IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミヤナガの特許一覧

特開2024-70677穿孔システムの液体供給機構及び穿孔システム
<>
  • 特開-穿孔システムの液体供給機構及び穿孔システム 図1
  • 特開-穿孔システムの液体供給機構及び穿孔システム 図2
  • 特開-穿孔システムの液体供給機構及び穿孔システム 図3
  • 特開-穿孔システムの液体供給機構及び穿孔システム 図4A
  • 特開-穿孔システムの液体供給機構及び穿孔システム 図4B
  • 特開-穿孔システムの液体供給機構及び穿孔システム 図5
  • 特開-穿孔システムの液体供給機構及び穿孔システム 図6
  • 特開-穿孔システムの液体供給機構及び穿孔システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070677
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】穿孔システムの液体供給機構及び穿孔システム
(51)【国際特許分類】
   B28D 7/02 20060101AFI20240516BHJP
   B28D 1/14 20060101ALI20240516BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20240516BHJP
   B23B 47/00 20060101ALI20240516BHJP
   B23B 51/06 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
B28D7/02
B28D1/14
B23Q11/10 E
B23B47/00 B
B23B51/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181306
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000137845
【氏名又は名称】株式会社ミヤナガ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮永 淳
【テーマコード(参考)】
3C011
3C036
3C037
3C069
【Fターム(参考)】
3C011EE03
3C011EE09
3C036LL05
3C037DD06
3C069AA04
3C069BA09
3C069BB01
3C069BB03
3C069BC04
3C069CA07
3C069CA12
3C069DA06
3C069EA03
(57)【要約】
【課題】 液体供給流路の破損を防止することができる穿孔システムの液体供給機構を提供する。
【解決手段】 ビット7への液体の供給及び停止を行う穿孔システム1の液体供給機構10であって、回転工具3に接続される接続部12と、接続部12の前方に設けられたシャンク27を保持するビット保持部16とを有する回転部11と、前記液体供給装置31から圧送された前記液体が通る流路であって、前記ビット保持部16に保持した前記ビット7の前記ビット内流路9に下流側端部が連なる第1流路61と、前記第1流路61の途中から分岐して延びるように上流側端部が前記第1流路61に連なる第2流路62と、第2流路62を通った液体が吐出される吐出口13bと、第1流路61を開放し且つ第2流路62を閉塞する状態と第1流路61を閉塞し且つ第2流路62を開放する状態との切り替えを行う切替弁28と、を有する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンクと切削部と液体を圧送する液体供給装置から圧送された液体が通る流路であって前記シャンクの内部を通って前記切削部に至るビット内流路を有するビットへの前記液体の供給及び停止を行う穿孔システムの液体供給機構であって、
回転工具に接続される接続部と、前記接続部の前方に設けられた前記シャンクを保持するビット保持部とを有する回転部と、
前記液体供給装置から圧送された前記液体が通る流路であって、前記ビット保持部に保持した前記ビットの前記ビット内流路に下流側端部が連なる第1流路と、
前記第1流路の途中から分岐して延びるように上流側端部が前記第1流路に連なる第2流路と、
前記第2流路を通った液体が吐出される吐出口と、
前記第1流路を開放し且つ前記第2流路を閉塞する状態と前記第1流路を閉塞し且つ前記第2流路を開放する状態との切り替えを行う切替弁と、を有する穿孔システムの液体供給機構。
【請求項2】
前記ビット保持部は、保持する前記ビットの前後方向への移動を許容し、
前記切替弁は、前記第1流路から前記第2流路が分岐する分岐部に設けられ、前記分岐部において第1位置と前記第1位置の後方の第2位置との間で移動可能であり、前記第1位置において前記第1流路を閉塞し且つ前記第2流路を開放し、前記第2位置において前記第1流路を開放し且つ前記第2流路を閉塞し、
前記ビットが後方に移動すると、前記切替弁が前記第1位置から前記第2位置に向かって移動するように連動する、請求項1に記載の穿孔システムの液体供給機構。
【請求項3】
前記ビットと連動して前後方向に移動するスライド部材を更に有し、
前記切替弁は、前記スライド部材が後方に移動すると、前記スライド部材と当接し、前記スライド部材と連動して前記第1位置から前記第2位置に向かって移動する、請求項2に記載の穿孔システムの液体供給機構。
【請求項4】
