(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070752
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】地震時の建物診断システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/163 20240101AFI20240516BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240516BHJP
G16Y 10/80 20200101ALI20240516BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240516BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20240516BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20240516BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
G06Q50/10
G16Y10/80
G16Y20/20
G16Y40/20
G16Y40/30
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181467
(22)【出願日】2022-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000133135
【氏名又は名称】株式会社タナカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】田中 司郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 勇人
(72)【発明者】
【氏名】太田 光夫
(72)【発明者】
【氏名】吉川 芳一
(72)【発明者】
【氏名】坂野 潤
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L049CC29
5L050CC11
5L050CC29
(57)【要約】
【課題】簡易な構成により、管理建物の顧客に、顧客の要求に応じた地震による安全性に関する情報を提供することができる。
【解決手段】管理建物1の計測センサー2から計測データ(加速度情報、傾斜情報)を、計測取り込みサーバー20を介して、地震強度判定サーバー30に送る。地震強度判定サーバー30は加速度情報が閾値より大きい場合にのみ、計測データを建物状態解析サーバー40に送り、計測データを解析して管理建物1の完全性に関して建物状態データ(数値データ)を作成して保存する。管理者端末70は、要求に基づき管理者接続サーバー60で、建物状態データを加工した安全性に関する認識できる言語による状態表示データを閲覧できる。管理建物1の情報や各種サーバーの設定は、顧客管理サーバー50から実行できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測装置、顧客管理サーバー、メインサーバー、および管理者接続サーバーを備え、以下のように構成したことを特徴とする地震時の建物診断システム。
(1)前記計測装置は、管理建物に取り付けて、計測データを取得する。
(2)前記顧客管理サーバーは、管理建物データと、当該管理建物の管理者データと、当該管理者ごとまたは前記管理建物ごとの各サーバーの設定データと、を含む顧客データを蓄積して処理した。
(3)前記メインーバーは以下のような構成とした。
(a)地震が発生した場合、前記管理建物ごとに
前記計測装置からの前記計測データを前記管理建物ごとに受け取り、
(b)前記計測データに含まれる当該地震強度データが予め設定した地震強度以上の数値か否かを判定し、
(c)前記判定が、予め設定した地震強度以上の場合に、
前記計測データを前記管理建物ごと、かつ前記地震ごとに、保存し
かつ前記計測データサーバーに保存された前記計測データから、
前記保存した計測データを所定の解析を施して、当該管理建物の安全性に関する建物状態データを作成して保存する。
(4)管理者接続サーバーは、
前記メインサーバーに接続されるとともに、
前記管理者の情報端末を接続し、
前記管理者の情報端末からの操作に応じて、
前記管理者の情報端末に、当該管理建物の前記建物状態データを提供する構成とした。
【請求項2】
計測装置、顧客管理サーバー、計測データ取り込みサーバー、地震強度判定サーバー、建物状態解析サーバーおよび管理者接続サーバーを備え、以下のように構成したことを特徴とする地震時の建物診断システム。
