(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070727
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】サービス提供システム、サービス提供方法及びサービス提供プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20240516BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20240516BHJP
【FI】
G16H50/30
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】41
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181410
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】505009265
【氏名又は名称】株式会社ネスパ
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】坂井 全弘
(72)【発明者】
【氏名】河野 好高
(72)【発明者】
【氏名】中川 朋
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】真にサービス受益者の目的、趣向、体質等に合ったサービスを提供するサービス提供システム、サービス提供方法及びサービス提供プログラムを提供する。
【解決手段】サービスの受益者の脈波を検出する脈波検出装置と、検出された脈波から、非線形解析により、受益者の自律神経の状態及び情動の少なくとも一方を抽出する解析装置と、サービスの提供と同時に、若しくはサービスの提供の前後に、抽出された自律神経の状態、または、情動を前記サービスの提供者に示す提示手段とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスの受益者の脈波を検出する脈波検出装置と、
前記検出された脈波から、非線形解析により、前記受益者の自律神経の状態及び情動の少なくとも一方を抽出する解析装置と、
前記サービスの提供と同時に、若しくは前記サービスの提供の前後に、前記抽出された前記自律神経の状態、または、前記情動を前記サービスの提供者に示す提示手段と、
を備えることを特徴とするサービス提供システム。
【請求項2】
前記非線形解析が、心拍周波数に該当する周波数帯域と、呼吸周波数に該当する周波数帯域のそれぞれでのウェーブレット解析を行う解析であることを特徴とする請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項3】
前記心拍周波数に該当する周波数帯域は0.5から3Hz、前記呼吸周波数に該当する周波数帯域は、0.04から0.6Hzであることを特徴とする請求項2に記載のサービス提供システム。
【請求項4】
前記非線形解析は、前記検出された脈波のうち、時刻t0から時刻t0+Δt0の間計測された第1のデータセットを用い、
前記第1のデータセットに対して前記心拍周波数に該当する周波数帯域にてウェーブレット解析を実施し心拍周波数帯域データを得、
前記心拍周波数帯域データから、前記心拍周波数帯域データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W1、W2のデータセットを破棄して心拍周波数帯域解析データを得、
前記心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn1個のデータを抽出し心拍周波数帯域高強度データセットを得(ただし、W1、及びW2はそれぞれ1以上前記心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n1は1以上、前記心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)、
前記心拍周波数帯域高強度データセットのスケール平均を算出し、
前記スケール平均から、前記ウェーブレット解析に使用したウェーブレット関数のスケールと周波数の関係を使用し心拍周波数を得、
前記心拍周波数から初期毎分心拍数M0を算出することを特徴とする請求項2に記載のサービス提供システム。
【請求項5】
前記非線形解析は、前記検出された脈波のうち、時刻t
0+(n-1)Δt
0+Δt
1から時刻t
0+nΔt
0+Δt
1の間計測された第nのデータセットを用い、
第n-1のデータセットのうち、時刻t
0+(n-1)Δt
0から時刻t
0+(n-1)Δt
0+Δt
1の間計測されたデータが破棄されたデータセットに、前記検出された脈波のうち、時刻t
0+nΔt
0から時刻t
0+nΔt
0+Δt
1の間計測されたデータセットを合成して第nのデータセットとし、
前記第nのデータセットに対して前記心拍周波数に該当する周波数帯域にてウェーブレット解析を実施し心拍周波数帯域データを得、
前記心拍周波数帯域データから、前記心拍周波数帯域データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W
3、W
4のデータセットを破棄して心拍周波数帯域解析データを得、
前記心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn
2個のデータを抽出し心拍周波数帯域高強度データセットを得(ただし、W
3、及びW
4はそれぞれ1以上前記心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n
2は1以上、前記心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)、
前記心拍周波数帯域高強度データセットの強度平均M
1nおよびスケール平均を算出し、
前記スケール平均から、前記ウェーブレット解析に使用したウェーブレット関数のスケールと周波数の関係を使用し心拍周波数を得、
前記心拍周波数から毎分心拍数M
mnを算出し、
前記心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最小からn
3個のデータを抽出し心拍周波数帯域低強度データセットを得、
前記心拍周波数帯域低強度データセットの強度平均M
2nを算出し、
前記呼吸周波数帯域解析データから、前記呼吸周波数帯域解析データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W
5、W
6を破棄し呼吸周波数帯域解析データを得(ただし、W
5、及びW
6はそれぞれ1以上前記心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n
3は1以上、前記心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)、
前記呼吸周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn
4個のデータを抽出し強度平均M
3nを算出し(ただし、n
4は1以上、前記心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)、
前記呼吸周波数帯域解析データにおいて、強度最小からn
5個のデータを抽出し強度平均M
4nを算出し(ただし、n
5は1以上、前記心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)、
式
【数1】
により副交感神経指標M
pnを算出し、
式
【数2】
により快・不快指標P
nを算出し。
式
【数3】
により覚醒度指標A
nを算出することを特徴とする請求項4に記載のサービス提供システム。
【請求項6】
前記脈波検出装置は、非接触型脈波検出装置であることを特徴とする請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項7】
前記非接触型脈波検出装置は、ミリ波レーダを用いた非接触センサであることを特徴とする請求項6に記載のサービス提供システム。
【請求項8】
前記非接触型脈波検出装置は、ドップラーセンサを用いて前記脈波を検出することを特徴とする請求項6に記載のサービス提供システム。
【請求項9】
前記非線形解析が、非調和解析及びカオス解析であることを特徴とする請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項10】
前記非線形解析が、前記脈波検出装置によって検出された脈波に対して、ピーク間隔を求め、前記ピーク間隔を補間して時間等間隔データを得、前記時間等間隔データのパワースペクトル密度を高速フーリエ変換により求め、得られた前記パワースペクトル密度からHF、及びLFを算出することにより、前記自律神経の状態及び前記情動の少なくとも一方を抽出することを特徴とする請求項1に記載のサービス提供プログラム。
【請求項11】
前記受益者に対する問診内容の入力を受け付ける入力装置と、
前記受益者の目的、趣向、体質等に応じた望ましい情動と、前記受益者の目的、趣向、体質等及び前記望ましい情動とから、前記サービスのメニューとを生成するメニュー生成部と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項12】
リアルタイムで抽出される前記受益者の情動を用いて、前記問診内容、及び前記望ましい情動をもとに、前記サービスの詳細が、前記受益者の目的、趣向、体質等に合ったものであるかを判定する内容判定部と
をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載のサービス提供システム。
【請求項13】
前記内容判定部の判定に基づき、前記サービスの前記詳細が選択されることを特徴とする請求項12に記載のサービス提供システム。
【請求項14】
前記サービスは補完代替療法であって、前記補完代替療法の前記詳細は、香りの種類であることを特徴とする請求項13に記載のサービス提供システム。
【請求項15】
前記情動は、前記検出した脈波から得られた、前記覚醒度指標An、及び前記快・不快状態を示す指標Pnの組み合わせで表されることを特徴とする請求項5に記載のサービス提供システム。
【請求項16】
前記情動は、前記検出した脈波から得られた、覚醒度指標、及び快・不快状態を示す指標の組み合わせで表されることを特徴とする請求項9又は10に記載のサービス提供システム。
【請求項17】
前記提示手段は、ディスプレイ上での表示であることを特徴とする請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項18】
前記サービスは補完代替療法であって、前記補完代替療法は、BGMによる聴覚刺激、照明による視覚刺激、香りによる嗅覚刺激、術前、術後のドリンクによる味覚刺激、入浴による温度刺激、ミトコンドリア賦活剤、マインドフルネス、バイオフィードバック、ニューロレギュレーション、前頭葉への近赤外線照射による光刺激、又は、アロマトリートメントのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項19】
前記ミトコンドリア賦活剤は5-デアザフラビン化合物であることを特徴とする請求項18に記載のサービス提供システム。
【請求項20】
前記近赤外線照射による光刺激は、鼻腔近赤外照射であることを特徴とする請求項18に記載のサービス提供システム。
【請求項21】
前記近赤外線照射による光刺激は、経頭蓋近赤外照射であることを特徴とする請求項18に記載のサービス提供システム。
【請求項22】
前記バイオフィードバックは、コヒーレンス呼吸法によるトレーニングであることを特徴とする請求項18に記載のサービス提供システム。
【請求項23】
前記ニューロレギュレーションにおいて、前記内容判定部の判定に基づき決定される、前記サービスの前記詳細が、前記ニューロレギュレーションにおける、電極の位置、ならびに、脳波周波数帯域群、デルタ、シータ、アルファ、ベータ、ガンマの各スペクトル強度の相対比であることを特徴とする請求項18に記載のサービス提供システム。
【請求項24】
前記サービスは、リハビリテーション、スポーツトレーニング、又は教育のいずれかと、前記リハビリテーション、スポーツトレーニング、又は教育のいずれかに付随して提供される補完代替療法であることを特徴とする請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項25】
前記サービスは、リハビリテーションであって、前記内容判定部の判定に基づき決定される、前記サービスの前記詳細が、リハビリテーションの進め方であることを特徴とする請求項24に記載のサービス提供システム。
【請求項26】
前記サービスが、スポーツトレーニングであって、前記内容判定部の判定に基づき決定される、前記サービスの前記詳細が、トレーニング強度であることを特徴とする請求項24に記載のサービス提供システム。
【請求項27】
