(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070794
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】電極コーティング及びその構成要素
(51)【国際特許分類】
H01M 4/58 20100101AFI20240516BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240516BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20240516BHJP
【FI】
H01M4/58
H01M4/36 C
H01M4/505
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023121170
(22)【出願日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】18/054788
(32)【優先日】2022-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520490406
【氏名又は名称】リヴィアン アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(72)【発明者】
【氏名】キム,スー
(72)【発明者】
【氏名】キム,ユミ
(72)【発明者】
【氏名】タレビースファンダラニー,マジド
(72)【発明者】
【氏名】シン,ウチュル
(72)【発明者】
【氏名】キム,テ キョン
(72)【発明者】
【氏名】パーク,キ,テー
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA07
5H050AA15
5H050CA01
5H050CA09
5H050CB08
5H050CB12
5H050FA18
5H050GA02
5H050GA27
5H050HA02
5H050HA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】マンガン含有カソードを含むセルの性能を改善するカソードを提供する。
【解決手段】カソードは、カソード活物質を含むことができる。カソードは、カソード活物質上に配置されたコーティングを含むことができる。コーティングは、
を含むことができ、式中、M
1は、第1の金属であり、M
2は、第2の金属であり、Aは、アニオン種であり、1≦x≦2、0≦y≦1、0≦z≦1、及び0≦u≦1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード活物質と、
前記カソード活物質上に配置されたコーティングであって、
【化1】
を含み、式中、M
1は、第1の金属であり、M
2は、第2の金属であり、Aは、アニオン種であり、1≦x≦2、0≦y≦1、0≦z≦1、及び0≦u≦1である、コーティングと、を含む、カソード。
【請求項2】
M1が、Al、Ga、V、Fe、Mn、及びTiから選択され、Aが、PO4であり、y=0である、請求項1に記載のカソード。
【請求項3】
【化2】
が、Li
xFePO
4Fである、請求項1に記載のカソード。
【請求項4】
【化3】
が、LiFePO
4Fである、請求項1に記載のカソード。
【請求項5】
【化4】
が、Li
2FePO
4Fである、請求項1に記載のカソード。
【請求項6】
【化5】
の結晶構造が、三斜晶である、請求項1に記載のカソード。
【請求項7】
【化6】
が、タボライト構造に配列される、請求項1に記載のカソード。
【請求項8】
【化7】
が、LiMnSO
4Fである、請求項1に記載のカソード。
【請求項9】
【化8】
が、LiMn
1-yFe
ySO
4Fである、請求項1に記載のカソード。
【請求項10】
【化9】
が、LiMnSO
4F、LiMnP
2O
7F、及びLiMnF
2、並びにそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される1つ以上である、請求項1に記載のカソード。
【請求項11】
M1が、Mn、Fe、Co、Ni、V、及びCrから選択され、
M2が独立して、M1から選択され、Mn、Fe、Co、Ni、V、及びCrから選択される、請求項1に記載のカソード。
【請求項12】
【化10】
が、0℃~500℃の温度範囲で熱的に安定である、請求項1に記載のカソード。
【請求項13】
【化11】
の結晶構造が、トリプライトである、請求項1に記載のカソード。
【請求項14】
前記カソードが、LMFP、LMO、LiMO2、Li1+x1M1-x1O2、及びLi2MnO3から選択される1つ以上の材料を含む、請求項1に記載のカソード。
【請求項15】
前記コーティングが、前記コーティングのないカソードと比較して、前記カソードからのマンガンの溶解を低減するように構成されている、請求項1に記載のカソード。
【請求項16】
カソードのカソード活物質上に、コーティングであって、
【化12】
を含み、式中、M
1は、第1の金属であり、M
2は、第2の金属であり、Aは、アニオン種であり、1≦x≦2、0≦y≦1、0≦z≦1、及び0≦u≦1である、コーティングを配置することを含む、方法。
【請求項17】
前記コーティングの第1の前駆体と、前記コーティングの第2の前駆体と、任意選択的に前記コーティングの第3の前駆体と、をカソード活物質と合わせることと、
前記コーティング前駆体及び前記カソード活物質を加熱することと、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
FePO4、LiF、及びカソード活物質を合わせることと、
前記FePO4、LiF、及びカソード活物質を、500℃~600℃の範囲の温度で加熱することと、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
MnSO4・H2O、LiF、及びカソード活物質を合わせることと、
前記MnSO4・H2O、LiF及びカソード活物質を300℃~600℃の範囲の温度で加熱することと、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記
【化13】
が、タボライト構造で配列される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電池は、機械を作動させるために電力を充電及び放電する異なる電力容量を有することができる。
【発明の概要】
【0002】
カソードにおける酸素ガスの発生は、高温での熱暴走につながる可能性がある。マンガン含有カソードにおいて、脱リチウム化されたLi1-xMnPO4は、熱暴走の場合に、脱リチウム化されたLi1-xFePO4と比較して、はるかに低い温度で酸素ガスを発生し得る。加えて、液体電解質と接触する電極表面で直接露出される場合、マンガン含有カソードからのマンガンは溶解し(Mn2+
(aq.)形態で)、更に反応してアノードにおいてマンガン金属(Mn0)を形成し、電池の劣化につながる。したがって、マンガン含有カソードを含むセルの性能を改善することができる装置、システム、及び方法が依然として必要とされている。
【0003】
少なくとも1つの態様はカソードを対象としている。カソードは、カソード活物質を含むことができる。カソードは、カソード活物質上に配置されたコーティングを含むことができる。コーティングは、
【化1】
を含むことができ、式中、M
1は、第1の金属であり、M
2は、第2の金属であり、Aは、アニオン種であり、1≦x≦2、0≦y≦1、0≦z≦1、及び0≦u≦1である。いくつかの態様において、M
1は、Al、Ga、V、Fe、Mn、及びTiから選択される。いくつかの態様において、M
1は、Mn、Fe、Co、Ni、V、及びCrから選択され、M
2は独立して、M
1から選択され、Mn、Fe、Co、Ni、V、及びCrから選択される。いくつかの態様において、AはPO
4である。いくつかの態様において、Aは、SO
4、P
2O
7、CO
3、及びSiO
4から選択される。いくつかの態様において、
【化2】
は、LiFePO
4(OH)、LiFePO
4F、Li
2FePO
4F、LiMnSO
4F、LiMnP
2O
7F、LiVPO
4F、Li(Fe
1-yMn
y)SO
4F、LiFeSO
4F、Li
2CoP
2O
7、LiVP
2O
7、Li
2VOP
2O
7、Li
2(Fe
1-yMn
y)P
2O
7、Li
2FeP
2O
7、及びLiMnF
2から選択される1つ以上であり、これらの任意の2つ以上の組み合わせを含む。
【0004】
少なくとも1つの態様は、方法を対象とする。その方法は、カソードのカソード活物質上にコーティングを配置することを含むことができる。コーティングは、
【化3】
を含むことができ、式中、M
1は、第1の金属であり、M
2は、第2の金属であり、Aは、アニオン種であり、1≦x≦2、0≦y≦1、0≦z≦1、及び0≦u≦1である。いくつかの態様において、M
1は、Al、Ga、V、Fe、Mn、及びTiから選択される。いくつかの態様において、M
1は、Mn、Fe、Co、Ni、V、及びCrから選択され、M
2は独立して、M
1から選択され、Mn、Fe、Co、Ni、V、及びCrから選択される。いくつかの態様において、Aは、PO
4である。いくつかの態様において、Aは、SO
4、P
2O
7、CO
3、及びSiO
4から選択される。いくつかの態様において、
【化4】
は、LiFePO
4(OH)、LiFePO
4F、Li
2FePO
4F、LiMnSO
4F、LiMnP
2O
7F、LiVPO
4F、Li(Fe
1-yMn
y)SO
4F、LiFeSO
4F、Li
2CoP
2O
7、LiVP
2O
7、Li
2VOP
2O
7、Li
2(Fe
1-yMn
y)P
2O
7、Li
2FeP
2O
7、及びLiMnF
2から選択される1つ以上であり、これらの任意の2つ以上の組み合わせを含む。これらの態様のいずれかに従って、方法は、コーティングの第1の前駆体、コーティングの第2の前駆体、及び任意選択的に、コーティングの第3の前駆体をカソード活物質と合わせることと、コーティング前駆体及びカソード活物質を加熱することと、を含み得る。前述のいずれかのいくつかの態様において、方法は、FePO4、LiF、及びカソード活物質を合わせることと、FePO4、LiF、及びカソード活物質を500℃~600℃の範囲の温度で加熱することと、を含む。前述のいずれかの他の態様では、方法は、MnSO4・H2O、LiF、及びカソード活物質を合わせることと、MnSO4・H2O、LiF、及びカソード活物質を300℃~600℃の範囲の温度で加熱することと、を含む。