(1)前記計測装置は、管理建物に取り付けて、計測データを取得する。
(2)前記顧客管理サーバーは、管理建物データと、当該管理建物の管理者データと、当該管理者ごとまたは前記管理建物ごとの各サーバーの設定データと、を含む顧客データを蓄積して処理
(3)計測データ取り込みサーバーは、
地震が発生した場合、前記管理建物ごとに
地震発生時の前記管理建物に設置した計測装置からの前記計測データを取得して、前記管理建物ごとに蓄積する。
(4)地震強度判定サーバーは、
前記計測データ取り込みサーバーから前記計測データを受け取り、前記管理建物ごとに、前記計測データに含まれる当該地震強度データが予め設定した地震強度以上の数値か否かを判定する構成とした。
(5)建物状態解析サーバーは以下の構成とした。
(a)前記管理建物ごとに、
前記地震強度判定サーバーの判定が、予め設定した地震強度以上の場合に、
前記地震強度判定サーバーから前記管理建物の前記計測データを受け取り
(b)前記管理建物ごと、かつ前記地震ごとに、
前記計測データサーバーに保存された前記計測データから、
発生した地震により当該管理建物の安全性について、建物状態データを作成して、
(c)前記管理建物ごと、かつ地震ごとに、前記建築状態データを保存する。
(6)管理者接続サーバーは、
前記建物状態解析サーバーに接続されるとともに、
前記管理者の情報端末を接続し、
前記管理者の情報端末からの操作に応じて、
前記管理者の情報端末に、当該管理建物の前記建物状態データを提供する構成とした。
【請求項3】
以下のように構成した請求項2に記載の地震時の建物診断システム。
(1)計測データは、管理建物の垂直方向に設置した少なくとも2つのセンサー装置から計測したデータとし、
(2)前記センサー装置は、加速度計測情報と傾斜計測情報とを測定できるセンサー類を一体に組み込んだ構成とし、
(3)前記地震強度データは、前記センサー装置の加速度計測情報から供給されるデータとした。
【請求項4】
地震強度判定サーバーは、測定装置の測定データのうち、加速度情報のみを抽出し、前記加速度情報が、予め設定した加速度情報に比べて大きいか否かのみを比較して、地震強度の判定した請求項3に記載の地震時の建物診断システム。
【請求項5】
建物状態解析サーバーに、管理建物に関するあるいは汎用的な壁面内せん断試験データを含む構造試験データを取り込み、補足建物状態データを作成して建物状態データベースに補足建物状態データを保存し、補足建物状態データおよび構造試験データを管理者端末から閲覧可能とした請求項2に記載の地震時の建物診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に木造構造物で地震後の管理建物からの測定データを元に状況を測定、診断して、管理建物の管理者等へ通知する地震時の建物診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の振動に関するデータを検出して地震判定のための特徴量を生成し、地震判定に際して、教師データを使用して学習する教師データ管理手段を使用する地震判定装置などが提案されている(特許文献1)。
また、地震動の計測については具体的な記載は無いが、構造物の固有周期、質量、壁倍率等から算出されたエネルギー吸収能力を元に、計測した地震動から建物の安全性を診断する装置等が提案されている(特許文献2)。
また、建築物の振動データの加速度等を所定の時間間隔で測定して得られたセンサー信号から1次解析と異なる方法の2次解析のことなる解析をする建築物の診断を行うプログラムなどが提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-156712号公報
【特許文献2】特許7004361号公報
【特許文献3】特許6762631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の技術の内、特許文献1の技術では、地震判定のための特徴量と対応した教師データセットを必須としているため、稼働までの準備が膨大で、簡易な建物診断システムには対応できなかった。
また、特許文献2の技術では、エネルギーを取り扱うために診断する構造物の質量を必須とするなど診断するための情報量が多く、やはり簡易な建物診断システムには対応できなかった。