前記切替弁を前記第2位置から前記第1位置に向かって付勢する切替弁付勢部と、
前記ビットを前方に向かって付勢する、ビット付勢部と、を有する、請求項2又は3に記載の穿孔システムの液体供給機構。
【請求項5】
請求項1に記載の前記液体供給機構と、
前記ビットの前記切削部で穿孔する被穿孔体の穿孔部分を覆う遮蔽部であって、被穿孔体に宛がわれる前面と、前記ビットが挿通され、前記切削部を前後方向に案内する案内部とを有する、遮蔽部と、
上流側端部が前記遮蔽部で遮蔽した空間に接続されている液体回収流路と、
上流側端部が前記液体供給機構の前記吐出口に接続され、下流側端部が前記液体回収流路に合流するように接続されている、中継流路と、を備える、穿孔システム。
【請求項6】
前記液体供給装置は、チューブポンプである、請求項5に記載の穿孔システム。
【請求項7】
液体を貯留する液体容器と、
上流側端部が前記液体容器に接続され、下流側端部が前記第1流路に接続されている液体供給流路と、
前記液体供給流路の液体を圧送する前記液体供給装置と、を更に備え、
前記液体回収流路の下流側端部は前記液体容器に接続されている請求項5に記載の穿孔システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿孔システムの液体供給機構及び穿孔システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から穿孔システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この穿孔システムは、作業時にチューブポンプが穿孔装置の液体供給機構を介して刃先部へ水を強制的に供給する。これにより、穿孔時における刃先部と被穿孔体との間の摩擦の緩和、発熱を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022―31082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の穿孔システムは、刃先への水の供給を停止した状態においては、水の供給流路の内圧が上昇し、これにより、供給流路の破損、液体供給流路と液体供給機構との接続部からの液体の漏れを生じさせるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のある態様に係る穿孔システムの液体供給機構は、シャンクと切削部と液体を圧送する液体供給装置から圧送された液体が通る流路であって前記シャンクの内部を通って前記切削部に至るビット内流路を有するビットへの前記液体の供給及び停止を行う穿孔システムの液体供給機構であって、回転工具に接続される接続部と、前記接続部の前方に設けられた前記シャンクを保持するビット保持部とを有する回転部と、前記液体供給装置から圧送された前記液体が通る流路であって、前記ビット保持部に保持した前記ビットの前記ビット内流路に下流側端部が連なる第1流路と、前記第1流路の途中から分岐して延びるように上流側端部が前記第1流路に連なる第2流路と、前記第2流路を通った液体が吐出される吐出口と、前記第1流路を開放し且つ前記第2流路を閉塞する状態と前記第1流路を閉塞し且つ前記第2流路を開放する状態との切り替えを行う切替弁と、を有する。
【0007】
この構成によれば、ビットへの液体の供給を停止した状態においては、第2流路を介して吐出口から液体が吐出されるので、液体供給装置から第1流路に至る液体供給流路の内圧の上昇を抑制できる。これにより、液体供給流路の破損、液体供給流路と第1流路との接続部からの液体の漏れを防止することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、液体供給流路の破損を防止するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る穿孔システムの全体構成例を示す概略図である。
図2図2は、図1に示す穿孔システムのチューブポンプの構成例を示す平面図である。
図3図3は、図1に示す穿孔システムの液体供給機構を示す概略断面図である。
図4A図4Aは、図1に示す穿孔システムの遮蔽部を示す図面であり、穿孔装置の方向から見た概略図である。
図4B図4Bは、図1に示す穿孔システムの遮蔽部を示す図面であり、中央縦断面図である。
図5図5は、図4に示す遮蔽部を被穿孔体に向けて付勢する付勢機構の平面視における概略図である。
図6図6は、図3に示す液体供給機構の作業時における動作を示す図面であり、作業前の概略断面図である。
図7図7は、図3に示す液体供給機構の作業時における動作を示す図面であり、作業時の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、穿孔装置2に取り付けられたビット7の切削部8で被穿孔体100(例えば、コンクリート壁、磁器タイル壁など)に所定深さの孔を形成する穿孔システム1を例に説明する。また、液体として水Lを例に説明する。穿孔システム1は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を損なわない範囲で種々の構成を変更してもよい。なお、この明細書及び特許請求の範囲の書類中における前後方向の概念は、図1に示す穿孔装置2に対して切削部8の方向を前方とする前後方向の概念と一致するものとする。
【0011】
(穿孔システム)
