体層と、絶縁膜とを備え、前記光吸収層は、前記基板と前記第2III-V族化合物半導体層との間に配置され、前記第2III-V族化合物半導体層は、前記光吸収層と前記絶縁膜との間に配置され、
前記光吸収層は、前記コア層に光学的に結合され、
前記スポットサイズ変換部は、前記光検出部に接続される第1端面と、前記第1端面とは反対の第2端面と、を備え、
前記第1端面において、前記第1III-V族化合物半導体層は、前記第2III-V族化合物半導体層及び前記絶縁膜に接続される、半導体光素子。
【請求項2】
前記第2端面において、前記第1III-V族化合物半導体層は上面及び側面を有し、
前記第2端面において、前記コア層は上面及び側面を有し、
前記第1III-V族化合物半導体層は、前記コア層の前記上面及び前記側面を覆い、
前記主面に直交する第1方向における前記コア層の前記上面と前記第1III-V族化合物半導体層の前記上面との間の距離をYD、前記第1方向に直交する第2方向における前記コア層の前記側面と前記第1III-V族化合物半導体層の前記側面との間の距離をXDとすると、0.9≦XD/YD≦1.1が満たされる、請求項1に記載の半導体光素子。
【請求項3】
前記第2端面において、前記コア層は上面及び側面を有し、
前記コア層の前記上面の長さをXC、前記コア層の前記側面の長さをYCとすると、0.9≦XC/YC≦1.1が満たされる、請求項1又は請求項2に記載の半導体光素子。
【請求項4】
前記光検出部は、前記第1端面に接続される第3端面を備え、
前記第3端面における前記主面から前記絶縁膜の上面までの距離は、前記第1端面における前記主面から前記第1III-V族化合物半導体層の上面までの距離以上である、請求項1又は請求項2に記載の半導体光素子。
【請求項5】
電極を更に備え、
前記絶縁膜は開口を有し、
前記電極は、前記開口を通って前記第2III-V族化合物半導体層に接続される、請求項1又は請求項2に記載の半導体光素子。
【請求項6】
前記絶縁膜は、酸化チタンを含む、請求項1又は請求項2に記載の半導体光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板と、基板上に形成された光検出部と、基板上に形成された導波路とを備える半導体受光装置を開示する。導波路は、光検出部の受光層に光を入射させる。
【0003】
特許文献2は、基板と、スポットサイズ変換部と、導波路部と、フォトダイオード部とを備える半導体光素子を開示する。スポットサイズ変換部、導波路部及びフォトダイオード部は基板上に設けられる。導波路部は、スポットサイズ変換部とフォトダイオード部との間に配置される。スポットサイズ変換部は、コア層と、コア層上の上部クラッド層とを備える。上部クラッド層の厚みは、導波路軸の方向に変化する。フォトダイオード部は、光吸収層と、上部クラッド層とを備える。光は、コア層から導波路部を通って光吸収層に到達する。
【0004】
非特許文献1は、基板と、スポットサイズ変換部と、フォトダイオード部とを備える半導体光素子を開示する。スポットサイズ変換部は、コア層と、コア層上の上部クラッド層とを備える。フォトダイオード部は、光吸収層と、上部クラッド層と、コンタクト層とを備える。スポットサイズ変換部のコア層はフォトダイオード部の光吸収層に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-127333号公報
【特許文献2】特開2014-220413号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】T. Okimoto, et al, "106-Gb/sWaveguide AlInAs/GaInAs Avalanche Photodiode with Butt-joint CouplingStructure" Optical Fiber Communication Conference (OFC) 2022, paper W3D.2.https://doi.org/10.1364/OFC.2022.W3D.2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スポットサイズ変換部のコア層がフォトダイオード部の光吸収層に接続される場合、スポットサイズ変換部の上部クラッド層は、半導体の再成長により、フォトダイオード部の上部クラッド層よりも厚くなることがある。その場合、フォトダイオード部に接続されるスポットサイズ変換部の出射端面において段差が形成され、スポットサイズ変換部の上部クラッド層が露出する。これにより、フォトダイオード部に接続されるスポットサイズ変換部の出射端面において、上部クラッド層から外部への光の散乱が生じる。
