(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070786
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】折り畳み式ヘルメット
(51)【国際特許分類】
A42B 3/32 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
A42B3/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069737
(22)【出願日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】P 2022180709
(32)【優先日】2022-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390003665
【氏名又は名称】株式会社日進製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 照章
(72)【発明者】
【氏名】荻野 剛史
(72)【発明者】
【氏名】山本 耕平
(72)【発明者】
【氏名】籔中 智也
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107AA01
3B107BA04
3B107CA02
3B107DA01
(57)【要約】
【課題】強度が高められた折り畳み式ヘルメットを提供する。
【解決手段】折り畳み式ヘルメット1は、ドーム状のセグメント11と、筒状のセグメント12と、2つのセグメント13A、13Bと、を備える。そして、折り畳み式ヘルメット1の展開状態において、セグメント11の端部が、セグメント13Aの+Z方向側の端部に係合し、セグメント13Aの-Z方向側の端部が、セグメント13Bの+Z方向側の端部に係合し、セグメント13Bの端部が、セグメント12の+Z方向側の端部に係合した状態となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーム状の第1セグメントと、
筒状であり内側に前記第1セグメントが配置可能な第2セグメントと、
筒状であり、前記第2セグメントの筒軸方向において前記第1セグメントと前記第2セグメントとが離間して配置された展開状態において、前記筒軸方向に沿って前記第1セグメントと前記第2セグメントとの間に並んで配置され、前記第1セグメントが前記第2セグメントの内側に配置された収縮状態において、前記筒軸方向と直交する方向において前記第1セグメントと前記第2セグメントとの間において前記第1セグメントを囲繞するように並んで配置される少なくとも1つの第3セグメントと、を備え、
前記展開状態において、前記第1セグメントの端部が、前記筒軸方向において、前記少なくとも1つの第3セグメントのうちの前記第1セグメントに隣接する第3セグメントの前記第1セグメント側の端部に係合し、前記少なくとも1つの第3セグメントそれぞれの端部が、前記筒軸方向において、前記少なくとも1つの第3セグメントおよび前記第2セグメントのうちの、前記第3セグメントに隣接する第3セグメントまたは前記第2セグメントの前記第1セグメント側の端部に係合した状態となる、
折り畳み式ヘルメット。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第3セグメントは、それぞれ、少なくとも前記展開状態における前記第2セグメント側の端部の内側の前記筒軸方向と直交する方向における面積が縮小するように変形可能である、
請求項1に記載の折り畳み式ヘルメット。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第3セグメントは、それぞれ、
環状に配置された複数のシェルと、
可撓性を有し、環状に配置された複数のシェルの周方向において隣接する2つのシェル同士を連結する連結片と、を有する、
請求項1または2に記載の折り畳み式ヘルメット。
【請求項4】
前記連結片は、可撓性を有し、前記第3セグメントの周方向および前記シェルの厚さ方向と直交する方向の幅が前記シェルの幅よりも狭く、
隣接する2つの前記シェルの間の領域における前記連結片以外の領域に間隙が形成されている、
請求項3に記載の折り畳み式ヘルメット。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第3セグメントの変形を規制する変形規制部材を更に備え、
前記変形規制部材は、隣接する2つのシェルの間に形成された間隙を覆うように隣接する2つのシェルの間に嵌入された閉状態と、隣接する2つのシェルの間から離脱した開状態と、をとりうる、
請求項1または2に記載の折り畳み式ヘルメット。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第3セグメントの変形を規制する変形規制部材を更に備え、
前記変形規制部材は、
