(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070778
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】植栽機
(51)【国際特許分類】
A01G 23/04 20060101AFI20240516BHJP
E02F 3/36 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
A01G23/04 502
E02F3/36 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041209
(22)【出願日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2022180804
(32)【優先日】2022-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】598099132
【氏名又は名称】松本システムエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】松本 良三
【テーマコード(参考)】
2D012
【Fターム(参考)】
2D012DB00
(57)【要約】
【課題】苗木の植え付け作業等を従来の装置よりも連続して効率的に行うことができる植栽機を提供する。
【解決手段】本発明は、自走式建設用機械1のアーム2に取り付けられる植栽機10であって、アームに連結されたメインフレーム14と、メインフレームに取り付けられ、苗木18を収納するストッカー20を複数個備えた回転テーブル16と、回転テーブルを回転させるテーブル用油圧モータ24と、メインフレームに取り付けられ、苗木がストッカーから落下する位置に設けられた苗木掘削投入掘削機構と、を有し、苗木掘削投入掘削機構は、メインフレームに回転可能に取り付けられその内部を苗木が降下する回転フレーム26と、回転フレームを回転させる回転フレーム用油圧モータ54と、回転フレームの回転により回転し、回転しながら昇降動作が可能な掘削部68と、を備え、掘削部が、複数枚のスペード88を備え、このスペードが閉状態で回転しながら苗木用の穴を掘る。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設用機械のアームに取り付けられる植栽機であって、
上記アームに連結されたメインフレームと、
このメインフレームに取り付けられ、苗木を収納するストッカーを複数個備えた回転テーブルと、
この回転テーブルを回転させる回転テーブル駆動手段と、
上記メインフレームに取り付けられ、苗木がストッカーから落下する位置に設けられた苗木投入掘削機構と、を有し、
この苗木投入掘削機構は、
上記メインフレームに回転可能に取り付けられ、その内部を苗木が降下する回転フレームと、
この回転フレームを回転させる回転フレーム駆動手段と、
この回転フレームの回転により回転し、回転しながら昇降動作が可能な掘削部と、を備え、
上記掘削部が、複数枚のスペードを備え、このスペードが閉状態で回転しながら苗木用の穴を掘る、植栽機。
【請求項2】
上記掘削部は、上記スペードの外側に設けられた掘削用刃を備えている、請求項1に記載の植栽機。
【請求項3】
さらに、上記植栽機を昇降動作させる植栽機昇降手段を有する、請求項1に記載の植栽機。
【請求項4】
上記苗木投入掘削機構は、上記回転フレームの内部に設けられた送りネジと、この送りネジに螺合して回転することにより昇降する移動フレームを備え、
上記掘削部は、上記移動フレームに設けられ、上記移動フレームと一体的に回転することにより、昇降動作するようになっている、請求項1に記載の植栽機。
【請求項5】
上記回転フレームは、上記移動フレーム及び上記掘削部の昇降動作をガイドするガイド部を備え、上記移動フレームとガイド部とが連結され一緒に回転するように構成されている、請求項4に記載の植栽機。
【請求項6】
上記スペードは、その上部にレバーを備え、上記回転フレームのガイド部は、上方位置に上側押え部材と、下方位置に下側押部材を備え、上記スペードのレバーが下側押部材と接触して上方に押されたときに上記スペードが開状態になり、上記スペードのレバーが上側押部材と接触して下方に押されたときに上記スペードが閉状態になる、請求項5に記載の植栽機。
【請求項7】
上記レバーは、その回動中心よりも外側にアームを備え、両側の上記レバーのアームを引張部材によりを結合して、張力を生じるようにしている、請求項6に記載の植栽機。
【請求項8】
さらに、上記回転テーブルが回転するとき、各ストッカーの下部に取り付けられた蓋体が開かないようにストッカーを下方から保持する支持枠を有し、この支持枠は、上記苗木投入掘削機構の上方位置には設けられておらず、これにより、上記苗木投入掘削機構の上方位置に到達したストッカーの蓋体が自重により開き、ストッカー内の苗木が上記苗木投入掘削機構に向けて落下するように構成されている、請求項1に記載の植栽機。
【請求項9】
上記スペードは、少なくとも2枚のスペードを有し、これらの2枚のスペードが、平面視で、互いに横方向にずれた位置に配置され、これにより、正方向に回転するときには、土から閉じる向きに力を受け、逆方向に回転するときには、土から開く方向に力を受ける、請求項1に記載の植栽機。
【請求項10】
上記苗木投入掘削機構は、さらに、上記送りネジを回転させて上記スペードを昇降させるスペード駆動手段を備えている、請求項4に記載の植栽機。
【請求項11】
上記回転フレームのガイド部は、下部に設けられた下プレートを備え、この下プレートの下面の外周側に、斜面を切り崩すための複数の耕うん爪が設けられている、請求項4に記載の植栽機。
【請求項12】
上記回転フレームのガイド部は、その下部に設けられた下プレートを備え、この下プレートの下面に土を転圧するための複数の転圧プレートが下方に向けて広がるように斜めに取り付けられている、請求項4に記載の植栽機。
【請求項13】
さらに、上記メインフレームに取り付けられ、上記回転フレーム内に水を噴出させる水噴射装置を有する、請求項1に記載の植栽機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植栽機に係り、特に、建設用機械のアームに取り付けられる植栽機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、山林に木の苗木を植え付ける場合、作業者により、土の掘削(耕し)、苗木の植え付け、転圧(押圧)作業等が手作業で行われており、苗木の植え付け作業は非効率なものであった。一方、このような苗木の植え付け作業を機械化及び自動化した植栽機が例えば特許文献1及び特許文献2に記載されている。
【0003】
特許文献1には、回転筒の先端に土を掘削する中空オーガを取り付け、この中空オーガがその先端が閉状態で回転筒と一緒に回転することにより、土を掘削し、この掘削作業後、中空オーガの先端を開状態とし、回転筒の上端に接続されたホースを経由して、空気圧により苗木を外部から回転筒内に挿入し、開状態の中空オーガを通過して、苗木を植え付けるようにした植栽機が記載されている。