前記サービスが、教育であって、前記内容判定部の判定に基づき決定される、前記サービスの前記詳細が、講師の指導方法であることを特徴とする請求項24に記載のサービス提供システム。
【請求項28】
サービスの受益者の脈波を検出する脈波検出ステップと、
前記検出した脈波から、非線形解析により、前記受益者の情動を抽出する解析ステップと、
施術と同時に、若しくは施術の前後に、前記抽出された前記情動を前記サービスの提供者に示す提示ステップと
を備えることを特徴とするサービス提供方法。
【請求項29】
前記非線形解析が、心拍周波数に該当する周波数帯域と、呼吸周波数に該当する周波数帯域の、それぞれでの周波数帯域でのウェーブレット解析を行う解析であることを特徴とする請求項28に記載のサービス提供方法。
【請求項30】
前記心拍周波数に該当する周波数帯域は0.5から3Hz、前記呼吸周波数に該当する周波数帯域は、0.04から0.6Hzであることを特徴とする請求項28に記載のサービス提供方法。
【請求項31】
前記非線形解析は、前記検出された脈波のうち、時刻t0から時刻t0+Δt0の間計測された第1のデータセットを用い、
前記第1のデータセットに対して前記心拍周波数に該当する周波数帯域にてウェーブレット解析を実施し心拍周波数帯域データを得るステップと、
前記心拍周波数帯域データから、前記心拍周波数帯域データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W1、W2のデータセットを破棄して心拍周波数帯域解析データを得るステップと、
前記心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn1個のデータを抽出し心拍周波数帯域高強度データセットを得るステップ(ただし、W1、及びW2はそれぞれ1以上前記心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n1は1以上、前記心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、
前記心拍周波数帯域高強度データセットのスケール平均を算出するステップと、
前記スケール平均から、前記ウェーブレット解析に使用したウェーブレット関数のスケールと周波数の関係を使用し心拍周波数を得るステップと、
前記心拍周波数から初期毎分心拍数M0を算出するステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項28に記載のサービス提供方法。
【請求項32】
前記非線形解析は、前記検出された脈波のうち、時刻t
0+(n-1)Δt
0+Δt
1から時刻t
0+nΔt
0+Δt
1の間計測された第nのデータセットを用い、
第n-1のデータセットのうち、時刻t
0+(n-1)Δt
0から時刻t
0+(n-1)Δt
0+Δt
1の間計測されたデータが破棄されたデータセットに、前記検出された脈波のうち、時刻t
0+nΔt
0から時刻t
0+nΔt
0+Δt
1の間計測されたデータセットを合成して第nのデータセットとするステップと、
前記第nのデータセットに対して前記心拍周波数に該当する周波数帯域にてウェーブレット解析を実施し心拍周波数帯域データを得るステップと、
前記心拍周波数帯域データから、前記心拍周波数帯域データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W
3、W
4のデータセットを破棄して心拍周波数帯域解析データを得るステップと、
前記心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn
2個のデータを抽出し心拍周波数帯域高強度データセットを得るステップ(ただし、W
3、及びW
4はそれぞれ1以上前記心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n
2は1以上、前記心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、
前記心拍周波数帯域高強度データセットの強度平均M
1nおよびスケール平均を算出するステップと、
前記スケール平均から、前記ウェーブレット解析に使用したウェーブレット関数のスケールと周波数の関係を使用し心拍周波数を得るステップと、
前記心拍周波数から毎分心拍数M
mnを算出するステップと、
前記心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最小からn
3個のデータを抽出し心拍周波数帯域低強度データセットを得るステップと、
前記心拍周波数帯域低強度データセットの強度平均M
2nを算出するステップと、
前記呼吸周波数帯域解析データから、前記呼吸周波数帯域解析データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W
5、W
6を破棄し呼吸周波数帯域解析データを得るステップ(ただし、W
5、及びW
6はそれぞれ1以上前記心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n
3は1以上、前記心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、
前記呼吸周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn
4個のデータを抽出し強度平均M
3nを算出するステップ(ただし、n
4は1以上、前記心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、
前記呼吸周波数帯域解析データにおいて、強度最小からn
5個のデータを抽出し強度平均M
4nを算出するステップ(ただし、n
5は1以上、前記心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、
次式
【数4】
により副交感神経指標M
pnを算出するステップと、
次式
【数5】
により快・不快指標P
nを算出するステップと、
次式
【数6】
により覚醒度指標A
nを算出するステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項31に記載のサービス提供方法。
【請求項33】
前記非線形解析が、非調和解析及びカオス解析であることを特徴とする請求項28に記載のサービス提供方法。
【請求項34】
前記非線形解析が、前記脈波検出装置によって検出された脈波に対して、ピーク間隔を求め、前記ピーク間隔を補間して時間等間隔データを得、前記時間等間隔データのパワースペクトル密度を高速フーリエ変換により求め、得られた前記パワースペクトル密度からHF、及びLFを算出することにより、前記自律神経の状態及び前記情動の少なくとも一方を抽出することを特徴とする請求項28に記載のサービス提供方法。
【請求項35】
コンピュータに、
サービスの受益者の脈波を検出する脈波検出機能と、
前記検出した脈波から、非線形解析を行うことにより、前記受益者の情動を抽出する解析機能と、
施術と同時に、若しくは施術の前後に、前記抽出された前記情動を前記サービスの提供者に示す提示機能と
を実現させるためのサービス提供プログラム。
【請求項36】
前記非線形解析が、心拍周波数に該当する周波数帯域と、呼吸周波数に該当する周波数帯域の、それぞれでの周波数帯域でのウェーブレット解析を行う解析である、請求項35に記載のサービス提供プログラム。
【請求項37】
前記心拍周波数に該当する周波数帯域は0.5から3Hz、前記呼吸周波数に該当する周波数帯域は、0.04から0.6Hzであることを特徴とする請求項35に記載のサービス提供プログラム。
【請求項38】
前記非線形解析は、前記検出された脈波のうち、時刻t0から時刻t0+Δt0の間計測された第1のデータセットを用い、
前記第1のデータセットに対して前記心拍周波数に該当する周波数帯域にてウェーブレット解析を実施し心拍周波数帯域データを得る機能と、
前記心拍周波数帯域データから、前記心拍周波数帯域データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W1、W2のデータセットを破棄して心拍周波数帯域解析データを得る機能と、
前記心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn1個のデータを抽出し心拍周波数帯域高強度データセットを得る機能(ただし、W1、及びW2はそれぞれ1以上前記心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n1は1以上、前記心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、
前記心拍周波数帯域高強度データセットのスケール平均を算出する機能と、
前記スケール平均から、前記ウェーブレット解析に使用したウェーブレット関数のスケールと周波数の関係を使用し心拍周波数を得る機能と、
前記心拍周波数から初期毎分心拍数M0を算出する機能と
をさらに備えることを特徴とする請求項37に記載のサービス提供プログラム。
【請求項39】
前記非線形解析は、前記検出された脈波のうち、時刻t
0+(n-1)Δt
0+Δt
1から時刻t
0+nΔt
0+Δt
1の間計測された第nのデータセットを用い、
第n-1のデータセットのうち、時刻t
0+(n-1)Δt
0から時刻t
0+(n-1)Δt
0+Δt
1の間計測されたデータが破棄されたデータセットに、前記検出された脈波のうち、時刻t
0+nΔt
0から時刻t
0+nΔt
0+Δt
1の間計測されたデータセットを合成して第nのデータセットとする機能と、
前記第nのデータセットに対して前記心拍周波数に該当する周波数帯域にてウェーブレット解析を実施し心拍周波数帯域データを得る機能と、
前記心拍周波数帯域データから、前記心拍周波数帯域データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W
3、W
4のデータセットを破棄して心拍周波数帯域解析データを得る機能と、
前記心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn
2個のデータを抽出し心拍周波数帯域高強度データセットを得る機能(ただし、W
3、及びW
4はそれぞれ1以上前記心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n
2は1以上、前記心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、
前記心拍周波数帯域高強度データセットの強度平均M
1nおよびスケール平均を算出する機能と、
前記スケール平均から、前記ウェーブレット解析に使用したウェーブレット関数のスケールと周波数の関係を使用し心拍周波数を得る機能と、
前記心拍周波数から毎分心拍数M
mnを算出する機能と、
前記心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最小からn
3個のデータを抽出し心拍周波数帯域低強度データセットを得る機能と、
前記心拍周波数帯域低強度データセットの強度平均M
2nを算出する機能と、
前記呼吸周波数帯域解析データから、前記呼吸周波数帯域解析データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W
5、W
6を破棄し呼吸周波数帯域解析データを得る機能(ただし、W
5、及びW
6はそれぞれ1以上前記心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n
3は1以上、前記心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、
前記呼吸周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn
4個のデータを抽出し強度平均M
3nを算出する機能(ただし、n
4は1以上、前記心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、
前記呼吸周波数帯域解析データにおいて、強度最小からn
5個のデータを抽出し強度平均M
4nを算出する機能(ただし、n
5は1以上、前記心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、
次式
【数7】
により副交感神経指標M
pnを算出する機能と、
次式
【数8】
により快・不快指標P
nを算出する機能と、
次式
【数9】
により覚醒度指標A
nを算出する機能と
をさらに備えることを特徴とする請求項38に記載のサービス提供プログラム。
【請求項40】
前記非線形解析が、非調和解析及びカオス解析であることを特徴とする請求項35に記載のサービス提供プログラム。
【請求項41】
