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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070746
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】リッド開閉装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
B60K15/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181455
(22)【出願日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】代田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 和輝
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA33
3D038CB01
3D038CC16
3D038CD14
3D038CD19
(57)【要約】
【課題】リッドを開位置で安定してリッドボックスに対して位置固定すること。
【解決手段】リッド開閉装置は、開口部が設けられたリッドボックスと、開口部を開閉するリッドと、リッドを開閉動作させる開閉機構と、を備える。開閉機構は、リッドボックスとリッドとの間に介在するリンクを有する。リンクは、主アーム一端部でリッドボックスに回動可能に支持されかつ主アーム他端部でリッドに回動可能に支持され、外部から付与される開閉駆動力をリッドに伝達する主アームと、主アームの回動に連動した回動によりリッドの開閉動作時の姿勢を所定姿勢に保つように規制する補助アームと、を有する。主アームは、主アーム他端部側の回動軸に平行な方向に延在し、リッドの開位置でリッドの裏面側のリッド側規制部に当接して主アームの開側への回動を規制するアーム側規制部を有する。アーム側規制部の軸方向長さは、主アーム一端部の軸方向長さに比して長い。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が設けられたリッドボックスと、
前記開口部を閉じる閉位置と前記開口部を開放する開位置との間で開閉動作するリッドと、
前記リッドボックスに対して前記リッドを開閉動作させる開閉機構と、
を備え、
前記開閉機構は、前記リッドボックスと前記リッドとの間に介在するリンクを有し、
前記リンクは、
主アーム一端部で前記リッドボックスに回動可能に支持されかつ主アーム他端部で前記リッドに回動可能に支持され、外部から付与される開閉駆動力を前記リッドに伝達する主アームと、
補助アーム一端部で前記リッドボックスに回動可能に支持されかつ補助アーム他端部で前記リッドに回動可能に支持され、前記主アームの回動に連動した回動により前記リッドの開閉動作時の姿勢を所定姿勢に保つように規制する補助アームと、
を有し、
前記主アームは、前記主アーム他端部に設けられ、前記主アーム他端部側の回動軸に平行な方向に延在し、前記リッドの前記開位置で前記リッドの裏面側に当接して前記主アームの開側への回動を規制するアーム側規制部を有し、
前記リッドは、裏面側に設けられ、前記リッドの前記開位置で前記アーム側規制部に当接して前記主アームの開側への回動を規制するリッド側規制部を有し、
前記アーム側規制部の軸方向長さは、前記主アーム一端部の軸方向長さに比して長い、リッド開閉装置。
【請求項2】
前記アーム側規制部と前記リッド側規制部とは、互いの当接時に面接触する、請求項1に記載されたリッド開閉装置。
【請求項3】
前記リッドボックスは、
前記主アーム一端部側の回動軸に平行な方向における軸方向両端間の幅が該平行な方向に直交する方向における直交方向位置に応じて変化する形状に形成されており、
一般部に比して前記幅が狭い幅狭部を有し、
前記主アームは、前記リッドボックスに前記幅狭部にて回動可能に支持されている、請求項1に記載されたリッド開閉装置。
【請求項4】
