IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社川島製作所の特許一覧

<>
  • 特開-製袋充填連包包装機 図1
  • 特開-製袋充填連包包装機 図2
  • 特開-製袋充填連包包装機 図3
  • 特開-製袋充填連包包装機 図4
  • 特開-製袋充填連包包装機 図5
  • 特開-製袋充填連包包装機 図6
  • 特開-製袋充填連包包装機 図7
  • 特開-製袋充填連包包装機 図8
  • 特開-製袋充填連包包装機 図9
  • 特開-製袋充填連包包装機 図10
  • 特開-製袋充填連包包装機 図11
  • 特開-製袋充填連包包装機 図12
  • 特開-製袋充填連包包装機 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070756
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】製袋充填連包包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/213 20120101AFI20240516BHJP
   B65B 9/207 20120101ALI20240516BHJP
【FI】
B65B9/213
B65B9/207
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181472
(22)【出願日】2022-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108567
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 浩之
(72)【発明者】
【氏名】三好 聖一
(72)【発明者】
【氏名】畑野 進
【テーマコード(参考)】
3E050
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB02
3E050AB08
3E050BA04
3E050CA01
3E050CA02
3E050CB01
3E050CB03
3E050CC08
3E050DC02
3E050DC08
3E050DD03
3E050DD08
3E050DF01
3E050DF03
3E050FA01
3E050FB01
3E050FB07
3E050GB06
3E050GB09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】一台で、低価格の間欠式印字装置を使用しつつ複数の袋包装体が連なった連包袋包装体を製造するのに連続と間欠のいずれかの作動モードを選択可能であり、包装材供給部の構造が簡素で、省スペースで且つ低コストで実現される製袋充填包装機を提供する。
【解決手段】包装材供給部2において、印字装置4よりも帯状包装材Fwの送り方向下流側には、シャトル動作をする手繰りローラ61を備える手繰り機構60が配置されている。間欠送り経路Wsから折り返された帯状包装材Fwが手繰りローラ61に巻き掛けられて延びる手繰り経路Wpには、シャトル動作による手繰りローラ61の移動量に対してその2倍の長さの帯状包装材Fwの手繰り量が得られる。縦型製袋充填包装機1が連続機又は間欠機として複数の袋包装体が連なった長尺な連包袋包装体を製造する場合であっても、手繰り機構60の構造がコンパクトでありながら効率の良い手繰り量が得られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状包装材の送り経路に近接して配設されていて当該帯状包装材に印字を施す印字装置と、前記印字装置よりも前記帯状包装材の送り方向下流側において手繰り動作によって前記帯状包装材の手繰り量を増減させる手繰り機構が配設されている包装材供給部と、
当該包装材供給部から供給される前記帯状包装材から包装袋を形成しつつ前記包装袋内に製品を充填し前記製品を収容した前記包装袋を封鎖して袋包装体を製造することを順次繰り返し、複数の前記袋包装体が連なる毎に切断することにより連包袋包装体を次々に製造する製袋充填包装機部を備えている製袋充填包装機であって、
前記製袋充填包装機は、前記手繰り機構の前記手繰り動作を不作動として前記包装材供給部から間欠的に送られてくる前記帯状包装材に基づいて前記連包袋包装体を製造する間欠作動モードと、前記手繰り動作をする前記手繰り機構を通じて前記包装材供給部から停止することなく連続的に送られてくる前記帯状包装材に基づいて前記連包袋包装体を製造する連続作動モードとの間で選択的に切り替え可能であり、
前記帯状包装材に対して前記印字装置が近接して配設されている前記送り経路は前記帯状包装材が停止状態を挟んで間欠的に送られる間欠送り経路であり、
前記印字装置は、前記間欠送り経路において前記各包装袋に対応して間欠送りの前記停止状態にある前記帯状包装材に対して前記帯状包装材の送り方向に位置を変えることなく印字を施す間欠作動式の印字装置であり、
前記手繰り機構は、シャトル動作をする手繰りローラを備えているとともに、前記間欠送り経路から折り返された前記帯状包装材が前記手繰りローラに巻き掛けられて延びる手繰り経路を定めており、
前記シャトル動作に基づいて前記手繰りローラの位置を変更することにより前記手繰り経路における前記帯状包装材の前記手繰り量が増減されること
から成る製袋充填包装機。
【請求項2】
前記手繰りローラがする前記シャトル動作の動作方向は前記間欠送り経路と平行な方向であり、前記手繰り経路は前記間欠送り経路に沿って延びていること
から成る請求項1に記載の製袋充填包装機。
【請求項3】
前記包装材供給部において前記帯状包装材の前記製袋充填包装機部への供給と前記印字装置による前記帯状包装材への印字を制御するとともに、前記間欠作動モードと前記連続作動モードのいずれのモードにおいても前記包装袋の形成、前記包装袋内への前記製品の充填と前記包装袋の封鎖による前記袋包装体の製造、及び複数の前記袋包装体が連なる毎の前記連包袋包装体の製造をそれぞれ連係制御する制御装置を備えており、
前記制御装置は、前記間欠作動モード又は前記連続作動モードが選択されることに応じて、それぞれ前記製袋充填包装機部への前記帯状包装材の供給が間欠的又は連続的となるように、前記手繰り機構の前記手繰り動作を前記不作動に制御又は前記手繰り機構を前記手繰り動作に制御すること
から成る請求項1又は2に記載の製袋充填包装機。
【請求項4】
前記製袋充填包装機は、前記製袋充填包装機部を、
前記包装材供給部から供給された前記帯状包装材を略筒状に曲成するフォーマと、
前記フォーマによって曲成された略筒状の帯状包装材が外周面を巻き囲む状態で当該帯状包装材を当該外周面に沿って走行案内するとともに、内部を通して前記製品が投入可能である充填筒と、
前記略筒状の帯状包装材の両側端縁部に縦シールを施すことにより前記略筒状の帯状包装材を筒状包装材に形成する縦シール装置と、
前記筒状包装材に横断的に横シールを施すことにより、前記筒状包装材から、先行して形成された前記包装袋を封鎖して前記袋包装体を製造するとともに後続の前記包装袋を形成する横シール装置を備えていて、
前記包装材供給部から供給される前記帯状包装材が縦方向下方に向かって送られる間に、前記帯状包装材から前記包装袋を形成しつつ前記包装袋内に前記製品を充填し前記製品を収容した前記包装袋を封鎖して前記袋包装体を製造することを順次繰り返し、複数の前記袋包装体が連なる毎に前記連包袋包装体を連続的に製造する縦型製袋充填包装機部とする縦型製袋充填包装機であり、
前記包装材供給部において、
前記帯状包装材の前記間欠送り経路は、前記帯状包装材の送り方向を上方向として縦方向に延びており、
前記手繰り経路を通過した前記帯状包装材が前記フォーマに供給され、
前記制御装置は、
前記縦型製袋充填包装機が前記間欠作動モードに選択される場合には、前記縦シール装置と前記横シール装置をそれぞれ前記筒状包装材の送り方向には不動とした状態で前記縦シール又は前記横シールを施す動作を制御し、
前記縦型製袋充填包装機が前記連続作動モードに選択される場合には、前記縦シール装置と前記横シール装置をそれぞれ前記筒状包装材の送り方向を含めた循環動作をさせる中で前記縦シール又は前記横シールを施す動作を制御すること
から成る請求項3に記載の製袋充填包装機。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記製袋充填包装機が前記間欠作動モードに選択される場合には、前記手繰り動作が前記不作動に制御されるときの前記手繰りローラの位置を調整することにより、或いは前記製袋充填包装機が前記連続作動モードに選択される場合には、前記手繰り機構が前記手繰り動作停止状態に制御されるときの前記手繰りローラの位置を調整することにより、
前記印字装置による前記帯状包装材に対する前記帯状包装材の送りに沿う方向の印字位置を前記連包袋包装体単位で前記各包装袋に対応して調整すること
から成る請求項3に記載の製袋充填包装機。
【請求項6】
前記連包袋包装体は、複数の前記袋包装体が連なって成る連包袋包装体部と、前記連包装体部に接続されたヘッダ部とから成るヘッダ付き連包袋包装体であり、
前記制御装置は、前記ヘッダ部の長さを前記包装袋の長さと異ならせるため、前記ヘッダ部を形成する際の前記帯状包装材の送り速度を、前記包装袋を形成する際の前記帯状包装材の送り速度から変速させるとともに、前記ヘッダ部を空の包装袋とするため、前記製品の充填を行わない制御をすること
から成る請求項3に記載の製袋充填包装機。
【請求項7】
前記横シール装置は進後可能なカッター刃を備えたカッター手段を内蔵しており、
前記制御装置は、前記カッター手段の前記カッター刃の進出量を制御可能であり、前記連包袋包装体部において互いに隣接し合う前記袋包装体の間及びヘッダ部と当該ヘッダ部に隣接する前記袋包装体の間においては部分的に切断されたミシン目を形成するため前記カッター刃の進出量を短くする制御をし、前記複数の袋包装体が連なる毎に先行して製造される前記ヘッダ付き連包袋包装体とそれに後続する前記ヘッダ付き連包袋包装体との間を完全に切断して切り離すため前記カッター刃の進出量を長くする制御をすること
から成る請求項6に記載の製袋充填包装機。
【請求項8】
前記手繰り機構は、
手繰りローラ用サーボモータ、
当該手繰りローラ用サーボモータの出力軸に取り付けられたプーリと当該プーリに巻き掛けられるベルトを備えるベルト・プーリ機構、及び
当該ベルト・プーリ機構の前記ベルトに取り付けられており、且つ前記手繰りローラを回転自在に支持するとともに前記手繰り経路に沿う方向にガイドされるスライドユニットを備えており、
前記制御装置は、手繰りローラ用サーボモータの回転出力を制御し、前記ベルト・プーリ機構と前記スライドユニットとを介して、前記手繰りローラの前記手繰り経路に沿う方向の前記シャトル動作を制御することにより、前記印字装置による前記帯状包装材に対する前記帯状包装材の送りに沿う方向の印字位置を調整すること
から成る請求項3に記載の製袋充填包装機。
【請求項9】
