IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エバラ プレシジョン マシナリー ヨーロッパ ゲーエムベーハーの特許一覧

特開2024-70841少なくとも1種の汚染物質ガスを含有する処理ガスを浄化するための装置および方法
<>
  • 特開-少なくとも1種の汚染物質ガスを含有する処理ガスを浄化するための装置および方法 図1
  • 特開-少なくとも1種の汚染物質ガスを含有する処理ガスを浄化するための装置および方法 図2
  • 特開-少なくとも1種の汚染物質ガスを含有する処理ガスを浄化するための装置および方法 図3
  • 特開-少なくとも1種の汚染物質ガスを含有する処理ガスを浄化するための装置および方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070841
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】少なくとも1種の汚染物質ガスを含有する処理ガスを浄化するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20240516BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/44 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023191239
(22)【出願日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】10 2022 212 009.4
(32)【優先日】2022-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】523424640
【氏名又は名称】エバラ プレシジョン マシナリー ヨーロッパ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【弁理士】
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ヴィーナス
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ラファエル・クミシェル
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・トリープシュ
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン・レオンハルト
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ザロモ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA06
4K030AA07
4K030DA06
4K030KA39
4K030KA41
4K030KA45
5F045AA03
5F045AB02
5F045AC01
5F045AC19
5F045BB20
5F045EC01
5F045EE04
5F045EE20
5F045EG01
5F045EG07
5F045GB04
5F045GB05
(57)【要約】
【課題】汚染物質ガスを効率的に無害化することができる装置及び方法を提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも1種の汚染物質ガスを含有する処理ガス(22)を浄化するための装置に関し、この装置は、遠心分離機として形成された反応炉容器を有し、この反応炉容器は、円筒領域(5)とテーパ領域(9)とを有し、その中に、酸素または酸素含有ガスを、前記円筒領域(5)上に配置された少なくとも1つのガス入口(1、2、3)中に反応ガス(21)として導入することができるとともに、テーパ領域(9)上に配置された少なくとも1つのガス出口(10、11)を通って、排出することができる。少なくとも1つのガス入口(1、2、3)は、反応ガス(21)を円筒領域(5)の円周面に対して接線方向から反応炉容器中に導入するように配置、形成されている。この装置は、円筒領域(5)に配置された汚染物質ガス入口(8)をさらに備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の汚染物質ガスを含有する処理ガス(22)を浄化するための装置であって、
遠心分離機として設計された反応炉容器であって、円筒領域(5)とテーパ領域(9)とを有し、その中に、反応ガス(21)として、酸素または酸素含有ガスを、前記円筒領域(5)上に配置された少なくとも1つのガス入口(1、2、3、12)中に導入することが可能であるとともに、前記テーパ領域(9)上に配置された少なくとも1つのガス出口(10、11)を通して排出することが可能であり、ここにおいて
