(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070721
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】電線防護管
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20240516BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20240516BHJP
H02G 7/00 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
H02G1/02
F16L57/00 A
H02G7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181394
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000115382
【氏名又は名称】ヨツギ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】池側 勝己
(72)【発明者】
【氏名】竹中 一貴
【テーマコード(参考)】
3H024
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB03
3H024AC03
5G352AC03
5G367BB04
(57)【要約】
【課題】他の電線防護管との接合作業に要する時間を短くできる電線防護管を提供する。
【解決手段】本発明による電線防護管は、継手部2が、拡開可能な拡開部21と係止部材3が装着される装着部22とが設けられた筒状の継手部本体20と、継手部本体20の周方向に関して拡開部21から離れた位置で装着部22の外周面よりも径方向外方に突出した位置に配置された第1突出片23とを有し、係止部材3が、断面C字形の筒状に設けられた係止部材本体30と、係止部材本体30の周方向に係る一端に設けられた係止部31と、係止部材本体30の周方向に関して係止部31から離れた位置で係止部材本体30から径方向外方に突出された第2突出片32とを有し、装着部22に係止部材本体30が装着された状態で第1及び第2突出片23,32を共に挟み込み、継手部本体20に対して係止部材本体30を相対的に回動させることにより、拡開部21に係止部31を係止させて拡開部21の拡開を規制できるように構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手状の管体と、前記管体の長手方向に係る一端に設けられた継手部と、前記継手部の外周に装着された係止部材とを備え、他の電線防護管とともに架空電線の外周に配置されるとともに、前記他の電線防護管の管体の端部が前記継手部に挿入された状態で前記他の電線防護管と接合可能な電線防護管であって、
前記継手部は、前記長手方向に延びる切れ目により拡開可能な拡開部と前記係止部材が装着される装着部とが設けられた筒状の継手部本体と、前記継手部本体の周方向に関して前記拡開部から離れた位置で前記装着部の外周面よりも径方向外方に突出した位置に配置された第1突出片とを有し、
前記係止部材は、断面C字形の筒状に設けられているとともに前記装着部に装着可能な係止部材本体と、前記係止部材本体の周方向に係る一端に設けられた係止部と、前記係止部材本体の周方向に関して前記係止部から離れた位置で前記係止部材本体から径方向外方に突出された第2突出片とを有し、
前記装着部に前記係止部材本体が装着された状態で前記第1及び第2突出片を共に挟み込み、前記継手部本体に対して前記係止部材本体を相対的に回動させることにより、前記拡開部に前記係止部を係止させて前記拡開部の拡開を規制できるように構成されている、
電線防護管。
【請求項2】
前記拡開部は、前記切れ目の両側に位置する前記継手部本体の第1及び第2周方向端部から前記継手部本体の径方向外方に向けてそれぞれ延出された第1及び第2脚部を有しており、
前記係止部は、前記係止部材本体の前記一端から前記係止部材本体の外側に突出された第3脚部と、前記第3脚部の先端部に設けられた断面コ字形の把持部とを有しており、
前記継手部本体に対して前記係止部材本体を相対的に回動させることにより、前記第1及び第2脚部のいずれか一方の側方に位置していた前記把持部が前記第1及び第2脚部の先端部を乗り越えて、前記把持部が前記第1及び第2脚部の前記先端部を把持するように構成されている、
