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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070688
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】配達物収納箱
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/126 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
A47G29/126
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181332
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】山田 一輝
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100CA02
3K100CA03
3K100CA05
3K100CB01
3K100CB05
3K100CD00
(57)【要約】
【課題】 投入口が多数の小フラップにより覆われた構造であっても、部品数が少なく低コストで構成できる配達物収納箱を提供する。
【解決手段】 投入口21の内部に設けてたフラップ5は横方向に連接された複数の小フラップ51で構成され、個々の小フラップ51は、投入口21背部の上辺部に蝶着されて垂下するように配置され、収納空間の方向に回動可能に構成されている。中央の小フラップ51が最も後方に配置される一方、隣接して左右に配置される小フラップ51から順次一部を重ねて前側に配置され、左右端部の小フラップ51が最前列に配置されて成り、中央の小フラップ51には、収納空間の方向へ回動した際に、投入口21を閉じる方向へ付勢力を発生させるゴム板7が背部に配置されている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配達物の収納空間を有する本体と、前記収納空間に配達物を投入する横長の投入口とを有し、前記投入口の内部がフラップにより覆われて成る配達物収納箱であって、
前記フラップは横方向に連接された複数の小フラップで構成され、個々の前記小フラップは、投入口背部の上辺部に蝶着されて垂下するように配置され、前記収納空間の方向に回動可能に構成され、
更に中央の前記小フラップが最も後方に配置される一方、隣接して左右に配置される前記小フラップから順次一部を重ねて前側に配置され、左右端部の前記小フラップが最前列に配置されて成り、
前記中央の小フラップには、前記収納空間の方向へ回動した際に、前記投入口を閉じる方向へ付勢力を発生させる付勢部材が、一体に或いは背部に配置されて成ることを特徴とする配達物収納箱。
【請求項2】
前記付勢部材が、前記中央の小フラップの背部に配置された板状の弾性体であり、前記弾性体は、上端が前記投入口背部の上辺部に固着されて垂下するよう配置され、
前記中央の小フラップが前記収納空間方向へ回動した際に、前記弾性体に当接して前記弾性体が弾性変形し、前記中央の小フラップに前記投入口を閉じる方向への付勢力が生成されることを特徴とする請求項1記載の配達物収納箱。
【請求項3】
前記小フラップは、上下端部に蝶着部材を有し、上下反転して前記投入口背部に蝶着可能であると共に、
隣接する前記小フラップと重なる左右の部位は厚みを薄くして形成され、
一方の重なり部は前側に段部を有して薄肉形成され、他方の重なり部は後側に段部を有して薄肉形成されて成ることを特徴とする請求項1又は2記載の配達物収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配達物を収納する配達物収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
郵便受け等の配達物を収納する配達物収納箱は、収納された配達物が投入口から取り出されないように、投入口に盗難防止機能を備えたものがある。
例えば特許文献1では、収納箱の内部方向にのみ回転する複数の小フラップを投入口全体に配置して投入口を閉じた。この構成により、投入口から収納物を取り出そうと前方から手を入れる事ができても、小フラップが取り出す前方には回転しないため、配達物が小フラップに引っかかり、取り出しが阻止された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-174880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の小フラップを複数備えた盗難防止構造は、収納された配達物の盗難防止に有効であるが、個々の小フラップに投入口を閉じるための付勢手段が取り付ける必要があるため、構成部材の部品数が多くコスト高であった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、投入口が多数の小フラップにより覆われた構造であっても、部品数が少なく低コストで構成できる配達物収納箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、本発明は、配達物の収納空間を有する本体と、収納空間に配達物を投入する横長の投入口とを有し、投入口の内部がフラップにより覆われて成る配達物収納箱であって、フラップは横方向に連接された複数の小フラップで構成され、個々の小フラップは、投入口背部の上辺部に蝶着されて垂下するように配置され、収納空間の方向に回動可能に構成され、更に中央の小フラップが最も後方に配置される一方、隣接して左右に配置される小フラップから順次一部を重ねて前側に配置され、左右端部の小フラップが最前列に配置されて成り、中央の小フラップには、収納空間の方向へ回動した際に、投入口を閉じる方向へ付勢力を発生させる付勢部材が、一体に或いは背部に配置されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、任意の小フラップを押して回動させると、小フラップの重なり部を介して中央の小フラップが連動して回動し、投入口を閉じる方向への付勢力が発生する。