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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070691
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/04 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
F25D23/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181337
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】尹 春姫
(72)【発明者】
【氏名】山岸 貴尚
(72)【発明者】
【氏名】魚海 友佳
(57)【要約】
【課題】従来の冷蔵庫では、卵の多段式保持具は、複数の部品を組み立て使用する構造により組み立て作業、解体作業や部品の保管が手間であるという課題がある。
【解決手段】本発明の冷蔵庫10は、断熱箱体11と、断熱箱体11の前面開口部を開閉自在に塞ぐ第2の断熱扉15と、第2の断熱扉15の収納ケース41に配設される可動式卵収納機構51と、を備える。可動式卵収納機構51は、使用時に水平状態へと回転する載置プレート52を有する。そして、載置プレート52は、不使用時には、直立状態へと収納可能となる。この構造により、使用者のライフスタイルに合わせて、収納する卵の数が多い場合には、収納ケースが、2階式の卵収納領域として用いられることが可能となる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室が形成される断熱箱体と、
前記断熱箱体に取り付けられ、前記貯蔵室の前面開口部を開閉自在に塞ぐ断熱扉と、
前記断熱扉に配設される収納ケースと、
前記収納ケースに配設される可動式卵収納機構と、を備え、
前記可動式卵収納機構は、
複数の卵を載置可能な載置プレートと、
前記載置プレートに配設される軸部と、
前記軸部を移動可能に支持する案内溝を有すると共に、前記載置プレートを回転可能に支持する支持部と、を有し、
前記載置プレートは、不使用時には前記収納ケース内に直立状態に収納されると共に、使用時には前記収納ケースの底面と水平状態に展開されることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記軸部は、
前記載置プレートと連結する主軸と、
前記主軸の先端に形成される第1の軸及び第2の軸と、を有し、
前記案内溝は、
前記第1の軸が案内される第1の溝と、
前記第1の溝と連続し、前記第2の軸が案内される第2の溝と、を有することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記載置プレートは、前記直立状態から前記水平状態へと移行する間に、前記底面に対して所定の角度に傾斜した傾斜状態を有し、
前記載置プレートが、前記直立状態から前記傾斜状態へと移行する間では、
前記第1の軸及び前記第2の軸は、それぞれ前記第1の溝及び前記第2の溝に対してスライド移動することを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記載置プレートが、前記傾斜状態から前記水平状態へと移行する間では、
前記第1の軸は、前記第1の溝に対してスライド移動し、
前記第2の軸は、前記第2の溝の内部にて回転することを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記底面には、前記卵を載置する複数の凹部が形成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関し、特に、断熱扉のドアポケットに配設される可動式卵収納機構を備える冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の卵の多段式保持具であり、冷蔵庫内にて多数の卵を保冷可能な構造が開示されている。上記多段式保持具は、主に、保持具本体と、主柱部材と、キャップ部材と、を有する。
【0003】
保持具本体は、卵が収納される棚部と、棚部の長手方向の両端部に形成される一対の脚部及び一対の固着手段と、を有する。そして、保持具本体は、共通部材として用いられる。例えば、卵の多段式保持具が2段構造となる場合には、2段目の保持具本体は、1段目の保持具本体との間に主柱部材を介在させて積層される。このとき、2段目の保持具本体の脚部は、主柱部材の上面に嵌合して固定される。