板状であり厚さ方向と直交する一方向側の端部が前記第1セグメントに旋回自在に枢支された第1変形規制片と、
板状であり厚さ方向と直交する一方向側の端部が前記第1変形規制片の前記一方向側とは反対側の端部に旋回自在に枢支されるとともに、他方向側の端部が前記第2セグメントに旋回自在に枢支された第2変形規制片と、を有する、
請求項1または2に記載の折り畳み式ヘルメット。
【請求項7】
前記連結片は、可撓性を有し、前記第3セグメントの周方向および前記シェルの厚さ方向と直交する方向の幅が前記シェルの幅と等しく、隣接する2つの前記シェルの間の領域を覆っている、
請求項3に記載の折り畳み式ヘルメット。
【請求項8】
前記第1セグメント、前記第2セグメントおよび前記第3セグメントのうちの少なくとも1つは、バイオマスプラスティックから形成されている、
請求項1または2に記載の折り畳み式ヘルメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式ヘルメットに関する。
【背景技術】
【0002】
着用者の頭部に装着され、着用者から付与される力により、当該ヘルメットの高さ方向にテレスコピック的に伸縮し、それにより、当該ヘルメットが完全展開状態と完全収縮状態との間を変化するテレスコピック伸縮式ヘルメットが提案されている(例えば特許文献1参照)。このテレスコピック伸縮式ヘルメットは、 半球状であり高さ方向に相対変位可能である複数のセグメントによって構成されるテレスコピック伸縮式のシェルと、複数のセグメントを互いに連結し、当該ヘルメットの完全展開状態においては、複数のセグメントのうち少なくとも最上段セグメントと最下段セグメントとの間の高さ方向における接近を阻止するが、当該ヘルメットの完全格納状態においては、複数のセグメントのうち互いに隣接したものの間の高さ方向における離間を許可する連結機構と、を備える。そして、連結機構は、ヘルメットの内面に沿って最上段セグメントの位置から最下段セグメントの位置まで連続的に延びる連続体を有し、連続体が、当該ヘルメットが完全展開状態にあるか完全収縮状態にあるかを問わず、最下段セグメントの位置から分離しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたテレスコピック伸縮式ヘルメットでは、複数のセグメントが互いに上下方向に伸縮自在となるように組み合わせられているため、展開状態時において複数のセグメントのみでは完全展開状態から完全収縮状態へ変形する方向、即ち、複数のセグメントを収縮させる方向への力が加わった場合、連結機構が有する連続体のみによって加わった力を受け止める構造となっている。このため、連続体に高い強度が要求されることになり、その分、ヘルメットの重量が増加する虞がある。また、連続体のみで力を受け止める構造であるため、ヘルメットの強度が連続体の強度に律則されてしまう。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、強度が高められた折り畳み式ヘルメットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る折り畳み式ヘルメットは、
ドーム状の第1セグメントと、
筒状であり内側に前記第1セグメントが配置可能な第2セグメントと、
環状であり、前記第2セグメントの筒軸方向において前記第1セグメントと前記第2セグメントとが離間して配置された展開状態において、前記筒軸方向に沿って前記第1セグメントと前記第2セグメントとの間に並んで配置され、前記第1セグメントが前記第2セグメントの内側に配置された収縮状態において、前記筒軸方向と直交する方向において前記第1セグメントと前記第2セグメントとの間において前記第1セグメントを囲繞するように並んで配置される少なくとも1つの第3セグメントと、を備え、
前記展開状態において、前記第1セグメントの端部が、前記筒軸方向において、前記少なくとも1つの第3セグメントのうちの前記第1セグメントに隣接する第3セグメントの前記第1セグメント側の端部に係合し、前記少なくとも1つの第3セグメントそれぞれの端部が、前記筒軸方向において、前記少なくとも1つの第3セグメントおよび前記第2セグメントのうちの、前記第3セグメントに隣接する第3セグメントまたは前記第2セグメントの前記第1セグメント側の端部に係合した状態となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、展開状態において、第1セグメントの端部が、第2セグメントの筒軸方向において、第1セグメントに隣接する第3セグメントの第1セグメント側の端部に係合し、少なくとも1つの第3セグメントそれぞれの端部が、第2セグメントの筒軸方向において、当該第3セグメントに隣接する他の第3セグメントまたは第2セグメントの第1セグメント側の端部に係合した状態となる。これにより、第2セグメントの筒軸方向に沿って、第1セグメントから第2セグメントへ向かう方向へ力が作用した場合でも、第1セグメント、第2セグメントおよび少なくとも1つの第3セグメントのみで力を受け止めることができ、折り畳み式ヘルメットの展開状態を維持できる。