(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007070
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】スラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20240111BHJP
B29B 13/10 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
C08J3/12 A CER
C08J3/12 CEZ
B29B13/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108262
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松本優子
(72)【発明者】
【氏名】古賀倫太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木康資
【テーマコード(参考)】
4F070
4F201
【Fターム(参考)】
4F070AA53
4F070AB09
4F070AB11
4F070AC04
4F070AC43
4F070AC45
4F070AC66
4F070AC83
4F070AC92
4F070AE02
4F070AE03
4F070AE04
4F070AE09
4F070AE17
4F070DA46
4F070DB09
4F070DC07
4F070DC09
4F070FA01
4F070FA17
4F070FC03
4F201AA31
4F201AC01
4F201AR12
4F201BC01
4F201BC03
4F201BD01
4F201BN12
4F201BN30
4F201BN31
(57)【要約】
【課題】熱可塑性樹脂組成物の成形品の成形過程(トリミング等)で生じる廃材及び端材を、スラッシュ成形法で成形可能な粉体流動性を有する熱可塑性樹脂組成物粒子に製造することで、リサイクルの向上に貢献しようとしたものである。
【解決手段】熱可塑性樹脂組成物成型品の細断物を冷凍粉砕する冷凍粉砕工程を有するスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子の製造方法であり、JIS B 7184に準拠した測定投影機により得られる前記細断物の投影図における水平方向の平均寸法及び水平方向に直行する方向における平均寸法のそれぞれが1~300mmであるスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂組成物成型品の細断物を冷凍粉砕して粉砕粒子を得る冷凍粉砕工程を有するスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子の製造方法。
【請求項2】
JIS B 7184に準拠した測定投影機により得られる前記細断物の投影図における水平方向の平均寸法及び水平方向に直行する方向における平均寸法のそれぞれが1~300mmである請求項1に記載のスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子の製造方法。
【請求項3】
冷凍粉砕工程で得られる粉砕粒子の形状係数SF1が120~230である請求項1又は2に記載のスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子の製造方法。
【請求項4】
粉砕粒子と、前記粉砕粒子以外の熱可塑性樹脂組成物粒子とを混合する混合工程を有する請求項1又は2に記載のスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子の製造方法。
【請求項5】
粉砕粒子及び前記粉砕粒子以外の前記熱可塑性樹脂組成物粒子は、ウレタン樹脂組成物粒子及び/又はウレタンウレア樹脂組成物粒子である請求項1又は2に記載のスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子の製造方法。
【請求項6】
粉砕粒子及び前記前記粉砕粒子以外の可塑性樹脂組成物粒子は、ウレタン樹脂組成物粒子及び/又はウレタンウレア樹脂組成物粒子である請求項4に記載のスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物成型品の細断物を冷凍粉砕して粉砕粒子を得る冷凍粉砕工程を有するスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の内装材及び芯地用接着剤等を中心に熱可塑性樹脂組成物の成形品が用いられている(特許文献1)。これら成形品の成形過程(トリミング等)で生じる廃材及び端材について、これまで再利用が行われてこなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、地球環境への負荷低減の観点から、材料のリサイクルが推進されている。自動車の内装表皮材を成形するスラッシュ成形法では、一般的にアンダーカットなど複雑な形状を成形するために、優れた粉体流動性を有する粉体が求められるが、熱可塑性樹脂組成物成形品の廃材及び端材は、粉体ではなく、また単純に粉砕するだけでは流動性が低い粉体となるため、スラッシュ成形法のマテリアルリサイクルには不向きであるとされている。