【0004】
この構造により、上記多段式保持具は、冷蔵室の各収納棚において、卵の数に応じて、冷蔵室の高さ方向に保持具本体を複数段積層することで、整理整頓された状態にて配設される。また、上記多段式保持具では、保持具本体が、各段の脚部と固着手段との間に主柱部材を介在して安定状態にて積層されることで、卵の破損が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-87483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、上記多段式保持具は、主に、保持具本体と、主柱部材と、キャップ部材と、を備える。冷蔵庫の利用者は、購入した卵の数に応じて冷蔵室内に上記多段式保持具を組み立てて、上記卵を収納し保冷する。
【0007】
しかしながら、上記多段式保持具は、組み立て式であり、複数の部品から構成される。そのため、上記利用者は、保持具の部品を保管し、その都度、必要な部品を準備し、組み立てる必要がある。一方、卵を料理にて使用し、その数が減った場合には、不要となった保持具の部品を冷蔵庫から取り出し、保管する必要がある。つまり、上記多段式保持具の組み立て作業、解体作業や各種部品の保管作業は、利用者にとって手間であるという課題がある。
【0008】
また、上記多段式保持具は、保持具本体の脚部上面に主柱部材を組み付ける構造である。そのため、上記多段式保持具として段数が増加することで、全体構造として大型化し易い。そして、冷蔵室の断熱扉側のドアポケットの収納エリアは狭く、上記多段式保持具は、上記ドアポケットには配設され難いという課題がある。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、可動式卵収納機構を備え、多数の卵を収納する際には可動式卵収納機構の載置プレートを展開し、ドアポケットの収納スペースを効率的に使用可能な冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の冷蔵庫では、貯蔵室が形成される断熱箱体と、前記断熱箱体に取り付けられ、前記貯蔵室の前面開口部を開閉自在に塞ぐ断熱扉と、前記断熱扉に配設される収納ケースと、前記収納ケースに配設される可動式卵収納機構と、を備え、前記可動式卵収納機構は、複数の卵を載置可能な載置プレートと、前記載置プレートに配設される軸部と、前記軸部を移動可能に支持する案内溝を有すると共に、前記載置プレートを回転可能に支持する支持部と、を有し、前記載置プレートは、不使用時には前記収納ケース内に直立状態に収納されると共に、使用時には前記収納ケースの底面と水平状態に展開されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の冷蔵庫では、前記軸部は、前記載置プレートと連結する主軸と、前記主軸の先端に形成される第1の軸及び第2の軸と、を有し、前記案内溝は、前記第1の軸が案内される第1の溝と、前記第1の溝と連続し、前記第2の軸が案内される第2の溝と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の冷蔵庫では、前記載置プレートは、前記直立状態から前記水平状態へと移行する間に、前記底面に対して所定の角度に傾斜した傾斜状態を有し、前記載置プレートが、前記直立状態から前記傾斜状態へと移行する間では、前記第1の軸及び前記第2の軸は、それぞれ前記第1の溝及び前記第2の溝に対してスライド移動することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の冷蔵庫では、前記載置プレートが、前記傾斜状態から前記水平状態へと移行する間では、前記第1の軸は、前記第1の溝に対してスライド移動し、前記第2の軸は、前記第2の溝の内部にて回転することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の冷蔵庫では、前記底面には、前記卵を載置する複数の凹部が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の冷蔵庫では、収納ケースが断熱扉のドアポケットに配設され、可動式卵収納機構が上記収納ケース内に配設される。そして、可動式卵収納機構の載置プレートが、使用時に水平状態に展開することで、収納ケースが、2階式の卵収納領域として用いられる。この構造により、冷蔵庫の使用者が、生活スタイルに合わせて多数の卵を一度に購入した場合でも、収納ケース内に収納し、保冷することが出来る。一方、使用者が卵を使用することで、保冷する卵の数が減った場合には、載置プレートが直立状態に収納されることで、収納ケースが有効活用される。
