(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007072
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】車両制御装置および車両制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 20/13 20160101AFI20240111BHJP
B60W 10/26 20060101ALI20240111BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20240111BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240111BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20240111BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240111BHJP
B60L 58/13 20190101ALI20240111BHJP
【FI】
B60W20/13 ZHV
B60W10/26 900
B60W10/08 900
B60L15/20 J
B60L50/16
B60L50/60
B60L58/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108264
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白木 夢斗
(72)【発明者】
【氏名】六本木 一人
(72)【発明者】
【氏名】安藤 尚弘
【テーマコード(参考)】
3D202
5H125
【Fターム(参考)】
3D202BB00
3D202BB07
3D202BB16
3D202BB19
3D202CC14
3D202DD00
3D202DD45
3D202DD50
3D202EE26
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BA00
5H125BC13
5H125BD17
5H125CA02
5H125CA09
5H125CA18
5H125CD02
5H125EE27
5H125EE41
(57)【要約】
【課題】車両が排出ガス規制区域を走行する場合に、駆動源であるモータのバッテリの充電残量を適切に確保することができる車両制御装置および車両制御方法を提供する。
【解決手段】実施形態の一態様に係る車両制御装置においては、コントローラを備える。コントローラは、車両の目的地までの走行予定経路内に排出ガス規制区域が含まれ、かつ、エンジンを停止させた状態でモータの駆動力で車両を走行させる走行モード(BEV走行モード)で排出ガス規制区域を走行可能でない場合に、モータに電力を供給するバッテリの充電残量を上昇または維持させる手法について1つ以上の選択肢をユーザに対して提供する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンおよびモータを駆動源とする車両を制御するコントローラ
を備え、
前記コントローラは、
前記車両の目的地までの走行予定経路内に排出ガス規制区域が含まれ、かつ、前記エンジンを停止させた状態で前記モータの駆動力で前記車両を走行させる走行モードで前記排出ガス規制区域を走行可能でない場合に、前記モータに電力を供給するバッテリの充電残量を上昇または維持させる手法について1つ以上の選択肢をユーザに対して提供する、
車両制御装置。
【請求項2】
前記選択肢には、
充電施設で前記バッテリを充電し前記充電残量を上昇させる手法の選択肢、前記エンジンおよび前記モータの駆動力で前記車両を走行させる走行モードで前記充電残量を維持させる手法を優先する選択肢、および、発電機能を有する前記モータを前記エンジンの駆動力により発電させて前記バッテリを充電しつつ前記車両を走行させる走行モードで前記充電残量を上昇させる手法を許可する選択肢のうち少なくとも1つが含まれる、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記バッテリの前記充電残量を示す充電情報および前記走行予定経路を示す経路情報に基づいて、前記ユーザに提供される前記選択肢を決定する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
提供した前記選択肢に対する前記ユーザの選択操作が未入力である場合、提供した前記選択肢のうち予め設定された前記選択肢を選択し、選択した前記選択肢における手法を用いて前記充電残量を上昇または維持させる、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
予め設定された前記選択肢の優先度に応じて、提供する前記選択肢の表示順を変更する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
提供した前記選択肢における手法を用いて前記充電残量を上昇または維持させた場合に前記充電残量の上昇または維持に要する所要時間を示す所要時間情報を、前記ユーザに対して提供する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項7】
エンジンおよびモータを駆動源とする車両を制御する車両制御方法であって、
前記車両の目的地までの走行予定経路内に排出ガス規制区域が含まれ、かつ、前記エンジンを停止させた状態で前記モータの駆動力で前記車両を走行させる走行モードで前記排出ガス規制区域を走行可能でない場合に、前記モータに電力を供給するバッテリの充電残量を上昇または維持させる手法について1つ以上の選択肢をユーザに対して提供する、
車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置および車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンおよびモータを駆動源とする車両(いわゆるハイブリッド車両)の制御装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、大気汚染などの問題から、例えば都市部などを中心に、車両の排出ガスを規制する排出ガス規制区域の設定が進んでいる。上記した車両(ハイブリッド車両)が排出ガス規制区域を走行する場合、当該区域の規定を満たすため、車両はエンジンを停止させた状態でモータの駆動力で走行することとなる。
【0005】
そのため、車両にあっては、排出ガス規制区域に進入する前に、モータのバッテリにおいて、排出ガス規制区域の走行に要する充電残量(SOC(State Of Charge))を確保しておく必要がある。しかしながら、従来技術には、車両が排出ガス規制区域を走行する場合に、モータのバッテリの充電残量を適切に確保するという点で、改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両が排出ガス規制区域を走行する場合に、駆動源であるモータのバッテリの充電残量を適切に確保することができる車両制御装置および車両制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、車両制御装置において、エンジンおよびモータを駆動源とする車両を制御するコントローラを備える。前記コントローラは、前記車両の目的地までの走行予定経路内に排出ガス規制区域が含まれ、かつ、前記エンジンを停止させた状態で前記モータの駆動力で前記車両を走行させる走行モードで前記排出ガス規制区域を走行可能でない場合に、前記モータに電力を供給するバッテリの充電残量を上昇または維持させる手法について1つ以上の選択肢をユーザに対して提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両が排出ガス規制区域を走行する場合に、駆動源であるモータのバッテリの充電残量を適切に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、実施形態に係る車両制御方法の概要を説明するための図である。
【
図1B】
図1Bは、実施形態に係る車両制御方法の概要を説明するための図である。
【
図1C】
図1Cは、実施形態に係る車両制御方法の概要を説明するための図である。
【
図2】
図2は、比較例に係るバッテリのSOCの変化など示すタイムチャートである。
【
図3】
