(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070734
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】切断装置及び切断方法
(51)【国際特許分類】
B24B 1/04 20060101AFI20240516BHJP
B28D 5/02 20060101ALI20240516BHJP
B26D 7/08 20060101ALI20240516BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20240516BHJP
B24B 55/02 20060101ALI20240516BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
B24B1/04 B
B28D5/02 A
B26D7/08 A
B24B27/06 M
B24B55/02 D
H01L21/78 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181423
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】594114019
【氏名又は名称】株式会社アルテクス
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 茂
【テーマコード(参考)】
3C047
3C049
3C069
3C158
5F063
【Fターム(参考)】
3C047FF06
3C047FF17
3C049AA03
3C049AA07
3C049AA17
3C049AC04
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3C069AA01
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3C158CB10
3C158DA10
3C158DA17
5F063AA05
5F063AA21
5F063BA45
5F063DD02
5F063DD16
5F063FF22
(57)【要約】
【課題】 音エネルギーを利用した加工において、対象物の破壊を防止しつつ、高度な加工を実現することに適した切断装置等を提供する。
【解決手段】 切断装置1は、音エネルギーを利用して対象物を切断する。切断装置1は、ブレード用ホーン13と、ブレード用ホーン13に装着されたリングブレード11と、第1ブースター7と、第2ブースター9と、電歪型振動子5と、モータ3と、第1接点電極15と、第2接点電極17と、発振器29を備える。リングブレード11は、少なくとも、ダイヤモンド粒子と、金属を含む。第1ブースター7及び第2ブースター9がブレード用ホーン13を挟んで保持して、リングブレード11の剛性を維持する。第1接点電極15及び第2接点電極17は、発振器29が出力した正弦波の外部電力を電歪型振動子5に直接供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音エネルギーを利用して対象物を切断する切断装置であって、
ブレード用ホーンと、前記ブレード用ホーンに装着されたリングブレードと、第1ブースターと、第2ブースターと、電歪型振動子と、モータと、第1接点電極と、第2接点電極と、発振器を備え、
前記リングブレードは、少なくとも、ダイヤモンド粒子と、金属を含み、
前記第1ブースター及び前記第2ブースターが前記ブレード用ホーンを挟んで保持し、
前記第1ブースターは、前記電歪型振動子が接続され、
前記第1接点電極及び前記第2接点電極は、前記電歪型振動子に直接接続し、
前記ブレード用ホーン、前記リングブレード、前記第1ブースター、前記第2ブースター、前記電歪型振動子、前記第1接点電極及び前記第2接点電極は、直結回転体であり、
前記モータは、前記直結回転体を回転し、
前記第1接点電極及び前記第2接点電極は、前記発振器が出力した正弦波の外部電力を前記電歪型振動子に直接供給し、
前記電歪型振動子は、供給された外部電力を正弦波の機械的な振動に変換して前記リングブレードに伝え、
前記リングブレードは、当該リングブレードに含まれる金属により前記機械的な振動によって振動して、前記ダイヤモンド粒子が振動して前記対象物を切断する、切断装置。
【請求項2】
リングブレードに冷却液を供給する冷却液供給器を備える請求項1記載の切断装置。
【請求項3】
前記発振器の出力は、100ワット以上である、請求項1記載の切断装置。
【請求項4】
音エネルギーを利用して対象物を切断する切断装置における切断方法であって、
前記切断装置は、ブレード用ホーンと、前記ブレード用ホーンに装着されたリングブレードと、第1ブースターと、第2ブースターと、電歪型振動子と、モータと、第1接点電極と、第2接点電極と、発振器を備え、
前記リングブレードは、少なくとも、ダイヤモンド粒子と、金属を含み、
前記第1ブースター及び前記第2ブースターが前記ブレード用ホーンを挟んで保持し、
前記第1ブースターは、前記電歪型振動子が接続され、
前記第1接点電極及び前記第2接点電極は、前記電歪型振動子に直接接続し、