従って、折り畳み式ヘルメットに対して第2セグメントの筒軸方向に沿って作用する力に対する強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る折り畳み式ヘルメットを示し、(A)は展開状態における斜視図であり、(B)は展開状態であり且つ変形規制部材が外れた状態における斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る折り畳み式ヘルメットを示し、(A)は展開状態における右側面図であり、(B)は展開状態における正面図であり、(C)は展開状態における背面図である。
【
図3】実施の形態1に係る折り畳み式ヘルメットを示し、(A)は展開状態における上面図であり、(B)は展開状態における底面図である。
【
図4】(A)は実施の形態1に係る折り畳み式ヘルメットの断面図であり、(B)は(A)における破線で囲んだ部分の拡大断面図である。
【
図5】実施の形態1に係る折り畳み式ヘルメットの使用方法を説明するための図であり、(A)は収縮状態で装着者の頭上に配置した様子を示す図であり、(B)は収縮状態から展開状態へ遷移させる様子を示す図であり、(C)は装着者に装着された状態を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る折り畳み式ヘルメットの使用方法を説明するための図であり、(A)は変形規制部材を外す様子を示す図であり、(B)は変形規制部材が外れた状態を示す図であり、(C)は展開状態から収縮状態へ遷移させる様子を示す図である。
【
図7】実施の形態1に係る折り畳み式ヘルメットの使用方法を説明するための図であり、(A)は収縮していく途中の状態を示す図であり、(B)は変形規制部材を第2セグメントの内側に向けて旋回させる様子を示す図であり、(C)は変形規制部材が第2セグメントの内側に収容された状態を示す図である。
【
図8】本発明の実施の形態2に係る折り畳み式ヘルメットを示し、(A)は展開状態における斜視図であり、(B)は収縮状態における斜視図である。
【
図9】実施の形態2に係る折り畳み式ヘルメットを示し、(A)は展開状態における右側面図であり、(B)は展開状態における正面図であり、(C)は展開状態における背面図である。
【
図10】(A)は実施の形態2に係る折り畳み式ヘルメットの展開状態における上面図であり、(B)は展開状態における底面図である。
【
図11】(A)は実施の形態2に係る折り畳み式ヘルメットの断面図であり、(B)は(A)における破線で囲んだ部分の拡大断面図である。
【
図12】実施の形態2に係る折り畳み式ヘルメットが展開状態から収縮状態へ遷移する途中の状態を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は断面図である。
【
図13】実施の形態2に係る折り畳み式ヘルメットが展開状態から収縮状態へ遷移する途中の状態を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は断面図である。
【
図14】実施の形態2に係る折り畳み式ヘルメットが収縮していく途中の状態を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は断面図である。
【
図15】変形例に係る折り畳み式ヘルメットを示し、(A)は展開状態における斜視図であり、(B)は(A)における一部を拡大した斜視図である。
【
図16】変形例に係る折り畳み式ヘルメットを示し、(A)は収縮状態における斜視図であり、(B)は収縮状態における(A)とは異なる方向から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態に係る折り畳み式ヘルメットについて、図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る折り畳み式ヘルメットは、ドーム状の第1セグメントと、筒状であり内側に第1セグメントが配置可能な第2セグメントと、環状であり、第2セグメントの筒軸方向において第1セグメントと第2セグメントとが離間して配置された展開状態において、筒軸方向に沿って第1セグメントと第2セグメントとの間に並んで配置され、第1セグメントが第2セグメントの内側に配置された収縮状態において、筒軸方向と直交する方向において第1セグメントと第2セグメントとの間において第1セグメントを囲繞するように並んで配置される少なくとも1つの第3セグメントと、を備える。そして、展開状態において、第1セグメントの端部が、筒軸方向において、少なくとも1つの第3セグメントのうちの第1セグメントに隣接する第3セグメントの第1セグメント側の端部に係合する。また、少なくとも1つの第3セグメントそれぞれの端部が、筒軸方向において、少なくとも1つの第3セグメントおよび第2セグメントのうちの、第3セグメントに隣接する第3セグメントまたは第2セグメントの第1セグメント側の端部に係合した状態となる。
