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特開2024-70848マルチリンク無線接続のためのシステム及び方法
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  • 特開-マルチリンク無線接続のためのシステム及び方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070848
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】マルチリンク無線接続のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/24 20090101AFI20240516BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240516BHJP
【FI】
H04W36/24
H04W84/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023191967
(22)【出願日】2023-11-10
(31)【優先権主張番号】202221064891
(32)【優先日】2022-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】18/307,438
(32)【優先日】2023-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
2.FIREWIRE
3.HDMI
(71)【出願人】
【識別番号】318015161
【氏名又は名称】アバゴ・テクノロジーズ・インターナショナル・セールス・プライベート・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Avago Technologies International Sales Pte.Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Yishun Avenue 7,Singapore 768923,Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】シンドゥ・ヴェルマ
(72)【発明者】
【氏名】シュブホディープ・アディカリ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ジェイ・フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンコ・アーセグ
(72)【発明者】
【氏名】ロヒト・ヴィー・ゲイクワッド
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ35
(57)【要約】
【課題】マルチリンクシングル無線機(MLSR)の動作向上のためのシステム及び方法の提供。
【解決手段】デバイスは、第1の無線帯域の第1のリンク及び第2のリンクを介して送信するように構成された第1の無線機を含む場合がある。第1の無線機は、第1の無線帯域の第1のリンク上のOBSS通信を検出するように構成され得る。第1の無線機は、第1の無線帯域の第1のリンク上のOBSS通信の検出に応答して、第1の無線帯域の第2のリンクを介して送信するように構成され得る。デバイスは、無線ネットワークの1つ以上のステーションに対し、アクセスポイント(AP)として動作するように構成され得る。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線帯域の第1のリンク及び第2のリンクを介して送信するように構成された第1の無線機
を含むデバイスであって、
前記第1の無線機は、前記第1の無線帯域の前記第1のリンク上のオーバーラッピング基本サービスセット(OBSS)通信を検出するように構成され、
前記第1の無線機は、前記第1の無線帯域の前記第1のリンク上の前記OBSS通信の検出に応答して、前記第1の無線帯域の前記第2のリンクを介して送信するように構成され、
前記デバイスは、無線ネットワークの1つ以上のステーションに対し、アクセスポイント(AP)として動作するように構成されている、デバイス。
【請求項2】
第2の無線帯域の前記第1のリンク及び前記第2のリンクを介して送信するように構成された第2の無線機
をさらに含み、
前記第2の無線機は、前記第2の無線帯域の前記第2のリンク上のOBSS通信を検出するように構成され、
前記第2の無線機は、前記第2の無線帯域の前記第1のリンク上の前記OBSS通信の検出に応答して、前記第2の無線帯域の前記第2のリンクを介して送信するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の無線機及び前記第2の無線機はソフトウェアで定義された無線機を含み、前記第1の無線機は前記第2の無線帯域で送信することができ、前記第2の無線機は前記第1の無線帯域で送信することができる、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスは、前記第1のリンクを第3のリンクと第4のリンクに細分化するように構成され、
前記第1の無線機は、前記第3のリンク及び前記第4のリンクの一方を介して送信するように構成され、
前記第1の無線機は、前記第1の無線帯域の前記第3のリンク上のOBSS通信を検出するように構成され、
前記第1の無線機は、前記第1の無線帯域の前記第3のリンク上の前記OBSS通信の検出に応答して、前記第1の無線帯域の前記第4のリンクを介して送信するように構成されている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の無線帯域の各リンクは、前記5GHz範囲内の20MHz以上の無線リンクであり、前記第2の無線帯域の各リンクは、前記6GHz範囲内の20MHz以上である、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の無線帯域又は前記第2の無線帯域の少なくとも一方を監視するために、前記第1及び第2の無線とは別個の第3の無線機をさらに含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第3の無線機は、前記第1の無線帯域及び前記第2の無線帯域の各々を同時に監視するように構成されている、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1のリンク又は前記第2のリンクの一方の使用可否を連絡するための側波帯リンクをさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記検出されたOBSS通信の内容に基づいて、第1のOBSS通信の継続時間を判定し、
前記無線ネットワークの前記1つ以上のステーションのうちの1つから受信したRTSメッセージに基づいて、第2のOBSS通信の継続時間を判定し、
前記第1のOBSS通信の継続時間を前記第2のOBSS通信の継続時間と比較し、
前記第1のOBSS通信の継続時間が前記第2のOBSS通信の継続時間以上であるという判定に応答して、前記RTSメッセージと同じ継続時間を示すCTS指示を、前記無線ネットワークの前記1つ以上のステーションのうちの前記1つに送信し、
前記第2のOBSS通信の継続時間が前記第1のOBSS通信の継続時間未満であるという判定に応答して、前記第1のOBSS通信の継続時間を示す前記第1のOBSS通信の継続時間を含むCTS指示を、前記無線ネットワークの前記1つ以上のステーションのうちの前記1つに送信する
ようにさらに構成されている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
各無線機が、各自の無線帯域の複数のリンクを監視し、各自の無線帯域の前記複数のリンクを介して送信するように構成された複数の無線機
を含むデバイスであって、
前記複数の無線機の各々が、各自の無線帯域の一次リンクの使用不可を検出するように構成され、
前記複数の無線機の各々が、前記検出された一次リンクの使用不可に応答して、各自の無線帯域の二次リンクを監視するように構成され、
前記デバイスは、無線ネットワークの1つ以上のステーションのアクセスポイント(AP)として動作するように構成されている、デバイス。
【請求項11】
前記複数の無線機の各々が、ソフトウェアで定義された無線機である、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記複数の無線機のうちの少なくとも1つは、各自の無線帯域の2つ以上のリンクを同時に監視するように構成されている、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
各自の無線帯域のうちの少なくとも1つの2つ以上のリンクを同時に監視するように構成された、前記複数の無線機とは別個のさらなる無線機
をさらに含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項14】