【0016】
また、本発明の冷蔵庫では、載置プレートを回転させる軸部には、第1の軸及び第2の軸が形成される。この構造により、載置プレートは、収納ケースの底面に対して水平状態から直立状態の間にて回転動作することが出来る。
【0017】
また、本発明の冷蔵庫では、載置プレートが直立状態から傾斜状態へと移行する間には、第1の軸及び第2の軸は、それぞれ第1の溝及び第2の溝に対してスライド移動する。この構造により、載置プレートは、収納ケースの背面に対して庫内側へと離間しながら回転する。その結果、載置プレートの回転軸が収納ケースの庫内側へとずれることで、載置プレートの奥行幅が拡大され、卵の収納量が増大される。
【0018】
また、本発明の冷蔵庫では、載置プレートの回転軸が、収納ケースの背面から出来る限り庫内側へと離間した位置となることで、載置プレートの奥行幅が拡大される。また、第1の軸は、載置プレートの回転量を規制し、載置プレートの水平状態が維持される。この構造により、収納ケース内に収納される卵の数が増大されると共に、卵が載置プレートと衝突し、割れたりすることが防止される。
【0019】
また、本発明の冷蔵庫では、収納する卵の数に応じて、収納ケースが、2階式の卵収納領域として使用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明する斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明する側方断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉を説明する斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の可動式卵収納機構を説明する斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の可動式卵収納機構を説明する分解斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の可動式卵収納機構を説明する斜視図である。
図7A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の可動式卵収納機構を説明する側面図である。
図7B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の可動式卵収納機構を説明する側面図である。
図7C】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の可動式卵収納機構を説明する側面図である。
図7D】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の可動式卵収納機構を説明する側面図である。
図8】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の可動式卵収納機構の使用状態を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本実施形態の冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。尚、以下の説明では、上下方向は冷蔵庫10の高さ方向を示し、左右方向は冷蔵庫10を前方から見た横幅方向を示し、前後方向は冷蔵庫10の奥行方向を示している。また、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0022】
図1は、本実施形態の冷蔵庫10を前方側から見た外観構造を説明する斜視図である。図2は、本実施形態の冷蔵庫10の構造を説明する側方断面図である。図3は、本実施形態の冷蔵庫10の第2の断熱扉15のドアポケットを説明する斜視図である。
【0023】
図1及び図2に示すように、冷蔵庫10は、断熱箱体11と、断熱箱体11の内部に形成された貯蔵室と、を備える。また、貯蔵室としては、庫内の上方側から冷凍室12と冷蔵室13が形成される。尚、図1では、説明の都合上、各貯蔵室の付番を示している。
【0024】
断熱箱体11は、主に、冷蔵庫10の外形を形成する鋼板から成る外箱21と、外箱21の内側に形成された箱形の合成樹脂板から成る内箱22と、外箱21と内箱22との間に配設された断熱材23と、を有する。断熱材23としては、例えば、発泡ウレタンが採用される。
