IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-半導体装置 図1
  • 特開-半導体装置 図2
  • 特開-半導体装置 図3
  • 特開-半導体装置 図4
  • 特開-半導体装置 図5A
  • 特開-半導体装置 図5B
  • 特開-半導体装置 図5C
  • 特開-半導体装置 図6
  • 特開-半導体装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007067
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20240111BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20240111BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240111BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20240111BHJP
   H01L 21/82 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H01L27/04 V
H01L29/78 618B
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 331E
H01L21/82 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108256
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 吉孝
(72)【発明者】
【氏名】小山内 潤
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 正一
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
5F064
5F110
【Fターム(参考)】
5F038AR09
5F038AR13
5F038AV03
5F038AV06
5F038AV15
5F038AV17
5F038CA16
5F038EZ01
5F038EZ02
5F038EZ20
5F048AC01
5F048AC10
5F048BA14
5F048BA16
5F048BB09
5F048BF07
5F048CB01
5F048CB03
5F048CB04
5F048CB10
5F064FF05
5F064FF14
5F064FF23
5F064FF27
5F064FF33
5F064FF42
5F064FF45
5F064GG03
5F064GG07
5F110AA04
5F110BB11
5F110CC07
5F110DD01
5F110EE02
5F110EE44
5F110FF02
5F110FF30
5F110GG01
5F110GG43
5F110GG58
5F110HK04
5F110HK42
5F110NN16
5F110NN74
5F110QQ19
(57)【要約】
【課題】チップ面積の増加を抑制しながら、電圧の検出精度を高めることができる半導体装置の提供。
【解決手段】電圧検出回路100は、基準電圧Vrefを発生する基準電圧回路110と、電池電圧VDSを分圧する分圧回路120と、分圧電圧Vdivと基準電圧Vrefとの比較結果を出力する比較回路130と、分圧電圧Vdivを薄膜トランジスタ141により調整するトリミング回路140と、各回路を電気的に接続する金属配線180と、を備え、基準電圧回路110、分圧回路120及び比較回路130は半導体基板11の上又は素子分離絶縁層12の上に形成され、金属配線180は素子分離絶縁層12の上面に設けられた層間絶縁膜13の上に形成され、トリミング回路140の薄膜トランジスタ141は酸化物半導体膜を用いたものであって、金属配線180よりも上層に形成されている半導体装置10である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定電圧を検出する電圧検出回路を有する半導体装置であって、
前記電圧検出回路は、
基準電圧を発生する基準電圧回路と、
前記被測定電圧を分圧する分圧回路と、
前記分圧回路による分圧電圧と前記基準電圧回路による前記基準電圧との比較結果に応じた検出信号を出力する比較回路と、
前記分圧電圧及び前記基準電圧の少なくともいずれかを複数のスイッチング素子により調整するトリミング回路と、
前記基準電圧回路、前記分圧回路、前記比較回路及び前記トリミング回路を電気的にそれぞれ接続する金属配線と、