また、特許文献3では、1つの振動データに対して、1次解析、2次解析を行うのでより柔軟性が高い運用が実現できるが、2つの解析を要し、やはり簡易な建物診断システムには対応できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、地震強度判定サーバーの処理をした後に測定データを建物状態解析サーバーに送り、さらに、各サーバーに顧客管理サーバーに各サーバーの設定データを含む顧客データを保存し、顧客管理サーバーを各サーバーに接続したので前記問題点を解決した。
【0006】
即ちこの第一の発明は、計測装置、顧客管理サーバー、メインサーバー、および管理者接続サーバーを備え、以下のように構成したことを特徴とする地震時の建物診断システムである。
(1)前記計測装置は、管理建物に取り付けて、計測データを取得する。
(2)前記顧客管理サーバーは、管理建物データと、当該管理建物の管理者データと、当該管理者ごとまたは前記管理建物ごとの各サーバーの設定データと、を含む顧客データを蓄積して処理した。
(3)前記メインーバーは以下のような構成とした。
(a)地震が発生した場合、前記管理建物ごとに
前記計測装置からの前記計測データを前記管理建物ごとに受け取り、
(b)前記計測データに含まれる当該地震強度データが予め設定した地震強度以上の数値か否かを判定し、
(c)前記判定が、予め設定した地震強度以上の場合に、
前記計測データを前記管理建物ごと、かつ前記地震ごとに、保存し
かつ前記計測データサーバーに保存された前記計測データから、
前記保存した計測データを所定の解析を施して、当該管理建物の安全性に関する建物状態データを作成して保存する。
(4)管理者接続サーバーは、
前記メインサーバーに接続されるとともに、
前記管理者の情報端末を接続し、
前記管理者の情報端末からの操作に応じて、
前記管理者の情報端末に、当該管理建物の前記建物状態データを提供する構成とした。
【0007】
また、第二の発明は、計測装置、顧客管理サーバー、計測データ取り込みサーバー、地震強度判定サーバー、建物状態解析サーバーおよび管理者接続サーバーを備え、以下のように構成したことを特徴とする地震時の建物診断システムである。
(1)前記計測装置は、管理建物に取り付けて、計測データを取得する。
(2)前記顧客管理サーバーは、管理建物データと、当該管理建物の管理者データと、当該管理者ごとまたは前記管理建物ごとの各サーバーの設定データと、を含む顧客データを蓄積して処理
(3)計測データ取り込みサーバーは、
地震が発生した場合、前記管理建物ごとに
地震発生時の前記管理建物に設置した計測装置からの前記計測データを取得して、前記管理建物ごとに蓄積する。
(4)地震強度判定サーバーは、
前記計測データ取り込みサーバーから前記計測データを受け取り、前記管理建物ごとに、前記計測データに含まれる当該地震強度データが予め設定した地震強度以上の数値か否かを判定する構成とした。
(5)建物状態解析サーバーは以下の構成とした。
(a)前記管理建物ごとに、
前記地震強度判定サーバーの判定が、予め設定した地震強度以上の場合に、
前記地震強度判定サーバーから前記管理建物の前記計測データを受け取り
(b)前記管理建物ごと、かつ前記地震ごとに、
前記計測データサーバーに保存された前記計測データから、
発生した地震により当該管理建物の安全性について、建物状態データを作成して、
(c)前記管理建物ごと、かつ地震ごとに、前記建築状態データを保存する。
(6)管理者接続サーバーは、
前記建物状態解析サーバーに接続されるとともに、
前記管理者の情報端末を接続し、
前記管理者の情報端末からの操作に応じて、
前記管理者の情報端末に、当該管理建物の前記建物状態データを提供する構成とした。
【0008】
以下のように構成した第二の発明に記載の地震時の建物診断システムである。
(1)計測データは、管理建物の垂直方向に設置した少なくとも2つのセンサー装置から計測したデータとし、
(2)前記センサー装置は、加速度計測情報と傾斜計測情報とを測定できるセンサー類を一体に組み込んだ構成とし、
(3)前記地震強度データは、前記センサー装置の加速度計測情報から供給されるデータとした。
【0009】
地震強度判定サーバーは、測定装置の測定データのうち、加速度情報のみを抽出し、前記加速度情報が、予め設定した加速度情報に比べて大きいか否かのみを比較して、地震強度の判定した地震時の建物診断システムである。
【0010】
建物状態解析サーバーに、管理建物に関するあるいは汎用的な壁面内せん断試験データを含む構造試験データを取り込み、補足建物状態データを作成して建物状態データベースに補足建物状態データを保存し、補足建物状態データおよび構造試験データを管理者端末から閲覧可能とした前記第二の発明に記載の地震時の建物診断システムである。
【発明の効果】
【0011】
