(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070686
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】建築物への化粧板の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20240516BHJP
C09J 183/04 20060101ALI20240516BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20240516BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20240516BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20240516BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20240516BHJP
B05D 7/06 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
E04F13/08 101K
C09J183/04
C09J175/04
B05D7/24 301P
B05D1/26 Z
B05D7/24 302Y
B05D7/24 302T
B05D3/00 D
B05D7/24 301E
B05D7/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181319
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000105648
【氏名又は名称】コニシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089152
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 文也
【テーマコード(参考)】
2E110
4D075
4J040
【Fターム(参考)】
2E110AA41
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4D075AC06
4D075AC08
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4J040EF001
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(57)【要約】
【課題】 仮固定を行わずに、かつ、手動式吐出ガンを用いて接着剤を吐出して、容易に化粧板を下地に固定する建築物への化粧板の施工方法を提供する。
【解決手段】 この施工方法で用いる接着剤は、変成シリコーン樹脂を主体とする1液型無溶剤マスチック型接着剤である。この接着剤を手動式吐出ガンを用いて、化粧板裏面に塗布し、石膏ボード下地表面に貼付し、化粧板を接着固定する。この接着剤は、主鎖がポリオキシプロピレン骨格であるポリエーテル系変成シリコーン樹脂と、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテルを含む。この接着剤の回転粘度は3720Pa・sであり、せん断粘度は22Pa・sである。回転粘度は、B型粘度計を用いて2rpmの条件で測定した粘度である。せん断粘度は、キャピラリーレオメーターを用いて、せん断速度500s
-1の条件で測定した粘度である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地表面又は化粧板の裏面に、手動式吐出ガンを用いて接着剤を部分的に塗布し、仮固定を行わずに、該下地に該化粧板を固定する建築物への化粧板の施工方法において、
前記接着剤は変成シリコーン樹脂又はウレタン樹脂を主体とする1液型無溶剤マスチック型接着剤であって、
前記接着剤は以下の回転粘度及びせん断粘度の条件を満足することを特徴とする建築物への化粧板の施工方法。
回転粘度:温度23℃で湿度50RH%の環境下、B型粘度計を用いて、回転速度2rpmの条件で測定した粘度が2000~6000Pa・sであること。
せん断粘度:温度23℃で湿度50RH%の環境下、キャピラリーレオメーターを用いて、せん断速度500s-1の条件で測定した粘度が10~60Pa・sであること。
【請求項2】
接着剤が、変成シリコーン樹脂を主体とする1液型無溶剤マスチック型接着剤である請求項1記載の建築物への化粧板の施工方法。
【請求項3】
長方形の化粧板の裏面に、格子状に接着剤を塗布する請求項1記載の建築物への化粧板の施工方法。
【請求項4】
接着剤の塗布面積が、化粧板の裏面の面積に対して、10~30%である請求項3記載の建築物への化粧板の施工方法。
【請求項5】