前記少なくとも1つのガス入口(1、2、3、12)は、所定の体積流量の前記反応ガス(21)を、前記円筒領域(5)の円周面に対して接線方向から反応炉容器中に導入するように配置、形成されている、反応炉容器と、
前記円筒領域(5)上に配置されて、少なくとも1種の汚染物質ガスを含有する所定の体積流量の前記処理ガス(22)を前記反応炉容器中に導入するように設計されている、汚染物質ガス入口(8)と、を備え、それによって、
前記少なくとも1種の汚染物質ガスと前記反応ガス(21)とは、前記ガス出口(10、11)の方向において互いに混合され、前記反応炉容器を通る途中で互いに化学反応し、
前記ガス出口(10、11)は、前記化学反応において反応しなかった処理ガスと、前記化学反応の反応生成物とを、前記反応炉容器から排出するように配置、設計されている、装置。
【請求項2】
少なくとも1種の汚染物質ガスを含有する前記所定の体積流量の前記処理ガス(22)、および/または前記所定の体積流量の前記反応ガス(21)を、前記反応炉容器中にそれを導入する前に、体積流量を設定するためのデバイスを用いて設定することができることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
温度センサ(13)が前記ガス出口(10、11)の上または中に配置されていること、および/または、流速センサが前記少なくとも1つのガス入口(1、2、3、12)または前記汚染物質ガス入口(8)の中または上に配置されていること、を特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
加熱デバイスが、前記化学反応をサポートするための前記反応炉容器の中または上に配置されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記汚染物質ガス入口(8)が、前記反応炉容器の前記円筒領域(5)の端面(6)に配置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記反応炉容器の前記テーパ領域(9)が、円錐状テーパ領域として形成されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ガス出口(10、11)が弓状に弯曲しており、好ましくは90°弯曲していることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記汚染物質ガス入口(8)は、前記ガス出口(10、11)と反対側に配置されて、前記ガス出口(10、11)の長手方向軸に対して回転対称に、前記反応炉容器中に前記汚染物質ガス(22)を導入するように形成されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
反応生成物のためのフィルタエレメント、スクラバ、および/または収集コンテナが、前記ガス出口(10、11)に取り外し可能で取り付け可能であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1種の汚染物質ガスを含有する処理ガスを浄化する方法であって、
反応ガス(21)としての所定の体積流量の酸素または酸素含有ガスが、円筒領域(5)上に配置された少なくとも1つのガス入口(1、2、3、12)を経由して、前記円筒領域(5)の円周面に対して接線方向から反応炉容器中に導入され、前記反応炉容器は、遠心分離機として設計され、前記円筒領域(5)とテーパ領域(9)とを有し、
前記汚染物質ガスを含有する、所定の体積流量の処理ガス(22)が、前記円筒領域(5)に配置された汚染物質ガス入口(8)を経由して、前記反応炉容器中に導入され、
前記汚染物質ガス(22)と前記反応ガス(21)とが互いに混合され、前記反応炉容器を通る途中で互いに化学反応し、前記化学反応で反応しなかった処理ガスおよび前記化学反応の反応生成物が、ガス出口(10,11)を通って前記反応炉容器から排出される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の汚染物質ガスを含有する処理ガスを洗浄するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
とりわけ地球温暖化の原因となる、自然発火性(pyrophoric)ガスおよび/または有毒ガスは、さまざまな化学プロセスで発生するが、それらの有害な特性のために、多くの場合、多額の費用をかけて処理し、可能な限り無害にする必要がある。従来技術から種々の解決策が知られている。
【0003】
