(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070632
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム、情報処理装置及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/63 20180101AFI20240516BHJP
【FI】
G16H40/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181250
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】小泉 好章
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】医療デバイスを使用する上で注意すべき事項を適切なタイミングで提示することができる情報処理方法等を提供する。
【解決手段】情報処理方法は、病院内で使用する医療デバイスを特定し、特定した前記医療デバイスの使用方法について注意すべき点を表す注意情報を、前記医療デバイスの使用状況に合わせて表示部に表示する処理をコンピュータが実行する。好適には、前記医療デバイスに付与されたバーコードを読み取ることで、前記医療デバイスを特定する。更に好適には、前記医療デバイスの添付文書から前記注意情報を抽出して表示する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病院内で使用する医療デバイスを特定し、
特定した前記医療デバイスの使用方法について注意すべき点を表す注意情報を、前記医療デバイスの使用状況に合わせて表示部に表示する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記医療デバイスに付与されたバーコードを読み取ることで、前記医療デバイスを特定する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記医療デバイスの添付文書を記憶部に記憶し、
前記添付文書から前記注意情報を抽出して表示する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記医療デバイスと対応付けて、該医療デバイスの使用履歴を記憶部に記憶し、
前記使用履歴に基づいて前記添付文書から前記注意情報を抽出して表示する
請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記使用履歴に基づき、前記医療デバイスが誤使用の少ないデバイスであるか否かを判定し、
誤使用の少ないデバイスであると判定した場合、前記注意情報の表示を省略する
請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記使用履歴に基づき、一定時間内に同種類の前記医療デバイスを複数回特定したか否かを判定し、
複数回特定したと判定した場合、前記医療デバイスの正しい使用方法を表す使用情報を表示する
請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記医療デバイスを特定する場合に、前記医療デバイスを使用する医療従事者を特定し、
前記医療従事者と対応付けて前記使用履歴を記憶し、
前記使用履歴に基づき、前記医療従事者に応じた前記注意情報を表示する
請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項8】
特定した前記医療デバイスに対するフィードバックの入力を受け付ける
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項9】
特定した複数の前記医療デバイスから、フィードバック対象の前記医療デバイスの選択を受け付け、
選択された前記医療デバイスに対するフィードバックの入力を音声で受け付ける
請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記フィードバックの入力を受け付けるためのガイダンスの音声又はテキストを出力し、
出力した音声又はテキストに対して、前記フィードバックの入力を受け付ける
請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記注意情報を検索するための音声入力を受け付け、
入力された音声に基づき、前記注意情報を検索して表示する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記医療デバイスの他病院での誤使用例を表す前記注意情報を表示する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項13】
病院内で使用する医療デバイスを特定し、
