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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070710
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20240516BHJP
   F25D 21/06 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
F25D11/00 101B
F25D21/06 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181370
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 亮
【テーマコード(参考)】
3L045
3L046
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045LA12
3L045LA14
3L045MA02
3L045MA04
3L045MA12
3L045NA17
3L045NA22
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA04
3L045PA05
3L046AA02
3L046BA01
3L046CA07
3L046CA11
3L046FB01
3L046GA02
3L046GA06
3L046GB01
3L046JA11
3L046KA00
3L046KA02
3L046KA04
3L046LA22
3L046MA01
3L046MA02
3L046MA04
3L046MA05
(57)【要約】
【課題】閉扉状態が不完全であっても、冷却器に付着した霜を除去する除霜運転を適切に行うことができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫1は、貯蔵空間6,7の開口部に設けられた扉6a,7aと、貯蔵空間6,7を冷却する冷却器と、冷却器15によって貯蔵空間6,7を冷却する冷却運転と、冷却器15に付着した霜を除去する除霜運転とを切り替えて実行する制御部9aと、扉6a,7aの閉扉状態が第1閉扉状態であるか、第1閉扉状態よりも気密性が低い第2閉扉状態であるかを判定する判定部9cと、を備え、制御部9aは、冷却運転中に判定部9cが第2閉扉状態にあると判定すると、冷却運転または除霜運転の制御を変更する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵空間の開口部に設けられた扉と、
前記貯蔵空間を冷却する冷却器と、
前記冷却器によって前記貯蔵空間を冷却する冷却運転と、前記冷却器に付着した霜を除去する除霜運転とを切り替えて実行する制御部と、
前記扉の閉扉状態が第1閉扉状態であるか、前記第1閉扉状態よりも気密性が低い第2閉扉状態であるかを判定する判定部と、を備え、
前記制御部は、冷却運転中に前記判定部が前記第2閉扉状態にあると判定すると、前記冷却運転または前記除霜運転の制御を変更する、冷蔵庫。
【請求項2】
前記制御部は、冷却運転中に前記判定部が前記第2閉扉状態にあると判定すると、次回の除霜運転を開始するまでの時間を短くする、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
冷却運転中に前記判定部が前記第2閉扉状態にあると判定すると、前記冷却運転を中断して前記除霜運転を実行する、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記制御部は、冷却運転中に前記判定部が前記第2閉扉状態にあると判定すると、冷却運転における冷却の程度を弱める、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記制御部は、冷却運転中に前記判定部が前記第2閉扉状態にあると判定すると、冷却運転における冷却の程度を弱めた上で、冷却運転の時間を長くする、請求項4に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
第1貯蔵空間の開口部に設けられた第1扉と、
第2貯蔵空間の開口部に設けられた第2扉と、
前記第1貯蔵空間を冷却する冷気を生成する第1冷却器と、
前記第2貯蔵空間を冷却する冷気を生成する第2冷却器と、
前記第1冷却器によって前記第1貯蔵空間を冷却する第1冷却運転と、前記第2冷却器によって前記第2貯蔵空間を冷却する第2冷却運転と、前記第1冷却器に付着した霜を除去する除霜運転とを切り替えて実行する制御部と、
前記第1扉の閉扉状態が第1閉扉状態であるか、前記第1閉扉状態よりも気密性が低い第2閉扉状態であるかを判定する判定部と、を備え、
前記制御部は、前記判定部が前記第1扉の閉扉状態を前記第2閉扉状態と判定すると、前記第1冷却運転と、前記第1冷却器によって前記第1貯蔵空間を冷却しつつ前記第2冷却器によって前記第2貯蔵空間を冷却する第3冷却運転と、前記除霜運転とを切り換えて実行する、請求項1に記載の冷蔵庫。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫では、半扉と呼ばれる扉が開放された状態が続くと、庫外の空気が庫内へ流れ込み、庫内の冷却が正常に行えず庫内温度が上昇するおそれがある。そこで、扉の開閉を検知する扉開閉検知部によって扉が所定時間開放され続けていることを検出すると、使用者に警告して閉扉を使用者に促すようになっている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-70066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、扉に設けられたガスケットと冷蔵庫本体との間に異物が挟まった状態で閉扉された場合等のように、扉と冷蔵庫本体との間に僅かな隙間を残して不完全に扉が閉扉されることがある。
【0005】
このような不完全な閉扉状態では、外気の流入によって急激に冷却器に着霜してしまうなどして、庫内を正常に冷却することに支障をきたすおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、閉扉状態が不完全であっても、庫内の冷却性能を確保できる冷蔵庫を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態の冷蔵庫は、貯蔵空間の開口部に設けられた扉と、前記貯蔵空間を冷却する冷却器と、前記冷却器によって前記貯蔵空間を冷却する冷却運転と、前記冷却器に付着した霜を除去する除霜運転とを切り替えて実行する制御部と、前記扉の閉扉状態が第1閉扉状態であるか、前記第1閉扉状態よりも気密性が低い第2閉扉状態であるかを判定する判定部と、を備え、前記制御部は、冷却運転中に前記判定部が前記第2閉扉状態にあると判定すると、前記冷却運転または前記除霜運転の制御を変更するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の冷蔵庫の概略構成を示す縦断面図
図2図1の冷蔵庫における冷凍サイクル装置を示す模式図
図3図1の第1実施形態の冷蔵庫の電気的構成を示すブロック図
図4図1の冷蔵庫の動作中の冷蔵空間温度、冷凍空間温度、及び冷凍冷却器温度の時間変化の一例を示すグラフ
図5】(a)は判定部が冷凍空間扉の開扉状態を第1状態と判定した場合の運転内容を示す図、(b)~(d)は判定部が冷凍空間扉の開扉状態を第2状態と判定した場合の運転内容を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態について図面に基づき説明する。以下の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以下の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。以下の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0010】