【0004】
特許文献2には、苗木を植える場合、あらかじめ雑草を刈り、苗木に日光が当たりやすい環境を整えていく必要性から、雑草を刈り取る機能を付加した植栽機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-201136号公報
【特許文献2】特開2007-6715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1及び特許文献2に記載された植栽機は、作業者が手作業で行っていた苗木の植え付け作業等を機械化及び自動化した点で有効な装置である。しかしながら、植栽機の構造が複雑のため、よりシンプルな構造のものが要望され、さらに、苗木の植え付け作業をより効率化した実用的な植栽機の開発が要望されている。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来からの要望を達成するためになされたものであり、苗木の植え付け作業等を従来の装置よりも連続して効率的に行うことができる植栽機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明は、建設用機械のアームに取り付けられる植栽機であって、アームに連結されたメインフレームと、このメインフレームに取り付けられ、苗木を収納するストッカーを複数個備えた回転テーブルと、この回転テーブルを回転させる回転テーブル駆動手段と、メインフレームに取り付けられ、苗木がストッカーから落下する位置に設けられた苗木投入掘削機構と、を有し、この苗木投入掘削機構は、メインフレームに回転可能に取り付けられ回転フレームと、この回転フレームを回転させる回転フレーム駆動手段と、この回転フレームの回転により回転し、回転しながら昇降動作が可能な掘削部と、を備え、掘削部が、複数枚のスペードを備え、このスペードが閉状態で回転しながら苗木用の穴を掘っている。
このように構成された本発明においては、回転テーブルのストッカーから落下する苗木が掘削投入掘削機構の回転フレームと掘削部を通過し、この苗木がスペードにより掘られた穴に植え付けられる。この結果、本発明によれば、苗木の植え付け作業等を従来の装置よりも連続して効率的に行うことができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、掘削部は、スペードの外側に設けられた掘削用刃を備えている。
このように構成された本発明においては、掘削部が、スペードの外側に設けられた掘削用刃を備えているので、この掘削用刃により、スペードによって開けられた苗木が入る穴の周囲を耕すことができる。
【0010】
本発明は、好ましくは、さらに、植栽機を昇降動作させる植栽機昇降手段を有する。
このように構成された本発明によれば、植栽昇降手段により植栽機を昇降動作させることができるので、この植栽機を昇降動作させて植栽機の下部により地面を転圧して踏み固めることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、苗木投入掘削機構は、回転フレームの内部に設けられた送りネジと、この送りネジに螺合して回転することにより昇降する移動フレームを備え、掘削部は、移動フレームに設けられ、移動フレームと一体的に回転することにより、昇降動作するようになっている。
このように構成された本発明によれば、移動フレームが苗木投入掘削機構の送りネジに螺合して回転することにより、掘削部を回転させて昇降動作させるようにしているので、簡易な機構により掘削部を昇降動作させることが可能となる。
【0012】
本発明において、好ましくは、回転フレームは、移動フレーム及び掘削部の昇降動作をガイドするガイド部を備え、移動フレームとガイド部とが連結され一緒に回転するように構成されている。
このように構成された本発明においては、移動フレーム及び掘削部が、回転フレームのガイド部と連結されているので、簡易な構造により、回転フレームと移動フレームとが一緒に回転して、掘削部が回転して昇降動作することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、スペードは、その上部にレバーを備え、回転フレームのガイド部は、上方位置に上側押え部材と、下方位置に下側押部材を備え、スペードのレバーが下側押部材と接触して上方に押されたときにスペードが開状態になり、スペードのレバーが上側押部材と接触して下方に押されたときにスペードが閉状態になる。
このように構成された本発明においては、スペードの開閉を、スペードの上部に設けられたレバー、及び、回転フレームのガイド部に設けられた上側押部材と下側押部材により機械式に行うようにしているので、簡易な構造により確実に開閉動作を行うことができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、レバーは、その回動中心よりも外側にアームを備え、両側のレバーのアームを引張部材によりを結合して、張力を生じるようにしている。
このように構成された本発明においては、レバーがその回動中心よりも外側にアームを備え、両側のレバーのアームを引張部材によりを結合して、張力を生じるようにしているので、この引張部材による張力により、スペードの開状態と閉状態を確実に保持することができる。
【0015】
本発明は、好ましくは、さらに、回転テーブルが回転するとき、各ストッカーの下部に取り付けられた蓋体が開かないようにストッカーを下方から保持する支持枠を有し、この支持枠は、苗木投入掘削機構の上方位置には設けられておらず、これにより、苗木投入掘削機構の上方位置に到達したストッカーの蓋体が自重により開き、ストッカー内の苗木が苗木投入掘削機構に向けて落下するように構成されている。
このように構成された本発明においては、ストッカーを下方から保持する支持枠を設け、且つ、支持枠は、苗木投入掘削機構の上方位置には設けられていないので、ストッカーが苗木投入掘削機構の上方位置に到達したとき、ストッカーの蓋体が自重により開き、ストッカー内の苗木を苗木投入掘削機構に向けて落下させることができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、スペードは、少なくとも2枚のスペードを有し、これらの2枚のスペードが、平面視で、互いに横方向にずれた位置に配置され、これにより、正方向に回転するときには、土から閉じる向きに力を受け、逆方向に回転するときには、土から開く方向に力を受ける。
このように構成された本発明によれば、2枚のスペードが、平面視で、互いに横方向にずれた位置に配置され、これにより、正方向に回転するときには、土から閉じる向きに力を受け、土がスペード内に入ってくることなく土を掘削することができ、逆方向に回転するときには、土から開く方向に力を受け、開いたスペードの内側に土を掻き入れながら上昇させることができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、苗木投入掘削機構は、さらに、送りネジを回転させてスペードを昇降させるスペード駆動手段を備えている。