前記開閉機構は、前記開閉駆動力を発生する電動アクチュエータを有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載されたリッド開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リッドボックスの開口部を開閉するリッドを開閉動作させることが可能なリッド開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両に搭載され、リッドを用いてリッドボックスの開口部を開閉するリッド開閉装置が知られている(例えば、特許文献1)。リッドボックスは、車体に取り付けられ車両の充電口や給油口などを露出させる基材である。また、リッドは、リッドボックスの開口部を閉じる閉位置とその開口部を開く開位置との間で開閉動作する蓋材である。リッドの開閉動作は、開閉機構により実現される。
【0003】
上記の特許文献1記載のリッド開閉装置において、開閉機構は、リッドボックスとリッドとの間に介在するリンクを有している。リンクは、リッドボックスとリッドとの間で互いに平行に延びる二つのアームを有している。各アームは、リッドボックスに回動可能に支持されていると共に、リッドに回動可能に支持されている。一方のアームは、付与される動力により回動してリッドに開閉駆動力を伝達する。他方のアームは、一方のアームの回動に連動して回動してリッドの開閉動作時の姿勢を開口部に対して平行に保つように規制する。これらの各アームは、アーム中央の板面部から軸方向に二股に分かれつつそれぞれアーム長手方向に延びる二股部を有しており、二股部の各先端部でリッドに支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0375630号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、リッドの開位置でリッドを安定して位置固定させるためには、リッドを開位置から更に開動作させるのを規制することが重要である。そして、その規制を行う手法としては、リッドが開位置に達した際に開閉機構のアームのアーム長手方向両端部のうちリッド側の端部をリッドの裏面側に当接させることが考えられる。
【0006】
しかしながら、上記の如くアームのアーム長手方向端部が二股に分かれている構造では、アームのうちリッドの裏面側に当接する箇所が二股部のリッド側の先端部に限られ、リッド開位置でアームとリッドとが互いに当接する領域が狭くなるので、リッドの開位置での位置固定が不安定になるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、リッドを開位置で安定してリッドボックスに対して位置固定することが可能なリッド開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、開口部が設けられたリッドボックスと、前記開口部を閉じる閉位置と前記開口部を開放する開位置との間で開閉動作するリッドと、前記リッドボックスに対して前記リッドを開閉動作させる開閉機構と、を備え、前記開閉機構は、前記リッドボックスと前記リッドとの間に介在するリンクを有し、前記リンクは、主アーム一端部で前記リッドボックスに回動可能に支持されかつ主アーム他端部で前記リッドに回動可能に支持され、外部から付与される開閉駆動力を前記リッドに伝達する主アームと、補助アーム一端部で前記リッドボックスに回動可能に支持されかつ補助アーム他端部で前記リッドに回動可能に支持され、前記主アームの回動に連動した回動により前記リッドの開閉動作時の姿勢を所定姿勢に保つように規制する補助アームと、を有し、前記主アームは、前記主アーム他端部に設けられ、前記主アーム他端部側の回動軸に平行な方向に延在し、前記リッドの前記開位置で前記リッドの裏面側に当接して前記主アームの開側への回動を規制するアーム側規制部を有し、前記リッドは、裏面側に設けられ、前記リッドの前記開位置で前記アーム側規制部に当接して前記主アームの開側への回動を規制するリッド側規制部を有し、前記アーム側規制部の軸方向長さは、前記主アーム一端部の軸方向長さに比して長い、リッド開閉装置である。
【0009】
この構成によれば、リッドを開位置で安定してリッドボックスに対して位置固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る車両に搭載されたリッド開閉装置のリッド閉位置での正面図である。
図2】一実施形態のリッド開閉装置のリッド開位置での正面図である。
図3】一実施形態のリッド開閉装置のリッド開位置での正面斜め上方側からの斜視図である。
図4】一実施形態のリッド開閉装置のリッド開位置での背面斜め上方側からの斜視図である。
図5】一実施形態のリッド開閉装置の分解斜視図である。
