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特開2024-706473次元形状計測装置および3次元形状計測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070647
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】3次元形状計測装置および3次元形状計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20240516BHJP
   G01S 7/4914 20200101ALI20240516BHJP
【FI】
G01B11/24 K
G01S7/4914
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181270
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】後町 修
【テーマコード(参考)】
2F065
5J084
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065AA53
2F065DD03
2F065FF13
2F065GG04
2F065GG22
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL04
2F065QQ14
5J084AA13
5J084AC08
5J084AD02
5J084BA03
5J084BA34
5J084BA40
5J084BB01
5J084CA10
5J084CA44
5J084CA65
5J084CA67
5J084EA04
(57)【要約】
【課題】イメージセンサ内の複数画素において計測対象物までの測距データを均一な精度で得て3次元形状を計測することが可能な3次元形状計測装置を提供する。
【解決手段】3次元形状計測装置1は発光部12と撮像素子14と出力量検出部152と演算部153と計測部156と形状情報生成部157とを備える。出力量検出部152は、発光部12からの1回の発光に対する画素ごとの露光出力量を検出する。演算部153は、1回の発光に対して計測対象物で反射した反射光をすべて含む露光タイミングで出力された画素ごとの基準露光出力量を取得し、画素ごとの基準露光出力量を所定の目標値に近づけるための積算回数に基づいて、画素ごとの発光および露光回数を取得する。計測部156は、取得した発光および露光回数のもと、計測対象物までの距離を画素ごとに計測する。形状情報生成部157は、計測された情報を用いて計測対象物の3次元形状情報を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象物に向けてレーザ光を発光する発光部と、
複数の画素を有し、前記画素ごとに、前記発光部から発光されたレーザ光が前記計測対象物で反射した反射光を所定の露光条件に基づいて受光し、光電変換して出力信号として出力する撮像素子と、
前記撮像素子から出力された出力信号に基づいて、前記発光部からの1回の発光に対する画素ごとの露光出力量を検出する出力量検出部と、
前記発光部からの1回の発光に対して前記計測対象物で反射した反射光をすべて含む露光タイミングで前記撮像素子が受光して出力した出力信号に基づいて、前記出力量検出部で検出された前記画素ごとの露光出力量を基準露光出力量として取得し、取得した前記画素ごとの基準露光出力量に基づいて前記計測対象物までの距離を計測するための前記画素ごとの計測条件を演算する演算部と、
前記演算部で演算された計測条件のもと、前記発光部からの1回の発光に対して前記計測対象物で反射した反射光が前記撮像素子で受光される受光タイミングが、発光タイミングに対して遅延する程、露光出力量が多くなる露光タイミングで各撮像素子が受光した出力した出力信号に基づいて、前記出力量検出部で検出された前記画素ごとの露光出力量に基づいて、前記計測対象物までの距離を前記画素ごとに計測する計測部と、
前記計測部で計測された前記計測対象物までの前記画素ごとの距離の情報を用いて、前記計測対象物の3次元形状情報を生成する形状情報生成部とを備える、3次元形状計測装置。
【請求項2】
前記演算部は、前記計測条件として、前記画素ごとの基準露光出力量を予め設定された露光出力量の目標値に近づけるための積算回数に基づく前記画素ごとの発光および露光回数、または、前記画素ごとの基準露光出力量を前記露光出力量の目標値に近づけるための前記画素ごとの発光強度を算出する、請求項1に記載の3次元形状計測装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記画素ごとの基準露光出力量のうち、所定回数積算すると前記撮像素子の電荷容量を超える基準露光出力量に対応する画素を計測不能な画素と判定し、所定回数積算しても所定値に達しない基準露光出力量に対応する画素を無効画素として判定し、
前記計測部は、前記計測不能な画素と判定された画素および前記無効画素と判定された画素については、計測処理実行しない、請求項1に記載の3次元形状計測装置。