そのため、各小フラップに付勢手段を設けなくても、個々の小フラップは常に閉じた状態を維持しようとする。よって、投入口が多数の小フラップにより覆われて閉塞された構造であっても、部品数が少なく低コストで構成できる。
【0007】
本発明の別の態様は、上記構成において、付勢部材が、中央の小フラップの背部に配置された板状の弾性体であり、弾性体は、上端が投入口背部の上辺部に固着されて垂下するよう配置され、中央の小フラップが収納空間方向へ回動した際に、弾性体に当接して弾性体が弾性変形し、中央の小フラップに投入口を閉じる方向への付勢力が生成されることを特徴とする。
この構成によれば、中央の小フラップ自体に付勢力を発生させる必要がなくなり、中央の小フラップと他の小フラップを同一の構成とすることが可能となる。よって、部材を削減できる。
【0008】
本発明の別の態様は、上記構成において、小フラップは、上下端部に蝶着部材を有し、上下反転して投入口背部に蝶着可能であると共に、隣接する小フラップと重なる左右の部位は厚みを薄くして形成され、一方の重なり部は前側に段部を有して薄肉形成され、他方の重なり部は後側に段部を有して薄肉形成されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、投入口の中央から左側と右側とで小フラップの重なりが逆方向であっても、同一の小フラップで対応でき、部材の種類を削減できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、任意の小フラップを押して回動させると、小フラップの重なり部を介して中央の小フラップが連動して回動し、投入口を閉じる方向への付勢力が発生する。そのため、各小フラップに付勢手段を設けなくても、個々の小フラップは常に閉じた状態を維持しようとする。よって、投入口が多数の小フラップにより覆われて閉塞された構造であっても、部品数が少なく低コストで構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る配達物収納箱の一例を示す斜視図である。
図2図1の正面図である。
図3】前面パネルを背部方向から見た斜視図である。
図4】A-A線断面図である。
図5】B部拡大図である。
図6】小フラップの斜視図である。
図7】C-C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1,2は本発明に係る配達物収納箱の一例を示し、図1は斜視図、図2は正面図である。配達物収納箱1は、前面に配達物を入れるための投入口21を備えた前面パネル2を有し、その背部に配達物の収納空間を備えた本体3を有して構成されている。本体3は、前面パネル2が取り付けられる前面が開放形成され、他の面は閉塞されて内部に投入口21から投入された配達物を収納する。
前面パネル2は前面を大きく開放する扉でもあり、本体3に収納された荷物を前方から取り出し可能としている(詳述せず)。尚、22は前面パネル2をロック/アンロックするダイヤル、23は雨水等から投入口21を保護する庇である。
【0012】
投入口21は横長の長方形状を成し、投入口21の奥部の投入口21の端部を構成する開口部21aには、フラップ5が取り付けられて収納空間の入口が覆われている。フラップ5は、合成樹脂製の複数の小フラップ51を左右方向に連設して形成されている。
【0013】
この複数の小フラップ51から成るフラップ5は、次のように構成されている。
図3は前面パネル2を後方から見た斜視図、図4図2に示すA-A線の断面図、図5図4に示すB部の拡大図、図6は小フラップ51単体の斜視図であり、これらの図を参照して説明する。
開口部21aの上辺部には、フラップ5を回動可能に取り付ける蝶着部を構成する軸棒6が左右方向に配設され、小フラップ51は上端に蝶着部材としての係止部11を有し、軸棒6に対して係止部11により蝶着するように取付られている。結果、開口部21aの上辺部に回動可能に取り付けられ、垂下するように配置されている。
【0014】
更に、図4,5に示すように、中央に配置された小フラップ51に対して、左右に連設される小フラップ51は重なり部を設けて順次前側に配置されている。結果、中央の小フラップ51は最も奥に配置されている。
詳しくは、投入口21の中央Mから正面視左側(図4に示すL側)に配置される小フラップ51は、右側が背面に重なり部を有すると共に、左側が前面に重なり部を有している。こうして、中央Mから順次前側に重ねられて配置されている。
【0015】