図1は、実施形態に係る穿孔システム1の全体構成例を示す概略図である。この実施形態に係る穿孔システム1は、穿孔作業を行うための穿孔装置2と、この穿孔装置2に取り付けられたビット7(切削具)の切削部8で穿孔する被穿孔体100の穿孔部分101を覆う遮蔽部50と、ビット7の切削部8に供給する水Lを循環させるための液体循環システム65と、を備える。遮蔽部50は、穿孔装置2に設けられた図5に示す付勢機構20によって前方へ付勢されている。
【0012】
穿孔装置2は、回転工具3と、回転工具3に取り付けられる液体供給機構10と、液体供給機構10に取り付けられるビット7と、を備える。回転工具3は、例えば電動ドリルであり、工具本体4と、工具本体4を駆動する操作部5と、工具本体4の先端に設けられ、液体供給機構10の接続部12を把持するための把持機構6と、を有する。ビット7は、シャンク27と、シャンク27の先端に設けられている切削部8と、シャンク27の内部を通って切削部8に至る貫通孔を有する。この貫通孔がビット内流路9を成す。液体供給機構10は、中央部分にビット7の基部を把持して回転する回転部11があり、その周囲に回転部11を回動可能に支持する支持部13を備えている。液体供給機構10の詳細は、後述する。
【0013】
穿孔装置2は、工具本体4内に設けられたモータ(図示せず)の回転によって把持機構6を回転させ、液体供給機構10の回転部11を介してビット7を回転させる。回転するビット7の切削部8が、被穿孔体100に押し当てられることで、穿孔作業が行われる。この穿孔作業時に、液体供給機構10からビット7の切削部8に水Lが供給される。切削部8から被穿孔体100との間に水Lを供給することで、穿孔時における切削部8と被穿孔体100との間の摩擦を緩和することができ、更に発熱を抑制することができる。
【0014】
(液体循環システム)
図2は、図1に示すチューブポンプ32,36の平面図である。図1,2に示すように、この実施形態に係る液体循環システム65は、液体容器40内の水Lを循環させる流路を備える。この流路は、液体容器40内の水Lを液体供給機構10に供給する液体供給流路33と、穿孔部分101を切削した粉塵C(被穿孔体100を穿孔することで生じる屑を含む)が水Lに混ざった懸濁液Sを液体容器40に回収する液体回収流路37とを有する。液体供給流路33は、上流側端部が水Lを貯留するための液体容器40に接続され、下流側端部が液体供給機構10に接続されている。液体回収流路37は、上流側端部が遮蔽部50で遮蔽した空間に接続され、下流側端部が液体容器40に接続されている。液体供給流路33の下流側端部と液体回収流路37の上流側端部は、並列に設けられた2つの流路を介して接続されている。一方の流路は、液体供給機構10、ビット7及び遮蔽部50で遮蔽した空間をこの順に通る流路であり、他方の流路は、液体供給機構10及び中継流路34をこの順に通る流路である。そして、液体循環システム65は、水Lを液体供給機構10に圧送する液体供給装置31及び懸濁液Sを液体容器40へ圧送する液体回収装置35も備えている。液体容器40は、例えば、4~5リットル程度の水Lを貯留できる内部容器41を有している。液体容器40は、液体回収装置35で回収した懸濁液Sから、被穿孔体100の大きな粉塵Cを分離し、液体供給機構10に送られる水Lを再生するための分離装置45を内部に備えている。
【0015】
(液体供給装置と液体回収装置)
図1,2に示すように、液体供給装置31は第1チューブポンプ32と、液体容器40と第1チューブポンプ32とを接続する管33aと、第1チューブポンプ32と液体供給機構10とを接続する管33bと、を有している。また、液体回収装置35は、第2チューブポンプ36と、遮蔽部50で遮蔽した空間と第2チューブポンプ36とを接続する管37aと、第2チューブポンプ36と液体容器40とを接続する管37bと、を有している。この実施形態に係る第1チューブポンプ32及び第2チューブポンプ36は、一体となった2連式チューブポンプとなっている。この実施形態の2連式チューブポンプは、水Lの供給側と懸濁液Sの回収側とが同一の駆動軸39で駆動される構成となっている。2連式チューブポンプは、公知の構造のものを利用できる。なお、第1チューブポンプ32及び第2チューブポンプ36は、それぞれ別々な構成でもよく、他の公知のものを用いてもよい。
【0016】
第1チューブポンプ32及び第2チューブポンプ36は、駆動軸39で回転させるローラ(図示省略)がチューブポンプ内のチューブを所定位置で押し潰すように圧縮する。その後、ローラが圧縮位置を下流側に移動させるように移動することでチューブ内の液体を下流側に向って押し遣る。これによって、チューブポンプ32、36は、圧縮位置よりも下流側のチューブ内の液体を下流側に圧送する。また、これにより、圧縮位置よりも上流側においては真空状態が発生し、チューブ内に液体が引き込まれる。このように、第1チューブポンプ32及び第2チューブポンプ36は、チューブのみが液体と接触するため、粉塵Cが混ざった懸濁液Sであっても適切に送ることができる。第1チューブポンプ32は、例えば、1分間に100~150ミリリットル程度の水Lを穿孔装置2の液体供給機構10に供給できるものを利用できる。
【0017】
(分離装置)
この実施形態に係る分離装置45は、液体容器40内の内部容器41に貯留された水Lに浮かべられている。分離装置45は、懸濁液Sの少なくとも液面付近で浮力を生じるフロート46と、懸濁液S内でフロート46と一体的に移動可能であり、懸濁液Sから大きな粉塵Cを分離するためのストレーナ47と、を有する。分離装置45は、液体供給流路33の管33aの上流側の端部に取り付けられている。分離装置45により、液体容器40内に貯留された懸濁液Sから自重で粉塵Cなどが沈降した水Lの上部から、ストレーナ47を介して大きな粉塵C(液体供給機構10を通過できない大きさの粉塵C;例えば、約1mm程度)を取り除いた水Lを吸い上げるようにしている。