以下の説明において、左右方向、前後方向、上下方向とは、冷蔵庫を正面から見たときの方向を示し、左右方向は冷蔵庫の幅方向に相当する。また、右、左、上、下、前、後、奥、背、手前とは、特に規定がない場合には冷蔵庫を正面から見たときの位置や側などを示し、冷蔵庫の扉については閉扉状態において冷蔵庫を正面から見たときの位置や側などを示す。
【0011】
(1)冷蔵庫1の構成
図1に示すように、冷蔵庫1は、前面に開口する断熱箱体からなる冷蔵庫本体2を備える。冷蔵庫本体2は鋼板製の外箱2aと真空成形により設けられる合成樹脂製の内箱2bとの間隙に真空断熱パネルやウレタンフォームなどの断熱材2cを配置し、前面を開口し内部を貯蔵空間とした縦長の断熱箱体からなる。冷蔵庫本体2の内部に形成された貯蔵空間は、断熱仕切壁によって上方の冷蔵空間と下方の冷凍空間に断熱区画されている。
【0012】
断熱仕切壁の上方の冷蔵空間は、単一の内箱2bで形成された冷蔵温度帯(例えば、0~4℃)に冷却される空間である。冷蔵空間には、複数の載置棚を設けた冷蔵室3と貯蔵容器である下部ケースと上部ケースを備えた野菜室4とを隣接状態で上下に区分配置している。
【0013】
冷蔵室3の前面開口部は、該開口部を幅方向に区分する観音開き式の左右一対の断熱性の冷蔵室扉3aにより閉塞される。この冷蔵室扉3aは、冷蔵庫本体2の左右両側に設けたヒンジにより回動自在に枢支されている。冷蔵室扉3aの前面には、使用者から冷蔵庫1の設定等を受け付けたり、冷蔵庫1の設定状況等を表示する操作表示部8が設けられている。
【0014】
冷蔵室3の内部は、複数の棚板によって上下に複数段に区画されている。最下段の棚板の下方空間は、引出容器を収納するチルド室が設けられており、冷蔵室3内に設けられた小貯蔵室を構成する。
【0015】
冷蔵室3の背面には、冷蔵室3の庫内温度を測定する冷蔵空間温度検出部24が設けられている。冷蔵室3は、不図示の連通孔によって野菜室4と連通し、冷蔵室3の冷気が野菜室4に流通するようになっている。そのため、冷蔵空間温度検出部24は、冷蔵室3及び野菜室4からなる冷蔵空間の庫内温度を検出する温度検出部として機能する。
【0016】
野菜室4の前面開口部には、引出し式の断熱性の野菜室扉4aが設けられている。野菜室扉4aは、冷蔵室扉3aとともに冷蔵空間の前面開口部に設けられた冷蔵空間扉を構成する。野菜室扉4aの背面部には、貯蔵容器を構成する上下2段の収納ケースが連結されている。冷蔵室3及び野菜室4の前面開口部の周縁部には、各扉3a、4aの開閉を検知する押しボタンスイッチやリードスイッチなどの扉開閉検出部3b、4bが設けられている(図3参照)。
【0017】
断熱仕切壁の下方の冷凍空間は、冷凍温度帯(例えば、-18℃~-20℃)に冷却保持される空間であり、製氷室、小冷凍室6と、主冷凍室7とを備える。製氷室及び小冷凍室6は、断熱壁を介して野菜室4の下方に左右に並べて設けられている。製氷室及び小冷凍室6の下方には、下部ケースと上部ケースを備えた主冷凍室7が配置されている。
【0018】
製氷室、小冷凍室6及び主冷凍室7は、貯蔵容器を引き出し式の製氷室扉、小冷凍室扉6a、主冷凍室扉7aに連結保持し、貯蔵室内に設けたレール機構により引き出し式で閉塞されている。製氷室扉、小冷凍室扉6a及び主冷凍室扉7aは、冷凍空間の前面開口部に設けられた冷凍空間扉を構成する。製氷室、小冷凍室6及び主冷凍室7の前面開口部の周縁部には、各々の製氷室扉、小冷凍室扉6a及び主冷凍室扉7aの開閉を検知する押しボタンスイッチやリードスイッチなどの扉開閉検出部5b、6b、7bが設けられている(図3参照)。
【0019】
また、主冷凍室7の背面には、主冷凍室7の庫内温度を測定する冷凍空間温度検出部26が設けられている。主冷凍室7は、製氷室及び小冷凍室6と連通し、製氷室及び小冷凍室6の冷気が流通するようになっている。そのため、冷凍空間温度検出部26は、製氷室、小冷凍室6及び主冷凍室7からなる冷凍空間の庫内温度を測定する温度検出部として機能する。
【0020】
冷蔵室3と野菜室4に跨る冷蔵空間の背部には、冷気ダクト12と冷却器カバー13によって冷蔵室3及び野菜室4と区画された冷蔵冷却器空間Srが設けられている。この冷蔵冷却器空間Srには、冷蔵冷却器10と冷蔵送風機11が配設されている。冷蔵送風機11は、冷蔵冷却器10で冷却した冷蔵冷却器空間Sr内の空気を冷気ダクト12を介して冷蔵室3及び野菜室4に供給することで、冷蔵室3及び野菜室4を冷却する。
【0021】
冷凍空間(製氷室、小冷凍室6、主冷凍室7)の背部には、冷気ダクトを形成するカバー体17によって冷凍温度帯の貯蔵室と区画された冷凍冷却器空間Sfが設けられている。
【0022】
冷凍冷却器空間Sfの内部には、冷蔵冷却器10より低い温度に冷却される冷凍冷却器15と冷凍送風機16が設けられている。冷凍冷却器空間Sfに設けられた冷凍送風機16は、冷凍冷却器15で冷却した冷凍冷却器空間Sf内の空気をダクトを介して製氷室、小冷凍室6及び主冷凍室7に供給することで、製氷室、小冷凍室6及び主冷凍室7を冷却する。
【0023】
また、冷凍冷却器空間Sfには、冷凍冷却器15の下方に除霜ヒータ18と除霜水を受ける排水樋(不図示)が配設される。冷凍冷却器15の除霜は、除霜ヒータ18による輻射熱で冷凍冷却器15を加熱することで行う。この時、融解した除霜水は排水樋により、外部に排出される。
【0024】
冷蔵庫本体2の背面下部の外側には内方に凹陥する機械室19が形成されている。この機械室19には、冷凍サイクル装置の一環をなす圧縮機20、凝縮器21(図2参照)、冷却ファン(不図示)、除霜水を蒸発させる蒸発皿22を配設している。
【0025】
冷蔵庫本体2の外側、例えば、冷蔵庫本体2の天井壁の上面後部には、冷蔵庫1を制御する制御基板9が設けられている。制御基板9は、マイコンよりなる制御部9aと、フラッシュメモリ等の読み書き可能な記憶部9bとを備え、冷蔵庫1の動作全般を制御する(図3参照)。また、制御部9aには、機器アダプタ40に接続されている。機器アダプタ40は、冷蔵庫1が設置された宅内に整備された無線LAN等の狭域通信ネットワークを介してインターネットを含む広域通信ネットワークと接続されている。これにより、制御部9aが外部サーバと接続されている。
【0026】
(2)冷凍サイクル
次に、冷蔵庫1の冷凍サイクルについて図2を参照して説明する。冷凍サイクルは、高温高圧の冷媒ガスを吐出する圧縮機20と、該圧縮機20から吐出される冷媒ガスを受けて放熱液化する凝縮器21と、該凝縮器21の出口側に放熱パイプ28を介して接続され冷媒流路を切り替える切替弁29と、冷蔵冷却器10及び冷凍冷却器15と、これらの冷却器10,15にそれぞれ設けられた冷蔵減圧装置30及び冷凍減圧装置31とを備え、これらを配管で接続して構成されている。
【0027】
詳細には、圧縮機20は、インバータ制御によって運転周波数(1秒間当りの回転数)を変えることにより単位時間当たりに吐出する冷媒量を変更できる能力可変型の圧縮機であり、高温、高圧の気体状の冷媒を送り出す。
【0028】
圧縮機20の吐出側には、凝縮器21と放熱パイプ28と切替弁29の入口側が直列に接続されている。切替弁29の一方の出口には、冷蔵減圧装置30と冷蔵冷却器10とを直列に連結した冷蔵冷媒流路が接続されている。切替弁29の他方の出口には、冷凍減圧装置31と冷凍冷却器15とを直列に連結した冷凍冷媒流路が冷蔵冷媒流路と並列に接続されている。そして、冷蔵冷却器10の出口側に接続された配管と冷凍冷却器15の出口側に接続された配管とが合流し、圧縮機20の吸込側に接続され冷媒回路が構成されている。
【0029】
冷蔵冷却器10には、冷蔵冷却器10の温度を検出する冷蔵冷却器温度検出部36が設けられ、冷凍冷却器15には、冷凍冷却器15の温度を検出する冷凍冷却器温度検出部37が設けられている(図2参照)。なお、冷蔵冷却器温度検出部36は、冷蔵冷却器10の温度を検出することができれば任意の位置に設けることができる。例えば、冷蔵冷却器10において冷媒が流れる冷媒管や、冷蔵冷却器10の冷媒流れ方向下流側に接続されたアキュムレータや、冷蔵冷却器10に冷媒を供給する冷媒管などに冷蔵冷却器温度検出部36が設けられている。また、冷凍冷却器温度検出部37は、冷凍冷却器15の温度を検出することができれば任意の位置に設けることができる。例えば、冷凍冷却器15において冷媒が流れる冷媒管や、冷凍冷却器15の冷媒流れ方向下流側に接続されたアキュムレータや、冷凍冷却器15に冷媒を供給する冷媒管などに冷凍冷却器温度検出部37が設けられている。