図3は、車両制御装置を備えた車両制御システムの構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、車両制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、バッテリが充電施設で充電される場合における、バッテリのSOCの変化など示すタイムチャートである。
【
図6】
図6は、HEV走行モードでの走行が優先される場合における、バッテリのSOCの変化など示すタイムチャートである。
【
図7】
図7は、車両制御装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、車両制御装置の第1変形例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、車両制御装置の第2変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する車両制御装置および車両制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
<車両制御方法の概要>
以下では先ず、実施形態に係る車両制御方法の概要について
図1A~
図1Cを参照して説明する。
図1A~
図1Cは、実施形態に係る車両制御方法の概要を説明するための図である。
【0012】
図1Aに示すように、実施形態に係る車両制御方法は、車両制御装置10によって実行される。車両制御装置10は、車両Aに搭載され、車両Aに関する各種の制御を実行する。
【0013】
車両Aは、エンジンおよびモータを駆動源とするハイブリッド車両であり、詳しくは、プラグインハイブリッド車両(PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle))である。車両Aは、複数の走行モードを備え、複数の走行モードの中から、車両Aの運転状態などに基づいて択一的に選択された走行モードで走行する。
【0014】
車両Aにおける走行モードには、BEV(Battery Electric Vehicle)走行モード、HEV(Hybrid Electric Vehicle)走行モード、および、CHG(Charge)走行モードなどが含まれる。
【0015】
BEV走行モードは、エンジンを停止させた状態でモータの駆動力で車両Aを走行させる走行モードである。具体的には、BEV走行モードにおいて、車両制御装置10は、バッテリの電力でモータのみを駆動させ、かかるモータの駆動力で車両Aを走行させる。
【0016】
HEV走行モードは、エンジンおよびモータの駆動力で車両Aを走行させる走行モードである。また、HEV走行モードにおいて、車両制御装置10は、バッテリの充電残量(以下「SOC」と記載する場合がある)が目標となる目標SOCを中心として維持されるように、エンジンおよびモータの動作を制御し、車両Aを走行させる。なお、HEV走行モードにおいて、車両Aは、必ずしも常にエンジンおよびモータの両方の駆動力を用いて走行しなくてもよく、例えば発進時に低速で走行するときにモータの駆動力のみで走行させる場合がある。また、モータは駆動に用いるだけでなく、回生駆動によりバッテリを充電する場合がある。
【0017】
上記したBEV走行モードとHEV走行モードとは、例えばバッテリのSOCなどを含む車両Aの運転状態に応じて選択される。なお、本実施形態に係る車両制御装置10は、デフォルト(初期設定)として、BEV走行モードを優先して選択するように構成される。
【0018】
例えば、バッテリが満充電など十分に充電された状態で車両Aの走行が開始されると、車両制御装置10は先ず、BEV走行モードを優先的に選択して車両Aを走行させる。そして、BEV走行モードにおいてモータの駆動力で車両Aを走行させ、バッテリのSOCが予め設定された下限SOCまで低下すると、車両制御装置10は、BEV走行モードからHEV走行モードに切り替えて車両Aを走行させる。このときのHEV走行モードでは、下限SOCが目標SOCとして設定され、バッテリのSOCがかかる目標SOC(下限SOC)を中心として維持されるように、エンジンおよびモータの動作が制御される。
【0019】
なお、上記した下限SOCは、BEV走行モードで走行可能なSOCの下限値である。また、上記では、デフォルトとしてBEV走行モードが優先される例を示したが、これに限定されるものではない。
【0020】
CHG走行モードは、バッテリを充電してSOCを上昇させる走行モードである。具体的には、モータは発電機能を有しており、CHG走行モードにおける車両制御装置10は、かかるモータをエンジンの駆動力により発電させてバッテリを充電しつつ、エンジンの駆動力で車両Aを走行させる。なお、CHG走行モードにおけるエンジンは、通常走行時(CHG走行モード以外の走行モード(例えばHEV走行モード)での走行時)より多く駆動力を生じさせる。
【0021】
上記したCHG走行モードは、ユーザ(例えば運転者)の要求に応じて選択可能な走行モードである。具体的には、車両Aの室内にチャージスイッチが設けられ、車両制御装置10は、ユーザによってチャージスイッチが操作(ON操作)されるとき、CHG走行モードを選択する。
【0022】
なお、車両制御装置10は、上記したチャージスイッチの操作に限らず、例えばCHG走行モードの選択がユーザによって許可されている場合に、CHG走行モードを選択することができる。
【0023】
なお、上記したBEV走行モードは第1走行モード、HEV走行モードは第2走行モード、CHG走行モードは第3走行モードであるともいえる。また、車両Aにおける走行モードには、上記した各走行モード以外の走行モードが含まれてもよい。
【0024】
ところで、車両が走行する道路Bにおいては、大気汚染の抑制などを目的として、一部の区域に「排出ガス規制区域D」が設定されることがある。なお、以下では、排出ガス規制区域Dを「規制区域D」、排出ガス規制区域D以外の区域を「非規制区域E」と記載する場合がある。また、
図1Aでは、規制区域Dを一点鎖線で囲んで示し、非規制区域Eを二点鎖線で囲んで示す。なお、
図1Aでは、規制区域Dに車両Aの出発地が存在し、車両Aは出発地から非規制区域Eを通過(経由)して規制区域Dにある目的地へ向かう例を示している。
【0025】
規制区域Dは、車両からの排出ガスが規制される区域である。一例として、規制区域Dにおいては、車両走行中にCO2などの排出ガスを出さない等の規定(基準)が設定され、当該規定を満たす車両が規制区域Dを走行することができる。逆に言えば、規制区域Dの規定を満たしていない車両については、規制区域Dへの乗り入れが禁止されて走行できない、あるいは通行料が課されるなど規制の対象となる。
【0026】
なお、上記した規制区域Dは、ZEZ(Zero Emission Zone)などとも呼ばれる。また、上記した規制区域Dにおける規定の内容は、あくまでも例示であって限定されるものではなく、例えば車両走行中の排出ガス量が基準値以下などその他の内容であってもよい。
【0027】
このような規制区域Dを、ハイブリッド車両である車両Aが走行する場合、規制区域Dの規定を満たすため、車両制御装置10は、車両AをBEV走行モードで走行させる必要がある。すなわち、BEV走行モードではモータのみが駆動するため、車両AからCO2などの排出ガスは排出されないことから、車両Aは規制区域Dの規定を満たした運転状態となり、規制区域Dを走行することができる。
【0028】
なお、HEV走行モードおよびCHG走行モードではエンジンが駆動するため、車両AからCO2などの排出ガスが排出され、よって車両Aは規制区域Dの規定を満たした運転状態とならず、規制区域Dを走行することができない。
【0029】
したがって、車両Aにあっては、規制区域Dに進入する前に、バッテリにおいて、規制区域Dの走行に要するSOC(以下「必要SOC」と記載する)を確保しておく必要がある。
【0030】
しかしながら、規制区域Dに進入する前にバッテリにおいて必要SOCが確保できているかの判断、言い換えると、規制区域DをBEV走行モードで走行中にバッテリのSOCが不足する状態にならないかなどの判断は、ユーザ(運転者)にとって難しい。
【0031】
また、ユーザが、規制区域DをBEV走行モードで走行中にSOCが不足する状態になると判断できた場合、規制区域Dの進入前に、上記したCHG走行モードによりバッテリを充電することが考えられる。しかしながら、CHG走行モードは、ユーザによるチャージスイッチの操作をトリガとして選択されるため、ユーザにとってその操作タイミングが難しかった。