前記ブレード用ホーン、前記リングブレード、前記第1ブースター、前記第2ブースター、前記電歪型振動子、前記第1接点電極及び前記第2接点電極は、直結回転体であり、
前記モータが、前記直結回転体を回転し、
前記第1接点電極及び前記第2接点電極が、前記発振器が出力した正弦波の外部電力を前記電歪型振動子に直接供給し、
前記電歪型振動子が、供給された外部電力を正弦波の機械的な振動に変換して前記リングブレードに伝え、
前記リングブレードに含まれる金属が前記機械的な振動によって振動して、前記ダイヤモンド粒子が振動して前記対象物を切断するステップを含む切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置及び切断方法に関し、特に、音エネルギーを利用して対象物を切断する切断装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発明者らが提案した超音波振動切断装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、振動子が導電性のある覆体を外嵌装着して、覆体を経由して電極が接続される。すなわち、電極は、振動子に接触するものではなく、外部電力の波形がきれいに振動子に伝えられない場合があった。そのため、対象物の破壊などが生じる可能性があった。
【0005】
よって、本発明は、音エネルギーを利用した加工において、対象物の破壊を防止しつつ、高度な加工を実現することに適した切断装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の第1の側面は、音エネルギーを利用して対象物を切断する切断装置であって、ブレード用ホーンと、前記ブレード用ホーンに装着されたリングブレードと、第1ブースターと、第2ブースターと、電歪型振動子と、モータと、第1接点電極と、第2接点電極と、発振器を備え、前記リングブレードは、少なくとも、ダイヤモンド粒子と、金属を含み、前記第1ブースター及び前記第2ブースターが前記ブレード用ホーンを挟んで保持し、前記第1ブースターは、前記電歪型振動子が接続され、前記第1接点電極及び前記第2接点電極は、前記電歪型振動子に直接接続し、前記ブレード用ホーン、前記リングブレード、前記第1ブースター、前記第2ブースター、前記電歪型振動子、前記第1接点電極及び前記第2接点電極は、直結回転体であり、前記モータは、前記直結回転体を回転し、前記第1接点電極及び前記第2接点電極は、前記発振器が出力した正弦波の外部電力を前記電歪型振動子に直接供給し、前記電歪型振動子は、供給された外部電力を正弦波の機械的な振動に変換して前記リングブレードに伝え、前記リングブレードは、当該リングブレードに含まれる金属により前記機械的な振動によって振動して、前記ダイヤモンド粒子が振動して前記対象物を切断する。
【0007】
本願発明の第2の側面は、第1の側面の切断装置であって、リングブレードに冷却液を供給する冷却液供給器を備える。
【0008】
本願発明の第3の側面は、第1又は第2の側面の切断装置であって、前記発振器の出力は、100ワット以上である。
【0009】
本願発明の第4の側面は、音エネルギーを利用して対象物を切断する切断装置における切断方法であって、前記切断装置は、ブレード用ホーンと、前記ブレード用ホーンに装着されたリングブレードと、第1ブースターと、第2ブースターと、電歪型振動子と、モータと、第1接点電極と、第2接点電極と、発振器を備え、前記リングブレードは、少なくとも、ダイヤモンド粒子と、金属を含み、前記第1ブースター及び前記第2ブースターが前記ブレード用ホーンを挟んで保持し、前記第1ブースターは、前記電歪型振動子が接続され、前記第1接点電極及び前記第2接点電極は、前記電歪型振動子に直接接続し、前記ブレード用ホーン、前記リングブレード、前記第1ブースター、前記第2ブースター、前記電歪型振動子、前記第1接点電極及び前記第2接点電極は、直結回転体であり、前記モータが、前記直結回転体を回転し、前記第1接点電極及び前記第2接点電極が、前記発振器が出力した正弦波の外部電力を前記電歪型振動子に直接供給し、前記電歪型振動子が、供給された外部電力を正弦波の機械的な振動に変換して前記リングブレードに伝え、前記リングブレードに含まれる金属が前記機械的な振動によって振動して、前記ダイヤモンド粒子が振動して前記対象物を切断するステップを含む。
【0010】
本願発明の第5の側面は、第4の側面の切断方法であって、前記モータが前記直結回転体を回転させるときにリングブレードに冷却液を供給する冷却液供給器を備える。
【0011】
本願発明の第6の側面は、第4又は第5の側面の切断方法であって、前記発振器の出力は、100ワット以上である。
【発明の効果】
【0012】
本願発明の各側面によれば、第1ブースター及び第2ブースターがブレード用ホーンを挟んで保持することによりリングブレードの剛性を高めるとともに、第1接点電極及び第2接点電極が、発振器が出力した正弦波の外部電力を電歪型振動子に直接供給することによりリングブレードにおける振動がきれいな波形となり、リングブレードにおける振動によるダイヤモンド粒子の振動に規則性を含ませることができ、高度な加工を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本願発明の実施の形態に係る切断装置1の構造の一例を説明するための断面図である。