【0025】
冷凍室12は、断熱箱体11の庫内の上方側であり、庫内の約1/3程度を用いて形成される。冷凍室12の前面開口部は、第1の断熱扉14により開閉自在に塞がれる。そして、第1の断熱扉14は回転式の扉である。第1の断熱扉14の紙面左右方向の端部側が、断熱箱体11に回転自在に軸支される。
【0026】
冷蔵室13は、断熱箱体11の庫内の下方側であり、庫内の内部空間の約2/3程度を用いて形成される。冷蔵室13の前面開口部は、第2の断熱扉15にて開閉自在に塞がれる。そして、第2の断熱扉15は回転式の扉である。第2の断熱扉15の紙面左右方向の端部側が、断熱箱体11に回転自在に軸支される。尚、冷蔵室13は、例えば、仕切り板部材16により紙面上下方向に複数段に仕切られる。
【0027】
冷凍室12の後方には、冷却室24が区画形成される。冷却室24には冷却器25が配設される。また、断熱箱体11の最下部後方には、機械室26が区画形成される。機械室26には圧縮機27等が配設される。冷却器25及び圧縮機27は、図示しない膨張手段および凝縮器と冷媒配管を経由して接続され、蒸気圧縮冷凍サイクルを形成する。尚、蒸気圧縮冷凍サイクルの各構成機器は、ここでは図示しない冷媒配管を経由して相互に接続される。
【0028】
上記冷凍サイクルが運転することで、冷却器25により冷却室24の内部の空気が冷却される。冷却室24には、送風機28が冷却器25の上方側に配設される。送風機28は、例えば、軸流送風機または遠心送風機である。送風機28は、冷却室24の内部の冷気を、冷凍室12及び冷蔵室13に向けて送風する。そして、上記冷気が、各種風路19,29,30を経由して各貯蔵室に送風され、強制循環することで、冷凍室12は冷凍温度帯域となり、冷蔵室13は冷蔵温度帯域となる。尚、風路30は、他の断面にて冷凍室12と連通し、上記冷気が循環する。
【0029】
冷却室24の冷却器25の下方には、除霜ヒータ20が配置される。上記冷凍サイクルの運転に伴い、冷却器25の表面に厚い着霜が生じる。このようになると、制御部(図示せず)は、圧縮機27を停止して除霜ヒータ20を通電して加熱する除霜運転を行い、上記霜を溶融除去する。尚、除霜ヒータ20としては、電気抵抗加熱式のヒータ、シーズヒータやホットガスデフロスト等が採用される。
【0030】
図3に示すように、第2の断熱扉15は、主に、冷蔵庫10の意匠面を形成する外面板材31と、外面板材31の庫内側に配設される内面板材32と、内面板材32に枠状に取り付けられるガスケット33と、外面板材31と内面板材32との間の空間に形成される断熱材(図示せず)と、を有する。そして、外面板材31は、例えば、鋼板製の板材である。内面板材32は、例えば、合成樹脂製の板材であり、成形金型を用いて真空成形により形成される。
【0031】
第2の断熱扉15の内面板材32には、突出部34が庫内側へと膨出して形成される。突出部34は、ガスケット33の内側であり、第2の断熱扉15の外周端部に沿って1周に渡り形成される。言い換えると、突出部34は、第2の断熱扉15に設けられるドアポケットの収納領域を囲むように形成される。
【0032】
また、第2の断熱扉15のドアポケットとしては、例えば、卵を収納する収納ケース41、調味料等を収納する収納ケース42、43やペットボトル等を収納する収納ケース44、45等が配設される。図示したように、内面板材32の突出部34、35が複数形成され、上記収納ケース41~45の受け部として用いられる。
【0033】
収納ケース41の底面41Aには、卵を安定して配置するための複数の凹部46が形成される。詳細は後述するが、収納ケース41内には、可動式卵収納機構51が配設される。そして、冷蔵庫10の利用者は、多数の卵を保冷する場合には、可動式卵収納機構51の載置プレート52を使用状態へと展開させる。その結果、収納ケース41は、2段型の卵収納領域として用いられる。
【0034】
次に、図4から図8を用いて、可動式卵収納機構51の構造、動作状態及びその使用状態について説明する。
【0035】
図4は、本実施形態の冷蔵庫10の可動式卵収納機構51を前方から見た構造を説明する斜視図である。図5は、本実施形態の冷蔵庫10の可動式卵収納機構51を説明する分解斜視図である。図6は、本実施形態の冷蔵庫10の可動式卵収納機構51の動作状態を説明する斜視図である。図7Aから図7Dは、本実施形態の冷蔵庫10の可動式卵収納機構51の回動状態を説明する側面図である。図8は、本実施形態の冷蔵庫10の可動式卵収納機構51の使用状態を説明する断面図である。尚、図7Aから図7Dでは、説明の都合上、支持部54の案内溝70と軸部53をメインに図示する。