【0030】
このような冷凍サイクル装置では、サイクル内に封入された冷媒が、圧縮機20で圧縮されて高温高圧の気体状の冷媒に変化し、放熱しながら凝縮器21及び放熱パイプ28を流れる。
【0031】
放熱パイプ28を流れた液体状の冷媒は、機械室19に位置する切替弁29に導かれ、制御部9aの指令に基づき、切替弁29によって冷蔵減圧装置30と冷凍減圧装置31に切り替えて供給され、各減圧装置30、31で気化し易いように減圧される。減圧装置30、31を通過することで減圧され液状となった冷媒は、冷蔵冷却器10又は冷凍冷却器15で気化し、周囲から熱を奪うことにより冷蔵冷却器10及び冷凍冷却器15を低温化し、冷気を生成して貯蔵空間を冷却する。冷却器10,15を通過したガス冷媒は、サクションパイプ32を通って再び圧縮機20に吸入され、一連の冷凍サイクルが繰り返される。
【0032】
(3)冷蔵庫1の電気的構成
制御基板9に設けられた制御部9aには、図3に示すように、操作表示部8、扉開閉検出部3b、4b、5b、6b、7b、冷蔵送風機11、冷凍送風機16、除霜ヒータ18、圧縮機20、冷蔵空間温度検出部24、冷凍空間温度検出部26、切替弁29、冷蔵冷却器温度検出部36、冷凍冷却器温度検出部37等の冷蔵庫本体2の内側又は外側に設けられた電気部品が電気接続されている。
【0033】
制御部9aは、各検出部から入力される信号や、操作表示部8や冷蔵庫1と通信可能なユーザ通信端末等から出力された操作信号が入力されると、記憶部9bに記憶された制御プログラムに基づいて、操作表示部8、冷蔵送風機11、冷凍送風機16、除霜ヒータ18、圧縮機20及び切替弁29の動作を制御することで、冷蔵庫1の冷却運転や除霜運転等を行い、冷蔵庫1の動作全般を制御する。
【0034】
また、制御部9aは、記憶部9bに記憶されたプログラムを実行することによって、冷蔵空間に設けられた冷蔵空間扉3a,4aや、冷凍空間に設けられた冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を判定する判定部9cを仮想的に実現する。
【0035】
(4)冷蔵庫1の冷却運転
冷蔵庫1では、冷蔵空間温度検出部24及び冷凍空間温度検出部26によって検出された冷蔵空間の庫内温度及び冷凍空間の庫内温度に基づいて、冷蔵空間(冷蔵室3、野菜室4)を冷却する冷蔵冷却運転と、冷凍空間(製氷室、小冷凍室6、主冷凍室7)を冷却する冷凍冷却運転とを交互に切り替えて実行する。
【0036】
つまり、冷蔵庫1では、冷蔵冷却運転中は冷凍冷却運転を停止し、冷蔵冷却運転を停止すると冷凍冷却運転を行うことで、冷凍冷却運転とその停止とを交互に繰り返し、また、冷蔵冷却運転についても運転と停止を交互に繰り返す。
【0037】
(4-1)冷蔵冷却運転
制御部9aは、冷蔵冷却開始条件を満たすと、圧縮機20を所定周波数で駆動しつつ切替弁29の冷蔵冷媒流路側の出口を開放して冷蔵冷却器10に冷媒を流し、さらに冷蔵送風機11を回転させて冷蔵冷却運転を開始する。冷蔵冷却開始条件の一例を挙げると、例えば、冷蔵空間温度検出部24の検出温度が冷蔵空間に対して設定されているON温度Tron(例えば、4℃)以上になる場合がある。
【0038】
冷蔵冷却運転では、冷蔵冷却器10に流れ込んだ低圧低温の冷媒が気化すると冷蔵冷却器空間Srで冷気を生成する。生成した冷気は、冷蔵送風機11の送風作用により冷蔵室3及び野菜室4内を循環し、所定の冷蔵温度帯になるように冷蔵室3及び野菜室4を冷却する。
【0039】
冷蔵室3及び野菜室4内を循環した冷気は、冷蔵室3及び野菜室4の背面に設けられた吸込口から冷蔵冷却器空間Srに戻り、冷蔵冷却器10により冷却され、その後、再び冷蔵室3及び野菜室4へ送風される。
【0040】
そして、冷蔵冷却運転中に冷蔵冷却終了条件が満たされると、制御部9aは、冷蔵冷却運転を終了する。冷蔵冷却終了条件の一例を挙げると、例えば、(1)冷蔵空間温度検出部24の検出温度が冷蔵空間に対して設定されているOFF温度Troff(例えば、2℃)に達した時、(2)冷蔵冷却運転を開始してから最長冷却時間(例えば、40分間)以上が経過した時、(3)冷凍空間温度検出部26の検出温度が冷凍空間に対して設定されているON温度Tfon(例えば、-18℃)以上になった時、のいずれかの場合がある。
【0041】
そして、冷蔵冷却運転を終了すると、制御部9aは、圧縮機20を所定周波数で駆動しつつ切替弁29の冷凍冷媒流路側の出口を開放して冷凍冷却器15に冷媒を流し、さらに冷凍送風機16を回転させて冷凍冷却運転を開始する。
【0042】
(4-2)冷凍冷却運転
制御部9aは、冷凍冷却開始条件を満たすと、圧縮機20を所定周波数で駆動しつつ切替弁29の冷凍冷媒流路側の出口を開放して冷凍冷却器15に冷媒を流し、さらに冷凍送風機16を回転させて冷凍冷却運転を開始する。冷凍冷却開始条件の一例を挙げると、例えば、冷凍空間温度検出部26の検出温度が冷凍空間に対して設定されているON温度Tfon(例えば、-18℃)以上になる場合がある。
【0043】
冷凍冷却運転では、冷凍冷却器15に流れ込んだ低圧、低温の冷媒が気化すると冷凍冷却器空間Sfで冷気を生成する。生成された冷気は、冷凍送風機16の送風作用により製氷室、小冷凍室6及び主冷凍室7内を循環し、所定の冷凍温度帯になるように製氷室、小冷凍室6及び主冷凍室7を冷却する。
【0044】
製氷室、小冷凍室6及び主冷凍室7内を循環した冷気は、主冷凍室7の背面に設けられた吸込口から冷凍冷却器空間Sfに戻り、冷凍冷却器15により冷却され、その後、再び製氷室、小冷凍室6及び主冷凍室7へ送風される。
【0045】
そして、冷凍冷却運転中に冷凍冷却終了条件が満たされると、制御部9aは、冷凍冷却運転を終了する。冷凍冷却終了条件の一例を挙げると、例えば、(1)冷凍空間温度検出部26の検出温度が冷凍空間に対して設定されているOFF温度Tfoff(例えば、-21℃)に達した時、(2)冷凍冷却運転を開始してから最長冷却時間(例えば、90分間)以上が経過した時、(3)冷蔵空間温度検出部24の検出温度が冷蔵空間に対して設定されているON温度Tron(例えば、4℃)以上になった時、のいずれかの場合がある。
【0046】
(5)除霜運転
冷蔵庫1では、冷蔵冷却運転及び冷凍冷却運転を切り替えて実行する中で、所定の除霜開始条件を満たすと、冷蔵除霜運転や冷凍除霜運転を実行する。
【0047】
なお、冷蔵除霜運転や冷凍除霜運転を開始するタイミングは、冷蔵冷却運転又は冷凍冷却運転の実行中に所定の除霜開始条件を満たした場合、実行中の冷却運転が完了し次の運転へ切り換える前に冷蔵除霜運転及び冷凍除霜運転を実行してもよく、また、除霜開始条件を満たすと実行中の運転を中止して直ちに冷蔵除霜運転及び冷凍除霜運転を実行してもよい。
【0048】
(5-1)冷蔵除霜運転
制御部9aは、冷蔵除霜運転の開始条件を満たすと冷蔵除霜運転を開始する。冷蔵除霜運転の開始条件の一例を挙げると、冷凍冷却運転の実行中であって、かつ、冷蔵冷却器温度検出部36の検出温度が所定温度(例えば、ー10℃)以下である時間の積算時間が所定時間(例えば、180分間)以上に達した場合がある。
【0049】
冷蔵除霜運転は、冷蔵冷却器10に付着した霜を融解により除去するとともに、融解した霜の水分を冷蔵空間へ供給することで、冷蔵空間を加湿する運転である。具体的には、制御部9aが、切替弁29の冷蔵冷媒流路側の出口を閉塞したり、圧縮機20を停止又は運転周波数を低減したりすることで、冷蔵冷却器10への冷媒供給を停止又は低減しつつ、冷蔵送風機11を駆動する。
【0050】
これらの制御の結果、冷蔵冷却器空間Sr内に導入された冷蔵空間内の空気が、霜の付着した冷蔵冷却器10と熱交換した後、再び冷蔵室3及び野菜室4に戻される。これにより、冷蔵冷却器10の温度を上昇させて冷蔵冷却器10に付着した霜を融解するとともに、融解した霜の水分を気化して冷蔵冷却器空間Sr内の空気とともに冷蔵室3及び野菜室4へ送風することで、冷蔵室3及び野菜室4を加湿する。