を備え、
前記基準電圧回路、前記分圧回路及び前記比較回路は、半導体基板の上面及び前記半導体基板の上に設けられた素子分離絶縁層の上の少なくともいずれかに形成され、
前記金属配線は、前記素子分離絶縁層の上面に設けられた層間絶縁層の上に形成され、
前記トリミング回路の前記スイッチング素子は、酸化物半導体膜を用いた薄膜トランジスタであって、前記金属配線よりも上層に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記トリミング回路は、直列接続されている複数の抵抗素子と、前記複数の抵抗素子にそれぞれ並列接続されている前記複数のスイッチング素子と、を備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記トリミング回路は、前記複数のスイッチング素子にそれぞれ直列接続されている複数のヒューズ素子を更に備える請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記抵抗素子がMOSトランジスタであり、前記抵抗素子の抵抗値が前記MOSトランジスタのオン抵抗の抵抗値である請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記スイッチング素子は、平面視において前記抵抗素子と少なくとも一部が重なる位置に形成されている請求項2から4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記抵抗素子と前記スイッチング素子とを接続する配線の長さが5μm以下である請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記基準電圧回路は、直列接続されている複数のMOSトランジスタと、前記複数のMOSトランジスタにそれぞれ並列接続されている前記複数のスイッチング素子と、を備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記スイッチング素子は、平面視において前記MOSトランジスタと少なくとも一部が重なる位置に形成されている請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記MOSトランジスタと前記スイッチング素子とを接続する配線の長さが5μm以下である請求項8に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、携帯機器に使用される二次電池は、過充電又は過放電すると劣化してしまうため、正負の両端子間には電池電圧を監視して電池を保護する半導体装置が接続される場合が多い。このような半導体装置においては、10mV以下程度の検出精度が求められており、個体ごとの電圧検出に係るばらつきを無視できない場合がある。
【0003】
電池電圧に限らず、電圧を検出する方法としては、電圧を分圧回路で分圧した「分圧電圧」と半導体装置内部で発生させた「基準電圧」とを比較回路で比較し判定する検出方法が知られている。
このような検出方法において、電圧検出の高精度化を図るために、製造時の検査工程で個体ごとのばらつきをトリミングする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
具体的には、直列接続された複数の抵抗素子とこれらの抵抗素子にそれぞれ並列に接続されたスイッチング素子で形成されるトリミング回路を分圧回路に直列に接続してトリミングを行う。このトリミング方法では、トリミング回路を直列接続した分圧回路で電池電圧を分圧し、基準電圧との比較を行いながら各スイッチング素子をオンオフしてトリミング回路の直列抵抗値を変化させて仮調整を行う。本調整は、仮調整時の各スイッチング素子のオンオフ状態に基づき、各スイッチング素子にそれぞれ直列に接続されているヒューズ素子を溶断して行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-031093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの側面では、チップ面積の増加を抑制しながら、電圧の検出精度を高めることができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態における半導体装置は、
被測定電圧を検出する電圧検出回路を有する半導体装置であって、
前記電圧検出回路は、
基準電圧を発生する基準電圧回路と、
前記被測定電圧を分圧する分圧回路と、
前記分圧回路による分圧電圧と前記基準電圧回路による前記基準電圧との比較結果に応じた検出信号を出力する比較回路と、
