(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070639
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収システム
(51)【国際特許分類】
F02C 6/00 20060101AFI20240516BHJP
F02C 3/22 20060101ALI20240516BHJP
F02C 7/22 20060101ALI20240516BHJP
F02C 6/18 20060101ALI20240516BHJP
F23R 3/28 20060101ALI20240516BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20240516BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20240516BHJP
【FI】
F02C6/00 E
F02C3/22 ZAB
F02C6/00 A
F02C7/22 B
F02C6/18
F23R3/28 F
B01D53/62
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181258
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】辻内 達也
(72)【発明者】
【氏名】平田 琢也
(72)【発明者】
【氏名】吉川 雅司
(72)【発明者】
【氏名】上地 英之
(72)【発明者】
【氏名】ファン カンスン
(72)【発明者】
【氏名】木村 新太郎
【テーマコード(参考)】
4D002
4G146
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002BA02
4D002BA13
4D002BA14
4D002CA13
4D002EA01
4D002EA08
4D002FA01
4D002HA08
4G146JA02
4G146JB09
4G146JC09
4G146JC21
4G146JC35
4G146JC36
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製鉄設備から排出されるガスをガスタービンの燃料に使用しても、発生した二酸化炭素を回収可能であり、かつガスタービンの燃料のカロリー調整用として使用される窒素の供給量の増加を抑制可能な二酸化炭素回収システムを提供する。
【解決手段】二酸化炭素回収システムは、製鉄設備と、製鉄設備から排出される第1ガスを燃焼させることにより発生した燃焼ガスでタービンを駆動するガスタービンと、タービンから排出された第2ガスと熱媒体とを熱交換する熱交換器と、熱交換器において熱媒体と熱交換した第2ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置とを備え、二酸化炭素回収装置は、第2ガスと吸収液とを接触させることによって二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔と、二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱して二酸化炭素を放散させる再生塔と、吸収液と第2ガスと熱交換した熱媒体とを熱交換することにより吸収液を加熱するリボイラとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製鉄設備と、
前記製鉄設備から排出される第1ガスを燃焼させることにより発生した燃焼ガスでタービンを駆動するガスタービンと、
前記ガスタービンの前記タービンから排出された第2ガスと熱媒体とを熱交換する熱交換器と、
前記熱交換器において前記熱媒体と熱交換した前記第2ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と
を備え、
前記二酸化炭素回収装置は、
前記第2ガスと吸収液とを接触させることによって二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる吸収塔と、
前記吸収塔において二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱して前記吸収液から二酸化炭素を放散させる再生塔と、
前記再生塔内の前記吸収液と前記熱交換器において前記第2ガスと熱交換した前記熱媒体とを熱交換することにより前記吸収液を加熱するリボイラと
を備える二酸化炭素回収システム。
【請求項2】
前記熱交換器において前記第2ガスと熱交換した前記熱媒体としての水蒸気の一部を前記リボイラに供給するための第1ラインと、
前記熱交換器において前記第2ガスと熱交換した前記熱媒体としての水蒸気の残部によって駆動される蒸気タービンと
を備える、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項3】
前記第1ラインを介して前記リボイラに供給される水蒸気の供給量を調節するための第1供給量調節装置を備える、請求項2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項4】
前記リボイラにおいて前記水蒸気が前記吸収液と熱交換することによって生成した凝縮水の一部を前記第1供給量調節装置よりも下流側で前記第1ラインに供給するための凝縮水供給ラインを備える、請求項3に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項5】
前記蒸気タービンを駆動するために使用された水蒸気、又は、前記蒸気タービンから抽気された水蒸気を前記リボイラに供給するための第2ラインを備える、請求項2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項6】
前記蒸気タービンから抽気された水蒸気が前記第2ラインを介して前記リボイラに供給されるように構成され、
前記第1ラインを介して前記リボイラに供給される水蒸気の供給量を調節するための第1供給量調節装置を備える、請求項5に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項7】
前記第2ラインを介して前記リボイラに供給される水蒸気の供給量を調節するための第2供給量調節装置を備える、請求項6に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項8】
前記蒸気タービンを駆動するために使用された水蒸気が前記第2ラインを介して前記リボイラに供給されるように構成され、
前記水蒸気の残部の少なくとも一部が前記蒸気タービンをバイパスして前記第2ラインに供給されるためのバイパスラインと、
前記バイパスラインを流れる水蒸気の流量を調節するためのバイパス流量調節装置と
を備える、請求項5に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項9】
前記第1ラインを介して前記リボイラに供給される水蒸気の供給量を調節するための第1供給量調節装置を備える、請求項8に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項10】
前記リボイラにおいて前記吸収液と熱交換した前記熱媒体を、前記熱交換器において前記第2ガスと熱交換させるために、前記熱交換器に供給するための熱媒体戻りラインを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項11】
前記ガスタービンは、
空気を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された圧縮空気を用いて前記第1ガスを燃焼させる燃焼器と、
