(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007061
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】食品用包装材及び食品包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 65/10 20060101AFI20240111BHJP
B65D 75/28 20060101ALI20240111BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
B65D65/10 A
B65D75/28
B65D85/50 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108249
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】白井 直人
【テーマコード(参考)】
3E035
3E067
3E086
【Fターム(参考)】
3E035AA09
3E035AA16
3E035AB10
3E035BA10
3E035BC01
3E035BC02
3E035CA08
3E067AA11
3E067AA17
3E067AA22
3E067AA24
3E067AB01
3E067AB13
3E067AB16
3E067AB18
3E067AC09
3E067BA38A
3E067BB01A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067BC04A
3E067CA24
3E067EA01
3E067EA11
3E067EA23
3E067EB11
3E067EB22
3E067EE02
3E067EE04
3E067EE06
3E067EE21
3E067EE48
3E067EE59
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD10
3E086AA02
3E086AB01
3E086AC01
3E086AC06
3E086AC31
3E086AD13
3E086BA04
3E086BA14
3E086BA15
3E086BA24
3E086BA33
3E086BB85
3E086CA01
3E086CA02
3E086CA06
3E086CA25
(57)【要約】
【課題】開封時における食品保持性を向上することができる食品用包装材及び食品包装体を提供する。
【解決手段】食品用包装材1は、第1方向に長い形状を有する外シート2と、シート状食品4を挟んで外シート2に重ね合わせられ、第1方向と直交する第2方向に沿って内側部同士の重ね合わせ部32を有する第1内シート片30及び第2内シート片31で構成される内シート3とを備え、端部接合部及び剥離可能な側部接合部によりシート状食品4を囲むように外シート2と内シート3とが接合される食品用包装材1であって、外シート2には、内シート3よりも剛性が高いシートが用いられる。これにより、開封時における外シート2による食品保持性を向上することができる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に長い形状を有する外シートと、シート状食品を挟んで外シートに重ね合わせられ、第1方向と直交する第2方向に沿って内側部同士の重ね合わせ部を有する第1内シート片及び第2内シート片で構成される内シートとを備え、端部接合部及び剥離可能な側部接合部によりシート状食品を囲むように外シートと内シートとが接合される食品用包装材であって、
外シートには、内シートよりも剛性が高いシートが用いられる
食品用包装材。
【請求項2】
第1方向の端部の中央部は、端部接合部が形成されていない未接合部となっている
請求項1に記載の食品用包装材。
【請求項3】
食品を包装して食品包装体とするときに、未接合部を封止する追加接合部が形成される
請求項2に記載の食品用包装材。
【請求項4】
端部接合部も剥離可能である
請求項1に記載の食品用包装材。
【請求項5】
シート状食品は、第1方向の長さ又は第2方向の幅の少なくとも一方が、端部接合部及び側部接合部の内縁で規定されるシート状食品の収容部よりも小さい形状を有し、
収容部のうち、シート状食品の外縁に近接した箇所に、外シートと内シートとが接合されてシート状食品の動きを規制する規制部が形成され、
規制部も剥離可能である
請求項1に記載の食品用包装材。
【請求項6】
内シートの重ね合わせ部のうち、第1内シート片の内側縁よりも内側の箇所に、第2方向に沿って、第1内シート片と第2内シート片とが接合されて重ね合わせ部を封止する封止部が形成され、
封止部も剥離可能である