【0008】
本開示は、スポットサイズ変換部と光検出部との間における光の散乱を抑制できる半導体光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一側面に係る半導体光素子は、第1領域及び前記第1領域に隣り合う第2領域を含む主面を備える基板と、前記第1領域上に設けられるスポットサイズ変換部と、前記第2領域上に設けられる光検出部と、を備え、前記スポットサイズ変換部は、コア層と、第1III-V族化合物半導体層とを備え、前記コア層は、前記基板と前記第1III-V族化合物半導体層との間に配置され、前記光検出部は、光吸収層と、第2III-V族化合物半導体層と、絶縁膜とを備え、前記光吸収層は、前記基板と前記第2III-V族化合物半導体層との間に配置され、前記第2III-V族化合物半導体層は、前記光吸収層と前記絶縁膜との間に配置され、前記光吸収層は、前記コア層に光学的に結合され、前記スポットサイズ変換部は、前記光検出部に接続される第1端面と、前記第1端面とは反対の第2端面と、を備え、前記第1端面において、前記第1III-V族化合物半導体層は、前記第2III-V族化合物半導体層及び前記絶縁膜に接続される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、スポットサイズ変換部と光検出部との間における光の散乱を抑制できる半導体光素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態に係る半導体光素子を模式的に示す平面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図3は、一実施形態に係る半導体光素子の端面を示す図である。
図4図4は、一実施形態に係る半導体光素子の製造方法の一工程を示す斜視図である。
図5図5は、一実施形態に係る半導体光素子の製造方法の一工程を示す斜視図である。
図6図6は、一実施形態に係る半導体光素子の製造方法の一工程を示す平面図である。
図7図7は、一実施形態に係る半導体光素子の製造方法の一工程を示す平面図である。
図8図8は、一実施形態に係る半導体光素子の製造方法の一工程を示す平面図である。
図9図9は、図8のIX-IX線に沿った断面図である。
図10図10は、図8のX-X線に沿った断面図である。
図11図11は、一実施形態に係る半導体光素子の製造方法の一工程を示す断面図である。
図12図12は、一実施形態に係る半導体光素子の製造方法の一工程を示す断面図である。
図13図13は、一実施形態に係る半導体光素子の製造方法の一工程を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
(1)第1領域及び前記第1領域に隣り合う第2領域を含む主面を備える基板と、前記第1領域上に設けられるスポットサイズ変換部と、前記第2領域上に設けられる光検出部と、を備え、前記スポットサイズ変換部は、コア層と、第1III-V族化合物半導体層とを備え、前記コア層は、前記基板と前記第1III-V族化合物半導体層との間に配置され、前記光検出部は、光吸収層と、第2III-V族化合物半導体層と、絶縁膜とを備え、前記光吸収層は、前記基板と前記第2III-V族化合物半導体層との間に配置され、前記第2III-V族化合物半導体層は、前記光吸収層と前記絶縁膜との間に配置され、前記光吸収層は、前記コア層に光学的に結合され、前記スポットサイズ変換部は、前記光検出部に接続される第1端面と、前記第1端面とは反対の第2端面と、を備え、前記第1端面において、前記第1III-V族化合物半導体層は、前記第2III-V族化合物半導体層及び前記絶縁膜に接続される、半導体光素子。
【0013】
上記半導体光素子によれば、第1端面における第1III-V族化合物半導体層から外部への光の散乱を絶縁膜により抑制できる。そのため、スポットサイズ変換部と光検出部との間における光の散乱を抑制できる。
【0014】