このように構成された本発明においては、苗木投入掘削機構が、さらに、送りネジを回転させてスペードを昇降させるスペード駆動手段を備えているので、スペードを回転させることなく昇降させることができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、回転フレームのガイド部は、下部に設けられた下プレートを備え、この下プレートの下面の外周側に、斜面を切り崩すための複数の耕うん爪が設けられている。
このように構成された本発明においては、回転フレームのガイド部の下プレートの下面の外周側に、斜面を切り崩すための複数の耕うん爪が設けれているので、傾斜面に苗木を植える場合に、複数の耕うん爪が回転することにより、傾斜を切り崩して、平らな段差を容易に作ることが可能となる。
【0019】
本発明において、好ましくは、回転フレームのガイド部は、下部に設けられた下プレートを備え、この下プレートの下面に土を転圧するための複数の転圧プレートが下方に向けて広がるように取り付けられている。
このように構成された本発明においては、回転フレームのガイド部の下プレートの下面に土を転圧するための複数の転圧プレートが下方に向けて広がるように斜めに取り付けられているので、植栽機を下降させて地面を転圧するとき、転圧プレートにより土が転圧プレートの内側に押しつけられ、土が苗木にしっかりと密着するように押し固めることができる。
【0020】
本発明において、好ましくは、さらに、メインフレームに取り付けられ、回転フレーム内に水を噴出させる水噴射装置を有する。
このように構成された本発明においては、メインフレームに取り付けられた水噴射装置により、回転フレーム内に水を噴出させて、苗木に水を与えると共に水圧により苗木を穴の底まで落とすことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の植栽機によれば、苗木の植え付け作業等を従来の装置よりも連続して効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態による植栽機が自走式建設用機械のアームに取り付けられている様子を示す側面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による植栽機の斜め上方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による植栽機の側面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による植栽機の平面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による植栽機の背面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態による植栽機の部分断面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態における回転フレームと掘削部の関係を示す斜視図である。
【
図9】スペードの閉状態を示す斜視図及び断面図である。
【
図10】スペードの開状態を示す斜視図及び断面図である。
【
図11A】本発明の第1実施形態による植栽機による苗木の植え付け作業を示す工程図(前半)である。
【
図11B】本発明の第1実施形態による植栽機による苗木の植え付け作業を示す工程図(後半)である。
【
図12】本発明の第2実施形態による植栽機の部分断面図である。
【
図13】本発明の第2実施形態における回転フレームと掘削部の関係を示す斜視図である。
【
図14A】本発明の第2実施形態による植栽機による苗木の植え付け作業を示す工程図(工程1~3)である。
【
図14B】本発明の第2実施形態による植栽機による苗木の植え付け作業を示す工程図(工程4~6)である。
【
図14C】本発明の第2実施形態による植栽機による苗木の植え付け作業を示す工程図(工程7~9)である。
【
図14D】本発明の第2実施形態による植栽機による苗木の植え付け作業を示す工程図(工程10~12)である。
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態による植栽機について説明する。先ず、
図1乃至
図6により、本発明の第1実施形態による植栽機の基本構造について説明する。
図1は本発明の第1実施形態による植栽機が自走式建設用機械のアームに取り付けられている様子を示す側面図であり、
図2は本発明の第1実施形態による植栽機の斜め上方から見た斜視図であり、
図3は本発明の第1実施形態による植栽機の側面図であり、
図4は本発明の第1実施形態による植栽機の平面図であり、
図5は本発明の第1実施形態による植栽機の背面図であり、
図6は植栽機のストッカーの断面図である。
【0024】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による植栽機10は、パワーショベル等の自走式建設用機械1のアーム2に取り付けられる。自走式建設用機械1は、自走式の車両であればよく、この建設用車両には、傾斜地等を走行可能な林業用機械も含まれる。植栽機10は、アーム2にアタッチメントとして取り付けられ、バケット等のパワーショベル等の他のアタッチメントと交換可能となっている。
【0025】
自走式建設用機械1のアーム2は、横方向に回転可能であり且つ油圧シリンダ3及びリンク機構4により上下方向にも移動可能となっている。また、アーム2の先端には、ユニバーサルジョイント5により短アーム6が接続され、この短アーム6の下端にユニバーサルジョイント7を介して植栽機取付ブラケット8が取り付けられている。ユニバーサルジョイント5の回転軸線は横方向に延び、一方、ユニバーサルジョイント7の回転軸線は前後方向に延びている。
【0026】
植栽機10には、取付フレーム12が取り付けられており、この取付フレーム12がピンにより植栽機取付ブラケット8に着脱自在に取り付けられている。
この植栽機10が取付フレーム12を介して植栽機取付ブラケット8に取り付けられた状態において、上述した2つのユニバーサルジョイント5、7により、植栽機取付ブラケット8が前後方向及び横方向に自由に揺動することができるので、植栽機10は、その自重により、常時垂直方向にその姿勢を保持することができるようになっている。
【0027】
図2乃至
図5に示すように、植栽機10は、メインフレーム14を備え、このメインフレーム14が、上述した取付フレーム12に取り付けられている。メインフレーム14には、回転テーブル16が取り付けられ、この回転テーブル16の外周部には、土付きの苗木18を収納する20個のストッカー20が取り付けられている。また、回転テーブル16のストッカー20よりも内側の上面には、多くの苗木を収納するための筒体22も取り付けられており、この筒体22内にこの後に植えられる予定の多くの苗木16を予め収納することができるようになっている。
【0028】