前記分圧電圧及び前記基準電圧の少なくともいずれかを複数のスイッチング素子により調整するトリミング回路と、
前記基準電圧回路、前記分圧回路、前記比較回路及び前記トリミング回路を電気的にそれぞれ接続する金属配線と、
を備え、
前記基準電圧回路、前記分圧回路及び前記比較回路は、半導体基板の上面及び前記半導体基板の上に設けられた素子分離絶縁層の上の少なくともいずれかに形成され、
前記金属配線は、前記素子分離絶縁層の上面に設けられた層間絶縁層の上に形成され、
前記トリミング回路の前記スイッチング素子は、酸化物半導体膜を用いた薄膜トランジスタであって、前記金属配線よりも上層に形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの側面によれば、チップ面積の増加を抑制しながら、電圧の検出精度を高めることができる半導体装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態における半導体装置が有する電圧検出回路を示す回路図である。
図2図2は、図1に示した電圧検出回路によりトリミングを行う際のタイミングチャートである。
図3図3は、図1に示したトリミング回路の概略平面図である。
図4図4は、図3に示したトリミング回路におけるIV-IV線の概略断面図である。
図5A図5Aは、第1の実施形態における半導体装置の製造方法を示す説明図である。
図5B図5Bは、第1の実施形態における半導体装置の製造方法を示す説明図である。
図5C図5Cは、第1の実施形態における半導体装置の製造方法を示す説明図である。
図6図6は、第2の実施形態における半導体装置が有する電圧検出回路を示す回路図である。
図7図7は、図6に示したトリミング回路の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態における半導体装置は、以下の知見に基づくものである。
直列接続された複数の抵抗素子と各抵抗素子にそれぞれ並列に接続されたスイッチング素子で形成されるトリミング回路により更にトリミングの高精度化を図ろうとすると、抵抗素子の抵抗値を低下させるとともに抵抗素子を増加させる必要がある。すると、スイッチング素子としてのMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタも抵抗素子と同様に増加させることになるため、それぞれの素子を同一平面上の異なる位置に配置するとチップ面積が増大する。さらに、その配置の仕方によっては、それぞれの素子を接続するための配線長さが増大して寄生抵抗の影響が大きくなり、トリミング精度や電圧検出のばらつきに影響する。
つまり、このトリミング回路を用いて電圧の検出精度を高めようとしても、素子数を増やす必要があるため、チップ面積が増大するほどには精度向上が望めない。
【0010】
チップ面積を削減するために、スイッチング素子として多結晶シリコン膜を用いた薄膜トランジスタとし、これを複数の抵抗素子などの上に絶縁膜を介して重ねるように形成する方法が挙げられる。
しかしながら、多結晶シリコン膜を用いた薄膜トランジスタは、堆積時の温度や、堆積後の結晶化のための熱処理温度が金属配線に影響を及ぼさないよう、その熱処理温度の高さにより金属配線よりも下層に形成する必要がある。このため、金属配線のレイアウトの制約を受けてしまい、チップ面積を効率的に削減することは難しい。また、多結晶シリコン膜を用いた薄膜トランジスタは、オン時とオフ時の電流比を高くすることが難しく、スイッチング素子としての十分な機能を得ることが難しい。さらに、多結晶シリコン膜に施される熱処理温度を下げて金属配線上に形成する場合には、その電流比が著しく低下するので、チップ面積の削減効果とスイッチング素子としての十分な機能の両立が困難である。
【0011】
そこで、本発明の一実施形態では、トリミング回路のスイッチング素子を400℃以下の低温で形成できる酸化物半導体膜を用いた薄膜トランジスタとし、金属配線よりも上層に形成するようにした。
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための一形態について詳細に説明する。
なお、図面においては、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
また、図面に示すX軸、Y軸及びZ軸は互いに直交するものとする。X軸方向を「幅方向」、Y軸方向を「奥行き方向」、Z軸方向を「高さ方向」又は「厚さ方向」と称する場合がある。各膜の+Z方向側の面を「表面」又は「上面」、-Z方向側の面を「裏面」又は「下面」と称する場合がある。
