(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007090
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0432 20160101AFI20240111BHJP
H01M 8/04111 20160101ALI20240111BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240111BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20240111BHJP
H01M 8/04701 20160101ALI20240111BHJP
H01M 8/0438 20160101ALI20240111BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20240111BHJP
H01M 8/04302 20160101ALI20240111BHJP
H01M 8/04225 20160101ALI20240111BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20240111BHJP
【FI】
H01M8/0432
H01M8/04111
H01M8/04 J
H01M8/04746
H01M8/04701
H01M8/0438
H01M8/04313
H01M8/04302
H01M8/04225
H01M8/12 101
H01M8/12 102B
H01M8/12 102C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108294
(22)【出願日】2022-07-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】三谷 優人
(72)【発明者】
【氏名】大澤 弘行
(72)【発明者】
【氏名】岩井 康
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H126CC02
5H127AA07
5H127BA02
5H127BA03
5H127BA04
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA28
5H127BA37
5H127BA57
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB25
5H127BB27
5H127BB37
5H127BB39
5H127DA01
5H127DB41
5H127DB47
5H127DC02
5H127DC22
5H127DC24
5H127DC26
5H127DC28
5H127DC74
5H127EE03
5H127EE29
5H127EE30
(57)【要約】
【課題】燃料極へ燃料ガスの供給を開始してから発電室が所定の加熱状態となるまでに要する起動時間を短縮する。
【解決手段】燃料電池313と、ターボチャージャ411と、圧縮機421で圧縮した酸化性ガスを空気極113へ供給する酸化性ガス供給ライン331と、燃料ガスL1を燃料極109へ供給する燃料ガスライン341と、酸化性ガスを加熱する起動用加熱器458と、酸化性ガス供給ライン331に接続される酸化性ガスブローライン444に配置されるブロー弁445と、燃料極109への燃料ガスL1の供給を開始する際にブロー弁445を開状態とし、燃料電池313の発電室が起動用加熱器458により加熱された酸化性ガスA2により所定の加熱状態となったことに応じてブロー弁445を閉状態に切り替えるよう制御弁342およびブロー弁445を制御する制御装置20と、を備える燃料電池システム310を提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気極と燃料極を有する燃料電池と、
前記燃料電池から排出された排燃料ガス及び排酸化性ガスが燃焼ガスとして供給されるタービン及び前記タービンにより駆動される圧縮機を有するターボチャージャと、
前記圧縮機で圧縮した酸化性ガスを前記空気極へ供給する酸化性ガス供給ラインと、
燃料ガスを前記燃料極へ供給する燃料ガスラインと、
前記燃料ガスラインに配置される燃料ガス制御弁と、
前記酸化性ガス供給ラインを流通する前記酸化性ガスを加熱する加熱部と、
前記酸化性ガス供給ラインに接続されるとともに前記酸化性ガスを外部へ排出するブローラインと、
前記ブローラインに配置されるブロー弁と、
前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えて前記燃料極への前記燃料ガスの供給を開始する際に前記ブロー弁を開状態とし、前記燃料電池の発電室が前記加熱部により加熱された前記酸化性ガスにより所定の加熱状態となったことに応じて前記ブロー弁を閉状態に切り替えるよう前記燃料ガス制御弁および前記ブロー弁を制御する制御装置と、を備える燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記発電室の温度が所定温度以上となったことに応じて前記ブロー弁を閉状態に切り替える請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記ターボチャージャの単位時間当たりの回転数が上昇傾向から低下傾向に変化したことに応じて前記ブロー弁を閉状態に切り替える請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
空気極と燃料極を有する燃料電池と、
前記燃料電池から排出された排燃料ガス及び排酸化性ガスが燃焼ガスとして供給されるタービン及び前記タービンにより駆動される圧縮機を有するターボチャージャと、
前記圧縮機で圧縮した酸化性ガスを前記空気極へ供給する酸化性ガス供給ラインと、
前記酸化性ガス供給ラインに配置される酸化性ガス制御弁と、
燃料ガスを前記燃料極へ供給する燃料ガスラインと、
前記燃料ガスラインに配置される燃料ガス制御弁と、
前記酸化性ガス供給ラインを流通する前記酸化性ガスを加熱する加熱部と、を備え、
前記加熱部は、
前記酸化性ガス制御弁の上流側に一端が接続されるとともに前記酸化性ガス制御弁の下流側に他端が接続される酸化性ガス加熱ラインと、
前記酸化性ガス加熱ラインに配置される加熱制御弁と、を有し、
予め設定された前記燃料電池の運転状態に応じて、前記加熱制御弁の開度を増加あるいは減少させるとともに前記酸化性ガス制御弁の開度を減少あるいは増加させるよう前記加熱制御弁および前記酸化性ガス制御弁を制御する制御装置を備える燃料電池システム。
【請求項5】
前記酸化性ガス供給ラインに接続されるとともに前記酸化性ガスを外部へ排出するブローラインと、
前記ブローラインに配置されるブロー弁と、を備え、
前記制御装置は、前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えて前記燃料極への前記燃料ガスの供給を開始する際に前記ブロー弁を開状態とし、前記燃料電池の発電室が前記加熱部により加熱された前記酸化性ガスにより所定の加熱状態となったことに応じて前記ブロー弁を閉状態に切り替えるよう前記燃料ガス制御弁および前記ブロー弁を制御する請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記燃料電池から排出された前記排燃料ガスを燃焼させる燃焼器と、
前記燃料電池から排出された前記排酸化性ガスを前記燃焼器へ供給する排酸化性ガスラインと、
前記排酸化性ガスラインと前記酸化性ガス加熱ラインとを接続する接続ラインに配置される接続制御弁を備え、
前記制御装置は、前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えるのに先立って、前記接続制御弁の開度を減少させるよう前記接続制御弁を制御する請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
燃料電池システムの運転方法であって、
前記燃料電池システムは、
空気極と燃料極を有する燃料電池と、
前記燃料電池から排出された排燃料ガス及び排酸化性ガスが燃焼ガスとして供給されるタービンおよび前記タービンにより駆動される圧縮機を有するターボチャージャと、