図6に示すように、ストッカー20は、上方が開口した筒体20aと、筒体20aの下端にヒンジ機構20bにより取り付けられた蓋体20cを備えている。蓋体20cの中央部は下方に窪む凹部20dが形成れ、この凹部20dに苗木の肥料を入れることができるようになっている。ストッカー20の蓋体20cは、後述するように、下方から保持されていない位置に到達したとき、自重により開状態となる。
【0029】
図2乃至
図5に示すように、メインフレーム14には、回転テーブル16を回転させるためのテーブル用油圧モータ24(
図3参照)が取り付けられている。この回転テーブル16は、回転軸線X1(
図4及び
図7参照)を中心にして回転する。
メインフレーム14には、さらに、ストッカー20内の苗木18を地面Gの掘削場所に投入できるように、中空の回転フレーム26が回転可能に取り付けられている。この回転フレーム26は、上部に位置する円筒部28とこの円筒部28の下端に結合された4本の脚を持つガイド部30を備えている。
【0030】
さらに、
図5に示すように、取付フレーム12には、メインフレーム昇降用油圧シリンダ32が設けられ、この油圧シリンダ32の上部がプレート33に取り付けられている。このプレート33がメインフレーム14と結合されており、油圧シリンダ32により、プレート33とメインフレーム14が、溝34に沿って移動することにより、植栽機10全体を昇降動作させることができるようになっている。
【0031】
次に、
図7により、植栽機10の詳細構造について説明する。
図7は本発明の第1実施形態による植栽機の部分断面図である。
図7に示すように、テーブル用油圧モータ24は、メインフレーム14に取り付けられている。テーブル用油圧モータ24は、回転軸24aを備え、この回転軸24aは、ベアリング36により回転支持されている。回転軸24aの上端部には、ピニオンギア38が締結されている。このピニオンギア38には、内歯車40が噛み合うように設けられている。内歯車40は、その外周側に設けられたベアリング42により回転できるようになっている。また、内歯車40には、回転テーブル16がボルト17により締結されているので、テーブル用油圧モータ24の回転軸24aが回転すると、この回転軸24aの回転が、ピニオンギア38から内歯車40に伝わり、回転テーブル16が回転するようになっている。
【0032】
図7に示すように、メインテーブル14には、ストッカー20の下端に設けられた蓋体20cを下方から支持するための支持枠44が設けられている。この支持枠44は、メインフレーム14に取り付けられている。この支持枠44が回転テーブル16のストッカー20の蓋体20cと摺動することにより、蓋体20cが閉状態に保持される。ただし、支持枠44は、平面視で、上述した回転フレーム26が位置する場所+設けられていない。これにより、回転フレーム26の上方に到達したストッカー20は、支持枠44により保持されていないので、その蓋体20cが自重により下方に移動して開状態となる。このとき、ストッカー20に収納された苗木18が、回転フレーム26内に落下する。
【0033】
図7に示すように、回転フレーム26の内部には、中空の円筒形状で外周にネジ山が形成された送りネジ50が設けられている。この送りネジ50は、ボルト52によりメインフレーム14に固定されており、回転しないようになっている。
【0034】
メインフレーム14には、回転フレーム26を回転させるための回転フレーム用油圧モータ54が取り付けられている。
この回転フレーム用油圧モータ54は、回転軸54aを備え、この回転軸54aはベアリング56により、回転支持されている。回転軸54aの下端部には、ピニオンギア58が締結されている。このピニオンギア58には、平歯車60が噛み合うように設けられている。平歯車60は、その内周側に設けられたベアリング62により回転できるようになっている。さらに、平歯車60は、回転フレーム26の上端のフランジ26aとボルト64により接続されている。このようにして、回転フレーム26は、回転フレーム用油圧モータ54により回転できるようになっている。
【0035】
さらに、回転フレーム26の内側で且つ上述した送りネジ50の外側には、その内周側の上部にネジ溝が形成された円筒形状の移動フレーム66が回転フレーム26と一体的に回転するように設けられている。この移動フレーム66のネジ溝と上述した送りネジ50のネジ山が螺合され、回転フレーム26が時計回りに正回転すると、それに伴い移動フレーム66は回転しながら下降し、回転フレーム26が反時計回りに逆回転すると、移動フレーム66は回転しながら上昇するようになっている。
【0036】
ここで、回転フレーム26が回転すると、移動フレーム66も回転するのは、後述するように、回転フレーム26の一部であるガイド部30の脚74が移動フレーム66の一部であるガイド孔82に挿入されているからである(
図8参照)。この結果、回転フレーム26が回転すると、移動フレーム66も昇降動作しながら回転することができる。
【0037】
上述したように、回転フレーム26の円筒部28の下端にはガイド部30が結合されている。また、移動フレーム66の下端には、掘削部68が結合され、この掘削部68は、移動フレーム66と一体的に回転し、昇降動作することができるようになっている。
本実施形態においては、上述した回転フレーム26、送りネジ50、移動フレーム66、及び、掘削部68により、苗木投入掘削機構が構成されている。
【0038】
次に、
図7及び
図8により、回転フレーム26と掘削部68の関係を説明する。
図8(a)は回転フレーム26に掘削部68が取り付けられた状態を示す斜視図であり、
図8(b)は回転フレーム26を取り出して示す斜視図であり、
図8(c)は移動フレーム66と掘削部68の一体構造を示す斜視図である。
【0039】
図8(b)に示すように、回転フレーム26のガイド部30は、四角形の上プレート70と四角形の下プレート72と、これらのプレート70、72を結合するように設けられた4本の脚74を備えている。ここで、下プレート72は、後述するように、土を転圧するための転圧プレートとして使用される(
図11B(f)参照)。さらに、ガイド部30は、上プレート70の下面から下方に突出する2本の上側押ボルト76と、下プレート72の上面から上方に突出する2本の下側押ボルト78を備えている。
【0040】
図8(c)に示すように、移動フレーム66と掘削部68とは、一緒に回転しながら昇降動作できるように、一体構造となっている。掘削部68は上端に四角形の案内プレート80を備え、この案内プレート80には、四隅にガイド孔82が形成されている。さらに、掘削部68は、2本の外刃84と、2本の内刃86と、詳細は後述する2枚のスペード88を備えている。外刃84と内刃86は、案内プレート80に固定されており、一方、スペード88は、詳細は後述するが、掘削部68の昇降動作により開閉するようになっている。また、スペード88は、中空の移動フレーム66と連通しており、スペード88が開状態のとき、上方から落下する苗木18が通過するようになっている。ここで、外刃84と内刃86の両方の刃を取り付けているが、何れか一方の刃だけでも良い。
【0041】
