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特開2024-708幼児座席のヘッドガードの高さ調整構造
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  • 特開-幼児座席のヘッドガードの高さ調整構造 図1
  • 特開-幼児座席のヘッドガードの高さ調整構造 図2
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  • 特開-幼児座席のヘッドガードの高さ調整構造 図11
  • 特開-幼児座席のヘッドガードの高さ調整構造 図12
  • 特開-幼児座席のヘッドガードの高さ調整構造 図13
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000708
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】幼児座席のヘッドガードの高さ調整構造
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/00 20060101AFI20231226BHJP
   B62J 1/16 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B62J1/00 D
B62J1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099565
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】596085922
【氏名又は名称】服部 元信
(72)【発明者】
【氏名】服部元信
(57)【要約】
【課題】
自転車用幼児座席のヘッドガードの高さ調整時に挿入部の引っ掛りやガタがなく滑らかに移動でき、かつ少ない部品点数で実現できる手段を提供する。
【解決手段】
ヘッドガードを有する自転車用の幼児座席の背凭れ部にヘッドガードと挿入部を上下移動できるように支持する受け部を設け、受け部には1つの直線形凹凸列を有し、挿入部には直線形凹凸列に噛み合う円周状に凹凸列を施した1つの回転形凹凸列、その回転形凹凸列に係合/離脱して回転を停止/可動にする係合部とそれと一体の係合操作部、係合/離脱を保持する保持部、及び上下移動操作部を有し、これらが前後方向の垂直面に沿って平衡を保って動作できるようにヘッドガードと挿入部の高さ調整部を構成する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車用の幼児座席において、その背凭れ部にヘッドガードとその挿入部を上下移動できるように支持する受け部が設けられ、背凭れ部の背面側の受け部内に上下方向に並ぶ凹凸列を後方に向けて配する直線形凹凸列を備え、その直線形凹凸列と噛み合う凹凸列を円周状に配して左右方向を支軸にして回転する回転形凹凸列をヘッドガードの挿入部側に備えて、ヘッドガードとその挿入部を上下移動すると、その回転形凹凸列が直線形凹凸列と噛み合って滑らかに回転するように作用し、さらに、
ヘッドガードの挿入部にはその後方に上下移動操作部を備え、かつ回転形凹凸列に係合/離脱して回転を停止/可動にする係合部とそれに連動する係合操作部を備え、さらに係合を保持するための保持部を備えており、回転形凹凸列に係合部が係合している時、この保持部が係合操作部または係合部を固定(係合を保持)してヘッドガードとその挿入部の上下移動を止め、反対に保持部が係合操作部または係合部の固定を解除して、回転形凹凸列から係合部を離脱させてヘッドガードとその挿入部を上下移動できるように作用し、さらに
上下移動操作部から保持部、係合操作部、係合部、回転形凹凸列、直線形凹凸列へと連なる構成の下に、前後方向の垂直面に沿って動作が伝達されて左右の平衡を保ちながら滑らかに動作するように作用することを特徴とする幼児座席のヘッドガードの高さ調整構造。
【請求項2】