特定した前記医療デバイスの使用方法について注意すべき点を表す注意情報を、前記医療デバイスの使用状況に合わせて表示部に表示する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項14】
制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部が、
病院内で使用する医療デバイスを特定し、
特定した前記医療デバイスの使用方法について注意すべき点を表す注意情報を、前記医療デバイスの使用状況に合わせて表示部に表示する
情報処理装置。
【請求項15】
表示装置と、該表示装置に接続された読取装置とを備えた情報処理システムであって、
前記読取装置は、病院内の医療デバイスに付与されたバーコードを読み取ることで、前記医療デバイスを特定し、
前記表示装置は、特定した前記医療デバイスの使用方法について注意すべき点を表す注意情報を、前記医療デバイスの使用状況に合わせて表示する
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、プログラム、情報処理装置及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場で使用される医療デバイスの多くには、取扱説明書等の添付文書が添付されている。しかしながら、医療従事者が全ての医療デバイスについて添付文書に目を通し、その内容を常に記憶しておくことは容易ではない。
【0003】
このような課題を解決するために、例えば特許文献1には、カテーテル等の医療デバイスを収納する包装袋にICタグを付与しておき、開封時にICタグから取扱説明書のデータを読み取って画面に表示する医療機器情報管理システム等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る発明は取扱説明書をそのまま表示するだけで、その中から特に注意すべき事項を抜き出して表示するものではない。
【0006】
一つの側面では、医療デバイスを使用する上で注意すべき事項を適切なタイミングで提示することができる情報処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの側面では、情報処理方法は、病院内で使用する医療デバイスを特定し、特定した前記医療デバイスの使用方法について注意すべき点を表す注意情報を、前記医療デバイスの使用状況に合わせて表示部に表示する処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面では、医療デバイスを使用する上で注意すべき事項を適切なタイミングで提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】情報処理システムの構成例を示す説明図である。
【
図3】ユーザDB、デバイスDB、使用履歴DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
【
図7】情報処理システムが実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態)
図1は、情報処理システムの構成例を示す説明図である。本実施の形態では、ユーザ(例えば医療従事者)が医療デバイスを使用する場合に、医療デバイスの使用方法について注意すべき事項を表す注意情報を提示する情報処理システムについて説明する。情報処理システムは、サーバ1、端末2、2、2…、読取装置3、3、3…を含む。サーバ1及び端末2は、インターネット等のネットワークNを介して通信接続されている。
【0011】
なお、本明細書における「医療デバイス」とは、例えば注射器、点滴器具、カテーテル、輸液ポンプ等のような、いわゆる医療機器のほか、医療現場で使用されるあらゆる器具を含み得る。また、医療デバイスは、1社の提供するものだけではなく、異なる複数社の提供するものを含むものである。
【0012】
サーバ1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能なサーバコンピュータである。なお、サーバ1に相当するコンピュータは、例えばパーソナルコンピュータ等であってもよい。サーバ1は、後述の通り医療デバイスに付与されたバーコードが読み取られた場合、当該医療デバイスの注意情報を端末2に配信し、表示させる。
【0013】
端末2は、本システムのユーザが使用する端末装置であり、例えばタブレット端末、スマートフォン等である。例えば端末2には本システムに係るアプリケーションプログラムが予めインストールされており、端末2は当該アプリケーションプログラムを実行することで注意情報を表示する。
【0014】
読取装置3は、いわゆるバーコードリーダであり、端末2に接続されている。ユーザは医療デバイスを使用する際に読取装置3により医療デバイスのバーコードを読み取り、注意情報を確認する。
【0015】
なお、本実施の形態では端末2及び読取装置3が別体であるものとして説明するが、端末2がバーコードリーダを内蔵していてもよい。また、サーバ1及び端末2が別体であるものとして説明するが、両者は単体の装置であってもよい。
