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特開2024-70839対象物表面の測定値を測定する測定装置、並びにこのような測定装置を有する測定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070839
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】対象物表面の測定値を測定する測定装置、並びにこのような測定装置を有する測定システム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/20 20060101AFI20240516BHJP
   B23Q 5/04 20060101ALI20240516BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20240516BHJP
   G01B 5/28 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
B23Q17/20 Z
B23Q5/04 520Z
B23Q11/00 L
G01B5/28 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023190840
(22)【出願日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】10 2022 129 843.4
(32)【優先日】2022-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】506027848
【氏名又は名称】カール マール ホールディング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クレーメンス ホーエンズルツ
【テーマコード(参考)】
2F062
3C029
【Fターム(参考)】
2F062AA66
2F062CC22
2F062CC25
2F062DD23
2F062EE01
2F062EE62
2F062FF02
2F062FF25
2F062GG17
2F062HH04
2F062MM06
2F062MM21
3C029BB01
(57)【要約】
【課題】単純な構成ながら異なる工作機械での使用に適した測定装置(10)並びに測定システム(42)を得る。
【解決手段】測定装置(10)では、プローブ先端(22)と、プローブ先端(22)を移動方向(B)に移動させるための直線駆動ユニット(23)と、プローブ先端(22)の位置をプロービング方向(T)に検出するためのセンサユニット(25)と、直線駆動ユニット(23)及びセンサユニット(25)と通信可能に接続された測定制御ユニット(24)とからなる測定ユニット(21)が支持部(16)上に配置されている。測定ユニット(21)は、独自の電気エネルギー供給源、特にアキュムレータ(30)を含むことが好ましい。測定制御ユニット(24)は、工作機械の機械制御装置(27)と無線通信するように構成される。測定制御ユニット(24)と機械制御装置(27)は、測定進行を制御するために協働する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(14)の表面(13)における測定値を測定するための測定装置(10)であって:
-支持部(16)上に配置され、工作機械(12)の機械側保持装置(11)内に交換可能に配置されるように構成された接続体(15)と、
-プロービング方向(T)に移動可能に支持され、かつ対象物の表面(13)に接触されるように構成されたプローブ先端(22)と、
-測定中にプローブ先端(22)を移動方向(B)に直線的に移動させるように構成された直線駆動ユニット(23)であって、前記移動方向(B)は前記プロービング方向(T)に直交し、
-機械制御装置(27)と無線通信接続を確立するように構成された無線通信インターフェース(26)を備える測定制御ユニット(24)と、
-測定制御ユニット(24)と通信可能に接続され、プローブ先端(22)のプロービング方向(T)の位置を示すセンサ値(W)を検出し、測定制御ユニット(24)に提供するように構成されるセンサユニット(25)と、
を備える、測定装置(10)。
【請求項2】
前記測定装置(10)のエネルギー供給のための再充電可能なアキュムレータ(30)を備える、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記アキュムレータ(30)を充電装置と電気的に接続するためのアダプタ(31)を備える、請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記プローブ先端(22)を接続体(15)に対して移動させるように構成された少なくとも1つの回転式または並進式の追加の駆動装置(33)を備える、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の測定装置。
【請求項5】
前記追加の駆動装置(33)の1つは、前記表面(13)の測定のために設けられた測定位置(M)と少なくとも1つの追加位置(R、K)との間で前記プローブ先端(22)を移動させるように構成される、請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記追加の駆動装置(33)の1つは、前記プローブ先端(22)を、測定位置(M)と較正位置(K)との間、および/または測定位置(M)と休止位置(R)との間で移動させるように構成される、請求項4または請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
少なくとも測定位置(M)においてプローブ先端(22)が保護筐体(34)から突出する開口(35)を有する、保護筐体(34)を含む、請求項1から請求項6の何れか一項に記載の測定装置。
【請求項8】
前記保護筐体(34)の開口(35)は、可動カバー(36)によって開閉可能であるこ、請求項7に記載の測定装置。
【請求項9】
前記測定装置(10)の操作位置(A)において、測定位置に隣接して、前記表面(13)または対象物ホルダ(47)に対して当接する少なくとも1つの支持体(51)を備える、請求項1から請求項8の何れか一項に記載の測定装置。
【請求項10】
前記少なくとも一つの支持体(51)は弾性変形可能である、請求項9に記載の測定装置。
【請求項11】
前記測定制御ユニット(24)と通信可能に接続され、前記対象物の表面(13)に対する操作位置(A)への到達を検出し、前記測定制御ユニット(24)に対する位置信号(P)を提供するように構成される位置センサ(52)を備える、請求項1から請求項10の何れか一項に記載の測定装置。