【0018】
分離装置45は、液体容器40の内部容器41内に、粉塵Cを分離するためのフィルタを設けたものでもよい。分離装置45は、液体容器40から穿孔装置2の切削部8に供給する水Lに大きな粉塵Cが混ざらなければ設けなくてもよい。分離装置45は、これらの構成に限定されるものではない。
【0019】
(液体供給機構)
図3は、図1に示す穿孔システム1における液体供給機構10を示す概略断面図である。液体供給機構10は、流路を切り替えることにより、ビット7への液体の供給及び停止を行う。図3に示すように、この実施形態の液体供給機構10は、回転工具3の把持機構6に把持される接続部12を有する回転部11と、回転部11の周囲に設けられた支持部13と、を有している。
【0020】
支持部13は、筒状体であり、回転部11との間に設けられた軸受14を介して回転部11を支持する。よって、支持部13は、軸受14によって回転しない状態を保つことができる。支持部13は、内周面と外周面とを接続する供給口13a及び吐出口13bを有する。吐出口13bは、供給口13aの後方に設けられている。図1に示すように、供給口13aには液体供給流路33の下流側の端部が接続され、吐出口13bには中継流路34の上流側の端部が接続されている。
【0021】
図3に示すように、回転部11は、前後方向に延びる略円柱状に形成されている。回転部11には、回転部11の前端から後方に向かって延びる穴49が形成されている。穴49は、回転部11の回転軸上に延びる有底の深い穴である。穴49は、前側部分が後ろ側部分よりも内径が大きく形成され、前側部分と後ろ側部分との間には段差49aが形成されている。
【0022】
更に、回転部11には、回転部11の外周面と穴49の後ろ側部分の内周面とを接続する貫通孔である流入孔11c及び流出孔11dが形成されている。流入孔11cは、前後方向において、供給口13aが位置する位置に形成されている。また、流出孔11dは、前後方向において、吐出口13bが位置する位置に形成されている。流入孔11cの前方、流入孔11cと流出孔11dとの間、及び流出孔11dの後方には、それぞれ支持部13と回転部11との隙間をシールするシール部材42が設けられている。シール部材42は環状体である。よって、流入孔11c及び供給口13aの間の空間、及び流出孔11d及び吐出口13bの間の空間は、互いに独立した空間となっている。そして、流入孔11c及び供給口13aの間の空間を介して、流入孔11cは供給口13aと連通している。また、流出孔11d及び吐出口13bの間の空間を介して、流出孔11dは吐出口13bと連通している。
【0023】
穴49の前側部分は、ビット7のシャンク27が嵌められる部分であり、シャンク27を保持するビット保持部16が設けられている。したがって、ビット保持部16は、接続部12の前方に設けられている。ビット保持部16は、係止球16aがシャンク27の外周面に形成されている長溝27aに落ち込んだ状態を維持することにより、シャンク27を回転部11に係止する機構である。また、ビット保持部16は、長溝27aに落ち込んだ係止球16aが長溝27aから浮き上がることを許容することで、シャンク27の回転部11への係止を解除する機構である。シャンク27の回転部11への係止を解除することにより、ビット7を取り外すことができる。長溝27aは前後方向に延びる溝であり、シャンク27を回転部11に係止した状態において、穴49の前側部分に案内されシャンク27を前後方向に所定量動かすことができる。このとき、係止球16aは、長溝27a上を移動する。このように、ビット保持部16は、保持するビット7の前後方向への移動を許容する。シャンク27を保持する機構は、公知の技術を用いることができる。また、穴49とシャンク27の隙間は、シール部材19によってシールされ、水Lが漏れないようになっている。シール部材19は、孔を有する環状体であり、例えばOリングである。
【0024】
穴49のシャンク27が挿入される部分の後方には、スライド部材17が設けられている。スライド部材17は、前後方向に延びる柱状体であり、前側部分は、後ろ側部分よりも太く形成されている。スライド部材17の前側部分の前端がシャンク27の後端と当接する。スライド部材17は、穴49の前側部分に案内され、前後方向に移動可能となっている。スライド部材17は、穴49に設けられたビット付勢部38によって前方に付勢され、ビット7を前方に付勢する。ビット付勢部38は、例えばスプリングであり、段差49aとスライド部材17との間に介在する。ビット7を後方に移動させ、回転部11に押し込むと、スライド部材17はビット7と連動し、ビット付勢部38の付勢力に抗して後方に移動する。スライド部材17が後方に移動すると、穴49の段差49aにスライド部材17が当接し、スライド部材17の後方への移動が規制される。
【0025】
そして、スライド部材17の後ろ側部分は、穴49の後ろ側部分に挿入されている。また、穴49の後ろ側部分には、シール部材15が設けられている。シール部材15は、中央部に孔が形成されている環状体であり、例えばOリングである。シール部材15は、スライド部材17を後方に移動させたときに、スライド部材17の後端部が差し込まれる位置に取り付けられている。スライド部材17の後端部は、Oリングの内径よりも小さく、Oリングに差し込まれた状態において、Oリンクとの間に隙間ができるようになっている。前後方向において、シール部材15とスライド部材17との間の穴49の第2空間11bは、例えば、スライド部材17の前側部分を前後に貫通する貫通孔17aを介して、ビット内流路9と連続している。