【請求項4】
前記演算部は、算出した計測条件の値が近い画素をまとめた複数の画素グループを生成し、各画素グループに属する画素ごとの計測条件に基づいて前記画素グループごとの計測条件を決定し、
前記計測部は、前記画素グループごとに、該当する画素グループに対して決定した計測条件のもと、検出された前記画素ごとの露光出力量に基づいて、該当する画素グループに属する画素ごとに前記計測対象物までの距離を計測する、請求項1に記載の3次元形状計測装置。
【請求項5】
計測対象物に向けてレーザ光を発光する発光部と、
複数の画素を有し、前記画素ごとに、前記発光部から発光されたレーザ光が前記計測対象物で反射した反射光を所定の露光条件に基づいて受光し、光電変換して出力信号として出力する撮像素子と、
前記撮像素子から出力された出力信号に基づいて、前記発光部からの1回の発光に対する画素ごとの露光出力量を検出する出力量検出部とを備える3次元形状計測装置が、
前記発光部からの1回の発光に対して前記計測対象物で反射した反射光をすべて含む露光タイミングで各前撮像素子が受光して出力した出力信号に基づいて、前記出力量検出部で検出された前記画素ごとの露光出力量を基準露光出力量として取得し、前記画素ごとの基準露光出力量を、予め設定された露光出力量の目標値に近づけるための積算回数を算出し、算出した積算回数に基づいて、前記計測対象物までの距離を計測するための前記画素ごとの計測条件である前記画素ごとの発光および露光回数を算出し、
算出した発光および露光回数のもと、前記発光部からの1回の発光に対して前記計測対象物で反射した反射光が前記撮像素子で受光される受光タイミングが、発光タイミングに対して遅延する程、露光出力量が多くなる露光タイミングで各撮像素子が受光した出力した出力信号に基づいて、前記出力量検出部で検出された前記画素ごとの露光出力量に基づいて、前記計測対象物までの距離を前記画素ごとに計測し、
計測された前記計測対象物までの前記画素ごとの距離の情報を用いて、前記計測対象物の3次元形状情報を生成する、3次元形状計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元形状計測装置および3次元形状計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、デジタルカメラ装置で撮影する際の撮像素子への光の露光量は、(i) 光源発光強度、(ii) 被写体反射率、(iii) レンズT値、(iv) レンズ絞り値、(v) センサ露光時間、および(vi) 回路による信号増幅量、の6つのパラメータにより決定される。
【0003】
撮影を行う際には、撮影者は、上述したパラメータ(i)、(ii)、および(iii)に合わせてパラメータ(iv)、(v)、および(vi)を変化させ、場合によってはパラメータ(i)を加減して、適正な撮像条件を設定する。例えば撮影者は、主となる被写体と従となる被写体との信号強度のバランスにより、これらのパラメータを調整して撮影条件を設定する。
【0004】
一方、dToF(direct Time of Flight)方式を用いた3次元形状計測装置では、レーザ発光パルスとイメージセンサ(撮像素子)における露光の位相を変化させることで、計測対象物の測距に必要な露光出力量を取得する。その際、レーザ発光時間は非常に短時間であるため、1回の発光および露光では十分な露光出力量を得ることが難しい。そのため、センサ露光時間よりも長い間隔で発光および露光を複数回繰り返すことで、必要な露光出力量を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-74445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
dToF方式を用いた3次元形状計測装置が計測対象物の測距を正確に行うためには、イメージセンサのすべての画素において適切な露光出力量を得ることが求められる。しかし、計測対象物がレーザ光の反射率が低い素材で構成されている場合や、3次元形状計測装置から計測対象物までの距離が長い場合、またはレーザ発光位置の関係で計測対象物からの反射光が得られない箇所がある場合など、計測条件によってはイメージセンサのすべての画素において適切な露光出力量を得ることができない場合があるという問題があった。
【0007】
また、イメージセンサのアナログ信号増幅制御および露光制御は1画面当たりを1単位として行われており、画素毎に露光出力量を調整することができないという問題があった。
【0008】