【請求項12】
位置センサ(52)は、少なくとも1つの支持体(51)に割り当てられ、前記支持体(51)に作用する力を検出する、請求項9から請求項11の何れか一項に記載の測定装置。
【請求項13】
前記測定制御ユニット(24)は、前記機械制御装置(27)へ、操作位置(A)への到達を示すように構成されている請求項11又は請求項12に記載の測定装置。
【請求項14】
前記測定制御ユニット(24)は、操作位置(A)に到達した後、前記プローブ先端(22)を前記対象物の表面(13)上の測定位置(M)に移動させるために、追加の駆動装置(33)のうちの1つを制御するように構成されている、請求項5、請求項6、及び請求項11~13のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項15】
測定制御ユニット(24)によって制御可能であり、測定前に前記対象物の表面(13)上の測定位置を洗浄するように構成されている、洗浄ユニット(53)を備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項16】
前記洗浄ユニット(53)は、電気的に駆動可能なファン及び/又は流体ノズル(54)を含む、請求項15に記載の測定装置。
【請求項17】
前記接続体(15)と前記プローブ先端(22)又は前記接続体(15)と前記直線駆動ユニット(23)との間の機械的接続部に配置される減衰装置(60)を備える、請求項1~16のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項18】
校正方法を実行するために支持部(16)上に配置される測定標準(41)を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の測定装置(10)と、追加の制御部(28)とを備える測定システム(42)であって、前記測定システム(42)は、機械側保持装置(11)を備える工作機械(12)に使用するために構成される、測定システム(42)。
【請求項20】
前記追加の制御装置(28)及び前記測定制御ユニット(24)と、オプションとして前記工作機械(12)の機械制御装置(27)が、測定進行を制御するために協働する、請求項19に記載の測定システム。
【請求項21】
校正方法を実行するための測定標準(41)を備える、請求項19または20に記載の測定システム。
【請求項22】
前記測定標準(41)は、取り付け装置(40)によって工作機械(12)の動作領域内に取り外し可能に取り付けることができる、請求項21に記載の測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の表面の測定値を測定する測定装置に関し、この測定装置は、従来の工作機械に使用されるように構成される。本発明はさらに、測定装置と追加の制御を備える測定システムに関し、測定システムは、例えば、工作機械内での使用のために構成される。
【0002】
本発明による測定装置は、特に、物体表面の粗さを示す測定値を測定するように構成されている。
【背景技術】
【0003】
粗さ測定装置が知られている。例えば、Mahr GmbHは、装置MarSurf SD26のような粗さ測定装置を提供している。粗さ測定装置は、前方供給装置のプローブアームホルダ上に配置される磁気ホルダを備えたプローブアームを有する。前方供給装置によって、プローブアームを直線的に移動させることができる。プローブ・アーム上には、粗さ測定値を測定できるプローブ先端が配置されている。
【0004】
参照標準を有する粗さ測定装置は、DE 103 34 219 B3に記載されている。参照標準は、前方供給装置のための保持装置に統合され、プローブアームのプローブ先端の到達範囲内に配置される。
【0005】
Blum-Novotest GmbHは、真っ直ぐな表面の機械と一体の品質監視を可能にする粗さ測定装置TC 63-RG Singleを提供している。粗さ測定装置は、検出された測定値を伝送するための無線インターフェースを有する。
【0006】
さらなる粗さ測定装置は、例えば、DD 204 542 A1、DE 10 2005 035 786 B3、DE 10 2017 105 814 B3、DE 20 2014 101 900 U1、WO 2015/036299 A1又はWO 2018/150178 A1の文書によって知られている。
【0007】
EP 3 229 088 B1には、歯形加工機の機械形状を監視する方法並びにこの目的のための測定装置及び適切なソフトウェアモジュールが記載されている。
【0008】
EP 1 627 203 B1から知られているのは、座標測定装置によるワーク上での測定値検出方法である。プローブピンのたわみをプローブヘッドで検出し、座標測定装置の座標系に変換する。これにより、プローブ先端がワーク表面に対して接線方向にたわむことが考慮される。
【0009】
DE 10 2018 109 880 A1には工作機械用センサモジュールが開示されており、工作物の機械加工中にシステム及び動作状態を検出し、これらを評価ユニットに伝達することができる。
【0010】
測定プローブによる対象物の空間測定の方法は、DE 10 2007 020 172 A1に記載されている。複数の校正点において、少なくとも1つの補正値を校正体を用いて求めることができ、測定値の補正に用いることができる。光学的又は干渉的測定原理を有する測定装置は、DE 10 2005 018 239 B3から測定の信頼性を高めることが知られている。この目的のために、測定装置は、測定対象物または対象物キャリヤ上の支持棒によって支持される。
【0011】

工作機械において工作物の輪郭を検出し、工作物の測定のための設定点経路の補正のためのシステムにおける方法は、DE 10 2015 006 636 A1に記載されている。プローブ先端を有する測定プローブは、生産されるべき輪郭の設定値-実際値-偏差を記述するための出力データを連続的に作り出す。これらのデータは、工作機械の制御において機械座標に変換され、該当する場合には、加工物が加工される経路が補正される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、対象物表面の粗さを特に記載した測定値を測定するための簡易な測定装置を提供することであり、該装置は、単純な構成を有しながら異なる工作機械での使用に適しており、また特に工作機械の標準的なインターフェースを使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、請求項1の特徴を有する測定装置によって解決される。また、本発明は、本発明による工作機械及び測定装置を含む請求項19に記載の測定システムに言及する。