1液型無溶剤マスチック型接着剤が、アクリル系変成シリコーン樹脂及びポリエーテル系変成シリコーン樹脂の混合物よりなる変成シリコーン樹脂とアクリルオリゴマーを含み、
前記変成シリコーン樹脂の粘度が、温度23℃で湿度50RH%の環境下、B型粘度計を用いて、12rpmの条件で測定した粘度が10000~60000mPa・sであり、
前記アクリルオリゴマーの粘度が、温度23℃で湿度50RH%の環境下、B型粘度計を用いて、12rpmの条件で測定した粘度が1000~5000mPa・sである請求項2記載の建築物への化粧板の施工方法。
【請求項6】
1液型無溶剤マスチック型接着剤が、ポリエーテル系変成シリコーン樹脂よりなる変成シリコーン樹脂及びポリオキシアルキレングリコール又はポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルを含み、
前記変成シリコーン樹脂の粘度が、温度23℃で湿度50RH%の環境下、B型粘度計を用いて、12rpmの条件で測定した粘度が500~15000mPa・sであり、
前記ポリオキシアルキレングリコール又は前記ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルの粘度が、温度23℃で湿度50RH%の環境下、B型粘度計を用いて、12rpmの条件で測定した粘度が40~400mPa・sである請求項2記載の建築物への化粧板の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の下地に化粧板を接着固定する建築物への化粧板の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築物の下地に化粧板を接着固定する方法として、下地に両面粘着テープで化粧板を仮固定し、無溶剤マスチック型接着剤で本固定する方法が用いられている。すなわち、両面粘着テープで所定の位置に化粧板を仮固定させると共に、その後、無溶剤マスチック型接着剤を硬化させることにより、化粧板が下地に本固定される施工方法が用いられている。しかし、この施工方法は、両面粘着テープと無溶剤マスチック型接着剤の両方を下地又は化粧板に貼付及び塗布しなければならず、作業時間が長くなるという欠点があった。また、両面粘着テープで化粧板を仮固定するため、下地表面に貼付した後に化粧板の位置調整を行うことが困難であるという欠点があった。
【0003】
このため、無溶剤マスチック型接着剤として高粘度のものを採用し、両面粘着テープでの仮固定を不要とする化粧板の施工方法が提案されている(特許文献1)。無溶剤マスチック型接着剤が高粘度であるので、この粘性により化粧板が仮固定され、その後の硬化により本固定されるのである。しかし、この施工方法は、使用する無溶剤マスチック型接着剤が高粘度であるため、エアーガンや電動ガン等の自動ガンを使用して塗布しなければならない(特許文献1、請求項1~3)。しかるに、かかる自動ガンは、コンプレッサーや電源を必要とし、建築現場で作業員が取り扱うのに不向きであるということがあった。
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、両面粘着テープでの仮固定を不要とする化粧板の施工方法において、手動式吐出ガンを用いて無溶剤マスチック型接着剤を塗布しうる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特定の無溶剤マスチック型接着剤を用いることにより、上記課題を解決したものである。すなわち、本発明は、下地表面又は化粧板の裏面に、手動式吐出ガンを用いて接着剤を部分的に塗布し、仮固定を行わずに、該下地に該化粧板を固定する建築物への化粧板の施工方法において、前記接着剤は変成シリコーン樹脂又はウレタン樹脂を主体とする1液型無溶剤マスチック型接着剤であって、前記接着剤は以下の回転粘度及びせん断粘度の条件を満足することを特徴とする建築物への化粧板の施工方法に関するものである。
回転粘度:温度23℃で湿度50RH%の環境下、B型粘度計を用いて、回転速度2rpmの条件で測定した粘度が2000~6000Pa・sであること。
せん断粘度:温度23℃で湿度50RH%の環境下、キャピラリーレオメーターを用いて、せん断速度500s-1の条件で測定した粘度が10~60Pa・sであること。
【0007】
本発明で用いる無溶剤マスチック型接着剤は1液型のものである。2液型であると、作業現場で混合しなければならず、作業時間が長くなるので好ましくない。また、この無溶剤マスチック型接着剤は、変成シリコーン樹脂又はウレタン樹脂を主体とするものである。変成シリコーン樹脂又はウレタン樹脂を主体とすることにより、湿気硬化型の無溶剤マスチック型接着剤となる。
【0008】