前記制御装置は、前記製袋充填包装機の作動モードを、前記連包袋包装体単位で切り離して製造する連包製造作動モードと前記単一袋包装体単位で切り離して製造する単包製造作動モードとの間で作動を切り換える連包・単包モード切換え機能を備えており、当該連包・単包モード切換え機能において前記連包製造作動モードと前記単包製造作動モードとの間で切り換えが行われたことに応じて、前記製袋充填包装機を切換え後の前記連包製造作動モード又は前記単包製造作動モードで作動すること
から成る請求項3に記載の製袋充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、帯状包装材から包装袋を形成しながら当該包装袋に包装すべき製品を充填供給して複数の袋包装体が連なった連包包装体を製造する製袋充填包装機であって、帯状包装材に印字を行う印字装置として間欠式印字装置を使用しつつ、包装材送りを間欠的に行う間欠作動モードと包装材送りを停止することなく連続して行う連続作動モードのどちらの作動モードも選択可能な製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状包装材から筒状包装材を成形し、当該筒状包装材から包装袋を形成しながらその中に包装物である製品を充填・供給し、当該筒状包装材を横断的にシール(例えば、ヒートシール)することで、当該製品が収容され袋底部や袋頂部がシールされた袋包装体を連続的に製造する製袋充填包装機が多用されている。製袋充填包装機は、基本的に、例えば、包装材ロールから帯状包装材を繰り出して、帯状包装材の紙送りを行う包装材供給部と、当該包装材供給部から供給される帯状包装材から包装袋を形成しつつ包装袋内に製品を充填し製品を収容した包装袋を封鎖することを順次繰り返して袋包装体を連続的に製造する製袋充填包装機部を備えている。以下、背景技術の欄の説明においては、特に言及する場合を除いて、「縦型製袋充填包装機」と「製袋充填包装機部」についてはそれぞれ「包装機」、「包装機部」と略記する。
【0003】
包装機には、包装材送りを間欠的に行う包装材送り間欠型(以下、「間欠機」という)と、包装材送りを連続して行う包装材送り連続型(以下、「連続機」という)とがある。図6には、このような包装機の一例として、筒状包装材が外周面を取り囲むように形成され且つ製品が内部を通して投入・充填される充填筒が縦置き配置された包装機1aが示されている。包装機1aは、公知の構造から成る間欠作動式の包装機であって、帯状包装材Fwを供給する包装材供給部2aと、包装材供給部2aから供給されてくる帯状包装材Fwから包装袋Bを形成し当該包装袋Bに製品Aが充填された袋包装体Bpを製造する包装機部3aを備えている。包装材供給部2aは、帯状包装材Fwの縦方向にストレートに延びる供給経路Wsに近接して配設されていて帯状包装材Fwに印字を施す印字装置4と、印字装置4よりも帯状包装材Fwの送り方向下流側において、印字装置4に対する帯状包装材Fwの送り量を調整するべく軸線位置が帯状包装材Fwの送り方向に調整可能なアジャストローラ5を備えている。包装機部3aは、包装材供給部2aから供給された帯状包装材Fwから包装袋Bを形成しつつ包装袋B内に製品Aを充填し、製品Aを収容した包装袋Bを封鎖することを順次繰り返して袋包装体Bpを次々に連続的に製造する。包装材供給部2aにおいて帯状包装材Fwの包装機部3aへの供給と印字装置4による帯状包装材Fwへの印字、並びに包装機1aで選択される間欠作動モードにおいて包装袋Bpの製作、包装袋B内への製品Aの充填及び包装袋Bの封鎖を行うため、それぞれを連係制御する制御装置が設けられている。
【0004】
包装材供給部2aにおいては、ロールホルダに保持された包装材ロールFrから巻き戻されつつ繰り出される帯状包装材Fwが、幾つかのガイドローラ9に案内されるとともに張力付与機構10を経て包装機部3aに向けて供給される。張力付与機構10は、帯状包装材Fwが幾つかのガイドローラ群10a,10bに巻き掛けられて帯状包装材Fwの貯留部として機能するとともに、帯状包装材Fwに適宜の張力を付与している。包装材ロールFrに巻き取られている帯状包装材Fwには予めレジマーク等のマークが印刷されており、当該マークがセンサ(図示せず)で読み取られ、制御装置が、当該読み取りに応じて帯状包装材Fwを予め設定されたタイミングと供給量で包装機部3aに供給する。
【0005】
包装機部3aは、帯状包装材Fwを略筒状の包装材に曲成するフォーマ11と、フォーマ11内に貫通配置されており内部を通して製品Aを投入するための充填筒12と、投入筒12の上部に接続されており上方から投入された製品Aが充填筒12内に導かれるように断面が下方に向かうに従って窄んだホッパ13を備えている。フォーマ11によって略筒状に曲成された帯状包装材Fwは、充填筒12の外周面を取り巻く状態で充填筒12に沿って案内され、包装材送り装置14に備わる同期して作動する左右一対のベルト送り機構14a,14aによって紙送りされる。ベルト送り機構14a,14aは、例えば吸引ボックス14b,14b(一方のみ図示)と多数の吸引孔が形成されたタイミングベルト14c,14cを備えており、タイミングベルト14c,14cは、吸引孔を通して帯状包装材Fwを吸引しながら紙送りをする。
【0006】
包装機部3aは、筒状に曲成された帯状包装材Fwを筒状包装材Ftに成形する縦シール装置15を備えている。縦シール装置15は、帯状包装材Fwの両側端縁部fe,feを挟み込んでヒートシールによる縦シールScを施す一対の縦ヒートシールバー15a,15aを有している。略筒状に曲成された帯状包装材Fwが充填筒12の周囲を下方に送られる間、両側端縁部fe,feは、縦ヒートシールバー15a,15aによって挟み込まれて加圧・加熱されることで、ヒートシール(熱溶着)される。帯状包装材Fwは、縦シールScが施されることにより、筒状包装材Ftに成形される。
【0007】
包装機部3aは、サーボモータ(図示せず)によって駆動され筒状包装材Ftを挟み込んで横シールSeを施して包装袋Bを形成する横シール装置16を備えている。横シール装置16は、筒状包装材Ftの縦シール部Scを含む横断領域を挟み込んで筒状包装材Ftの内面同士にヒートシールを施す二つの横ヒートシールバー16a,16bを有している。充填筒12の下端から下方へ送り出されて製品Aが投入・充填された筒状包装材Ftには、横シール装置16によって袋底部や袋頂部を形成するための横シール部Se、即ち、袋の天シール部と次の袋の底シール部が形成される。筒状包装材Ftから形成される包装袋B内への製品Aの充填と、横シールによる包装袋Bの形成・封鎖を繰り返すことで、製品Aが包装袋Bに収容された袋包装体Bpが順次製造される。横シール装置16においては、袋包装体Bpを筒状包装材Ftから切り離すカッター手段17を設けることができる。一方の横ヒートシールバー16aには横シール部Seに対して進退駆動されて当該横シール部Seを突き切るカッター刃17aが備わっており、他方の横ヒートシールバー16bには進出したカッター刃17aが入り込むことができる溝18が形成されている。
【0008】
図6に示した包装機1aは間欠機であるので、略筒状に曲成された帯状包装材Fwや筒状包装材Ftの送りは間欠的に行われ、これら包装材Fw,Ftの間欠送り停止中に縦シールScと横シールSeとが施される。即ち、縦シール装置15の一対の縦ヒートシールバー15a,15aと横シール装置16の二つの横ヒートシールバー16a,16bは、帯状包装材Fwや筒状包装材Ftの送り方向に沿って上下方向に移動することなく開閉動作のみを行う。縦シール装置15の一対の縦ヒートシールバー15a,15aは、その閉じ動作のときに、間欠送りの停止状態にある帯状包装材Fwの両側端縁部fe,fe同士を挟み込んで合掌貼りとなる縦シールScを施す。横シール装置16の二つの横ヒートシールバー16a,16bもその閉じ動作のときに、間欠送りの停止状態にある筒状包装材Ftを横断的に挟み込んで横シールSeを施す。間欠機は、ヒートシール等の包装材に施す作業が包装材の停止中に行えるので、安定した包装動作を行わせることができるが、包装サイクル中に包装材送り停止区間が生じるのを避けられず、包装能力(単位時間当たりの袋包装体の製造能力)の向上には限界がある。
【0009】
図7には連続機の一例として包装機1bが示されている。図7に示した包装機1bは連続機であり、包装材供給部2bと包装機部3bを備えており、略筒状に曲成された帯状包装材Fwや筒状包装材Ftの送りは停止することなく連続的に行われ、これら包装材Fw,Ftの連続送りの間に縦シールと横シールが施される。包装機1bの包装機部3bにおいては、間欠機としての包装機1aの包装機部3aと比較して、縦シール装置15と横シール装置16の動作機構及びその機構に基づく動作が異なる以外に構造上・機能上の差異はない。即ち、縦シール装置15の一対の縦ヒートシールバー15a,15aは、互いに対向しながら帯状包装材Fwの送り方向を含むボックスモーションのような循環動作を行い、横シール装置16の二つの横ヒートシールバー16a,16bも、互いに対向しながら筒状包装材Ftの送り方向を含むボックスモーションのような循環動作を行う。縦シール装置15は、連続送りされている略筒状に曲成された帯状包装材Fwの両側端縁部fe,fe同士を挟み込みながら移動することで合掌貼りとなる縦シールScを施し、帯状包装材Fwを筒状包装材Ftに形成する。横シール装置16は、連続送りされている筒状包装材Ftを挟み込みながら移動することで横断的な横シールSeを施し、先行して形成された包装袋Bを封鎖して袋包装体Bpを製造しつつ、後続の包装袋Bを形成する。包装機1bに備わる構造上の要素には包装機1aの対応する要素に付したのと同じ符号を付すことで、構造について再度の説明を省略する。
【0010】
連続機は、包装材が停止することなく連続して送られるので高い包装能力が得られるが、一対の縦ヒートシールバー15a,15aと二つの横ヒートシールバー16a,16bが移動中の包装材に対して移動しつつシール等を施す作業を行わなければならないため、縦シール装置15及び横シール装置16には安定した動作を行わせるための複雑な機構が必要となる。連続機の包装材供給部2bでは、帯状包装材Fwは連続送りされており、印字装置4には連続作動式の印字装置が用いられている。
【0011】
近年、消費者の嗜好の多様性や、それに伴う商品の差別化等を求める要請の高まりに応じて、商品のどの生産現場でも少量多品種生産が拡大している。その結果、製袋充填包装機に限らず一般の包装機の分野でも、ある商品の生産では包装材の厚みが厚いため横シール時間を長くとることが包装機の動作条件とされるが、別の商品の生産では包装機の生産能力が重要視されるというような状況が生じている。このように包装機全般に亙って、重視される運転条件が種々異なっており、かかる多種多様な要望に応える動向の一環として、縦型製袋充填包装機においても各種の運転方式を一つの包装機で実現させることができる包装機が提案されている(特許文献1)。
【0012】
包装機によって製造する袋包装体の包装物が特に食品であった場合には、製造番号や賞味期限の印字が袋包装体に求められる。これらの印字は、通常、包装機に組み込まれる印字装置によって帯状包装材に対して行われる。印字装置については、製造される袋包装体のデザインとして予め定められた表示位置(印字欄)に合致した位置での印字となるように、印字装置による帯状包装材上の印字位置を事前に調整する必要がある。