【0014】
本発明に係る測定装置は、対象物の表面の測定値を測定するためのものである。それは、接続体が配置される支持部を備える。接続体は、工作機械の機械側保持装置へのインターフェースを形成する。例えば、機械側保持装置は、チャック、リボルバ又はスピンドルとすることができ、この場合、接続体を配置又はクランプすることができる。機械側保持装置は、工具を配置するための工作機械上のインターフェースまたは接続体による支持部である。
【0015】
接続体は、支持部の一部とすることができ、又は支持部及びタイプによりツールホルダと接続することができる。接続体により、測定装置を工作機械の機械側保持装置に挿入したり、取り出したりすることができる。挿入および除去は、手動または自動で、例えばロボット、グリッパまたは他のマニピュレータによって実施することができる。
【0016】
例えば、接続体は、DIN ISO 7388による急角度先細(SK)またはDIN 69893による中空シャンク先細(HSK)のような標準インターフェースを形成することができる。
【0017】
工作機械は、特に、対象物又は工作物の形状又は幾何学的形状を加工及び修正する加工機械である。例えば、工作機械は、研削盤、フライス盤、レーザ加工機、旋盤、成形機、又はこれらの任意の組合せであり得る。
【0018】
測定装置は、プロービング方向に移動可能に支持されたプローブ先端を有する。プローブ先端の移動は、プロービング方向における移動またはプロービング方向における直線移動を含むピボット移動であり得る。いずれの場合も、プローブ先端は、少なくとも、プロービング方向に移動成分を有する移動を行うことができる。プローブ先端は、測定値の測定のために、対象表面に接触させられるように構成され、その結果、対象表面上の測定位置に接触する。測定値は、測定中のプロービング方向におけるプローブ先端の位置または位置変化によって決定される。
【0019】
測定装置は、測定制御ユニットを備える。測定値の検出のために、測定装置は、さらに、測定制御ユニットと通信可能に接続されるセンサユニットを備える。センサユニットによって、プローブ先端のプロービング方向における位置が検出され、その位置がセンサユニットのセンサ値によって示される。センサ値は、測定制御ユニットに提供される。センサ値は、測定制御ユニットでさらに処理することができ、及び/又は機械制御装置に直接送信することができる。最も単純な場合、センサ値を測定値として使用することができる。しかし、少なくとも1つのセンサ値から測定値を決定または計算することも可能である。
【0020】
測定装置は、さらに、測定中にプローブ先端を移動方向に直線的に移動させるように構成された直線駆動ユニットを備える。移動方向は、プルービング方向と直交して方向付けされる。
【0021】
測定装置の測定制御ユニットは、追加の制御装置と無線通信するように構成された無線通信インターフェースを備える。例えば、検出された測定値は、通信インターフェースによって無線方式で追加の制御装置に送信することができる。
【0022】
プローブ先端、割り当てられたセンサユニット、および直線駆動ユニット、ならびに測定制御ユニットは、測定装置の支持部上に直接または間接的に配置され、測定ユニットを形成する。このように、測定ユニットは、全体として取り扱うことができ、機械側保持装置に挿入し、機械側保持装置から、例えば、接続体およびそれによって提供されたインターフェースによって取り外すことができる。
【0023】
測定装置、特に測定ユニットが、エネルギー供給のための再充電可能なアキュムレータをさらに備える場合に特に有利である。アキュムレータは支持部に直接又は間接に設けられる。これにより、測定装置は、エネルギー源にケーブルを接続することなく、電気エネルギーを供給されることができる。電気エネルギーは、測定装置又は測定ユニットの全ての電動部品、例えば直線駆動ユニット、測定制御ユニット及びセンサユニットに供給される。
【0024】
測定装置、特に測定ユニットは、アキュムレータを充電装置に電気的に接続するためのアダプタを備えることができる。アダプタは、測定装置または測定ユニットの取り外し不可能な部分とすることができ、したがって、支持部上に間接的にまたは直接的に配置することができる。あるいは、アダプタは、支持部上に取り外し可能に直接又は間接的に配置することもできる。充電装置は、測定装置が工作機械内での測定に使用されない場合、例えば、対象物の機械加工中に測定装置を格納するための役割を果たすことができる。充電装置はまた、ツールマガジン内の測定装置の場所に配置することができ、例えばツールマガジンの一部とすることができる。ツールマガジンでは、測定装置に加えて、工作機械の加工ツールのための追加の保管場所を設けることもできる。アダプタは、一方の側の測定ユニット又はアキュムレータと他方の側の充電装置との間に有線接続及び/又は無線接続(例えば、誘導接続)を確立するように構成することができる。
【0025】
測定装置、特に測定ユニットは、直線駆動ユニットに加えて、回転式または並進式の追加駆動装置をさらに備えることができる。少なくとも1つの追加的な駆動装置によって、プローブ先端は、直線的に、または回転もしくは旋回する方法で移動させることができる。それにより、プローブ先端は、接続体および/または測定装置の支持部に対して移動する。
【0026】
接続体または支持部に対するプローブ先端の各移動自由度に対して、それぞれ検出された位置値を測定制御ユニットに送信する、対応する位置センサを設けることができる。
【0027】
好ましくは、オプションの追加駆動装置の1つは、プローブ先端を、対象物表面の測定のために設けられる測定位置、測定位置から離れた休止位置、および較正方法を実行するために設けられる較正位置、の複数の位置の間で移動させるように構成することができる。任意に設けられる追加の駆動装置の1つは、例えば、プローブ先端を測定位置と休止位置との間で移動させるように構成することができる。したがって、プローブ先端は2つまたは3つの異なる位置をとることができる。
【0028】
オプションの校正位置では、プローブ先端は測定標準に割り当てられ、測定標準の表面に当接する。測定標準は、測定装置の一部とすることができ、例えば、支持部上に直接的または間接的に配置することができる。較正位置では、測定装置の較正方法を実行するために、プローブ先端を測定標準の表面に沿って移動させることができる。
【0029】
測定位置と較正位置は、互いに異なる位置とすることができる。また、測定位置も較正位置となる。
【0030】