DE202005021057U1は、ガスを反応させるためのバーナ・スクラバ・システムとして、ガス汚染物質分解システムを開示しており、この場合には、ガスを(脱)反応させるのに必要な温度が燃焼室内で生成される。これの欠点は、高い取得コストと、エネルギー集約的な処理に起因する、そのようなシステムの同様に高いメンテナンスコストである。
【0004】
EP1070532A1から、混合チャンバを備えた流動分離(flow separation)システムが知られており、このシステムは、内部パイプ、インレット、およびチャネルを備える、精巧に設計された混合チャンバを有しており、この混合チャンバは、複雑で製造に費用がかかり、比較的限られた数のアプリケーションにしか適用できない。EP1129763A1は、水がガス流に導入されるか、またはガス流が予熱された空気と混合される、別のシステムを開示している。このシステムも複雑な構造を有しており、このことは、このようなシステムで実施される手順も複雑であって、高価な制御を必要とすることを意味している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE202005021057U1
【特許文献2】EP1070532A1
【特許文献3】EP1129763A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、前述の欠点を回避する、すなわちそれを用いて汚染物質ガスを効率的に無害化することができる、装置および方法を提案する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明による独立請求項に記載の装置および方法によって解決される。有利な実施形態およびさらなる展開が従属請求項に記載されている。
【0008】
少なくとも1種の汚染物質ガス(ここで、処理ガス自体も汚染物質ガスであってもよい)を含む処理ガスを洗浄または無害化するための装置は、円筒部分または中空円筒部分と、テーパ部分とを有する、遠心分離器として設計された、反応炉容器を備える。酸素または酸素含有ガスを、円筒領域に配置された少なくとも1つのガス入口を通して、反応炉容器中に反応ガスとして導入することができるとともに、テーパ領域に配置された少なくとも1つのガス出口を通して、反応炉容器から排出することができる。少なくとも1つのガス入口は、所定の体積流量の反応ガスを円筒領域の円周面に対して接線方向から反応炉容器中に導入するように配置、構成されている。汚染物質ガス入口も円筒領域に配置されており、これは、少なくとも1種の汚染物質ガスを含有する、所定の体積流量の処理ガスを反応炉容器中に導入するように設計されており、それによって、少なくとも1種の汚染物質ガスと反応ガスとが、ガス出口の方向において互いに混合され、反応炉容器を通る途中で互いに化学的に反応する。ガス出口は、化学反応において反応しなかった処理ガスと、化学反応の反応生成物とを、反応炉容器から排出するように配置、形成されている。
【0009】
このデバイスは、反応器を簡単な方法でセットアップすることを可能にし、それによって、さまざまなガスの所定の導入によって、再現可能で検出可能な化学反応が可能になる。遠心分離機(サイクロン、サイクロン分離器、渦分離器とも呼ばれる)としての設計は、化学反応に伴うガスの信頼性の高い吸引とガス出口方向への移転を可能にするだけでなく、ガス入口の配置により流れが最適化された設計を保証し、この場合に、通常、汚染物質ガスの単純な希釈ではなく、ガスの即時または完全な混合が達成される。簡単に言えば、デバイスまたはそれを用いて実施されるプロセス、およびその使用が最適化され、制御されて、安全な反応または酸化が可能になり、このことにより、環境および周囲が保護され、このプロセスのコストが従来技術と比較して削減される。同時に、改善された製品が達成され、すなわち、希釈の代わりに、汚染物質ガスの実際の反応が起こり、したがって汚染物質ガスの排気の削減が達成される。これにより、反応生成物をその純度に関して選択し、再利用することができる。
【0010】
所定の体積流量を設定するために、装置が体積流量を設定するためのデバイスを有し、それを用いて、少なくとも1種の汚染物質ガスを含有する、所定の体積流量の処理ガスおよび/または所定の体積流量の反応ガスを、反応炉容器中に導入する前に、設定することができる。通常は、この体積流量は300m/時から2600m/時、好ましくは600m/時から1300m/時の間である。代替的または追加的に、装置には、処理ガスおよび/または反応ガスを反応炉容器の内部に導入する圧縮機を含めてもよい。
【0011】
反応炉容器内の、通常は発熱性である化学反応の温度を感知するために、ガス出口にまたはガス出口内に、温度センサを設けてもよい。特定された温度は、それに応じて所定の体積流量を再調整するために、体積流量を設定するためのデバイスに転送することができ、その結果、反応の制御または、必要に応じて、調整を行うことができる。通常、この温度センサは、ガス出口の中央に位置している。