さらに、図面は模式的なものであり、幅、奥行き及び厚さの比率などは示したとおりではない。複数の膜若しくは層、又はこれらを構造的に組み合わせて得られる半導体素子の数量、位置、形状、構造、大きさなどは、以下に示す実施形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数量、位置、形状、構造、大きさなどにすることができる。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における半導体装置が有する電圧検出回路を示す回路図である。
半導体装置10は、VDD端子-VSS端子間に接続されたリチウムイオン二次電池Bを過充電又は過放電から保護するために、被測定電圧としての電池電圧VDSを監視する機能を有する。この半導体装置10は、図1に示すように、電池電圧VDSが所定の電圧以上であるかを検出する電圧検出回路100を有する。
【0014】
電圧検出回路100は、基準電圧回路110と、分圧回路120と、比較回路130と、トリミング回路140とを備えている。また、電圧検出回路100は、分圧回路120による電池電圧VDSの分圧比をトリミング回路140で調整するために、発振回路150と、カウンタ回路160と、NORゲート170とを備えている。
【0015】
基準電圧回路110は、発生させた基準電圧Vrefを、比較回路130の入力端子の1つに出力する。
基準電圧回路110としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エンハンス型MOSトランジスタ及びデプレッション型MOSトランジスタを用いたED型、半導体のバンドギャップを利用したバンドギャップ型などが挙げられる。
【0016】
分圧回路120は、トリミング回路140により調整された電池電圧VDSを、分圧抵抗121、122により分圧する。この分圧回路120による分圧電圧Vdivは、比較回路130の別の入力端子に入力される。
【0017】
比較回路130は、エラーアンプであり、分圧回路120による分圧電圧Vdivと基準電圧回路110による基準電圧Vrefとの比較結果に応じた検出信号をNORゲート170の入力端子に出力する。
【0018】
トリミング回路140は、VDD端子と分圧回路120との間に接続されている。このトリミング回路140は、直列接続されている複数の抵抗素子142a、142b、・・・、142o、142pを備えている。また、トリミング回路140は、複数の抵抗素子142a、142b、・・・、142o、142pにそれぞれ並列接続されている薄膜トランジスタ141a、141b、・・・、141o、141pと備えている。薄膜トランジスタ141a、141b、・・・、141o、141pには、それぞれ直列にヒューズ素子143a、143b、・・・、143o、143pが更に接続されている。
なお、以下では特に指定しない場合には、薄膜トランジスタ141a、141b、・・・、141o、141pを薄膜トランジスタ141と称し、抵抗素子142a、142b、・・・、142o、142pを抵抗素子142と称し、ヒューズ素子143a、143b、・・・、143o、143pをヒューズ素子143と称することがある。
【0019】
このトリミング回路140を用いた電圧検出ばらつきの調整方法は、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ141をそれぞれオンオフすることによりトリミング回路140の直列抵抗値を徐々に変化させる。直列抵抗値を徐々に変化させながら、比較回路130で分圧電圧Vdivと基準電圧Vrefとを比較し、分圧電圧Vdivと基準電圧Vrefとの大小関係が反転する直列抵抗値を特定して仮調整する。本調整は、仮調整した各薄膜トランジスタ141のオンオフ状態に基づき、各薄膜トランジスタ141にそれぞれ直列接続されているヒューズ素子143を溶断して行う。
このように、仮調整と本調整に分けてトリミングを行うのは、検出精度を向上させるためである。検出電圧の分解能を上げるためには抵抗素子の数を増やす必要があるところ、抵抗素子を同一形状で形成したとしてもその抵抗値にばらつきが生じると共に、先に述べた寄生抵抗の影響により一般に10mV以下程度の検出精度を実現することが難しい。それゆえ、検出精度を向上させるためには、そのばらつきに応じた抵抗素子の組み合わせを採用する必要があり、仮調整でその組み合わせを確認した後に本調整をする方法が効果的である。
【0020】