この無溶剤マスチック型接着剤の回転粘度は、2000~6000Pa・sである。回転粘度が2000Pa・s未満であると、化粧板の初期収まりが悪く、貼付した化粧板を仮固定することができない。一方、回転粘度が6000Pa・sを超えると、高粘度すぎて、手動式吐出ガンを用いて接着剤を吐出しにくくなるので、好ましくない。回転粘度は、主に化粧板貼付後の初期収まり性に関与しており、数値が大きくなることで化粧板の初期収まり性は良好となるが、6000Pa・sを超えると手動式吐出ガンを用いて接着剤を吐出することが困難となる。ここで、回転粘度とは具体的に以下の方法で測定されるものである。すなわち、東機産業株式会社製TVB35H(Sレジン)B形粘度計を使用し、7番ローターを用いて、温度23℃で湿度50RH%の環境下、回転速度2rpmの条件で測定されるものである。
【0009】
また、この無溶剤マスチック型接着剤のせん断粘度は、10~60Pa・sである。せん断粘度が10Pa・s未満であると、低粘度すぎて、化粧板の初期収まりが悪く、貼付した化粧板を仮固定することができない。一方、せん断粘度が60Pa・sを超えると、手動式吐出ガンを用いて接着剤を吐出できない。せん断粘度は、主に手動式吐出ガンを用いた時の接着剤の吐出性に関与しており、数値が小さくなることで手動式吐出ガンを用いた時の接着剤の吐出性が良好となるが、10Pa・s未満の場合、化粧板の初期収まり性が悪くなる。ここで、せん断粘度とは具体的には以下の方法で測定されるものである。すなわち、キャピラリーレオメーター(メック株式会社製、SOD粘度計)を用いて、温度23℃で湿度50RH%の環境下、キャピラリー径4mmでせん断速度500s-1の条件で測定されるものである。
【0010】
無溶剤マスチック型接着剤の主体をなす成分は、変成シリコーン樹脂又はウレタン樹脂である。変成シリコーン樹脂とは、架橋性シリル基を有する硬化性樹脂である。具体的には、主鎖がアクリル骨格で末端又は側鎖に架橋性シリル基を有するアクリル系変成シリコーン樹脂(以下単に、「アクリル系変成シリコーン樹脂」という。)、主鎖がポリオキシアルキレン骨格で末端に架橋性シリル基を有するポリエーテル系変成シリコーン樹脂(以下単に、「ポリエーテル系変成シリコーン樹脂」という。)又は主鎖にウレタン結合を持ち末端又は側鎖に架橋性シリル基を有するシリル化ウレタン系変成シリコーン樹脂等が挙げられる。そして、これらを単独で又は混合して変成シリコーン樹脂として用いられる。変成シリコーン樹脂の具体例としては、株式会社カネカ製のS203H、SAX730、SAT010又はSAT030や、AGC株式会社製のESS6250等の市販品が挙げられる。
【0011】
変成シリコーン樹脂を主体とする無溶剤マスチック型接着剤は、アクリル系変成シリコーン樹脂とポリエーテル系変成シリコーン樹脂を混合してなる変成シリコーン樹脂と特定のアクリルオリゴマーを混合することにより得ることができる。すなわち、温度23℃で湿度50RH%の環境下、B型粘度計を用いて、12rpmの条件で測定される粘度が10000~60000mPa・sの変成シリコーン樹脂と、温度23℃で湿度50RH%の環境下、B型粘度計を用いて、12rpmの条件で測定される粘度が1000~5000mPa・sのアクリルオリゴマーとを混合することにより得られる。この範囲の粘度の変成シリコーン樹脂とアクリルオリゴマーとを混合することで、回転粘度が2000~6000Pa・sでせん断粘度が10~60Pa・sの無溶剤マスチック型接着剤を効率的に得られる。これらの粘度は具体的には以下の方法で測定されるものである。すなわち、粘度が250mPa・s以下のものは、東機産業株式会社製BM形粘度計を使用し、2番ローターを用いて、温度23℃で湿度50RH%の環境下、回転速度12rpmの条件で測定される。粘度が10000mPa・s以下のものは、東機産業株式会社製BM形粘度計を使用し、3番ローターを用いて、温度23℃で湿度50RH%の環境下、回転速度12rpmの条件で測定される。粘度が50000mPa・s以下のものは、東機産業株式会社製BM形粘度計を使用し、4番ローターを用いて、温度23℃で湿度50RH%の環境下、回転速度12rpmの条件で測定される。粘度が50000mPa・sを超えるものは、東機産業株式会社製TVB10HなるB形粘度計を使用し、6番ローターを用いて、温度23℃で湿度50RH%の環境下、回転速度12rpmの条件で測定されるものである。なお、本明細書で単に粘度と表現したときは、この測定条件での粘度のことをいう。
【0012】
上記したアクリルオリゴマーとは、主鎖がアクリル骨格のオリゴマーであり、耐候性に優れ、接着剤の物性調整や粘度調整する可塑剤として使用されるものである。具体的には、官能基を有さないもの、水酸基を有するもの、カルボキシ基を有するもの、エポキシ基を有するもの又は架橋性シリル基を有するもの等が挙げられる。そして、これらを単独で又は混合してアクリルオリゴマーとして用いられる。特に、官能基を有さないものは低粘度であり、希釈効果が高いため、好ましく用いられる。アクリルオリゴマーの具体例としては、東亞合成株式会社製のARUFON UP-1000又はUP-1100等の市販品が挙げられる。
【0013】
