(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070674
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
H02K 11/33 20160101AFI20240516BHJP
H02K 11/215 20160101ALI20240516BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
H02K11/33
H02K11/215
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181300
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川田 昌昭
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC02
5H605CC06
5H605DD01
5H605DD11
5H605EA16
5H605EC05
5H605EC08
5H605EC14
5H605EC20
5H605GG04
5H605GG06
5H605GG18
5H611AA01
5H611BB01
5H611BB06
5H611BB08
5H611PP05
5H611QQ03
5H611QQ05
5H611RR02
5H611RR03
5H611TT01
5H611UA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コネクタへワイヤーハーネスのプラグを挿抜して生じる応力が回路基板に生じる影響を抑制しつつ、コネクタ、ヒートシンク、回路基板の位置決め精度が高まる、電動駆動装置を提供する。
【解決手段】コネクタCNTは、回路基板20に接続されるコネクタ端子を有し、かつヒートシンク40の内部に軸方向に埋め込まれ、ヒートシンクに固定される。ヒートシンクは、反負荷側に第1の凹部、第2の凹部及び第3の凹部を有している。コネクタは、軸方向に貫通するコネクタの第1の貫通孔と、コネクタの第2の貫通孔とを有する。回路基板は、基板本体21と、軸方向に貫通する基板本体の第1の貫通孔21P1と、基板本体の第2の貫通孔21P2とを有する。第1の凹部と、コネクタの第1の貫通孔と、基板本体の第1の貫通孔とが重畳する。第2の凹部と、基板本体の第2の貫通孔と、が重畳する。第3の凹部と、コネクタの第2の貫通孔とが重畳する。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷側から反負荷側へ軸方向に延びるシャフトと、
前記シャフトと連動するモータロータと、
前記モータロータを回転させるステータコアと、3相毎に少なくとも第1コイルグループと第2コイルグループとの2系統のコイルグループに分けられ、かつ前記ステータコアを3相交流で励磁する複数のコイルグループと、を備えるモータステータと、
前記モータロータ、前記モータステータ及び前記複数のコイルグループを内側に収容する筒状のハウジングと、を含む電動モータと、
前記電動モータを駆動制御するために、前記シャフトの反負荷側の端部に設けられた磁石と、
前記シャフトの反負荷側であって、前記シャフトの前記軸方向の延長線上に配置された1枚の回路基板を含む電子制御装置と、
前記回路基板と前記電動モータとの間に配置されるヒートシンクと、
前記回路基板に接続されるコネクタ端子を有し、かつ前記ヒートシンクの内部に前記軸方向に埋め込まれ、前記ヒートシンクに固定されるコネクタと、を備え、
前記ヒートシンクは、反負荷側に第1の凹部、第2の凹部及び第3の凹部を有し、
前記コネクタは、前記軸方向に貫通する前記コネクタの第1の貫通孔と、前記コネクタの第2の貫通孔とを有し、
前記回路基板は、基板本体と、前記軸方向に貫通する前記基板本体の第1の貫通孔と、前記基板本体の第2の貫通孔とを有し、
前記第1の凹部と、前記コネクタの第1の貫通孔と、前記基板本体の第1の貫通孔とが重畳し、
前記第2の凹部と、前記基板本体の第2の貫通孔と、が重畳し、
前記第3の凹部と、前記コネクタの第2の貫通孔とが重畳している、
電動駆動装置。
【請求項2】
前記コネクタの第2の貫通孔は、前記基板本体に覆われている、
請求項1に記載の電動駆動装置。
【請求項3】
前記基板本体は、さらに第3の貫通孔を有し、
前記基板本体の第3の貫通孔は、前記第3の凹部と、前記コネクタの第2の貫通孔とに重畳している、
請求項1に記載の電動駆動装置。
【請求項4】
さらに第1の位置決めピンと、第2の位置決めピンとを有し、
前記第1の位置決めピンは、前記基板本体の第1の貫通孔と、前記コネクタの第1の貫通孔と、を貫通し、前記第1の凹部に嵌まっており、
前記第2の位置決めピンは、前記基板本体の第2の貫通孔を貫通し、前記第2の凹部に嵌まっている、
請求項1に記載の電動駆動装置。
【請求項5】
前記基板本体の第1の貫通孔は、円形であり、
前記基板本体の第2の貫通孔は、長孔である、
請求項1に記載の電動駆動装置。
【請求項6】
前記基板本体の第1の貫通孔は、円形であり、
前記基板本体の第2の貫通孔は、切り欠きである、
請求項1に記載の電動駆動装置。
【請求項7】
前記回路基板は、
前記磁石の前記軸方向の延長線上にあり、かつ前記基板本体に取り付けられ、前記磁石の回転を検出する磁気センサを含む検出回路を有し、
前記ヒートシンクは、前記第1の凹部と、前記第2の凹部を結ぶ直線上に、前記磁石が露出している、
請求項1に記載の電動駆動装置。
【請求項8】
一端に、前記回路基板に接続される複数の第1バスバー端子を有し、他端が前記第1コイルグループに接続される第1リード配線と、一端に、前記回路基板が接続される複数の第2バスバー端子を有し、他端が前記第2コイルグループに接続される第2リード配線と、を有するバスバーモジュールをさらに備え、
前記回路基板は、
前記磁石の前記軸方向の延長線上にあり、かつ前記基板本体に取り付けられ、前記第1コイルグループへ電流を供給する第1パワー回路と、前記第2コイルグループへ電流を供給する第2パワー回路と、前記第1パワー回路及び前記第2パワー回路の少なくとも1つが供給する電流を制御する制御回路と、を有し、
前記回路基板において、前記コネクタ端子の配置領域と、前記第1パワー回路の実装領域との間には、前記回路基板に接続する複数の前記第1バスバー端子の配置領域があり、
前記回路基板において、前記コネクタ端子の配置領域と、前記第2パワー回路の実装領域との間には、前記回路基板に接続する複数の前記第2バスバー端子の配置領域があり、
複数の前記第1バスバー端子の配置領域と、複数の前記第2バスバー端子の配置領域とが離隔して配置され、
前記第1リード配線及び前記第1バスバー端子は、一体の平角導電線であり、
前記第2リード配線及び前記第2バスバー端子は、一体の平角導電線であり、
前記軸方向から前記回路基板に接続した前記第1バスバー端子及び前記第2バスバー端子をみて、前記第1バスバー端子の幅方向と、前記第2バスバー端子の幅方向とは、異なる方向を向いている、
請求項1に記載の電動駆動装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記モータステータを収容する筒部分と、前記筒部分から張り出す鍔部とを有し、
前記第1リード配線は、径方向外側に引き出された第1引き出し部を有し、前記第2リード配線は、径方向外側に引き出された第2引き出し部を有し、
前記バスバーモジュールは、樹脂材料で前記第1リード配線及び前記第2リード配線をモールドされた筒部と、樹脂材料で前記第1引き出し部及び前記第2引き出し部がモールドされ、かつ前記筒部から径方向に突出する支持部とを有し、
前記筒部は、前記ハウジングに収容され、
前記支持部は、前記鍔部と前記軸方向に重ね合わされている、
請求項8に記載の電動駆動装置。
【請求項10】
前記軸方向にみて、前記コネクタは、前記鍔部に重ならない位置に配置される、請求項9に記載の電動駆動装置。
【請求項11】
前記コネクタは、負荷側からプラグが挿入可能なレセプタクルである、請求項1に記載の電動駆動装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の電動駆動装置を備え、
前記電動駆動装置が補助操舵トルクを生じさせる電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータの回転を制御する電子制御装置を備えた電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータによって補助操舵トルクを発生させる電動パワーステアリング装置は、モータを制御する装置である電子制御装置を備えている。例えば特許文献1には、電子部品を基板に高密度に実装可能である駆動装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電動駆動装置では、コネクタが基板本体に締結部材(ネジ)で固定され、基板本体は、ヒートシンクに締結部材(ネジ)で固定されている。
【0005】
これに対して、コネクタへワイヤーハーネスのプラグを挿抜すると、プラグの揺動に応じた応力が基板本体に加わり、回路基板の信頼性に影響を与える必要がある。
【0006】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、コネクタへワイヤーハーネスのプラグを挿抜して生じる応力が回路基板に生じる影響を抑制しつつ、コネクタ、ヒートシンク、回路基板の位置決め精度が高まる、電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、一態様に係る電動駆動装置は、負荷側から反負荷側へ軸方向に延びるシャフトと、前記シャフトと連動するモータロータと、前記モータロータを回転させるステータコアと、3相毎に少なくとも第1コイルグループと第2コイルグループとの2系統のコイルグループに分けられ、かつ前記ステータコアを3相交流で励磁する複数のコイルグループと、を備えるモータステータと、前記モータロータ、前記モータステータ及び前記複数のコイルグループを内側に収容する筒状のハウジングと、を含む電動モータと、前記電動モータを駆動制御するために、前記シャフトの反負荷側の端部に設けられた磁石と、前記シャフトの反負荷側であって、前記シャフトの前記軸方向の延長線上に配置された1枚の回路基板を含む電子制御装置と、前記回路基板と前記電動モータとの間に配置されるヒートシンクと、前記回路基板に接続されるコネクタ端子を有し、かつ前記ヒートシンクの内部に前記軸方向に埋め込まれ、前記ヒートシンクに固定されるコネクタと、を備え、前記ヒートシンクは、反負荷側に第1の凹部、第2の凹部及び第3の凹部を有し、前記コネクタは、前記軸方向に貫通する前記コネクタの第1の貫通孔と、前記コネクタの第2の貫通孔とを有し、前記回路基板は、基板本体と、前記軸方向に貫通する前記基板本体の第1の貫通孔と、前記基板本体の第2の貫通孔とを有し、前記第1の凹部と、前記コネクタの第1の貫通孔と、前記基板本体の第1の貫通孔とが重畳し、前記第2の凹部と、前記基板本体の第2の貫通孔と、が重畳し、前記第3の凹部と、前記コネクタの第2の貫通孔とが重畳している。