【0032】
すなわち、例えばチャージスイッチの操作が適切なタイミングに比べて早い場合、必要SOCは確保できるものの、CHG走行モードでエンジンが駆動した状態が必要以上に長くなるとともに、バッテリが必要SOC以上に充電されるため、燃費が悪化してしまうおそれがあった。
【0033】
一方、例えばチャージスイッチの操作が適切なタイミングに比べて遅い場合、CHG走行モードでの走行する時間が不足して必要SOCを確保することができず、結果として車両Aが規制区域Dを走行できなくなる(言い換えると、規制の対象となってしまう)。
【0034】
このチャージスイッチの操作が遅く、車両が規制区域Dに進入する前に、バッテリにおいて必要SOCを確保することができなかった事例について、
図2を参照して詳説する。
図2は、比較例に係るバッテリのSOCの変化など示すタイムチャートである。
【0035】
図2に示すように、比較例に係る車両が規制区域Dにある出発地から出発すると(時刻T0参照)、車両は先ずBEV走行モードで走行を開始する。そして、車両は、時刻Taにおいて出発地のある規制区域Dから非規制区域Eに進入し、非規制区域Eの途中でバッテリのSOCが下限SOCまで低下すると(時刻Tb参照)、車両は、BEV走行モードからHEV走行モードに切り替わる。
【0036】
そして、ユーザが目的地のある規制区域DをBEV走行モードで走行した場合にSOCが不足する状態になると判断すると、チャージスイッチが操作される(時刻Tc参照)。これにより、車両は、HEV走行モードからCHG走行モードへ移行し、バッテリが充電される、すなわちSOCが上昇する。そして、時刻Tdにおいて、車両が目的地のある規制区域Dに到達し、かかる規制区域Dに進入すると、チャージスイッチが操作(OFF操作)されて、車両は、CHG走行モードからBEV走行モードへ移行する。なお、このときのバッテリは、チャージスイッチの操作が遅かったため、車両がBEV走行モードで規制区域Dの目的地まで走行するのに必要なSOCが充電されていないものとする。
【0037】
したがって、車両は、規制区域DをBEV走行モードで走行している途中で、すなわち目的地に到着する前に、バッテリのSOCが下限SOCまで低下し(時刻Te参照)、規制区域DをBEV走行モードで走行できなくなる(言い換えると、規制の対象となってしまう)。
【0038】
このように、ユーザが、規制区域DをBEV走行モードで走行中にSOCが不足する状態になると判断できた場合であっても、チャージスイッチを適切なタイミングで操作することは難しかった。
【0039】
そこで、本実施形態に係る車両制御方法にあっては、車両Aが規制区域Dを走行する場合に、駆動源であるモータのバッテリのSOCを適切に確保することができるようにした。
【0040】
具体的には、
図1Aに示すように、車両制御装置10は、車両Aの目的地までの走行予定経路Fを示す経路情報などを取得する(ステップS1)。具体的には、車両Aに搭載されたナビゲーション装置100に対し、目的地を示す目的地情報がユーザの操作によって入力される。ナビゲーション装置100は、車両Aの現在の位置情報と目的地情報とに基づき、現在地(言い換えると出発地)から目的地までの走行予定経路Fを検索し、検索した走行予定経路Fを含む経路情報を生成する。
【0041】
また、ナビゲーション装置100においては、規制区域情報や充電施設情報などが予め記憶部(図示せず)に記憶される。規制区域情報は、上記した規制区域Dに関する情報であり、例えば規制区域Dとして設定されている区域(エリア)の位置情報などを含む。充電施設情報は、車両Aのバッテリへの充電が可能な充電施設(充電スタンド)に関する情報であり、例えば充電施設の位置情報などを含む。
【0042】
そして、車両制御装置10は、上記した経路情報、規制区域情報および充電施設情報をナビゲーション装置100から取得する。また、車両制御装置10は、バッテリのSOCを示すSOC情報、詳しくはバッテリの現在のSOCを示すSOC情報を後述するモータECU310(
図3参照)から取得する。なお、SOC情報は、充電情報の一例である。
【0043】
なお、上記では、ナビゲーション装置100が車両Aに搭載される例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、ナビゲーション装置100は、例えばユーザが利用しナビゲーション機能を有する端末装置(例えばスマートフォンやタブレット端末など)であってもよい。
【0044】
次いで、車両制御装置10は、取得した経路情報、規制区域情報などに基づいて、走行予定経路F内に規制区域Dが含まれるか否かを判定する(ステップS2)。ここでは、
図1Aに示すように、走行予定経路F内に規制区域Dが含まれるものとする。
【0045】
車両制御装置10は、走行予定経路F内に規制区域Dが含まれる場合、規制区域DをBEV走行モードで走行可能であるか否かを判定する(ステップS3)。詳しくは、車両制御装置10は、経路情報や規制区域情報、SOC情報などに基づき、走行予定経路Fの全行程のうち、エンジンを停止させた状態でモータの駆動力で車両Aを走行させる走行モード(BEV走行モード)のみで走行可能な場所まで走行することで、走行予定経路F内の規制区域Dの全行程を走行可能であるか否かを判定する。言い換えると、車両制御装置10は、バッテリにおいて、BEV走行モードのみで目的地までに存在する規制区域Dの最終地点まで走行できるSOCが確保されているか否かを判定する。ここでは、走行予定経路F内の規制区域Dの最終地点までBEV走行モードのみで走行できないものとする。
【0046】
なお、走行予定経路F内の規制区域Dを全て走行した後、車両制御装置10は、任意の走行モードを選択してよい。詳しくは、目的地周辺が非規制区域Eであり、目的地に到着する前に規制区域Dの全行程を走行し終える場合、規制区域Dの全行程を走行し終えてから目的地に到着するまでの間は非規制区域Eを走行することになる。この際、車両制御装置10は、この非規制区域EをBEV走行モードで走行しなくてよく、また、ステップS3において、この非規制区域EをBEV走行モードで走行可能か否かを判定しなくてよい。
【0047】
車両制御装置10は、走行予定経路F内の規制区域DをBEV走行モードで走行可能でないと判定した場合(言い換えると走行不可能であると判定した場合)、モータに電力を供給するバッテリのSOCを上昇または維持させる手法について1つ以上の選択肢をユーザに対して提供する(ステップS4)。かかる選択肢の提供について、
図1Bを参照して説明する。
図1Bは、選択肢の提供を説明するための図である。
【0048】
図1Bに示すように、車両制御装置10は、ナビゲーション装置100の表示部(ディスプレイ)110に選択肢112a~112bなどを表示して提供する。具体的には、車両制御装置10は、規制区域D内をBEV走行モードのみでは走行できないこと、規制区域DをBEV走行モードで走行するにはバッテリのSOCを確保する必要があること、SOCを確保する手法について選択肢の選択を促すことなどを示すメッセージを表示欄111に表示する。
【0049】
また、車両制御装置10は、充電施設(充電スタンド)でのバッテリ充電でSOCを上昇させる手法を選択肢112aとして表示して提供する。具体的には、車両制御装置10は、経路情報や充電施設情報などに基づいて、走行予定経路Fの周辺に、バッテリを充電する充電施設が存在するか否かを判定する。そして、車両制御装置10は、走行予定経路Fの周辺に充電施設が存在すると判定し、かかる充電施設でバッテリを充電することで、走行予定経路Fに含まれる規制区域DをBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達できる場合、充電施設でのバッテリ充電でSOCを上昇させる手法を選択肢112aとして表示して提供する。
【0050】
また、車両制御装置10は、バッテリのSOCを自動で制御してSOCを確保する手法を選択肢112b,112cとして表示して提供する。具体的には、車両制御装置10は、HEV走行モードでSOCを維持させる手法を優先する選択肢112b、および、CHG走行モードでSOCを上昇させる手法を許可する選択肢112cを提供する。
【0051】