【0051】
制御部9aは、冷蔵除霜運転の終了条件を満たすと、冷蔵送風機11の回転を停止して冷蔵除霜運転を終了する。冷蔵除霜運転の終了条件の一例を挙げると、冷蔵冷却器温度検出部36で検出される冷蔵冷却器10の温度が所定温度Tdr1(例えば、Trd1=3℃)に達した時などが挙げられる。
【0052】
(5-2)冷凍除霜運転
制御部9aは、冷凍除霜運転の開始条件を満たすと冷凍除霜運転を開始する。冷凍除霜運転の開始条件の一例を挙げると、前回の冷凍除霜運転を終了してからの経過時間が所定時間t2(例えば、24時間)に達した場合がある。
【0053】
冷凍除霜運転は、冷凍冷却器15に付着した霜を融解により除去する運転である。具体的には、制御部9aが、切替弁29の冷凍冷媒流路側の出口を閉塞したり、圧縮機20を停止したりすることで、冷凍冷却器15への冷媒供給を停止しつつ、冷凍送風機16を停止し、除霜ヒータ18を通電状態とする。これらの制御により、除霜ヒータ18による輻射熱で冷凍冷却器15が加熱され、冷凍冷却器15に付着した霜を融解する。
【0054】
制御部9aは、冷凍除霜運転の終了条件を満たすと、除霜ヒータ18への通電を停止して冷凍除霜運転を終了する。冷凍除霜運転の終了条件の一例を挙げると、冷凍冷却器温度検出部37で検出される冷凍冷却器15の温度が所定温度Tdf1(例えば、Tdf1=10℃)に達した時、冷凍除霜運転を所定時間tf1(例えば、tf1=20分間)実行した時などが挙げられる。
【0055】
(6)判定部9c
判定部9cは、冷蔵空間に設けられた冷蔵空間扉3a,4aや冷凍空間に設けられた冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態が、第1閉扉状態と第2閉扉状態のいずれの状態であるのか判定する。ここで、第1閉扉状態とは、扉3a,4a、6a,7aが所望の気密性を発揮するように冷蔵空間や冷凍空間の前面開口部を閉塞する状態をいい、第2閉扉状態とは、扉と冷蔵庫本体2との間に隙間が存在し第1閉扉状態より気密性が低い半扉の状態をいう。
【0056】
なお、冷蔵空間に設けられた冷蔵空間扉3a,4aの閉扉状態の判定方法は、冷凍空間に設けられた冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態の判定方法と共通するため、ここでは、冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態の判定方法について説明する。
【0057】
判定部9cは、所定期間毎に、冷凍空間温度検出部26が検出する冷凍空間の庫内温度Tfと、冷凍冷却器温度検出部37が検出する冷凍冷却器15の温度Tdとを取得する。
【0058】
ここで、所定期間とは、例えば、冷凍冷却運転を開始してから次の冷凍冷却運転を開始するまでの期間であってもよい。つまり、冷凍冷却運転を開始してから、冷蔵冷却運転の実行や冷凍除霜運転の実行によって冷凍冷却運転を停止した後、再び冷凍冷却運転を開始するまでの期間であってもよい。個々の所定期間の長さは、全て同じ場合に限られず、異なる長さの期間であってもよい。また、冷凍冷却運転の実行と停止の繰り返し周期を上記の所定期間としたり、冷凍冷却運転及び冷蔵冷却運転を複数回交互に実行した後、再び冷凍冷却運転あるいは冷蔵冷却運転を実行するまでの周期を上記の所定期間としてもよい。
【0059】
なお、本明細書では、冷凍空間扉6a,7aが第2閉扉状態になってからこれを判定部9cが検出するまでのタイムラグを短縮できることから、冷凍冷却運転を開始してから次の冷凍冷却運転を開始するまでの期間を上記の所定期間とし、以下、この期間を「測定期間」ということもある。
【0060】
そして、判定部9cは、取得した庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdとを比較して、冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態が第1閉扉状態と第2閉扉状態のいずれの状態であるのか判定する。
【0061】
具体的には、判定部9cは測定期間の所定のタイミングで冷凍空間の庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdを取得する。判定部9cは、取得した冷凍空間の庫内温度Tf、冷凍冷却器15の温度Tdと、これらのデータを取得した測定期間を特定する情報とを関連付けて記憶部9bに記憶する。
【0062】
そして、判定部9cは、測定毎(つまり、冷凍冷却運転が実行される毎)に冷凍空間の庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdを取得すると、取得した温度Tfと温度Tdとを比較して、冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を判定する。
【0063】
冷凍空間の庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdとを比較する方法としては、例えば、判定部9cは、取得した温度Tfと温度Tdとの違いの程度(以下、この違いの程度を「相違量ΔT」ということもある)を、測定期間毎に算出し、算出した相違量ΔTに基づいて冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を判定する。
【0064】
ここで、冷凍空間の庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdとを比較して、冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を判定できる理由について、図4に基づいて説明する。
【0065】
図4は、動作中の冷蔵庫1の冷蔵空間温度、冷凍空間温度、及び冷凍冷却器温度の時間変化の一例を示すグラフであり、時刻t7で主冷凍室扉7aが第2閉扉状態となり、それ以降、第2閉扉状態を維持する場合を示す。なお、主冷凍室扉7a以外の扉は、時刻t0~時刻t14の間、常に第1閉扉状態で閉扉されている。
【0066】
冷蔵庫1は、時刻t0~時刻t3の期間において冷凍冷却運転と冷蔵冷却運転とを切り換えて実行し、時刻t3~時刻t4の期間において冷凍除霜運転を実行する。その後、冷蔵庫1は、時刻t4~時刻t14の期間において、冷凍冷却運転と冷蔵冷却運転を切り換えて実行するが、時刻t6~時刻t8の期間において冷蔵庫1が冷凍冷却運転を実行している途中(時刻t7)で主冷凍室扉7aが第2閉扉状態になる。主冷凍室扉7aが第2閉扉状態になると、庫内空気に比べて高温多湿な庫外空気が主冷凍室7に流れ込むため、冷凍冷却運転中であっても冷凍空間の庫内温度Tfが上昇するが、冷凍冷却器15は冷媒が供給されているためその温度Tdは低下する(時刻t7~時刻t8の期間)。
【0067】
そして、時刻t8において冷凍冷却運転から冷蔵冷却運転に切り替わると、冷蔵空間の庫内温度Trは低下するが、冷凍空間の庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdは上昇する(時刻t8~時刻t9の期間)。
【0068】
そして、時刻t9において冷蔵冷却運転から冷凍冷却運転に切り替わり、冷凍冷却器15が冷媒の供給を受けて冷却されると、冷凍空間は冷凍冷却器15によって冷却され、冷凍冷却器15の温度Td及び冷凍空間の庫内温度Tfが低下する。しかし、庫外の空気が主冷凍室7に流れ込んでいるため、冷凍空間が十分に冷却されず冷凍冷却終了条件の1つであるOFF温度Tfoffより高い温度で冷凍冷却運転が終了する(時刻t9~時刻t10の期間)。
【0069】
そして、時刻t10において冷凍冷却運転から冷蔵冷却運転に切り替わると、冷蔵空間の庫内温度Trは低下するが、冷凍空間の庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdは上昇する(時刻t10~時刻t11の期間)。