【0026】
穴49のスライド部材17及びシール部材15の後方には、切替弁28が設けられている。切替弁28は、穴49に案内され、図6に示す第1位置P1と、図7に示す第1位置P1の後方の第2位置P2との間で移動可能となっている。切替弁28は、切替弁付勢部18によって第2位置P2から第1位置P1に向けて前方に付勢されている。切替弁付勢部18は、例えばスプリングであり、切替弁28の後方であって、穴49の後端部に設けられている。
【0027】
切替弁28は、鋼球である封止球29と、封止球29の後方に位置する弁体30とを含む。なお、切替弁28の封止球29及び弁体30は、一体であってもよい。封止球29は、径がシール部材15の内径よりも大きく形成されている。
【0028】
図6に示す初期状態において、封止球29は、切替弁付勢部18の付勢力によりシール部材15の孔を閉鎖するようにシール部材15に付勢された状態で当接している。当該状態においては、封止球29がシール部材15に当接して、穴49のシール部材15よりも後ろ側の第1空間11aと前側の第2空間11bとの間は閉鎖された状態となる。したがって初期状態では、液体供給流路33から供給口13aに供給された水Lは、第1空間11aから第2空間11bへ流れない。
【0029】
一方、スライド部材17によって切替弁28が第1位置P1から第2位置P2に向けて押圧されると、図7に示すように、スライド部材17の後端が封止球29に当接し、切替弁28を切替弁付勢部18の付勢力に抗して所定量の範囲で後方に移動させる。この状態では、封止球29がシール部材15から離れて、隙間が形成され、第1空間11aと第2空間11bとの間が連通した状態となる。
【0030】
弁体30は、前後方向に延びる柱状体である。弁体30は、穴49の後ろ側部分に案内され、摺動可能となっている。弁体30には、弁体30の後端から前方に向かって延びる穴30aが形成されている。また、穴30aの内周面と弁体30の外周面とを接続する流入孔30bが形成されている。弁体30が第1位置P1に位置する状態では、流入孔30bは回転部11の流入孔11cと連通し、その一方で、第1空間11aと流入孔11cとの間は弁体30によって閉鎖された状態となる。また、弁体30が第2位置P2に位置する状態では、流入孔30bは穴49の内周面によって閉鎖された状態となり、その一方で、第1空間11aと流入孔11cとは連通した状態となる。このように、弁体30が前後に移動することにより、流入孔11cが連通する空間を第1空間11aと流入孔30bとの間で切り替えることができる。
【0031】
液体供給機構10において、上流側から下流側に向かって、供給口13a、流入孔11c、第1空間11a、第2空間11b、及び貫通孔17aの順に並ぶ流路が第1流路61を成す。第1流路61には液体供給流路33の下流側端部が接続されている。第1流路61は、液体供給装置31から圧送された液体が通る流路であって、ビット保持部16に保持したビット7のビット内流路9に下流側端部が連なる。また、液体供給機構10において、上流側から下流側に向かって、流入孔30b、穴30a、流出孔11d、及び吐出口13bがの順に並ぶ流路が第2流路62を成す。流入孔30bは第1流路61の供給口13aに連通し、第2流路62は、第1流路61の途中から分岐して延びるように上流側端部が第1流路61に連なる。そして、切替弁28は、第1流路61から第2流路62が分岐する分岐部63に設けられている。
【0032】
よって、第1位置P1に位置する切替弁28は、分岐部63において、弁体30が第1空間11aと流入孔11cとの間を閉鎖し、封止球29が第1空間11aと前側の第2空間11bとの間を閉鎖し、第1流路61を閉塞する。更に、第1位置P1に位置する切替弁28は、分岐部63において、流入孔30bが回転部11の流入孔11cと連通することにより第2流路62を開放する。この状態において、供給口13aに送り込まれた水Lは、第2流路62を通って吐出口13bから吐出される。
【0033】
また、第2位置P2に位置する切替弁28は、分岐部63において、弁体30が第1空間11aと流入孔11cとの間を開放し、封止球29がシール部材15から離れて、隙間が形成され、第1流路61を開放する。更に、第2位置P2に位置する切替弁28は、分岐部63において、流入孔30bは穴49の内周面によって閉鎖された状態となり、第2流路62を閉塞する。この状態において、供給口13aに流入した水Lは、第1流路61を通って、スライド部材17の貫通孔17aからビット内流路9に流入する。このように、切替弁28は、第1流路61を開放し且つ第2流路62を閉塞する状態と第1流路61を閉塞し且つ第2流路62を開放する状態との切り替えを行う。
【0034】
(遮蔽部)
図4Aは、図1に示す穿孔システム1の遮蔽部50を示す図面であり、穿孔装置2の方向から見た概略図である。 図4Bは、図1に示す穿孔システム1の遮蔽部50を示す図面であり、中央縦断面図である。この実施形態の遮蔽部50は、本体部51が横長に形成され、その両端部に連結部52が設けられている。連結部52には、図5に示す付勢機構20のスライド部25が連結される。本体部51の中央部分には、ビット7の前部が挿通され、ビット7の切削部8を前後方向に案内する案内部材53が設けられている。案内部材53には、中央部分にビット7の挿通孔54が設けられ、前方部分には空間部55が設けられている。案内部材53と本体部51との間にはシール部材56が設けられており、これらの間から懸濁液Sが漏れるのを防止している。シール部材56は、Oリングを用いることができる。
