(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070855
(43)【公開日】2024-05-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0639 20230101AFI20240516BHJP
【FI】
G06Q10/0639
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023193238
(22)【出願日】2023-11-13
(31)【優先権主張番号】P 2022181400
(32)【優先日】2022-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500240771
【氏名又は名称】株式会社アーティスソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 盛廣
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】ユーザからの要求に応じて決定された評価項目の数を用いて、対象の評価結果を表示する。
【解決手段】情報処理装置は、ユーザから要求を受け付ける受け付け手段と、前記要求に応じて評価項目の数を決定する決定手段と、前記決定された項目の数に対応する数の多角形の形状を有するレーダーチャートを用いて対象者の評価を表す画像を出力する出力手段とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから要求を受け付ける受け付け手段と、
前記要求に応じて評価項目の数を決定する決定手段と、
前記決定された項目の数に対応する数の多角形の形状を有するレーダーチャートを用いて対象者の評価を表す画像を出力する出力手段と
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記評価項目が階層化されている
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記出力手段は、表示されているレーダーチャートに含まれる1つの項目が選択されると、選択された項目の下位の階層の項目に対応する数の多角形の形状を有する新たなレーダーチャートを出力する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記評価項目が、少なくとも一部の階層においてレーダーチャート以外の他の形式と対応付けられ、
前記出力手段は、表示されているレーダーチャートに含まれる1つの項目が選択されると、選択された項目の下位の項目に対応する形式で当該項目を視覚的に出力する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記決定手段は、要求に応じて各階層の評価項目の数を決定する
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記要求が、前記対象者の属性情報を含み、
前記決定手段は、前記属性情報に応じて前記評価項目の数を決定する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記属性情報に応じて前記評価項目の組み合わせを決定する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記要求が、あらかじめ決められた質問に対するユーザの回答を示す情報を含み、
前記決定手段は、前記回答に応じて前記評価項目の数を決定する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記決定手段は、前記回答に応じて前記評価項目の組み合わせを決定する
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
一の階層における前記評価項目の評価結果を、当該階層の1つ下の階層の評価結果から計算する計算手段
を有する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記計算手段は、前記1つ下の階層の評価結果の加重平均により計算する
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記加重平均における重みが、前記対象者の属性に応じて定義される
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記評価項目の数を増加又は減少させる指示を受け付ける受付手段と、
前記指示に応じて前記多角形の形状を変更する変更手段と
を有する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記対象者の評価の目標を設定する目標設定手段と、
前記出力手段は、前記画像として、前記目標設定手段により設定された目標と前記対象者の評価とを対比するUIオブジェクトを含む画像を出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
ユーザから要求を受け付ける受け付け手段と、
前記要求に応じて評価項目の数を決定する決定手段と、
前記決定された項目の数に対応する数の多角形の形状を有するレーダーチャートを用いて対象者の評価を表す画像を出力する出力手段と
を有する情報処理システム。
【請求項16】
ユーザから要求を受け付けるステップと、
前記要求に応じて評価項目の数を決定するステップと、
前記決定された項目の数に対応する数の多角形の形状を有するレーダーチャートを用いて対象者の評価を表す画像を出力するステップと
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象の評価結果を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