前記圧縮機で圧縮した酸化性ガスを前記空気極へ供給する酸化性ガス供給ラインと、
燃料ガスを前記燃料極へ供給する燃料ガスラインと、
前記燃料ガスラインに配置される燃料ガス制御弁と、
前記酸化性ガス供給ラインを流通する前記酸化性ガスを加熱する加熱部と、
前記酸化性ガス供給ラインに接続されるとともに前記酸化性ガスを外部へ排出するブローラインと、
前記ブローラインに配置されるブロー弁と、を備え、
前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えて前記燃料極への前記燃料ガスの供給を開始する工程と、
前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えて前記燃料極への前記燃料ガスの供給を開始する際に前記ブロー弁を開状態とする工程と、
前記燃料電池の発電室が前記加熱部により加熱された前記酸化性ガスにより所定の加熱状態となったことに応じて前記ブロー弁を閉状態に切り替えるよう前記ブロー弁を制御する制御工程を備える燃料電池システムの運転方法。
【請求項8】
燃料電池システムの運転方法であって、
前記燃料電池システムは、
空気極と燃料極を有する燃料電池と、
前記燃料電池から排出された排燃料ガス及び排酸化性ガスが燃焼ガスとして供給されるタービン及び前記タービンにより駆動される圧縮機を有するターボチャージャと、
前記圧縮機で圧縮した酸化性ガスを前記空気極へ供給する酸化性ガス供給ラインと、
前記酸化性ガス供給ラインに配置される酸化性ガス制御弁と、
燃料ガスを前記燃料極へ供給する燃料ガスラインと、
前記燃料ガスラインに配置される燃料ガス制御弁と、
前記酸化性ガス供給ラインを流通する前記酸化性ガスを加熱する加熱部と、を備え、
前記加熱部は、
前記酸化性ガス制御弁の上流側に一端が接続されるとともに前記酸化性ガス制御弁の下流側に他端が接続される酸化性ガス加熱ラインと、
前記酸化性ガス加熱ラインに配置される加熱制御弁と、を有し、
予め設定された前記燃料電池の運転状態に応じて、前記加熱制御弁の開度を増加あるいは減少させるとともに前記酸化性ガス制御弁の開度を減少あるいは増加させるよう前記加熱制御弁および前記酸化性ガス制御弁を制御する制御工程を備える燃料電池システムの運転方法。
【請求項9】
燃料電池システムの運転方法であって、
前記燃料電池システムは、
空気極と燃料極を有する燃料電池と、
前記燃料電池から排出された排燃料ガス及び排酸化性ガスが燃焼ガスとして供給されるタービン及び前記タービンにより駆動される圧縮機を有するターボチャージャと、
前記圧縮機で圧縮した酸化性ガスを前記空気極へ供給する酸化性ガス供給ラインと、
前記酸化性ガス供給ラインに配置される酸化性ガス制御弁と、
燃料ガスを前記燃料極へ供給する燃料ガスラインと、
前記燃料ガスラインに配置される燃料ガス制御弁と、
前記酸化性ガス供給ラインを流通する前記酸化性ガスを加熱する加熱部と、を備え、
前記加熱部は、
前記酸化性ガス制御弁の上流側に一端が接続されるとともに前記酸化性ガス制御弁の下流側に他端が接続される酸化性ガス加熱ラインと、
前記酸化性ガス加熱ラインに配置される加熱制御弁と、を有し、
前記加熱制御弁の開度を増加させるとともに前記酸化性ガス制御弁の開度を減少させるよう前記加熱制御弁および前記酸化性ガス制御弁を制御する第1制御工程と、
前記加熱制御弁の開度が増加し、かつ前記酸化性ガス制御弁の開度が減少した状態で、前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えるよう前記燃料ガス制御弁を制御する第2制御工程と、を備える燃料電池システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスと酸化性ガスとを化学反応させることにより発電する燃料電池は、優れた発電効率及び環境対応等の特性を有している。このうち、固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:以下「SOFC」という)は、電解質としてジルコニアセラミックスなどのセラミックスが用いられ、水素、都市ガス、天然ガス、石油、メタノール、及び炭素含有原料をガス化設備により製造したガス化ガス等のガスなどを燃料ガスとして供給して、およそ700℃~1000℃の高温雰囲気で反応させて発電を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、SOFCとターボチャージャを組み合わせたSOFCシステムが開示されている。特許文献1では、SOFCから排出される排燃料ガスを燃焼器で燃焼させてタービンに燃焼ガスを供給してタービンを回転駆動する。タービンに連結された圧縮機は、酸化性ガスを圧縮して空気極へ供給する。
【0004】
また、特許文献1には、SOFCを起動する際に発電室を高温雰囲気とするために、空気極へ供給される酸化性ガスを起動用加熱器により加熱すること、空気極へ燃料ガスを供給して触媒反応により発電室を昇温させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、発電室が低温雰囲気(例えば、400℃~500℃)である場合には燃料電池の触媒の活性が低いため、空気極へ供給される酸化性ガスの供給量が燃料極へ供給される燃料ガスの供給量に対して過多となる場合がある。この場合、発電室における燃焼が十分に行えず、低温雰囲気から高温雰囲気に至るまでの起動時間が長くなってしまう。
【0007】
発電室を昇温させるために、空気極へ供給する燃料ガスを増加させて触媒反応を促進する方法が考えられるが、低温雰囲気における触媒反応の能力には限界がある。そのため、空気極へ供給する燃料ガスを増加させても、発電室を十分に昇温させることができない可能性がある。
【0008】
また、空気極へ供給する燃料ガスを増加させて空気極から排出される未反応の排燃料ガスが増加すると、排燃料ガスにより回転駆動されるタービンの単位時間当たりの回転数と、圧縮機が空気極に供給する酸化性ガスの流量が増加する。そのため、空気極へ供給される酸化性ガスの供給量が燃料極へ供給される燃料ガスの供給量に対して過多となってしまい、起動時間が更に長くなってしまう。
【0009】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、燃料極へ燃料ガスの供給を開始してから発電室が所定の加熱状態となるまでに要する起動時間を短縮することが可能な燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示は以下の手段を採用する。
本開示に係る燃料電池システムは、空気極と燃料極を有する燃料電池と、前記燃料電池から排出された排燃料ガス及び排酸化性ガスが燃焼ガスとして供給されるタービン及び前記タービンにより駆動される圧縮機を有するターボチャージャと、前記圧縮機で圧縮した酸化性ガスを前記空気極へ供給する酸化性ガス供給ラインと、燃料ガスを前記燃料極へ供給する燃料ガスラインと、前記燃料ガスラインに配置される燃料ガス制御弁と、前記酸化性ガス供給ラインを流通する前記酸化性ガスを加熱する加熱部と、前記酸化性ガス供給ラインに接続されるとともに前記酸化性ガスを外部へ排出するブローラインと、前記ブローラインに配置されるブロー弁と、前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えて前記燃料極への前記燃料ガスの供給を開始する際に前記ブロー弁を開状態とし、前記燃料電池の発電室が前記加熱部により加熱された前記酸化性ガスにより所定の加熱状態となったことに応じて前記ブロー弁を閉状態に切り替えるよう前記燃料ガス制御弁および前記ブロー弁を制御する制御装置と、を備える。
【0011】