【0010】
図1乃至
図3に示すように、本実施の形態に係る折り畳み式ヘルメット1は、ドーム状のセグメント11と、筒状であり内側にセグメント11が配置可能なセグメント12と、2つの環状のセグメント13A、13Bと、セグメント13A、13Bの変形を規制する変形規制部材14と、を備える。ここで、セグメント11、12、13A、13Bは、それぞれ、例えばバイオマスプラスティックから形成されている。なお、セグメント11、12、13A、13Bは、例えばバイオマスプラスティック以外のプラスチック、金属等から形成されていてもよい。
【0011】
セグメント11は、平面視楕円形であり、
図3(A)および
図4(A)に示すように、周部の2箇所に紐を通すための環状部112が形成された第1セグメントである。セグメント11の周部には、
図4(B)に示すように、セグメント13Aの+Z方向側の端部が係合する窪み部11bが形成されている。
【0012】
セグメント12は、
図1(A)に示すように、扁平な円筒状のセグメント本体121と、セグメント本体121から+Y方向側へ延出した鍔部123と、セグメント本体121のX軸方向における両端部それぞれに変形規制部材14を旋回自在に軸支する支持部(図示せず)と、を有する第2セグメントである。
図4(A)および(B)に示すように、セグメント12の+Z方向側の端部12aは、その周方向全体からセグメント本体121の内側へ張り出した形状を有する。また、セグメント12には、折り畳み式ヘルメット1を装着者の頭部に固定するための顎紐(図示せず)が取り付けられている。
【0013】
セグメント13Aは、
図1(A)に示すように、扁平な半円筒状であり端部同士が対向した状態でY軸方向に並んで配置される2つのシェル131Aと、2つのシェル131Aの両端部同士を連結する2つの連結片133Aと、を有する第3セグメントである。また、セグメント13Bも、扁平な半円筒状であり端部同士が対向した状態でY軸方向に並んで配置される2つのシェル131Bと、2つのシェル131Bの両端部同士を連結する2つの連結片133Bと、を有する第3セグメントである。セグメント13A、13Bは、セグメント12の筒軸方向、即ち、Z軸方向においてセグメント11、12が離間して配置された折り畳み式ヘルメット1の展開状態において、Z軸方向に沿ってセグメント11、12の間に並んで配置される。一方、セグメント11がセグメント12の内側に配置された収縮状態において、Z軸方向と直交する方向においてセグメント11とセグメント12との間においてセグメント11を囲繞するように並んで配置される。また、2つのシェル131Aそれぞれの-Z方向側の端部には、
図4(B)に示すように、折り畳み式ヘルメット1の展開状態において、2つのシェル131Bそれぞれの+Z方向側の端部131Baが係合する窪み部131Abが形成されている。また、2つのシェル131Bそれぞれの-Z方向側の端部には、折り畳み式ヘルメット1の展開状態において、セグメント12の+Z方向側の端部12aが係合する窪み部131Bbが形成されている。
【0014】
そして、セグメント11およびセグメント13Aのシェル131Aのそれぞれには、折り畳み式ヘルメット1の展開状態において、互いに面接触する接地面11c、131Acが形成されている。また、シェル131Aおよびセグメント13Bのシェル131Bのそれぞれには、折り畳み式ヘルメット1の展開状態において、互いに面接触する接地面131Ad、131Bcが形成されている。更に、シェル131Bおよびセグメント12のそれぞれには、折り畳み式ヘルメット1の展開状態において、互いに面接触する接地面131Bd、12bが形成されている。これにより、折り畳み式ヘルメット1に対して+Z方向側から-Z方向側へ向かう方向へ力が作用した場合に、セグメント11、13A、13B、12自体でその力を受け止めることができる。
【0015】
2つの連結片133Aは、細長であり且つ可撓性を有し、+Z方向側に凸となるように湾曲して延在しており、長手方向の両端部で2つのシェル131Aそれぞれに連続している。2つの連結片133Bも、細長であり且つ可撓性を有し、+Z方向側に凸となるように湾曲して延在しており、長手方向の両端部で2つのシェル131Bそれぞれに連続している。即ち、連結片133A(133B)は、それぞれ、短手方向の幅がシェル131A(131B)の幅よりも狭く、隣接する2つのシェル131A(131B)の間の領域における連結片133A(133B)以外の領域に間隙132A(132B)が形成されている、ここで、セグメント13A、13Bがセグメント12の内側に配置される収縮状態に遷移させたい場合、セグメント13A、13Bの連結片133A、133Bを弾性変形域内で屈曲させることで、セグメント13A、13Bについて-Z方向側の端部の内側のZ軸方向と直交する方向における面積が縮小し且つ+Z方向側の端部の内側のZ軸方向と直交する方向における面積が拡張するように変形させることができる。このように変形させることで、セグメント13Aは、セグメント13Bの+Z方向側の端部131Baから内側へ離脱した状態となり、セグメント13Bの内側に配置可能となる。また、セグメント13Bは、セグメント12の+Z方向側の端部12aから内側へ離脱した状態となり、セグメント12の内側に配置可能となる。
