(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007074
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】油圧ユニット
(51)【国際特許分類】
F04B 49/06 20060101AFI20240111BHJP
【FI】
F04B49/06 321Z
F04B49/06 321A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108267
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】丸山 章
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 優
【テーマコード(参考)】
3H145
【Fターム(参考)】
3H145AA04
3H145AA24
3H145AA33
3H145AA42
3H145BA19
3H145BA20
3H145CA03
3H145CA06
3H145DA05
3H145DA48
3H145EA13
3H145EA17
3H145EA38
(57)【要約】
【課題】モータの最大トルクや最大回転数を超えず、指定された圧力および流量を確実に発生させることができる油圧ユニットを提供する。
【解決手段】油圧ユニット100は、油圧ポンプ102と、油圧ポンプのポンプ容量を変化させる電磁比例弁114と、油圧ポンプを駆動するモータ104と、油圧ポンプの吐出圧Pを測定する圧力センサ116、118と、油圧シリンダ106と、吐出圧Pに応じてモータの許容トルクτmaxおよび最大ポンプ容量qmaxを超えないようにポンプ容量qを計算するポンプ容量計算部130と、吐出圧Pに応じて目標圧力Pdを達成する圧力制御流量Qpを計算する圧力計算部132と、目標流量Qdと圧力制御流量Qpと最大流量Qmaxのうち最も小さい流量を指令流量Qrとする指令流量計算部134と、指令流量Qrとポンプ容量qに基づいてモータの指令回転数Nを計算する回転数計算部138とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変容量型の油圧ポンプと、
前記油圧ポンプのポンプ容量を変化させる電磁比例弁と、
前記油圧ポンプを駆動するインバータ駆動式のモータと、
前記油圧ポンプの吐出圧Pを測定可能な圧力センサと、
前記油圧ポンプにより駆動される油圧アクチュエータと、
前記電磁比例弁および前記モータへの指令を出力し、目標圧力Pdおよび目標流量Qdを入力可能な油圧コントローラとを備え、
前記油圧コントローラは、
前記吐出圧Pに応じて、前記モータの許容トルクτmaxおよび最大ポンプ容量qmaxを超えないように、前記ポンプ容量を計算するポンプ容量計算部と、
前記吐出圧Pに応じて、前記目標圧力Pdを達成するための圧力制御流量Qpを計算する圧力計算部と、
前記目標流量Qdと、前記圧力制御流量Qpと、前記油圧ポンプが吐出可能な最大流量Qmaxとのうち、最も小さい流量を指令流量Qrとして選択する指令流量計算部と、
前記指令流量Qrと前記ポンプ容量qとに基づいて、前記モータの指令回転数Nを計算する回転数計算部とを備えることを特徴とする油圧ユニット。
【請求項2】
前記指令流量計算部は、前記目標流量Qdが入力されない場合、前記目標流量Qdを無限大とみなして、前記圧力制御流量Qpと前記最大流量Qmaxとのうち、小さい方の流量を指令流量Qrとして選択し、
前記回転数計算部は、選択された前記指令流量Qrを達成するように、前記モータの指令回転数Nを計算することを特徴とする請求項1に記載の油圧ユニット。
【請求項3】
前記指令流量計算部は、前記目標圧力Pdが入力されない場合、前記圧力制御流量Qpを無限大とみなして、前記目標流量Qdと前記最大流量Qmaxとのうち、小さい方の流量を指令流量Qrとして選択し、