本開示に係る燃料電池システムの運転方法は、燃料電池システムの運転方法であって、前記燃料電池システムは、空気極と燃料極を有する燃料電池と、前記燃料電池から排出された排燃料ガス及び排酸化性ガスが燃焼ガスとして供給されるタービンおよび前記タービンにより駆動される圧縮機を有するターボチャージャと、前記圧縮機で圧縮した酸化性ガスを前記空気極へ供給する酸化性ガス供給ラインと、燃料ガスを前記燃料極へ供給する燃料ガスラインと、前記燃料ガスラインに配置される燃料ガス制御弁と、前記酸化性ガス供給ラインを流通する前記酸化性ガスを加熱する加熱部と、前記酸化性ガス供給ラインに接続されるとともに前記酸化性ガスを外部へ排出するブローラインと、前記ブローラインに配置されるブロー弁と、を備え、前記ブロー弁を開状態とする工程と、前記ブロー弁が開状態である場合に、前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えて前記燃料極への前記燃料ガスの供給を開始する工程と、前記燃料電池の発電室が前記加熱部により加熱された前記酸化性ガスにより所定の加熱状態となったことに応じて前記ブロー弁を閉状態に切り替えるよう前記ブロー弁を制御する制御工程を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、燃料極へ燃料ガスの供給を開始してから発電室が所定の加熱状態となるまでに要する起動時間を短縮することが可能な燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の第1実施形態に係るセルスタックの例を示す図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係るSOFCモジュールの例を示す図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係るSOFCカートリッジの例を示す図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を示した図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
【
図6】本開示の第1実施形態に係る燃料電池システムの起動方法を示すフローチャートである。
【
図7】触媒燃焼器へ供給される燃料ガスの変化を示すグラフである。
【
図9】燃料極へ供給される燃料ガスの流量の変化を示すグラフである。
【
図11】タービンの回転数の変化を示すグラフである。
【
図12】発電室へ供給される酸化性ガスの流量の変化を示すグラフである。
【
図13】加熱制御弁の開度の変化を示すグラフである。
【
図14】酸化性ガス制御弁の開度の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1実施形態〕
以下に、本開示に係る燃料電池システム及びその運転方法の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
以下においては、説明の便宜上、紙面を基準として「上」及び「下」の表現を用いて説明した各構成要素の位置関係は、各々鉛直上方側、鉛直下方側を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含むものである。また、本実施形態では、上下方向と水平方向で同様な効果を得られるものは、紙面における上下方向が必ずしも鉛直上下方向に限定することなく、例えば鉛直方向に直交する水平方向に対応してもよい。
【0016】
また、以下においては、固体酸化物形燃料電池(SOFC)のセルスタックとして円筒形(筒状)を例として説明するが、必ずしもこの限りである必要はなく、例えば平板形のセルスタックであってもよい。基体上に燃料電池セルを形成するが、基体ではなく電極(燃料極109もしくは空気極113)が厚く形成されて、基体を兼用したものでも良い。
【0017】
まず、
図1を参照して本実施形態に係る一例として、基体管を用いる円筒形セルスタックについて説明する。基体管を用いない場合は、例えば燃料極109を厚く形成して基体管を兼用してもよく、基体管の使用に限定されることはない。また、本実施形態での基体管は円筒形状を用いたもので説明するが、基体管は筒状であればよく、必ずしも断面が円形に限定されなく、例えば楕円形状でもよい。円筒の周側面を垂直に押し潰した扁平円筒(Flat tubular)等のセルスタックでもよい。
【0018】
ここで、
図1は、本実施形態に係るセルスタックの一態様を示すものである。セルスタック101は、一例として円筒形状の基体管103と、基体管103の外周面に複数形成された燃料電池セル105と、隣り合う燃料電池セル105の間に形成されたインターコネクタ107とを備える。燃料電池セル105は、燃料極109と固体電解質膜111と空気極113とが積層して形成されている。
【0019】
また、セルスタック101は、基体管103の外周面に形成された複数の燃料電池セル105の内、基体管103の軸方向において最も端の一端に形成された燃料電池セル105の空気極113に、インターコネクタ107を介して電気的に接続されたリード膜115を備え、最も端の他端に形成された燃料電池セル105の燃料極109に電気的に接続されたリード膜115を備える。
【0020】
基体管103は、多孔質材料からなり、例えば、CaO安定化ZrO2(CSZ)、CSZと酸化ニッケル(NiO)との混合物(CSZ+NiO)、又はY2O3安定化ZrO2(YSZ)、又はMgAl2O4などを主成分とされる。この基体管103は、燃料電池セル105とインターコネクタ107とリード膜115とを支持すると共に、基体管103の内周面に供給される燃料ガスを基体管103の細孔を介して基体管103の外周面に形成される燃料極109に拡散させるものである。
【0021】
燃料極109は、Niとジルコニア系電解質材料との複合材の酸化物で構成され、例えば、Ni/YSZが用いられる。燃料極109の厚さは50μm~250μmであり、燃料極109はスラリーをスクリーン印刷して形成されてもよい。この場合、燃料極109は、燃料極109の成分であるNiが燃料ガスに対して触媒作用を備える。この触媒作用は、基体管103を介して供給された燃料ガス、例えば、メタン(CH4)と水蒸気との混合ガスを反応させ、水素(H2)と一酸化炭素(CO)に改質するものである。
【0022】
また、燃料極109は、改質により得られる水素(H2)及び一酸化炭素(CO)と、固体電解質膜111を介して供給される酸素イオン(O2-)とを固体電解質膜111との界面付近において電気化学的に反応させて水(H2O)及び二酸化炭素(CO2)を生成するものである。なお、燃料電池セル105は、この時、酸素イオンから放出される電子によって発電する。
【0023】
固体酸化物形燃料電池の燃料極109に供給し利用できる燃料ガスとしては、水素(H2)および一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)などの炭化水素系ガス、都市ガス、天然ガスのほか、石油、メタノール、及び石炭などの炭素含有原料をガス化設備により製造したガス化ガスなどが挙げられる。
【0024】
固体電解質膜111は、ガスを通しにくい気密性と、高温で高い酸素イオン導電性とを備えるYSZが主として用いられる。この固体電解質膜111は、空気極113で生成される酸素イオン(O2-)を燃料極109に移動させるものである。燃料極109の表面上に位置する固体電解質膜111の膜厚は10μm~100μmであり固体電解質膜111はスラリーをスクリーン印刷して形成されてもよい。
【0025】
空気極113は、例えば、LaSrMnO3系酸化物、又はLaCoO3系酸化物で構成され、空気極113はスラリーをスクリーン印刷またはディスペンサを用いて塗布される。この空気極113は、固体電解質膜111との界面付近において、供給される空気等の酸化性ガス中の酸素を解離させて酸素イオン(O2-)を生成するものである。
【0026】
空気極113は2層構成とすることもできる。この場合、固体電解質膜111側の空気極層(空気極中間層)は高いイオン導電性を示し、触媒活性に優れる材料で構成される。空気極中間層上の空気極層(空気極導電層)は、Sr及びCaドープLaMnO3で表されるペロブスカイト型酸化物で構成されても良い。こうすることにより、発電性能をより向上させることができる。
【0027】
酸化性ガスとは,酸素を略15%~30%含むガスであり、代表的には空気が好適であるが、空気以外にも燃焼排ガスと空気の混合ガスや、酸素と空気の混合ガスなどが使用可能である。
【0028】
インターコネクタ107は、SrTiO3系などのM1-xLxTiO3(Mはアルカリ土類金属元素、Lはランタノイド元素)で表される導電性ペロブスカイト型酸化物から構成され、スラリーをスクリーン印刷する。インターコネクタ107は、燃料ガスと酸化性ガスとが混合しないように緻密な膜となっている。
【0029】