【0070】
そして、時刻t11において冷蔵冷却運転から冷凍冷却運転に切り替わり、冷凍冷却器15が冷媒の供給を受けて冷却されると、冷凍空間は冷凍冷却器15によって冷却され、冷凍冷却器15の温度Td及び冷凍空間の庫内温度Tfが低下する。
【0071】
しかし、時刻t7以降、主冷凍室7には庫内空気に比べて高温多湿な庫外の空気が流れ込んでいるため、冷凍冷却器15の着霜量が多くなり、時刻t11~時刻t12の期間において実行される冷凍冷却運転では、冷凍冷却器15と冷凍空間の空気との間で熱交換が十分に行われない。
【0072】
そのため、この冷凍冷却運転の終了時(時刻t12)に到達する冷凍空間の庫内温度Tfは、1つ前の冷凍冷却運転の終了時(時刻t10)に到達する冷凍空間の庫内温度Tfより高くなる。一方、この期間の冷凍冷却運転の終了時に到達する冷凍冷却器15の温度Tdは、1つ前の冷凍冷却運転の終了時に到達する冷凍冷却器15の温度Tdより低くなる。その結果、冷凍空間の庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdとの温度差が1つ前の冷凍冷却運転の終了時に比べて大きくなる。
【0073】
そして、時刻t12において冷凍冷却運転から冷蔵冷却運転に切り替わると、冷蔵空間の庫内温度Trは低下するが、冷凍空間の庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdは上昇する(時刻t12~時刻t13の期間)。
【0074】
そして、時刻t13において冷蔵冷却運転から冷凍冷却運転に切り替わり、冷凍冷却器15が冷媒の供給を受けて冷却されると、冷凍空間は冷凍冷却器15によって冷却され、冷凍冷却器15の温度Td及び冷凍空間の庫内温度Tfが低下する。
【0075】
しかし、この冷凍冷却運転(時刻t13~時刻t14)では、1つ前の冷凍冷却運転(時刻t11~時刻t12)より冷凍冷却器15の着霜量が更に増加するため、冷凍冷却器15と冷凍空間の空気との間でより一層熱交換が行われにくくなり、冷凍空間の庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdとの相違量ΔTが1つ前の冷凍冷却運転に比べて大きくなる。つまり、主冷凍室扉7aが第2閉扉状態になると、冷凍冷却運転を実行する毎に冷凍空間の庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdとの相違量ΔTが漸次大きくなる。
【0076】
そのため、判定部9cは、冷凍冷却運転の実行と停止とが繰り返される都度、相違量ΔTを算出し、算出した相違量ΔTに基づいて冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を判定することができる。
【0077】
本実施形態では、判定部9cは、算出した相違量ΔTが第1条件を満たすか否かによって判断する。判定部9cは、第1条件を満たすと判断すると、冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態が第2閉扉状態にあると判定し、第1条件を満たさないと判定すると冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態が第1閉扉状態にあると判定する。
【0078】
第1条件として、例えば、(A)判定部9cが取得した冷凍空間の庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdの中で最も新しい測定期間(以下、この測定期間を「最新の測定期間」ということもある)の相違量ΔTが、最新の測定期間よりも1つ以上前の測定期間(以下、この測定期間を「以前の測定期間」ということもある)で取得した相違量ΔTより大きい、(B)最新の測定期間で取得した相違量ΔTが所定値よりも大きい、のいずれか一方の条件を満たすか否かを第1条件としたり、上記(A)及び(B)の両方の条件を満たすか否かを第1条件としたりすることができる。上記(A)において、以前の測定期間で取得した相違量ΔTとは、最新の測定期間よりも1つ前の測定期間や2つ以上前の測定期間で取得した相違量ΔTだけでなく、最新の測定期間よりも前の複数の測定期間で取得した相違量ΔTの平均値であってもよい。
【0079】
なお、判定部9cが1つの測定期間の中で冷凍空間の庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdとを取得するタイミングは、任意のタイミングに設定することができるが、相違量ΔTが大きくなり閉扉状態を精度よく判定することができる点で、冷凍冷却運転の実行中又は冷凍冷却運転の終了時(つまり、冷蔵冷却運転に切り替わる前)に取得することが好ましい。
【0080】
1つの測定期間の中で冷凍空間の庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdとを取得する回数は、1回であってもよく、また、複数回であってもよい。1つの測定期間の中で温度Tf及び温度Tdを複数回取得する場合、冷凍冷却運転を開始してから冷凍冷却運転を終了するまでの間に複数回取得することが好ましく、取得したそれぞれの温度の平均値を当該測定期間における温度Tf及び温度Tdとすることが好ましい。
【0081】
また、判定部9cは、相違量ΔTとして、例えば、冷凍空間の庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdとの温度差(Tf-Td)を算出したり、温度Tfと温度Tdとの比率(Td/Tf)を算出したりすることができる。なお、相違量ΔTとして温度Tfと温度Tdとの比率を算出する際、温度を摂氏で検知している場合には絶対温度に換算してから比率を取得すると、温度Tfが摂氏0(ゼロ)℃であっても上記比率を計算することができる点で好ましい。
【0082】
(7)冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態が第1閉扉状態である場合の制御
判定部9cが冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を第1閉扉状態と判定すると、制御部9aは上記したような冷蔵冷却運転と冷凍冷却運転とを交互に切り換えて行う冷却運転(以下、この冷却運転を「通常冷却運転」ということもある)を実行する。
【0083】
そして、制御部9aは、通常冷却運転を実行する中で冷凍除霜運転の開始条件を満たすと、通常冷却運転を終了し、冷凍除霜運転を開始する。冷凍除霜運転の実行中に冷凍除霜運転の終了条件を満たすと、冷凍除霜運転を終了し、通常冷却運転を開始する。冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態が第1閉扉状態である限り、図5(a)に示すように、通常冷却運転と冷凍除霜運転とを交互に実行する。
【0084】
なお、本実施形態では、冷蔵除霜運転は、通常冷却運転の中で行われる冷凍冷却運転の実行中に、所定の開始条件を満たすと冷凍冷却運転と並行して実行される。
【0085】
(8)冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態が第2閉扉状態である場合の制御
一方、判定部9cが冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を第2閉扉状態と判定すると、制御部9aは、通常冷却運転、冷蔵除霜運転及び冷凍除霜運転に換えて半扉対策用の特殊制御を開始する。半扉対策用の特殊制御は、特殊除霜運転と特殊冷却運転とを交互に実行する制御である。本実施形態では、判定部9cが冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を第2閉扉状態と判定すると、特殊除霜運転を先に実行した後、特殊冷却運転を行う。
【0086】