【0008】
これにより、コネクタには、ワイヤーハーネスのプラグの挿抜により、挿抜方向と交差する軸周りに揺動する力が生じる。プラグによる挿抜の力は、コネクタが固定されるヒートシンクで受ける。その結果、回路基板とコネクタとの間の接続部にかかる応力が抑制され、電動駆動装置の信頼性が向上する。コネクタは、回路基板で覆われている。コネクタがヒートシンクに固定しているので、コネクタの接続端子の位置が回路基板の挿入孔に合致しないと作業性が低下する可能性がある。これに対して、本一態様に係る電動駆動装置は、第1の凹部、第2の凹部及び第3の凹部を基準として、コネクタ、ヒートシンク、回路基板の位置決めがなされる。その結果、コネクタ、ヒートシンク、回路基板の位置決め精度が高まり、組み立て精度が高まる。
【0009】
望ましい態様として、前記コネクタの第2の貫通孔は、前記基板本体に覆われている。これにより、基板本体の孔を減らすことができる。
【0010】
望ましい態様として、前記基板本体は、さらに第3の貫通孔を有し、前記基板本体の第3の貫通孔は、前記第3の凹部と、前記コネクタの第2の貫通孔とに重畳している。これにより、ヒートシンクに対する、コネクタの組み立て精度を外部から目視で検査できる。
【0011】
望ましい態様として、さらに第1の位置決めピンと、第2の位置決めピンとを有し、前記第1の位置決めピンは、前記基板本体の第1の貫通孔と、前記コネクタの第1の貫通孔と、を貫通し、前記第1の凹部に嵌まっており、前記第2の位置決めピンは、前記基板本体の第2の貫通孔を貫通し、前記第2の凹部に嵌まっている。これにより、回路基板をヒートシンクに締結する際のずれを抑制することができる。
【0012】
望ましい態様として、前記基板本体の第1の貫通孔は、円形であり、前記基板本体の第2の貫通孔は、長孔である。これにより、基板本体の第1の貫通孔を基準として、基板本体の第2の貫通孔を位置決めピンに取り付けやすくなり、組み立てが容易になる。
【0013】
望ましい態様として、前記基板本体の第1の貫通孔は、円形であり、前記基板本体の第2の貫通孔は、切り欠きである。これにより、基板本体の第1の貫通孔を基準として、基板本体の第2の貫通孔を位置決めピンに取り付けやすくなり、組み立てが容易になる。
【0014】
望ましい態様として、前記回路基板は、前記磁石の前記軸方向の延長線上にあり、かつ前記基板本体に取り付けられ、前記磁石の回転を検出する磁気センサを含む検出回路を有し、前記ヒートシンクは、前記第1の凹部と、前記第2の凹部を結ぶ直線上に、前記磁石が露出している。これにより、磁石に対して、磁気センサの位置精度が高まり、検出回路の検出精度が高まる。
【0015】
望ましい態様として、一端に、前記回路基板に接続される複数の第1バスバー端子を有し、他端が前記第1コイルグループに接続される第1リード配線と、一端に、前記回路基板が接続される複数の第2バスバー端子を有し、他端が前記第2コイルグループに接続される第2リード配線と、を有するバスバーモジュールをさらに備え、前記回路基板は、前記磁石の前記軸方向の延長線上にあり、かつ前記基板本体に取り付けられ、前記第1コイルグループへ電流を供給する第1パワー回路と、前記第2コイルグループへ電流を供給する第2パワー回路と、前記第1パワー回路及び前記第2パワー回路の少なくとも1つが供給する電流を制御する制御回路と、を有し、前記回路基板において、前記コネクタ端子の配置領域と、前記第1パワー回路の実装領域との間には、前記回路基板に接続する複数の前記第1バスバー端子の配置領域があり、前記回路基板において、前記コネクタ端子の配置領域と、前記第2パワー回路の実装領域との間には、前記回路基板に接続する複数の前記第2バスバー端子の配置領域があり、複数の前記第1バスバー端子の配置領域と、複数の前記第2バスバー端子の配置領域と、が離隔して配置され、前記第1リード配線及び前記第1バスバー端子は、一体の平角導電線であり、前記第2リード配線及び前記第2バスバー端子は、一体の平角導電線であり、前記軸方向から前記回路基板に接続した前記第1バスバー端子及び前記第2バスバー端子をみて、前記第1バスバー端子の幅方向と、前記第2バスバー端子の幅方向とは、異なる方向を向いている。これにより、平角導電線は、厚みよりも幅が広いので、電気抵抗を下げつつ、バスバーモジュールが小型化する。第1バスバー端子及び第2バスバー端子の軸方向からみた形状が異なっていても、コネクタ、ヒートシンク、回路基板の位置決め精度が高いので、第1バスバー端子及び第2バスバー端子を回路基板に接続しやすい。
【0016】
望ましい態様として、前記ハウジングは、前記モータステータを収容する筒部分と、前記筒部分から張り出す鍔部とを有し、前記第1リード配線は、径方向外側に引き出された第1引き出し部を有し、前記第2リード配線は、径方向外側に引き出された第2引き出し部を有し、前記バスバーモジュールは、樹脂材料で前記第1リード配線及び前記第2リード配線をモールドされた筒部と、樹脂材料で前記第1引き出し部及び前記第2引き出し部がモールドされ、かつ前記筒部から径方向に突出する支持部とを有し、前記筒部は、前記ハウジングに収容され、前記支持部は、前記鍔部と前記軸方向に重ね合わされている。これにより、支持部が第1バスバー端子、第2バスバー端子を支えるので、回路基板に応力がかかりにくくなる。
【0017】
望ましい態様として、前記軸方向にみて、前記コネクタは、前記鍔部に重ならない位置に配置される。これにより、コネクタと鍔部とをずらして配置したことにより、コネクタの負荷側の空間を利用可能にすることができる。コネクタの負荷側の空間からワイヤーハーネスのプラグを挿抜すると、鍔部よりもヒートシンクがプラグの挿抜の力を受けることができる。このため、鍔部の厚みを薄くしてもよく、電動駆動装置が軽量化する。
【0018】
望ましい態様として、前記コネクタは、負荷側からプラグが挿入可能なレセプタクルである。これにより、プラグから加えられる応力は、ヒートシンクが受けるので、回路基板にプラグの応力が伝達されにくくなる。
【0019】
望ましい態様として、電動パワーステアリング装置は、電動駆動装置を備え、前記電動駆動装置が補助操舵トルクを生じさせる。これにより、モータのシャフトに平行な軸方向及びシャフトの径方向の大きさが抑制され、電動パワーステアリング装置の配置の自由度が向上する。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、上記の課題に鑑みてなされたものであって、コネクタへワイヤーハーネスのプラグを挿抜して生じる応力が回路基板に生じる影響を抑制しつつ、コネクタ、ヒートシンク、回路基板の位置決め精度が高まる、電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置を搭載した車両を模式的に示した斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係るモータの断面を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係るモータの配線を示す模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係るモータとECUとの関係を示す模式図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る電動駆動装置の側面図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る電動駆動装置の平面図である。
【
図8】
図8は、
図7のVIII-VIII矢視の断面を示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態1に係る電動駆動装置の模式的な分解斜視図である。
【
図10】
図10は、蓋体を取り外した実施形態1に係る電動駆動装置を説明する斜視図である。
【
図11】
図11は、蓋体及び回路基板を取り外した実施形態1に係る電動駆動装置を説明する斜視図である。
【
図12】
図12は、蓋体及び回路基板を取り外した実施形態1に係る電動駆動装置を軸方向にみた平面図である。
【
図13】
図13は、実施形態1に係るヒートシンクを軸方向にみた平面図である。
【
図14】
図14は、実施形態1に係る回路基板を軸方向にみた平面図である。
【
図15】
図15は、実施形態1に係るヒートシンクにコネクタを取り付ける手順を説明する斜視図である。
【
図16】
図16は、実施形態1に係るヒートシンクに回路基板を取り付ける手順を説明する斜視図である。
【
図17】
図17は、実施形態1に係るヒートシンクに回路基板を取り付けた状態を説明する斜視図である。
【
図18】
図18は、実施形態1の永久磁石と第1センサ及び第2センサとの位置関係を示す説明図である。
【
図19】
図19は、実施形態1のセンサチップの回路構成を示す回路図である。
【
図20】
図20は、蓋体、回路基板及びヒートシンクを取り外した実施形態1に係る電動駆動装置を説明する斜視図である。
【
図21A】
図21Aは、実施形態1に係るバスバーモジュールの反負荷側の面を上にした斜視図である。
【
図21B】
図21Bは、実施形態1に係るバスバーモジュールの負荷側の面を上にした斜視図である。
【
図22A】
図22Aは、実施形態1に係るバスバーモジュールのリード配線の反負荷側の面を上にした斜視図である。
【
図22B】
図22Bは、実施形態1に係るバスバーモジュールのリード配線の負荷側の面を上にした斜視図である。
【
図22C】
図22Cは、実施形態1に係るバスバーモジュールのリード配線の反負荷側の面をみた平面図である。
【
図22D】
図22Dは、実施形態1に係るバスバーモジュールのリード配線を第1方向からみた側面図である。
【
図22E】
図22Eは、実施形態1に係るバスバーモジュールのリード配線を第2方向からみた側面図である。
【
図23】
図23は、実施形態2に係るヒートシンクに回路基板を取り付けた状態を説明する斜視図である。
【
図24】
図24は、実施形態3に係る回路基板を軸方向にみた平面図である。
【
図25】
図25は、実施形態4に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。
【
図26】
図26は、実施形態5に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。
【
図27】
図27は、実施形態6に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0023】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置を搭載した車両を模式的に示した斜視図である。
図2は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。
図1に示すように、車両101は、電動パワーステアリング装置100を搭載している。
図2を参照して電動パワーステアリング装置100の概要を説明する。
【0024】