前記タービンと、
前記圧縮空気の一部と前記熱媒体の一部とを熱交換することにより前記圧縮空気の一部を冷却する空気クーラーと
を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項12】
前記製鉄設備における発熱体と前記熱媒体の一部とを熱交換することにより前記発熱体を冷却する発熱体クーラーを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項13】
前記二酸化炭素回収装置は、
前記二酸化炭素回収装置内で前記吸収液を流通させるための少なくとも1つのポンプと、
前記再生塔から流出したガスを昇圧するための昇圧機と
を備え、
前記二酸化炭素回収システムは、前記ガスタービンによって駆動される第1発電装置を備え、
前記第1発電装置で発電された電力によって前記少なくとも1つのポンプ又は前記昇圧機の少なくともいずれかが駆動されるように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項14】
前記二酸化炭素回収装置は、
前記二酸化炭素回収装置内で前記吸収液を流通させるための少なくとも1つのポンプと、
前記再生塔から流出したガスを昇圧するための昇圧機と
を備え、
前記二酸化炭素回収システムは、前記蒸気タービンによって駆動される第2発電装置を備え、
前記第2発電装置で発電された電力によって前記少なくとも1つのポンプ又は前記昇圧機の少なくともいずれかが駆動されるように構成されている、請求項2~9のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項15】
前記第1ガスから固形成分を除去するための集塵装置を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項16】
前記ガスタービンは、
空気を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された圧縮空気を用いて前記第1ガスを燃焼させる燃焼器と、
前記タービンと、
を備え、
前記二酸化炭素回収システムは、前記第1ガスが前記燃焼器に供給される前に前記第1ガスに窒素を供給するための窒素供給ラインを備え、
前記製鉄設備は、
溶融ガス化炉と、
空気を酸素と窒素とに分離する空気分離器と
を備え、
前記空気分離器において分離された酸素は前記溶融ガス化炉に供給され、前記空気分離器において分離された窒素は前記窒素供給ラインを介して前記第1ガスに供給されるように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項17】
前記製鉄設備における電力需要を取得する電力需要取得部と、
前記電力需要取得部が取得した前記電力需要に基づいて前記リボイラに供給される前記水蒸気の供給量を調節する水蒸気供給量調節部と
を含む制御装置を備え、
前記電力需要が増加するデータを前記電力需要取得部が取得したら、取得された前記電力需要に基づいて、前記水蒸気供給量調節部は、前記リボイラへの前記水蒸気の供給量を減少させるように、前記バイパス流量調節装置、前記第1供給量調節装置又は前記第2供給量調節装置の動作の調整を行うように構成されている、請求項3、4、6~9のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄プラントでは、化石燃料を利用して鉄鉱石を還元して鉄を得るため、二酸化炭素が排出される。例えば、特許文献1では、高炉ガスから二酸化炭素を分離・除去した後に、燃料として高炉ガスをガスタービンに供給している。特許文献2では、製鉄プラントの循環ガス中において二酸化炭素の分離・回収(PSA法)を行った後に、燃料として循環ガスをガスタービンに供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-229919号公報
【特許文献2】米国特許第9222042号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2のように、製鉄プラントの排出ガスから二酸化炭素を分離・除去したとしても、燃料としてガスタービンで燃焼させると、再び二酸化炭素が発生してしまうといった課題があった。また、二酸化炭素を分離・除去したガスをガスタービンの燃料として燃焼させると、燃料のカロリーが上昇するため、特許文献2ではカロリー調整のため燃料としての循環ガスに不活性成分である窒素ガスを供給しているが、燃料中の二酸化炭素濃度を低くするほど、燃料への窒素の供給量が増加してしまうといった課題もあった。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも1つの実施形態は、製鉄設備から排出されるガスをガスタービンの燃料に使用しても、製鉄設備及びガスタービンにおいて発生した二酸化炭素を回収可能であり、かつ、ガスタービンの燃料のカロリー調整用として使用される窒素の供給量の増加を抑制可能な二酸化炭素回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る二酸化炭素回収システムは、製鉄設備と、前記製鉄設備から排出される第1ガスを燃焼させることにより発生した燃焼ガスでタービンを駆動するガスタービンと、前記ガスタービンの前記タービンから排出された第2ガスと熱媒体とを熱交換する熱交換器と、前記熱交換器において前記熱媒体と熱交換した前記第2ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置とを備え、前記二酸化炭素回収装置は、前記第2ガスと吸収液とを接触させることによって二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる吸収塔と、前記吸収塔において二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱して前記吸収液から二酸化炭素を放散させる再生塔と、前記再生塔内の前記吸収液と前記熱交換器において前記第2ガスと熱交換した前記熱媒体とを熱交換することにより前記吸収液を加熱するリボイラとを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の二酸化炭素回収システムによれば、二酸化炭素回収装置はガスタービンから排出されたガスから二酸化炭素を回収するので、製鉄設備から排出されるガスをガスタービンの燃料に使用しても、製鉄設備及びガスタービンにおいて発生した二酸化炭素を回収可能であり、かつ、製鉄設備から排出されるガス中に含まれる不活性成分である二酸化炭素の濃度を低減しないので、ガスタービンの燃料のカロリー調整用として使用される不活性成分である窒素の供給量の増加を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの構成図である。
【
図2】本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの変形例の構成図である。
【
図3】本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの別の変形例の構成図である。
【
図4】本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムのさらに別の変形例の構成図である。
【
図5】本開示の実施形態2に係る二酸化炭素回収システムの構成図である。
【
図6】本開示の実施形態2に係る二酸化炭素回収システムの変形例の構成図である。
【
図7】本開示の実施形態3に係る二酸化炭素回収システムの構成図である。
【