本発明は、イメージセンサ内の複数画素において計測対象物までの測距データを均一な精度で得て、3次元形状を計測することが可能な、3次元形状計測装置および3次元形状計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の3次元形状計測装置は、計測対象物に向けてレーザ光を発光する発光部と、複数の画素を有し、前記画素ごとに、前記発光部から発光されたレーザ光が前記計測対象物で反射した反射光を所定の露光条件に基づいて受光し、光電変換して出力信号として出力する撮像素子と、前記撮像素子から出力された出力信号に基づいて、前記発光部からの1回の発光に対する画素ごとの露光出力量を検出する出力量検出部と、前記発光部からの1回の発光に対して前記計測対象物で反射した反射光をすべて含む露光タイミングで前記撮像素子が受光して出力した出力信号に基づいて、前記出力量検出部で検出された前記画素ごとの露光出力量を基準露光出力量として取得し、取得した前記画素ごとの基準露光出力量に基づいて前記計測対象物までの距離を計測するための前記画素ごとの計測条件を演算する演算部と、前記演算部で演算された計測条件のもと、前記発光部からの1回の発光に対して前記計測対象物で反射した反射光が前記撮像素子で受光される受光タイミングが、発光タイミングに対して遅延する程、露光出力量が多くなる露光タイミングで各撮像素子が受光した出力した出力信号に基づいて、前記出力量検出部で検出された前記画素ごとの露光出力量に基づいて、前記計測対象物までの距離を前記画素ごとに計測する計測部と、前記計測部で計測された前記計測対象物までの前記画素ごとの距離の情報を用いて、前記計測対象物の3次元形状情報を生成する形状情報生成部とを備え、前記演算部は、前記画素ごとの基準露光出力量を、予め設定された露光出力量の目標値に近づけるための積算回数を算出し、算出した積算回数に基づいて、前記計測条件である前記画素ごとの発光および露光回数を算出する。
【0010】
また、本発明の3次元形状計測方法は、計測対象物に向けてレーザ光を発光する発光部と、複数の画素を有し、前記画素ごとに、前記発光部から発光されたレーザ光が前記計測対象物で反射した反射光を所定の露光条件に基づいて受光し、光電変換して出力信号として出力する撮像素子と、前記撮像素子から出力された出力信号に基づいて、前記発光部からの1回の発光に対する画素ごとの露光出力量を検出する出力量検出部とを備える3次元形状計測装置が、前記発光部からの1回の発光に対して前記計測対象物で反射した反射光をすべて含む露光タイミングで各前撮像素子が受光して出力した出力信号に基づいて、前記出力量検出部で検出された前記画素ごとの露光出力量を基準露光出力量として取得し、前記画素ごとの基準露光出力量を、予め設定された露光出力量の目標値に近づけるための積算回数を算出し、算出した積算回数に基づいて、前記計測対象物までの距離を計測するための前記画素ごとの計測条件である前記画素ごとの発光および露光回数を算出し、算出した発光および露光回数のもと、前記発光部からの1回の発光に対して前記計測対象物で反射した反射光が前記撮像素子で受光される受光タイミングが、発光タイミングに対して遅延する程、露光出力量が多くなる露光タイミングで各撮像素子が受光した出力した出力信号に基づいて、前記出力量検出部で検出された前記画素ごとの露光出力量に基づいて、前記計測対象物までの距離を前記画素ごとに計測し、計測された前記計測対象物までの前記画素ごとの距離の情報を用いて、前記計測対象物の3次元形状情報を生成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の3次元形状計測装置および3次元形状計測方法によれば、イメージセンサ内の複数画素において計測対象物までの測距データを均一な精度で得て、3次元形状を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による3D形状計測装置の構成を示すブロック図である。
図2】(a)は、従来の3D形状計測装置が、被写体に計測対象物を含めた状態でレーザ光を発光し、計測対象物で反射されたレーザ光をすべて含むように露光を行った場合に、所定画素から出力される露光出力量を示す図であり、(b)は、計測対象物で反射されたレーザ光が、発光タイミングに対して遅延する程、露光出力量が多くなるタイミングで露光を行った場合に所定画素から出力される露光出力量を示す図であり、(c)は、被写体に計測対象部を含まない状態で、発光を行わずに露光を行った場合に、所定画素から出力される露光出力量を示す図である。
図3】本発明の一実施形態による3D形状計測装置が計測条件の演算処理を実行する際の処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態による3D形状計測装置が実行する計測処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態による3次元(3D)形状計測装置の構成および3D形状計測方法について、図面を参照して説明する。
【0014】
〈一実施形態による3D形状計測装置の構成〉
図1は、本発明の一実施形態による3D形状計測装置1の構成を示すブロック図である。3D形状計測装置1は、所定の計測対象物の形状を計測するものであり、入力部11と、発光部12と、レンズ部13と、イメージセンサ(撮像素子)14と、CPU15とを有する。
【0015】
入力部11は、利用者による操作の情報を入力する。発光部12は、レーザ光を計測対象物に向けて発光する。レンズ部13は、発光部12から発光されたレーザ光が計測対象物で反射した反射光を入射する。イメージセンサ14は、x個の画素p1~pxと、画素p1~pxごとに設けられた受光部r1~rx(図示せず)および信号増幅器am1~amx(図示せず)とを有する。
