特開 2024-70796 吸収性物品

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024070796

(43)【公開日】2024-05-23

(54)【発明の名称】吸収性物品

(51)【国際特許分類】

   A61F 13/496 20060101AFI20240516BHJP

   A61F 13/49 20060101ALI20240516BHJP

   A61F 13/494 20060101ALI20240516BHJP

   A61F 13/51 20060101ALI20240516BHJP

   A61F 13/539 20060101ALI20240516BHJP

【ＦＩ】

A61F13/496 100

A61F13/49 410

A61F13/494 120

A61F13/51

A61F13/539

【審査請求】未請求

【請求項の数】8

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023125820

(22)【出願日】2023-08-01

(31)【優先権主張番号】P 2022181427

(32)【優先日】2022-11-11

(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP

(71)【出願人】

【識別番号】000122298

【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110002860

【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】花生 裕之

【テーマコード（参考）】

3B200

【Ｆターム（参考）】

3B200AA01

3B200BA11

3B200BA12

3B200BA16

3B200BB11

3B200CA03

3B200CA04

3B200CA06

3B200CA08

3B200CA09

3B200DA01

3B200DA17

3B200DA21

3B200DD07

(57)【要約】

【課題】サイドシール部分を容易に引き裂くことが可能なおむつを提供する。
【解決手段】長手方向に沿った長さと、長手方向に直交する幅方向に沿った長さを有し、着用状態において着用者の腹側に位置する前身頃領域、股下部に位置する股下領域、及び背側に位置する後身頃領域が長手方向にこの順に設けられた吸収性物品であって、股下領域を含む位置に設けられ、着用者の排出液を吸収可能な吸収体と、前身頃領域の外表面を形成する前身頃外装体と、後身頃領域の外表面を形成する後身頃外装体と、前身頃外装体および後身頃外装体の幅方向端部の端部同士を接合するサイドシール部であって、着用者の腹囲を挿通可能な胴開口部と着用者の脚を挿通可能な左右の下肢開口部とを形成するサイドシール部と、を、備え、サイドシール部で接合されているシートの層数は、下肢開口部の側から胴開口部の側に至る際、１層ずつ変化する、吸収性物品。
【選択図】図８

【特許請求の範囲】

【請求項1】

長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った長さを有し、着用状態において着用者の腹側に位置する前身頃領域、股下部に位置する股下領域、及び背側に位置する後身頃領域が前記長手方向にこの順に設けられた吸収性物品であって、
前記股下領域を含む位置に設けられ、前記着用者の排出液を吸収可能な吸収体と、
前記前身頃領域の外表面を形成する前身頃外装体と、
前記後身頃領域の外表面を形成する後身頃外装体と、
前記前身頃外装体および前記後身頃外装体の幅方向端部の端部同士を接合するサイドシール部であって、前記着用者の腹囲を挿通可能な胴開口部と前記着用者の脚を挿通可能な左右の下肢開口部とを形成するサイドシール部と、
を、備え、
前記サイドシール部で接合されているシートの層数は、前記下肢開口部の側から前記胴開口部の側に至る際、１層ずつ変化する、
吸収性物品。

【請求項2】

前記前身頃外装体と前記後身頃外装体のシートの構成は共通し、
前記胴開口部の側から見た場合、前記前身頃外装体と前記後身頃外装体では、シートの層数が変化する位置が互いに異なる、
請求項１に記載の吸収性物品。

【請求項3】

前記前身頃外装体と、前記後身頃外装体は、前記下肢開口部の近傍において、それぞれ２枚のシートから構成されており、
前記サイドシール部において、前記前身頃外装体と、前記後身頃外装体の前記下肢開口部の側の端部の位置は、前記長手方向で不一致である、
請求項１または２に記載の吸収性物品。

【請求項4】

前記サイドシール部の前記下肢開口部の側において、前記前身頃外装体と、前記後身頃外装体の長手方向端部は、前記長手方向で一致している、
請求項１または２に記載の吸収性物品。

【請求項5】

前記胴開口部の近傍において、前記前身頃外装体と、前記後身頃外装体を構成するシートは肌面側に屈曲して折り返し部を形成しており、
前記折り返し部の前記胴開口部からの位置は、前記前身頃外装体と、前記後身頃外装体とで不一致である、
請求項４に記載の吸収性物品。

【請求項6】

前記下肢開口部の近傍に伸張状態で配置され、前記下肢開口部が収縮するように付勢する弾性部材を更に備え、
前記弾性部材は、前記前身頃外装体では、前記吸収体を、前記幅方向に横断しており、
前記弾性部材が前記吸収体を横断している領域において、前記前身頃外装体と、前記吸収体とは接着されておらず、
前記弾性部材は、前記後身頃外装体では、前記吸収体を前記幅方向に横断していない、
請求項１または２に記載の吸収性物品。

【請求項7】

前記前身頃外装体と前記後身頃外装体の幅方向に沿って延在するように、前記前身頃外装体または前記後身頃外装体の肌面側に接合される補強シート部を備え、
前記補強シート部の延在方向における端部領域は前記サイドシール部と重なっており、かつ、前記補強シート部と前記前身頃外装体または前記後身頃外装体との接合強度が、前記サイドシール部の接合強度よりも大きい、
請求項１または２に記載の吸収性物品。

【請求項8】

前記補強シート部は、前記吸収体の端部を肌面側から覆いつつ前記前身頃外装体または前記後身頃外装体の肌面側に接合されるエンド押さえシートである、
請求項７に記載の吸収性物品。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、吸収性物品に関する。

【背景技術】

【0002】

吸収性物品の一例として、前身頃領域の両端部と後身頃領域の両端部とを接着して、所謂サイドシール部分を形成した、パンツ型のおむつが知られている（引用文献１）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１３－０７０７４３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

パンツ型のおむつを交換する方法として、使用済みおむつをずり降ろして交換する方法と、使用済みのおむつの両側のサイドシール部分を、脚周り開口部側から引き裂いて、テープを外したテープ型のおむつと同様な形状にして交換する方法とがある。パンツ型のおむつのサイドシール部分は、他の部分よりも容易に引き裂くことができるので、サイドシール部分を引き裂く方法のほうが、交換が容易である。しかし、サイドシール部分を引き裂く際、裂け目がサイドシール部分ではなく外装体の内側に広がってしまうことがある。裂け目が正しく形成できない場合、おむつの交換には時間と手間を要する。

【0005】

本発明は、サイドシール部分を容易に引き裂くことが可能なおむつを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

詳細には、本開示の一側面に係る吸収性物品は、長手方向に沿った長さと、前記長手方向に直交する幅方向に沿った長さを有し、着用状態において着用者の腹側に位置する前身頃領域、股下部に位置する股下領域、及び背側に位置する後身頃領域が前記長手方向にこの順に設けられた吸収性物品であって、前記股下領域を含む位置に設けられ、前記着用者の排出液を吸収可能な吸収体と、前記前身頃領域の外表面を形成する前身頃外装体と、前記後身頃領域の外表面を形成する後身頃外装体と、前記前身頃外装体および前記後身頃外装体の幅方向端部の端部同士を接合するサイドシール部であって、前記着用者の腹囲を挿通可能な胴開口部と前記着用者の脚を挿通可能な左右の下肢開口部とを形成するサイドシール部と、を、備え、前記サイドシール部で接合されているシートの層数は、前記下肢開口部の側から前記胴開口部の側に至る際、１層ずつ変化する。

【発明の効果】

【0007】

本発明によれば、サイドシール部分を容易に切り裂くことができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】図１は、第１の実施形態に係るおむつの斜視図である。

【図2】図２は、第１の実施形態に係るおむつの分解斜視図である。

【図3】図３は、第１の実施形態に係るおむつを展開し、伸長した状態を模式的に示した図である。

【図4】図４は、外装体と吸収体の接着状態を示した図である。

【図5】図５は、実施形態に係るおむつのサイドシール部及びその周辺構造を説明する図である。

【図6】図６は、実施形態に係るおむつにおける接着部の塗布パターンを説明する図である。

【図7】図７は、折り返しシート部とエンド押さえシートとの接合態様を説明する図である。

【図8】図８は、第１の実施形態に係るサイドシール部分の一例の断面図である。

【図9】図９は、第２の実施形態に係るサイドシール部分の一例の断面図である。

【図10】図１０は、第３の実施形態に係るサイドシール部分の一例の断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係るおむつについて説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本開示はこれらの実施形態の構成に限定されるものではない。

【0010】

＜第１の実施形態＞
図１は、実施形態に係るおむつの斜視図である。より具体的には、実施形態に係る大人用のパンツ型使い捨ておむつ（以下、単に「おむつ」という）の斜視図である。おむつにおいて、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃（長手方向の一側）と後身頃（長手方向の他側）との間（長手方向の中央）には、着用者の股下に配置（股間に対向して配置）される股下部が位置する。また、おむつが着用者に着用された状態において、着用者の肌に向かう側を肌面側とし、肌面側の反対側を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。おむつ１は、長手方向に沿った長さと、長手方向に直交する幅方向に沿った横幅とを有し、着用者の股下に装着される。また、本願で用いる方向に関する用語は、おむつ１が着用者に着用された状態において該着用者の前後左右に一致する方向を意味するものとする。例えば、本願で左右方向という場合、おむつ１の着用者に着用された状態において該着用者の左右に一致する方向を意味する。また、おむつ１が着用者に着用された状態において、着用者の肌に向かう側を「肌面側」とし、肌面側の反対側を「非肌面側」とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を「厚み方向」と定義する。そのほか、おむつ１を厚み方向から視た状態を「平面視」と言う。