詳しくは、車両制御装置10は、経路情報や規制区域情報、SOC情報などに基づき、走行予定経路Fに含まれる非規制区域EをHEV走行モードで走行してバッテリのSOCを維持させることで(言い換えるとSOCが減少しないようにすることで)、走行予定経路Fに含まれる規制区域DをBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達できるか否かを判定する。そして、車両制御装置10は、HEV走行モードでの走行により、規制区域DをBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達できると判定した場合、HEV走行モードでSOCを維持させる手法を優先する選択肢112bを表示して提供する。
【0052】
また、車両制御装置10は、経路情報や規制区域情報、SOC情報などに基づき、走行予定経路Fに含まれる非規制区域EをCHG走行モードで走行してバッテリのSOCを上昇させることで、走行予定経路Fに含まれる規制区域DをBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達できるか否かを判定する。そして、車両制御装置10は、CHG走行モードでの走行により、規制区域DをBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達できると判定した場合、CHG走行モードでSOCを上昇させる手法を許可する選択肢112cを表示して提供する。
【0053】
また、車両制御装置10は、ユーザがチャージスイッチを手動操作することで、SOCを上昇させる手法を選択肢112dとして表示して提供する。そして、ユーザは、提供された選択肢112a~112dの中から所望する選択肢を選択する。例えば、表示部110はタッチパネルディスプレイであり、ユーザは、選択肢112a~112dの中から所望する選択肢をタッチ操作して選択する。
【0054】
図1Aの説明を続けると、車両制御装置10は、ユーザによって選択された選択肢における手法を用いて、SOCを上昇または維持させるように車両を制御する(ステップS5)。
【0055】
具体的には、車両制御装置10は、充電施設でのバッテリ充電でSOCを上昇させる手法の選択肢112aが選択された場合、ユーザが充電施設を経由してバッテリ充電することを要求していることを示す要求情報をナビゲーション装置100へ出力する。ナビゲーション装置100は、当該要求情報が入力されると、走行予定経路Fを充電施設を経由する経路に変更し、変更した走行予定経路Fを示す経路情報をユーザに提供する。
【0056】
これにより、車両Aのバッテリは、充電施設において充電されることとなるため、必要SOCを確保することが可能となり、結果として車両Aは、走行予定経路Fに含まれる規制区域DをBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達することができる。なお、選択肢112aが選択されて充電施設でバッテリ充電される場合における、バッテリのSOCの変化などについては、
図5を参照して後述する。
【0057】
また、車両制御装置10は、HEV走行モードでSOCを維持させる手法を優先する選択肢112bが選択された場合、走行予定経路Fに含まれる非規制区域EをHEV走行モードで走行し、バッテリのSOCを必要SOCで維持させるように、車両Aを制御する。
【0058】
これにより、車両Aのバッテリは、非規制区域EをHEV走行モードで走行してバッテリのSOCが維持されることで(言い換えるとSOCが減少しないようにすることで)、必要SOCを確保することが可能となり、結果として車両Aは、走行予定経路Fに含まれる規制区域DをBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達することができる。なお、選択肢112bが選択されて非規制区域EをHEV走行モードで走行する場合における、バッテリのSOCの変化などについては、
図6を参照して後述する。
【0059】
また、車両制御装置10は、CHG走行モードでSOCを上昇させる手法を許可する選択肢112cが選択された場合、走行予定経路Fに含まれる非規制区域Eにおいて所定時間(あるいは所定距離)CHG走行モードで走行し、バッテリのSOCを必要SOCまで上昇させるように、車両Aを制御する。
【0060】
この選択肢112cが選択されてCHG走行モードで走行する場合における、バッテリのSOCの変化などについて
図1Cを参照して説明する。
図1Cは、CHG走行モードでの走行が許可された場合における、バッテリのSOCの変化など示すタイムチャートである。
【0061】
図1Cに示すように、例えば時刻T0において、車両制御装置10は、経路情報などを取得すると、経路情報などに基づき、走行予定経路F内に規制区域Dが含まれる場合、走行予定経路FをBEV走行モードのみで走行可能であるか否かを判定する。ここでは、想像線で示すように、走行予定経路FをBEV走行モードで走行不可能であると判定するものとする(時刻T2参照)。したがって、車両制御装置10は、例えば上記の選択肢112a~112dをユーザに対して提供し、ここではCHG走行モードでSOCを上昇させる手法を許可する選択肢112cが選択されるものとする。
【0062】
かかる場合、車両制御装置10は、規制区域Dにある出発地から出発すると、規制区域DにおいてBEV走行モードで車両Aを走行させる。そして、車両が時刻T1において出発地のある規制区域Dから非規制区域Eに進入すると、車両制御装置10は、非規制区域EにおいてCHG走行モードで車両Aを走行させ、バッテリのSOCを必要SOCまで上昇させる。なお、必要SOCは、経路情報を含む各種情報に基づいて算出されるが、これについては後述する。
【0063】
次いで、車両制御装置10は、バッテリのSOCが必要SOCまで上昇すると(時刻T3)、非規制区域EをHEV走行モードで走行し、バッテリのSOCを必要SOCで維持させるように車両Aを制御する。なお、
図1Cでは、CHG走行モードの後にHEV走行モードに切り替わる例を示したが、これに限定されるものではなく、例えばHEV走行モードの後にCHG走行モードに切り替わってもよいし、CHG走行モードとHEV走行モードとが交互に選択されるようにしてもよい。
【0064】
続いて、時刻T4において、車両Aが目的地のある規制区域Dに到達し、かかる規制区域Dに進入すると、車両制御装置10は、HEV走行モードからBEV走行モードへ移行する。このとき、車両Aのバッテリは、必要SOCが確保されているため、車両Aは、規制区域DをBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達することができる(時刻T5参照)。
【0065】
図1Aの説明を続けると、車両制御装置10は、ユーザがチャージスイッチを手動操作することでSOCを上昇させる手法の選択肢112d(
図1B参照)が選択された場合、チャージスイッチが手動操作(ON操作)されるときにCHG走行モードで走行し、バッテリのSOCを上昇させるように車両Aを制御する。かかる選択肢112dは、例えばユーザがチャージスイッチの操作に対する適切なタイミングを把握しており、ユーザ自身でSOCを管理することを所望する場合に選択される。したがって、車両Aのバッテリは、CHG走行モードでの走行により必要SOCが確保され、車両Aは、規制区域DをBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達することが可能となる。
【0066】
このように、本実施形態に係る車両制御装置10にあっては、規制区域Dを含む走行予定経路FをBEV走行モードで走行可能でない(走行不可能である)と判定した場合、バッテリのSOCを上昇または維持させる手法について選択肢112a~112dをユーザに対して提供するようにした。
【0067】
これにより、本実施形態にあっては、ユーザによって選択された選択肢の手法によって車両Aを制御することで、車両Aが規制区域Dを走行する場合に、駆動源であるモータのバッテリのSOCを適切に確保することができる。
【0068】
<車両制御システムの構成>
次に、実施形態に係る車両制御装置10を備えた車両制御システム1の構成について、
図3を用いて説明する。
図3は、車両制御装置10を備えた車両制御システム1の構成例を示すブロック図である。なお、
図3等のブロック図では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0069】
換言すれば、
図3等のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0070】
