(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007082
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】二酸化炭素の排出権取引支援システム及び二酸化炭素の排出権取引支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/00 20240101AFI20240111BHJP
【FI】
G06Q50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108280
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梁川 貴行
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 広樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC60
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素の消費を促進しやすい技術を提供する。
【解決手段】二酸化炭素の排出権取引支援システム8は、トークン発行部10Aを有する管理システム10と、管理システム10に対応付けられた管理者ウォレット20を備える。利活用者アカウントと利活用者ウォレット40とが対応付けられ且つ二酸化炭素の消費量を通知する消費信号が利活用者アカウントに対応付けられた利活用者端末30から管理システム10に発信された場合に、トークン発行部10Aは、消費信号に基づいてトークンを発行し、管理システム10は、発行されたトークンを、利活用者ウォレット40に保管する指示を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トークンを発行するトークン発行部を有する管理システムと、
前記管理システムに対応付けられた管理者ウォレットと、
を備え、
利活用者アカウントと利活用者ウォレットとが対応付けられ且つ二酸化炭素の消費量を通知する消費信号が前記利活用者アカウントに対応付けられた利活用者端末から前記管理システムに発信された場合に、前記トークン発行部は、前記消費信号に基づいて前記トークンを発行し、前記管理システムは、発行された前記トークンを、前記利活用者ウォレットに保管する指示を行う
二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【請求項2】
前記利活用者ウォレットが保管する前記トークンの売却を要求する売却リクエストが前記利活用者端末から前記管理システムに通知された場合に、前記管理システムは前記売却リクエストに基づいて前記利活用者ウォレットから前記管理者ウォレットに前記トークンを移転する
請求項1に記載の二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【請求項3】
排出者アカウントと排出者ウォレットとが対応付けられ且つ前記トークンの購入を要求する購入リクエストが前記排出者アカウントに対応付けられた排出者端末から前記管理システムに通知された場合に、前記管理システムは前記購入リクエストに基づいて前記管理者ウォレットから前記排出者ウォレットに前記トークンを移転する
請求項2に記載の二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【請求項4】
排出者アカウントと排出者ウォレットとが対応付けられ且つ前記トークンの購入を要求する購入リクエストが前記排出者アカウントに対応付けられた排出者端末から前記管理システムに通知され且つ前記利活用者ウォレットが保有する前記トークンの売却を要求する売却リクエストが前記利活用者端末から前記管理システムに通知された場合に、前記管理システムは前記購入リクエスト及び前記売却リクエストに基づいて前記利活用者ウォレットから前記排出者ウォレットに前記トークンを移転する
請求項1に記載の二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【請求項5】
前記管理システムは証明書発行部を備え、
前記排出者ウォレットに前記トークンが保管されている場合において、排出権利用証明書の発行を要求する発行リクエストが前記排出者端末から前記管理システムに通知されたあとに、前記管理システムは前記排出者ウォレットに保管されている前記トークンを前記発行リクエストに基づいて消去し、前記証明書発行部は前記排出者アカウントに対して前記排出権利用証明書を発行する
請求項3又は請求項4に記載の二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【請求項6】
前記管理システムは証明書発行部を備え、
前記証明書発行部は前記消費信号に基づいて前記利活用者アカウントに対して消費証明書を発行する
請求項1に記載の二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【請求項7】
前記利活用者端末は、利活用者の二酸化炭素の消費量を監視する消費量監視部による監視結果に基づいて前記消費信号を生成及び発信する
請求項1に記載の二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【請求項8】
前記トークン発行部は、有効期限を定めて前記トークンを発行し、
前記トークンに対して定められた前記有効期限が経過した場合に前記トークンを無効にする無効化部を有する