【0016】
以降、画素p1~pxのうち、いずれであるかを特定しない場合には「画素p」と記載する。同様に、受光部r1~rxのうち、いずれであるかを特定しない場合には「受光部r」と記載する。同様に、信号増幅器am1~amxのうち、いずれであるかを特定しない場合には「信号増幅器am」と記載する。
【0017】
受光部rは、レンズ部13から入射された光を所定の露光条件に基づいて受光して光電変換する。信号増幅器amは、対応する受光部rで光電変換により発生し蓄積した電荷を電圧変換して増幅し、出力信号として出力する。
【0018】
CPU15は、発光制御部151と、出力量検出部152と、演算部153と、信号増幅量制御部154と、露光制御部155と、計測部156と、形状情報生成部157とを有する。
【0019】
発光制御部151は、発光部12からの発光を制御する。出力量検出部152は、イメージセンサ14の画素pごとに出力された出力信号に基づいて、発光部12からの1回の発光に対する画素pごとの露光出力量を検出する。
【0020】
演算部153は、発光部12からの1回の発光に対して計測対象物で反射した反射光をすべて含む露光タイミングで各受光部rが受光して出力された出力信号に基づいて、出力量検出部152で検出された画素pごとの露光出力量を基準露光出力量として取得する。本実施形態では、演算部153は、計測対象物までの距離を計測するための発光および露光回数を画素pごとに計測条件として設定し、取得した画素pごとの基準露光出力量に基づいて計測条件を算出(演算)する。
【0021】
信号増幅量制御部154は、イメージセンサ14の各画素pの信号増幅器amによる信号増幅量を制御する。露光制御部155は、イメージセンサ14の各画素pにおける露光時間および露光タイミングを制御する。
【0022】
計測部156は、演算部153で演算された計測条件のもと、出力量検出部152で検出された出力信号に基づいて、計測対象物までの距離を画素pごとに計測する。形状情報生成部157は、計測部156で計測された情報を用いて、計測対象物の3D形状情報を生成する。
【0023】
〈一実施形態による3D形状計測装置の動作〉
以下に、3D形状計測装置1の一般的な動作として、dToF(Direct Time of Flight)の技術を用いて所定の計測対象物Bの3D形状情報を生成する際の処理について説明する。
【0024】
3D形状計測装置1の計測対象範囲に計測対象物Bを設置し、発光制御部151の制御により発光部12が計測対象物Bに向けてレーザ光を発光すると、発光されたレーザ光が計測対象物Bで反射され、レンズ部13から入射されてイメージセンサ14の各画素pの受光部rで受光される。
【0025】
イメージセンサ14では、各受光部rが受光した光を光電変換し、それぞれ対応する信号増幅器amが光電変換により発生した電荷を電圧に変換して増幅し、出力信号として出力する。出力量検出部152は、イメージセンサ14の画素pごとに、出力された出力信号に基づいて、露光出力量を検出し、計測部156に送出する。
【0026】
計測部156は、出力量検出部152で検出された露光出力量に基づいて、画素pごとの計測対象物Bまでの距離を計測する。
【0027】
計測部156が、画素pごとの計測対象物Bまでの距離の計測に用いるパラメータについて説明する。図2(a)は、被写体に計測対象物Bを含めた状態で発光部12からレーザ光を発光し、計測対象物Bで反射されたレーザ光をすべて含むように露光時間および露光タイミングを設定して露光を行った場合に、所定画素pから出力される露光出力量S’0を示す図である。
【0028】
図2(a)において、Tp(時刻t0~t1)は発光部12からのレーザ光の発光時間であり、Tq(時刻t0~t2)は受光部rにおける露光時間である。露光時間Tq内に所定の画素pから出力される露光出力量S’0は、計測対象物Bの反射光に対する露光出力量S0と、計測対象物B以外の背景の反射光に対する露光出力量BGとを含む。露光出力量S0は、後述する計測条件の演算処理、計測対象物Bまでの計測処理において基準露光出量として用いる。
【0029】
ここでは、露光時間Tqの開始タイミングは発光時間Tpの開始タイミングと同じ時刻t0であり、露光時間Tqの終了タイミングである時刻t2は、発光時間Tpの終了タイミングである時刻t1よりも遅く、計測対象物Bの反射光をすべて含めて露光した後の時刻である。
【0030】
図2(b)は、被写体に計測対象物Bを含めた状態で発光部12からレーザ光を発光し、計測対象物Bで反射されたレーザ光が受光部rで受光される受光タイミングが、発光タイミングに対して遅延する程、露光出力量が多くなるような露光タイミングで露光を行った場合に、所定画素pから出力される露光出力量S’1を示す図である。
【0031】