また、インターコネクタ107は、酸化雰囲気と還元雰囲気との両雰囲気下で安定した耐久性と電気導電性を備える。このインターコネクタ107は、隣り合う燃料電池セル105において、一方の燃料電池セル105の空気極113と他方の燃料電池セル105の燃料極109とを電気的に接続し、隣り合う燃料電池セル105同士を直列に接続するものである。
【0030】
リード膜115は、電子伝導性を備えること、及びセルスタック101を構成する他の材料との熱膨張係数が近いことが必要であることから、Ni/YSZ等のNiとジルコニア系電解質材料との複合材やSrTiO3系などのM1-xLxTiO3(Mはアルカリ土類金属元素、Lはランタノイド元素)で構成されている。このリード膜115は、インターコネクタ107により直列に接続される複数の燃料電池セル105で発電された直流電力をセルスタック101の端部付近まで導出すものである。
【0031】
燃料極109、固体電解質膜111及びインターコネクタ107のスラリーの膜が形成された基体管103を、大気中にて共焼結する。焼結温度は、具体的に1350℃~1450℃とされる。次に、共焼結された基体管103上に、空気極113のスラリーの膜が形成された基体管103が、大気中にて焼結される。焼結温度は、具体的に1100℃~1250℃とされる。ここでの焼結温度は、基体管103~インターコネクタ107を形成した後の共焼結温度よりも低温とされる。
【0032】
次に、
図2と
図3とを参照して本実施形態に係るSOFCモジュール及びSOFCカートリッジについて説明する。ここで、
図2は、本実施形態に係るSOFCモジュールの一態様を示すものである。また、
図3は、本実施形態に係るSOFCカートリッジの一態様の断面図を示すものである。
【0033】
SOFCモジュール(燃料電池モジュール)201は、
図2に示すように、例えば、複数のSOFCカートリッジ(燃料電池カートリッジ)203と、これら複数のSOFCカートリッジ203を収納する圧力容器205とを備える。なお、
図2には円筒形のSOFCのセルスタック101を例示しているが、必ずしもこの限りである必要はなく、例えば平板形のセルスタックであってもよい。
【0034】
また、SOFCモジュール201は、燃料ガス供給管207と複数の燃料ガス供給枝管207a及び燃料ガス排出管209と複数の燃料ガス排出枝管209aとを備える。また、SOFCモジュール201は、酸化性ガス供給管(不図示)と酸化性ガス供給枝管(不図示)及び酸化性ガス排出管(不図示)と複数の酸化性ガス排出枝管(不図示)とを備える。
【0035】
燃料ガス供給管207は、圧力容器205の外部に設けられ、SOFCモジュール201の発電量に対応して所定ガス組成と所定流量の燃料ガスを供給する燃料ガス供給部に接続されると共に、複数の燃料ガス供給枝管207aに接続されている。この燃料ガス供給管207は、上述の燃料ガス供給部から供給される所定流量の燃料ガスを、複数の燃料ガス供給枝管207aに分岐して導くものである。
【0036】
また、燃料ガス供給枝管207aは、燃料ガス供給管207に接続されると共に、複数のSOFCカートリッジ203に接続されている。この燃料ガス供給枝管207aは、燃料ガス供給管207から供給される燃料ガスを複数のSOFCカートリッジ203に略均等の流量で導き、複数のSOFCカートリッジ203の発電性能を略均一化させるものである。
【0037】
燃料ガス排出枝管209aは、複数のSOFCカートリッジ203に接続されると共に、燃料ガス排出管209に接続されている。この燃料ガス排出枝管209aは、SOFCカートリッジ203から排出される排燃料ガスを燃料ガス排出管209に導くものである。また、燃料ガス排出管209は、複数の燃料ガス排出枝管209aに接続されると共に、一部が圧力容器205の外部に配置されている。この燃料ガス排出管209は、燃料ガス排出枝管209aから略均等の流量で導出される排燃料ガスを圧力容器205の外部に導くものである。
【0038】
圧力容器205は、内部の圧力が0.1MPa~約3MPa、内部の温度が大気温度~約550℃で運用されるので、耐力性と酸化性ガス中に含まれる酸素などの酸化剤に対する耐食性を保有する材質が利用される。例えばSUS304などのステンレス系材が好適である。
【0039】
ここで、本実施形態においては、複数のSOFCカートリッジ203が集合化されて圧力容器205に収納される態様について説明しているが、これに限られず例えば、SOFCカートリッジ203が集合化されずに圧力容器205内に収納される態様とすることもできる。
【0040】
SOFCカートリッジ203は、
図3に示す通り、複数のセルスタック101と、発電室215と、燃料ガス供給ヘッダ217と、燃料ガス排出ヘッダ219と、酸化性ガス供給ヘッダ(空気供給ヘッダ)221と、酸化性ガス排出ヘッダ223とを備える。また、SOFCカートリッジ203は、上部管板225aと、下部管板225bと、上部断熱体227aと、下部断熱体227bとを備える。
【0041】
なお、本実施形態においては、SOFCカートリッジ203は、燃料ガス供給ヘッダ217と燃料ガス排出ヘッダ219と酸化性ガス供給ヘッダ221と酸化性ガス排出ヘッダ223とが
図3のように配置されることで、燃料ガスと酸化性ガスとがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れる構造となっているが、必ずしもこの必要はなく、例えば、セルスタック101の内側と外側とを平行して流れる、または酸化性ガスがセルスタック101の長手方向と直交する方向へ流れるようにしても良い。
【0042】
発電室215は、上部断熱体227aと下部断熱体227bとの間に形成された領域である。この発電室215は、セルスタック101の燃料電池セル105が配置された領域であり、燃料ガスと酸化性ガスとを電気化学的に反応させて発電を行う領域である。また、この発電室215のセルスタック101長手方向の中央部付近での温度は、温度計測部(温度センサや熱電対など)で監視され、SOFCモジュール201の定常運転時に、およそ700℃~1000℃の高温雰囲気となる。
【0043】
燃料ガス供給ヘッダ217は、SOFCカートリッジ203の上部ケーシング229aと上部管板225aとに囲まれた領域であり、上部ケーシング229aの上部に設けられた燃料ガス供給孔231aによって、燃料ガス供給枝管207aと連通されている。また、複数のセルスタック101は、上部管板225aとシール部材237aにより接合されており、燃料ガス供給ヘッダ217は、燃料ガス供給枝管207aから燃料ガス供給孔231aを介して供給される燃料ガスを、複数のセルスタック101の基体管103の内部に略均一流量で導き、複数のセルスタック101の発電性能を略均一化させるものである。
【0044】
燃料ガス排出ヘッダ219は、SOFCカートリッジ203の下部ケーシング229bと下部管板225bとに囲まれた領域であり、下部ケーシング229bに備えられた燃料ガス排出孔231bによって、図示しない燃料ガス排出枝管209aと連通されている。また、複数のセルスタック101は、下部管板225bとシール部材237bにより接合されており、燃料ガス排出ヘッダ219は、複数のセルスタック101の基体管103の内部を通過して燃料ガス排出ヘッダ219に供給される排燃料ガスを集約して、燃料ガス排出孔231bを介して燃料ガス排出枝管209aに導くものである。
【0045】
SOFCモジュール201の発電量に対応して所定ガス組成と所定流量の酸化性ガスを酸化性ガス供給枝管へと分岐して、複数のSOFCカートリッジ203へ供給する。酸化性ガス供給ヘッダ221は、SOFCカートリッジ203の下部ケーシング229bと下部管板225bと下部断熱体227bとに囲まれた領域であり、下部ケーシング229bの側面に設けられた酸化性ガス供給孔233aによって、図示しない酸化性ガス供給枝管と連通されている。この酸化性ガス供給ヘッダ221は、図示しない酸化性ガス供給枝管から酸化性ガス供給孔233aを介して供給される所定流量の酸化性ガスを、後述する酸化性ガス供給隙間235aを介して発電室215に導くものである。
【0046】