本発明は、熱可塑性樹脂組成物の成形品の成形過程(トリミング等)で生じる廃材及び端材を、スラッシュ成形法で成形可能な粉体流動性を有する熱可塑性樹脂組成物粒子に製造することで、リサイクルの向上に貢献しようとしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は、熱可塑性樹脂組成物成型品の細断物を冷凍粉砕して粉砕粒子を得る冷凍粉砕工程を有するスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子の製造方法によれば、スラッシュ成形法で成形可能な粉体流動性を有する熱可塑性樹脂組成物粒子を熱可塑性樹脂組成物成形品の廃材及び端材から製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明において、熱可塑性樹脂組成物成型品は、熱可塑性樹脂組成物からなる成形品である。成形品の成形過程(トリミング等)で生じる廃材及び端材であってもよい。
本発明において、熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含む組成物である。
本発明において、熱可塑性樹脂は特に限定されないが、ウレタン樹脂、ウレタンウレア樹脂、エポキシ化合物、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、不飽和イミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられるが、好ましくはポリウレタン樹脂及びポリウレタンウレア樹脂である。
【0008】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物成型品の細断物を冷凍粉砕する冷凍粉砕工程を有するスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子の製造方法である。
熱可塑性樹脂組成物成型品の細断物は、JIS B 7184に準拠した測定投影機により得られる細断物の投影図における水平方向の平均寸法及び水平方向に直行する方向における平均寸法のそれぞれが、好ましくは1~300mmであり、更に好ましくは、1~100mmであり、最も好ましくは1~20mmである。300mmより大きいと、冷凍粉砕工程において装置に入らないといった問題がある。
【0009】
前記熱可塑性樹脂組成物成型品の細断物は、前記熱可塑性樹脂組成物成型品を細断する細断工程を経ることにより得られる。
細断工程では、細断装置を用いて、熱可塑性樹脂組成物成型品を立方体状及び直方体状等のような所望の形状に細断する。
細断装置としては、カッター刃を備えるペレタイザー、カッターミル、セントリーカッター、一軸破砕機及び二軸破砕機等が挙げられる。
【0010】
本発明のスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子は、熱可塑性樹脂組成物成型品の細断物を冷凍粉砕する冷凍粉砕工程を有する。
具体的には、熱可塑性樹脂組成物成型品の細断物を液体窒素に浸漬して冷凍し、冷凍後の熱可塑性樹脂組成物成型品の細断物を冷凍粉砕機に投入して粉砕することにより行われる。
前記冷凍粉砕機としては、超遠心粉砕機(ZM-200、Retsch製)、ジェットミル(STJ-200、セイシン企業製)やハンマーミル(H-12、ホソカワミクロン製)、バンタムミル(AP-B、ホソカワミクロン製)ピンミル(160Z、パウレック製)フェザミル(FM、ホソカワミクロン製)、ハンマーミル(HM-600、奈良機械製作所製)、フラッシュミル(FL-250N、ダルトン製)、ボールミル(Emax、Retsch製)、振動ボールミル(2C、TRU製)及びスクリーンを通過させるスクリーンミル(U30、パウレック製)等が挙げられる。
これらの内、液体窒素存在下で粉砕可能であり、連続粉砕可能な観点より、超遠心粉砕機及びハンマーミル等が好ましい。
【0011】
さらに、冷凍粉砕工程で得られた粉砕粒子を所望する範囲の粒度に調整する、分級工程を有しても良い。
前記分級工程での粒度の調整方法として、JIS標準篩(JIS Z8801-1(2000))を用いた篩分級や気流分級等が挙げられる。中でも、分級効率の観点から、好ましくは篩分級が選択される。
【0012】
前記粉砕粒子の体積平均粒径は、粉体流動性及び粒子間の凝集の観点から、好ましくは100~1000μmであり、更に好ましくは200~400μmである。
冷凍粉砕工程の条件(温度、及び粉砕機の回転速度等)を調整することによって体積平均粒径をこの範囲にしてもよく、冷凍粉砕工程の後に分級工程を行うことによって体積平均粒径をこの範囲にしてもよい。
尚、本発明における体積平均粒径は、実施例に記載の方法で測定される。
【0013】
前記粉砕粒子の形状係数SF1は、粉体流動性の観点より、好ましくは120~230であり、更に好ましくは120~200である。
冷凍粉砕工程の条件(温度、及び粉砕機の回転速度等)を調整することによって形状係数SF1をこの範囲にしてもよく、冷凍粉砕工程の後に分級工程を行うことによって形状係数SF1をこの範囲にしてもよい。
尚、本発明における形状係数SF1は、粒子形状の丸さを示すものであり、下記式(1)で表される、粉砕粒子を2次元平面に投影してできる図形の最長径の二乗を投影図形の面積で除して、100π/4を乗じた値である。
形状係数SF1={(最長径)2/(投影図形の面積)}×(100π/4) (1)
【0014】