別の有利な実施形態では、測定装置、特に測定ユニットは、測定装置、特にプローブ先端、および/または任意に設けられた測定標準を外部の影響から保護するために、保護筐体を備える。保護筐体には、少なくともプローブ先端が測定位置にある場合、プローブ先端が保護筐体から突出できる開口部を設けることができる。開口部は、カバーによって開閉することができ、カバーは手動または自動で移動させることができる。特に、測定装置は、カバーが開口部を閉じる限り、測定位置におけるプローブ先端の移動を遮断するように構成することができる。
【0031】
測定装置、特に測定ユニットが、少なくとも1つの支持体又は互いに距離を置いて配置された多数の支持体を備える場合には有利である。各々の支持体は、対象物表面上の測定位置に隣接する測定装置の動作位置において測定装置を支持するように構成されている。これにより、例えば支持体を直接対象物や対象物ホルダに当接させることができる。少なくとも1つの支持体は、測定装置の支持部又は保護筐体又は別の適切な構成要素上に配置することができる。また、少なくとも1つの支持体は、測定装置のハウジング(例えば、保護筐体)上の支持部上の複数の異なる位置に選択的に配置されるように構成することができる。
【0032】
少なくとも1つの支持体は、弾性的に変形可能である。したがって、支持体の操作位置では、対象物または対象物ホルダからの振動または揺れが測定装置に伝達されず、または少なくとも十分に減衰されるように、減衰機能を提供する。少なくとも1つの支持体は、測定装置が動作位置にある場合、その初期形態に比べて変形することが好ましい。少なくとも1つの支持体は、弾性変形可能なリング形状(例えば、円形または楕円形または長円形)の要素を備えることができる。
【0033】
ここでの弾性変形可能な支持体とは、測定装置と対象物との間に通常生じる力の下で弾性変形可能な支持体を意味する。
【0034】
測定装置、特に測定ユニットが、測定制御ユニットに通信接続された位置センサを備えることが好ましい。位置センサは、対象物表面または対象物に対する操作位置の到達を検出し、それぞれの位置信号を提供するように構成されている。位置センサは、スイッチングセンサまたは連続測定センサとすることができる。例えば、位置センサは、位置信号を作成し、それを測定制御ユニットに提供することができ、この信号は、対象物表面までの距離を示し、少なくとも操作位置を規定する距離を示す。
【0035】
測定装置による操作位置の検出に代えて、測定装置の位置監視は、機械制御装置によって行うこともでき、必要に応じて、または所望に応じて、機械制御装置から測定装置の測定制御ユニットに送信することもできる。
【0036】
測定装置のオプションとして設けられる位置センサは、少なくとも1つの支持体に割り当てることができ、例えば、支持体に作用する力を直接的に又は間接的に検出することができる。一実施形態では、位置センサは、ひずみゲージとすることができ、それによって、支持体の弾性変形を検出することができる。
【0037】
測定制御ユニットは、操作位置への到達を機械制御装置に伝達するように構成することができる。
【0038】
測定制御ユニットが、対象物表面上の測定位置においてプローブ先端を移動させるために、操作位置に到達した後に任意に設けられた追加の駆動装置のうちの1つを制御するように構成されている場合に有利である。この追加の駆動によって、プローブ先端と対象物表面との間の押圧力もまた、開ループまたは閉ループ方法で制御することができる。この目的のために、機械的および/または磁気的および/または電磁的に作動することができる追加の駆動装置のそれぞれの力生成ユニットを設けることができる。
【0039】
これに代えて、測定装置が操作位置に到達すると、プローブ先端が自動的に測定位置を取得することも可能である。この実施形態では、追加の駆動を回避することができるが、上述のように、プローブ先端と物体表面との間の押圧力を調整するための力生成ユニットを設けることができる。
【0040】
別の有利な実施形態では、測定装置および特に測定ユニットは、洗浄ユニットを備えることができる。これに代えて、洗浄ユニットは、測定装置とは別に設けられてもよく、測定システムの一部であってもよく、測定装置は測定システムの一部を形成する。洗浄ユニットは、対象物表面上の測定位置を洗浄するように、特に、例えば空気流のようなガス流を生成することによって構成される。例えば、洗浄ユニットは、電気モータおよび/または流体ノズル、特に空気ノズルによって駆動可能な、または圧力源に接続され得るファンを備えることができる。この場合、測定装置は、洗浄液を流体ノズルに供給するために、測定装置が工作機械の機械側保持装置に挿入されるときに流体源への流体接続を確立する媒体インターフェースを備える。
【0041】
プローブ先端またはその可動支持部に対する流体ノズルの配置が、流体ノズルの流体の流れ、特に空気の流れが、測定装置、特に測定ユニット内のプローブ先端の領域内への汚染物、例えば粒子および/または液体の潜在的な入口に対向するように構成されている場合、有利である。
【0042】
一実施形態では、測定ユニット、特にプローブ先端およびその可動支持部は、流体の流れから、および洗浄が実施されている間の少なくとも洗浄段階の間に、流体の流れによって攪拌された、および/または流体の流れ内で運ばれた汚染(例えば、粒子および/または液体)から、適切な手段によって保護され得る。例えば、任意の手段は洗浄段階の間、流体の流れの影響を受けず、それから生じる攪拌された汚染物または輸送された汚染物によって影響を受けない領域における、測定ユニットおよび/またはプローブ先端の適切な位置決めであり得る。これに加えてまたはこれに代えて、測定ユニットおよび/またはプローブ先端は、洗浄段階中に、保護装置によって遮蔽および/または封入することができる。例えば、開口部を有するハウジング部分が、プローブ先端および/またはその可動支持部を囲むように設けられ得る。保護装置の制御可能な可動カバー(例えば、フラップ、スライダー、シャッター、)をこの開口部に割り当てることができ、また、開口部を閉鎖位置にカバーすることができ、開口部を開放位置に維持することができる。開位置では、プローブ先端が開口部から測定用に投影できる。閉鎖位置では、開口部およびプローブ先端部は、外部からアクセスできない方法でカバーによって覆われる。
【0043】
さらに、測定装置が減衰装置を備える場合には有利である。減衰装置によって、機械側保持装置によって測定装置に導入することができる振動及び揺れのダンピングを行うことができる。したがって、減衰装置は、測定装置を工作機械から切り離すのに役立つ。減衰装置は、特に、接続体とプローブ先端または直線駆動ユニットとの間の機械的接続部に配置される。例えば、減衰装置は、接続体と支持部との間、又は第1支持部と第2支持部との間に配置することができる。