請求項1に記載の二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【請求項9】
前記管理システムは、前記消費信号の履歴及び前記トークンの取引に関する履歴の少なくともいずれかを、ハッシュ化してブロックチェーン上に記録する
請求項1、2、3、4、6、7、8のいずれか一項に記載の二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【請求項10】
トークンを発行するトークン発行部を有する管理システムと、
前記管理システムに対応付けられた管理者ウォレットと、
を用い、
利活用者アカウントと利活用者ウォレットとが対応付けられ且つ二酸化炭素の消費量を通知する消費信号が前記利活用者アカウントに対応付けられた利活用者端末から前記管理システムに発信された場合に、前記トークン発行部が、前記消費信号に基づいて前記トークンを発行し、前記管理システムが、発行された前記トークンを、前記利活用者ウォレットに保管する指示を行う
二酸化炭素の排出権取引支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は二酸化炭素の排出権取引支援システム及び二酸化炭素の排出権取引支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二酸化炭素排出権取引システムが開示されている。特許文献1に開示されるシステムは、複数の取引端末と取引サイトとから構成される。このシステムにおいて、複数の取引端末は、取引サイトに対して二酸化炭素の排出権の取引条件を含む売注文と買注文を送信する手段と、取引サイトからの取引の結果を示す情報を受信して出力する手段とを備える。このシステムにおいて、取引サイトは、二酸化炭素の排出権の売注文と買注文を取引端末から受け付ける受付手段や取引条件の合致するものを判別するマッチング手段などを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される取引システムは、二酸化炭素の排出権を取引するにあたって、取引サイトが売注文と買注文の取引条件をマッチングするものである。この取引システムは、排出権を有さない者が二酸化炭素を消費(削減)しても排出権を獲得できるわけではなく、排出権を有する者が二酸化炭素を消費(削減)しても排出権を増やせるわけではない。従って、二酸化炭素の消費(削減)が促進されにくく、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、二酸化炭素の消費(削減)を促進しやすい技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る二酸化炭素の排出権取引支援システムは、
トークンを発行するトークン発行部を有する管理システムと、
前記管理システムに対応付けられた管理者ウォレットと、
を備え、
利活用者アカウントと利活用者ウォレットとが対応付けられ且つ二酸化炭素の消費量を通知する消費信号が前記利活用者アカウントに対応付けられた利活用者端末から前記管理システムに発信された場合に、前記トークン発行部は、前記消費信号に基づいて前記トークンを発行し、前記管理システムは、発行された前記トークンを、前記利活用者ウォレットに保管する指示を行う。
【0007】
本発明の一態様に係る二酸化炭素の排出権取引支援方法は、
トークンを発行するトークン発行部を有する管理システムと、
前記管理システムに対応付けられた管理者ウォレットと、
を用い、
利活用者アカウントと利活用者ウォレットとが対応付けられ且つ二酸化炭素の消費量を通知する消費信号が前記利活用者アカウントに対応付けられた利活用者端末から前記管理システムに発信された場合に、前記トークン発行部が、前記消費信号に基づいて前記トークンを発行し、前記管理システムが、発行された前記トークンを、前記利活用者ウォレットに保管する指示を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、二酸化炭素の消費(削減)を促進しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る二酸化炭素の排出権取引支援システムが適用される取引システムを概略的に示す説明図である。
【
図3】
図3(A)は、ブロックチェーンに記憶された管理者アカウントと管理者ウォレットの対応関係を簡略的に示す説明図である。
図3(B)は、ブロックチェーンに記憶された各利活用者アカウントと各利活用者ウォレットの対応関係を簡略的に示す説明図である。
図3(C)は、ブロックチェーンに記憶された各排出者アカウントと各排出者ウォレットの対応関係を簡略的に示す説明図である。
【
図4】
図4は、
図1の取引システムにおいて管理システム、利活用者端末、排出者端末、及び各ウォレットでのデータのやり取りを説明する説明図である。
【
図5】
図5は、
図4とは異なる方法でのデータのやり取りを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の[1]~[20]には、実施形態の一例が列挙される。
【0011】
[1]トークンを発行するトークン発行部を有する管理システムと、
前記管理システムに対応付けられた管理者ウォレットと、
を備え、
利活用者アカウントと利活用者ウォレットとが対応付けられ且つ二酸化炭素の消費量を通知する消費信号が前記利活用者アカウントに対応付けられた利活用者端末から前記管理システムに発信された場合に、前記トークン発行部は、前記消費信号に基づいて前記トークンを発行し、前記管理システムは、発行された前記トークンを、前記利活用者ウォレットに保管する指示を行う