【0013】
包装機に組み込まれる印字装置には、連続印字式の印字装置と間欠印字式の印字装置とがある。連続印字式の印字装置は、内蔵するエンコーダによる移動量検出機能に基づいて、包装材の紙送りに同期して印字ヘッドが紙送り方向に移動しながら印字する装置であり、基本的に高価格である。連続印字式の印字装置は、本来、連続機に組み込まれる印字装置であり、間欠送りされる包装材の停止中に当該包装材に印字するものとして想定されたものではない。間欠印字式の印字装置は、間欠送りされる包装材が停止状態にあるときに当該包装材に印字する装置である。単純に印字ヘッドが停止状態にある包装材に対して接近して印字するだけであるので、概して低価格である。間欠印字式の印字装置は、本来、間欠機に組み込まれる印字装置であり、連続送りされるような移動中の包装材に対して印字するものとして想定されたものではない。
【0014】
印字装置が帯状包装材に印字をする際の帯状包装材の長手方向の印字位置調整は、帯状包装材の走行ライン上にある印字位置調整ローラを移動させて帯状包装材の走行ラインの距離を変更すること、即ち、印字装置から横シール装置(カッター手段)まで延びる包装材の長さ(包装材経路長さ)を変えることにより、帯状包装材への印字が袋包装体のデザインとして予め定められている位置で施されるように行われる(特許文献2)。横シール装置16(カッター手段17)が帯状包装材Fwの包装袋Bのデザインに基づく特定の位置をシール(カット)するものであるから、例えば図6に示す間欠機の場合には、包装材供給部2aにおいて帯状包装材Fwをガイドするガイドローラの一つを位置調整可能なアジャストローラ5とし、アジャストローラ5を移動させて、印字装置4から横シール装置16(カッター手段17)まで延びる帯状包装材Fwの包装材経路長さを変えることによって、印字装置4と印字装置4に対向する帯状包装材Fw(包装袋Bのデザイン)の相対位置が調整されて、印字位置調整が行われる。
【0015】
構造や制御が比較的簡単で安価な間欠印字式の印字装置を連続機でも使えるようにすることが考えられるようになり、その工夫として、包装機が連続機として作動する包装機であっても、包装材供給部において印字装置よりも送り下流側の位置において包装材を手繰り貯留する包装材手繰り装置を配置し、手繰り貯留された包装材を手繰り貯留される位置よりも更に下流に配置されている包装機本体側に停止させることなく連続的に供給することで、間欠印字式の印字装置が正に印字しようとする包装材に送り停止区間(間欠送りされる中で包装材が停止状態の区間)を作る技術が提案されている(特許文献3、特許文献4)。帯状包装材の走行経路上の二箇所の蓄積部(蛇行部)において帯状包装材を蓄積及び排出することで、これらの蓄積部間以外の包装材走行の部分を連続走行させる一方で、上記蓄積部間にある包装材の部分を間欠的に停止させることもできる。包装機本体側では帯状包装材が連続走行されるので、包装機の包装スピードを向上させることができる。
【0016】
特許文献1に記載されているように、一台の包装機であっても間欠機の機能と連続機の機能を選択可能とし、多種多様な製品を最適な状態で生産可能とする包装機について、印字装置との関係を整理すると、次のようになる。即ち、包装機を連続機として使用する場合、印字装置を連続印字式とするか、包装材手繰り装置を配置して包装材送り経路中に停止区間を作りながら印字をする間欠印字式の印字装置を使用するかの選択の余地がある。製造コストの観点からすると、間欠印字式の印字装置を使用するのが好ましい。一方、包装機を間欠機として使用する場合、印字装置としては、当然に間欠印字式のみの印字装置が使用される。したがって、間欠機の機能と連続機の機能を選択可能とした一台の包装機においては、印字装置の下流側に包装材手繰り装置を備えておき、連続機を選択する場合であっても間欠印字式の印字装置を使用できるようにしておくことが好ましい。
【0017】
包装材手繰り装置とは別に、印字装置それ自体を移動させることで、印字装置が印字をする包装材上の印字位置を調整する装置(印字装置自体を左右に移動させる装置、包装材を紙送り方向に調整する装置)が知られている。特に、特許文献4に記載の包装機のように、印字位置調整用の駆動手段として、確実性や高速対応を考慮してサーボモータを使用した場合、印字位置調整用サーボモータの配置スペースを考慮した包装材手繰り装置用のスペースを用意する必要があるとともに、当該サーボモータを用いることから包装機の製造コストが当然に上昇するという問題が生じる。
【0018】
図8には、アジャストローラ5の軸線位置を調整する位置調整機構20の一例が図示されている。位置調整機構20において、機体フレーム21,21には、出力回転方向を切換可能なリバーシブルモータ22が取り付けられている。リバーシブルモータ22の出力軸に取り付けられたプーリ23と、機体フレーム21,21に回転支持された中間シャフト24に取り付けられたプーリ25との間にはベルト26が巻き掛けられており、ベルト伝動機構を構成している。中間シャフト24の端部に取り付けられた切欠き円板27の外周には一つ又は複数の切欠きが形成されており、近接センサ28が当該切欠きの通過を探知し、この探知に基づいて中間シャフト24の回転数を検出可能である。中間シャフト24には傘歯車29,29が取り付けられている。中間シャフト24に対して2本の互いに平行なネジシャフト30,30が直交配置されている。ネジシャフト30,30の各軸端には傘歯車31,31が取り付けられており、傘歯車29,29と傘歯車31,31とが互いに噛み合うことで歯車伝動機構を構成している。ネジシャフト30,30にはナット体32,32がねじ係合しており、ナット体32,32に取付けられたアタッチメント33,33にアジャストローラ5の両端それぞれが回転自在に支持されている。
【0019】
リバーシブルモータ22を駆動することにより、ベルト伝動機構、中間シャフト24、歯車伝動機構、ねじシャフト30,30、ナット体32,32及びアタッチメント33,33を介して、アジャストローラ5をネジシャフト30,30の回転軸線に沿う方向(図8の上下方向)に直線移動させることができる。中間シャフト24の回転数を検出しつつ、リバーシブルモータ22の回転量と回転方向を制御することによって、アジャストローラ5の上下方向位置が調整される。印字装置4による帯状包装材Ft上への印字位置が調整されることで、印字が包装袋Bpのデザインに応じた印字位置で行われる。
【0020】
印字装置が帯状包装材に対して印刷を施す帯状包装材の幅方向位置を調整することが求められることがある。図9には、従来の間欠作動式の印字装置について、その帯状包装材の幅方向の位置を調整するための位置調整機構40の一例が図示されている。位置調整機構40において、機体フレーム21には、出力回転方向を切換可能なリバーシブルモータ42が取り付けられている。リバーシブルモータ42の出力軸に取り付けられたプーリ43と、機体フレーム21,21に回転支持されたネジシャフト44に取り付けられたプーリ45との間にはベルト46が巻き掛けられており、ベルト伝動機構を構成している。機体フレーム21には、ネジシャフト44を挟んで且つネジシャフト44に対してそれぞれ平行な二本のガイドシャフト47,47が取り付けられている。機体フレーム21,21間においてネジシャフト44の回転軸線に沿う方向が紙送りされる帯状包装材の幅方向に合致している。印字装置4を支持するホルダ4aが、ネジシャフト44とネジ係合しているとともに、ガイドシャフト47,47に沿って移動するように案内されている。
【0021】
リバーシブルモータ22を駆動することにより、ベルト伝動機構を介してネジシャフト44が回転し、ネジシャフト44とネジ係合するホルダ4aがガイドシャフト47,47に沿って移動し、印字装置4が帯状包装材の幅方向に移動する。印字装置4の帯状包装材の幅方向位置はリバーシブルモータ22の回転方向と回転量によって定められる。
【0022】
包装機によって製造される袋包装体の多種多様な形態の一つとして、複数の袋包装体が一続きに連続した連包袋包装体(「連包」と略称する)がある。また、連包の上端部に続いてヘッダ部を設けて、ヘッダ部に形成した孔に吊下げ用フックを通すことで、店頭での連包の陳列を容易にしたヘッダ付き連包がある。図10には、ヘッダ付き連包の一例が正面図として示されている。図10に示すヘッダ付き連包50は、四つの袋包装体が縦に連なる連包部50aと、連包部50aの最上に連続して連なるヘッダ部50bとから構成される。連包部50aは、最も下の袋包装体である1袋目Bp1から最も上の袋包装体である4袋目Bp4までそれぞれミシン目51で区切られて連なる連包部であり、各袋包装体Bp1~Bp4の下隅の印刷領域の印刷欄52にヘッダ付き連包50が製造された日付が印刷される。ミシン目51は、図6又は図7に示す製袋充填包装機部3a,3bにおいて、横シール部Seの例えば幅中央部分をカッター手段17に備わる鋸刃状のカッター刃17aによって完全に突き切りすることで各袋包装体を切り離して製造していたものを、カッター刃17aの突きストロークを短くして鋸刃による不連続で部分的な突き切りとすることによって形成される。ヘッダ部50bは、袋包装体の包装袋を作成するのと同じ帯状包装材Fwから形成され、帯状包装材Fwの送り長さを短くし基本的には内部に物品を封入しないことで、袋長さの短い空の袋包装体Bpeとして形成されている。ヘッダ部50bの上側の横シール部Seには、店頭で陳列・販売する場合に連包部50aを吊り下げることができるように、吊下げ用フックが通される孔53が形成されている。ヘッダ付き連包装体50の1袋目Bp1の下端とヘッダ部50bの上端は、カッター手段17のカッター刃17aの完全な突き切りによって横シール部Seを切断した切断端とされている。
【0023】
図11は、ヘッダ付き連包50を製造する製袋充填包装機の動作説明をするタイミングチャートである。図11に示すタイミングチャートは、時間軸である横軸に沿って、連包部50aの1袋目Bp1から4袋目Bp4と、その後のヘッダ部50bを製作する各動作サイクル部分からなり、全体としてヘッダ付き連包50を製造するサイクルを示している。包装機は間欠機であるので、1袋目Bp1を製作する動作サイクル部分では、帯状包装材の送り(フィルム送り)の後、フィルム送りの停止中に横ヒートシールバー16a,16bが閉じ動作をして筒状包装材Ftに当接して停止することで筒状包装材Ftに横シールが施され、その後、横ヒートシールバー16a,16bが開き動作によって筒状包装材Ftから離間する。フィルム送りが停止している適宜時期に印字装置4の印字動作が行われ、帯状包装材Fwの印刷欄52に日付等の印字が施される。横ヒートシールバー16a,16bによる横シール期間中にカッター手段17が作動するが、カッター刃17aはストロークの短いミシン目位置までしか進出しないので、横シール部Seは完全には切断されずミシン目が形成されるに留まる。1袋目Bp1の動作サイクル部分が終了した後、2袋目Bp2から4袋目Bp4まで、同じ動作サイクル部分が繰り返される。4袋目Bp4の動作サイクル部分が終了した後、遅いフィルム送り速度でフィルム送りが行われ(フィルム送り量が少ない)、その後、フィルム送りの停止中に、横ヒートシールバー16a,16bが袋の動作サイクル部分と同様に、閉じ動作と開き動作を行う。ヘッダ部50bに印字を行わない場合には、ヘッダ部50bの動作サイクル部分では、フィルム送りの停止中であっても印字装置4の印字動作が行われない。横ヒートシールバー16a,16bによる横シール期間中にカッター手段17が作動し、カッター刃17aはストロークの長い切断位置まで進出して横シール部Seを完全に切断するので、袋包装体Bp1~Bp4の袋長さよりも長さの短い袋包装体Bpeとしてヘッダ部50bを形成するとともに、製造されたヘッダ付き連包50を筒状包装材Ftから切り離す。