図3に示すように、車両制御システム1は、車両制御装置10と、ナビゲーション装置100と、エンジン200と、エンジンECU(Electronic Control Unit)210と、モータ300と、モータECU310と、バッテリ400とを含む。
【0071】
車両制御装置10は、ナビゲーション装置100、エンジンECU210およびモータECU310などとCAN(Controller Area Network)通信などを介して通信可能に接続され、車両全体を制御する。なお、車両制御装置10の詳細な構成については、
図4を参照して後述する。
【0072】
ナビゲーション装置100は、車両の目的地までの走行予定経路を含む経路情報を提供する。具体的には、ナビゲーション装置100は、図示しないGPS(Global Positioning System)センサによって検出された車両の位置情報と、ユーザの操作によって入力された目的地情報とに基づき、現在地から目的地までの走行予定経路を検索し、検索した走行予定経路を含む経路情報を生成する。そして、ナビゲーション装置100は、生成した経路情報などを表示部110(
図1B参照)に表示してユーザに提供する。また、ナビゲーション装置100は、生成した経路情報、予め記憶部(図示せず)に記憶される規制区域情報や充電施設情報などを車両制御装置10へ送信する。
【0073】
また、ナビゲーション装置100は、車両制御装置10から上記した選択肢に関する情報が送信されると、かかる情報に応じた選択肢を表示部110に表示してユーザに提供する。また、ナビゲーション装置100は、表示部110に表示した選択肢がユーザによって選択されると、選択された選択肢を示す選択情報を車両制御装置10へ送信する。
【0074】
なお、
図3では、車両制御装置10とナビゲーション装置100とが別々の装置である例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば車両制御装置10が、ナビゲーション装置100におけるナビゲーション機能や表示機能などを有する装置であってもよい。
【0075】
エンジン200は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジンECU210は、エンジン200を制御する。例えば、エンジンECU210は、BEV走行モードが選択されている場合、車両制御装置10からの制御指示に応じてエンジン200を停止させ、車両走行中にCO2などの排出ガスを出さない運転状態とする。
【0076】
また、エンジンECU210は、HEV走行モードが選択されている場合、車両制御装置10からの制御指示に応じてバッテリ400のSOCが目標SOCを中心として維持されるようにエンジン200を駆動させつつ、車両を走行させる。また、エンジンECU210は、CHG走行モードが選択されている場合、車両制御装置10からの制御指示に応じてエンジン200を通常走行時(例えばHEV走行モードでの走行時)より多く駆動力を生じさせ、かかる駆動力によって発電するモータ300によりバッテリ400の充電が行われつつ、車両を走行させる。
【0077】
モータ300は、例えば発電機能を有するモータジェネレータである。なお、
図3の例では、モータ300を1つのブロックで示すが、モータ300は複数であってもよい。すなわち、例えば出力トルクを車両の走行のための駆動力として用いるモータ、エンジン200の駆動力により発電するモータなど、機能の異なるモータを複数備える構成であってもよい。
【0078】
モータECU310は、モータ300を制御する。例えば、モータECU310は、BEV走行モードが選択されている場合、車両制御装置10からの制御指示に応じてモータ300を駆動させ、かかる駆動力によって車両を走行させる。
【0079】
また、モータECU310は、HEV走行モードが選択されている場合、車両制御装置10からの制御指示に応じてバッテリ400のSOCが目標SOCを中心として維持されるようにモータ300を駆動させつつ、車両を走行させる。また、モータECU310は、CHG走行モードが選択されている場合、車両制御装置10からの制御指示に応じてエンジン200からの駆動力によって発電しつつ、車両を走行させる。
【0080】
また、モータECU310には、バッテリ400が接続され、モータECU310は、かかるバッテリ400のSOCを検出する。また、モータECU310は、検出したSOCを示すSOC情報を車両制御装置10へ送信することができる。
【0081】
なお、上記では、モータECU310が、バッテリ400のSOCを検出するようにしたが、これに限られず、例えばバッテリ400の状態を管理する電池ECU(図示せず)からSOC情報を取得して車両制御装置10へ送信してもよい。また、電池ECUがSOC情報を車両制御装置10へ送信してもよい。
【0082】
バッテリ400は、モータ300に接続され、モータ300に電力を供給する。また、バッテリ400は、モータ300が発電機として機能する場合には、モータ300で発電された電力が供給されて充電される。なお、バッテリ400としては、ニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池(LIB(Lithium-Ion rechargeable Battery))などを用いることができるが、これらに限定されるものではなく、その他の種類のバッテリであってもよい。
【0083】
<車両制御装置の構成>
次いで、車両制御装置10の構成について
図4を参照して詳しく説明する。
図4は、車両制御装置10の構成例を示すブロック図である。
【0084】
車両制御装置10は、コントローラ(制御部)20と、記憶部30とを備える。また、車両制御装置10には、上記したチャージスイッチ11が接続され、チャージスイッチ11に対するユーザの操作(ON操作あるいはOFF操作)を示す操作信号が入力される。
【0085】
記憶部30は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部30には、経路情報31、規制区域情報32、充電施設情報33、SOC情報34および各種プログラムなどが記憶される。
【0086】
経路情報31は、車両の目的地までの走行予定経路を含む情報である。規制区域情報32は、規制区域(排出ガス規制区域)に関する情報であり、例えば規制区域として設定されている区域の位置情報などを含む。
【0087】
充電施設情報33は、充電スタンドなど車両のバッテリへの充電が可能な充電施設に関する情報であり、例えば充電施設の位置情報などを含む。SOC情報34は、バッテリ400のSOCを示す情報であり、詳しくはバッテリ400の現在のSOCを示す情報である。
【0088】
コントローラ20は、取得部21と、判定部22と、提供部23と、受付部24と、車両制御部25とを備え、エンジン200およびモータ300を駆動源とする車両の制御などを行う。コントローラ20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0089】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、コントローラ20の取得部21、判定部22、提供部23、受付部24および車両制御部25として機能する。また、コントローラ20の取得部21、判定部22、提供部23、受付部24および車両制御部25の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0090】
コントローラ20の取得部21は、経路情報などを取得する。例えば、取得部21は、ナビゲーション装置100において目的地が設定されて経路情報が生成されると、かかる経路情報をナビゲーション装置100から取得し、記憶部30に記憶させる。また、取得部21は、規制区域情報および充電施設情報をナビゲーション装置100から取得し、記憶部30に記憶させる。
【0091】
なお、上記では、取得部21が、規制区域情報および充電施設情報をナビゲーション装置100から取得するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば外部サーバなどその他の装置から取得してもよい。また、規制区域情報および充電施設情報は、予め記憶部30に記憶されてもよい。
【0092】
また、取得部21は、バッテリ400のSOCを示すSOC情報を取得する。例えば、取得部21は、バッテリ400の現在のSOCを示すSOC情報をモータECU310から取得し、記憶部30に記憶させる。なお、上記では、取得部21が、SOC情報をモータECU310から取得するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば電池ECUなどその他の装置から取得してもよい。