【0005】
少なくとも1つの態様は、電気ビークルを対象としている。電気ビークルは、電池を含むことができる。電池は、カソードを含むことができる。カソードは、カソード活物質を含むことができる。カソードは、カソード活物質上に配置されたコーティングを含むことができる。コーティングは、
【化5】
を含むことができ、式中、M
1は、第1の金属であり、M
2は、第2の金属であり、Aは、アニオン種であり、1≦x≦2、0≦y≦1、0≦z≦1、及び0≦u≦1である。いくつかの態様において、M
1は、Al、Ga、V、Fe、Mn、及びTiから選択される。いくつかの態様において、M
1は、Mn、Fe、Co、Ni、V、及びCrから選択され、M
2は独立して、M
1から選択され、Mn、Fe、Co、Ni、V、及びCrから選択される。いくつかの態様において、Aは、PO
4である。いくつかの態様において、Aは、SO
4、P
2O
7、CO
3、及びSiO
4から選択される。いくつかの態様において、
【化6】
は、LiFePO
4(OH)、LiFePO
4F、Li
2FePO
4F、LiMnSO
4F、LiMnP
2O
7F、LiVPO
4F、Li(Fe
1-yMn
y)SO
4F、LiFeSO
4F、Li
2CoP
2O
7、LiVP
2O
7、Li
2VOP
2O
7、Li
2(Fe
1-yMn
y)P
2O
7、Li
2FeP
2O
7、及びLiMnF
2から選択される1つ以上であり、これらの任意の2つ以上の組み合わせを含む。
【0006】
少なくとも1つの態様は、システムを対象としている。システムは、電池を含むことができる。電池は、カソードを含むことができる。カソードは、カソード活物質を含むことができる。カソードは、カソード活物質上に配置されたコーティングを含むことができる。コーティングは、
【化7】
を含むことができ、式中、M
1は、第1の金属であり、M
2は、第2の金属であり、Aは、アニオン種であり、1≦x≦2、0≦y≦1、0≦z≦1、及び0≦u≦1である。いくつかの態様において、M
1は、Al、Ga、V、Fe、Mn、及びTiから選択される。いくつかの態様において、M
1は、Mn、Fe、Co、Ni、V、及びCrから選択され、M
2は独立して、M
1から選択され、Mn、Fe、Co、Ni、V、及びCrから選択される。いくつかの態様において、Aは、PO
4である。いくつかの態様において、Aは、SO
4、P
2O
7、CO
3、及びSiO
4から選択される。いくつかの態様において、
【化8】
は、LiFePO
4(OH)、LiFePO
4F、Li
2FePO
4F、LiMnSO
4F、LiMnP
2O
7F、LiVPO
4F、Li(Fe
1-yMn
y)SO
4F、LiFeSO
4F、Li
2CoP
2O
7、LiVP
2O
7、Li
2VOP
2O
7、Li
2(Fe
1-yMn
y)P
2O
7、Li
2FeP
2O
7、及びLiMnF
2から選択される1つ以上であり、これらの任意の2つ以上の組み合わせを含む。
【0007】
少なくとも1つの態様は、電池を対象としている。電池は、カソードを含むことができる。カソードは、カソード活物質を含むことができる。カソードは、カソード活物質上に配置されたコーティングを含むことができる。コーティングは、
【化9】
を含むことができ、式中、M
1は、第1の金属であり、M
2は、第2の金属であり、Aは、アニオン種であり、1≦x≦2、0≦y≦1、0≦z≦1、及び0≦u≦1である。いくつかの態様において、M
1は、Al、Ga、V、Fe、Mn、及びTiから選択される。いくつかの態様において、M
1は、Mn、Fe、Co、Ni、V、及びCrから選択され、M
2は独立して、M
1から選択され、Mn、Fe、Co、Ni、V、及びCrから選択される。いくつかの態様において、Aは、PO
4である。いくつかの態様において、Aは、SO
4、P
2O
7、CO
3、及びSiO
4から選択される。いくつかの態様において、
【化10】
は、LiFePO
4(OH)、LiFePO
4F、Li
2FePO
4F、LiMnSO
4F、LiMnP
2O
7F、LiVPO
4F、Li(Fe
1-yMn
y)SO
4F、LiFeSO
4F、Li
2CoP
2O
7、LiVP
2O
7、Li
2VOP
2O
7、Li
2(Fe
1-yMn
y)P
2O
7、Li
2FeP
2O
7、及びLiMnF
2から選択される1つ以上であり、これらの任意の2つ以上の組み合わせを含む。
【0008】
前述の態様のいずれかに従って、M
1は、Al、Ga、V、Fe、Mn、及びTiから選択されてもよく、Aは、PO
4であってもよく、y=0である。前述の態様のいずれかに従って、
【化11】
は、Li
xFePO
4Fであってもよい。前述の態様のいずれかに従って、
【化12】
は、LiFePO
4Fであってもよい。あるいは、前述の態様のいずれかに従って、
【化13】
は、Li
2FePO
4Fであってもよい。あるいは、前述の態様のいずれかに従って、
【化14】
は、LiMnSO
4Fであってもよい。あるいは、前述の態様のいずれかに従って、
【化15】
は、LiMn
1-yFe
ySO
4Fであってもよい。あるいは、前述の態様のいずれかに従って、
【化16】
は、LiMnSO
4F、LiMnP
2O
7F、及びLiMnF
2、並びにそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される1つ以上であってもよい。
【0009】
上記態様のいずれかに従って、
【化17】
の結晶構造は、三斜晶であってもよい。あるいは、前述の態様のいずれかに従って、
【化18】
は、タボライト構造で配列されてもよい。あるいは、前述の態様のいずれかに従って、
【化19】
の結晶構造は、トリプライトであってもよい。
【0010】
前述の態様のいずれかに従って、
【化20】
は、0℃~500℃の温度範囲で熱的に安定であり得る。
【0011】
前述の態様のいずれかに従って、コーティングは、コーティングのないカソードと比較して、カソードからのマンガンの溶解を低減するように構成され得る。
【0012】
前述の態様のいずれかに従って、カソードは、LMFP、LMO、LiMO2、Li1+x1M1-x1O2、及びLi2MnO3からの1つ以上の材料を含んでもよい。
【0013】
これら及び他の態様及び実現形態は、以下で詳細に説明される。前述の情報及び以下の発明を実施するための形態は、様々な態様及び実現形態の例示的な例を含み、本明細書で開示される装置、システム、及び方法の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みを提供する。図面は、様々な態様及び実現形態の例示及び更なる理解を提供し、本開示に組み込まれ、本開示の一部を構成する。前述の情報並びに以下の発明を実施するための形態及び図面は、例示的な例を含み、限定するものとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付の図面は、一定の縮尺で描くことを意図していない。様々な図面における同様の参照番号及び名称は、同様の要素を示す。明確にするために、全ての図面において全ての構成要素に符号が付されているわけではない。図面は以下の通りである。
【0015】
【
図1】
図1は、様々な実現形態による、電気ビークルの断面図を示している。
【
図2A】
図2Aは、例示的な実現形態による、電池パックを示している。
【
図2B】
図2Bは、例示的な実現形態による、電池モジュールを示している。
【
図2C】
図2Cは、例示的な実現形態による、電池セルの断面図を示している。
【
図2D】
図2Dは、例示的な実現形態による、電池セルの断面図を示している。
【
図2E】
図2Eは、例示的な実現形態による、電池セルの断面図を示している。
【
図3】
図3は、例示的な実現形態による、電極の斜視図を示している。
【
図4】
図4は、例示的な実現形態による、電極の斜視図を示している。
【
図5】
図5は、例示的な実現形態による、LiFePO
4Fの結晶構造を示している。
【
図6】
図6は、例示的な実現形態に基づく理論計算による、25℃での、対照電解質中のマンガンの量と、本明細書に開示の改善された電極を有する電解質中のマンガンの量とのプロットを示している。
【
図7】
図7は、例示的な実現形態に基づく理論計算による、55℃での、対照電解質中のマンガンの量と、本明細書に開示の改善された電極を有する電解質中のマンガンの量とのプロットを示している。
【
図8】
図8は、例示的な実現形態による、LiMnSO
4Fの結晶構造を示している。
【
図9】
図9は、LiMnSO
4F、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4、及びLiMn
0.75Fe
0.25PO
4の熱重量分析(thermogravimetric analysis、TGA)を示している。
【
図10】
図10は、例示的な実現形態による、電極の斜視図である。
【
図11】
図11は、例示的な実現形態による、カソードの劣化を低減又は防止する方法を示している。
【
図12】
図12は、例示的な実現形態による、カソードを提供する方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下は、電池の劣化を低減するための方法、装置、及びシステムに関する様々な概念、並びにそれらの実現形態のより詳細な説明である。上で紹介し、以下でより詳細に説明する様々な概念は、多数の方法のいずれかで実現され得る。
【0017】
本開示は、電池の劣化を低減又は防止するための装置、システム、及び方法に関する。カソードは、酸化し、化学分解反応を受ける可能性がある。加えて、カソードにおける酸素ガスの発生は、熱暴走につながる可能性がある。
【0018】
カソードにおける酸素ガスの発生は、高温での熱暴走につながる可能性がある。マンガン含有カソードにおいて、脱リチウム化されたLi1-xMnPO4は、熱暴走の場合に、脱リチウム化されたLi1-xFePO4と比較して、はるかに低い温度で酸素ガスを発生し得る。例えば、リチウム化LiMnPO4相は、非常に高い温度まで安定であり得るが、脱リチウムMnPO4は、2MnPO4→Mn2P2O7+1/2O2(g)のような熱分解反応を徐々に受ける可能性がある。この反応は、粉末品質、コーティングの性質、局所的な構造などに応じて、200℃以上の温度で始まる可能性がある。
【0019】
加えて、マンガン含有カソードからのマンガンイオンは、液体電解質中に溶解し(Mn2+