請求項1に記載の食品用包装材。
【請求項7】
封止部は、側部接合部よりも幅が狭い
請求項6に記載の食品用包装材。
【請求項8】
外シートには、紙シートが用いられる
請求項1に記載の食品用包装材。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の食品用包装材を、食品を挟んで第1方向に二つ折りにすること、及び、食品用包装材における食品の正面を覆っている部分の上に、食品用包装材の両側の余分なシート片を重ねるように折ることにより、食品が三角形状に包装され、
食品用包装材における食品の正面を覆っている部分の上であって、折られた両側の余分なシート片に跨るように、ラベルが貼着される
食品包装体。
【請求項10】
ラベルの外面に、食品包装体を開封するときの最初の操作である第1開封操作として、ラベルの剥離を行う旨の表示を行う第1開封操作表示部が設けられ、
食品用包装材における食品の正面を覆っている部分の外面であって、第1開封操作までは、折られた両側の余分なシート片又はラベルによって隠される箇所に、食品包装体を開封するときの二番目の操作である第2開封操作を含む以降の開封操作の説明を表示する第2開封操作以降表示部が設けられる
請求項9に記載の食品包装体。
【請求項11】
三角形状のそれぞれ角部に、食品用包装材の余分なシートを重ねて扁平状にした耳片が形成され、
少なくとも1つの耳片は、封止されていない
請求項9に記載の食品包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を包装するための食品用包装材及び食品用包装材により食品を包装した食品包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
正面形状が三角形状(主として正三角形状)で、所定の厚みを有する立体形状に仕上げられた三角おにぎり等の米飯加工食品等の食品を包装するための食品用包装材として、特許文献1に記載されたものがある。これは、第1方向に長い形状を有する外シートと、シート状食品を挟んで外シートに重ね合わせられ、第1方向と直交する第2方向に沿って内側部同士の重ね合わせ部を有する一対の内シート片で構成される内シートとを備え、端部接合部及び剥離可能な側部接合部によりシート状食品を囲むように外シートと内シートとが接合される食品用包装材である。
【0003】
食品用包装材による食品の包装方法は、次のとおりである。まず、食品が第1内シート片の上に載せられ、次に、食品用包装材が長手方向に二つ折りにされ、次に、食品用包装材における食品の正面を覆っている部分の上に、両側のいずれか一方の余分なシート片が重ねられるように折られ、次に、この上に、他方の余分なシート片が重ねられるように折られる。これにより、食品包装体が完成する。
【0004】
食品包装体の開封方法は、次のとおりである。まず、折られた両側の余分なシート片を開き、食品用包装材を展開するとともに、食品を第2内シート片の上に載せ、次に、第1内シート片を外シートから剥離し、次に、食品をシート状食品の上に移し替え、次に、第2内シート片を外シートから剥離する。これにより、食品とシート状食品とを一体化して食することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭59-147065号のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された食品用包装材においては、外シート及び内シートの両方にプラスチックシートが用いられる。プラスチックシートは、コシがなく(剛性が低く)、食品保持性が低い。このため、食品包装体の開封の最中に食品が食品用包装材から落ちて食べられなくなる事態が発生することがあった。
【0007】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、開封時における食品保持性を向上することができる食品用包装材を及び食品包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る食品用包装材は、
第1方向に長い形状を有する外シートと、シート状食品を挟んで外シートに重ね合わせられ、第1方向と直交する第2方向に沿って内側部同士の重ね合わせ部を有する第1内シート片及び第2内シート片で構成される内シートとを備え、端部接合部及び剥離可能な側部接合部によりシート状食品を囲むように外シートと内シートとが接合される食品用包装材であって、
外シートには、内シートよりも剛性が高いシートが用いられる
食品用包装材である。
【0009】
ここで、本発明に係る食品用包装材の一態様として、
第1方向の端部の中央部は、端部接合部が形成されていない未接合部となっている