図8】本開示の実施形態1~3のそれぞれに係る二酸化炭素回収システムの一部分の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態による二酸化炭素回収システムについて、図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
(実施形態1)
<本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの構成>
図1に示されるように、本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システム1は、製鉄設備2と、ガスタービン設備3と、蒸気生成設備4と、二酸化炭素回収装置5とを備えている。
【0011】
製鉄設備2は、石炭及び鉄鉱石を原料として製鉄を行うための溶融ガス化炉10を備えている。溶融ガス化炉10には、溶融鉄又はスラグ等が排出される排出ライン11と、可燃成分(例えば一酸化炭素)及び二酸化炭素を含む排ガスである第1ガスが排気される排気ライン12とが接続されている。
【0012】
ガスタービン設備3は、ガスタービン20と、ガスタービン20によって駆動される第1発電装置26とを備えている。ガスタービン20は、空気を圧縮する圧縮機21と、圧縮機21で圧縮された圧縮空気を用いて第1ガスを燃焼させる燃焼器22と、燃焼器22において第1ガスを燃焼させることにより発生した燃焼ガスで駆動されるタービン23とを備えている。一端が溶融ガス化炉10に接続される排気ライン12の他端は燃焼器22に接続されている。排気ライン12には、第1ガスに不活性成分である窒素を供給するための窒素供給ライン24が設けられている。窒素の供給源については特に限定しないが、例えば、製鉄設備2が酸素吹き込みの溶融ガス化炉10を有する場合、製鉄設備2に空気分離器13を設け、空気分離器13により空気を窒素と酸素とに分離し、酸素ライン14を介して酸素を溶融ガス化炉10に供給し、窒素供給ライン24を介して窒素を第1ガスに供給してもよい。尚、空気分離器13の構成は特に限定するものではなく、圧力変動吸着(PSA)式の装置や、温度変動吸着(TSA)式の装置や、膜分離装置等の任意の構成の酸素分離装置を使用することができる。
【0013】
製鉄設備2とガスタービン20との間の差圧が小さい場合には、排気ライン12に、窒素が供給された第1ガスを昇圧するための圧縮機25を設けてもよい。また、排気ライン12には、圧縮機25よりも上流側に、第1ガスから固形成分を除去するための集塵装置27(例えば、電気集塵機やバグフィルタ等)を設けてもよい。
【0014】
蒸気生成設備4は、ガスタービン20のタービン23から排出された第2ガスと熱媒体(例えば水)とを熱交換する熱交換器30を備えている。タービン23と熱交換器30とは、第2ガスライン28を介して連通されている。実施形態1において熱交換器30には、第2ガスと熱交換する熱媒体が流れる流路(図示せず)の途中の位置から熱媒体の蒸気(例えば水蒸気)、すなわち低圧蒸気を抜き出すための第1ライン31と、熱媒体が流れる流路の下流端から低圧蒸気よりも高温・高圧の蒸気である高圧蒸気が流出するための高圧蒸気ライン32とが接続されている。
【0015】
蒸気生成設備4は、高圧蒸気によって駆動される蒸気タービン33と、蒸気タービン33によって駆動される第2発電装置34とを備えてもよい。また、蒸気生成設備4は、蒸気タービン33を駆動するために使用した高圧蒸気(蒸気タービン33を駆動したことにより圧力が低下しているので、以下では単に蒸気という)を第1ライン31に供給するための第2ライン35を備えてもよい。さらに、蒸気生成設備4は、高圧蒸気が蒸気タービン33をバイパスして第2ライン35に供給されるためのバイパスライン36と、バイパスライン36を流れる高圧蒸気の流量を調節するためのバイパス流量調節装置である流量調節弁37とを備えてもよい。
【0016】
二酸化炭素回収装置5は、熱交換器30から流出した第2ガスを冷却する冷却塔40と、冷却塔40において冷却された第2ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔41と、吸収塔41において二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱することにより二酸化炭素を放散させる再生塔42と、再生塔42内の吸収液を加熱するためのリボイラ43とを備えている。熱交換器30と冷却塔40とは、第2ガスライン38を介して連通されている。尚、二酸化炭素回収装置5において冷却塔40は必須の構成ではなく、熱交換器30から流出する第2ガスの温度が十分に低く、さらに第2ガスに含まれる硫黄酸化物や塵のような固形成分等の濃度が十分に低い場合には、冷却塔40はなくてもよい。二酸化炭素回収装置5が冷却塔40を含まない場合、熱交換器30と吸収塔41とが第2ガスライン38を介して連通される。
【0017】
吸収塔41と再生塔42とは、吸収塔41の塔底と再生塔42の塔底よりも上方の位置とに接続するリッチ吸収液ライン44と、再生塔42の塔底と吸収塔41の塔底よりも上方の位置とに接続するリーン吸収液ライン45とによって連通されている。後述するようにリッチ吸収液ライン44には、二酸化炭素を多く含んだ吸収液であるリッチ吸収液が流通し、リーン吸収液ライン45には、リッチ吸収液から二酸化炭素を放散し二酸化炭素含有率がリッチ吸収液よりも相対的に低い吸収液であるリーン吸収液が流通する。リッチ吸収液ライン44を流通するリッチ吸収液とリーン吸収液ライン45を流通するリーン吸収液とが熱交換する熱交換器46が設けられている。リッチ吸収液ライン44には、吸収塔41と熱交換器46との間にリッチ吸収液ポンプ47が設けられている。リーン吸収液ライン45には、再生塔42と熱交換器46との間にリーン吸収液ポンプ48が設けられている。
【0018】
吸収塔41の塔頂には、吸収塔41内のガスを大気中に放出するための排気ライン53が接続されている。再生塔42は、再生塔42内の吸収液を塔底から抜き出して再生塔42内に再び戻すように吸収液が循環する循環ライン49が設けられている。循環ライン49は、リボイラ43を通過するように設けられている。後述する二酸化炭素回収システム1の動作の説明において詳細を説明するが、リッチ吸収液ポンプ47及びリーン吸収液ポンプ48によって吸収液が二酸化炭素回収装置5内を流通するようになる。再生塔42の塔頂には、再生塔42内のガス、すなわち吸収液から放散された二酸化炭素を含むガスが再生塔42から流出するための流出ライン51が接続されている。流出ライン51にはガスを昇圧するための昇圧機52を設けてもよい。
【0019】
熱交換器30において熱媒体が流れる流路(図示せず)に一端が接続する第1ライン31の他端は、リボイラ43の流路(図示せず)に接続されている。第1ライン31を介してリボイラ43の流路を流れる熱媒体の低圧蒸気は、詳細は後述するが、循環ライン49を循環する吸収液と熱交換する。また、リボイラ43において吸収液と熱交換した熱媒体を再び熱交換器30に戻すための熱媒体戻りライン54を設けてもよい。熱媒体戻りライン54には、凝縮した熱媒体の一部を貯留するためのタンク55を設けてもよい。
【0020】
<本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの動作>
次に、本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの動作を、
