(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070616
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】医用寝台装置及びX線診断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/04 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
A61B6/04 332B
A61B6/04 332E
A61B6/04 332A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181231
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】秋山 真己
(72)【発明者】
【氏名】大橋 俊平
(72)【発明者】
【氏名】楢原 兼成
(72)【発明者】
【氏名】吉田 洋
(72)【発明者】
【氏名】平澤 正志
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093DA02
4C093EC16
4C093ED04
4C093ED05
4C093ED06
4C093ED07
4C093FA44
4C093FA54
4C093FA55
(57)【要約】
【課題】簡易な構成によって被検体の支持の安定性及び利便性を向上させること。
【解決手段】実施形態に係る医用寝台装置は、天板と、複数の支持部とを備える。天板は、被検体を支持する。複数の支持部は、天板の下方に設けられた底部を一端に支持し、天板を他端に支持する。支持部は、第1の軸と、第2の軸と、アクチュエータとを有する。第1の軸は、天板に対して回転可能に接続されている。第2の軸は、底部に対して回転可能に接続されている。アクチュエータは、第1の軸及び第2の軸に接続され、直動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を支持する天板と、
前記天板の下方に設けられた底部を一端に支持し、前記天板を他端に支持する複数の支持部と、を備え、
前記支持部は、前記天板に対して回転可能に接続された第1の軸と、前記底部に対して回転可能に接続された第2の軸と、前記第1の軸及び前記第2の軸に接続され、直動するアクチュエータとを有する、医用寝台装置。
【請求項2】
前記支持部の動作内容を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記複数の支持部のうちの少なくとも1つの支持部に含まれる前記第2の軸の回転を制御する、請求項1に記載の医用寝台装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの支持部に含まれる前記第2の軸を回転駆動する第2のアクチュエータを更に備え、
前記制御部は、前記第2のアクチュエータによる前記第2の軸の回転駆動を制御することで、前記少なくとも1つの支持部に含まれる前記第2の軸の回転を制御する、請求項2に記載の医用寝台装置。
【請求項4】
前記第1の軸は、前記天板に沿った軸方向を有し、
前記第2の軸は、前記第1の軸の軸方向に沿った軸方向を有する、請求項3に記載の医用寝台装置。
【請求項5】
前記第1の軸及び前記第2の軸のそれぞれは、前記天板に沿った第1の軸方向と、前記天板に沿って前記第1の軸方向に直交する第2の軸方向とを有し、
前記第2のアクチュエータは、前記第1の軸方向及び前記第2の軸方向を中心に前記少なくとも1つの支持部に含まれる前記第2の軸を回転駆動する、請求項4に記載の医用寝台装置。
【請求項6】
前記天板の動作を指定する入力操作を受け付ける入力部を更に備え、
前記制御部は、前記入力操作で指定された前記天板の動作に応じた内容で前記支持部が動作するように、前記アクチュエータの直動及び前記第2のアクチュエータによる前記第2の軸の回転駆動を制御する、請求項5に記載の医用寝台装置。
【請求項7】
前記第1の軸方向は、前記天板の長手方向に沿った軸方向であり、前記第2の軸方向は、前記天板の長手方向に直交する前記天板の横手方向に沿った軸方向であり、
前記入力部は、前記長手方向に前記天板を移動させる第1の動作の指定を受け付け、
前記制御部は、前記第1の動作の指定に応じて、前記複数の支持部が伸長するように前記アクチュエータの直動を制御し、かつ、前記第2の軸方向を中心に前記複数の支持部が回転するように、前記第2のアクチュエータによる前記第2の軸の回転駆動を制御する、請求項6に記載の医用寝台装置。
【請求項8】
前記支持部は、前記第1の動作が完了したときに、前記天板及び前記底部に対して垂直になるように配置されている、請求項7に記載の医用寝台装置。
【請求項9】
前記第1の軸方向は、前記天板の長手方向に沿った軸方向であり、前記第2の軸方向は、前記天板の長手方向に直交する前記天板の横手方向に沿った軸方向であり、
前記入力部は、前記横手方向に前記天板を移動させる第2の動作の指定を受け付け、
前記制御部は、前記第2の動作の指定に応じて、前記複数の支持部が伸長するように前記アクチュエータの直動を制御し、かつ、前記第1の軸方向を中心に前記複数の支持部が回転するように、前記第2のアクチュエータによる前記第2の軸の回転駆動を制御する、請求項6に記載の医用寝台装置。
【請求項10】
前記第1の軸方向は、前記天板の長手方向に沿った軸方向であり、前記第2の軸方向は、前記天板の長手方向に直交する前記天板の横手方向に沿った軸方向であり、
前記入力部は、前記天板に対して前記被検体を乗降させる第3の動作の指定を受け付け、
前記制御部は、前記第3の動作の指定に応じて、前記複数の支持部が短縮するように前記アクチュエータの直動を制御し、かつ、前記第2の軸方向を中心に前記複数の支持部が回転するように、前記第2のアクチュエータによる前記第2の軸の回転駆動を制御する、請求項6に記載の医用寝台装置。
【請求項11】
前記入力部は、前記天板の長手方向に対して上下方向に前記天板を傾斜させる第4の動作の指定を受け付け、
前記制御部は、前記第4の動作の指定に応じて、前記複数の支持部のうちの少なくとも1つの支持部が伸長し、かつ、前記複数の支持部のうちの前記少なくとも1つの支持部に対して前記天板の長手方向に間隔を空けて配置された他の支持部が伸長しないように、前記アクチュエータの直動を制御する、請求項6に記載の医用寝台装置。
【請求項12】
前記入力部は、前記天板の長手方向に直交する前記天板の横手方向に対して上下方向に前記天板を傾斜させる第5の動作の指定を受け付け、
前記制御部は、前記第5の動作の指定に応じて、前記複数の支持部のうちの少なくとも1つの支持部が伸長し、かつ、前記複数の支持部のうちの前記少なくとも1つの支持部に対して前記天板の横手方向に間隔を空けて配置された他の支持部が伸長しないように、前記アクチュエータの直動を制御する、請求項6に記載の医用寝台装置。
【請求項13】
前記第2のアクチュエータは、駆動源と、前記駆動源の駆動力を伝達させる伝達部材とを有し、
前記第1の軸は、前記アクチュエータの上端に接続され、前記天板に設けられた第1球面軸受内に回転可能に支持された第1球面ジョイントであり、
前記複数の支持部のうちの一部である少なくとも1つの支持部に含まれる前記第2の軸は、対応する前記アクチュエータの下端に接続され、前記伝達部材を介して前記駆動源の駆動力が伝達される被伝達部材であり、
前記複数の支持部のうちの前記少なくとも1つの支持部以外の支持部に含まれる前記第2の軸は、対応する前記アクチュエータの下端に接続され、前記底部に設けられた第2球面軸受内に回転可能に支持された第2球面ジョイントである、請求項3乃至12のいずれか1項に記載の医用寝台装置。
【請求項14】
前記第1の軸及び前記第2の軸のそれぞれは、前記第1の軸方向を有する第1軸部と、上下方向において前記第1軸部に隣り合い、前記第2の軸方向を有する第2軸部と、を有する、請求項5乃至12のいずれか1項に記載の医用寝台装置。
【請求項15】
前記第2のアクチュエータは、前記アクチュエータの直動方向に交差する方向に直動する、請求項3乃至12のいずれか1項に記載の医用寝台装置。
【請求項16】
X線を用いて被検体を撮像する撮像部と、
前記被検体が載置される医用寝台装置と、を備え、
前記医用寝台装置は、
前記被検体を支持する天板と、
前記天板の下方に設けられた底部を一端に支持し、前記天板を他端に支持する複数の支持部と、を有し、