【0011】

本実施形態では、吸収性物品の一例として、着用者の腹囲が入る開口部と、着用者の左下肢及び右下肢が挿通される左右一対の開口部とを有する筒状構造のパンツ型使い捨ておむつを例示するが、本願でいう「吸収性物品」は、大人用のパンツ型使い捨ておむつに限定されるものでない。本願でいう「吸収性物品」には、子供用のパンツ型使い捨ておむつが含まれる。また、着用者の股下（陰部）を前身頃から後身頃にかけて覆うシート状の部材の一端部付近に固定されたテープを、該シート状の部材の他端部付近に貼り付けることで筒状構造を形成するテープ型使い捨ておむつ等、腹囲と股下を包み得る各種形態の吸収性物品が含まれる。

【0012】

おむつ１は、着用状態において着用者の陰部（股下）を覆う股下領域に対応する部位である股下領域１Ｂと、着用者の胴周りにおける前身頃に対応する部位であって着用者の腹部側を覆うための前身頃領域１Ｆと、着用者の胴周りにおける後身頃に対応する部位であって着用者の背部側を覆うための後身頃領域１Ｒと、を含む外装体ＢＯを有する。ここで、前身頃領域１Ｆは股下領域１Ｂの前側に位置し、後身頃領域１Ｒは股下領域１Ｂの後側に位置する。外装体ＢＯは、おむつ１の外装を構成するシート部材であると共におむつ１の外形を画定している。

【0013】

本実施形態に係るおむつ１は、着用者の腹囲を挿通可能な胴開口部２Ｔと、着用者の脚を挿通可能な左下肢開口部２Ｌおよび右下肢開口部２Ｒが形成されるように外装体ＢＯの前身頃領域１Ｆにおける両側部と後身頃領域１Ｒにおける両側部とをそれぞれ接合するサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを備える。サイドシール部３ＳＬは、前身頃領域１Ｆと後身頃領域１Ｒにおける左側の側部同士を接合している。サイドシール部３ＳＲは、前身頃領域１Ｆと後身頃領域１Ｒにおける左側の側部同士を接合している。また、図１に示すように、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲはおむつ１の上下方向（縦方向）を長手方向として延在している。胴開口部２Ｔは、前身頃領域１Ｆ上縁と後身頃領域１Ｒの上縁とによって形成されている。おむつ１は、着用者の左下肢が左下肢開口部２Ｌに挿通され、着用者の右下肢が右下肢開口部２Ｒに挿通され、着用者の胴部が胴開口部２Ｔに入るように着用されると、前身頃領域１Ｆが着用者の腹部側に配置され、後身頃領域１Ｒが着用者の背部側に配置され、左下肢開口部２Ｌと右下肢開口部２Ｒが着用者の大腿部を取り巻く状態で着用者の身体に固定される。おむつ１がこのような形態で着用者の身体に固定されるので、着用者はおむつ１を着用した状態で自由に行動することができる。また、着用者または介助者が、右下肢開口部２Ｒからサイドシール部３ＳＲを胴開口部２Ｔ側に引き裂いて、左下肢開口部２Ｌからサイドシール部３ＳＬを胴開口部２Ｔ側に引き裂くと、おむつ１は平板状となる。このため、着用者または介助者は、おむつ１を円滑に交換可能である。なお、右下肢開口部２Ｒと、左下肢開口部２Ｌを総称して、単に下肢開口部と呼ぶことがある。

【0014】

おむつ１には、液体を吸収して保持することができる吸収体が主に股下領域１Ｂ付近を中心に配置されている。また、おむつ１には、おむつ１と着用者の肌との間に液体の流出経路となる隙間が形成されるのを抑制するべく、着用者の左下肢の大腿部を取り巻く左下肢開口部２Ｌに立体ギャザー３ＢＬが設けられ、着用者の右下肢の大腿部を取り巻く右下肢開口部２Ｒに立体ギャザー３ＢＲが設けられ、着用者の腹囲を取り巻く部位にウェストギャザー３Ｒが設けられている。また、着用者の脚の付け根を取り巻く位置には、レグギャザー３ＬＬ，３ＬＲが設けられている。立体ギャザー３ＢＬ，３ＢＲとウェストギャザー３Ｒは、糸ゴムの弾性力で着用者の肌に密着する。また、レグギャザー３ＬＬ，３ＬＲは、着用者の脚の付け根とおむつ１との間に隙間が生まれるのを防ぐ。よって、着用者の陰部から排出される排出物は、おむつ１から殆ど漏出することなくおむつ１の吸収体に吸収される。

【0015】

おむつ１は、図示しないインナーパッドと組み合わせて使用することができる。インナーパッドは、吸収体を備える略長方形の吸収性物品であり、排出液を吸収する。おむつ１とインナーパッドとを組み合わせて使用する場合、おむつ１の吸収体の更に肌面側に、着用者の排出孔と当接するようにインナーパッドを置く。排出液は、まずインナーパッドに吸収され、インナーパッドで吸収できなかった排出液のみがおむつ１の吸収体に到達し、更に吸収される。このため、排出液の量が多い場合でも、排出液がおむつ１から漏出するのを防ぐことができる。また、排出液の量が少なく、インナーパッドで全て吸収できる場合には、排出液が発生してもインナーパッドのみを交換すればよいので、介助コストを軽減できる。また、おむつ１を長時間使用できる。

【0016】

図２は、実施形態に係るおむつの分解斜視図の一例である。おむつ１は、外装体ＢＯを構成するカバーシート４とインナーカバーシート５とを有する。カバーシート４とインナーカバーシート５は、貼り合わされておむつ１の外表面を形成する略砂時計形状（瓢箪形状）のシートであり、前身頃領域１Ｆ側の端部と後身頃領域１Ｒ側の端部以外は同形状である。着用者に着用された状態において、カバーシート４は着用者の非肌面側、インナーカバーシート５は肌面側に積層されている。カバーシート４とインナーカバーシート５の間には、ウェストギャザー３Ｒとレグギャザー３ＬＬ，３ＬＲを形成するための糸ゴムが設けられている。なお、糸ゴムに代えて帯状のゴム等の伸縮部材を適宜選択できる。なお、外装体ＢＯは、おむつ１の前身頃領域１Ｆ側とを覆う前身頃領域側外装体と、おむつ１
の後身頃領域１Ｒ側を覆う後身頃領域側外装体の別体とすることもできる。前身頃領域１Ｆと後身頃領域１Ｒとで外装体ＢＯを別体とする場合、股下領域１Ｂにおいて吸収体の非肌面側を覆うパッドカバーシートを別途設け、前身頃領域側外装体と、後身頃領域側外装体の両方と接着していてもよい。

【0017】

カバーシート４とインナーカバーシート５は、例えば、排出物の漏れを抑制するために、液不透過性の熱可塑性樹脂からなる不織布をその材料として用いることができる。ここで、液不透過性の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン（ＰＥ）やポリプロピレン（ＰＰ）等が例示できる。

【0018】

おむつ１の外装体ＢＯの肌面側（内面側）には、バックシート６、吸収体８、及びトップシート９を含んで構成された内装体ＢＩが固定されている。内装体ＢＩは、バックシート６とトップシート９との間に吸収体８を介在させた状態で一体化されている。内装体ＢＩは、外装体ＢＯ（より詳しくは、インナーカバーシート５）側から、バックシート６、吸収体８、及びトップシート９の順に積層されており、バックシート６とトップシート９との間に吸収体８が介在している。

【0019】

バックシート６は、着用者の前身頃から股下を経由して後身頃へ届く長さを長手方向に有し、当該長手方向に対し直交する幅方向に所定の横幅を有する略直方体のシートである。吸収体８、トップシート９は、何れもバックシート６と同様に略長方形の外観を有するシート状の部材であり、長手方向がバックシート６の長手方向と一致する状態で、バックシート６に対して順に積層されている。ここで、バックシート６は、排出物の漏れを抑制するために液不透過性の熱可塑性樹脂を材料として形成されたシートである。また、トップシート９は、吸収体８の吸水面を被覆するように着用者の肌面側に配置される、シート状の部材である。このトップシート９は、その一部又は全部において液透過性を有する。そのため、おむつ１が着用された状態において、着用者から排出された液体は、着用者の肌に接触し得るトップシート９を通って吸収体８に浸入し、そこで吸収される。トップシート９を構成する液透過性のシートとしては、例えば、織布、不織布、多孔質フィルムが挙げられる。また、トップシート９は親水性を有していてもよい。

【0020】

吸収体８は、吸収コア８ｃと、吸収コア８ｃを包み込むコアラップシート７（本開示の「透水性シート」の一例）とを有する。吸収コア８ｃは略砂時計型である。吸収コア８ｃは、パルプ繊維、レーヨン繊維、またはコットン繊維のようなセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート等の合成繊維に親水化処理を施した短繊維の隙間に、水を吸収し保持することのできる架橋構造を持つ親水性ポリマーであるＳＡＰ（高吸収性重合体：Ｓｕｐｅｒ Ａｂｓｏｒｂｅｎｔ Ｐｏｌｙｍｅｒ）等の粒状の吸収性樹脂（高分子吸収材）を保持させた構造を有する。吸収コア８ｃは、着用者から排出された液体を吸収すると、短繊維内の隙間に保持された吸収性樹脂を膨潤させて該液体を短繊維内に保持する。このように、吸収体８は、排出液を吸収可能である。本実施形態では、吸収コア８ｃは中央部付近が括れた略砂時計型である。吸収コア８ｃは、目的に応じた適宜の形状を採ることができる。吸収コア８ｃの形状としては、例えば、矩形状、楕円形状、その他各種の形状が挙げられる。