前記複数の一次リンクのうちの1つ又は前記複数の二次リンクのうちの1つの使用可否を連絡するように構成された、前記複数の無線機とは別個のさらなる無線機
をさらに含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項15】
デバイスの第1の無線機によって、第1の無線帯域の第1のリンクを監視し、
前記第1の無線機によって、前記第1の無線帯域の前記第1のリンク上のOBSS通信を検出し、
前記OBSS通信の検出に応答して、前記第1の無線機によって、前記第1の無線帯域の第2のリンクを監視し、
前記OBSS通信の検出に応答して、前記第1の無線機によって、前記第1の無線帯域の前記第2のリンクを介して送信すること
を含む、方法。
【請求項16】
前記デバイスの第2の無線機によって、第2の無線帯域の前記第1のリンクを監視し、
前記第2の無線機によって、前記第2の無線帯域の前記第1のリンク上の第2のOBSS通信を検出し、
前記第2のOBSS通信の検出に応答して、前記第2の無線機によって、前記第2の無線帯域の前記第2のリンクを監視し、
前記第2のOBSS通信の検出に応答して、前記第2の無線機によって、前記第1の無線帯域の前記第2のリンクを介して送信すること
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記デバイスによって、前記第1のリンクを第3のリンクと第4のリンクとに細分化し、
前記第1の無線機によって、前記第3のリンクを監視し、
前記第1の無線機によって、前記第3のリンク上のOBSS通信を検出し、
前記第3のリンク上の前記OBSS通信に応答して、前記第1の無線機によって、前記第4のリンクを監視すること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の無線帯域の各リンクは、前記5GHz範囲内の20MHz以上の無線リンクであり、前記第2の無線帯域の各リンクは、前記6GHz範囲内の20MHz以上である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の無線帯域及び前記第2の無線帯域の各々を、前記第1の無線機及び前記第2の無線機とは別個の第3の無線機を介して同時に監視すること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のリンク又は前記第2のリンクの一方の使用可否を、側波帯リンクを介して連絡すること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アクセスプロトコルのシステム及び方法
関連出願の相互参照
本出願は、2022年11月12日に出願されたインド仮特許出願第2022-21064891号に基づく優先権を主張するものである。この仮特許出願は、参照により、その内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示の分野
本開示は、概して、ステーション(STA)とアクセスポイント(AP)との間、又は他の通信装置間の通信のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
開示の背景
過去数十年間、無線通信装置の市場は、携帯デバイスの使用、及びあらゆる種類のデバイス間の接続性及びデータ転送の増加に煽られ、桁違いに成長してきた。デジタルスイッチング技術により、手頃で使いやすい無線通信ネットワークの大規模展開が容易になった。さらに、デジタル回路や無線周波数(RF)回路の改良、ならびに回路集積の進歩などにより、無線機器は小型化され、安価になり、信頼性も向上している。無線通信は、IEEE 802.11x、Bluetooth(登録商標)、GSM(Global System for Mobile Communications)、符号分割多重アクセス(CDMA)など、さまざまな規格に準拠して動作することができる。データスループットの向上、ネットワークの高密度化、その他の変化に伴い、IEEE 802.11nからIEEE 802.11ac、ax、beへの進展のように、より新しい規格が常に採用に向けて開発されている。ネットワークデバイスは、クライアントステーション(STA)、アクセスポイント(AP)、又はモバイルAPとして動作することができる。ネットワークデバイスは、その複雑さや機能に応じて、様々な数のアンテナを有することができる。しかしながら、アンテナを追加すると、アンテナ間の干渉等により、システムの複雑さは増加する可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本開示の様々な目的、態様、特徴、及び利点は、添付の図面と併せて詳細な説明を参照することにより、より明らかになり、より良く理解されるであろう。図面の全体を通して、同様の文字は、対応する要素を特定している。図面において、同様の参照符号は、一般に、同一、機能的に類似、及び/又は構造的に類似の要素を示している。
【0005】
図1Aは、一部の実施形態による、1つ以上のデバイス又はステーションと通信する1つ以上のアクセスポイントを含むネットワーク環境を示すブロック図である。
【0006】
図1B及び図1Cは、一部の実施形態による、本明細書に記載される方法及びシステムに関連する有用なコンピューティングデバイスを示すブロック図である。
【0007】
図2は、一部の実施形態による、無線ネットワークのスペクトルカバレッジマップを示す図である。
【0008】
図3は、一部の実施形態による、様々なオーバーラッピング基本サービスセット(OBSS)と接続する基本サービスセット(BSS)を示すネットワーク図である。
【0009】
図4は、一部の実施形態による、アクセスポイント(AP)によって検出可能でかつ非アクセスポイント(非AP)によって検出不能なOBSS通信が存在する状況における、アクセスポイント(AP)と非アクセスポイント(非AP)との間の通信のためのシーケンス図である。
【0010】
図5は、一部の実施形態による、非APによって検出可能でかつAPによって検出不能なOBSS通信が存在する状況における、APと非APとの間の通信のためのシーケンス図である。
【0011】
図6は、一部の実施形態による、APによって検出可能なOBSS通信と、非APによって検出可能な別のOBSSとが存在する状況における、APと非APとの間の通信のためのシーケンス図である。
【0012】
本方法及びシステムの種々の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
次のIEEE規格(そのような規格の草案を含む)、すなわち、WiFiアライアンス規格及びIEEE 802.11規格(限定はしないが、IEEE 802.11a(商標)、IEEE 802.11b(商標)、IEEE 802.11g(商標)、IEEE P802.11n(商標)、及びIEEE P802.11ac(商標)規格を含む)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、あらゆる目的のために本開示の一部とされる。本開示は、これらの規格の種々の側面を参照することがあるが、本開示がこれらの規格によって限定されることはない。
【0014】
以下の様々な実施形態の説明を読む目的で、本明細書の下記のセクションの記載及びそれらの各々の内容が役に立つ。
- セクションAには、本明細書に記載される種々の実施形態を実施するのに有用なネットワーク環境及びコンピューティング環境が記載されている。
- セクションBには、種々のアクセスプロトコル、ならびに、アクセスプロトコルを使用する方法及び装置の種々の実施形態が記載されている。
【0015】
様々なクライアントデバイスは、マルチリンクシングル無線機(MLSR)を使用するステーション(STA)デバイスとして動作することができる。例えば、クライアントデバイスは、様々な帯域(例えば、2.4GHz帯域、5GHz帯域、又は6GHz帯域)の各々について、MLSR無線機を使用することができる。クライアントデバイスは、モバイルAPとして動作する場合もある。モバイルAPとして動作しているとき、クライアントデバイスは、MLSR無線機を使用して、1つ以上のSTAに接続することができる。例えば、クライアントデバイスは、STAモードの動作とモバイルAPモードの動作で動作するように構成される場合がある。このような2つのクライアントデバイスは、非同時送受信(NSTR)リンクを介して1つ以上のチャネルで通信することができる。例えば、これら2つのクライアントは、2.4GHzリンク、5GHzリンク、及び6GHzリンクを切り替えて動作することができる。様々なデバイスは、暗黙的方法又は明示的方法に従って、一次リンクと非一次リンクとの間のリンク選択を調整することができる。例えば、そのようなシングル無線機を1つ以上のリンクに関連付けることで、シングル無線機は、選択されたリンクを介して通信することができ、また、未選択のリンクを介した干渉を避けることができる。
【0016】