【0044】
上で説明したように、測定装置は、本発明による測定システムの一部であることができる。これにより、測定装置は、工作機械の機械側保持装置に手動で又は自動的に挿入又は取り出すことができる。測定値を測定するための測定進捗を制御するために、無線通信接続により、工作機械の機械制御装置と測定装置の測定制御ユニットが協調することができる。
【0045】
測定装置の較正のために、すでに説明したように、工作機械内の適切な位置に配置されるか、またはオプションとして測定装置の一部、特に測定ユニットの一部である測定標準が存在することができる。好ましくは、測定標準は粗さ標準である。
【0046】
一実施形態では、測定標準は、工作機械の動作領域内に取り外し可能に取り付けることができる。工作機械の動作領域は、機械側保持装置に配置された工具によって到達することができる領域、又は機械ベースに対する機械側保持装置の移動中に機械側保持装置に配置された測定装置によって到達することができる領域である。測定標準は、対象物または工作物の機械加工中の影響から測定標準を保護するために、作業領域内、例えば、残りの作業領域に対して開閉可能なチャンバ内に、保護的に配置することができる。例えば、測定標準は、磁気取り付け装置によって、または別の方法で、工作機械内または工作機械上に取り外し可能に取り付け可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明のさらなる有利な実施形態は、従属請求項、明細書および図面から得られる。以下では、添付図面に基づいて、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
図1】測定装置の一実施形態の概略的なブロック図。
図2図1による工作機械と測定装置とを含む測定システムの実施形態の概略ブロック図。
図3】測定装置のプローブ先端を複数の位置間で移動させることができるようにするために、追加の駆動装置をそれぞれ有する測定装置の実施形態の概略原理図であり、測定装置の接続本体は図示されていない。
図4】測定装置のプローブ先端を複数の位置間で移動させることができるようにするために、追加の駆動装置をそれぞれ有する測定装置の実施形態の概略原理図であり、測定装置の接続本体は図示されていない。
図5】工作機械の機械制御装置と測定装置の測定制御部を示すブロック図。
図6】保護筐体及び洗浄ユニットを有する測定装置の一実施形態の概略図
図7】減衰装置を含む測定装置の一実施形態を示す概略図。
図8】工作機械において測定装置を用いて物体を測定する方法の実施形態のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、測定装置10の一実施形態の概略図である。測定装置10は、規定されたインターフェース(図2)によって工作機械12の機械側保持装置11内に配置されるように構成される。図2からも明らかなように、測定装置10は、対象物14の対象物表面13上の測定値を測定するように構成されている。例えば、測定値は、対象物表面13の粗さを記述することができる。
【0049】
測定装置10は、機械側保持装置11とのインターフェースとしての接続体15を備える。例えば、接続体15は、中空のシャンクテーパ(HSK)または短いテーパ(SK)を備えるか、または中空のシャンクテーパ(HSK)または短いテーパ(SK)である。接続体15は、測定装置10の支持部16と取り外し不可または取り外し可能に接続部されている。接続体15は、支持部16を例えば取り外し可能に取り付けることができるツールホルダ上に設けることができる。実施形態において、支持部16は、接続装置17(例えば、接続ピン)を含み、これは、例えば、フォームフィットおよび/または力フィット接続によって、接続体15上の装着装置18(例えば、装着凹部)上に取り外し可能に装着することができる。例えば、接続ピンを取り付け凹部に挿入し、特に固定ネジを用いてそこに固定することができる。このように、測定装置10を機械側保持装置11の構成に適合させるために、複数の異なる接続体15を支持部16に取り外し可能に接続することもできる。
【0050】
測定ユニット21が支持部16上に着座している。プローブ先端22は、プロービング方向Tに移動可能であり、直線駆動ユニット23、測定制御ユニット24、並びにセンサユニット25は、測定ユニット(図5)の一部である。名称を付けられたユニット23、24、25は、測定ユニット21のハウジング内に配置することができる。
【0051】
プローブ先端22のプロービング方向Tにおける可動支持部は、プローブ先端22がプロービング方向Tに直線的に移動可能であるように構成することができるが、プロービング方向Tにおける移動は、可動プローブ先端22の、例えば、プロービング方向に直交する向きの軸の周りに旋回可能に支持され得る移動成分のみであってもよい。
【0052】
直線駆動ユニット23によって、プローブ先端部22は、移動方向Bに直線的に移動することができる。移動方向Bは、プロービング方向Tに直交して配向され、例によれば、長手軸Lに平行に延在する。支持部16は、接続体15に割り当てられる端部から、測定ユニット21が配置される自由端部まで、長手軸Lに沿って延びる。
【0053】
本実施例によれば、プローブ先端22が測定位置Mにある場合(図2図3、および図7)、プローブ先端22は、対象物表面13に点状または可能な限り点状に接触することを確立するように構成される。特に、測定ユニット21は、プローブ先端22に加えて、測定中に移動方向Bにプローブ先端22と一緒に移動するスキッド等のような他のプロービング・エレメントを備えていない。
【0054】
センサユニット25と測定制御ユニット24とは通信可能に接続されている。センサユニット25は、センサ値Wを作成し、それを測定制御ユニット24に提供するように構成され、それによって、センサ値Wは、プローブ先端22のプロービング方向Tにおける位置または位置変化を記述する。
【0055】
測定制御ユニット24は、制御部28と間接的または直接的に通信するように構成されている。このために、測定制御ユニット24は、実施の形態における無線通信用に構成された通信インタフェース26を有している。制御部28は、機械制御装置27の一部であってもよく、または機械制御装置27との無線および/または有線通信用に構成されてもよい。この例によれば、制御部28は、無線通信用に構成された通信インターフェース26も備える。通信インターフェース26を介して、測定制御ユニット24および制御部28は、無線方式で互いに通信することができる。通信は、例えば「Bluetooth(登録商標)」規格や「Bluetooth Low Energy(登録商標)」規格など、規格化された通信プロトコルに対応することが好ましい。また、無線通信用に設定された他の通信プロトコルも使用できる。追加の通信接続を介して制御部28および機械制御装置27は、実施形態において互いに通信することができる。制御部28は、測定制御ユニット24から測定値を受信し、オプションとして処理するように構成することができる。また、制御部28は、受信および/または処理された測定値に基づいて、評価情報および/または制御情報を機械制御装置27に送信するように任意に構成することもできる。