【
図2】
図1の切断装置1を実際に作成したものの外装を示す。
【
図3】外部電力の電圧の正弦波(サイン波形)(ラインL
1)と、リングブレード11における振動の振幅(ラインL
2)を示すものである。
【
図4】
図1の切断装置1によって直径6インチのSiCウエハーを□3mmに切断したものの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本願発明の実施例について述べる。なお、本願発明の実施の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例0015】
図1は、本願発明の実施の形態に係る切断装置1の構造の一例を説明するための断面図である。
【0016】
図1を参照して、切断装置1は、モータ3と、電歪型振動子5と、第1ブースター7と、第2ブースター9と、リングブレード11と、ブレード用ホーン13と、第1接点電極15と、第2接点電極17と、冷却液供給器27と、発振器29を備える。
【0017】
使用する切断ブレードは、リングブレード11及びブレード用ホーン13により形成する。ここで、リングブレード11及びブレード用ホーン13は、ブレード用ホーン13の外周にリングブレード11を固定する。リングブレード11の外周側から一部又は全部は、ブレード用ホーン13の外周よりも越えた状態である。リングブレード11は、振動の減衰を抑えるために接着剤の厚みが0~50μmの薄い接着層で貼り付ける。接着層は、振動エネルギーでは剥がれないものである。なお、音波接合による合金化により固定してもよい。
【0018】
リングブレード11は、平らなリング状のブレードである。例えば、2つの半径の異なる同心円によって囲まれた形状で、平らで、外周に刃が形成されたものである。リングブレード11は、例えば、金属とダイヤモンド粒子を含む金属ブレードである。金属ブレードは、例えば、メタルブレード、電鋳ブレードである。メタルブレードは、金属粉とダイヤモンド粒子を混ぜて高圧高温で焼結して作成される金属ブレードである。電鋳ブレードは、ニッケルメッキ液中にダイヤモンド粒子を混入して作成される金属ブレードである。
【0019】
ブレード用ホーン13は、外周が、中心軸を中心とする円形である。ブレード用ホーン13は、モータ3の回転によって中心軸を中心に回転する。
【0020】
第1ブースター7及び第2ブースター9は、振動体(ブースター)であって、ブレード用ホーン13を中心軸の両側から支える。
【0021】
電歪型振動子5は、第1ブースター7に連結する。電歪型振動子5は、例えば、誘導体(絶縁体の液体、等方性の固体)に電場を加えたとき、電場の2乗に比例するひずみを生ずる現象(電気ひずみ)を利用し、電気振動を機械的振動に変換するために用いられる素子を利用するものである。電歪型振動子5は、例えばPZT振動子である。振動子には、一般に、電歪型と磁歪型がある。電歪型振動子5は、電歪型の振動子である。
【0022】
発振器29は、正弦波(サイン波形)の外部電力を発生する。発振器29は、例えば、100ワット(Watt)以上(例えば、100ワット以上1200ワット以下、など)の大出力で、デジタル制御である。
【0023】
第1接点電極15及び第2接点電極17は、金属と金属の直接コンタクトにより、発振器29が発生した外部電力を電歪型振動子5に直接供給する。すなわち、第1接点電極15及び第2接点電極17の一方の端は、覆体などを経由せずに、直接、電歪型振動子5に接触して電気的に接続している。
図1では、第1接点電極15の他方の端は、スピンドルの軸に位置する個所に供給された外部電力の正極に接続する。第2接点電極17の他方の端は、スピンドルの軸の周りに位置する個所に供給された外部電力の負極に接続する。
【0024】
第2ブースター9、ブレード用ホーン13、リングブレード11、第1ブースター7、電歪型振動子5、第1接点電極15及び第2接点電極17は、結合して一体のものとして回転できる直結回転体である。直結回転体は、モータ3で回転し、例えば、1rpm以上12000rpm以下である。第1内装19は、第1ブースター7、電歪型振動子5、第1接点電極15及び第2接点電極17を含む。第1内装19は、第1外装23に覆われ、第1外装23内で回転できる状態で支持されている。第2内装21は、第2ブースター9を含む。第2内装21は、第2外装25に覆われ、第2外装25内で回転できる状態で支持されている。第1ブースター7、電歪型振動子5、第1接点電極15及び第2接点電極17は、外装に覆われて支持され、回転する。第1ブースター7及び第2ブースター9は、振動体(ブースター)であって、ブレード用ホーン13を両側から支えることにより切断ブレードの剛性を維持する。
【0025】
少なくとも、リングブレード11による切断処理が行われるとき、冷却液供給器27は、リングブレード11に対して、水などの冷却液を供給する。切断中、リングブレード11は、冷却液で冷やされ、かつ、音波振動又は超音波振動による効果と洗浄効果で焼き付きが発生しないことで、構成刃先がなく切断することができる。さらに、自生発刃によるダイヤモンド粒子の脱粒と摩耗低減効果で、ダイヤモンド粒子を時間を掛けて最後まで利用できるようになり、ブレードの使用距離が延びる長寿命化に繋げることができる。