【0021】

なお、吸収コア８ｃを、複数の吸収マットから形成することも可能である。この場合、形の異なる吸収マットを重畳して吸収コア８ｃとしてもよい。一例としては、吸収コア８ｃを肌面側の上層吸収マットと非肌面側の下層吸収マットの２枚のマットから構成してよい。上層吸収マットの形状を上述の略砂時計型として、下層吸収マットを、上層吸収マットの広幅部よりも幅狭の矩形状とし、下層吸収マットの幅を、上層吸収マットのくびれ部の幅と略同一としてよい。

【0022】

コアラップシート７は、薄い液透過性のシートであり、吸収コア８ｃをコアラップシート７で包むことにより、上述の吸収コア８ｃのＳＡＰが他の構造に混入しにくくなる。また、吸収コア８ｃの型崩れが抑制される。コアラップシート７は、パルプ繊維で形成することができ、一例としてはティッシュペーパーを用いることができる。コアラップシート７は、１枚のシートでもよいが、着用者の肌側に配置された上側シートと、着用者の非肌面側に配置され、吸収コアの側面と肌面側に回り込む下側シートの２枚のシートで構成されていてもよい。コアラップシート７が２枚のシートで構成されている場合、上側シートの幅方向端部が他のシート（例えば、後述するサイドシート１０Ｌ，１０Ｒ、バックシート６、トップシート９）に包まれる構造になっていてもよい。なお、吸収体８はバックシート６とトップシート９に包まれており、これらのシートによっても型崩れを抑制できるため、コアラップシート７を設けないこともできる。

【0023】

内装体ＢＩにおけるバックシート６、吸収体８、トップシート９は、何れも前身頃領域１Ｆから後身頃領域１Ｒにまで延在する。よって、バックシート６、吸収体８、トップシート９を積層して着用者の陰部（股下）を覆うと、バックシート６、吸収体８、トップシート９の各長手方向の両端部は、着用者の腹側と背側に位置する状態となる。すなわち、着用者の陰部は、着用者の腹側から背側まで吸収体８に覆われる状態となる。したがって、着用者が腹を下へ向けた姿勢と背を下へ向けた姿勢の何れの姿勢で液体を体外へ排出しても、排出された液体はトップシート９を介して吸収体８に接触することになる。

【0024】

また、おむつ１は、上述した立体ギャザー３ＢＬ，３ＢＲを形成するための細長い帯状のサイドシート１０Ｌ，１０Ｒを有する。サイドシート１０Ｌ，１０Ｒは、トップシート９の長辺の部分に設けられる。そして、サイドシート１０Ｌ，１０Ｒには糸ゴム１０Ｌ１，１０Ｒ１が長手方向に沿って接着されている。糸ゴム１０Ｌ１，１０Ｒ１は、例えば自然長よりも伸張した状態でサイドシート１０Ｌ，１０Ｒに接着される。

【0025】

本実施形態においては、外装体ＢＯにおける前身頃領域１Ｆの左側縁４Ｆ４と後身頃領域１Ｒの左側縁４Ｒ４とが互いに接合されてサイドシール部３ＳＬ（図１を参照）が形成され、外装体ＢＯにおける前身頃領域１Ｆの右側縁４Ｆ５と後身頃領域１Ｒの右側縁４Ｒ５とが互いに接合されてサイドシール部３ＳＲ（図１を参照）が形成される。おむつ１が図１に示す立体形状に成形されると、サイドシート１０Ｌ，１０Ｒは、糸ゴム１０Ｌ１，１０Ｒ１の収縮力で長手方向に引き寄せられて折り返し線１０Ｌ２，１０Ｒ２に沿ってトップシート９から立ち上がる。その結果、左下肢開口部２Ｌ及び右下肢開口部２Ｒからの液体の流出を防ぐ立体ギャザー３ＢＬ，３ＢＲが形成される。サイドシート１０Ｌ，１０Ｒは、排出液の横漏れを防ぐ防漏シートとしての機能を有している。

【0026】

なお、本実施形態において左側縁４Ｆ４及び左側縁４Ｒ４、右側縁４Ｆ５及び右側縁４Ｒ５は、例えば、超音波溶着（超音波シール）によって接合されているが、その接合方法は特に限定されず、例えば、ヒートシール、高周波シール等によって行ってもよい。

【0027】

更に、おむつ１は、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒを備えている。エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒは、外装体ＢＯの幅方向に沿って延在するように当該外装体ＢＯの肌面側（すなわち、インナーカバーシート５）に接合される補強用のシート部材である。エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒは、外装体ＢＯ（カバーシート４およびインナーカバーシート５）の幅方向を長手方向として配置される短冊状シートとして形成され、その長手寸法は外装体ＢＯの幅寸法と等しい。

【0028】

また、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒは、外装体ＢＯの肌面側（インナーカバーシート５）に固定された内装体ＢＩの長手方向における端部を肌面側から覆うように外装体ＢＯの肌面側（すなわち、インナーカバーシート５）に接合されている。すなわち、エン
ド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒは、内装体ＢＩの長手方向端部を肌面側から押さえるためのシートとしても機能する。これにより、内装体ＢＩの長手方向端部を補強すると共に、内装体ＢＩの端部が肌面に直接触れて着用者に違和感を与えるのを防ぐことができる。エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒは、例えば、非透水性の不織布によって形成されていてもよく、これにより内装体ＢＩの長手方向端部からの排出液の漏れを抑制できる。

【0029】

エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒは、インナーカバーシート５に対して肌面側から接着されている。但し、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒが内装体ＢＩを覆う領域においては、トップシート９に対してエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒが接着（接合）される。本実施形態においては、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒをインナーカバーシート５及びトップシート９に接着する接着剤としてホットメルト接着剤を採用しているが、これには限定されない。また、接着剤ではなく、他の接合方法によってエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒをインナーカバーシート５及びトップシート９に接合してもよい。なお、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒを設けない構成も考えられる。

【0030】

図３は、実施形態に係るおむつ１を展開し、伸長した状態を模式的に示した図である。図３（Ａ）は、展開及び伸長した状態のおむつ１を左側から見た場合の内部構造を模式的に示している。図３（Ｂ）は、展開及び伸長した状態のおむつ１の平面図を模式的に示している。なお、図３（Ｂ）では、サイドシート１０Ｌ，１０Ｒ及びエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの図示は省略する。カバーシート４は、図２に示す折り返し線４ＦＦ、４ＲＦにおいて一端側が折り返されている。上述したウェストギャザー３Ｒは、カバーシート４の前身頃領域に糸ゴム（糸状のゴム）４Ｆ１，４Ｆ２が接着され、カバーシート４の後身頃領域に糸ゴム（糸状のゴム）４Ｒ１，４Ｒ２が接着されることで形成される。糸ゴム４Ｆ１，４Ｆ２は、折り返されると前身頃領域１Ｆの上側の縁を形成することになる折り返し線４ＦＦ沿いに、折り返し線４ＦＦ側から糸ゴム４Ｆ１、糸ゴム４Ｆ２の順に設けられている。糸ゴム４Ｒ１，４Ｒ２も、糸ゴム４Ｆ１，４Ｆ２と同様、折り返されると後身頃領域１Ｒの上側の縁を形成することになる折り返し線４ＲＦ沿いに、折り返し線４ＲＦ側から糸ゴム４Ｒ１、糸ゴム４Ｒ２の順に設けられている。糸ゴム４Ｆ１，４Ｒ１，４Ｆ２，４Ｒ２は、幅方向に伸縮する弾性部材を、長手方向に平行に複数本設けることにより形成されている。

【0031】

このため、糸ゴム４Ｆ１，４Ｆ２は、伸縮方向となる胴周り方向がおむつ１の左右方向となる向きでカバーシート４に設けられることになる。また、糸ゴム４Ｒ１，４Ｒ２は、伸縮方向となる長手方向がおむつ１の左右方向となる向きでカバーシート４に設けられることになる。よって、サイドシール部１２Ｌ，１２Ｒにおいて縁４Ｆ４と縁４Ｒ４が互いに接合され、縁４Ｆ５と縁４Ｒ５が互いに接合されると、糸ゴム４Ｆ１，４Ｆ２と糸ゴム４Ｒ１，４Ｒ２は、胴開口部２Ｔに沿って周回する実質的に環状の伸縮部材を形成し、胴開口部２Ｔを胴周り方向に収縮させる機能を発揮する。すなわち、糸ゴム４Ｆ１，４Ｆ２と糸ゴム４Ｒ１，４Ｒ２は、収縮力を発揮しておむつ１を着用者に密着させ、おむつ１と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ。複数の糸ゴム４Ｆ２，糸ゴム４Ｒ２のうち股下領域１Ｂ側の一部は、吸収体８と重畳する。

【0032】

糸ゴム４Ｆ１，４Ｒ１は、図１に示した前身頃領域１Ｆ，後身頃領域１Ｒの上側の縁となる部分に沿って左右方向に延在するように設けられている。糸ゴム４Ｆ２，４Ｒ２は、所定の間隔をあけて平行に設けられている。糸ゴム４Ｆ１，４Ｒ１は、おむつ１が着用された状態において、着用者の腹囲を糸ゴム４Ｆ２，４Ｒ２よりも上側で比較的強く締め付ける。糸ゴム４Ｆ１，４Ｒ１は、おむつ１を着用者に密着させて着用位置がずれるのを防止し、腹部や背部から排出物が漏出するのを防ぐ機能を担う。糸ゴム４Ｆ２，４Ｒ２は、糸ゴム４Ｆ１，４Ｒ１の収縮力に起因する着用者への圧迫感を緩和する。また、インナーパッドを用いる場合には、インナーパッドのずれを抑制する。