【0024】
包装袋毎に異なる品種の製品を充填してこれら複数種類の異なる品種製品を一連に連列した連包を製造する場合には、これら異なる品種製品毎に使用される包装フィルムも包装袋単位で異なるデザインにて印刷表示されていることから、包装機の稼働準備運転の際に、連包の隣り合う袋包装体の区切りとなる横シールを施すときに、当該横シール部にミシン目等の非連続で部分的な切れ目を付与するのみか又は切断をするかの設定基準を包装機に与え、当該設定位置を基準として、連包を構成する包装袋数分のカウント数に基づいて連包を製造する縦型製袋充填包装機が知られている。即ち、設定基準として所定の連包毎の切り離し位置(連包を構成する包装袋数分のカウント数に対応する位置)が予めリセットボタン等により設定され、設定された包装袋数分のカウント数に達するまでは包装袋の横シールと非連続の切れ目を付与するのみで切断がされず、設定されたカウント数分のカウントアップ(連包毎の切り離し位置に到達)後には横シールと切断が行われる。かかる設定基準(非連続の切れ目又は切断の位置とその指示)の設定作業や、連包を吊下げ用フックに引っ掛けた状態で店頭販売をするため、製造後の連包の最上部の横シールに紙等の素材からなる吊下げ用ヘッダを人手によりホチキス等により止着する止着作業が煩雑であるところ、これらの作業煩雑性を改善するため、帯状フィルムに形成されている包装袋用シール位置とヘッダ用シール位置との印刷マークを検出し、連包についてのデータを入力設定・記憶し、当該データに基づいてモータ駆動によるフィルム送り量を制御することで、ヘッダ部の長さ並びに包装袋の長さ、包装袋数を任意の値に設定を可能にするとともに、同一包装フィルムによりヘッダ付連包を一体的に製造することができる縦型製袋充填包装機が提案されている(特許文献5)。この包装機によれば、同一包装フィルムによりヘッダ部を一体的に形成しながらヘッダ付連包を製造することができ、したがって、通常は一袋ずつ製造を行う包装機と同一の包装機において、データ入力手段により切り替え設定のみでヘッダ付連包の製造との兼用が可能となり、連包の袋数と袋長さ及びヘッダ部の長さをそれぞれデータ入力により任意値に設定し、必要に応じてそれらの各設定値を連包の品種毎に異なる設定値として記憶させ、更に、印刷マークによるヘッダ部と包装袋との自動認識や、任意長さのヘッダ部を形成することを図っている。
【0025】
ヘッダ付連包を製造する連続式の包装機において、製品袋の個数と製品袋及びヘッダの長さに関してデータ入力手段で設定入力しておき、エンドシール機構(横シール機構)については、シール動作周期が一定になるように駆動制御するが、フィルム(包装材)の搬送については、製品袋の設定長さとヘッダの設定長さのうち一方を基準長さとし、その基準長さから得られるフィルム(包装材)の搬送速度を基準搬送速度とし、他方の長さに対応するフィルム(包装材)の搬送速度を基準搬送速度に対して変速するようにフィルム(包装材)送り機構を駆動制御することで、各種長さを有する製品袋及びヘッダを同一の包装材により連設した連包袋からなる包装品を得ることが提案されている(特許文献6)。エンドシール機構によるシール動作周期を一定にしたまま、連続的に搬送される包装材の搬送速度を変速することで、同一の包装材からなる連包袋の包装品について、製品袋の長さやヘッダ部の長さを容易に変更することを図っている。
【0026】
図12は、従来、行われているアジャストローラによる袋包装体への印刷位置調整を説明する概念図である。図12では、包装材や袋包装体については模式的に示し、横シール装置16を除いた包装機部を省略するなどして簡略図示している。包装材(帯状包装材Fw、筒状包装材Ft)は、カッター手段17を内蔵する横シール装置16の充分上流側の位置に設けられているアジャストローラ5において、貯留量が調整される。アジャストローラ5の更に上流側に包装材に日付等の印刷を行う印字装置4が配置されている。アジャストローラ5の位置を調整することによって、カッター手段17によって切断される包装材(筒状包装材Ft)のカット位置Pcから印字装置4が配設されている印字装置位置P1までに延びる包装材経路長さFLが変化する。包装材経路長さFLを変えることによって、包装材(帯状包装材Fw)上の印字されるべき印字位置(印字欄の位置)P2を包装材送り方向に調整することができる。なお、印字装置位置P1は、正確には、印字装置4が印字を行う印字ヘッドの包装材送り方向で見ての位置であり、間欠作動式の印字装置4にあっては、包装機においては固定の定位置である。
【0027】
図13は、単包(単一の袋包装体毎に切り離された袋包装体)の場合とヘッダ付き連包の場合について従来行われている印字位置調整を示す模式図である。図13(a)に示す単包の場合、左側の図は、アジャストローラ5が最上位置である上限の位置を占めるときに、包装材(帯状包装材Fw)に対して印字装置位置P1が包装材上の本来の印字が施されるべき印字位置(印刷欄52内の印字位置)P2よりも上側の方向(包装材送りの順方向)に僅かではあるが長さΔL1のズレを生じている状態を示している。アジャストローラ5の位置を図示の上限位置から更に上方に移動させることはできないので、この状態は印字位置調整をするときに最も悪い条件となる。そこで、印字位置調整としては、右側の図に示すように、アジャストローラ5の位置を上限と下限間の調整範囲内の位置に移動させる。アジャストローラ5の下方向の移動により包装材は逆送りされることなるが、このとき、図示のように、印字装置位置P1を逆送りされた包装材上の印刷欄52における本来の印字位置P2に合わせることができる。
【0028】
図13(b)に示すヘッダ付き連包の場合、左側の図は、アジャストローラ5が最上位置である上限の位置を占めるときに、包装材(帯状包装材Fw)に対して印字装置位置P1が包装材上の本来の印字が施されるべき印字位置(ヘッダ部50bに最も近い最下の袋上の印刷欄52の位置)P2よりも上側の方向(包装材の順送り方向)に僅かではあるが長さΔL2のズレを生じている状態を示している。アジャストローラ5の位置を図示の上限位置から更に上方に移動させることはできないので、この状態は印字位置調整をするときに最も悪い条件となる。そこで、印字位置調整としては、右側の図に示すように、アジャストローラ5の位置を上限位置から下方に向かって調整範囲内で移動させる。アジャストローラ5の下方向の移動により包装材は逆送りされることなるが、このとき、図示のように、印字装置位置P1を逆送りされたヘッダ部50bに最も近い最下の袋上の印刷欄52における本来の印字位置P2に合わせることができる。この印字位置調整の仕方では、アジャストローラ5の調整範囲には最大のヘッダ付き連包の1セット分に相当する長さを確保することが必要となり、そのためにアジャストローラ5のための位置調整機構が大型化し、包装機に占めるスペースも大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開2003-160102号公報
【特許文献2】特開2012-096837号公報
【特許文献3】特開平10-181721号公報
【特許文献4】特開2016-124610号公報
【特許文献5】特開平07-285510号公報
【特許文献6】特開2009-083894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
そこで、一台で、低価格の間欠式印字装置を使用しつつ多種多様な複数の袋包装体が繋がった連包包装体を製造するための製袋充填包装機として、包装材の送りの構造に工夫を凝らして、構造の複雑化やスペースやコストの増加を伴うことなく、間欠機と連続機のどちらの作動モードであっても選択可能にする点で解決すべき課題がある。
【0031】
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、一台で、低価格の間欠式印字装置を使用しつつ多種多様な複数の袋包装体が繋がった連包包装体を製造するのに、包装材の送りを行う構造が簡素で、省スペースで且つ低コストであって、間欠機と連続機のどちらの作動モードも選択可能である製袋充填包装機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記の課題を解決するため、この発明による製袋充填包装機は、
帯状包装材の送り経路に近接して配設されていて当該帯状包装材に印字を施す印字装置と、前記印字装置よりも前記帯状包装材の送り方向下流側において手繰り動作によって前記帯状包装材の手繰り量を増減させる手繰り機構が配設されている包装材供給部と、
当該包装材供給部から供給される前記帯状包装材から包装袋を形成しつつ前記包装袋内に製品を充填し前記製品を収容した前記包装袋を封鎖して袋包装体を製造することを順次繰り返し、複数の前記袋包装体が連なる毎に切断することにより連包袋包装体を次々に製造する製袋充填包装機部を備えている製袋充填包装機であって、
前記製袋充填包装機は、前記手繰り機構の前記手繰り動作を不作動として前記包装材供給部から間欠的に送られてくる前記帯状包装材に基づいて前記連包袋包装体を製造する間欠作動モードと、前記手繰り動作をする前記手繰り機構を通じて前記包装材供給部から停止することなく連続的に送られてくる前記帯状包装材に基づいて前記連包袋包装体を製造する連続作動モードとの間で選択的に切り替え可能であり、
前記帯状包装材に対して前記印字装置が近接して配設されている前記送り経路は前記帯状包装材が停止状態を挟んで間欠的に送られる間欠送り経路であり、
前記印字装置は、前記間欠送り経路において前記各包装袋に対応して間欠送りの前記停止状態にある前記帯状包装材に対して前記帯状包装材の送り方向に位置を変えることなく印字を施す間欠作動式の印字装置であり、
前記手繰り機構は、シャトル動作をする手繰りローラを備えているとともに、前記間欠送り経路から折り返された前記帯状包装材が前記手繰りローラに巻き掛けられて延びる手繰り経路を定めており、
前記シャトル動作に基づいて前記手繰りローラの位置を変更することにより前記手繰り経路における前記帯状包装材の前記手繰り量が増減されること
から成っている。
【0033】