請求項1に記載の電線防護管。
【請求項3】
前記継手部本体に対して前記係止部材本体が相対的に回動された際に、前記把持部が前記第1及び第2脚部の少なくとも一方に押し当てられることにより、前記係止部材本体に弾性ひずみが蓄積され、前記弾性ひずみが所定量を超えた際に前記把持部が前記第1及び第2脚部の前記先端部を乗り越えるように構成されている、
請求項2に記載の電線防護管。
【請求項4】
前記把持部には、前記第3脚部から延出された第1側壁と、前記第1側壁の先端から延出された接続壁と、基端が前記接続壁に接続された第2側壁とを有しており、
前記第1側壁、前記接続壁及び前記第2側壁の内壁面は、前記第1及び第2脚部が進入される溝部を形成しており、
前記第2側壁の外壁面の少なくとも一部には、前記第2側壁の先端から前記基端に近づくにつれて外方に位置するように延在されたテーパ面が設けられている、
請求項2又は3に記載の電線防護管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空電線を防護するため架空電線の外周に配置される電線防護管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の電線防護管としては、例えば下記の特許文献1に示されている構成を挙げることができる。特許文献1には、可撓性及び弾発性を有する電気絶縁性材料から成り、周方向に分断されて大略的に筒状に形成され、軸線方向一端部に嵌合部が形成され、かつ軸線方向他端部に内挿部が形成され、複数の電線防護管を架空電線に装着するとき、一方の電線防護管の嵌合部に他方の電線防護管の内挿部が内挿される電線防護管が開示されている。嵌合部の周方向一端部には第1係止部が形成され、嵌合部の周方向他端部には第2係止部が形成されている。第1及び第2係止部が相互に係止されることで、嵌合部の周方向両端部が閉鎖可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の電線防護管では、架空電線に電線防護管を装着した際の電線防護管の向きによっては第1及び第2係止部を操作することが難しく、電線防護管と他の電線防護管との接合作業に要する時間が長くなることがある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的の一つは、他の電線防護管との接合作業に要する時間を短くできる電線防護管を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一実施形態において、長手状の管体と、管体の長手方向に係る一端に設けられた継手部と、継手部の外周に装着された係止部材とを備え、他の電線防護管とともに架空電線の外周に配置されるとともに、他の電線防護管の管体の端部が継手部に挿入された状態で他の電線防護管と接合可能な電線防護管であって、継手部は、長手方向に延びる切れ目により拡開可能な拡開部と係止部材が装着される装着部とが設けられた筒状の継手部本体と、継手部本体の周方向に関して拡開部から離れた位置で装着部の外周面よりも径方向外方に突出した位置に配置された第1突出片とを有し、係止部材は、断面C字形の筒状に設けられているとともに装着部に装着可能な係止部材本体と、係止部材本体の周方向に係る一端に設けられた係止部と、係止部材本体の周方向に関して係止部から離れた位置で係止部材本体から径方向外方に突出された第2突出片とを有し、装着部に係止部材本体が装着された状態で第1及び第2突出片を共に挟み込み、継手部本体に対して係止部材本体を相対的に回動させることにより、拡開部に係止部を係止させて拡開部の拡開を規制できるように構成されている、電線防護管に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電線防護管の一実施形態によれば、拡開部から離れた位置に配置された第1突出片と係止部から離れた位置に設けられた第2突出片とを共に挟み込むことで、拡開部に係止部を係止させて拡開部の拡開を規制できるように構成されているので、電線防護管の向きによって拡開部及び係止部を直接操作できない場合でも拡開部に係止部を係止させることを容易に行うことができ、他の電線防護管との接合作業に要する時間を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1による拡開許容状態時の電線防護管を左前上方から見たときの電線防護管の斜視図である。
【