(2)上記(1)において、前記第2端面において、前記第1III-V族化合物半導体層は上面及び側面を有してもよく、前記第2端面において、前記コア層は上面及び側面を有してもよく、前記第1III-V族化合物半導体層は、前記コア層の前記上面及び前記側面を覆ってもよく、前記主面に直交する第1方向における前記コア層の前記上面と前記第1III-V族化合物半導体層の前記上面との間の距離をYD、前記第1方向に直交する第2方向における前記コア層の前記側面と前記第1III-V族化合物半導体層の前記側面との間の距離をXDとすると、0.9≦XD/YD≦1.1が満たされてもよい。この場合、スポットサイズ変換部の偏波依存性を低減できる。
【0015】
(3)上記(1)又は(2)において、前記第2端面において、前記コア層は上面及び側面を有してもよく、前記コア層の前記上面の長さをXC、前記コア層の前記側面の長さをYCとすると、0.9≦XC/YC≦1.1が満たされてもよい。この場合、スポットサイズ変換部の偏波依存性を低減できる。
【0016】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つにおいて、前記光検出部は、前記第1端面に接続される第3端面を備えてもよく、前記第3端面における前記主面から前記絶縁膜の上面までの距離は、前記第1端面における前記主面から前記第1III-V族化合物半導体層の上面までの距離以上であってもよい。この場合、第1端面における第1III-V族化合物半導体層から外部への光の散乱をさらに抑制できる。
【0017】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つにおいて、半導体光素子は、電極を更に備えてもよく、前記絶縁膜は開口を有してもよく、前記電極は、前記開口を通って前記第2III-V族化合物半導体層に接続されてもよい。
【0018】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つにおいて、前記絶縁膜は、酸化チタンを含んでもよい。この場合、絶縁膜の屈折率を大きくできる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図面には必要に応じてXYZ座標系が示される。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(例えば直交)する。
【0020】
(半導体光素子)
図1は、一実施形態に係る半導体光素子を模式的に示す平面図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図1及び図2に示される半導体光素子100は、基板10と、スポットサイズ変換部20と、光検出部30とを備える。
【0021】
基板10は、第1領域R1及び第1領域R1に隣り合う第2領域R2を含む主面10aを備える。第1領域R1及び第2領域R2は、Z軸方向に沿って配列されてもよい。第2領域R2は第1領域R1に接触してもよい。基板10は、III-V族化合物半導体基板であってもよい。基板10は、インジウムリン(InP)基板であってもよい。基板10は、半絶縁性III-V族化合物半導体基板と、半絶縁性III-V族化合物半導体基板上に設けられた第1導電型III-V族化合物半導体層とを備えてもよい。この場合、第1導電型III-V族化合物半導体層が主面10aを有する。第1導電型は例えばn型である。第1導電型III-V族化合物半導体層に電極が接続されてもよい。
【0022】
スポットサイズ変換部20は、第1領域R1上に設けられる。スポットサイズ変換部20は、メサ構造を有してもよい。スポットサイズ変換部20は、コア層21と、第1III-V族化合物半導体層22とを備える。コア層21は、基板10と第1III-V族化合物半導体層22との間に配置される。コア層21及び第1III-V族化合物半導体層22はメサ構造に含まれてもよい。コア層21は、i型ガリウムインジウムヒ素リン(GaInAsP)層であってもよい。コア層21は、波長1.31μm又は1.55μmの光に対して3.2から3.4の屈折率を有してもよい。コア層21の屈折率が大きくなると、スポットサイズ変換部20における光閉じ込め効果が大きくなる。よって、コア層21の屈折率を大きくする場合、コア層21の上面及び側面の長さを小さくすることによって、コア層21と光吸収層32との間の光結合効率を高められる。
【0023】