aq.形態で)、アノードにおいて反応してマンガン金属(Mn0)を形成し、電池の劣化につながる可能性がある。例えば、溶解したマンガンイオンは、電解質中に存在するHFと反応して、電池の固体電解質界面中にMnF2を形成する場合があり、電気化学セル内でのMnF2の更なる還元は、アノードにおけるマンガン金属の形成及び堆積をもたらす場合がある。そのようなマンガン金属は、アノードの分極を増加させ、電池のインピーダンス及び/又は抵抗を増加させる可能性がある。これらの問題は、LiMnaFe1-aPO4(LMFP)カソード(式中、0≦a≦1)、又はLiMn2O4(LMO)カソードなどのMn含有カソードを含む任意の電池において生じ得る。
【0020】
これらの問題に対処するために、本明細書に記載される技術的解決策は、カソード活物質を含むカソードである。カソードは、カソード活物質上に配置されたコーティングを含むことができる。コーティングは、
【化21】
を含むことができ、式中、M
1は、第1の金属であり、M
2は、第2の金属であり、Aは、アニオン種であり、1≦x≦2、0≦y≦1、0≦z≦1、及び0≦u≦1である。いくつかの態様において、M
1は、Al、Ga、V、Fe、Mn、及びTiから選択される。いくつかの態様において、M
1は、Mn、Fe、Co、Ni、V、及びCrから選択され、M
2は独立して、M
1から選択され、Mn、Fe、Co、Ni、V、及びCrから選択される。いくつかの態様において、Aは、PO
4である。いくつかの態様において、Aは、SO
4、P
2O
7、CO
3、及びSiO
4から選択される。特定の態様において、
【化22】
は、LiFePO
4(OH)、LiFePO
4F、Li
2FePO
4F、LiMnSO
4F、LiMnP
2O
7F、LiVPO
4F、Li(Fe
1-yMn
y)SO
4F、LiFeSO
4F、Li
2CoP
2O
7、LiVP
2O
7、Li
2VOP
2O
7、Li
2(Fe
1-yMn
y)P
2O
7、Li
2FeP
2O
7、及びLiMnF
2から選択される1つ以上であり、これらの任意の2つ以上の組み合わせを含む。
【0021】
開示の解決策は、電池セルにおけるマンガン金属形成を低減又は防止するという技術的利点を有する。その解決策は、アノード由来のセル分極を低減し、電池の全体的なインピーダンス抵抗を減少させることができる。解決策は、経時的な電池容量の減少を低減又は防止することができる。解決策は、カソードにおける酸素ガス発生を低減又は抑制することができる。更なる詳細は、図面を参照して以下で論じ、例示する。
【0022】
図1は、少なくとも1つの電池パック110を搭載した電気ビークル105の例示的な断面
図100を示している。電気ビークル105は、数ある可能性の中でもとりわけ、電気トラック、電気スポーツユーティリティビークル(electric sport utility vehicle、SUV)、電気配送バン、電気自動車、電気車、電気オートバイ、電気スクータ、電気乗用車、電気乗用若しくは商用トラック、ハイブリッドビークル、又は海上若しくは航空輸送ビークル、飛行機、ヘリコプター、潜水艦、ボート、若しくはドローンなどの他のビークルを含むことができる。電池パック110はまた、住宅又は商業ビルなどの建物に電力供給するためのエネルギー貯蔵システムとしても使用することができる。電気ビークル105は、完全に電気又は部分的に電気(例えば、プラグインハイブリッド)であることができ、更に、電気ビークル105は、完全自律型、部分自律型、又は無人型であることができる。電気ビークル105はまた、人間が操作するものであり得るし、非自律型であり得る。電気ビークル105、例えば、電気トラック又は自動車は、電気ビークルに電力供給するために、オンボード電池パック110、電池115、又は電池モジュール115、又は電池セル120を含むことができる。電気ビークル105は、シャーシ125(例えば、フレーム、内部フレーム、又は支持構造)を含むことができる。シャーシ125は、電気ビークル105の様々な構成要素を支持することができる。シャーシ125は、電気ビークル105の前部130(例えば、フード又はボンネット部分)、本体部分135、及び後部140(例えば、トランク、ペイロード、又はブーツ部分)に及ぶことができる。電池パック110は、電気ビークル105内に搭載又は設置することができる。例えば、電池パック110は、前部130、本体部135、又は後部140のうちの1つ以上の中で、電気ビークル105のシャーシ125上に搭載することができる。電池パック110は、少なくとも1つのバスバー、例えば、集電体要素を含むか、又はそれと接続することができる。例えば、第1の母線145及び第2の母線150は、電気ビークル105の様々なシステム又は構成要素に電力を提供するために、電池115、電池モジュール115、又は電池セル120を電気ビークル105の他の電気構成要素に接続するか、又は他の方法で電気的に結合する導電性材料を含むことができる。
【0023】
図2Aは、例示的な電池パック110を示している。
図2Aを参照すると、とりわけ、電池パック110は、電気ビークル105に電力を提供することができる。電池パック110は、電気ビークル105などの任意のタイプのビークルに電力供給するための電気デバイス、電子デバイス、機械デバイス、又は電気機械デバイスの任意の配設又はネットワークを含み得る。電池パック110は、少なくとも1つのハウジング205を含むことができる。ハウジング205は、少なくとも1つの電池モジュール115又は少なくとも1つの電池セル120、並びに他の電池パック構成要素を含むことができる。電池モジュール115は、角柱状セル、円柱状セル、パウチセル、又は電池セル120の他の形態因子のうちの1つ以上の群であることができるか、又は1つ以上の群を含むことができる。ハウジング205は、例えば、電気ビークル105が不整地(例えば、オフロード、溝、岩など)上で駆動される場合に、外部条件から電池モジュール115及び/又はセル120を保護するために、電池モジュール115の底部又は下にシールドを含むことができる。電池パック110は、少なくとも1つの熱構成要素(例えば、コールドプレート)215も含むことができる熱/温度制御又は熱交換システムの一部として電池パック110を通して流体を分配することができる少なくとも1つの冷却ライン210を含むことができる。熱構成要素215は、数ある可能性の中でもとりわけ、上部サブモジュール及び下部サブモジュールに対して、例えば、上部サブモジュールと下部サブモジュールとの間に、位置付けることができる。電池パック110は、任意の数の熱構成要素215を含むことができる。例えば、電池パック110ごとに、又は電池モジュール115ごとに、1つ以上の熱構成要素215が存在することができる。少なくとも1つの冷却ライン210は、熱構成要素215と結合することができるか、その一部であることができるか、又は熱構成要素215から独立していることができる。
【0024】
図2Bは、例示的な電池モジュール115を示しており、
図2C、
図2D及び
図2Eは、電池セル120の例示的な断面図を示している。電池モジュール115は、少なくとも1つのサブモジュールを含むことができる。例えば、電池モジュール115は、少なくとも1つの第1の(例えば、上部)サブモジュール220又は少なくとも1つの第2の(例えば、下部)サブモジュール225を含むことができる。少なくとも1つの熱構成要素215を、上部サブモジュール220と下部サブモジュール225との間に配置することができる。例えば、1つの熱構成要素215は、1つの電池モジュール115と熱交換するために構成することができる。熱構成要素215は、上部サブモジュール220と下部サブモジュール225との間に配置することができるか、又はそれらの間に熱的に結合することができる。1つの熱構成要素215はまた、2つ以上の電池モジュール115(又は3つ以上のサブモジュール220、225)とも熱的に結合することができる。互いに隣接して示されている熱構成要素215を組み合わせて、1つ以上のサブモジュール220又は225の大きさに及ぶ単一の熱構成要素215とすることができる。熱構成要素215は、数ある可能性の中でも特に、サブモジュール220の下かつサブモジュール225の上、サブモジュール220と225との間、サブモジュール220、225の1つ以上の側面に配置することができる。熱構成要素215は、上述した電池パック110などの電池パックの様々な他の構成要素の中でも、側壁、横材、構造梁に配置することができる。電池サブモジュール220、225は、集合的に1つの電池モジュール115を形成し得る。いくつかの実施形態では、各サブモジュール220、225は、サブモジュールではなく、完全な電池モジュール115とみなすことができる。
【0025】
電池モジュール115は、各々複数の電池セル120を含むことができる。電池モジュール115は、電池パック110のハウジング205内に配置することができる。電池モジュール115は、例えば、円柱状セル又は角柱状セルである電池セル120を含むことができる。電池モジュール115は、電池セル120のモジュラユニットとして作動することができる。例えば、電池モジュール115は、電池モジュール115に含まれる電池セル120から電流又は電力を収集することができ、電池パック110からの出力として電流又は電力を提供することができる。電池パック110は、任意の数の電池モジュール115を含むことができる。例えば、電池パックは、ハウジング205中に配置された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個、又は他の数の電池モジュール115を有することができる。また、各電池モジュール115は、上部サブモジュール220及び下部サブモジュール225を含んでいてもよく、場合によっては、上部サブモジュール220と下部サブモジュール225との間に熱構成要素215を有することにも留意すべきである。電池パック110は、電池モジュール115及び/又はセル120の位置決めのための複数の領域を含むか、又は画定することができる。電池モジュール115は、正方形、長方形、円形、三角形、対称形、又は非対称形であることができる。いくつかの例では、電池モジュール115は、数ある可能性の中でも特に、いくつかの電池モジュール115が長方形であるが、他の電池モジュール115が正方形であるなど、異なる形状であり得る。電池モジュール115は、複数の電池セル120のための複数のスロット、ホルダ、又は容器を含むか、又は画定することができる。本明細書における例示及び説明は、例示目的で提供されており、限定するものとして解釈されるべきではないことに留意すべきである。例えば、電池セル120は、電池モジュール220及び225を用いずに電池パック110に挿入することができる。電池セル120は、他の可能性の中でも特に、モジュール220及び225を用いずにセルツーパック(cell-to-pack)構成で電池パック110内に配置することができる。