前記支持部は、前記天板に対して回転可能に接続された第1の軸と、前記底部に対して回転可能に接続された第2の軸と、前記第1の軸及び前記第2の軸に接続され、直動するアクチュエータとを有する、X線診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用寝台装置及びX線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、X線診断装置においては、カテーテルを用いて被検体の循環器疾患を診断又は治療する際に、カテーテル寝台上に被検体を載置していた。被検体を支持し、かつ、操作者が被検体の目的の部位を撮像するために被検体の位置を変更できるようにするため、カテーテル寝台には多くの動作軸が備えられていた。
【0003】
しかしながら、従来のカテーテル寝台は、動作軸が多いことで、簡易な構成によって被検体の支持の安定性及び利便性を向上させることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、簡易な構成によって被検体の支持の安定性及び利便性を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記の課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用寝台装置は、天板と、複数の支持部とを備える。天板は、被検体を支持する。複数の支持部は、天板の下方に設けられた底部を一端に支持し、天板を他端に支持する。支持部は、第1の軸と、第2の軸と、アクチュエータとを有する。第1の軸は、天板に対して回転可能に接続されている。第2の軸は、底部に対して回転可能に接続されている。アクチュエータは、第1の軸及び第2の軸に接続され、直動する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を示す側面図。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る医用寝台装置の構成の一例を示す斜視図。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る医用寝台装置における上部軸及び直動アクチュエータの構成の一例を示す断面図。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る医用寝台装置における回転駆動アクチュエータ及び回転駆動アクチュエータで駆動される下部軸の構成の一例を示す斜視図。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る医用寝台装置における回転駆動アクチュエータで駆動されない下部軸の構成の一例を示す断面図。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る医用寝台装置の動作例を示すフローチャート。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る医用寝台装置の長手方向移動モードによる動作例を示す斜視図。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る医用寝台装置の横手方向移動モードによる動作例を示す斜視図。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る医用寝台装置の被検体乗降モードによる動作例を示す斜視図。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係る医用寝台装置の長手方向チルトモードによる動作例を示す斜視図。
【
図12】
図12は、第1の実施形態に係る医用寝台装置の横手方向チルトモードによる動作例を示す斜視図。
【
図13】
図13は、第2の実施形態に係る医用寝台装置の構成の一例を示す斜視図。
【
図14】
図14は、第3の実施形態に係る医用寝台装置の構成の一例を示す斜視図。
【
図15】
図15は、第4の実施形態に係る医用寝台装置の構成の一例を示す斜視図。
【
図16】
図16は、第4の実施形態の変形例に係る医用寝台装置の構成の一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、X線診断装置の実施形態について説明する。なお、以下においては、循環器用のX線診断装置の一例として1本のCアームを有するシングルプレーンのX線診断装置について説明するが、X線診断装置は、医用寝台装置を有するX線診断装置全般に適用することが可能である。例えば、X線診断装置は、2本のCアームを有するバイプレーンのX線診断装置、X線テレビ装置及びX線CT装置などに適用してもよい。また、以下の説明において、実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係るX線診断装置1は、撮像部2と、医用寝台装置3と、駆動部4と、X線高電圧装置5と、処理回路6と、入力インタフェース7と、出力インタフェース8と、記憶回路9とを備える。理解を容易にするため、以下の説明では、医用寝台装置3の長手方向をZ軸方向、鉛直方向をY軸方向、Z軸方向及びY軸方向に直交する方向をX軸方向と定義する。
【0010】
撮像部2は、X線を用いて被検体Pを撮像する装置である。撮像部2は、X線発生装置21と、X線検出器22と、保持装置23とを備える。
【0011】
X線発生装置21は、X線を発生させるように構成されている。具体的には。X線発生装置21は、被検体PにX線を照射するX線管21aと、X線管21aから照射されたX線を絞り込むためのX線絞り21bとを有する。
【0012】
X線管21aは、X線高電圧装置5からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。X線管21aでは、熱電子がターゲットに衝突することによりX線が発生される。X線管21aには、例えば、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。回転陽極型に限定されず、X線管21aの型式は、任意の型式を適用可能である。
【0013】
X線絞り21bは、X線管21aにおけるX線放射窓の前面に設けられる。X線絞り21bは、例えば、鉛などの金属板で構成された4枚の絞り羽根を有する。絞り羽根は、入力インタフェース7を介して操作者により入力された関心領域に応じて、図示しない駆動装置により駆動される。X線絞り21bは、駆動装置により絞り羽根をスライドさせることで、X線が遮蔽される領域を任意のサイズに調節する。調整された絞り羽根により、X線絞り21bは、開口領域外のX線を遮蔽する。これにより、X線絞り21bは、X線管21aが発生させたX線を、被検体Pの関心領域に照射されるように絞り込む。
【0014】
X線検出器22は、X線発生装置21(X線管21a)により発生されたX線を検出する。X線検出器22は、例えば、X線平面検出器(Flat Panel Detector:以下、FPDと呼ぶ)である。FPDは、例えば、複数の半導体検出素子を有する。半導体検出素子にはX線を直接的に電気信号に変換する直接変換形と、X線を蛍光体で光に変換し、その光を電気信号に変換する間接変換形とがある。FPDには、いずれの形式が用いられてもよい。X線の入射に伴って複数の半導体検出素子で発生された電気信号は、図示していないアナログディジタル変換器(Analog to Digital converter:以下、A/D変換器と呼ぶ)に出力される。A/D変換器は、電気信号をディジタルデータに変換する。A/D変換器は、ディジタルデータを、処理回路6に出力する。なお、X線検出器22として、イメージインテンシファイア(Image Intensifier)が用いられてもよい。
【0015】
保持装置23は、Cアーム231を備える。X線発生装置21及びX線検出器22は、Cアーム231により支持される。
図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成の一例を示す側面図である。より具体的には、
図2に示すように、保持装置23は、Cアーム231に加えて、更に、アームホルダ233と、スタンド235と、スタンド支持台237とを有する。
【0016】