この製袋充填包装機は、基本的に、印字装置及び手繰り機構が配設されている包装材供給部と、帯状包装材から包装袋を形成しつつ、包装袋内に製品を充填し製品を収容した包装袋を封鎖して袋包装体を製造することを順次繰り返して、複数の袋包装体が連なる毎に切断することにより連包袋包装体を製造する製袋充填包装機部とを備えており、当該製袋充填包装機は、帯状包装材を間欠的に送りながら連包袋包装体を製造する間欠作動モードと、包装材供給部における手繰り機構の働きにより帯状包装材を連続的に送りながら連包袋包装体を製造する連続作動モードとの間で作動モードを選択的に切り替え可能である。
製袋充填包装機が間欠作動モードに選択されている場合には、手繰り動作を不作動として、間欠送り経路において間欠送りされる帯状包装材は間欠送りのまま製袋充填包装機部に供給される。製袋充填包装機が連続作動モードに選択されている場合には、間欠送り経路において間欠送りされる帯状包装材は手繰り機構の働きにより停止することのない連続送りとして製袋充填包装機部に供給される。
製袋充填包装機がいずれの作動モードに選択されていても、間欠送り経路を送られる帯状包装材に対して近接して配設されている間欠作動式の印字装置は、各包装袋に対応して間欠送りの停止状態にある帯状包装材に対して帯状包装材の送り方向に位置を変えることなく印字を施すことができる。
印字装置よりも帯状包装材の送り方向下流側に配置されている手繰り機構は、シャトル動作をする手繰りローラを備えているとともに、間欠送り経路から折り返された帯状包装材が手繰りローラに巻き掛けられて延びる手繰り経路を定めているので、手繰り経路の帯状包装材についてはシャトル動作による手繰りローラの移動量の2倍の長さの手繰り量が得られ、手繰り機構の構造がコンパクトでありながら効率の良い手繰り量が得られる。したがって、複数の袋包装体が連なることで長くなった連包袋包装体であっても手繰りローラの位置調整量を少なくし、連包袋包装体単位で各袋包装体への印字位置の調整を容易に且つコンパクトに行うことができ、包装材供給部延いては製袋充填包装機の構造が簡素化され且つ省スペースとなる。
シャトル動作に基づいて手繰りローラの位置を変更することにより手繰り経路における帯状包装材の手繰り量が増減されるので、製袋充填包装機が連続作動モードに選択されている場合であっても、帯状包装材は製袋充填包装機部に支障無く連続的に供給される。
【0034】
この製袋充填包装機において、前記手繰りローラがする前記シャトル動作の動作方向は前記間欠送り経路と平行な方向であり、前記手繰り経路は前記間欠送り経路に沿って延びているとすることができる。
手繰りローラがするシャトル動作の動作方向は間欠送り経路と平行な方向とされるので、間欠送り経路から折り返されて延びる手繰り経路は、間欠送り経路に沿って平行な方向に延びる経路になり、手繰り機構の構造を簡素にしつつ間欠送り経路に沿って省スペースな構造にするとともに、手繰り経路における充分な長さの帯状包装材を効率良く手繰りし且つ後続の製袋充填包装機部に向かって繰り出すことができる。
【0035】
この製袋充填包装機において、前記包装材供給部において前記帯状包装材の前記製袋充填包装機部への供給と前記印字装置による前記帯状包装材への印字を制御するとともに、前記間欠作動モードと前記連続作動モードのいずれのモードにおいても前記包装袋の形成、前記包装袋内への前記製品の充填と前記包装袋の封鎖による前記袋包装体の製造、及び複数の前記袋包装体が連なる毎の前記連包袋包装体の製造をそれぞれ連係制御する制御装置を備えており、前記制御装置は、前記間欠作動モード又は前記連続作動モードが選択されることに応じて、それぞれ前記製袋充填包装機部への前記帯状包装材の供給が間欠的又は連続的となるように、前記手繰り機構の前記手繰り動作を前記不作動に制御又は前記手繰り機構を前記手繰り動作に制御することができる。
この製袋充填包装機によれば、包装材供給部において帯状包装材の製袋充填包装機部への供給と印字装置による帯状包装材への印字を制御する制御装置を備えており、当該制御装置は、製袋充填包装機が間欠作動モードと連続作動モードのいずれの作動モードに選択される場合においても、包装袋の形成、包装袋内への製品の充填及び包装袋の封鎖による前記袋包装体の製造、印字装置による帯状包装材への印字、並びに複数の前記袋包装体が連なる毎の前記連包袋包装体の製造をそれぞれ連係制御する。製袋充填包装機が間欠作動モードに選択される場合には、制御装置は、手繰り機構の手繰り動作を不作動に制御して製袋充填包装機部への帯状包装材の供給を間欠的にする。製袋充填包装機が連続作動モードに選択される場合には、制御装置は、手繰り機構を手繰り動作に制御して製袋充填包装機部への帯状包装材の供給を連続的にする。
【0036】
この製袋充填包装機は、前記製袋充填包装機部を、前記包装材供給部から供給された前記帯状包装材を略筒状に曲成するフォーマと、前記フォーマによって曲成された略筒状の帯状包装材が外周面を巻き囲む状態で当該外周面に沿って走行案内するとともに、内部を通して前記製品が投入可能である充填筒と、前記略筒状の帯状包装材の両側端縁部に縦シールを施すことにより前記略筒状の帯状包装材を筒状包装材に形成する縦シール装置と、前記筒状包装材に横断的に横シールを施すことにより、前記筒状包装材から、先行して形成された前記包装袋を封鎖して前記袋包装体を製造するとともに後続の前記包装袋を形成する横シール装置を備えていて、前記包装材供給部から供給される前記帯状包装材が縦方向下方に向かって送られる間に、前記帯状包装材から前記包装袋を形成しつつ前記包装袋内に前記製品を充填し前記製品を収容した前記包装袋を封鎖して前記袋包装体を製造することを順次繰り返し、複数の前記袋包装体が連なる毎に前記連包袋包装体を連続的に製造する縦型製袋充填包装機部とする縦型製袋充填包装機であり、
前記包装材供給部において、前記帯状包装材の前記間欠送り経路は、前記帯状包装材の送り方向を上方向として縦方向に延びており、
前記手繰り経路を通過した前記帯状包装材が前記フォーマに供給され、
前記制御装置は、前記縦型製袋充填包装機が前記間欠作動モードに選択される場合には、前記縦シール装置と前記横シール装置をそれぞれ前記筒状包装材の送り方向には不動とした状態で前記縦シール又は前記横シールを施す動作を制御し、前記縦型製袋充填包装機が前記連続作動モードに選択される場合には、前記縦シール装置と前記横シール装置をそれぞれ前記筒状包装材の送り方向を含めた循環動作をさせる中で前記縦シール又は前記横シールを施す動作を制御することができる。
この製袋充填包装機は、製袋充填包装機部を、フォーマ、充填筒、縦シール装置及び横シール装置を備えていて、充填筒が縦方向に配置されている、所謂、縦型製袋充填包装機における縦型製袋充填包装機部とする縦型製袋充填包装機である。縦型製袋充填包装機部は、包装材供給部から供給される帯状包装材が縦方向下方に向かって送られる間に、帯状包装材から包装袋を形成しつつ包装袋内に製品が充填され製品を収容した包装袋を封鎖して袋包装体を製造することを順次繰り返して、複数の袋包装体が連なる毎に当該連なりを単位とする連包袋包装体を製造する。
制御装置は、縦型製袋充填包装機が間欠作動モードと連続作動モードのいずれかに選択されることに応じて、縦シール装置と横シール装置の動作を作動モードに応じた動作に制御する。包装材供給部においては、帯状包装材の間欠送り経路は、帯状包装材の送り方向を上方向として縦方向に延びており、手繰り経路を通過した帯状包装材がフォーマに供給されるので、間欠送り経路が縦型製袋充填包装機部の縦方向に合致する態様となって製袋充填包装機内においてコンパクトに構成される。したがって、間欠送り経路からその上端に配置されている手繰り機構を経て、縦型製袋充填包装機部の上部に配置されているフォーマに至る帯状包装材の経路が簡素化され、製袋充填包装機の全体構造もコンパクト化される。
【0037】
この製袋充填包装機において、前記制御装置は、前記製袋充填包装機が前記間欠作動モードに選択される場合には、前記手繰り動作が前記不作動に制御されるときの前記手繰りローラの位置を調整することにより、或いは前記製袋充填包装機が前記連続作動モードに選択される場合には、前記手繰り機構が前記手繰り動作停止状態に制御されるときの前記手繰りローラの位置を調整することにより、前記印字装置による前記帯状包装材に対する前記帯状包装材の送りに沿う方向の印字位置を前記連包袋包装体単位で前記各包装袋に対応して調整することができる。
この製袋充填包装機によれば、手繰り機構を、印字装置による帯状包装材への印字の際に、連包袋包装体単位で各包装袋に対応して帯状包装材の送りに沿う方向の印字位置の調整に利用することができる。その場合、調整量が最大となる条件では調整長さ自体は連包袋包装体単位の長さにも匹敵するものとなるが、手繰り機構を利用していることで、印字位置調整に用いる手繰りローラのシャトル動作の動作量としては充分に短縮化することができる。印字位置調整は、連包袋包装体単位で調整することになり、連包袋包装体単位内の各包装袋に対しては一律の調整となる。
製袋充填包装機が間欠作動モードに選択される場合には、手繰り動作が不作動に制御されるときの手繰りローラの位置を調整することで、帯状包装材の送りに沿う方向の印字位置の調整を行うことができる。製袋充填包装機が連続作動モードに選択される場合には、手繰り動作停止状態に制御されるときの位置を調整することにより、帯状包装材の送りに沿う方向の印字位置の調整を行うことができる。この場合、本来、帯状包装材を連続的に供給するために用いられる手繰りローラを印字位置の調整用として兼用させることができるので、印字位置の調整のための専用構成を設ける必要がなく、構造の簡素化に寄与することができる。
【0038】
この製袋充填包装機において、前記連包袋包装体は、複数の前記袋包装体が連なって成る連包袋包装体部と、前記連包装体部に接続されたヘッダ部とから成るヘッダ付き連包袋包装体であり、前記制御装置は、前記ヘッダ部の長さを前記包装袋の長さと異ならせるため、前記ヘッダ部を形成する際の前記帯状包装材の送り速度を、前記包装袋を形成する際の前記帯状包装材の送り速度から変速させるとともに、前記ヘッダ部を空の包装袋とするため、前記製品の充填を行わない制御をすることができる。
この製袋充填包装機によれば、ヘッダ部は、包装袋と同じく帯状包装材から包装袋と連続して形成することができる。ヘッダ部の長さを包装袋の長さと異ならせる(通常は、包装袋の長さよりも充分に短い)ため、ヘッダ部を形成する際の帯状包装材の送り速度を、包装袋を形成する際の帯状包装材の送り速度から変速させる(通常は、帯状包装材の送り速度を遅くする)。これにより、横シール装置の作動タイミングの制御については、ヘッダ部を形成する際と包装袋を形成する際とで、変更させる必要がなくなる。ヘッダ部は、内部に製品が充填されないので、空包装袋として形成される。
また、制御装置は、ヘッダ部に相当する帯状包装材の位置については、印字装置による印字を不作動としてヘッダ部に印刷をしないようにしてもよいが、ヘッダ部のデザインによっては、印字装置による印字を作動させてヘッダ部に印字を施してもよい。
【0039】