【0093】
判定部22は、走行予定経路内に規制区域(排出ガス規制区域)が含まれるか否かを判定する処理、および、走行予定経路に含まれる規制区域をBEV走行モードで走行可能であるか否かを判定する処理などを実行する。
【0094】
具体的には、判定部22は、経路情報、規制区域情報などに基づいて、走行予定経路内に規制区域が含まれるか否かを判定する。そして、判定部22は、走行予定経路内に規制区域が含まれると判定した場合、かかる規制区域をBEV走行モードで走行可能であるか否かを判定する。
【0095】
詳しくは、判定部22は、経路情報や規制区域情報、SOC情報などに基づき、走行予定経路の全行程のうち、走行予定経路内の規制区域の全行程をBEV走行モードのみで走行可能であるか否かを判定する。すなわち、判定部22は、現在のSOCや走行予定経路における総走行距離、走行予定経路内における規制区域の走行距離などに基づき、BEV走行モードのみで走行可能な場所まで走行することで、走行予定経路内の規制区域の全行程(言い換えると規制区域の最終地点まで)を走行できるか否かを判定する。
【0096】
一例として、判定部22は、先ず車両が現在地から規制区域の最終地点までBEV走行モードで走行するのに必要な必要SOCを算出する。例えば、判定部22は、現在地から規制区域の最終地点まで走行するのに要すると予測される予測電費を算出し、算出した予測電費に基づいて必要SOCを算出する。そして、判定部22は、算出された必要SOCより現在のSOCが大きい場合、走行予定経路内の規制区域をBEV走行モードで走行可能であると判定する。
【0097】
また、判定部22は、規制区域をBEV走行モードで走行可能であるか否かの判定結果を提供部23へ出力する。
【0098】
なお、判定部22においては、上記した予測電費について、経路情報における走行予定経路の距離(総走行距離)や規制区域の走行距離以外の情報を考慮して算出してもよい。例えば、判定部22は、ユーザの走行傾向情報、交通情報、エアコンの使用状況情報、マージン等を考慮して予測電費を算出してもよい。
【0099】
詳説すると、ユーザの走行傾向情報は、ユーザの走行に関する傾向を示す情報である。一例としてユーザの走行傾向については、コントローラ20がユーザのブレーキ操作やアクセル操作の頻度、タイミングなどを解析し、急ブレーキや急発進などが比較的多い走行傾向であることを検出することができる。そして、急ブレーキ等が多い走行傾向であることを検出された場合、走行時のモータ300などの消費電力が増加する可能性があるため、判定部22は、急ブレーキ等が比較的少ない通常の走行傾向に比べ、予測電費が多くなるように算出する。
【0100】
また、例えば判定部22は、交通情報を外部サーバなどから取得する。そして、交通情報において走行予定経路が渋滞であることを示す渋滞情報が含まれる場合、走行時のモータ300などの消費電力が増加する可能性があるため、判定部22は、交通情報に渋滞情報が含まれないときに比べ、予測電費が多くなるように算出する。
【0101】
また、例えば判定部22は、車両のエアコンの使用状況を示す使用状況情報を取得する。そして、使用状況情報においてエアコンが使用されていることを示す情報が含まれる場合、走行時のエアコンの消費電力が増加する可能性があるため、判定部22は、エアコンが使用されていない使用状況情報のときに比べ、予測電費が多くなるように算出する。
【0102】
このように、判定部22は、経路情報以外の情報(ここでは、ユーザの走行傾向情報、交通情報、エアコンの使用状況情報、マージン等)考慮して算出された予測電費を用いることで、必要SOCを精度良く算出することが可能になる。
【0103】
なお、上記した必要SOCは、車両の現在地から規制区域の最終地点までの距離に応じて変動する。すなわち、車両の移動に伴って規制区域の最終地点までの距離が短くなるにつれて、必要SOCは減少していくこととなる。
【0104】
図4の説明を続けると、提供部23は、判定部22によって規制区域をBEV走行モードで走行可能でないと判定された場合、バッテリ400のSOCを上昇または維持させる手法について選択肢をユーザに対して提供する。
【0105】
選択肢には、充電施設でバッテリ400を充電しSOCを上昇させる手法の選択肢112a、HEV走行モードでSOCを維持させる手法を優先する選択肢112b、CHG走行モードでSOCを上昇させる手法を許可する選択肢112c、ユーザがチャージスイッチを手動操作することでSOCを上昇させる手法の選択肢112d(いずれも
図1B参照)などが含まれる。
【0106】
このように選択肢が提供されることで、例えばユーザは、規制区域の走行に要するSOCをバッテリ400が確保する手法について自由に選択することが可能となり、よってユーザの利便性を向上させることができる。
【0107】
なお、上記では、4つの選択肢112a~112dが提供される例を示したが、これに限定されるものではなく、4つの選択肢112a~112dのうち少なくとも1つであってもよい。
【0108】
具体的に提供部23は、SOC情報および経路情報などに基づいて、ユーザに提供される選択肢を決定する。
【0109】
例えば、提供部23は、経路情報や充電施設情報、SOC情報などに基づいて、走行予定経路の周辺に充電施設が存在し、かかる充電施設でバッテリを充電することで、規制区域をBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達できる場合、充電施設でバッテリ400を充電しSOCを上昇させる手法の選択肢112aを、ユーザに提供される選択肢として決定する。逆に言えば、提供部23は、走行予定経路の周辺に充電施設が存在しない場合、選択肢112aをユーザに提供される選択肢として決定しない、すなわち、選択肢112aは提供されないようにする。
【0110】
また、例えば、提供部23は、経路情報や規制区域情報、SOC情報などに基づき、非規制区域をHEV走行モードで走行してバッテリのSOCを維持させることで、規制区域をBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達できる場合、HEV走行モードでSOCを維持させる手法を優先する選択肢112bを、ユーザに提供される選択肢として決定する。逆に言えば、提供部23は、HEV走行モードでバッテリのSOCを維持させても目的地まで到達できない場合、選択肢112bをユーザに提供される選択肢として決定しない、すなわち、選択肢112bは提供されないようにする。
【0111】
また、例えば、提供部23は、経路情報や規制区域情報、SOC情報などに基づき、非規制区域をCHG走行モードで走行してバッテリのSOCを上昇させることで、規制区域をBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達できる場合、CHG走行モードでSOCを上昇させる手法を許可する選択肢112cを、ユーザに提供される選択肢として決定する。逆に言えば、提供部23は、CHG走行モードでバッテリのSOCを上昇させても目的地まで到達できない場合、選択肢112cをユーザに提供される選択肢として決定しない、すなわち、選択肢112cは提供されないようにする。
【0112】
このように、本実施形態に係る提供部23は、SOC情報および経路情報などに基づいて、ユーザに提供される選択肢を決定するようにしたので、規制区域をBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達できる選択肢を精度良く決定することができる。
【0113】
受付部24は、チャージスイッチ11に対するユーザの操作を受け付ける。例えば、受付部24は、チャージスイッチ11から、ユーザの操作(ON操作あるいはOFF操作)を示す操作信号が入力されると、入力された操作信号を車両制御部25へ出力する。
【0114】
車両制御部25は、ユーザによって選択された選択肢における手法を用いて、SOCを上昇または維持させるように車両を制御する。言い換えると、車両制御部25は、ユーザによって選択された選択肢に応じてエンジン200やモータ300の動作を制御することで、バッテリ400のSOCを制御する。
【0115】