図6】一実施形態のリッド開閉装置が備える開閉機構のリンクの主アームの斜視図である。
図7】一実施形態のリッド開閉装置が備える主アームの正面図である。
図8】一実施形態のリッド開閉装置のリッド開位置でのリッドとリッドボックスと主アームとの位置関係を表した断面図である。
図9図8に示す位置関係の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1図9を用いて、本発明に係るリッド開閉装置の具体的な実施形態について説明する。
【0012】
一実施形態に係るリッド開閉装置1は、リッドボックスに対してリッドを開閉動作させる装置である。
【0013】
リッド開閉装置1は、例えば、ガソリン車やディーゼル車,電気自動車,ハイブリッド自動車などの車両に搭載されており、車体側部や車体前部などの車体面2に設けられた取付孔2aに設置される。取付孔2aの奥側には、例えば車両へのエネルギ供給のための供給口(具体的には充電口や給油口など;図2参照)3が配置される。
【0014】
尚、本実施例においては、適宜、リッド開閉装置1を車両外側から見た場合を基準にして方向を示し、車両外側(手前側)と車両内側(奥側)を結ぶ方向を内外方向Xとし、車体面2に沿った横方向を左右方向Yとし、車体面2に沿った縦方向を上下方向Zとする。
【0015】
リッド開閉装置1は、図1及び図2に示す如く、リッドボックス10と、リッド20と、開閉機構30と、を備えている。リッド開閉装置1は、開閉機構30の駆動により動力をリッド20に伝達することにより、リッド20をリッドボックス10に対して開閉動作させる。
【0016】
リッドボックス10は、供給口3を収容する容器状或いは箱状のボックス部材である。リッドボックス10は、取付孔2aに嵌るように車体面2に取り付け固定されている。リッドボックス10は、底壁部11と、側壁部12と、収容空間13と、開口部14と、を有している。リッドボックス10は、奥側にて底壁部11が形成され、側壁部12が底壁部11の周縁を取り囲んで収容空間13を区画形成するように構成され、かつ手前側にて開口部14が形成された筒状の有底部材である。リッドボックス10は、樹脂などにより成形された射出成形体である。
【0017】
供給口3は、燃料タンクやバッテリなどに一端が接続する配管やケーブルの他端に設けられている。燃料タンクやバッテリは、底壁部11に設けられた貫通孔11aよりも奥側に配置されている。供給口3は、貫通孔11aよりも手前側に配置され、収容空間13に収容されている。供給口3は、リッド20の閉位置でそのリッド20の奥側に隠れる一方、リッド20の開位置で燃料供給や充電が可能となるように開口部14を介して車外に露出する。
【0018】
リッドボックス10は、枠部15を有している。枠部15は、開口部14の周縁部に沿って環状に形成されており、開口部14の周縁部から枠外方向に向けて延出するようにフランジ状に形成されている。リッドボックス10は、枠部15の裏面が車体面2の取付孔2a周縁のフランジ面などに当接することにより車体面2に位置決めされる。
【0019】
リッド20は、リッドボックス10の開口部14を開閉する蓋部材である。リッド20は、板状に形成されている。リッド20は、開口部14やその開口部14の周縁における枠部15に合わせた大きさを有している。リッド20は、リッド20の閉位置で車体面2に面一になるように開口部14を閉じる。尚、リッド20の表面は、車体面2に合わせて湾曲していてもよい。リッド20は、例えば樹脂により成形された射出成形体である。また、リッド20は、図5に示す如く、車両内側のインナ部材21と車両外側のアウタ部材とを互いに組み付けて一体化されていてよい。
【0020】
リッド20は、閉位置と開位置との間で移動する開閉動作を行うことが可能である。尚、閉位置とは、リッド20が開口部14を閉じる位置のことである。また、開位置とは、リッド20が開口部14を開放する所定位置のことである。リッド20は、リッドボックス10に対して位置移動可能に支持されている。リッド20は、開閉機構30からの動力により開閉動作することが可能である。
【0021】
開閉機構30は、リッド20をリッドボックス10に対して閉位置と開位置との間で開閉動作させる機構である。尚、開閉機構30は、例えば、モータなどのアクチュエータの発生する動力を用いてリッド20を開閉動作させる機構であってもよいし、或いは、操作者の手動操作(例えばワイヤ引っ張り操作)に伴う外力を動力として用いてリッド20を開閉動作させる機構であってもよい。更に、開閉機構30は、アクチュエータによる動力と手動操作による外力とを選択的に用いてリッド20を開閉動作させる機構であってもよい。