との構成を採用することができる。
【0010】
また、この場合、
食品を包装して食品包装体とするときに、未接合部を封止する追加接合部が形成される
との構成を採用することができる。
【0011】
また、本発明に係る食品用包装材の他態様として、
端部接合部も剥離可能である
との構成を採用することができる。
【0012】
また、本発明に係る食品用包装材の別の態様として、
シート状食品は、第1方向の長さ又は第2方向の幅の少なくとも一方が、端部接合部及び側部接合部の内縁で規定されるシート状食品の収容部よりも小さい形状を有し、
収容部のうち、シート状食品の外縁に近接した箇所に、外シートと内シートとが接合されてシート状食品の動きを規制する規制部が形成され、
規制部も剥離可能である
との構成を採用することができる。
【0013】
また、本発明に係る食品用包装材のさらに別の態様として、
内シートの重ね合わせ部のうち、第1内シート片の内側縁よりも内側の箇所に、第2方向に沿って、第1内シート片と第2内シート片とが接合されて重ね合わせ部を封止する封止部が形成され、
封止部も剥離可能である
との構成を採用することができる。
【0014】
また、この場合、
封止部は、側部接合部よりも幅が狭い
との構成を採用することができる。
【0015】
また、本発明に係る食品用包装材のさらに別の態様として、
外シートには、紙シートが用いられる
との構成を採用することができる。
【0016】
また、本発明に係る食品包装体は、
上記いずれかの食品用包装材を、食品を挟んで第1方向に二つ折りにすること、及び、食品用包装材における食品の正面を覆っている部分の上に、食品用包装材の両側の余分なシート片を重ねるように折ることにより、食品が三角形状に包装され、
食品用包装材における食品の正面を覆っている部分の上であって、折られた両側の余分なシート片に跨るように、ラベルが貼着される
食品包装体である。
【0017】
ここで、本発明に係る食品包装体の一態様として、
ラベルの外面に、食品包装体を開封するときの最初の操作である第1開封操作として、ラベルの剥離を行う旨の表示を行う第1開封操作表示部が設けられ、
食品用包装材における食品の正面を覆っている部分の外面であって、第1開封操作までは、折られた両側の余分なシート片又はラベルによって隠される箇所に、食品包装体を開封するときの二番目の操作である第2開封操作を含む以降の開封操作の説明を表示する第2開封操作以降表示部が設けられる
との構成を採用することができる。
【0018】
また、本発明に係る食品包装体の他態様として、
三角形状のそれぞれ角部に、食品用包装材の余分なシートを重ねて扁平状にした耳片が形成され、
少なくとも1つの耳片は、封止されていない
との構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、食品用包装材の外シートには、内シートよりも剛性が高いシートが用いられる。このため、本発明によれば、開封時における外シートによる食品保持性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図4】
図4(a)ないし(c)は、食品用包装材により食品を包装する過程の説明図である。
【
図5】
図5(a)及び(b)は、
図4(c)の続きの説明図である。
【
図6】
図6(a)は、食品用包装材により食品を包装した食品包装体の正面図である。
図6(b)は、食品包装体の背面図である。
【
図7】
図7(a)は、食品包装体を開封する過程の説明図である。
図7(b)は、第1開封操作後に出現する第2開封操作以降表示部の平面図である。
【
図8】
図8(a)及び(b)は、
図7(a)の続きの説明図である。
【
図9】
図9(a)及び(b)は、
図8(b)の続きの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る一実施形態として、食品を三角おにぎりとする食品用包装材であって、食品を挟んで長手方向に二つ折りにすること及び両側の余分なシート片を中心側に折ることにより、食品を三角形状に包装する、いわゆる三角包装に用いられる食品用包装材及びこの食品用包装材により食品を包装した食品包装体について説明する。
【0022】
図1ないし
図3に示すように、食品用包装材1は、本体10を備える。本体10は、一対のシート(外シート2、内シート3)が、シート状食品4を挟んで重ね合わせられ、シート状食品4を囲むように接合されるものである。一対のシートは、互いに直交する方向の一方が他方よりも長い形状を有する。シート状食品4は、食品に巻く海苔等である。一対のシートは、一端10a側及び他端10b側の端部接合部11,11と、両側部の側部接合部12,12とにより、四方が接合、封止される。なお、以下では、上記一方(