【0016】
ここで、折り畳み式ヘルメット1を収縮状態から展開状態へ遷移させる場合、セグメント13Aが、セグメント13Bの内側に配置された状態で、セグメント13Aの連結片133A、133Bを屈曲させてから、セグメント13Aをセグメント13Bに対して相対的に+Z方向へ移動させる。そして、セグメント13Aの窪み部131Abがセグメント13Bの+Z方向側の端部131Baに対向するように、セグメント13Aを配置する。このとき、連結片133Aの復元力によりセグメント13Aの-Z方向側の端部におけるZ軸方向と直交する方向における面積が拡張するようにセグメント13Aが変形し、セグメント13Aの窪み部131Abにシェル131Bの端部131Baが係合した状態となる。また、セグメント13Bが、セグメント12の内側に配置された状態で、セグメント13Bの連結片133Bを屈曲させてから、セグメント13Bをセグメント12に対して相対的に+Z方向へ移動させる。そして、セグメント13Bの窪み部131Bbがセグメント12の+Z方向側の端部12aに対向するように、セグメント13Bを配置する。このとき、連結片133Bの復元力によりセグメント13Bの-Z方向側の端部におけるZ軸方向と直交する方向における面積が拡張するようにセグメント13Bが変形し、セグメント13Bの窪み部131Bbにセグメント12の端部12aが係合した状態となる。
【0017】
変形規制部材14は、長尺の矩形板状の主片141と、主片141の長手方向における一端部に設けられセグメント12の支持部により旋回自在に枢支されている被支持部144と、主片141の長手方向における他端部において主片141の短手方向に沿った姿勢で配置されたシャフト143と、シャフト143の両端部を支持するシャフト支持部142と、を有する。そして、変形規制部材14は、被支持部144を支点として旋回することにより、
図1(A)に示すようなセグメント13A、13BのX軸方向における両端部に形成された間隙132A、132Bに嵌入された閉状態と、
図1(B)に示すような間隙132A、132Bから離脱した開状態と、をとりうる。変形規制部材14は、折り畳み式ヘルメット1が利用者により装着される際、セグメント13A、13Bの間隙132A、132Bに嵌入された閉状態となることで、セグメント13A、13Bの変形を規制する。また、変形規制部材14が、セグメント13A、13Bの間隙132A、132Bから離脱した開状態の場合、セグメント13A、13Bが変形することで、折り畳み式ヘルメット1を展開状態からセグメント13A、13Bをセグメント12の内側に配置された収縮状態へ変化させたり、収縮状態から展開状態へ変化させたりすることが可能となる。
【0018】
次に、本実施の形態に係る折り畳み式ヘルメット1を装着する方法について説明する。まず、
図5(A)に示すように、収縮状態にある折り畳み式ヘルメット1を装着者の頭上に配置する。次に、
図5(B)の矢印AR11に示すように、2つの変形規制部材14それぞれをセグメント12の外側に向かって旋回させることによりセグメント13A、13Bから離脱した開状態としてから、セグメント12を-Z方向側へ押し下げることにより、矢印AR12に示すように、セグメント12の内側に配置されたセグメント11、13A、13Bをそれぞれ+Z方向側へ移動させる。続いて、2つの変形規制部材14をセグメント12の内側に向かって旋回させることで、
図5(C)に示すように、閉状態にし、その後、セグメント12に取り付けられた顎紐を締めることで、折り畳み式ヘルメット1が装着者に装着された状態となる。
【0019】
次に、本実施の形態に係る折り畳み式ヘルメット1を収縮状態にする方法について説明する。まず、
図6(A)の矢印AR13に示すように、2つの変形規制部材14それぞれを旋回させることによりセグメント13A、13Bから離脱した開状態とする。次に、
図6(B)の矢印AR14に示すように、セグメント13Bの2つのシェル131Bに対してY軸方向において互いに近づく方向へ力を加えることで、
図6(C)に示すように、セグメント13Bの連結片133Bを屈曲させることで、セグメント13Bの-Z方向側の端部の内側のZ軸方向と直交する方向における面積が縮小し且つ+Z方向側の端部の内側のZ軸方向と直交する方向における面積が拡張するように変形させる。そして、矢印AR15に示すように、セグメント11、13A、13Bを-Z方向側へ押し込むことで、セグメント13Bをセグメント12の内側へ没入させる。
【0020】
続いて、セグメント13Aの2つのシェル131Bに対してY軸方向において互いに近づく方向へ力を加えることで、セグメント13Aの連結片133Aを屈曲させることで、セグメント13Aの-Z方向側の端部の内側のZ軸方向と直交する方向における面積が縮小し且つ+Z方向側の端部の内側のZ軸方向と直交する方向における面積が拡張するように変形させる。その後、