二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【0012】
上記[1]の支援システムは、二酸化炭素の消費(削減)に寄与する利活用者に対し、利活用者ウォレットにトークンを付与する形でインセンティブを与えることができる。
【0013】
[2]前記利活用者ウォレットが保管する前記トークンの売却を要求する売却リクエストが前記利活用者端末から前記管理システムに通知された場合に、前記管理システムは前記売却リクエストに基づいて前記利活用者ウォレットから前記管理者ウォレットに前記トークンを移転する
[1]に記載の二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【0014】
上記[2]の支援システムは、リクエストに基づいて、利活用者ウォレットから管理者ウォレットにトークンを移転させるトランザクションを実行する。これにより、利活用者ウォレットで保管されるトークンを、売却リクエストによって管理者ウォレットに移転することが随時できるため、利活用者がトークンをより自由に利用しやすくなる。
【0015】
[3]排出者アカウントと排出者ウォレットとが対応付けられ且つ前記トークンの購入を要求する購入リクエストが前記排出者アカウントに対応付けられた排出者端末から前記管理システムに通知された場合に、前記管理システムは前記購入リクエストに基づいて前記管理者ウォレットから前記排出者ウォレットに前記トークンを移転する
[2]に記載の二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【0016】
上記[3]の支援システムは、利活用者端末から売却リクエストがあり、排出者端末から購入リクエストがあった場合に、リクエストに基づいて、管理者ウォレットから排出者ウォレットにトークンを移転させるトランザクションを実行する。これにより、利活用者ウォレットのトークンを一旦管理者ウォレットに移転した後に、排出者ウォレットに移転することができる。この支援システムは、売却リクエストと購入リクエストの時期がずれても、利活用者ウォレットのトークンを排出者ウォレットに移転しやすい。
【0017】
[4]排出者アカウントと排出者ウォレットとが対応付けられ且つ前記トークンの購入を要求する購入リクエストが前記排出者アカウントに対応付けられた排出者端末から前記管理システムに通知され且つ前記利活用者ウォレットが保有する前記トークンの売却を要求する売却リクエストが前記利活用者端末から前記管理システムに通知された場合に、前記管理システムは前記購入リクエスト及び前記売却リクエストに基づいて前記利活用者ウォレットから前記排出者ウォレットに前記トークンを移転する
[1]又は[2]に記載の二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【0018】
上記[4]の支援システムは、利活用者端末から売却リクエストがあり、排出者端末から購入リクエストがある場合に、管理システムはリクエストに基づいて、利活用者ウォレットから排出者ウォレットにトークンを移転させるトランザクションを実行する。これにより、管理者ウォレットでの一時的な保管を省略し、利活用者ウォレットから排出者ウォレットへとトークンを移転させることができる。よって、この支援システムは、管理者ウォレットの負担をより抑えることができる。
【0019】
[5]前記管理システムは証明書発行部を備え、
前記排出者ウォレットに前記トークンが保管されている場合において、排出権利用証明書の発行を要求する発行リクエストが前記排出者端末から前記管理システムに通知されたあとに、前記管理システムは前記排出者ウォレットに保管されている前記トークンを前記発行リクエストに基づいて消去し、前記証明書発行部は前記排出者アカウントに対して前記排出権利用証明書を発行する
[3]又は[4]に記載の二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【0020】
上記[5]の支援システムは、排出権利用証明書により、排出者端末を扱う者(排出者)がトークンを利用したこと、第3者から排出権を獲得したことを証明することができる。
【0021】
[6]前記管理システムは証明書発行部を備え、
前記証明書発行部は前記消費信号に基づいて前記利活用者アカウントに対して消費証明書を発行する
[1]から[5]のいずれか一つに記載の二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【0022】
上記[6]の支援システムは、消費信号に基づいて利活用者アカウントに対して消費証明書を発行することができるため、利活用者アカウントに対応する者(利活用者)が二酸化炭素の消費に貢献していることの証明材料として消費証明書を役立てることができる。
【0023】
[7]前記利活用者端末は、利活用者の二酸化炭素の消費量を監視する消費量監視部による監視結果に基づいて前記消費信号を生成及び発信する
[1]から[6]のいずれか一つに記載の二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【0024】
上記[7]の支援システムは、消費量監視部の監視結果に基づいて得られた正確性の高い消費量を反映して消費実態に即した量のトークンを発行することができる。
【0025】
[8]前記トークン発行部は、有効期限を定めて前記トークンを発行し、
前記トークンに対して定められた前記有効期限が経過した場合に前記トークンを無効にする無効化部を有する