【0033】

更に、カバーシート４には糸ゴム４Ｆ３と糸ゴム４Ｒ３が接着されている。糸ゴム４Ｆ３，糸ゴム４Ｒ３は、カバーシート４のうち糸ゴム４Ｆ２，４Ｒ２よりも股下領域１Ｂ側の領域に設けられる伸縮部材である。ただし、糸ゴム４Ｆ３，４Ｒ３は、カバーシート４の左端から右端まで屈曲することなく接着されている他の糸ゴムとは異なり、股下領域１Ｂの方向に湾曲して配置されている。このように、糸ゴム４Ｆ３，４Ｒ３が湾曲して配置されていることで、糸ゴム４Ｆ３，４Ｒ３の配置領域は、左下肢開口部２Ｌ及び右下肢開口部２Ｒの周囲を着用者の肌面と当接させる、レグギャザーとしての機能を有している。

【0034】

前身頃領域１Ｆ側における糸ゴム４Ｆ３は、吸収体８を幅方向に横断し、幅方向に連続している。糸ゴム４Ｆ３が吸収体８を幅方向に横断している部分は、着用者の恥骨付近に対応する。なお、着用者の尿道口は、糸ゴム４Ｆ３が吸収体８を横断している部位から更に股下側で、おむつ１の肌面側に当接する。

【0035】

一方、後身頃領域１Ｒ側における糸ゴム４Ｒ３は、砂時計型の吸収コアの括れ部分で、吸収コア８ｃの幅方向外側と重畳しているが、吸収体８を幅方向に横断していない。糸ゴム４Ｒ３の配置領域は、吸収体８付近で着用者の臀部と当接する。後身頃領域１Ｒでは、おむつ１は着用者の臀部にかかる圧力により、前身頃領域１Ｆよりも強く押圧される。このため、糸ゴム４Ｒ３を吸収体８の幅方向中央部には設けずに、吸収体８の幅方向端部同士を引き離すように付勢しておくことで、おむつ１は、着用者に対して、適切な密着力で当接する。

【0036】

カバーシート４は、折り返し線４ＦＦ、４ＲＦで折り返されて糸ゴム４Ｆ１，糸ゴム４Ｒ１の配置領域まで延在し、その折り返された部分で糸ゴム４Ｆ１、糸ゴム４Ｒ１の配置領域を補強している。エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒは、折り返し線４ＦＦ、４ＲＦで折り返されたカバーシート４が延在していない糸ゴム４Ｆ２，糸ゴム４Ｒ２の配置領域に設けられて、糸ゴム４Ｆ２，４Ｒ２の配置領域を補強している。

【0037】

なお、本願においてシートが重なる状態とは、重ね合わされるシート同士が互いに全面的に接触する状態で重なる形態に限定されるものでなく、シートの一部分同士が重なる形態を含む概念である。例えば、エンド押さえシート１１Ｆは、バックシート６の長手方向における一端側の一部分が、カバーシート４の一部分に触れる状態で重ねられる。おむつ１は、吸収体８を間に挟んだバックシート６及びトップシート９の他、カバーシート４、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒ、インナーカバーシート５、サイドシート１０Ｌ，１０Ｒが積み重なって形成されているため、これら複数のシートを積み重ねた積層体を有していると言える。

【0038】

図４は、外装体と吸収体の接着状態を示した図である。より具体的には、インナーカバーシート５とバックシート６との間に塗布されているホットメルト接着剤を図示したものである。外装体と吸収体８側のバックシート６は、吸収体８の延在領域の大部分において、長手方向に所定の間隔で、吸収体８側よりも幅方向にやや幅狭に塗布されたホットメルト接着剤等の接着剤ＨＭにより、接着されている。吸収体８と外装体は、当該接着剤ＨＭにより接着されることで、おむつ１の構成として相互に効果的に機能を発揮する。前身頃領域側の糸ゴム４Ｆ３の延在領域では、インナーカバーシート５と吸収体側のバックシート６は接着されておらず、非接着領域１５となっている。前身頃領域側では、糸ゴム４Ｆ３の延在領域は、吸収体８と重畳し、横断している。おむつ１の着用状態では、糸ゴム４Ｆ３が吸収体８と重畳し、これを幅方向に横断していることにより、吸収体８は、着用者の肌面に接近する。このようにして、吸収体８を着用者の尿道口に適切に当接させることができ、吸収性能を高めることができる。

【0039】

一方、非着用状態では、糸ゴム４Ｆ３の収縮力は吸収体８を幅方向に収縮させるように伝わり、吸収体８の変形や型崩れの要因となる可能性がある。糸ゴム４Ｆ３の延在範囲において、外装体ＢＯを構成するインナーカバーシート５と、吸収体８側のバックシート６との間に非接着領域１５を設けることで、非着用状態において糸ゴム４Ｆ３の付勢力が吸収体８に過度に伝わることを抑制できる。非接着領域１５を適切に設けることで、糸ゴム４Ｆ３と吸収体８とを厚み方向に重畳させつつも、非着用状態における吸収体８の変形や型崩れを抑制可能となる。

【0040】

なお、後身頃領域１Ｒ側における糸ゴム４Ｒ３は、砂時計型の吸収コアの括れ部分で、吸収コア８ｃの幅方向外側と厚み方向に重畳しており、吸収体８を幅方向に横断してはいない。このため、非着用状態においても、吸収体８に糸ゴム４Ｒ３の付勢力が伝わり、吸収体８が変形や型崩れを起こすことを考慮する必要はない。このため、後身頃領域１Ｒ側には非接着領域は設けられていない。糸ゴム４Ｒ３の延在範囲でも、バックシート６とインナーカバーシート５は、その他の部位と同様に、長手方向に所定の間隔で塗布された接着剤ＨＭによって接着されている。

【0041】

図５は、実施形態に係るおむつ１のサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲ及びその周辺構造を説明する図である。図５（Ａ）は、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合界面における平面図である。図５（Ｂ）は、図５（Ａ）中のＡ―Ａ矢視の概略図である。サイドシール部３ＳＬ及びサイドシール部３ＳＲは実質的に同一構造であるため、ここでの説明では双方を区別しない。

【0042】

図５（Ａ）に示す符号ＵＷは、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲにおける接合部である。接合部ＵＷは、超音波溶着等によって、外装体ＢＯにおける前身頃領域１Ｆの左側縁４Ｆ４と後身頃領域１Ｒの左側縁４Ｒ４とが互いに溶着され、前身頃領域１Ｆの右側縁４Ｆ５と後身頃領域１Ｒの右側縁４Ｒ５とが互いに溶着されることによって形成される。図５（Ａ）に示すように、複数の接合部ＵＷ，ＵＷ…が外装体ＢＯの幅方向における側部（左側縁４Ｆ４，４Ｒ４、右側縁４Ｆ５，４Ｒ５）近傍を、当該側部に沿って（上下方向（縦方向）に沿って）所定の規則性を有する接合（溶着）パターンで形成されている。例えば、図５（Ａ）に示す例では、各接合部ＵＷは、それぞれ上下方向に隣り合う接合部ＵＷとの間に間隔をあけながら、横方向（幅方向）に長い略長方形に形成されている。サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲは、図５に示すように、外装体ＢＯの幅方向側部に沿って形成される複数の接合部ＵＷによって形成されている。

【0043】

なお、符号Ｒ１～Ｒ３は、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの第１シール領域、第２シール領域、第３シール領域である。第１シール領域Ｒ１は、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合界面が前身頃領域１Ｆ側と後身頃領域１Ｒ側の各インナーカバーシート５によって形成される領域であり、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの下端側に形成されている。第３シール領域Ｒ３は、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合界面が前身頃領域１Ｆ側と後身頃領域１Ｒ側の各折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒによって形成される領域であり、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの上端側に形成されている。第２シール領域Ｒ２は、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合界面が前身頃領域１Ｆ側と後身頃領域１Ｒ側の各エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒによって形成される領域であり、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの上下方向において第１シール領域Ｒ１と第３シール領域Ｒ３の間に位置している。

【0044】

図５（Ｂ）に示す符号ＨＭ１は、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒを外装体ＢＯ（詳細には、インナーカバーシート５）に接着（接合）する接着部である。また、符号ＨＭ２は、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒを外装体ＢＯ（詳細には、インナーカバーシート５）に接着（接合）する接着部である。接着部ＨＭ１，ＨＭ２は、例えば、ホットメルト接着剤によって形成されている。

【0045】

本実施形態におけるエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒおよび折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒは外装体ＢＯの幅方向（横方向）に延在しており、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒおよび折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの延在方向（長手方向）における端部領域はサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲと平面視において重複している。すなわち、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの第２シール領域Ｒ２においては、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの端部領域がサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲと平面視において重複する。また、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの第３シール領域Ｒ３においては、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの端部領域がサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲと平面視において重複する。

【0046】

着用状態のおむつ１を着用者から取り外す際に、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを上下方向の端部を起点としてその接合界面同士を引き剥がしながらサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを破断させてゆく。しかしながら、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲとエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒが重複する重複領域（第２シール領域Ｒ２）において、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒと外装体ＢＯ（詳細には、インナーカバーシート５）の接合強度がサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合強度よりも小さいと、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合界面を形成する前身頃領域１Ｆ側と後身頃領域１Ｒ側の各エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒ同士が剥離する前に、接着部ＨＭ１を介して接合されるエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒとインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）の接合界面が剥離してしまう虞がある。同様に、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲと折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒが重複する重複領域（第３シール領域Ｒ３）において、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒと外装体ＢＯ（詳細には、インナーカバーシート５）の接合強度がサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合強度よりも小さいと、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合界面を形成する前身頃領域１Ｆ側と後身頃領域１Ｒ側の各折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒ同士が剥離する前に、接着部ＨＭ２を介して接合される折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒとインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）の接合界面が剥離してしまう虞がある。