ネットワークは、アクセスポイント(例えば、AP又はモバイルAP)を介して通信可能なクライアントデバイス(例えば、STA)を含む種々のデバイスの基本サービスセット(BSS)のようなサブネットワーク内で、送信機会(TXOP)を決定するための調停手段又は他の手段を含むことができる。ただし、ネットワークによっては、オーバーラッピングBSS(OBSS)を含む場合がある。一部の実施形態において、OBSS通信とは、第2の基本サービスセットのデバイスによって検出された、第1の基本サービスセットのデバイスによって送信され若しくは受信された通信を指す場合がある。例えば、OBSS通信は、無線チャネルを送信に使用できるか否かを判定するためのクリアチャネルアセスメント(空きチャネル判定)に応答して検出される場合がある。例えば、一部のネットワークは、同じ拡張サービスセットの(例えば、SSIDを共有する)オーバーラッピングBSS、又は異なるサービスセットのオーバーラッピングBSSを含む場合がある。BSSの一部のネットワークデバイスは、1つ以上のOBSSとの間に、干渉を引き起こすことがある。無線デバイスは、送信前にクリアチャネルアセスメント(CCA)を実施することで、他のデバイスとの干渉を回避することができる。例えば、無線デバイスは、プリアンブル検出(PD:プリアンブルディテクション)を使用して、OBSSのメッセージを検出することができる(OBSS-PD)。各無線機は、一次リンクと、少なくとも1つの非一次リンク(例えば、二次リンク)とを含むことができる。一次リンクは、ビーコン/プローブ応答フレーム、データフレーム、及び他の情報を伝えることができる。OBSS-PD、又は、閾値を超えるOBSS-PDに応答して、無線デバイスは、非一次リンクを介して通信することができる。
【0017】
実施形態によっては、AP(例えば、モバイルAP)又はSTAは、制御チャネルを介して使用可能なリンクを明示的に調停することができる。例えば、AP又はSTAの各々は、一次リンク上のOBSS通信を検出し、そのOBSS通信に関する情報を、制御チャネルを介して伝えることができる。例えば、AP又はSTAは、時間、サイズ、継続時間、送信単位、受信単位、エネルギーなどを伝えることができる。AP又はSTAの各々は、自ら検出したOBSS通信を、対応するデバイスの検出されたOBSS通信と集約することができる。その後、AP又はSTAの各々は、APとSTAの両方に関するリンクの使用可否を、論理積ANDに従って送信することができる。例えば、送信機と受信機のペアにとって一次リンクが使用可である場合、APとSTAは、一次チャネルを介して通信する。送信器と受信機のペアにとって一次チャネルは使用不可であるが、非一次チャネルは使用可である場合、APとSTAは、非一次チャネルを介して通信することができる。一次チャネルといずれの非一次チャネルも、送信器と受信機のペアにとって使用不可である場合、AP又はSTAは、送信を遅延させたり、異なる帯域を介して送信したり、チャネルを調節したりすることができる。制御チャネルには、有線接続又は無線接続が含まれ得る。例えば、制御チャネルには、2.4GHzリンク又は900MHzリンクが含まれ得る。
【0018】
実施形態によっては、AP(例えば、モバイルAP)又はSTAは、使用可能なリンクを暗黙的に調停することができる。AP(例えば、モバイルAP)又はSTAは、同じOBSS通信又は異なるOBSS通信を検出することができる。例えば、場所、位置、OBSS-PD閾値などから、無線デバイスは、一次リンクが使用不可であることを判断することができ、その場合、その無線デバイスは二次リンクに移行することができる。同じOBSS送信が相互に検出されると、対応する無線デバイスは、非一次リンクを介して通信することができる。OBSS送信の非相互検出は、送信デバイスと受信デバイスとの間に、リンク選択の相違を引き起こす可能性がある。例えば、送信機と受信機のペアの一方はOBSS通信を検出するが、送信機と受信機のペアの他方はOBSS通信を検出しない場合がある。あるいは、送信機と受信機のペアのそれぞれが、異なるOBSS通信を検出する場合がある。AP又はSTAは、送信に先行して、CCA、又はRTS(ready-to-send)CTS(clear-to-send)を交換することができる。例えば、送信ユニットは、フレーム送信の準備ができたことを示すRTSメッセージを伝えることができる。RTSを受信すると、受信ユニットはCTSメッセージを伝えることができる。所定時間内にCTSを受信しなかった場合、送信機は、受信機又はチャネルが使用不可であると判断し、後の時間に、別のリンクで、又は別の帯域等で再送信することをスケジュールすることができる。
【0019】
一部の実施形態は、デバイスに関する。前記デバイスは、第1の無線帯域の第1のリンク及び第2のリンクを介して送信するように構成された第1の無線機を含む場合がある。前記第1の無線機は、前記第1の無線帯域の前記第1のリンク上のOBSS通信を検出することができる。前記第1の無線機は、前記第1の無線帯域の前記第1のリンク上の前記OBSS通信の検出に応答して、前記第1の無線帯域の前記第2のリンクを介して送信することができる。前記デバイスは、無線ネットワークの1つ以上のステーションに対し、アクセスポイント(AP)として動作することができる。
【0020】
実施形態によっては、前記デバイスは、第2の無線帯域の前記第1のリンク及び前記第2のリンクを介して送信するように構成された第2の無線機を含む場合がある。前記第2の無線機は、前記第2の無線帯域の前記第2のリンク上のOBSS通信を検出することができる。前記第2の無線機は、前記第2の無線帯域の前記第1のリンク上の前記OBSS通信の検出に応答して、前記第2の無線帯域の前記第2のリンクを介して送信することができる。実施形態によっては、前記第1の無線機及び前記第2の無線機は、ソフトウェアで定義された無線機を含む場合がある。前記第1の無線機は、前記第2の無線帯域で送信することができる。前記第2の無線機は、前記第1の無線帯域で送信することができる。実施形態によっては、前記デバイスは、前記第1のリンクを第3のリンクと第4のリンクに細分化することができる。前記第1の無線機は、前記第3のリンクと前記第4のリンクの一方を介して送信することができる。前記第1の無線機は、前記第1の無線帯域の前記第3のリンク上のOBSS通信を検出することができる。前記第1の無線機は、前記第1の無線帯域の前記第3のリンク上の前記OBSS通信の検出に応答して、前記第1の無線帯域の前記第4のリンクを介して送信することができる。
【0021】
実施形態によっては、前記第1の無線帯域の各リンクは、前記5GHz範囲内の20MHz以上の無線リンクである。前記第2の無線帯域の各リンクは、前記6GHz範囲内の20MHz以上であってもよい。実施形態によっては、前記デバイスは、前記第1の無線帯域又は前記第2の無線帯域の少なくとも一方を監視するために、前記第1及び第2の無線機とは別個の第3の無線機を含む場合がある。実施形態によっては、前記第3の無線機は、前記第1の無線帯域及び前記第2の無線帯域の各々を同時に監視することができる。実施形態によっては、前記デバイスは、前記第1のリンク又は前記第2のリンクの一方の使用可否を連絡するための側波帯リンクを含む場合がある。実施形態によっては、前記デバイスは、前記検出されたOBSS通信の内容に基づいて、第1のOBSS通信の継続時間を判定することができる。前記デバイスは、前記無線ネットワークの前記1つ以上のステーションのうちの1つから受信した送信準備完了(RTS)メッセージに基づいて、第2のOBSS通信の継続時間を判定することができる。前記デバイスは、前記第1のOBSS通信の継続時間を前記第2のOBSS通信の継続時間と比較することができる。前記デバイスは、前記第1のOBSS通信の継続時間が前記第2のOBSS通信の継続時間以上であるという判定に応答して、前記RTSメッセージと同じ継続時間を示すCTS(clear to send)指示を、前記無線ネットワークの前記1つ以上のステーションのうちの前記1つに送信することができる。前記デバイスは、前記第2のOBSS通信の継続時間が前記第1のOBSS通信の継続時間未満であるという判定に応答して、前記第1のOBSS通信の継続時間を示す前記第1のOBSS通信の継続時間を含むCTS指示を、前記無線ネットワークの前記1つ以上のステーションのうちの前記1つに送信することができる。
【0022】
一部の実施形態は、デバイスに関する。前記デバイスは、複数の無線機を含むことができる。各無線機は、各自の無線帯域の複数のリンクを監視することができる。各無線機は、各自の無線帯域の前記複数のリンクを介して送信することができる。各無線機は、各自の無線帯域の一次リンクの使用不可を検出することができる。前記複数の無線機の各々は、前記検出された一次リンクの使用不可に応答して、各自の無線帯域の二次リンクを監視することができる。前記デバイスは、無線ネットワークの1つ以上のステーションに対し、アクセスポイント(AP)として動作することができる。
【0023】