【0056】
図5からさらに明らかなように、測定ユニット21は、加えて、測定ユニット21のエネルギー供給のための再充電可能なアキュムレータ30を含むことができる。アキュムレータ30によって、特に測定制御ユニット24、直線駆動ユニット23及びセンサユニット25に、間接的に、又は直接的に電気エネルギーを供給することができる。好ましくは、アキュムレータ30は、支持部16上に配置された測定ユニット21の全ての電動ユニット及び構成部品に、必要な電気エネルギーを供給する。
【0057】
外部からアクセス可能であり、電気接点32を有するアダプタ31を、アキュムレータ30上に、または測定ユニット21の別の適切な位置に設けることができる。アダプタ31によって、例えば、測定装置10が機械装置12のツールマガジン37に格納されている場合、図示しない充電装置との電気的接続を確立することができる。測定装置10が必要でない場合、アキュムレータ30は、充電装置によって電気エネルギーで充電することができる。充電装置への電気的接続は、電気接点32を介して確立することができる。
【0058】
図5に概略的に示すアダプタ31の変形例において、測定ユニット21及び/又はアダプタ31は、付加的に又は代替的に、アキュムレータ30の誘導充電のためのインターフェースを含むことができる。
【0059】
アダプタ31は、測定ユニット21の取り外し可能な又は取り外し不可能な部分とすることができる。
【0060】
図3-5に基づいて、測定ユニット21は、直線駆動ユニット23に加えて少なくとも1つの追加駆動装置33を備えることができることが概略的に示されている。少なくとも1つの追加駆動装置33はプローブ先端22を、移動方向Bでの直線移動に加えて、少なくとも1つの追加の並進および/または回転の自由度、例えば、プロービング方向Tおよび/または移動方向Bに平行に配向された旋回軸Sの周りで、移動させるように構成することができる。任意に設けられる追加の駆動装置33の数は任意である。例えば、最大で2つのリニア追加駆動装置33及び最大で3つの回転追加駆動装置33が存在することができる。
【0061】
図3図4および図5に概略的に示す実施形態では、1つのリニア追加駆動装置33ならびに1つの回転追加駆動装置33がそれぞれ設けられている。その結果、プローブ先端22は、ピボット軸Sを中心に旋回することができ、プロービング方向Tに直線的に移動させることができる。プローブ先端22をプロービング方向Tに移動させるための追加駆動装置33は、プローブ先端22と対象物表面13との間の押圧力を調整するために、力生成ユニットとして同時に機能することができる。このような追加の駆動装置33が設けられていない場合には、力生成ユニットを別々に構成することもできる。力生成ユニットは、押圧力を発生させるために、機械的、磁気的または電磁的に動作することができる。
【0062】
少なくとも1つの追加の駆動装置33を有する実施形態において、プローブ先端22は、以下の位置、すなわち、測定位置M、休止位置R(図6)、および較正位置Kのうちの少なくとも2つの位置の間を移動することができる。これらの追加の位置において、プローブ先端22は、対象物表面13に当接するように構成されていない。例えば、休止位置Rにおいて、プローブ先端22は、オプションとして提供される測定装置10の保護筐体34の内側に配置することができ、休止位置R(図6)において、特に完全に保護筐体34の内側に配置することができる。保護筐体34は、測定ユニット21またはプローブ先端22に隣接して、カバー35によって閉じることができる開口部36を有することができる。カバー35は、手動又は自動のいずれかで開位置と閉位置との間を移動させることができる。閉位置では、それは開口部36を覆い、保護筐体34の内部にアクセスできないようにする。図6には、閉位置が示されている。開放位置のカバー35は、開口部36を覆わないので、プローブ先端部22は、その休止位置Rから、開口部36を通って外側に延びる測定位置Mへと移動することができる。
【0063】
図3及び図4は、測定標準41が支持部16上に配置された測定装置10の一実施形態を示す。測定標準41は、本実施例では粗さ規格である。較正位置K(図4)では、プローブ先端22は、測定標準41に当接し、直線駆動ユニット23によって測定標準41の表面に沿った移動方向Bに移動することができる。このようにして、測定装置10を較正することができる。
【0064】
あるいは、測定標準41は、測定装置10の外側に配置することができ、図2に概略的に示す測定システム42の一部であることができる。測定システム42は本発明による測定装置10並びに機械ツール12を備える。測定標準41は、工作機械12の動作領域内の適切な位置に、取付け装置40、例えば、アタッチメント磁石によって配置することができ、較正を実施するためにプローブ先端22によって到達することができる。測定標準41と測定装置10との間の移動は、特に専用に工作機械12の機械側保持装置11によって行われる。追加的に、または代替的に、機械軸が、機械ベースに対する、または、機械側保持装置11に対する測定標準41の移動のために提供され得る。これに加えて又はこれに代えて、測定標準41は、工作機械12の操作領域、例えばツールマガジン37上に、解放不可能に取り付けることもできる。
【0065】
測定装置10を機械側保持装置11に挿入または除去するために、測定システム42または工作機械12は、マニピュレータ43、例えば、把持装置を有するロボットアームを備えることができる。オプションとして、測定標準41は、マニピュレータ43によって、工作機械12の動作領域内または機械側保持装置11の移動範囲内の適切な位置に位置決めすることができる。例えば、測定標準41は、較正のためにツールマガジン37から取り出すことができ、適切な位置に配置することができ、較正プロセスの終了後にツールマガジン37内に復帰させることができる。測定標準41及び/又はツールマガジン37全体は、対象物14の機械加工中に測定標準41の損傷及び/又はツールマガジン37内に格納されたツールの損傷及び/又は汚染を回避するために隔壁44によって別個のチャンバ内及び/又は作業空間内に保護することができる。工具交換のため、又は機械側保持装置11及び挿入された測定装置10によって工具マガジン37内に配置された測定標準41に到達するために、仕切板44を開くことができる。