前記非線形解析が、前記脈波検出装置によって検出された脈波に対して、ピーク間隔を求め、前記ピーク間隔を補間して時間等間隔データを得、前記時間等間隔データのパワースペクトル密度を高速フーリエ変換により求め、得られた前記パワースペクトル密度からHF、及びLFを算出することにより、前記自律神経の状態及び前記情動の少なくとも一方を抽出することを特徴とする請求項35に記載のサービス提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービス提供システム、サービス提供方法及びサービス提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、手技、温浴等の補完代替療法(Complemenary and Alternative Medicine、CAM)をサービスとして提供する施設が増加している。複数の補完代替療法を前後して、又は同時に行う等、組み合わせて行うことが可能であり、組み合わせて行うことによってそれぞれの療法の効果を高めることができる。これにより、補完代替療法を提供する施設においては、複数の補完代替療法を組み合わせて提供する場合がある。
【0003】
補完代替療法を行う際、問診等により、サービス受益者の目的、趣向、体質等を明らかにし、これらに応じて補完代替療法の内容を決定する場合がある。例えば、アロマテラピーを行う際、サービス受益者の目的、趣向、体質等に応じて精油等を選択する。
【0004】
また、補完代替療法を行う際、サービス受益者の身体的な状態を測定してサービス受益者の健康状態を特定し、それに応じて補完代替療法の内容を決定する場合がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。特許文献1には、活動量、ストレス度合、血圧値、心拍数などを測定し、被施術者の疲労度を推測し、疲労を回復するサービスを提供する施設情報を生成、表示する方法が開示されている。特許文献2には、被施術者の健康状態を特定するための体温計や心拍計・心電計などで被施術者の内的状態を推測し、それに応じてサービス提供内容を決定、提示する技術に関して開示されている。特許文献3には、心拍数検出装置において、心拍に起因する周波数を適切に取得する技術に関して開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-195014号公報
【特許文献2】特開2019-061302号公報
【特許文献3】特開2021-194128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
サービス受益者の目的、趣向、体質等に応じて補完代替療法の内容を決定する際、療法の特性をもとに、内容を決定する。例えば、アロマテラピーであれば、ユーザの目的、趣向、体質等に応じて精油を選択する際、サービス受益者の目的がリラックスすることであれば、リラックス効果のある精油が選択される。しかしながら、一般的にリラックス効果があるとされる精油が、真にサービス受益者の目的、趣向、体質等に合ったものとは限らない。同様に、一般的に知られた療法の特性は、個々のサービス受益者の特性、性格等を反映したものではないため、個々のサービス受益者の目的、趣向、体質等に合ったものとは限らない。
【0007】
上記問題点を鑑み、本発明は、自律神経・情動を確認することによって、真にサービス受益者の目的、趣向、体質等に合ったサービスを提供するサービス提供システム、サービス提供方法及びサービス提供プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、サービス提供システムであって、サービスの受益者の脈波を検出する脈波検出装置と、検出された脈波から、非線形解析により、受益者の自律神経の状態及び情動の少なくとも一方を抽出する解析装置と、サービスの提供と同時に、若しくはサービスの提供の前後に、抽出された自律神経の状態、または、情動をサービスの提供者に示す提示手段と、を備える。
【0009】
本発明の第1の態様において、非線形解析が、心拍周波数に該当する周波数帯域と、呼吸周波数に該当する周波数帯域のそれぞれでのウェーブレット解析を行う解析であってよい。
【0010】
本発明の第1の態様において、心拍周波数に該当する周波数帯域は0.5から3Hz、呼吸周波数に該当する周波数帯域は、0.04から0.6Hzであってよい。
【0011】
本発明の第1の態様において、非線形解析は、検出された脈波のうち、時刻t0から時刻t0+Δt0の間計測された第1のデータセットを用い、第1のデータセットから第1のデータセットの先頭部および後尾部のそれぞれから、所定の時間領域のデータを破棄した残りのデータセットに対してウェーブレット解析を実施してもよい。
【0012】
本発明の第1の態様において、非線形解析は、非線形解析は、検出された脈波のうち、時刻t0から時刻t0+Δt0の間計測された第1のデータセットを用い、第1のデータセットに対して心拍周波数に該当する周波数帯域にてウェーブレット解析を実施し心拍周波数帯域データを得、心拍周波数帯域データから、心拍周波数帯域データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W1、W2のデータセットを破棄して心拍周波数帯域解析データを得、心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn1個のデータを抽出し心拍周波数帯域高強度データセットを得(ただし、W1、及びW2はそれぞれ1以上心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n1は1以上、心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)、心拍周波数帯域高強度データセットのスケール平均を算出し、スケール平均から、ウェーブレット解析に使用したウェーブレット関数のスケールと周波数の関係を使用し心拍周波数を得、心拍周波数から初期毎分心拍数M0を算出してもよい。
【0013】
本発明の第1の態様において、非線形解析は、検出された脈波のうち、時刻t0+(n-1)Δt0+Δt1から時刻t0+nΔt0+Δt1の間計測された第nのデータセットを用い、第n-1のデータセットのうち、時刻t0+(n-1)Δt0から時刻t0+(n-1)Δt0+Δt1の間計測されたデータが破棄されたデータセットに、検出された脈波のうち、時刻t0+nΔt0から時刻t0+nΔt0+Δt1の間計測されたデータセットを合成して第nのデータセットとし、第nのデータセットに対して心拍周波数に該当する周波数帯域にてウェーブレット解析を実施し心拍周波数帯域データを得、心拍周波数帯域データから、心拍周波数帯域データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W3、W4のデータセットを破棄して心拍周波数帯域解析データを得、心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn2個のデータを抽出し心拍周波数帯域高強度データセットを得(ただし、W3、及びW4はそれぞれ1以上心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n2は1以上、心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)、心拍周波数帯域高強度データセットの強度平均M1nおよびスケール平均を算出し、スケール平均から、前記ウェーブレット解析に使用したウェーブレット関数のスケールと周波数の関係を使用し心拍周波数を得、心拍周波数から毎分心拍数Mmnを算出し、心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最小からn3個のデータを抽出し心拍周波数帯域低強度データセットを得、心拍周波数帯域低強度データセットの強度平均M2nを算出し、呼吸周波数帯域解析データから、呼吸周波数帯域解析データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W5、W6を破棄し呼吸周波数帯域解析データを得(ただし、W5、及びW6はそれぞれ1以上心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n3は1以上、心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)、呼吸周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn4個のデータを抽出し強度平均M3nを算出し(ただし、n4は1以上、心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)、呼吸周波数帯域解析データにおいて、強度最小からn5個のデータを抽出し強度平均M4nを算出し(ただし、n5は1以上、心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)、式
【0014】
【0015】
により副交感神経指標Mpnを算出し、
式
【0016】
【0017】
により快・不快指標Pnを算出し。
式
【0018】
【0019】
本発明の第1の態様において、脈波検出装置は、非接触型脈波検出装置であってよい。
【0020】
本発明の第1の態様において、非接触型脈波検出装置は、ミリ波レーダを用いた非接触センサであってよい。
【0021】
本発明の第1の態様において、非接触型脈波検出装置は、ドップラーセンサを用いて脈波を検出してもよい。
【0022】
本発明の第1の態様において、非線形解析が、非調和解析及びカオス解析であってよい。
【0023】
本発明の第1の態様において、非線形解析が、脈波検出装置によって検出された脈波に対して、ピーク間隔を求め、それを補間して時間等間隔データを得、パワースペクトル密度を高速フーリエ変換により求め、得られた前記パワースペクトル密度からHF、及びLFを算出することにより、前記自律神経の状態及び前記情動の少なくとも一方を抽出してもよい。
【0024】
本発明の第1の態様において、受益者に対する問診内容の入力を受け付ける入力装置と、受益者の目的、趣向、体質等に応じた望ましい情動と、受益者の目的、趣向、体質等及び望ましい情動とから、サービスのメニューとを生成するメニュー生成部と をさらに備えてもよい。
【0025】
本発明の第1の態様において、リアルタイムで抽出される受益者の情動を用いて、問診内容、及び望ましい情動をもとに、サービスの詳細が、受益者の目的、趣向、体質等に合ったものであるかを判定する内容判定部とをさらに備えてもよい。
【0026】
本発明の第1の態様において、内容判定部の判定に基づき、サービスの詳細が選択されてよい。
【0027】
本発明の第1の態様において、サービスは補完代替療法であって、補完代替療法の詳細は、香りの種類であってよい。
【0028】
本発明の第1の態様において、情動は、検出した脈波から得られた、覚醒度指標An、及び快・不快状態を示す指標Pnの組み合わせで表されてよい。
【0029】
本発明の第1の態様において、情動は、検出した脈波から得られた、覚醒度指標、及び快・不快状態を示す指標の組み合わせで表されてよい。
【0030】
本発明の第1の態様において、提示手段は、ディスプレイ上での表示であってよい。
【0031】
本発明の第1の態様において、サービスは補完代替療法であって、補完代替療法は、BGMによる聴覚刺激、照明による視覚刺激、香りによる嗅覚刺激、術前、術後のドリンクによる味覚刺激、入浴による温度刺激、ミトコンドリア賦活剤、マインドフルネス、バイオフィードバック、ニューロレギュレーション、前頭葉への近赤外線照射による光刺激、又は、アロマトリートメントのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0032】
本発明の第1の態様において、ミトコンドリア賦活剤は5-デアザフラビン化合物であってよい。
【0033】
本発明の第1の態様において、近赤外線照射による光刺激は、鼻腔近赤外照射であってよい。
【0034】
本発明の第1の態様において、近赤外線照射による光刺激は、経頭蓋近赤外照射であってよい。
【0035】
本発明の第1の態様において、バイオフィードバックは、コヒーレンス呼吸法によるトレーニングであってよい。
【0036】
本発明の第1の態様において、ニューロレギュレーションにおいて、内容判定部の判定に基づき決定される、サービスの詳細が、ニューロレギュレーションにおける、電極の位置、ならびに、脳波周波数帯域群、デルタ、シータ、アルファ、ベータ、ガンマの各スペクトル強度の相対比であってよい。
【0037】
本発明の第1の態様において、サービスは、リハビリテーション、スポーツトレーニング、又は教育のいずれかと、リハビリテーション、スポーツトレーニング、又は教育のいずれかに付随して提供される補完代替療法であってよい。
【0038】
本発明の第1の態様において、サービスは、リハビリテーションであって、内容判定部の判定に基づき決定される、サービスの前記詳細が、リハビリテーションの進め方であってよい。
【0039】