図1を参照して説明する。尚、熱媒体が水であるとして、動作の説明を行う。製鉄設備2における製鉄動作によって、溶融ガス化炉10から第1ガスが排気される。溶融ガス化炉10から排気された第1ガスは、排気ライン12を介してガスタービン20の燃焼器22に燃料として供給される。第1ガスが排気ライン12を流通する際に、第1ガスが燃焼する際のカロリー調整のために、窒素供給ライン24を介して第1ガスに窒素が供給される。排気ライン12に圧縮機25が設けられている場合には、第1ガスは圧縮機25によって昇圧されることにより燃焼器22に供給される。また、排気ライン12に集塵装置27が設けられている場合には、集塵装置27において第1ガスから固形成分が除去されるので、固形成分の含有量が低減された第1ガスが燃焼器22(及び圧縮機25)に供給される。これにより、ガスタービン20(及び圧縮機25)の故障のリスクを低減することができる。
【0021】
燃焼器22には、燃料としての第1ガスと、圧縮機21によって圧縮された圧縮空気とが供給され、圧縮空気を用いて第1ガスが燃焼される。燃焼器22において第1ガスが燃焼することにより生成した燃焼ガスがタービン23を駆動する。圧縮機21及びタービン23の回転によって第1発電装置26が駆動されて、発電が行われる。第1発電装置26によって発電された電力は、リッチ吸収液ポンプ47、リーン吸収液ポンプ48又は昇圧機52の少なくとも1つを駆動するために使用してもよい。このような構成によれば、二酸化炭素回収システム1で発電された電力を二酸化炭素回収システム1内で使用することにより、二酸化炭素回収システム1の外部から供給する必要のある電力を低減又は二酸化炭素回収システム1の外部からの電力供給を必要としないようにすることができる。
【0022】
タービン23から排出された第2ガスは、第2ガスライン28を介して熱交換器30に流入する。熱交換器30では、第2ガスは熱媒体である水と熱交換することにより冷却される。一方、熱交換器30において第2ガスと熱交換することにより加熱された水は、第1ライン31を介して熱交換器30内の流路から低圧蒸気として一部が抜き出され、高圧蒸気ライン32を介して高圧蒸気として残りが熱交換器30から流出する。第1ライン31を流通する低圧蒸気は、二酸化炭素回収装置5のリボイラ43に供給される。
【0023】
高圧蒸気ライン32を流通する高圧蒸気は、蒸気タービン33に供給されて蒸気タービン33を駆動する。蒸気タービン33によって第2発電装置34が駆動されて、発電が行われる。第2発電装置34によって発電された電力は、リッチ吸収液ポンプ47、リーン吸収液ポンプ48又は昇圧機52の少なくとも1つを駆動するために使用してもよい。このような構成によれば、二酸化炭素回収システム1で発電された電力を二酸化炭素回収システム1内で使用することにより、二酸化炭素回収システム1の外部から供給する必要のある電力を低減又は二酸化炭素回収システム1の外部からの電力供給を必要としないようにすることができる。蒸気タービン33を駆動するために使用された水蒸気は、蒸気タービン33から流出して第2ライン35を流通する。蒸気タービン33から流出した水蒸気は、低圧蒸気の圧力と同等又は高い圧力を有しているので、昇圧装置がなくても第2ライン35を流通する。第2ライン35を流通する水蒸気は、第1ライン31に流入し、低圧蒸気と混合してリボイラ43に供給される。
【0024】
熱交換器30において水と熱交換した第2ガスは、熱交換器30から流出した後に第2ガスライン38を流通して、二酸化炭素回収装置5の冷却塔40に流入する。冷却塔40内では、第2ガスが上昇するとともに冷却水が落下することにより、第2ガスと冷却水とが気液接触して、第2ガスが冷却される。第2ガスに硫黄酸化物や固形成分等が含まれている場合は、第2ガスと冷却水との気液接触により、冷却水に硫黄酸化物や固形成分等が捕捉されて、第2ガスから硫黄酸化物や固形成分等が除去される。尚、二酸化炭素回収装置5に冷却塔40が設けられていない場合は、第2ガスは吸収塔41に流入する。
【0025】
冷却塔40から流出した第2ガスは吸収塔41に流入する。吸収塔41内では、第2ガスが上昇するとともにリーン吸収液が落下することにより、第2ガスとリーン吸収液とが気液接触して、第2ガスに含まれる二酸化炭素がリーン吸収液に吸収される。二酸化炭素を吸収することによりリーン吸収液はリッチ吸収液となり、吸収塔41の底部に滞留する。このような動作により、第2ガスから二酸化炭素の少なくとも一部が除去されて、二酸化炭素の濃度が低下した第2ガスが吸収塔41の塔頂から流出し、排気ライン53を介して大気中へ放出される。尚、排気ライン53を他の設備、例えば煙突に接続させて、煙突を経由して二酸化炭素の濃度が低下した第2ガスを放出してもよい。
【0026】
リッチ吸収液ポンプ47によって吸収塔41内のリッチ吸収液が吸収塔41の塔底から抜き出され、リッチ吸収液ライン44を流通する。リッチ吸収液ライン44を流通するリッチ吸収液は、後述するようにリーン吸収液ライン45を流通するリーン吸収液と熱交換器46において熱交換することによって加熱された後、再生塔42に流入する。再生塔42に流入したリッチ吸収液は再生塔42内を落下する。リッチ吸収液は、再生塔42内を落下する際に、後述する動作で生成して再生塔42内を上昇する飽和蒸気と接触することにより加熱される。これにより、リッチ吸収液から二酸化炭素の少なくとも一部が放散され、リッチ吸収液はリーン吸収液となって、再生塔42の塔底に滞留する。再生塔42内のリーン吸収液が再生塔42の塔底から抜き出され、循環ライン49を流通して再生塔42内に再び戻される。リーン吸収液が循環ライン49を流通する際に、リボイラ43においてリーン吸収液と水蒸気とが熱交換することにより、リーン吸収液が加熱される。これにより、再生塔42のリーン吸収液の温度が上昇するので、リーン吸収液から二酸化炭素が放散されるとともに水が蒸発し、主に二酸化炭素及び水蒸気を含む飽和蒸気が再生塔42内を上昇する。尚、循環ライン49を介してのリーン吸収液の循環は、循環ライン49に設けられた図示しないポンプを用いて行ってもよいし、ポンプを設けずに吸収液の密度差により行ってもよい。
【0027】
再生塔42内のリーン吸収液は、リーン吸収液ポンプ48によっても再生塔42の塔底から抜き出され、リーン吸収液ライン45を流通する。リーン吸収液ライン45を流通するリーン吸収液は、リッチ吸収液ライン44を流通するリッチ吸収液と熱交換器46において熱交換することにより冷却される。熱交換器46において冷却されたリーン吸収液は、上述したように吸収塔41内に流入し、吸収塔41内を落下する。
【0028】
再生塔42内においてリッチ吸収液及びリーン吸収液から放散された二酸化炭素を含むガスは、再生塔42の塔頂から流出し、流出ライン51を流通する。流出ライン51を流通するガスは、昇圧機52によって昇圧されることにより、二酸化炭素を消費する設備又は二酸化炭素を貯蔵する設備(いずれも図示せず)に供給される。
【0029】
二酸化炭素回収装置5では、二酸化炭素の回収量に応じて、リボイラ43で必要とされる熱量が変化する。これに対し、実施形態1では、流量調節弁37の開度を調節することにより、蒸気タービン33をバイパスする高圧蒸気の流量を調節することができる。例えば、蒸気タービン33をバイパスする高圧蒸気の流量を増加する(流量調節弁37の開度を大きくする)と、低圧蒸気のリボイラ43への供給量が低下する一方で低圧蒸気よりも高温・高圧の高圧蒸気のリボイラ43への供給量が増加するので、リボイラ43に付与する熱量が増加する。逆に、蒸気タービン33をバイパスする高圧蒸気の流量を低下する(流量調節弁37の開度を小さくする)と、リボイラ43に付与する熱量が低下する。このように、流量調節弁37の開度を調節することにより、低圧蒸気のリボイラ43への供給量と、蒸気タービン33をバイパスしてリボイラ43に供給される高圧蒸気の供給量とを調節することができるので、二酸化炭素の回収量に応じた熱量をリボイラ43に付与することができる。
【0030】