さらに、掘削部68の案内プレート80のガイド孔82に、回転フレーム26のガイド部30の4本の脚74が挿入される。この結果、掘削部68は、ガイド部30の4本の脚74に沿って上下方向に移動する(昇降動作する)ことができるようになっている。さらに、回転プレート26と、掘削部68も一緒に回転するので、回転プレート26が回転すると、掘削部68の外刃84、内刃86、スペード88も、一体的に回転する。
【0042】
次に、
図9及び
図10により、掘削部68のスペード88の開閉機構及びその動作について説明する。
先ず、
図9により、掘削部68のスペード88の閉状態について説明する。
図9(a)は掘削部68のスペード88の閉状態を示す斜視図であり、
図9(b)は掘削部68のスペード88の閉状態を示す断面図であり、
図9(c)は
図9(b)のA-A線に沿って見た断面図である。移動フレーム66の下端66aには、2個の支持棒90が取り付けられ、また、各支持棒90には2個のレバー92がこの支持棒90を回転中心90aとして回転可能に取り付けられている。
【0043】
各レバー92は、スペード88の上部に接触可能な2個のカムフォロア92aとスペード88から遠ざかる位置にアーム92bを備え、2個のアーム92bは支持棒90に対して平行に延びる接続棒94に回転可能に取り付けられている。さらに、このアーム92bの接続棒94の両端には、引張バネ96が取り付けられており、常時、両側にあるレバー92のアーム92bの間に張力を生じさせて、2つのアーム92bを互いに引っ張りあうようになっている。
【0044】
レバー92が、
図9(b)に示す位置にあるときには、引張バネ96がレバー92の回転中心90aよりも下方に位置しているので、スペード88は閉状態となっている。スペード88が閉状態で、掘削部68が下降すると、レバー92のアーム92bが下側押ボルト78と接触する(
図9(b)はこの状態を示している)。この後、掘削部68が更に下降すると、下側押ボルト78がレバー92のアーム92bを押し上げ、引張バネ96がレバー92の回転中心90aより上方に移動する(
図10(b)参照)。これにより、カムフォロア92aがスペード88を押し広げるように力を加え、スペード88が開き、開状態となる。
【0045】
更に、
図9(c)に示すように、1枚のスペード88が、2つの部材88a,88bを接合して形成されている。また、2枚のスペードは、掘削部68の回転中心X2に対して平面視で非対称に配置されている。具体的には、一方のスペード88に対して他方のスペード88が水平方向に沿って互いにずれた位置に設けられている。
【0046】
2つのスペード88をこのように配置することにより、掘削部68が正方向(時計回り)に回転するとき、スぺード88の他のスペード88からはみ出した部分88に対して掘削する地面の土から力Fを受ける。この力Fは両スペード88を閉じる方向に作用するので、スペード88により土を掘削する際には、両スペード88は閉じた状態となっているので、その分、土がスペード88内に入ってくることなく、土を円筒状に掘削することができる(
図11A(2)参照)。
【0047】
次に、
図10により、掘削部68のスペード88の閉状態について説明する。
図10(a)は掘削部68のスペード88の開状態を示す斜視図であり、
図10(b)は掘削部68のスペード88の開状態を示す断面図であり、
図10(c)は
図10(b)のB-B線に沿って見た断面図である。
レバー92が、
図10(b)に示す位置にあるときには、引張バネ96がレバー92の回転中心90aよりも上方に位置しているので、スペード88は開状態となっている。スペード88が閉状態で、掘削部68が上昇すると、レバー92のアーム92bが上側押ボルト76と接触する(
図10(b)はこの状態を示している)。この後、掘削部68が更に上昇すると、上側押ボルト76がレバー92のアーム92bを押し下げ、引張バネ96がレバー92の回転中心90aより下方に移動すると、カムフォロア92aがスペード88を閉じるように力を加え、スペード88が閉じ、閉状態となる。
【0048】
更に、
図10(c)に示すように、2つのスペード88を上述したように配置することにより、掘削部68が逆方向(反時計回り)に回転するとき、スぺード88の他のスペード88からはみ出した部分88に対して掘削する地面の土から力Fを受ける。この力Fは両スペード88を開く方向に作用するので、スペード88は、開いたスペード88の内側に土Dを掻き入れながら上昇する。(
図11B(5)参照)。
【0049】
次に、
図11A及び
図11Bにより、本発明の実施形態による植栽機10の苗木の植え付け作業の工程について説明する。
先ず、
図11Aの(1)に示すように、掘削を開始する際には、自走式建設機械1のアーム2を操作し、植栽機10を苗木18の植え付け位置に移動させる。このとき、植栽機10を地面Gから所望の高さ位置に配置する。そのため、植栽機10の配置の状態が示されている。植栽機10の回転フレーム26と掘削部68は、地面Gの上方に位置している。
【0050】
次に、
図11Aの(2)に示すように、地面Gの掘削を開始する。先ず、回転フレーム用油圧モータ54により、回転フレーム26を正方向(時計回り)に回転させる。この回転フレーム26が正方向に回転することにより、非回転の送りネジ50に螺合する移動フレーム66及び掘削部68が回転しながら下降する。このとき、スペード88により苗木18が入る穴が地面Gに開けられ、同時に、外刃84と内刃86がその周囲を耕す。
【0051】
次に、
図11Aの(3)に示すように、回転フレーム26を更に正回転させると、掘削部68は下降し、スペード88のレバー92のアーム92bが下側押ボルト78と接触し、下側押ボルト78がレバー92のアーム92bを押し上げ、引張バネ96がレバー92の回転中心90aより上方に移動すると、カムフォロア92aがスペード88を押し広げるように力を加え、スペード88が開き、開状態となる。このようにしてスペード88が開くことにより、苗木18が入る穴が作られる。
【0052】
次に、
図11Aの(4)に示すように、テーブル用油圧モータ24により、回転テーブル16を回転させて、ストッカー20を1ピッチだけ送ると、上述した支持枠44が設けられていない位置にある、即ち、回転フレーム26の上方に位置するストッカー20の蓋体20cが自重により開く。これにより、ストッカー20内の苗木18が落下し、送りネジ50の内部、移動フレーム66の内部を通過し、開状態のスペード88内に到達し、苗木18が地面G内に投入される。
【0053】
次に、
図11Bの(5)に示すように、回転フレーム26を逆方向(反時計回り)に回転させると、掘削部68が回転しながら上昇する。この掘削部68の上昇は、スペード88のレバー92のアーム92bが上側押ボルト76に接触してアーム92bが上側ボルト76に押されて下方に移動してスペード88が閉じる手前で、停止させる。これにより、スペード88は開状態が保持される。このとき、さらに、掘削部26の外刃84、内刃86、及び、スペード88のそれぞれの刃先だけは地面Gの内部に残し、これにより、植栽機10を地面Gに位置決めして固定して動かないようになっている。
【0054】
次に、