本発明の第1の態様において、サービスが、スポーツトレーニングであって、内容判定部の判定に基づき決定される、サービスの詳細が、トレーニング強度であってよい。
【0040】
本発明の第1の態様において、サービスが、教育であって、内容判定部の判定に基づき決定される、サービスの詳細が、講師の指導方法であってよい。
【0041】
本発明の第2の態様は、サービス提供方法であって、サービスの受益者の脈波を検出する脈波検出ステップと、検出した脈波から、非線形解析により、受益者の情動を抽出する解析ステップと、施術と同時に、若しくは施術の前後に、抽出された情動をサービスの提供者に示す提示ステップとを備える。
【0042】
本発明の第2の態様において、非線形解析が、心拍周波数に該当する周波数帯域と、呼吸周波数に該当する周波数帯域の、それぞれでの周波数帯域でのウェーブレット解析を行う解析であってよい。
【0043】
本発明の第2の態様において、心拍周波数に該当する周波数帯域は0.5から3Hz、呼吸周波数に該当する周波数帯域は、0.04から0.6Hzであってよい。
【0044】
本発明の第2の態様において、非線形解析は、検出された脈波のうち、時刻t0から時刻t0+Δt0の間計測された第1のデータセットを用い、第1のデータセットに対して前記心拍周波数に該当する周波数帯域にてウェーブレット解析を実施し心拍周波数帯域データを得るステップと、心拍周波数帯域データから、心拍周波数帯域データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W1、W2のデータセットを破棄して心拍周波数帯域解析データを得るステップと、心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn1個のデータを抽出し心拍周波数帯域高強度データセットを得るステップ(ただし、W1、及びW2はそれぞれ1以上心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n1は1以上、心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、心拍周波数帯域高強度データセットのスケール平均を算出するステップと、スケール平均から、ウェーブレット解析に使用したウェーブレット関数のスケールと周波数の関係を使用し心拍周波数を得るステップと、心拍周波数から初期毎分心拍数M0を算出するステップとをさらに備えてよい。
【0045】
本発明の第2の態様において、非線形解析は、検出された脈波のうち、時刻t0+(n-1)Δt0+Δt1から時刻t0+nΔt0+Δt1の間計測された第nのデータセットを用い、第n-1のデータセットのうち、時刻t0+(n-1)Δt0から時刻t0+(n-1)Δt0+Δt1の間計測されたデータが破棄されたデータセットに、検出された脈波のうち、時刻t0+nΔt0から時刻t0+nΔt0+Δt1の間計測されたデータセットを合成して第nのデータセットとするステップと、第nのデータセットに対して心拍周波数に該当する周波数帯域にてウェーブレット解析を実施し心拍周波数帯域データを得るステップと、心拍周波数帯域データから、心拍周波数帯域データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W3、W4のデータセットを破棄して心拍周波数帯域解析データを得るステップと、心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn2個のデータを抽出し心拍周波数帯域高強度データセットを得るステップ(ただし、W3、及びW4はそれぞれ1以上心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n2は1以上、心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、心拍周波数帯域高強度データセットの強度平均M1nおよびスケール平均を算出するステップと、スケール平均から、ウェーブレット解析に使用したウェーブレット関数のスケールと周波数の関係を使用し心拍周波数を得るステップと、心拍周波数から毎分心拍数Mmnを算出するステップと、心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最小からn3個のデータを抽出し心拍周波数帯域低強度データセットを得るステップと、心拍周波数帯域低強度データセットの強度平均M2nを算出するステップと、呼吸周波数帯域解析データから、呼吸周波数帯域解析データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W5、W6を破棄し呼吸周波数帯域解析データを得るステップ(ただし、W5、及びW6はそれぞれ1以上心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n3は1以上、心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、呼吸周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn4個のデータを抽出し強度平均M3nを算出するステップ(ただし、n4は1以上、心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、呼吸周波数帯域解析データにおいて、強度最小からn5個のデータを抽出し強度平均M4nを算出するステップ(ただし、n5は1以上、心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、
次式
【0046】
【0047】
により副交感神経指標Mpnを算出するステップと、
次式
【0048】
【数5】
により快・不快指標P
nを算出するステップと、
次式
【0049】
【0050】
により覚醒度指標Anを算出するステップとをさらに備えてよい。
【0051】
本発明の第2の態様において、非線形解析が、非調和解析及びカオス解析であってよい。
【0052】
本発明の第2の態様において、非線形解析が、脈波検出装置によって検出された脈波に対して、ピーク間隔を求め、それを補間して時間等間隔データを得、パワースペクトル密度を高速フーリエ変換により求め、得られたパワースペクトル密度からHF、及びLFを算出することにより、自律神経の状態及び情動の少なくとも一方を抽出してもよい。
【0053】
本発明の第3の態様は、サービス提供プログラムであって、コンピュータに、サービスの受益者の脈波を検出する脈波検出機能と、検出した脈波から、非線形解析を行うことにより、受益者の情動を抽出する解析機能と、施術と同時に、若しくは施術の前後に、抽出された情動をサービスの提供者に示す提示機能とを実現させる。
【0054】
本発明の第3の態様において、非線形解析が、心拍周波数に該当する周波数帯域と、呼吸周波数に該当する周波数帯域の、それぞれでの周波数帯域でのウェーブレット解析を行う解析であってよい。
【0055】
本発明の第3の態様において、心拍周波数に該当する周波数帯域は0.5から3Hz、呼吸周波数に該当する周波数帯域は、0.04から0.6Hzであってよい。
【0056】
本発明の第3の態様において、非線形解析は、検出された脈波のうち、時刻t0から時刻t0+Δt0の間計測された第1のデータセットを用い、第1のデータセットに対して前記心拍周波数に該当する周波数帯域にてウェーブレット解析を実施し心拍周波数帯域データを得る機能と、心拍周波数帯域データから、心拍周波数帯域データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W1、W2のデータセットを破棄して心拍周波数帯域解析データを得る機能と、心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn1個のデータを抽出し心拍周波数帯域高強度データセットを得る機能(ただし、W1、及びW2はそれぞれ1以上心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n1は1以上、心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、心拍周波数帯域高強度データセットのスケール平均を算出する機能と、スケール平均から、ウェーブレット解析に使用したウェーブレット関数のスケールと周波数の関係を使用し心拍周波数を得る機能と、心拍周波数から初期毎分心拍数M0を算出する機能とをさらに備えてよい。
【0057】
本発明の第3の態様において、非線形解析は、検出された脈波のうち、時刻t0+(n-1)Δt0+Δt1から時刻t0+nΔt0+Δt1の間計測された第nのデータセットを用い、第n-1のデータセットのうち、時刻t0+(n-1)Δt0から時刻t0+(n-1)Δt0+Δt1の間計測されたデータが破棄されたデータセットに、検出された脈波のうち、時刻t0+nΔt0から時刻t0+nΔt0+Δt1の間計測されたデータセットを合成して第nのデータセットとする機能と、第nのデータセットに対して心拍周波数に該当する周波数帯域にてウェーブレット解析を実施し心拍周波数帯域データを得る機能と、心拍周波数帯域データから、心拍周波数帯域データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W3、W4のデータセットを破棄して心拍周波数帯域解析データを得る機能と、心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn2個のデータを抽出し心拍周波数帯域高強度データセットを得る機能(ただし、W3、及びW4はそれぞれ1以上心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n2は1以上、心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、心拍周波数帯域高強度データセットの強度平均M1nおよびスケール平均を算出する機能と、スケール平均から、ウェーブレット解析に使用したウェーブレット関数のスケールと周波数の関係を使用し心拍周波数を得る機能と、心拍周波数から毎分心拍数Mmnを算出する機能と、心拍周波数帯域解析データにおいて、強度最小からn3個のデータを抽出し心拍周波数帯域低強度データセットを得る機能と、心拍周波数帯域低強度データセットの強度平均M2nを算出する機能と、呼吸周波数帯域解析データから、呼吸周波数帯域解析データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから所定のデータ数W5、W6を破棄し呼吸周波数帯域解析データを得る機能(ただし、W5、及びW6はそれぞれ1以上心拍周波数帯域データの時間領域データ数の1/4以下の自然数、n3は1以上、心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、呼吸周波数帯域解析データにおいて、強度最大からn4個のデータを抽出し強度平均M3nを算出する機能(ただし、n4は1以上、心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、呼吸周波数帯域解析データにおいて、強度最小からn5個のデータを抽出し強度平均M4nを算出する機能(ただし、n5は1以上、心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/2以下の自然数である)と、
次式
【0058】
【0059】
により副交感神経指標Mpnを算出する機能と、
次式
【0060】
【0061】
により快・不快指標Pnを算出する機能と、
次式
【0062】
【0063】
により覚醒度指標Anを算出する機能とをさらに備えてよい。
【0064】
本発明の第3の態様において、非線形解析が、非調和解析及びカオス解析であってよい。
【0065】
本発明の第3の態様において、非線形解析が、脈波検出装置によって検出された脈波に対して、ピーク間隔を求め、それを補間して時間等間隔データを得、パワースペクトル密度を高速フーリエ変換により求め、得られたパワースペクトル密度からHF、及びLFを算出することにより、自律神経の状態及び前記情動の少なくとも一方を抽出してよい。
【発明の効果】
【0066】
本発明によれば、自律神経・情動を確認することによって、真にサービス受益者の目的、趣向、体質等に合ったサービスを提供するサービス提供システム、サービス提供方法及びサービス提供プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るサービス提供システムの全体構成の一例を示す概要図である。
【
図2】本実施形態に係るサービス提供システムの解析装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係るウェーブレット解析の一例を示す図であり、
図3(a)は取得した脈波信号、
図3(b)は心拍周波数領域の解析結果、
図3(c)は呼吸周波数領域の解析結果である。
【