リボイラ43においてリーン吸収液と熱交換した水蒸気は、熱媒体戻りライン54を介して再び熱交換器30に流入し、第2ガスと熱交換する。熱媒体戻りライン54を設けずに、リボイラ43においてリーン吸収液と熱交換した水蒸気を廃棄し、熱交換器30に常に新しい水を供給することもできるが、熱媒体戻りライン54を設ける構成にすれば、一定量の水が熱交換器30とリボイラ43との間を循環するので、水の消費量を抑制することができる。熱交換器30に水を供給する際に、凝縮水の一部をタンク55に貯留してもよい。
【0031】
このように、二酸化炭素回収装置5はガスタービン20から排出されたガスから二酸化炭素を回収するので、製鉄設備2から排出される第1ガスをガスタービン20の燃料に使用しても、製鉄設備2及びガスタービン20において発生した二酸化炭素を回収可能であり、かつ、製鉄設備2から排出される第1ガス中に含まれる不活性成分である二酸化炭素の濃度を低減しないので、ガスタービン20の燃料のカロリー調整用として使用される不活性成分である窒素の供給量の増加を抑制可能である。
【0032】
上述の実施形態1とは異なり、製鉄設備2において第1ガスから二酸化炭素を回収すると、燃焼器22に流入する前の第1ガスに、カロリー調整用として供給される窒素の供給量が増えてしまう。そうすると、製鉄設備2に設けられる空気分離器13として大型の装置を用いるか、別の空気分離器をさらに追加する必要がある。しかしながら、実施形態1では、ガスタービン20から排出されたガスから二酸化炭素を回収することで、第1ガスから二酸化炭素を回収することによる窒素の供給量の増加が生じず、その結果、カロリー調整用としての窒素の使用量が増加することを抑制できるので、溶融ガス化炉10に供給される酸素を生成するための空気分離器13で分離された窒素で賄うことが可能である。
【0033】
<本開示の実施形態1に係る二酸化炭素回収システムの変形例>
実施形態1では、リボイラ43においてリーン吸収液を加熱するための熱は、熱交換器30において第2ガスから回収した熱であったが、この熱に限定するものではない。
図2に示されるように、ガスタービン20では通常、圧縮空気の一部を冷却した冷却空気が、燃焼器22の内部、タービン23の静翼60、タービンローター61、タービンローター61の動翼62等を冷却するために用いられる。このため、ガスタービン20は、圧縮空気を冷却するための空気クーラー63を備えている。空気クーラー63は、圧縮空気と蒸気生成設備4から供給される水とを熱交換する熱交換器であり、この熱交換により、圧縮空気は冷却され、水は加熱される。空気クーラー63は、例えば、燃焼器22の内部を冷却するための冷却空気を調製するためのクーラー63aと、タービン23の静翼60を冷却するための冷却空気を調製するためのクーラー63bと、タービンローター61及びタービンローター61の動翼62を冷却するための冷却空気を調製するためのクーラー63cとを備える構成であってもよい。空気クーラー63において加熱された水(又は水蒸気)は、蒸気生成設備4に戻り、直接リボイラ43(
図1参照)に供給されてもよいし、熱交換器30(
図1参照)で第2ガスと熱交換する水に混合されて加熱された上でリボイラ43に供給されてもよい。
【0034】
図3に示されるように、排出ライン11に、溶融鉄又はスラグ等の発熱体と蒸気生成設備4から供給される水とを熱交換する熱交換器である発熱体クーラー65を設けてもよい。発熱体クーラー65において発熱体と熱交換することにより加熱された水(又は水蒸気)を蒸気生成設備4に戻し、直接リボイラ43(
図1参照)に供給してもよいし、熱交換器30(
図1参照)で第2ガスと熱交換する水に混合されて加熱した上でリボイラ43に供給してもよい。
【0035】
実施形態1では、流量調節弁37の開度調整のみにより、リボイラ43に付与する熱量の調節を行っているが、この形態に限定するものではない。
図4に示されるように、第1ライン31に、第1供給量調節装置である第1供給量調節弁39を設け、第1供給量調節弁39及び流量調節弁37の両方の開度調整によって、リボイラ43に付与する熱量の調節を行ってもよい。例えば、リボイラ43に付与する熱量を増加するためには、第1供給量調節弁39の開度を小さくすることにより、リボイラ43への低圧蒸気の供給量を低減し、蒸気タービン33を駆動した水蒸気及び蒸気タービン33をバイパスした高圧蒸気のリボイラ43への供給量を増加する。さらにリボイラ43に付与する熱量を増加するためには、流量調節弁37の開度を大きくし、蒸気タービン33をバイパスした高圧蒸気のリボイラ43への供給量を増加する。逆に、リボイラ43に付与する熱量を低下するためには、第1供給量調節弁39の開度を大きくする。さらにリボイラ43に付与する熱量を低下するためには、流量調節弁37の開度を小さくし、蒸気タービン33を駆動した水蒸気のリボイラ43への供給量を増加する。
【0036】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。実施形態2に係る二酸化炭素回収システムは、実施形態1に対して、蒸気生成設備4の構成を変更したものである。尚、実施形態2において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0037】
<本開示の実施形態2に係る二酸化炭素回収システムの構成>
図5に示されるように、本開示の実施形態2に係る二酸化炭素回収システム1において、蒸気生成設備4の第1ライン31には、第1供給量調節装置である第1供給量調節弁39が設けられている。第2ライン35の一端は、蒸気タービン33から水蒸気を抽気するように蒸気タービン33に接続され、第2ライン35の他端は第1供給量調節弁39よりも下流側で第1ライン31に接続されている。蒸気タービン33には、蒸気タービン33を駆動した水蒸気が排出するための排出ライン70の一端が接続されている。排出ライン70の他端はタンク55に接続されている。排出ライン70には、排出ライン70を流通する水蒸気を冷却するクーラー71と、復水器72と、ポンプ73とが設けられている。熱媒体戻りライン54には、タンク55と熱交換器30との間にポンプ74が設けられている。その他の構成は実施形態1と同じである。
【0038】
<本開示の実施形態2に係る二酸化炭素回収システムの動作>
次に、本開示の実施形態2に係る二酸化炭素回収システムの動作を、
図5を参照して説明するが、実施形態2の動作は、実施形態1の動作に対して蒸気生成設備4の動作が異なるだけで、他の構成の動作は同じであるので、以下では蒸気生成設備4の動作についてのみ説明する。
【0039】
実施形態1では、低圧蒸気と蒸気タービン33を駆動した水蒸気とがリボイラ43に供給されていたが、実施形態2では、低圧蒸気と蒸気タービン33から抽気された水蒸気とがリボイラ43に供給される。実施形態2において、蒸気タービン33を駆動した水蒸気は、排出ライン70を流通する間に、クーラー71において冷却され、復水器72において凝縮され、ポンプ73によってタンク55へ供給される。タンク55には、リボイラ43において吸収液と熱交換した水蒸気(又は水)も供給され、これらの混合水がポンプ74によって再び熱交換器30に供給される。
【0040】
実施形態2でも、リボイラ43に付与する熱量を調節することが可能である。例えば、リボイラ43に付与する熱量を増加する場合には、第1供給量調節弁39の開度を小さくする。そうすると、リボイラ43へ供給される低圧蒸気の供給量が低下するのに対し、低圧蒸気よりも高温・高圧の蒸気タービン33から抽気された水蒸気のリボイラ43への供給量が増加するので、リボイラ43に付与する熱量が増加する。逆に、リボイラ43に付与する熱量を低下する場合は、第1供給量調節弁39の開度を大きくする。そうすると、リボイラ43へ供給される低圧蒸気の供給量が増加するのに対し、低圧蒸気よりも高温・高圧の蒸気タービン33から抽気された水蒸気のリボイラ43への供給量が低下するので、リボイラ43に付与する熱量が低下する。