図2(b)において、Tp(時刻t5~t6)は発光部12からのレーザ光の発光時間であり、Tq(時刻t6~t8)は受光部rにおける露光時間である。露光時間Tq内に所定の画素pから出力される露光出力量S’1は、計測対象物Bの反射光に対する露光出力量S1と、計測対象物B以外の背景の反射光に対する露光出力量BGとを含む。
【0032】
ここでは、露光時間Tqの開始タイミングは発光時間Tpの終了タイミングと同じ時刻t6である。露光出力量S1は、露光開始タイミングである時刻t6から計測対象物Bの反射光の受光終了タイミングである時刻t7までの期間における、計測対象物Bの反射光に対する露光出力量である。露光時間Δtは、露光開始タイミングである時刻t6から計測対象物Bの反射光の受光終了タイミングである時刻t7までの時間である。露光時間Δtは、該当する画素pから計測対象物Bまでの距離が長い程、大きな値となる。
【0033】
発光時間Tpに対する露光時間Δtの割合は、下記式(1)に示すように、基準露光出力量S0に対する露光出力量S1の割合に等しい。
Δt/Tp=S1/S0 (1)
【0034】
図2(c)は、被写体に計測対象部Bを含まない状態で、発光を行わずに露光を行った場合に、所定画素pから出力される露光出力量を示す図である。
【0035】
図2(c)において、Tq(時刻t9~t10)は受光部rにおける露光時間である。露光時間Tq内に所定の画素pから出力される露光出力量は、計測対象物B以外の背景の反射光に対する露光出力量BGである。
【0036】
計測部156は、計測対象物Bに対する1回の計測において、上述した図2(a)、(b)、および(c)に関する3通りの露光を行い、イメージセンサ14内の各画素の露光出力量S’0、S’1、BG、およびこれらから算出されるS0、S1の値を取得する。そして計測部156は、取得した値を用いて、画素pごとに計測対象物Bまでの距離を計測する。
【0037】
ここで、発光時間Tpは非常に短時間(例えば、数ナノ秒)であるため、1回の発光および露光では計測対象物Bまでの距離の算出に用いる露光出力量を得ることが難しい。そこで計測部156は、露光時間Tqよりも長い時間間隔でn回の発光および露光を繰り返して露光出力量を積算することで、計測対象物Bまでの距離の算出に用いる露光出力量を得る。
【0038】
つまり、計測部156は、下記式(2)により、図2(a)における基準露光出力量S0を算出する。
S0=n×(S’0-BG) (2)
また、計測部156は、下記式(3)により、図2(b)における露光出力量S1を算出する。
S1=n×(S’1-BG) (3)
上記式(2)および(3)において、nは整数である。
【0039】
上述した各種パラメータを用いて、計測部156は、下記式(4)により画素pごとの計測対象物Bまでの距離Zを算出する。
Z=C×Δt2=C×Tp/2×(S1/S0) (4)
ここで、Cは光速である。
【0040】
ところで、一般的なデジタルカメラ装置で撮影する際のイメージセンサへの光の露光量は、(i) 光源発光強度、(ii) 被写体反射率、(iii) レンズT値、(iv) レンズ絞り値、(v) センサ露光時間、および(vi) 回路による信号増幅量、の6つのパラメータにより決定される。
【0041】
デジタルカメラ装置で撮影を行う際には、撮影者は、上述したパラメータ(i)、(ii)、および(iii)に合わせてパラメータ(iv)、(v)、および(vi)を変化させ、場合によってはパラメータ(i)を加減して、適正な撮像条件を設定する。
【0042】
これに対し、3D形状計測装置等の計測装置がdToF(Direct Time of Flight)の技術を用いてイメージセンサの画素ごとの被写体までの距離を計測する際には、イメージセンサへの露光量を決定するパラメータとしてさらに、(vii) 発光時間と発光回数、(viii) 発光回数に対応した露光回数が加わる。
【0043】
dToFの技術を用いる際には、発光時間および露光時間は、計測装置から計測対象物までの距離レンジにより決定され、これらのパラメータは発光および露光回数nにより制御される。より精度良く計測装置から計測対象物までの距離を計測するには、上述した基準露光出力量S0が、受光部rの容量内で可能な限り大きな目標値になるように、n値を設定することが求められる。
【0044】
しかし、計測対象物Bの形状によっては、3D形状計測装置1からの距離が画素pによって異なるため、基準露光出力量S0を所定の目標値に近づけるためのn値が画素pによって異なる。そこで、本実施形態の3D形状計測装置1は、すべての画素pで検出される基準露光出力量S0をできるだけ所定の目標値に近づけるように、画素pごとに適切な計測条件を演算した後、算出した計測条件により、各画素pについて上述した計測処理を実行する。
【0045】
以下に、3D形状計測装置1が実行する、計測条件の演算処理について説明する。図3は、計測条件の演算処理を行う際に、CPU15が実行する処理を示すフローチャートである。
【0046】