酸化性ガス排出ヘッダ223は、SOFCカートリッジ203の上部ケーシング229aと上部管板225aと上部断熱体227aとに囲まれた領域であり、上部ケーシング229aの側面に設けられた酸化性ガス排出孔233bによって、図示しない酸化性ガス排出枝管と連通されている。この酸化性ガス排出ヘッダ223は、発電室215から、後述する酸化性ガス排出隙間235bを介して酸化性ガス排出ヘッダ223に供給される排酸化性ガスを、酸化性ガス排出孔233bを介して図示しない酸化性ガス排出枝管に導くものである。
【0047】
上部管板225aは、上部ケーシング229aの天板と上部断熱体227aとの間に、上部管板225aと上部ケーシング229aの天板と上部断熱体227aとが略平行になるように、上部ケーシング229aの側板に固定されている。また上部管板225aは、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応した複数の孔を有し、該孔にはセルスタック101が夫々挿入されている。この上部管板225aは、複数のセルスタック101の一方の端部をシール部材237a及び接着部材のいずれか一方又は両方を介して気密に支持すると共に、燃料ガス供給ヘッダ217と酸化性ガス排出ヘッダ223とを隔離するものである。
【0048】
上部断熱体227aは、上部ケーシング229aの下端部に、上部断熱体227aと上部ケーシング229aの天板と上部管板225aとが略平行になるように配置され、上部ケーシング229aの側板に固定されている。また、上部断熱体227aには、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応して、複数の孔が設けられている。この孔の直径はセルスタック101の外径よりも大きく設定されている。上部断熱体227aは、この孔の内面と、上部断熱体227aに挿通されたセルスタック101の外面との間に形成された酸化性ガス排出隙間235bを備える。
【0049】
この上部断熱体227aは、発電室215と酸化性ガス排出ヘッダ223とを仕切るものであり、上部管板225aの周囲の雰囲気が高温化し強度低下や酸化性ガス中に含まれる酸化剤による腐食が増加することを抑制する。上部管板225a等はインコネルなどの高温耐久性のある金属材料から成るが、上部管板225a等が発電室215内の高温に晒されて上部管板225a等内の温度差が大きくなることで熱変形することを防ぐものである。また、上部断熱体227aは、発電室215を通過して高温に晒された排酸化性ガスを、酸化性ガス排出隙間235bを通過させて酸化性ガス排出ヘッダ223に導くものである。
【0050】
本実施形態によれば、上述したSOFCカートリッジ203の構造により、燃料ガスと酸化性ガスとがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れるものとなっている。このことにより、排酸化性ガスは、基体管103の内部を通って発電室215に供給される燃料ガスとの間で熱交換がなされ、金属材料から成る上部管板225a等が座屈などの変形をしない温度に冷却されて酸化性ガス排出ヘッダ223に供給される。また、燃料ガスは、発電室215から排出される排酸化性ガスとの熱交換により昇温され、発電室215に供給される。その結果、ヒーター等を用いることなく発電に適した温度に予熱昇温された燃料ガスを発電室215に供給することができる。
【0051】
下部管板225bは、下部ケーシング229bの底板と下部断熱体227bとの間に、下部管板225bと下部ケーシング229bの底板と下部断熱体227bとが略平行になるように下部ケーシング229bの側板に固定されている。また下部管板225bは、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応した複数の孔を有し、該孔にはセルスタック101が夫々挿入されている。この下部管板225bは、複数のセルスタック101の他方の端部をシール部材237b及び接着部材のいずれか一方又は両方を介して気密に支持すると共に、燃料ガス排出ヘッダ219と酸化性ガス供給ヘッダ221とを隔離するものである。
【0052】
下部断熱体227bは、下部ケーシング229bの上端部に、下部断熱体227bと下部ケーシング229bの底板と下部管板225bとが略平行になるように配置され、下部ケーシング229bの側板に固定されている。また、下部断熱体227bには、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応して、複数の孔が設けられている。この孔の直径はセルスタック101の外径よりも大きく設定されている。下部断熱体227bは、この孔の内面と、下部断熱体227bに挿通されたセルスタック101の外面との間に形成された酸化性ガス供給隙間235aを備える。
【0053】
この下部断熱体227bは、発電室215と酸化性ガス供給ヘッダ221とを仕切るものであり、下部管板225bの周囲の雰囲気が高温化し強度低下や酸化性ガス中に含まれる酸化剤による腐食が増加することを抑制する。下部管板225b等はインコネルなどの高温耐久性のある金属材料から成るが、下部管板225b等が高温に晒されて下部管板225b等内の温度差が大きくなることで熱変形することを防ぐものである。また、下部断熱体227bは、酸化性ガス供給ヘッダ221に供給される酸化性ガスを、酸化性ガス供給隙間235aを通過させて発電室215に導くものである。
【0054】
本実施形態によれば、上述したSOFCカートリッジ203の構造により、燃料ガスと酸化性ガスとがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れるものとなっている。このことにより、基体管103の内部を通って発電室215を通過した排燃料ガスは、発電室215に供給される酸化性ガスとの間で熱交換がなされ、金属材料から成る下部管板225b等が座屈などの変形をしない温度に冷却されて燃料ガス排出ヘッダ219に供給される。また、酸化性ガスは排燃料ガスとの熱交換により昇温され、発電室215に供給される。その結果、ヒーター等を用いることなく発電に必要な温度に昇温された酸化性ガスを発電室215に供給することができる。
【0055】
発電室215で発電された直流電力は、複数の燃料電池セル105に設けたNi/YSZ等からなるリード膜115によりセルスタック101の端部付近まで導出した後に、SOFCカートリッジ203の集電棒(不図示)に集電板(不図示)を介して集電して、各SOFCカートリッジ203の外部へと取り出される。
【0056】
前記集電棒によってSOFCカートリッジ203の外部に導出された直流電力は、各SOFCカートリッジ203の発電電力を所定の直列数および並列数へと相互に接続され、SOFCモジュール201の外部へと導出されて、図示しないパワーコンディショナ等の電力変換装置(インバータなど)により所定の交流電力へと変換されて、電力供給先(例えば、負荷設備や電力系統)へと供給される。
【0057】
本開示の一実施形態に係る燃料電池システム310の概略構成について説明する。
図4は、本開示の一実施形態に係る燃料電池システム310の概略構成を示した概略構成図である。
図4に示すように、燃料電池システム310は、ターボチャージャ411、及びSOFC313を備えている。SOFC313は、図示しないSOFCモジュールが1つまたは複数が組み合わされて構成され、以降は単に「SOFC」と記載する。この燃料電池システム310は、SOFC313により発電を行っている。そして、燃料電池システム310は、制御装置20によって制御が行われている。
【0058】
ターボチャージャ411は、圧縮機421、及びタービン423を備えており、圧縮機421とタービン423とは回転軸424により一体回転可能に連結されている。後述するタービン423が回転することで圧縮機421が回転駆動する。本実施形態は酸化性ガスとして空気を用いた例であり、圧縮機421は、空気取り込みライン325から取り込んだ空気Aを圧縮する。
【0059】
ターボチャージャ411を構成する圧縮機421に空気Aを取り込んで圧縮し、圧縮された空気Aを酸化性ガスA2としてSOFCの空気極113へと供給する。SOFCで発電のための化学反応に用いられた後の排酸化性ガスA3は、排酸化性ガスライン333を介して触媒燃焼器(燃焼器)422へ送られ、及びSOFCで発電のための化学反応に用いられた後の排燃料ガスL3は再循環ブロワ348で昇圧して、一部は燃料ガス再循環ライン349を介して燃料ガスライン341に再循環して供給するが、他部は排燃料ガスライン343を介して触媒燃焼器422へ送られる。