判定部9cが冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を第2閉扉状態と判定してから半扉対策用の特殊制御を開始するタイミングとして、例えば、図5(b)に示すように、通常冷却運転の実行中の時刻txにおいて判定部9cが冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を第2閉扉状態と判定すると、制御部9aは、通常冷却運転を中止して直ちに特殊除霜運転を実行してもよい。
【0087】
このような制御の一例として、通常冷却運転の中で行われる冷凍冷却運転の終了時に判定部9cが冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を第2閉扉状態と判定すると、当該冷凍冷却運転から冷蔵冷却運転へ移行せず特殊除霜運転を開始する場合や、通常冷却運転の中で行われる冷凍冷却運転の実行中に判定部9cが冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を第2閉扉状態と判定すると、当該冷凍冷却運転を中断して特殊除霜運転を開始する場合が挙げられる。
【0088】
上記のように第2閉扉状態と判定すると直ちに特殊制御を開始する場合以外にも、特殊制御を開始するタイミングとして、図5(c)に示すように、通常冷却運転の実行中の時刻txにおいて判定部9cが冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を第2閉扉状態と判定すると、制御部9aは、第1閉扉状態と判定した場合に比べて短時間だけ通常冷却運転を実行した後、特殊除霜運転を実行してもよい。
【0089】
このような制御の一例として、通常冷却運転の中で行われる冷凍冷却運転の実行中に判定部9cが冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を第2閉扉状態と判定すると、当該冷凍冷却運転の終了条件を満たすまで当該冷凍冷却運転を実行した後、特殊除霜運転を開始する場合が挙げられる。
【0090】
また、図5(d)に示すように、通常冷却運転の実行中の時刻txにおいて判定部9cが冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を第2閉扉状態と判定すると、制御部9aは、通常冷却運転よりも冷却の程度を弱めた弱冷却運転を実行した後、特殊除霜運転を実行してもよい。
【0091】
このような制御の一例として、通常冷却運転の中で行われる冷凍冷却運転の実行中に判定部9cが冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を第2閉扉状態と判定すると、当該冷凍冷却運転の冷凍終了条件に設定されているOFF温度Tfoffよりも高い温度で冷却が終了するように設定した弱冷却運転を実行し、当該弱冷却運転が終了すると特殊除霜運転を実行してもよい。
【0092】
そして、制御部9aは、判定部9cが冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を第1閉扉状態と判定するまで、特殊除霜運転と特殊冷却運転とを交互に実行する半扉対策用の特殊制御を行う。図5(b)~(d)に示すように、半扉対策用の特殊制御中の時刻tyにおいて、判定部9cが冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を第1閉扉状態と判定すると、制御部9aは半扉対策用の特殊制御を終了して、通常冷却運転を再開する。
【0093】
なお、冷蔵空間扉3a,4aの閉扉状態が第2閉扉状態にあると判定部9cが判定した場合も、冷凍空間扉6a,7aが第2閉扉状態にあると判定された場合と同様、通常の冷却運転、冷蔵除霜運転及び冷凍除霜運転に換えて、半扉対策用の特殊冷却運転及び特殊除霜運転を実行してもよい。
【0094】
以下、判定部9cにおいて冷凍空間扉6a,7aが第2閉扉状態と判定された場合に実行する半扉対策用の特殊冷却運転及び特殊除霜運転について説明する。
【0095】
(8-1)特殊除霜運転
特殊除霜運転では、制御部9aが、切替弁29の冷凍冷媒流路側の出口を閉塞したり、圧縮機20を停止したりすることで、冷凍冷却器15への冷媒供給を停止しつつ、冷凍送風機16を停止し、除霜ヒータ18を通電状態とする点で、冷凍除霜運転と共通の制御を行う。
【0096】
しかし、特殊除霜運転では、冷凍除霜運転よりも1回当たりの除霜運転の運転時間が短くなるように、除霜運転を終了する条件が冷凍除霜運転と異なっている。
【0097】
例えば、冷凍冷却器15の温度に基づいて除霜運転を終了する場合、冷凍除霜運転では冷凍冷却器15の温度が所定温度Tdf1(例えば、Tdf1=10℃)に達すると除霜運転を終了するのに対して、特殊除霜運転では冷凍冷却器15の温度が所定温度Tdf1より低い所定温度Tdf2(例えば、Tdf2=0℃)に達すると除霜運転を終了する。
【0098】
冷凍除霜運転の実行時間に基づいて除霜運転を終了する場合、冷凍除霜運転では、所定時間tf1(例えば、tf1=20分間)実行すると除霜運転を終了するのに対して、特殊除霜運転では所定時間tf1より短い所定時間tf2(例えば、tf2=10分間)実行すると除霜運転を終了する。
【0099】
制御部9aは、特殊除霜運転が終了すると、特殊冷却運転を開始して冷蔵空間及び冷凍空間の冷却を行い、その後、特殊除霜運転を開始する条件を満たすと特殊除霜運転を開始する。
【0100】
特殊除霜運転を開始する条件は、冷凍除霜運転を開始する条件と比べて、除霜運転が終了してから次回の除霜運転を開始するまでの時間が短くなるように設定されている。
【0101】
例えば、冷凍除霜運転では、今回の冷凍除霜運転を終了してからの経過時間が所定時間t2(例えば、24時間)に達すると次回の冷凍除霜運転を開始するのに対して、特殊除霜運転では、今回の特殊除霜運転を終了してからの経過時間が所定時間t2より短い所定時間t3(例えば、5時間)に達すると次回の特殊除霜運転を開始する。
【0102】
なお、特殊冷却運転中に、判定部9cが測定期間毎に算出した相違量ΔTに基づいて冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を第2閉扉状態と判定すると、制御部9aは、上記した特殊除霜運転を開始する条件を満たしていなくても、特殊冷却運転を中止して特殊除霜運転を開始してもよい。
【0103】
(8-2)特殊冷却運転
制御部9aは、特殊除霜運転が終了すると特殊冷却運転を実行する。特殊冷却運転では、通常冷却運転において実行する冷凍冷却運転よりも冷却の程度が弱く、かつ、冷却運転時間が長い条件で冷凍空間を冷却する。
【0104】
例えば、特殊冷却運転では、冷凍空間を冷却する冷凍冷却運転と、冷蔵空間及び冷凍空間の両方の空間を冷却する運転(以下、この運転を「同時冷却運転」と言うこともある)とを交互に切り換えて実行する。
【0105】
特殊冷却運転において実行する冷凍冷却運転は、圧縮機20、切替弁29、及び冷凍送風機16等の制御について、通常冷却運転において実行する冷凍冷却運転と基本的に同様の制御を行うが、冷凍終了条件に設定するOFF温度Tfoffが、通常冷却運転において実行する冷凍冷却運転の場合よりも高い温度で冷却が終了するように設定されており、通常冷却運転時に比べて冷却の程度が弱められている。
【0106】
同時冷却運転では、制御部9aが、圧縮機20を所定周波数で駆動しつつ切替弁29の冷蔵冷媒流路側の出口及び冷凍冷媒流路側の出口を開放して冷蔵冷却器10及び冷凍冷却器15に冷媒を流し、さらに冷蔵送風機11及び冷凍送風機16を回転させる。
【0107】
同時冷却運転では、冷蔵冷却器10及び冷凍冷却器15に流れ込んだ低圧、低温の冷媒が気化することで冷蔵冷却器空間Sr及び冷凍冷却器空間Sfで冷気を生成する。冷蔵冷却器空間Srで生成した冷気は、冷蔵送風機11の送風作用により冷蔵空間を冷却する。また、冷凍冷却器空間Sfで生成した冷気は、冷凍送風機16の送風作用により冷凍空間を冷却する。
【0108】
つまり、特殊冷却運転の実行中は、冷凍冷却運転及び同時冷却運転の両方の運転において冷凍空間が冷却され、通常冷却運転中に比べて冷凍空間を冷却する冷却運転時間が長く設定されている。