【0022】
また、開閉機構30は、リッド20を開動作させる開動作用動力源とリッド20を閉動作させる閉動作用動力源とを、互いに異なる種類とする機構であってもよい。例えば、リッド20を開動作させる動力源がアクチュエータであり、リッド20を閉動作させる動力源が操作者の手動操作であってもよい。また、開閉機構30は、通常時はアクチュエータを用いてリッド20を開動作させるが、アクチュエータの故障などの緊急時に操作者の手動操作でリッド20を開動作させる機構であってもよい。
【0023】
本実施形態において、開閉機構30は、図3及び図4に示す如く、電動アクチュエータ31と、操作部材32と、を有するものとする。電動アクチュエータ31は、電力が供給されることにより、リッド20を開閉動作させる動力としての開閉駆動力を発生する装置である。操作部材32は、操作者の手動操作に伴う外力を、リッド20を開動作させる動力に変換する部材である。
【0024】
電動アクチュエータ31は、所定の開スイッチがオンした場合にリッド20を閉位置から開位置まで開動作させる開駆動力を発生する。また、電動アクチュエータ31は、所定の閉スイッチがオンした場合にリッド20を開位置から閉位置まで閉動作させる閉駆動力を発生する。操作部材32は、例えば電動アクチュエータ31の故障時などの緊急時に手動操作されることによりリッド20を開動作させることが可能である。電動アクチュエータ31の発生した動力及び操作部材32の変換した動力は、後述のリンク40を介してリッド20に伝達される。
【0025】
尚、開閉機構30がリッドボックス10に対してリッド20を開閉動作させる方向は、上下方向Zでもよいし或いは左右方向Yであってもよい。本実施形態においては、開閉機構30がリッド20の開閉動作を左右方向Yに行うものとする。また、開閉機構30によりリッド20が閉位置近傍でリッドボックス10に対して移動する方向は、内外方向Xであることがリッド20の閉位置で収容空間13の密閉性を確保するうえで好ましい。
【0026】
開閉機構30は、リッド20の開閉動作時にリッド20を車体面2や開口部14に対して平行な状態に保ったまま移動させるスライド型の機構である。開閉機構30は、リッドボックス10とリッド20との間に介在するリンク40を有している。リンク40は、主アーム41と、補助アーム46と、を有している。
【0027】
主アーム41は、電動アクチュエータ31や操作部材32から動力として付与される開閉駆動力をリッド20に伝達するアーム部材である。主アーム41は、図6及び図7に示す如く、リッドボックス10とリッド20との間でアーム状に延びている。主アーム41は、T字状に形成されている。主アーム41は、図5に示す如く、アーム長手方向のリッドボックス10側に設けられた主アーム一端部41aと、アーム長手方向のリッド20側に設けられた主アーム他端部41bと、を含む。
【0028】
主アーム41は、後述のリッドボックス10の幅狭部18及びリッド20の幅狭部25に対応した形状に形成されている。例えばリッドボックス10が車体面2の傾斜に近接して配置される場合、すなわち、幅狭部18,25がリッドボックス10の上下方向Zの両端部のうち何れか一辺が傾斜する部位である場合は、主アーム41は、アーム長手方向(図7において上下に延びる方向)に直交する方向(図7において左右に延びる方向)において非対称となるように形成されている。
【0029】
具体的には、主アーム一端部41aにおけるアーム長手方向に直交する直交方向の幅の中心線と、主アーム他端部41bにおけるアーム長手方向に直交する直交方向の幅の中心線と、は互いにその直交方向に位置ズレしている。すなわち、主アーム他端部41bは、主アーム一端部41aにおけるアーム長手方向に直交する直交方向の幅の中心線を挟んでその直交方向両側に突出する長さを異にしている。尚、図7においては、主アーム他端部41bのうち左方に突出する長さが右方に突出する長さに比して長い主アーム41が示されている。
【0030】
主アーム41は、主アーム一端部41aでリッドボックス10に回動可能に支持されていると共に、主アーム他端部41bでリッド20に回動可能に支持されている。リッドボックス10に対する主アーム41の回動は、主アーム一端部41a側に設けられた回動軸(以下、ボックス側主回動軸と称す。)42を中心にして行われる。また、リッド20に対する主アーム41の回動は、主アーム他端部41b側に設けられた回動軸(以下、リッド側主回動軸と称す。)43を中心にして行われる。リッド側主回動軸43は、上記のボックス側主回動軸42に平行に延びている。