対象の評価項目をレーダーチャートで表示する技術が知られている。例えば特許文献1~3は、レーダーチャートに複数の項目(特許文献1では人材の評価項目、特許文献2及び3ではエンジン及び車両の評価項目)を表示するシステムを開示している。評価項目はあらかじめ階層化されており、レーダーチャートに表示される項目のうち1つが選択されると、その項目の下位の階層の評価項目が別のレーダーチャートで表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4942842号公報
【特許文献2】特開2007-128443号公報
【特許文献3】特許第4640603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3に記載された技術においては、レーダーチャートの評価項目はあらかじめ決められており、改善の余地があった。
【0005】
これに対し本発明は、ユーザからの要求に応じて決定された評価項目の数を用いて、対象の評価結果を表示する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、ユーザから要求を受け付ける受け付け手段と、前記要求に応じて評価項目の数を決定する決定手段と、前記決定された項目の数に対応する数の多角形の形状を有するレーダーチャートを用いて対象者の評価を表す画像を出力する出力手段とを有する情報処理装置を提供する。
【0007】
前記評価項目が階層化されていてもよい。
【0008】
前記出力手段は、表示されているレーダーチャートに含まれる1つの項目が選択されると、選択された項目の下位の階層の項目に対応する数の多角形の形状を有する新たなレーダーチャートを出力してもよい。
【0009】
前記評価項目が、少なくとも一部の階層においてレーダーチャート以外の他の形式と対応付けられ、前記生成手段は、表示されているレーダーチャートに含まれる1つの項目が選択されると、選択された項目の下位の項目に対応する形式で当該項目を視覚的に出力してもよい。
【0010】
前記決定手段は、要求に応じて各階層の評価項目の数を決定してもよい。
【0011】
前記要求が、前記対象者の属性情報を含み、前記決定手段は、前記属性情報に応じて前記評価項目の数を決定してもよい。
【0012】
前記決定手段は、前記属性情報に応じて前記評価項目の組み合わせを決定してもよい。
【0013】
前記要求が、あらかじめ決められた質問に対するユーザの回答を示す情報を含み、前記決定手段は、前記回答に応じて前記評価項目の数を決定してもよい。
【0014】
前記決定手段は、前記回答に応じて前記評価項目の組み合わせを決定してもよい。
【0015】
この情報処理装置は、一の階層における前記評価項目の評価結果を、当該階層の1つ下の階層の評価結果から計算する計算手段を有してもよい。
【0016】
前記計算手段は、前記1つ下の階層の評価結果の加重平均により計算してもよい。
【0017】
前記加重平均における重みが、前記対象者の属性に応じて定義されてもよい。
【0018】
この情報処理装置は、前記評価項目の数を増加又は減少させる指示を受け付ける受付手段と、前記指示に応じて前記多角形の形状を変更する変更手段とを有してもよい。
【0019】
前記対象者の評価の目標を設定する目標設定手段と、前記出力手段は、前記画像として、前記目標設定手段により設定された目標と前記対象者の評価とを対比するUIオブジェクトを含む画像を出力してもよい。
【0020】
本開示の別の一態様は、ユーザから要求を受け付ける受け付け手段と、前記要求に応じて評価項目の数を決定する決定手段と、前記決定された項目の数に対応する数の多角形の形状を有するレーダーチャートを用いて対象者の評価を表す画像を出力する出力手段とを有する情報処理システムを提供する。
【0021】
本開示のさらに別の一態様は、ユーザから要求を受け付けるステップと、前記要求に応じて評価項目の数を決定するステップと、前記決定された項目の数に対応する数の多角形の形状を有するレーダーチャートを用いて対象者の評価を表す画像を出力するステップとを有する情報処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ユーザからの要求に応じて決定された評価項目の数を用いて、対象の評価結果を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】一実施形態に係る評価支援システム1の概要を示す図。
【
図2】評価支援システム1の機能構成を例示する図。
【
図3】サーバ10のハードウェア構成を例示する図。
【
図4】ユーザ端末20のハードウェア構成を例示する図。
【
図5】評価支援システム1における評価結果の閲覧動作を例示するフローチャート。
【
図6】ステップS2の処理の詳細を例示するフローチャート。
【
図7】スキルの基本重要度と職種及び職階との関係を例示する図。
【
図8】データベース111に記録されたデータを例示する図。
【
図9】表示されるスキルマップの初期状態を例示する図。
【
図10】データベース111における大項目と中項目との対応関係を例示する図。
【
図13】チェック項目のスキルマップを例示する図。
【
図14】ステップS2の処理の詳細の別の例を示すシーケンスチャート。
【
図16】ヒアリングの回答と評価図形の形状とを対応させるデータベース。
【
図17】ある対象者の評価及び目標の表示画面を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1.構成
図1は、一実施形態に係る評価支援システム1の概要を示す図である。評価支援システム1は、企業又は非営利団体等の団体において従業員等の構成員のパフォーマンスを評価する業務を支援する。すなわち評価支援システム1は、評価支援サービスを提供する。評価支援システム1は、サーバ10及びユーザ端末20を有する。サーバ10は、評価支援サービスにおけるサーバとして機能するコンピュータ装置である。ユーザ端末20は、評価支援サービスにおけるクライアントとして機能するコンピュータ装置である。