【0060】
このように、触媒燃焼器422には、排酸化性ガスA3及び排燃料ガスL3の一部とが供給されて図示しない触媒燃焼部において燃焼触媒を用いて比較的低温でも安定に燃焼させ(後述参照)、燃焼ガスGを生成する。
【0061】
触媒燃焼器422は、排燃料ガスL3、排酸化性ガスA3、及び必要に応じて燃料ガスL1を混合して触媒燃焼部において燃焼させ、燃焼ガスGを生成する。触媒燃焼部には、例えばプラチナやパラジウムを主成分とする燃焼触媒が充填されており、比較的低い温度でかつ低酸素濃度で安定燃焼が可能となっている。燃焼ガスGは燃焼ガス供給ライン328を通じてタービン423に供給される。タービン423は、燃焼ガスGが断熱膨張することにより回転駆動し、燃焼ガスGが燃焼排ガスライン329から排出される。
【0062】
触媒燃焼器422へは、制御弁352で流量を制御されて燃料ガスL1が供給される。燃料ガスL1は可燃性ガスであり、例えば、液化天然ガス(LNG)を気化させたガスあるいは天然ガス、都市ガス、水素(H2)及び一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)等の炭化水素ガス、及び炭素質原料(石油や石炭等)のガス化設備により製造されたガス等が用いられる。燃料ガスとは、予め発熱量が略一定に調整された燃料ガスを意味する。
【0063】
触媒燃焼器422で燃焼により高温化した燃焼ガスGは、燃焼ガス供給ライン328を通じてターボチャージャ411を構成するタービン423に送られ、タービン423を回転駆動させて回転動力が発生する。この回転動力で圧縮機421を駆動することで、空気取り込みライン325から取り込んだ空気Aを圧縮して圧縮空気が発生する。酸化性ガス(空気)を圧縮して送風する回転機器の動力をターボチャージャ411で発生させることができるため、所要動力を低減して発電システムの発電効率を向上できる。
【0064】
熱交換器(再生熱交換器)430は、タービン423から排出された排ガスと圧縮機421から供給される酸化性ガスA2との間で熱交換を行う。排ガスは、酸化性ガスA2との熱交換で冷却された後に、例えば排熱回収装置442を介して、煙突(不図示)を通して外部に放出される。
【0065】
SOFC313は、還元剤として燃料ガスL1と、酸化剤として酸化性ガスA2とが供給されることで、所定の作動温度にて反応して発電を行う。SOFC313は、図示しないSOFCモジュールから構成され、SOFCモジュールの圧力容器内に設けた複数のセルスタックの集合体が収容されており、図示しないセルスタックには、燃料極109と空気極113と固体電解質膜111を備えている。
【0066】
SOFC313は、空気極113に酸化性ガスA2が供給され、燃料極109に燃料ガスL1が供給されることで発電して、図示しないパワーコンディショナ等の電力変換装置(インバータなど)により所定の電力へと変換されて、電力需要先へ供給される。
【0067】
SOFC313には、圧縮機421で圧縮した酸化性ガスA2を空気極113へ供給する酸化性ガス供給ライン331が接続されている。酸化性ガス供給ライン331を通じて酸化性ガスA2が空気極113の図示しない酸化性ガス導入部に供給される。この酸化性ガス供給ライン331には、供給する酸化性ガスA2の流量を調整するための制御弁(酸化性ガス制御弁)335が設けられている。熱交換器430において、酸化性ガスA2は、燃焼排ガスライン329から排出される燃焼ガスとの間で熱交換されて昇温される。
【0068】
更に、酸化性ガス供給ライン331には、熱交換器430の伝熱部分をバイパスする熱交換器バイパスライン332が設けられている。熱交換器バイパスライン332には、制御弁336が設けられ、酸化性ガスのバイパス流量が調整可能とされている。制御弁335及び制御弁336の開度が制御されることで、熱交換器430を通過する酸化性ガスと熱交換器430をバイパスする酸化性ガスとの流量割合が調整され、SOFC313に供給される酸化性ガスA2の温度が調整される。
【0069】
SOFC313に供給される酸化性ガスA2の温度は、SOFC313の燃料ガスと酸化性ガスとを電気化学的に反応させて発電を行う温度を維持するとともに、SOFC313を構成する図示しないSOFCモジュール内部の各構成機器の材料に損傷を与えないよう温度の上限が制限されている。
【0070】
SOFC313には、空気極113で用いられて排出された排酸化性ガスA3を触媒燃焼器422を介してタービン423へ供給する排酸化性ガスライン333が接続されている。排酸化性ガスライン333は、排空気冷却器351が設けられている。具体的には、排酸化性ガスライン333において、後述するオリフィス441よりも上流側に排空気冷却器351が設けられており、酸化性ガス供給ライン331を流れる酸化性ガスA2との熱交換によって排酸化性ガスA3を冷却する。
【0071】
また、排酸化性ガスライン333には、圧損部が設けられている。本実施形態では、圧損部として、オリフィス441が設けられている。オリフィス441は、排酸化性ガスライン333を流通する排酸化性ガスA3に対して圧損を付加する。なお、圧損部としては、オリフィス441に限らず、例えばベンチュリ管など絞り部を設けてもよく、排酸化性ガスA3に圧力損失を付加することが可能な手段であれば用いることが可能である。
【0072】
また、圧損部としては例えば、追設バーナを設けることでもよい。追設バーナにより排酸化性ガスに圧力損出を発生させるとともに、触媒燃焼器422での燃焼容量を超える燃焼が必要になった際に追加燃料分を燃焼させることができるので、排酸化性ガスに充分な熱量を供給可能となる。
【0073】
燃料電池システム310では空気極113側と燃料極109側の圧力差が所定の範囲内となるように排燃料ガスライン343に設けた調整弁347によって制御するため、排燃料ガスライン343と合流する排酸化性ガスライン333に対して圧力損失を付加することで、排燃料ガスライン343に設けた調整弁347を安定的に制御するのに必要な動作差圧を確保することができる。
【0074】
また、排酸化性ガスライン333に対しては、排酸化性ガスA3を大気(系外)へ放出するベント系統およびベント弁は設けられていない。例えば、SOFCと空気極113から排出される排酸化性ガスA3と燃料極109から排出される排燃料ガスL3を燃焼させるガスタービン(例えばマイクロガスタービン)とを組み合わせる発電システムの場合には、起動時や停止時などに、マイクロガスタービンの状態の変化に応じて空気極113へ供給される酸化性ガスの圧力状態が変化する場合がある。
【0075】
更には圧力の急変動により燃料極109と空気極113の差圧制御が不調となる可能性があるため、また、何らかの理由でトリップを発生した場合には、マイクロガスタービンの発電機が無負荷となり、マイクロガスタービンの保護対策が必要となる場合がある。そのため、排酸化性ガスA3を大気など系外へ放出するベント系統およびベント弁が必要となる。
【0076】
本実施形態では、ターボチャージャ411を用いており、回転軸に連通した発電機がなく負荷を負っていないので、トリップ時に負荷が消失して過回転となり急激に圧力が上昇するということもなく、調整弁347によって差圧状態を安定的に制御することが可能であるため、排酸化性ガスA3を大気放出する機構(べント系統およびベント弁)を省略することができる。
【0077】
SOFC313には、更に、燃料ガスL1を燃料極109の図示しない燃料ガス導入部に供給する燃料ガスライン341と、燃料極109で反応に用いられて排出された排燃料ガスL3とを、触媒燃焼器422を介してタービン423へ供給する排燃料ガスライン343とが接続されている。燃料ガスライン341には、燃料極109に供給する燃料ガスL1の流量を調整するための制御弁(燃料ガス制御弁)342が設けられている。
【0078】
排燃料ガスライン343には、再循環ブロワ348が設けられている。また、排燃料ガスライン343には、触媒燃焼器422に供給する排燃料ガスL3の一部の流量を調整するための調整弁347が設けられている。換言すると調整弁347は、排燃料ガスL3の圧力状態を調整していることとなる。このため、後述するように、制御装置20によって、調整弁347を制御することにより、燃料極109と空気極113の差圧を調整することができる。