Cアーム231は、半円弧状の形状を有し、一端にX線管21a及びX線絞り21bを支持し、他端にX線検出器22を支持する。X線管21aとX線検出器22とは、互いに対向するようにCアーム231に取り付けられている。Cアーム231は、X線管21aとX線検出器22との間の距離に相当する線源受像面間距離(Source Image Distance:以下、SIDと呼ぶ)を変更可能に、X線検出器22を支持する。すなわち、Cアーム231は、X線検出器22を、Y軸方向に沿った矢印b方向にスライド自在に支持する。X線検出器22は、駆動部4により駆動されて、矢印bに沿ってスライド移動する。X線検出器22をスライド移動させるため、駆動部4は、例えば、Cアーム231に設けられたモータ等の駆動源と、駆動源の駆動力をX線検出器22に伝達させる駆動力伝達部材とを有する。また、Cアーム231は、X線管21aにおいてX線が発生される焦点CとX線検出器22の中心部とを結ぶ直線を回転軸ax1として、回転軸ax1回りにX線発生装置21とX線検出器22とを回動自在に支持する。X線発生装置21及びX線検出器22は、駆動部4により駆動されて、回転軸ax1回りに矢印aのように回動する。回転軸ax1回りにX線発生装置21とX線検出器22とを回動させるため、駆動部4は、例えば、Cアーム231に設けられたモータ等の駆動源と、Cアーム231に設けられ、駆動源の駆動力をX線発生装置21及びX線検出器22に伝達させる駆動力伝達部材とを有する。
【0017】
アームホルダ233は、X線が最も集中して照射される部位であるアイソセンタISCを通り回転軸ax1と直交する直線を回転軸ax2として、Cアーム231をスライド自在に支持する。換言すると、アームホルダ233は、Cアーム231の円周方向に移動可能にCアーム231を支持する。Cアーム231は、駆動部4により駆動されて、回転軸ax2回りに矢印cのようにスライドする。回転軸ax2回りにCアーム231をスライドさせるため、駆動部4は、例えば、アームホルダ233に設けられたモータ等の駆動源と、駆動源の駆動力をCアーム231に伝達させる駆動力伝達部材とを有する。
【0018】
スタンド235は、アームホルダ233を支持する。より具体的には、スタンド235は、アイソセンタISCを通り回転軸ax1と回転軸ax2とに垂直な直線を回転軸ax3として、アームホルダ233を回動自在に支持する。アームホルダ233は、駆動部4により駆動されて、回転軸ax3回りに矢印dのように回動する。アームホルダ233を回動させるため、駆動部4は、スタンド235に設けられたモータ等の駆動源と、駆動源の駆動力をアームホルダ233に伝達させる駆動力伝達部材とを有する。
【0019】
スタンド支持台237は、スタンド235の下端部においてスタンド235を支持する。
【0020】
医用寝台装置3は、被検体Pを載置するための装置である。
図2及び
図3に示すように、医用寝台装置3は、天板31と、底部32と、支持部33と、回転駆動アクチュエータ34とを備える。回転駆動アクチュエータ34は、第2のアクチュエータの一例である。なお、
図2において、支持部33は簡略化して図示されている。
【0021】
天板31は、医用寝台装置3の上端部に位置する。天板31には、被検体Pが載置される。すなわち、天板31は、載置された被検体Pを支持する。天板31は、撮像部2に向かう長手方向を有する。すなわち、天板31は、
図3の矢印eに示すように、Z軸方向に沿った長手方向を有する。また、天板31は、
図3の矢印fに示すように、X軸方向に沿った横手方向を有する。
【0022】
底部32は、医用寝台装置3の下端部すなわち天板31の下方(すなわち、Y軸負方向)に位置する。
図3に示すように、底部32は、第1ベース部321と、第2ベース部322と、回転支持部323とを有する。第1ベース部321は、床面(XZ面)にほぼ平行な板状の部材であり、床面に対して上方(Y軸正方向)にわずかに離れて配置されている。第1ベース部321上には、支持部33及び回転駆動アクチュエータ34が配置されている。第2ベース部322は、床面に載置された板状の部材である。回転支持部323は、第1ベース部321と第2ベース部322との間に配置されている。回転支持部323は、Y軸方向に沿った軸回りに回転可能に、第1ベース部321と、第1ベース部321上の回転駆動アクチュエータ34と、支持部33と、天板31とを支持する。回転支持部323を中心とした医用寝台装置3の回転は、例えば、手動で行うことが可能である。
【0023】
支持部33は、移動可能に天板31を支持する。
図3に示すように、支持部33は、第1支持部331と、第2支持部332と、第3支持部333とを有する。第1支持部331、第2支持部332及び第3支持部333は、複数の支持部の一例である。以下、第1支持部331、第2支持部332及び第3支持部333のことを、まとめて支持部331~333と呼ぶこともある。支持部331~333は、天板31の下方に設けられた底部32を下端(一端)に支持し、天板31を上端(他端)に支持する。
【0024】
図3に示される例において、第1支持部331は、天板31の横手方向における中心位置に配置されている。第2支持部332及び第3支持部333は、第1支持部331に対して長手方向に間隔を空けて配置されている。第2支持部332と第3支持部333とは、長手方向における同一位置に配置されていてもよい。第2支持部332と第3支持部333とは、互いに天板31の横手方向に間隔を空けて配置されている。第2支持部332と第3支持部333との中間点は、天板31の横手方向の中心位置にあってもよい。このように、3つの支持部331~333を天板31の長手方向及び横手方向に間隔を空けて配置することで、安定的に天板31を三点支持することが可能となる。
【0025】
支持部331~333は、それぞれ、上部軸331a,332a,333aと、下部軸331b,332b,333bと、直動アクチュエータ331c,332c,333cとを有する。上部軸331a,332a,333aは、第1の軸の一例である。下部軸331b,332b,333bは、第2の軸の一例である。直動アクチュエータ331c,332c,333cは、アクチュエータの一例である。
【0026】
上部軸331a,332a,333aは、天板31に対して回転可能に接続されている。下部軸331b,332b,333bは、底部32に対して回転可能に接続されている。直動アクチュエータ331c,332c,333cは、上部軸331a,332a,333a及び下部軸331b,332b,333bに接続され、支持部331~333を直線駆動すなわち線形駆動するアクチュエータである。直動アクチュエータ331c,332c,333cは、自らが直動すなわち伸縮することで、支持部331~333を直線駆動する。直動アクチュエータ331c,332c,333cの軸方向は、天板31に交差する。
図3に示される例において、直動アクチュエータ331c,332c,333cは、それぞれ、円筒状の固定部33aと、少なくとも部分的に固定部33a内に収容された棒状の可動部33bとを有する。直動アクチュエータ331c,332c,333cは、固定部33aに沿って可動部33bが移動することで直動する。直動アクチュエータ331c,332c,333cは、例えば、モータで駆動される。モータで駆動されることに限定されず、例えば、直動アクチュエータ331c,332c,333cは、油圧で駆動されてもよい。直動アクチュエータ331c,332c,333cによって伸長方向に支持部331~333が駆動されると、支持部331~333の上端に支持された天板31は、上方側に押し上げられる。一方、直動アクチュエータ331c,332c,333cによって短縮方向に支持部331~333が駆動されると、支持部331~333の上端に支持された天板31は、下方側に引き下げられる。
【0027】
上部軸331a,332a,333aは、天板31に沿った軸方向を有する。下部軸331b,332b,333bは、上部軸331a,332a,333aの軸方向に沿った軸方向を有する。例えば、上部軸331a,332a,333a及び下部軸331b,332b,333bのそれぞれは、天板31に沿った第1の軸方向と、天板31に沿って第1の軸方向に直交する第2の軸方向とを有する。
図3に示される例において、第1の軸方向は、天板31の長手方向に沿った軸方向(すなわち、Z軸方向)である。また、第2の軸方向は、天板31の長手方向に直交する天板31の横手方向に沿った軸方向(すなわち、X軸方向)である。
【0028】
回転駆動アクチュエータ34は、第1支持部331に含まれる下部軸331bに対応して設けられている。回転駆動アクチュエータ34は、第1支持部331に含まれる下部軸331bを回転駆動するアクチュエータである。回転駆動アクチュエータ34は、第1の軸方向及び第2の軸方向を中心に第1支持部331に含まれる下部軸331bを回転駆動する。
図3に示される例において、回転駆動アクチュエータ34は、天板31の長手方向に沿った軸方向及び天板31の横手方向に沿った軸方向を中心に下部軸331bを回転駆動する。なお、回転駆動アクチュエータ34は、第2支持部332に含まれる下部軸332b及び第3支持部333に含まれる下部軸333bは回転駆動しない。これらの下部軸332b,333bは、第1支持部331に含まれる下部軸331bの回転駆動にともなって従動回転される。
【0029】
図4は、第1の実施形態に係る医用寝台装置3における上部軸331a及び直動アクチュエータ331cの構成の一例を示す断面図である。