まず利用者は、計測条件の演算に用いる基準露光条件として、1回の計測処理における発光部12からのレーザ光の発光および露光回数の基準値を設定するための操作(基準回数設定操作)を行う。このとき利用者は、3D形状計測装置1以外からの赤外光がほぼ発生しない環境、つまりBG≒0の環境内で所定位置に3D形状計測装置1を設置し、当該位置から、3D形状計測装置1の測定可能距離の最小値分、離れた位置に、赤外線反射率が高く且つ自己で赤外光を発生しない被写体Eを設置し、3D形状計測装置1の入力部11から基準回数設定操作を行う。
【0047】
利用者が基準回数設定操作を行うと、3D形状計測装置1は、1回の発光による基準露光出力量S0の測定を行う。具体的には、発光制御部151の制御により発光部12がレーザ光を発光し、イメージセンサ14の各画素pの受光部rが被写体Eからの反射光を受光して光電変換し、信号増幅器amが光電変換により発生した電荷を電圧に変換して増幅し、出力信号として出力する。出力量検出部152は、出力された信号に基づいて基準露光出力量S0を検出し、演算部153に送出する。
【0048】
演算部153は、イメージセンサ14の中央の画素pの露光出力量S’0の値が、適正な計測処理に必要な基準露光出力量S0の値の下限(S0min)になるべく近しい値になるように積算する回数を算出し、基準発光回数n=Nとして設定する(ステップS1)。S0minの値は、イメージセンサ14の電荷容量に基づいて予め設定される。つまり、上述した処理により、基準露光出力量S0がイメージセンサ14の電荷容量に対して飽和しないように、基準発光回数Nが設定される。
【0049】
次に、利用者は3D形状計測装置1および計測対象物Bを所定位置に設置し、計測条件を演算するための測定開始操作を行う。3D形状計測装置1による計測対象物Bの計測条件として、画素ごとの発光および露光回数を演算する。計測条件を演算するための測定開始操作が行われると、演算部153は、計測条件の演算処理として、(ア-1)計測可能条件に対する判別処理、(ア-2)有効画素と無効画素の判別処理、(イ)発光および露光回数の算出処理、および(ウ)信号増幅量の算出処理を実行する。これらの処理について、以下に説明する。
【0050】
(ア-1)計測可能条件に対する判別処理
計測条件を演算するための測定開始操作が行われると、まず演算部153は、イメージセンサ14の画素pごとに、計測対象物Bの計測が可能か否かの判別処理を行う(ステップS2)。この判別処理では、発光および露光回数を基準発光回数Nとし、演算部153は、発光ごとの露光出力量S’0およびBGを計測して積算する。N回の露光出力量S’0の積算値を露光出力量S’0(N)とし、露光出力量BGの積算値を露光出力量BG(N)とする。
【0051】
イメージセンサ14の電荷容量に基づいて予め設定された、露光出力量S’0(N)が取り得る最大値をS’0maxとすると、演算部153は、下記式(5)で示す計測可能条件を満たす画素p、つまり算出された露光出力量S’0(N)がS’0max以下の画素pを、計測可能な画素pと判定する。
S’0max ≧ BG(N)+S0min=S’0(N) (5)
【0052】
また、上記式(5)で示す計測可能条件を満たさない画素p、具体的には、算出された露光出力量S’0(N)がS’0maxよりも大きい画素pは、イメージセンサ14に蓄積される電荷が飽和状態となるため、演算部153は計測不能な画素pと判定する。
【0053】
演算部153は、計測不能と判定した画素pについて、当該画素pの計測データが計測不能であることを示す情報、例えば「0」、または想定される発光および露光回数の最大値よりも大きい値等を該当する画素pに対応する計測対象物Bまでの計測値として保持する。上記式(5)を満たさない計測不能な画素pは、例えば、計測対象物Bまでの距離が所定の計測可能範囲よりも近い位置の画素である。
【0054】
(ア-2)有効画素と無効画素の判別処理
次に演算部153は、(ア-1)で計測可能と判定された画素ごとに、演算された計測条件を満たす有効画素(以下、単に「有効画素」と記載する)と、演算された計測条件を満たさない無効画素(以下、単に「無効画素」と記載する)との判別処理を行う(ステップS3)。この判別処理では、発光および露光回数をN回およびa×N回とし、演算部153は、発光ごとの露光出力量S’0を計測して積算する。aは整数であり、例えば「2」である。a×N回の露光出力量S’0の積算値を、露光出力量S’0(a×N)とする。
【0055】
演算部153は、発光回数がN回のときの露光出力量S’0(N)に対する、発光回数がa×N回のときの露光出力量S’0(a×N)の比率が、予め設定した判定値A以上になる画素p、つまり下記式(6)を満たす画素pを、有効画素と判定する。判定値Aは、S’0(N)の値、計測ノイズ量等に基づいて適宜設定される値であり、aが増加する程、判定値Aも増加する。
S’0(a×N)/S’0(N) ≧ A (6)
【0056】
また演算部153は、上記式(6)を満たさない画素、例えばa=A=2のときに、発光回数を2倍にしても、露光出力量S’0が2倍に満たない画素pを、無効画素と判定する。
【0057】