この製袋充填包装機において、前記横シール装置は進後可能なカッター刃を備えたカッター手段を内蔵しており、前記制御装置は、前記カッター手段の前記カッター刃の進出量を制御可能であり、前記連包袋包装体部において互いに隣接し合う前記袋包装体の間及びヘッダ部と当該ヘッダ部に隣接する前記袋包装体の間においては部分的に切断されたミシン目を形成するため前記カッター刃の進出量を短くする制御をし、前記複数の袋包装体が連なる毎に先行して製造される前記ヘッダ付き連包袋包装体とそれに後続する前記ヘッダ付き連包袋包装体との間を完全に切断して切り離すため前記カッター刃の進出量を長くする制御をすることができる。
この製袋充填包装機によれば、横シール装置はカッター手段を内蔵している。カッター手段は進退可能な鋸刃条のカッター刃を備えており、制御装置は、カッター刃の進出量を制御して、連包袋包装体部において互いに隣接し合う前記袋包装体の間及びヘッダ部と当該ヘッダ部に隣接する前記袋包装体の間においては、カッター刃の進出量を短く制御することで、横シール部に部分的な切断されたミシン目を形成する。先行して製造される連包袋包装体とそれに後続する連包袋包装体との間では、カッター刃の進出量を長くする制御をすることで、完全に切断して切り離すことができる。
【0040】
この製袋充填包装機において、前記手繰り機構は、手繰りローラ用サーボモータ、当該手繰りローラ用サーボモータの出力軸に取り付けられたプーリと当該プーリに巻き掛けられるベルトを備えるベルト・プーリ機構、及び当該ベルト・プーリ機構の前記ベルトに取り付けられており、且つ前記手繰りローラを回転自在に支持するとともに前記手繰り経路に沿う方向にガイドされるスライドユニットを備えており、前記制御装置は、手繰りローラ用サーボモータの回転出力を制御し、前記ベルト・プーリ機構と前記スライドユニットとを介して、前記手繰りローラの前記手繰り経路に沿う方向の前記シャトル動作を制御することにより、前記印字装置による前記帯状包装材に対する前記帯状包装材の送りに沿う方向の印字位置を調整することができる。
この製袋充填包装機によれば、手繰り機構を、操作性が良く制御精度の高い手繰りローラ用サーボモータを用いて構成することにより、手繰り動作を精度良く確実に行うことができる。
【0041】
この製袋充填包装機において、前記制御装置は、前記製袋充填包装機の作動モードを、前記連包袋包装体単位で切り離して製造する連包製造作動モードと前記単一袋包装体単位で切り離して製造する単包製造作動モードとの間で作動を切り換える連包・単包モード切換え機能を備えており、当該連包・単包モード切換え機能において前記連包製造作動モードと前記単包製造作動モードとの間で切り換えが行われたことに応じて、前記製袋充填包装機を切換え後の前記連包製造作動モード又は前記単包製造作動モードで作動することができる。
この製袋充填包装機によれば、制御装置における連包・単包モード切換え機能によって、一台の製袋充填包装機で、連包袋包装体単位で切り離して製造することも、単一袋包装体単位で切り離して製造することも可能となり、多品種少量生産等の多様化に対応することができる。
【発明の効果】
【0042】
この発明による製袋充填包装機は、上記のように構成されているので、次に掲げる発明の効果を奏することができる。
製袋充填包装機が間欠作動モードと連続作動モードのいずれの作動モードに選択されていても、間欠送り経路において帯状包装材に対して近接して配設されている間欠作動式の印字装置は、間欠送りの停止状態にある帯状包装材に対して帯状包装材の送り方向に位置を変えることなく印字を施すことができる。
印字装置よりも帯状包装材の送り方向下流側に配置されている手繰り機構は、シャトル動作をする手繰りローラを備えているとともに、間欠送り経路から折り返された帯状包装材が手繰りローラに巻き掛けられて延びる手繰り経路を定めているので、手繰り経路の帯状包装材についてはシャトル動作による手繰りローラの移動量の2倍の長さの手繰り量が得られる。即ち、連包袋包装体を製造する場合に連包袋包装体が長く延びる形態であっても、手繰り機構の構造は手繰り経路の方向に長くならずコンパクトであり、シャトル動作をする手繰りローラは同じストローク量でも調整量は2倍となるので効率の良い手繰り量を得ることができる。また、包装機内では手繰りローラのシャトル機構それ自体には広い内部スペースが必要でなく、包装材供給部延いては製袋充填包装機の構造が簡素化され且つ省スペースとなる。見方を変えれば、広い内部スペースが必要ないので、包装機側に種々のスペース上又は構造上の制約が生じるのを回避することができる。
シャトル動作に基づいて手繰りローラの位置を変更することにより手繰り経路における帯状包装材の手繰り量が増減されるので、製袋充填包装機が間欠作動モードに選択されている場合には、手繰り機構による手繰り動作が不作動とされるので、間欠送りされる帯状包装材がそのまま製袋充填包装機部に供給される。製袋充填包装機が連続作動モードに選択されている場合には、帯状包装材は製袋充填包装機部に支障無く連続的に供給される。 このように、一台で低価格の間欠式印字装置を使用しつつ、複数の袋包装体が連なる毎に切断することにより連包袋包装体を製造する場合に、間欠機と連続機のいずれかを選択して多種多様な袋包装体を製造することができ、しかも包装材供給部の構造が簡素で、省スペースで且つ低コストで実現される製袋充填包装機を提供することができる。
【0043】
この製袋充填包装機によれば、手繰りローラの位置を調整することにより、手繰り機構を、印字装置による帯状包装材への印字の際に、連包袋包装体単位で各包装袋に対応して帯状包装材の送りに沿う方向の印字位置の調整に利用することができる。印字位置調整は、連包袋包装体単位で調整することになり、連包袋包装体単位内の各包装袋に対しては一律の調整となる。調整量が最大となる条件では調整長さ自体は連包袋包装体単位の長さにも匹敵するものとなるが、手繰り機構を利用していることで、手繰りローラのシャトル動作の同じ動作量に対して2倍の印字位置調整を得ることができ、印字位置調整のための構造を簡素にして省スペースに構成することができる。
製袋充填包装機が間欠作動モードに選択される場合には、手繰り動作が不作動に制御されるときの手繰りローラの位置を調整すること、即ち、印字位置上下調整用のガイドローラのように使用することで、帯状包装材の送りに沿う方向の印字位置の調整を行うことができる。
製袋充填包装機が連続作動モードに選択される場合には、手繰りローラが手繰り動作停止状態に制御されるときに手繰りローラの位置を調整することにより、帯状包装材の送りに沿う方向の印字位置の調整を行うことができる。手繰り機構の手繰りローラのシャトル動作は、印字位置調整後の手繰りローラの位置を基準として行われる。この場合、本来、帯状包装材を連続的に供給するために用いられる手繰りローラを印字位置の調整用として兼用させることができるので、印字位置の調整のための専用構成を設ける必要がなく、構造の簡素化に寄与することができる。
この製袋充填包装機によれば、印字装置の包装材送り方向の位置調整をコンパクトで、省スペースを取らず、低コストで実現することができる。また、手繰りローラをサーボモータ駆動式とすることで、印字位置の調整を高い操作性と精度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1は、この発明による製袋充填包装機の一実施例を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す製袋充填包装機に備わる手繰り機構の一例を示す斜視図である。
図3図3は、図1に示す製袋充填包装機に備わる制御装置の一例を示すブロック図である。
図4図4は、図3に示す制御装置のブロック図に対応した制御フローチャートの一例を示す図である。
図5図5は、連包袋包装体単位で行われる印字位置調整を説明する概略図である。
図6図6は、従来の間欠作動式の製袋充填包装機の一例を示す斜視図である。
図7図7は、従来の連続作動式の製袋充填包装機の一例を示す斜視図である。
図8図8は、従来の製袋充填包装機に備わるアジャストローラの調整機構の一例を示す正面図である。
図9図9は、図6又は図7に示す製袋充填包装機に備わる印字装置の左右位置調整機構の一例を示す図である。
図10図10は、ヘッダ付き連包袋包装体の一例を示す正面図である。
図11図11は、ヘッダ付き連包袋包装体を製造する製袋充填包装機の動作説明をするタイミングチャートである。
図12図12は、アジャストローラによる袋包装体への印刷位置調整を説明する模式図である。
図13図13は、袋包装体の場合とヘッダ付き連包袋包装体の場合について従来行われている印字位置調整を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による製袋充填包装機の実施例を説明する。図1はこの発明による製袋充填包装機の一実施例を示す斜視図である。図示の製袋充填包装機は、ヘッダ付き連包袋包装体50を製造する連続式の縦型製袋充填包装機1として示されている。ヘッダ付き連包袋包装体50は、図10に示したように、最下の1袋目の袋包装体Bp1から最上の4袋目の袋包装体Bp4までそれぞれミシン目51で区切られて縦に連なる四つの袋包装体からなる連包袋包装体部50aと、連包袋包装体部50aの最上にミシン目51で区切られて連なるヘッダ部50bとから成る包装体である。帯状包装材Fw上には、各包装袋Bのデザインとして製造月日等が印刷される印刷欄52が描かれており、ヘッダ部50bには吊り下げ用の孔53が形成される。図1には、先行して製造されたヘッダ付き連包袋包装体50のヘッダ部50bを含む上部と、縦型製袋充填包装機1で製造中の後続のヘッダ付き連包袋包装体50の下部が示されている。以下、特に言及する場合を除いて、「縦型製袋充填包装機」については「包装機」と略記し、連包袋包装体については「連包」(「ヘッダ付き」の場合には「ヘッダ付き連包」)と、「連包袋包装体部」については「連包部」と、単一の袋包装体については「単包」と略記する。
【0046】
図1に示す包装機1は、帯状包装材Fwを送る包装材供給部2と、包装材供給部2から供給された帯状包装材Fwから包装袋Bを形成しつつ製品Aが充填された袋包装体Bpを製造する製袋充填包装機部(「縦型製袋充填包装機部」でもある。「包装機部」と略す。以下、同様)3を備えている。包装機1は、製造する包装体が連包50である点、包装材供給部2において手繰り動作によって帯状包装材Fwの手繰り量を増減させる本発明特有の構成である手繰り機構60が配設されている点、及び後述する制御装置が本発明特有の制御を行うことがある点で異なる以外、基本的に図7に示した既存の連続式の包装機1bと変わるところはない。したがって、包装機1において、図6図7に示した包装機1a,1bに備わる構成要素と同等の構成要素については、図6図7において用いた符号と同じ符号を付することにより、これらの部品、要素についての再度の説明を省略する。
【0047】
包装機1の包装材供給部2において、帯状包装材Fwに対して印字装置4が近接して配設されている送り経路Wsは帯状包装材Fwが間欠的に送られる間欠送り経路(以下、間欠送り経路Wsと表記する)である。間欠送り経路Wsにおける帯状包装材Fwの間欠送りは、元々、包装材ロールFrから送られる間欠送りをそのまま続けて送る態様でもよく、或いは図示のように、上流側に配設される張力付与機構10の貯留機能を働かせて包装材ロールFrから連続的に送られる帯状包装材Fwを間欠送り化させる態様であってもよい。印字装置4は、間欠送り経路Wsにおいて間欠送りの停止状態にある帯状包装材Fwに対して位置を変えることなく印字を施す間欠作動式の印字装置である。印字装置4を間欠作動式のものとすることで、連続作動式の印字装置よりも調達コストの低減を図ることができる。