図3及び
図4に示される例において、上部軸331a,332a,333aは、直動アクチュエータ331c,332c,333cの上端に接続(すなわち、固定)され、天板31に設けられた第1球面軸受311a内に回転可能に支持された第1球面ジョイントである。なお、第1球面軸受311aは、天板31に設けられた軸受形成部311に形成されている。軸受形成部311は、天板31自体であってもよい。上部軸331a,332a,333aと第1球面軸受311aとの間には、ベアリングまたは潤滑剤が配置されていてもよい。
【0030】
図5は、第1の実施形態に係る医用寝台装置3における回転駆動アクチュエータ34及び回転駆動アクチュエータ34で駆動される下部軸331bの構成の一例を示す斜視図である。
図5に示される例において、第1支持部331に含まれる下部軸331bは、直動アクチュエータ331c下端に接続(すなわち、固定)された球状ギアである。球状ギアは、被伝達部材の一例である。球状ギアは、例えば、平歯車の輪郭を平歯車の第1の直径方向の軸回り及び第2の直径方向の軸回りにそれぞれ回転させることで取得されるギア形状を有する。また、
図5に示される例において、回転駆動アクチュエータ34は、第1アクチュエータ部341と、第2アクチュエータ部342とを有する。第1アクチュエータ部341は、天板31の長手方向に沿った軸方向を中心に下部軸331bを回転駆動する。第2アクチュエータ部342は、天板31の横手方向に沿った軸方向を中心に下部軸331bを回転駆動する。第1アクチュエータ部341は、第1モータ3411と、第1モータ3411の駆動力を下部軸331bに伝達させる第1ギア3412とを有する。第2アクチュエータ部342は、第2モータ3421と、第2モータ3421の駆動力を下部軸331bに伝達させる第2ギア3422とを有する。第1モータ3411及び第2モータ3421は駆動源の一例である。第1ギア3412および第2ギア3422は、伝達部材の一例である。第1ギア3412及び第2ギア3422のそれぞれは、球状ギアで構成された下部軸331bと噛み合っている。なお、第1モータ3411と第1ギア3412との間及び第2モータ3421と第2ギア3422との間には、他のギアが介在されていてもよい。
【0031】
図5に示される例において、第1モータ3411が回転駆動されると、第1モータ3411の駆動力が第1ギア3412に伝達されて、天板31の長手方向に沿った軸回り(すなわち、Z軸回り)に第1ギア3412が回転される。第1ギア3412が回転すると、第1ギア3412の回転力が下部軸331bに伝達される。すなわち、下部軸331bには、第1ギア3412を介して第1モータ3411の駆動力が伝達される。第1モータ3411の駆動力が伝達されることで、下部軸331bは、天板31の長手方向に沿った軸回りに回転駆動される。天板31の長手方向に沿った軸回りに下部軸331bが回転駆動されると、下部軸331bを含む第1支持部331全体が、下部軸331bと同方向に回転駆動される。天板31の長手方向に沿った軸回りの第1支持部331の回転駆動は、第1支持部331に接続された天板31と、天板31に接続された第2、第3支持部332,333と、第2、第3支持部332,333に接続された下部軸332b,333bとに伝達される。これにより、天板31の長手方向に沿った軸回りの第1支持部331の回転駆動は、第1支持部331と同方向への天板31、第2、第3支持部332,333及び下部軸332b,333bの回転を生じさせる。
【0032】
また、第2モータ3421が回転駆動されると、第2モータ3421の駆動力が第2ギア3422に伝達されて、天板31の横手方向に沿った軸回り(すなわち、X軸回り)に第2ギア3422が回転される。第2ギア3422が回転すると、第2ギア3422の回転力が下部軸331bに伝達される。すなわち、下部軸331bには、第2ギア3422を介して第2モータ3421の駆動力が伝達される。第2モータ3421の駆動力が伝達されることで、下部軸331bは、天板31の横手方向に沿った軸回りに回転駆動される。天板31の横手方向に沿った軸回りに下部軸331bが回転駆動されると、下部軸331bを含む第1支持部331全体が、下部軸331bと同方向に回転駆動される。天板31の横手方向に沿った軸回りの第1支持部331の回転駆動は、第1支持部331に接続された天板31と、天板31に接続された第2、第3支持部332,333と、第2、第3支持部332,333に接続された下部軸332b,333bとに伝達される。これにより、天板31の横手方向に沿った軸回りの第1支持部331の回転駆動は、第1支持部331と同方向への天板31、第2、第3支持部332,333及び下部軸332b,333bの回転を生じさせる。
【0033】
なお、第1ギア3412は、第1モータ3411と異なるモータによって天板31の横手方向に沿った軸回りにも回転可能であってもよい。また、第2ギア3422は、第2モータ3421と異なるモータによって天板31の長手方向に沿った軸回りにも回転可能であってもよい。
【0034】
図6は、第1の実施形態に係る医用寝台装置3における回転駆動アクチュエータ34で駆動されない下部軸332bの構成の一例を示す断面図である。
図6に示される例において、第2支持部332の下部軸332bは、直動アクチュエータ332cの下端に接続(すなわち、固定)され、底部32に設けられた第2球面軸受324a内に回転可能に支持された第2球面ジョイントである。なお、第2球面軸受324aは、底部32の第1ベース部321に設けられた軸受形成部324に形成されている。軸受形成部324は、第1ベース部321自体であってもよい。また、図示はしないが、第3支持部333の下部軸333bも、第2支持部332の下部軸332bと同様の構成を有している。第2支持部332及び第3支持部333は、第1支持部331の回転駆動にしたがって、下部軸332b,333bを中心に第1支持部331と同方向に従動回転する。
【0035】
図1に戻って、駆動部4は、撮像部2及び医用寝台装置3を駆動する。具体的には、駆動部4は、処理回路6による制御の下で、直動アクチュエータ331c,332c,333cと、回転駆動アクチュエータ34と、Cアーム231の各回転方向の駆動源と、X線発生装置21の駆動源と、X線検出器22の駆動源とを駆動する。
【0036】
X線高電圧装置5は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路と、高電圧発生装置と、X線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、X線管21aに印加する高電圧及びX線管21aに供給するフィラメント電流を発生する機能を有する。X線制御装置は、X線管21aが照射するX線に応じた出力電圧の制御を行う。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置5は、保持装置23に設けられてもよい。
【0037】
入力インタフェース7は、操作者から各種の指示及び情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インタフェース7は、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換して処理回路6に出力する。入力インタフェース7は、天板31の動作を指定する入力操作を受け付ける入力部の一例である。例えば、入力インタフェース7は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、入力インタフェース7は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース7の例に含まれる。
【0038】
出力インタフェース8は、各種の情報を出力する。例えば、出力インタフェース8は、ディスプレイを備える。ディスプレイは、処理回路6から送られる情報及び画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。ディスプレイは、液晶モニタ、CRT(Cathode Ray Tube)モニタ、及び、タッチパネル等によって実現される。出力インタフェース8は、スピーカを備えていてもよい。
【0039】
記憶回路9は、種々の情報を記憶する非一過性の記憶装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、光ディスク、SSD(Solid State Drive)、及び集積回路記憶装置等である。記憶回路9は、例えば、X線診断装置1を制御する制御プログラムと、この制御プログラムの実行に用いられる各種のデータとを記憶する。記憶回路9は、HDD及びSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体、或いはRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。