図2】左前下方から見たときの
図1の電線防護管の斜視図である。
【
図3】右前上方から見たときの
図1の電線防護管の斜視図である。
【
図4】右前下方から見たときの
図1の電線防護管の斜視図である。
【
図5】
図1の面Vにおける継手部及び係止部材の断面図である。
【
図6】右前下方から見たときの
図1の係止部材の斜視図である。
【
図8】
図5の係止部材が回動された際の係止部の動きを示す説明図である。
【
図9】本発明の実施の形態2による拡開許容状態時の電線防護管を左前上方から見たときの電線防護管の斜視図である。
【
図10】左前下方から見たときの
図9の電線防護管の斜視図である。
【
図11】右前上方から見たときの
図9の電線防護管の斜視図である。
【
図12】右前下方から見たときの
図9の電線防護管の斜視図である。
【
図13】
図9の面XIIIにおける継手部及び係止部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0010】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による拡開許容状態時の電線防護管を左前上方から見たときの電線防護管の斜視図であり、
図2は左前下方から見たときの
図1の電線防護管の斜視図であり、
図3は右前上方から見たときの
図1の電線防護管の斜視図であり、
図4は右前下方から見たときの
図1の電線防護管の斜視図である。
また、
図5は
図1の面Vにおける継手部2及び係止部材3の断面図であり、
図6は右前下方から見たときの
図1の係止部材3の斜視図であり、
図7は
図6の係止部材3の正面図である。
さらに、
図8は、
図5の係止部材3が回動された際の係止部31の動きを示す説明図である。
【0011】
以下、
図1~
図8に示す向きを基準として、前後、上下及び左右との用語を用いて電線防護管の構成を説明することがある。しかしながら、それらの用語は説明のためのものであり、電線防護管は
図1~
図8に示す向きとは異なる向きで使用されてよい。
【0012】
図1~
図4に表れているように、本実施の形態1の電線防護管は、長手状の管体1と、管体1の長手方向1Dに係る一端に設けられた継手部2と、継手部2の外周に装着された係止部材3とを備えている。図において、管体1は電線防護管の後側に配置されており、継手部2は電線防護管の前側に配置されている。これら管体1及び継手部2は互いに一体とされていてよい。係止部材3は、管体1及び継手部2から脱着可能な別部材とされていてよい。電線防護管は、他の電線防護管とともに架空電線の外周に配置されるとともに、他の電線防護管の管体1の端部が継手部2に挿入された状態で他の電線防護管と接合可能に構成されている。
【0013】
管体1、継手部2及び係止部材3は、樹脂等の弾性及び/又は可撓性を有する材料により形成されている。これら管体1、継手部2及び係止部材3の材料は互いに同じであってもよいが異なっていてもよい。限定はされないが、例えば、管体及び継手部をポリエチレン又はポリプロピレン等により形成し、係止部材をポリカーボネート等により形成することができる。また、管体1、継手部2及び係止部材3は、同色であってもよいが、異なる色を有していてもよい。特に、係止部材3の色が継手部2の色と異なっていてよい。色が異なることで、係止部材3の位置(すなわち係止部材3による係止が正しく行われているか)をより視認しやすくすることができる。
【0014】
継手部2は、筒状の継手部本体20を有している。継手部本体20には、長手方向1Dに延びる切れ目21aにより拡開可能な拡開部21と、係止部材3が装着される装着部22とが設けられている。拡開部21及び切れ目21aは継手部本体20の上部に配置されており、拡開部21は左右又は継手部本体20の周方向に拡開可能とされている。装着部22は、継手部本体20の後側に配置されている。装着部22は、管体1と隣接されていてよい。装着部22の位置は、これらに限定されず、例えば継手部本体20の前側に配置されていてもよい。
【0015】
図6及び
図7に特に表れているように、係止部材3は、断面C字形の筒状に設けられているとともに装着部22に装着可能な係止部材本体30と、係止部材本体30の周方向に係る一端に設けられた係止部31とを有している。
【0016】