電動パワーステアリング装置100は、運転者(操作者)から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール191と、ステアリングシャフト192と、ユニバーサルジョイント96と、インターミディエイトシャフト197と、ユニバーサルジョイント198と、第1ラックアンドピニオン機構199と、タイロッド172と、を備える。また、電動パワーステアリング装置100は、ステアリングシャフト192の操舵トルクを検出するトルクセンサ194と、電動モータ30と、電動モータ30を制御する電子制御装置(以下、ECU(Electronic Control Unit)という。)10と、減速装置75と、を備える。車速センサ182、電源装置183(例えば車載のバッテリ)、及びイグニッションスイッチ84は、車体に備えられる。車速センサ182は、車両101の走行速度を検出する。車速センサ182は、検出した車速信号SVをCAN(Controller Area Network)通信によりECU10に出力する。ECU10には、イグニッションスイッチ184がオンの状態で電源装置183から電力が供給される。
【0025】
図2に示すように、ステアリングシャフト192は、入力軸192Aと、出力軸192Bと、を備える。入力軸192Aは、一方の端部がステアリングホイール191に接続され、他方の端部がトーションバーに接続される。出力軸192Bは、一方の端部がトーションバーに接続され、他方の端部がユニバーサルジョイント196に接続される。なお、トルクセンサ194は、トーションバーのねじれを検出することで、ステアリングシャフト192に加わる操舵トルクを検出する。トルクセンサ194は、検出した操舵トルクに応じた操舵トルク信号TをCAN通信によりECU10に出力する。ステアリングシャフト192は、ステアリングホイール191に付与された操舵力により回転する。
【0026】
インターミディエイトシャフト197は、出力軸192Bのトルクを伝達する。第1ラックアンドピニオン機構199は、第1ピニオンシャフト199Aと、第1ピニオンギヤ199Bと、ラックシャフト99Cと、第1ラック199Dと、を有する。第1ピニオンシャフト199Aは、一方の端部がユニバーサルジョイント198を介してインターミディエイトシャフト197に接続され、他方の端部が第1ピニオンギヤ199Bに接続される。ラックシャフト99Cに形成された第1ラック199Dは、第1ピニオンギヤ199Bと噛み合う。
【0027】
以上説明したように、ステアリングシャフト192の回転運動は、インターミディエイトシャフト197を介して第1ラックアンドピニオン機構199に伝達される。この回転運動は、第1ラックアンドピニオン機構199によりラックシャフト199Cの直線運動に変換される。タイロッド172は、ラックシャフト199Cの両端にそれぞれ接続される。
【0028】
電動モータ30は、運転者の操舵をアシストするための補助操舵トルクを発生させるモータである。電動モータ30は、ブラシレスモータでもよいし、ブラシ及びコンミテータを有するブラシモータでもよい。
【0029】
ECU10は、回転角度センサ23aを備える。回転角度センサ23aは、電動モータ30の回転位相を検出する。ECU10は、回転角度センサ23aから電動モータ30の回転位相信号を取得し、トルクセンサ194から操舵トルク信号Tを取得し、車速センサ182から車両101の車速信号SVを取得する。ECU10は、回転位相信号と操舵トルク信号Tと車速信号SVとに基づいて、アシスト指令の補助操舵指令値を算出する。ECU10は、算出された補助操舵指令値に基づいて、電流を電動モータ30に供給する。
【0030】
電動駆動装置1は、電動モータ30と、電動モータ30のシャフトの反負荷側に固定したECU10とを備える。また、電動駆動装置1は、ECU10と電動モータ30とを接続するアダプタを備えてもよい。
【0031】
減速装置75は、電動モータ30のシャフト31と一体に回転するウォームシャフトと、ウォームシャフトと噛み合うウォームホイールと、を備える。したがって、電動モータ30のシャフトの回転運動は、ウォームシャフトAを介してウォームホイールに伝達される。なお、実施形態1において、モータの減速装置75側のシャフトの端部を負荷側端部といい、減速装置75とは反対側のモータのシャフトの端部を反負荷側端部という。
【0032】
ステアリングホイール191に入力された運転者の操舵力は、ステアリングシャフト192、及びインターミディエイトシャフト197を介して、第1ラックアンドピニオン機構199に伝達される。第1ラックアンドピニオン機構199は、伝達された操舵力をラックシャフト199Cの軸方向に加わる力としてラックシャフト199Cに伝達する。この際、ECU10は、ステアリングシャフト192に入力された操舵トルク信号Tをトルクセンサ194から取得する。ECU10は、車速信号SVを車速センサ182から取得する。ECU10は、電動モータ30の回転位相信号を回転角度センサ23aから取得する。そして、ECU10は、制御信号を出力して電動モータ30の動作を制御する。電動モータ30が作り出した補助操舵トルクは、減速装置75を介して出力軸192Bに伝達される。このようにして、運転者のステアリングホイール191の操舵が電動パワーステアリング装置100によりアシストされる。
【0033】
図2に示すように、電動パワーステアリング装置100は、ステアリングシャフト192の出力軸192Bにアシスト力が付与されるコラムアシスト方式である。
【0034】
図3は、実施形態1に係るモータの断面を模式的に示す断面図である。
図4は、実施形態1に係るモータの配線を示す模式図である。実施形態1において、周方向とは、シャフト31を中心とした同心円において、同心円に沿う方向である。径方向とは、軸方向Axに直交する平面において、シャフト31から離れる方向である。電動モータ30は、
図3に示すように、ハウジング930と、ステータコア931を有するモータステータと、モータロータ932と、を備える。モータステータは、円筒状であるステータコア931と、複数の第1コイル37と、複数の第2コイル38を含む。ステータコア931は、環状のバックヨーク931aと、バックヨーク931aの内周面から突出する複数のティース931bと、を備える。ティース931bは、周方向に12個配置されている。モータロータ932は、ロータヨーク932aと、マグネット932bとを含む。マグネット932bは、ロータヨーク932aの外周面に設けられている。マグネット932bの数は、例えば8つである。モータロータ932の回転は、シャフト31の回転と連動する。
【0035】
図3に示すように、第1コイル37は、複数のティース931bのそれぞれに集中巻きされている。第1コイル37は、ティース931bの外周にインシュレータを介して集中巻きされる。全ての第1コイル37は、第1コイル系統に含まれる。実施形態1に係る第1コイル系統は、第1パワー回路25Aに含まれるインバータ回路251(
図5参照)によって、電流が供給され、励磁される。第1コイル系統は、例えば第1コイル37を6つ含む。6つの第1コイル37は、2つの第1コイル37が周方向で互いに隣接するように配置されている。隣接する第1コイル37を1つのグループとした第1コイルグループGr1が、周方向に等間隔に3つ配置されている。すなわち、第1コイル系統は、周方向に等間隔に並べられた3つの第1コイルグループGr1を備えている。なお、第1コイルグループGr1は、必ずしも3つでなくてもよく、nを自然数としたときに周方向に等間隔に3n個配置されていればよい。また、nは奇数である方が望ましい。以上説明したように、実施形態1では、コイルグループは、複数あり、3相毎に少なくとも第1コイルグループGr1と、第2コイルグループGr2の2系統に分けられ、かつステータコアが3相交流で励磁される。
【0036】
図3に示すように、第2コイル38は、複数のティース931bのそれぞれに集中巻きされている。第2コイル38は、ティース931bの外周にインシュレータを介して集中巻きされる。第2コイル38が集中巻きされるティース931bは、第1コイル37が集中巻きされるティース931bとは異なるティース931bである。全ての第2コイル38は、第2コイル系統に含まれる。第2コイル系統は、第2パワー回路25Bに含まれるインバータ回路251(
図5参照)によって電流が供給され、励磁される。第2コイル系統は、例えば第2コイル38を6つ含む。6つの第2コイル38は、2つの第2コイル38が周方向で互いに隣接するように配置されている。隣接する第2コイル38を1つのグループとした第2コイルグループGr2が、周方向に等間隔に3つ配置されている。すなわち、第2コイル系統は、周方向に等間隔に並べられた3つの第2コイルグループGr2を備えている。なお、第2コイルグループGr2は、必ずしも3つでなくてもよく、nを自然数としたときに周方向に等間隔に3n個配置されていればよい。また、nは奇数である方が望ましい。
【0037】
図4に示すように、6つの第1コイル37は、第1U相電流I1uにより励磁される2つの第1U相コイル37Ua及び第1U相コイル37Ubと、第1V相電流I1vにより励磁される2つの第1V相コイル37Va及び第1V相コイル37Vbと、第1W相電流I1wにより励磁される2つの第1W相コイル37Wa及び第1W相コイル37Wbと、を含む。第1U相コイル37Ubは、第1U相コイル37Uaに対して直列に接続されている。第1V相コイル37Vbは、第1V相コイル37Vaに対して直列に接続されている。第1W相コイル37Wbは、第1W相コイル37Waに対して直列に接続されている。第1コイル37のティース931bに対する巻き方向は、全て同じ方向である。また、第1U相コイル37Ub、第1V相コイル37Vb及び第1W相コイル37Wbは、スター結線(Y結線)で接合されている。
【0038】
図4に示すように、6つの第2コイル38は、第2U相電流I2uにより励磁される2つの第2U相コイル38Ua及び第2U相コイル38Ubと、第2V相電流I2vにより励磁される2つの第2V相コイル38Va及び第2V相コイル38Vbと、第2W相電流I2wにより励磁される2つの第2W相コイル38Wa及び第2W相コイル38Wbと、を含む。第2U相コイル38Ubは、第2U相コイル38Uaに対して直列に接続されている。第2V相コイル38Vbは、第2V相コイル38Vaに対して直列に接続されている。第2W相コイル38Wbは、第2W相コイル38Waに対して直列に接続されている。第2コイル38のティース931bに対する巻き方向は、全て同じ方向であり、第1コイル37の巻き方向と同じである。また、第2U相コイル38Ub、第2V相コイル38Vb及び第2W相コイル38Wbは、スター結線(Y結線)で接合されている。
【0039】
図3に示すように、3つの第1コイルグループGr1は、第1UVコイルグループGr1UVと、第1VWコイルグループGr1VWと、第1UWコイルグループGr1UWと、からなる。第1UVコイルグループGr1UVは、周方向で互いに隣接する第1U相コイル37Ub及び第1V相コイル37Vaを含む。第1VWコイルグループGr1VWは、周方向で互いに隣接する第1V相コイル37Vb及び第1W相コイル37Waを含む。第1UWコイルグループGr1UWは、周方向で互いに隣接する第1U相コイル37Ua及び第1W相コイル37Wbを含む。