【0026】
上述したように、電池セル120は、種々の形態因子、形状、又はサイズを有する。例えば、電池セル120は、円柱状、長方形、正方形、立方体、平坦、又は角柱状の形態因子を有することができる。
図2Cに示されるように、例えば、電池セル120は、円柱状であることができる。
図2Dに示されるように、例えば、電池セル120は、角柱状であることができる。
図2Eに示すように、例えば、電池セル120は、パウチ形態因子を含むことができる。電池セル120は、電解質材料を含む巻かれた又は積層された電極ロール(例えば、ゼリーロール)を少なくとも1つの電池セルハウジング230に挿入することによって組み立てることができる。電解質材料、例えば、イオン伝導性流体又は他の材料は、正極と負極との間のイオンの伝導を可能にすることによって、電池セルのための電力を、発生し、貯蔵し、又は提供するために、電極における電気化学反応を支援することができる。電池セル120は、電解質層を含むことができ、電解質層は、イオンを伝導することができる固体電解質材料であることができるか、又はそれを含むことができる。例えば、固体電解質層は、別個の液体電解質材料を受け入れることなくイオンを伝導することができる。電解質材料、例えば、イオン伝導性流体又は他の材料は、電池セル120のために電力を発生又は提供するために、電極間でのイオンの伝導を支援することができる。ハウジング230は、例えば、円柱状又は長方形を含む様々な形状であることができる。電解質材料と電池セル120の構成要素との間を電気的に接続することができる。例えば、電解質材料の少なくとも一部による電極への電気的接続は、例えば、第1の極性端子235(例えば、正又はアノード端子)及び第2の極性端子240(例えば、負又はカソード端子)を形成するために、電池セル120の2つの点又は領域で形成されることができる。極性端子は、電池セル120から、電気ビークル105の構成要素又はシステムなどの電気的負荷に電流を運ぶために、導電性材料から作製することができる。
【0027】
例えば、電池セル120は、少なくとも1つのリチウムイオン電池セルを含むことができる。リチウムイオン電池セルにおいて、リチウムイオンは、電池セルの充電及び放電中に正極と負極との間を移動することができる。例えば、電池セルアノードは、リチウム又はグラファイトを含むことができ、電池セルカソードは、リチウム系酸化物材料を含むことができる。電解質材料は、電池セル120中に配置されて、アノードとカソードとを互いに分離し、アノードとカソードとの間のリチウムイオンの移動を容易にすることができる。電池セル120は、固体電極及び固体電解質を使用して開発された固体電池セルの形態をとることもできることに留意すべきである。固体電極又は固体電解質は、無機固体電解質材料(例えば、酸化物、硫化物、リン化物、セラミック)、固体ポリマー電解質材料、ハイブリッド固体電解質、又はそれらの任意の組み合わせであることができるか、又はそれらを含むことができる。いくつかの実現形態では、固体電解質層は、ポリアニオン性又は酸化物系の電解質材料(例えば、リチウム超イオン伝導体(Lithium Superionic Conductor、LISICON)、ナトリウム超イオン伝導体(Sodium Superionic Conductor、NASICON)、式ABO3(A=Li、Ca、Sr、La、及びB=Al、Ti)を有するペロブスカイト、式A3B2(XO4)3(A=Ca、Sr、Ba及びX=Nb、Ta)を有するガーネット型、リチウムリンオキシ窒化物(LixPOyNz)を含むことができる。いくつかの実現形態では、固体電解質層は、ガラス状、セラミック、及び/又は結晶性の硫化物系電解質(例えば、Li3PS4、Li7P3S11、Li2S-P2S5、Li2S-B2S3、SnS-P2S5、Li2S-SiS2、Li2S-P2S5、Li2S-GeS2、Li10GeP2S12)及び/又は、Li6PS5Cl)のような式Li6PS5X(X=Cl、Br)を有する硫化物系リチウムアルジロダイトを含むことができる。更に、固体電解質層は、ポリマー電解質材料(例えば、ハイブリッド又は擬似固体電解質)、例えば、特に、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile、PAN)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide、PEO)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl-methacrylate、PMMA)、及びポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVDF)を含むことができる。
【0028】
電池セル120は、電気ビークル105の構成要素に電力を供給するために、電池モジュール115又は電池パック110に含まれることができる。電池セルハウジング230は、電気ビークル105に設置された、電池モジュール115、電池パック110、又は電池アレイ中に配置することができる。ハウジング230は、特に、(例えば、特に
図2Cに示したような)円形、楕円形、又は卵形の基部(base)を有する円柱状などの任意の形状であることができる。ハウジング230の形状はまた、特に、
図2Dに示したように、多角形の基部を有する角柱状であることもできる。
図2Eに示したように、特に、ハウジング230は、パウチ形態因子を含むことができる。ハウジング230は、特に、三角形、正方形、長方形、五角形、及び六角形などの他の形態因子を含むことができる。いくつかの実現形態では、電池パックは、モジュールを含まなくてもよい(例えば、モジュールフリー)。例えば、電池パックは、モジュールフリー又はセルツーパック構成を有することができ、この場合、電池セルは、モジュールに組み立てることなく電池パック中に直接配設される。
【0029】
電池セル120のハウジング230は、様々な導電率若しくは熱伝導率、又はそれらの組み合わせを有する1つ以上の材料を含むことができる。電池セル120のハウジング230のための導電性及び熱伝導性材料は、特に、アルミニウム、銅、ケイ素、スズ、マグネシウム、マンガン、又は亜鉛を含むアルミニウム合金(例えば、アルミニウム1000、4000、若しくは5000シリーズ)、鉄、鉄-炭素合金(例えば、鋼)、銀、ニッケル、銅、及び銅合金などの金属材料を含むことができる。電池セル120のハウジング230のための電気絶縁性及び熱伝導性の材料は、とりわけ、セラミック材料(例えば、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化ベリリウムなど)及び熱可塑性材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、又はナイロン)を含むことができる。電池セル120のハウジング230が角柱状(例えば、特に
図2Dに示したように)又は円柱状(例えば、特に
図2Cに示したように)である例では、ハウジング230は、ハウジング230が剛性又は半剛性である(例えば、別の形状又は形状因子に容易に変形又は操作されない)ように、硬質又は半硬質の材料を含むことができる。ハウジング230がパウチ形態因子(例えば、特に
図2Eに示したように)を含む実施例では、ハウジング230は、ハウジング230が別の形態因子又は形状に屈曲、変形、操作されることができるように、可撓性、可鍛性、又は非剛性の材料を含むことができる。
【0030】
電池セル120は、ハウジング230によって画定されるキャビティ250内に配置することができる少なくとも1つのアノード層245を含むことができる。アノード層245は、第1の酸化還元電位を含むことができる。アノード層245は、電池セル120の作動(例えば、電池セル120の充電又は放電)中に、電流を電池セル120中に受け取り、電子を出力することができる。アノード層245は、活物質を含むことができる。活物質は、例えば、活性炭又は導電性材料が注入された材料(例えば、人工又は天然グラファイト、又はそれらのブレンド)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、又はシリコン系材料(例えば、シリコン金属、酸化物、炭化物、プレリチウム化されたもの)、又は他のリチウム合金アノード(Li-Mg、Li-Al、Li-Ag合金など)、又はリチウムと炭素、シリコンと炭素又は他の化合物からなる複合アノードを挙げることができる。活物質としては、黒鉛状炭素(例えば、sp2混成を有する規則性又は非規則性炭素)、Li金属アノード、又はシリコン系炭素複合アノード、又は他のリチウム合金アノード(Li-Mg、Li-Al、Li-Ag合金など)、又はリチウムと炭素、シリコンと炭素又は他の化合物からなる複合アノードを挙げることができる。いくつかの例において、アノード材料は、集電体材料内に形成することができる。例えば、電極は、セパレータ又は固体電解質に面する集電体の表面上にインサイチュで形成されたアノード(例えば、Li金属)を有する集電体(例えば、銅箔)を含むことができる。そのような例では、組み立てられたセルは、非充電状態においてアノード活物質を含まない。
【0031】
電池セル120は、少なくとも1つのカソード層255(例えば、コンポジットカソード層、複合カソード層、複合カソード、コンポジットカソード、又はカソード)を含むことができる。カソード層255は、アノード層245の第1の酸化還元電位とは異なり得る第2の酸化還元電位を含むことができる。カソード層255は、キャビティ250内に配置されることができる。カソード層255は、電池セル120から電流を出力することができ、電池セル120の放電中に電子を受け取ることができる。カソード層255はまた、電池セル120の放電中にリチウムイオンも受け取ることができる。逆に、カソード層255は、電流を電池セル120に受け取ることができ、電池セル120の充電中に電子を出力することができる。カソード層255は、電池セル120の充電中にリチウムイオンを放出することができる。
【0032】