図7に特に示すように、周方向に係る係止部材本体30の端部間には開口部30aが設けられている。係止部材本体30は、開口部30aを拡げながら、開口部30aを通して係止部材本体30の内部に装着部22(後述の胴部22a)を進入させることで装着部22の外周に装着可能とされている。係止部材本体30の弾性変形により開口部30aが拡げられ得る。係止部材本体30が装着部22に取り付けられていない状態において、係止部材本体30の端部を周方向に延長させたときに描かれる円の全周に占める周方向に係る開口部30aの幅の割合は、5%以上50%以下であることが好ましい。5%以上であることで、より円滑に開口部30aを通して係止部材本体30の内部に装着部22を進入させることができる。50%以下であることで、意図しない装着部22からの係止部材本体30の脱落の虞を低減できる。開口部30aの幅の割合は、5%以上30%以下であることがより好ましく、10%以上20%以下であることがさらにより好ましい。全周に占める開口部30aの幅の割合は、係止部材本体30の端部を周方向に延長させたときに描かれる円の中心と係止部材本体30の各端部と線分で結ぶときの線分間の角度(中心角)に基づいて算出してよい。図示の態様では全周に占める開口部30aの幅の割合は約20%とされている。
【0017】
係止部材本体30は、装着部22の外周に回動可能に取り付けられ得る。装着部22は、係止部材本体30の回動を案内可能に設けられていてよい。装着部22は、係止部材本体30が嵌められる胴部22a(
図5参照)と、胴部22aの両側に設けられたリブ22b(
図1~
図4参照)とを有していてよく、胴部22aの外面とリブ22bの内側面とにより形成された溝部に係止部材本体30が嵌められることで係止部材本体30の回動が案内可能とされていてよい。
【0018】
本実施の形態の電線防護管は、継手部2の外周に係止部材3が装着されている状態で、継手部本体20に対して係止部材本体30を相対的に回動させることにより、拡開部21に係止部31を係止させて拡開部21の拡開を規制できるように構成されている。上述のように他の電線防護管の管体1の端部が継手部2に挿入された状態で係止部材3により拡開部21の拡開を規制することで、電線防護管を他の電線防護管と接合することができる。なお、
図1~
図5は、拡開部21に係止部31が係止される前の拡開許容状態を示している。以下、継手部2及び係止部材3についてより詳しく説明する。
【0019】
本実施の形態の継手部2は、継手部本体20の周方向に関して拡開部21から離れた位置で装着部22の外周面よりも径方向外方に突出した位置に配置された第1突出片23をさらに有している。係止部材3は、係止部材本体30の周方向に関して係止部31から離れた位置で係止部材本体30から径方向外方に突出された第2突出片32をさらに有している。本実施の形態の電線防護管は、装着部22に係止部材本体30が装着された状態で第1及び第2突出片23,32を共に挟み込むことで、継手部本体20に対して係止部材本体30を相対的に回動させることができ、拡開部21に係止部31を係止させて拡開部21の拡開を規制できるように構成されている。
【0020】
例えば、架空電線の外周に電線防護管を配置したとき、拡開部21及び係止部31が上方に向いていると、下方からでは拡開部21及び係止部31を直接操作することが難しい。しかしながら、本実施の形態の電線防護管では、それら拡開部21及び係止部31から離れた位置の第1及び第2突出片23,32を挟み込むことで、拡開部21に係止部31を係止させることができるので、電線防護管の向きによって拡開部21及び係止部31を直接操作できない場合でも拡開部21に係止部31を係止させることを容易に行うことができ、他の電線防護管との接合作業に要する時間を短くできる。
【0021】
限定はされないが、第1及び第2突出片23,32は絶縁ヤットコ等の器具により挟み込むことができる。絶縁ヤットコ等の器具による操作をより容易にするために、第1及び第2突出片23,32の少なくとも一方の表面に複数の段部32aが設けられていてよい。図示の態様では、係止部材3の第2突出片32の表面に複数の段部32aが設けられている。
【0022】
図示の態様のように、第1突出片23は継手部本体20の下部に設けられていてよい。換言すると、図示の態様では、継手部本体20の周方向に係る拡開部21と第1突出片23との間の角度間隔が180°とされていてよい。しかしながら、継手部本体20の周方向に係る拡開部21と第1突出片23との間の角度間隔は180°未満とされていてもよい。
【0023】
図示の態様のように装着部22が胴部22a(
図5参照)とリブ22b(
図1~