前記直線形凹凸列が直線形歯車で、前記回転形凹凸列が回転形歯車で構成されることを特徴とする請求項1に記載する幼児座席のヘッドガードの高さ調整構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のハンドル部に取付ける幼児乗せバスケットを含む自転車用幼児座席のヘッドガードの高さ調整構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の記載内容について考察する。幼児座席の背凭れ部に設けられた保持筒部に沿ってヘッドガードの支持脚が上下移動自在に嵌合って、装着されており、支持脚に凹凸列が上下方向に設けられ、保持筒部に弾性変形可能な弾性支持片が設けられて、ボルトとナットから成る締結具によって弾性支持片の係合突部が支持脚の凹凸列に押圧、係合されてヘッドガードを安定な保持状態にできる。一方、ヘッドガードと支持脚を上下移動させる時は、係合突部と凹凸列の押圧、係合を解除するが、この上下移動の操作性は、保持筒部と支持脚の嵌合う面の接触状態に依存している。
【0003】
特許文献2の記載内容について考察する。幼児乗せバスケット(固定部材)本体に形成されたレール部に沿ってヘッドガード(移動部材)の摺動部が移動するように装着されており、移動部材には固定部材との接面と反対側の面において複数の係合部が上下方向に設けられ、その複数の係合部と対向して被係合部を持つ押し当て部材が、固定部材の背面側にある高さ調整機構の調整ノブと長孔を通る回転軸で連結されている。調整ノブの回転操作によって押し当て部材を引寄せて、被係合部の第2凸部と弾性変位可能な第1凸部が係合部の係合凹部に押し当てられて係合され、ヘッドガード(移動部材)は保持状態にロックされる。さらに調整ノブの回転操作によって押し当て部材の被係合部の第2凸部と係合凹部の係合のみが解除され、弾性変位可能な第1凸部が係合凹部に係合されたままの緩い保持状態となり、上下方向に力を加えることによって第1凸部が弾性によって変位して係合が外れ、ヘッドガード(移動部材)の移動が可能になる。
【0004】
特許文献3の記載内容(図1)について考察する。幼児座席の背凭れ部にヘッドガードとその挿入部を上下移動できるように支持する受け部が設けられ、受け部側に左右に互いに向き合う(または少なくとも1つの)直線形凹凸列11を備え、挿入部側に直線形凹凸列に噛み合う円周状に凹凸列が施された2つの互いに噛合う(または少なくとも1つの)回転形凹凸列3を備えている。
そしてその回転形凹凸列に係合/離脱してその回転を停止/可動モードにする係合部とその係合/離脱を切換え制御する切換手段7を備えており、その操作によって停止/可動モードを切換えて回転形凹凸列を停止/回転可能にし、直線形凹凸列との噛み合いを通してヘッドガードを停止/上下移動させている。ヘッドガードの上下移動はこの直線形凹凸列と回転形凹凸列の噛み合いの移動そのものであるため、その動きは滑らかになる。また直線形凹凸列を直線形歯車に、回転形凹凸列を回転形歯車にすればさらに動きが滑らかになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4504906号
【特許文献2】特許第5022978号
【特許文献3】特許第5513591号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ヘッドガードの高さを調整するために背凭れ部への保持を一時的に解除する時のヘッドガードの急落下は避けなければならない。
特許文献1で、保持筒部側弾性支持片の係合突部と支持脚の凹凸列の嵌合いが解除されてヘッドガードの移動が可能な時にその動きを制限しているのは、保持筒部と支持脚が嵌合う面の接触摩擦抵抗である。この構造は最適な調整が難しく、嵌合いを隙間嵌め状態にして摩擦抵抗が小さいとヘッドガードが勢いよく下がったり、傾き易くなって引掛りやガタが生じ易くなる。摩擦抵抗が大きいと移動し難くなってしまう。
【0007】