演算部153は、無効画素と判定した画素pについて、当該画素pの露光出力量S’0のデータが無効であることを示す情報、例えば「0」、または想定される発光および露光回数の最大値よりも大きい値等を該当する画素pに対応する計測対象物Bまでの計測値として保持する。上記式(6)を満たさない無効画素pは、例えば、計測対象物Bまでの距離が計測可能範囲よりも遠い位置の画素、または計測対象物Bの反射面の角度により反射光を受光し難い位置の画素等である。
【0058】
上述した(ア-1)計測可能条件に対する判別処理、および(ア-2)有効画素と無効画素の判別処理を実行しておくことで、計測不能な画素および露光出力量S’0のデータが無効と判定された画素については後述する計測処理が実行されず、無駄な処理時間を短縮することができる。
【0059】
(イ)発光および露光回数の算出処理、並びに(ウ)信号増幅量の算出処理
次に演算部153は、(ア-2)で有効と判定された画素ごとに、発光および露光回数の算出処理、並びに信号増幅量の算出処理を実行する(ステップS4)。この算出処理では、発光および露光回数がN回のときの露光出力量S’0(N)および露光出力量BG(N)を用いる。
【0060】
計測対象物Bまでの距離Zを正確に算出するためには、S0値は下記式(7)を満たす必要がある。S0maxはイメージセンサ14の電荷容量に基づいて設定される、計測条件の演算を適正に行うことが可能なS0の最大値であり、S0minは計測条件の演算を適正に行うことが可能と想定されるS0の最小値である。
S0max ≧S0 ≧ S0min (7)
【0061】
演算部153は、処理対象の画素pごとに、式(7)を満たすように、発光および露光回数の算出および信号増幅量の算出を行う。ここで、基準露光出力量S0の目標値をS0typとすると、演算部153は、下記式(8)で算出される値がS0typになるべく近い値になるように、係数bおよび係数fを算出する。S0typは、例えばイメージセンサ14の電荷容量に基づいて予め設定される。
(S’0(N)-BG(N))×b×f (8)
【0062】
係数bは、下記式(9)を満たす値である。
S’0(N)×b ≦ S’0max (9)
【0063】
演算部153は、算出した係数bにNを乗じた値を、該当する画素pの発光および露光回数N1として算出し、係数fを信号増幅量として算出する。ここで、上記式(9)を満たす範囲内で係数bの値を可能な限り大きい値(最大値)とし、係数fをなるべく小さくすることで基準露光出力量S0の目標値S0typに近づければ、計測対象物Bまでの計測精度を向上させることができる。この場合、係数fで示す信号増幅量は、イメージセンサ14内の全画素pに対して同値とする。
【0064】
また、係数bの値を最大値まで増やさずに発光および露光回数N1を算出し、係数fの値をある程度大きくすることで基準露光出力量S0の目標値S0typに近づければ、計測対象物Bまでの計測時間を短縮させることができる。この場合、係数fを画素ごとに異なる値で設定し、信号増幅量制御部154が画素pごとに信号増幅量を制御するようにしてもよい。
【0065】
また、係数fを算出する際に、レンズ部13による光量落ち等を補正する光学補正量を含めて算出してもよい。係数fに光学補正量を含めることで、イメージセンサ14全体の画素pのS0値をよりS0typに近づけ、画素p間での測距精度の均等化を図ることができる。
【0066】
ステップS5に移行し、演算部153は、ステップS4で算出した画素pごとの発光および露光回数N1に基づいて、算出した値が近い複数画素pをまとめてグループ化することで、複数の画素グループG1、G2・・・を生成する。このとき、演算部153は、(ア-1)計測可能条件に対する判別処理において計測不能であることを示す情報が保持された画素p、および(ア-2)有効画素と無効画素の判別処理において露光出力量S’0のデータが無効であることを示す情報が保持された画素を除いて、画素グループを生成する。
【0067】
画素グループの数が多くなる程、1回の形状計測にかかる時間が長くなるため、画素グループの数は多くても4、5グループ程度にすることが望ましい。式(8)において、係数bを整数且つ2の階乗数で算出しておくことで、ここで生成する画素グループの数を抑えることができる。
【0068】
演算部153は、画素グループG1、G2・・・ごとの発光および露光回数N2_1、N2_2・・・を決定する。以下、いずれの画素グループであるかを特定しない場合には「画素グループG」と記載し、いずれの発光および露光回数であるかを特定しない場合には「発光および露光回数N2」あるいは単に「回数N2」と記載する。
【0069】
例えば、算出した発光および露光回数N1が995回~1005回の画素pを1つの画素グループG1にまとめ、当該画素グループG1の発光および露光回数N2を1000回として決定する。所定の画素グループG1に関する回数N2_1は、例えば、当該画素グループG1に属する複数画素pについてそれぞれ算出された発光および露光回数N1ごとに、該当する画素数を示したヒストグラムから導出する。
【0070】
演算部153は、各画素グループG1、G2・・・に対して決定された回数N2_1、N2_2・・・を、それぞれ該当する画素グループGに属する各画素pの発光および露光回数として設定し、各画素pの発光および露光回数N2と、各画素pの位置を示す画素アドレスとを紐づけた統合データを生成する(ステップS6)。