図2及び
図3では、上下方向)を「長手方向」又は「第1方向」といい、上記他方(
図2及び
図3では、左右方向)を「幅方向」又は「第2方向」という。
【0023】
外シート2は、長手方向に二つ折りにした状態で食品を包み込める大きさの長方形状(矩形状)を有する。外シート2は、紙、未晒しクラフト紙、和紙、混抄紙、合成紙、グラシン紙、レーヨン紙、紙質又は紙様(これらをまとめて「紙」という。)の、又は、これらを主とするシート(フィルム)である(これらをまとめて「紙シート」(フィルム)という。)。紙は、バイオベースポリエチレンテレフタレート(バイオベースPET、いわゆるバイオPET)を含む紙であってもよい。外シート2は、必要に応じて、内面側又は外面側の少なくとも一方側に全面的に又は必要箇所の部分的に熱溶着性を有する。たとえば、外シート2は、紙を外層とし、プラスチックシート(フィルム)を内層としてラミネートした積層シート(フィルム)である。積層シート(フィルム)の一形態として、外シート2は、外面側から順に、基材層、接着層及び樹脂層を積層して形成される。基材層として、紙が用いられる。接着層として、ドライラミネート、押出しラミネート等が用いられる。樹脂層として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂が用いられる。一例として、基材層は、坪量が9g/m2以上21g/m2以下の紙であり、接着層は、ドライラミネートであり、樹脂層は、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)である。なお、「シート」は、厚みによって定められるものではなく、フィルムを含む概念である(以下、同様)。
【0024】
内シート3は、外シート2と同様、長手方向に二つ折りにした状態で食品を包み込める大きさの長方形状(矩形状)を有する。内シート3は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱溶着性を有するプラスチックシート(フィルム)である。一例として、内シート3は、マット処理が施された二軸延伸ポリプロピレン(OPP)シート(フィルム)又は無延伸ポリプロピレン(CPP)シート(フィルム)である。あるいは、内シート3は、積層シート(フィルム)である。積層シート(フィルム)の一形態として、内シート3は、外面側から順に、基材層、接着層及び樹脂層を積層して形成される。基材層として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂が用いられる。接着層として、ドライラミネート、押出しラミネート等が用いられる。樹脂層として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂が用いられる。なお、ポリプロピレンシート(フィルム)とは、純度100%のポリプロピレンシート(フィルム)はもちろんのこと、ポリプロピレンを主成分として、他の成分(たとえばポリエチレンといった他の樹脂成分)を含有するシート(フィルム)も含む概念である。
【0025】
内シート3は、一対の内シート片(第1内シート片30及び第2内シート片31)を備える。第1内シート片30は、幅方向に長い長方形状(矩形状)を有する。第1内シート片30は、外シート2の長手方向の一方側(本実施形態においては、食品用包装材1の一端10aを上、他端10bを下にして食品用包装材1を正面(外面)から見た場合の上側)に配置される。第2内シート片31は、幅方向に長い長方形状(矩形状)を有する。第2内シート片31は、外シート2の長手方向の他方側(本実施形態においては、食品用包装材1を正面(外面)から見た場合の下側)に配置される。
【0026】
第1内シート片30の内側部と第2内シート片31の内側部との重ね合わせにより、重ね合わせ部32が構成される。重ね合わせ部32は、内シート3の両側縁間の全域にわたって形成される。本実施形態においては、第2内シート片31の内側部の上(外面)に、第1内シート片30の内側部が重ね合わせられる。このため、第2内シート片31の内側部は、シート状食品4に接するのに対し、第1内シート片30の内側部は、シート状食品4との間に第2内シート片31の内側部が介在した状態となって、シート状食品4には接しない。本実施形態においては、重ね合わせ部32は、内シート3の長手方向の中央部に配置される。
【0027】
重ね合わせ部32には、内シート3の幅方向に沿って、封止部33が形成される。封止部33は、重ね合わせ部32を封止し、重ね合わせ部32を介する食品用包装材1の内外の連通を遮断するものである。封止部33は、第1内シート片30及び第2内シート片31を溶着することにより形成される接合部である。本実施形態においては、封止部33は、端部接合部11及び側部接合部12よりも幅が狭い帯状のシールである。