特許文献2では、ヘッドガードを移動させる時も、弾性変位可能な第1凸部が係合凹部に係合されたままの緩い保持状態になっているためヘッドガードの落下を防止できる。ヘッドガードの動きを制限するのは、主に被係合部の第1凸部が変位するための弾性力と第1凸部の形状であって、これらの調整で移動の状態はかなり変わってくるが、移動時に第1凸部の係合を繰返しながら移動するので引掛りやガタをなくすことはできない。
【0008】
特許文献3は、図1のようにヘッドガードと挿入部を支持する背凭れ部の受け部の後方に(利用者が操作し易い背凭れ部の後方に)位置する操作ツマミを後方向に少し引いて約90度傾けて(停止/可動モードの切替え操作を行って)、回転形凹凸列から係合部を離脱させ、可動モードに切替えてヘッドガードと挿入部を上下移動させる。また平衡を保ちながら安定して上下移動させるために、受け部内の直線形凹凸列とそれに噛み合う回転形凹凸列を左右対称にそれぞれ2つずつを配置する構成にしており、この構成の下に、一連の動作伝達部(切替手段)7である操作ツマミ、押当てバネ、螺子、ロック用凹凸部、操作軸、切替指令伝達片、弾性部材、伝達バー、係合部と、2つの回転形凹凸列、2つの直線形凹凸列を経て、前後方向から左右方向へ、そして上下方向へと動作が伝達されている。
この一連の動作伝達と安定した上下移動のため、直線形凹凸列と回転形凹凸列を含めて、動作伝達部品が多く必要になっている。
【0009】
本発明はこれらの課題を解決するもので、自転車用幼児座席のヘッドガードの高さ調整時にヘッドガードが引掛りやガタがなく滑らかに移動でき、かつ少ない部品点数でヘッドガードの高さ調整手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明の構成上の特徴と作用を示す。請求項1の発明は、
自転車用の幼児座席において、その背凭れ部にヘッドガードとその挿入部を上下移動できるように支持する受け部が設けられ、背凭れ部の背面側の受け部内に上下方向に並ぶ凹凸列を後方に向けて配する直線形凹凸列を備え、その直線形凹凸列と噛み合う凹凸列を円周状に配して左右方向を支軸にして回転する回転形凹凸列をヘッドガードの挿入部側に備えている。ヘッドガードとその挿入部を上下移動させようとすると、その回転形凹凸列が直線形凹凸列と噛み合って回転するように動作する。さらに、
ヘッドガードの挿入部にはその後方に上下移動操作部(上下移動操作用把手)を備え、かつ回転形凹凸列に係合/離脱して回転を停止/可動にする係合部とそれに連動する係合操作部(係合操作用把手)を備え、さらに係合を保持するための保持部を備えている。回転形凹凸列に係合部が係合している時、この保持部が係合操作部または係合部を固定(係合を保持)してヘッドガードとその挿入部の上下移動を止めるように作用する。反対に保持部が係合操作部または係合部の固定を解除して、回転形凹凸列から係合部を離脱させてヘッドガードとその挿入部を上下移動できるように作用する。さらに
図4図13に示すように、上下移動操作部から保持部、係合操作部、係合部、回転形凹凸列、直線形凹凸列へと連なる構成の下に、前後方向の垂直面だけに沿って力(動作)が伝達される(つまり左右方向と前後方向の伝達切替えが無い)ため、伝達が簡素化されて少ない部品と簡単な構成を実現でき、かつ左右対称であるため左右の平衡を保ちながら安定した滑らかなヘッドガードと挿入部の上下移動の動作が実現できる効果がある。
【0011】
請求項2の発明の構成上の特徴と作用を示す。請求項2の発明は、請求項1の構成上の特徴に加えて、直線形凹凸列が直線形歯車で、回転形凹凸列が回転形歯車で構成され、それらの歯車が規格に準拠した寸法であるため効率よく力を伝達できる噛み合いになっており、動きがより滑らかになるのでヘッドガードがさらに滑らかに上下移動できるように作用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の幼児座席のヘッドガードの高さ調整構造によれば、簡単な構成でかつ、左右平衡で安定した滑らかなヘッドガードの高さ調整が実施できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】特許文献3の受け部へのヘッドガード挿入状態