【0079】
排燃料ガスライン343には、再循環ブロワ348の下流側に、排燃料ガスL3を大気(系外)へ放出する排燃料ガス放出ライン350が接続されている。そして、排燃料ガス放出ライン350には遮断弁(燃料ベント弁)346が設けられている。すなわち、遮断弁346を開とすることによって、排燃料ガスライン343の排燃料ガスL3の一部を排燃料ガス放出ライン350から放出することができる。
【0080】
排燃料ガスL3を系外に排出することで過剰になった圧力を素早く調整することができる。また、排燃料ガスライン343には、排燃料ガスL3をSOFC313の燃料極109の燃料ガス導入部へと再循環させるための燃料ガス再循環ライン349が燃料ガスライン341に接続されている。
【0081】
更に、燃料ガス再循環ライン349には、燃料極109に燃料ガスL1を改質するための純水を供給する純水供給ライン361が設けられている。純水供給ライン361にはポンプ362が設けられている。ポンプ362の吐出流量が制御されることにより、燃料極109に供給される純水量が調整される。発電中には燃料極にて水蒸気が生成されるので排燃料ガスライン343の排燃料ガスL3には水蒸気が含まれるので、燃料ガス再循環ライン349で水蒸気を再循環して供給することによって、純水供給ライン361で供給する純水流量を低減もしくは遮断することができる。
【0082】
次に、圧縮機421から吐出された酸化性ガスを放出する構成について説明する。具体的には、圧縮機421の下流側における酸化性ガス供給ライン331において、酸化性ガスが熱交換器430をバイパスして系外(外部)へ排出するように流通可能な酸化性ガスブローライン444が設けられている。酸化性ガスブローライン444は、一端が酸化性ガス供給ライン331の熱交換器430の上流側に接続されており、他端は、タービン423の後流側となる燃焼排ガスライン329の熱交換器430の下流側に接続されている。
【0083】
そして、酸化性ガスブローライン444には、ブロー弁(制御弁)445が設けられている。すなわち、ブロー弁445を開とすることによって、圧縮機421から吐出された酸化性ガスの一部が、酸化性ガスブローライン444を介して煙突(不図示)を通して系外部の大気などに放出される。
【0084】
次に、燃料電池システム310の起動に用いる構成について説明する。酸化性ガス供給ライン331には、酸化性ガスブローライン444との接続点の下流側に制御弁451が設けられており、制御弁451の下流側(熱交換器430の上流側)に、起動用空気を供給するブロワ(送風機)452及び制御弁453を有する起動用空気ライン454が接続されている。燃料電池システム310の起動を行う場合に、ブロワ452により起動用空気を酸化性ガス供給ライン331へ供給しつつ、制御弁451及び制御弁453によって圧縮機421からの酸化性ガスと切り替えを行う。
【0085】
また、酸化性ガス供給ライン331において、熱交換器430の下流側(制御弁335の上流側)には起動用空気加熱ライン(酸化性ガス加熱ライン)455が接続されており、制御弁456を介して排空気冷却器351の下流側の排酸化性ガスライン333へ接続されると共に、制御弁(加熱制御弁)457を介して酸化性ガス供給ライン331(空気極113の入口側)へ接続されている。
【0086】
また、起動用空気加熱ライン455には、起動用加熱器458が設けられており、燃料ガスL1が制御弁459を介して供給され、起動用空気加熱ライン455を流通する酸化性ガスの加熱が行われる。なお、制御弁457は、起動用加熱器458へ供給する酸化性ガスの流量を調整し、SOFC313へ供給する酸化性ガスの温度を制御する。このように、起動用空気加熱ライン455と、制御弁457と、起動用加熱器458とは、酸化性ガス供給ライン331を流通する酸化性ガスを加熱する加熱部として機能する。
【0087】
また、燃料ガスL1は、制御弁460を介して空気極113へも供給される。制御弁460は、例えばSOFC313の起動時に起動用空気加熱ライン455における制御弁457の下流側から空気極113へ燃料ガスL1が供給され、触媒燃焼により発電室温度が昇温される際の、空気極113へ供給する燃料ガスL1の流量を制御する。
【0088】
制御装置20は、燃料電池システム310に対する起動制御を行う。SOFCとターボチャージャ411とを組み合わせた燃料電池システムにおいて、ターボチャージャ411は例えばマイクロガスタービンと異なり単独で起動することができない。このため、外部から起動用空気を供給する必要がある。このため、起動の際には、SOFCへ供給する酸化性ガスの供給を、起動用空気から、ターボチャージャ411の圧縮機421で圧縮した酸化性ガスへと切り替えを行う必要がある。このため制御装置20では、制御弁451と、ブロー弁445とを制御する。
【0089】
図5は、本実施形態に係る制御装置20のハードウェア構成の一例を示した図である。
図5に示すように、制御装置20は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU11と、CPU11が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)12と、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)13と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)14と、ネットワーク等に接続するための通信部15とを備えている。なお、大容量記憶装置としては、ソリッドステートドライブ(SSD)を用いることとしてもよい。これら各部は、バス18を介して接続されている。
【0090】
また、制御装置20は、キーボードやマウス等からなる入力部や、データを表示する液晶表示装置等からなる表示部などを備えていてもよい。なお、CPU11が実行するプログラム等を記憶するための記憶媒体は、ROM12に限られない。例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等の他の補助記憶装置であってもよい。
【0091】
後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式でハードディスクドライブ14等に記録されており、このプログラムをCPU11がRAM13等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROM12やその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等がある。
【0092】
次に、燃料電池システム310の起動方法について図面を参照して説明する。
図6は、本実施形態の燃料電池システム310の起動方法を示すフローチャートである。
図6に示す各処理は、制御装置20が燃料電池システム310の各部を制御することにより実行される。
【0093】
図7は、触媒燃焼器422へ供給される燃料ガスL1の変化を示すグラフである。
図8は、ブロー弁445の開度の変化を示すグラフである。
図9は、燃料極109へ供給される燃料ガスL1の流量の変化を示すグラフである。
図10は、発電室215の温度の変化を示すグラフである。
図11は、タービン423の回転数の変化を示すグラフである。
図12は、発電室215へ供給される酸化性ガスの流量の変化を示すグラフである。
【0094】
ステップS101において、制御装置20は、系統パージを実行する。制御装置20は、制御弁443、制御弁453、ブロー弁445、制御弁335、制御弁456、及び調整弁347を開状態とし、他の弁を閉状態とする。燃料極109側には、制御弁443を介して窒素が通気される。そして、ブロワ452が起動され、起動用空気が制御弁453と制御弁335が開にあることで空気極113側へ供給されて通気される。これによってSOFC313がパージされる。
【0095】
制御弁456が開となることによって、起動用空気がSOFC313をバイパスして起動用加熱器458を介して触媒燃焼器422へ通気される。これによって、タービン423が起動用空気によって回転を開始する。タービン423の回転に伴い同軸で接続された圧縮機421が回転を開始する。
【0096】