実施形態によっては、マルチリンクシングル無線機は、ソフトウェアで定義された無線機である場合がある。実施形態によっては、前記デバイスの少なくとも1つは、各自の無線帯域の2つ以上のリンクを同時に監視することができる。実施形態によっては、前記デバイスは、各自の無線帯域のうちの少なくとも1つの2つ以上のリンクを同時に監視するように構成された、さらなる無線機を含む場合がある。実施形態によっては、前記デバイスは、前記複数の一次リンクのうちの1つ又は前記複数の二次リンクのうちの1つの使用可否を連絡することができる、さらなる無線機を含む場合がある。
【0024】
一部の実施形態は、方法に関する。前記方法は、デバイスの第1の無線機によって、第1の無線帯域の第1のリンクを監視することを含むことができる。前記方法は、前記第1の無線機によって、前記第1の無線帯域の前記第1のリンク上のOBSS通信を検出することを含むことができる。前記方法は、前記OBSS通信の検出に応答して、前記第1の無線機によって、前記第1の無線帯域の第2のリンクを監視することを含むことができる。前記方法は、前記OBSS通信の検出に応答して、前記第1の無線機によって、前記第1の無線帯域の前記第2のリンクを介して送信することを含むことができる。
【0025】
実施形態によっては、前記方法は、前記デバイスの第2の無線機によって、第2の無線帯域の第1のリンクを監視することを含むことができる。前記方法は、前記第2の無線機によって、前記第2の無線帯域の前記第1のリンク上の第2のOBSS通信を検出することを含むことができる。前記方法は、前記第2のOBSS通信の検出に応答して、前記第2の無線機によって、前記第2の無線帯域の第2のリンクを監視することを含むことができる。前記方法は、前記第2のOBSS通信の検出に応答して、前記第2の無線機によって、前記第1の無線帯域の前記第2のリンクを介して送信することを含む場合がある。実施形態によっては、前記方法は、前記デバイスによって、前記第1のリンクを第3のリンクと第4のリンクに細分化することを含むことができる。前記方法は、前記第1の無線機によって、前記第3のリンクを監視することを含むことができる。前記方法は、前記第1の無線機によって、前記第3のリンク上のOBSS通信を検出することを含むことができる。前記方法は、前記第3のリンク上の前記OBSS通信に応答して、前記第1の無線機によって、前記第4のリンクを監視することを含むことができる。
【0026】
実施形態によっては、前記第1の無線帯域の各リンクは、前記5GHz範囲内の20MHz以上の無線リンクであり、前記第2の無線帯域の各リンクは、前記6GHz範囲内の20MHz以上の無線リンクである。実施形態によっては、前記方法は、前記第1の無線帯域及び前記第2の無線帯域の各々を、第1の無線機及び第2の無線機とは別個の第3の無線機によって同時に監視することを含む。実施形態によっては、前記方法は、前記第1のリンク又は前記第2のリンクのうちの一方の使用可否を、側波帯リンクを介して連絡することを含む。
【0027】
A.コンピューティング及びネットワーク環境
本ソリューションの具体的実施形態について説明する前に、本明細書に記載される方法及びシステムに関連する動作環境の種々の態様ならびに関連するシステム構成要素(たとえば、ハードウェア要素)について説明することが役立つ可能性がある。図1Aを参照すると、ネットワーク環境の一実施形態が示されている。簡単に概観すると、ネットワーク環境は、1つ以上のアクセスポイント(AP)又はネットワークデバイス106と、1つ以上のステーション又は無線通信装置102と、ネットワークハードウェアコンポーネント又はネットワークハードウェア192とを含む無線通信システムを含む。無線通信装置102には、例えば、ラップトップコンピュータ、タブレット、パーソナルコンピュータ、及び/又は携帯電話装置が含まれ得る。各ステーション又は無線通信装置102及びAP又はネットワークデバイス106の実施形態の詳細については、図1B及び図1Cを参照してさらに詳しく説明される。一実施形態において、ネットワーク環境は、アドホックネットワーク環境、インフラストラクチャ無線ネットワーク環境、又はサブネット環境などであってもよい。ネットワークデバイス106又はAPは、ローカルエリアネットワーク接続を介してネットワークハードウェア192に動作可能に結合され得る。実施形態によっては、ネットワークデバイス106は、5G基地局であってもよい。ネットワークハードウェア192(これには、ルータ、ゲートウェイ、スイッチ、ブリッジ、モデム、システムコントローラ、アプライアンスなどが含まれ得る)は、通信システムのためのローカルエリアネットワーク接続を提供することができる。ネットワークデバイス106又はAPの各々は、そのエリア内の無線通信装置と通信するために、関連するアンテナ又はアンテナアレイを有することができる。無線通信装置102は、通信システムから(例えば、SU-MIMO又はMU-MIMO構成を介して)種々のサービスを受けるために、特定のネットワークデバイス106又はAPに登録される場合がある。直接接続(例えば、ポイントツーポイント通信)の場合、無線通信装置によっては、割り当てられたチャネル及び通信プロトコルを介して直接通信できる場合がある。無線通信装置102のいくつかは、ネットワークデバイス106又はAPに対して、移動可能であってもよいし、又は比較的静的であってもよい。
【0028】
一部の実施形態では、ネットワークデバイス106又はAPは、無線通信装置102がWiFi(Wireless-Fidelity)規格又は他の規格を使用して有線ネットワークに接続することを可能にするデバイス又はモジュール(ハードウェアとソフトウェアの組み合わせを含む)を含む。ネットワークデバイス106又はAPは、無線アクセスポイント(WAP)と呼ばれることもある。ネットワークデバイス106又はAPは、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)で動作するように実施(例えば、構成、設計及び/又は構築)され得る。実施形態によっては、ネットワークデバイス106又はAPは、スタンドアロンデバイスとして(例えば、有線ネットワークを介して)ルータに接続することができる。実施形態によっては、ネットワークデバイス106又はAPは、ルータの構成要素であってもよい。ネットワークデバイス106又はAPは、複数のデバイスにネットワークへのアクセスを提供することができる。ネットワークデバイス106又はAPは、例えば、有線イーサネット(登録商標)接続に接続することができるとともに、他のデバイス102がその有線接続を利用できるようにするために、無線周波数リンクを使用して無線接続を提供することができる。ネットワークデバイス106又はAPは、1つ以上の無線周波数を使用してデータを送受信するための規格をサポートするように実施されてもよい。それらの規格、ならびにネットワークデバイス106又はAPが使用する周波数は、IEEEによって定義される場合がある(例えば、IEEE 802.11規格)。ネットワークデバイス106又はAPは、公衆インターネットホットスポットをサポートするように、及び/又はネットワーク上でネットワークのWi-Fi(登録商標)信号範囲を拡張するように構成され、及び/又は使用される場合がある。
【0029】
実施形態によっては、アクセスポイント又はネットワークデバイス106は、(例えば、家庭内、車内、又は建物内)無線ネットワーク(例えば、IEEE 802.11、Bluetooth、ZigBee(登録商標)、任意の他のタイプの無線周波数ベースのネットワークプロトコル及び/又はそのバリエーション)に使用されてもよい。無線通信装置102の各々は、内蔵無線機を含むことができ、及び/又は、無線機に結合される。このような無線通信装置102及び/又はアクセスポイントもしくはネットワークデバイス106は、本明細書の開示の様々な態様に従って動作することで、性能を向上させ、コスト及び/又はサイズを低減し、及び/又はブロード帯域の使用を拡大することができる。各無線通信装置102は、1つ以上のアクセスポイント又はネットワークデバイス106を介してリソース(例えば、データ、及びサーバなどのネットワークノードへの接続)へのアクセスを求めるクライアントノードとして機能する能力を有することができる。
【0030】
ネットワーク接続は、任意のタイプ及び/又は形態のネットワークを含むことができ、ポイントツーポイントネットワーク、ブロードキャストネットワーク、電気通信ネットワーク、データ通信ネットワーク、コンピュータネットワークのうちのいずれかを含むことができる。ネットワークのトポロジーは、バス、スター、又はリングネットワークトポロジーのいずれであってもよい。ネットワークは、本明細書に記載される動作をサポートすることが可能な当業者に知られている任意のネットワークトポロジーのものであってよい。実施形態によっては、異なるプロトコルに従って、異なるタイプのデータを伝送することができる。他の実施形態では、異なるプロトコルに従って、同じタイプのデータを伝送することができる。
【0031】