[1]から[7]のいずれか一つに記載の二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【0026】
上記[8]の支援システムは、消費信号に基づいてトークンを発行する場合に、期限を定めてトークンを運用することができる。
【0027】
[9]前記管理システムは、前記消費信号の履歴及び前記トークンの取引に関する履歴の少なくともいずれかを、ハッシュ化してブロックチェーン上に記録する
[1]から[8]のいずれか一つに記載の二酸化炭素の排出権取引支援システム。
【0028】
上記[9]の支援システムは、消費信号の履歴及びトークンの取引に関する履歴の少なくともいずれかを、ブロックチェーンを用いて管理することができ、履歴の改ざんを防ぐことができ、システムをより安定的に運用することができる。
【0029】
[10]トークンを発行するトークン発行部を有する管理システムと、
前記管理システムに対応付けられた管理者ウォレットと、
を用い、
利活用者アカウントと利活用者ウォレットとが対応付けられ且つ二酸化炭素の消費量を通知する消費信号が前記利活用者アカウントに対応付けられた利活用者端末から前記管理システムに発信された場合に、前記トークン発行部が、前記消費信号に基づいて前記トークンを発行し、前記管理システムが、発行された前記トークンを、前記利活用者ウォレットに保管する指示を行う
二酸化炭素の排出権取引支援方法。
【0030】
上記[10]の二酸化炭素の排出権取引支援方法は、二酸化炭素の消費(削減)に寄与する利活用者に対し、利活用者ウォレットにトークンを付与する形でインセンティブを与えることができる。
【0031】
[11]前記利活用者ウォレットが保管する前記トークンの売却を要求する売却リクエストが前記利活用者端末から前記管理システムに通知された場合に、前記管理システムは前記売却リクエストに基づいて前記利活用者ウォレットから前記管理者ウォレットに前記トークンを移転する
[10]に記載の二酸化炭素の排出権取引支援方法。
【0032】
上記[11]の二酸化炭素の排出権取引支援方法は、上記[2]の二酸化炭素の排出権取引支援システムと同様の効果を奏する。
【0033】
[12]排出者アカウントと排出者ウォレットとが対応付けられ且つ前記トークンの購入を要求する購入リクエストが前記排出者アカウントに対応付けられた排出者端末から前記管理システムに通知された場合に、前記管理システムは前記購入リクエストに基づいて前記管理者ウォレットから前記排出者ウォレットに前記トークンを移転する
[11]に記載の二酸化炭素の排出権取引支援方法。
【0034】
上記[12]の二酸化炭素の排出権取引支援方法は、上記[3]の二酸化炭素の排出権取引支援システムと同様の効果を奏する。
【0035】
[13]排出者アカウントと排出者ウォレットとが対応付けられ且つ前記トークンの購入を要求する購入リクエストが前記排出者アカウントに対応付けられた排出者端末から前記管理システムに通知され且つ前記利活用者ウォレットが保有する前記トークンの売却を要求する売却リクエストが前記利活用者端末から前記管理システムに通知された場合に、前記管理システムは前記購入リクエスト及び前記売却リクエストに基づいて前記利活用者ウォレットから前記排出者ウォレットに前記トークンを移転する
[10]又は[11]に記載の二酸化炭素の排出権取引支援方法。
【0036】
上記[13]の二酸化炭素の排出権取引支援方法は、上記[4]の二酸化炭素の排出権取引支援システムと同様の効果を奏する。
【0037】
[14]前記管理システムは証明書発行部を備え、
前記排出者ウォレットに前記トークンが保管されている場合において、排出権利用証明書の発行を要求する発行リクエストが前記排出者端末から前記管理システムに通知されたあとに、前記管理システムは前記排出者ウォレットに保管されている前記トークンを前記発行リクエストに基づいて消去し、前記証明書発行部は前記排出者アカウントに対して前記排出権利用証明書を発行する
[12]又は[13]に記載の二酸化炭素の排出権取引支援方法。
【0038】
上記[14]の二酸化炭素の排出権取引支援方法は、上記[5]の二酸化炭素の排出権取引支援システムと同様の効果を奏する。
【0039】
[15]前記管理システムは証明書発行部を備え、
前記証明書発行部は前記消費信号に基づいて前記利活用者アカウントに対して消費証明書を発行する
[10]から[14]のいずれか一つに記載の二酸化炭素の排出権取引支援方法。
【0040】
上記[15]の二酸化炭素の排出権取引支援方法は、上記[6]の二酸化炭素の排出権取引支援システムと同様の効果を奏する。
【0041】
[16]前記利活用者端末は、利活用者の二酸化炭素の消費量を監視する消費量監視部による監視結果に基づいて前記消費信号を生成及び発信する
[9]から[15]のいずれか一つに記載の二酸化炭素の排出権取引支援方法。
【0042】
上記[17]の二酸化炭素の排出権取引支援方法は、上記[7]の二酸化炭素の排出権取引支援システムと同様の効果を奏する。
【0043】
[17]前記トークン発行部は、有効期限を定めて前記トークンを発行し、
前記トークンに対して定められた前記有効期限が経過した場合に前記トークンを無効にする無効化部を有する
[10]から[16]のいずれか一つに記載の二酸化炭素の排出権取引支援方法。
【0044】
上記[17]の二酸化炭素の排出権取引支援方法は、上記[8]の二酸化炭素の排出権取引支援システムと同様の効果を奏する。
【0045】
[18]前記管理システムは、前記消費信号の履歴及び前記トークンの取引に関する履歴の少なくともいずれかを、ハッシュ化してブロックチェーン上に記録する