図2】特許文献3のヘッドガードの高さ調整構造
図3】特許文献3のヘッドガードの停止/可動切替手段
図4】実施例1の幼児座席へのヘッドガード取付状態
図5】実施例1のヘッドガード挿入部の受け部
図6】実施例1のヘッドガード
図7】実施例1のヘッドガード挿入状態と高さ調整部
図8】ヘッドガードの高さ調整部
図9】実施例1(実施例2)の保持部
図10】ヘッドガードの高さ調整部(保持部が別例1)
図11】保持部の別例(別例1)
図12】ヘッドガードの高さ調整部(保持部が別例2)
図13】保持部の別例(別例2)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図4図13に基づいて説明する。請求項1、2に関する実施例であるが、図においては直線形凹凸列、回転形凹凸列を請求項2で示す直線形歯車、回転形歯車で表記する。
【実施例0015】
図4に幼児座席の背凭れ部の背面側に螺子で取付けられた受け部1に、ヘッドガード2の挿入部21を挿入して、ヘッドガード2を幼児座席に取付けた状態を示す。図5に受け部1を、図6にヘッドガード2を、図7にヘッドガード挿入状態と高さ調整部3を示す。
【0016】
背凭れ部の背面側の受け部1の中には、上下方向に並ぶ凹凸列を後方に向けて配する1つの直線形凹凸列11が設けられている。ヘッドガード2の挿入部21の中央下部には高さ調整部3があり、それは1つの回転形凹凸列31、回転形凹凸列に係合/離脱して回転を停止/可動にする係合部41、及び係合部と一体の係合操作用把手(係合操作部)41a、上下移動操作用把手(上下移動操作部)22、さらに係合状態を保持する保持部51で構成されている。
【0017】
図8の1に実施例1の高さ調整部3、図9に保持部51の詳細を示す。ヘッドガード2の挿入部21の左右方向に設けた支軸32を回転軸とする回転形凹凸列31が、受け部1側の上下方向の直線形凹凸列11と噛み合いながら、回転することによってヘッドガードとその挿入部は上下移動する。つまりヘッドガードの挿入部に設けた、手で掴み易いように後方向に突出した上下移動操作用把手22でヘッドガードを上下移動させようとすると、直線形凹凸列と噛み合う回転形凹凸列が回転してヘッドガードと挿入部が上下移動することになる。
【0018】
高さ調整部3の係合部41の動作について説明する。回転形凹凸列31の回転は、凹凸形状を持つ係合部を回転形凹凸列の後部凹凸部に係合/離脱させることによって、停止/可動(ヘッドガードの上下移動を停止/可動)することができる。係合部の係合/離脱の切替えは、板状の係合部と一体で直角方向に突出する板状の係合操作用把手(係合操作部)41aの操作で行なう。係合部と係合操作用把手は直角部分の近くにある左右方向の支軸32を回転軸として動作し、係合操作用把手は、上下移動操作用把手22とほぼ平行に位置しており、上下移動操作用把手に近づけると係合部が回転形凹凸列から離脱し、遠ざける(ほぼ平行位置にする)と係合するように動作する。
【0019】
高さ調整部3の保持部51の動作について説明する。上下移動操作用把手22と係合操作用把手41aとの間に図8図9のような形状の丸鋼の保持部51を上下移動操作用把手の左右側面の水平方向の穴22aに取付ける。その保持部が垂直方向にある時は、保持部の水平方向の押し当て部分54で係合操作用把手はその動きが抑えられて、上下移動操作用把手に近づくことができなくなる(図8の1.a))。図に係合部41と係合操作用把手の角度回転の軌跡43を想定して描いているが、その軌跡は保持部が外れない方向での回転であり、係合部と係合操作用把手は回転できないことがわかる。このようにして係合部と回転形凹凸列31の係合が保持されて、回転形凹凸列の回転停止状態を保持することができる。
【0020】