【0025】
評価支援システム1は、対象者の評価結果を視覚的に、具体的にはレーダーチャートを用いて表示する。レーダーチャートとは、複数の評価項目がある変量を構成比に直すことなく正多角形上に表現したグラフをいう。評価項目が対象者のスキルに関するものであるので、ここではこのレーダーチャートを特に「スキルマップ」という。
【0026】
この例において、スキルマップは階層化されている。例えば、スキルマップは、大項目、中項目、小項目、及びチェック項目の4段階に階層化される。評価図形の形は、各階層において定義される。初期状態では、このうち1つの階層、例えば最上位の大項目のみが表示される。表示されている複数の大項目の中から1つの大項目が選択されると、選択された大項目に対応する複数の中項目がマッピングされた評価図形が表示される。表示されている複数の中項目の中から1つの中項目が選択されると、選択された中項目に対応する複数の小項目がマッピングされた評価図形が表示される。
【0027】
図2は、評価支援システム1の機能構成を例示する図である。評価支援システム1は、記憶手段11、受け付け手段12、決定手段13、出力手段14、受け付け手段15、変更手段16、制御手段19、記憶手段21、受け付け手段22、通信手段23、及び制御手段29を有する。これらのうち、記憶手段11、受け付け手段12、決定手段13、出力手段14、受け付け手段15、変更手段16、及び制御手段19はサーバ10に、記憶手段21、受け付け手段22、通信手段23、及び制御手段29はユーザ端末20に、それぞれ実装される。
【0028】
サーバ10において、記憶手段11は各種のデータ及びプログラムを記憶する。この例において、記憶手段11が記憶するデータには、データベース111及びデータベース112が含まれる。データベース111は、スキルマップのレーダーチャートに関する情報、特に、レーダーチャートを構成する多角形の頂点の数に関する情報が記録されたデータベースである。データベース112は、対象者(例えば企業の従業員)に対する評価結果が記録されたデータベースである。対象者の評価は、例えば対象者の上司又は人事担当社員により行われる。
【0029】
受け付け手段12は、ユーザ端末20から(すなわちユーザから)要求を受け付ける。決定手段13は、受け付け手段12が受け付けた要求に応じて評価項目の数すなわち多角形の頂点の数を決定する。出力手段14は、決定手段13により決定された評価項目の数に対応する数の頂点を有する多角形で構成されるレーダーチャートを用いて対象者の評価を表す画像を表示するためのデータを、この例ではユーザ端末20に出力する。
【0030】
受け付け手段15は、評価項目の数を増加又は減少させる指示を、この例ではユーザ端末20から受け付ける。変更手段16は、受け付け手段15が受け付けた指示に応じて多角形の形状を変更する。制御手段19は、各種の処理を行う。
【0031】
ユーザ端末20において、記憶手段21は、各種のデータ及びプログラムを記憶する。受け付け手段22は、ユーザから指示又は情報の入力を受け付ける。通信手段23は、サーバ10等、他の装置と通信する。制御手段29は、各種の制御を行う。
【0032】
図3は、サーバ10のハードウェア構成を例示する図である。サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、ストレージ103、及び通信IF104を有する。CPU101は、プログラムに従って処理を実行する装置である。メモリ102は、CPU101が処理を実行する際にワークスペースとして機能する記憶装置であり、例えばRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。ストレージ103はデータ及びプログラムを記憶する記憶装置であり、例えばSSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disk Drive)を含む。通信IF104は所定の通信規格(例えばイーサネット(登録商標))に従って他のコンピュータ装置と通信を行う。
【0033】
この例においてストレージ103が記憶するプログラムには、コンピュータを評価支援システム1におけるサーバとして機能させるためのプログラム(以下「サーバプログラム」という)が含まれる。CPU101がサーバプログラムを実行している状態において、メモリ102及びストレージ103が記憶手段11の一例であり、通信IF104が受け付け手段12、出力手段14、及び受け付け手段15の一例であり、CPU101が決定手段13、変更手段16、及び制御手段19の一例である。
【0034】
図4は、ユーザ端末20のハードウェア構成を例示する図である。ユーザ端末20は、CPU201、メモリ202、ストレージ203、通信IF204、入力装置205、及び出力装置206を有する。ユーザ端末20は、例えば、PC(Personal Computer)、タブレット端末、又はスマートフォンである。CPU201は、プログラムに従って処理を実行する装置である。メモリ202は、CPU201が処理を実行する際にワークスペースとして機能する記憶装置であり、例えばRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。ストレージ203はデータ及びプログラムを記憶する記憶装置であり、例えばSSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disk Drive)を含む。通信IF204は所定の通信規格(例えばイーサネット(登録商標))に従って他のコンピュータ装置と通信を行う。入力装置205は、ユーザからユーザ端末20への情報又は命令の入力を受け付ける装置であり、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチスクリーン、及びマイクロフォンの少なくとも1種を含む。出力装置206は、ユーザに情報を出力する装置であり、例えば、ディスプレイ及びスピーカの少なくとも1種を含む。