地震強度判定サーバーを設けて、予め設定した地震強度以上の計測データのみを建物状態解析サーバーに送るので、最も処理能力を要する建物状態解析サーバーの能力を抑えることができる。また、顧客管理サーバーに各サーバーの設定情報を保存して各サーバーに接続したので、管理者の希望に応じた地震強度判定の閾値、建物状態解析サーバーの解析方法などを設定して、顧客ごとのカスタマイズされた、管理建物の診断が可能となった。よって、1つのシステムにより簡易な構成にもかかわらず、より管理者の要望に応じた情報提供ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明のシステムの構成を表す概略図である。
【
図2】この発明のシステムの構成で、建物状態判定サーバーの他の構成を表す概略図である。
【
図3】この発明のシステムで使用する診断センサーの配置を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
【0014】
1.システムの構成
【0015】
地震時の建物診断システム100は、管理建物1、管理建物1に設置された計測センサー2、計測センサー2からのデータを受けて処理するメインサーバー10(計測データ取り込みサーバー20、地震強度判定サーバー30、建物状態解析サーバー40)、メインサーバー10につながる管理者接続サーバー60、管理者接続サーバー60に接続する管理者端末70、および顧客管理サーバー50などから構成される。
通常は、計測センサー2の計測データが、各種通信手段を介してメインサーバー10(計測データサーバー20)に送られ、取り込まれ、メインサーバー10内で計測データが以下のように処理される。
【0016】
(1)管理建物1
管理建物1は、この建物診断システムの適用対象であり、主に木造建造物である。管理建物1には、居住者、施主、施工事業者、保守事業者などの管理者が設定され、顧客管理サーバー50の顧客管理データベース51にて情報が管理されている。
【0017】
(2)計測センサー2
管理建物1には、計測センサー2が取り付けられている。計測センサー2は、加速度測定機能と傾斜測定機能を備えたセンサーデバイスが1つの小さなケース内に組み込まれている。すなわち、1つの計測センサー2からは加速度データと傾斜データが計測され、計測データ取り込みサーバー20に送られる。
計測センサー(センサー装置)2は少なくとも2つ(複数)を使用することが望ましく、例えば、以下のような配置をする(
図3)。
(a)計測センサー2を2個使用して、
・建物の1つの階(ここでは1階部分)で
・天井付近・床付近に設置する(
図3(a))。
(b)計測センサー2を2個使用して、
・建物の2つの階で、
・屋内(室内)の1階床付近、2階床付近に設置する(
図3(b))。
(c)計測センサー2を4個使用して、
・建物の1階、2階部分で、
・屋内(室内)の1階天井付近・床付近、2階天井付近・床付近に設置する(
図3(c))。
また、木造構造物では、最も地震の影響が現れ、全体の挙動が把握できる柱梁の接合部分に設置することが望ましい。本実施例では、管理建物1が構築されたのちに改修の要領で管理建物1に適用することを想定しているので、挙動を把握するためには多少精度が落ちるが、計測センサー2を管理建物1の壁(できるだけ接合部の近傍)に設置する。なお、設置位置に応じて、計測センサー(地震強度判定サーバー30の閾値)や建物状態解析サーバー40の解析方法が異なるものとすることができる。
また、一般に、計測センサー2の設置数が増えれば当然にコストも高まるので、計測センサー2の設置個数は適宜選択するが、複数個の設定が必要である。また、計測センサー2の数と設置位置は管理者が設定でき、顧客管理サーバー50の顧客データベース51に保存された顧客情報となっている。
【0018】
(3)顧客管理サーバー50
顧客管理サーバー50にはこの建物診断システム100の対象である管理建物1に関連する情報および管理建物1に関する顧客情報、顧客に応じた地震強度判定サーバー30、建物状態解析サーバー40の各種設定データも保存される。
(a)管理建物情報としては、
・当該管理建物1の設置場所、
・当該管理建物1を構築した工法、
・当該管理建物1で使用した建築金物などの構造
などが含まれる。
(b)管理建物1の管理者情報(管理者)としては、
・当該管理建物1の維持管理を請け負っている業者、
・当該管理建物1の施工業者、
・当該管理建物1の施主
・当該管理建物1の居住者
などが、管理建物1ごとに設定される。
また管理建物1ごとに管理者のうちで責任者を設定し、責任者により、後述する各機能が選択される。
(c)地震強度判定サーバー30における各管理建物1ごとの閾値
(d)建物状態解析サーバー40における解析内容