また、変成シリコーン樹脂を主体とする無溶剤マスチック型接着剤は、ポリエーテル系変成シリコーン樹脂によりなる変成シリコーン樹脂と特定のポリオキシアルキレングリコール又はポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルを混合することにより得ることもできる。すなわち、粘度が500~15000mPa・sの変成シリコーン樹脂と、粘度が40~400mPa・sのポリオキシアルキレングリコール又はポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとを混合することにより得られる。この範囲の粘度の変成シリコーン樹脂とポリオキシアルキレングリコール又はポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとを混合することで、回転粘度が2000~6000Pa・sでせん断粘度が10~60Pa・sの無溶剤マスチック型接着剤を効率的に得られる。特に、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとしてポリオキシプロピレンモノブチルエーテルを用いることにより、最も効率的に無溶剤マスチック型接着剤を得られる。
【0014】
また、ウレタン樹脂を主体とする無溶剤マスチック型接着剤は、ポリエーテルポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるウレタンプレポリマーを含むウレタン樹脂を用いて得るのが好ましい。本発明で用いる無溶剤マスチック型接着剤中には、一般的に、従来公知の充填剤、希釈剤、脱水剤、酸化防止剤及び/又は触媒等が配合される。
【0015】
本発明に係る化粧板の施工方法は、上記無溶剤マスチック型接着剤を、下地表面又は化粧板の裏面に、手動式吐出ガンを用いて塗布する。塗布量は化粧板を接着固定しうる量であればよい。一般的に、無溶剤マスチック型接着剤を全面に塗布する必要はなく、部分的に塗布する量で十分である。塗布の態様は任意であるが、たとえば、化粧板1の裏面に、無溶剤マスチック型接着剤2を格子状に塗布するのが好ましい。具体的には、
図1に示すように、化粧板1裏面の四辺に平行に四辺近傍に無溶剤マスチック型接着剤2を塗布し、幅方向の中央に一本塗布し、長手方向に均等に二本塗布して、格子状とするのが好ましい。かかる塗布形態の場合、塗布面積は10~30%で十分である。また、化粧板全面積に対する塗布量は200~800g/m
2程度で十分である。
【0016】
化粧板としては、従来公知の化粧板を用いることができる。具体的には、ケイ酸カルシウム板、フレキシブル板又はメラミン樹脂含浸不燃板等を用いることができる。下地は従来公知の下地であり、たとえば、コンクリート下地、モルタル下地、石膏ボード下地等である。この下地表面に、無溶剤マスチック型接着剤を介して化粧板の裏面を当接させ、化粧板を接着固定するのである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る化粧板の施工方法は、手動式吐出ガンを用いて、特定の無溶剤マスチック型接着剤を下地表面又は化粧板裏面に塗布することにより、両面粘着テープでの仮固定の必要なく、化粧板を下地に接着固定することができる。したがって、建築現場等の作業者が簡便に且つ短時間で化粧板を施工しうるという効果を奏する。
【実施例0018】
[無溶剤マスチック型接着剤1]
以下の化合物を均一に混合して無溶剤マスチック型接着剤1を得た。
ポリエーテル系変成シリコーン樹脂 140質量部
(主鎖はポリオキシプロピレン骨格である。株式会社カネカ製、
品名「S203H」、粘度:7220mPa・s)
ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル 80質量部
(三洋化成工業株式会社製、品名「ニューポールLB-165」
、粘度:50mPa・s)
処理炭酸カルシウム 150質量部
(白石工業株式会社製、品名「白艶華CCR-B」)
処理炭酸カルシウム 100質量部
(丸尾カルシウム株式会社製、品名「カルファインN-40」)
重質炭酸カルシウム 160質量部
(日東粉化工業株式会社製、品名「NS400」)
ガラスバルーン 10質量部
(スリーエムジャパン株式会社製、品名「グラスバブルズS22」)
イソパラフィン 15質量部
(安藤パラケミー株式会社製、品名「アイソパーH」)
エポキシシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM403」)
ビニルシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM1003」)
アミノシラン 6質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM603」)
錫触媒 2質量部
(日東化成株式会社製、品名「ネオスタンS-1」)