【0035】
この例においてストレージ203が記憶するプログラムには、コンピュータを評価支援システム1におけるクライアントとして機能させるためのプログラム(以下「クライアントプログラム」という)が含まれる。クライアントプログラムは、専用のアプリケーションプログラム又は汎用のウェブブラウザである。CPU201がクライアントプログラムを実行している状態において、メモリ202及びストレージ203の少なくとも一方が記憶手段21の一例であり、入力装置205が受け付け手段22の一例であり、通信IF204が通信手段23の一例であり、CPU201が制御手段29の一例である。
【0036】
2.動作
2-1.評価結果の閲覧
図5は、評価支援システム1における評価結果の閲覧動作を例示するフローチャートである。ユーザは、例えば、企業において人事を担当する者である。ユーザは、ユーザ端末20を用いてサーバ10にアクセスする。ユーザのアカウントはサーバ10において事前に登録されている。サーバ10は、登録ユーザに関する情報を記録するデータベース(図示略)を有する。サーバ10は、周知の処理によりユーザを認証する。ユーザを認証すると、サーバ10は、ユーザ端末20に対し以下の処理を行うことを許可する。
【0037】
ユーザ端末20は、サーバ10に対し、スキル評価の処理を要求する。この要求は、スキル評価の対象者を特定する識別情報を含む。サーバ10は、ユーザ端末20からスキル評価の要求を受け付ける(ステップS1)。スキル評価の要求を受け付けると、サーバ10は、対象者の属性情報を取得する。対象者の属性情報は、サーバ10が有するデータベース(図示略)から取得されてもよいし、スキル評価の要求とともにユーザ端末20から取得されてもよい。対象者の属性情報は、例えば、対象者の氏名、年齢、性別、職歴、職種、部店、及び職階のうち少なくとも1種を含む。なお、部店とは、対象者の所属部署又は所属店舗をいう。職階とは、職務上の階級をいう。
【0038】
ステップS2において、サーバ10は、評価図形の形すなわち頂点の数を決定する。
【0039】
図6は、ステップS2の処理の詳細を例示するフローチャートである。ステップS201において、サーバ10は、各スキルの基本重要度を読み出す。スキルの基本重要度は、対象者の属性情報である職種と職階とに応じてあらかじめ定義されている。
【0040】
図7は、スキルの基本重要度と職種及び職階との関係を例示する図である。この例では、「営業」、「事務」、及び「企画開発」の3つの職種が示されている。職階は全ての職種について、「若手」、「中堅」、及び「管理職」の3つに区分されている。各職種について、「基本スキル」、「資格知識」、「業務スキル」、「パーソナリティ特性」、「ヒューマンスキル」、「コンセプチュアルスキル」の5つのスキルが定義されている。この例では全ての職種に対して共通のスキルが定義されるが、職種毎に独自にスキルが定義されてもよい。
【0041】
各スキルに対し、複数の職階の各々につき重要度が定義される。この例では、重要度が、A、B、及びCの3段階で定義される。Aが最も重要度が高く、Cが最も重要度が低い。
図7の関係を示すデータベースが記憶手段11に記憶される。サーバ10は、このデータベースから、対象者の職種及び職階に対応するスキルの基本重要度を読み出す。
【0042】
図7はスキルの基本重要度と職種及び職階との関係を示しているが、スキルの基本重要度と部店との関係も同様に、データベース(図示略)において定義される。サーバ10は、このデータベースを参照して、対象者の部店に対応するスキルの基本重要度を読み出す。
【0043】
再び
図6を参照する。ステップS202において、サーバ10は、重視するスキル(以下単に「重視スキル」という)を決定する。サーバ10は、例えば対象者の職種及び部店特性に応じて、重視スキルを決定する。サーバ10は、対象者の職種及び職階に応じて読み出された基本重要度P1、及び対象者の所属する部店に応じて読み出された基本重要度P2を用いてスキルの重要度を算出する。スキルの重要度は、例えば、基本重要度P1及び基本重要度P2の和、加重平均、又は積などを用いて計算される。サーバ10は、こうして計算された重要度が基準値よりも大きいスキルを重視スキルとして決定する。この基準値は、対象者の属性、例えば職種及び部店特性に応じて決められる。あるいは、基準値は、全ての対象者について共通の値が用いられてもよい。
【0044】
ステップS203において、サーバ10は、重視スキルに応じて、評価図形を決定する。この例において、評価図形は正n角形(すなわち正多角形)である。サーバ10は、重視スキルと、評価図形の形状(すなわちnの値又は頂点の数)との対応関係が記録されたデータベース111を有する。サーバ10は、このデータベースを参照して評価図形を決定する。
【0045】
図8は、データベース111に記録されたデータを例示する図である。データベース111においては、各列において、重視スキル(すなわち頂点に対応する評価項目)と評価図形の形状が定義される。図示された例においては、他のスキルとまとめられず単独の項目として残っているものが重視スキルである。例えば、「4角形-1」という評価図形は、「ヒューマンスキル」、「パーソナリティ特性」、及び「コンセプチュアルスキル」の3つのスキルが重視スキルである評価図形として定義されている。サーバ10は、データベース111から、ステップS202において決定された重視スキルと対応する評価図形の形状を特定する。例えば、「基本スキル」、「資格知識」、「業務スキル」、「パーソナリティ特性」、「ヒューマンスキル」、及び「コンセプチュアルスキル」の6つのスキルすべてが重視スキルである場合、サーバ10は、評価図形の形状を6角形と決定する。「基本スキル」、「資格知識」、「業務スキル」、及び「コンセプチュアルスキル」の4つのスキルが重視スキルである場合、サーバ10は、これら4つのスキルが単独で項目として上げられている評価図形を選択する。すなわちサーバ10は、重視スキル以外のスキルを1つにまとめ、4つの重視スキルと合わせて評価図形の形状を5角形と決定しているということもできる。