図4】本実施形態に係るウェーブレット解析におけるスケールと周波数の関係を表すグラフである。
【
図5】本実施形態に係るサービス提供システムによる、ウェーブレット解析を用いた心拍数、副交感神経指標、及び情動抽出方法を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本実施形態に係るサービス提供システムのディスプレイに表示される情動の一例であり、検出前の状態を示す図である。
【
図7】本実施形態に係るサービス提供システムのディスプレイに表示される情動の一例であり、検出開始後の状態を示す図である。
【
図8】本実施形態に係るサービス提供システムによる、受益者へ複数の補完代替療法を提供するメニューの一例を示す図である。
【
図9】本実施形態に係るサービス提供システムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0068】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。実施形態に係る図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものである。
【0069】
又、実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、各構成要素の構成や配置、レイアウト等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0070】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るサービス提供システムを以下に説明する。
図1に、本実施形態に係るサービス提供システム10の構成の一例を示す。
図1に示すサービス提供システム10は、解析装置101、脈波検出装置102、ディスプレイ103、入力装置104から構成される。
【0071】
サービス提供システム10は、サービス受益者(以下、受益者とする)の目的、趣向、体質等に合った補完代替療法を提供する。サービス提供システム10は、サービス提供者(以下、提供者とする)による受益者への問診の結果得られた受益者の目的、趣向、体質等に併せて作成された1又は複数の補完代替療法のメニューを実施する際、脈波検出装置102によって受益者の脈波を検出し、解析装置101によって検出した脈波から受益者の情動を抽出して、抽出した情動をもとに、提供する補完代替療法の内容が真に受益者の目的、趣向、体質等に合ったものであるかを判定する。提供者はこの判定をもとに、補完代替療法の内容を決定、修正、又は変更することができる。
【0072】
補完代替療法とは、(外科的、内科的)医学的方法とは異なり、保険、予防等を主な目的とし、自然治癒力の向上を図るための方法であって、医師ではないものが施術を行う。
【0073】
解析装置101は、受益者の目的、趣向、体質等に併せて作成された1又は複数の補完代替療法のメニューを記憶し、このメニューを実施する際、脈波検出装置102から送信された受益者の脈波を用いて受益者の情動を抽出し、抽出された情動に基づき、補完代替療法の内容を決定、修正、又は変更する。解析装置101は、パーソナルコンピュータ(PC)、メインフレーム、ワークステーション、クラウドコンピューティングシステム等、種々の電子計算機(計算リソース)である。
【0074】
脈波検出装置102は、受益者の脈波を検出して解析装置101に送信する装置である。脈波検出装置102は、身体に接触させて脈波を測定する接触型脈波検出装置であってもよく、又は、身体に接触させずに脈波を測定する非接触型脈波検出装置であってもよい。
【0075】
脈波検出装置102として接触型脈波検出装置を用いると、受益者の身体の動きが脈波検出装置102によって阻害される恐れがある。また、受益者に脈波検出装置102を接触させることにより、受益者が脈波測定を行っていることを過度に意識し、例えばリラクゼーションが阻害され、脈波にも影響を与える等、施術そのものと、脈波検出に影響を及ぼす可能性がある。更に、後述するように、補完代替療法は、複数の施術を組み合わせることにより、それぞれの施術の効果をより高めることができることから、非接触型脈波検出装置を用いることによって、複数の施術を連続して行う際の流れを妨げない。従って、脈波検出装置102としては、非接触型脈波検出装置を用いることが望ましい。
【0076】
ディスプレイ103は、脈波検出装置102から送信された脈波を用いて解析装置101において抽出された情動を表示する。ディスプレイ103の表示内容を被施術者に対して表示すると、脈波検出の場合と同様、受益者が脈波測定を行っていることを意識し、施術そのものと、脈波検出に影響を及ぼす可能性がある。さらに、補完代替療法の一つである環境演出にも影響を及ぼす可能性がある。従って、ディスプレイ103の表示内容は、受益者に対して表示する。本実施形態において、受益者に対して受益者の情動を示す提示手段はディスプレイ103への表示としたが、例えば、紙面への印刷、音声等、他の手段であっても構わない。
【0077】
入力装置104は、解析装置101に接続され、受益者からの入力を受け付ける装置であり、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス等である。本実施形態においては、入力装置104はキーボードであるとする。
【0078】
脈波検出装置102による脈波の検出、解析装置101による情動の抽出、及びディスプレイ103による情動の表示は、受益者が補完代替療法を受けている間、リアルタイムで行われる。これにより、補完代替療法の内容を、受益者の情動に併せて、修正、変更することができる。
【0079】
本実施形態においては、脈波検出装置102は、例えば、ミリ波レーダを用いた非接触センサ(Yunlong, L. et.al., ”Millimeters Wave Radar for Wireless Intelligent Sensing” IEEE Conf. Proc. of 2021 13th Int'l Symp. on Antennas, Propagation and EM Theory, Vol.2021,pp.1-3(2021)参照)、又は、ドップラーセンサを用いた非接触型脈波検出装置(例えば、特開2022-007811号公報参照)であってよい。
【0080】
図2は解析装置101の構成を示すブロック図である。解析装置101には、各種の演算実行のためのCPU201、処理用のプログラムを記憶するストレージ202、データ等の記憶のためのRAM203、各種のデータ及び演算結果等の記憶のための記憶部204、さらに、I/O(インプット・アウトプットインターフェース)205等が備えられる。I/O205は通信(送受信)用のインターフェース、バッファ等である。
【0081】
さらに
図2のブロック図はCPU201内の機能部を示す。CPU201の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、CPU201は各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行することで実現する。詳細には、情動抽出部206、出力部207等を備える。
【0082】
情動抽出部206は、脈波検出装置102によって検出された脈波に対して、非線形解析により、受益者の自律神経の状態、及び情動の少なくとも一方を抽出する。本実施形態において、情動抽出部206は、心拍周波数に該当する周波数帯域と、呼吸周波数に該当する周波数帯域の、2つの周波数帯域でのウェーブレット解析により、脈波から心拍数と呼吸数のデータを抽出し、さらに、抽出された心拍数と呼吸数のデータを用いて覚醒度指標A、及び快・不快指標Pを抽出することによって情動を抽出する。これらの情動抽出部206の動作を、
図3、及び
図4を参照しながら以下に説明する。
【0083】
まず、受益者の基準毎分心拍数M0を算出する。以下では、受益者が初めて本システムを使用することを想定し、情動抽出部206が新たに基準毎分心拍数M0を求めに行く手順を説明する。しかし、すでに基準毎分心拍数M0が既知の場合には、その値を使用しても構わない。
【0084】
基準毎分心拍数M
0を求めるため、情動抽出部206は、脈波検出装置102によって時刻t
0から時刻t
0+Δt
0の間に計測された、計測時間の所定時間長さΔt
0の脈波信号を取得し、脈波データセットD
t0とする。所定時間長さΔt
0は、例えば、32秒とする。
図3(a)に、取得した脈波信号の一例を示す。
【0085】
取得した脈波データセットDt0に対して、情動抽出部206は、心拍周波数帯域と呼吸周波数帯域の2つの帯域において、ウェーブレット解析を実施する。使用するウェーブレット関数としては、例えば、モルレ(Morlet)ウェーブレット関数が使用できる。心拍周波数帯域は、例えば、0.5~3Hzとする。これは、毎分心拍数30~180回に相当する。一方の呼吸周波数帯域は、例えば、0.04から0.6Hzとする。これは、毎分呼吸数2.4~36回に相当する。取得した脈波信号に対して、心拍周波数帯域において、ウェーブレット解析を実施した結果得られたデータを心拍周波数帯域データとし、呼吸周波数帯域において、ウェーブレット解析を実施した結果得られたデータを呼吸周波数帯域データとする。
【0086】
心拍周波数帯域におけるウェーブレット解析の結果得られた心拍周波数帯域データにおいて、心拍周波数帯域データの先頭部および後尾部のそれぞれから、所定の時間領域のデータ数W1、W2のデータセットを破棄する。以下、破棄後に残ったデータを心拍周波数帯域解析データと呼ぶ。データ数W1、W2は、1以上、心拍周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/4以下の自然数である。
【0087】
次に、心拍周波数帯域解析データにおいて、強度が最大となるデータから順に所定数のデータを抽出し、心拍周波数帯域高強度データセットとする。所定数は、例えば、10個とする。
【0088】
次に、得られた心拍周波数帯域高強度データセットのスケールと強度の、それぞれの平均値を算出し、スケール平均Ms、強度平均M1とする。
【0089】
得られたスケール平均M
sを、ウェーブレット関数ごとに決まっているスケールと周波数の関係を用いて、心拍周波数平均M
fに変換する。例えば、モルレウェーブレット関数のスケールと周波数の関係は、
図4のようになる。心拍周波数平均M
fに60秒/分を掛けることで、毎分心拍数M
mを得る。初回のM
mを基準毎分心拍数M
0とする。
【0090】
心拍周波数帯域解析データにおいて、強度が最小となるデータから順に所定数のテータを抽出し、心拍周波数帯域低強度データセットとする。所定数は、例えば、10個とする。
【0091】
次に、得られた心拍周波数帯域低強度データセットの強度を平均し、強度平均M2を得る。
【0092】
次に、心拍周波数帯域におけるウェーブレット解析の場合と同様に、呼吸周波数帯域におけるウェーブレット解析の結果得られた呼吸周波数帯域データにおいて、呼吸周波数帯域データの時間領域の先端部及び後尾部から、所定の時間領域のデータ数W3、W4のデータセットを破棄する。以下、破棄後に残ったデータを呼吸周波数帯域解析データと呼ぶ。データ数W3、W4は、1以上、呼吸周波数帯域解析データの時間領域データ数の1/4以下の自然数である。
【0093】
次に、呼吸周波数帯域解析データにおいて、強度最大から順に所定数のデータを抽出し、呼吸周波数帯域高強度データセットとする。所定数は、例えば、10個とする。
【0094】
次に、得られた呼吸周波数帯域高強度データセットの強度の平均値を算出し、強度平均M3とする。
【0095】
呼吸周波数領域解析データにおいて、強度最小から順に所定数のデータを抽出し、呼吸周波数帯域低強度データセットとする。所定数は、例えば、10個とする。
【0096】
次に、得られた呼吸周波数帯域低強度データセットの強度の平均値を算出し、強度平均M4を得る。
【0097】
副交感神経指標Mpを以下の式を用いて算出する。
【0098】
【0099】
次に、毎分心拍数Mmと基準毎分心拍数M0から、以下の式を用いて情動を抽出するための覚醒度指標Aを得る。ここで、Fは最大変動率であって、0.1<F≦1である。
【0100】
【0101】
上式によって得られた覚醒度指標Aについて、最大覚醒度指標Amax、最小覚醒度指標Aminを次のように設定する。毎分心拍数Mmが基準毎分心拍数M0から最大変動率Fだけ正に変動した場合の覚醒度指標Aを最大覚醒度指標Amax、最大変動率Fだけ負に変動した場合を最小覚醒度指標Aminとし、覚醒度指標Aが最大覚醒度指標Amaxを超えたときは覚醒度指標Aを最大覚醒度指標Amaxとし、覚醒度指標Aが最小覚醒度指標Aminよりも小さくなったときは覚醒度指標Aを最小覚醒度指標Aminである。
【0102】
例えば、最大変動率Fを0.2とし、毎分心拍数Mmが基準毎分心拍数M0から20%以上変動した場合の覚醒度指標Aを最大覚醒度指標Amax、―20%以下に変動した場合を最小覚醒度指標Aminとする場合には、(Mm-M0)/0.2M0/2を計算し、これが0.5を超えた場合には0.5に切り落とし、-0.5を下回った場合には-0.5に切り上げる。