【0031】
補助アーム46は、主アーム41の回動に連動した回動によりリッド20の開閉動作時の姿勢を所定姿勢すなわち開口部14に対して平行な状態に保つように規制するアーム部材である。補助アーム46は、リッドボックス10とリッド20との間でアーム状に延びている。補助アーム46は、図5に示す如く、アーム長手方向のリッドボックス10側に設けられた補助アーム一端部46aと、アーム長手方向のリッド20側に設けられた補助アーム他端部46bと、を含む。
【0032】
補助アーム46は、補助アーム一端部46aでリッドボックス10に回動可能に支持されていると共に、補助アーム他端部46bでリッド20に回動可能に支持されている。リッドボックス10に対する補助アーム46の回動は、補助アーム一端部46a側に設けられたボックス側補助回動軸(図示せず)を中心にして行われる。このボックス側補助回動軸は、上記のボックス側主回動軸42とは径方向にズレた位置でそのボックス側主回動軸42に平行に延びている。また、リッド20に対する補助アーム46の回動は、補助アーム他端部46b側に設けられたリッド側補助回動軸(図示せず)を中心にして行われる。このリッド側補助回動軸は、上記のリッド側主回動軸43とは径方向にズレた位置でそのリッド側主回動軸43に平行に延びている。
【0033】
主アーム41の主アーム他端部41bは、リッド側主回動軸43の軸方向に延在する形状を含むように形成されている。主アーム他端部41bは、リッド側主回動軸43の軸方向に連続して延在している。尚、主アーム他端部41bは、リッド側主回動軸43の軸方向に断続的に設けられて延在していてもよい。この断続的な構造は、具体的には、主アーム一端部41a側の本体から主アーム他端部41b側にそれぞれ延びる複数の部位がリッド側主回動軸43の軸方向に並んで配置されることにより実現されてよい。
【0034】
主アーム他端部41bは、主アーム一端部41aに比して軸方向に長く延びるように形成されている。すなわち、主アーム他端部41bの、リッド側主回動軸43の延びる軸方向における長さ(すなわち、軸方向長さ)は、主アーム一端部41aの、ボックス側主回動軸42の延びる軸方向における長さ(すなわち、軸方向長さ)に比して長い。尚、主アーム他端部41bや主アーム一端部41aの軸方向長さは、主アーム他端部41bや主アーム一端部41aの軸方向両端間の長さであってよい。
【0035】
補助アーム46は、リッドボックス10とリッド20との間で主アーム41に並んで配置されている。補助アーム46は、主アーム41に対して軸方向に一部で隣接するように配置されている。尚、補助アーム46は、主アーム41を軸方向に挟んで二本設けられていてもよいし、或いは、主アーム41に対する軸方向片側に一本だけ設けられていてもよい。また、補助アーム46が二本設けられている構造では、それらの二本の補助アーム46は、互いに軸方向に連結されていてもよいし、或いは、互いに独立していてもよい。
【0036】
主アーム41は、図6図7、及び図9に示す如く、アーム側規制部44を有している。アーム側規制部44は、リッド20の開位置でリッド20(具体的には、インナ部材21)の裏面側に当接して主アーム41の開側への回動を規制する部位である。アーム側規制部44は、主アーム他端部41bに設けられている。アーム側規制部44は、主アーム他端部41b側のリッド側主回動軸43に平行な方向に延在している。
【0037】
アーム側規制部44は、主アーム他端部41bの軸方向両端間でリッド側主回動軸43の軸方向に連続して延在している。アーム側規制部44は、リッド20の裏面側との当接時に面接触するように面状に形成されている。すなわち、アーム側規制部44は、リッド側主回動軸43の軸方向とそのリッド側主回動軸43に直交する方向とを含んで広がる面を有するように形成されている。アーム側規制部44の面積は、アーム側規制部44とリッド20の裏面側との当接時における剛性を十分に確保するうえでは、例えば750平方ミリメートル以上であることが好ましい。
【0038】