通信装置(複数可)102及びアクセスポイント(複数可)又はネットワークデバイス106は、任意のタイプ及び形態のコンピューティングデバイスとして配備され、及び/又は実行されてもよく、例えば、任意のタイプ及び形態のネットワーク上で通信すること、及び本明細書に記載される動作を実行することが可能なコンピュータ、ネットワークデバイス又はアプライアンスとして配備され、及び/又は実行される場合がある。図1B及び図1Cは、無線通信装置102又はネットワークデバイス106の実施形態を実施するのに有用なコンピューティングデバイス100のブロック図を示している。図1B及び図1Cに示すように、各コンピューティングデバイス100は、プロセッサ121(例えば、中央処理ユニット)と、主記憶装置122とを含む。図1Bに示すように、コンピューティングデバイス100は、ストレージデバイス128と、インストールデバイス116と、ネットワークインターフェース118と、I/Oコントローラ123と、ディスプレイデバイス124a~124nと、キーボード126と、マウスのようなポインティングデバイス127とを含むことができる。ストレージデバイス128は、オペレーティングシステム及び/又はソフトウェアを含むことができる。図1Cに示すように、各コンピューティングデバイス100は、中央処理ユニット又はプロセッサ121と通信する、メモリポート103、ブリッジ170、1つ以上の入出力デバイス130a~130n、及びキャッシュメモリ140のような、追加の選択的要素も含むことができる。
【0032】
中央処理ユニット又はプロセッサ121は、主記憶装置122からフェッチされた命令に応答してそれらを処理する任意の論理回路である。多くの実施形態では、中央処理ユニット又はプロセッサ121は、カリフォルニア州サンタクララのインテル・コーポレーションによって製造されたもの、ニューヨーク州ホワイトプレーンズのインターナショナル・ビジネス・マシーンズによって製造されたもの、又はカリフォルニア州サニーベールのアドバンスト・マイクロ・デバイセズによって製造されたもののような、マイクロプロセッサユニットによって提供される。コンピューティングデバイス100は、これらのプロセッサのいずれか、又は本明細書に記載されるように動作可能な他のプロセッサをベースにすることができる。
【0033】
主記憶装置122は、データを記憶する機能を有し、マイクロプロセッサ又はプロセッサ121が任意の記憶場所を直接アクセスできるようにする1つ以上のメモリチップであってよく、例えば、任意のタイプのスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、強誘電体RAM(FRAM)、NANDフラッシュ、NORフラッシュ、及びソリッドステートドライブ(SSD)であってよく、あるいはそれらの変形物であってもよい。主記憶装置122は、上述したメモリチップのいずれか、又は本明細書に記載されるように動作可能な他の入手可能なメモリチップをベースにすることができる。図1Bに示す実施形態では、プロセッサ121は、システムバス150(以下でさらに詳しく説明する)を介して主記憶装置122と通信する。図1Cは、プロセッサがメモリポート103を介して主記憶装置122と直接通信するコンピューティングデバイス100の実施形態を示している。例えば、図1Cにおいて、主記憶装置122は、DRDRAMであってもよい。
【0034】
図1Cは、メインプロセッサ121が、バックサイドバスと呼ばれることもある二次バスを介してキャッシュメモリ140と直接通信する実施形態を示している。他の実施形態では、メインプロセッサ121は、システムバス150を使用してキャッシュメモリ140と通信する。キャッシュメモリ140は、通常、主記憶装置122よりも高速な応答時間を有し、例えば、SRAM、BSRAM、又はEDRAMによって提供される。図1Cに示す実施形態では、プロセッサ121は、ローカルシステムバス150を介して様々なI/Oデバイス130と通信する。中央処理装置又はプロセッサ121をI/Oデバイス130のいずれかに接続するために、様々なバスを使用することができ、例えば、VESA VLバス、ISAバス、EISAバス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、PCIバス、PCI-Xバス、PCI-Expressバス、又はNuBusなどを使用することができる。I/Oデバイスがビデオディスプレイ124である実施形態の場合、プロセッサ121は、アドバンスト・グラフィックス・ポート(AGP)を使用して、ディスプレイ124と通信することができる。図1Cは、メインプロセッサ121が、例えばハイパートランスポート(HYPERTRANSPORT)、ラピディオ(RAPIDIO)、又はインフィニバンド(INFINIBAND)通信技術により、I/Oデバイス130bと直接通信できるコンピュータ又はコンピュータシステム100の実施形態を示している。図1Cは、ローカルバスと直接通信とが混在する実施形態も示している。すなわち、プロセッサ121は、ローカル相互接続バスを使用してI/Oデバイス130aと通信するが、I/Oデバイス130bとは直接通信する。
【0035】
コンピューティングデバイス100には、多種多様なI/Oデバイス130a~130nが存在していてよい。入力デバイスには、キーボード、マウス、トラックパッド、トラックボール、マイク、ダイヤル、タッチパッド、タッチスクリーン、及び描画タブレットが含まれる。出力デバイスには、ビデオディスプレイ、スピーカー、インクジェットプリンター、レーザープリンター、プロジェクター、及び昇華型プリンターが含まれる。図1Bに示すように、I/Oデバイスは、I/Oコントローラ123によって制御することができる。I/Oコントローラは、キーボード126とポインティングデバイス127(例えば、マウスや光学ペン)のような1つ以上のI/Oデバイスを制御することができる。また、I/Oデバイスは、コンピューティングデバイス100にストレージ及び/又はインストール媒体を提供することもできる。さらに他の実施形態では、コンピューティングデバイス100は、カリフォルニア州ロスアラミトスのツインテック・インダストリー・インコーポレイテッドによって製造されたUSBフラッシュドライブシリーズのデバイスのようなハンドヘルドUSBストレージデバイスを受け取るためのUSB接続(図示せず)を提供することができる。
【0036】
再び図1Bを参照すると、コンピューティングデバイス100は、、任意の適当なインストールデバイス116をサポートすることができ、例えば、ディスクドライブ、CD-ROMドライブ、CD-R/RWドライブ、DVD-ROMドライブ、フラッシュメモリドライブ、様々なフォーマットのテープドライブ、USBデバイス、ハードディスク、ネットワークインターフェース、又はソフトウェアやプログラムをインストールするのに適した任意の他のデバイスをサポートすることができる。コンピューティングデバイス100は、オペレーティングシステム及び他の関連ソフトウェアを記憶するため、ならびに、本明細書に記載されるシステム及び方法を実施するための(例えば、実施するように構成され及び/又は設計された)任意のプログラム又はソフトウェア120のようなアプリケーションソフトウェアプログラムを記憶するために、1つ以上のハードディスクドライブ又はRAID(Redundant Arrays of Independent Disks)のようなストレージデバイスをさらに含むことができる。任意選択で、インストールデバイス116のいずれかが、ストレージデバイスとして使用されてもよい。さらに、オペレーティングシステム及びソフトウェアは、ブータブル媒体から実行されてもよい。
【0037】
さらに、コンピューティングデバイス100は、様々な接続を介してネットワークと接続するためのネットワークインターフェース118を含む場合がある。接続には、限定はしないが、標準電話回線、LAN又はWANリンク(例えば、802.11、T1、T3、56kb、X.25、SNA、DECNET)、ブロード帯域接続(例えば、ISDN、フレームリレー、ATM、ギガビットEthernet(登録商標)、Ethernet Over SONET、無線接続、又は、これらのいずれか又はすべての組み合わせが含まれる。接続は、様々な通信プロトコル(例えば、TCP/IP、IPX、SPX、NetBIOS、イーサネット、ARCNET、SONET、SDH、ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、RS232、IEEE 802.11、IEEE 802.11a、IEEE 802.11b、IEEE 802.11g、IEEE 802.11n、IEEE 802.11ac、IEEE 802.11ad、CDMA、GSM、WiMax、及び直接非同期接続)を使用して確立することができる。一実施形態では、コンピューティングデバイス100は、セキュアソケットレイヤー(SSL)やトランスポートレイヤーセキュリティ(TLS)のような任意のタイプ及び/又は形態のゲートウェイ又はトンネリングプロトコルに従って、他のコンピューティングデバイス100’と通信する。ネットワークインターフェース118は、内蔵ネットワークアダプタ、ネットワークインターフェースカード、PCMCIAネットワークカード、カードバスネットワークアダプタ、無線ネットワークアダプタ、USBネットワークアダプタ、又はモデム、あるいは、コンピューティングデバイス100を通信可能な任意のタイプのネットワークと接続し、本明細書に記載される動作を実行するのに適した任意の他のデバイスを含むことができる。