図4参照)とを有するとき、第1突出片23は胴部22aの外周面よりも径方向外方に突出した位置に配置されていてよい。図示の態様では、第1突出片23は、前側のリブ22bの上部から後方に向けて延びる前片23fと、後側のリブ22bの上部から前方に向けて延びる後片23rとを含んでいる。前片23f及び後片23rは胴部22aの径方向外側に位置しており、係止部材3の係止部材本体30は前片23f及び後片23rと胴部22aとの間の隙間に通されている。
【0024】
リブ22bからの前片23f及び後片23rの突出量は異なっていてよい。図示の態様では前片23fの突出量は後片23rの突出量よりも大きくされている。限定はされないが、係止部材本体30は、開口部30aを拡げた状態で、前片23fの下に潜り込むように係止部材本体30を長手方向1Dにスライドされることで、装着部22の外周に装着され得る。後片23rの突出量は、係止部材本体30及び/又は後片23rの弾性変形により係止部材本体30が後片23rの下に潜り込むことができる程度の突出量とされていてよい。
図2に特に表れているように、係止部材本体30には、凹部30c(切り欠き)が設けられていてよい。凹部30cの位置を後片23rに合わせることで、装着部22に対する係止部材本体30の脱着をより容易にすることができる。
【0025】
拡開部21に係止部31が係止される前の状態で、継手部本体20の周方向に係る第1及び第2突出片23,32間の距離は絶縁ヤットコ等の器具による挟み込み操作ができるように設定され得る。同状態での継手部本体20の周方向に係る第1及び第2突出片23,32間の角度間隔は120°以下であることが好ましく、90°以下であることがより好ましく、60°以下であることがさらにより好ましい。
図5に特に表れているように、図示の態様では第1及び第2突出片23,32間の角度間隔は90°とされている。
【0026】
図5に特に表れているように、拡開部21は、第1及び第2脚部24,25を有している。第1及び第2脚部24,25は、切れ目21aの両側に位置する継手部本体20の第1及び第2周方向端部20a,20bから継手部本体20の径方向外方に向けてそれぞれ延出されている。係止部31は、係止部材本体30の一端30bから係止部材本体30の外側に突出された第3脚部33と、第3脚部33の先端部に設けられた断面コ字形の把持部34とを有している。継手部本体20に対して係止部材本体30を相対的に回動させることにより、第1及び第2脚部24,25のいずれか一方の側方に位置していた把持部34が第1及び第2脚部24,25の先端部を乗り越えて、把持部34が第1及び第2脚部24,25の先端部を把持するように構成されている。
図6に特に表れているように、管体1の長手方向1Dに係る把持部34の延在幅は、長手方向1Dに係る係止部材本体30及び第3脚部33の延在幅よりも広くてよい。
【0027】
図8を用いて、把持部34が第1及び第2脚部24,25の先端部を乗り越える状況をより詳しく説明する。
図8の(a)は把持部34が第1脚部24の側方に位置している状態を示している。この状態において、継手部本体20に対して係止部材本体30が相対的に回動されると、把持部34が第1及び第2脚部24,25の少なくとも一方に押し当てられて、係止部材本体30に弾性ひずみが蓄積される。弾性ひずみが所定量を超えると、
図8の(b)及び(c)に示すように把持部34が第1及び第2脚部24,25の先端部を乗り越える。
【0028】
図示の態様では、把持部34は、第1脚部24の側方に位置した状態から第1及び第2脚部24,25の先端部を乗り越えるように配置されている。
図5及び
図8に特に示すように、第2脚部25の先端部には第1脚部24の先端部に覆いかぶさる屋根部25aが設けられている。屋根部25aの先端は第1脚部24よりも第2脚部25から離れるように突出されており、継手部本体20に対して係止部材本体30が相対的に回動されるとき屋根部25aの先端に把持部34が押し当てられ、弾性ひずみが所定量を超えた際に把持部34が屋根部25aの上面上を摺動しながら第1及び第2脚部24,25の先端部を乗り越える。屋根部25aの上面には、第2脚部25側から第1脚部24側に向かうにつれて斜め下方に下がるテーパ面が設けられている。このテーパ面によって、把持部34が第1及び第2脚部24,25の先端部をより円滑に乗り越えることができる。屋根部25aは、第1及び第2脚部24,25の先端部を乗り越える前に把持部34が側方に位置する第1脚部24に設けられていてもよい。