【0035】
また、遮蔽部50の前面を成す本体部51の前面51aには、被穿孔体100に宛てがわれ、被穿孔体100と接するシール部材58が設けられている。シール部材58は、空間部55の周囲をシールすると共に、穿孔部分101の周囲をシールするように設けられている。シール部材58は、スポンジ材、ゴム材などを用いることができる。
【0036】
また、本体部51の下部には、空間部55から外部に通じる回収穴57が設けられている。回収穴57には、継手70が接続されている。継手70は、三つ又の継手であり、回収穴57と、中継流路34の下流側端部と、液体回収流路37の上流側端部と、を互いに接続する。これによって、空間部55の懸濁液Sは、回収穴57から継手70を介して液体回収流路37へと回収される。また、中継流路34の下流側端部は、液体回収流路37に合流し、中継流路34を流れる水Lは、継手70を介して液体回収流路37へと回収される。
【0037】
(付勢機構)
図5は、図4A及び図4Bに示す遮蔽部50を被穿孔体100に向けて付勢する付勢機構20の平面視における概略図である。図5は、半断面図で示している。この実施形態の付勢機構20は、穿孔装置2の液体供給機構10に取り付けられる本体部21を有している。本体部21は、液体供給機構10の支持部13に固定されている。
【0038】
本体部21には、液体供給機構10の左右位置に、前後方向に延びる2本のガイド部23と、ガイド部23に沿って前後方向にスライドするスライド部25と、が設けられている。ガイド部23は、本体部21の穴部に挿入され、左右位置の2箇所を固定ボルト22で固定することによって本体部21に固定されている。スライド部25は、ガイド部23の内部に設けられた付勢スプリング24(付勢部)によって、前方に向けて付勢されている。スライド部25は、ガイド部23の端部に設けられた保持部26(段部)により、図示する所定位置で前方へのスライドが止まって保持されている。スライド部25は、図示する状態から付勢スプリング24の付勢力に抗して後方へスライド可能となっている。
【0039】
スライド部25の先端には、遮蔽部50が固定されている。これにより、遮蔽部50は、初期位置から付勢スプリング24の付勢力に抗してスライド部25と一体的に後方へ移動可能となっている。
【0040】
(穿孔作業の一例)
図6は、穿孔作業時における穿孔装置2の動作を示す図面であり、作業前の概略断面図である。図7は、穿孔作業時における穿孔装置2の動作を示す図面であり、作業時の概略断面図である。図1図6及び図7に基づいて、上記穿孔システム1を用いて被穿孔体100に対して穿孔作業を行う一例について説明する。
【0041】
まず、作業者は、図1に示すように、穿孔システム1の構成を接続する。そして、作業者は、チューブポンプ32,36のスイッチを入れて稼働させ、穿孔装置2の切削部8を被穿孔体100の穿孔部分101に配置する。この初期状態において、ビット7は、ビット付勢部38によって前方に付勢され、切替弁28は、切替弁付勢部18によって第1位置P1に位置し、分岐部63において第1流路61が閉塞され第2流路62が開放された状態となっている。そして、液体供給装置31の第1チューブポンプ32は、液体容器40から水Lを穿孔装置2の液体供給機構10へ供給し、水Lは、第1流路61から分岐する第2流路62を通る。そして、水Lは、更に、中継流路34を通って、液体回収流路37に流入する。そして、水Lは、液体回収装置35の第2チューブポンプ36によって液体容器40へと強制的に回収される。
【0042】
これによって、液体供給機構10がビット7への液体の供給を停止した状態において、第1チューブポンプ32から圧送される水Lは、第2流路62を介して吐出口13bから液体が吐出される。よって、液体供給流路33の内圧の上昇を抑制することができる。これにより、液体供給流路33の破損、液体供給流路33と第1流路61との接続部からの液体の漏れを防止することができる。
【0043】
次に、作業者は、穿孔装置2に設けられた遮蔽部50のシール部材58を、被穿孔体100の穿孔部分101に当てる。そして、作業者は、図7に示すように、工具本体4に設けられた操作部5を操作してビット7を回転させつつ、ビット7の切削部8を被穿孔体100に向けて押し付ける。これにより、遮蔽部50は、付勢機構20によって被穿孔体100に適切な力で押し当てられた状態となる。また、ビット7の切削部8が被穿孔体100に押し当てられることで、ビット7と連動してスライド部材17が切替弁付勢部18の付勢力に抗して後方に移動すると、切替弁28は、スライド部材17と当接し、スライド部材17と連動して第1位置P1から第2位置P2に向かって移動する。これによって、第1流路61が開放された状態となり、液体供給機構10に供給された水Lがビット7のビット内流路9を介して切削部8から穿孔部分101(図1)へと供給される。よって、ビット7の切削部8で被穿孔体100を穿孔するときには、液体供給装置31から液体供給機構10に供給された水Lが、ビット7の切削部8から穿孔部分101に供給される。そして、遮蔽部50の空間部55における懸濁液Sは、液体回収装置35の第2チューブポンプ36によって液体回収流路37を介して液体容器40へと圧送される。