【0040】
図3に示すように、3つの第2コイルグループGr2は、第2UVコイルグループGr2UVと、第2VWコイルグループGr2VWと、第2UWコイルグループGr2UWと、からなる。第2UVコイルグループGr2UVは、周方向で互いに隣接する第2U相コイル38Ub及び第2V相コイル38Vaを含む。第2VWコイルグループGr2VWは、周方向で互いに隣接する第2V相コイル38Vb及び第2W相コイル38Waを含む。第2UWコイルグループGr2UWは、周方向で互いに隣接する第2U相コイル38Ua及び第2W相コイル38Wbを含む。
【0041】
第1U相電流I1uにより励磁される第1コイル37は、第2U相電流I2uにより励磁される第2コイル38に、ステータコア931の径方向で対向している。以下の説明において、ステータコア931の径方向は、単に径方向と記載される。例えば、
図3に示すように、径方向で第1U相コイル37Uaが第2U相コイル38Uaに対向し、第1U相コイル37Ubが第2U相コイル38Ubに対向している。
【0042】
第1V相電流I1vにより励磁される第1コイル37は、第2V相電流I2vにより励磁される第2コイル38に、径方向で対向している。例えば、
図3に示すように、径方向で第1V相コイル37Vaが第2V相コイル38Vaに対向し、第1V相コイル37Vbが第2V相コイル38Vbに対向している。
【0043】
第1W相電流I1wにより励磁される第1コイル37は、第2W相電流I2wにより励磁される第2コイル38に、径方向で対向している。例えば、
図3に示すように、径方向で第1W相コイル37Waが第2W相コイル38Waに対向し、第1W相コイル37Wbが第2W相コイル38Wbに対向している。
【0044】
図5は、実施形態1に係るモータとECUとの関係を示す模式図である。
図5に示すように、ECU10は、検出回路23と、制御回路24と、第1パワー回路25Aと、第2パワー回路25Bと、電源管理回路27とを備える。
【0045】
制御回路24は、2つの制御演算部241と、2つのモータ駆動回路245と、を有する。制御演算部241には、操舵トルク信号T、車速信号SV等の入出力信号が、コネクタCNTを介して伝送される。回路基板20は、複数の導電層が設けられた多層樹脂基板であるので、コネクタCNTから制御回路24の制御演算部241へ電気的に接続する接続配線TSVは、回路基板20の内部導電層で引き回される。
【0046】
電源装置183からの配線PWは、コネクタCNTを介して電力を供給される。ノイズフィルタ回路90は、チョークコイル91、コンデンサ92を有し、配線PWから供給される電力に重畳する高周波成分を除去する。回路基板20に引き回された接続配線PWSは、電源装置183からの配線PWと接続する。接続配線PWSの一端がノイズフィルタ回路90(チョークコイル91、コンデンサ92)に接続し、接続配線PWSの他端が第1パワー回路25Aのインバータ回路251又は第2パワー回路25Bのインバータ回路251と接続する。
【0047】
電源管理回路27は、回路基板20に実装された回路の電源のON/OFFや電力分配の配分をコントロールするスイッチングICである。電源管理回路27は、例えば、制御回路24で利用する電力の配分をコントロールする。接続配線PWCの一端がノイズフィルタ回路90(チョークコイル91、コンデンサ92)に接続し、接続配線PWSの他端が電源管理回路27と接続する。
【0048】
検出回路23は、回転角度センサ23aと、モータ回転数演算部23bと、を有する。第1パワー回路25Aは、インバータ回路251と、電流遮断回路255と、遮断駆動回路243とを有する。第2パワー回路25Bは、インバータ回路251と、電流遮断回路255と、遮断駆動回路243とを有する。モータ駆動回路245は、ゲート駆動回路242と、電流検出回路244とを有する。また、インバータ回路251は、複数のスイッチング素子252を有する。シャント抵抗SRは、スイッチング素子252に接続されている。3つのシャント抵抗SRは、3つのスイッチング素子252にそれぞれ接続されている。1つのシャント抵抗SRのみとし、1つのシャント抵抗SRに3つのスイッチング素子252が接続されていてもよい。なお、
図5において、説明が不要な回路については、適宜省略している。
【0049】
制御演算部241は、モータ電流指令値を演算する。モータ回転数演算部23bは、モータ電気角θmを演算し、制御演算部241に出力する。ゲート駆動回路242は、制御演算部241から出力されるモータ電流指令値が入力される。ゲート駆動回路242は、モータ電流指令値に基づいて、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bを制御する。
【0050】
ECU10は、
図5に示すように、回転角度センサ23aを備えている。回転角度センサ23aは、例えば、磁気センサである。回転角度センサ23aの検出値がモータ回転数演算部23bに供給される。モータ回転数演算部23bは、回転角度センサ23aの検出値に基づいてモータ電気角θmを演算し、制御演算部241に出力する。
【0051】
制御演算部241には、トルクセンサ194で検出された操舵トルク信号Tと、車速センサ182で検出された車速信号SVと、モータ回転数演算部23bから出力されるモータ電気角θmと、が入力される。制御演算部241は、操舵トルク信号T、車速信号SV及びモータ電気角θmに基づいてモータ電流指令値を算出し、ゲート駆動回路242に出力する。
【0052】
ゲート駆動回路242は、モータ電流指令値に基づいて第1パルス幅変調信号を演算し、第1パワー回路25Aのインバータ回路251に出力する。インバータ回路251は、第1パルス幅調変信号のデューティ比に応じて、3相の電流値となるようにスイッチング素子252をスイッチングして第1U相電流I1u、第1V相電流I1v及び第1W相電流I1wを含む3相交流を生成する。第1U相電流I1uが第1U相コイル37Ua及び第1U相コイル37Ubを励磁し、第1V相電流I1vが第1V相コイル37Va及び第1V相コイル37Vbを励磁し、第1W相電流I1wが第1W相コイル37Wa及び第1W相コイル37Wbを励磁する。
【0053】
ゲート駆動回路242は、モータ電流指令値に基づいて第2パルス幅変調信号を演算し、第2パワー回路25Bのインバータ回路251に出力する。インバータ回路251は、第2パルス幅調変信号のデューティ比に応じて、3相の電流値となるようにスイッチング素子252をスイッチングして第2U相電流I2u、第2V相電流I2v及び第2W相電流I2wを含む3相交流を生成する。第2U相電流I2uが第2U相コイル38Ua及び第2U相コイル38Ubを励磁し、第2V相電流I2vが第2V相コイル38Va及び第2V相コイル38Vbを励磁し、第2W相電流I2wが第2W相コイル38Wa及び第2W相コイル38Wbを励磁する。
【0054】
インバータ回路251は、直流電力を交流電力に変換する電力変換回路である。上記のように、インバータ回路251は、複数のスイッチング素子252を有する。スイッチング素子252は、例えば、電界効果トランジスタである。インバータ回路251には、コンデンサ253が並列に接続される。コンデンサ253は、例えば、電解コンデンサである。回路基板20は、平滑用として、並列に接続された複数のコンデンサ253を備える。
【0055】
また、電流検出回路244は、例えば、シャント抵抗SRに接続されている。電流検出回路244で検知した電流値は、制御演算部241に送出される。なお、電流検出回路244は、電動モータ30の各相の電流値を検出するように接続してもよい。
【0056】
電流遮断回路255は、インバータ回路251と、第1コイル37又は第2コイル38との間に配置されている。電流検出回路244で検知した電流値が異常と判断される場合は、制御演算部241は、遮断駆動回路243を介して電流遮断回路255を駆動し、インバータ回路251から第1コイル37へ流れる電流を遮断できる。また、制御演算部241は、遮断駆動回路243を介して電流遮断回路255を駆動し、インバータ回路251から第2コイル38へ流れる電流を遮断できる。このように、第1コイル37へ流れる電流と、第2コイル38へ流れる電流は、制御演算部241にそれぞれ独立して制御される。また、制御演算部241には、操舵トルク信号T、車速信号SV等の入出力信号が、コネクタCNTを介して伝送される。
【0057】
図6は、実施形態1に係る電動駆動装置の側面図である。
図7は、実施形態1に係る電動駆動装置の平面図である。
図8は、
図7のVIII-VIII矢視の断面を示す断面図である。
図9は、実施形態1に係る電動駆動装置の模式的な分解斜視図である。
図6に示すように、電動駆動装置1は、電動モータ30と、電動モータ30の反負荷側に配置されるECU10とを備える。
【0058】
図6及び
図8に示すように、ECU10は、ヒートシンク40と、ヒートシンク40の反負荷側を覆う蓋体50と、コネクタCNTとを備える。
図8に示すように、ヒートシンク40は、回路基板20を支持しており、蓋体50は、回路基板20を覆っている。
【0059】
図7に示すように、蓋体50は、第1天板部51と、第2天板部52と、天板凹部53を備える。蓋体50は金属板で形成され、金属板がプレス加工されている。蓋体50は、電動駆動装置1の内部に、異物や水分が侵入することを抑制する。
【0060】
第1天板部51は、蓋体50の中央部分で、平板状である。第1天板部51よりも凹んだ天板凹部53の裏面には、放熱材があり、コンデンサ253である電解コンデンサの天面が放熱材を介して天板凹部531の裏面に接している。放熱材は、例えば、フィルム状である。放熱材は、フィルム状ではなく、液状であって、コンデンサ253の天面と天板凹部53の裏面との間にだけあってもよい。放熱材は、例えば、シリコーンポリマーに熱伝導性フィラーを混合した材料であり、TIM(Thermal Interface Material)と呼ばれる。放熱材は、回路基板20の基板本体21よりも熱伝導率が大きい材料であれば、上記材料以外の他の材料でもよい。
【0061】
図8に示す第2天板部52は、
図9に示すヒートシンク40の反負荷側に突出する支持柱451と、固定部材であるボルトCTとに挟まれて固定される。第2天板部52は、第1天板部51よりも負荷側にある。
図7に示すように、第1天板部51と、第2天板部52との間は、斜面部で繋がっており、第1天板部51と第2天板部52との段差を埋めている。第2天板部52が第1天板部51を囲む。
【0062】
図8に示すように、電動モータ30は、ハウジング930を備える。モータロータ932は、ロータヨーク932aと、マグネット932bとを含む。マグネット932bは、ロータヨーク932aの外周面に設けられている。ハウジング930は筒状であり、その内側にモータロータ932と、3相毎に2系統に分けられた複数のコイルグループ、例えば第1コイルグループGr1及び第2コイルグループGr2(
図3参照)とステータコア931とを有するモータステータと、シャフト31とを収容する。
【0063】