本発明のスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子は、粉砕粒子と粉砕粒子以外の熱可塑性樹脂組成物粒子とを混合する混合工程を有しても良い。
粉砕粒子以外の熱可塑性樹脂組成物粒子としては、特に限定されないが、例えば、特許第6276641号に記載のスラッシュ成形用粉末状熱可塑性ウレタンウレア樹脂組成物等が挙げられる。
粉砕粒子と粉砕粒子以外の熱可塑性樹脂組成物粒子とを混合する場合の混合装置としては、公知の粉体混合装置を使用でき、容器回転型混合機、固定容器型混合機及び流体運動型混合機のいずれも使用できる。例えば固定容器型混合機としては高速流動型混合機、複軸パドル型混合機、高速剪断混合装置[ヘンシエルミキサ(登録商標)等]、低速混合装置(プラネタリーミキサー等)及び円錐型スクリュー混合機[ナウタミキサ(登録商標、以下省略)等]が挙げられ、これらの中で好ましいのは、複軸パドル型混合機、低速混合装置(プラネタリーミキサー等)及び円錐型スクリュー混合機(ナウタミキサ等)である。
【0015】
粉砕粒子と粉砕粒子以外の熱可塑性樹脂組成物粒子との混合物に含まれる粉砕粒子の重量割合は、粉体流動性の観点より、粉砕粒子と粉砕粒子以外の熱可塑性樹脂組成物粒子との合計重量に基づいて好ましくは1~90重量%であり、更に好ましくは1~50重量%であり、更に好ましくは1~30重量%である。
【0016】
前記混合物は、スラッシュ成形法で表皮等の樹脂成形物を製造するための材料として特に有用である。スラッシュ成形法としては、前記混合物が入ったボックスと加熱した金型を共に振動回転させ、パウダーを型内で溶融流動させた後、冷却後、固化させ、表皮を製造する方法を挙げることができる。
金型温度は好ましくは200~300℃、更に好ましくは210~250℃である。
【0017】
成形表皮は、表面を発泡型に接するようにセットし、ウレタンフォームを流し、裏面に5mm~15mmの発泡層を形成させて、成形品とすることができる。前記混合物で成形された成形品は、自動車内装材、例えばインストルメントパネル及びドアトリム等に好適に使用される。
【実施例0018】
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の部は重量部、%は重量%を表す。
【0019】
<製造例1>スラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子(U-1)の製造
温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に、ポリエステルジオールとしてのMnが2300のポリエチレンイソフタレート282.9部及びポリエステルジオールとしてのMnが1,000のポリブチレンアジペート424.4部、モノオールとしてのベンジルアルコール9.34部並びに低分子ジオールとしての1,4-ブタンジオール5.88部を仕込み、窒素置換した後、撹拌しながら110℃に加熱して溶融させ、50℃まで冷却した。続いて、有機溶媒としてのメチルエチルケトン150.0部及び有機ジイソシアネートとしてのヘキサメチレンジイソシアネート132.0部を投入し、90℃で6時間反応させた。次いで、70℃に冷却した後、安定剤としてのイルガノックス1010[チバスペシャリティーケミカルズ(株)社製]1.4部を加え、均一に混合してウレタンプレポリマー(Up-1)の溶液を得た。続いて、反応容器に、分散安定剤としてのサンスパールPS-8[三洋化成工業(株)製]5.9部を水152部に溶解した水溶液157.9部と有機溶媒としてのメチルエチルケトン37.1部を加えて20℃で均一に撹拌後、ウルトラディスパーサー[ヤマト科学(株)製]を用いて周速23m/s(回転数:10,000rpm)の攪拌下にジアミンとしてのヘキサメチレンジアミン1.7部を加え1分間混合した。続いて、75℃に温調したプレポリマー(Up-1)の溶液103.3部を投入し、周速23m/sで2分間混合し後、混合物を温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に移し、窒素置換し、撹拌しながら50℃で10時間反応させた。反応終了後、濾別及び乾燥を行い、熱可塑性樹脂組成物粒子(U’-1)を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物粒子(U’-1)は粉粒状であり、その体積平均粒径は205μmであった。
可塑剤としてのポリエチレングリコール(重合度2~10)のジ安息香酸エステル[商品名:サンソフトEB300、三洋化成工業株式会社製]5.8部に、顔料としてのカーボンブラック1.3部を分散させた顔料分散液6.1部と、熱可塑性樹脂組成物粒子(U’-1)100部を、ミキサー[CRUSH MILLSER、Iwatani製]に投入し、回転速度700min-1で1分間攪拌した。
次いで、ナウターミキサー[LABOMIXER LV-1、ホソカワミクロン製]に移し、紫外線吸収剤としてのビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート(混合物)[商品名:チヌビン765、BASFジャパン株式会社製]0.3部を投入し70℃で撹拌下に4時間混合し、可塑剤と紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂組成物粒子(U’-1)に含浸させた。