【0066】
図2および図5では、工作機械12が1つまたは複数の機械軸45、オペレータインターフェース46、および対象物ホルダ47を備えることも明らかである。対象物ホルダ47と同様に機械軸45の数及び構成は、工作機械12の構成に依存する。例えば、対象物ホルダ47は、棒状および/または回転対称な対象物14のチャックとすることができる。
【0067】
少なくとも1つの機械軸45によって、機械側保持装置11および/または対象物ホルダ47は、互いに対してまたは機械基準に対して移動することができる。これにより、機械軸45は、直線矢印又は円弧状矢印によって図2及び図5に概略的に記号表示されているように、直線機械軸又は回転機械軸として構成することができる。最大3つの直線機械軸と最大3つの回転機械軸を存在させることができる。各機械軸45の位置は、センサユニット48のセンサによって検出することができ、機械制御装置27(図5)に送信することができる。
【0068】
測定装置10は、支持体51(図2、5)を有することができる。支持体本体51は、支持部16上、例えば測定ユニット21のハウジング上に間接的に又は直接的に配置することができる。好ましくは、対象物表面13上の測定位置の近傍に位置し、従って、プローブ先端22が測定位置Mをとる場合、プローブ先端22に隣接している。支持体51は、測定装置10が動作位置Aにある場合、対象物表面13及び/又は対象物ホルダ47に当接するように構成される。動作位置Aは、図2に概略的に示されている。支持体51によって、測定装置10と測定対象物14との間の相対位置の安定性が向上する。これは、工作機械12の構成のために測定中も、少なくとも1つの機械軸45の電動起動が、機械側保持装置11と対象物ホルダ47との間の相対位置および相対方向を維持するために実行される場合、特に有利である。少なくとも1つの機械軸45のこの能動制御は、支持本体51によって支持または減衰することができる最小の振動、または動作を生じさせることができる。
【0069】
このために、支持体51は、実施形態においては弾性変形可能な支持体として構成されている。操作位置Aにある支持体51に通常作用する力によって、支持体51は弾性的に変形し又は変形可能である。例えば、その非変形初期条件で支持体51は、円形、楕円形又は卵形の輪郭を有するリング状とすることができる。
【0070】
図示の実施形態に対する変形例では、複数の支持体51を測定装置10の異なる位置に、特に測定ユニット21及び/又は支持部16のハウジングに配置することも可能である。
【0071】
測定装置10の測定ユニット21は、測定制御ユニット24(図5)に通信可能に接続された位置センサ52を有することができる。位置センサ52は、測定制御ユニット24に対して位置信号Pを与える。この例によれば、位置信号Pは、少なくとも動作位置Aに到達することを示しており、また、位置信号Pは、対象物14に対する他の位置を検出し、これらの相対位置を示す位置信号Pを作成することもできる。このために、位置センサ52は例えば距離センサとして構成することができる。
【0072】
ここに図示した実施形態では、位置センサ52は、支持体51に割り当てられて、測定位置Mにおいて支持体51に作用する力を検出する。例えば、位置センサ52は、測定装置10の動作位置Aにおいて支持体51の変形を決定することができ、それによって測定装置10と対象物表面13との間の距離を間接的に示すことができる。例えば、位置センサ52は、支持体51上に配置されたひずみゲージとして構成することができる。
【0073】
動作位置Aに到達すると、プローブ先端22は自動的に測定位置Mにあることができ、必要な押圧力で対象物表面13に押し付けられることができる。この目的のために、測定ユニット21は、上述のように、力生成ユニットを備えることができる。これに代えて、測定装置10の動作位置Aに到達すると、オプションとして設けられる追加の駆動装置33(直線移動またはピボット移動)によって、プローブ先端22を測定位置Mに移動させることも可能である。
【0074】
測定装置10のさらなる構成オプションが、一例として図6に示されている。この実施形態では、測定装置10は、さらに洗浄ユニット53を含む。洗浄ユニット53は、特にプローブ先端22が測定位置Mに移動される前に、対象物表面13上の測定位置を洗浄するように構成される。洗浄ユニット53は、例えば、支持部16上(保護筐体34の例による)に間接的または直接的に配置される流体ノズル54を備えることができる。流体ノズル54によって、流体、特に気体および例えば空気を対象物表面13上に噴出させ、そこにある測定位置を汚染粒子から洗浄することができる。この目的のために、流体ノズル54は流体接続部55に流体的に接続される。流体接続部55は、間接的に又は直接的に支持部16上に配置されており、測定装置10が機械側保持装置11内に配置されたときに機械側接続部56との流体接続が確立されるように位置決めされている。機械側接続部56は、流体ノズル54によって、接続が確立された状態で対象物表面13上に洗浄流体を排出するために、流体源57に接続されるか、または接続可能とすることができる。流体は、特に圧縮空気であり得る。
【0075】
加えて、または代替として、洗浄ユニットはまた、電気モータによって駆動され得るファンを備えることができる。ファンは、測定装置10の一部または代替的に測定システム42とすることができる。例えば、ファンは機械側保持装置11に挿入可能とすることができる。機械側保持装置11が例えばスピンドルとして構成されていれば、ファン全体ではなく回転軸回りで回転駆動することができ、また、気流を発生させるためのブレード配置のみを機械側保持装置11に挿入することもできる。
【0076】
流体の噴出および/または空気流の生成は、測定制御ユニット24および/または機械制御装置27の手段によって、例えば、流体源57と流体ノズル54との間の流体経路中の1以上の制御可能な弁を使用することによって、または例えばファンを制御可能な駆動装置を使用することによって、制御することができる。
【0077】
図7には、減衰装置60が追加的に存在する測定装置10の実施形態が図示されている。減衰装置60は、接続体15と測定ユニット21との間に配置され、工作機械12又は機械側保持装置11から接続体15に伝達される振動及び/又は揺れを排除する又は少なくとも低減するように働く。したがって、測定ユニット21は、減衰装置60によって接続体15から切り離される。減衰装置60は、この目的のために、例えば弾性変形可能な本体を備えることができる。