図8に示すように、回路基板20は、基板本体21と、基板本体21に実装された複数の電子部品と、を有する。基板本体21は、例えば、樹脂等で形成されたプリント基板である。回路基板20の内部には、複数の導電層が設けられた多層基板であり、回路基板20は、両面実装が可能となっている。1枚の基板本体21に実装された複数の電子部品には、例えば、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、磁気センサ、電解コンデンサ、抵抗素子、ダイオード、サーミスタ等が含まれる。これら複数の電子部品により、
図5に示した検出回路23、制御回路24、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bが構成されている。
【0064】
図9に示すように、回路基板20を貫通したボルトBTが、支持柱452の雌ねじ部に締結する。これにより、回路基板20がヒートシンク40に対してずれないように固定されている。
図8及び
図9に示すように、ヒートシンク40は、回路基板20を支持する。ヒートシンク40の一方の面(反負荷側)に、回路基板20が固定されている。ヒートシンク40は、放熱性の高いアルミニウム、銅などの金属材料で構成されており、回路基板20が発する熱を外部に効率よく放熱する。
【0065】
図8に示すように、シャフト31は、軸受33と、軸受34とにより回転自在に支持される。軸受33は、ヒートシンク40とシャフト31との間に介在している。ヒートシンク40の負荷側には、軸受支持部411があり、ヒートシンク40の反負荷側には、シャフト31の端部にある磁石32が配置されたヒートシンク40の中空部41Hがある。軸受支持部411で囲まれる中空部の内側に軸受33が配置されている。軸受34は、ハウジング930とシャフト31との間に介在している。
【0066】
図8及び
図9に示すように、シャフト31の一方の端部には、磁石フォルダ32Aを介して磁石32が取り付けられている。磁石32は、軸方向Axからみて半分がS極、半分がN極に着磁されている。あるいは、磁石32は、周方向にみて交互に配置されたS極及びN極を外周面に有するようにしてもよい。軸受33は、部品精度が高いので、ヒートシンク40の反負荷側に配置される磁石32の軸方向Axの位置が一定となる。磁石32がある端部が、シャフト31の反負荷側の端部である。
【0067】
図9に示すシャフト31の他方の端部は、減速装置75(
図1参照)のウォームシャフトに回転を伝達する。ウォームシャフトの回転は、ウォームホイールへ伝達される。
【0068】
図8に示すように、基板本体21は、第1面21bと、第1面21bの反対側に位置する第2面21aとを有する。
図5に示す検出回路23、制御回路24、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bは、第1面21b又は第2面21aに実装された1個以上の電子部品で構成されている。例えば、回転角度センサ23aは、基板本体21の第1面21bに実装された1個の電子部品で構成されている。
【0069】
また、
図5に示す制御回路24は、基板本体21の第2面21aにそれぞれ実装された複数個の電子部品で構成されている。また、
図8及び
図9に示すように、回路基板20は、基板本体21の第2面21aに実装されたコンデンサ253を含む。
【0070】
回転角度センサ23aは、シャフト31の反負荷側であって、磁石32の軸方向Axの延長線上に配置されている。基板本体21は、軸方向Axと直交する平面を回転角度センサ23aの実装面としている。回転角度センサ23aは、磁石32の磁場の変化を感知できるように、基板本体21に実装されている。磁石32と、回転角度センサ23aとは、軸方向Axにおいて、対向していることが望ましい。回転角度センサ23aは、基板本体21の第1面21bではなく、第2面21aにあってもよく、基板本体21の第1面21b及び第2面21aの両方にあってもよい。
【0071】
回転角度センサ23aは、例えば、スピンバルブセンサである。スピンバルブセンサは、反強磁性層等で磁化の向きが固定された強磁性体のピン層と、強磁性体のフリー層とで非磁性層を挟んだ素子で、磁束の向きの変化を検出できるセンサである。スピンバルブセンサには、GMR(Giant Magneto Resistance)センサ、TMR(Tunnel Magneto Resistance)センサがある。なお、回転角度センサ23aは、磁石32の回転を検出可能なセンサであればよい。回転角度センサ23aは、例えば、AMR(Anisotropic Magneto Resistance)センサ、又はホールセンサでもよい。
【0072】
図9に示すように、ヒートシンク40の貫通孔CNTHには、コネクタCNTが挿入されている。コネクタCNTは、レセプタクルであるので、軸方向Axの負荷側からワイヤーハーネスのプラグを挿抜できる。コネクタCNTの固定孔CTTHは、軸方向に貫通する貫通孔である。固定部材であるボルトTTは、固定孔CTTHを貫通し、ヒートシンク40の反負荷側の面に設けられた支持柱453(
図13参照)の雌ねじ部453H(
図13参照)に締結される。これにより、ヒートシンク40に対し、コネクタCNTがずれないように、直接固定される。
【0073】
コネクタCNTは、電源端子と、CAN通信を行う通信用端子と、CAN通信以外の方法でデータを入出力する入出力端子と、を含むコネクタCNTのコネクタ端子CNTPを有する。コネクタCNTの樹脂材料は、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT:Polybutylene terephthalate)である。コネクタCNTのコネクタ端子CNTPは、回路基板20に電気的に接続される。
【0074】
図10は、蓋体を取り外した実施形態1に係る電動駆動装置を説明する斜視図である。
図11は、蓋体及び回路基板を取り外した実施形態1に係る電動駆動装置を説明する斜視図である。
図9及び
図10に示すように、回路基板20は、ヒートシンク40の反負荷側に配置される。
【0075】
図12は、蓋体及び回路基板を取り外した実施形態1に係る電動駆動装置を軸方向にみた平面図である。
図9及び
図10に示す固定部材であるボルトDTは、ヒートシンク40を軸方向に貫通する貫通孔454に挿入され、ハウジングに設けられた雌ねじ部に締結される。これにより、ヒートシンク40は、ハウジング930に固定される。
【0076】
図10に示すように、第1バスバー端子群71の配置領域2321(
図10参照)に設けられる基板本体21の貫通孔には、
図11に示すヒートシンク40の貫通孔71Hを貫通してきた、第1バスバー端子群71が挿入される。その結果、はんだなどの低融点金属の接合で、回路基板20と第1バスバー端子群71とが電気的に接続される。同様に、第2バスバー端子群72の配置領域2322に設けられる基板本体21の貫通孔には、
図11に示すヒートシンク40の貫通孔72Hを貫通してきた、第2バスバー端子群72が挿入される。その結果、はんだなどの低融点金属の接合で、回路基板20と第2バスバー端子群72とが電気的に接続される。
【0077】
図11及び
図12に示すように、ヒートシンク40は、ヒートシンク本体の反負荷側の第1面41と第2面42とに段差を設けている。第1面41は、軸方向の基準面である。なお、第1面41は、平坦面でなくてもよく、第2面42より、軸方向Axに低ければよい。
【0078】
第2面42は、隣接する貫通孔71H及び貫通孔72Hに沿って設けられている。第2面42は、第1面41よりも反負荷側にある。
図12に示すように、第2面42は、第1面41と貫通孔71Hとの間、及び第1面41と貫通孔72Hとの間にある。
【0079】
回路基板20の発熱を放熱するために、第2面42は、回路基板20と対向している。第2面42に対向する回路基板20には、
図10に示す第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bが配置されている。そして、
図11に示すように、回路基板20とヒートシンク40の第2面42との間に、放熱材Gtmが塗布されている。放熱材Gtmは、例えば、シリコーンポリマーに熱伝導性フィラーを混合した材料であり、TIM(Thermal Interface Material)と呼ばれる。その結果、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bの熱は、放熱材Gtmを介して、第2面42へ伝熱され、第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bは冷却される。なお、放熱材Gtmは、回路基板20の基板本体21よりも熱伝導率が大きい材料であれば、上記材料以外の他の材料でもよい。
【0080】
図11及び
図12に示すように、第1面41と第2面42との間には、第1面41よりも負荷側に凹む第3面43が配置されている。このように、ヒートシンク40は、反負荷側に、シャフト31を囲む第1面41と、第1面41よりも反負荷側に突出する第2面42と、第1面41よりも負荷側に凹む第3面43とを備えている。軸方向にみて、第2面42には、第1パワー回路25Aの実装領域(
図10参照)及び第2パワー回路25Bの実装領域(
図10参照)が重なっている。
図11に示すように、第3面43の周りは、第1面41と第2面42とが隣接するように配置されている。軸方向にみて、
図11に示す第3面に重なる回路基板20には、
図10に示す平滑用のコンデンサ253が実装されている。例えば、平滑用のコンデンサ253のリードが基板本体21を貫通しても、第3面43が凹んでいるので、第3面と平滑用のコンデンサ253のリードとの距離が確保される。第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bの発熱を抑制しつつ、平滑用のコンデンサ253を第1パワー回路25A及び第2パワー回路25Bの近い位置に実装できる。なお、平滑用のコンデンサ253が表面実装である場合、第3面43は、放熱材Gtmの貯留部分とすることができる。
【0081】
図11及び
図12に示すように、第1面41には、第1面41よりも反負荷側に突出する第4面44、第5面45が島状に設けられ、第4面44、第5面45と第1面41との間には段差が設けられている。第4面44、第5面45は、第2面と同じ軸方向の高さを有している。第4面44、第5面45には、第2面42と同様に、放熱材Gtmが塗布されている。第4面44、第5面45が対向する回路基板20には、制御回路24やモータ駆動回路245の集積回路が実装されており、制御回路24やモータ駆動回路245の熱が放熱材Gtmを介して、第4面44、第5面45へ伝熱される。
【0082】
図11に示すように、ヒートシンク40は、第1面41から反負荷側に突出する支持柱451、支持柱452を備えている。支持柱451、支持柱452には、反負荷側の上面から軸方向Axに開けられた雌ねじ部がそれぞれある。
図10に示すように、支持柱451は、回路基板20よりも突出している。
図8に示すように、蓋体50を貫通したボルトCTが、支持柱451の雌ねじ部に締結することで、ヒートシンク40に蓋体50が固定される。