酸化防止剤 1質量部
(株式会社ADEKA製、品名「アデカスタブAO-60P」)
【0019】
[無溶剤マスチック型接着剤2]
以下の三つの化合物の質量部を以下に示す質量部に変更した他は、無溶剤マスチック型接着剤1の同一の方法により、無溶剤マスチック型接着剤2を得た。
ポリエーテル系変成シリコーン樹脂 120質量部
(主鎖はポリオキシプロピレン骨格である。株式会社カネカ製、
品名「S203H」、粘度:7220mPa・s)
ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル 100質量部
(三洋化成工業株式会社製、品名「ニューポールLB-165」
、粘度:50mPa・s)
酸化防止剤 0.5質量部
(株式会社ADEKA製、品名「アデカスタブAO-60P」)
【0020】
[無溶剤マスチック型接着剤3]
以下の化合物を均一に混合して無溶剤マスチック型接着剤3を得た。
ポリエーテル系変成シリコーン樹脂 120質量部
(主鎖はポリオキシプロピレン骨格である。AGC株式会社製、
品名「ESS6250」、粘度:3100mPa・s)
ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル 100質量部
(三洋化成工業株式会社製、品名「ニューポールLB-165」
、粘度:50mPa・s)
処理炭酸カルシウム 150質量部
(白石工業株式会社製、品名「白艶華CCR-B」)
処理炭酸カルシウム 100質量部
(白石工業株式会社製、品名「viscoexcel30」)
重質炭酸カルシウム 160質量部
(日東粉化工業株式会社製、品名「NS400」)
ガラスバルーン 10質量部
(スリーエムジャパン株式会社製、品名「グラスバブルズS22」)
イソパラフィン 15質量部
(安藤パラケミー株式会社製、品名「アイソパーH」)
エポキシシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM403」)
ビニルシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM1003」)
アミノシラン 6質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM603」)
錫触媒 2質量部
(日東化成株式会社製、品名「ネオスタンS-1」)
酸化防止剤 0.5質量部
(株式会社ADEKA製、品名「アデカスタブAO-60P」)
【0021】
[無溶剤マスチック型接着剤4]
以下の化合物を均一に混合して無溶剤マスチック型接着剤4を得た。
ポリエーテル系変成シリコーン樹脂 90質量部
(主鎖はポリオキシプロピレン骨格である。株式会社カネカ製、
品名「SAX730」、粘度:5750mPa・s)
ポリエーテル系変成シリコーン樹脂 30質量部
(主鎖はポリオキシプロピレン骨格である。株式会社カネカ製、
品名「SAT030」、粘度:3080mPa・s)
ポリオキシプロピレングリコール 100質量部
(三洋化成工業株式会社製、品名「サンニックスPP600」
、粘度:81.25mPa・s)
処理炭酸カルシウム 150質量部
(白石工業株式会社製、品名「白艶華CCR-B」)
処理炭酸カルシウム 100質量部
(白石工業株式会社製、品名「viscoexcel30」)
重質炭酸カルシウム 160質量部
(日東粉化工業株式会社製、品名「NS400」)
ガラスバルーン 10質量部
(スリーエムジャパン株式会社製、品名「グラスバブルズS22」)
イソパラフィン 25質量部
(安藤パラケミー株式会社製、品名「アイソパーH」)
エポキシシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM403」)
ビニルシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM1003」)
アミノシラン 6質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM603」)
錫触媒 2質量部
(日東化成株式会社製、品名「ネオスタンS-1」)
酸化防止剤 1.5質量部
(株式会社ADEKA製、品名「アデカスタブAO-60P」)
【0022】
[無溶剤マスチック型接着剤5]
以下の化合物を均一に混合して無溶剤マスチック型接着剤5を得た。
ポリエーテル系変成シリコーン樹脂 60質量部
(主鎖はポリオキシプロピレン骨格である。株式会社カネカ製、
品名「SAX730」、粘度:5750mPa・s)
ポリエーテル系変成シリコーン樹脂 30質量部
(主鎖はポリオキシプロピレン骨格である。株式会社カネカ製、
品名「SAT010」、粘度:520mPa・s)
ポリオキシプロピレングリコール 100質量部
(三洋化成工業株式会社製、品名「サンニックスPP600」
、粘度:81.25mPa・s)
処理炭酸カルシウム 100質量部