【0109】
制御部9aは、所定の同時冷却開始条件を満たすと同時冷却運転を開始し、同時冷却終了条件が満たされると、同時冷却運転を終了する。同時冷却開始条件及び同時冷却終了条件は、冷蔵冷却運転に設定されているON温度及びOFF温度と同一条件に設定したり、冷蔵冷却運転を冷却する冷却運転に設定されているON温度やOFF温度より高い温度に設定したりすることができる。
【0110】
例えば、冷蔵冷却運転の開始条件として設定されているON温度Tron(例えば、4℃)と同じ温度、あるいは、ON温度Tronより高い温度(例えば、7℃)に、同時冷却運転を開始するON温度Trfonを設定することができる。また、この場合において、同時冷却運転を開始するOFF温度Trfoffは、冷蔵冷却運転の終了条件として設定されているOFF温度Troff(例えば、2℃)と同じ温度、あるいは、OFF温度Troffより高い温度(例えば、4℃)に設定することができる。
【0111】
(9)効果
上記した実施形態では、判定部9cが、測定期間毎に冷凍空間の庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdとの相違量ΔTを取得し、取得した相違量ΔTに基づいて、冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を判定するため、扉開閉検出部5b、6b、7bで検出できない僅かな隙間を残して冷凍空間扉6a,7aが閉扉されても、これを精度良く検出することができる。
【0112】
具体的には、冷凍空間扉6a,7aと冷蔵庫本体2との間に隙間が存在すると、高温多湿の外気が継続的に庫内に流れ込み冷凍冷却器15の着霜量が増加する。冷凍冷却器15の着霜量が増加するにつれて、冷凍冷却器15と庫内空気との熱交換効率が低下するため、冷凍冷却運転を行っても冷凍空間の庫内温度が徐々に上昇し、冷凍冷却器15において冷熱が放出されにくくなり冷凍冷却器15が徐々に低温化する。そのため、冷凍空間扉6a,7aと冷蔵庫本体2との間に僅かな隙間があったとしても、冷凍冷却運転を繰り返すことで、冷凍空間の庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdとの相違量ΔTが大きくなり、冷凍空間扉6a,7aが隙間を残して閉扉された第2閉扉状態(半扉)にあることを検出することができる。
【0113】
つまり、扉開閉検出部6b、7bによって冷凍空間扉6a,7aの開閉があったことをこの判定の開始条件とすることなく、扉開閉検出部6b、7bによって冷凍空間扉6a,7aの開閉が検知することができない場合であっても、冷凍空間の庫内温度Tfと冷凍冷却器15の温度Tdとを比較してその比較結果に基づいて第2閉扉状態を判断することで、扉開閉検出部6b、7bの故障時や、扉開閉検出部6b、7bでは検知できない僅かな隙間が冷凍空間扉6a,7aと冷蔵庫本体2との間に生じた時であっても、第2閉扉状態を検出することができる。
【0114】
また、冷凍冷却器15の温度と冷凍空間の庫内温度とは冷凍空間扉6a,7aの開閉や除霜運転の実行など様々な要因により変動するが、本実施形態では、測定期間毎に取得した相違量ΔTに基づいて冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を判定するため、このような変動の影響を受けにくく精度よく判定することができる。
【0115】
本実施形態において、測定期間毎に相違量ΔTを取得し、最新の測定期間で取得した相違量ΔTが以前の測定期間で取得した相違量ΔTより大きいと、第2閉扉状態にあると判定することで、相違量ΔTの経時的な変化に基づいて半扉を検出することができ、より精度良く検出することができる。
【0116】
本実施形態において、最新の測定期間で取得した相違量ΔTが所定値よりも大きいと、第2閉扉状態にあると判定することで、半扉を検出するまでの時間を短縮することができる。
【0117】
本実施形態では、判定部9cが冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を第2閉扉状態と判定すると、通常の冷凍除霜運転よりも1回当たりの除霜運転の運転時間が短い特殊除霜運転を行う。これにより、冷凍冷却器15を完全に除霜することができないとしても、冷凍冷却器15がある程度空気と熱交換できるように除霜して冷凍冷却器15の冷却能力を確保しつつ、冷凍空間を冷却する時間を多く設定することができる。そのため、冷凍空間扉6a,7aの閉扉が不完全となり高温多湿の外気が継続的に庫内に流れ込む場合であっても、庫内を適切に冷却しつつ冷却器に付着した霜を除去する除霜運転を行うことができる。
【0118】
また、特殊冷却運転では、通常の冷凍除霜運転よりも除霜運転が終了してから次回の除霜運転を開始するまでの時間が短いため、高温多湿の外気が継続的に庫内に流れ込んだとしても、冷凍冷却器15の着霜量が多くなる前に冷凍冷却器15を適度に除霜することができ、冷凍冷却器15の冷却能力の低下を抑えることができる。
【0119】
本実施形態では、判定部9cが冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を第2閉扉状態と判定すると、通常の冷却運転に代えて特殊冷却運転を行い、冷凍冷却運転の冷却の程度を弱める。そのため、冷凍空間扉6a,7aの閉扉が不完全となり高温多湿の外気が継続的に庫内に流れ込む状況であっても、冷凍冷却器15への着霜を抑えながら冷凍空間を冷却することができる。また、本実施形態では、特殊冷却運転において冷凍冷却運転と同時冷却運転とを交互に行い、冷凍空間の冷却時間が通常冷却運転に比べて長いため、冷凍冷却運転の冷却の程度を弱めても冷凍空間の冷却能力を確保することができる。
【0120】
(10)変更例
以下では複数の変更例について説明するが、上記実施形態に対して、複数の変更例のうちいずれか1つを適用しても良いし、複数の変更例のうちいずれか2つ以上を組み合わせて適用しても良い。
【0121】
(10-1)変更例1
上記した実施形態では、第1条件に基づいて冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態が第1閉扉状態と第2閉扉状態のいずれの状態であるのか判定したが、第1条件に加え、第2条件に基づいて判定してもよい。
【0122】
具体的には、判定部9cは、第2条件を満たす場合、第1条件に基づいて冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を判定し、第2条件を満たさない場合、第1条件を満たすか否かに関わらず第1閉扉状態にあると判定する。つまり、判定部9cは、第1条件を満たし、かつ、第2条件も満たすと、冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態が第2閉扉状態にあると判定し、第1条件と第2条件のいずれか一方でも満たさない場合は第1閉扉状態にあると判定する。
【0123】
第2条件としては、例えば、(a)最新の測定期間における冷凍冷却運転の終了時の冷凍空間の庫内温度Tfcが、以前の測定期間における冷凍冷却運転の終了時の冷凍空間の庫内温度Tfpより高い(Tfc>Tfp)、(b)最新の測定期間における冷凍冷却運転の終了時の冷凍空間の庫内温度Tfが所定温度以上(例えば、-15℃以上)である、(c)最新の測定期間の中で扉開閉検出部6b、7bが冷凍空間扉6a,7aの開閉を1度も検出していない、のいずれか1つ又は複数の条件を満たすか否かが挙げられる。
【0124】
第1条件に加え、第2条件に基づいて冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を判定することで、第2閉扉状態にあることを精度良く検出することができる。
【0125】