【0038】
実施形態によっては、コンピューティングデバイス100は、1つ以上のディスプレイデバイス124a~124nを含む場合があり、又はこれらに接続される場合がある。そのため、コンピューティングデバイス100によるディスプレイデバイス124a~124nの接続及び使用をサポートし、可能にし、又は提供するために、I/Oデバイス130a~130n及び/又はI/Oコントローラ123のいずれかは、任意のタイプ及び/又は形態の適当なハードウェア、ソフトウェア、又は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせを含むことができる。例えば、コンピューティングデバイス100は、ディスプレイデバイス(複数可)124a~124nと接続し、通信し、結合し、又は他の方法でそれらを使用するために、任意のタイプ及び/又は形態のビデオアダプタ、ビデオカード、ドライバ、及び/又はライブラリを含むことができる。一実施形態において、ビデオアダプタは、ディスプレイデバイス124a~124nと接続するための複数のコネクタを含むことができる。他の実施形態では、コンピューティングデバイス100は、複数のビデオアダプタを含むことができ、各ビデオアダプタが、ディスプレイデバイス(複数可)124a~124nに接続されてもよい。実施形態によっては、コンピューティングデバイス100のオペレーティングシステムの任意の部分が、複数のディスプレイデバイス124a~124nを使用するように構成される場合がある。さらに別の実施形態では、I/Oデバイス130は、システムバス150と、外部通信バスとの間のブリッジであってもよく、外部通信バスには例えば、USBバス、アップルデスクトップバス、RS-232シリアル接続、SCSIバス、FireWireバス、FireWire 800バス、イーサネットバス、AppleTalk(登録商標)バス、ギガビットイーサネットバス、非同期転送モードバス、ファイバチャネルバス、光ファイババス、SAS(Serial Attached SCSI)バス、USB接続、又はHDMIバスなどがある。
【0039】
図1B及び図1Cに示したタイプのコンピューティングデバイス100は、オペレーティングシステムの制御下で動作することができ、オペレーティングシステムはタスクのスケジューリングやシステムリソースへのアクセスを制御する。コンピューティングデバイス100では、任意のオペレーティングシステムを実行することができ、例えば、MICROSOFT(登録商標) WINDOWS(登録商標)オペレーティングシステムのいずれかのバージョン、Unix(登録商標)オペレーティングシステム及びLinux(登録商標)オペレーティングシステムの様々なリリース、Macintosh(登録商標)コンピュータ用のMAC OS(登録商標)のいずれかのバージョン、任意の組み込みオペレーティングシステム、任意のリアルタイムオペレーティングシステム、任意のオープンソースオペレーティングシステム、任意のプロプライエタリオペレーティングシステム、又は、モバイルコンピューティングデバイス用のオペレーティングシステム、あるいは、コンピューティングデバイス上で動作し、本明細書に記載された動作を実行することが可能な任意の他のオペレーティングシステムなどを実行することができる。代表的なオペレーティングシステムには、限定はしないが、とりわけ次のものが含まれる:Google(登録商標) Inc.が製造するAndroid(登録商標);ワシントン州レッドモンドのMicrosoft(登録商標) Corporationが製造するWINDOWS 7、8、10;カリフォルニア州クパチーノのApple Computerが製造するMAC OS;Research In Motion(RIM)が製造するWebOS;ニューヨーク州アーモンクのInternational Business Machinesが製造するOS/2;及び、ユタ州ソルトレイクシティのCaldera Corp.が配布する自由に利用可能なオペレーティングシステムであるLinux、若しくは任意のタイプ及び/又は形態のUnixオペレーティングシステムなど。
【0040】
コンピュータシステム又はコンピューティングデバイス100は、任意のワークステーション、電話機、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ若しくはノートブックコンピュータ、サーバ、ハンドヘルドコンピュータ、携帯電話若しくは他のポータブル電気通信装置、メディア再生デバイス、ゲームシステム、又はモバイルコンピューティングデバイス、あるいは、通信機能を有する任意の他のタイプ及び/又は形態のコンピューティングデバイス、電気通信装置若しくはメディアデバイスであってよい。実施形態によっては、コンピューティングデバイス100は、当該デバイスに適合する様々なプロセッサ、オペレーティングシステム、及び入力デバイスを有することができる。例えば、一実施形態において、コンピューティングデバイス100は、スマートフォン、モバイルデバイス、タブレット、又は携帯情報端末(PDA)である。また、コンピューティングデバイス100は、任意のワークステーション、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ若しくはノートブックコンピュータ、サーバ、ハンドヘルドコンピュータ、携帯電話、又は任意の他のコンピュータ、あるいは、通信機能を有し、かつ本明細書に記載された動作を実行するのに十分なプロセッサパワーとメモリ容量を有する、他の形態のコンピューティングデバイス若しくは電気通信装置であってもよい。
【0041】
上記の動作環境及び構成要素の種々の態様は、本明細書に開示するシステム及び方法の文脈において明らかになるであろう。
【0042】
B.ステーションとAPの通信
本明細書に開示されるものは、マルチリンクシングル無線機(MLSR)の動作向上のためのシステム及び方法である。例えば、AP(例えば、モバイルAP)は、2つ以上のリンクでフレームを送受信する無線機を使用することができる。マルチリンク無線機は、1つ以上のリンクを交互に使用することで、シングルリンク動作に比べて性能を向上させることができる。例えば、同じ無線機を一次リンクと二次リンクに関連付けて、ネットワークやデバイスの使用可否に応じて、無線機が、それらのリンクを介して交互に通信できるようにする。このようなデバイスは、同時送受信デバイスと比較して、無線機間のクロストークを抑えることができる。実施形態によっては、無線機は、一次リンク又は二次リンクのアクティブリンクを調整するために、チャネル制御情報を送受信する場合がある。実施形態によっては、無線機は、検出されたメッセージ又は他のネットワークノードの動作に基づいて、一次リンク又は二次リンクを暗黙的に決定する場合がある。
【0043】
「STA」とは、通信システムにおいて通信するための任意のデバイスを指す場合があり、一部の実施形態では、限定はしないが、固定型、可搬型若しくは携帯型のラップトップ、デスクトップパーソナルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、アクセスポイント、ワークステーション、ウェアラブルデバイス、スマートフォン、又はWi-Fi電話を含む場合がある。「アクセスポイント」(AP)は、一部の実施形態では、1つ以上の「非AP」デバイス(例えば、クライアントデバイス)をネットワークに通信可能に結合するためのデバイスを指す場合がある。より具体的には、APは、非APデバイスがネットワークに接続して通信することを可能にする。実施形態によっては、APは、非APデバイス間の無線通信を可能にするように構成された「無線アクセスポイント」(WAP)である場合がある。APは、限定はしないが、携帯型、可搬型式若しくは固定型のホットスポット、ルータ、ブリッジ、又は他の通信装置を含む。
【0044】
無線機とは、一部の実施形態では、データを無線通信するデバイスを指す場合がある。帯域とは、一部の実施形態では、無線スペクトルの所定の部分を指す場合がある。例えば、無線帯域には、5030~5990MHz、5945~7125MHz、2401~2495MHzのような、規格に従った連続スペクトルが含まれ得る。「リンク」とは、無線機間で無線通信のために帯域を細分化したもの、又は通信のための有線リンク(例えば、イーサネット)のような通信のための別のチャネルを指す場合がある。リンクには、周波数細分化、時間細分化、それらの組み合わせなどが含まれ得る。マルチリンクシングル無線機(MLSR)は、少なくとも2つのリンク(例えば、少なくとも1つの帯域の2つのリンク)を介して選択的に動作するように構成された無線機を指す場合がある。例えば、MLSR無線機は、無線スペクトルの混雑に応答して、複数のリンクを介して動作したり、それらの間の送信又は受信を交互に行うことでスループットを向上させたりすることができる。例えば、MLSRは、一次リンク、二次リンクなどを介して動作することができる。実施形態によっては、一次リンクとは、MLSR無線機を含むデバイスのようなデバイスが使用可能な、デフォルトの、初期の、若しくは最初のリンクを指す場合がある。実施形態によっては、二次リンクとは、MLSR無線を含むデバイスのようなデバイスが利用可能な、デフォルトではない、代替の、若しくは第2のリンクを指す場合がある。一部の実施形態において、オーバーラッピング基本サービスセット(OBSS)通信とは、第2の基本サービスセットのデバイスによって検出された第1の基本サービスセットのデバイスによって送信又は受信された通信を指す場合がある。一部の実施形態において、(帯域又はリンクの)同時監視とは、帯域又はリンクのいずれかにおける無線メッセージの存在又は内容を検出することができるように、無線機が複数の帯域又はリンクを監視することを指す場合がある。一部の実施形態において、メッセージの内容とは、メッセージの本文、メッセージのヘッダ、メッセージのプリアンブルなどにある情報を指す場合がある。