前記回転数計算部は、選択された前記指令流量Qrを達成するように、前記モータの指令回転数Nを計算することを特徴とする請求項1に記載の油圧ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧、空圧や水圧などの流体の圧力や流量を駆動源とする油空水圧装置の圧力流体を供給する可変容量型のポンプと、ポンプを駆動するインバータ駆動式のモータとを備える油圧ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ユニットは、作動油の圧力調整や流量調整を行うことで各種作業を行うものであり、油圧ポンプと、油圧ポンプを駆動するインバータ駆動式のモータとを備える。油圧ポンプが可変容量型である場合には、モータによって1回転するごとの作動油の吐出量、すなわちポンプ容量を外部からの電気信号で変化させることができる。インバータ駆動式のモータは、回転数を変化させることが可能である。
【0003】
油圧ユニットは、モータによって油圧ポンプを駆動し、モータの回転数を変化させることで油圧ポンプから吐出される作動油の圧力や流量を制御することにより、油圧シリンダや油圧モータなどの油圧アクチュエータを駆動する。
【0004】
特許文献1には、吐出流量制御装置が記載されている。吐出流量制御装置は、可変容量型の液圧ポンプと、液圧ポンプを駆動する電動機(モータ)と、液圧ポンプおよび電動機を制御する電子制御回路とを備える。特許文献1では、誘導電動機を採用することを目的とし、誘導電動機の回転速度の追従の遅れに応じて液圧ポンプの吐出流量を大きくすることにより、吐出流量の応答性の低下を防止できるとしている。
【0005】
特許文献2には、インバータ駆動油圧装置が記載されている。インバータ駆動油圧装置は、斜板式可変容量形のピストンポンプと、可変速モータと、インバータ制御装置と、圧力センサと、コントローラとを備える。ピストンポンプには圧力調整機構が内蔵されている。
【0006】
特許文献2のインバータ駆動油圧装置では、圧力調整機構の圧力がカットオフ開始圧力より低い場合には「吐出圧力-回転数」の関係からモータの回転数を算出し、圧力調整機構の圧力がカットオフ開始圧力より高い場合には「トルク-回転数」の関係から回転数を算出し、回転数出力を切り換えてモータを駆動している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-195164号公報
【特許文献2】特開2019-183944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし特許文献1に記載の吐出流量制御装置では、吐出流量を流量指令に追従させるために誘導電動機の回転速度を最大限に上げるために、モータの出力が過剰に大きくなってしまう。特許文献2に記載のインバータ駆動油圧装置では、可変容量ポンプに内蔵された圧力調整機構によって、油圧の増加に応じてポンプ容量を減少させる。したがって、モータの最大トルクを超えないように圧力調整機構を調整する必要がある。
【0009】
このように特許文献1、2は、モータの最大トルクや最大回転数を超えないようにすることは可能であるものの、安全性を考慮して、本来は出力可能であった圧力や流量より余裕を見て(安全率を大きく取って)制限する必要があった。また、指定された圧力や流量を正確に出力することも困難であるという問題があった。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑み、モータの最大トルクや最大回転数を超えず、指定された圧力および流量を確実に発生させることができる油圧ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明にかかる油圧ユニットの代表的な構成は、可変容量型の油圧ポンプと、油圧ポンプのポンプ容量を変化させる電磁比例弁と、油圧ポンプを駆動するインバータ駆動式のモータと、油圧ポンプの吐出圧Pを測定可能な圧力センサと、油圧ポンプにより駆動される油圧アクチュエータと、電磁比例弁およびモータへの指令を出力し、目標圧力Pdおよび目標流量Qdを入力可能な油圧コントローラとを備え、油圧コントローラは、吐出圧Pに応じて、モータの許容トルクτmaxおよび最大ポンプ容量qmaxを超えないように、ポンプ容量qを計算するポンプ容量計算部と、吐出圧Pに応じて、目標圧力Pdを達成するための圧力制御流量Qpを計算する圧力計算部と、目標流量Qdと、圧力制御流量Qpと、油圧ポンプが吐出可能な最大流量Qmaxとのうち、最も小さい流量を指令流量Qrとして選択する指令流量計算部と、指令流量Qrとポンプ容量qとに基づいて、モータの指令回転数Nを計算する回転数計算部とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記構成では、油圧コントローラは、入力された目標流量Qd、目標圧力Pdを達成するための圧力制御流量Qp、油圧ポンプが吐出可能な最大流量Qmaxのうち、最も小さい流量を指令流量Qrとして選択し、選択された指令流量Qrを達成するようにモータの指令回転数Nを計算する。そしてモータは、指令回転数Nで駆動される。これにより、モータの最大トルク(許容トルク)を発揮しつつ、最大トルクや最大回転数を超えることなく、指令された圧力および流量を確実に発生させることができる。