【0078】
上述の実施形態は、互いに任意に組み合わせることができる。例えば、測定ユニットの全ての実施形態は、測定標準41(図3および4)および/または少なくとも1つの支持体51(図2)および/または洗浄ユニット53(図6)および/または減衰装置60(図7)を備えることができる。図2による測定システム42は、測定装置10の任意の実施形態を含むことができる。
【0079】
測定装置10は、一例として、図8によるフロー図に基づいて以下で説明するように、測定を行うために使用される。
【0080】
最初のステップV1で、測定の実行が要求される。この要求は、機械制御装置27による工作機械12の測定プログラムによって、及び/又はオペレータインターフェース46により操作者によってトリガすることができる。要求の後、第2のステップV2で測3する。これは、例えば、機械側保持装置11とツールマガジン37とが互いに相対的に位置決めされ、その結果、測定装置10を機械側保持装置11によってツールマガジン37から直接取り外すことができるという点において自動的に実施することができる。あるいは、マニピュレータ43によって測定装置10をツールマガジン37から取り外し、機械側保持装置11に挿入することも可能である。該当する場合、これに先立って、機械側保持装置11に存在する工具を先に取り外して工具マガジン37に格納しなければならない。
【0081】
第3のステップV3で、有効な較正が存在するかどうかチェックされ、存在しない場合(第3のステップV3からNOKに分岐する)、測定装置は、追加の第4のステップV4で較正される。そうでなければ(第3のステップV3からOKに分岐)、第5のステップV5で方法を直接継続することができる。
【0082】
第5のステップV5では、測定装置10は、続いて、対象物14に隣接する動作位置Aに移動される。動作位置Aに到達するとすぐに、プローブ先端22は、既に測定位置Mにあるか、またはオプションとして設けられた追加の駆動装置33(任意の第7段階V7)によって測定位置Mに移動されるかのいずれかとすることができる。
【0083】
さらなる任意の洗浄ステップでは、プローブ先端22を測定位置Mに位置決めする前に測定位置を洗浄することができ、それによって、洗浄ステップは、実施形態では、第6のステップV6として示されるが、第5のステップV5の前に一時的に行うこともできる。
【0084】
これに続いて、第8ステップV8で測定を行う。このために、直線駆動ユニット23は、プローブ先端22を対象面13に沿って移動方向Bに移動させるように制御され、一方、センサユニット25はプローブ先端22の位置を記述するセンサ値Wをプロービング方向Tに検出する。複数のセンサ値Wから、測定制御ユニット24または機械制御装置27が粗さ値を決定することができ、例えばオペレータインターフェース46を介して出力することができる。
【0085】
任意に、第9段階V9において、測定の妥当性をチェックすることができる。例えば、この目的のために、センサ値Wの時間的進行を、例えば、センサ値Wの変動周波数(例えば、変動周波数、時間的勾配、最大値、最小値など)に関してチェックすることができる。このような第9ステップV9における妥当性チェックは、例えば、対象物14または対象物表面13に関する事前の知識が存在する場合に可能である。
【0086】
第9ステップV9における妥当性チェックは、テスト又は較正測定に基づいて、測定ユニット21が依然として正しく測定しているか否かを代替又は追加でチェックすることができる。不正確な測定は、例えば、測定位置への移動によって生じた可能性があるプローブ先端の損傷によって生じる。テストまたは較正測定による妥当性チェックでは、対象物についての事前知識は必要ない。
【0087】
第9ステップV9における任意選択の妥当性チェックの結果、測定が妥当であると考えられる場合(第9ステップV9からの分岐OK)、測定方法を終了し、測定装置10を再びツールマガジン37に格納することができる。そうでなければ(第9のステップV9からNOKを分岐)、プローブ先端22を初期位置に戻すことができる(第11のステップV11)。続いて、第8ステップV8で再度測定を行うことができる。あらかじめ定義された回数の測定の後でも、妥当な測定結果が得られない場合は、測定方法を停止することができる。次に、オペレータインタフェース46を介してエラーメッセージを出力することができる。
【0088】
本発明は、測定装置10並びに測定装置10及び工作機械12を含む測定システム42に関する。測定装置10は、支持部16を有し、工作機械12の機械側保持装置11へのインターフェースとして接続体15が支持部上に配置される。プローブ先端22と、プローブ先端22を移動方向Bに移動させるための直線駆動ユニット23と、プローブ先端22の位置をプロービング方向Tに検出するためのセンサユニット25と、直線駆動ユニット23およびセンサユニット25と通信可能に接続された測定制御ユニット24とを備える測定ユニット21が、支持部16上に配置される。測定ユニット21は、さらに独自の電気エネルギー供給、特にアキュムレータ30を含むことが好ましい。測定制御ユニット24は、工作機械の機械制御装置27と無線通信するように構成される。このように測定制御ユニット24と機械制御装置27とは、測定進行を制御するために協働することができる。
【符号の説明】
【0089】
10 測定装置
11 機械側保持装置
12 工作機械
13 対象物表面
14 対象物
15 接続体
16 支持部
17 接続装置
18 装着装置
21 測定ユニット
22 プローブ先端
23 直線駆動装置
24 測定制御ユニット
25 センサユニット
26 通信インタフェース
27 機械制御装置
28 制御
30 アキュムレータ
31 アダプタ
32 電気接点
33 追加駆動装置
34 保護筐体
35 カバー
36 開口部
37 ツールマガジン
40 取付装置
41 測定標準
42 測定システム
43 マニピュレータ
44 隔壁
45 機械軸
46 オペレータインタフェース
47 対象物ホルダ
51 支持体
52 位置検出器
53 洗浄ユニット
54 流体ノズル
55 流体接続
56 機械側接続部
57 流体源
60 制振装置
A 操作位置
B 移動方向
K 較正位置
L 長手軸
M 測定位置
P 位置信号
R 休止位置
S ピボット軸
T プローブ方向
V1 第1ステップ
V2 第2ステップ
V3 第3ステップ
V4 第4ステップ
V5 第5ステップ
V6 第6ステップ
V7 第7ステップ
V8 第8ステップ
V9 第9ステップ
V10 第10ステップ
V11 第11ステップ
W センサ値

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8