【0036】
図4に示すように、可動式卵収納機構51は、主に、複数の卵を載置可能な載置プレート52と、載置プレート52の両端部に配設される一対の軸部53(図5参照)と、軸部53を移動可能に支持する支持部54と、を備える。そして、可動式卵収納機構51は、第2の断熱扉15の収納ケース41(図3参照)内に配設される。詳細は後述するが、多数の卵を保冷する際に、載置プレート52が、収納ケース41の底面41A(図3参照)に対して略水平状態まで展開され、収納ケース41は、2段式の卵収納領域として用いられる。
【0037】
図5に示すように、載置プレート52は、板状部61と、板状部61の外周端部に沿って形成される枠部62と、を有する。板状部61には、卵を載置するための複数の開口部61Aが形成される。そして、枠部62には、軸部53を挿入し、固定するための一対の挿通孔62Aが形成される。枠部62は、板状部61に対して下方側へと延在し、開口部61Aから下方へと導出する卵の収納領域を確保する。尚、載置プレート52は、例えば、PS樹脂により一体成形される。
【0038】
次に、軸部53は、載置プレート52と連結する一対の主軸63と、主軸63の一端側に形成される第1の軸64及び第2の軸65と、を有する。一対の主軸63は、それぞれ載置プレート52の挿通孔62Aへと挿通される。そして、主軸63の他端側が枠部62に対して固定され、載置プレート52は、軸部53に連動して回転する。また、主軸63は、ダンパー付きのソフトダウン式である。そのため、載置プレート52が、直立状態から水平状態へと移行する際には、スムーズに回転し、利用者にとって使い勝手が良くなる。
【0039】
また、第1の軸64及び第2の軸65は、主軸63の中心を挟むように並列して形成される。第1の軸64及び第2の軸65は、主軸63の先端に嵌め込まれる。尚、図5では、説明の都合上、第1の軸64と第2の軸65とを分離して示している。詳細は後述するが、実線にて示す第1の軸64は第1の溝70A内を移動し、一点鎖線にて示す第2の軸65は第2の溝70B内を移動する。また、軸部53は、主軸63と第1の軸64及び第2の軸65とが別体として形成される場合に限定する必要はなく、例えば、PS樹脂により一体成形される場合でも良い。
【0040】
次に、支持部54は、例えば、上面視略コの字形状であり、側方板66,67,68を有する。側方板66,67,68の底面には、ベース部69が形成される。そして、支持部54は、自立型の構造として形成され、収納ケース41の底面41A(図3参照)上に立設して配設される。
【0041】
また、側方板66,67には、それぞれ軸部53を支持する案内溝70が形成される。案内溝70は、第1の軸64が挿入される第1の溝70Aと第2の軸65が挿入される第2の溝70Bとを有する。そして、第1の軸64と第2の軸65が、それぞれ第1の溝70Aと第2の溝70B内を移動すると共に、第2の軸65は、第2の溝70B内にて回転する。この構造により、載置プレート52は、収納ケース41内にて、使用時には水平状態に展開し、また、不使用時には直立状態にて収納される。
【0042】
また、側方板66,67の先端側には、それぞれ載置部71が形成される。更には、載置プレート52の枠部62には、紙面左右方向の側面に一対の凸部73が形成される。一方、支持部54の側方板66,67には、一対の凹部72が形成される。載置プレート52が水平状態に展開された際に、載置部71が、載置プレート52の先端側を載置し、その下方から支持する。更には、上記一対の凸部73が、上記一対の凹部72内へと嵌め込まれる。そして、載置プレート52は、軸部53、載置部71、凹部72及び凸部73による6点支持状態となることで、安定して水平状態に展開される。また、載置プレート52は、収納ケース41内にて、2階部分の卵の収納領域となる。このとき、載置部71が、載置プレート52の枠部62を載置することで、1階部分の卵の収納領域が確保される。そして、載置プレート52に収納された卵が、凹部46に収納された卵と衝突することが防止される。尚、支持部54は、例えば、PS樹脂により一体成形される。
【0043】
図6に示すように、軸部53が、案内溝70内に挿入され、案内溝70内を移動し、また、案内溝70内にて回転する。この構造により、載置プレート52は、軸部53の動きに連動し、支持部54に軸支された状態にて回転動作する。
【0044】
載置プレート52は、収納ケース41の底面41A(図3参照)に対して90度回転することで、直立状態となる。そして、載置プレート52の直立状態は、可動式卵収納機構51の不使用時の収納状態である。