【0016】
図2は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1は、制御部11、主記憶部12、通信部13、及び補助記憶部14を備える。
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有し、補助記憶部14に記憶されたプログラムP1を読み出して実行することにより、種々の情報処理、制御処理等を行う。主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の一時記憶領域であり、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部13は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。
【0017】
補助記憶部14は、大容量メモリ、ハードディスク等の不揮発性記憶領域であり、制御部11が処理を実行するために必要なプログラムP1(プログラム製品)、その他のデータを記憶している。また、補助記憶部14は、ユーザDB141、デバイスDB142、使用履歴DB143、文書データDを記憶している。ユーザDB141は、本システムのユーザの情報を格納するデータベースである。デバイスDB142は、ユーザが使用する医療デバイスの情報を格納するデータベースである。使用履歴DB143は、ユーザによる医療デバイスの使用履歴を格納するデータベースである。文書データDは、医療デバイスの添付文書(取扱説明書等)のデータである。
【0018】
なお、補助記憶部14はサーバ1に接続された外部記憶装置であってもよい。また、サーバ1は複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであっても良く、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。
【0019】
また、本実施の形態においてサーバ1は上記の構成に限られず、例えば操作入力を受け付ける入力部、画像を表示する表示部等を含んでもよい。また、サーバ1は、CD(Compact Disk)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の可搬型記憶媒体1aを読み取る読取部を備え、可搬型記憶媒体1aからプログラムP1を読み取って実行するようにしても良い。
【0020】
図3は、ユーザDB141、デバイスDB142、使用履歴DB143のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
ユーザDB141は、ユーザID列、ユーザ名列、所属列、属性列を含む。ユーザID列は、各ユーザを識別するためのユーザIDを記憶している。ユーザ名列、所属列、及び属性列はそれぞれ、ユーザIDと対応付けて、ユーザの氏名、所属(所属する病院施設、及び当該病院内で所属するチーム(診療科等)のチームID)、及び属性情報(例えば役職等)を記憶している。
【0021】
デバイスDB142は、デバイスID列、デバイス名列、新製品情報列を含む。デバイスID列は、各医療デバイスを識別するためのデバイスIDを記憶している。デバイス名列、及び新製品情報列はそれぞれ、デバイスIDと対応付けて、医療デバイスの名称(製品名)、及び新製品情報(後発品の情報)を記憶している。ここでいう医療デバイスは、1社が提供するものではなく、複数社が提供するものを含む。そのため、1つの医療デバイスごとに固有のIDを持たせる際に、提供する会社ごとのIDを付与しても良い。
【0022】
使用履歴DB143は、日時列、使用ユーザ列、使用デバイス列、誤使用情報列、フィードバック列を含む。日時列は、医療デバイスが使用された日時を記憶している。使用ユーザ列、使用デバイス列、誤使用情報列、及びフィードバック列はそれぞれ、日時と対応付けて、医療デバイスを使用したユーザ(ユーザID及び所属病院)、使用された医療デバイスのデバイスID、医療デバイスの誤使用情報(誤使用があったか否か、及びその誤使用の内容)、及びフィードバックとして受け付けるユーザからの意見や感想(フィードバックのジャンル、及びその内容)を記憶している。
【0023】
図4は、端末2の構成例を示すブロック図である。制御部21、主記憶部22、通信部23、表示部24、入力部25、音声入力部26、音声出力部27、及び補助記憶部28を備える。