第1III-V族化合物半導体層22は、クラッド層であってもよい。第1III-V族化合物半導体層22は、第1半導体層22a及び第2半導体層22bを備えてもよい。第1半導体層22aは、i型InP層であってもよい。第2半導体層22bは、i型InP層であってもよい。第1半導体層22aは、Z軸方向において一定の厚みを有してもよい。第2半導体層22bは、Z軸方向において、第1領域R1から第2領域R2に向かうに連れて徐々に小さくなる厚みを有してもよい。Z軸方向は、コア層21の光軸方向であってもよい。第2半導体層22bは、第1半導体層22aの側面及びコア層21の側面を覆ってもよい。
【0024】
光検出部30は、第2領域R2上に設けられる。光検出部30は、メサ構造を有してもよい。光検出部30は、光吸収層32と、第2III-V族化合物半導体層34と、絶縁膜36とを備える。光吸収層32は、基板10と第2III-V族化合物半導体層34との間に配置される。第2III-V族化合物半導体層34は、光吸収層32と絶縁膜36との間に配置される。光吸収層32、第2III-V族化合物半導体層34及び絶縁膜36はメサ構造に含まれてもよい。光吸収層32は、コア層21に光学的に結合される。光吸収層32は、i型ガリウムインジウムヒ素(GaInAs)層であってもよい。コア層21と光吸収層32との間の光結合効率を最大化するように、コア層21の屈折率が調整されてもよい。
【0025】
第2III-V族化合物半導体層34は、クラッド層及びコンタクト層を含んでもよい。クラッド層は、コア層21とコンタクト層との間に配置される。第2III-V族化合物半導体層34は、第2導電型InP層と、第2導電型GaInAs層とを含んでもよい。第2導電型は例えばp型である。
【0026】
絶縁膜36は開口36aを有してもよい。絶縁膜36の厚みは、0.3μm以上であってもよいし、0.6μm以下であってもよい。絶縁膜36は、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)、シリコン窒化物(Si)、シリコン酸窒化物(SiON)及びシリコン酸化物(SiO)のうち少なくとも1つを含んでもよい。絶縁膜36は、波長1.31μm又は1.55μmの光に対して1.4以上の屈折率を有してもよい。
【0027】
光検出部30は、光吸収層32及び第2III-V族化合物半導体層34の側面を覆う埋込領域38を備えてもよい。埋込領域38は、第2半導体層22bに含まれるIII-V族化合物半導体と同じIII-V族化合物半導体を含んでもよい。
【0028】
スポットサイズ変換部20は、光検出部30に接続される第1端面E1と、第1端面E1とは反対の第2端面E2とを備える。第1端面E1は光出射面であってもよい。第2端面E2は光入射面であってもよい。第1端面E1において、第1III-V族化合物半導体層22は、第2III-V族化合物半導体層34及び絶縁膜36に接続される。第1半導体層22aは第2III-V族化合物半導体層34に接続されてもよい。第2半導体層22bは絶縁膜36に接続されてもよい。第1端面E1において、第1III-V族化合物半導体層22の端面と第2III-V族化合物半導体層34の端面とによって段差が形成され、段差に絶縁膜36が設けられてもよい。第1端面E1において、第1III-V族化合物半導体層22は、第2III-V族化合物半導体層34及び絶縁膜36に接触してもよい。半導体光素子100は、第2端面E2上に設けられた反射防止膜40を備えてもよい。
【0029】
光検出部30は、第1端面E1に接続される第3端面E3を備えてもよい。絶縁膜36は第3端面E3において終端してもよい。第3端面E3における主面10aから絶縁膜36の上面36tまでの距離H2は、第1端面E1における主面10aから第1III-V族化合物半導体層22の上面22btまでの距離H1以上であってもよい。第1端面E1において、第1III-V族化合物半導体層22は、第2III-V族化合物半導体層34及び絶縁膜36によって覆われてもよい。距離H2は距離H1より小さくてもよい。
【0030】
半導体光素子100は、スポットサイズ変換部20及び光検出部30を覆う保護膜50を備えてもよい。半導体光素子100は、電極60を更に備えてもよい。電極60は、絶縁膜36の開口36aを通って第2III-V族化合物半導体層34に接続されてもよい。電極60は、Z軸方向に沿って保護膜50上において延在してもよい。絶縁膜36及び保護膜50は、電極60と第2III-V族化合物半導体層34との間に配置されてもよい。
【0031】
半導体光素子100は、第1領域R1上に設けられる複数の半導体テラス70を備えてもよい。スポットサイズ変換部20は、複数の半導体テラス70間に配置されてもよい。各半導体テラス70は、コア層21に含まれる半導体材料と同じ半導体材料を含む第1層と、第1半導体層22aに半導体材料と同じ半導体材料を含む第2層とを含んでもよい。