図11Bの(6)に示すように、スペード88が開状態で、掘削部26の外刃84、内刃86、及び、スペード88のそれぞれの刃先が地面Gに残っている状態で、取付フレーム12に取り付けられているメインフレーム昇降用油圧シリンダ32により、メインフレーム12を下降させることにより、植栽機10全体を下降させる。このとき、回転フレーム26のガイド部30の下プレート72により、地面Gが転圧され、踏み固められる。
【0055】
次に、
図11Bの(7)に示すように、取付フレーム12のメインフレーム昇降用油圧シリンダ32により、スペード88が開状態のまま、メインフレーム12を苗木18がスペード88から抜けるまで、上昇させる。
【0056】
最後に、
図11Bの(8)に示すように、回転フレーム26を逆方向(反時計回り)に回転させる。これにより、スペード88のレバー92のアーム92bが上側押ボルト76と当接して下方に押され、引張バネ96により、スペード88が閉じる。これで、ストッカー20内の苗木18の苗木投入が終了する。その後、次の苗木投入の位置まで、自走式建設機械1のアーム2を操作して、植栽機10を移動させる。その後、上述した作業が繰り返し行われる。
【0057】
次に、上述した本発明の第1実施形態による植栽機10による作用効果を説明する。
第1に、本実施形態による植栽機10は、自走式建設用機械1のアーム2に取り付けられる植栽機10であって、アーム2に連結されたメインフレーム14と、このメインフレーム14に取り付けられ、苗木を収納するストッカー20を複数個備えた回転テーブル16と、この回転テーブル16を回転させるテーブル用油圧モータ24と、メインフレーム14に取り付けられ、苗木18がストッカー20から落下する位置に設けられた苗木投入掘削機構と、を有し、この苗木投入掘削機構が、メインフレーム14に回転可能に取り付けられ回転フレーム26と、この回転フレーム26を回転させる回転フレーム用油圧モータ54と、この回転フレーム26の回転により回転し、回転しながら昇降動作が可能な掘削部68と、を備え、掘削部26が、複数枚のスペード88を備え、このスペード88が閉状態で回転しながら苗木用の穴を掘っている。
このように構成された本実施形態においては、回転テーブル16のストッカー20から落下する苗木が掘削投入掘削機構の回転フレーム26と掘削部68を通過し、この苗木18がスペード88により掘られた穴に植え付けられる。この結果、本実施形態によれば、苗木の植え付け作業等を従来の装置よりも連続して効率的に行うことができる。
【0058】
第2に、本実施形態において、掘削部68は、スペード88の外側に設けられた外刃84と内刃86、または、何れか一方の刃を備えている。これにより、本実施形態においては、掘削部68が、スペード88の外側に設けられた外刃84等を備えているので、この外刃84等により、スペード88によって開けられた苗木18が入る穴の周囲を耕すことができる。
【0059】
第3に、本実施形態は、さらに、植栽機10全体を昇降動作させるためのメインフレーム昇降用油圧シリンダ32を有する。これにより、本実施形態によれば、メインフレーム昇降用油圧シリンダ32により植栽機10を昇降動作させることができるので、この植栽機10を昇降動作させて植栽機10の下部により地面Gを転圧して踏み固めることができる。
【0060】
第4に、本実施形態において、苗木投入掘削機構は、回転フレーム26の内部に設けられた送りネジ50と、この送りネジ50に螺合して回転することにより昇降する移動フレーム66を備え、掘削部68は、移動フレーム66に設けられ、移動フレーム66と一体的に回転することにより、昇降動作するようになっている。これにより、本実施形態によれば、移動フレーム66が苗木投入掘削機構の送りネジ50に螺合して回転することにより、掘削部66を回転させて昇降動作させるようにしているので、簡易な機構により掘削部66を昇降動作させることが可能となる。
【0061】
第5に、本実施形態において、回転フレーム26は、移動フレーム66及び掘削部68の昇降動作をガイドするガイド部30を備え、移動フレーム66とガイド部30とが連結され一緒に回転するように構成されている。これにより、本実施形態においては、移動フレーム66及び掘削部68が、回転フレーム26のガイド部30と連結されているので、簡易な構造により、回転フレーム26と移動フレーム66とが一緒に回転して、掘削部68が回転して昇降動作することができる。
【0062】
第6に、本実施形態において、スペード88は、その上部にレバー92を備え、回転フレーム26のガイド部30は、上方位置に上側押ボルト76と、下方位置に下側押ボルト78を備え、スペード88のレバー92が下側押ボルト78と接触して上方に押されたときにスペード88が開状態になり、スペード88のレバー92が上側押ボルト76と接触して下方に押されたときにスペード88が閉状態になる。これにより、本実施形態においては、スペード88の開閉を、スペード88の上部に設けられたレバー92、及び、回転フレーム26のガイド部30に設けられた上側押ボルト76と下側押ボルト78により機械式に行うようにしているので、簡易な構造により確実に開閉動作を行うことができる。
【0063】
第7に、本実施形態において、レバー92は、その回動中心90aよりも外側にアーム92bを備え、両側のレバー92のアーム92bを引張バネ96によりを結合して、張力を生じるようにしている。これにより、本実施形態においては、レバー92がその回動中心90aよりも外側にアーム92bを備え、両側のレバー92のアーム92bを引張バネ96によりを結合して、張力を生じるようにしているので、この引張バネ96による張力により、スペード88の開状態と閉状態を確実に保持することができる。
【0064】
第8に、本実施形態は、さらに、回転テーブル16が回転するとき、各ストッカー20の下部に取り付けられた蓋体20cが開かないようにストッカー20を下方から保持する支持枠44を有し、この支持枠44は、苗木投入掘削機構の上方位置には設けられておらず、これにより、苗木投入掘削機構の上方位置に到達したストッカー20の蓋体20cが自重により開き、ストッカー20内の苗木18が苗木投入掘削機構に向けて落下するように構成されている。これにより、本実施形態においては、ストッカー20を下方から保持する支持枠44を設け、且つ、支持枠44は、苗木投入掘削機構の上方位置には設けられていないので、ストッカー20が苗木投入掘削機構の上方位置に到達したとき、ストッカー20の蓋体20cが自重により開き、ストッカー20内の苗木を苗木投入掘削機構に向けて落下させることができる。
【0065】
第9に、本実施形態において、スペード88は、少なくとも2枚のスペードを有し、これらの2枚のスペードが、平面視で、互いに横方向にずれた位置に配置され、これにより、正方向に回転するときには、土から閉じる向きに力Fを受け、逆方向に回転するときには、土から開く方向に力を受ける。これにより、本実施形態によれば、2枚のスペード88が、平面視で、互いに横方向にずれた位置に配置され、これにより、正方向に回転するときには、土から閉じる向きに力Fを受け、土がスペード内に入ってくることなく土を掘削することができ、逆方向に回転するときには、土から開く方向に力を受け、開いたスペードの内側に土を掻き入れながら上昇させることができる。