[10]から[17]のいずれか一つに記載の二酸化炭素の排出権取引支援方法。
【0046】
上記[18]の二酸化炭素の排出権取引支援方法は、上記[9]の二酸化炭素の排出権取引支援システムと同様の効果を奏する。
【0047】
[19]トークンを発行するトークン発行部を有する管理システムと、前記管理システムに対応付けられた管理者ウォレットと、を備えた二酸化炭素の排出権取引支援システムに用いられ、
利活用者アカウントと利活用者ウォレットとが対応付けられ且つ二酸化炭素の消費量を通知する消費信号が前記利活用者アカウントに対応付けられた利活用者端末から前記管理システムに発信された場合に、前記消費信号に基づいて前記トークンを発行する処理を前記トークン発行部に行わせ、発行された前記トークンを前記利活用者ウォレットに保管させる指示を前記管理システムに行わせる
二酸化炭素の排出権取引支援システムに用いられるプログラム。
【0048】
上記[20]のプログラムは、上記[1]の二酸化炭素の排出権取引支援システムと同様の効果を奏する。
【0049】
[20]トークンを発行するトークン発行部を有する管理システムと、前記管理システムに対応付けられた管理者ウォレットと、利活用者アカウントに対応付けられた利活用者ウォレットと、を備える二酸化炭素の排出権取引支援システムに用いられ、
前記排出権取引支援システムは、二酸化炭素の消費量を通知する消費信号が前記管理システムに発信された場合に前記トークン発行部が前記消費信号に基づく前記トークンを前記利活用者ウォレットに対して発行するシステムであり、
前記消費信号を生成して前記管理システムに発信する処理を前記利活用者アカウントに対応付けられた利活用者端末に行わせる
二酸化炭素の排出権取引支援システムに用いられるプログラム。
【0050】
上記[20]のプログラムは、消費信号を生成・発信する処理を利活用者端末に行わせることができる。
【0051】
<第1実施形態>
1.二酸化炭素の排出権取引システム1の構成
図1は、二酸化炭素の排出権取引システム1を概念的に示す説明図である。二酸化炭素の排出権取引システム1は、単に取引システム1とも称される。以下で説明される代表例の取引システム1では、少なくとも管理システム10及び管理者ウォレット20(
図3)を備えて二酸化炭素の排出権取引支援システム8が実現される。なお、
図1、
図2では、管理者ウォレット20(
図3)は省略されている。二酸化炭素の排出権取引支援システム8は、単に支援システム8とも称される。
【0052】
取引システム1は、複数のノード2を有する。各ノード2は、ブロックチェーンを実現する装置である。複数のノード2によって実現されるブロックチェーンは、パブリック型ブロックチェーン(パブリックチェーン)であってもよく、プライベート型ブロックチェーン(プライベートチェーン)であってもよく、又は他のタイプのブロックチェーンであってもよい。
【0053】
取引システム1がプライベート型ブロックチェーンとして実現される場合、後述される各取引が実行されると、取引内容を示すトランザクションが生成され、生成されたトランザクションが複数のノード2によって検証及び承認される。そして、管理者ノード(例えば管理システム10を構成するノード2)などの所定ノード又は管理者ノードなどから指定されたノードがハッシュ値を算出し、ブロックが、算出されたハッシュ値を用いて承認済みのトランザクションから構成される。構成されたブロックはブロックチェーンに追加され、各ノード2に分散格納される。一方、取引システム1がパブリック型ブロックチェーンとして実現される場合、後述される各取引が実行されると、取引内容を示すトランザクションが生成され、生成されたトランザクションがノード2によって検証及び承認される。そして、いずれかのマイナーがハッシュ値を算出し、ブロックが、算出されたハッシュ値を用いて承認済みのトランザクションから構成される。構成されたブロックはブロックチェーンに追加され、各ノード2に分散格納される。
【0054】
取引システム1を構成する各ノード2は、例えば、サーバ、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置によって構成される。
図1には、6つのノード2が例示されるが、ノード2の数は
図1の例よりも多くてもよく、少なくてもよい。
【0055】
複数のノード2のうちの一部は、管理システム10を構成する。管理システム10は、制御部11、通信部12、記憶部13、入力部14、出力部15などを有する。記憶部13は、プログラムやパラメータなどを記憶する装置である。制御部11は、記憶部13に格納されたプログラムやパラメータなどの各種データに従って、ノード2の各種機能及び処理を実行する。通信部12は、制御部11と協働して外部装置と有線通信又は無線通信を行う装置である。入力部14は、操作装置などの入力デバイスであり、出力部15は、表示装置などの出力デバイスである。管理システム10は、1つの装置(例えば、1つのサーバ装置)によって構成されていてもよく、複数の装置によって構成されていてもよい。
【0056】
複数のノード2のうちの一部は、利活用者端末30を構成する。利活用者端末30は、制御部31、通信部32、記憶部33、入力部34、出力部35などを有する。利活用者端末30のハードウェア構成は、管理システム10のハードウェア構成と同様であってもよく、異なっていてもよい。
【0057】
複数のノード2のうちの一部は、排出者端末50を構成する。排出者端末50は、制御部51、通信部52、記憶部53、入力部54、出力部55などを有する。排出者端末50のハードウェア構成は、管理システム10のハードウェア構成と同様であってもよく、異なっていてもよい。