例えば、車両制御部25は、充電施設でバッテリ400を充電しSOCを上昇させる手法の選択肢112aが選択された場合、ユーザが充電施設でのバッテリ充電を要求していることを示す要求情報をナビゲーション装置100へ出力する。これにより、ナビゲーション装置100は、走行予定経路を充電施設を経由する経路に変更し、変更した走行予定経路を示す経路情報をユーザに提供する。そして、車両は、経路情報に含まれる充電施設へ移動し、車両のバッテリ400が充電施設で充電されることとなるため、車両は規制区域をBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達することができる。
【0116】
この選択肢112aが選択されてバッテリ400が充電施設で充電される場合における、バッテリ400のSOCの変化などについて
図5を参照して説明する。
図5は、バッテリ400が充電施設で充電される場合における、バッテリ400のSOCの変化など示すタイムチャートである。
【0117】
図5に示すように、例えば時刻T0において、車両が規制区域にある出発地から出発すると、車両制御部25は、規制区域においてBEV走行モードで車両を走行させる。そして、車両が時刻T11において規制区域を通過して非規制区域に進入し、非規制区域の途中でバッテリのSOCが下限SOCまで低下すると(時刻T12参照)、車両制御部25は、BEV走行モードからHEV走行モードに切り替える。
【0118】
そして、時刻T13において、車両が充電施設に到着すると、バッテリ400が充電施設で充電される。なお、
図5の例では、バッテリ400が満充電となるまで充電されるようにしたが、これに限定されるものではない。
【0119】
続いて、時刻T14において、車両が充電施設から出発し、車両制御部25は、BEV走行モードで車両を走行させる。このときの車両のバッテリ400は、満充電で必要SOCが確保されているため、車両は、規制区域をBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達することができる(時刻T15参照)。
【0120】
図4の説明に戻ると、車両制御部25は、HEV走行モードでSOCを維持させる手法を優先する選択肢112bが選択された場合、非規制区域をHEV走行モードで走行し、バッテリ400のSOCを必要SOCで維持させるように、車両を制御する。
【0121】
これにより、バッテリ400は、非規制区域をHEV走行モードで走行してバッテリのSOCが維持されることで(言い換えるとSOCが減少しないようにすることで)、必要SOCを確保することが可能となり、結果として車両は、規制区域をBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達することができる。
【0122】
この選択肢112bが選択されてHEV走行モードでの走行が優先される場合における、バッテリ400のSOCの変化などについて
図6を参照して説明する。
図6は、HEV走行モードでの走行が優先される場合における、バッテリ400のSOCの変化など示すタイムチャートである。
【0123】
図6に示すように、例えば時刻T0において、車両が規制区域にある出発地から出発すると、車両制御部25は、規制区域においてBEV走行モードで車両を走行させる。そして、車両が時刻T21において規制区域を通過して非規制区域に進入し、非規制区域の途中でバッテリのSOCが必要SOCまで低下すると(時刻T22参照)、車両制御部25は、BEV走行モードからHEV走行モードに切り替える。これにより、バッテリ400のSOCが必要SOCに維持される。
【0124】
そして、時刻T23において、車両が目的地のある規制区域に進入すると、車両制御部25は、BEV走行モードで車両を走行させる。このときの車両のバッテリ400は、必要SOCが確保されているため、車両は、規制区域をBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達することができる(時刻T24参照)。
【0125】
図4の説明に戻ると、車両制御部25は、CHG走行モードでSOCを上昇させる手法を許可する選択肢112cが選択された場合、非規制区域においてCHG走行モードで走行し、バッテリのSOCを必要SOCまで上昇させるように、車両を制御する。
【0126】
これにより、バッテリ400は、非規制区域をCHG走行モードで走行してバッテリのSOCが上昇することで、必要SOCを確保することが可能となり、結果として車両は、規制区域をBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達することができる。
【0127】
なお、この選択肢112cが選択されてCHG走行モードでの走行が許可される場合における、バッテリ400のSOCの変化については、
図1Cで示したため、ここでの説明は省略する。
【0128】
車両制御部25は、ユーザがチャージスイッチを手動操作することでSOCを上昇させる手法の選択肢112dが選択された場合、受付部24から入力される操作信号に応じて、CHG走行モードで車両を走行させる。すなわち、車両制御部25は、チャージスイッチが手動操作(ON操作)されるときにCHG走行モードで走行し、バッテリのSOCを上昇させるように車両を制御する。これにより、車両が規制区域をBEV走行モードで走行しつつ目的地まで到達することが可能となることは、既に述べた通りである。
【0129】
また、上記のように選択肢をユーザに提供しても、ユーザによる選択操作がなされない場合(すなわち、ユーザの選択操作が未入力である場合)がある。かかる場合、本実施形態に係る車両制御部25にあっては、提供した選択肢のうち予め設定された選択肢を選択し、選択した選択肢における手法を用いてSOCを上昇または維持させるようにした。
【0130】
一例として、車両制御部25は、ユーザの選択操作が未入力である場合、提供した選択肢112a~112dのうち予め設定された選択肢112d(ユーザがチャージスイッチを手動操作することでSOCを上昇させる手法の選択肢112d)を選択し、選択した選択肢における手法を用いてSOCを上昇させるようにした。
【0131】
これにより、本実施形態にあっては、提供した選択肢に対するユーザの選択操作が未入力である場合であっても、適切な選択肢を選択することが可能となる。例えば、上記した選択肢112d(ユーザがチャージスイッチを手動操作することでSOCを上昇させる手法の選択肢112d)が選択されることで、ユーザの意図しない走行モードに切り替わらないような、適切な選択肢を選択することが可能となる。
【0132】
なお、上記では、予め設定された選択肢が、ユーザがチャージスイッチを手動操作することでSOCを上昇させる手法の選択肢112dである例を示したが、これに限られず、選択肢112a~112cのいずれかなど、その他の選択肢であってもよい。
【0133】
<実施形態に係る車両制御装置の制御処理>
次に、車両制御装置10における具体的な処理手順について
図7を用いて説明する。
図7は、車両制御装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0134】
図7に示すように、車両制御装置10のコントローラ20は、車両の目的地までの走行予定経路を示す経路情報などを取得したか否かを判定する(ステップS10)。コントローラ20は、経路情報などを取得していないと判定された場合(ステップS10,No)、デフォルトの通常制御を実行する(ステップS11)。なお、通常制御におけるコントローラ20は、例えばBEV走行モードを優先して選択するとともに、チャージスイッチ11の操作を受け付けた場合にCHG走行モードを実行する。
【0135】
コントローラ20は、経路情報などを取得したと判定された場合(ステップS10,Yes)、走行予定経路内に規制区域が含まれるか否かを判定する(ステップS12)。コントローラ20は、走行予定経路内に規制区域が含まれないと判定された場合(ステップS12,No)、ステップS11の処理を実行する。
【0136】
一方、コントローラ20は、走行予定経路内に規制区域が含まれると判定された場合(ステップS12,Yes)、走行予定経路の規制区域をBEV走行モードのみで走行可能であるか否かを判定する(ステップS13)。コントローラ20は、規制区域をBEV走行モードのみで走行可能と判定された場合(ステップS13,Yes)、ステップS11の処理を実行する。
【0137】
また、コントローラ20は、規制区域をBEV走行モードのみで走行可能でない(走行不可能)と判定された場合(ステップS13,No)、SOC情報や経路情報などに基づいて、ユーザに提供する選択肢を決定する(ステップS14)。そして、コントローラ20は、決定した選択肢をユーザに提供する(ステップS15)。