【0041】
このように、実施形態2においても、二酸化炭素回収装置5はガスタービン20から排出されたガスから二酸化炭素を回収するので、製鉄設備2から排出される第1ガスをガスタービン20の燃料に使用しても、製鉄設備2及びガスタービン20において発生した二酸化炭素を回収可能であり、かつ、製鉄設備2から排出される第1ガス中に含まれる不活性成分である二酸化炭素の濃度を低減しないので、ガスタービン20の燃料のカロリー調整用として使用される不活性成分である窒素の供給量の増加を抑制可能である。
【0042】
<本開示の実施形態2に係る二酸化炭素回収システムの変形例>
図6に示されるように、第2ライン35に、第2供給量調節装置である第2供給量調節弁75を設けてもよい。この変形例において、リボイラ43に付与する熱量を増加するために第1供給量調節弁39の開度を小さくした上で、さらにリボイラ43に付与する熱量を増加する場合には、蒸気タービン33から抽気された水蒸気のリボイラ43への供給量を増加するために第2供給量調節弁75の開度を大きくする。逆に、リボイラ43に付与する熱量を低下するために第1供給量調節弁39の開度を大きくした上で、さらにリボイラ43に付与する熱量を低下する場合には、蒸気タービン33から抽気された水蒸気のリボイラ43への供給量を低下するために第2供給量調節弁75の開度を小さくする。
【0043】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。実施形態3に係る二酸化炭素回収システムは、実施形態1に対して、蒸気生成設備4の構成を変更したものである。尚、実施形態3において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0044】
<本開示の実施形態3に係る二酸化炭素回収システムの構成>
図7に示されるように、本開示の実施形態3に係る二酸化炭素回収システム1において、熱交換器30は、第2ガスと水とが熱交換して水が加熱されることにより、低圧蒸気のみが流出するように構成されている。低圧蒸気をリボイラ43に供給するために、熱交換器30とリボイラ43とが第1ライン31によって連通されている。第1ライン31には、第1供給量調節装置である第1供給量調節弁39が設けられている。
【0045】
蒸気生成設備4は、熱交換器30から流出する低圧蒸気の一部によって駆動される蒸気タービン33を備えている。蒸気タービン33に低圧蒸気を供給するために、一端が第1供給量調節弁39よりも上流側で第1ライン31に接続するとともに他端が蒸気タービン33に接続される蒸気供給ライン80が設けられている。蒸気タービン33には、蒸気タービン33を駆動した水蒸気が排出するための排出ライン70の一端が接続されている。排出ライン70の他端はタンク55に接続されている。排出ライン70には、排出ライン70を流通する水蒸気を冷却するクーラー71と、復水器72と、ポンプ73とが設けられている。熱媒体戻りライン54には、タンク55と熱交換器30との間にポンプ74が設けられている。また、一端がリボイラ43とタンク55との間で熱媒体戻りライン54に接続されるとともに他端が第1供給量調節弁39とリボイラ43との間で第1ライン31に接続される凝縮水供給ライン81が設けられている。その他の構成は実施形態1と同じである。
【0046】
<本開示の実施形態3に係る二酸化炭素回収システムの動作>
次に、本開示の実施形態3に係る二酸化炭素回収システムの動作を、
図7を参照して説明するが、実施形態3の動作は、実施形態1の動作に対して蒸気生成設備4の動作が異なるだけで、他の構成の動作は同じであるので、以下では蒸気生成設備4の動作についてのみ説明する。
【0047】
実施形態1では、低圧蒸気と蒸気タービン33を駆動した水蒸気とがリボイラ43に供給されていたが、実施形態3では、低圧蒸気のみがリボイラ43に供給される。実施形態3において、蒸気タービン33を駆動した水蒸気は、排出ライン70を流通する間に、クーラー71において冷却され、復水器72において凝縮され、ポンプ73によってタンク55へ供給される。タンク55には、リボイラ43において吸収液と熱交換した水蒸気(又は水)も供給され、これらの混合水がポンプ74によって再び熱交換器30に供給される。
【0048】
実施形態3でも、リボイラ43に付与する熱量を調節することが可能である。例えば、リボイラ43に付与する熱量を増加する場合には、第1供給量調節弁39の開度を大きくして、リボイラ43へ供給される低圧蒸気の供給量を増加する。逆に、リボイラ43に付与する熱量を低下する場合は、第1供給量調節弁39の開度を小さくして、リボイラ43へ供給される低圧蒸気の供給量を低下する。
【0049】
実施形態3では、凝縮水供給ライン81を介して、リボイラ43において水蒸気が吸収液と熱交換することによって生成した凝縮水の一部を第1供給量調節弁39よりも下流側で第1ライン31に供給することもできる。すなわち、リボイラ43において水蒸気が吸収液と熱交換することにより生成した凝縮水の一部を第1供給量調節弁39よりも下流側で第1ライン31内に噴霧することによって、リボイラ43に供給される水蒸気の温度を調節することもできる。上述の動作、すなわち、リボイラ43に供給される低圧蒸気の供給量を低下させることではリボイラ43で必要とされる熱量を調節できない場合、第1供給量調節弁39の下流で過熱蒸気となっている低圧蒸気に凝縮水が噴霧されると、凝縮水が蒸発して低圧蒸気の温度が低下することにより、リボイラ43で必要とされる熱量を調節することが可能になる。
【0050】
このように、実施形態3においても、二酸化炭素回収装置5はガスタービン20から排出されたガスから二酸化炭素を回収するので、製鉄設備2から排出される第1ガスをガスタービン20の燃料に使用しても、製鉄設備2及びガスタービン20において発生した二酸化炭素を回収可能であり、かつ、製鉄設備2から排出される第1ガス中に含まれる不活性成分である二酸化炭素の濃度を低減しないので、ガスタービン20の燃料のカロリー調整用として使用される不活性成分である窒素の供給量の増加を抑制可能である。
【0051】
<その他の変形例>
実施形態1~3では、二酸化炭素回収装置5における二酸化炭素の回収量に応じてリボイラ43に付与する熱量を調節していたが、この形態に限定するものではない。電力需要に応じて蒸気タービン33の負荷を調節するために、例えば電力需要が高まったときに、蒸気タービン33の負荷を増大する一方で、二酸化炭素回収装置5における二酸化炭素の回収量を減らすために、リボイラ43に付与する熱量を低下することもあり得る。電力需要が変動する例としては、製鉄設備2において製造される鉄鋼製品に応じて変動する圧延機等の電力需要の変動が挙げられる。
【0052】
図8に、製鉄設備2における電力需要に基づいて、リボイラ43に付与する熱量を低下することのできる例示的な構成の概略構成図を示す。製鉄設備2における電力需要を取得する電力需要取得部101と、電力需要取得部101が取得した電力需要に基づいてリボイラ43に供給される水蒸気の供給量を調節する水蒸気供給量調節部102とを含む制御装置100が設けられている。電力需要取得部101は例えば、製鉄設備2の図示しない制御装置と電気的に又は無線通信を介して接続されている。水蒸気供給量調節部102は水蒸気の供給量を調節する目的で流量調節弁37、第1供給量調節弁39又は第2供給量調節弁75の開度調整を行えるように、これらの弁と電気的に接続されている。
【0053】
制御装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。
【0054】