【0028】
封止部33は、小さな力では剥離することはないが、人がある程度以上の力を加えると剥離可能な弱接合である。本実施形態においては、第2内シート片31の内側部の外面又は第1内シート片30の内側部の内面の少なくとも一方に感熱接着剤等のコート剤(パートコート剤)が塗布され、コート剤の接合強度(ヒートシール強度)は強くないため、封止部33は、弱接合(弱シール)となる。
【0029】
封止部33は、第1内シート片30の内側縁に沿って形成される。しかし、封止部33は、第1内シート片30の内側縁よりも内側の箇所に形成される。これにより、第1内シート片30の内側縁から封止部33までは、非接合部である遊離片30aとなる。遊離片30aは、開封時、第1内シート片30を外シート2から剥離する際の摘み片となる。
【0030】
端部接合部11は、外シート2及び内シート3の一端10a及び他端10bに沿って外シート2及び内シート3を溶着することにより形成される。ただし、外シート2及び内シート3の一端10a及び他端10bの中央部(後述する耳片10dとなる領域)は、溶着されていない未接合部11aとなっている。側部接合部12は、外シート2及び内シート3の側縁に沿って外シート2及び内シート3を溶着することにより形成される。このようにして構成された本体10の内部がシート状食品4の収容部となる。本実施形態においては、端部接合部11及び側部接合部12は、所定幅を有する帯状のシールである。
【0031】
端部接合部11及び側部接合部12は、小さな力では剥離することはないが、人がある程度以上の力を加えると剥離可能な弱接合である。本実施形態においては、内シート3の少なくとも外周部の内面又は外シート2の少なくとも外周部の内面の少なくとも一方に感熱接着剤等のコート剤(パートコート剤)が塗布され、コート剤の接合強度(ヒートシール強度)は強くないため、端部接合部11及び側部接合部12は、弱接合(弱シール)となる。
【0032】
端部接合部11及び側部接合部12よりも内側であって、シート状食品4の一端縁、他端縁及び両側縁の外縁に近接した箇所には、規制部13が形成される。シート状食品4は、長さ及び幅ともに、本体10の内部であるシート状食品4の収容部よりも小さいので、そのままでは、内部で動いてしまう可能性がある。規制部13は、この長手方向及び幅方向におけるシート状食品4の動きを規制するものである。これにより、シート状食品4は、本体10の適正な位置に位置決めされる。規制部13は、外シート2及び内シート3を溶着することにより形成される接合部である。本実施形態においては、規制部13は、細幅の帯状のシールである。あるいは、規制部13は、ポイントシールであってもよい。あるいは、規制部13は、端部接合部11や側部接合部12の内縁から突出するシールであってもよい。
【0033】
規制部13は、小さな力では剥離することはないが、人がある程度以上の力を加えると剥離可能な弱接合である。本実施形態においては、内シート3の少なくとも該当箇所の内面又は外シート2の少なくとも該当箇所の内面の少なくとも一方に感熱接着剤等のコート剤(パートコート剤)が塗布され、コート剤の接合強度(ヒートシール強度)は強くないため、規制部13は、弱接合(弱シール)となる。
【0034】
食品用包装材1による食品の包装方法は、次のとおりである。まず、
図4(a)に示すように、食品5が食品用包装材1の内シート3の上に載せられる。このとき、食品5は、第1内シート片30又は第2内シート片31の一方の上に載り、かつ、食品5の一つの角部(頂角部)が食品用包装材1の一端10a側又は他端10b側に向くように、配置される。なお、食品5の幅は、シート状食品4の幅とほぼ同じである。
【0035】
次に、
図4(b)に示すように、食品用包装材1が、一端10a側とこれに対向する他端10b側を合わせるように長手方向に二つ折りにされ、折った側の部分は、食品5の側面(三角形状の斜面)にも沿うように折られる。これにより、食品用包装材1の長手方向の一端10a側半分が食品5の背面を覆い、他端10b側半分が食品5の正面を覆うとともに、食品用包装材1の両側(左右)のシート片10c,10cが食品用包装材1の一端10aと他端10bの位置がずれた状態となって余る。なお、シート状食品4の収容部内に空気が入っているような場合であっても、空気は、食品用包装材1が折られるときに押し出されて未接合部11aから外部に抜けるようになっている。
【0036】
そこで、
図4(c)に示すように、食品用包装材1における食品5の正面を覆っている部分の上に、両側のいずれか一方の余分なシート片10cが重ねられるように折られ、次に、
図5(a)に示すように、この上に、他方の余分なシート片10cが重ねられるように折られる。