【0040】
処理回路6は、入力インタフェース7から入力される入力操作の電気信号に応じて、X線診断装置1全体の動作を制御する回路である。例えば、処理回路6は、撮像制御機能61と、支持部動作制御機能62と、動作内容取得機能63と、駆動アクチュエータ決定機能64と、アクチュエータ駆動指令機能65とを備える。支持部動作制御機能62は、制御部の一例である。
【0041】
ここで、例えば、
図1に示す処理回路6の構成要素である撮像制御機能61、支持部動作制御機能62、動作内容取得機能63、駆動アクチュエータ決定機能64、及びアクチュエータ駆動指令機能65が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路9に記録されている。処理回路6は、例えば、プロセッサである。処理回路6を構成するプロセッサは、記憶回路9から各プログラムを読み出し、実行することで読み出した各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路6は、
図1の処理回路6内に示された各機能を有することとなる。
【0042】
なお、
図1においては、撮像制御機能61、支持部動作制御機能62、動作内容取得機能63、駆動アクチュエータ決定機能64、及びアクチュエータ駆動指令機能65の各処理機能が単一の処理回路6によって実現される場合を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、処理回路6は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路6が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0043】
撮像制御機能61は、例えば、入力インタフェース7を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、撮像部2による被検体Pの撮像動作を制御する。撮像制御機能61は、駆動部4、X線高電圧装置5、X線発生装置21、出力インタフェース8等を制御することで、被検体Pの撮像動作を制御する。より具体的には、撮像制御機能61は、記憶回路9に記憶されている制御プログラムを読み出して処理回路6内のメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってX線診断装置1の各部を制御する。また、撮像制御機能61は、X線検出器22からの出力に基づいて画像データを生成する。画像データは、被検体Pに関する透視画像や撮影画像を含む医用画像のデータである。撮像制御機能61は、生成された画像データを出力インタフェース8に表示させる。
【0044】
支持部動作制御機能62は、支持部331~333の動作内容を制御する。具体的には、支持部動作制御機能62は、第1支持部331に含まれる下部軸331bの回転を制御することで、支持部331~333の動作内容を制御する。より具体的には、支持部動作制御機能62は、回転駆動アクチュエータ34による下部軸331bの回転駆動を制御することで、下部軸331bの回転を制御する。さらに具体的には、支持部動作制御機能62は、入力インタフェース7を介した入力操作で指定された天板31の動作に応じた内容で支持部331~333が動作するように、直動アクチュエータ331c,332c,333cの直動及び回転駆動アクチュエータ34による下部軸331bの回転駆動を制御する。
【0045】
図1に示される例において、支持部動作制御機能62は、動作内容取得機能63、駆動アクチュエータ決定機能64及びアクチュエータ駆動指令機能65を制御することで、第1支持部331に含まれる下部軸331bの回転を制御する。具体的には、動作内容取得機能63は、支持部動作制御機能62の制御の下で、入力インタフェース7を介した入力操作で指定された天板31の動作内容を取得する。駆動アクチュエータ決定機能64は、支持部動作制御機能62の制御の下で、指定された動作内容に応じて、駆動対象のアクチュエータ331c,332c,333c,34と、駆動対象のアクチュエータ331c,332c,333c,34の駆動量とを決定する。アクチュエータ駆動指令機能65は、支持部動作制御機能62の制御の下で、決定された駆動対象のアクチュエータ331c,332c,333c,34を決定された駆動量で駆動するための駆動指令を出力する。駆動部4は、アクチュエータ駆動指令機能65から出力された駆動指令にしたがって、駆動対象のアクチュエータ331c,332c,333c,34を指定された駆動量で駆動する。
【0046】
次に、以上のように構成された第1の実施形態に係る医用寝台装置3の動作例について説明する。
図7は、第1の実施形態に係る医用寝台装置3の動作例を示すフローチャートである。先ず、
図7に示すように、動作内容取得機能63は、支持部動作制御機能62の制御の下で、入力インタフェース7を介した入力操作で指定された天板31の動作内容を取得する(ステップS1)。
【0047】
天板31の動作内容は、例えば、天板31の長手方向(すなわち、Z軸方向)に天板31を移動させる長手方向移動モードを含む。長手方向移動モードは、第1の動作の一例である。また、天板31の動作内容は、例えば、天板31の横手方向(すなわち、X軸方向)に天板31を移動させる横手方向移動モードを含む。横手方向移動モードは、第2の動作の一例である。また、天板31の動作内容は、例えば、天板31に対して被検体Pを乗降させる被検体乗降モードを含む。被検体乗降モードは、第3の動作の一例である。また、天板31の動作内容は、例えば、天板31の長手方向に対して上下方向(すなわち、Y軸方向)に天板31を傾斜させる長手方向チルトモードを含む。長手方向チルトモードは、第4の動作の一例である。また、天板31の動作内容は、例えば、天板31の横手方向に対して上下方向に天板31を傾斜させる横手方向チルトモードを含む。横手方向チルトモードは、第5の動作の一例である。
【0048】
天板31の動作内容が取得された後に、駆動アクチュエータ決定機能64は、支持部動作制御機能62の制御の下で、指定された動作内容に応じて、駆動対象のアクチュエータ331c,332c,333c,34と、駆動対象のアクチュエータ331c,332c,333c,34の駆動量とを決定する(ステップS2)。このとき、駆動アクチュエータ決定機能64は、記憶回路9に記憶されている天板31の動作内容と駆動対象のアクチュエータ及び駆動量との対応表に基づいて、指定された動作内容に対応する駆動対象のアクチュエータ及び駆動量を一義的に決定してもよい。
【0049】
ここで、長手方向移動モードが指定された場合、駆動アクチュエータ決定機能64は、駆動対象のアクチュエータとして、例えば、直動アクチュエータ331c,332c,333c及び回転駆動アクチュエータ34の第2アクチュエータ部342を決定する。また、駆動アクチュエータ決定機能64は、駆動対象のアクチュエータの駆動量として、例えば、直動アクチュエータ331c,332c,333cが伸長する方向の駆動量を決定する。なお、理解を容易にするために、ここで述べる駆動量の例は、
図3に示すように、天板31に対して支持部331~333が垂直な状態のときの直動アクチュエータ331c,332c,333cの直動位置及び回転駆動アクチュエータ34の回転位置を基準(駆動量:ゼロ)としている。このことは、以下に述べる他の移動モードの場合も同様である。また、駆動アクチュエータ決定機能64は、駆動対象のアクチュエータの駆動量として、例えば、第2アクチュエータ部342が天板31の横手方向に沿った軸方向を中心に下部軸331bを回転駆動する駆動量を決定する。第2アクチュエータ部342の駆動量は、例えば、天板31を長手方向における撮像部2側に移動させることが可能な駆動量である。
【0050】
また、横手方向移動モードが指定された場合、駆動アクチュエータ決定機能64は、駆動対象のアクチュエータとして、例えば、直動アクチュエータ331c,332c,333c及び回転駆動アクチュエータ34の第1アクチュエータ部341を決定する。また、駆動アクチュエータ決定機能64は、駆動対象のアクチュエータの駆動量として、例えば、直動アクチュエータ331c,332c,333cが伸長する方向の駆動量を決定する。また、駆動アクチュエータ決定機能64は、駆動対象のアクチュエータの駆動量として、例えば、第1アクチュエータ部341が天板31の長手方向に沿った軸方向を中心に下部軸331bを回転駆動する駆動量を決定する。