図8の構成では、例えば、電力需要取得部101が製鉄設備2における電力需要が増加するデータを取得した場合は、水蒸気供給量調節部102は、予め設定されたマップや計算式等に基づいて、流量調節弁37、第1供給量調節弁39又は第2供給量調節弁75の開度を決定し、それらの開度調整を行うことにより、二酸化炭素回収装置5における二酸化炭素の回収量を減らして、リボイラ43に付与する熱量を低下することができる。
【0055】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0056】
[1]一の態様に係る二酸化炭素回収システムは、
製鉄設備(2)と、
前記製鉄設備(2)から排出される第1ガスを燃焼させることにより発生した燃焼ガスでタービン(23)を駆動するガスタービン(20)と、
前記ガスタービン(20)の前記タービン(23)から排出された第2ガスと熱媒体とを熱交換する熱交換器(30)と、
前記熱交換器(30)において前記熱媒体と熱交換した前記第2ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置(5)と
を備え、
前記二酸化炭素回収装置(5)は、
前記第2ガスと吸収液とを接触させることによって二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる吸収塔(41)と、
前記吸収塔(41)において二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱して前記吸収液から二酸化炭素を放散させる再生塔(42)と、
前記再生塔(42)内の前記吸収液と前記熱交換器(30)において前記第2ガスと熱交換した前記熱媒体とを熱交換することにより前記吸収液を加熱するリボイラ(43)と
を備える。
【0057】
本開示の二酸化炭素回収システムによれば、二酸化炭素回収装置はガスタービンから排出されたガスから二酸化炭素を回収するので、製鉄設備から排出されるガスをガスタービンの燃料に使用しても、製鉄設備及びガスタービンにおいて発生した二酸化炭素を回収可能であり、かつ、製鉄設備から排出されるガス中に含まれる不活性成分である二酸化炭素の濃度を低減しないので、ガスタービンの燃料のカロリー調整用として使用される不活性成分である窒素の供給量の増加を抑制可能である。
【0058】
[2]別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[1]の二酸化炭素回収システムであって、
前記熱交換器(30)において前記第2ガスと熱交換した前記熱媒体としての水蒸気の一部を前記リボイラ(43)に供給するための第1ライン(31)と、
前記熱交換器(30)において前記第2ガスと熱交換した前記熱媒体としての水蒸気の残部によって駆動される蒸気タービン(33)と
を備える。
【0059】
このような構成によれば、二酸化炭素回収装置で使用されない水蒸気を利用して蒸気タービンを駆動することにより発電が可能なので、二酸化炭素回収システムを含むプラント全体での発電効率を向上させることができる。
【0060】
[3]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[2]の二酸化炭素回収システムであって、
前記第1ライン(31)を介して前記リボイラ(43)に供給される水蒸気の供給量を調節するための第1供給量調節装置(第1供給量調節弁39)を備える。
【0061】
このような構成によれば、二酸化炭素回収装置で必要な熱量に応じて、リボイラに供給する水蒸気の供給量を調節することができる。
【0062】
[4]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[3]の二酸化炭素回収システムであって、
前記リボイラ(43)において前記水蒸気が前記吸収液と熱交換することによって生成した凝縮水の一部を前記第1供給量調節装置(39)よりも下流側で前記第1ライン(31)に供給するための凝縮水供給ライン(81)を備える。
【0063】
このような構成によれば、リボイラにおいて水蒸気が吸収液と熱交換することにより生成した凝縮水の一部を第1供給量調節装置よりも下流側で第1ライン内に噴霧することによって、リボイラに供給される水蒸気の温度を調節することができる。リボイラに供給される水蒸気の供給量を低下させることではリボイラで必要とされる熱量を調節できない場合、第1供給量調節装置の下流で過熱蒸気となっている水蒸気に凝縮水が噴霧されると、凝縮水が蒸発して水蒸気の温度が低下することにより、リボイラで必要とされる熱量を調節することが可能になる。
【0064】
[5]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[2]の二酸化炭素回収システムであって、
前記蒸気タービン(33)を駆動するために使用された水蒸気、又は、前記蒸気タービン(33)から抽気された水蒸気を前記リボイラ(43)に供給するための第2ライン(35)を備える。
【0065】
このような構成によれば、熱交換器で生成した水蒸気だけではなく、蒸気タービンから排出又は抽気された水蒸気を用いてリボイラにおいて吸収液を加熱するので、リボイラで必要とされる熱量を調節し易くなる。
【0066】
[6]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[5]の二酸化炭素回収システムであって、
前記蒸気タービン(33)から抽気された水蒸気が前記第2ライン(35)を介して前記リボイラ(43)に供給されるように構成され、
前記第1ライン(31)を介して前記リボイラ(43)に供給される水蒸気の供給量を調節するための第1供給量調節装置(39)を備える。
【0067】
このような構成によれば、熱交換器で生成した水蒸気の供給量と、蒸気タービンから排出又は抽気された水蒸気の供給量とを調節可能になるので、リボイラで必要とされる熱量を調節し易くなる。
【0068】
[7]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[6]の二酸化炭素回収システムであって、
前記第2ライン(35)を介して前記リボイラ(43)に供給される水蒸気の供給量を調節するための第2供給量調節装置(第2供給量調節弁75)を備える。
【0069】
このような構成によれば、熱交換器で生成した水蒸気の供給量と、蒸気タービンから排出又は抽気された水蒸気の供給量とを調節可能になるので、リボイラで必要とされる熱量を調節し易くなる。
【0070】
[8]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[5]の二酸化炭素回収システムであって、
前記蒸気タービン(33)を駆動するために使用された水蒸気が前記第2ライン(35)を介して前記リボイラ(43)に供給されるように構成され、
前記水蒸気の残部の少なくとも一部が前記蒸気タービン(33)をバイパスして前記第2ライン(35)に供給されるためのバイパスライン(36)と、
前記バイパスライン(36)を流れる水蒸気の流量を調節するためのバイパス流量調節装置(流量調節弁37)と
を備える。
【0071】
このような構成によれば、蒸気タービンをバイパスしてリボイラに供給される水蒸気の供給量を調節することができるので、二酸化炭素の回収に必要な熱量をリボイラに付与することができる。
【0072】
[9]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[8]の二酸化炭素回収システムであって、
前記第1ライン(31)を介して前記リボイラ(43)に供給される水蒸気の供給量を調節するための第1供給量調節装置(39)を備える。
【0073】
このような構成によれば、第1ラインを介して前記リボイラに供給される水蒸気の供給量と、蒸気タービンをバイパスしてリボイラに供給される水蒸気の供給量を調節することができるので、二酸化炭素の回収に必要な熱量をリボイラに付与することができる。