アーム側規制部44は、主アーム一端部41aに比して軸方向に長く延びるように形成されている。すなわち、アーム側規制部44の、リッド側主回動軸43の延びる軸方向における長さ(すなわち、軸方向長さ)は、主アーム一端部41aの、ボックス側主回動軸42の延びる軸方向における長さ(すなわち、軸方向長さ)に比して長い。尚、アーム側規制部44の軸方向長さは、アーム側規制部44の軸方向両端間の長さであってよい。
【0039】
更に、アーム側規制部44は、図6に示す如く、リッド側主回動軸43の軸方向に連続して延在していてもよいが、リッド側主回動軸43の軸方向に断続的に設けられて延在していてもよい。すなわち、アーム側規制部44は、リッド側主回動軸43の軸方向に間隔を空けて或いは複数の規制部片が並んだ状態でリッド20の裏面側に当接するように構成されていてもよい。この構造においては、アーム側規制部44の軸方向両端間の長さのうち実際にリッド20の裏面に面接触し得る軸方向長さの合計値が占める比率は、例えば80%以上であることが好ましい。
【0040】
リッド20は、図9に示す如く、リッド側規制部24を有している。リッド側規制部24は、リッド20の開位置で主アーム41のアーム側規制部44に当接して主アーム41の開側への回動を規制する部位である。リッド側規制部24は、リッド20(具体的には、インナ部材21)の裏面側に設けられている。リッド側規制部24は、インナ部材21の裏面のうちリッド側主回動軸43に平行な方向に延在している。アーム側規制部44とリッド側規制部24とは、互いの当接時に面接触する。尚、リッド側規制部24は、アーム側規制部44との当接時の受け部として、インナ部材21の裏面からリッド当接側に突出するように形成されていてよい。
【0041】
リッドボックス10は、図1及び図5に示す如く、リッド20がリッドボックス10に対して開閉動作する左右方向Yに対して傾斜する部分を有している。すなわち、リッドボックス10は、上下方向Zの幅が左右方向Yの位置に応じて変化する形状に形成されている。上下方向Zの幅とは、左右方向Yに直交する方向の幅であって、主アーム一端部41a側のボックス側主回動軸42に平行な方向におけるリッドボックス10の軸方向両端間の幅のことである。左右方向Yの位置とは、ボックス側主回動軸42に平行な方向に直交する方向における位置のことである。
【0042】
リッドボックス10は、図1図4図5に示す如く、幅狭部18を有している。幅狭部18は、リッドボックス10の一般部19に比して上下方向Zの幅が狭い部位のことであって、上下方向Zの幅が左右方向Yの位置に応じて変化する部位(図1における左側)を指す。一般部19は、上下方向Zの幅が比較的広く、上下方向Zの幅が左右方向Yの位置に応じて変化しない部位(図1における右側)を指す。供給口3が手前に配置される貫通孔11aは、幅狭部18側ではなく、一般部19側に設けられることがその供給口3の大きさを十分に確保するうえで好ましい。
【0043】
幅狭部18は、上記の左右方向Yに対して傾斜する部分に対応している。尚、幅狭部18は、リッドボックス10の上下方向Zの両端部のうち何れの辺も傾斜する部位であってもよいが、何れか一辺が傾斜する部位であってよい。例えば、幅狭部18は、図1に示す如く、下辺がタイヤハウスに対応した車体面2の傾斜に合致して傾斜するように形成されていてよい。この場合、リッドボックス10は、幅狭部18がタイヤハウスに対応した車体面2の傾斜に近接するように配置される。
【0044】
リッド20は、図2及び図4に示す如く、幅狭部25を有している。幅狭部25は、リッドボックス10の幅狭部18に対応して設けられている。幅狭部25は、リッド20の一般部26に比して上下方向Zの幅が狭い部位のことであって、上下方向Zの幅が左右方向Yの位置に応じて変化する部位を指す。一般部26は、上下方向Zの幅が左右方向Yの位置に応じて変化しない部位を指す。リッド20は、閉位置で、一般部26が一般部19に重なり合いかつ幅狭部25が幅狭部18に重なり合うように位置する。
【0045】
主アーム41は、リッドボックス10に幅狭部18にて回動可能に支持されていると共に、リッド20に一般部26にて回動可能に支持されている。すなわち、主アーム一端部41aは、リッドボックス10の幅狭部18に配置されている。主アーム41は、主アーム一端部41aが幅狭部18の領域内に収まった状態で支持されている。主アーム他端部41bは、リッド20の一般部26に配置されている。主アーム41は、主アーム他端部41bが一般部26の領域内に収まった状態で支持されている。
【0046】
次に、リッド開閉装置1の動作について説明する。