【0045】
図2を参照すると、一部の実施形態による、無線ネットワークのためのスペクトルカバレッジマップ200が示されている。無線ネットワークの5GHz帯のような第1の帯域205は、第1のリンク215を含む場合がある。第1のリンク215は、無線ネットワークの第1の帯域205についての一次リンクであってもよい。第1のリンク215は、約5250MHzを中心とする160MHzチャネル(例えば、チャネル50)である場合がある。第1の帯域205は、第2のリンク220を含む場合がある。第2のリンク220は、無線ネットワークの第1の帯域205についての二次リンクであってもよい。第2のリンク220は、約5570MHzを中心とする160MHzチャネル(例えば、チャネル114)である場合がある。無線ネットワークの6GHz帯域のような第2の帯域210は、第3のリンク225を含む場合がある。第3のリンク225は、無線ネットワークの第2の帯域210についての一次リンクであってもよい。例えば、第3のリンク225は、約6025MHzを中心とする160MHzチャネルである場合がある。第2の帯域210は、第4のリンク230を含む場合がある。第4のリンク230は、無線ネットワークの第2の帯域210についての二次リンクであってもよい。例えば、第4のリンク230は、約6345MHzを中心とする160MHzチャネルである場合がある。図示した例は、限定を意図するものではない。様々な実施形態によれば、いくつかの帯域、リンク、又は無線機が追加され、省略され、又は置換されてもよい。例えば、2.4GHz帯域の無線機が追加されたり、6GHz帯域の無線機が省略されたり、1つ以上のリンクが異なる中心周波数又は帯域幅を有するように構成されたりしてもよい。また、帯域ごとに3次リンク、4次リンクなどが定義されてもよい。このような非一次リンクは、一般に「二次」リンクと呼ばれることもある。無線機を追加して、1つ以上の帯域を監視したり、それらを介して通信したりしてもよい。例えば、MLSR無線機は、2つ以上の帯域を交互に使用することができ、又は帯域ごとに1つ以上の無線機を含むことができる。
【0046】
第1の無線機235は、リンクを監視したり、リンク上にフレームを送信したり、又はリンクからフレームを受信したりするように構成され得る。例えば、第1の無線機235は、第1の帯域205の一次リンクを監視することができる。第1の無線機235は、STA又はAP(例えば、モバイルAP)の無線機であってもよい。第1の無線機235は、無線ネットワークの様々なデバイスと通信することができる。第1の無線機235は、第1のリンク215上でOBSS-PD又は他の通信を検出することができる。OBSS-PD又は他の通信の検出に応答して、第1の無線機235は、第2のリンク220を監視することができる。第1の無線機235は、第2のリンク220に移行の指示を伝えることができる。例えば、第1の無線機235は、制御チャネル(図示せず)を介してこの指示を伝えることができる。第2の無線機240は、第1の無線機235が第1のリンク215と第2のリンク220を交互に使用するのと同様の形で、第3のリンク225と第4のリンク230を交互に使用することができる。一部の実施形態では、第1のリンク215、第2のリンク220、第3のリンク225、又は第4のリンク230は、構成要素リンクに細分化される場合があり、あるいは、各帯域について、追加のリンクが定義される場合がある。様々な無線機が、1つ以上のリンクを監視することができる。例えば、第1の無線機235は、構成要素リンク又は追加リンクを監視する場合があり、あるいは、追加の無線機が、追加のリンクを監視する場合がある。
【0047】
第3の無線機245又は第4の無線機250は、第1の無線機235又は第2の無線機240によって監視されないリンクを監視することができる。例えば、第3の無線機245は、第1の無線機235に関連付けられたアドレス宛ての送信を検出すると、未監視のリンクを監視すべきことを示す指示を、第1の無線機235に伝えることができる。例えば、第1の無線機235とネットワーク通信しているデバイスは、一次リンク(例えば、第1のリンク215)上でOBSS通信を検出すると、二次リンク(例えば、第2のリンク220)に移行し、二次リンクを介して第1の無線機235に送信することができる。第1の無線機235は、OBSS通信が検出されない場合、一次リンクの監視を継続することができる。第3の無線機245は、第1の無線機235への送信(例えば、RTSメッセージ)を検出すると、二次リンクを監視すべきこと、又は、第1の無線機235への送信に対する応答を送信すべきこと(例えば、CTSメッセージを送信すべきこと)を示す指示を、第1の無線機235に伝えることができる。様々な無線機が、検出されたOBSS通信の継続時間以下の継続時間を有するフレームを送信することができる。様々な無線機は、パケットのPHYプリアンブル、MACヘッダ、パケットタイプ、又は別の識別子(例えば、パケット間継続時間情報)に従って、OBSS通信の継続時間を検出することができる。
【0048】
第1の無線機235、第2の無線機240、第3の無線機245、又は第4の無線機250の各々は、アンテナ、増幅器、アナログデジタル変換器、又は無線周波数(RF)変換回路のチェーンの他の様々な部分を含む場合があり、又はそれらと接続される場合がある。1つ以上の無線機が、RFチェーンの1つ以上のコンポーネントを共有する場合がある。一部の実施形態では、第3の無線機245及び第4の無線機250は、第1の無線機235及び第2の無線機240のRFチェーンとは異なるRFチェーンを共有して、第1の帯域205及び第2の帯域210を同時に監視することができる。一部の実施形態では、第1の無線機235及び第3の無線機245は、第2の無線機240及び第4の無線機250とは別個のRFチェーンを共有することができる。一部の実施形態では、第2の無線機240及び第4の無線機250は、第1の無線機235及び第3の無線機245とは別個のRFチェーンを共有することができる。一部の実施形態では、第3の無線機245と第4の無線機250は、省略されてもよい。例えば、一次リンク上でOBSS通信が検出されない場合、二次リンクは未監視のままであってもよい。様々な無線機が、1つ以上のプロセッサ又は他の論理デバイスに接続することができる。デバイスの各自の無線機の間の通信は、1つ以上のプロセッサにおける各自のリンクに関連付けられた情報の伝送を指す場合がある。
【0049】
図3は、一部の実施形態による、様々なオーバーラッピング基本サービスセット(OBSS)と接続するBSS305を示すネットワーク図300である。BSS305は、AP310(例えば、モバイルAP310)及び1つ以上のSTA(例えば、非AP)を含む場合がある。例えば、BSS305は、第1のSTA315又は第2のSTA320を含む場合がある。BSS305の様々なデバイスは、その位置、利得、又は他の特性に従って、1つ以上のOBSSのOBSS通信を検出することができる。例えば、AP310は、第1のOBSS330からのOBSS通信を検出することができ、又は第1のSTA315は、第2のOBSS335からのOBSS通信を検出することができる。1つ以上の側波帯リンク325は、BSS305の様々なデバイスを相互接続することができる。例えば、側波帯リンク325は、同じ無線ネットワーク(例えば、2.4GHz帯)の同じ無線帯域上又は異なる無線帯域上の異なる無線リンクであり得る。
【0050】
第1のOBSS330又は第2のOBSS335には、様々なAP又はSTAデバイスが含まれ得る。OBSS通信には、アップリンク送信、ダウンリンク送信、ブロードキャストメッセージ、アドホックメッセージなどが含まれ得る。BSS305は、無線ネットワークの帯域の一次リンク及び二次リンクを含む場合がある。以下、図4図8では、シーケンス図のための無線ネットワークの例として、図3の様々な要素が参照される。このような参照は、単に例示的な実施形態を提供するためのものであり、限定するものではない。例えば、様々なネットワークには、もっと多くの、もっと少数の、若しくは別のデバイス、側波帯リンク325(例えば、有線又は無線リンク)などが含まれ得る。例えば、一部の実施形態では、BSS305と様々なOBSSとの間に側波帯通信を使用することができる。さらに、一部のOBSSは、AP310とそれと通信中のSTAとの両方によって検出できる場合がある。例えば、AP310及びSTAは、二次リンクに移行し、通信を継続することができる。