電池セル120は、キャビティ250内に配置された層260を含むことができる。層260は、固体電解質層を含むことができる。層260は、液体電解質によって湿潤されたセパレータを含むことができる。層260は、ポリマー材料を含むことができる。層260は、ポリマーセパレータを含むことができる。層260は、アノード層245とカソード層255との間に配設されて、アノード層245とカソード層255とを分離することができる。ポリマーセパレータは、アノード及びカソードをセル短絡から物理的に分離することができる。セパレータは、液体電解質で湿潤させることができる。液体電解質は、アノード層245中に拡散することができる。液体電解質は、カソード層255中に拡散することができる。固体電解質の場合、層260は、アノード層245とカソード層255との間のイオン(例えば、Li+イオン)の移動を助けることができる。層260は、電池セル120の放電作動中にアノード層245からカソード層255にLi+カチオンを移動させることができる。固体電解質の場合、層260は、電池セル120の充電作動中に、カソード層255からアノード層245にリチウムイオンを移動させることができる。液体電解質によって湿潤されると、イオン(例えば、Li+イオン)は、アノード層245とカソード層255との間の層260(例えば、ポリマーセパレータ層)を通って拡散することができる。Li+カチオンは、電池セル120の放電作動中に、アノード層245からカソード層255に層260を通って拡散することができる。リチウムイオンは、電池セル120の充電作動中に、カソード層255からアノード層245へ層260を通って拡散することができる。
【0033】
層の酸化還元電位(例えば、アノード層245の第1の酸化還元電位又はカソード層255の第2の酸化還元電位)は、それぞれの層のケミストリ又は電池セル120のケミストリに基づいて変化することができる。例えば、リチウムイオン電池は、カソード層(例えば、カソード層255)のために、LFP(リン酸鉄リチウム)ケミストリ、LMFP(リン酸マンガン鉄リチウム)ケミストリ、NMC(ニッケルマンガンコバルト)ケミストリ、NCA(ニッケルコバルトアルミニウム)ケミストリ、OLO(過剰にリチウム化された酸化物(Over Lithiated Oxide))ケミストリ、又はLCO(リチウムコバルト酸化物)ケミストリを含むことができる。リチウムイオン電池は、アノード層(例えば、アノード層245)のためのグラファイトケミストリ、シリコン-グラファイトケミストリ、又はリチウム金属ケミストリを含むことができる。
【0034】
例えば、カソード層(例えば、カソード層255)のために、リチウムイオン電池は、オリビンホスフェート(LiMPO4、M=Fe及び/又はCo及び/又はMn及び/又はNi))ケミストリ、LISICON又はNASICONホスフェート(Li3M2(PO4)3及びLiMPO4Ox(M=Ti、V、Mn、Cr、及びZr)、例えば、リン酸鉄リチウム(lithium iron phosphate、LFP)、リン酸鉄マンガンリチウム(lithium iron manganese phosphate、LMFP)、層状酸化物(LiMO2(M=Ni及び/又はCo及び/又はMn及び/又はFe及び/又はAl及び/又はMg)、NMC(ニッケルマンガンコバルト)ケミストリ、又はNCA(ニッケルコバルトアルミニウム)ケミストリ、又はLCO(リチウムコバルト酸化物)ケミストリ、並びにリチウムリッチ層状酸化物(Li1+xM1-xO2)(Ni、及び/又はMn、及び/又はCo)、(OLO又はLMR)、スピネル(LiMn2O4)及び高電圧スピネル(LiMn1.5Ni0.5O4)、不規則岩塩、フルオロホスフェート、例えば、Li2FePO4F(M=Fe、Co、Ni)及びフルオロスルフェート、例えば、LiMSO4F(M=Co、Ni、Mn)を含むことができる。アノード層(例えば、アノード層245)に関して、リチウムイオン電池は、黒鉛ケミストリ、シリコン-黒鉛ケミストリ、又はリチウム金属ケミストリを含むことができる。例えば、LFPケミストリを有するカソード層は、3.4Vvs.Li/Li+の酸化還元電位を有することができ、グラファイトケミストリを有するアノード層は、0.2Vvs.Li/Li+の酸化還元電位を有することができる。
【0035】
電極層は、一般的に導電性炭素材料、結合剤、又は集電体(金属箔)上のコーティングとしての他の添加剤に加えて、アノード活物質又はカソード活物質を含むことができる。電極層の化学組成は、電極層の酸化還元電位に影響を及ぼす可能性がある。例えば、カソード層(例えば、カソード層255)は、中ニッケル含有量から高ニッケル含有量(50~80%、又は80%Niに等しい)のリチウム遷移金属酸化物、例えば、粒子状リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(lithium nickel manganese cobalt oxide、「LiNMC」)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(lithium nickel cobalt aluminum oxide、「LiNCA」)、リチウムニッケルマンガンコバルトアルミニウム酸化物(lithium nickel manganese cobalt aluminum oxide、「LiNMCA」)、又はリン酸金属リチウム、例えば、リン酸鉄リチウム(「LFP」)及びリン酸マンガン鉄リチウム(「LMFP」)を含むことができる。アノード層(例えば、アノード層245)は、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどの導電性炭素材料を含むことができる。アノード層は、例えば、Super Pカーボンブラック材料、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、SWCNT、MWCNT、グラファイト、カーボンナノファイバー、又はグラフェンを含むことができる。
【0036】
電極層はまた、化学結合材料(例えば、結合剤)も含むことができる。結合剤としては、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride、「PVDF」)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、「PVP」)、スチレン-ブタジエン若しくはスチレン-ブタジエンゴム(styrene-butadiene rubber、「SBR」)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、「PTFE」)、又はカルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose、「CMC」)などのポリマー材料を挙げることができる。結合剤材料としては、寒天、アルギネート、アミロース、アラビアゴム、カラギーナン、カゼイン、キトサン、シクロデキストリン(カルボニル-ベータ)、エチレンプロピレンジエンモノマー(ethylene propylene diene monomer、EPDM)ゴム、ゼラチン、ジェランガム、グアーガム、カラヤガム、セルロース(天然)、ペクチン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(poly(3,4-ethylenedioxythiophene)polystyrene sulfonate、PEDOT-PSS)、ポリアクリル酸(polyacrylic acid、PAA)、ポリ(メチルアクリレート)(poly(methyl acrylate)、PMA)、ポリ(ビニルアルコール)(poly(vinyl alcohol)、PVA)、ポリ(酢酸ビニル)(poly(vinyl acetate)、PVAc)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile、PAN)、ポリイソプレン(polyisoprene、PIpr)、ポリアニリン(polyaniline、PANi)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリスチレン(polystyrene、PS)、ポリウレタン(polyurethane、PU)、ポリビニルブチラール(polyvinyl butyral、PVB)、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone、PVP)、デンプン、スチレンブタジエンゴム(styrene butadiene rubber、SBR)、タラガム、トラガカントガム、フッ素アクリレート(TRD202A)、キサンタンガム、又はそれらのいずれか2つ以上の混合物を挙げることができる。
【0037】
集電体材料(例えば、電極活物質が積層されてカソード層又はアノード層を形成する集電体箔)は、金属材料を含むことができる。例えば、集電体材料は、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼、又は炭素質材料を含むことができる。集電体材料は、金属箔として形成することができる。例えば、集電体材料は、アルミニウム(Al)又は銅(Cu)箔であることができる。集電体材料は、Al、Cu、Ni、Fe、Ti、又はそれらの任意の組み合わせから作製された金属合金であることができる。集電体材料は、炭素コーティングアルミニウム箔、炭素コーティング銅箔、又は他の炭素コーティング箔材料などの炭素材料でコーティングされた金属箔であることができる。
【0038】
層260は、液体電解質材料を含むことができるか、又は液体電解質材料から作製することができる。例えば、層260は、液体電解質物質で湿潤される(例えば、液体電解質物質で飽和される、液体電解質物質に浸漬される、液体電解質物質を受け入れる)ポリマー材料(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、又は他の材料)のうちの少なくとも1つの層であることができるか、又はそれを含むことができる。液体電解質材料は、溶媒に溶解されたリチウム塩を含むことができる。層260のための液体電解質材料のためのリチウム塩としては、例えば、特に、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、及び過塩素酸リチウム(LiClO4)を挙げることができる。溶媒は、例えば、特に、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate、DMC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、及びジエチルカーボネート(diethyl carbonate、DEC)を挙げることができる。液体電解質は、必ずしも層260の近くに配置される必要はないが、液体電解質は、多くの異なる方法で電池セル120に充填することができる。一方、層260は、固体電解質材料、例えば、セラミック電解質材料、ポリマー電解質材料、又はガラス状電解質材料、又は特に、それらの任意の組み合わせを含むことができるか、又はそれらから作製することができる。