【0029】
図6及び
図7に特に示すように、把持部34には、第3脚部33から延出された第1側壁340と、第1側壁340の先端から延出された接続壁341と、基端342aが接続壁341に接続された第2側壁342とを有している。第1側壁340は第3脚部33を延長するように延びていてよく、第2側壁342は第1側壁340から離間した位置で第1側壁340と平行に延びていてよい。これら第1側壁340、接続壁341及び第2側壁342の内壁面は、第1及び第2脚部24,25が進入される溝部343を形成している。第2側壁342の外壁面の少なくとも一部には、第2側壁342の先端342bから基端342aに近づくにつれて外方に位置するように延在されたテーパ面342cが設けられている。テーパ面342cが設けられていることで、把持部34が第1及び第2脚部24,25の先端部をより円滑に乗り越えることができる。
【0030】
図示の態様では、管体1の長手方向1Dに互いに離間された複数のリブ344(
図6参照)が第2側壁342の側部に設けられており、それらリブ344の外壁面がテーパ面342cとされている。すなわち、図示の態様では、第2側壁342の外壁面の一部のみがテーパ面342cとされている。しかしながら、第2側壁342の外壁面のすべてがテーパ面342cとされていてよい。
【0031】
図7に示すように、第2側壁342の先端342bには、第2側壁342の内壁面から第1側壁340に向かって突出された第1係合部342dが設けられている。
図5に示すように、第2脚部25の先端には第2係合部25bが設けられている。これら第1及び第2係合部342d,25bは、把持部34が第1及び第2脚部24,25の先端部を乗り越えた後に互いに係合するように構成されている。図示の態様では第2係合部25bは第2脚部25の外側壁面から外方にむかって突出する突部とされているが、第2係合部25bは第2脚部25の外側壁面に設けられた凹部であってもよい。
【0032】
実施の形態2.
図9は本発明の実施の形態2による拡開許容状態時の電線防護管を左前上方から見たときの電線防護管の斜視図であり、
図10は左前下方から見たときの
図9の電線防護管の斜視図であり、
図11は右前上方から見たときの
図9の電線防護管の斜視図であり、
図12は右前下方から見たときの
図9の電線防護管の斜視図である。また、
図13は、
図9の面XIIIにおける継手部2及び係止部材3の断面図である。
【0033】
実施の形態1では、係止部31が断面コ字形の把持部34を有しており、その把持部34が拡開部21の第1及び第2脚部24,25を把持することにより、拡開部21に係止部31を係止させる形態について説明した。しかしながら、拡開部21に係止部31を係止する形態は、これに限定されず、他の任意の形態とされてよい。
【0034】
そのような形態の一例として、
図9~
図13に示す形態を挙げることができる。
図9~
図13に示す形態では、拡開部21の第1及び第2脚部24,25に、それら第1及び第2脚部24,25を貫通する貫通孔26が設けられている。係止部31は、係止部材本体30の一端30bから係止部材本体30の外側に突出された第3脚部33と、第3脚部33の先端から第3脚部33と交わる方向に延出された挿通片35とを有している。
【0035】
図13に示すように、装着部22に係止部材本体30が装着された状態で第1及び第2突出片23,32を共に挟み込み、継手部本体20に対して係止部材本体30が相対的に回動されたとき、挿通片35が貫通孔26に挿通されることで、拡開部21に係止部31が係止されて拡開部21の拡開が規制される。挿通片35の先端に返し35aが設けられ、貫通孔26から挿通片35が抜け出ることが返し35aによって規制されてよい。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0036】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0037】
1 :管体
2 :継手部
20 :継手部本体
20a :第1周方向端部
20b :第2周方向端部
21 :拡開部
21a :切れ目
22 :装着部
23 :第1突出片
24 :第1脚部
25 :第2脚部
3 :係止部材
30 :係止部材本体
31 :係止部
32 :第2突出片
33 :第3脚部
34 :把持部
340 :第1側壁
341 :接続壁
342 :第2側壁
342c :テーパ面
343 :溝部