具体的には、図2のタイミングチャートに示すように、まず、発振回路150により発生させたクロック信号CLKをカウンタ回路160に入力する。すると、カウンタ回路160は、クロック信号CLKの信号数に基づいて薄膜トランジスタ141a、141b、・・・、141o、141pを順次オンからオフにする信号を出力し、トリミング回路140の直列抵抗値を徐々に高くする。このとき、分圧電圧Vdivが基準電圧Vrefよりも高い場合には、比較回路130が検出信号「0」をNORゲート170の入力端子に出力する。そして、他の入力端子からクロック信号CLKが入力されるNORゲート170は、そのままクロック信号CLKを出力信号Vtoとして出力端子Toutに出力する。また、分圧電圧Vdivが基準電圧Vrefよりも低くなると、比較回路130が検出信号「1」をNORゲート170の入力端子に出力し、NORゲート170は「0」を出力信号Vtoとして出力端子Toutに出力する。
このように、出力信号Vtoの変化により、分圧電圧Vdivと基準電圧Vrefとの大小関係が反転したことを判定し、オンオフ状態を特定することで仮調整を行い、続いてヒューズトリミングによる本調整を行う。
これにより、電圧検出回路100は、トリミング回路140により電圧の検出精度を高めることができる。
【0021】
次に、半導体基板上に形成されるトリミング回路140の構造について説明する。
図3は、図1に示したトリミング回路の概略平面図である。図3では、後述する素子分離絶縁層の表面に形成される抵抗素子142a、142b、142c、142d及びヒューズ素子143a、143b、143c、143dの配置について主に示す。
なお、他の抵抗素子142e、・・・、142p及びヒューズ素子143e、・・・、143pについてはこれらと同様であるため省略する。
また、薄膜トランジスタ141a、141b、141c、141dについては、後述するように、素子分離絶縁層よりも上層の金属配線よりも更に上層に形成されるため、その大まかな形成領域を点線で示し、そのゲート電極については省略する。
【0022】
図3に示すように、各素子は図1で示した回路図を実現できるように結線されており、抵抗素子142a、142b、142c、142d及びヒューズ素子143a、143b、143c、143dは、それぞれ一列に整列されている。
また、薄膜トランジスタ141a、141b、141c、141dは、抵抗素子142a、142b、142c、142dの一端とヒューズ素子143a、143b、143c、143dの一端にそれぞれ接続されている。
さらに、ヒューズ素子143a、143b、143c、143dは、本調整時にレーザ等で溶断できるように、それぞれの一部が開口部17から露出している。
【0023】
図4は、図3に示したトリミング回路におけるIV-IV線の概略断面図である。図4では、薄膜トランジスタ141a、抵抗素子142a及びヒューズ素子143aの概略断面図を例として示す。他の薄膜トランジスタ141b、・・・、141p、抵抗素子142b、・・・、142p及びヒューズ素子143b、・・・、143pについても薄膜トランジスタ141a、抵抗素子142a及びヒューズ素子143aと同様である。
【0024】
図4に示すように、抵抗素子142a及びヒューズ素子143aは、半導体基板11の上に設けられた素子分離絶縁層12の表面にポリシリコン膜でそれぞれ形成され、各両端がイオンを高濃度に注入された低抵抗部になっている。
【0025】
層間絶縁膜13は、抵抗素子142a及びヒューズ素子143aの上面及び側面を覆うように、素子分離絶縁層12の上面全域に形成されている。この層間絶縁膜13は、上面を平坦化されている。
また、抵抗素子142a及びヒューズ素子143aとそれぞれ電気的に接続できるように、層間絶縁膜13にコンタクトホールを開口して複数のプラグP1が形成されている。
【0026】
複数の金属配線180は、層間絶縁膜13の上面にアルミニウム合金で形成されている。この複数の金属配線180は、層間絶縁膜13を貫通するプラグP1を介し、抵抗素子142a及びヒューズ素子143aのそれぞれの両端と電気的に接続されている。
【0027】
層間絶縁膜14は、複数の金属配線180の上面及び側面を覆うように、層間絶縁膜13の上面全域に形成されている。この層間絶縁膜14は、エッチバックやCMP(Chemical Mechanical Polishing)法で平坦化されている。
【0028】
薄膜トランジスタ141aは、層間絶縁膜14の上面に形成されており、抵抗素子142aの上方に位置する。この薄膜トランジスタ141aは、酸化物半導体膜141a2を用いた薄膜トランジスタであり、エッチングストッパー膜141a3を備えるボトムゲート構造を有する。