図7(A)の矢印AR16に示すように、セグメント11を-Z方向側へ押し込むことで、セグメント13Aをセグメント13Bの内側へ没入させる。次に、
図7(B)の矢印AR17に示すように、2つの変形規制部材14をセグメント12の内側に向かって旋回させることで、折り畳み式ヘルメット1は、
図7(C)に示すような収縮状態となる。
【0021】
以上説明したように、本実施の形態に係る折り畳み式ヘルメット1によれば、展開状態において、セグメント11の端部が、-Z方向側で隣接するセグメント13Aのシェル131Aの端部131Aaに係合した状態となる。また、セグメント13A、13Bのシェル131A、131Bそれぞれの-Z方向側の端部が、セグメント13A、13Bの-Z方向側で隣接するセグメント13Bのシェル131B、セグメント12の+Z方向側の端部131Bb、12aに係合した状態となる。これにより、折り畳み式ヘルメット1に対して-Z方向へ力が作用した場合でも、セグメント11、12、13A、13Bのみでその力を受け止めることができ、折り畳み式ヘルメット1の展開状態を維持できる。従って、折り畳み式ヘルメット1に対して-Z方向へ作用する力に対する強度を高めることができる。
【0022】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る折り畳み式ヘルメットは、変形規制部材が、長尺板状であり長手方向における一端部が第2セグメントに旋回自在に枢支された第1変形規制片と、長尺板状であり長手方向における一端部が第1変形規制片に旋回自在に枢支されるとともに、他端部が第1セグメントに旋回自在に枢支された第2変形規制片と、を有する点が実施の形態1と相違する。
【0023】
図8乃至
図10に示すように、本実施の形態に係る折り畳み式ヘルメット2は、セグメント21、22、23A、23Bと、変形規制部材24と、を備える。セグメント21は、平面視でいわゆる卵型の形状であり、
図8(A)および
図9(A)に示すように、周部の2箇所に変形規制部材24の後述する変形規制片241を旋回自在に枢支する支持部212が配設されている。また、セグメント21の周部には、
図11(A)および(B)に示すように、後述のセグメント23Aのシェル231Aの+Z方向側の端部231Aaが係合する窪み部21bが形成されている。セグメント22は、
図8(A)および(B)に示すように、扁平な円筒状のセグメント本体221と、セグメント本体221から+Y方向側へ延出した鍔部223と、セグメント本体221のX軸方向における両端部それぞれに変形規制部材24の後述の変形規制片242を旋回自在に軸支する支持部224と、を有する。セグメント22の+Z方向側の端部22aは、
図11(A)および(B)に示すように、その周方向全体からセグメント本体221の内側へ張り出した形状を有する。また、セグメント本体221の内側には、後述する変形規制片の取付部221aが突設されている。
【0024】
セグメント23Aは、
図8(A)および(B)に示すように、2つのシェル231Aと、2つのシェル231Aの両端部同士を連結する2つの連結片233Aと、を有する。また、セグメント23Bも、2つのシェル231Bと、2つのシェル231Bの両端部同士を連結する2つの連結片233Bと、を有する。セグメント23A、23Bは、折り畳み式ヘルメット2の展開状態において、
図8(A)に示すように、Z軸方向に沿ってセグメント21、22の間に並んで配置される。一方、セグメント21がセグメント22の内側に配置された収縮状態において、
図8(B)に示すように、Z軸方向と直交する方向においてセグメント21とセグメント22との間においてセグメント21を囲繞するように並んで配置される。また、2つのシェル231Aそれぞれの-Z方向側の端部には、
図11(B)に示すように、折り畳み式ヘルメット1の展開状態において、2つのシェル231Bそれぞれの端部231Baが係合する窪み部231Abが形成されている。また、2つのシェル231Bそれぞれの-Z方向側の端部には、折り畳み式ヘルメット2の展開状態において、セグメント22の+Z方向側の端部22aが係合する窪み部231Bbが形成されている。そして、セグメント21およびセグメント23Aのシェル231Aのそれぞれには、折り畳み式ヘルメット2の展開状態において、互いに面接触する接地面21c、231Acが形成されている。また、シェル231Aおよびセグメント23Bのシェル231Bのそれぞれには、折り畳み式ヘルメット2の展開状態において、互いに面接触する接地面231Ad、231Bcが形成されている。更に、シェル231Bおよびセグメント22のそれぞれには、折り畳み式ヘルメット1の展開状態において、互いに面接触する接地面231Bd、22bが形成されている。
【0025】