【0045】
また、載置プレート52は、収納ケース41の底面41Aに対して非回転時には、水平状態となる。そして、載置プレート52の水平状態は、可動式卵収納機構51の使用状態である。
【0046】
また、載置プレート52が、収納ケース41の底面41Aに対して0度から上記90度まで回転することで、可動式卵収納機構51の使用状態から収納状態へと移行する。詳細は後述するが、載置プレート52の0度から50度までの回転は、第2の軸65が第2の溝70B内で回転し、第1の軸64が第1の溝70A内をスライド移動することで行われる。一方、載置プレート52の50度から90度までの回転は、第1の軸64及び第2の軸65が第1の溝70A及び第2の溝70B内をスライド移動することで行われる。
【0047】
尚、載置プレート52が、収納ケース41の底面41Aに対して50度回転し、その時点における載置プレート52の傾斜状態が、本願発明に記載した所定の角度に傾斜した傾斜状態に対応する。
【0048】
次に、図7Aから図7Dを用いて、可動式卵収納機構51を使用する際に、載置プレート52が上記直立状態から上記水平状態へと移行する動作状態について説明する。尚、可動式卵収納機構51を収納する際の動作状態はその逆であり、ここではその説明を省略する。
【0049】
図7Aでは、載置プレート52と収納ケース41の底面41A(図3参照)との回転角度が90度の場合を示す。支持部54の側方板66には、支持部54の高さ方向(紙面上下方向)へと延在する第1の溝70A及び支持部54の奥行方向(紙面前後方向)へと延在する第2の溝70Bが形成される。そして、第2の溝70Bは、第1の溝70Aの上端側にて第1の溝70Aと連続して形成される。
【0050】
図示したように、第1の軸64は、第1の溝70A内へと挿入され、第2の軸65は、第2の溝70B内へと挿入される。載置プレート52の直立状態では、第1の軸64は、第1の溝70Aの下端に位置し、第2の軸65は、第1の溝70Aと第2の溝70Bとの境界に位置する。
【0051】
ここで、第1の溝70Aは、収納ケース41の庫内側(紙面後方側)へと湾曲した曲線と収納ケース41の庫外側(紙面前方側)へと湾曲した曲線が連続して形成される。一方、第2の溝70Bは、収納ケース41の上方側へと湾曲した曲線により形成される。
【0052】
可動式卵収納機構51の収納時には、載置プレート52には、その自重により収納ケース41の庫内側へと傾斜する力が加わる。しかしながら、第1の溝70A及び第2の溝70Bの形状により、第1の軸64の回転動作及び第2の軸65のスライド移動が規制される。この構造により、可動式卵収納機構51の不使用時に、第2の断熱扉15の振動等により、載置プレート52が、勝手に倒れ、水平状態へと転換されることが防止される。
【0053】
図7Bでは、載置プレート52と収納ケース41の底面41Aとの回転角度が70度の場合を示す。上述したように、載置プレート52の収納状態では、載置プレート52は、上記直立状態を維持する。そして、使用者が、図7Aに示す直立状態から載置プレート52を斜め上方の庫内側へと引っ張ることで、載置プレート52が、図7Aの状態から図7Bの状態へと移行する。
【0054】
図7Aの矢印にて示すように、使用者による載置プレート52の操作により、第1の軸64は、第1の溝70Aにガイドされ、第1の溝70A内を上方へと移動する。同様に、第2の軸65は、第2の溝70Bにガイドされ、第2の溝70B内を前方へと移動する。
【0055】
このとき、載置プレート52は、第1の軸64及び第2の軸65を回転軸として回転するのではなく、第1の軸64及び第2の軸65が第1の溝70A及び第2の溝70B内をスライド移動することで回転する。そして、第1の溝70Aが、収納ケース41の前方側へと湾曲する形状のため、載置プレート52は、収納ケース41の背面である内面板材32(図3参照)から離間しながら庫内側へと回転する。
【0056】
図7Cでは、載置プレート52と収納ケース41の底面41Aとの回転角度が50度の場合を示す。図7Bの状態から引き続き、使用者が、載置プレート52を斜め上方の庫内側へと引っ張ることで、載置プレート52が、図7Bの状態から図7Cの状態へと移行する。
【0057】
図7Bの矢印76,77にて示すように、第1の軸64及び第2の軸65は、それぞれ第1の溝70A及び第2の溝70Bにガイドされ、第1の溝70A及び第2の溝70B内をスライド移動する。そして、載置プレート52は、収納ケース41の背面である内面板材32(図3参照)から更に離間しながら庫内側へと回転する。尚、図7Cに示す状態では、第2の軸65は、第2の溝70Bの前方側の端部に到達する。