【0138】
次いで、コントローラ20は、ユーザによって選択肢が選択されたか否かを判定する(ステップS16)。コントローラ20は、ユーザによって選択肢が選択されないと判定された場合、すなわちユーザの選択操作が未入力である場合(ステップS16,No)、予め設定された選択肢(例えば、ユーザがチャージスイッチ11を手動操作することでSOCを上昇させる手法の選択肢112d)を選択し、ステップS11の処理を実行する。
【0139】
他方、コントローラ20は、ユーザによって選択肢が選択されたと判定された場合(ステップS16,Yes)、チャージスイッチ11を手動操作する選択肢112dが選択されたか否かを判定する(ステップS17)。
【0140】
コントローラ20は、チャージスイッチ11を手動操作する選択肢112dが選択されたと判定された場合(ステップS17,Yes)、ステップS11の処理を実行する。一方、コントローラ20は、チャージスイッチを手動操作する選択肢112dが選択されていないと判定された場合(ステップS17,No)、すなわち、選択肢112a~112cのいずれかが選択されたと判定された場合(ステップS17,No)、選択された選択肢における手法を用いてバッテリ400のSOCを上昇または維持させるように、車両を制御する(ステップS18)。
【0141】
上述してきたように、実施形態に係る車両制御装置10は、エンジンおよびモータを駆動源とする車両を制御するコントローラ20を備える。コントローラ20は、車両の目的地までの走行予定経路内に排出ガス規制区域が含まれ、かつ、エンジン200を停止させた状態でモータ300の駆動力で車両を走行させる走行モード(BEV走行モード)で排出ガス規制区域を走行可能でない場合に、モータ300に電力を供給するバッテリ400の充電残量(SOC)を上昇または維持させる手法について1つ以上の選択肢をユーザに対して提供する。これにより、車両が排出ガス規制区域を走行する場合に、駆動源であるモータのバッテリの充電残量を適切に確保することができる。
【0142】
<第1変形例>
次いで、上記した実施形態に係る車両制御装置10の第1、第2変形例について説明する。
図8は、車両制御装置10の第1変形例を説明するための図であり、
図9は、車両制御装置10の第2変形例を説明するための図である。なお、
図8,9は、ナビゲーション装置100の表示部110を示し、車両制御装置10の制御指示に応じた表示内容が表示されている。なお、以下においては、実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0143】
第1変形例について説明すると、第1変形例に係る車両制御装置10にあっては、選択肢の優先度に応じて、提供する選択肢の表示順を変更するようにした。これにより、第1変形例にあっては、選択肢の表示順を適切にすることができる。
【0144】
具体的に説明すると、先ず車両制御装置10のコントローラ20の取得部21は、選択肢の優先度を示す優先度情報を取得する。優先度情報とは、ユーザが選択肢を選択してSOCを確保する際に、優先する内容を示す情報である。かかる優先度情報は、ユーザによって設定される。
図8では、優先度情報を設定する設定画面を示している。
【0145】
図8に示すように、優先度情報の設定画面においては、例えばユーザが選択肢を選択してSOCを確保する際に優先する内容の入力を促すメッセージが表示欄113に表示される。また、設定画面においては、時間を優先する設定ボタン114aと、コストを優先させる設定ボタン114bとが表示される。
【0146】
ここで、設定ボタン114aにおける時間優先とは、規制区域の走行に要するSOCを時間を優先して早期に確保することを、ユーザが所望することを意味している。詳説すると、上記した充電施設でのバッテリ400の充電にはある程度時間がかかることから、充電施設でバッテリ400を充電する場合の目的地への到着時間は、CHG走行モードなどで走行しながらバッテリ400を充電する場合の目的地への到着時間に比べて遅くなる。そのため、ユーザが目的地への早期の到着を所望する場合、設定ボタン114aが操作されて、優先度情報が「時間優先」となる。
【0147】
そして、提供部23は、優先度情報が「時間優先」の場合、選択肢の表示順を時間が優先される選択肢の順に変更する。例えば、提供部23は、表示順を、CHG走行モードを許可する選択肢112c、HEV走行モードを優先する選択肢112b、チャージスイッチの手動操作でSOCを上昇させる選択肢112d、充電施設でのバッテリ充電でSOCを上昇させる手法の選択肢112aに変更する。
【0148】
また、設定ボタン114bにおけるコスト優先とは、規制区域の走行に要するSOCをコストを優先して確保することを、ユーザが所望することを意味している。詳説すると、CHG走行モードなどでバッテリ400を充電する場合のコストは、充電施設でバッテリ400を充電する場合のコストに比べて高くなる。そのため、ユーザが、コストをできるだけ抑えることを所望する場合、設定ボタン114bが操作されて、優先度情報が「コスト優先」となる。
【0149】
そして、提供部23は、優先度情報が「コスト優先」の場合、選択肢の表示順をコストが優先される選択肢の順に変更する。例えば、提供部23は、表示順を、充電施設でのバッテリ充電でSOCを上昇させる手法の選択肢112a、HEV走行モードを優先する選択肢112b、チャージスイッチの手動操作でSOCを上昇させる選択肢112d、CHG走行モードを許可する選択肢112cに変更する。
【0150】
このように、第1変形例にあっては、選択肢の優先度に応じて、提供する選択肢の表示順を変更することで、例えば選択肢の表示順を、ユーザが優先する内容に即した適切な順番にすることができる。したがって、ユーザは、自身が優先する内容に沿った内容の選択肢を選択し易くなる。
【0151】
<第2変形例>
次いで、第2変形例について説明する。第2変形例に係る車両制御装置10にあっては、SOCの上昇または維持に要する所要時間を示す所要時間情報を、ユーザに対して提供するようにした。これにより、第2変形例にあっては、ユーザが選択肢を選択する際に参考となる情報を提供でき、よってユーザの利便性を向上させることができる。
【0152】
具体的に説明すると、車両制御装置10のコントローラ20の提供部23は、提供した選択肢における手法を用いてSOCを上昇または維持させた場合に、SOCの上昇または維持に要する所要時間を算出する。
【0153】
そして、提供部23は、
図9に示すように、算出した所要時間を示す所要時間情報を、表示欄115a~115dに表示してユーザに対して提供する。具体的には、提供部23は、選択肢112aの手法である、充電施設でバッテリ400を充電した場合に要する充電所要時間を算出し、算出した充電所要時間を表示欄115aに表示して提供する。なお、充電所要時間は、例えば現在のSOCから必要SOC(あるいは満充電)までの必要充電量、充電スタンドの充電能力などに基づいて算出されるが、これは例示であって限定されるものではない。
【0154】
また、提供部23は、選択肢112bの手法である、HEV走行モードを優先して走行した場合に要するHEV走行モードの走行所要時間を算出し、算出した走行所要時間を表示欄115bに表示して提供する。また、提供部23は、選択肢112cの手法である、CHG走行モードを許可して走行した場合に要するCHG走行モードの走行所要時間を算出し、算出した走行所要時間を表示欄115cに表示して提供する。また、提供部23は、選択肢112dの手法である、チャージスイッチの手動操作でSOCを上昇させる場合に要するCHG走行モードの走行所要時間を算出し、算出した走行所要時間を表示欄115dに表示して提供する。なお、各走行所要時間は、例えば現在のSOC、必要SOC、規制区域の走行距離、モータの発電能力などに基づいて算出されるが、これは例示であって限定されるものではない。
【0155】
このように、第2変形例にあっては、バッテリ400のSOCの上昇または維持に要する所要時間を示す所要時間情報を、ユーザに対して提供するようにした。これにより、第2変形例にあっては、所要時間情報をユーザが選択肢を選択する際に参考となる情報として提供することができ、よってユーザの利便性を向上させることができる。
【0156】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0157】
10 車両制御装置
20 コントローラ