すなわち、第1条件に加え上記(a)の条件に基づいて冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を判定することで、冷凍冷却器15に低温の冷媒が供給された直後など急激に冷却器が冷却された場合に第2閉扉状態を誤検出するのを防ぐことができる。上記(b)の条件に基づいて冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を判定することで、冷凍空間が所望の温度帯を維持できている場合に、不必要に特殊除霜運転及び特殊冷却運転を実行することがない。また、上記(c)の条件に基づいて冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を判定することで、冷凍空間に温度の高い貯蔵品が収納された場合に第2閉扉状態を誤検出するのを防ぐことができる。
【0126】
(10-2)変更例2
上記した実施形態では、判定部9cは、取得した相違量ΔTが第1条件を満たすと第2閉扉状態と判断したが、例えば、異なる測定期間において取得した複数の相違量ΔTが第1条件を満たすと、冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態が第2閉扉状態にあると判定してもよい。このような場合、更に精度良く第2閉扉状態を検出することができる。
【0127】
(10-3)変更例3
特殊除霜運転において、冷凍除霜運転よりも除霜ヒータ18の発熱量が少なくなるように制御部9aが除霜ヒータ18を制御してもよい。例えば、制御部9aは、1回の除霜運転で除霜ヒータ18に供給する電力量を冷凍除霜運転よりも特殊冷却運転において減らしてもよい。
【0128】
また、制御部9aは、除霜ヒータ18が複数のヒータからなる場合に特殊冷却運転時へ通電するヒータの数を冷凍除霜運転時より減らしたりしてもよい。特殊冷却運転時に通電するヒータの数を減らす場合、冷凍冷却器15において冷気が流れる方向の下流側に位置するヒータを停止し、上流側に位置するヒータを通電することが好ましい。
【0129】
例えば、冷蔵庫1は、除霜ヒータ18として、冷凍冷却器15より冷気が流れる方向の下流側に設けられたガラス管ヒータなどの第1ヒータと、冷凍冷却器15の表面等に沿わせて設けられたパイプヒータなどの第2ヒータとを備え、冷凍除霜運転時には制御部9aが第1ヒータと第2ヒータとを通電して冷凍冷却器15の除霜を行い、特殊冷却運転時には制御部9aが第1ヒータのみを通電して冷凍冷却器15の除霜を行う。
【0130】
冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態が第2閉扉状態の場合、冷凍空間扉6a,7aと冷蔵庫本体2との間に僅かな隙間があり、少量の外気が継続的に庫内に流れ込むことにより、通常より若干水分を多く含んだ空気が冷凍冷却器15に継続して供給され、その結果、冷凍冷却器15の冷気の流れ方向の上流側部分に集中して着霜する。特殊冷却運転時に冷気が流れる方向の上流側に位置する第1ヒータを通電し、下流側の第2ヒータを停止することで、着霜しやすい箇所を加熱して霜を取り除きつつ、冷凍冷却器15全体の温度上昇を抑えることができ、効率的に除霜することができる。
【0131】
(10-4)変更例4
冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態が第2閉扉状態にあると判定部9cが判定すると、制御部9aは、冷凍空間扉6a,7aが第2閉扉状態にあることを記憶部9bに記憶してもよい。記憶部9bに冷凍空間扉6a,7aが第2閉扉状態にあることを記憶しておくことで、冷凍空間扉6a,7aが正しく閉扉されていないことに起因する冷却不良が発生した時に、サービスマンがその原因を容易に知ることができ、修理対応を速やかに行うことができる。
【0132】
また、制御部9aは、操作表示部8に冷凍空間扉6a,7aが第2閉扉状態にあることを表示したり、冷蔵庫1に設けられた不図示のスピーカーから警告音を出力したり、機器アダプタ40及び外部サーバを介して使用者の通信端末に冷凍空間扉6a,7aが第2閉扉状態にあることを表示したりすることで、冷凍空間扉6a,7aが冷蔵庫本体2との間に隙間があり閉扉が不完全であることを使用者に報知する報知制御を行ってもよい。
【0133】
なお、扉開閉検出部3b,4b,5b,6b,7bによって扉3a,4a,6a,7aが所定時間継続して開扉していることを検知した場合も、制御部9aは、操作表示部8や使用者の通信端末に扉が開扉状態にあることを表示したり、警告音を出力したりすることで、使用者に報知してもよい。
【0134】
また、上記のように扉3a,4a,6a,7aの状態を報知するにあたり、判定部9cが冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を第2閉扉状態と判定すると、使用者の通信端末に冷凍空間扉6a,7aが第2閉扉状態にあることを表示し、扉開閉検出部3b,4b,5b,6b,7bによって扉3a,4a,6a,7aが所定時間継続して開扉していることを検知すると、冷蔵庫1に設けられた操作表示部8に警告を表示したり、スピーカーから警告を出力したりしてもよい。
【0135】
(10-5)変更例5
上記した実施形態では、判定部9cは、冷蔵空間扉3a,4a及び冷凍空間扉6a、7aについて閉扉状態を判定したが、冷凍空間を冷却する冷凍冷却器15と異なる冷却器によって冷蔵空間を冷却する冷蔵庫では、判定部9cは、冷蔵空間扉3a,4aについて閉扉状態を判定せず、冷凍空間扉6a、7aについて閉扉状態を判定してもよい。
【0136】
つまり、判定部9cは、冷蔵空間温度検出部24が検出する冷蔵空間の庫内温度と、冷蔵冷却器温度検出部36が検出する冷蔵冷却器10の温度とを比較して冷蔵空間扉3a,4aの閉扉状態を判定せず、扉開閉検出部3b、4bによって扉3a、4aの開閉を検知する。一方、判定部9cは、冷凍空間温度検出部26が検出する冷凍空間の庫内温度Tfと、冷凍冷却器温度検出部37が検出する冷凍冷却器15の温度Tdとを比較して冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を判定してもよい。
【0137】
このような場合、判定部9cが、冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態が第1閉扉状態であるか、第2閉扉状態であるか判定することで、霜が付きやすい冷凍冷却器15について半扉による着霜を抑制することができる。また、冷蔵冷却器10は、通常、0℃以上の空気と熱交換しており、冷蔵空間扉3a,4aの閉扉状態が第2閉扉状態であっても冷凍冷却器15に比べて着霜しにくく、冷蔵冷却器10の冷却能力に影響を及ぼすことがないため、判定部9cによって冷蔵空間扉3a,4aの閉扉状態を判定せず、制御の簡素化を図ることができる。
【0138】
(10-6)変更例6
上記した実施形態では、冷凍空間において主冷凍室7のみに冷凍空間温度検出部26を設けたが、冷凍空間に複数の貯蔵室が存在する場合、各貯蔵室に温度検出部を設けて各貯蔵室の温度を検出してもよい。
【0139】
各貯蔵室に温度検出部を設けた場合では、判定部9cは、それぞれの貯蔵室の温度と冷凍冷却器15との温度を比較し、いずれかの貯蔵室に設けられた扉について第2閉扉状態にあると判定すると、通常の冷凍冷却運転に代えて特殊冷却運転を行うように冷却運転の制御を変更したり、通常の冷凍除霜運転に代えて特殊冷却運転を行うように冷却運転の制御を変更したりすることで、冷凍冷却器15について次回の除霜運転までの時間を短くすることが好ましい。
【0140】
このような場合では、判定部9cが冷凍空間扉6a,7aの閉扉状態を精度よく判定することができ、精度よく判定することができ、適切な冷却運転及び除霜運転を行うことができる。
【符号の説明】
【0141】
1…冷蔵庫、2…冷蔵庫本体、3…冷蔵室、3a…冷蔵室扉、4…野菜室、4a…野菜扉、6…小冷凍室、6a…扉、7…主冷凍室、7a…扉、8…操作表示部、9…制御基板、9a…制御部、9b…記憶部、10…冷蔵冷却器、11…冷蔵送風機、15…冷凍冷却器、16…冷凍送風機、18…除霜ヒータ、24…冷蔵空間温度検出部、26…冷凍空間温度検出部、36…冷蔵冷却器温度検出部、37…冷凍冷却器温度検出部、40…機器アダプタ
図1
図2
図3
図4
図5