【0039】
いくつかの実現形態では、固体電解質膜は、固体電解質のうちの少なくとも1つの層を含む。固体電解質層の固体電解質材料としては、無機固体電解質材料(例えば、酸化物、硫化物、リン化物、セラミック)、固体ポリマー電解質材料、ハイブリッド固体電解質、又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。いくつかの実現形態では、固体電解質層は、ポリアニオン性又は酸化物系の電解質材料(例えば、リチウム超イオン伝導体(LISICON)、ナトリウム超イオン伝導体(NASICON)、式ABO3(A=Li、Ca、Sr、La、及びB=Al、Ti)を有するペロブスカイト、式A3B2(XO4)3(A=Ca、Sr、Ba及びX=Nb、Ta)を有するガーネット型、リチウムリンオキシ窒化物(LixPOyNz)を含む。いくつかの実現形態では、固体電解質層は、ガラス状、セラミック、及び/又は結晶性の硫化物系電解質(例えば、Li3PS4、Li7P3S11、Li2S-P2S5、Li2S-B2S3,SnS-P2S5、Li2S-SiS2、Li2S-P2S5、Li2S-GeS2、Li10GeP2S12)及び/又は、Li6PS5Clのような式Li6PS5X(式中、X=Cl、Br)を有する硫化物系リチウムアルジロダイトを含むことができる。更に、固体電解質層は、ポリマー電解質材料(例えば、ハイブリッド又は擬似固体電解質)、例えば、特に、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むことができる。
【0040】
層260が液体電解質材料を含む例では、層260は非水性極性溶媒を含むことができる。非水性極性溶媒は、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジメチル、又はそれらの任意の2つ以上の混合物などのカーボネートを含むことができる。層260は、少なくとも1つの添加剤を含むことができる。添加剤は、炭酸ビニリデン、炭酸フルオロエチレン、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、又はそれらの任意の2つ以上の混合物であることができるか、又はそれらを含むことができる。層260はリチウム塩材料を含むことができる。例えば、リチウム塩は、過塩素酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド、又はそれらの任意の2つ以上の混合物であることができる。リチウム塩は、層260中に、0M超~約1.5Mで存在し得る。電池セル120に配置されると、液体電解質が存在し、電池セル120内に存在する電池サブ構成要素に接触することができる。電池サブ構成要素は、カソード、アノード、セパレータ、集電体などを含むことができる。
【0041】
導電率は、電流(I)が印加されているときの電子(e-)の移動である。電極製造工程においてカーボンブラック、CNT、グラフェンなどの導電剤を添加すること、又は活性カソード材料上に炭素コーティングの薄層を導入することは、所与の電池システムの導電性を増加させるのに役立つことができる。活物質の表面に炭素コーティングの薄層を導入するために、スクロース、グルコース、クエン酸、アセチレンブラック、クエン酸、シュウ酸、又はL-アスコルビン酸などの炭化水素(CxHyOz)化合物を、所与の活物質又は前駆体と一緒にブレンド、混合、又は粉砕することができる。これらのC含有前駆体を加熱すると、HyOzがH2O又はOHの形態で蒸発する一方で、炭素源は活物質の粒子表面に留まることができる。いくつかの実施形態では、ガス種としては、CO、CO2、O2、NOx、SOx、Cl2、H2O、又はそれらの任意の2つ以上の混合物を挙げ得るが、それらに限定されない。
【0042】
金属ホスフェート(M-P-O)前駆体は、活物質の表面でLi塩と反応して、コーティングとして表面偏析したLi-M2-P-O材料を形成し得る。いくつかの実施形態において、ホストカソードとLi-M2-P-Oとの間の界面エネルギーがより小さい場合、Li-M2-P-Oは、ナノコンポジットとしてホストカソードマトリックス内に沈殿物の形態で存在し得る。表面に向かって偏析される場合、本明細書に記載のコーティングは、カソード材料の表面にMnを露出させる傾向が低減されるか、又は全くない場合がある。
【0043】
カソード活物質(又はアノード活物質)は、炭素コーティングを含むことができる。一般に、リチウム金属ホスフェートは、活物質の導電性を改善するための表面炭素コーティングを含む。炭素コーティングプロセスは、リチウム金属ホスフェートの生成中又は生成後に行うことができ、例えば、高温でのリチウム金属ホスフェート粒子上の有機物質の熱分解は、炭素コーティングを有する活物質を生成することができ、場合によっては、活物質中に二次導電相を形成することができる。
【0044】
カソード活物質は、炭素コーティングを含むことができる。炭素コーティングは、活物質の0.5~3重量%又は0.8~1.6重量%の範囲内で存在することができる。例えば、1重量%の炭素コーティング材料は、活物質の99重量%上に存在している可能性がある。次いで、この活物質は、電極を調製するために使用される電極スラリー中で炭素導電性添加剤(例えば、97重量%の活物質とともに3重量%の導電性炭素添加剤)と混合されることができる。
【0045】
図3及び
図4は、電極300の透視図を示している。電極300は、アノード層245又はカソード層255を含むことができる。電極300は、ハウジング230によって画定されたキャビティ250内に配置されることができる。電極300は、アノード又はカソードを含むことができる。アノード又はカソードは、1つ以上の活物質粒子を含むことができる。例えば、カソードは、カソード活物質305を含むことができる。カソードは、LMFP、LMO、LiMO
2、Li
1+x1M
1-x1O
2、及びLi
2MnO
3から選択される1つ以上の材料を含むことができ、式中、0≦x1≦1である。例えば、カソードは、MnリッチのLiMO
2及びLi
1+x1M
1-x1O
2層状カソードを含むことができる。いくつかの態様において、カソードは、LiMn
x1Fe
1-x1PO
4(LMFP)材料を含む。いくつかの態様では、カソードはLiMn
2O
4材料を含む。いくつかの態様において、カソードは、LiNi
0.5Mn
1.5O
4スピネル材料を含む。電極305は、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物、グラファイト、過剰にリチウム化された層状酸化物、リチウムマンガンニッケル酸化物、又はそれらの組み合わせを含むことができる。電極305は、アノード活物質又はカソード活物質を含むことができる。
【0046】
カソードは、本明細書に記載の1つ以上のコーティング310を含むことができる。コーティング310は、カソード活物質305上に配置することができる。カソードは、コア/シェル型コーティングを含むことができる。コーティング310は、
図3に示したように、カソード活物質305(CAM)又は「コア」材料の表面上に層(「シェル」)を形成し得る。あるいは、コーティング310は、
図4に示したように、島状コーティング(island type coating)を含むことができる。例えば、コーティング310は、カソード活物質305の表面上に離散粒子又は「島」として形成されてもよく、球体、楕円体、又はロッドを含む任意の数の形状をとることができる。
【0047】
任意の実現形態(例えば、
図3又は
図4又は他による)において、本明細書に開示のコーティング310は、マンガンの溶解に対する不活性な物理的バリアを提供することができるか、又はコーティング310のないカソードと比較してカソードからのマンガンの溶解を抑制若しくは低減し得る。本明細書に開示のコーティング310は、コーティング310を有さないカソードと比較して、向上した熱安定性を示し、及び/又はガス発生を抑制若しくは低減し得る。コーティング310は、イオン伝導性であってもよく、及び/又は絶縁体として機能してもよい。
【0048】
理論に束縛されるものではないが、マンガン含有カソード材料のPO
4アニオン基を、SO
4、P
2O
7、CO
3、及びSiO
4などのアニオンで置き換えると、一般に、カソードの電圧を増加させることができると考えられる。この電圧がセルの正常作動範囲の上限電圧カットオフを超える場合、これはまた、表面での酸素ガス発生が低減され得ることを意味している。電極材料の熱力学的電圧を増加させる別の方法は、遷移金属元素を置換する方法である。3d金属元素のうち、Tiなどの早期遷移金属からNiにすると、一般的に電圧を上昇させることができる。これらのアプローチは、より大きな効果のために一緒に使用することができる。例えば、LiFePO
4は、3.4Vvs.Li/Li
+の電位を有する。FeをMnで、またPO
4をSO
4Fで置き換えることによって、電位は、Li(Fe
1-xMn
x)SO
4Fに関して3.9Vvs.Li/Li
+に増加することになる。例えば、LiMnSO
4Fは、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4及びLiMn
0.75Fe
0.25PO
4とは対照的に、500℃まで分解の兆候がなく、熱的に安定であり得る。
図9は、以下のパラメータ:すなわち、20mL/分のN
2ガス流の下、25℃で10分間等温、5°/分で25℃から500℃までの動的勾配を用いて評価したLiMnSO
4F、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4、及びLiMn
0.75Fe
0.25PO
4の熱重量分析(TGA)を示している。この文脈において、熱安定性には、熱に、及び/又は印加された熱の下での分解に、抵抗する能力を含むことができる。例えば、
図9のプロット900に反映されるように、LiMn
0.6Fe
0.4PO
4及びLiMn
0.75Fe
0.25PO
4は、温度が0℃から500℃に上昇するにつれて分解することができ、カソードホスト構造内のMnPO
4は、式1に従って分解し得る:
【数1】
【0049】
理論に束縛されるものではないが、カソードコーティング中にLiFePO
4Fなどのタボライト系材料を含むと、カソードの劣化を抑制又は低減できるとも考えられる。LiFePO
4Fは、FePO
4及びLiFから(又はNH
4F+Li
2CO
3+FePO
4から)容易に合成することができ、以下の反応によって化学的に分解する傾向があるLiFePO