【0083】
図8に示すように、回路基板20を貫通したボルトBTが、支持柱452の雌ねじ部に締結する。これにより、回路基板20がヒートシンク40に対してずれないように固定されている。
【0084】
図12に示すように、コネクタCNTがヒートシンク40と回路基板20とに挟まれ、回路基板20とコネクタCNTとがボルトBTにより固定されている。これにより、コネクタCNTが回路基板20に対してずれないように固定されている。
【0085】
図5に示すように、ノイズフィルタ回路90は、チョークコイル91と、コンデンサ92とを含む。
図8に示すように、ノイズフィルタ回路90(
図5参照)を構成するチョークコイル91と、コンデンサ92とは、第1バスバー端子群71の配置領域2321と、第2バスバー端子群72の配置領域2322との間に配置される。これにより、第1バスバー端子の配置領域と、第2バスバー端子の配置領域との間の回路基板のスペースを有効活用することができ、回路基板20の面積を抑制できる。
【0086】
図11に示すように、ヒートシンク40は、コネクタCNTを挿入する貫通孔CNTHと、第2面42との間であって、かつ貫通孔71Hと貫通孔72Hとの間に、チョークコイル91を収容する第6面46を有する。第6面46は、第2面42よりも負荷側に凹んでいる。
図8に示すように、チョークコイル91は、回路基板20の負荷側に実装され、ヒートシンク40の第6面46(
図11参照)と対向している。ヒートシンク40の第6面46(
図11参照)との間には、放熱材があり、チョークコイル91での発熱をヒートシンク40へ放熱することができる。
【0087】
図8及び
図11に示すように、コネクタCNTは、貫通孔CNTHに挿入される。これにより、電動モータ30と重畳するスペースが制御回路24などの実装領域として有効活用することができる。
【0088】
図13は、実施形態1に係るヒートシンクを軸方向にみた平面図である。
図12に示すように、コネクタCNTには、軸方向Axに貫通する貫通孔CNTP1、貫通孔CNTP2が開けられている。貫通孔CNTP1、貫通孔CNTP2は、位置決めピンP1、位置決めピンP2の直径よりも60μm以上165μm以下程度大きい。
図13に示すように、ヒートシンク40の反負荷側には、位置決めピンP1、位置決めピンP2を立設するための凹部40P1、凹部40P2及び凹部40P3が設けられている。凹部40P1、凹部40P2及び凹部40P3は、位置決めピンP1、位置決めピンP2の直径よりも15μm以上30μm以下程度大きい。
【0089】
凹部40P1の中心及び凹部40P3の中心を結ぶ直線LP1上には、支持柱453が設けられている。
図13に示す支持柱453の雌ねじ部453Hには、
図12に示すボルトTTが締結される。凹部40P1の中心及び凹部40P2の中心を結ぶ直線LP2上には、シャフト31に取り付けられた磁石32が設けられている。
【0090】
図14は、実施形態1に係る回路基板を軸方向にみた平面図である。基板本体21には、軸方向Axに貫通する貫通孔21P1及び貫通孔21P2が設けられる。貫通孔21P1は、円形である。貫通孔21P2は、長孔であり、長軸は、直線LP3に沿う。貫通孔21P1及び貫通孔21P2の最小長さは、位置決めピンP1、位置決めピンP2の直径よりも60μm以上165μm以下程度大きい。直線LP3は、回路基板20がヒートシンク40に固定されると、直線LP2に沿う。
【0091】
図15は、実施形態1に係るヒートシンクにコネクタを取り付ける手順を説明する斜視図である。ボルトTTでコネクタCNTをヒートシンク40に固定する際、ボルトTTの回転に連れ回り、ヒートシンク40に対するコネクタCNTの位置がずれる可能性がある。そこで、
図15に示すように、位置決めピンP1が貫通孔CNTP1を貫通して、凹部40P1に突き立てる。同様に、位置決めピンP2が貫通孔CNTP2を貫通して、凹部40P2に突き立てる。これにより、位置決めピンP1及び位置決めピンP2がヒートシンク40に対するコネクタCNTの位置を規制した状態で、ボルトTTでコネクタCNTがヒートシンク40に固定される。
【0092】
図16は、実施形態1に係るヒートシンクに回路基板を取り付ける手順を説明する斜視図である。
図17は、実施形態1に係るヒートシンクに回路基板を取り付けた状態を説明する斜視図である。ボルトTTでコネクタCNTがヒートシンク40に固定された後、
図16に示すように、位置決めピンP2の位置を凹部40P3(
図13)から凹部40P2(
図13)へ移動する。
【0093】
次に、位置決めピンP1に、基板本体21の貫通孔21P1が貫通するようにする。同様に、位置決めピンP2に、基板本体21の貫通孔21P2が貫通するようにする。
図17に示すように、基板本体21に、ヒートシンク40の支持柱452(
図13)が当接した状態で、ボルトBTが支持柱452(
図13)の雌ねじ部に締結される。
【0094】
コネクタCNTの貫通孔CNTP2は、21基板本体に覆われている。これにより、基板本体21の孔を減らすことができる。
【0095】
図18は、実施形態1の永久磁石と第1センサ及び第2センサとの位置関係を示す説明図である。
図19は、実施形態1のセンサチップの回路構成を示す回路図である。
図18に示すように、回転角度センサ23aのセンサチップは、第1センサ116と、第2センサ124とを備える。回転角度センサ23aは、第1センサ116及び第2センサ124が集積された磁気センサである。
図19に示すように、第1センサ116は、第1方向検出回路118と、第2方向検出回路122と、を備える。第1センサ116は、第1方向検出回路118及び第2方向検出回路122が検出した検出電圧をECU10へ出力する。
【0096】
第1方向検出回路118は、MR素子Rx1、Rx2、Rx3、Rx4と、接続端子T12、T23、T34、T41と、アンプ120と、を備える。MR素子Rx1、Rx2、Rx3、Rx4は、TMR(Tunnel Magneto Resistance)素子である。MR素子Rx1、Rx2、Rx3、Rx4は、例えば、GMR(Giant Magneto Resistance)素子、AMR(Anisotropic Magneto Resistance)素子、ホール素子のいずれかであってもよい。
【0097】
TMR素子は、磁化方向が固定された磁化固定層と、外部磁界に応じて磁化の方向が変化する自由層と、磁化固定層と、自由層の間に配置された非磁性層とから構成される。TMR素子は、自由層の磁化の方向が磁化固定層の磁化の方向に対してなす角度に応じて抵抗値が変化する。例えば、該角度が0°のときに抵抗値は最小となり、該角度が180°のときに抵抗値は最大となる。
図19に示す各MR素子R
x1、R
x2、R
x3、R
x4に記載された矢印は、それぞれの磁化固定層の磁化方向を示す。MR素子R
x1、R
x2、R
x3、R
x4は、
図19に示すように、ブリッジ回路を形成する。
【0098】
接続端子T
12及び接続端子T
34は、アンプ120に接続される。接続端子T
41は、駆動電圧Vccに接続される。ここで、駆動電圧Vccは、
図19において便宜上ECU10から独立して記載されているが、ECU10から供給される電圧である。接続端子T
23は、
図19に示すように、アースGNDに接続される。ECU10は、配線を介して、接続端子T
41と接続端子T
23との間に電圧を印加する。
【0099】
アンプ120は、入力された電気信号を増幅する増幅回路である。アンプ120は、入力側が接続端子T12及び接続端子T34に接続される。アンプ120は、出力側がECU10に接続されている。アンプ120は、接続端子T12、T34から入力された検出信号を増幅して、ECU10へ出力する。
【0100】
第2方向検出回路122は、MR素子Ry1、Ry2、Ry3、Ry4と、接続端子T12、T23、T34、T41と、アンプ120と、を備える。第2方向検出回路122は、MR素子Rx1、Rx2、Rx3、Rx4に代えて、MR素子Ry1、Ry2、Ry3、Ry4を備えている。第2方向検出回路122の構成のうち、第1方向検出回路118の構成と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0101】
MR素子Ry1、Ry2、Ry3、Ry4は、磁化固定層の磁化方向以外は、MR素子Rx1、Rx2、Rx3、Rx4と同様の構成を有する。各MR素子Ry1、Ry2、Ry3、Ry4に記載された矢印は、それぞれの磁化固定層の磁化方向を示す。
【0102】
なお、第2センサ124は、第1センサ116と同様の構成を有するので、同様の構成に同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0103】
第1方向検出回路118及び第2方向検出回路122は、
図18に示すシャフト31の軸方向Axに対し、所定の距離で配置されている場合、精度の高い検出信号を出力できる。第1センサ116は、磁石32に対し、所定の関係にあるときに、所定の検出信号を出力できる。このように、第1センサ116は、シャフト31の軸方向Ax及び磁石32に対して所定の位置である必要がある。同様に、第2センサ124もシャフト31の軸方向Ax及び磁石32に対して所定の位置である必要がある。
【0104】
図17に示すように、位置決めピンP1、P2は、ヒートシンク40に対しての、基板本体21の位置を規制する。これにより、ボルトBTをヒートシンク40に締結するとき、回路基板20がヒートシンク40に対して回転しにくい。これにより、第1センサ116は、シャフト31の軸方向Ax及び磁石32に対して所定の位置になる。同様に、第2センサ124もシャフト31の軸方向Ax及び磁石32に対して所定の位置になる。ヒートシンク40は、第1の凹部40P1と、第2の凹部40P2を結ぶ直線上に、磁石32が露出している。これにより、磁石32に対して、第1センサ116、第2センサ124の位置精度が高まり、回転角度センサ23aの出力精度が高くなる。
【0105】
図20は、蓋体、回路基板及びヒートシンクを取り外した実施形態1に係る電動駆動装置を説明する斜視図である。ハウジング930の反負荷側には、ハウジング930の筒部分から張り出す鍔部39が設けられている。ハウジング930の筒部分には、ヒートシンク40にはめ込む第1凸部393が設けられている。第1凸部393は、例えば、軸方向にみてC字状であって、軸方向に突出する。
図8に示すように、第1凸部393の外側に、ヒートシンク40の縁が配置される。
【0106】
鍔部39の反負荷側には、ヒートシンク40にはめ込む第2凸部392が設けられている。第2凸部392の端が第1凸部393に接続している。
図8に示すように、第2凸部392の外側に、ヒートシンク40の縁が配置される。その結果、
図8に示すように、軸方向にみて、コネクタCNTは、鍔部39に重ならない位置に配置される。これにより、コネクタCNTと鍔部39とをずらして配置したことにより、コネクタCNTの負荷側の空間を利用可能にすることができる。
【0107】