【0048】
包装機1の包装材供給部2には、印字装置4 よりも帯状包装材Fwの送り方向下流側において手繰り機構60が配設されている。手繰り機構60は、手繰り動作によって帯状包装材Fwの手繰り量を増減させる機構であり、位置的には、縦方向にストレートに延びる間欠送り経路Wsの最上部に設けられているガイドローラ9aと、包装機部3に備わるフォーマ11に向かう水平経路Whとして帯状包装材Fwを水平方向にガイドするガイドローラ9c(包装材供給部2に備わる最後のガイドローラ)との間に配設されている。手繰り機構60は、ガイドローラ9aと、ガイドローラ9aに近接・平行に併設されているガイドローラ9bとの間で縦方向にシャトル動作をする手繰りローラ61を備えている。ガイドローラ9a,9bは回転自在であるが、それらの軸線位置は固定である。手繰りローラ61は、それ自体が回転自在であって、且つ帯状包装材Fwが巻き掛けられる状態で軸線位置がシャトルのように往復自在に移動可能とされているローラである。
【0049】
手繰り機構60は、間欠送り経路Wsから折り返された帯状包装材Fwがガイドローラ9a、手繰りローラ61及びガイドローラ9bの順に巻き掛けられて延びる手繰り経路Wpを定めている。手繰りローラ61のシャトル動作の動作方向(回転軸線が移動する移動方向)は縦方向に延びる間欠送り経路Wsと平行な方向であるので、手繰り経路Wpも間欠送り経路Wsに沿って縦方向に延びている。したがって、手繰り機構60は、間欠送り経路Wsの上端に連なり且つ間欠送り経路Wsに沿って配置されることになり、構造簡素であって包装材供給部2、延いては包装機1の構造が過大に複雑化することがなく、且つ過剰に嵩張ることなく省スペースに配置することができる。
【0050】
手繰り機構60においては、手繰りローラ61のシャトル動作によって手繰り経路Wpにおける帯状包装材Fwの手繰り量が増減される。シャトル動作に基づく帯状包装材Fwの手繰り量は手繰りローラ61の移動量の2倍の長さになるので、手繰り機構60の構造がコンパクトでありながら手繰り量が効率良く得られ、手繰り経路Wpにおいて充分な長さの帯状包装材Fwを効率良く手繰りし、且つ包装機1が連続作動モードに選択されている包装機部3に向かって連続的に繰り出すことができる。
【0051】
図2は、図1に示す包装機に備わる手繰り機構の一例を示す斜視図である。図2には、手繰り機構60において、サーボモータの回転出力を直線運動に変換して手繰りローラ61にシャトル動作をさせる機構が示されている。即ち、機械フレーム(図示せず)には手繰りローラ用サーボモータ62が取り付けられており、手繰りローラ用サーボモータ62の回転出力を直線運動に変換するベルト・プーリ機構63が設けられている。ベルト・プーリ機構63は、手繰りローラ用サーボモータ62の出力軸に取り付けられた駆動プーリ64、機械フレームに回転自在に指示された従動プーリ66及び両プーリ64,66に巻き掛けられて手繰り経路Wpに沿う方向に延びているタイミングベルト65を備えている。タイミングベルト65には、ベルトクランプ67が固定されている。
【0052】
機械フレームには、手繰り機構60の手繰り経路Wpに沿う方向に延びる一対の平行なサポートシャフト69,69が設けられており、ベルトクランプ67に取り付けられたスライドユニット68がその両端においてサポートシャフト69,69に沿ってスライド案内されている。スライドユニット68には、手繰りローラ61がその両端において適宜のアタッチメントを介して回転自在に支持されている。手繰りローラ用サーボモータ62の駆動(回転方向と回転量)を制御することにより、手繰りローラ用サーボモータ62の回転出力はベルト・プーリ機構63及びベルトクランプ67を介してスライドユニット68のサポートシャフト69,69に沿う方向のスライド動作、即ち、手繰りローラ61のシャトル動作に変換される。
【0053】
図3は、図1に示す包装機に備わる制御装置の一例を示すブロック図である。図3に示すブロック図には、包装機1を構成する各装置や手段と制御装置70の基本的な関係が示されている。連包50を製造するための包装動作に必要な袋長さや袋個数、ヘッダ長さ、包装速度等の各種設定項目が設定部80によって制御装置70の演算部71に入力され、必要な事項がメモリ72に記憶される。制御装置70は、演算部71からそれぞれ作動タイミングや動作量等についての指令が出力される製品供給制御部73、包装材送り制御部74、縦シール制御部75、横シール制御部76、カッター制御部77及び印字位置調整制御部78を備えている。
【0054】
製品供給制御部73は、計量機を含む製品供給装置(広義の計量機)に制御信号を出力して、製品Aの包装機1への投入のタイミングや供給量を制御する。包装材送り制御部74は、包装材供給部2における包装材ロールFrの繰出し装置や手繰り機構60、及び包装機部3における吸引機能を備えた無端のタイミングベルトを用いる包装材送り装置14に制御信号を出力して、これら装置や機構による帯状包装材Fw(筒状包装材Ft)の送りのタイミングや送り量を制御する。縦シール制御部75は、縦シール装置15に制御信号を出力して、縦シール装置15において、帯状包装材Fwの両側縁部分fe,feを貼り合わせて筒状包装材Ftを形成するための作動タイミングや縦シール強度等を制御する。横シール制御部76は、横シール装置16に制御信号を出力して、横シール装置16において、筒状包装材Ftを横断方向にシールして横シール部Seを形成するための作動タイミングや横シール強度等を制御する。カッター制御部77は、例えば横シール装置16内に組み込まれたカッター手段17(そのための駆動装置を含む)に制御信号を出力して、横シール部Seを完全に切断して連包(又はヘッダ付き連包)50を筒状包装材Ftから分離・切断する、或いは横シール部Seを不連続的に切断して各袋包装体Bp間又はヘッダ部50bと袋包装体Bpの間にミシン目を形成するようにカッター手段17の作動タイミングやカッター刃のストローク量等を制御する。印字位置調整制御部78の詳細については後述するが、帯状包装材Fwへの印字位置の初期設定の場合や印字位置にズレが生じた場合には、連包50単位で帯状包装材Fwへの印字位置の調整の制御を行う。制御装置70は、演算部21から各制御部73~78を通じて各装置・手段に動作制御信号を送って製袋充填動作を行ない、この製袋充填動作に従って縦シール部Scの形成から、製品Aの充填、横シール部Seの形成と横シール部Seの完全な切断による筒状包装材Ftからの連包(又はヘッダ付き連包)50の切離し、又は連包(又はヘッダ付き連包)50内における横シール部Seへのミシン目の形成までの一連の動作と必要となった印字位置の調整を制御する。
【0055】
包装機1は、手繰り機構60の手繰り動作を不作動として包装材供給部2から帯状包装材Fwが停止と搬送を繰り返す態様で間欠的に搬送される中で袋包装体Bp(ヘッダ部50bを含む)を製造する間欠作動モードと、包装材供給部2の手繰り機構60から帯状包装材Fwが停止することなく連続的に搬送される中で袋包装体Bp(ヘッダ部50bを含む)を製造する連続作動モードとの間で選択的にモード切り替え可能である。作動モードの選択は、設定手段80において、オペレータが包装機1の作動モードをいずれかの作動モードに選択することで行われる。制御装置70の演算部71には作動モード制御部71aが設けられており、作動モードの選択後は、作動モード制御部71aは、包装機1が設定手段80によって選択された作動モードに従って作動するように、各制御部、即ち、包装材送り制御部74、縦シール制御部75、横シール制御部76及び印字位置調整制御部78に指令を出力する。
【0056】
包装機1において製造される包装体が連包50であることに応じて、設定手段80においては、主要な項目として各袋包装体Bpの長さと個数、ヘッダ部50bの長さ、袋毎の製品A(ヘッダ部50bは空の袋包装体Bpeとしたが、付属品や景品を包装するとしてもよい)等が設定される。また、演算部71は、製造する包装体を連包と単包との間で切り換える機能を奏するために連包・単包切換え制御部71bを備えており、連包・単包切換え制御部71bにおいて包装機が連包50(又は単包)を製造する作動モードに選択されている場合には、各制御部73~78に連包50(又は単包)を製造することに応じた制御信号を出力する。製品供給制御部73は、製品供給装置を制御して、設定手段80で設定された各袋と製品Aの対応関係に従って製品を供給する。包装材送り制御部74は、連包50のヘッダ部50bの形成に対応して包装材(筒状包装材Ft)の送りを変速(ヘッダ部50bの長さが短いことに対応して減速)する制御を行う。カッター制御部77は、連包50の単位内においては、連包部50aの隣接する各袋包装体Bp1~Bp4間、及び袋包装体Bp4とヘッダ部50bの間ではカッター装置17のカッター刃17aの進出ストロークを短くして横シール部Seにミシン目51を形成し、先行して製造される連包50と後続の製造中の連包50との境界となる横シール部Seを切断する。
【0057】
包装機1が間欠作動モードに選択されている場合には、包装材供給部2において手繰り機構60における手繰り動作が不作動とされるので、間欠送り経路Wsを間欠送りされる帯状包装材Fwは連包50同士間を渡る場合も含めて間欠送りのまま包装機部3に供給される。包装機1が連続作動モードに選択されている場合には、包装材供給部2において間欠送り経路Wsを間欠送りされる帯状包装材Fwは、手繰り機構60の働きにより連包50の範囲内の各単包に対応する帯状包装材Fwの部分に手繰り作用を及ぼして連続送り化するのみならず、連包50同士間に対応する帯状包装材Fwの部分についても同様に連続送り化されて包装機部3に供給される。いずれの作動モードに選択されている場合も、間欠送り経路Wsを送られる帯状包装材Fwに対して近接して配設されている間欠作動式の印字装置4は、間欠送りの停止状態にある帯状包装材Fwに対して縦方向(帯状包装材Fwの送り方向)に位置を変えることなく印字を施すことができる。
【0058】
包装材供給部2で供給される帯状包装材Fwにおける印字位置が本来位置から帯状包装材Fwの送り方向にズレが生じた(図示しない検出手段にて帯状包装材Fw上の基準となるレジマークとの間で印字位置のズレを検出する)ときには、印字位置の調整が行われる。包装機1によって製造する包装体が連包50であることに応じて、印字位置の調整については、印字位置調整制御部78による調整制御の簡素化を図るため、連包50単位で帯状包装材Fwへの印字位置を調整することとし、連包50単位内の各単包に対応する帯状包装材Fwについては個別に調整せず一律に調整する。
【0059】