【0047】

そこで、本実施形態に係るおむつ１は、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒ（補強シート部）とインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）の接合強度を、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合強度よりも相対的に大きくした。「接合強度」とは、互いに接合された（接合界面を形成する）シート同士を引き剥がす際に必要な外力の大きさを意味し、接合強度が大きいほど当該シート同士を引き剥がしにくい。また、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合強度とは、詳細には、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合界面における接合強度を意味する。

【0048】

上記のように、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒ（補強シート部）とインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）の接合強度を、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合強度よりも相対的に大きくしたので、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの第２シール領域Ｒ２を破断する際に、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合界面同士が剥離する前に、接着部ＨＭ１を介して接合されるエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒとインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）の接合界面が剥離してしまうことを抑制できる。言い換えると、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒがインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）から引き剥がされる前に、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合界面同士を引き剥がすことができる。その結果、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを、その延在方向（長手方向）に沿って破断することが容易となる。

【0049】

また、本実施形態においては、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒ（補強シート部）とインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）の接合強度を、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合強度よりも相対的に大きくした。これによれば、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの第３シール領域Ｒ３を破断する際に、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合界面同士が剥離す
る前に、接着部ＨＭ２を介して接合される折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒとインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）の接合界面が剥離してしまうことを抑制できる。言い換えると、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒがインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）から引き剥がされる前に、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合界面同士を引き剥がすことができる。これにより、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを、その延在方向に沿って破断することが容易となる。

【0050】

また、図５（Ａ）に示すように、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲにおける複数の接合部ＵＷ，ＵＷ…は、おむつ１の上下方向（縦方向）に沿って所定の接合（溶着）パターンで配列されている。具体的には、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲは、以下に説明する強接合領域Ｓ１と、強接合領域Ｓ１よりも接合強度が相対的に小さな弱接合領域Ｓ２と、接合強度が実質的にゼロの非接合領域Ｓ３を含み、これらの各領域がサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの長手方向（おむつ１の上下方向）において異なる位置に配されている。強接合領域Ｓ１は、外装体ＢＯの幅方向（横方向）に接合部ＵＷが２列に配置された領域である。弱接合領域Ｓ２は、外装体ＢＯの幅方向（横方向）に接合部ＵＷが１列に配置された領域である。非接合領域Ｓ３は、接合部ＵＷを含まない領域であり、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの長手方向（おむつ１の上下方向）において強接合領域Ｓ１および弱接合領域Ｓ２の間に形成されている。図５（Ａ）に示す例では、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの長手方向（おむつ１の上下方向）に沿って、強接合領域Ｓ１、非接合領域Ｓ３、弱接合領域Ｓ２、強接合領域Ｓ１、・・・というパターンで接合強度が相互に異なる３種類の領域が配列されている。

【0051】

本実施形態においては、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒおよびサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの重複領域である第２シール領域Ｒ２において、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの上下縁の少なくとも何れか一方が強接合領域Ｓ１と重ならないように位置付けられている。つまり、第２シール領域Ｒ２において、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの上下縁の少なくとも何れか一方は、弱接合領域Ｓ２又は非接合領域Ｓ３と重なるように位置付けられている。

【0052】

ここで、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの強接合領域Ｓ１は、弱接合領域Ｓ２に比べると、接合界面を引き剥がす（引き裂く）ためにより大きな力が必要となるため、強接合領域Ｓ１を接合界面で引き剥がす際に付加される力は、弱接合領域Ｓ２を接合界面で引き剥がす際に付加される力よりも大きくなる。そして、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの上縁や下縁は、外力が付加された場合に、インナーカバーシート５（外装体ＢＯ）に対してエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒが剥離する起点（弱点）となり易い。したがって、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの上縁又は下縁が強接合領域Ｓ１と重なると、当該上縁又は下縁を起点としてエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒがインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）から剥離し易くなる虞がある。

【0053】

そこで、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの第２シール領域Ｒ２においては、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの上下縁の少なくとも何れか一方が強接合領域Ｓ１と重ならないように位置付けることで、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを破断させる所作時にエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの上縁領域や下縁領域に付加される外力を小さくすることができる。これにより、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの上縁又は下縁を起点としてエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒがインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）から剥離しにくくすることが可能となる。その結果、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを、その延在方向に沿って破断することが容易となる。

【0054】

なお、図５（Ａ）に示すように、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの上縁１１１及び下縁１１２の双方を強接合領域Ｓ１と重ならないように位置付ける態様は、エンド押さえ
シート１１Ｆ，１１Ｒがインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）から剥離しにくくする観点からより好ましい。勿論、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの上縁１１１及び下縁１１２を、弱接合領域Ｓ２に代えて非接合領域Ｓ３と重なるように配置してもよい。

【0055】

また、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒおよびサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの重複領域である第３シール領域Ｒ３についても同様に、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの上下縁の少なくとも何れか一方が強接合領域Ｓ１と重ならないように位置付けられている。つまり、第２シール領域Ｒ２において、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの上下縁の少なくとも何れか一方は、弱接合領域Ｓ２又は非接合領域Ｓ３と重なるように位置付けられている。これにより、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを破断させる所作時に折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの上縁領域や下縁領域に付加される外力を小さくすることができる。よって、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの上縁４１１又は下縁４１２を起点としてエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒがインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）から剥離しにくくすることが可能となる。その結果、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを、その延在方向に沿って破断することが容易となる。

【0056】

図５（Ａ）に示す例では、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの上縁４１１及び下縁４１２の双方を強接合領域Ｓ１と重ならないように位置付けている。このような態様は、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒがインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）から剥離しにくくする観点からより好ましい。勿論、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの上縁４１１及び下縁４１２を、弱接合領域Ｓ２に代えて非接合領域Ｓ３と重なるように配置してもよい。

【0057】

図５に示す例では、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒと、エンド押さえシート１１Ｆは、胴開口部２Ｔ側において重畳している。このような構造を採用することで、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを破断させる所作時において、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの上縁４１１又は下縁４１２を起点として折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒがインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）から剥離しにくくなり、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの端部が露出することを抑制できる。その結果、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを、その延在方向に沿って破断することが容易となる。

【0058】

図６は、実施形態に係るおむつ１における接着部ＨＭ１，ＨＭ２の平面的な塗布パターンを説明する図である。図中の二点鎖線は、外装体ＢＯのうち、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲが形成される領域と、その内側の領域との境界位置を示している。

【0059】

本実施形態においては、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒ（補強シート部）の上縁１１１側に位置する上縁側接合領域ＲＵ１と、下縁１１２側に位置する下縁側接合領域ＲＢ１の少なくとも何れか一方は、上縁側接合領域ＲＵ１および下縁側接合領域ＲＢ１の間に挟まれる内側接合領域ＲＭ１に比べて、インナーカバーシート５（外装体ＢＯ）との接合強度が相対的に大きくなるように構成されている。これにより、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを破断させる所作時において、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの上縁１１１又は下縁１１２を起点としてエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒがインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）から剥離しにくくすることが可能となる。その結果、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを、その延在方向に沿って破断することが容易となる。

【0060】

図６に示す例では、上縁側接合領域ＲＵ１に配されている接着部ＨＭ１Ｕと、下縁側接合領域ＲＢ１に配されている接着部ＨＭ１Ｂの長さ（外装体ＢＯの幅方向に沿った長さ）が、内側接合領域ＲＭ１に配されている接着部ＨＭ１Ｍの長さ（外装体ＢＯの幅方向に沿った長さ）よりも長い寸法に設定されることで、内側接合領域ＲＭ１に比べて上縁側接合領域ＲＵ１および下縁側接合領域ＲＢ１におけるインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）との接合強度が大きくなっている。

【0061】

また、本実施形態においては、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒ（補強シート部）の上縁４１１側に位置する上縁側接合領域ＲＵ２と、下縁４１２側に位置する下縁側接合領域ＲＢ２の少なくとも何れか一方は、上縁側接合領域ＲＵ２および下縁側接合領域ＲＢ２の間に挟まれる内側接合領域ＲＭ２に比べて、インナーカバーシート５（外装体ＢＯ）との接合強度が相対的に大きくなるように構成されている。また、接着剤は、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲには延在していない。これにより、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを破断させる所作時において、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの上縁４１１又は下縁４１２を起点としてエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒがインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）から剥離しにくくすることが可能となる。その結果、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを、その延在方向に沿って破断することが容易となる。

【0062】

図６に示す例では、上縁側接合領域ＲＵ２に配されている接着部ＨＭ２Ｕと、下縁側接合領域ＲＢ２に配されている接着部ＨＭ２Ｂの長さ（外装体ＢＯの幅方向に沿った長さ）が、内側接合領域ＲＭ２に配されている接着部ＨＭ２Ｍの長さ（外装体ＢＯの幅方向に沿った長さ）よりも長い寸法に設定されることで、内側接合領域ＲＭ２に比べて上縁側接合領域ＲＵ２および下縁側接合領域ＲＢ２におけるインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）との接合強度が大きくなっている。

【0063】

また、本実施形態におけるおむつ１は、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒ（補強シート部）が存在する第２シール領域Ｒ２において、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの上下縁、すなわち上縁１１１および下縁１１２がインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）に接合されている。なお、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの幅方向外側には、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲが存在している。図６に示す例では、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの上縁１１１は接着部ＨＭ２Ｂを介して、下縁１１２はＨＭ１Ｂを介してインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）に接着されている。このように接着部を配置することで、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを破断させる所作時において、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの上縁１１１や下縁１１２を起点としてエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒがインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）から剥離しにくくなる。これにより、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを、その延在方向に沿って破断することが容易となる。