【0058】
図1では、管理システム10、利活用者端末30、排出者端末50以外のノード2の具体的構成は省略されているが、具体的構成が省略されたいずれのノード2も利活用者端末30として構成されていてもよく、排出者端末50として構成されていてもよい。
図1に示される利活用者端末30は、排出者端末50の機能を有していてもよい。排出者端末50は、利活用者端末30の機能を有していてもよい。
【0059】
図2のように、管理システム10には、トークン発行部10A及び証明書発行部10Bが含まれる。以下で説明される代表例では、制御部11(
図1)がトークン発行部10A及び証明書発行部10Bとして機能する。トークン発行部10Aは、トークンを発行する機能を有する。証明書発行部10Bは、排出権利用証明書や消費証明書を発行する機能を有する。トークンは、取引システム1において取引に用いられる仮想的な通貨又は権利である。
【0060】
図2のように、利活用者端末30が備えられた拠点には、二酸化炭素を消費する二酸化炭素消費部44と、二酸化炭素消費部44が消費した二酸化炭素量を監視する消費量監視部42が設けられている。二酸化炭素消費部44は、例えば、水素と二酸化炭素からメタンを製造するメタネーション装置が例示される。二酸化炭素消費部44は、公知のメタネーション装置に限られず、二酸化炭素を消費して別の物質に変換ないしは生成する装置であればよい。消費量監視部42は、二酸化炭素消費部44が消費(削減)した二酸化炭素量を検出できる構成であればよく、例えば、二酸化炭素消費部44が上記メタネーション装置である場合、当該メタネーション装置がメタンを製造する過程で消費(削減)した二酸化炭素量を検出する。
【0061】
本実施形態では、
図3(A)のように、管理者に対応付けて管理者アカウントが割り当てられ、管理者アカウントに対して管理者ウォレット20が対応付けられており、管理者アカウントと管理者ウォレットとが対応付けられてブロックチェーン100に記憶されている。管理者アカウントは、管理者を特定する識別情報である。管理者は、トークンの発行を管理する主体である。ブロックチェーン100では、管理者アカウントが特定されれば、管理者ウォレット20の内容が特定される。管理者ウォレット20は、管理システム10に対応付けられたウォレットであり、管理システム10が扱うトークン(管理者のトークン)を保管しておくための仮想的な場所であり、管理者アカウントに対応付けられた仮想的な場所である。
【0062】
本実施形態では、各々の利活用者に対応付けて利活用者アカウントが割り当てられ、利活用者アカウントに対して利活用者ウォレット40が対応付けられている。例えば、
図3(B)のように、各々の利活用者アカウントと各利活用者ウォレットとが対応付けられて、ブロックチェーン100に記憶されている。利活用者アカウントは、利活用者ウォレットに対応付けられたアカウントであり、利活用者を特定する識別情報である。利活用者は、二酸化炭素を消費することによりトークンの発行を受ける主体である。利活用者ウォレットは、利活用者が保有するトークンを保管しておくための仮想的な場所であり、利活用者アカウントに対応付けられた仮想的保管場所である。ブロックチェーン100では、例えば、利活用者アカウントA1が特定されれば、利活用者アカウントA1に対応付けられた利活用者ウォレットA2の内容が特定される。利活用者端末30は、利活用者アカウントに基づく通信や取引を行う場合に用いられる端末であり、利活用者アカウントに対応付けられた端末である。利活用者端末30は、消費量監視部42(
図2)を備えていてもよく、消費量監視部42とは別体であってもよい。
【0063】
本実施形態では、各々の排出者に対応付けて排出者アカウントが割り当てられ、排出者アカウントに対して排出者ウォレット60が対応付けられている。例えば、
図3(C)のように、各々の排出者アカウントと各排出者ウォレットとが対応付けられて、ブロックチェーン100に記憶されている。排出者アカウントは、排出者ウォレットに対応付けられたアカウントであり、排出者を特定する識別情報である。排出者は、トークンを購入する主体である。なお、利活用者は排出者になることもあり、排出者は利活用者になることもある。排出者ウォレットは、排出者が保有するトークンを保管しておくための仮想的な場所であり、排出者アカウントに対応付けられた仮想的保管場所である。ブロックチェーン100では、例えば、排出者アカウントP1が特定されれば、排出者アカウントP1に対応付けられた排出者ウォレットP2の内容が特定される。排出者アカウントに対応付けられた排出者端末50(
図1等)は、排出者アカウントに基づく通信や取引を行う場合に用いられる端末である。
【0064】
2.二酸化炭素の排出権取引システム1の動作
取引システム1では、利活用者端末30が消費量監視部42による監視結果に基づいて消費信号を生成及び発信する。二酸化炭素消費部44において二酸化炭素の消費があった場合、消費量監視部42は、二酸化炭素消費部44で消費された量を検出し、利活用者端末30に与える。利活用者端末30は、消費量監視部42から二酸化炭素の消費量を取得した場合、
図4のように、その消費量の情報を含んだ消費信号を管理システム10に発信する。
【0065】
図4のように、消費信号(利活用者の二酸化炭素の消費量を通知する信号)が利活用者アカウントに対応付けられた利活用者端末30から管理システム10に発信された場合に、管理システム10のトークン発行部10A(