2つの連結片233Aは、長手方向の両端部で2つのシェル231Aそれぞれに連続しており、2つの連結片233Bも、長手方向の両端部で2つのシェル231Bそれぞれに連続している。また、連結片233A、233Bには、連結片233A、233Bの中央部から-Z方向へ延在し-Z方向側の端部を+Z方向側に向かった押圧することが可能な押圧片235A、235Bが設けられている。ここで、連結片233A、233Bを屈曲させることで、セグメント23A、23Bについて-Z方向側の端部の内側のZ軸方向と直交する方向における面積が縮小し且つ+Z方向側の端部の内側のZ軸方向と直交する方向における面積が拡張するように変形させることができる。
【0026】
変形規制部材24は、
図8(A)および(B)に示すように、変形規制片241、242を有する。変形規制片241は、長尺板状であり厚さ方向と直交する一方向側の端部、即ち、長手方向における一端部の被支持部243がセグメント21の支持部212に旋回自在に枢支されている第1変形規制片である。変形規制片242は、長尺板状であり厚さ方向と直交する一方向側の端部、即ち、長手方向における一端部が第1変形規制片241の一端部とは反対側の他端部に旋回自在に枢支されるとともに、他端部の被支持部244がセグメント22の支持部224に旋回自在に枢支されている第2変形規制片である。また、変形規制片242の-Z方向側におけるY軸方向の両端部には、-Z方向側に向かうほどY軸方向の長さが短くなるように傾斜したテーパ部242bが形成されている。そして、変形規制部材24は、変形規制片241がセグメント21の支持部212を支点として旋回し且つ変形規制片242がセグメント22の支持部212を支点として旋回することにより、
図8(A)に示すように変形規制片241、242がセグメント23A、23BのX軸方向における両端部に形成された間隙232A、232Bに嵌入された閉状態と、
図8(B)に示すような間隙232A、232Bから外側へ離脱した開状態と、をとりうる。変形規制部材24が、セグメント23A、23Bの間隙232A、232Bから離脱した開状態の場合、セグメント23A、23Bが変形することで、折り畳み式ヘルメット2を展開状態から収縮状態へ変化させたり、収縮状態から展開状態へ変化させたりすることが可能となる。
【0027】
次に、本実施の形態に係る折り畳み式ヘルメット2を収縮状態にする方法について説明する。まず、
図12(A)に示すように、変形規制片241、242それぞれを旋回させて、矢印AR21に示すように、変形規制片241、242同士の連結部分を外側へ突出させることにより、変形規制片241、242がセグメント23A、23Bから離脱した開状態にする。同時に、
図12(B)の矢印AR22に示すように、セグメント23Bの2つのシェル231Bに対してY軸方向において互いに近づく方向へ力を加えることで、セグメント23Bの連結片233Bを屈曲させる。これにより、セグメント23Bの-Z方向側の端部の内側のZ軸方向と直交する方向における面積が縮小し且つ+Z方向側の端部の内側のZ軸方向と直交する方向における面積が拡張するようにセグメント23Bを変形させる。このとき、2つのシェル231Bにおける互いに対向する端面が、変形規制片242のテーパ部242bに近づく。そして、矢印AR23に示すように、セグメント21、23A、23Bを-Z方向側へ押し込むと、2つのシェル231Bにおける互いに対向する端面が変形規制片242のテーパ部242bに沿って-Z方向側へ摺動していき、セグメント23Bがセグメント22の内側へ没入していく。
【0028】
続いて、
図13(A)の矢印AR24に示すように、変形規制片241、242同士の連結部分を更に外側へ突出させながら、
図13(B)の矢印AR25に示すように、セグメント23Aの2つのシェル231Bに対してY軸方向において互いに近づく方向へ力を加えることで、セグメント23Aの連結片233Aを屈曲させる。ここで、変形規制片241、242は、折り畳み式ヘルメット2の収縮に伴い自動的に突出する。このため、実施の形態1で説明した折り畳み式ヘルメット1のように、装着者が敢えて変形規制部材14を開閉する操作を行う必要が無い。即ち、本実施の形態に係る折り畳み式ヘルメット2では、その収縮に伴い変形規制部材24がセグメント23Aの外側へ移動することになる。これにより、セグメント23Aの-Z方向側の端部の内側のZ軸方向と直交する方向における面積が縮小し且つ+Z方向側の端部の内側のZ軸方向と直交する方向における面積が拡張するようにセグメント23Aを変形させる。その後、矢印AR26に示すように、セグメント21を-Z方向側へ押し込むと、
図14(A)および(B)に示すように、セグメント23Aがセグメント23Bの内側へ没入した状態となる。このとき、2つのシェル231Aにおける互いに対向する端面が、変形規制片242のテーパ部242bに近づく。この状態で、矢印AR27に示すように、セグメント21を-Z方向側へ更に押し込むと、
図8(B)に示すような収縮状態となる。このとき、変形規制片241、242は、互いに重なり合った状態で内側に倒れた状態となる。
【0029】