【0064】

また、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒ（補強シート部）についても同様に、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒが存在する第３シール領域Ｒ３において、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの上下縁、すなわち上縁４１１および下縁４１２がインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）に接合する態様を採用している。なお、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの幅方向外側には、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲが存在している。図６に示す例では、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの上縁４１１は接着部ＨＭ２Ｕを介して、下縁４１２はＨＭ２Ｂを介してインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）に接着されている。このように接着部を配置することで、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを破断させる所作時において、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの上縁４１１や下縁４１２を起点として折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒがインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）から剥離しにくくなる。これにより、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを、その延在方向に沿って破断することが容易となる。

【0065】

なお、本実施形態においては、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒが存在する第２シール領域Ｒ２においては、上記のとおり、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの上縁１１１および下縁１１２がインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）にホットメルト接着剤によって接着されている。このように、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの上縁１１１および下縁１１２をインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）に接合する際に、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを接合しないようにすることで、別途サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを超音
波溶着で形成する際に、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合強度が過度に高くなることを抑制する。これにより、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒ（補強シート部）とインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）の接合強度が、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合強度よりも大きくなり、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを破断させる所作時に当該サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを延在方向に沿って容易に破断可能となる。

【0066】

同様に、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒが存在する第３シール領域Ｒ３においては、上記のとおり、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの上縁４１１および下縁４１２がインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）にホットメルト接着剤によって接着されている。これによれば、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒ（補強シート部）とインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）の接合強度が、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合強度よりも大きくなり、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを破断させる所作時に当該サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを延在方向に沿って容易に破断可能となる。

【0067】

次に、図６に示すハッチング領域について説明する。符号１１３で示すハッチング領域は、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒ（補強シート部）のうち、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲとの重複領域の内側に隣接する内側境界領域である。すなわち、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの内側境界領域１１３は、上記重複領域との境界位置に隣接するように当該重複領域の内側に隣接した領域である。エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの内側境界領域１１３は、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの上縁１１１から下縁１１２に亘りインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）と接合されている。つまり、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの内側境界領域１１３における上下方向の全区間に亘って、インナーカバーシート５（外装体ＢＯ）と接合されている。内側境界領域１１３は、例えばホットメルト接着剤によってインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）と接着されていてもよい。このような構成によれば、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを破断させる所作時に、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒがインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）から剥離しにくくなる。これにより、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを延在方向に沿って容易に破断することが可能となる。

【0068】

また、図６中、符号４１３で示すハッチング領域は、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒ（補強シート部）のうち、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの内側に隣接する内側境界領域である。すなわち、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの内側境界領域４１３は、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲとの境界位置に隣接するようにサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの内側に隣接した領域である。折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの内側境界領域４１３は、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの上縁４１１から下縁４１２に亘りインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）と接合されている。つまり、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの内側境界領域４１３の上下方向の全区間に亘って、インナーカバーシート５（外装体ＢＯ）と接合されている。内側境界領域４１３は、例えばホットメルト接着剤によってインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）と接着されていてもよい。このような構成によれば、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを破断させる所作時に、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒがインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）から剥離しにくくなる。これにより、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを延在方向に沿って容易に破断することが可能となる。

【0069】

図７は、係る折り返しシート部とエンド押さえシートとの接合態様を説明する図である。折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒは、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの上縁１１１側を肌面側から覆っており、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒとエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒとの重複領域ＷＡは相互に接合されている。

【0070】

より具体的には、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒおよび折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒは外装体ＢＯの左端から右端に亘り幅方向に沿って延在し、インナーカバーシート
５（外装体ＢＯ）と接合されている。インナーカバーシート５（外装体ＢＯ）に対して、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒおよび折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒは、例えば、ホットメルト接着剤によって形成された接着部ＨＭ１，ＨＭ２において接着されている。また、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒは、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒおよびインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）に跨った状態で双方に対して接合されている。符号ＨＭ３は、上記重複領域ＷＡにおいて、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒの非肌面側とエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの肌面側を接着する接着部であり、例えばホットメルト接着剤によって形成されている。

【0071】

上記のように、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒを肌面側から折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒによって覆い、双方のシートを重複領域ＷＡにおいて接合することで、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを破断させる所作時において、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒがインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）に対して一層剥離しにくくなる。これにより、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを、その延在方向に沿って破断することが容易となる。特に、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒは、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒおよびインナーカバーシート５（外装体ＢＯ）に跨って双方に接着されているため、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒを強固に補強することができる。

【0072】

なお、本図では、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒを肌面側から覆う第２の補強シート部として折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒを採用しているが、折り返しシート部４１Ｆ，４１Ｒとは異なる別のシート部材によってエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒを肌面側から補強してもよい。また、第２の補強シート部は、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒにおける上縁１１１および下縁１１２の少なくとも一方側を肌面側から覆い、これらの重複領域においてエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒと接合されていればよい。

【0073】

図８は、第１の実施形態に係るサイドシール部分の一例の断面図である。本図は、サイドシール部３ＳＬ近傍をサイドシール部３ＳＬ側から見た場合の外装体の断面図であり、右側が後身頃領域１Ｒ側の外装体（前身頃外装体）、左側が前身頃領域１Ｆ側の外装体（後身頃外装体）となっている。図８～図１０では、サイドシール部３ＳＬ近傍の断面図を用いて説明を行うが、サイドシール部３ＳＲ近傍の構成も同様である。後述するようにサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲに糸ゴムは延在していないが、図８～図１０はサイドシール部３ＳＬ近傍の断面図であるため、糸ゴムを記載している。また、図８～図１０では、おむつ１の構造を明瞭化するため、各要素の間に広い間隔を設けて図示しているが、実際のおむつ１の外装体の厚みは薄い。

【0074】

おむつの前身頃領域１Ｆと、後身頃領域１Ｒは、サイドシール部３ＳＬにおいて相互に接着されて接合している。図８の例では、その右側が後身頃領域１Ｒ側の外装体ＢＯであり、その左側が前身頃領域１Ｆ側の外装体ＢＯである。外装体は、前身頃領域１Ｆから後身頃領域１Ｒまで連続しておむつ１の外表面を形成しており、長手方向外側が幅広で、長手方向内側が幅狭な略砂時計形状（瓢箪形状）の外観を有している。サイドシール部３ＳＬは、そのうち長手方向両外側に位置する幅広部分の幅方向端部に設けられている。

【0075】

各領域の外装体は、サイドシール部３ＳＬの全領域において、少なくとも、カバーシート４と、インナーカバーシート５の２枚のシートから構成されている。カバーシート４は、胴開口部２Ｔ側の端部で折り返されて、折り返し部２０を形成している。このため、各外装体の胴開口部２Ｔ側では、その一部が３層構造となっている。

【0076】

更に、外装体の一部領域には、その肌面側にエンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒが重畳している。エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒが重畳している範囲において、各外装体は３層構造になっている。また、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの延在範囲は、その一
部が折り返し部２０の延在範囲と重畳しており、重畳範囲において、各外装体ＢＯは４層構造となっている。

【0077】

カバーシート４とインナーカバーシート５との間には、複数の糸ゴムが配置され、各シートと接着されて、サイドシール部３ＳＬの近傍にまで延在している。糸ゴム４Ｆ１，４Ｒ１は、カバーシート４の折り返し部２０と、インナーカバーシート５の肌面側との間に配置されている。糸ゴム４Ｆ２，４Ｒ２は、糸ゴム４Ｆ１，４Ｒ１よりも下肢開口部側で、カバーシート４と、インナーカバーシート５の非肌面側との間に配置されている。糸ゴムの配置間隔は、おむつの機能に応じて適時変更することが可能であるが、本実施形態では、糸ゴム４Ｆ２，４Ｒ２は、糸ゴム４Ｆ１，４Ｒ１よりも広い配置間隔で配置されている。糸ゴム４Ｆ２，４Ｒ２の更に下肢開口部側には、糸ゴム４Ｆ３，４Ｒ３が伸張状態で配置されている。糸ゴム４Ｆ３，４Ｒ３は、脚周り開口部に沿って湾曲して配置されて図示しないレグギャザー３ＬＬ，３ＬＲを付勢するが、サイドシール部１２Ｌの近傍では、糸ゴム４Ｆ１，４Ｒ１，４Ｆ２，４Ｒ２と平行に配置されている。なお、図８に示しているのはサイドシール部３ＳＬの近傍における外装体の断面図であるため糸ゴムが配置されているが、サイドシール部３ＳＬ自体には糸ゴムは配置されていない。糸ゴムが配置されていないため、サイドシール部３ＳＬの肌当たりを柔らかくすることができる。なお、一部の糸ゴムのみをサイドシール部３ＳＬに延在させる形態も考えられる。

【0078】

おむつ１の前身頃領域１Ｆ側の外装体ＢＯと、後身頃領域１Ｒ側の外装体ＢＯとで、大まかなシートの構成は共通している。そして、胴開口部２Ｔにおいて、前身頃領域１Ｆ側の外装体ＢＯと、後身頃領域１Ｒ側の外装体ＢＯの位置は、長手方向に互いに共通している。この構成により、胴開口部２Ｔにおいては、前身頃領域１Ｆと後身頃領域１Ｒとの間に段差は発生せず、審美性に優れたおむつ１を提供できる。また、段差がないことにより着用感は向上する。更に、糸ゴム４Ｆ１，４Ｒ１の配置範囲も長手方向に揃うため、着用者に対する糸ゴム４Ｆ１の付勢力も前身頃領域１Ｆと後身頃領域１Ｒとで共通となる。この構成により、おむつ１の胴開口部２Ｔ近傍におけるフィット感は向上し、ずれ落ちが防止される。