【0012】
代替的または追加的に、流速センサを、ガス入口内またはガス入口に、かつ/あるいは汚染物質ガス内または汚染物質ガス入口に配置してもよい。また、特定されたそれぞれのガスの流量は、体積流速を設定するための装置に送信し、制御パラメータまたは制御パラメータとして使用することもできる。
【0013】
洗浄のための酸化を実施するために、酸素に加えて、特に周囲の空気混合物を、酸素を含む反応ガスとして使用することもできて、このことは、プロセス全体を実施しやすくする。
【0014】
化学反応をサポートするために、加熱デバイスを、反応炉容器内または反応炉容器上に配置してもよい。この加熱デバイスは、好ましくは、電気抵抗ヒータとして設計され、必要に応じて、体積流量を設定するためのデバイスによって制御または調整することもできる。
【0015】
反応炉容器自体は、通常はステンレス鋼製であり、設計を、簡潔で高い費用対効果に保つために、ガス入口、ガス出口、汚染物質ガス出口にはそれぞれ、普通は、標準化された標準パイプとISOフランジが使用される。反応炉容器は、通常、ガス入口、ガス出口、または汚染物質ガス出口に対して閉じて設計されており、すなわち、気密または流体密である。
【0016】
汚染物質ガス入口は、接線方向から流入する反応ガスとの直接混合を確実にするために、端面上、すなわち円筒部の円形表面上に位置していてもよい。
【0017】
テーパ領域は、通常、円錐状テーパ領域として設計される。ただし、原理的には、テーパは、多項式関数と、結果として得られる回転体とで記述することもできる。
【0018】
ガス出口は、普通には、反応炉容器内の混合ガスのピュア・ディスチャージ(pure discharge)のための所定の幾何形状を提供するために湾曲している。好ましくは、ガス出口は90°湾曲している。
【0019】
汚染物質ガス入口は、通常、ガス出口の反対側に位置している。好ましくは、汚染物質ガス入口は、汚染物質ガスが、ガス出口の長手方向軸に対して、通常はガス出口の中心軸に対して、回転対称に、反応炉容器内に導入されるように構成される。
【0020】
反応生成物を安全に収集および除去するために、フィルタエレメントは、ガス排出口に取り外し可能に取り付け可能、すなわち、反応生成物用のフィルタエレメント、スクラバおよび/または収集コンテナに対して、取り外し可能および/または取り付け可能としてもよい。
【0021】
特に有利な方法で、シランおよび/またはジボランは、記載の装置を用いて汚染物質ガスとして処理することができる。
【0022】
反応炉容器内の汚染物質ガスの通常の滞留時間は0.3秒から5.0秒の間であり、好ましい滞留時間は0.7秒から2.0秒である。通常のプロセス温度は、20℃から300℃、好ましくは40℃から200℃の範囲であり得る。
【0023】
少なくとも1種の汚染物質ガスを含有する処理ガスを浄化するプロセスにおいて、所定の体積流量の酸素または酸素含有ガスを、円筒領域の円周面に対して接線方向から反応ガスとして導入し、円筒領域に配置された少なくとも1つのガス入口を経由して、円筒領域およびテーパ領域を有する遠心分離器として形成された反応炉容器に導入する。汚染物質ガスを含む所定の体積流量の処理ガスは、円筒領域に配置された汚染物質ガス入口を経由して反応炉容器中に導入され、汚染物質ガスと処理ガスは互いに混合され、反応炉容器を通過する途中で互いに化学的に反応し、化学反応中に反応しなかった処理ガスおよび化学反応の反応生成物が、ガス出口を通り反応炉容器から排出される。
【0024】
記載の方法は、記載の装置を用いて実施することが可能であり、すなわち、記載の装置は、記載の方法を実行するように構成されている。
【0025】
本発明の実施形態の例を図面に示し、以下において図1図4を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】少なくとも1種の汚染物質ガスを含有する処理ガスを浄化するための装置の模式的な側面図である。
図2図1と比較して、90°だけ回転された装置の図である。
図3図1および図2に記載のデバイスを通る、概略流路の図である。
図4】概略流路の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、少なくとも1種の汚染物質ガスを含有する処理ガスを洗浄するためのデバイスの実施例の概略側面図を示す。反応ガスとしての大気は、1つまたは複数の吸気ポートまたは入口ポート1を経由して流入することができる。入口ポート1から、反応ガスは、コーナー弁2を通って、1つまたは複数の入口管3を通り、計量ポートを通過してエルボを通って、周囲混合ガスポート12に流れる。入口ポート1、コーナー弁2および入口管3は、周囲混合ガス接続部12とともに、中空円筒領域5および円錐状テーパ領域9を有する、反応炉容器内へのガス入口を形成する。各種測定デバイス用の計量ポートも、入口管3上に配置することができる。