【0103】
最後に、副交感神経指標Mpから、以下の式を用いて情動を抽出するための快・不快指標Pを得る。
【0104】
【0105】
快・不快指標Pは、―0.5≦P≦0.5となるように設定される。例えば、(Mp-1)/2を計算し、これが0.5を超えた場合には0.5に切り落とし、-0.5を下回った場合には-0.5に切り上げる。
【0106】
次に、基準毎分心拍数M0を求める際に使用した脈波データセットDt0のうち、時刻t0から時刻t0+Δt1の間計測されたデータを破棄して脈波データセットDt0―Δt1とする。さらに、時刻t0+Δt0から時刻t0+Δt0+Δt1の間に計測された、計測時間の所定時間長さΔt1の脈波信号を取得して、脈波データセットDΔt1とする。脈波データセットDt0―Δt1と脈波データセットDΔt1とを合成し、新しい脈波データセットDt1を得る。脈波データセットDt1は、時刻t0+Δt1から時刻t0+Δt0+Δt1の間に計測された、計測時間の所定時間長さΔt0の脈波信号と同一である。ここで、t0+Δt1=t1であるとする。Δt1は、例えば、1秒とする。脈波データセットDt0を使用して覚醒度指標A、及び快・不快指標Pを抽出した手順と同様の手順を脈波データセットDt1を使用して繰り返すことで、時刻t0+Δt1から時刻t0+Δt0+Δt1の間に計測された脈波による覚醒度指標A1、及び快・不快指標P1が得られる。
【0107】
上述の、第1脈波データセットDt1を得る手順と同様の手順を以下のように繰り返し行うことで、初回Δt0待機した後、Δt1間隔で覚醒度指標A、及び快・不快指標Pが得られることになる。第1脈波データセットDt1を得る手順と同様の手順をn-1回繰り返し行い、第n―1脈波データセットDtn-1を得たのち、第n―1脈波データセットDtn-1のうち、時刻t0+(n-1)Δt1から時刻t0+nΔt1の間計測されたデータが破棄されたデータセットに、検出された脈波のうち、時刻t0+Δt0+(n-1)Δt1から時刻t0+Δt0+nΔt1の間計測されたデータセットを合成して第n脈波データセットDtnとする。第n脈波データセットの先頭部及び後尾部のそれぞれから、所定の時間領域のデータを破棄した残りのデータセットに対してウェーブレット変換を実施する。ただし、nは自然数である。
【0108】
ここで、脈波データセットDt0に対して得られるスケール平均Ms、強度平均M1、心拍周波数平均Mf、毎分心拍数Mm、強度平均M3、強度平均M4、副交感神経指標Mp、覚醒度指標A、快・不快指標Pは、第n脈波データセットDtnに対しては、スケール平均Msn、強度平均M1n、心拍周波数平均Mfn、毎分心拍数Mmn、強度平均M3n、強度平均M4n、副交感神経指標Mpn、覚醒度指標An、快・不快指標Pnとする。
【0109】
入力装置104が情動抽出部206の動作を終了させるための入力を受け付ける等により、情動抽出部206が入力装置104から終了信号を受信するまで、情動抽出部206の動作は繰り返される。
【0110】
情動抽出部206は、覚醒度指標A、及び快・不快指標Pの組み合わせを用いて、
図6に示す覚醒度指標A、及び快・不快指標Pの組み合わせと情動の対応関係に基づき、情動を抽出する。
【0111】
なお、本実施の形態では、Δt0が32秒、Δt1が1秒、心拍に該当する周波数帯域が0.5から3Hz、呼吸に該当する周波数帯域は、0.04から0.6Hz、所定数10個の場合に関して記載した。しかし、本発明はこれに限定されることはなく、これらの数値は目的、使用状況に合わせて、適宜調整することが望ましい。
【0112】
なお、本実施の形態では、ウェーブレット関数として、モルレ関数(モルレウェーブレット関数)を使用する場合に関して記載した。しかし、本発明はこれに限定されることはなく、他の関数を使用することもできる。例えば、Mexican Hat(メキシカンハット)、Haar(ハール)、Daubechies(ドブシー)、双直交、Coiflet(コイフレット)、Symlet(シムレット)、Meyer(メイヤー)、ガウス導関数ファミリ、Bスプライン ウェーブレットファミリーなどが使用できる。
【0113】
図5は、本実施の形態に係るウェーブレット解析を用いた心拍数、副交感神経指標、及び情動抽出方法を説明するフローチャートである。
図5に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る情動抽出部206の動作を説明する。なお、
図5に示すフローチャートにおいては、基準毎分心拍数M
0を算出する手順については省略されており、時間t
1における覚醒度指標Aと快・不快指標Pとを抽出する手順についての詳細が示される。
【0114】
ステップS501において、情動抽出部206は、脈波検出装置102によって時刻t0から時刻t0+Δt0の間に計測された、計測時間の所定時間長さΔt0の脈波信号を取得し、脈波データセットDt0とする。
【0115】
ステップS502において、情動抽出部206は、脈波データセットDt0を使用して受益者の基準毎分心拍数M0を算出する。
【0116】
ステップS502の次にステップS503に移行するが、その際、n=1として、ステップS503の動作が実行される。後述するが、ステップS523において、情動抽出部206が終了信号を受信しているかどうかの判断がなされ、受信していなければ、ステップS503に戻るが、ステップS523からステップS503に移行する際には、移行前のnに1が足され、新たなnとして、ステップS503の動作が実行される。
【0117】
ステップS503において、情動抽出部206は、基準毎分心拍数M0を求める際に使用した脈波データセットDt0のうち、時刻t0+(n―1)Δt1から時刻t0+nΔt1の間計測されたデータを破棄して脈波データセットDt0―Δt1とする。
【0118】
ステップS504において、情動抽出部206は、時刻t0+nΔt0+(n―1)Δt1から時刻t0+nΔt0+nΔt1の間に計測された、計測時間の所定時間長さΔt1の脈波信号を取得して、脈波データセットDΔt1とする。
【0119】
ステップS505において、情動抽出部206は、脈波データセットDt0―Δt1と脈波データセットDΔt1とを合成し、新しい脈波データセットDtnを得る(n=1)。
【0120】
ステップS506において、情動抽出部206は、取得した脈波データセットDtnに対して、心拍周波数帯域において、ウェーブレット解析を実施し、得られたデータを心拍周波数帯域データとする。心拍周波数帯域データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから、所定の時間領域のデータ数W1、W2のデータセットを破棄し、破棄後に残ったデータを心拍周波数帯域解析データとする。
【0121】
ステップS507において、情動抽出部206は、心拍周波数帯域解析データにおいて、強度が最大となるデータから順に所定数のデータを抽出し、心拍周波数帯域高強度データセットとする。
【0122】
ステップS508において、情動抽出部206は、得られた心拍周波数帯域高強度データセットのスケールと強度の、それぞれの平均値を算出し、スケール平均Msn、強度平均M1nとする。
【0123】
ステップS509において、情動抽出部206は、得られたスケール平均Msnを、ウェーブレット関数ごとに決まっているスケールと周波数の関係を用いて、心拍周波数平均Mfnに変換する。
【0124】
ステップS510において、情動抽出部206は、心拍周波数平均Mfnに60秒/分を掛けることで、毎分心拍数Mmnを得る。
【0125】
ステップS511において、情動抽出部206は、毎分心拍数Mmnと基準毎分心拍数M0から、情動を抽出するための覚醒度指標Anを得る。
【0126】
ステップS512において、情動抽出部206は、心拍周波数領域解析対象データにおいて、強度が最小となるデータから順に所定数のテータを抽出し、心拍周波数帯域低強度データセットとする。
【0127】
ステップS513において、情動抽出部206は、ステップS512において得られた心拍周波数帯域低強度データセットの強度を平均し、強度平均M2nを得る。
【0128】
ステップS514において、情動抽出部206は、取得した脈波データセットDt0に対して、呼吸周波数帯域において、ウェーブレット解析を実施し、得られたデータを呼吸周波数帯域データとする。呼吸周波数帯域データの時間領域の先端部及び後尾部のそれぞれから、所定の時間領域のデータ数W3、W4のデータセットを破棄し、破棄後に残ったデータを呼吸周波数帯域解析データとする。
【0129】
ステップS515において、情動抽出部206は、呼吸周波数帯域解析データにおいて、強度が最大となるデータから順に所定数のデータを抽出し、呼吸周波数帯域高強度データセットとする。
【0130】
ステップS516において、情動抽出部206は、ステップS515において得られた呼吸周波数帯域高強度データセットの強度の平均値を算出し、強度平均M3nとする。
【0131】
ステップS517において、情動抽出部206は、呼吸周波数領域解析対象データにおいて、強度最小から順に所定数のデータを抽出し、呼吸周波数帯域低強度データセットとする。
【0132】
ステップS518において、情動抽出部206は、得られた呼吸周波数帯域低強度データセットの強度の平均値を算出し、強度平均M4nを得る。
【0133】
ステップS519において、情動抽出部206は、副交感神経指標Mpnを算出する。
【0134】
ステップS520において、情動抽出部206は、副交感系指標Mpnから、情動を抽出するための快・不快指標Pnを得る。
【0135】
ステップS521において、情動抽出部206は、情動抽出部206は、覚醒度指標An、及び快・不快指標Pnの組み合わせを用いて、覚醒度指標An、及び快・不快指標Pnの組み合わせと情動の対応関係に基づき、情動を抽出する。
【0136】
ステップS522において、情動抽出部206は、副交感系指標Mpnと覚醒度指標Anを出力部207に送信する。
【0137】
ステップS523において、情動抽出部206は、終了信号を受信しているかどうかを判断し、受信していれば、ENDに進み、動作を終了する。受信していなければ、ステップS503に戻る。ステップS503に移行する際、移行前のnに1が足され、新たなnとして、ステップS503の動作が実行される。
【0138】
覚醒度指標Aは、精神状態が高い活動状態(高活動)であるか、低い活動状態(低活動)であるかを示す指標であり、従来、脳波であるα波とβ波との割合等から算出されていたものである。本実施形態において、覚醒度指標Aは、脈波検出装置102によって検出された脈波を用いて抽出されるが、交感神経の指標となる指先の発汗状態の検出等によっても得ることが可能である。
【0139】
快・不快指標Pは、精神状態が快適な状態(快状態)であるか、不快な状態(不快状態)であるかを示す指標であり、副交感神経の活性度、本実施形態においては、副交感系指標Mpから得られる。
【0140】
受益者の情動は、覚醒度、及び快・不快状態の2つの指標の組み合わせで表される。例えば、覚醒度が低活動であり、かつ快状態であれば、情動は、「平和な」状態であると言える。覚醒度が高活動であり、かつ快状態であれば、情動は、「幸せな」状態であると言える。又、覚醒度が低活動であり、かつ不快状態であれば、情動は、「不幸せな」状態であり、覚醒度が高活動であり、かつ不快状態であれば、情動は、「怒った」状態であると言える。
【0141】
出力部207は、情動抽出部206によって抽出された覚醒度、及び快・不快状態の2つの指標を、ディスプレイ103に出力する。ディスプレイ103の表示内容の一例を
図6に示す。
図6は、情動を示すグラフをディスプレイ103に表示したものである。
図6の中心に位置する丸印は、受益者の測定時における覚醒度、及び快・不快状態の2つの指標の値を示しており、丸印の位置によって測定時点での受益者の情動を把握することができる。
図6は受益者に対する脈波検出装置102による脈波検出の開始前の状態である。
【0142】
図6において、覚醒度、及び快・不快状態の2つの指標の組み合わせで得られる情動は、受益者の情動の把握を簡単化するために、グラフ上の領域で示される。例えば、
図6において、「楽しい」という情動を示す領域が破線で示されている。
【0143】
図7は、受益者に対して、脈波検出装置102による脈波検出、及び情動抽出部206による情動の抽出を開始したのちのディスプレイ103の表示内容の一例である。
図3においては中心に位置していた丸印が、
図7においては、軌跡701を描きながら、
図7の中心位置から、「心配な」「警戒する」「穏やかな」を通り、「平和な」へ移動している。受益者の情動の抽出とディスプレイ103への情動の表示はリアルタイムで行われており、丸印の位置は、測定時の受益者の情動を示している。ディスプレイ103の表示内容は受益者に向けて表示される。これにより、提供者は、受益者の情動をリアルタイムで知ることができる。
【0144】