垂直方向にある丸鋼の保持部51を後方に引いて水平方向に近づけると、係合操作用把手41aはその動きが解放されて上下移動操作用把手22に近づくことができ(図8の1.b))、係合部41と回転形凹凸列31が離脱して回転形凹凸列が回転可能になる。上下移動操作用把手22と係合操作用把手を片手で掴んで近づけたまま上下移動し、ヘッドガードと挿入部を上下移動させることができる。
【0021】
また、丸鋼の保持部51が弾性を持つものにしておき、図8図9に示すように上下移動操作用把手22の左右側面の水平方向の左右の穴22aの位置をずらし、その左右の穴位置に合わせて丸鋼の保持部の左右先端を挿入する。その穴位置を丸鋼の保持部の弾性力が前方に働くように決めておくことで、係合操作用把手41aの動きをより強く抑えられ、係合部41と回転形凹凸列31の係合をより安定に保持することができる。さらに左右の穴位置のずれを調整したり、適正な弾性素材にすることで前方に働く保持部の弾性力を大きめに調整して、係合部を回転形凹凸列との離脱から係合へ(係合操作用把手から手を放すだけで)自動的に復帰させることができる。
【実施例0022】
図8の2に示す実施例2は、係合部41と係合操作部(係合操作用把手)41aが直角ではなく前後方向の平板形状であって、前方平板下面が凹凸形状の係合部になっており、後方平板部が係合操作用把手である。中間点付近にある左右方向の支軸42を回転軸として動作し、係合操作用把手は、上下移動操作用把手22の上方でほぼ平行に位置しており、上下移動操作用把手に近づけると係合部が回転形凹凸列31の上部凹凸部から離脱し、遠ざける(ほぼ平行位置にする)と係合するように動作する。
【0023】
実施例2の高さ調整部3の保持部51は実施例1と同一のもので、弾性を持つ丸鋼の保持部であるが、上下移動操作用把手22と係合操作用把手41aが上下反対の位置関係にあるため、保持部も上下反対に取付けられている。上下移動操作用把手の左右側面の水平方向で、位置をずらした左右の穴22aに取付けられた丸鋼の保持部が垂直方向にある時は、前方に弾性力が働くことで、係合操作用把手はその動きがより強く抑えられ、上下移動操作用把手に近づくことができなくなり(図8の2.a))、係合部41と回転形凹凸列31の係合が保持されて、回転形凹凸列の回転停止状態を保持することができる。
【0024】
垂直方向にある丸鋼の保持部51をその弾性力に抗して後方に引きながら水平方向に近づけると、係合操作用把手41aはその動きが解放されて上下移動操作用把手22に近づくことができ(図8の2.b))、係合部41と回転形凹凸列31が離脱して回転形凹凸列が回転可能になる。上下移動操作用把手と係合操作用把手を片手で掴んで近づけたまま上下移動し、ヘッドガードと挿入部を上下移動させることができる。
【0025】
実施例1、実施例2の保持部51に代わる別例1の保持部52を使った例を図10図11に示す。前記の保持部と同一の(弾性を持つ)丸鋼の保持部を2つとその2つを連結する連結具52cで構成する。1つの保持部52aは上下移動操作用把手22の前側(図8の1及び図8の2と同一)の位置に取付け、もう1つの保持部52bはその後側に連結具で連結して同じ位置関係で取付ける。上下移動操作用把手の左右側面の水平方向で、位置をずらした左右の穴22a、22bに取付けられた2つの保持部52a、52bが垂直方向にある時は、前側の保持部52aの弾性力が前方に働くことで係合操作用把手41aはその動きがより強く抑えられ、上下移動操作用把手に近づくことができなくなり(図10の1.aと2.aの係合時)、係合部41と回転形凹凸列31の係合が保持されて、回転形凹凸列の回転停止状態を保持することができる。
【0026】
垂直方向にある後側の保持部52bを後方に引きながら水平方向に近づけると、連動する前側の保持部52aも後方に引かれて水平方向に近づき、係合操作用把手41aはその動きが解放されて上下移動操作用把手22に近づくことができ(図10の1.bと2.bの離脱時)、係合部41と回転形凹凸列31が離脱して回転形凹凸列が回転可能になる。上下移動操作用把手と係合操作用把手を片手で掴んで近づけたまま上下移動し、ヘッドガードと挿入部を上下移動させることができる。