【0051】
また、被検体乗降モードが指定された場合、駆動アクチュエータ決定機能64は、駆動対象のアクチュエータとして、例えば、直動アクチュエータ331c,332c,333c及び回転駆動アクチュエータ34の第2アクチュエータ部342を決定する。また、駆動アクチュエータ決定機能64は、駆動対象のアクチュエータの駆動量として、例えば、直動アクチュエータ331c,332c,333cが短縮する方向の駆動量を決定する。また、駆動アクチュエータ決定機能64は、駆動対象のアクチュエータの駆動量として、例えば、第2アクチュエータ部342が天板31の横手方向に沿った軸方向を中心に下部軸331bを回転駆動する駆動量を決定する。第2アクチュエータ部342の駆動量は、例えば、天板31を長手方向における撮像部2の反対側に移動させることが可能な駆動量である。
【0052】
また、長手方向チルトモードが指定された場合、駆動アクチュエータ決定機能64は、駆動対象のアクチュエータとして、例えば、直動アクチュエータ331c,332c,333cを決定する。また、駆動アクチュエータ決定機能64は、駆動対象のアクチュエータの駆動量として、例えば、第1支持部331の直動アクチュエータ331cが伸長する方向の駆動量を決定する。また、駆動アクチュエータ決定機能64は、第1支持部331に対して天板31の長手方向に間隔を空けて配置された第2支持部332及び第3支持部333の直動アクチュエータ332c,333cが短縮する(すなわち、伸長しない)方向の駆動量を決定する。
【0053】
また、横手方向チルトモードが指定された場合、駆動アクチュエータ決定機能64は、駆動対象のアクチュエータとして、例えば、第2支持部332の直動アクチュエータ332c及び第3支持部333の直動アクチュエータ333cを決定する。また、駆動アクチュエータ決定機能64は、駆動対象のアクチュエータの駆動量として、例えば、第2支持部332の直動アクチュエータ332cが短縮する(すなわち、伸長しない)方向の駆動量と、第2支持部332に対して天板31の横手方向に間隔を空けて配置された第3支持部333の直動アクチュエータ333cが伸長する方向の駆動量とを決定する。
【0054】
駆動対象のアクチュエータ及び駆動量が決定された後、
図7に示すように、アクチュエータ駆動指令機能65は、支持部動作制御機能62の制御の下で、決定された駆動量で駆動対象のアクチュエータを駆動する駆動指令を駆動部4に出力する(ステップS3)。
【0055】
駆動指令が出力された後、駆動部4は、駆動指令にしたがって、駆動対象のアクチュエータ331c,332c,333c,34を指定された駆動量で駆動する(ステップS4)。
【0056】
図8は、第1の実施形態に係る医用寝台装置3の長手方向移動モードによる動作例を示す斜視図である。理解を容易にするため、
図8は、天板31が
図3の状態から長手方向移動モードによる移動を完了した状態を示している。例えば、長手方向移動モードにおいて、駆動部4は、
図3の状態から
図8の矢印g1に示す伸長方向に直動アクチュエータ331c,332c,333cを駆動する。また、駆動部4は、
図3の状態から
図8の矢印i1に示す方向に回転駆動アクチュエータ34の第2アクチュエータ部342を回転駆動する。このような直動アクチュエータ331c,332c,333cの伸長と第2アクチュエータ部342の回転との複合動作により、医用寝台装置3は、簡易な構成でありながら、
図3の状態から
図8の矢印e1に示す長手方向における撮像部2側に適切に天板31を移動させることができる。また、天板31が長手方向移動モードによる移動位置に移動しても、天板31と天板31を支持する支持部331~333の上端(すなわち、上部軸331a,332a,333a)との相対的な位置関係は変化しない。このため、医用寝台装置3は、長手方向移動モードによる天板31の移動位置において安定的に天板31及び天板31上の被検体Pを支持することができる。安定的に被検体Pを支持することができるため、長手方向移動モードによる天板31の移動位置において、カテーテル手技だけでなく緊急時の心肺蘇生法(CPR)を被検体Pに施すこともできる。
【0057】
図9は、第1の実施形態に係る医用寝台装置3の横手方向移動モードによる動作例を示す斜視図である。理解を容易にするため、
図9は、天板31が
図3の状態から横手方向移動モードによる移動を完了した状態を示している。例えば、横手方向移動モードにおいて、駆動部4は、
図3の状態から
図9の矢印g1に示す伸長方向に直動アクチュエータ331c,332c,333cを駆動する。また、駆動部4は、
図3の状態から
図9の矢印h1に示す方向に回転駆動アクチュエータ34の第1アクチュエータ部341を回転駆動する。このような直動アクチュエータ331c,332c,333cの伸長と第1アクチュエータ部341の回転との複合動作により、医用寝台装置3は、簡易な構成でありながら、
図3の状態から
図9の矢印f1に示す横手方向に適切に天板31を移動することができる。また、天板31が横手方向移動モードによる移動位置に移動しても、天板31と天板31を支持する支持部331~333の上端との相対的な位置関係は変化しない。このため、医用寝台装置3は、横手方向移動モードによる天板31の移動位置において安定的に天板31及び天板31上の被検体Pを支持することができる。安定的に被検体Pを支持することができるため、横手方向移動モードによる天板31の移動位置において、カテーテル手技だけでなく緊急時のCPRを被検体Pに施すこともできる。また、手技者及び被検体P(手技者等)の都合上、横手方向移動モードによる天板31の移動が求められる場合に有効に対応することができる。
【0058】
図10は、第1の実施形態に係る医用寝台装置3の被検体乗降モードによる動作例を示す斜視図である。理解を容易にするため、
図10は、天板31が
図3の状態から被検体乗降モードによる移動を完了した状態を示している。例えば、被検体乗降モードにおいて、駆動部4は、
図3の状態から
図10の矢印g2に示す短縮方向に直動アクチュエータ331c,332c,333cを駆動する。また、駆動部4は、
図3の状態から
図10の矢印i2に示す方向に回転駆動アクチュエータ34の第2アクチュエータ部342を回転駆動する。このような直動アクチュエータ331c,332c,333cの短縮と第2アクチュエータ部342の回転との複合動作により、医用寝台装置3は、簡易な構成でありながら、
図3の状態から被検体Pの乗降が容易である十分に低い高さまで天板31を下降させることができる。なお、天板31に対する被検体Pの乗降は、被検体Pが自ら乗降する場合と補助者が被検体Pを乗降させる場合との双方を含む。
【0059】
図11は、第1の実施形態に係る医用寝台装置3の長手方向チルトモードによる動作例を示す斜視図である。理解を容易にするため、
図11は、天板31が
図3の状態から長手方向チルトモードによる移動を完了した状態を示している。例えば、長手方向チルトモードにおいて、駆動部4は、
図3の状態から
図11の矢印g1に示す伸長方向に第1支持部331の直動アクチュエータ331cを駆動する。また、駆動部4は、
図3の状態から
図11の矢印g2に示す短縮方向に第2支持部332の直動アクチュエータ332c及び第3支持部333の直動アクチュエータ333cを駆動する。このような直動アクチュエータ331cの伸長と直動アクチュエータ332c,333cの短縮との複合動作により、医用寝台装置3は、簡易な構成でありながら、
図3の状態から長手方向に対して上下方向に適切に天板31を傾斜させることができる。長手方向に対して上下方向に適切に天板31を傾斜させることができるため、例えば、カテーテル手技と外科手術とのハイブリッド手技を行う場合等において、被検体Pの体位の変更及び手技者の視野の確保を容易に行うことができる。また、天板31が長手方向チルトモードによる移動位置に移動しても、天板31と天板31を支持する支持部331~333の上端との相対的な位置関係は変化しない。このため、医用寝台装置3は、長手方向チルトモードによる天板31の移動位置において安定的に天板31及び天板31上の被検体Pを支持することができる。なお、長手方向チルトモードによる天板31の移動は、長手方向移動モードによる天板31の移動の後に行ってもよい。
【0060】
図12は、第1の実施形態に係る医用寝台装置3の横手方向チルトモードの動作例を示す斜視図である。理解を容易にするため、
図12は、天板31が
図3の状態から横手方向チルトモードによる移動を完了した状態を示している。例えば、横手方向チルトモードにおいて、駆動部4は、
図3の状態から
図12の矢印g2に示す短縮方向に第2支持部332の直動アクチュエータ332cを駆動する。また、駆動部4は、