【0032】
半導体光素子100は、第2領域R2上に設けられる半導体積層体80を備えてもよい。光検出部30は、半導体積層体80とスポットサイズ変換部20との間に配置されてもよい。半導体積層体80は、コア層21に含まれる半導体材料と同じ半導体材料を含む第1層81と、第1半導体層22aに半導体材料と同じ半導体材料を含む第2層82とを含んでもよい。
【0033】
半導体光素子100によれば、第1端面E1における第1III-V族化合物半導体層22から外部への光の散乱を絶縁膜36により抑制できる。そのため、スポットサイズ変換部20と光検出部30との間における光の散乱を抑制できる。よって、光検出部30の受光感度を向上できる。
【0034】
第3端面E3における距離H2が、第1端面E1における距離H1以上である場合、第1III-V族化合物半導体層22の端面が絶縁膜36によって覆われる。そのため、第1端面E1における第1III-V族化合物半導体層22から外部への光の散乱をさらに抑制できる。
【0035】
絶縁膜36が酸化チタンを含む場合、絶縁膜36の屈折率を大きくできる。その結果、第1III-V族化合物半導体層22に含まれる材料の屈折率と絶縁膜36の屈折率との差を小さくできる。よって、第1端面E1における第1III-V族化合物半導体層22から外部への光の散乱をさらに抑制できる。
【0036】
図3は、一実施形態に係る半導体光素子の端面を示す図である。図3では、反射防止膜40および保護膜50が省略されている。図3には、スポットサイズ変換部20の第2端面E2が示される。
【0037】
第2端面E2において、第1III-V族化合物半導体層22は上面22bt及び側面22bsを有してもよい。第2端面E2において、コア層21は上面21t及び側面21sを有してもよい。第1III-V族化合物半導体層22は、コア層21の上面21t及び側面21sを覆ってもよい。基板10の主面10aに直交する第1方向(例えばY軸方向)において、コア層21の上面21tと第1III-V族化合物半導体層22の上面22btとの間の距離をYDとする。第1方向に直交する第2方向(例えばX軸方向)において、コア層21の側面21sと第1III-V族化合物半導体層22の側面22bsとの間の距離をXDとする。XDは、Y軸方向におけるコア層21の中心において測定される。この場合、下記式(1)が満たされてもよい。
【0038】
0.9≦XD/YD≦1.1 … (1)
【0039】
上記式(1)が満たされると、スポットサイズ変換部20の偏波依存性を低減できる。
【0040】
距離XDは1μm以上であってもよい。距離YDは、1.5μmから4.5μmであってもよい。距離XDは距離YDと同じであってもよい。
【0041】
コア層21の上面21tの長さをXCとする。コア層21の側面21sの長さをYCとする。この場合、下記式(2)が満たされてもよい。
【0042】
0.9≦XC/YC≦1.1 … (2)
【0043】
上記式(2)が満たされると、スポットサイズ変換部20の偏波依存性を低減できる。
【0044】
コア層21の上面21tの長さXCは、0.1μmから1.0μmであってもよい。コア層21の側面21sの長さYCは、0.2μmから0.6μmであってもよい。長さXCは長さYCと同じであってもよい。長さXC及び長さYCは、スポットサイズ変換部20の第2端面E2に入射される光ビームの直径に応じて調整されてもよい。
【0045】
(半導体光素子の製造方法)
以下、図4から図13を参照して一実施形態に係る半導体光素子の製造方法について説明する。半導体光素子100は以下のように製造されてもよい。
【0046】
まず、図4に示されるように、基板10上に、光吸収層32及び第2III-V族化合物半導体層34を順に形成する。基板10は、半絶縁性III-V族化合物半導体基板12と、半絶縁性III-V族化合物半導体基板12上に設けられた第1導電型III-V族化合物半導体層14とを備えてもよい。第1導電型は例えばn型である。光吸収層32は第1導電型III-V族化合物半導体層14上に形成される。第2III-V族化合物半導体層34は、クラッド層34aと、クラッド層34a上に設けられたコンタクト層34bとを備えてもよい。クラッド層34aは光吸収層32上に形成される。
【0047】