4(OH)(別のタボライト構造)よりも高い熱力学的化学的安定性を示す:
【数2】
LiFePO
4Fは、タボライトと同じ結晶構造を有するが、-F末端を有する。LiFePO
4が長期間にわたって水分に曝露される場合にも、LiFePO
4(OH)が形成され得る。
図5を参照されたい。LiFePO
4Fは、LiFePO
4(LFP)よりも高いイオン伝導率を示す。
【0050】
したがって、本明細書に記載のコーティング310は、
【化23】
を含むことができ、式中、M
1は、第1の金属であり、M
2は、第2の金属であり、Aは、アニオン種であり、1≦x≦2、0≦y≦1、0≦z≦1、及び0≦u≦1である。いくつかの態様において、M
1は、Al、Ga、V、Fe、Mn、及びTiから選択される。いくつかの態様では、M
1は、Mn、Fe、Co、Ni、V、及びCr(例えば、Mn
2+、Fe
2+、Co
2+、Ni
2+,V
3+、及びCr
3+)から選択され、M
2は独立して、M
1から選択され、また、Mn、Fe、Co、Ni、V、及びCr(例えば、Mn
2+、Fe
2+、Co
2+、Ni
2+,V
3+、及びCr
3+)から選択され、M
1は、M
2と同じであるか又は異なっていることができる。いくつかの態様において、Aは、PO
4である。いくつかの態様において、Aは、SO
4、P
2O
7、CO
3、及びSiO
4から選択される。いくつかの態様において、M
1は、Al、Ga、V、Fe、Mn、及びTiから選択され、Aは、PO
4であり、y=0である。例えば、
【化24】
のいくつかの実現形態において、M
1は、Feであり、Aは、PO
4であり、y=0、z=1、及びu=0(Li
xFePO
4F)、又はM
1は、Feであり、Aは、PO
4であり、x=1、y=0、z=1、及びu=0(LiFePO
4F)であるか、又はM
1は、Feであり、Aは、PO
4であり、x=2、y=0、z=1、及びu=0(Li
2FePO
4F)である。したがって、いくつかの態様では、コーティング310は、Li
xFePO
4F(1≦x≦2)、LiFePO
4F、Li
2FePO
4F、LiFePO
4(OH)、LiMnSO
4F、LiMnP
2O
7F、LiVPO
4F、Li(Fe
1-yMn
y)SO
4F、LiFeSO
4F、Li
2CoP
2O
7、LiVP
2O
7、Li
2VOP
2O
7、Li
2(Fe
1-yMn
yP
2O
7、Li
2FeP
2O
7、及びLiMnF
2のうちの1つ以上を含むことができ、x、y、z、及びuの値は、0から、1及び2を含むが、それらに限定されない0でない整数まで変化することができる。
【0051】
追加的又は代替的に、コーティング310は、
【化25】
を含むことができ、式中、M
1は、Mnであり、Aは、SO
4であり、x=1、y=0、z=1、及びu=0(LiMnSO
4F)であるか、又はM
1は、Mnであり、M
2は、Feであり、Aは、SO
4であり、x=1、y≠0、z=1、及びu=0(LiMn
1-yFe
ySO
4F)である。
【0052】
追加的又は代替的に、コーティング310は、
【化26】
を含むことができ、式中、M
1は、Mnであり、Aは、SO
4、P
2O
7、CO
3、及びSiO
4から選択され、x=1、y=0、z=1又は2、及びu=0である。したがって、コーティング310は、LiMnSO
4F、LiMnP
2O
7F、又はLiMnF
2から選択される1つ以上を含むことができ、それらの任意の2つ以上の組み合わせを含む。コーティング310は、LiFePO
4F、Li
2FePO
4F、LiFePO
4(OH)、LiMnSO
4F、LiMnP
2O
7F、LiVPO
4F、Li(Fe
1-xMn
x)SO
4F、LiFeSO
4F、Li
2CoP
2O
7、LiVP
2O
7、Li
2VOP
2O
7、Li
2(Fe
1-xMn
x)P
2O
7、Li
2FeP
2O
7、及びLiMnF
2(それらの任意の2つ以上の組み合わせを含む)から選択される1つ以上を含むことができ、式中、x、y、z、及びuの値は、0から、1及び2を含むが、それらに限定されない0でない整数まで変化することができる。
【0053】
上述したように、
図5は、LiFePO
4Fの結晶構造500を示している。
【化27】
の結晶構造は、三斜晶であることができる。LiFePO
4Fの結晶構造は、三斜晶であることができる。
【化28】
は、P-1三斜晶空間群を有することができる。
【化29】
は、タボライト結晶構造に配列することができる。表1に、LiFePO
4Fについて文献に報告されている計算された格子定数の例示的なリストを提供する。計算された格子パラメータは、原子論的計算シミュレーションを使用して決定することができる。
【表1】
【0054】
図6及び
図7は、理論計算に基づく、25℃(
図6)又は55℃(
図7)における、対照電解質中のマンガン(Mn)の量、及び本明細書に記載の改善された電極(例えば、本明細書に記載のコーティング310が設けられている)を用いた電解質中のマンガンの量に関するプロット600、700を示している。一般に、Mnの溶解は、温度の関数として増加する。本明細書に記載の改善された電極において物理的障壁を有することは、誘導結合プラズマ質量分析(inductive coupled plasma mass spectroscopy、ICP-MS)又はICP-OES(誘導結合プラズマ発光分析)を使用して測定することができるMn溶解を減少させるのに役立つことができる。実際の量及び測定は、電極設計及び厚さ、電解質の組成、電解質中の塩添加剤、溶媒組成、炭素添加剤及び結合剤を含む電極配合、電気化学的活性化、電圧カットオフ、サイクル条件、セルの通常作動/酷使/パルス試験、保管条件、温度変動などを含むが、それらに限定されないいくつかの要因によって影響を受ける可能性がある。
図6及び
図7に示したように、本明細書に記載の改善された電極を用いる電解質中のマンガンの量は、1週間後、2週間後、及び3週間後に、対照電極中のマンガンの量よりも少なくなる。
【0055】
図8は、LiMnSO
4Fの結晶構造800を示している。リチウム(Li)とマンガン(Mn)とが規則構造である場合、結晶構造はタボライト型の結晶構造となる傾向がある。リチウム(Li)及びマンガン(Mn)がランダムに分布し、無秩序構造を形成する場合、結晶構造は、トリプライト結晶構造であることができる。したがって、例えば、
【化30】
の結晶構造は、トリプライトであることができる。例えば、LiMnSO
4Fの結晶構造は、Li及びMnの無秩序がその電圧を4.5~4.6Vvs.Li/Li
+に更に増加させるトリプライトであることができ、それは通常のリチウムイオン電池作動電圧よりも高い。液体電解質の分解は、4.3Vvs.Li/Li
+を超える電圧で起こるため、上限電圧カットオフの大部分は、4.3Vvs.Li/Li
+付近又は約4.3Vに設定される。高電圧分解に抵抗するように配合された電解質の場合、電圧カットオフは、より高くてもよく、例えば、4.4、4.5Vなどであり得る。4.5~4.6Vvs.Li/Li
+を有するトリプライト構造のLiMnSO
4Fは、有利な不活性コーティング候補であることができる。LiMnSO
4FにおいてLi及びMnを秩序化する傾向がある場合、タボライト構造になる可能性があり、作動電圧は、約4.2Vvs.Li/Li
+に低下し得る。
【0056】
図10は、第1のコーティング材料1005及び第2のコーティング材料1010並びに不連続領域1015を有する電極300の斜視図を示している。そのような態様の実現形態では、本明細書に記載のコーティング310は、第1のコーティング材料1005及び第2のコーティング材料1010の一方又は両方であることができる。第1のコーティング材料1005は、カソード活物質305上のコーティングの不連続領域1015を含むことができ、第2のコーティング材料1010の一部は、第1のコーティング材料1005の不連続領域1015内に形成される。他の実施形態では、第2のコーティング材料1010の一部は、第1のコーティング材料1005の不連続領域1015内に形成される。
【0057】
カソード活物質の商業的コーティングにおいて、商業的コーティング材料(例えば、第1のコーティング材料1005)は、カソード活物質の表面上に空隙及び他の不規則性を含むことができる。第2のコーティング材料1010が、カソード活物質305上に堆積されると、第2のコーティング材料1010は、第1のコーティング材料1005又はカソード活物質305の粒界付近で核形成することができる。例えば、第2のコーティング材料1010は、第1のコーティング材料1005に隣接してカソード活物質305上に堆積することができる。次いで、第2のコーティング材料1010はまた、第1のコーティング堆積からの空隙又はコーティングされていない領域も充填し、堆積が進むにつれて、それらの領域において厚さが成長し得る。第2のコーティング材料1010が、第1のコーティング材料1005の上に堆積される場合、第2のコーティング材料1010は、より薄くてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1のコーティング材料1005及び/又は第2のコーティング材料1010の厚さは、約5nm~約2μmであり得る。一例では、第1のコーティングは、炭素コーティング材料であり得る。別の実施形態において、第2のコーティングは、LiFePO4F、Li2FePO4F、LiFePO4(OH)、LiMnSO4F、LiMnP2O7F、LiVPO4F、Li(Fe1-yMny)SO4F、LiFeSO4F、Li2CoP2O7、LiVP2O7、Li2VOP2O7、Li2(Fe1-yMny)P2O7、Li2FeP2O7、及びLiMnF2から選択される1つ以上を含むことができ、またこれらの任意の2つ以上の組み合わせを含み得る。
【0058】
図11は、本明細書に開示のカソードの劣化を低減又は防止する方法1100を示している。方法1100は、本明細書に記載のコーティング310をカソードのカソード活物質305上に配置すること(ACT 1105)を含むことができる。カソード活物質305は、LMFP、LMO、LiMO
2、Li
1+bM
1-bO
2、及びLi
2MnO
3を含むことができ、式中、0≦b≦1である。コーティング310は、上記したように、
【化31】
を含むことができ、式中、M
1は、第1の金属であり、M
2は、第2の金属であり、Aは、アニオン種であり、1≦x≦2、0≦y≦1、0≦z≦1、及び0≦u≦1である。いくつかの態様において、
【化32】
は、LiFePO
4(OH)、LiFePO
4F、Li
2FePO
4F、LiMnSO
4F、LiMnP
2O