【0058】
図7Dでは、載置プレート52と収納ケース41の底面41Aとの回転角度が0度の場合を示す。図7Cの状態から、使用者が、載置プレート52を斜め下方の庫内側へと引っ張ることで、載置プレート52が、図7Cの状態から図7Dの状態へと移行する。つまり、載置プレート52は、収納ケース41の底面41Aと略水平状態となり、可動式卵収納機構51の使用状態となる。そして、図8に示すように、収納ケース41は、2段式の卵収納領域となる。
【0059】
図7Cの矢印78にて示すように、第2の軸65は、第2の溝70B内にて回転する。一方、矢印79にて示すように、第1の軸64は、第1の溝70Aにガイドされ、第1の溝70A内をスライド移動する。つまり、載置プレート52は、第2の溝70Bの端部にて第2の軸65を回転軸として回転する。そして、第1の軸64は、第1の溝70Aの上方側の端部まで到達することで、第2の軸65の回転は停止する。
【0060】
上述したように、上記回転角度が50度から90度の間は、載置プレート52は、収納ケース41の背面である内面板材32から前方側へと離間しながら回転する。この構造により、載置プレート52の回転軸が内面板材32から離間することで、載置プレート52の奥行方向の幅を最大限に広げることが可能となる。そして、収納ケース41では、構造設計上その広さに制限がある中にて、載置プレート52が幅広く形成されることで、卵の収納量が増加する。
【0061】
一方、可動式卵収納機構51の不使用時には、載置プレート52は、内面板材32の際まで寄せて上記直立状態となる。この構造により、可動式卵収納機構51が収納ケース41内に設置されるが、収納ケース41の収納容積の低減量が抑えられる。そして、収納ケース41の底面41Aには、複数の凹部46が形成される。
【0062】
図8に示すように、可動式卵収納機構51の使用時には、載置プレート52は、収納ケース41の上方を塞ぐように、収納ケース41の底面41Aと略水平状態に展開される。上述したように、載置プレート52は、軸部53、載置部71、凹部72及び凸部73による6点支持状態となることで、安定して水平状態に展開される。そして、載置プレート52が、上記水平状態から収納ケース41の底面41A側へと垂れることが防止される。その結果、2段目の載置プレート52に収納された卵が、1段目の収納ケース41の底面41A上に収納された卵と衝突することが防止される。また、載置プレート52は、収納ケース41内にて、2階部分の卵の収納領域となるが、第2の断熱扉15の開閉時の振動等に、卵が落下等し難い構造となる。
【0063】
尚、本実施形態の冷蔵庫10では、可動式卵収納機構51が、第2の断熱扉15の収納ケース41に配設される場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、可動式卵収納機構51は、冷蔵庫10の本体側の冷蔵室13内に配設される場合でも良い。この場合には、冷蔵室13の仕切り板部材16の上面に卵パックを載置し、その上方に載置プレート52を展開させることで上述した2階式の収納が可能となり、同様な効果が得られる。
【0064】
また、可動式卵収納機構51の支持部54は、側方板66,67,68を有し、自立型の構造として説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、支持部54は、案内溝70及び載置部71が形成された側方板66,67からなる場合でも良い。この場合には、側方板66,67が、収納ケース41の組み付け溝(図示せず)に嵌合し、収納ケース41内にて並行状態に固定される。そして、載置プレート52が、側方板66,67間に回転可能に支持されることで、上述した効果が得られる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
12 冷凍室
13 冷蔵室
14 第1の断熱扉
15 第2の断熱扉
16 仕切り板部材
23 断熱材
31 外面板材
32 内面板材
33 ガスケット
34 突出部
41 収納ケース
41A 底面
46 凹部
51 可動式卵収納機構
52 載置プレート
53 軸部
54 支持部
61 板状部
61A 開口部
62 枠部
62A 挿通孔
63 主軸
64 第1の軸
65 第2の軸
66,67,68 側方板
70 案内溝
71 載置部
72 凹部
73 凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8