リッド開閉装置1において、リッド20の閉位置で何ら操作が行われておらず電動アクチュエータ31が駆動されずかつ操作部材32が手動操作されないときは、電動アクチュエータ31による動力が発生せずかつ操作部材32による動力が発生しないので、リッド20は、閉位置に維持される。
【0047】
リッド20の閉位置で所定の開スイッチがオンすると、電動アクチュエータ31が、リッド20を開動作させる開駆動力を発生する。かかる開駆動力は、リンク40の主アーム41に伝達される。主アーム41に開駆動力が伝達されると、その主アーム41が正方向に回動し、その主アーム41の回動に連動して補助アーム46が正方向に回動する。主アーム41及び補助アーム46が正方向に回動すると、リッド20が閉位置から車体面2や開口部14に対して平行な状態に維持されながら開位置に向けて開動作する。このリッド20の開動作は、全開となる開位置まで継続して行われる。
【0048】
また、リッド20の開位置で所定の閉スイッチがオンすると、電動アクチュエータ31が、リッド20を閉動作させる閉駆動力を発生する。かかる閉駆動力は、リンク40の主アーム41に伝達される。主アーム41に閉駆動力が伝達されると、その主アーム41が逆方向に回動し、その主アーム41の回動に連動して補助アーム46が逆方向に回動する。主アーム41及び補助アーム46が逆方向に回動すると、リッド20が開位置から車体面2や開口部14に対して平行な状態に維持されながら閉位置に向けて閉動作する。このリッド20の閉動作は、閉位置まで継続して行われる。
【0049】
更に、操作部材32が操作者により手動操作されると、その手動操作に伴う外力がリッド20を開動作させる動力として主アーム41に伝達される。かかる動力が主アーム41に伝達されると、その主アーム41が正方向に回動かつその主アーム41の回動に連動して補助アーム46が正方向に回動することで、リッド20が閉位置から車体面2や開口部14に対して平行な状態に維持されながら開位置に向けて開動作する。
【0050】
従って、リッド開閉装置1においては、電動アクチュエータ31による動力又は操作部材32による動力をリンク40を介してリッド20に伝達して、リッド20を閉位置と開位置との間で開閉動作させることができる。
【0051】
リッド開閉装置1において、リンク40の主アーム41は、リッド20の開位置でリッド20の裏面側に当接して主アーム41の開側への回動を規制するアーム側規制部44を有している。また、リッド20は、リッド20の開位置で主アーム41のアーム側規制部44に当接して主アーム41の開側への回動を規制するアーム側規制部44を有している。主アーム41のアーム側規制部44は、主アーム41がリッド20に回動可能に支持される主アーム他端部41b側に設けられている。この構造によれば、リッド20の開位置で、主アーム41の開側への回動を規制して、リッドボックス10に対するリッド20の姿勢変化を抑えることができる。
【0052】
主アーム他端部41bは、リッド側主回動軸43に平行な方向に延在しており、その主アーム他端部41bの軸方向長さは、主アーム一端部41aの軸方向長さに比して長い。そして、上記のアーム側規制部44の軸方向長さは、主アーム41の主アーム一端部41aの軸方向長さに比して長い。この構造によれば、アーム側規制部44の軸方向長さが主アーム41の主アーム一端部41aの軸方向長さと同じ或いはその軸方向長さに比して短い対比構造に比べて、リッド20の開位置で主アーム41とリッド20とが互いに当接する領域を広げることができる。
【0053】
上記の如く主アーム41とリッド20との当接領域が広くなれば、リッド20を開位置に位置固定するうえでの剛性を確保することができ、リッド20の開位置での姿勢を安定化させることができる。従って、リッド開閉装置1によれば、リッド20を開位置で安定してリッドボックスに対して位置固定することができる。
【0054】
また、上記の如くリッド20の開位置で主アーム41がリッド20の裏面側に広い領域で当接する構造においては、主アーム41とリッド20とを互いに組み付ける際の両者の位置をその当接位置とすることで、その組み付け時の基準位置を固定させることができる。このため、主アーム41とリッド20との組み付けを容易化して、その組み付け性を向上させることができる。
【0055】