(e)管理者接続サーバー60に接続する管理者端末70の選定および設定、管理者端末70の表示内容の設定
【0019】
(4)計測データ取り込みサーバー20
計測データ取り込みサーバー20は、計測センサー2からの計測データ(加速度データ、傾斜データ)を、各種通信手段を介して、取りこみ、いったん計測データベース21に保存する。計測センサー2からの計測データの送信は、計測センサー2自体の精度や設定によりある程度の大きな数値(大きな加速度値、大きな傾斜値)の場合となる。
なお、計測データは、いったん計測データベース21に保存したが、すべての計測データを地震強度判定サーバー30た建物状態解析サーバー40に送られるようにすることもできる。
【0020】
(5)地震強度判定サーバー30
地震強度判定サーバー30は、計測データの内、加速度データを、予め設定した閾値データと比較する。すなわち、発生した地震による加速度データ(いわゆる震度データとほど連動する)が大きいか小さいかを判定することになる。また、この閾値データは顧客管理サーバー50の顧客データベース51などにより設定される。
(a)閾値データより加速度データがより大きい場合には、当該加速度データおよび同じ管理建物1の他の計測データ(ここでは傾斜データ)を建物状態解析サーバー40に送る。なお、この際、計測データを建物状態解析サーバー40に送ったならば、計測データべース21に保存されていた当該計測データを削除することもできる。
(b)閾値データより加速度データより小さい場合には、建物状態を判定するほどの揺れを生じていないと考えられるので、以下の処理を終了する。なお、この際、同時に計測データべース21に保存されていた当該計測データを削除することもできる。
【0021】
(6)建物状態解析サーバー40
地震強度判定サーバー30から送られてきた計測データ(加速度データ、傾斜データ)を各種データ処理計算により、建物状態データを作成して、その建物状態データを管理建物1ごと、発生した地震ごとに建物状態データベース41に保存する。
この場合の建物状態データの作成は従来適用されている様々な解析方法を採用することができる。また、管理建物1ごとに解析方法を設定することができ、解析方法は顧客管理サーバー50の顧客データベース51の情報などに基づき設定される。
また、建物状態データはここでは、一般に数値データとなっている。
【0022】
(7)管理者接続サーバー60
管理者接続サーバー60には管理者端末70が接続されている。
管理者接続サーバー60は、建物状態データベース40に保存されている建物状態データ(数値データ)を、設定した閾値に基づいて、「安全」「要点検」「至急点検」「危険」などの把握できる言語で作成される状態表示データを作成して、管理者提供データベース61に保存する。
状態表示データの内容は、管理端末70や顧客管理サーバー50の顧客データベースの情報からの指示により、管理者・管理建物1ごとに設定される。
また、管理建物1の各種情報も、顧客管理サーバー50の顧客データーベース51から取得して、管理者提供データとして、管理者提供データベース61に保存される。
【0023】
(8)管理者端末70
管理者端末70は、管理者接続サーバー60に接続され、管理者端末70からの指示設定により、許可された範囲で、管理者提供データベース61から管理者提供データを入手できる。また、顧客管理サーバー50の顧客管理データベース51の顧客情報からの設定や管理者端末70の設定などにより、建物状態解析サーバー40の建物状態データベース41の建物状態データを入手できるように設定することもできる。管理者端末70に送る各種情報を選定するか設定も顧客管理サーバー50から設定される。
管理者端末70は、上記のように、施工業者、保守管理者、施主など管理建物に関係する様々な人が想定され、管理者端末70の内、管理者接続サーバー70に接続できる管理者を顧客管理サーバー50の顧客データバース51の顧客情報から設定される。
また、管理者端末70は、直接に顧客管理サーバー50に接続して、あるいは管理者接続サーバー60を介して、顧客管理サーバー50の顧客管理データベースの各種顧客情報を修正などできるように顧客管理サーバー50などで設定することもできる。
【0024】
2.建物診断システム100の作動
【0025】
(1) 地震が発生すると、管理建物1に設置された計測センサー2から計測データ(加速度情報、傾斜情報)がWifiなどの各種通信手段を通じて、計測データ取り込みサーバー20に送られ(微小な地震の場合は除かれる場合がある)、計測データベース21に保存される。 計測データは、管理建物1ごと、地震ごとに保存される。
【0026】