次に、第2III-V族化合物半導体層34上にマスクMK1を形成した後、光吸収層32及び第2III-V族化合物半導体層34をエッチングする。マスクMK1は、絶縁マスクであってもよい。
【0048】
次に、コア層21及び第1半導体層22aを順に基板10上に形成する。第1半導体層22aと第2III-V族化合物半導体層34との間にはバットジョイント接合が形成される。同時に、第1層81及び第2層82が順に形成される。
【0049】
マスクMK1を除去した後、図5に示されるように、第1半導体層22a、第2III-V族化合物半導体層34及び第2層82上に絶縁膜36及び絶縁膜76を形成する。絶縁膜36及び絶縁膜76は、フォトリソグラフィー及びエッチングにより形成され得る。絶縁膜36及び絶縁膜76をマスクとして、第1半導体層22a、コア層21及び第1導電型III-V族化合物半導体層14のエッチングを行う。絶縁膜36により、スポットサイズ変換部20及び光検出部30を形成するためのメサ構造が形成される。絶縁膜76により、複数の半導体テラス70が形成される。
【0050】
絶縁膜36及び絶縁膜76は、図6に示されるパターンを有している。図5には、絶縁膜36及び絶縁膜76の一部(半分)が示されている。
【0051】
次に、図7に示されるように、フォトリソグラフィー及びエッチングにより、第1半導体層22a上の絶縁膜36と、絶縁膜76の一部とを除去する。エッチング後の絶縁膜76は、例えば台形パターンを有する。
【0052】
次に、図8に示されるように、埋込領域38及び第2半導体層22bを成長させる。図9は、図8のIX-IX線に沿った断面図である。図9に示されるように、埋込領域38は、第1導電型III-V族化合物半導体層14、光吸収層32及び第2III-V族化合物半導体層34の側面を覆う。これにより、光検出部30が形成される。図10は、図8のX-X線に沿った断面図である。図10に示されるように、第2半導体層22bは、第1半導体層22aの上面と、第1半導体層22a、コア層21及び第1導電型III-V族化合物半導体層14の側面とを覆う。第2半導体層22bは、コア層21の光軸方向において、コア層21から光吸収層32に向かうに連れて徐々に小さくなる厚みを有する。これにより、スポットサイズ変換部20が形成される。
【0053】
次に、図11に示されるように、絶縁膜36及び埋込領域38上に保護膜50を形成する。保護膜50は、図12に示されるように、第2半導体層22b及び半導体テラス70上にも形成される。その後、図11に示されるように、フォトリソグラフィー及びエッチングにより、第2III-V族化合物半導体層34上において、保護膜50に開口を形成した後、絶縁膜36に開口36aを形成する。その後、リフトオフにより、保護膜50の開口及び絶縁膜36の開口36a内に電極60を形成する。
【0054】
次に、図13に示されるように、切断線CTに沿って、基板10、スポットサイズ変換部20、半導体テラス70及び保護膜50を切断する。切断は、へき開であってもよい。これにより、スポットサイズ変換部20の第2端面E2が形成される。
【0055】
次に、図1及び図2に示されるように、第2端面E2上に反射防止膜40を形成する。
【0056】
以上、本開示の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本開示は上記実施形態に限定されない。
【0057】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
10…基板
10a…主面
12…半絶縁性III-V族化合物半導体基板
14…第1導電型III-V族化合物半導体層
20…スポットサイズ変換部
21…コア層
21s…側面
21t…上面
22…第1III-V族化合物半導体層
22a…第1半導体層
22b…第2半導体層
22bs…側面
22bt…上面
30…光検出部
32…光吸収層
34…第2III-V族化合物半導体層
34a…クラッド層
34b…コンタクト層
36…絶縁膜
36a…開口
36t…上面
38…埋込領域
40…反射防止膜
50…保護膜
60…電極
70…半導体テラス
76…絶縁膜
80…半導体積層体
81…第1層
82…第2層
100…半導体光素子
CT…切断線
E1…第1端面
E2…第2端面
E3…第3端面
MK1…マスク
R1…第1領域
R2…第2領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13