【0013】
上記の指令流量計算部は、目標流量Qdが入力されない場合、目標流量Qdを無限大とみなして、圧力制御流量Qpと最大流量Qmaxとのうち、小さい方の流量を指令流量Qrとして選択し、回転数計算部は、選択された指令流量Qrを達成するように、モータの指令回転数Nを計算するとよい。
【0014】
これにより、目標流量Qdが入力されない場合、圧力制御流量Qpと最大流量Qmaxの小さい方の流量を達成するように、モータの指令回転数Nを計算し、小さい方の流量を発生させることができる。このため、目標流量Qdが入力されない場合であっても、圧力制御流量Qpが最大流量Qmaxよりも小さければ、圧力制御流量Qpを発生させることで、目標圧力Pdを達成することができる。
【0015】
上記の指令流量計算部は、目標圧力Pdが入力されない場合、圧力制御流量Qpを無限大とみなして、目標流量Qdと最大流量Qmaxとのうち、小さい方の流量を指令流量Qrとして選択し、回転数計算部は、選択された指令流量Qrを達成するように、モータの指令回転数Nを計算するとよい。
【0016】
これにより、目標圧力Pdが入力されない場合、目標流量Qdと最大流量Qmaxの小さい方の流量を達成するように、モータの指令回転数Nを計算し、小さい方の流量を発生させることができる。このため、目標圧力Pdが入力されない場合であっても、目標流量Qdが最大流量Qmaxよりも小さければ、目標流量Qdを達成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、モータの最大トルクや最大回転数を超えず、指定された圧力および流量を確実に発生させることができる油圧ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】本発明の実施形態における油圧ユニットを説明する図である。
【
図3】
図2の油圧ユニットの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0020】
図1は、油圧の定馬力曲線を示す図である。以下、可変容量型の油圧ポンプと、油圧ポンプを駆動するインバータ駆動式のモータとを備えた一般的な油圧ユニットに適用される、油圧の定馬力曲線を導出する過程を説明する。
【0021】
まず、可変容量型の油圧ポンプから出力されるエネルギーEpは、以下の式(1)に示すように、油圧ポンプが発生可能な流量Qおよび圧力Pの積となる。
Ep=PQ (1)
【0022】
つぎに、インバータ駆動式のモータが発生させ、油圧ポンプを駆動したエネルギーEmは、以下の式(2)に示すように、モータの発生トルクτと回転数Nの積に効率ηを乗じたものである。
Em=τN×η (2)
【0023】
そしてエネルギー保存則より、Em=Epであるため、以下の式(3)が成立する。
τN×η=PQ (3)
【0024】
さらにモータが発生可能な最大トルク(許容トルク)をτmax、最大回転数をNmaxとし、これらを上記の式(3)に代入すると、油圧ポンプの圧力Pは、以下の式(4)で示される。
P=(τmaxNmax×η)/Q (4)
【0025】
この式(4)に示すP-Qの曲線が、
図1に示す油圧の定馬力曲線である。本発明では、油圧ユニットにおいて、定馬力曲線を考慮しつつ、モータの最大トルク(許容トルク)や最大回転数を超えず、指定された圧力および流量を確実に発生させることができる構成を採用した。以下、具体的に説明する。
【0026】
図2は、本発明の実施形態における油圧ユニット100を説明する図である。油圧ユニット100は、可変容量型の油圧ポンプ102と、油圧ポンプ102を駆動するインバータ駆動式のモータ104と、油圧ポンプ102により駆動される油圧アクチュエータとしての油圧シリンダ106とを備える。油圧シリンダ106は、ポート108に作動油が供給されると、ロッド110が押し出され、ポート112に作動油が供給されると、ロッド110が戻されるように駆動する。