【0028】
周囲混合ガス接続部12は、サイクロンまたは遠心分離器として設計された反応炉容器のここでは直線状の、すなわち円筒状の領域5に対して接線方向に配置されている。反応炉容器の円筒領域5の上方には、反応炉容器が反応炉プレート6または反応炉蓋によって気密に密閉されており、その上に複数の汚染物質ガス入口8が配置されている。図1に示す実施形態では、これらの汚染物質ガス入口8のうちの3つが見られる。この図では、第4の汚染物質ガス入口8は、中央に位置するものによって隠されている。中央に配置された汚染物質ガス入口8の背後にはカバー7を備えた検査開口部が見られ、すなわち、汚染物質ガス入口8は、流れが最適化された円上のカバー7のまわりに同心円状に配置されている。これにより、汚染物質ガス入口8は、テーパ領域9から90度エルボ10までの遷移部の長手方向軸または中心軸を中心に回転対称である。さらなる実施形態の例では、測定機器もしくはスクレーパ、または「スクレーパ」と称されるスクレーパを、蓋7によって閉じられた開口部を通しての洗浄のために反応炉容器の内部に導入することもできるか、または開口部を検査目的に用いることができる。反応炉容器の円錐状テーパ領域9は、底部で円筒領域5に隣接している。サイクロンのこの円錐には、90度エルボ10が続いており、これは排気部11、したがってガス出口への接続部への遷移部を形成する。周囲混合ガスポート12は、反応炉プレート6から距離を置いて接線方向に配置されている。短い直線管の後、図示されている実施例のこれらの接続部は、基板に対して直角に90度エルボにおいて下向きに続き、その出口が再び基板と平行に走る、ばね戻し式のアングル弁2で終わる。この出口には、斜めに切断された直線状の円形の筒が配置されており、これは、吸気ポートまたは入口ポート1として機能し、流入断面積を拡大する。これにより、ガス入口への流入が容易になる。貫通穴ねじは、垂直管内に配置して、例えば、ピトー管または他の体積センサもしくは速度センサなどの測定デバイスを収容することができる。これらのねじ山のサイズは、普通は、プラントに応じて選択されるが、ブラインドカバーで気密にねじ込むように標準化されている。
【0029】
図1に示された実施形態では、デバイスは、上向き位置に配置されており、すなわち、反応炉容器は、垂直軸が基板と直角になるように配向されている。反応炉容器それ自体は、基板からさらに離れていると考えられる、その上端に、基板の方向において円錐台形のテーパ領域9に結合する、円筒部分5を有する。装置自体は、装置を支持する外部フレーム構造(分かり易くするために図示せず)において排気部11において終了する。図示された実施形態において、汚染物質ガス入口8は、反応炉プレート6上に垂直に配置されているが、さらに別の実施形態では、それらは、その他の角度で反応炉プレート6中に開口するか、または弓状設計を有することができる。原則として、汚染物質ガス入口8は、輸送のためにそれらを容易に閉じることが可能であって、標準化された接続部を提供するために、KFフランジとして設計されている。
【0030】
図1に示すデバイスは、汚染物質ガスの費用対効果が高く安定した洗浄または反応を可能にする。シランやジボランなどの化合物は、それ自体で高い反応性を示すが、この化合物を気体状態から、下流に堆積または摂取される粉塵や粒子に分解させるには、適切にサポートする必要がある。以下でより詳細に説明する、提示されたデバイスとその最適化されたフローにより、このプロセスの制御に加えて、そのモニタリングを達成することができ、このことから、最終的には、従来技術と比較して改善された浄化結果が得られる。
【0031】
環境から遮断できる反応炉内の汚染物質ガスを酸化するためのデバイスは、周囲混合ガス(通常は空気)の流れが最適化された流入を可能にする。シェル表面に対して接線方向への、円筒領域5内での流入のためと、サイクロン原理の助けによって、反応器容器内での比較的長い滞留時間、したがって複雑な構造なしでの完全な反応が可能になる。この目的のために、反応ガスは、反応炉容器の内壁から、ガス出口または排気部11の方向に連続的なガス流を介して、所定の体積の一種の渦となって流れる。反応炉容器自体は、排気部11に向かう流れの方向に円錐状にテーパがつけられている。汚染物質ガス入口8は、デバイス全体の垂直軸または長手軸が地面に対して直角であり、したがって作用する重力と平行になるように前方側を向いているという事実に起因して、汚染物質ガスを含有する処理ガス22も、重力方向において反応炉容器中に流入し、サイクロンの渦に吸い込まれ、その結果、ガス出口の方向に一種のヘリカル運動またはスパイラル運動で流れる。