【0026】
電歪型振動子5は、第1接点電極15及び第2接点電極17から直接供給された電気振動を機械的振動に変換して、切断ブレードが使用する音波振動又は超音波振動を生成する。電歪型振動子5が生成した機械的振動は、第1ブースター7及びブレード用ホーン13を経由してリングブレード11に伝わる。発明者は、発振器が発振した周波数10~50kHzの電気振動について、電歪型振動子5が機械的振動に変換して音波振動・超音波振動の音エネルギーとし、リングブレード11がこの音エネルギーと共振して切断を実現できることを確認した。
【0027】
ブレード用ホーン13は、電歪型振動子5により生成された音波振動(20kHz未満の振動)又は超音波振動(20kHz以上の振動)に共振する。リングブレード11は、ブレード用ホーン13が音波振動又は超音波振動に共振したときに、音波振動とも超音波振動とも共振できる。そのため、音波振動又は超音波振動は、ブレード用ホーン13によってリングブレード11に伝わる。特に、リングブレード11とブレード用ホーン13は、接着剤による一体化及び/又は音波接合による合金化により固定することにより、金属間のつながり強度と密度から、リングブレード11は音波振動又は超音波振動と共振し、音エネルギーの伝達効率がほぼ100%となる。これによって、リングブレード11に含まれるダイヤモンド粒子は、無機質(SiC、セラミックスを含む。)、金属、プラスチック等の対象物を切断することができる。
【0028】
図1の切断装置1では、発振器29の綺麗な正弦波出力を電歪型振動子5に直接給電する。直結回転体を構成して、両支持構造のスピンドル構造によってリングブレード11の剛性を維持する。リングブレード11に含まれるダイヤモンド粒子は、一見すると運動のベクトル(特に振動振幅の加速度と方向)がランダムなものとなるが、与えられる信号がきれいな正弦波の波形であるために、ランダムの中にも規則性があるもの(いわば「カオス運動」と称すべきもの)に変化した。その結果として、振動で破壊されやすいSiC、ガラスなどの無機質、セラミックスへのダメージが抑えられて、規則的でチッピングが細かい綺麗な切断が可能となった。このように、直接連結及び直接給電、かつ、両支持構造のスピンドル構造が、切断が困難だったSiC、金属、セラミックス、樹脂等、さらに、これらの複合素材の切断を可能とした。この切断は、例えば、回転数1rpm以上12000rpm以下の範囲で可能であった。音波振動又は超音波振動が伝達共振できるのは、リングブレードが金属ブレードであり、例えば、メタルブレード、電鋳ブレード(ニッケル電鋳ブレードなど)などである。
【0029】
これらの構成によって、切断スピードが格段に速くなった。例えば切断が困難な厚みが0.35mmのSiCウエハーを20mm/sec以上のスピードで切断することが可能となった。
【0030】
さらに、ブレードの耐磨耗性が大幅に向上した。例えば切断が困難な厚みが0.35mmで直径6インチのSiCウエハーを、□3mmのワンパス切断において磨耗量が約30μmであった。
【0031】
さらに、切断中のショックが和らぎ、ブレードの偏心による片当たりが発生しても綺麗な切断が可能となった。結果として切断事前及び切断中のブレードのドレスプロセスが不要となった。
【0032】
図2は、
図1の切断装置1を実際に作成したものの外装を示す。
【0033】
図3は、外部電力の電圧の正弦波(サイン波形)(ラインL
1)と、リングブレード11における振動の振幅(ラインL
2)を示すものである。
図3に示すように、第1接点電極15及び第2接点電極17が外部電力を電歪型振動子5に直接供給することにより、リングブレード11における振動の振幅は、外部電力の電圧のサイン波形とほぼ同じ形状のサイン波形を描くものとなる。
【0034】
図4は、
図1の切断装置1によって直径6インチのSiCウエハーを□3mm(一辺が3mmの正方形)に切断したものの拡大図である。
【0035】
音波振動も超音波振動も印加せずに、厚みが0.35mmで直径6インチのSiCウエハーのカット切断を試みた場合、アルミホーンにNiをメッキした電鋳ブレード、レジンブレード、メタルブレードを回転数10000rpmで切断を試みたが、全てのブレードが破壊されて全く切断できなかった。
【0036】
リングブレード11としてメタルブレードを使用し、音波振動又は超音波振動を印加した場合について説明する。メタルブレードは、回転しながら振動する。振動は、メタルブレードに含まれる数μm~数十μmのダイヤモンドの粒子に伝わる。切断装置1の図示を省略する水平送り機構で、SiCウエハーに当たるメタルブレードは水で冷却されてかつ振動の効果で構成刃先がなくなって、SiCウエハーを切断する。さらに自生発刃によるダイヤモンド粒子の脱粒と磨耗が少なく最後まで利用できる。
【0037】
例えば、厚みが0.35mmのSiCウエハーを□3mmに切断する場合の条件は、スピンドル回転数が10000rpm、切断スピードが20mm/sec、音波又は超音波の機械振動の振動振幅が3μm、供給される冷却水量が2.5l/minであった。
図4に示すように、SiCウエハーへのダメージや破壊がなく、小さなチッピングで綺麗に切断することができた。