制御部21は、一又は複数のCPU等のプロセッサを有し、補助記憶部28に記憶されたプログラムP2を読み出して実行することにより、種々の情報処理を行う。主記憶部22は、RAM等の一時記憶領域であり、制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部23は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。表示部24は、液晶ディスプレイ等の表示画面であり、画像を表示する。入力部25は、タッチパネル等の操作インターフェイスであり、ユーザから操作入力を受け付ける。音声入力部26は、音声を収音するマイクであり、ユーザから音声入力を受け付ける。音声出力部27は、音声を出力するスピーカである。補助記憶部28は、ハードディスク等の不揮発性記憶領域であり、制御部21が処理を実行するために必要なプログラムP2(プログラム製品)、その他のデータを記憶している。
【0024】
なお、端末2は、CD-ROM等の可搬型記憶媒体2aを読み取る読取部を備え、可搬型記憶媒体2aからプログラムP2を読み取って実行するようにしても良い。
【0025】
図5は、実施の形態の概要を示す説明図である。
図6は、端末2の表示画面例を示す説明図である。
図5及び
図6に基づき、本実施の形態の概要を説明する。
【0026】
図5では、端末2に接続された読取装置3により、医療デバイスに付与されたバーコードを読み取る様子を図示している。
【0027】
例えばユーザはまず、医療デバイスの使用時に、自らに付与されたバーコードを読み取る。当該バーコードは、ユーザの識別子であるユーザIDを記述したバーコードである。当該バーコードを読み取ることにより、ユーザは本システムにログインする。
【0028】
次にユーザは、医療デバイスに付与されたバーコードを読取装置3により読み取る。当該バーコードは、医療デバイスの識別子であるデバイスIDを記述したバーコードである。当該バーコードを読み取ることにより、端末2は、ユーザが使用する医療デバイスを特定する。
【0029】
なお、バーコード読み取りはデバイス特定手段の一例であって、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えば読取装置3により、バーコードではなくQRコード(登録商標)を読み取るようにしてもよい。また、例えば医療デバイスにRFID(Radio Frequency Identification)タグを付与しておき、当該RFIDタグからデバイスIDを読み取るようにしてもよい。あるいは端末2に種々の医療デバイスを表示し、当該一覧から使用する医療デバイスを選択するようにしてもよい。このように、端末2はユーザが使用する医療デバイスを特定することができればよく、その手段はバーコード読み取りに限定されない。
【0030】
医療デバイスを特定した場合、端末2は、当該医療デバイスの使用方法について注意すべき事項を表す注意情報を、医療デバイスの使用状況に合わせて表示する。注意情報は、医療デバイスを使用する上で重要な禁忌事項、よく行われるミス、その他の誤使用(トラブル)を表す情報である。本実施の形態では、医療デバイスの使用時にこれらの情報を表示することで、医療デバイスの誤使用を回避するようにユーザに注意喚起する。
【0031】
例えばサーバ1は、医療デバイスの販売時に添付される添付文書(取扱説明書等)を文書データDとして補助記憶部14に記憶してある。サーバ1は、添付文書から注意文言を抽出し、注意情報として端末2に表示させる。
【0032】
具体的には、サーバ1は、医療デバイスの使用履歴として、全ユーザが起こした誤使用情報を使用履歴DB143に記憶してある。誤使用情報は、誤使用の事例としてユーザから報告(入力)された任意のテキストである。サーバ1は、当該誤使用情報(使用履歴)を検索クエリとして文書データDから注意情報を抽出し、端末2に表示させる。
【0033】
なお、このサーバ1の補助記憶部14に記憶される添付文書の文書データDは、オンラインによって追加や修正が可能としてもよい。文書データDの内容が、オンラインにより追加や修正がなされた場合には、端末2に表示する際に、表示する情報をハイライトしたり、点滅させたりすることによって、端末2に表示されている添付文書の情報が、最近追加や修正されたものであることを、ユーザに注意喚起することができる。
【0034】
本実施の形態では、使用履歴DB143には、ユーザが所属する病院だけでなく、他の病院での誤使用情報も記憶されている(
図3の使用履歴DB143のレコード参照)。そこで本実施の形態では、サーバ1は、自病院での誤使用例だけでなく、他病院での誤使用例を表す注意情報を出力する。具体的には、サーバ1は、表示対象とするユーザが所属する病院とは異なる病院での誤使用情報を、「他病院状況」として、ユーザが所属する病院での誤使用情報とは異なる態様で表示する(
図6参照)。これにより、ユーザは他病院での誤使用例も共有することができる。
【0035】
サーバ1は、上述の如く文書データDから抽出された注意情報を、医療デバイスの使用状況に合わせて端末2に表示させる。「使用状況に合わせて」とは、例えば医療デバイスのバーコードを読み取ったタイミング、あるいは過去に誤使用を起こしたタイミングと類似するタイミングなどである。
【0036】
例えば端末2は、バーコードを読み取ることで医療デバイスを特定した場合に、注意情報を表示する。本実施の形態では更に、端末2は、医療デバイスを使用した作業(手術等)の進行状況に応じて、適切なタイミングで注意情報を追加表示する。