酸化物半導体膜141a2を用いた薄膜トランジスタ141aは、製造時の熱処理の温度を300℃程度に低くすることができるため、その下層に存在するアルミニウム合金(融点660℃程度)の金属配線180を含む各種回路に対し、熱処理の影響を低減できる。これにより、抵抗素子142aの上に層間絶縁膜14を介して薄膜トランジスタ141aを重ねるように形成することができるため、チップ面積を削減することができる。
【0029】
ゲート電極141a1は、層間絶縁膜14の上面に形成されており、層間絶縁膜14の上面全域に形成された絶縁膜15により覆われている。この絶縁膜15は、薄膜トランジスタ141aのゲート絶縁膜として機能する。
また、所定の金属配線180と電気的に接続できるように、層間絶縁膜14及び絶縁膜15にコンタクトホールを開口して複数のプラグP2が形成されている。
【0030】
酸化物半導体膜141a2は、絶縁膜15を介してゲート電極141a1を覆うように形成されている。
酸化物半導体としては、製造時の熱処理により、その下層に存在する金属配線180を含む各種回路に影響を与えにくいものであれば、適宜選択することができる。このような酸化物半導体のうち、薄膜トランジスタ141のオン時とオフ時の電流比を高くできる点及びオン電流を高くかつオフ電流を低くすることができる点から、In-Gz-Zn-O(IGZO)が好ましい。
【0031】
エッチングストッパー膜141a3は、シリコン酸化膜であり、酸化物半導体膜141a2の最も高い面に形成されている。このエッチングストッパー膜141a3は、この上に堆積されたモリブデンをエッチングで分離してドレイン電極141a4とソース電極141a5とを形成する際にストッパーとしての機能を有する。
【0032】
ドレイン電極141a4及びソース電極141a5は、複数のプラグP2を介して、それぞれ抵抗素子142aの一端とヒューズ素子143aの一端に電気的に接続されるように形成されている。
【0033】
パッシベーション膜16は、全域を覆うように形成されている。また、ヒューズ素子143aの一部が露出するように、層間絶縁膜13、14、絶縁膜15及びパッシベーション膜16を貫通する開口部17が設けられている。
【0034】
次に、第1の実施形態における半導体装置10の製造方法について、図5Aから図5Cを参照しながら説明する。
【0035】
まず、いわゆる基板工程(FEOL:Front End Of the Line)では、図5Aに示すように、半導体基板11の表面にフォトリソグラフィによりSTI(Shallow Trench Isolation)形成処理を行い、半導体基板11の上面に素子分離絶縁層12を形成する。この素子分離絶縁層12の上面に、フォトリソグラフィ及びドライエッチングによりポリシリコン層を形成し、このポリシリコン層に対し所定の抵抗値を実現する濃度になるようにイオン注入を行い、抵抗素子142a及びヒューズ素子143aを形成する。
【0036】
続いて、いわゆる配線工程(BEOL:Back End Of the Line)では、図5Bに示すように、層間絶縁膜13を上面全域に形成して、CMP法により平坦化する。この平坦化した層間絶縁膜13の上面に、フォトリソグラフィ及びドライエッチングによりコンタクトホールを開口してチタンを下地としてタングステンを埋め込み、複数のプラグP1を形成する。これらの複数のプラグP1の上面に、複数の金属配線180をアルミニウム合金でフォトリソグラフィ及びドライエッチングにより形成し、複数のプラグP1を介して抵抗素子142a及びヒューズ素子143aと電気的に接続できるようにする。この金属配線180を形成した後、半導体基板11の表面全域に層間絶縁膜14を形成してCMP法により平坦化する。
【0037】
続いて、図5Cに示すように、平坦化した層間絶縁膜14の上面全域にモリブデンをスパッタ法で堆積させてからフォトリソグラフィによりパターンを形成し、ドライエッチングでゲート電極141a1を形成する。ゲート電極141a1が形成された層間絶縁膜14の上面に、プラズマCVD法でシリコン酸化膜を全面に堆積させて絶縁膜15を形成する。
【0038】
次に、絶縁膜15の上面の一部に、酸化物半導体膜141a2としてIn-Gz-Zn-Oをスパッタ法で堆積させてから、その上面にプラズマCVD法でシリコン酸化膜を堆積させる。堆積させたシリコン酸化膜を所定の形状にパターニングし、その形状のシリコン酸化膜をマスクとしてIn-Gz-Zn-Oをエッチングする。そのあと、シリコン酸化膜を更にパターニングしてエッチングストッパー膜141a3を形成した後、290℃でRTA(Rapid Thermal Anneal)を行う。
【0039】