【0079】

一方、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの下肢開口部側の端部である脚周り開口部側端部では、前身頃領域１Ｆ側の外装体ＢＯの位置と、後身頃領域１Ｒ側の外装体ＢＯの位置は、長手方向にずれており、不一致である。このずれは、本実施形態に係るおむつ１のサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲ以外の構成に起因する。第１の要因は、糸ゴム４Ｆ３が吸収体８と厚み方向に重畳して吸収体８を横断しているのに対して、糸ゴム４Ｒ３は吸収体８の幅方向端部とのみ重畳し、吸収体８を横断していないことである。第２の要因は、糸ゴム４Ｆ３と吸収体８とが厚み方向に重畳して吸収体８を横断している範囲において、バックシート６とインナーカバーシート５との間に非接着領域１５が設けられていることである。換言すれば、糸ゴム４Ｆ３が吸収体８を横断している領域において、前身頃領域１Ｆ側の外装体ＢＯ（前身頃外装体）は、吸収体と接着されていない。

【0080】

前身頃領域１Ｆ側において、糸ゴム４Ｆ３は、外装体ＢＯを幅方向に横断するように重畳しているが、後身頃領域１Ｒ側では、糸ゴム４Ｒ３は、外装体ＢＯの幅方内側で切断されている。このため、糸ゴム４Ｆ３，４Ｒ３の延在領域において、外装体ＢＯの幅方向への収縮力は、前身頃領域１Ｆ側のほうが後身頃領域１Ｒ側よりも大きくなっている。また、前身頃領域１Ｆ側に非接着領域１５が設けられていることにより、糸ゴム４Ｆ３の付勢力は吸収体８の剛性の影響を受けにくくなっており、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲにより多く達する。このため、前身頃領域１Ｆ側において、外装体ＢＯは糸ゴム４Ｆ３の付勢力により長手方向に伸張し、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲにおいて、後身頃領域１Ｒ側よりも長手方向に長くなる。このように、本実施形態に係るおむつ１は、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲにおいて、後身頃外装体と前身頃外装体の下肢開口部側端部の位置は、長
手方向に不一致である。

【0081】

更に、糸ゴム４Ｆ３の延在領域を非接着領域１５とすることで、糸ゴム４Ｆ３の付勢力は、外装体ＢＯに対してより強く働く。この結果、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの下肢開口部近傍において、前身頃領域１Ｆ側の外装体ＢＯは、腹側に強く付勢される。一方、後身頃領域１Ｒ側では、糸ゴム４Ｒ３は吸収体８を横断しておらず、非接着領域も設けられていないため、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの下肢開口部近傍では、腹側と背側の付勢力に不均衡が生じる。当該不均衡により、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲは、下肢開口部近傍において腹側に屈曲する。

【0082】

着用者の手は、腹側に届きやすいが、背側には届きにくい。特に、高齢者は手を後ろ側に回すことが難しい。本実施形形態に係るおむつ１では、下肢開口部近傍において、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの外装体ＢＯの前身頃領域１Ｆ側が後身頃領域１Ｒ側よりも長い。更に、下肢開口部近傍において、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲが腹側に屈曲している。このため、着用者は本実施形態に係るおむつ１のサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを把持しやすく、引き裂きやすい。よって、本実施形態に係るおむつ１は、交換が容易である。

【0083】

上述のように、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲにおいて、前身頃領域１Ｆ側と、後身頃領域１Ｒ側の外装体は、胴開口部２Ｔ側において長手方向に位置が揃っているが、下肢開口部側では長手方向に位置ずれして接合されている。サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲにおいて、外装体は、前身頃領域１Ｆ側と後身頃領域１Ｒ側とで同様の構成を有してはいるものの、下肢開口部側で外装体の位置がずれていることで、外装体ＢＯを構成する各シートの配置範囲も、前身頃領域１Ｆ側と、後身頃領域１Ｒ側とでずれが発生することになる。なお、前身頃領域１Ｆ側と後身頃領域１Ｒ側の外装体を構成する各シートのサイズを意図的に変更することで、ずれを発生させてもよい。

【0084】

図８の右側に記載した数字は、サイドシール部３ＳＬの近傍を厚み方向に見た場合に、重畳しているシートの層数である。上述の通り、サイドシール部３ＳＬの前身頃領域１Ｆ側と後身頃領域１Ｒ側において外装体ＢＯの位置はずれているため、サイドシール部３ＳＬの左下肢開口部２Ｌ側では、端部に前身頃領域１Ｆ側の外装体ＢＯのみが接合されている箇所はあるものの、概ね全領域において、前身頃領域１Ｆ側の外装体ＢＯと、後身頃領域１Ｒ側の外装体ＢＯとが重畳して接合されている。前身頃領域１Ｆ側の外装体ＢＯと後身頃領域１Ｒ側の外装体ＢＯは、そのそれぞれがカバーシート４とインナーカバーシート５を有しているので、層数は４となる。

【0085】

図８の例では、前身頃領域１Ｆ側において、エンド押さえシート１１Ｆは、後身頃領域１Ｒ側のエンド押さえシート１１Ｒよりも下肢開口部側に配置されている。このため、外装体の下肢開口部側には、エンド押さえシート１１Ｆが配置されており、エンド押さえシート１１Ｒが配置されていない領域が存在している。当該領域では、サイドシール部３ＳＬに重畳しているシートの層数は５となる。エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒが共に配置されている領域では、サイドシール部３ＳＬに重畳しているシートの層数は６となる。

【0086】

エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒの胴開口部２Ｔ側端部は、その肌面側を、カバーシート４が胴開口部２Ｔ側の端部で折り返されていることで形成される折り返し部２０に覆われている。折り返し部２０の延在長も、後身頃領域１Ｒ側と比較すると前身頃領域１Ｆ側の方が長くなっているため、外装体の下肢開口部側には、折り返し部２０がエンド押さえシート１１Ｆにのみ重畳しており、エンド押さえシート１１Ｒには重畳していない領域が存在している。当該領域では、サイドシール部３ＳＬに重畳しているシートの層数は７となる。

【0087】

エンド押さえシート１１Ｆの胴開口部２Ｔ側端部は、エンド押さえシート１１Ｒの胴開口部２Ｔ側端部よりも下肢開口部側にあり、エンド押さえシート１１Ｒは、エンド押さえシート１１Ｆの胴開口部２Ｔ側端部の更に胴開口部２Ｔ側に延在している。よって、エンド押さえシート１１Ｆの胴開口部２Ｔ側端部の更に胴開口部２Ｔ側には、前身頃領域１Ｆ側の外装体ＢＯではカバーシート４とインナーカバーシート５に折り返し部２０が重畳し、後身頃領域１Ｒ側の外装体ＢＯではカバーシート４とインナーカバーシート５にエンド押さえシート１１Ｒが重畳している領域が存在する。当該領域において、サイドシール部３ＳＬに重畳しているシートの層数は６となる。

【0088】

エンド押さえシート１１Ｒがより胴開口部２Ｔ側に延在している後身頃領域１Ｒ側の外装体ＢＯでも、エンド押さえシート１１Ｒの胴開口部２Ｔ側端部近傍は、折り返し部２０によってその肌面側を覆われている。当該領域では、前身頃領域１Ｆ側の外装体ＢＯは３層になっているが、後身頃領域１Ｒ側の外装体ＢＯは、エンド押さえシート１１Ｒに折り返し部２０が重畳することにより４層となる。よって、当該領域において、サイドシール部３ＳＬに重畳しているシートの層数は７となる。

【0089】

エンド押さえシート１１Ｒの胴開口部２Ｔ側端部の更に胴開口部２Ｔ側は、前身頃領域１Ｆ側の外装体ＢＯも後身頃領域１Ｒ側の外装体ＢＯも、インナーカバーシート５が延在している範囲において、カバーシート４とインナーカバーシート５、更にカバーシート４の折り返し部２０からなる３層構造となる。当該領域において、サイドシール部３ＳＬに重畳しているシートの層数は６となる。

【0090】

本実施形態では、サイドシール部３ＳＬにおける、前身頃領域１Ｆ側の外装体と後身頃領域１Ｒ側の外装体が接着されている範囲において、重畳しているシートの層数は、下肢開口部側から胴開口部２Ｔに向かって順に４、５、６、７、６、７、６層となる。このように、サイドシール部３ＳＬで接合されているシートの層数は、脚周り開口部の側から胴回り開口部の側に至る際、１層ずつ変化する。

【0091】

前身頃領域側の外装体と後身頃領域側の外装体を構成する各シートの位置が揃っている場合、サイドシール部を構成するシートの層数は、２層ずつ変化することになる。着用者や介助者がサイドシール部を引き裂く際、サイドシール部で接合されている外装体の層数が２層以上変化する位置があると、層数が増える部分でサイドシール部の剛性が高くなる結果、サイドシール部の破壊が停止し、代わりに裂け目が外装体の幅方向内側に広がることがある。サイドシール部を引き裂く際、破壊が途中で停止し、裂け目が外装体の幅方向内側に広がると、円滑におむつを交換することが難しくなる。

【0092】

本実施形態に係るおむつ１は、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲにおいて、前身頃領域１Ｆ側の外装体ＢＯと後身頃領域１Ｒ側の外装体ＢＯとで、シートの位置が完全に一致しないように接合されている。シートの位置がずれているため、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲで接合されている外装体ＢＯの層数変化は１層毎になる。サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲにおける層数の変化が１層毎であるため、着用者や介助者が本実施形態に係るおむつ１のサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを引き裂く際、層数が変化する位置でサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの破壊が停止しにくくなっている。