(白石工業株式会社製、品名「白艶華CCR-B」)
処理炭酸カルシウム 150質量部
(丸尾カルシウム株式会社製、品名「カルファインN-40」)
重質炭酸カルシウム 160質量部
(日東粉化工業株式会社製、品名「NS400」)
ガラスバルーン 10質量部
(スリーエムジャパン株式会社製、品名「グラスバブルズS22」)
イソパラフィン 25質量部
(安藤パラケミー株式会社製、品名「アイソパーH」)
エポキシシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM403」)
ビニルシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM1003」)
アミノシラン 6質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM603」)
錫触媒 2質量部
(日東化成株式会社製、品名「ネオスタンS-1」)
酸化防止剤 1.5質量部
(株式会社ADEKA製、品名「アデカスタブAO-60P」)
【0023】
[無溶剤マスチック型接着剤6]
以下の化合物を均一に混合して無溶剤マスチック型接着剤6を得た。
変成シリコーン樹脂 120質量部
(アクリル系変成シリコーン樹脂とポリエーテル系変成シリコーン樹脂
の混合物よりなる変成シリコーン樹脂である。ポリエーテル系変成シ
リコーン樹脂の主鎖はポリオキシプロピレン骨格である。
株式会社カネカ製、品名「S943」、粘度:55000mPa・s)
アクリルオリゴマー 100質量部
(東亞合成株式会社製、品名「ARUFON UP1110」、
粘度:3150mPa・s)
処理炭酸カルシウム 150質量部
(白石工業株式会社製、品名「白艶華CCR-B」)
処理炭酸カルシウム 100質量部
(白石工業株式会社製、品名「viscoexcel30」)
重質炭酸カルシウム 160質量部
(日東粉化工業株式会社製、品名「NS400」)
ガラスバルーン 10質量部
(スリーエムジャパン株式会社製、品名「グラスバブルズS22」)
イソパラフィン 30質量部
(安藤パラケミー株式会社製、品名「アイソパーH」)
エポキシシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM403」)
ビニルシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM1003」)
アミノシラン 6質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM603」)
錫触媒 2質量部
(日東化成株式会社製、品名「ネオスタンS-1」)
酸化防止剤 0.5質量部
(株式会社ADEKA製、品名「アデカスタブAO-60P」)
【0024】
[無溶剤マスチック型接着剤7]
ジフェニルメタンジイソシアネート(住化コベストロウレタン株式会社製、品名「SBUイソシアネートH777」)585質量部及びポリエーテルポリオール(三洋化成工業株式会社製、品名「サンニックスGP-3000V」)2158質量部を仕込み、90℃で2時間反応させて、ウレタンプレポリマーを得た。このウレタンプレポリマーを用い、以下の化合物を均一に混合して無溶剤マスチック型接着剤7を得た。
ウレタンプレポリマー(粘度:9500mPa・s) 220質量部
処理炭酸カルシウム 255質量部
(丸尾カルシウム株式会社製、品名「シーレッツ20TH」)
生石灰 15質量部
(有恒鉱業株式会社製)
重質炭酸カルシウム 140質量部
(日東粉化工業株式会社製、品名「NS100M」)
親水性シリカ粉末 140質量部
(日本アエロジル株式会社製、品名「アエロジル♯200」)
フタル酸ジイソノニル 80質量部
(大八化学工業株式会社製、品名「DINP」)
p-トルエンスルホニルイソシアネート 4質量部
(株式会社角徳コーポレーション製、品名「PTSI」)
ガラスバルーン 10質量部
(スリーエムジャパン株式会社製、品名「グラスバブルズS22」)
イソパラフィン 10質量部
(安藤パラケミー株式会社製、品名「アイソパーH」)
エポキシシラン 2質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM403」)
酸化防止剤 1質量部
(株式会社ADEKA製、品名「AO503」)
【0025】
[無溶剤マスチック型接着剤8]
以下の化合物を均一に混合して無溶剤マスチック型接着剤8を得た。
ポリエーテル系変成シリコーン樹脂 150質量部
(主鎖はポリオキシプロピレン骨格である。株式会社カネカ製、
品名「S203H」、粘度:7220mPa・s)
アクリルオリゴマー 50質量部
(東亞合成株式会社製、品名「ARUFON UP1171」、
粘度:20400mPa・s)
処理炭酸カルシウム 100質量部
(白石工業株式会社製、品名「白艶華CCR-B」)
重質炭酸カルシウム 200質量部