次いで離型剤としてのジメチルポリシロキサン[商品名:ケイL45-10000、日本ユニカー株式会社製]0.06部を投入し30分混合した後室温まで冷却した。最後に、ブロッキング防止剤としての架橋ポリメチルメタクリレート[商品名:ガンツパールPM-030S、ガンツ化成株式会社製]0.5部を室温で30分混合しスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子(U-1)を得た。
【0020】
<製造例2>熱可塑性樹脂組成物成型品(X)の製造
外部離型剤としてのシリコーン系離型剤(ケムトレンドジャパン株式会社製「ケムリース#41GOLD-NC EZ」)を塗布し予め250度に加熱されたしぼ模様の入ったNi電鋳型に熱可塑性樹脂組成物粒子(U-1)を充填し、10秒後余分な熱可塑性樹脂組成物粒子を排出した。60秒後水冷して熱可塑性樹脂組成物成型品(厚さ1mm)(X)を作製した。
【0021】
<実施例1>粉砕粒子(P-1)の製造
熱可塑性樹脂組成物成型品(X)をペレタイザーで細断することで、JIS B 7184に準拠した測定投影機により得られる細断物の投影図における水平方向の平均寸法及び水平方向に直行する方向における平均寸法のそれぞれが10mm角の細断物を得た。この細断物を液体窒素に1分間浸漬し、遠心粉砕機[ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製 超遠心粉砕機ZM200]に投入し粉砕した。粉砕物を目開き750μmのJIS標準篩(JIS Z8801-1(2000))を用いた篩分級することで粉砕粒子(P-1)を得た。
【0022】
<実施例2>粉砕粒子(P-2)の製造
熱可塑性樹脂組成物成型品(X)をペレタイザーで細断することで、JIS B 7184に準拠した測定投影機により得られる細断物の投影図における水平方向の平均寸法及び水平方向に直行する方向における平均寸法のそれぞれが10mm角の細断物を得た。この細断物を液体窒素に1分間浸漬し、遠心粉砕機[ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製 超遠心粉砕機ZM200]に投入し粉砕した。粉砕物を目開き425μmのJIS標準篩(JIS Z8801-1(2000))を用いた篩分級することで粉砕粒子(P-2)を得た。
【0023】
<実施例3>混合物(P-3)の製造
粉砕粒子(P-1)25部、スラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子(U-1)75部をプラネタリーミキサーに投入し、100rpmで10秒間混合し、粉砕粒子と粉砕粒子以外のスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子とを混合した混合物(P-3)を得た。
【0024】
<実施例4>混合物(P-4)の製造
粉砕粒子(P-2)25部、スラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子(U-1)75部をプラネタリーミキサーに投入し、100rpmで10秒間混合し、粉砕粒子と粉砕粒子以外のスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子とを混合した混合物(P-4)を得た。
【0025】
<比較例1>
熱可塑性樹脂組成物成型品(X)をカッターミルで粉砕し、この粉砕物を目開き500μmのJIS標準篩(JIS Z8801-1(2000))を用いた篩分級することで比較用粉砕粒子(P’-1)を得た。
【0026】
<比較例2>
前記スラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子(U-1)を比較例2とした。
【0027】
得られた(P-1)~(P-4)及び(P’-1)、(U-1)について以下の方法で測定又は評価した結果を表1に示す。
【0028】
【0029】
<粉砕粒子の重量割合>
粉砕粒子の重量割合は、粉砕粒子と粉砕粒子以外のスラッシュ成形用熱可塑性樹脂組成物粒子との合計重量に対する粉砕粒子の重量の割合である。
【0030】
<体積平均粒径の測定方法>
レーザー回折式粒子径分布測定装置[日機装(株)製「Microtrac MT3000II」]を用いて測定し、得られた相対累積粒径分布曲線において累積量が50%のときの粒径(d50)を体積平均粒径とした。
【0031】
<形状係数SF1の測定方法>
レーザー回折式粒子径分布測定装置[日機装(株)製「Microtrac MT3000II」]を用いて測定した。下記式(1)で表される、粒子を2次元平面に投影してできる図形の最長径の二乗を投影図形の面積で除して、100π/4を乗じた値を形状係数SF1とした。形状係数SF1の値が100の場合、粒子の形状は真球であり、形状係数SF1の値が大きくなるほど、粒子は不定形になる。
形状係数SF1={(最長径)2/(投影図形の面積)}×(100π/4) (1)
【0032】
<粉体流動性>
温度23℃相対湿度50%において、粉砕粒子(P-1)~(P-4)及び比較用粉砕粒子(P’-1)及び(U-1)の、JIS K6720-2(1999年)かさ比重測定で規定される、かさ比重測定装置(東京蔵持科学器械製作所製)でのかさ比重を測定した。指標値が大きいほど、成型品にピンホールや欠肉などの不具合が発生しにくくなり、得られた粉砕粒子の粉体流動性に優れると言える。
【0033】
表1に記載の実施例1~4の粉砕粒子の粉体流動性は、冷凍粉砕工程を有しない比較例1よりも良好であり、粉砕粒子を使用していない比較例2と同等である。