図6、
図7には、情動を示すグラフのみが表示されているが、ディスプレイ103には、情動を示すグラフに加えて、例えば、施術のメニュー、受益者の脈波等を表示してもよい。
【0145】
図2に示すCPU201はさらに、メニュー生成部208、内容判定部209を備えてもよい。また、
図2に示す記憶部204は、メニュー記憶部210、基準記憶部211等を備えてもよい。
【0146】
メニュー生成部208は、受益者に対する問診の内容をもとに、基準記憶部211に記憶されている判定基準テーブルを用いて、受益者の目的、趣向、体質等に応じた望ましい情動が決定される。さらに、受益者に対する問診の内容、及び望ましい状態をもとに、メニュー記憶部210に記憶されているメニューテーブルを用いて、1又は複数の補完代替療法の組み合わせ、順番、及び詳細を決定して、一連の補完代替療法のメニューを生成する。
【0147】
本実施形態においては、メニュー生成部208が、望ましい状態、及びメニューを自動で生成するとするが、受益者が作成した望ましい状態、及びメニューを、例えば入力装置104から、解析装置101に入力する構成でも構わない。
【0148】
内容判定部209は、リアルタイムで抽出される受益者の情動の指標を用いて、基準記憶部215に記憶された判定基準を記述したテーブルである判定基準テーブルに基づき、その時点で行われている補完代替療法の詳細が、受益者の目的、趣向、体質等に合ったものであるかを判定する。この判定結果は、出力部207によってディスプレイ103に表示されてもよい。
【0149】
本実施形態においては、内容判定部209が、その時点で行われている補完代替療法の詳細が、受益者の目的、趣向、体質等に合ったものであるかを判定するとするが、ディスプレイ103に表示された覚醒度、及び快・不快状態の2つの指標により、受益者が判定することもできる。
【0150】
メニュー記憶部210は、問診の内容に対する補完代替療法の種類、組み合わせ、順番、各補完代替療法の詳細等を記述したメニューテーブルを記憶する。受益者への問診によって、受益者の目的、趣向、体質等が得られる。このテーブルには、問診によって得られた、受益者の目的、趣向、体質等に適した施術を行うための、補完代替療法の種類、組み合わせ、順番、各補完代替療法の詳細等が記述されている。受益者に提供できる補完代替療法の種類、各補完代替療法の詳細等は、受益者が施術を受ける施設ごとに異なるため、このテーブルは施設ごとに異なる。
【0151】
基準記憶部211は、判定基準テーブルを記憶する。判定基準テーブルには、受益者の目的、趣向、体質等に対する、望ましい覚醒度、及び快・不快状態の2つの指標の値が記載されている。例えば、精神的な疲労を感じている場合でも、受益者の目的、趣向、体質等によって、低い覚醒度でリラックスすることによって疲労を解消できる場合もあれば、高い覚醒度で適度に刺激を受けることによって疲労を解消できる場合もあるなど、目的が同じでも施術内容が異なる場合がある。補完代替療法によって快・不快状態を示す指標が快状態となるようになるのが望ましいが、
図6に示すように、同じ快状態でも、覚醒度によって、リラックスした状態、安心した状態、楽しい状態、歓喜した状態等、様々な状態があり、どの情動が望ましいかは受益者の目的、趣向、体質等に応じて決定される。判定基準テーブルには、受益者の目的、趣向、体質等に応じた望ましい情動が記載されている。
【0152】
本実施形態に係るサービス提供システム10によって、補完代替療法を提供する施設としては、ホテル・旅館、温浴施設、スパ・治療院、介護・福祉施設、知育・教育施設、高齢者施設、及びEスポーツを含むスポーツ施設等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0153】
本実施形態に係るサービス提供システム10が提供する補完代替療法は、温泉・入浴、運動、手技、食事、気候・環境演出のうちの少なくとも一つであり、提供する施設が、どの療法を提供可能であるかは、施設によって異なる。
【0154】
温泉・入浴は、一例として、温泉、スパ、シャワー等である。運動は、一例として、ヨガ、ピラティス、マインドフルネス等である。手技は、一例として、エステティック、マッサージ、アロマトリートメント等である。食事は、一例として、施術前後の飲料(ウェルカムドリンク、アフタードリンク等)、5-デアザフラビン化合物(特許文献7参照)等のサプリメント等である。気候・環境演出は、一例として、音楽、照明、香り演出、プロジェクションマッピング等である。
【0155】
本実施形態に係るサービス提供システム10が提供する補完代替療法の詳細は、それぞれの補完代替療法を行う際に、個々の受益者毎に決定される内容である。補完代替療法が温泉・入浴であれば、湯温、入浴時間、泉質、等である。補完代替療法がアロマトリートメントであれば、精油及びキャリアオイルの種類、トリートメントを行う部位、等である。飲料であれば、種類、温度等である。音楽であれば、音量、種類等である。
【0156】
補完代替療法のうち、手技、気候・環境演出は、受益者の五感、即ち、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚に対して刺激を与える療法である。また、温泉・入浴は受益者に対して温度刺激を与える。食事のうち、施術前後の飲料(ウェルカムドリンク等)は、味覚および嗅覚に刺激を与える。
【0157】
本実施形態において、補完代替療法のうち、食事として提供される、5-デアザフラビン化合物は、ミトコンドリア賦活剤であり、コヒーレンスを向上させる効果がある。ここで、コヒーレンスとは、心拍揺らぎのなめらかさの指標である。
【0158】
本実施形態に係るサービス提供システム10は、補完代替療法として、頭部に近赤外線を照射してミトコンドリア活性を促すミトコンドリア活性機器による光刺激療法(例えば、特許文献8参照)を含んでもよい。本実施形態に係るサービス提供システム10における光刺激療法は、鼻腔近赤外線照射によるもの、又は、経頭蓋近赤外線照射によるものを含んでもよい。
【0159】
本実施形態に係るサービス提供システム10は、補完代替療法として、バイオフィードバックトレーニングを含んでもよい。本実施形態に係るサービス提供システム10におけるバイオフィードバックトレーニングは、コヒーレンス呼吸法によるトレーニング、心拍揺らぎバイオフィードバック、筋電バイオフィードバック、精神性発汗バイオフィードバック、抹消皮膚温度バイオフィードバック、又は、脳波トレーニングなどのニューロレギュレーションを含んでもよい。
【0160】
次に、本実施形態に係るサービス提供システム10による、受益者へ複数の補完代替療法を提供するメニューの一例と、その流れについて
図8を参照しながら説明する。
【0161】
図8に示すメニューは、補完代替療法を提供する施設において、受益者に対して行われる一連の施術の流れを示している。
図8のメニューに示される各施術は、特定の施術者に対して行われる施術が、施設へのチェックインからチェックアウトまで、時系列に並べられている。
【0162】
行程1~3は、受益者の施設へのチェックイン時に受益者に対して行われる補完代替療法である。行程1のBGMは、施設内で流される音楽であり、補完代替療法のうち、気候・環境演出に含まれ聴覚を刺激するものである。行程2の照明は、施設内で用いられる照明であり、補完代替療法のうち、気候・環境演出に含まれ視覚を刺激するものである。行程3の香り演出は、施設内で流される精油等の香りであり、補完代替療法のうち、気候・環境演出に含まれ嗅覚を刺激するものである。行程1~3の補完代替療法は、施設の供用部、即ち、チェックインカウンターやロビー等で行われるものであり、例えば、一般的にリラックス効果があるとされるBGM、照明、香りが選択される等、個々の受益者の目的、趣向、体質等を反映したものではない。
【0163】
チェックイン後、受益者に対して問診が行われる。問診によって、被施術者の目的、趣向、体質等の受益者の情報、及び、受益者が施術を希望する補完代替療法等が受益者に示される。問診の結果に基づいて、受益者の目的、趣向、体質等に応じた望ましい情動、及び受益者に対して行われる一連の施術の、補完代替療法の種類等が選択され、メニューが決定される。
【0164】
問診によって明らかにされる望ましい情動は
図6、及び
図7の快・不快状態の指標が快の領域のいずれかの状態に分類される。すなわち、受益者の施術後の望ましい情動は、
図3においては、「歓喜の」「幸せな」「楽しい」「平和な」「穏やかな」「リラックス」「深くリラックス」のいずれかの状態に分類される。
【0165】
本実施形態においては、メニュー生成部208がメニューを自動で生成するとする。本実施形態に係るサービス提供システム10の解析装置101は、入力装置104によって入力された受益者の問診結果を受け付ける。受け付けた問診結果は、メニュー生成部208に送信され、受益者の目的、趣向、体質等に応じた望ましい情動、及びメニューが生成される。本実施形態では、望ましい情動、及びメニューは自動で生成されるとしたが、自動生成されない形態でも構わない。例えば、提供者等が作成した望ましい情動、及びメニューを、例えば入力装置104から、解析装置101に入力する形態でも構わない。
【0166】
行程4の開始前に、脈波検出装置102による受益者の脈波検出、及び情動抽出部206による受益者の情動の抽出が開始される。脈波検出装置102による受益者の脈波検出の開始のタイミングは、個々の受益者に対して行われる補完代替療法が開始される前の時点である。本実施形態では、行程1~3は、施設にチェックイン全ての受益者に対して行われるが、行程4以降は、個々の受益者に対して行われる。従って、本実施形態では、行程4より前の時点で受益者の脈波検出が開始される。
【0167】
行程4、及び行程5は、受益者に対して行われる問診の間、又は後に、受益者に対して行われる補完代替療法である。行程4は、受益者に対して提供されるウェルカムドリンクの提供であり、補完代替療法のうち、食事に含まれ味覚を刺激するものである。ウェルカムドリンクは複数種類用意され、受益者は、用意された複数のウェルカムドリンクの中から、試飲や香りの確認を行い、最も適していると思われるものを選択する。用意される複数種類のウェルカムドリンクは、問診の結果に基づいて選択されたものであってもよい。
【0168】
ここで、
図8に示すように、行程4の施術と同時に、及び前後に、情動の確認がなされる。情動の確認は、受益者がディスプレイ103に表示される覚醒度、及び快・不快状態の2つの指標の値を確認することで行われる。行程4の施術と同時、又は前後における情動の変化から、行程4で行われた補完代替療法の効果を確認することができる。補完代替療法の効果から、受益者に対して行われた補完代替療法、及び補完代替療法の詳細が、受益者の目的、趣向、体質等に真に合ったものであるかどうかを判断できる。
【0169】
行程4において受益者が摂取したウェルカムドリンクは、問診によって複数種類選択され、その中から受益者が最も適していると感じて選択されたものである。しかしながら、問診の結果から受益者の状態を十分把握できるとは限らない。また、受益者の問診の結果から選択された補完代替療法の詳細、行程4においては複数種類のウェルカムドリンクは、問診の結果から一般的に選択されるもの、行程4においてはウェルカムドリンクであって、一般的に選択されるものが受益者に合うものであるとは限らない。さらに、受益者が最も適していると感じて選択されたものが、真に受益者の目的、趣向、体質等に真に合ったものであるとは限らない。これらと比較すると、脈波検出装置102によって検出された脈波をもとに、情動抽出部206によって抽出された受益者の情動に基づいて選択された補完代替療法、及び補完代替療法の詳細が、受益者の目的、趣向、体質等に最も合ったものであると言える。
【0170】
行程4においては、例えば、問診によって、施術によって受益者の情動が「平和な」という状態となるのが望ましいと明らかにされたとすると、受益者は、用意された複数のウェルカムドリンクの中から選択する際、一つ一つのドリンクの試飲や香りの確認を行い、情動が「平和な」に近づくように変化したものが、受益者にとって最も望ましいウェルカムドリンクであると考えられる。行程5以降においても、受益者の情動を確認しながら、望ましいとされた情動に近づくように、その時々の行程の補完代替療法の詳細を決定、変更、修正しながら、行程を進める。
【0171】
本実施形態においては、内容判定部209が、受益者の情動の指標を用いて、基準記憶部215に記憶された判定基準を記述したテーブルである判定基準テーブルに基づき、その時点で行われている補完代替療法の詳細が、受益者の目的、趣向、体質等に合ったものであるかを判定する。内容判定部209が判定を行う際、その時点で行われている補完代替療法の詳細は提供者によって入力装置105から入力される。判定結果は、ディスプレイ103上に表示されてもよい。
【0172】
行程5の香り選択は、この後行われるアロマトリートメント等に使用される精油等の選択である。香りは、受益者の問診結果を受けて選択されたものが複数種類用意され、受益者は、用意された複数の精油等の中から選択するが、行程5においても、情動の変化から、最適な精油等を選択する。