【0044】
このように、ビット7を回転させて切削部8を前方の被穿孔体100に押し付けることで、被穿孔体100の穿孔部分101が切削部8によって穿孔される。そして、この穿孔作業時には、第1チューブポンプ32によって液体容器40の水Lが穿孔装置2の切削部8から穿孔部分101へ強制的に供給される。そして、切削部8で切削した被穿孔体100の粉塵Cが混ざった懸濁液Sが遮蔽部50から液体回収流路37の管37a及び液体回収流路37の管37bを介して液体容器40へ回収される。
【0045】
また、液体回収装置35で回収して液体容器40に貯留した懸濁液Sは、大きな粉塵Cは沈降し、液体容器40の上部でストレーナ47によって粉塵Cが取り除かれた水Lが液体供給流路33を介して再び切削部8へ供給される。つまり、液体容器40に貯留された懸濁液Sから穿孔装置2に取り付けられたビット7の切削部8へ供給する水Lを、懸濁液Sの中でも粉塵Cが少ない液面及びその近傍部分から分離装置45のストレーナ47を介して得られた水Lとすることで、穿孔装置2の切削部8へは粉塵Cの混入が少ない水Lを循環させている。しかも、水Lの循環にチューブポンプ32,36を用いているため、水Lに多少の粉塵Cが混入していたとしても適切に循環させることができる。このように、作業開始前、ビット7を被穿孔体100に押し付けていない状態において、液体供給装置31から圧送された水Lは、第2流路62及び中継流路34を通って循環する。
【0046】
このように、切削部8を被穿孔体100に押し当てることにより、ビット7と共にスライド部材17及び切替弁28が第1位置P1から第2位置P2に移動して第1流路61を開放することができる。よって、穿孔作業に連動してビット7の切削部8へ液体を供給することができる。
【0047】
更に、切削部8を被穿孔体100から離すと、ビット付勢部38及び切替弁付勢部18の付勢力により、ビット7が前方に移動し、切替弁28が第2位置P2から第1位置P1に移動する。これにより、第1流路61が閉塞され、第2流路62が開放される。よって、穿孔作業の終了時にビット7の切削部8への液体の供給を遮断することができ、切削部8からの液垂れを抑制することができる。
【0048】
よって、上記した穿孔システム1によれば、液体循環システム65により、水Lの切削部8への適切な供給と、懸濁液Sの強制的な回収で逆流を適切に抑制した循環を行いつつ、穿孔装置2で被穿孔体100に対して適切な穿孔作業を行うことが可能である。
【0049】
その上、液体供給機構10がビット7への液体の供給を停止した状態において、第1チューブポンプ32から圧送される水Lは、第2流路62を介して吐出口13bから液体が吐出される。よって、液体供給流路33の内圧の上昇を抑制することができる。これにより、液体供給流路33の破損、液体供給流路33と第1流路61との接続部からの液体の漏れを防止することができる。
【0050】
また、上記した穿孔システム1によれば、穿孔部分101を覆う遮蔽部50から懸濁液Sを強制的に回収するため、下向きの穿孔作業であっても水Lの適切な循環が可能となる。よって、様々な向きの穿孔作業を適切に行うことが可能となる。
【0051】
更に、上記した実施形態の穿孔システム1は、図1に示すように、液体容器40と第1チューブポンプ32及び第2チューブポンプ36を運搬するための台車60を備えている。これにより、穿孔作業を行う場所へシステム全体を容易に移動することが可能である。システム全体の移動は、台車60に代えてリュック、ショルダーバッグを備えさせても容易に行える。また、穿孔装置2の回転工具3をバッテリ内蔵とすれば、台車60に液体容器40を載せた状態で移動することが容易にできるので、穿孔作業の位置変更が容易であると共に、比較的狭い作業現場であったとしても、適切に穿孔作業を行うことが可能となる。穿孔装置2の回転工具3は、バッテリ内蔵の構成に限定されない。回転工具3は、電源コードを介して電力供給される構成でもよい。
【0052】
(その他の変形例)
上記実施形態では、回転工具3に取り付けられた液体供給機構10に、遮蔽部50を被穿孔体100に向けて付勢する付勢機構20を設けた例を説明したが、付勢機構20は工具本体4に設けてもよい。
【0053】
上記した実施形態では、液体として水Lを例に説明したが、液体は水L以外であってもよく、切削部8と被穿孔体100との摩擦の緩和、切削部8と被穿孔体100との摩擦により発熱した切削部8を冷却できる液体であれば特に限定されるものではない。
【0054】
(実施形態の列挙)
実施形態1: シャンク27と切削部8と液体を圧送する液体供給装置31から圧送された液体が通る流路であってシャンク27の内部を通って切削部8に至るビット内流路9を有するビット7への液体の供給及び停止を行う穿孔システム1の液体供給機構10であって、
回転工具3に接続される接続部12と、接続部12の前方に設けられたシャンク27を保持するビット保持部16とを有する回転部11と、
液体供給装置31から圧送された液体が通る流路であって、ビット保持部16に保持したビット7のビット内流路9に下流側端部が連なる第1流路61と、
第1流路61の途中から分岐して延びるように上流側端部が第1流路61に連なる第2流路62と、
第2流路62を通った液体が吐出される吐出口13bと、
第1流路61を開放し且つ第2流路62を閉塞する状態と第1流路61を閉塞し且つ第2流路62を開放する状態との切り替えを行う切替弁28と、を有する穿孔システム1の液体供給機構10。