また、上記の如くリッド20の開位置で主アーム41とリッド20とが互いに当接しかつリッド20の開閉動作が電動アクチュエータ31を用いて行われる構成においては、電動アクチュエータ31によるリッド20の開動作中にそのリッド20が主アーム41に当接した際、その電動アクチュエータ31の作動を停止する制御を実行すれば、リッド20を開位置で停止させることができる。このため、電動アクチュエータ31による開動作後にリッド20を確実に所望の開位置で位置固定することができる。
【0056】
更に、上記の如くリッド20の開位置で主アーム41とリッド20とが互いに当接する構造においては、主アーム41の回動位置と、主アーム41のアーム側規制部44とリッド20のリッド側規制部24との当接タイミングとを調整することで、リッド20の開位置を調整することができる。この構造においては、リッドボックス10の構造及びそのリッドボックス10に接続する主アーム41の主アーム一端部41aの構造を変えることなく、リッド20の全開となる開位置を調整することができる。
【0057】
従って、本実施形態の構成によれば、同じリッドボックス10に、構造の異なるリッド20やリンク40の主アーム41を適用することにより、全開となる開位置の異なるリッド開閉装置1を構成することができるので、車種に合わせたリッド開閉装置1を構成するうえで部品の共通化を図ることができる。
【0058】
また、リッド開閉装置1において、リッドボックス10は、リッドボックス10の上下方向Zの両端部のうち少なくとも一辺が傾斜する幅狭部18を有し、リッド20は、その幅狭部18に対応した幅狭部18を有する。そして、主アーム41は、主アーム一端部41aがリッドボックス10の幅狭部18に配置されてその幅狭部18の領域内に収まった状態にあり、リッドボックス10に幅狭部18にて回動可能に支持される。一方、主アーム41は、主アーム他端部41bがリッド20の一般部26に配置されてその一般部26の領域内に収まった状態にあり、リッド20に一般部26にて回動可能に支持される。
【0059】
すなわち、リッド開閉装置1の設置位置に制約があって、リッドボックス10やリッド20の形状が矩形に対して切り欠かれているときにも、具体的には、リッドボックス10やリッド20が上下方向Zの両端部のうち少なくとも一辺が傾斜する形状に形成されているときにも、主アーム41が、アーム長手方向の主アーム他端部41b側が主アーム一端部41a側に比して軸方向に長くなるように形成されつつ、その主アーム一端部41aがリッドボックス10の幅狭部18側に接続されかつその主アーム他端部41bがリッド20の一般部26側に接続されるように配置される。
【0060】
この構造においては、主アーム41を主アーム一端部41aでリッドボックス10の幅狭部18に接続させつつ主アーム他端部41bでリッド20にその軸方向両端間の長さの大部分に亘って接続させることができる。このため、主アーム41がリッド20に接続される軸方向両端間の部分が狭い範囲に限定されるのを回避することができるので、リッド20とリンク40との接続を安定したものとすることができる。
【0061】
特に、リッドボックス10が、幅狭部18がタイヤハウスに対応した車体面2の傾斜に近接するように配置される構造では、主アーム41がリッド20に接続される軸方向両端間の部分が軸方向片側に偏るのを回避することができるので、リッド20とリンク40との接続の更なる安定化を図ることができる。
【0062】
尚、上記の実施形態においては、リッド側主回動軸43が特許請求の範囲に記載した「主アーム他端部側の回動軸」に、ボックス側主回動軸42が特許請求の範囲に記載した「主アーム一端部側の回動軸」に、それぞれ相当している。
【0063】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。また、本明細書は、出願当初に各請求項に記載された引用関係で示される技術思想を開示するだけでなく、各請求項に記載された事項を適宜組み合わせた技術思想を開示するものである。
【符号の説明】
【0064】
1:リッド開閉装置、10:リッドボックス、13:収容空間、14:開口部、20:リッド、24:リッド側規制部、30:開閉機構、40:リンク、41:主アーム、41a:主アーム一端部、41b:主アーム他端部、42:ボックス側主回動軸、43:リッド側主回動軸、44:アーム側規制部、46:補助アーム、46a:補助アーム一端部、46b:補助アーム他端部。
図1
図2
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図9