図2)は、消費信号に基づいてトークンを発行する。トークン発行部10Aは、1トークンあたりの二酸化炭素の消費量が予め定めらており、この情報に基づいて、利活用者端末30によって発信された消費信号によって特定される消費量をトークンに換算する。1トークンあたりの二酸化炭素の消費量は、例えば1tである。この例では、消費信号によって特定される二酸化炭素の消費量が10tである場合、トークン発行部10Aは、10トークンを発行する。トークン発行部10Aは、トークンを発行する場合、有効期限を定めてトークンを発行する。有効期限は、例えば発行日から所定日数が経過するまで(例えば、8年経過するまで)であってもよく、予め定められた年月日が到来するまであってもよい。
【0066】
トークン発行部10Aは、無効化部としても機能し、トークンに対して定められた有効期限が経過した場合にトークンを無効にする処理を行う。トークン発行部10Aは、トークンを無効にする場合、有効期限が経過したトークンを保有するウォレットに対してトークンの消去を指示するように動作してもよく、その他の方法で無効化してもよい。
【0067】
トークン発行部10Aがトークンを発行した場合、管理システム10(例えば、トークン発行部10A)は、発行されたトークンを、利活用者ウォレット40に保管する指示を行う。管理システム10(例えば、トークン発行部10A)は、トークン発行部10Aがトークンを発行した場合、発行したトークンを直接的に利活用者ウォレット40に保管させるように指示してもよい。或いは、管理システム10は、トークン発行部10Aがトークンを発行した場合、このトークンを一旦は管理者ウォレット20に保管させてから、この保管されたトークンを利活用者ウォレット40に移動させて保管させるように指示してもよい。いずれの場合でも、発行されたトークンは最終的に、利活用者ウォレット40に保管される。
【0068】
管理システム10の証明書発行部10Bは、利活用者端末30から管理システム10に発信された消費信号に応じてトークン発行部10Aが利活用者ウォレット40にトークンを与えた場合に、上記消費信号に基づいて利活用者アカウントに対して消費証明書を発行する。消費証明書は、上記消費信号によって特定される消費量の二酸化炭素が消費されたことを証明する情報が含まれている。消費証明書は、上記利活用者アカウントによって特定される利活用者の氏名又は名称と、上記消費量の二酸化炭素が消費された事実とが情報として含まれ、証明者の情報(例えば管理者の氏名又は名称)が含まれていてもよい。上記消費証明書は、文字、数字等の記号や画像などを含んだ電子データであることが望ましい。消費証明書が上記電子データである場合、利活用者アカウントに基づく通信や取引を行い得る利活用者端末30が上記消費証明書を取得し得る。利活用者端末30は、上記消費証明書が利活用者アカウントに対して発行(付与)された場合、消費証明書を電子データとして保持したり使用したりすることができ、紙などの媒体に印刷等によって形成してもよい。
【0069】
本実施形態では、管理システム10は、消費信号の履歴及びトークンの取引に関する履歴の少なくともいずれか(望ましくは両方)を、ハッシュ化して上述のブロックチェーンに記録する。従って、管理システム10に与えられる全ての消費信号の履歴や複数のノード2間で行われるトークンの取引に関する全ての履歴がハッシュ化されてブロックチェーンに記録される。
【0070】
図4のように、管理システム10では、利活用者ウォレット40が保管するトークンの売却を要求する売却リクエストが利活用者端末30から管理システム10に通知された場合に、管理システム10は売却リクエストに基づいて利活用者ウォレット40から管理者ウォレット20にトークンを移転する。
【0071】
そして、トークンの購入を要求する購入リクエストが排出者アカウントに対応付けられた排出者端末50から管理システム10に通知された場合に、管理システム10は購入リクエストに基づいて管理者ウォレット20から排出者ウォレット60にトークンを移転する。なお、排出者端末50から管理システム10に与えられる購入リクエストは、トークンの量のみを指定した購入リクエストであってもよく、トークンの量及び最低有効期限を指定した購入リクエストであってもよい。
【0072】
図4のように、管理システム10は、排出者ウォレット60にトークンが保管されている場合において、排出権利用証明書の発行を要求する発行リクエストが排出者端末50から管理システム10に通知されたあとに、管理システム10は排出者ウォレット60に保管されているトークンを上記発行リクエストに基づいて消去し、証明書発行部10Bは排出者アカウントに対して排出権利用証明書を発行する。このようにすることで、排出者はトークン(例えば購入したトークン)を利用することができ、利用した証明書として排出権利用証明書を受け取ることができる。なお、上述の発行リクエストはウォレットに保管されているトークン量を上限として要求することが可能であり、保管されているトークン量の一部のみを使用する形で要求することも可能である。例えば排出者ウォレット60内に10トークンが保管される場合には、排出者端末50は、1~10トークンの範囲で発行リクエストを通知することで任意の量の排出権利用証明書を受け取ることができる。上記排出権利用証明書は、トークンを利用したことの証明書である。具体的には、排出者ウォレット60に保管(保有)されるトークンのうちの上記発行リクエストによって要求される分のトークンが管理システム10によって消去され、消去された分のトークンが利用されたことを特定する情報を含んだ排出権利用証明書が排出者アカウントに付与される。排出権利用証明書には、例えば、上記発行リクエストが要求する量のトークンが利用された事実が情報として含まれ、上記排出者アカウントによって特定される排出者の氏名又は名称や、証明者の情報(例えば管理者の氏名又は名称)が含まれていてもよい。