【0055】
この構成によれば、ビット7への液体の供給を停止した状態においては、第2流路62を介して吐出口13bから液体が吐出されるので、液体供給装置31から第1流路61に至る液体供給流路33の内圧の上昇を抑制できる。これにより、液体供給流路33の破損、液体供給流路33と第1流路61との接続部からの液体の漏れを防止することができる。
【0056】
実施形態2: ビット保持部16は、保持するビット7の前後方向への移動を許容し、
切替弁28は、第1流路61から第2流路62が分岐する分岐部63に設けられ、分岐部63において第1位置P1と第1位置P1の後方の第2位置P2との間で移動可能であり、第1位置P1において第1流路61を閉塞し且つ第2流路62を開放し、第2位置P2において第1流路61を開放し且つ第2流路62を閉塞し、
ビット7が後方に移動すると、切替弁28が第1位置P1から第2位置P2に向かって移動するように連動する、実施形態1に記載の穿孔システム1の液体供給機構10。
【0057】
この構成によれば、切削部8を被穿孔体100に押し当てることにより、ビット7と共に切替弁28が第2位置P2から第1位置P1に移動して第1流路61を開放することができる。よって、穿孔作業に連動してビット7の切削部8へ液体を供給することができる。
【0058】
実施形態3: ビット7と連動して前後方向に移動するスライド部材17を更に有し、
切替弁28は、スライド部材17が後方に移動すると、スライド部材17と当接し、スライド部材17と連動して第1位置P1から第2位置P2に向かって移動する、実施形態2に記載の穿孔システム1の液体供給機構10。
【0059】
この構成によれば、切削部8を被穿孔体100に押し当てることにより、ビット7と共にスライド部材17が移動し、切替弁28が第2位置P2から第1位置P1に移動して第1流路61を開放することができる。よって、穿孔作業に連動してビット7の切削部8へ液体を供給することができる。
【0060】
実施形態4: 切替弁28を第2位置P2から第1位置P1に向かって付勢する切替弁付勢部18と、
ビット7を前方に向かって付勢する、ビット付勢部38と、を有する、実施形態2又は3に記載の穿孔システム1の液体供給機構10。
【0061】
この構成によれば、切削部8を被穿孔体100から離すと、切替弁28が第2位置P2から第1位置P1に移動し、第1流路61が閉塞され、第2流路62が開放される。よって、穿孔作業の終了時にビット7の切削部8への液体の供給を遮断することができ、切削部8からの液垂れを抑制することができる。
【0062】
実施形態5: 実施形態1に記載の液体供給機構10と、
ビット7の切削部8で穿孔する被穿孔体100の穿孔部分101を覆う遮蔽部50であって、被穿孔体100に宛がわれる前面51aと、ビット7が挿通され、切削部8を前後方向に案内する案内部とを有する、遮蔽部50と、
上流側端部が遮蔽部50で遮蔽した空間に接続されている液体回収流路37と、
上流側端部が液体供給機構10の吐出口13bに接続され、下流側端部が液体回収流路37に合流するように接続されている、中継流路34と、を備える、穿孔システム1。
【0063】
この構成によれば、第1流路61が閉塞されている状態において、液体供給装置31から供給された液体は、中継流路34を介して液体回収流路37に流入する。これにより、液体を回収することができる。また、中継流路34を介して液体回収流路37に流入した液体により、液体回収流路37を浄化することができる。
【0064】
実施形態6: 液体供給装置31は、チューブポンプ32である、実施形態5に記載の穿孔システム1。
【0065】
この構成によれば、チューブのみが液体と接触するため、粉塵Cが混ざった懸濁液Sであっても適切に送ることができる。
【0066】
実施形態7: 液体を貯留する液体容器40と、
上流側端部が液体容器40に接続され、下流側端部が第1流路61に接続されている液体供給流路33と、
液体供給流路33の液体を圧送する液体供給装置31と、を更に備え、
液体回収流路37の下流側端部は液体容器40に接続されている実施形態5に記載の穿孔システム1。
【0067】
この構成によれば、液体を循環させることができる。
【0068】
更に、上記した実施形態は一例を示しており、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【符号の説明】
【0069】
P1 第1位置
P2 第2位置
1 穿孔システム
2 穿孔装置
3 回転工具
6 把持機構
7 ビット
8 切削部
9 ビット内流路
10 液体供給機構
11 回転部
12 接続部
13 支持部
13b 吐出口
16 ビット保持部
17 スライド部材
17a 孔
18 切替弁付勢部
19 シール部材
20 付勢機構
27 シャンク
28 切替弁
29 封止球
30 弁体
30a 穴
30b 流入孔
31 液体供給装置
32 第1チューブポンプ
33 液体供給流路
34 中継流路
35 液体回収装置
36 第2チューブポンプ
37 液体回収流路
38 ビット付勢部
39 駆動軸
40 液体容器
49 穴
49a 段差
50 遮蔽部
51 本体部
51a 前面
60 液体循環システム
61 第1流路
62 第2流路
63 分岐部
100 被穿孔体
101 穿孔部分
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7