【0046】
なお、
図8の各列において評価項目の名称の後に(I)等の表記があるが、これは、定義されたスキルを表す。例えば、(I)は基本スキルを、(II)は資格知識を、(III)は業務スキルを、(IV)はパーソナリティ特性を、(V)はヒューマンスキルを、(VI)はコンセプチュアルスキルを、それぞれ示す。例えば
図8において5角形の「ヒューマンスキル(IV+V)」は、パーソナリティ特性(IV)とヒューマンスキル(V)の2つのスキルを統合し、新たに「ヒューマンスキル(IV+V)」と定義したことを示す。
【0047】
データベース111においては、評価図形の形状に加え、評価図形において用いられる大項目が定義されている。例えば、「基本スキル」「資格知識」、「業務スキル」、及び「コンセプチュアルスキル」の4つのスキルが重視スキルである場合、評価図形においては、「基本スキル」「資格知識」、「業務スキル」、及び「コンセプチュアルスキル」の4つの大項目に、残りの「パーソナリティ特性」と「ヒューマンスキル」の2つを1つにまとめて「ヒューマンスキル」という大項目として追加した5つの大項目が用いられる。
【0048】
なおこの例では、項目の数が重視スキルの数より多い評価図形については、定義されたスキルのうち重視スキルではないスキル(以下「非重視スキル」という)を統合した項目が定義される。例えば、「基本スキル」、「資格知識」、「業務スキル」、「パーソナリティ特性」、「ヒューマンスキル」、及び「コンセプチュアルスキル」の6つのスキルが定義されており、このうち、「基本スキル」、「資格知識」、「業務スキル」、及び「コンセプチュアルスキル」の4つのスキルが重視スキルである(すなわち、「パーソナリティ特性」及び「ヒューマンスキル」が非重視スキルである)例を考える。この場合、非重視スキルである「パーソナリティ特性」及び「ヒューマンスキル」が統合された「ヒューマンスキル」が定義される。
【0049】
再び
図5を参照する。評価図形を決定すると、サーバ10は、ユーザ端末20においてスキルマップを表示させるためのデータを生成する(ステップS3)。スキルマップの初期状態は、評価図形において、対象者の評価結果をマッピングしたものであり、いわゆるレーダーチャートである。サーバ10は、データベース112から対象者の評価結果を読み出す。データベース112には、スキルマップの階層構造のうち、最下層の項目に対応する評価結果が記録されている。この例では、スキルマップの項目は、上から順に大項目、中項目、小項目、及びチェック項目の4つに階層化されている。各階層における項目の対応関係はデータベース111に定義されている。サーバ10は、データベース112から最下層のチェック項目の評価結果を読み出す。サーバ10は、データベース111において定義されている対応関係に従って、表示されるレーダーチャートの項目に沿って、評価結果を集計する。例えば、サーバ10は、ある評価項目の1つ下の階層の評価項目の値を合計又は平均することにより、評価結果を集計する。サーバ10は、集計した評価結果を評価図形にマッピングする。例えば、評価結果は1~5の5段階評価(1が最低で5が最高)で表される。評価図形において、頂点と項目との関係はあらかじめ定義されている。例えば、データベース111において最上段に定義されている項目が第1頂点に割り当てられ、上から2段目において定義されている項目が第1頂点の右隣の頂点に割り当てられる。以下、同様に次の段の項目が右隣の頂点に割り当てられる。サーバ10は生成したデータをユーザ端末20に送信する(ステップS4)。
【0050】
ユーザ端末20は、スキルマップを表示するためのデータをサーバ10から受信する(ステップS5)。ユーザ端末20は、受信したデータに従ってスキルマップを表示する(ステップS6)。
【0051】
図9は、表示されるスキルマップの初期状態を例示する図である。この例において、評価図形は6角形であり、6つの大項目が表示される。評価図形には、対象者の大項目に対応する評価結果がマッピングされている。サーバ10は、データベース112から対象者の大項目に係る評価結果を読み出す。サーバ10は、読み出した評価結果を評価図形にマッピングする。サーバ10は、生成したデータをユーザ端末20に送信する。
【0052】
ユーザ端末20のユーザは、入力装置205を介して(例えば、タッチスクリーンにおいてスキルマップの頂点をタッチすることにより)、スキルマップに表示されている複数の大項目のうち1つを指定することができる。1つの大項目が指定されると、ユーザ端末20は、中項目のスキルマップの生成要求をサーバ10に送信する。この要求は、選択された大項目の識別情報を含む。
【0053】
中項目のスキルマップの生成要求をユーザ端末20から受信すると、サーバ10は、ユーザ端末20において中項目のスキルマップを表示させるためのデータを生成する。大項目と中項目との対応関係は、データベース111において定義されている。
【0054】
図10は、データベース111における大項目と中項目との対応関係を例示する図である。ここでは、大項目「パーソナリティ特性」に対応する「外向性」、「協調(調和)性」、「真摯(誠実)性」、「情緒安定性」、及び「開放性」の5つの中項目が定義されている。ここで定義される中項目の数が、評価図形の形状に相当する。すなわち、この例では5つの中項目が定義されているので、評価図形は5角形である。