【0071】
演算部153は、生成した統合データを計測部156に送出する。計測部156は、取得した統合データを計測対象物Bに関する計測条件として設定し、この条件により画素グループごとに計測対象物Bまでの計測処理を実行する。図4は、計測部156が実行する計測処理を示すフローチャートである。
【0072】
計測部156は、まず画素グループG1を計測対象の画素グループとして特定し(ステップS11)、設定した計測条件に基づいて、該当する画素グループG1に属する画素pごとに計測対象物Bまでの距離を計測する(ステップS12)。
【0073】
具体的には、計測部156は、図2(a)、(b)、および(c)で示した3通りの露光を、画素グループG1の回数N2_1分、実行するように、発光制御部151から発光部12を発光させ、露光制御部155の制御によりイメージセンサ14を露光させるとともに、信号増幅量制御部154により設定された信号増幅量fで信号増幅させ、出力された信号を出力量検出部152が検出する。
【0074】
計測部156は、出力量検出部152が検出した露光出力量に基づいて該当する画素pごとに図2(a)で示した露光タイミングで回数N2_1分の露光出力量S’0-BGを積算して基準露光出力量S0を算出し、図2(b)で示した露光タイミングで回数N2_1分の露光出力量S’1-BGを積算して露光出力量S1を算出する。そして計測部156は、算出した基準露光出力量S0およびS1と、上述した式(4)とを用いて、該当する画素pごとに計測対象物Bまでの距離を算出する。
【0075】
同様にして、画素グループG2以降に関しても該当する画素pごとに計測対象物Bまでの距離を算出する処理を実行し、すべての画素グループGに対する計測処理が終了するまで繰り返す(ステップS13の「NO」→ステップS11、S12)。
【0076】
すべての画素グループGに対する計測処理が終了すると(ステップS13の「YES」)、形状情報生成部157が、計測部156で計測した全画素pの計測情報を用いて、計測対象物の3D形状情報を生成する(ステップS14)。
【0077】
このように、イメージセンサ14内の画素pを、必要な発光および露光回数ごとにグループ化し、グループごとに計測処理を実行することで、短時間で精度の高い計測処理を実行することができる。
【0078】
以上の実施形態によれば、3次元形状計測装置は、イメージセンサ内の複数画素において均一で且つ高精度の計測データを得ることができる。
【0079】
上述した実施形態では、演算部153が計測条件を演算する処理として、画素ごとの発光および露光回数を算出する場合について説明したが、これには限定されず、画素ごとの発光強度を算出してもよい。この場合、演算部153は、上述した式(8)の係数bに発光強度の初期値を乗じた値を、該当する画素pの発光強度として算出し、算出した値が近い複数の画素をまとめてグループ化して複数の画素グループを生成する。そして演算部153は、各画素グループの発光強度を決定し、それぞれ該当する画素グループに属する各画素の発光強度として設定して各画素pの画素アドレスと紐づけて統合データを生成する。
【0080】
そして計測部156が、生成された統合データを計測対象物に関する計測条件として設定し、この条件により画素グループごと、つまり発光強度ごとに計測対象物Bまでの計測処理を実行する。このように処理を行うことにより、計測条件として画素ごとの発光および露光回数を設定する場合よりも発光および露光回数が少なくなり、計測時間を短縮させることができる。
【0081】
上述した実施形態において、イメージセンサ14を、画素pごとに露光回数を設定可能に構成してもよい。このように構成することにより、統合データの中で最も多い発光回数で発光部12から発光する1回のシーケンスで、それぞれの画素pが対応する露光回数で露光を行うことが可能になり、計測時間を短縮させることができる。
【0082】
また、上述した実施形態において、イメージセンサ14の受光部rが、受光した光を光電変換する前に、受光した光情報からBG信号に該当する背景部分を減算するように構成してもよい。このように構成することにより、BG信号が多い屋外環境で計測処理を行う場合に、精度向上を図ることができる。
【0083】
また、上述した実施形態において、計測条件の演算処理を行うイメージセンサまたは画素と、計測処理を行うイメージセンサまたは画素とを分けてもよい。イメージセンサをこのように構成するとともに、上述したように画素ごとに露光回数を設定可能に構成することにより、計測精度が高く動画対応可能な3次元形状計測装置を構成することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 3D形状計測装置
11 入力部
12 発光部
13 レンズ部
14 イメージセンサ(撮像素子)
15 CPU
151 発光制御部
152 出力量検出部
153 演算部
154 信号増幅量制御部
155 露光制御部
156 計測部
157 形状情報生成部
図1
図2
図3
図4