【0066】
次に、
図12乃至
図14Dを参照して、本発明の第2実施形態による植栽機100について説明する。
図12は本発明の第2実施形態による植栽機の部分断面図であり、
図13は本発明の第2実施形態における回転フレームと掘削部の関係を示す斜視図であり、
図14A乃至
図14Dは本発明の第2実施形態による植栽機による苗木の植え付け作業を示す工程図(工程1~3、工程4~6、工程7~9、工程10~12)である。
【0067】
本発明の第2実施形態よる植栽機100の基本構造は、上述した第1実施形態による植栽機1と同様であるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略し、以下、第1実施形態と異なる構造について、主に説明する。
【0068】
第2実施形態による植栽機100には、新たに、送りネジ50を回転させてスペード88を昇降させるスペード昇降用油圧モータ102、斜面を切り崩すための耕うん爪104、土を転圧するための転圧プレート106、及び、回転フレーム26内に高圧の水を噴出する水噴射装置108が設けられている。なお、第2実施形態による植栽機100には、上述した外刃84及び内刃86は設けられていない。以下、これらのついて詳細に説明する。
【0069】
先ず、
図12に示すように、メインフレーム14には、回転フレーム26を回転させるための回転フレーム用油圧モータ54が取り付けられている。この回転フレーム用油圧モータ54は、回転軸54aを備え、この回転軸54aの下端部には、ピニオンギア58が締結されている。このピニオンギア58には、平歯車60が噛み合うように設けられている。平歯車60は、その内周側に設けられた下ベアリング110により回転できるようになっている。さらに、平歯車60は、回転フレーム26の上端のフランジ26aとボルト64により接続されている。このようにして、回転フレーム26は、回転フレーム用油圧モータ54により回転できるようになっている。
【0070】
次に、メインフレーム14には、送りネジ50を回転させてスペード88を昇降させるスペード昇降用油圧モータ102が取り付けられている。このスペード昇降用油圧モータ102は、回転軸102aを備え、この回転軸102aの上端部には、ピニオンギア112が締結されている。このピニオンギア112には、平歯車114が噛み合うように設けられている。平歯車114は、その内周側に設けられた上ベアリング116により回転できるようになっている。さらに、平歯車114は、送りネジ50の上端に接続されたフランジ50aとボルト118により接続されている。このようにして、送りネジ50は、スペード昇降用油圧モータ102により回転できるようになっている。このスペード昇降用油圧モータ102により送りネジ50が回転すると、スペー88は、回転することなく、昇降動作することができる。
【0071】
なお、スペード昇降用油圧モータ102が作動していないときには、送りネジ50は回転しないようになっている。このとき、上述した回転フレーム26は、回転フレーム用油圧モータ54により回転することができる。
【0072】
ここで、回転フレーム26及び送りネジ50は、これらの内部が、投下された苗木18が下降できるように空洞となっている。これらの回転フレーム26及び送りネジ50の上方には、空洞内に高圧の水を噴射する水噴射装置108が配置され、この水噴射装置108は、メインフレーム14に取り付けられている。なお、水噴射装置108から噴射される水に肥料等を混入させてもよい。
【0073】
さらに、上述した第1実施形態と同様であるが、回転フレーム26の内側で且つ上述した送りネジ50の外側には、円筒形状の移動フレーム66が回転フレーム26と一体的に回転するように設けられている。回転フレーム26が時計回りに正回転すると、それに伴い移動フレーム66は回転しながら下降し、回転フレーム26が反時計回りに逆回転すると、移動フレーム66は回転しながら上昇するようになっている。
【0074】
ここで、回転フレーム26が回転すると、移動フレーム66も回転するのは、回転フレーム26の一部であるガイド部30の脚74が移動フレーム66の一部であるガイド孔82に挿入されているからである(
図13参照)。この結果、回転フレーム26が回転すると、移動フレーム66も昇降動作しながら回転することができる。
【0075】
さらに、回転フレーム26の円筒部28の下端にはガイド部30が結合されている。また、移動フレーム66の下端には、掘削部68が結合され、この掘削部68は、移動フレーム66と一体的に回転し、昇降動作することができるようになっている。
【0076】
なお、送りネジ50の内側には保護円筒66aが設けられ、この保護円筒66aの下端が移動フレーム66と結合され、移動フレーム66と一体的に昇降できるようになっている。送りネジ50と移動フレーム66には、円滑に回転動作ができるようにグリース等の潤滑油が付与されるので、保護円筒66aにより、送りネジ50の内部を落下する苗木18への潤滑油の付着を防止することができるようになっている。
【0077】
次に、
図12及び
図13により、回転フレーム26と掘削部68の関係を説明する。
図13(a)は回転フレーム26に掘削部68が取り付けられた状態を示す斜視図であり、
図13(b)は回転フレーム26を取り出して示す斜視図であり、
図13(c)は移動フレーム66と掘削部68の一体構造を示す斜視図である。
【0078】
図13(b)に示すように、回転フレーム26のガイド部30は、円形の上プレート70と円形の下プレート72と、これらのプレート70、72を結合するように設けられた4本の脚74を備えている。さらに、ガイド部30は、上プレート70の下面から下方に突出する2本の上側押ボルト76と、下プレート72の上面から上方に突出する2本の下側押ボルト78を備えている。
【0079】
ガイド部30の下プレート72の下面の外周側には、後述するように、斜面を切り崩すための2枚の耕うん爪104が取り付けられている。これらの2枚の耕うん爪104は、180度離間して設けられ、さらに、回転方向に対して、先端側が少し外向きに傾いており、これにより、土をより切り崩し易くなっている。
【0080】
ガイド部30の上プレート70及び下プレート72には、スペード88がその内部を昇降可能な開口70a、72bが形成されている。下プレート72の開口72aの近傍には、2枚の転圧プレート106が取り付けられている。これらの2枚の転圧プレート106は、上述した耕うん爪104と90度ずれており、且つ、互いに180度理解して設けられている。さらに、転圧プレート106は、下方に向けて広がるように斜め(例えば45度傾斜している)に取り付けられている。
【0081】