図3の状態から
図12の矢印g1に示す伸長方向に第3支持部333の直動アクチュエータ333cを駆動する。このような直動アクチュエータ332cの短縮と直動アクチュエータ333cの伸長との複合動作により、医用寝台装置3は、簡易な構成でありながら、
図3の状態から横手方向に対して上下方向に適切に天板31を傾斜させることができる。横手方向に対して上下方向に適切に天板31を傾斜させることができるため、例えば、カテーテル手技と外科手術とのハイブリッド手技を行う場合等において、被検体Pの体位の変更及び手技者の視野の確保を容易に行うことができる。また、天板31が横手方向チルトモードによる移動位置に移動しても、天板31と天板31を支持する支持部331~333の上端との相対的な位置関係は変化しない。このため、医用寝台装置3は、横手方向チルトモードによる天板31の移動位置において安定的に天板31及び天板31上の被検体Pを支持することができる。なお、横手方向チルトモードによる天板31の移動は、横手方向移動モードによる天板31の移動の後に行ってもよい。
【0061】
以上説明したように、第1の実施形態に係る医用寝台装置3は、天板31の下方に設けられた底部32を下端に支持し、天板31を上端に支持する複数の支持部331~333を備える。支持部331~333は、天板31に対して回転可能に接続された上部軸331a,332a,333aと、底部32に対して回転可能に接続された下部軸331b,332b,333bと、上部軸331a,332a,333a及び下部軸331b,332b,333bに接続され、直動する直動アクチュエータ331c,332c,333cとを有する。
【0062】
ここで、従来の医用寝台装置は、天板を上下方向に移動させるために、アクチュエータを有する上下駆動機構を備えていた。また、従来の医用寝台装置は、アクチュエータによって天板を水平方向に移動させるために、上下駆動機構の上に、多くの水平方向の動作軸を備えていた。このように、従来の医用寝台装置は、天板を移動させるためにサイズが大きい複雑な構成を要していた。これに対して、第1の実施形態に係る医用寝台装置3では、下部軸331bを駆動軸として回転可能に支持された直動アクチュエータ331c,332c,333cが、上下方向及び水平方向の動作軸を兼ねることができる。これにより、第1の実施形態に係る医用寝台装置3によれば、構成を簡素化することができる。
【0063】
また、従来の医用寝台装置は、長手方向における撮像部側に天板を移動させると、天板の移動方向の先端部と天板の支持部との距離が大きくなっていた。これにより、従来の医用寝台装置は、長手方向における撮像部側への天板の移動状態において、天板の先端部側の強度が弱くなって天板が撓みやすかった。天板が撓みやすかったため、従来の医用寝台装置は、被検体Pの支持の安定性を向上させることが困難であった。また、長手方向における撮像部側への移動状態において被検体Pを安定的に支持することが困難であったため、従来の医用寝台装置は、天板の強度が求められるCPRを施す際に、長手方向における支持部側に天板を戻す必要があった。このため、従来の医用寝台装置は、被検体Pの支持の利便性及びCPRの迅速性を向上させることが困難であった。これに対して、第1の実施形態に係る医用寝台装置3によれば、天板31を支持する支持部331~333の上端(すなわち、上部軸331a,332a,333a)と天板31との位置関係を維持したまま、天板31を長手方向移動モードによる移動位置まで移動させることができる。これにより、長手方向移動モードによる移動位置においても、天板31を撓ませずに被検体Pを安定的に支持することができる。長手方向移動モードによる移動位置において被検体Pを安定的に支持することができるため、天板31を戻すことなく長手方向移動モードによる移動位置においてCPRを施すことができる。これにより、第1の実施形態に係る医用寝台装置3によれば、被検体Pの支持の利便性及びCPRの迅速性を向上させることができる。
【0064】
また、従来の医用寝台装置は、上下駆動機構の上に水平方向の動作軸を備えていたため、天板の高さが、上下駆動機構及び水平方向の動作軸の上下方向のサイズに依存していた。このため、従来の医用寝台装置は、被検体を天板に乗降させるのが容易な十分な低さまで天板を下降させることが困難であった。これに対して、第1の実施形態に係る医用寝台装置3では、直動アクチュエータ331c,332c,333cの上部には、サイズが大きな構成部は存在せず、また、支持部331~333を回転させることができる。このため、支持部331~333に支持された天板31を、被検体Pの乗降が容易な十分な低さまで下降させることができる。これにより、被検体Pの支持の利便性を更に向上させることができる。
【0065】
したがって、第1の実施形態に係る医用寝台装置3によれば、簡易な構成で被検体Pの支持の安定性および利便性を向上させることができる。
【0066】
また、第1の実施形態では、支持部動作制御機能62が、下部軸331bの回転を制御することで、支持部33の動作内容を制御する。
【0067】
これにより、簡易な構成によって天板31の移動を適切に制御することができる。
【0068】
また、第1の実施形態では、支持部動作制御機能62が、回転駆動アクチュエータ34による下部軸331bの回転駆動を制御することで、下部軸331bの回転を制御する。
【0069】
これにより、より簡易な構成によって天板31の移動を適切に制御することができる。
【0070】
また、第1の実施形態では、上部軸331a,332a,333aが、天板31の長手方向に沿った軸方向と、天板31の横手方向に沿った軸方向とを有する。また、下部軸331b,332b,333bも、天板31の長手方向に沿った軸方向と、天板31の横手方向に沿った軸方向とを有する。また、回転駆動アクチュエータ34は、天板31の長手方向に沿った軸方向及び天板31の横手方向に沿った軸方向を中心に下部軸331bを回転駆動する。
【0071】
これにより、簡易な構成により、天板31の長手方向及び横手方向に沿って適切に天板31を移動させることができる。
【0072】
また、第1の実施形態では、支持部動作制御機能62が、入力操作で指定された天板の動作に応じた内容で支持部331~333が動作するように、直動アクチュエータ331c,332c,333cの直動及び回転駆動アクチュエータ34による下部軸331bの回転駆動を制御する。
【0073】
これにより、操作者が所望する内容で天板31を動作させることができるので、利便性を更に向上させることができる。
【0074】
また、第1の実施形態では、回転駆動アクチュエータ34が、第1モータ3411と、第2モータ3421と、第1ギア3412と、第2ギア3422とを有する。また、上部軸331a,332a,333aは、直動アクチュエータ331c,332c,333cの上端に接続され、天板31に設けられた第1球面軸受311a内に回転可能に支持された第1球面ジョイントである。また、第1支持部331の下部軸331bは、第1支持部331の直動アクチュエータ331cの下端に接続され、第1ギア3412及び第2ギア3422を介して第1モータ3411及び第2モータ3421の駆動力が伝達される球面ギアである。第2、第3支持部332,333の下部軸332b,333bは、第2、第3支持部332,333の直動アクチュエータ332c,333cの下端に接続され、底部32に設けられた第2球面軸受324a内に回転可能に支持された第2球面ジョイントである。
【0075】
これにより、支持部331~333の駆動軸の個数を低減することができるので、構成を更に簡素化することができる。
【0076】
(第2の実施形態)
次に、第1の実施形態に対して上部軸331a,332a,333a及び下部軸331b,332b,333bの具体的構成が異なる第2の実施形態について説明する。
図13は、第2の実施形態に係る医用寝台装置3の構成の一例を示す斜視図である。
【0077】
図13に示すように、第2の実施形態において、上部軸331a,332a,333a及び下部軸331b,332b,333bは、第1軸部3311及び第2軸部3312を有する。第1軸部3311は、天板31の長手方向に沿った軸方向を有する。例えば、第1軸部3311は、天板31の長手方向に沿った長手方向支持軸を挿入可能な貫通孔が設けられた板状の部材である。長手方向支持軸は、例えば、モータなどのアクチュエータによって第1軸部3311の貫通孔に対して挿入及び離脱可能に天板31及び底部32に設けられている。第2軸部3312は、上下方向において第1軸部3311に隣り合う。第2軸部3312は、天板31の横手方向に沿った軸方向を有する。例えば、第2軸部3312は、天板31の横手方向に沿った横手方向支持軸を挿入可能な貫通孔が設けられた板状の部材である。横手方向支持軸は、例えば、モータなどのアクチュエータによって第2軸部3312の貫通孔に対して挿入及び離脱可能に天板31及び底部32に設けられている。また、例えば、第1支持部331の下部軸331bの第1軸部3311に対応する長手方向支持軸は、第1アクチュエータ部341に接続され、第1軸部3311の貫通孔に嵌合することで、第1アクチュエータ部341の駆動力を第1軸部3311に伝達させる。また、例えば、第1支持部331の下部軸331bの第2軸部3312に対応する横手方向支持軸は、第2アクチュエータ部342に接続され、第2軸部3312の貫通孔に嵌合することで、第2アクチュエータ部342の駆動力を第2軸部3312に伝達させる。