【0051】
図4は、一部の実施形態による、APによって検出可能であるが、STAによって検出不能なOBSS通信が存在するときの、AP310(例えば、モバイルAP)とSTA(例えば、非AP)との間の通信に関するシーケンス図400である。このようなシーケンスは、例えば、図3のAP310、第1のOBSS330、及び第2のSTA320に関して示すことができる。
【0052】
動作405において、AP310は、第1のOBSS330からの通信を検出する。例えば、この通信は、AP310の一次リンク上で検出される場合がある。検出に応答して、AP310は、非一次リンク(例えば、二次リンク)に移行することができる。その後、動作410において、AP310は、二次リンクを介して第2のSTA320との間でフレーム交換を開始することができる。フレーム交換の開始は、例えば、802.11 EDCA機能の一部としてのCCA動作と、その後に続くRTSとを含む場合がある。動作415において、第2のSTA320は、そのRTSにCTSで応答することができる。CTSを受信すると、動作420において、AP310は、二次リンクが利用可能であり、かつ、第2のSTA320がマルチリンクSTAであると判断し、二次リンクを介した通信を進めることができる。
【0053】
AP310と第2のSTA320との間の通信中、第1のSTA315のような非APデバイスは、一次リンクを介してAP310とのフレーム交換を開始しようと試みることができる。例えば、動作425において、第1のSTA315は、AP310に送信することができる。この送信は、802.11 EDCA機能の一部としてCCAを実施することに応答するRTS又はデータフレームのいずれかである場合があり、802.11 EDCA機能は、第1のOBSS330を検出しない。AP310は、RTS又はデータフレームのいずれかを受信できない場合があり、すなわち、RTS又はデータフレームに応答できない場合がある(例えば、データフレームの受領確認を送れない場合や、CTSに応答できない場合がある)。いずれの場合も、第1のSTA315は、動作430において、一次リンク又はAP310が使用不可であると判断し、送信を後の時間に延期することができる。
【0054】
図5は、一部の実施形態による、STAによって検出可能であるが、APによって検出可能なOBSS通信が存在するときの、AP310(例えば、モバイルAP)とSTA(例えば、非AP)との間の通信に関するシーケンス図500である。このようなシーケンスは、例えば、図3のAP310、第2のOBSS335、及び第1のSTA315に関して示すことができる。
【0055】
動作505において、第1のSTA315のような非APは、第2のOBSS335からの通信を検出する。例えば、第1のSTA315は、一次リンク上でこの通信を検出する場合がある。検出に応答して、第1のSTA315は、非一次リンク(例えば、二次リンク)に移行することができる。その後、動作510において、第1のSTA315は、二次リンクを介してRTSを送信することができる。一次リンク上のOBSS通信がAP310によって検出されなかった場合、AP310は、二次リンクの使用に基づくRTSを受信しないか、又は無視することができる。逆に、一次リンク上のOBSS通信が第1のSTA315によって検出された場合、動作515において、AP310によって第1のSTA315に送信されたRTSは、その一次リンクの使用に基づき、第1のSTA315によって受信されないか、又は無視される場合がある。CTSが受信されない場合、いずれかのデバイスは、例えば、802.11EDCAプロトコルに基づいて延期することができ、その後、プロトコルで許可されるように再送(図示せず)を試みる。
【0056】
図6は、一部の実施形態による、APによって検出可能なOBSS通信と、STAによって検出可能な別のOBSS通信とが存在するときの、AP310(例えば、モバイルAP)とSTA(例えば、非AP)との間の通信を示すシーケンス図600である。このようなシーケンスは、AP310、第1のSTA315、第1のOBSS330、又は第2のOBSS335に関して示すことができる。
【0057】
動作605において、AP310と非AP(たとえば、第1のSTA315)の各々は、一次リンク上の異なるOBSSを検出することができる。AP310及び第1のSTA315によって検出されたOBSSは、異なる継続時間を有する場合がある。例えば、AP310は、第1の継続時間を有する第1のOBSS330を検出することができ、第1のSTA315は、第2の継続時間を有する第2のOBSS335を検出する場合がある。検出に応答して、AP310と非APは両方とも、非一次リンクに移行することができる。その後、シーケンスは、動作610又は動作615へ進むことができる。動作610で、AP310は、第1のSTA315との間のフレーム交換を開始することができ、動作615で、第1のSTA315は、AP310との間のフレーム交換を開始することができる。動作620で、第1のSTA315は、動作610のRTSの受信に応答して、第1のSTA315が検出したOBSSの継続時間が第1のSTA315がRTSを介して受信した継続時間以上である場合、RTSと同じ継続時間を示すCTSを送信することができる。動作625で、AP310は、動作615のRTSの受信に応答して、AP310が検出したOBSSの継続時間がRTSを介してAP310が受信した継続時間以上である場合、RTSと同じ継続時間を示すCTSを送信することができる。動作625をさらに参照すると、AP310は、動作615のRTSの受信に応答して、第1のAP310が検出したOBSSがRTSを介して受信した継続時間未満であるという判定に応答して、第1の継続時間(例えば、RTSよりも少ない継続時間)を示すCTSを送信することができる。その後、第1のSTA315は、その少ない第1の継続時間を使用して、AP310との間でフレーム交換をすることができる。
【0058】
「又は」という記載は、包括的なものとして解釈することができる。したがって、「又は」を用いて記載された任意の項目は、記載された項目のうちの一つ、複数、及び全部のいずれかを示すことができる。接続可能な項目のリストのうちの少なくとも1つへの言及は、記載された項目のうちの一つ、複数、及び全部のいずれかを示す包括的ORとして解釈される場合がある。例えば、「A’及びB’のうちの少なくとも一方」という記載は、「A’」のみ、及び「B’」のみだけでなく、「A’」と「B’」の両方も含み得る。「含む」その他のオープンな語とともに使用されるこれらの記載は、追加の項目を含むことができる。
【0059】
本開示の特定の箇所は、送信空間ストリーム、サウンディングフレーム、応答、及びデバイスのサブセットに関して、あるものを別のものから又は他のものから識別し又は区別する目的で、「第1の」及び「第2の」のような語を使用する場合があることに留意されたい。これらの語は、エンティティ(例えば、第1のデバイスと第2のデバイス)を単に時間的に関連付け、すなわち順番に従って関連付けることを意図したものではない。ただし、場合によっては、これらのエンティティがそのような関係を有する場合もある。また、これらの用語は、システム又は環境内で動作し得るエンティティ(例えば、STA、AP、ビーム形成器及び/又は被ビーム形成物)の数を制限するものではない。上述したシステムは、これらの構成要素のいずれか又はそれぞれの複数のものを提供することができ、また、これらの構成要素は、スタンドアロンのマシンに提供されてもよいし、実施形態によっては、分散システム内の複数のマシンに提供されてもよいことを理解すべきである。さらに、ビットフィールドの位置を変更したり、マルチビットワードを使用したりしてもよい。さらに、上述したシステム及び方法は、1つ以上の製品(例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、CD-ROM、フラッシュメモリカード、PROM、RAM、ROM、又は磁気テープ)に具現化された、1つ以上のコンピュータ読み取り可能プログラム又は実行可能命令として提供されてもよい。これらのプログラムは、LISP、PERL、C、C++、C#のような如何なるプログラミング言語で実施されてもよく、又はJAVA(登録商標)のような如何なるバイトコード言語で実施されてもよい。ソフトウェアプログラム又は実行可能命令は、オブジェクトコードとして1つ以上の製品に格納されてもよい。
【0060】
本方法及びシステムに関する上記の説明から、当業者はその種々の実施形態を作成し、使用することができるが、当業者であれば、本明細書における特定の実施形態、方法、及び例の変形、組み合わせ、及び等価物の存在を理解し、認識するであろう。したがって、本方法及びシステムは、上述した実施形態、方法、及び例によって限定されるべきではなく、本開示の範囲及び思想の範囲内のすべての実施形態及び方法によって限定されるべきである。

図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】