【0055】
サーバ10は、データベース111を参照して、要求された大項目に対応する中項目を特定する。サーバ10は、データベース112から対象者の中項目に係る評価結果を読み出す。サーバ10は、読み出した評価結果を評価図形にマッピングする。サーバ10は、生成したデータをユーザ端末20に送信する。
【0056】
サーバ10から中項目のスキルマップを表示するためのデータを受信すると、ユーザ端末20は、受信したデータに従ってスキルマップを表示する。
【0057】
図11は、中項目のスキルマップを例示する図である。一例において、大項目のスキルマップは消去され、同じ位置に中項目のスキルマップが表示される。あるいは、大項目のスキルマップは表示されたままで、中項目のスキルマップの一部又は全部が大項目のスキルマップの上に重ねて表示されてもよい。この例において、評価図形は5角形であり、5つの中項目が表示される。評価図形には、対象者の中項目に対応する評価結果がマッピングされている。
【0058】
ユーザ端末20のユーザは、入力装置205を介して、スキルマップに表示されている複数の中項目のうち1つを指定することができる。1つの中項目が指定されると、ユーザ端末20は、小項目のスキルマップの生成要求をサーバ10に送信する。この要求は、選択された中項目の識別情報を含む。
【0059】
小項目のスキルマップの生成要求をユーザ端末20から受信すると、サーバ10は、ユーザ端末20において小項目のスキルマップを表示させるためのデータを生成する。中項目と小項目との対応関係は、データベース111において定義されている(図示略)。
【0060】
サーバ10は、データベース111を参照して、要求された中項目に対応する小項目を特定する。サーバ10は、データベース112から対象者の小項目に係る評価結果を読み出す。サーバ10は、読み出した評価結果を評価図形にマッピングする。サーバ10は、生成したデータをユーザ端末20に送信する。
【0061】
サーバ10から小項目のスキルマップを表示するためのデータを受信すると、ユーザ端末20は、受信したデータに従ってスキルマップを表示する。
【0062】
図12は、小項目のスキルマップを例示する図である。この例において、評価図形は3角形であり、3つの小項目が表示される。評価図形には、対象者の小項目に対応する評価結果がマッピングされている。
【0063】
ユーザ端末20のユーザは、入力装置205を介して、スキルマップに表示されている複数の小項目のうち1つを指定することができる。1つの小項目が指定されると、ユーザ端末20は、チェック項目のスキルマップの生成要求をサーバ10に送信する。この要求は、選択された小項目の識別情報を含む。
【0064】
チェック項目のスキルマップの生成要求をユーザ端末20から受信すると、サーバ10は、ユーザ端末20においてチェック項目のスキルマップを表示させるためのデータを生成する。小項目とチェック項目との対応関係は、データベース111において定義されている(図示略)。
【0065】
サーバ10は、データベース111を参照して、要求された小項目に対応するチェック項目を特定する。サーバ10は、データベース112から対象者のチェック項目に係る評価結果を読み出す。サーバ10は、読み出した評価結果を評価図形にマッピングする。サーバ10は、生成したデータをユーザ端末20に送信する。
【0066】
サーバ10からチェック項目のスキルマップを表示するためのデータを受信すると、ユーザ端末20は、受信したデータに従ってスキルマップを表示する。
【0067】
図13は、チェック項目のスキルマップを例示する図である。この例において、評価図形は6角形であり、6つのチェック項目が表示される。評価図形には、対象者のチェック項目に対応する評価結果がマッピングされている。
【0068】
スキルマップの表示画面には、表示する階層を変更するためのUIオブジェクト(例えば、1つ上の階層に移動するためのボタン)が含まれる。ユーザがこのUIオブジェクトを介して表示する階層を変更する指示を入力すると、ユーザ端末20は、指定された階層のスキルマップを表示する。
【0069】
この例によれば、ユーザは、対象者のスキルに関する評価結果を視覚的に容易に認識することができる。スキルマップの形状はユーザの要求に応じて決定されたものであり、ユーザは自身の関心がある事項について容易に認識することができる。
【0070】
2-2.評価図形の指定
評価図形を決定する手法は上記の例に限定されない。評価図形は、ユーザへのヒアリングに基づいて決定されてもよい。ユーザへのヒアリングとは、ユーザに対して質問(又はアンケート)を行い、その回答を取得することをいう。
【0071】
図14は、ステップS2の処理の詳細の別の例を示すシーケンスチャートである。ステップS251において、サーバ10は、データベース(図示略)からユーザへのヒアリングに用いられる質問のデータを読み出す。サーバ10は、ユーザ端末20において質問を表示し、その回答を受け付ける画面(以下「ヒアリング画面」という)を表示するためのデータをユーザ端末20に送信する(ステップS252)。ユーザ端末20は、サーバ10から受信したデータに従って、ヒアリング画面を表示する(ステップS253)。
【0072】
図15は、ヒアリング画面を例示する図である。質問は、人事評価におけるユーザの考え方又は嗜好を測るためのものである。この例では、質問は1問であり、回答の選択肢が3つ提示される。これらの選択肢は複数回答可である。
【0073】
ユーザは、ユーザ端末20において回答を入力する(ステップS254)。ユーザ端末20は、入力された回答を示す情報をサーバ10に送信する(ステップS255)。
【0074】
再び
図14を参照する。ステップS256において、サーバ10は、ユーザ端末20から受信した回答に基づいて、評価図形の形状を決定する。サーバ10は、ヒアリングの回答と評価図形の形状とを対応させるデータベースを記憶しており、このデータベースを参照して評価図形の形状を決定する。