【0037】
例えば端末2は、ユーザから作業の進行状況(すなわち、医療デバイスの使用状況)の入力を受け付ける。当該入力は例えば音声入力でもよく、画面操作で行ってもよい。端末2は、入力された進行状況に応じたタイミングで、注意情報を逐次表示する。これにより、適切なタイミングで注意情報を提示することができる。また、ここで入力された音声は記録され、作業の進行状況とともに端末2の補助記憶部28等に記憶されるものであっても良い。
【0038】
なお、上記では医療デバイスの使用状況をユーザが自ら入力することにしたが、本実施の形態はこれに限定されるものではなく、端末2が自動的に使用状況を判定して注意情報を表示するようにしてもよい。例えば端末2は、作業開始時からの時間を計測し、その時間に応じて注意情報を順次表示してもよい。あるいは端末2は、カメラにより作業状況を撮像し、撮像された画像から使用状況を判定して注意情報を表示するようにしてもよい。あるいは端末2は、医療デバイスのオン・オフ操作を検知することで使用状況を判定し、注意情報を表示するようにしてもよい。このように、端末2は医療デバイスの使用状況を特定可能であればよく、ユーザが自ら作業の進行状況を入力する構成は必須ではない。
【0039】
上述の如く、端末2は、医療デバイスのバーコードを読み取った場合、当該医療デバイスの注意情報を表示する。この場合に端末2は、当該医療デバイスが誤使用の少ないデバイスである場合には、注意情報の表示を省略してもよい。
【0040】
例えば端末2は、使用履歴DB143に記憶されている医療デバイスの使用履歴を参照して、医療デバイスの誤使用回数が閾値以下であるか否か、すなわち誤使用の少ないデバイスであるか否かを判定する。誤使用の少ないデバイスであると判定した場合、端末2は、注意情報の表示を省略する。これにより、過度な注意情報の表示を抑制することができる。
【0041】
なお、例えば端末2は、直近所定期間内の使用履歴を参照して、直近所定期間内の誤使用回数が閾値以下であるか否かを判定してもよい。これにより、最近誤使用回数が減っている医療デバイスについては注意情報の表示を省略することができるため、より適切に注意情報の表示を抑制することができる。
【0042】
また、端末2は、過去に略同一のタイミングで同種類の医療デバイスが複数登録(特定)された場合、すなわち医療デバイスのロスが発生した場合は、その医療デバイスの正しい使用方法を表す使用情報を表示する。例えば端末2は、使用履歴DB143に記憶されている医療デバイスの使用履歴を参照して、一定時間内に同種類の医療デバイスが複数回登録されたか否かを判定する。複数回登録されたと判定した場合、端末2は、当該医療デバイスの添付文書(文書データD)から使用情報を抽出し、端末2に表示させる。これにより、医療デバイスのロスの抑制を図ることができる。
【0043】
また、端末2は、注意情報を表示する場合に、注意情報を表示する対象であるユーザ(医療従事者)に応じて表示内容を変更する。例えば使用履歴DB143には、医療デバイスの使用者であるユーザと対応付けて、医療デバイスの使用履歴(誤使用情報)が記憶されている。端末2は、注意情報を表示する場合、表示対象とするユーザの使用履歴を参照して誤使用を起こしたことがあるか否かを判定し、誤使用を起こしたことがある場合は注意情報を表示する。これにより、ユーザのプロファイルも考慮して表示内容を変更することができる。
【0044】
なお、例えば端末2は、ユーザの属性情報(役職等)を参照して表示内容を変更してもよい。例えば端末2は、ユーザDB141を参照してユーザの属性を特定し、表示対象とするユーザと属性が同一又は類似する他のユーザの使用履歴を参照して、当該他のユーザが誤使用を起こしたことがある場合は注意情報を表示する。これにより、例えばベテラン医師に対しては注意情報を表示しない一方、ミスの多い研修医に対しては注意情報を表示するなど、柔軟な対応を図ることができる。また、ユーザの属性情報については、本システムのユーザDB141を参照するだけでなく、病院内に配置されている電子カルテシステムと連動させても良い。この場合、ユーザIDに対応するユーザの属性情報を、電子カルテシステムの方から呼び出し、このユーザ属性情報を利用して端末2の表示内容を変更するようにしても良い。
【0045】
また、以上では医療デバイスを特定した場合に能動的に注意情報を表示する例について説明したが、端末2は能動的に注意情報を表示するだけでなく、注意情報の検索も可能とする。例えば端末2は、音声認識機能を備え、ユーザが発話した音声から検索クエリ(例えば医療デバイスの製品名)を特定する。サーバ1は、特定した検索クエリを元に医療デバイスの添付文書から注意情報を検索し、端末2に表示させる。これにより、ユーザが自ら注意情報を検索することができ、利便性の向上を図ることができる。