【0173】
行程6は、入浴である。入浴による温度刺激と、安息の湯温により、受益者の自律神経のバランス調整がなされる。補完代替療法の詳細としては、温度、泉質、入浴時間等である。
【0174】
行程7は、5-デアザフラビン化合物を含むサプリメントの摂取である。このサプリメントはミトコンドリア賦活剤であり、コヒーレンス向上の効果を有する。補完代替療法の詳細としては、摂取する量、種類等である。
【0175】
行程8は、マインドフルネスであり、コヒーレンスを向上させる。補完代替療法の詳細としては、プログラム内容、時間等である。
【0176】
行程9は、前頭葉への近赤外線照射による光刺激であり、ミトコンドリアを活性させ、コヒーレンスを向上させる。補完代替療法の詳細としては、近赤外線の強度、時間である。
【0177】
行程10は、コヒーレンス呼吸法によるトレーニングであり、コヒーレンスを向上させる。補完代替療法の詳細としては、呼吸のタイミング、時間等の、呼吸法の詳細である。
【0178】
行程11、及び行程12は、アロマトリートメントである。行程10は俯せ、行程11は仰向けで施術が行われる。行程10、及び行程11において使用される香りは、行程5において選択されたものを使用する。行程7~行程10によってコヒーレンスが上がった状態で施術されることにより、より高い効果が得られる。補完代替療法の詳細としては、精油等の種類、プログラムの内容、時間である。
【0179】
行程13は、アフタードリンクの提供である。アフタードリンクとして、例えばハーブティ等が提供される。補完代替療法の詳細としては、種類、香り、温度等である。
【0180】
全ての行程が終了したのち、アフターカウンセリングが行われる。この時点で、全行程における、脈波の検出結果、情動の結果等の結果を受益者に提供してもよい。
【0181】
以上により、本実施形態に係るサービス提供システムにより、情動抽出部206によって抽出された受益者の情動の変化から、受益者の目的、趣向、体質等に最も合った補完代替療法を提供することができる。
【0182】
次に、
図9を参照しながら、本実施形態に係るサービス提供システムの動作を説明する。
図9に示すフローチャートは、
図8に示すメニューに対する、サービス提供システムの動作である。
【0183】
ステップS901において、解析装置101は、入力装置105によって入力された受益者の問診結果を受け付ける。
【0184】
ステップS902において、受け付けた問診結果は、メニュー生成部208に送信され、受益者の目的、趣向、体質等に応じた望ましい情動、及びメニューが生成される。
【0185】
ステップS903において、脈波検出装置102による受益者の脈波検出が行われる。
【0186】
ステップS904において、情動抽出部206による受益者の情動の抽出が開始され、ディスプレイ103上に表示される。
【0187】
ステップS905において、内容判定部209が判定を行う際、解析装置101は、入力装置105によって入力されその時点で行われている補完代替療法の詳細を受け付ける。
【0188】
ステップS906において、内容判定部209が、受益者の情動の指標を用いて、基準記憶部215に記憶された判定基準を記述したテーブルである判定基準テーブルに基づき、その時点で行われている補完代替療法の詳細が、受益者の目的、趣向、体質等に合ったものであるかを判定する。
【0189】
ステップS907において、ステップS905~ステップS906が、全ての行程を終了するまで繰り返される。
【0190】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、脈波検出装置102によって検出された脈波に対して、心拍周波数に該当する周波数帯域と、呼吸周波数に該当する周波数帯域の、2つの周波数帯域でのウェーブレット解析により情動を抽出する方法に関して記載した。他の方法として、例えば、情動抽出部206にて、脈波検出装置102によって検出された脈波に対して、非調和解析(特開2022-007811号公報及び国際公開第2009/038056号参照)、及び非線形解析(特開2021―037033号公報及び特開2020-074805号公報参照)を行い、情動を抽出する方法であっても構わない。非線形解析としては、カオス解析、又は、再帰定量化解析(Recurrence Quantification Analysis、RQA)を使用することができる。
【0191】
非調和解析とは、フィルタリング処理によって、脈波検出装置102によって検出された脈波の変位から、目的とする脈波のm(mは2以上の自然数)倍周波数周辺の、特定高調波帯域の周波数成分とその周波数を検出する解析方法である。また、カオス解析は、脈波から、心拍数、人の精神的健康度と関係するリアプノフ指数、副交感神経の影響を受ける心拍変動の高周波成分、交感神経と副交感神経の両方の影響を受ける心拍変動の低周波成分、緊張状態やリラックス状態の度合いを反映する心拍変動の低・高周波成分の比を算出する解析方法である。再帰定量化分析(Recurrence Quantification Analysis、RQA)は、力学系の再帰特性や再帰パターンを定量化する非線形時系列解析手法であり、時系列データを高次元の位相空間に再構築し、その軌道の再帰状態を調べることで系のダイナミクスの特性を定量化する手法である。RQAは心拍変動等のデータに応用される。これらの解析によって、覚醒度、及び快・不快状態が、情動として抽出される。情動抽出後のその活用方法は、第1の実施の形態と同様である。
【0192】
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、脈波検出装置102によって検出された脈波に対して、ウェーブレット解析により情動を抽出する方法に関して記載した。第2の実施形態では、脈波検出装置102によって検出された脈波に対して、非調和解析、及び非線形解析を行い、情動を抽出する方法に関して記載した。
【0193】
他の方法として、脈波検出装置102によって検出された脈波に対して、ピーク間隔を求め、それを補間して時間等間隔データを得、時間等間隔データのパワースペクトル密度を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transformation)により求め、得られたパワースペクトル密度からHF(High Frequency)、及びLF(Low Frequency)を算出する。HFとは、呼吸を信号源とする変動波の、呼吸の周波数領域におけるパワースペクトルの合計量であり、LFとは、血圧変化を信号源とする変動波の、血圧変化の周波数領域におけるパワースペクトルの合計量である。交感神経指標は毎分の心拍数から得ることができ、副交感系指標は、HF、及びLFから得ることができる。情動についても同様に、覚醒度は毎分の心拍数から得ることができ、快・不快指数は、HF、及びLFから得ることができる。
【0194】
(第4の実施形態)
第1、第2、または、第3の実施形態に係るサービス提供システム10は、受益者に対し、サービスとして、受益者の目的、趣向、体質等に合った補完代替療法を提供するものである。本実施形態において述べるように、サービス提供システム10は、受益者に対して、サービスとして、リハビリテーション、スポーツトレーニング、教育等、補完代替療法ではないサービスも提供することができる。
【0195】
本実施形態においてサービス提供システム10が提供するサービスは、受益者の自律神経、情動を調整するものではない。しかしながら、例えば、介護・福祉施設や高齢者施設等において行われるリハビリテーションは、リハビリテーションを受ける時点においての受益者の自律神経・情動によって、リハビリテーションの効果が変動することがあり、また、リハビリテーションを受ける時点においてのサービス受益者の自律神経・情動に合わせたリハビリテーションを行う必要がある。スポーツ施設におけるスポーツトレーニング、知育・教育施設における教育においても、受益者の自律神経・情動によって、サービスの効果が変動する。
【0196】
本実施形態においては、脈波検出装置102によってサービスの提供を受けている受益者の脈波を検出し、解析装置101によって検出した脈波から受益者の情動を抽出して、抽出した情動をもとに、提供するサービスの内容が受益者の目的、趣向、体質等に合ったものであるかを判定する。
【0197】
本実施形態におけるサービス提供システム10によれば、例えば、介護・福祉施設や高齢者施設等においてリハビリテーションを行う際、サービス提供システム10によって、受益者(この場合、要介護者など)の情動を抽出し、情動の変化を確認しながらリハビリテーションを進めることができる。例えば、サービス提供システム10が、リハビリテーションを行っている間に、情動を表す指標のうち、快・不快状態を表す指標が、「不快」であれば、そのリハビリテーションのメニューや進め方が受益者の目的、趣向、体質等に合ったものではないと判定する。提供者(この場合、作業療法士など)は、この判定をもとに、リハビリテーションのメニューや進め方を、より受益者の目的、趣向、体質等に合ったものに変更するという判断をすることができる。
【0198】
また、補完代替療法として脳波トレーニングなどのニューロレギュレーションを実施することも考えられる。この場合、提供者(作業療法士など)は、受益者(要介護者など)の自律神経・情動によって、その日の脳波トレーニングメニューを最適化することが望ましい。最適化のために調整するパラメータとしては、脳波トレーニングの電極位置(部位)、脳波周波数(デルタ、シータ、アルファ、ベータ、ガンマ)の選択、選択された周波数帯域の脳波を強めるのか弱めるのか、さらには、部位間の脳波コヒーレンスを上げるのか、下げるのか、などが容易に想定される。
【0199】
また、本実施形態におけるサービス提供システム10によれば、スポーツ施設においてスポーツトレーニングを行う際、サービス提供システム10によって、受益者(この場合、選手など)の情動を抽出し、情動の変化を確認しながらトレーニングを進めることができる。この場合、例えば、サービス提供システム10によって、トレーニングの強度やメニューが受益者の目的、趣向、体質等に合ったものであるかどうかを提供者(この場合、受益者のコーチなど)が判定する材料となる。
【0200】
また、試合後のクールダウンとして脳波トレーニングなどのニューロレギュレーションを実施することも有益と考えられ、その場合には、選手の自律神経・情動に合わせて、脳波トレーニングメニューを最適化することが望ましい。調整するパラメータとしては、脳波トレーニングの電極位置(部位)、脳波周波数の選択、選択された周波数帯域の脳波を強めるのか弱めるのか、さらには、部位間脳波コヒーレンスを上げるのか、下げるのか、などが容易に想定される。
【0201】
さらに、本実施形態におけるサービス提供システム10によれば、知育・教育施設において教育が提供される際、サービス提供システム10によって、受益者(この場合、生徒など)の情動の変化を確認しながら教育の提供を進めることができる。この場合、例えば、サービス提供システム10によって、教育の提供者(この場合、教育の指導者など)の指導方法や内容等が受益者の目的、趣向、体質等に合ったものであるかどうかを判定することができる。
【0202】
また、サービス提供システム10は、受益者に対して、サービスとして、リハビリテーション、スポーツトレーニング、教育等をサービスとして提供する際、それらに付随するサービスとして、補完代替療法を提供することができる。この場合、補完代替療法は、リハビリテーション、スポーツトレーニング、教育等の、補完代替療法ではないサービスの効果を高める目的で提供される。
【0203】
例えば、介護・福祉施設や高齢者施設等においてリハビリテーションを行う際、補完代替療法の一つであるアロマトリートメントやBGM等、気候・環境演出を行うことができる。その際、アロマトリートメントに用いる精油やBGMが受益者の目的、趣向、体質等に合ったものであるかどうかを、サービス提供システム10によって判定することができる。スポーツ施設におけるスポーツトレーニング、知育・教育施設における教育においても、サービスに付随して、例えば、集中力を高めるアロマトリートメントやBGM等、気候・環境演出を行うとすると、サービスに付随して提供される補完代替療法が、受益者の目的、趣向、体質等に合ったものであるかどうかを、サービス提供システム10によって判定することができる。
【0204】
以上、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0205】
10 サービス提供システム
101 解析装置
102 脈波検出装置
103 ディスプレイ
104 入力装置
201 CPU
202 ストレージ
203 RAM
204 記憶部
205 I/O(インプット・アウトプットインターフェース)
206 情動抽出部
207 出力部
208 メニュー生成部
209 内容判定部
210 メニュー記憶部
211 基準記憶部
701 軌跡