【0075】
図16は、ヒアリングの回答と評価図形の形状とを対応させるデータベースを例示する図である。例えば、ユーザが
図15の例において(イ)のみを選択した場合、サーバ10は、評価図形の形状を「5角形C」とすることを決定する。「5角形C」の評価図形における項目は、別途又はこのデータベースにおいて定義される。例えば、「5角形A」、「5角形B」、及び「5角形C」は、いずれも形状は5角形であるが、その評価項目の組み合わせが異なっている。なお、ヒアリングの回答と評価図形の形状との対応関係は各階層について定義されている。
【0076】
評価図形の形状を決定した後の処理は、
図5のフローと同様である。この例によれば、人事評価におけるユーザの考え方又は嗜好に応じた形状を有する評価図形を用いて、対象者の人事評価の結果を可視化することができる。
【0077】
2-3.評価図形の編集
この例において、評価支援システム1は、ユーザによる評価図形の編集を受け付ける。上記の例で評価図形の形状、すなわちスキルマップにおける評価項目は評価支援システム1により自動的に決定されるものの、ユーザがこれを編集又は変更したいと考えることがある。この例は、このような要求に応えるものである。
【0078】
スキルマップを表示する画面は、評価図形の編集指示を受け付けるUIオブジェクト(例えば、右クリックメニュー又はボタン)を有する。例えば、ユーザが、表示されているスキルマップの1つの頂点を選択しつつ、右クリックをすると「左隣に項目を追加」及び「右隣に項目を追加」という項目を含むメニューが表示される。ユーザが「左隣に項目を追加」を選択すると、スキルマップにおいて選択されている項目の左隣に、新たな頂点が追加される。すなわち、n角形だった評価図形が(n+1)角形になる。スキルマップにおいて、新たに追加された頂点を選択すると、その頂点に対応する評価項目の内容の編集を受け付けるUIオブジェクト(例えばウインドウ又はダイアログ)が表示される。このUIオブジェクトは、評価項目名を指定するためのUIオブジェクト(例えばプルダウンメニュー又はテキストボックス)を含む。
【0079】
新たに追加された頂点の評価項目名が指定されると、サーバ10は、指定された評価項目をデータベースに追加する。このデータベースには、ユーザの識別情報と対応付けて、スキルマップの各階層について評価図形の形状及び評価項目が記録される。
【0080】
新たに追加された頂点について、評価項目名が設定された後でその頂点を選択すると、その評価項目の一つ下の階層のスキルマップが表示される。このスキルマップの初期値は空である。すなわち、評価図形は所定の形状(例えば5角形)を有するが、各頂点に評価項目は対応付けられておらず、その値は空である。ユーザ端末20は、1つ上の階層において追加された頂点に対応する評価項目の編集を受け付けたのと同様に、その内容の編集を受け付ける。また、ユーザ端末20は、この評価図形の頂点の追加及び削除を受け付ける。ユーザ端末20は、スキルマップの階層構造における最下層に相当する項目(この例ではチェック項目)まで、その内容の編集を受け付ける。ユーザは、この画面を介して、この階層のスキルマップの評価図形及び評価項目を設定することができる。
【0081】
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下で説明した事項のうち2つ以上のものが組み合わせて適用されてもよい。
【0082】
3-1.スキルマップの階層構造
スキルマップの階層構造は実施形態において例示したものに限定されない。スキルマップは階層構造を有しておらず、単層のグラフであってもよい。また、表示されているスキルマップのうち1つの評価項目を指定したときの動作は、指定された評価項目の1つ下の階層のスキルマップを表示するものに限定されない。1つ下の階層の評価項目が、例えば表形式などグラフ以外の形式で表示されてもよい。例えば、データベース111において、評価項目が、少なくとも一部の階層においてレーダーチャート以外の他の形式(棒グラフ等の他のグラフ又は表などグラフ以外の形式)と対応付けられる。出力手段14は、表示されているレーダーチャートに含まれる1つの項目が選択されると、選択された項目の下位の項目に対応する形式で当該項目を視覚的に出力する。
【0083】
3-2.レーダーチャートにおける評価結果
レーダーチャートにおいて、ある階層の項目の評価結果を、その下の階層の(複数の評価項目の)評価結果から計算する具体的な手法は実施形態において例示したものに限定されない。例えば、サーバ10は、ある階層の項目の評価結果を、その下の階層の評価結果の合計、算術平均、又は加重平均により計算する(計算手段の一例)。加重平均が用いられる場合、各評価項目の重みは、例えばデータベース111においてあらかじめ定義される。あるいは、各評価項目の重みは、対象者の属性に応じて定義されてもよい。一例として、
図11において、評価項目「真摯性」は、1つ下の階層における評価項目「責任感」、「几帳面さ」、及び「計画性」に対応する。このとき、真摯性の評価結果R[真摯性]は、次式(1)で表される。
【数1】
ここで、R[責任感]、R[几帳面]、及びR[計画性]は、それぞれ、評価項目「責任感」、「几帳面さ」、及び「計画性」の評価結果を表す。α1、α2、及びα3は、それぞれ、評価項目「責任感」、「几帳面さ」、及び「計画性」の重みである。これらの重みは、対象者の職階に応じて定義される。例えば、職階が「若手」である対象者には(α1,α2,α3)=(1.・BR>O,1.5,0.5)が用いられ、職階が「管理職」である対象者には(α1,α2,α3)=(1.5,1.0,0.0)が用いられる。
【0084】
3-3.目標設定