さらに、ある端末2から、表示すべき注意情報自体を選択的に特定し、他の端末2に選択された注意情報を表示することもできる。この機能は、手術等を行う際に、担当する医師がスタッフに対して、特に注意が必要な情報を事前に共有しておきたいような場合に活用される。この機能は、事前に表示したい注意情報を登録しておいてもよく、またリアルタイムで共有したい注意情報を特定して配信するようにしても良い。
【0046】
図6では、注意情報の表示画面例を図示している。当該画面は、注意情報表示欄61、ユーザ情報表示欄62、誤使用情報入力欄63、フィードバック入力欄64を含む。
【0047】
注意情報表示欄61は、バーコード読み取りにより特定した医療デバイスの注意情報を表示する表示欄である。医療デバイスのバーコードを読み取った場合、当該医療デバイスに対応する注意情報表示欄61が新たに追加される。端末2は注意情報表示欄61に、重要な注意事項、禁忌事項、その他の事項を表示する。また、端末2は注意情報表示欄61に、本システムからの提案事項として、特定した医療デバイスに代わる後発品(新製品)の情報をデバイスDB142から読み出して表示する。また、端末2は注意情報表示欄61に、ユーザに注意喚起するための動画、練度、他病院での使用状況(誤使用情報)などを表示する。
【0048】
ユーザ情報表示欄62は、ユーザに関する情報を表示する表示欄である。端末2はユーザ情報表示欄62に、ユーザの氏名、所属等のほか、医療デバイスの利用履歴、注意情報の検索履歴などを表示する。
【0049】
誤使用情報入力欄63は、医療デバイスの誤使用情報を入力する入力欄である。端末2は誤使用情報入力欄63において、誤使用情報(誤使用の有無及びその内容)の入力を受け付ける。
【0050】
フィードバック入力欄64は、ユーザが使用した医療デバイスに関するフィードバックを入力する入力欄である。端末2はフィードバック入力欄64において、医療デバイスに対する意見や感想、改善要望などの入力を受け付ける。
【0051】
例えば端末2は、複数の注意情報表示欄61、61、61…のうちいずれかを選択する選択入力を受け付けることで、フィードバック対象の医療デバイスの選択を受け付ける。端末2は、選択された医療デバイスに対するフィードバックの入力を、音声で受け付ける。なお、音声以外にテキスト等の形で入力を受け付けてもよいことは勿論である。
【0052】
例えば端末2は、ユーザによるフィードバックの入力を誘導するため、チャットボット機能によりフィードバックの入力を促す。すなわち、端末2は、フィードバックの入力を受け付けるためのガイダンス音声を出力し、出力した音声に対して、フィードバックの入力を受け付ける。なお、ガイダンスは音声ではなくテキストで出力されてもよい。ガイダンスの音声(又はテキスト)を出力することで、適切なフィードバックの入力をユーザに促すことができる。
【0053】
図7は、情報処理システムが実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7に基づき、情報処理システムが実行する処理内容について説明する。
端末2は、医療デバイスを使用するユーザのユーザIDを読取装置3により読み取る(ステップS11)。更に端末2は、ユーザが使用する医療デバイスのデバイスIDを読取装置3により読み取る(ステップS12)。
【0054】
端末2は、読み取ったデバイスIDが示す医療デバイスの使用方法について注意すべき事項を表す注意情報を表示部24に表示する(ステップS13)。具体的には、端末2は、当該医療デバイスの添付文書から抽出した注意情報を表示する。あるいは、端末2は、誤使用情報として使用履歴DB143に記憶されている医療デバイスの使用履歴から注意情報を抽出して表示する。
【0055】
端末2は、医療デバイスの使用状況(医療デバイスを使用した作業の進行状況)の入力をユーザから受け付ける(ステップS14)。端末2は、入力された使用状況に応じたタイミングで、新たな注意情報を表示する(ステップS15)。
【0056】
端末2は、医療デバイスに関するフィードバック(意見や感想)、誤使用情報等の入力をユーザから受け付ける(ステップS16)。サーバ1は、入力されたフィードバック等を使用履歴として使用履歴DB143に記憶し(ステップS17)、一連の処理を終了する。
【0057】
以上より、本実施の形態によれば、医療デバイスを使用する上で注意すべき事項を適切なタイミングで提示することができる。
【0058】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0059】
各実施の形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0060】
1 サーバ
11 制御部
12 主記憶部
13 通信部
14 補助記憶部
P1 プログラム
141 ユーザDB
142 デバイスDB
143 使用履歴DB
2 端末
21 制御部
22 主記憶部
23 通信部
24 表示部
25 入力部
26 音声入力部
27 音声出力部
28 補助記憶部
P2 プログラム