【0027】
油圧ユニット100はさらに、電磁比例弁114と、圧力センサ116、118と、モータコントローラ120と、電磁比例弁114を駆動するアンプ122と、油圧コントローラ124とを備える。電磁比例弁114は、アンプ122から出力されるソレノイド電流に応じた制御圧力を生成し、油圧ポンプ102のポンプ容量を変化させる。
【0028】
圧力センサ116、118は、ポート108、112に接続される油圧ポンプ102の油路126、128にそれぞれ取り付けられていて、油圧ポンプ102の吐出圧Pを測定可能となっている。モータコントローラ120は、モータ104の回転数を制御する。
【0029】
油圧コントローラ124は、ポンプ容量計算部130と、圧力計算部132と、指令流量計算部134と、記憶部136と、回転数計算部138とを備える。油圧コントローラ124は、電磁比例弁114およびモータ104への指令を出力し、指令された圧力である目標圧力Pdおよび指令された流量である目標流量Qdが入力可能となっている。さらに油圧コントローラ124には、作動油の流れる方向に合わせて圧力センサ116、118のいずれかの測定値である吐出圧Pが入力される。
【0030】
図3は、
図2の油圧ユニット100の動作を示すフローチャートである。油圧ユニット100では、まず、ポンプ容量計算部130が、以下の式(5)に示すように、油圧ポンプ102の吐出圧Pと、油圧ポンプ102の効率ηと、モータ104の許容トルクτmaxとに基づいて、ポンプ容量qτを計算する(ステップS100)。なおポンプ容量qτは、モータ104によって1回転するごとの作動油の吐出量である。
qτ=(τmax×η)/P (5)
【0031】
ポンプ容量qτは、式(5)に示すように吐出圧Pに反比例している。このため、ポンプ容量計算部130は、吐出圧Pに応じて、モータ104の許容トルクτmaxを超えないように、定馬力曲線(
図1参照)に則って、ポンプ容量qτを計算していることになる。
【0032】
またポンプ容量qτは、吐出圧Pが小さくなるに従い、急激に大きくなる。しかしポンプ容量qτの上限は、油圧ポンプ102の構造により制限され、その最大値が最大ポンプ容量qmaxとされる。この最大ポンプ容量qmaxは、記憶部136に記憶されている。
【0033】
さらにポンプ容量計算部130は、記憶部136から最大ポンプ容量qmaxを読み出し、ポンプ容量qτと最大ポンプ容量qmaxとのうち、小さい方を指令ポンプ容量qとして選択する(ステップS102)。なお指令ポンプ容量qは、通常はポンプ容量qτと同義であるが、ポンプ容量qτが最大ポンプ容量qmaxを超える場合にはあらかじめ最大ポンプ容量qmaxにクロップした値である。
【0034】
このようにして、ポンプ容量計算部130は、吐出圧Pに応じて、許容トルクτmaxおよび最大ポンプ容量qmaxを超えないように、指令ポンプ容量qを計算する。
【0035】
そしてポンプ容量計算部130は、指令ポンプ容量qになるように、
図2に示すアンプ122を介して、電磁比例弁114にソレノイド電流を印加する。電磁比例弁114は、ソレノイド電流に応じた制御圧力を生成し、油圧ポンプ102の指令ポンプ容量qを達成する。
【0036】
さらにポンプ容量計算部130は、指令ポンプ容量qに応じた電気信号を回転数計算部138に出力する。
【0037】
つぎに油圧ユニット100では、油圧シリンダ106に負荷がある場合(ステップS104、Yes)、圧力計算部132が、以下の式(6)に示すようにフィードバック構造を利用して、目標圧力Pdと吐出圧Pとの差異を比例微分積分制御で圧力制御流量Qpを計算し、これを指令流量計算部134に出力する(ステップS106)。つまり、圧力計算部132は、吐出圧Pに応じて、目標圧力Pdを達成するための圧力制御流量Qpを計算している。
【数1】
【0038】
記憶部136は、油圧ポンプ102の最大ポンプ容量qmaxに加え、モータ104の回転数の上限である最大回転数Nmaxと、油圧ポンプ102が吐出可能な最大流量Qmaxとを記憶している。最大流量Qmaxは、以下の式(7)に示すように、最大ポンプ容量qmaxと最大回転数Nmaxとの積となる。
Qmax=qmax×Nmax (7)
【0039】