処理ガスは、周囲混合ガスと常に接触しており、発熱反応で反応炉壁を経由して熱を失ったり、過度の希釈により必要な最低濃度を下まわったりすることなく、周囲混合ガスと反応する。理想的には、汚染物質ガスは、排気部11の直前まで反応炉容器内で完全に反応する。体積流速を調節するためのデバイス(概説のため図示せず)、例えばコンピュータによってガス入口および汚染物質ガス入口8の弁の弁制御によって行うことができる、体積流速を調整および調節することにより、この発熱反応は理想的に制御される。この目的で、温度センサ13は、排気流の中央に配置することが可能であり、この温度計は、温度を連続的に測定し、それを、制御パラメータまたは調整パラメータとして、体積流量を設定するために上記のデバイスへ送信する。加えて、図1に示す実施形態例では、少なくとも1つの入口管内の流速または体積流量が測定され、制御パラメータまたは調整パラメータとして上記デバイスに送信させることも可能である。好ましくは、この測定は、Pitot管またはピトー管を介して流れ方向で行われる。
【0032】
図1に示す実施形態では、周囲混合ガスの入口は、標準化されたパイプ、好ましくは反応炉容器または反応容器として設計され、すべての接続部はステンレス鋼でできており、それらに限定されることなく、KFフランジ(小フランジ)またはISOフランジ(国際標準化機構)を介してパイプシステムに接続できる。さらに別の実施形態では、周囲混合ガスまたは処理ガスを選択的に流入させることを可能にするデバイスに、圧縮機も含めてもよい。
【0033】
別の実施形態では、反応炉プレート6は、少なくとも2つのポートを有し、その一方は汚染物質ガス入口8であり、その他方は、周囲温度、特に室温20℃超の反応温度を有する、汚染物質ガスの表面反応を有する発熱体を導入するためのものである。これにより、この表面における発熱反応の予備設定または制御が開始され、反応炉容器、すなわち遠心分離器またはサイクロンの内側の温度が十分に高い場合、発熱体は無効化することができて、反応は、排気部11内の温度センサ13および/または反応炉容器の内部に配置されたさらに別の温度検出器を介して監視される。ガス出口は、直径が最小となるテーパ領域9の箇所において、反応炉蓋とも称される、反応炉プレート6の反対側に配置されている。
【0034】
したがって、シラン、SiH、またはジボラン、Bなどの汚染物質ガスの酸化に対応するプロセスでは、反応ガスは最初に対応する入口を経由して反応炉容器に流入し、反応炉容器内でサイクロンスクリュー運動が形成され、反応炉容器の入口から内部へ、さらにガス出口まで延びている。このサイクロンスクリュー運動は、特にテーパ部9によっても、ガス出口11の方向に加速される。周囲空気は、例えばファンなどによって、ガス入口を通り処理ガスとして引き込まれる。好ましくは、このスクリュー運動による連行や吸引により、例えばサイクルスクリュー運動の内側に位置づけられた汚染物質ガス入口8を経由して、汚染物質ガスが流入する。この内側では、汚染物質ガスも反応ガスと同等のスクリュー運動を行い、その結果、反応炉容器内に接触ゾーンが形成され、最低濃度未満、シランの場合、例えば、混合ガスの体積パーセントが2体積パーセント未満(この場合、汚染物質ガスの最低濃度が維持される)での混合が発生する前に、汚染物質ガスと反応ガス21とが反応物として反応する。
【0035】
反応パートナーを混合すると(連鎖)反応が始まり、サイクロンスクリュー運動の距離にわたって汚染物質ガスが完全に反応し、反応後、2種類の反応パートナーは電荷を持つ反応ガス、好ましくは粉末状または塵状の物質からなる、ガス流になっている。ここでは、混合ガスは、特に円錐に入った後に加速される。このガス流は、収集、分離、ろ過または洗浄することができ、その目的のために、収集コンテナおよび/または対応するフィルタエレメントまたはスクラバを排気部11に、および/または排気部11内に取り付けることができる。例えば、反応した反応生成物は、懸濁物質としてろ過するか、またはそれらをスクラバに通すことによって洗い出すことができる。好ましくは、超高純度物質は、リサイクルおよびさらなる処理のために、ろ過されて、収集容器中に吹きこまれる。形成されるサイクロン運動が安定している場合、これは、例えば、時定数を用いて、かつ/または差圧、体積流量、流速などの測定変数を評価することによって、達成することができるが、流入は、汚染物質ガス入口8を経由して処理ガスを引き込むことによって可能になる。処理ガスは、ガスシリンダからの残留チャージとしてのシランなどの汚染物質ガスとともに、必要に応じて質量流量コントローラによって制限することもできる。ただし、通常、接触ゾーンに入ると、不純物ガスは、不純物ガスに応じて、独立した連鎖反応の臨界量に対応する最低濃度を持つ必要がある。反応中に普通は熱が放出され、それが反応の進行をサポートし、完全な反応を促進する。これは、反応炉容器内の最低の濃度と滞留時間によって可能になるが、反応炉容器内部の接触ゾーンでのみ混合される、反応物の希釈の欠如によっても可能になる。反応後、2種の反応物は、シリカを含有する空気からなるガス流になり、シリカは、必要に応じてフィルタユニットで分離することができる。フィルタユニットは、その後、このガスを、接続された収集容器中に吹き込むことができ、その結果として、清浄な物質が収集され、フィルタユニットのフィルタは数回、装填することができるとともに、空気を汚染物質なしで環境に放出することができる。