図13(c)に示すように、移動フレーム66と掘削部68とは、一緒に回転しながら昇降動作できるように、一体構造となっている。掘削部68は上端に円形の案内プレート80を備え、この案内プレート80には、四隅にガイド孔82が形成されている。さらに、掘削部68は、2枚のスペード88を備えている。スペード88は、掘削部68の昇降動作により開閉するようになっている。また、スペード88は、中空の移動フレーム66と連通しており、スペード88が開状態のとき、上方から落下する苗木18が通過するようになっている。
【0082】
さらに、掘削部68の案内プレート80のガイド孔82に、回転フレーム26のガイド部30の4本の脚74が挿入される。この結果、掘削部68は、ガイド部30の4本の脚74に沿って上下方向に移動する(昇降動作する)ことができるようになっている。
一方、移動フレームと掘削部68(スペード88)は一体構造であるので、上述したように、スペード昇降用油圧モータ102により送りネジ50を回転させた場合には、スペード88を回転させることなく、昇降させることができるようになっている。
【0083】
次に、第2実施形態による植栽機100の掘削部68のスペード88の開閉機構(
図9及び
図10参照)は、上述した第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0084】
次に、
図14A乃至
図14Dにより、本発明の第2実施形態による植栽機100の苗木の植え付け作業の工程について説明する。
先ず、
図14Aの(1)に示すように、掘削を開始する際には、自走式建設機械1のアーム2を操作し、植栽機100を苗木18の植え付け位置に移動させる。ことのき、掘削部68のスペード88の先端は、地面Gに接しており、且つ、上方側にある耕うん爪104は、地面G内に突き刺さっている。
【0085】
次に、
図14Aの(2)に示すように、テーブル用油圧モータ24により、回転テーブル16を回転させて、ストッカー20を1ピッチだけ送ると、支持枠44が設けられていない位置にある、即ち、回転フレーム26の上方に位置するストッカー20の蓋体20cが自重により開く。これにより、ストッカー20内の苗木18が投入される。
【0086】
次に、
図14Aの(3)に示すように、回転フレーム用油圧モータ54により回転フレーム26を正回転させる。これにより、耕うん爪104も回転し、同時に、スペード88も回転しながら、降下する。スペード88により、苗木18が入る穴120が空けられ、且つ、耕うん爪104により、斜面は切り崩され、平らな段差が作られる。
【0087】
次に、
図14Bの(4)に示すように、回転フレーム26を正回転させ続けて、スペード88が下限付近まで下降すると、下側押しボルト78がレバー92に接触してレバー92を押し上げる。下側押しボルト78がレバー92を押し上げることにより、スペード88が開く。
【0088】
次に、
図14Bの(5)に示すように、水噴射装置108から高圧の水を噴射させて、苗木18に水を与えると同時に、水圧により、苗木18を確実に穴120の底まで落下させる。
【0089】
次に、
図14Bの(6)に示すように、スペード昇降用油圧モータ102を回転させて、送りネジ50を逆回転させる。これにより、スペード88を回転させることなく上昇させることができる。
【0090】
次に、
図14Cの(7)に示すように、取付フレーム12のメインフレーム昇降用油圧シリンダ32により、植栽機100を降下させて転圧する。この時、斜めに取り付けた転圧プレート106が土を内側に押しつけて、土が苗木18にしっかりと密着するように押し固める。
【0091】
次に、
図14Cの(8)に示すように、メインフレーム昇降用油圧シリンダ32により、植栽機100を上昇させ、次に、回転フレーム用油圧モータ54により、転圧プレート106を少し回転させる(例えば90度)。
【0092】
次に、
図14Cの(9)に示すように、メインフレーム昇降用油圧シリンダ32により、植栽機100を下降させて、再度、転圧プレート106により転圧する。転圧プレート106を少し回転させることにより、土を他方向から押し固める。
【0093】
次に、
図14Dの(10)に示すように、メインフレーム昇降用油圧シリンダ32により、植栽機100を苗木18が抜けるまで上昇させる。
【0094】
次に、
図14Dの(11)に示すように、回転フレーム用油圧モータ54を回転させて回転フレーム26を逆回転させる。回転フレーム26を逆回転させると、スペード88が回転しながら上昇する。スペード88が上限付近まで上昇すると、上側押ボルト76がレバー92に接触してレバー92を押し下げる。上側押ボルト76がレバーを押し下げることでスペード88が閉じる。
【0095】
次に、
図14Dの(12)に示すように、回転フレーム用油圧モータ54を回転させて回転フレーム26を正回転させて、スペード88を原点位置まで下降させる。この後、上述した作業が繰り返し行われる。
【0096】
次に、本発明の第2実施形態による植栽機100による作用効果を説明する。なお、第2実施形態においても、上述した第1実施形態の第1乃至第9の作用効果(第2の作用効果を除く)が奏されるようになっている。
【0097】
第10に、本実施形態においては、苗木投入掘削機構が、さらに、送りネジを回転させてスペードを昇降させるスペード昇降用油圧モータ102を備えているので、スペード88を回転させることなく昇降させることができる。
【0098】
第11に、本実施形態においては、回転フレーム26のガイド部30の下プレート72の下面の外周側に、斜面を切り崩すための複数の耕うん爪104が設けれているので、傾斜面に苗木18を植える場合に、複数の耕うん爪104が回転することにより、傾斜を切り崩して、平らな段差を容易に作ることが可能となる。
【0099】
第12に、本実施形態においては、回転フレーム26のガイド部30の下プレート72の下面に土を転圧するための複数の転圧プレート106が下方に向けて広がるように斜めに取り付けられているので、植栽機100を下降させて地面を転圧するとき、転圧プレート106により土が転圧プレート106の内側に押しつけられ、土が苗木18にしっかりと密着するように押し固めることができる。
【0100】
第13に、本実施形態においては、メインフレーム14に取り付けられた水噴射装置108により、回転フレーム26内に水を噴出させて、苗木18に水を与えると共に水圧により苗木18を穴の底まで落とすことができる。
【符号の説明】
【0101】
1、100 自走式建設用機械
2 アーム
8 植栽機取付ブラケット
10 植栽機
12 取付フレーム
14 メインフレーム
16 回転フレーム
18 苗木
20 ストッカー
24 テーブル用油圧モータ
26 回転フレーム
28 円筒部
30 ガイド部
32 メインフレーム昇降用油圧シリンダ
44 支持枠
50 送りネジ
54 回転フレーム用油圧モータ
66 移動フレーム
68 掘削部
70 上プレート
72 下プレート
74 脚
76 上側押ボルト
78 下側押ボルト
80 案内プレート
82 ガイド孔
84 外刃
86 内刃
88 スペード
90 支持棒
92 レバー
92a カムフォロア
92b アーム
94 接続棒
96 引張バネ
102 スペード昇降用油圧モータ
104 耕うん爪
106 転圧プレート
108 水噴射装置
120 穴
122 平らな段差
G 地面