【0037】
そして、
図5(b)に示すように、この上に、折られた両側の余分なシート片10c,10cに跨るように、ラベル7が貼着される。ラベル7は、商品名、おにぎりの中味(具材)、価格、商品のイメージ画像等を表示する印刷がラベル基材の外面に施され、店舗で陳列される際に正面側となる部分に貼着される商品表示ラベルである。
【0038】
ここで、
図6に示すように、三角形状のそれぞれ角部には、耳片10dが形成される。耳片10dは、突出方向の軸回りに余分なシート片が折り畳まれた部分である。折り畳まれているので、基本的には開口は生じていない。しかし、少なくとも頂角部の耳片10dには、封止部14が形成される。封止部14は、耳片10dの突出方向と交差する幅方向に沿って耳片10dを溶着することにより形成される。本実施形態においては、封止部14は、所定幅を有する帯状のシールである。封止部14が形成されることにより、端部接合部11の未接合部11aには、未接合部11aを封止する追加接合部11bが形成され(
図8(a)参照)、シート状食品4の収容部は、完全に密封される。
【0039】
封止部14及び追加接合部11bは、小さな力では剥離することはないが、人がある程度以上の力を加えると剥離可能な弱接合である。本実施形態においては、該当箇所に感熱接着剤等のコート剤(パートコート剤)が塗布され、コート剤の接合強度(ヒートシール強度)は強くないため、封止部14及び追加接合部11bは、弱接合(弱シール)となる。
【0040】
しかし、少なくとも1つの耳片10d(底辺に位置する左右の耳片10d,10dの少なくとも1つ)は、封止されておらず、この耳片10d内は、食品包装体6の内外で連通している。このため、食品包装体6を開封するのに先立ち、電子レンジを用いて内部の食品5を加熱する場合、発生した蒸気がこの耳片10dを経て外部に排出されるようになっている。なお、封止されていないとは、耳片10dに封止部が形成されるが、封止部の一部は未接合部である連通部になっている、といった完全に封止されていないような形態も含む趣旨である。
【0041】
以上の工程を経て、食品包装体6が完成する。
図6(a)に示すように、ラベル7は、ラベル本体7aと、摘み部7bとを備える。ラベル本体7aは、ラベル基材の内面に粘着層ないし接着層を有する部分である。これにより、ラベル7は、食品用包装材1における食品5の正面を覆っている部分に、粘着ないし接着により剥離可能に貼着される。摘み部7bは、ラベル基材の内面に粘着層ないし接着層を有さない部分である。摘み部7bを摘み、摘み部7bを引っ張ってラベル7を剥離することができる。本実施形態においては、ラベル7は、食品包装体6の正面の三角形状に収まる大きさの台形状を有する。
【0042】
摘み部7bの外面には、第1開封操作表示部8aが設けられる。第1開封操作表示部8aは、食品包装体6を開封するときの最初の操作(第1開封操作)の内容を表示するもので、印刷、ラベル貼付等の各種の形態が採られる。本実施形態においては、第1開封操作表示部8aは、ラベル基材の外面に印刷が施されて形成される。
【0043】
図6(b)に示すように、食品包装体6の背面には、ラベル9が貼着される。ラベル9は、ラベル基材の外面に、商品名、原材料名、消費期限、製造者等の商品情報を表示する印刷が施された品質表示ラベルである。
【0044】
食品包装体6の開封方法は、次のとおりである。まず、第1開封操作表示部8aによる表示に従い、ラベル7の摘み部7bを摘み、摘み部7bを引っ張ってラベル7を食品包装体6から剥離する。すると、折られた両側の余分なシート片10c,10cは、食品用包装材1における食品5の正面を覆っている部分に固定されているわけではないので、
図7(a)に示すように、反力によりある程度開いた状態となる。このとき、食品用包装材1における食品5の正面を覆っている部分の外面には、第2開封操作以降表示部8bが設けられており(
図2も参照)、ラベル7を剥離することにより、露出する。
図7(b)に示すように、第2開封操作以降表示部8bは、食品包装体6を開封するときの二番目の操作(第2開封操作)を含む以降の開封操作の説明を表示するもので、印刷、ラベル貼付等の各種の形態が採られる。本実施形態においては、第2開封操作以降表示部8bは、外シート2の外面に印刷が施されて形成される。
【0045】
第2開封操作以降は、第2開封操作以降表示部8bに表示された内容を確認することにより、容易に把握することができる。第2開封操作として、
図8(a)に示すように、食品用包装材1を展開するとともに、食品5を第2内シート片31の上に載せる。次に、第3開封操作として、第1内シート片30の遊離片30aを摘み、遊離片30aを引っ張って、