【0036】
発熱体または熱源を用いて、反応物を混合するとき、および反応が安定したときに(これは、例えば、事前決定された時間後、またはガス流の温度などのプロセスパラメータを検出し、これらのプロセスパラメータを評価することによって、発熱体がオフにされる場合であり得る)、記載の(連鎖)反応を開始するようにすることができる。この目的のために、発熱体は、接触ゾーン内に位置づけられるか、または汚染物質ガス入口のすぐ近くに位置づけられる、すなわち、汚染物質ガス入口8の近くに(通常、汚染物質ガス入口8の端部から各汚染物質ガス入口8の直径以下)、または汚染物質ガス入口8自体に位置づけられてもよい。ジボランの場合、ジボラン自体は酸素と独立して反応しないため、この追加の加熱デバイスは通常、反応を開始するために使用される。反応が始まっても、加熱デバイスのスイッチを切ることもできる。シランやジボランを例に挙げているが、このデバイスおよびプロセスは、もちろん他の汚染物質ガスにも使用することができる。
【0037】
図2は概略的な側面図を示すが、図1に示した図から90°回転させたもので、支持構造のない装置を背面から見たものである。繰り返し現れる特徴は、この図と後続の図において、同一の参照記号でマークされている。特に、排気流の中央に位置する温度センサ13は、より明瞭に見ることができる。したがって、前と同様に、このデバイスは、それぞれ1種の反応物に対して少なくとも2つの入口を有するサイクロンまたは遠心分離器を備え、これは、反応炉内の滞留時間中に有害性が低いか、または再利用可能な物質に反応し、したがって、もはや環境を危険にさらすことがない。さらに、事故が発生した場合、安全デバイスによってプロセスを環境から遮断することができ、再現可能、制御可能、かつ監視可能である。少なくとも1つのばね戻し弁(spring-returned valve)、安全弁、リミットスイッチ、または一般的には、作動していないときに閉じられる弁を安全デバイスとして設けることができるか、または通常、上記の安全デバイスのいくつかが使用され、それによって異なるタイプを互いに組み合わせて使用することもできる。
【0038】
図3は、流路の概略図を示す(図1に対応する図では図の左側部分、図2に対応する図では図の右側部分)。反応ガス21は、例えば周囲混合ガスであり、吸気ポートまたは入口ポート1を経由して反応炉容器内に入る。流入23が、入口管3内を反応炉容器内の入口24に導かれ、そこでサイクロンスクリュー運動25が形成され、汚染物質ガス入口8を経由して汚染物質ガスを引き込む。ガス流は、排気流26として90度エルボ10を越えて排気部11中に流れる。
【0039】
図4の概略斜視図に示すように、反応ガス21は、周囲混合ガスポート12を通って接線方向から反応炉容器内に入る。次いで、サイクロンスクリュー運動25が内部に形成され、排出ガス流26として、出口、90度エルボ10および排気部11に到達するまで、らせん状または一定の回転で下向きに流れる。サイクロンスクリュー運動25またはサイクロン流により、汚染物質ガス入口8を通って汚染物質ガスまたは処理ガス22が引き込まれ、両者の間に接触ゾーン27が形成される。図4では、より濃い線は、排出ガス流の方向において減少しており、最低濃度低下、すなわち反応停止を示している。
【0040】
種々の実施形態の特徴のみが開示されたが、実施形態において実施例を組み合わせて、個別に請求することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 入口ポート
2 コーナー弁、アングル弁
3 入口管
5 円筒領域
6 反応炉プレート
7 カバー、蓋
8 汚染物質ガス入口
9 円錐状テーパ領域
10 90度エルボ
11 排気部、ガス出口
12 周囲混合ガスポート、周囲混合ガス接続部
13 温度センサ
21 反応ガス
22 汚染物質ガスまたは処理ガス
23 流入
24 入口
25 サイクロンスクリュー運動
26 排気流
27 接触ゾーン
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】