【0074】
[10]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[1]~[9]の二酸化炭素回収システムであって、
前記リボイラ(43)において前記吸収液と熱交換した前記熱媒体を、前記熱交換器(30)において前記第2ガスと熱交換させるために、前記熱交換器(30)に供給するための熱媒体戻りライン(54)を備える。
【0075】
このような構成によれば、一定量の熱媒体が熱交換器とリボイラとの間を循環するので、熱媒体の消費量を抑制することができる。
【0076】
[11]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[1]~[10]の二酸化炭素回収システムであって、
前記ガスタービン(20)は、
空気を圧縮する圧縮機(21)と、
前記圧縮機(21)で圧縮された圧縮空気を用いて前記第1ガスを燃焼させる燃焼器(22)と、
前記タービン(23)と、
前記圧縮空気の一部と前記熱媒体の一部とを熱交換することにより前記圧縮空気の一部を冷却する空気クーラー(63)と
を備える。
【0077】
このような構成によれば、ガスタービンの燃焼器及びタービンを冷却する冷却空気の温度を調節するために圧縮空気から除去した熱を吸収液の加熱に使用するので、二酸化炭素回収システム全体の熱効率を向上させることができる。
【0078】
[12]さらに別の態様に係る二酸化炭素回収システムは、[1]~[11]の二酸化炭素回収システムであって、
前記製鉄設備(2)における発熱体と前記熱媒体の一部とを熱交換することにより前記発熱体を冷却する発熱体クーラー(65)を備える。
【0079】
このような構成によれば、製鉄設備での排熱を吸収液の加熱に使用するので、二酸化炭素回収システム全体の熱効率を向上させることができる。
【0080】
[13]さらに別の態様に係るは、[1]~[12]の二酸化炭素回収システムであって、
前記二酸化炭素回収装置(5)は、
前記二酸化炭素回収装置(5)内で前記吸収液を流通させるための少なくとも1つのポンプ(リッチ吸収液ポンプ47,リーン吸収液ポンプ48)と、
前記再生塔(42)から流出したガスを昇圧するための昇圧機(52)と
を備え、
前記二酸化炭素回収システム(1)は、前記ガスタービン(20)によって駆動される第1発電装置(26)を備え、
前記第1発電装置(26)で発電された電力によって前記少なくとも1つのポンプ(47,48)又は前記昇圧機(52)の少なくともいずれかが駆動されるように構成されている。
【0081】
このような構成によれば、二酸化炭素回収システムで発電された電力を二酸化炭素回収システム内で使用することにより、二酸化炭素回収システムの外部から供給する必要のある電力を低減又は二酸化炭素回収システムの外部からの電力供給を必要としないようにすることができる。
【0082】
[14]さらに別の態様に係るは、[2]~[9]の二酸化炭素回収システムであって、
前記二酸化炭素回収装置(5)は、
前記二酸化炭素回収装置(5)内で前記吸収液を流通させるための少なくとも1つのポンプ(47,48)と、
前記再生塔(42)から流出したガスを昇圧するための昇圧機(52)と
を備え、
前記二酸化炭素回収システム(5)は、前記蒸気タービン(33)によって駆動される第2発電装置(34)を備え、
前記第2発電装置(34)で発電された電力によって前記少なくとも1つのポンプ(47,48)又は前記昇圧機(52)の少なくともいずれかが駆動されるように構成されている。
【0083】
このような構成によれば、二酸化炭素回収システムで発電された電力を二酸化炭素回収システム内で使用することにより、二酸化炭素回収システムの外部から供給する必要のある電力を低減又は二酸化炭素回収システムの外部からの電力供給を必要としないようにすることができる。
【0084】
[15]さらに別の態様に係るは、[1]~[14]の二酸化炭素回収システムであって、
前記第1ガスから固形成分を除去するための集塵装置(27)を備える。
【0085】
このような構成によれば、集塵装置で固形成分の含有量が低減された第1ガスがガスタービンに供給されるので、ガスタービンの故障のリスクを低減することができる。
【0086】
[16]さらに別の態様に係るは、[1]~[15]の二酸化炭素回収システムであって、
前記ガスタービン(20)は、
空気を圧縮する圧縮機(21)と、
前記圧縮機(21)で圧縮された圧縮空気を用いて前記第1ガスを燃焼させる燃焼器(22)と、
前記タービン(23)と、
を備え、
前記二酸化炭素回収システム(1)は、前記第1ガスが前記燃焼器(22)に供給される前に前記第1ガスに窒素を供給するための窒素供給ライン(24)を備え、
前記製鉄設備(2)は、
溶融ガス化炉(10)と、
空気を酸素と窒素とに分離する空気分離器(13)と
を備え、
前記空気分離器(13)において分離された酸素は前記溶融ガス化炉(10)に供給され、前記空気分離器(13)において分離された窒素は前記窒素供給ライン(24)を介して前記第1ガスに供給されるように構成されている。
【0087】
製鉄設備において第1ガスから二酸化炭素を回収すると、燃焼器に流入する前の第1ガスに、カロリー調整用として供給される窒素の供給量が増えてしまう。そうすると、製鉄設備に設けられる空気分離器として大型の装置を用いるか、別の空気分離器をさらに追加する必要がある。これに対し、[16]の構成によれば、ガスタービンから排出されたガスから二酸化炭素を回収することで、第1ガスから二酸化炭素を回収することによる窒素の供給量の増加が生じず、その結果、カロリー調整用としての窒素の使用量が増加することを抑制できるので、溶融ガス化炉に供給される酸素を生成するための空気分離器で分離された窒素で賄うことが可能である。
【0088】
[17]さらに別の態様に係るは、[3]、[4]、[6]~[9]の二酸化炭素回収システムであって、
前記製鉄設備(2)における電力需要を取得する電力需要取得部(101)と、
前記電力需要取得部(101)が取得した前記電力需要に基づいて前記リボイラ(43)に供給される前記水蒸気の供給量を調節する水蒸気供給量調節部(102)と
を含む制御装置(100)を備え、
前記電力需要が増加するデータを前記電力需要取得部(101)が取得したら、取得された前記電力需要に基づいて、前記水蒸気供給量調節部(102)は、前記リボイラ(43)への前記水蒸気の供給量を減少させるように、前記バイパス流量調節装置(37)、前記第1供給量調節装置(39)又は前記第2供給量調節装置(75)の動作の調整を行うように構成されている。
【0089】
このような構成によれば、製鉄設備の電力需要が高まったときに、蒸気タービンの負荷を増大する一方で、二酸化炭素回収装置における二酸化炭素の回収量を減らすために、リボイラに付与する熱量を低下することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 二酸化炭素回収システム
2 製鉄設備
5 二酸化炭素回収装置
10 溶融ガス化炉
13 空気分離器
20 ガスタービン
21 圧縮機
22 燃焼器
23 タービン
24 窒素供給ライン
26 第1発電装置
27 集塵装置
30 熱交換器
31 第1ライン
33 蒸気タービン
34 第2発電装置
35 第2ライン
36 バイパスライン
37 流量調節弁(バイパス流量調節装置)
39 第1供給量調節弁(第1供給量調節装置)
41 吸収塔
42 再生塔
43 リボイラ
47 リッチ吸収液ポンプ
48 リーン吸収液ポンプ
52 昇圧機
54 熱媒体戻りライン
63 空気クーラー
65 発熱体クーラー
75 第2供給量調節弁(第2供給量調節装置)
81 凝縮水供給ライン
100 制御装置
101 電力需要取得部
102 水蒸気供給量調節部