図8(b)に示すように、第1内シート片30を外シート2から剥離する。これにより、シート状食品4の半分が露出する。
【0046】
次に、第4開封操作として、
図9(a)に示すように、食品5を露出したシート状食品4の上に移し替える。次に、第5開封操作として、第2内シート片31の内側部を摘み、内側部を引っ張って、第2内シート片31を外シート2から剥離する。これにより、
図9(b)に示すように、内シート3が除去された外シート2を手汚れ防止シートして、シート状食品4と一体化した食品5を食することができる。
【0047】
以上のとおり、本実施形態によれば、外シート2には、内シート3よりも剛性が高いシートが用いられる。詳しくは、外シート2には、内シート3よりも硬い異素材のシートや、内シート3よりも厚みがある異素材又は同素材のシート等であることで、内シート3よりも剛性が高いシートが用いられる。このため、本実施形態によれば、開封時における外シート2による食品保持性を向上することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、食品用包装材1の長手方向の端部の中央部は、端部接合部11が形成されておらず、食品用包装材1の内外を連通する未接合部11aとなっている。これにより、シート状食品4の収容部内に空気が入っているような場合であっても、空気は、食品用包装材1が折られるときに押し出されて未接合部11aから外部に抜けるようになっている。このため、本実施形態によれば、収容部内の空気による膨らみにより食品5を包装することが困難になるという不具合を防止することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、側部接合部12のみならず、端部接合部11(未接合部11aを封止するために形成される追加接合部11bを含む)も剥離可能である。このため、本実施形態によれば、開封後に外シート2を手汚れ防止シートとして使用する際、内シート3が外シート2の端部から垂れ下がって邪魔になるのを防止することができる。また、廃棄時、異素材である外シート2と内シート3とを分別して廃棄することが容易となる。
【0050】
また、本実施形態によれば、規制部13が設けられる。このため、本実施形態によれば、シート状食品4が収容部内で動き、食品5とシート状食品4との位置関係がずれるのを防止することができる。しかも、本実施形態によれば、規制部13は剥離可能である。このため、本実施形態によれば、規制部13が抵抗となることなく、内シート片30,31を容易に剥離、除去することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、端部接合部11及び側部接合部12に加え、封止部33が設けられる。そして、端部接合部11の未接合部11aに対し、後に封止部14が形成され、追加接合部11bが形成される。このため、本実施形態によれば、シート状食品4の収容部内を高気密にすることができ、シート状食品4が湿気るのを好適に防止することができる。
【0052】
しかも、本実施形態によれば、封止部33は、側部接合部12よりも幅が狭い帯状の接合部である。第1内シート片30を剥離する際、封止部33に対しては、直交する方向に力が加わるが、仮に封止部33の幅が太いと、大きな力が必要となり、そして、封止部33が剥離された後、急激に負荷が小さくなる。そうすると、この勢いで食品5が食品用包装材1から落ちて食べられなくなる事態が発生することが想定される。しかし、本実施形態によれば、このような不測の事態を防止することができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、外シート2には、紙シートが用いられる。このため、本実施形態によれば、プラスチックの使用量を削減することができる。近年は、廃棄プラスチックが全世界的な環境問題となっているが、本実施形態によれば、この環境問題に対し、有効な対策となる。
【0054】
また、本実施形態によれば、開封操作の補助として、第1開封操作表示部8a及び第2開封操作以降表示部8bが設けられる。このため、本実施形態によれば、開封操作を適切に理解し、適切な開封操作を行うことができる。しかも、本実施形態によれば、食品包装体の状態において、第2開封操作以降表示部8bは、隠れており、外からは見えない。このため、本実施形態によれば、商品としての美観を向上することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、食品包装体6の少なくとも1つの耳片10dは、封止されておらず、この耳片10d内は、食品包装体6の内外で連通している。このため、本実施形態によれば、電子レンジを用いて内部の食品5を加熱する場合、発生した蒸気を好適に外部に排出し、逃がすことができる。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0057】