次に、層間絶縁膜14及び絶縁膜15にコンタクトホールを開口して所定の金属配線180と電気的に接続できるように複数のプラグP2を形成する。そして、モリブデンをスパッタ法で堆積させてから、パターニングによりドレイン電極141a4及びソース電極141a5を形成した後、270℃でRTAを行う。
【0040】
よって、平坦化した層間絶縁膜14の上面に形成する薄膜トランジスタ141は、300℃程度の低温で形成できるため、融点が660℃程度のアルミニウム合金で形成される金属配線180を含む積層体に熱による影響を及ぼしにくい。
【0041】
そして最後に、シリコン窒化酸化膜を全面に堆積させてパッシベーション膜16を形成した後、ヒューズ素子143cの一部が露出するように、層間絶縁膜13、14、絶縁膜15及びパッシベーション膜16を貫通する開口部17を形成する。すると、図4で示したような構造の半導体装置10を形成することができる。
【0042】
このように、半導体装置10では、電圧の検出精度を高めるためにトリミング回路140の素子数を増加させても、その素子のうち薄膜トランジスタ141を抵抗素子142の上方に形成することによりチップ面積の増加を抑制することができる。
また、薄膜トランジスタ141と抵抗素子142の間の配線を、プラグP1、P2と金属配線180との積層構造で接続できることから、Z軸方向の膜厚に依存した最短の長さとすることができる。すると、層間絶縁膜13、14及び金属配線180の厚さによるが、薄膜トランジスタ141と抵抗素子142の間の配線の長さを5μm以下にすることができる。これにより、寄生抵抗を低減することができることから、素子数を増加させてもトリミング精度が向上するとともに、電圧検出のばらつきを抑制することができる。
【0043】
なお、第1の実施形態ではヒューズ素子の溶断により本調整を行ったが、これに限ることなく、酸化物半導体膜を用いた薄膜トランジスタのオンオフにより本調整を行ってもよい。特にIn-Gz-Zn-Oを用いた薄膜トランジスタであれば、多結晶シリコン膜を用いた薄膜トランジスタよりもオン電流が高くかつオフ電流を低くすることができるため、ヒューズ素子の代わりに用いることでヒューズ素子を不要としてもよい。次に説明する第2の実施形態では、これを利用する。
また、抵抗素子の代わりにMOSトランジスタとし、MOSトランジスタのオン抵抗の抵抗値を利用するようにしてもよい。
【0044】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態における半導体装置が有する電圧検出回路を示す回路図である。
第2の実施形態は、第1の実施形態のように分圧電圧をトリミングするのではなく、基準電圧をトリミングするために薄膜トランジスタを用いること、及び、本調整をヒューズ素子の代わりに薄膜トランジスタのオンオフで行うこと以外は、第1の実施形態と同様である。
これは、基準電圧回路としては、例えば、MOSトランジスタのしきい値電圧Vtやバイポーラトランジスタの順方向電圧Vfを利用するものが挙げられるが、これらは半導体装置ごとに基準電圧がばらつく場合がある。第2の実施形態は、このような場合に有用である。
ここでは、基準電圧回路210についての説明のみを行う。
【0045】
図6に示すように、基準電圧回路210は、直列接続されている複数のMOSトランジスタ212a、212b、・・・、212o、212pを備えている。また、基準電圧回路210は、複数のMOSトランジスタ212a、212b、・・・、212o、212pにそれぞれ並列接続されている薄膜トランジスタ211a、211b、・・・、211o、211pと備えている。
なお、以下では特に指定しない場合には、薄膜トランジスタ211a、211b、・・・、211o、211pを薄膜トランジスタ211と称し、MOSトランジスタ212a、212b、・・・、212o、212pをMOSトランジスタ212と称することがある。
また、薄膜トランジスタ211は、第1の実施形態における薄膜トランジスタ141と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
この基準電圧回路210による基準電圧ばらつきの調整方法は、MOSトランジスタ212をオン状態にしたままで薄膜トランジスタ211をそれぞれオンオフすることにより基準電圧Vrefを徐々に変化させる。基準電圧Vrefを徐々に変化させながら比較回路130で分圧電圧Vdivと基準電圧Vrefとを比較し、分圧電圧Vdivと基準電圧Vrefとの大小関係が反転する基準電圧Vrefを特定して仮調整する。本調整は、第1の実施形態のようにヒューズ素子を溶断することなく、仮調整した各薄膜トランジスタ211のオンオフのみで行う。
【0047】