コネクタCNTは、負荷側からプラグが挿入可能なレセプタクルである。これにより、プラグから加えられる応力は、ヒートシンク40が受けるので、回路基板にプラグの応力が伝達されにくくなる。
【0108】
図21Aは、実施形態1に係るバスバーモジュールの反負荷側の面を上にした斜視図である。
図21Bは、実施形態1に係るバスバーモジュールの負荷側の面を上にした斜視図である。
図20に示すように、シャフト31の周りには、第1コイル37(
図4参照)及び第2コイル38(
図4参照)に電気的に接続される、バスバーモジュール70が配置されている。
図20では、バスバーモジュール70のモールド樹脂が省略されているが、実際には、
図21A及び
図21Bに示すように、バスバーモジュール70は、銅などの導電性のリード配線の周りをモールド樹脂70Mが覆っている。
図21Bに示すように、バスバーモジュール70は、筒部70Rと、支持部70Sとを有する。筒部70Rの中空部には、シャフト31が貫通する。モールド樹脂70Mから第1バスバー端子群71、第2バスバー端子群72及び接続端子70Tが露出している。接続端子70Tは、第1コイル37(
図4参照)又は第2コイル38(
図4参照)に電気的に接続するための端子である。
【0109】
支持部70Sの負荷側の面は、平坦面となっている。支持部70Sの負荷側の面は、
図20に示す鍔部39の反負荷側の面391に当接し、バスバーモジュール70の位置が規制されている。
【0110】
図22Aは、実施形態1に係るバスバーモジュールのリード配線の反負荷側の面を上にした斜視図である。
図22Bは、実施形態1に係るバスバーモジュールのリード配線の負荷側の面を上にした斜視図である。
図22Cは、実施形態1に係るバスバーモジュールのリード配線の反負荷側の面をみた平面図である。
図22Dは、実施形態1に係るバスバーモジュールのリード配線を第1方向からみた側面図である。
図22Eは、実施形態1に係るバスバーモジュールのリード配線を第2方向からみた側面図である。
図22Aから
図22Eに示すように、第1リード配線73U、73V、73W、第2リード配線74U、74V、74Wは、短絡しないように各々間隔をあけて配線されている。例えば、
図21Bに示す筒部70Rの部分では、第1リード配線73U、73V、73W、第2リード配線74U、74V、74Wは、それぞれ軸方向に複数層に間隔をあけて配置されている。
【0111】
第1リード配線73U、73V、73Wは、それぞれ径方向外側に引き出された第1引き出し部73UF、73VF、73WFを有している。第2リード配線74U、74V、74Wは、径方向外側に引き出された第2引き出し部74UF、74VF、74WFを有している。
【0112】
第1バスバー端子71Uは、第1引き出し部73UFと接続している。第1バスバー端子71Uは、第1引き出し部73UFに対してL字に屈曲している。そして、第1バスバー端子71Uは、第1引き出し部73UFから軸方向に沿って回路基板20へ延びて、第1バスバー端子群71の配置領域2321に接続している。
【0113】
第1バスバー端子71Vは、第1引き出し部73VFと接続している。第1バスバー端子71Vは、第1引き出し部73VFに対してL字に屈曲している。そして、第1バスバー端子71Vは、第1引き出し部73VFから軸方向に沿って回路基板20へ延びて、第1バスバー端子群71の配置領域2321に接続している。
【0114】
第1バスバー端子71Wは、第1引き出し部73WFと接続している。第1バスバー端子71Wは、第1引き出し部73WFに対してL字に屈曲している。そして、第1バスバー端子71Wは、第1引き出し部73WFから軸方向に沿って回路基板20へ延びて、第1バスバー端子群71の配置領域2321に接続している。
【0115】
第2バスバー端子72Uは、第2引き出し部74UFと接続している。第2バスバー端子72Uは、第2引き出し部74UFに対してL字に屈曲している。そして、第2バスバー端子72Uは、第2引き出し部74UFから軸方向に沿って回路基板20へ延びて、第2バスバー端子群72の配置領域2322に接続している。
【0116】
第2バスバー端子72Vは、第2引き出し部74VFと接続している。第2バスバー端子72Vは、第2引き出し部74VFに対してL字に屈曲している。そして、第2バスバー端子72Vは、第2引き出し部74VFから軸方向に沿って回路基板20へ延びて、第2バスバー端子群72の配置領域2322に接続している。
【0117】
第2バスバー端子72Wは、第2引き出し部74WFと接続している。第2バスバー端子72Wは、第2引き出し部74WFに対してL字に屈曲している。そして、第2バスバー端子72Wは、第2引き出し部74WFから軸方向に沿って回路基板20へ延びて、第2バスバー端子群72の配置領域2322に接続している。
【0118】
第1引き出し部73UF、73VF、73WFと、第2引き出し部74UF、74VF、74WFとは、径方向外側に向かって離隔する距離が大きくなる。これにより、第1バスバー端子群71の配置領域2322と、第2バスバー端子群72の配置領域2322との間の回路基板20のスペースを確保することができる。
【0119】
第1リード配線73U、73V、73W及び第1バスバー端子71U、71V、71Wは、それぞれ一体の平角導電線である。第2リード配線74U、74V、74W及び第2バスバー端子72U、72V、72Wは、一体の平角導電線である。軸方向から回路基板に接続した第1バスバー端子群71及び第2バスバー端子群72をみて、第1バスバー端子71U、71V、71Wの幅方向と、第2バスバー端子72U、72V、72Wの幅方向とは、異なる方向を向いている。これにより、平角導電線は、厚みよりも幅が広いので、電気抵抗を下げつつ、バスバーモジュールが小型化する。このように、第1バスバー端子71U、71V、71W及び第2バスバー端子72U、72V、72Wの軸方向Axからみた形状が異なっていても、コネクタCNT、ヒートシンク40、回路基板20の位置決め精度が高いので、第1バスバー端子71U、71V、71W及び第2バスバー端子72U、72V、72Wを回路基板20に接続しやすい。
【0120】
図20に示すように、ハウジング930は、モータステータを収容する筒部分と、筒部分から張り出す鍔部39とを有している。
図21A及び
図21Bに示すように、バスバーモジュール70は、樹脂材料で第1リード配線73U、73V、73W、及び第2リード配線74U、74V、74Wをモールドされた筒部70Rと、樹脂材料で第1引き出し部73UF、73VF、73WF及び第2引き出し部74UF、74VF、74WFがモールドされ、かつ筒部70Rから径方向に突出する支持部70Sとを有している。筒部70Rは、ハウジング930の筒部分に収容され、支持部70Sは、鍔部39と軸方向に重ね合わされている。これにより、支持部70Sが第1バスバー端子群71、第2バスバー端子群72を支えるので、回路基板20に応力がかかりにくくなる。
【0121】
軸方向にみて、第1バスバー端子71U、71V、71Wは、一列に並べられている。第2バスバー端子72U、72V、72Wは、一列に並べられている。
図10に示すように、第1バスバー端子71U、71V、71Wと、第2バスバー端子72U、72V、72Wとは、一直線上に並んでいる。そして、第1バスバー端子群71の配置領域2321と、第2バスバー端子群72の配置領域2322とが離隔する距離は、第1バスバー端子71U、71V、71Wのうち隣り合う第1バスバー端子間の距離よりも大きい。又は、第1バスバー端子群71の配置領域2321と、第2バスバー端子群72の配置領域2322とが離隔する距離は、第2バスバー端子72U、72V、72Wのうち隣り合う第2バスバー端子間の距離よりも大きい。これにより、第1バスバー端子群71の配置領域2321と、第2バスバー端子群の配置領域2322との間の回路基板20のスペースを確保することができる。
【0122】
図10に示すように、第1バスバー端子群71の配置領域2321と、第2バスバー端子群の配置領域2322との間の回路基板20のスペースには、接続配線PWS及び接続配線PWCが配置される。回路基板20は、複数の導電層が設けられた多層樹脂基板であるので、接続配線PWS及び接続配線PWCは、回路基板20の内部導電層で引き回される。接続配線PWSの一端が電源装置183からの配線PWと接続し、接続配線PWSの他端が上述したノイズフィルタ回路90(チョークコイル91、コンデンサ92)を介して、第1パワー回路25Aと接続する。また、コネクタ端子CNTPの配置領域2323と、第1パワー回路25Aの実装領域との間には、回路基板20に接続する第1バスバー端子群71の配置領域2321がある。このため、第1パワー回路25Aと第1バスバー端子群71の配置領域2321とが隣り合うので、電動モータ30を回転する電流を伝送する、回路基板20の内部の導電層面積を小さくすることができる。これにより、回路基板20を小さくすることができる。
【0123】
同様に、接続配線PWSの一端が電源装置183からの配線PWと接続し、接続配線PWSの他端が上述したノイズフィルタ回路90(チョークコイル91、コンデンサ92)を介して、第2パワー回路25Bと接続する。また、コネクタ端子CNTPの配置領域2323と、第2パワー回路25Bの実装領域との間には、回路基板20に接続する第2バスバー端子群72の配置領域2322がある。このため、第2パワー回路25Bと第2バスバー端子群72の配置領域2322とが隣り合うので、電動モータ30を回転する電流を伝送する、回路基板20の内部の導電層面積を小さくすることができる。これにより、回路基板20を小さくすることができる。
【0124】
以上説明したように、実施形態1に係る電動駆動装置1は、電動モータ30と、電動モータ30を駆動制御するために、シャフト31の反負荷側に設けられたECU10と、ヒートシンク40と、バスバーモジュール70と、コネクタCNTとを備える。ECU10は、シャフト31の反負荷側の端部の磁石32と、シャフト31の反負荷側であって、シャフト31の軸方向(例えば、軸方向Ax)の延長線上に配置された1枚の回路基板20と、を含む。
【0125】
コネクタCNTは、回路基板20に接続されるコネクタ端子CNTPを有し、かつヒートシンク40の内部に軸方向Axに埋め込まれ、ヒートシンク40に固定される。ヒートシンク40は、反負荷側に第1の凹部40P1、第2の凹部40P2及び第3の凹部40P3を有している。コネクタCNTは、軸方向Axに貫通するコネクタCNTの第1の貫通孔CNTP1と、コネクタCNTの第2の貫通孔CNTP2とを有している。回路基板20は、基板本体21と、軸方向Axに貫通する基板本体21の第1の貫通孔21P1と、基板本体21の第2の貫通孔21P2とを有している。第1の凹部40P1と、コネクタCNTの第1の貫通孔CNTP1と、基板本体21の第1の貫通孔21P1とが重畳している。第2の凹部40P2と、基板本体21の第2の貫通孔21P2と、が重畳している。第3の凹部40P3と、コネクタCNTの第2の貫通孔CNTP2とが重畳している。
【0126】