上記実施形態においては、外シート2には、内シート3よりも剛性が高いシートとして、紙シートが用いられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。要は、内シートよりも硬い異素材のシートや、内シートよりも厚みがある異素材又は同素材のシート等であることで、高剛性となるシートでありさえすれば、各種のものを採用することができる。
【0058】
また、上記実施形態においては、端部接合部11及び側部接合部12の両方が剥離可能である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。側部接合部が剥離可能であることは必須であるが、端部接合部(及び追加接合部)が剥離可能であることは必須ではない。
【0059】
また、上記実施形態においては、規制部13は、シート状食品4の長手方向及び幅方向の両方の動きを規制するために設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、端部接合部又は側部接合部がシート状食品の外縁の近傍に位置する場合、その方向における規制部は不要となる。
【0060】
また、上記実施形態においては、内シート3の重ね合わせ部32に封止部33が設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。シート状食品4の収容部の気密性に問題がないのであれば、重ね合わせ部の封止部は必須ではない。
【0061】
また、上記実施形態においては、端部都合部11に未接合部11aが設けられ、未接合部11aに対し、後に封止部14が形成され、追加接合部11bが形成される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。包装時の食品用包装材1の折曲げ性に問題がないのであれば、未接合部は必須ではない。未接合部を設けるとしても、それは、食品用包装材の長手方向の両端部ではなく、一方の端部のみであってもよい。また、シート状食品4の収容部の気密性に問題がないのであれば、追加接合部は必須ではない。
【0062】
また、上記実施形態においては、食品用包装材1は、三角包装に用いられるものである。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、食品を挟んで長手方向に二つ折りにすること、両側の余分なシート片を重ねて袋状にすること及び開口を封止することにより、食品を包装する四角包装に用いるようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態においては、食品は、三角おにぎり(米飯加工食品)であり、シート状食品は、海苔である。しかし、包装対象の食品は、食品用包装材で包むことができる形であれば、おにぎり以外の米飯加工食品(たとえば、ピラフ、チャーハン、寿司等)や、米飯加工食品以外の食品(たとえば、饅頭等の和菓子、ケーキ等の洋菓子、パン、サンドイッチ、ハンバーガー等)であってもよく、食品の種類は、特に限定されるものではない。シート状食品も、食品用包装材の平面状の収容部に収容できる形であれば、シート状の昆布、畳鰯等であってもよく、シート状食品の種類は、特に限定されるものではない。
【0064】
また、包装対象の食品の形状も、特に限定されるものではない。たとえば、正面が三角形状ではなく、正面が円形状や四角形状の偏平な柱状であってもよい。また、ブロック状であってもよい。また、球状等、全面が連続した曲面状のものであってもよい。これらは一例にすぎず、要は、食品用包装材で包むことができる形であれば、どのような形状であってもよい。
【0065】
また、「三角形状」、「矩形状」、「長方形状」、「台形状」、「中央」、「中心」、「端部」、「側部」、「同じ」、「直交」、「上下」、「左右」、といった形状、部位又は状態又は方向を特定する用語は、本発明において、そのもののほか、それに近いないし類するという意味の「略」の概念も含むものである。
【符号の説明】
【0066】
1…食品用包装材、10…本体、10a…一端、10b…他端、10c…余分なシート片、10d…耳片、11…端部接合部、11a…未接合部、11b…追加接合部、12…側部接合部、13…規制部、14…封止部、2…外シート、3…内シート、30…第1内シート片、30a…遊離片、31…第2内シート片、32…重ね合わせ部、33…封止部、4…シート状食品、5…食品(三角おにぎり)、6…食品包装体、7…ラベル、7a…ラベル本体、7b…摘み部、8a…第1開封操作表示部、8b…第2開封操作以降表示部、9…ラベル