【0027】
前記の離脱時の状態(図10の1.bと2.b)において、水平方向に近づいた前後2つの保持部52の内、後側の保持部52bだけを前方に倒すようにして係合操作用把手41aのへこみ部分41bに後側の保持部の左右方向の押当て部分54を引掛け、係合操作用把手をロックさせると、係合部41と回転形凹凸列31の離脱状態を保持できることになり(図10の1.cと2.cの離脱ロック時)、上下移動操作用把手22と係合操作用把手を手で掴んだままにしなくてもヘッドガード2と挿入部21を上下移動させることができる。ヘッドガードの取付け、取外し時に便利に利用できる。
【0028】
実施例1、実施例2の保持部51に代わる別例2の保持部53を使った例を図12図13に示す。保持部53は平板を抜き加工、曲げ加工して図13の形状にし、上下移動操作用把手22の左右側面の穴22cに取付けている。保持部が垂直方向にある時はその左右方向の押当て部分54で、係合操作用把手41aはその動きが抑えられて、上下移動操作用把手に近づくことができなくなり(図10の1.aと2.aの係合時)、係合部41と回転形凹凸列31の係合が保持されて、回転形凹凸列の回転停止状態を保持することができる。
【0029】
垂直方向にある保持部の手掛け片53dを後方に引いて、押当て部分54を上下移動操作用把手22のスリット22dに差込んで水平方向にすると、係合操作用把手41aはその動きが解放されて上下移動操作用把手22に近づくことができ(図10の1.b、2.bの離脱時)、係合部41と回転形凹凸列31が離脱して回転形凹凸列が回転可能になる。上下移動操作用把手と係合操作用把手を片手で掴んで近づけたまま上下移動し、ヘッドガードと挿入部を上下移動させることができる。
【0030】
以上の実施例1、実施例2、別例1、別例2に示す高さ調整部3は、図7図13に示すように、ヘッドガード挿入部21の一部である上下移動操作用把手22から保持部51、52、53、係合操作用把手41aとそれと一体の係合部41、回転形凹凸列31、直線形凹凸列11へと連なる構成の下に、前後方向の垂直面だけに沿って力(動作)が伝達される(つまり左右方向と前後方向間の伝達が無い)ため、伝達が簡素化されて少ない部品と簡単な構成を実現でき、かつ左右対称であるため左右の平衡を保ちながら安定した滑らかなヘッドガードと挿入部の上下移動の動作が実現できる効果がある。
【0031】
また図6図7に示すように、挿入部21と受け部1が平面接触にならないように、挿入部側の接触部21aを曲面にして線上で接触するようにしているため、ヘッドガードをさらに滑らかに動作させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、自転車のハンドル部に取付ける幼児乗せバスケットを含む自転車用幼児座席を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0033】
1 受け部
11 直線形凹凸列
2 ヘッドガード
21 挿入部(ヘッドガードの挿入部)
21a 挿入部側の接触部
22 上下移動操作部(上下移動操作用把手)
22a 左右の穴(22の側面、前側での水平方向の左右の穴)
22b 左右の穴(22の側面、後側での水平方向の左右の穴)
22c 左右の穴(22の側面、保持部別例2用の穴)
22d スリット(保持部別例2用のスリット)
3 高さ調整部
31 回転形凹凸列
32 支軸(回転形凹凸列用の支軸)
41 係合部
41a 係合操作部(係合操作用把手)
41b へこみ部分(係合操作用把手のへこみ部分)
42 支軸(係合部及び係合操作部用の支軸)
43 軌跡(係合部及び係合操作部の軌跡)
51 保持部
52 保持部(別例1の保持部))
52a (前側の)保持部
52b (後側の)保持部
52c 連結部
53 保持部(別例2の保持部)
53d 手掛け片
53e 挿入ピン
54 押当て部分
7 動作伝達部(切替手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13