7F、LiVPO
4F、Li(Fe
1-yMn
y)SO
4F、LiFeSO
4F、Li
2CoP
2O
7、LiVP
2O
7、Li
2VOP
2O
7、Li
2(Fe
1-yMn
y)P
2O
7、Li
2FeP
2O
7、及びLiMnF
2から選択される1つ以上であり、それらの任意の2つ以上の組み合わせを含む。
【0059】
【化33】
は、タボライト構造に配列することができる。方法1100は、コーティング310が設けられていないカソードと比較して、カソードの表面上及び/又はコーティング310の表面上に存在するマンガンの量を低減することができる。方法1100は、コーティング310が設けられていないカソードを有する電池と比較して、電解質中に存在するマンガンの量を低減することができる。
【0060】
本明細書に記載のコーティング310は、LFP及びLMFPなどのオリビンカソードの合成と同様の条件下で調製することができる。
【化34】
の合成は、固相合成、乾式合成、又は湿式合成を含むことができる。例えば、LiFePO
4Fは、乾式固相法又は湿式固相法により合成することができる。LiMnSO
4Fは、乾式固相法により合成することができる。
【0061】
いくつかの態様では、方法1100は、コーティング310の1つ以上の前駆体(例えば、コーティング前駆体)とカソード活物質305とを合わせて、カソード活物質305上にコーティング310を形成することを含むことができる。例えば、方法1100は、コーティング310の第1の前駆体、第2の前駆体、及び任意選択的に第3の前駆体と、カソード活物質305とを合わせることを含むことができる。例えば、コーティング310がLiFePO
4Fを含む場合、第1の前駆体は、FePO
4を含むことができ、第2の前駆体は、LiFを含むことができ、又は第1の前駆体は、NH
4Fを含むことができ、第2の前駆体はLi
2CO
3を含むことができ、第3の前駆体はFePO
4を含むことができる。別の例として、コーティング310が、LiMnSO
4Fを含む場合、第1の前駆体は、MnSO
4・H
2Oを含むことができ、第2の前駆体は、LiFを含むことができ、又は第1の前駆体は、NH
4Fを含むことができ、第2の前駆体は、Li
2CO
3を含むことができ、第3の前駆体は、Mn含有前駆体材料を含むことができる。Li
2CO
3、LiOH、Li
3PO
4、及び/又はLiF原料などの他のリチウム源を使用して、
【化35】
の化学量論を満たし得る。いくつかの実施形態では、Fe(OH)
2、Fe(OH)
3、Mn(OH)
2、MnCl
3、FeCl
3、Fe(NO
3)
3を含むが、それらに限定されない、より低い温度で分解する他の金属含有前駆体を、代替的に使用してもよい。更なるアニオン置換は、SO
4、F、BO
3、CO
3含有化学種を必要とし得る。
【0062】
方法1100は、コーティング前駆体及びカソード活物質305を加熱することを含むことができる。例えば、方法1100は、第1の前駆体、第2の前駆体、及び任意選択的に第3の前駆体、並びにカソード活物質305を加熱することを含むことができる。例えば、方法1100は、FePO4、LiF、及びカソード活物質305を加熱して、LiFePO4Fを含むコーティング310を提供することを含むことができる、あるいは、方法1100は、NH4F、Li2CO3、及びFePO4、及びカソード活物質305を加熱して、LiFePO4Fを含むコーティングを提供することを含むことができる。方法1100は、MnSO4・H2O、LiF、及びカソード活物質305を加熱して、LiMnSO4Fを含むコーティング310を提供することを含むことができる。あるいは、方法1100は、NH4F、Li2CO3及びMn含有前駆体材料並びにカソード活物質305を加熱して、LiMnSO4Fを含むコーティングを提供することを含むことができる。
【0063】
方法1100の任意の実現形態において、方法は、問題のコーティングを形成するのに有効な任意の温度及び任意の時間で加熱することを含むことができ、任意選択的に、N2ガス下などの還元環境下で実施される。例えば、LiFePO4Fを含むコーティング310の場合、加熱は、1時間~2時間、還元環境下で500℃~600℃の温度であり得る。別の例として、LiMnSO4Fを含むコーティング310の場合、加熱は、2時間~10時間、還元環境下で300℃~600℃の温度であり得る。過剰リチウム化種は、還元剤として有機化学で広く使用されている水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)などの強いリチウム化化学種を必要とし得る。PO4形成とP2O7形成との間の正確な比は、ガス流量、温度、ガス種(例えば、H2などのより還元性の試薬、又はO2などのより酸化性の試薬との混合物)、及び/又は炭素源(炭素熱還元をもたらす)によって制御され得る。したがって、本明細書に記載の方法1100は、本明細書に記載のコーティング310でコーティングされたカソード活物質305を形成することができる。
【0064】
図12は、カソードを提供する方法(ACT 1205)を示している。カソードは、1つ以上の活物質粒子を含むことができる。例えば、カソードは、カソード活物質305を含むことができる。カソードは、LMFP、LMO、LiMO
2、Li
1+x1M
1-x1O
2、及びLi
2MnO
3を含むことができ、式中、0≦x1≦1である。カソードは、コーティング310を含むことができる。上記したように、コーティング310は、コーティング310を有しないカソードと比較して、マンガン形態カソードの溶解を低減することができ、及び/又はガス発生を低減することができる。コーティング310は、上記したように、
【化36】
を含むことができ、式中、M
1は、第1の金属であり、M
2は、第2の金属であり、Aは、アニオン種であり、1≦x≦2、0≦y≦1、0≦z≦1、及び0≦u≦1である。したがって、コーティング310は、Li
xFePO
4F(式中、1≦x≦2)、例えば、LiFePO
4F又はLi
2FePO
4Fのうちの1つ以上を含むことができる。コーティング310は、LiMnSO
4F、LiMnP
2O
7F、及びLiMnF
2のうちの1つ以上を含むことができる
【0065】
いくつかの例示的な実現形態を説明してきたが、上記は例示的なものであり、限定するものではなく、例として提示されていることは明らかである。特に、本明細書に提示される実施例の多くは、方法行為又はシステム要素の特定の組み合わせを伴うが、それらの行為及びそれらの要素は、同じ目的を達成するために他の方法で組み合わせ得る。一実現形態に関連して説明される作動、要素、及び特徴は、他の実現形態又は複数の実現形態における同様の役割から除外されることを意図されない。
【0066】
本明細書で使用される表現及び用語は、説明のためのものであり、限定するものとみなすべきではない。本明細書における「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、「によって特徴付けられる(characterized by)」、「それにおいて特徴付けられる(characterized in that)」及びそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目、その均等物、及び追加の項目、並びにその後に排他的に列挙される項目からなる代替実現形態を包含することを意味する。一実現形態では、本明細書で説明されるシステム及び方法は、説明される要素、又は構成要素のうちの1つ、2つ以上の各組み合わせ、又は全てからなる。
【0067】
本明細書で単数形で言及されるシステム及び方法の実現形態又は要素又は作動への任意の言及は、複数のこれらの要素を含む実現形態も包含し得、本明細書における任意の実現形態又は要素又は作動への複数形での任意の言及は、単一の要素のみを含む実現形態も包含し得る。単数形又は複数形での言及は、現在開示されているシステム又は方法、それらの構成要素、行為、又は要素を単一又は複数の構成に限定することを意図していない。任意の情報、行為、又は要素に基づく任意の行為又は要素への言及は、行為又は要素が任意の情報、行為、又は要素に少なくとも部分的に基づく実現形態を含み得る。
【0068】
本明細書に開示される任意の実現形態は、任意の他の実現形態又は実施形態と組み合わされてもよく、「実現形態」、「いくつかの実現形態」、「一実現形態」などへの言及は、必ずしも相互排他的ではなく、実現形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実現形態又は実施形態に含まれ得ることを示すことが意図されている。本明細書で使用されるそのような用語は、必ずしも全てが同じ実現形態を指すとは限らない。任意の実現形態は、本明細書で開示される態様及び実現形態と一致する任意の方法で、包括的に又は排他的に、任意の他の実現形態と組み合わせ得る。
【0069】
「又は」への言及は、「又は」を使用して説明される任意の用語が、説明される用語のうちの1つ、2つ以上、及び全てのうちのいずれかを示し得るように、包括的であると解釈し得る。用語の連言的なリストのうちの少なくとも1つへの言及は、記載された用語のうちの1つ、2つ以上、及び全てのいずれかを示すための包括的な論理和として解釈し得る。例えば、「「A」及び「B」のうちの少なくとも1つ」への言及は、「A」のみ、「B」のみ、並びに「A」及び「B」の両方を含み得る。「含む(comprising)」又は他のオープンな用語と併せて使用されるそのような言及は、追加の項目を含むことができる。
【0070】
図面、発明を実施するための形態、又は任意の請求項における技術的特徴の後に参照符号が続く場合、参照符号は、図面、発明を実施するための形態、及び請求項の理解度を高めるために含まれている。したがって、参照符号もそれらの欠如も、任意の請求項要素の範囲に対していかなる限定的な影響も及ぼさない。
【0071】
様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状及び比率、パラメータの値、取付け構成、材料の使用、色、向きの変更など、説明される要素及び行為の修正は、本明細書で開示される主題の教示及び利点から実質的に逸脱することなく行うことができる。例えば、一体的に形成されるものとして示した要素は、複数の部品又は要素から構築することができ、要素の位置は、逆にされるか、又は別様に変更することができ、別個の要素又は位置の性質又は数は、改変又は変更することができる。本開示の範囲から逸脱することなく、開示された要素及び作動の設計、作動条件及び配列において、他の置換、修正、変化及び省略を行うこともできる。
【外国語明細書】