評価支援システム1は、目標設定機能すなわち目標設定手段を有してもよい。目標設定機能とは、少なくとも一部の対象者に対し、評価の目標を設定する機能をいう。ある対象者の目標は、その対象者の管理者、又はその対象者自身により設定される。管理者は、その対象者の上司又は人事担当者である。一例においては、評価支援システム1が目標のひな形(例えば、各評価項目の目標値のセット)を複数、記憶しており、管理者がこれら複数のひな形の中から、各対象者に適合したものを選択する。ひな形は、対象者の属性(例えば、職種及び/又は職階)に応じて用意される。管理者は、ひな形の一部を修正して、各対象者により適合した目標をカスタマイズすることができる。なお目標の設定方法はこれに限定されず、例えば(現在又は過去の)複数の対象者の評価値の統計値(平均値、最頻値など)に基づいて評価支援システム1が自動的に設定してもよい。この場合、評価支援システム1は、管理者からの指示に応じて、各対象者の目標を修正又は編集する。
図3の例において、CPU101が目標設定手段の一例である。
【0085】
図17は、ある対象者の評価及び目標の表示画面を例示する図である。この例では、ある対象者の評価Pt及び目標Pqが、単一のレーダーチャートに重ねて表示される。この画面を見れば、管理者又は対象者は、対象者がどのスキルを伸ばすように努力すればよいか、視覚的かつ直感的に理解することができる。評価支援システム1は、このレーダーチャートにおいて、目標に達していないスキルのプロット、ライン、項目名の少なくとも1つを、目標を達成したスキルと異なる外観(例えば、異なる色、異なるフォント、異なるサイズ、異なる時間変化(点滅等)、又はこれらの少なくとも一部の組み合わせ)で表示してもよい。
図17における目標Pqのプロット及びラインは、目標と前記対象者の評価とを対比するUIオブジェクトの一例である。なお、対象者の目標と評価とを対比するUIオブジェクトは
図17の例に限定されず、例えば、目標Pqのプロット及びラインに代えて又は加えて、このUIオブジェクトとして、目標との差がしきい値を超えた項目のプロットを他と異なる外観で表示してもよい。
【0086】
図17の例では、この対象者は、基本スキル、資格知識、及び業務スキルについては目標を達成しているが、パーソナルスキル及びヒューマンスキルについては目標未達である。管理者は、このレーダーチャートを元に、どのスキルを重点的に学習すればよいか、対象者にフィードバックをすることができる。
【0087】
評価支援システム1は、管理者又は対象者に対し、重点的に学習すべきスキルを提案又は自動的に決定してもよい。一例において、評価支援システム1は、評価と目標との差(すなわち乖離)が条件を満たすスキルを、重点的に学習すべきスキルとして特定する。この条件は、例えば、目標値との差があらかじめ設定された基準値よりも大きい評価値を有するスキルを、重点的に学習すべきスキルとする条件、又は自身のスキルの中で目標値との差が最も大きいスキルを、重点的に学習すべきスキルとする条件である。あるいは、目標値との差を用いて条件判断する際に、単純に評価値と目標値との差を用いるのではなく、評価値と目標値との差に重みを乗算した値を、基準値又は他のスキルのその値と対比して重点的に学習すべきスキルを決定してもよい。この重みは、例えば対象者の属性に応じて決められる。この重みは、3-2節で説明した、ある階層の項目の評価結果を計算する際に用いられる重みと同じものであってもよい。
【0088】
3-4.レーダーチャートの外観
レーダーチャートの外観は実施形態において例示したものに限定されない。例えば、評価図形は正n角形ではなく、一般的なn角形(又は多角形)であってもよい。評価図形が正n角形でない場合において、スキルに対応する角の大きさが、そのスキルが重視スキルであるか非重視スキルであるかに応じて決められてもよい。一例において、重視スキルに対応する角はより小さく(すなわち鋭く)、非重視スキルに対応する角はより大きく(すなわち鈍く)設定されてもよい。また、レーダーチャートにおいて評価図形の辺は視覚可能に表示されず、例えば背景と同色であってもよい。あるいは、レーダーチャートにおいて、各スキルの評価軸(すなわち評価図形の中心から各角に延びる軸)が表示されてもよい。レーダーチャートにおいて、評価軸及び評価図形の辺の双方が表示されてもよいし、いずれか一方だけが表示されてもよい。
【0089】
3-5.用途
本実施形態に係るレーダーチャートの用途は企業等の従業員の人事評価に限定されない。このレーダーチャートは、アスリート、芸術家、又は実演家のパフォーマンスの評価に用いられてもよい。
【0090】
3-6.システム構成
評価支援システム1における機能とハードウェアとの関係は実施形態において例示したものに限定されない。例えば、複数の装置が協働してサーバ10又はユーザ端末20としての機能を有してもよい。また、実施形態において説明した機能の一部が省略されてもよい。あるいは、実施形態においてサーバ10に実装されるものとして説明した機能の少なくとも一部がユーザ端末20に実装されてもよい。
【0091】
評価支援システム1のハードウェア構成は実施形態において例示したものに限定されない。例えばサーバ10は、物理サーバであってもよいし、仮想サーバ(いわゆるクラウドを含む)であってもよい。
【0092】
CPU101等のプロセッサにより実行されるプログラムは、ネットワークを介したダウンロードにより提供されてもよいし、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…評価支援システム、10…サーバ、11…記憶手段、12…受け付け手段、13…決定手段、14…出力手段、15…受け付け手段、16…変更手段、19…制御手段、20…ユーザ端末、21…記憶手段、22…受け付け手段、23…通信手段、29…制御手段、101…CPU、102…メモリ、103…ストレージ、104…通信IF、201…CPU、202…メモリ、203…ストレージ、204…通信IF、205…入力装置、206…出力装置