(日東粉化工業株式会社製、品名「NS400」)
揺変剤 4質量部
(楠本化成株式会社製、品名「ディスパロン♯6500」)
イソパラフィン 16質量部
(安藤パラケミー株式会社製、品名「アイソパーH」)
エポキシシラン 3質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM403」)
ビニルシラン 4質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM1003」)
アミノシラン 6質量部
(信越化学工業株式会社製、品名「KBM603」)
錫触媒 4質量部
(日東化成株式会社製、品名「ネオスタンS-1」)
酸化防止剤 1.5質量部
(株式会社ADEKA製、品名「アデカスタブAO-60P」)
【0026】
[無溶剤マスチック型接着剤9]
市販の無溶剤マスチック型接着剤9(サンスター技研株式会社製、品名「ペンギンセメント2670」)を入手した。
【0027】
実施例1
温度23℃で湿度50RH%の環境下、縦300mm×横300mm×厚さ6mmのケイ酸カルシウム板(株式会社エーアンドエーマテリアル製、商品「ステンド♯400」)の裏面に、手動式吐出ガン[Cox社製、PowerFlow(登録商標)Carteidge(310ml)]を用いて、ビード径約6mmで
図2に示す態様で無溶剤マスチック型接着剤1を塗布した。すなわち、
図2中、黒色で塗り潰された帯が無溶剤マスチック型接着剤1を塗布した箇所を示し、上方の帯が長さ約300mmであり、下方の帯が長さ約250mmである。
塗布後、直ちに垂直に立てかけた縦1820mm×横910mm×厚さ12mmの石膏ボード(吉野石膏株式会社製、品名「タイガーボード」)下地表面にケイ酸カルシウム板を貼付し、接着固定して、ケイ酸カルシウム板の施工を行った。
【0028】
実施例2~7
無溶剤マスチック型接着剤1に代えて、無溶剤マスチック型接着剤2~7を用いる他は、実施例1と同一の方法でケイ酸カルシウム板を石膏ボード下地表面に貼付し、接着固定して、ケイ酸カルシウム板の施工を行った。
【0029】
比較例1及び2
無溶剤マスチック型接着剤1に代えて、無溶剤マスチック型接着剤8及び9を用いたル他は、実施例1と同一の方法でケイ酸カルシウム板を石膏ボード下地表面に貼付し、接着固定して、ケイ酸カルシウム板の施工を行った。
【0030】
実施例1~7並びに比較例1及び2で用いた無溶剤マスチック型接着剤1~9を23℃に調温し、回転粘度(Pa・s)及びせん断粘度(Pa・s)を測定して、その結果を表1に示した。また、ケイ酸カルシウム板の施工を行った際の初期収まり及び作業性を評価し、その結果を表1に示した。
【0031】
初期収まり及び作業性については、以下のようにして評価した。
[初期収まり]
温度23℃で湿度50RH%の環境下、ケイ酸カルシウム板を石膏ボード下地表面に貼付した後、1日経過後にケイ酸カルシウム板がズレているか否か確認した。ズレていなければ「○」と評価し、ズレていれば「×」と評価した。
[作業性]
温度23℃で湿度50RH%の環境下、無溶剤マスチック型接着剤1~9を手動式吐出ガンを用いて容易に吐出及び塗布できるものを「○」と評価し、手動式吐出ガンで吐出する際に大きな力を要し、塗布が困難であるものを「×」と評価した。
【0032】
[表1]
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回転粘度 せん断粘度 初期収まり 作業性
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実施例1 3720 22 ○ ○
実施例2 3750 20 ○ ○
実施例3 2710 14 ○ ○
実施例4 4460 16 ○ ○
実施例5 3970 12 ○ ○
実施例6 4200 43 ○ ○
実施例7 3343 48 ○ ○
比較例1 1040 24 × ○
比較例2 2970 93 - ×
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【0033】
表1の結果から、実施例1~7で用いた無溶剤マスチック型接着剤は、回転粘度及びせん断粘度が所定範囲内であるため、手動式吐出ガンで容易に塗布できると共に、塗布後の初期収まりも良好で、両面粘着テープを用いて仮固定することなく、ケイ酸カルシウム板を石膏ボード下地表面の所定位置に良好に接着固定することができた。一方、比較例1で用いた無溶剤マスチック型接着剤8は、回転粘度が低いため、塗布後の初期収まりが不良で、両面粘着テープを用いて仮固定しなければ、ケイ酸カルシウム板を石膏ボード下地表面の所定位置に接着固定することができなかった。また、比較例2で用いた無溶剤マスチック型接着剤9は、せん断粘度が高いため、手動式吐出ガンで塗布するのが困難であって、初期収まりを評価することができず(表1では「-」と示した。)、作業者が容易に施工しうるものではなかった。