以上説明したように、本実施の形態に係る折り畳み式ヘルメット2によれば、装着者が変形規制部材24をセグメント21、23A、23Bから離脱させるための操作を行う必要がないので、その分、折り畳み式ヘルメット2を収縮状態から展開状態に遷移させる際の手間を省くことができる。
【0030】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、
図15(A)および(B)に示すように、セグメント33A、33Bが、連結片133A、133Bの中央部から-Z方向へ延在し-Z方向側の端部を+Z方向側に向かった押圧することが可能な押圧片135A、135Bを有するものであってもよい。本変形例では、
図15(A)に示すように、変形規制部材14を開状態にしてから、セグメント11を支えた状態で、押圧片135A、135Bの-Z方向側の端部を矢印AR31に示すように+Z方向側に向けて押圧する。これにより、セグメント33Bの連結片133Bを屈曲させることで、セグメント33Bの-Z方向側の端部の内側のZ軸方向と直交する方向における面積が縮小し且つ+Z方向側の端部の内側のZ軸方向と直交する方向における面積が拡張するように変形させる。そして、13A、13Bを+Z方向側へ押し込むことで、
図16(A)に示すように、セグメント13A、13Bをセグメント12の内側へ没入させる。その後、2つの変形規制部材14をセグメント12の内側に向かって旋回させることで、折り畳み式ヘルメット3は、
図16(B)に示すような収縮状態となる。
【0031】
各実施の形態では、セグメント13A、13B、23A、23Bが変形する例を示しているが、これに限らず、例えばセグメント11、12、21、22のいずれかが変形するものであってもよい。セグメント11、21の場合、セグメント11、21の周部の内径が縮小するように変形するものとすればよい。また、各実施の形態では、セグメント11、12の間、または、セグメント21、22の間に、2つのセグメント13A、13B、23A、23Bが介在する例について説明したが、セグメント11、12の間、または、セグメント21、22の間に介在するセグメントの数は2つに限定されるものではなく、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0032】
各実施の形態では、セグメント13A、13B(23A、23B)が、それぞれ、2つのシェル131A、131B(231A、231B)を有する例について説明したが、セグメント13A、13B(23A、23B)が有するシェルの数は2つに限定されるものではなく、3つ以上であってもよい。この場合、複数のシェルが、環状に配置され、これらの複数のシェルの周方向において隣接する2つのシェル同士が可撓性を有する連結片により連結されたものとすればよい。
【0033】
実施の形態では、連結片133A、133B(233A、233B)の短手方向の幅が、シェル131A、131B(231A、231B)の幅よりも狭く、隣接する2つのシェル131A、131B(231A、231B)の間の領域における連結片133A、133B(233A、233B)以外の領域に間隙132A、132B(232A、232B)が形成されている例について説明した。但し、これに限らず、連結片が、可撓性を有し、短手方向の幅がシェル131A、131B(231A、231B)の幅と等しく、隣接する2つのシェル131A、131B(231A、231B)の間の領域を覆っているものであってもよい。即ち、連結片の、セグメント13A、13B(23A、23B)の周方向およびシェル131A、131B(231A、231B)の厚さ方向と直交する方向の幅が、シェル131A、131B(231A、231B)の幅と等しいものであってもよい。
【0034】
以上、本発明の実施の形態および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、例えば防災用のヘルメットとして好適である。
【符号の説明】
【0036】
1,2,3:折り畳み式ヘルメット、11,12,13A,13B,21,22,23A,23B,33A,33B:セグメント、11b,21b,131Ab,131Bb,231Ab,231Bb:窪み部、11c,12b,21c,22b,131Ac,131Ad,131Bc,131Bd,231Ac,231Ad,231Bc,231Bd:接地面、12a,22a,131Aa,131Ba,231Aa,231Ba:端部、14,24:変形規制部材、112:環状部、121,221:セグメント本体、123,223:鍔部、131A,131B,231A,231B:シェル、132A,132B,232A,232B:間隙、133A,133B,233A,233B:連結片、135A、135B,235A,235B:押圧片、141:主片、142:シャフト支持部、143:シャフト、144,243,244:被支持部、212,224:支持部、221a:取付部、241,242:変形規制片、241a,242a:ガイド片、242b:テーパ部