【0093】

このように、本実施形態に係るおむつ１は、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの剛性の変化が緩やかであるため、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを引き裂く際にサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの破壊が途中で停止せず、裂け目が外装体の幅方向内側に広がらないため、円滑な交換が可能である。

【0094】

＜第２の実施形態＞
図９は、第２の実施形態に係るサイドシール部分の一例の断面図である。以下の実施形態では、各図中、第１の実施形態と実質的に同一の機能を有する構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。第２の実施形態では、第１の実施形態の構成に加えて、胴開口部２Ｔ側端部において、インナーカバーシート５の位置が揃わないように配置されている。本図の例では、前身頃領域１Ｆ側の外装体ＢＯにおいて、インナーカバーシート５の配置位置が下肢開口部側にずれている。このため、サイドシール部３ＳＬの胴開口部２Ｔ近傍には、後身頃領域１Ｒ側の外装体ＢＯのみにインナーカバーシート５が配置されている領域が存在している。

【0095】

サイドシール部３ＳＬの胴開口部２Ｔ付近では、前身頃領域１Ｆ側の外装体ＢＯと、後身頃領域１Ｒ側の外装体ＢＯのカバーシート４は、共に肌面側に折り返されて折り返し部２０を形成している。当該領域において、サイドシール部３ＳＬに重畳しているシートの層数は４となる。そして、その下肢開口部側では、インナーカバーシート５の位置が揃っていないため、前身頃領域１Ｆ側の外装体ＢＯと、後身頃領域１Ｒ側の外装体ＢＯのいずれか一方のみにインナーカバーシート５が延在している領域が存在している。当該領域では、サイドシール部３ＳＬに重畳しているシートの層数は５となる。

【0096】

シートの層数が５となっている領域の更に下肢開口部側では、前身頃領域１Ｆ側の外装体ＢＯと、後身頃領域１Ｒ側の外装体ＢＯに共にインナーカバーシート５が存在している。当該領域では、両側の外装体にカバーシート４と、その折り返し部２０、インナーカバーシート５が重畳しているため、サイドシール部３ＳＬに重畳しているシートの層数は６となる。

【0097】

第２の実施形態では、サイドシール部３ＳＬの下肢開口部側が、長手方向端部側に徐々に層数が増えるように構成されているのと同様、胴開口部２Ｔ側も、長手方向内側に徐々に層数が増えるように構成されている。おむつを交換する際には、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの下肢開口部側を把持して胴側に引き裂くことが通常ではあるが、胴開口部２Ｔ側を把持して下肢開口部側に引き裂くことも可能である。第２の実施形態のように、胴開口部２Ｔ側においても下肢開口部側に徐々に層数が増えるように構成することで、おむつ１は、着用者または介助者が胴開口部２Ｔ側を把持してサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを引き裂こうとした場合にも一定程度容易に引き裂くことができ、円滑に交換可能となる。

【0098】

第２の実施形態に係るおむつ１でも、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲで接合されているシートの層数は、脚周り開口部の側から胴回り開口部の側に至る際、１層ずつ変化するのは第１の実施形態に係るおむつ１と同様である。更に、第２の実施形態に係るおむつ１では、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲで接合されているシートの層数は、胴回り開口部の側から脚周り開口部の側に至る際にも、１層ずつ変化する。第２の実施形態に係るおむつ１では、下肢開口部側から胴開口部２Ｔに向かってサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを切り裂いた場合にも、胴開口部２Ｔ側から下肢開口部側にサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを切り裂いた場合にも、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの破壊が途中で停止せず、裂け目が外装体の幅方向内側に広がることもないため、円滑な交換が可能である。

【0099】

＜第３の実施形態＞
図１０は、第３の実施形態に係るサイドシール部分の一例の断面図である。第３の実施形態では、第１の実施形態の構成に加えて、胴開口部２Ｔ側端部において、インナーカバーシート５は、カバーシート４と同様に折り返されて、折り返し部２０の一部にまで延在している。

【0100】

一般的に、おむつの胴開口部の端縁は、衣類や着用者の手との摩擦により破れる虞があ
る。そして、胴開口部の端縁が破れると、内部のウェストギャザーを構成するための糸ゴムが外部に露出することがある。露出した糸ゴムは、着用者の肌面に食い込んで着用感を大きく損なう虞がある。また、糸ゴムが外部に露出すると、糸ゴムは前述の摩耗に直接晒されるため、その一部が破断してしまう虞もある。そこで、第３の実施形態では、胴開口部２Ｔ側端部において、カバーシート４に加えてインナーカバーシート５が肌面側に折り返されている。折り返されたインナーカバーシート５は、折り返し部２０の一部に延在している。第３の実施形態では、胴開口部２Ｔ側端部において、例えカバーシート４が摩耗したり破断したりして内部構造が露出したとしても、糸ゴム４Ｆ１は、更にインナーカバーシート５によって被覆されている。このため、カバーシート４の摩耗や破断は、即座に糸ゴム４Ｆ１の露出に繋がらない。第３の実施形態に係るおむつ１は、長時間に渡って着用感を維持し、その機能を保つことができる。

【0101】

なお、折り返されたインナーカバーシート５は、逆Ｕ字型または略コの字型に屈曲しているもののその内側では相互に接着されておらず、胴開口部２Ｔの端縁近傍において空間を形成していてよい。糸ゴム４Ｆ１は胴開口部２Ｔの端縁にまでは配置されていないため、胴開口部２Ｔの端縁には十分な付勢力が働かない。本実施形態では、外装体は、胴開口部２Ｔの端縁近傍において、カバーシート４に加えてインナーカバーシート５が折り返されていることにより、前身頃領域１Ｆ側、後身頃領域１Ｒ側共に、他の領域よりも厚い４層となっている。更に、折り返されたインナーカバーシート５の内側には空間が形成されているため、外装体の胴開口部２Ｔの端縁は肉厚となって肌面側に膨らみ、着用者の肌面と当接する。このため、第３の実施形態に示すおむつ１は、着用感にも優れている。

【0102】

パンツ型おむつの胴開口部には力がかかりやすい。設計上予期せぬ力がかり、着用中にサイドシール部の胴開口部近傍が破断することは否定できない。パンツ型おむつの胴開口部の近傍においてサイドシール部が破断すると、おむつは胴回りを付勢することができなくなるため、ずれ落ちに繋がる。おむつの装着位置は、主にウェストギャザーの付勢力によって規定されている。このため、脚周り開口部側でサイドシール部が多少破断しても、おむつの装着位置は維持される。このように、サイドシール部が予期せず破断することによっておむつの機能に与える影響は、脚周り開口部側よりも胴開口部側においてより大きいといえる。

【0103】

第３の実施形態に係るおむつ１は、カバーシート４に加えてインナーカバーシート５をも折り返すことにより、胴開口部２Ｔ近傍におけるサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの層数を増やすことができる。層数が増えることにより、胴開口部２Ｔ近傍におけるサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの接合強度をより高めることができる。このため、第３の実施形態に係るおむつ１は、胴開口部２Ｔ近傍におけるサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの破断や、破断に伴うずれ落ちを抑制できる。

【0104】

なお、折り返し部２０では、カバーシート４と同様、インナーカバーシート５の端部の位置も、前身頃領域１Ｆ側の外装体と後身頃領域１Ｒ側の外装体とで異なっている。このため、第３の実施形態でも、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲで接合されているシートの層数は、脚周り開口部の側から胴回り開口部の側に至る際、１層ずつ変化する。このため、第３の実施形態に係るおむつ１においても、脚周り開口部側からサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを引き裂く際にサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの破壊が途中で停止せず、裂け目が外装体の幅方向内側に広がらないため、円滑に交換可能である。

【0105】

以上、各実施形態について説明したが、本発明の内容は上記実施形態に限られるものではない。例えば、エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒを糸ゴム４Ｆ１，４Ｒ１，４Ｆ２，４Ｒ２，４Ｆ３，４Ｒ３と同様に幅狭とし、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲにまで延在させない構成が考えられる。エンド押さえシート１１Ｆ，１１Ｒがサイドシール部３ＳＬ，
３ＳＲまで延在していない場合には、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲによって接合されているシートは、サイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの大半の領域において４層となる。このため、脚周り開口部側からサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲを引き裂く際に途中で積層されているシート数が増減せず、シート数が増減する箇所においてサイドシール部３ＳＬ，３ＳＲの破壊が途中で停止しなくなるため、容易に引き裂くことが可能となる。

【0106】

以上で開示した実施形態は、それぞれ組み合わせることができる。

【符号の説明】

【0107】

１Ｂ・・股下領域
１Ｆ・・前身頃領域
１Ｒ・・後身頃領域
２Ｌ・・左下肢開口部
２Ｒ・・右下肢開口部
２Ｔ・・胴開口部
３ＢＬ，３ＢＲ・・立体ギャザー
３ＬＬ，３ＬＲ・・レグギャザー
３Ｒ・・ウェストギャザー
４・・カバーシート
４Ｆ１，４Ｆ２，４Ｆ３・・糸ゴム
４Ｆ４，４Ｆ５・・縁
４ＦＦ・・折り返し線
４Ｒ１、４Ｒ２、４Ｒ３・・糸ゴム
４Ｒ４、４Ｒ５・・縁
４ＲＦ・・折り返し線
５・・インナーカバーシート
６・・バックシート
７・・コアラップシート
８・・吸収体
９・・トップシート
１０Ｌ，１０Ｒ・・サイドシート
１１Ｆ，１１Ｒ・・エンドシート
１２Ｌ，１２Ｒ・・サイドシール部
２０・・折り返し部
ＨＭ・・ホットメルト接着剤

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】