上記排出権利用証明書は、文字、数字等の記号や画像などを含んだ電子データであることが望ましい。排出権利用証明書が上記電子データである場合、排出者アカウントに基づく通信や取引を行い得る排出者端末50が、上記排出権利用証明書を取得し得る。排出者端末50は、上記排出権利用証明書が排出者アカウントに対して発行(付与)された場合、排出権利用証明書を電子データとして保持したり使用したりすることができ、紙などの媒体に印刷等によって形成してもよい。なお、本明細書において、「所定量のトークン」は、所定量のトークンに相当する量の二酸化炭素を排出する排出権として機能する。そして、「排出者ウォレット60に保管(保有)されるトークンが利用されること」は、その利用されるトークン(消去されるトークン)の分だけ排出権が利用されることでもある。従って、排出権利用証明書には、利用される排出権を特定する情報(例えば、トークンの利用分(消去される分)に相当する量の二酸化炭素を排出する権利(排出権)を証明する情報)が含まれていてもよい。
【0073】
3.効果の例
支援システム8は、二酸化炭素の消費(削減)に寄与する利活用者に対し、利活用者ウォレットにトークンを付与する形でインセンティブを与えることができる。例えば、トークンを現金に換金できるようにすれば、トークンを売却することにより排出権を現金化することができる。
【0074】
支援システム8は、利活用者ウォレット40で保管されるトークンを、売却リクエストによって管理者ウォレット20に移転することができるため、利活用者がトークンをより自由に利用しやすくなる。つまり、任意のタイミングでトークンの現金化が可能となる。
【0075】
支援システム8は、利活用者端末30から売却リクエストがあり、排出者端末50から購入リクエストがあった場合に、利活用者ウォレット40のトークンを一旦管理者ウォレット20に移転した後に、排出者ウォレット60に移転することができる。この支援システムは、売却リクエストと購入リクエストの時期がずれても、利活用者ウォレットのトークンを排出者ウォレットに移転しやすい。つまり、売却リクエストと購入リクエストのマッチング成立に左右されず、任意のタイミングでトークンの現金化が可能となる。
【0076】
支援システム8は、排出権利用証明書により、排出者端末50を扱う者(排出者)がトークンを利用して利活用者から排出権を獲得したことを証明することができる。
【0077】
支援システム8は、消費信号に基づいて利活用者アカウントに対して消費証明書を発行することができるため、利活用者アカウントに対応する者(利活用者)が二酸化炭素の消費に貢献していることの証明材料として消費証明書を役立てることができる。
【0078】
支援システム8は、消費量監視部42の監視結果に基づいて得られた正確性の高い消費量を反映して消費実態に即した量のトークンを発行することができる。
【0079】
支援システム8は、消費信号に基づいてトークンを発行する場合に、期限を定めてトークンを運用することができる。
【0080】
支援システム8は、消費信号の履歴及びトークンの取引に関する履歴の少なくともいずれかを、ブロックチェーンを用いて管理することができ、履歴の改ざんを防ぐことができ、システムをより安定的に運用することができる。
【0081】
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態の特徴は、以下のように変更されてもよい。
【0082】
第1実施形態において、
図4のような取引を、
図5のようにしてもよい。
図5の例では、トークンの購入を要求する購入リクエストが排出者端末50から管理システム10に通知され且つ利活用者ウォレット40が保有するトークンの売却を要求する売却リクエストが利活用者端末30から管理システム10に通知された場合に、管理システム10はこれら購入リクエスト及び売却リクエストに基づいて利活用者ウォレット40から排出者ウォレット60にトークンを移転させるトランザクションを実行する。上記トランザクションは、利活用者ウォレット40から排出者ウォレット60に直接的にトークンを移転させる指示であり、このトランザクションを受けた利活用者端末30は、利活用者ウォレット40から排出者ウォレット60に直接的にトークンを移転させるように処理する。この例では、支援システム8は、利活用者端末30から売却リクエストがあり、排出者端末50から購入リクエストがある場合に売却リクエストと購入リクエストとをマッチングさせることで、管理者ウォレット20での一時的な保管を省略し、利活用者ウォレット40から排出者ウォレット60へとトークンを移転させることができる。よって、この支援システム8は、管理者ウォレット20の負担をより抑えることができる。
【0083】
上述された実施形態では、管理システム10及び管理者ウォレット20によって支援システム8が構成されたが、利活用者端末30及び排出者端末50のいずれか一方又は両方が支援システム8に含まれていてもよい。或いは、利活用者ウォレット40及び排出者ウォレット60のいずれか一方又は両方が支援システム8に含まれていてもよい。
【0084】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0085】
8 :二酸化炭素の排出権取引支援システム
10: 管理システム
10A: トークン発行部
10B: 証明書発行部
20: 管理者ウォレット
30: 利活用者端末
40: 利活用者ウォレット
42: 消費量監視部
44: 二酸化炭素消費部
50: 排出者端末
60: 排出者ウォレット
100: ブロックチェーン