(2)計測データのうち、加速度情報は、すぐさま地震強度判定サーバー30に送られ、予め設定した閾値と比較される。閾値データは、標準で設定されるが、前記のように管理者端末70などから顧客管理サーバー50の顧客データベース51の情報を変更することにより、管理者ごと、管理建物1ごとなど自由に設定できる。
(a)閾値データより加速度データが大きい場合には、当該加速度データおよび傾斜データが、計測データベース21から建物状態解析サーバー40に送られる。なお前記のように計測データは、建物状態解析サーバー40に送ったならば、計測データべース21に保存されていた当該計測データを削除する設定とすることもできる。
(b)閾値データより加速度データ小さい場合には、以下の処理を終了する。なお、計測データは、建物状態解析サーバー40に送ったならば、計測データべース21に保存されていた当該計測データを削除するように設定することもできる。
【0027】
(3)続いて、建物の状態解析サーバー40で、計測データ(加速度データ、傾斜データ)はあらかじめ設定された解析処理がなされ、建物状態データが作成され、管理建物1ごと、地震ごとに建物状態データベース41に保存される。ここで、解析方法は、標準で設定されるが、前記のように、管理者端末70からあるいは顧客管理サーバー50の顧客データベース51の顧客情報により建物状態解析サーバー40の情報を変更することにより、管理者ごと、管理建物1ごとなど、複数の解析方法から自由に選定し、さらに必要な数値の設定もできる。
なお、前記のように一般に建物状態データは、数値のデータである。
【0028】
(4) 続いて、管理者端末70から管理者接続サーバー60に、建物状態データの閲覧請求があった場合、管理者接続サーバー60は、建物状態データベース41から管理者端末から指示のあった当該管理建物1の建物状態データを引き出し、建物状態サーバー41の建物状態データを予め設定された変換関数(閾値。管理者管理サーバー50の顧客データベース51の顧客情報からの指示)に基づき建物状態データを「安全」「要点検」「至急点検」「危険」などの状態表示データに変換して、管理者接続サーバー60を介して、管理者端末70に転送する。
また、前記において、状態表示機能を、建物状態解析サーバー40ではなく、管理者接続サーバー60に設けて、以下のように処理することもできる。すなわち、管理者端末70から管理者接続サーバー60に、建物状態データの閲覧請求があった場合、管理者接続サーバー60は、建物状態データベース41から当該管理建物1の建物状態データを引き出し、管理者接続サーバーに予め設定された変換関数(閾値。管理者管理サーバーからの指示)に基づき建物状態データを「安全」「要点検」「至急点検」「危険」などの状態表示データに変換して、管理者端末70に転送する。
【0029】
(5)管理者端末70は、いつでも管理者接続サーバー60に接続して、管理建物1の建物状態データ(状態表示データ)を表示できるように設定することができる。
【0030】
3.他の実施形態
【0031】
(1) 前記実施形態において、壁面内せん断試験データなどの各種構造データを備えた構造試験データベース80を設定して、建物状態判解析サーバー40から構造試験データベース80に接続して、構造実験データを取り込み、当該管理建物1に対して補足建物状態データを作成して、建物状態データベース41に保存することもできる(
図3)。構造試験データベース80は当該管理建物1における情報あるいは汎用性の情報とした。
この場合は、管理者端末70から管理者接続サーバー60を介して補足建物状態データあるいは把握可能な処理をされた補足建物状態データも閲覧できるように設定できる。
同様に、管理者接続サーバー60に構造試験データベース80に接続して、各種構造データのみを閲覧できるように設定することもできる(図示していない)。
【0032】
(2)また、前記実施形態において、地震が起こった場合、管理建物の現況を目視で確認して、画像や言語で管理建物現場目視データを作成して、建物状態判解析サーバーなどに保存して、管理者端末から閲覧可能とすることもできる(
図2)。この場合、目視データを加味して、建物状態データを修正など補足することもできる。
【符号の説明】
【0033】
1 管理建物
2 センサー
10 メインサーバー
20 計測データ取り込みサーバー
21 計測データベース
30 地震強度判定サーバー
40 建物状態解析サーバー
41 建物状態解析データベース
50 顧客管理サーバー
51 顧客データベース
60 管理者接続サーバー
61 管理者提供データベース
70 管理者端末
80 構造試験データベース
100 地震時の建物診断システム