これにより、コネクタCNTには、ワイヤーハーネスのプラグの挿抜により、挿抜方向と交差する軸周りに揺動する力が生じる。プラグによる挿抜の力は、コネクタCNTが固定されるヒートシンク40で受けることになる。その結果、回路基板20とコネクタCNTとの間の接続部にかかる応力が抑制され、電動駆動装置の信頼性が向上する。コネクタCNTは、回路基板20で覆われている。コネクタCNTがヒートシンク40に固定しているので、コネクタCNTの接続端子の位置が回路基板20の挿入孔に合致しないと作業性が低下する可能性がある。これに対して、実施形態1に係る電動駆動装置1は、第1の凹部40P1、第2の凹部40P2及び第3の凹部40P3を基準として、コネクタCNT、ヒートシンク40、回路基板20の位置決めがなされる。その結果、コネクタCNT、ヒートシンク40、回路基板20の位置決め精度が高まり、組み立て精度が高まる。
【0127】
ヒートシンク40は、回路基板20と電動モータ30との間に配置されている。バスバーモジュール70は、第1リード配線73U、73V、73と、第2リード配線74U、74V、74Wと、を有する。第1リード配線73U、73V、73の一端には、それぞれ回路基板20に接続される第1バスバー端子71U、71V、71Wがあり、第1リード配線73U、73V、73の他端が第1コイルグループGr1に接続される。第2リード配線74U、74V、74Wの一端には、回路基板20が接続される複数の第2バスバー端子72U、72V、72Wがあり、第2リード配線74の他端が第2コイルグループGr2に接続される。コネクタCNTは、回路基板20に接続されるコネクタ端子CNTPを有し、かつヒートシンク40の貫通孔CNTHに挿入され、固定されている。回路基板20は、磁石32の回転を検出する回転角度センサ23aを含む検出回路23を有する。回転角度センサ23aは、磁石32の回転を検出する磁気センサである。また、回路基板20は、制御回路24と、第1パワー回路25Aと、第2パワー回路25Bとを有する。第1パワー回路25Aは、第1コイルグループGr1へ電流を供給する回路である。第2パワー回路25Bは、第2コイルグループGr2へ電流を供給する回路である。制御回路24は、第1パワー回路24A及び第2パワー回路25Bの少なくとも1つが供給する電流を制御する回路である。
【0128】
回路基板20において、コネクタ端子CNTPの配置領域2323と、第1パワー回路25Aの実装領域との間には、回路基板20に接続する第1バスバー端子群71の配置領域2321がある。回路基板20において、コネクタ端子CNTPの配置領域2323と、第2パワー回路25Bの実装領域との間には、回路基板20に接続する第2バスバー端子群72の配置領域2322がある。第1バスバー端子群71の配置領域2321と、複数の第2バスバー端子の配置領域2322とが離隔して配置される。
【0129】
これにより、回路基板20に接続される第1バスバー端子群71、第2バスバー端子群72と、コネクタCNTとは、シャフト31に対して同じ方向に配置される。このため、回路基板20の面積が小さくできる。コネクタCNTとシャフト31との間には第1バスバー端子群71、第2バスバー端子群72が配置される。第1バスバー端子群71の配置領域2321と、第2バスバー端子群72の配置領域2322とが離隔して配置されるので、コネクタCNTから電源管理回路27へ接続する接続配線PWCが、第1バスバー端子群71の配置領域2322と、第2バスバー端子群72の配置領域2322との間に配置される。その結果、回路基板20の面積を抑制しつつ、コネクタCNTから電源管理回路27へ接続する接続配線PWCが短くできるので、電動駆動装置1の信頼性が向上する。
【0130】
また、電動パワーステアリング装置100は、上述の電動駆動装置1を備え、電動駆動装置1が補助操舵トルクを生じさせる。これにより、電動モータ30のシャフト31に平行な軸方向Ax及びシャフト31の径方向の大きさが抑制され、電動パワーステアリング装置100の配置の自由度が向上する。
【0131】
(実施形態2)
図23は、実施形態2に係るヒートシンクに回路基板を取り付けた状態を説明する斜視図である。なお、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0132】
図23に示すように、実施形態2では、位置決めピンP1及び位置決めピンP2は、基板本体21がボルトBTでヒートシンク40に固定後、引き抜かれない。位置決めピンP1は、凹部40P1に締まりばめで固定される。位置決めピンP2は、凹部40P2に締まりばめで固定される。第1の位置決めピンP1は、基板本体21の第1の貫通孔21P1と、コネクタCNTの第1の貫通孔CNTP1と、を貫通し、第1の凹部40P1に嵌まっている。第2の位置決めピンP2は、基板本体21の第2の貫通孔21P2を貫通し、第2の凹部40P2に嵌まっている。これにより、回路基板20をヒートシンク40に締結する際のずれをより抑制することができる。
【0133】
位置決めピンP1及び位置決めピンP2は、ヒートシンク40に固定された状態で、基板本体21から突出し、かつ支持柱451よりも反負荷側に端部がある程度の長さである。これにより、位置決めピンP1及び位置決めピンP2は、ヒートシンク40に蓋体50を取り付ける際の障害にならない。
【0134】
実施形態2の基板本体21には、軸方向Axに貫通する貫通孔21P1、貫通孔21P2及び貫通孔21P3が設けられる。第3の貫通孔21P3は、円形である。第3の貫通孔21P3は、凹部40P3と、コネクタCNTの貫通孔CNTP2とに重畳している。第3の貫通孔21P3を軸方向にみると、貫通孔CNTP2を通して、凹部40P3の底が確認できる。これにより、凹部40P3と、貫通孔CNTP2との重なり合いからヒートシンクに対するコネクタCNTの組み立て精度を外部から目視で検査できる。
【0135】
(実施形態3)
図24は、実施形態3に係る回路基板を軸方向にみた平面図である。なお、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0136】
図24に示すように、貫通孔21P2は、基板本体21の縁まで達している、切り欠きである。基板本体21の貫通孔21P1を基準として、基板本体21の貫通孔21P2を位置決めピンに取り付けやすくなり、組み立てが容易になる。
【0137】
(実施形態4)
図25は、実施形態4に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。なお、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0138】
図25に示すように、電動パワーステアリング装置100Aは、ラックパラレル方式である。電動モータ30のシャフト31は、動力伝達機構173に接続される。動力伝達機構173は、プーリー176及びベルト177を有している。ベルト177の回転は、ボールねじ装置178のナットを回転させる。これにより、電動モータ30のシャフト31の回転に基づいて、ラックシャフト199Cにアシスト力が付与される。
【0139】
(実施形態5)
図26は、実施形態5に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。なお、上述した実施形態1から実施形態4で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図26に示す電動パワーステアリング装置100Bは、第1ピニオンシャフト199Aに補助操舵トルクを与えるピニオンアシスト方式である。電動パワーステアリング装置100Bにおいて、トルクセンサ194は、第1ピニオンシャフト199Aに連結される。
【0140】
電動モータ30は、ウォームシャフトの減速装置175を回転させる。減速装置175のウォームホイールは、第1ピニオンシャフト199Aと一体で回転する。このため、電動モータ30が第1ピニオンギヤ199Bを回転できる。第1ピニオンギヤ199Bは、第1ラック199Dと噛み合う。その結果、電動駆動装置1が減速装置175を介して、第1ラック199Dにアシスト力を付与する。なお、第1ピニオンギヤ199Bは、第1ラック199Dに対し、直交配置であってもよく、直交からずれた斜交配置であってもよい。以上説明したように、実施形態5の電動パワーステアリング装置100Bは、シングルピニオンアシスト方式である。
【0141】
(実施形態6)
図27は、実施形態6に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。なお、上述した実施形態1から実施形態5で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。電動パワーステアリング装置100Cは、第1ピニオンシャフト199A及び第1ピニオンギヤ199Bに加え、出力軸192B及び第2ピニオンギヤ171Bを備える。電動パワーステアリング装置100Cは、デュアルピニオンアシスト方式である。トルクセンサ194は、ピニオンシャフト195と第1ピニオンギヤ199Bとの間のトルクを検出する。
【0142】
電動モータ30は、ウォームシャフトの減速装置175を回転させる。減速装置175のウォームホイールは、出力軸192Bと一体で回転する。このため、電動モータ30が第2ピニオンギヤ171Bを回転できる。第2ピニオンギヤ171Bは、第2ラック171Cと噛み合う。その結果、電動駆動装置1が減速装置175を介して、第2ラック171Cにアシスト力を付与する。なお、第2ピニオンギヤ171Bは、第2ラック171Cに対し、直交配置であってもよく、直交からずれた斜交配置であってもよい。実施形態6の電動パワーステアリング装置100Cは、デュアルピニオンアシスト方式である。
【符号の説明】
【0143】
1 電動駆動装置
10 ECU
20 回路基板
23 検出回路
23a 回転角度センサ
23b モータ回転数演算部
24 制御回路
24A 第1パワー回路
25A 第1パワー回路
25B 第2パワー回路
27 電源管理回路
30 電動モータ
31 シャフト
32 磁石
37 第1コイル
38 第2コイル
39 鍔部
40 ヒートシンク
41 第1面
41H 中空部
42 第2面
43 第3面
44 第4面
45 第5面
46 第6面
50 蓋体
70 バスバーモジュール
70M モールド樹脂
70R 筒部
70S 支持部
70T 接続端子
71 第1バスバー端子群
71H 貫通孔
71U、71V、71W 第1バスバー端子
72 第2バスバー端子群
72H 貫通孔
72U、72V、72W 第2バスバー端子
73U、73V、73W 第1リード配線
73UF、73VF、73WF 第1引き出し部
74U、74V、74W 第2リード配線
74UF、74VF、74WF 第2引き出し部
90 ノイズフィルタ回路
91 チョークコイル
92 コンデンサ
100、100A、100B、100C 電動パワーステアリング装置
241 制御演算部
253 コンデンサ
255 電流遮断回路
2321 第1端子群の配置領域
2322 第2端子群の配置領域
2323 コネクタ端子の配置領域
CNT コネクタ
CNTH 貫通孔
CNTP コネクタ端子
Gr1 第1コイルグループ
Gr2 第2コイルグループ
PW 配線
PWS 接続配線
SV 車速信号
T 操舵トルク信号
TSV 接続配線