続いて指令流量計算部134は、記憶部136から最大流量Qmaxを読み出し、以下の式(8)に示すように、入力された目標流量Qdと、圧力制御流量Qpと、最大流量Qmaxとのうち、最も小さい流量を指令流量Qrとして選択する(ステップS108)。さらに指令流量計算部134は、指令流量Qrを回転数計算部138に出力する。
Qr=min(Qp,Qd,Qmax) (8)
【0040】
一方、ステップS104で油圧シリンダ106に負荷がない場合(No)、指令流量計算部134は、目標流量Qdと最大流量Qmaxとのうち、小さい方を指令流量Qrとして選択する(ステップS110)。
【0041】
ここで、ステップS108、110で選択された指令流量Qrを達成するためには、指令流量Qrと、指令ポンプ容量qと、モータ104の指令回転数Nとに基づく以下の式(9)が成立する必要がある。
Qr=q×N (9)
【0042】
そこで回転数計算部138は、式(9)を変形した以下の式(10)に示すように、指令流量Qrを指令ポンプ容量qで達成するモータ104の指令回転数Nを計算し、これをモータコントローラ120に出力する(ステップS112)。そしてモータコントローラ120は、指令流量Qrを達成するように、モータ104を指令回転数Nで駆動する(ステップS114)。
N=Qr/q (10)
【0043】
このように油圧ユニット100では、油圧シリンダ106に負荷がある場合、目標圧力Pdを達成するための制御を行い、油圧シリンダ106に負荷がない場合、目標流量Qdを達成するための制御を行う。これにより、油圧ユニット100によれば、モータ104の許容トルクτmaxを発揮しつつ、許容トルクτmaxや最大回転数Nmaxを超えることなく、目標圧力Pdおよび目標流量Qdを確実に発生させることができる。
【0044】
また油圧ユニット100では、吐出圧Pに応じてポンプ容量qτを連続的に変化させることで、モータ104の発生トルクを、許容トルクτmaxを超えないように抑制することができる。また、ポンプ容量qτを極端に制限することがないため、発生トルクを過剰に抑制せずに、目標流量Qdや目標圧力Pdを発生させることができる。さらにモータ104の回転数による制御を行うため、目標流量Qdや目標圧力Pdを高い精度で達成することができ、さらに応答性も良い。
【0045】
さらに油圧ユニット100において、目標流量Qdが入力されない場合、指令流量計算部134は、上記の式(8)で目標流量Qdを無限大とみなして(Qd=∞)、圧力制御流量Qpと最大流量Qmaxの小さい方を指令流量Qrとして選択する。
【0046】
したがって油圧ユニット100は、目標流量Qdが入力されない場合であっても、モータ104が指令流量Qrを達成する指令回転数Nで駆動されることにより、圧力制御流量Qpが最大流量Qmaxよりも小さければ、圧力制御流量Qpを発生させることで、目標圧力Pdを達成することができる。
【0047】
さらに油圧ユニット100において、目標圧力Pdが入力されない場合、上記の式(6)で圧力制御流量Qpが定まらないため、指令流量計算部134は、上記の式(8)で圧力制御流量Qpを無限大とみなして(Qp=∞)、目標流量Qdと最大流量Qmaxの小さい方を指令流量Qrとして選択する。
【0048】
したがって油圧ユニット100は、目標圧力Pdが入力されない場合であっても、モータ104が指令流量Qrを達成する指令回転数Nで駆動されることにより、目標流量Qdが最大流量Qmaxよりも小さければ、目標流量Qdを達成することができる。
【0049】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、油圧、空圧や水圧などの流体の圧力や流量を駆動源とする油空水圧装置の圧力流体を供給する可変容量型のポンプと、ポンプを駆動するインバータ駆動式のモータとを備える油圧ユニットとして利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
100…油圧ユニット、102…油圧ポンプ、104…モータ、106…油圧シリンダ、108、112…ポート、110…ロッド、114…電磁比例弁、116、118…圧力センサ、120…モータコントローラ、122…アンプ、124…油圧コントローラ、126、128…油路、130…ポンプ容量計算部、132…圧力計算部、134…指令流量計算部、136…記憶部、138…回転数計算部