印字装置4による帯状包装材Fwへの印字位置の調整は、帯状包装材Fwへの印刷位置のズレ量に応じて、手繰り機構60を利用した手繰りタイミングと帯状包装材FWの手繰り量を制御することにより、連包50単位で行われる。制御装置70は、包装機1が間欠作動モードに選択される場合には、手繰り動作が不作動に制御されるときの手繰りローラ61の位置を調整することにより、或いは包装機1が連続作動モードに選択される場合には、手繰り機構60が手繰り動作停止状態に制御されるときの手繰りローラ61の位置を調整することにより、印字位置にズレが生じた場合であっても、印字位置が帯状包装材Fwの印刷欄52に合致するように、印字位置を調整することができる。手繰りローラ61の位置が調整された後に包装機1が連続動作モードでの運転に復帰するとき、手繰り機構60は調整後の手繰りローラ61の位置を基準としてシャトル動作を行う。包装機1の運転中に微小な印字位置ズレが生じた場合には、包装機1の運転を停止することなく、手繰り機構60の手繰りローラ61のシャトル動作量を微小調整することにより印字位置調整を行うことも可能である。印刷位置ズレが大きくなった場合は、包装機1の運転を停止して本来の印字位置調整が行われる。
【0060】
図4には、包装機1に備わる制御装置70による作動モード制御と連包50単位での印字位置調整制御について、フローチャートが示されている。このフローチャートにおいて、連包・単包切換え制御71bは前提として連包製造モードに切り換えられているとする。図4(a)に示されているように、包装機1の作動モードの選択については、先ず、オペレータが設定手段80において選択すべき作動モードを設定する(ステップS1(「S1」と略す。以下、同じ))。制御装置70(演算部71)では、設定手段80において選択された作動モードを判定する(S2)。
S2の判定において、選択された作動モードが間欠作動モードである場合には、作動モード制御部71aが各制御部73~78に間欠作動モードが選択されたことを指令し、各制御部73~78は間欠作動モードにて各装置や手段を作動させる。即ち、連包50の各袋包装体Bp1~Bp4及びヘッダ部50bが間欠作動モードで製造されるとともに、先行して製造された連包50と後続の連包50との間についても間欠作動モードにて横シール・切断の処理が行われる。手繰り機構60は、この間欠作動モードでの処理のために、手繰りローラ61にシャトル動作をさせないことで手繰り動作を不作動とし、包装機部3に帯状包装材Fwを間欠送りする(S3)。
S2の判定において、選択された作動モードが連続作動モードである場合には、作動モード制御部71aが各制御部73~78に連続作動モードが選択されたことを指令し、各制御部73~78は連続作動モードにて各装置や手段を作動させる。即ち、連包50の各袋包装体Bp1~Bp4及びヘッダ部50bが連続作動モードで製造されるとともに、先行して製造された連包50と後続の連包50との間についても連続作動モードにて横シール・切断の処理が行われる。手繰り機構60は、この連続作動モードでの処理のために、手繰りローラ61にシャトル動作をさせることで手繰り動作をし、装機部3に帯状包装材Fwを連続送りする(S4)。
【0061】
手繰り機構60の手繰りローラ61の位置を調整することにより、手繰り機構60は、印字装置4による帯状包装材Fwに対する帯状包装材Fwの送りに沿う方向の印字位置の調整に利用される。即ち、包装袋Bに対応した帯状包装材Fw上の印字欄52における印字位置が帯状包装材Fwの送り方向の本来位置からズレが生じたときには、図4(b)に示されているように、包装機1の作動モードが連続作動モードであるか間欠作動モードであるかが判定され(S11)、S11の判定において、包装機1が間欠作動モードに選択されている場合には、手繰り機構60による本来の手繰り動作が不作動とされているので、手繰りローラ61の位置制御を行うことで、帯状包装材Fw上の印字位置P2が印字装置位置P1に合致するように、帯状包装材Fwの印刷欄52への印字位置調整が行われる(S12)。S11の判定において、包装機1が連続作動モードに選択されている場合には、手繰り機構60の手繰り動作を停止させた状態で手繰りローラ61の位置を調整することにより、帯状包装材Fw上の印字位置P2が印字装置位置P1に合致するように、帯状包装材Fwの印刷欄52への印字位置調整が行われる(S13)。印字位置調整後、手繰り機構60においては、調整後の手繰りローラ61の位置を基準にしてシャトル動作が再開される。
【0062】
図5は、連包の場合に行われる印字位置調整を説明する概略図である。連包の場合の印字位置調整制御については、調整制御の簡素化のため、帯状包装材Fwには、一つの連包50に属する各袋包装体Bpに対応する部分について個別に印字位置調整するのでなく、手繰りローラ61の手繰り位置の調整を連包50単位で行うことにより、一つの連包50に属するすべての袋包装体Bpに対応する部分について一律の印字位置調整として行われる。包装機1の作動モードが間欠作動モードと連続作動モードのいずれであっても、印字位置調整は連包50単位で行われる。また、印字位置調を連包50単位毎に調整する場合には、製造する包装体が長尺な連包50単位であると、印字位置ズレの発生状況に応じては、最悪の条件下では、手繰り機構60による調整範囲が連包50の長さにも匹敵するほどの長さになり得る。しかしながら、包装機1では、手繰り機構60が手繰りローラ61のシャトル構造に構成されていることにより、手繰りローラ61のシャトルストローク量としては少なくとも連包50の長さの半分程度をカバーする程度のストローク量を確保すればよくなり、手繰り機構60の構造が大型化するのを回避することができる。その結果、包装機1の大型化を抑制し、省スペースに構成することができ、包装機1の手繰り機構60周囲の構造への影響や支障を緩和・回避することができる。なお、包装機1の稼働開始・再開時における印字位置の初期設定の調整についても同様である。
【0063】
図5の左側の図は、手繰り機構60の手繰りローラ61が最上位置である上限の位置を占めるときに、包装材(帯状包装材Fw)に対して印字装置4の印字装置位置P1が包装材上の本来の印字が施されるべき印字位置P2(ヘッダ部50bに最も近い最下の袋上の印刷欄52の位置)よりも上側の方向(包装材の順送り方向)に僅かではあるが長さΔLのズレを生じている状態を示している。手繰りローラ61の位置を図示の上限位置から更に上方に移動させることはできないので、この状態は印字位置調整をするときに最も悪い条件となる。そこで、印字位置調整としては、右側の図に示すように、手繰り機構60において、手繰りローラ61を一旦、上限位置から調整範囲の下方向に向かって充分な移動量(例えば下限位置に近い位置までの移動量)で移動させ、その後、上方に戻す操作を行う。手繰りローラ61の上方への戻り移動により供給経路Wsにある包装材は逆送りされることなるが、このとき、図示のように、逆送りされたヘッダ部50bに最も近い最下の袋上の印刷欄52における本来の印字位置P2を印字装置位置P1に合わせることができる。手繰りローラ61の調整範囲は最大のヘッダ付き連包の1セット分に相当する長さの半分をカバーする程度でよく、そうすることで、包装材の逆送りには最大のヘッダ付き連包長さ分の送り移動量が確保され、手繰り機構60は大型化せず、包装機1に占めるスペースも省スペースとなる。
【0064】
手繰り機構60を印字位置調整に兼用することで、印字位置の調整のための専用構成を設ける必要がなく、構造の簡素化に寄与することができる。手繰りローラ用サーボモータ62は操作性が良く且つ制御精度が高いので、手繰り機構60の手繰りローラ61の位置制御を行うことで、印刷位置制御を精度良く確実に行うことができる。
【0065】
本包装機は、一台で連続機と間欠機の兼用が可能である。図1に示した実施例は、連続機として説明したが、手繰り機構60を含めて一台の同じ構成でありながら、作動モードの選択により図6に示したように間欠機として作動させることができる。また、包装機1は、連包製造前提の構成でありながら連包・単包切換え制御により、単包(単一毎の袋包装体)の製造も可能である。本包装機1は縦型製袋充填包装機であるとして説明をしたが、横型製袋充填包装機であっても、手繰り機構60については、例えば横型のシャトル構造とするなどして、同様に構成・利用することができる。更に、実施例ではヘッダ部50bには印字が行われていないとしたが、包装袋Bに対応する帯状包装材Fwの部分への印字と同様に、ヘッダ部50bに対応する帯状包装材Fwの部分へ印字を行ってもよい。また、印字装置4については、図9に示したような左右方向(帯状包装材の幅方向)の印字位置を調整する左右位置調整機構を備えてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 縦型製袋充填包装機(包装機)
1a 縦型製袋充填包装機(間欠機である包装機)
1b 縦型製袋充填包装機(連続機である包装機)
2,2a,2b 包装材供給部 3 製袋充填包装機部(包装機部)
4 印字装置 4a ホルダ
5 アジャストローラ 9,9a,9b,9c ガイドローラ
10 張力付与機構 10a,10b ガイドローラ群
11 フォーマ 12 充填筒
13 ホッパ
14 包装材送り装置 14a,14b ベルト送り機構
15 縦シール装置 15a,15b 縦ヒートシールバー
16 横シール装置 16a,16b 横ヒートシールバー
17 カッター手段 17a カッター刃
20 位置調整機構 21,21 機体フレーム
22 リバーシブルモータ 23 プーリ
24 中間シャフト 25 プーリ
26 ベルト 27 切欠き円板
28 近接センサ 29,29 傘歯車
30,30 ネジシャフト 31,31 傘歯車
32,32 ナット体 33,33 アタッチメント
40 位置調整機構 42 リバーシブルモータ
43 プーリ 44 ネジシャフト
45 プーリ 46 ベルト
47,47 ガイドシャフト
50 ヘッダ付き連包袋包装体(連包)
50a 連包袋包装体部(連包部) 50b ヘッダ部
51 ミシン目 52 印刷欄
53 孔
60 手繰り機構 61 手繰りローラ
62 手繰りローラ用サーボモータ 63 ベルト・プーリ機構
64 駆動プーリ 65 タイミングベルト
66 従動プーリ 67 ベルトクランプ
68 スライドユニット 69,69 サポートシャフト
70 制御装置 71 演算部
71a 作動モード制御部 71b 連包・単包切換え制御部
72 メモリ 73 製品供給制御部
74 包装材送り制御部 75 縦シール制御部
76 横シール制御部 77 カッター制御部
78 印字位置調整制御部
80 設定部 81 表示装置
Fr 包装材ロール
Fw 帯状包装材 fe,fe 側端縁部
Ft 筒状包装材
Ws 供給経路 Wh 水平経路
Wp 手繰り経路
A 製品 B 包装袋
Sc 縦シール部 Se 横シール部
Bp 袋包装体 Bp1 1袋目
Bp4 4袋目 Bpe 空の袋包装体
FL 包装材経路長さ
Pc カット位置
P1 印字装置位置(印字装置4が印字しようとしている位置)
P2 印字位置(帯状包装材上の印刷されるべき位置)
ΔL,ΔL1,ΔL2 印字装置位置P1と印字位置P2のズレ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13