図7は、図6に示したトリミング回路の概略断面図である。
図7に示すように、MOSトランジスタ212aは、ゲート酸化膜形成処理、ソース・ドレイン領域形成処理、ポリシリコンによるゲート電極形成処理など、従来のMOSFET製造技術により形成される。このMOSトランジスタ212aは、ゲート酸化膜212a1、ウェル領域212a2、ソース・ドレイン領域212a3及びゲート電極212a4を形成し、半導体基板11上に設けられている。
【0048】
複数の金属配線180は、層間絶縁膜13を貫通するプラグP1を介し、ソース・ドレイン領域212a3とそれぞれ電気的に接続されている。複数のプラグP2は、複数の金属配線180と、薄膜トランジスタ211aのドレイン電極211a4及びソース電極211a5とをそれぞれ電気的に接続できるように、層間絶縁膜14及び絶縁膜15にコンタクトホールを開口して形成されている。
なお、薄膜トランジスタ211aの断面構造は、第1の実施形態における薄膜トランジスタ141aと同様のため説明を省略する。
【0049】
このように、第2の実施形態では、第1の実施形態のように分圧電圧をトリミングするためではなく、基準電圧をトリミングするために薄膜トランジスタを用いる形態を示した。また、第2の実施形態では、本調整をヒューズ素子の代わりを薄膜トランジスタのオンオフで行うことにより、ヒューズ素子が不要になるため、チップ面積の増加を更に抑制することができる。さらに、ヒューズ素子を溶断するための開口部を設ける必要がないことから、開口部からの水分の侵入による電気特性の異常や配線腐食など発生することがないため、信頼性を向上させることができる。そして、総配線長も短くできるため、寄生抵抗を低減することができ、素子数を増加させてもトリミング精度が向上するとともに、電圧検出のばらつきを抑制することができる。
【0050】
以上説明したように、本発明の一実施形態における半導体装置は、被測定電圧を検出する電圧検出回路を有する。この電圧検出回路は、基準電圧を発生する基準電圧回路と、被測定電圧を分圧する分圧回路と、分圧電圧と基準電圧との比較結果に応じた検出信号を出力する比較回路と、分圧電圧及び基準電圧の少なくともいずれかを複数のスイッチング素子により調整するトリミング回路と、これらの回路を電気的に接続する金属配線と、を備えている。基準電圧回路、分圧回路及び比較回路は、半導体基板の上面及び半導体基板の上に設けられた素子分離絶縁層の上の少なくともいずれかに形成され、金属配線は、素子分離絶縁層の上面に設けられた層間絶縁層の上に形成され、トリミング回路のスイッチング素子は、酸化物半導体膜を用いた薄膜トランジスタであって、金属配線よりも上層に形成されている。
これにより、電圧の検出精度を高めるためにトリミング回路の素子数を増加させても、薄膜トランジスタを金属配線よりも上層に形成することによりチップ面積の増加を抑制することができる。また、薄膜トランジスタを金属配線よりも上層に形成することにより配線の長さを短くできるため寄生抵抗を低減でき、素子数を増加させてもトリミング精度が向上するとともに電圧検出のばらつきを抑制し、電圧の検出精度を高めることができる。
【0051】
なお、この半導体装置は、本実施形態では被測定電圧としてリチウムイオン二次電池を過充電又は過放電から保護するために電池電圧を検出するものとしたが、電池電圧に限ることなく検出する必要がある電圧であればよい。また、この半導体装置は、電圧検出回路によって外部電圧の変動を検出し所定の制御を行うものであれば、どのような形態でもよい。たとえば、変動する外部電圧から一定の電圧を生成するボルテージレギュレータやDC-DCコンバータなどのような半導体装置における電圧検出に本発明を応用してもよい。
【0052】
また、第1の実施形態では分圧電圧をトリミングし、第2の実施形態では基準電圧をトリミングしたが、分圧電圧及び基準電圧の両方をトリミングするようにしてもよい。
【0053】
さらに、金属配線は、各実施形態では1つの層に形成するようにしたが、これに限ることなく複数の層に形成するようにしてもよい。
【0054】
10 半導体装置
11 半導体基板
12 素子分離絶縁層
13 層間絶縁膜
17 開口部
100 電圧検出回路
110 基準電圧回路
120 分圧回路
130 比較回路
140、240 トリミング回路
141 薄膜トランジスタ(スイッチング素子)
141a2 酸化物半導体膜
142 抵抗素子
143 ヒューズ素子
180 金属配線
DS 電池電圧(被測定電圧)
Vdiv 分圧電圧
Vref 基準電圧
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7