図13に示される例において、第2軸部3312は、第1軸部3311に対して上方において隣り合うように配置されている。
【0078】
例えば、天板31を長手方向に移動させる場合、第1軸部3311の貫通孔から長手方向支持軸を離脱させ、第2軸部3312の貫通孔に横手方向支持軸を挿入する。これにより、第2軸部3312の軸方向を中心に支持部331~333を回転させることで、天板31を長手方向に移動させる。また、例えば、天板31を横手方向に移動させる場合、第1軸部3311の貫通孔に長手方向支持軸を挿入し、第2軸部3312の貫通孔から横手方向支持軸を離脱させる。これにより、第1軸部3311の軸方向を中心に支持部331~333を回転させることで、天板31を横手方向に移動させる。
【0079】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、直動アクチュエータ331c,332c,333cの直動と回転駆動アクチュエータ34の回転との複合動作によって天板31を移動させることができるので、簡易な構成によって被検体Pの支持の安定性及び利便性を向上させることができる。
【0080】
(第3の実施形態)
次に、第2の実施形態に対して第1アクチュエータ部341及び第2アクチュエータ部342の具体的構成が異なる第3の実施形態について説明する。
図14は、第3の実施形態に係る医用寝台装置3の構成の一例を示す斜視図である。
図14に示すように、第3の実施形態においては、第1アクチュエータ部341が、第1直動アクチュエータ3410によって実現されている。また、第3の実施形態においては、第2アクチュエータ部342が、第2直動アクチュエータ3420によって実現されている。
【0081】
第1直動アクチュエータ3410は、上端が、天板31の長手方向に沿った軸方向を中心に回転可能に第1支持部331の直動アクチュエータ331cに支持されている。また、第1直動アクチュエータ3410は、下端が、天板31の長手方向に沿った軸方向を中心に回転可能に底部32に支持されている。
図14に示すように、第1直動アクチュエータ3410の下端は、第1直動アクチュエータ3410の上端に対して天板31の横手方向側に位置している。第1直動アクチュエータ3410は、
図14の矢印kに示すように、第1支持部331の直動アクチュエータ331cに交差する方向に直動すなわち伸縮する。
【0082】
第2直動アクチュエータ3420は、上端が、天板31の横手方向に沿った軸方向を中心に回転可能に第1支持部331の直動アクチュエータ331cに支持されている。また、第2直動アクチュエータ3420は、下端が、天板31の横手方向に沿った軸方向を中心に回転可能に底部32に支持されている。
図14に示すように、第2直動アクチュエータ3420の下端は、第2直動アクチュエータ3420の上端に対して天板31の長手方向側に位置している。第2直動アクチュエータ3420は、
図14の矢印jに示すように、第1支持部331の直動アクチュエータ331cに交差する方向に直動する。
【0083】
第3の実施形態においては、第1軸部3311及び第2軸部3312を用いる代わりに、第1の実施形態と同様の球面ジョイント及び球面軸受を用いてもよい。
【0084】
第3の実施形態によれば、直動アクチュエータ331c,332c,333cの直動と、第1直動アクチュエータ3410の直動と、第2直動アクチュエータ3420の直動との複合動作によって天板31を移動させることができるので、簡易な構成によって被検体Pの支持の安定性及び利便性を向上させることができる。
【0085】
(第4の実施形態)
次に、第1実施形態に対して天板31と支持部331~333との相対位置が異なる第4の実施形態について説明する。
図15は、第4の実施形態に係る医用寝台装置3の構成の一例を示す斜視図である。
【0086】
第1の実施形態において、支持部331~333は、長手方向移動モードによる天板31の移動前の
図3の状態において、天板31及び底部32に対して垂直になるように配置されていた。これに対して、第4の実施形態において、支持部331~333は、
図15に示すように、長手方向移動モードによる天板31の移動が完了したときに、天板31及び底部32に対して垂直になるように配置されている。長手方向移動モードによる天板31の移動が完了したときに、天板31はこれ以上撮像部2側には移動しない。したがって、長手方向移動モードによる天板31の移動が完了した状態において、支持部331~333は、
図15の矢印i2に示す撮像部2と反対側への回転のみが許容される。
【0087】
ここで、天板31に対して局所的な負荷がかかることで天板31の撓みが最も生じやすい状態は、長手方向移動モードによる天板31の移動が完了した状態である。一方、支持部331~333によって天板31を最も安定的に支持することができる状態は、天板31及び底部32に対して支持部331~333が垂直になった状態である。
【0088】
第4の実施形態によれば、長手方向移動モードによる天板31の移動が完了したときに天板31及び底部32に対して垂直になるように支持部331~333が配置されていることで、天板31の撓みが最も生じやすい状態において天板31を最も安定的に支持することができる。これにより、被検体Pの支持の安定性を更に向上させることができる。
【0089】
図16は、第4の実施形態の変形例に係る医用寝台装置3の構成の一例を示す斜視図である。被検体Pは、天板31のうちの撮像部2側の部分に載置されることが多い。したがって、天板31の撮像部2側の部分に被検体Pによる負荷がかかり易い。
図16に示される例においては、負荷がかかり易い天板31の撮像部2側の部分を、第2支持部332と第3支持部333との2つの支持部によって支持している。したがって、
図16に示される例によれば、被検体Pの支持の安定性を更に向上させることができる。
【0090】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成して構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、プロセッサは、プロセッサ単一の回路として構成されている場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて、1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合して、その機能を実現するようにしてもよい。
【0091】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、簡易な構成によって被検体の支持の安定性及び利便性を向上させることができる。
【0092】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置及び方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置及び方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲及びこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0093】
1 X線診断装置
3 医用寝台装置
31 天板
32 底部
331 第1支持部
332 第2支持部
333 第3支持部
331a 上部軸
332a 上部軸
333a 上部軸
331b 下部軸
332b 下部軸
333b 下部軸
331c 直動アクチュエータ
332c 直動アクチュエータ
333c 直動アクチュエータ
34 回転駆動アクチュエータ
62 支持部動作制御機能
7 入力インタフェース
3411 第1モータ
3421 第2モータ
3412 第1ギア
3422 第2ギア
311a 第1球面軸受
324a 第2球面軸受
3311 第1軸部
3312 第2軸部
3410 第1直動アクチュエータ
3420 第2直動アクチュエータ