一方、中央Mから正面視右側(図4に示すR側)に配置される小フラップ51は、左側が背面に重なり部を有すると共に、右側が前面に重なり部を有している。こうして、中央Mから順次前側に重ねて配置されている。尚、ここでは、中央の小フラップ51は左右2枚の小フラップ51により構成されている。以下、この中央の2枚の小フラップを51sとする。
【0016】
図6に示すように、小フラップ51の上部に設けられた係止部11は、対を成す把持片11aを2組有して構成され、軸棒6を把持して前後に回動するように取り付けられている。但し、軸棒6に係止して垂下した状態の小フラップ51は、下部が開口部21aの下辺に当接するよう形成され、当接することで前方への回動が阻止され、後方への回動のみ可能となっている。
【0017】
また、小フラップ51は上下対称に形成され、下部にも同様の係止部11を有している。こうして、上下反転して使用可能に構成されている。
更に、小フラップ51は、中央の厚みに比べて左右が薄く形成され、一方が背面に段部Dが形成されて薄肉部Wを形成し、他方は前面に段部Dが形成されて薄肉部Wを形成している。
結果、開口部21aの左側(図4に示すL側)に配置される小フラップ51aは、図6に示す小フラップ51を上下反転して軸棒6に取り付けられ、正面視右側が背面に段部Dが形成され、左側が前面に段部Dが形成されている。一方、開口部21aの右側(図4に示すR側)に配置される小フラップ51bは、図6に示す状態で軸棒6に取り付けられ、正面視左側が背面に段部Dが形成され、右側が前面に段部Dが形成されている。
【0018】
こうして、上下反転することで重なる方向が逆になる形状に対応させることができ、全ての小フラップ51を同一形状の小フラップで対応可能としている。また、投入口21の中央Mから前方に順次重ねるように配置しても、全ての小フラップ51を横一列に配置でき、重ねることで順次前方に突出するようなことがない。
【0019】
そして、中央の2枚の小フラップの背部には板状の弾性体であるゴム板7(付勢部材)が配置されている。ゴム板7は、小フラップ51より僅かに大きく形成され、上端が開口部21aの背部上方で固定され、垂下させている。こうして、図4に示すように、中央の2枚の小フラップ51sの双方に近接する背部に配置されている。
【0020】
このように構成された配達物収納箱1は、配達物を投入する際には以下のようにフラップ5が作用する。
投入口21に配達物を挿入すると、配達物が小フラップ51に当接して更に後方に押し上げる。結果、回動する小フラップ51によりゴム板7も変形して押し上げられるが、この動作は無理なく成されて配達物の本体3への投入をスムーズに実施できる。
図7は、C-C線断面図であり、想像線が回動した中央の小フラップ51sを示している。図7に示すように、中央の小フラップ51sに押し上げられてゴム板7が変形する。
こうして、中央の小フラップ51の回動によりゴム板7が弾性変形し、配達物の投入後はゴム板7の復元力の作用で、後方にせり上がった小フラップ51は垂下位置に戻り、閉塞状態に復帰する。
【0021】
一方、投入口21から手を入れて、収納した配達物を取り出そうとした場合、手を入れた部位に加えてその周囲の一部の小フラップ51が回動して投入口21の一部が開状態となる。しかしながら、小フラップ51全体が開動作することは無く、収納されている配達物を取り出しできる広さが開口されることは無い。よって、収納されている配達物の取り出しは難しい。例えば、フラップ5の左右いずれかの端部を押せば、小フラップ51の重なり部の作用で、中央の2枚のうちの1枚の小フラップ51sまで開けることはできるが、それ以上開くことは無い。
【0022】
このように、任意の小フラップ51を押して回動させると、小フラップ51の重なり部を介して中央の小フラップ51sが連動して回動し、投入口21を閉じる方向への付勢力が発生する。そのため、各小フラップ51に付勢手段を設けなくても、個々の小フラップ51は常に閉じた状態を維持しようとする。よって、投入口21が多数の小フラップ51で覆われて閉塞される構造であっても、部品数が少なく低コストで構成できる。
また、中央の小フラップ51sの背部にゴム板7を別途配置するため、中央の小フラップ51s自体に付勢力を発生させる必要がなく、中央の小フラップ51sと他の小フラップ51を同一の構成とすることが可能となる。よって、部材を削減できる。
更に、投入口21の中央から左側と右側とで小フラップ51の重なりが逆方向であっても、同一の小フラップ51で対応でき、部材の種類を更に削減できる。
【0023】
尚、上記実施形態では、ゴム板7を使用して中央の小フラップ51sに起立位置に戻る復帰力を持たせているが、弾性を有する部材を配置すれば良く、ゴム板7に代えてU字状に形成した合成樹脂体、金属製のトーションバネを使用しても良い。
また、中央の小フラップ51sとゴム板7を一体にして、中央の小フラップ51s自体に弾性を持たせても良いし、中央の2枚の小フラップ51sは一体化して1枚としても良い。但し、この場合は、いずれも小フラップ51は中央とそれ以外とで異なる構成となる。
【符号の説明】
【0024】
1・・配達物収納箱、2・・前面パネル、3・・本体、5・・フラップ、6・・軸棒、7・・ゴム板(板状の弾性体、付勢部材)、11・・係止部(蝶着部材)、11a・・把持片、21・・投入口、21a・・開口部、51,51a,51b・・小フラップ、51s・・中央の小フラップ、D・・段部、W・・薄肉部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7