圧縮機421では酸化性ガスを圧縮し、圧縮された酸化性ガスはブロー弁445が開にあることで酸化性ガスブローライン444を通じて系外へ排出される。系外へ排出されることによって圧縮機421のサージングが防止される。サージングとは、圧縮機421の出口の圧力が上昇して圧縮機421が失速したり、圧縮空気が逆流したりする等の異常状態である。なお、燃料極109と空気極113との差圧制御は調整弁347によって行われる。
【0097】
ステップS102で、制御装置20は、起動用加熱器458の着火を行う。制御装置20は、制御弁453、ブロー弁445、制御弁335、制御弁456、制御弁459、及び調整弁347を開状態とし、他の弁を閉状態とする。また、制御弁457は状況に応じて開状態としてもよい。すなわち、パージ完了後、制御弁456を絞り、制御弁335を開くことによって、SOFC313をバイパスして触媒燃焼器422へ供給する起動用空気の流量を減少させ、SOFC313へ供給する起動用空気を増加させる。
【0098】
燃料極109と空気極113との差圧制御は調整弁347によって行われる。そして、制御弁459から燃料ガスL1の一部を供給して起動用加熱器458を着火し、起動用空気を昇温する。これによって、タービン423の入口温度が上昇し、系内圧力が上昇する。
【0099】
ステップS103で、制御装置20は、触媒燃焼器422の着火を行う。制御装置20は、制御弁453、ブロー弁445、制御弁335、制御弁456、制御弁459、制御弁352、及び調整弁347を開状態とし、他の弁は閉状態とする。触媒燃焼器422へは、制御弁456を少し開いた状態(起動用空気量の約20%)で送られる約400℃~500℃程度の起動用空気と、制御弁457を経由してSOFC313から送られる起動用空気とが混合して供給される。これによって触媒燃焼器422の温度が上昇する。
【0100】
触媒燃焼器422の入口温度が規定温度(例えば300℃~400℃)に達すると、触媒燃焼器422へ制御弁352を介して燃料ガスL1が供給される。なお、燃料ガスL1を投入する際には、制御弁352は規定開度で一旦保持し、触媒燃焼器422の出口温度の上昇をみることで着火が確認される。そして、制御弁352は、触媒燃焼器422の出口温度に応じて開度制御(燃料ガスL1の流量制御)が行われる。
【0101】
ステップS104で、制御装置20は、ターボチャージャ411の自立を行う。制御装置20は、制御弁342、制御弁453、制御弁335、制御弁456、制御弁459、制御弁352、及び調整弁347を開状態とし、他の弁を閉状態とする。時刻T1において、制御装置20は、燃料ガス供給用の制御弁342を開いて燃料ガスL1を燃料極109に供給し、純水供給ライン361のポンプ362を駆動することで純水を燃料極109に供給する。ブロー弁445は閉方向へ制御され、制御弁451は開方向に制御がされる。すなわち、ターボチャージャ411の自立可能要件が満たされる場合に、ブロー弁445を徐々に閉としていき、制御弁451を徐々に開としていく。
【0102】
自立可能要件とは、ターボチャージャ411の回転数が所定値以上となり、タービン423へ供給される燃焼ガスGの温度(触媒燃焼器422の出口温度)が所定温度以上となった場合である。ブロー弁445を徐々に閉とすることにより、系外へ排出する酸化性ガスの流量を減少させる。ブロー弁445が全閉となり、制御弁451が所定開度(例えば全開)となると、制御弁453が閉となり、ブロワ452が停止されて起動用空気の供給が終了する。
【0103】
なお、ターボチャージャ411の回転数の上昇と、触媒燃焼器422の出口温度の上昇とに合わせて起動用空気の供給量が増加されることが好ましい。これによって、圧縮機421で圧縮した酸化性ガスによってタービン423が回って圧縮機421が回転駆動されるため、ターボチャージャ411は自立運転状態となる。
【0104】
制御装置20は、ターボチャージャ411の自立後に、各弁を制御して昇温を継続する。制御装置20は、制御弁456によって酸化性ガスの温度を調整することにより、触媒燃焼器422の入口温度を制御する。また、制御装置20は、制御弁352によって燃料ガスL1の流量を調整することにより、触媒燃焼器422の出口温度を制御する。
【0105】
また、制御装置20は、制御弁457によって起動用加熱器458を通過する酸化性ガスの流量を制御する。また、制御装置20は、制御弁459によって、起動用加熱器458へ供給する燃料ガスL1流量を調整して起動用加熱器458の出口温度を制御する。また、制御装置20は、制御弁335の開度を、ターボチャージャ411の回転数や入口温度に応じて設定する。
【0106】
また、空気極113側の入口の酸化性ガスの温度が規定温度に到達することで(または発電室215の温度が規定温度に達することで)、制御弁457の開度が閉方向に制御されて、起動用加熱器458へ供給される空気流量が起動用加熱器458の使用下限に到達まで減少した場合に、起動用加熱器458を停止させる。すなわち、ターボチャージャの自立後において、空気極113へ供給される酸化性ガスの温度または発電室215の温度が規定温度に達するまで、起動用加熱器458で加熱した空気がSOFC313へ供給されて昇温が行われる。
【0107】
ステップS105で、制御装置20は、制御弁352を閉状態とし、触媒燃焼器422への燃料ガスL1の供給を停止する。触媒燃焼器422への燃料ガスL1の供給を停止するのは、燃料極109への燃料ガスL1の供給を開始することにより排燃料ガスが触媒燃焼器422へ導かれてタービン423の回転数が増加するのを抑制するためである。
図7に実線で示すように、燃料極109への燃料ガスL1の供給が開始される時刻T1に先立って、触媒燃焼器422へ供給される燃料ガスの流量がFL1から0に変化する。
【0108】
ステップS106で、制御装置20は、制御弁342を閉状態から開状態に切り替えて燃料極109への燃料ガスL1の供給を開始したことに応じて、ブロー弁445を開状態とする。
図8に示すように、制御装置20は、制御弁342を閉状態から開状態に切り替える時刻T1の後に、ブロー弁445の開度を0からOP1となるように制御する。
【0109】
ブロー弁445を開状態とするのは、空気極113へ供給される酸化性ガスの供給量が燃料極109へ供給される燃料ガスL1の供給量に対して過多となって起動時間が長くなることを防止するためである。制御装置20は、ブロー弁445の開度OP1を、タービン423の回転数が所定の回転数で一定となるように調整する。
【0110】
ステップS106において、制御装置20は、燃料極109への燃料ガスL1の供給を開始する時刻T1の後に、ブロー弁445を閉状態から開状態に切り替えるものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、ターボチャージャ411の自立を行った後であれば、時刻T1と同時にブロー弁445を閉状態から開状態に切り替えてもよい。また、時刻T1よりも前にブロー弁445を閉状態から開状態に切り替えてもよい。
【0111】
ステップS107で、制御装置20は、発電室215の温度(例えば、複数の計測箇所のうち最高温度)が規定温度に到達した場合、制御弁460を開き小流量の燃料ガスL1を空気極113へ供給し、SOFC313の発電室215を更に昇温する。空気と燃料ガスL1とが流入した空気極113では、空気極113の触媒作用によって燃料ガスL1が空気極113で触媒燃焼し、この発熱を用いて発電室215の温度を上昇させる。
【0112】
ステップS108で、制御装置20は、発電室215が所定の予熱状態であるかどうかを判断し、YESであればステップS109に処理を進める。所定の予熱状態とは、例えば、発電室215の温度が規定温度Te2(例えば、700℃;
図10参照)以上となった状態をいう。
【0113】
ステップS109で、制御装置20は、発電室215が所定の予熱状態となったことに応じて、ブロー弁445を閉状態に切り替えるよう制御する。
図8に示すように、制御装置20は、発電室215が所定の予熱状態となった時刻T2において、ブロー弁445を閉状態に切り替える。
【0114】
ステップS110で、制御装置20は、発電室215が所定の予熱状態となったことに応じて、制御弁352を開状態とし、触媒燃焼器422への燃料ガスL1の供給を再開する。触媒燃焼器422への燃料ガスL1の供給を再開するのは、発電室215が所定の予熱状態となって触媒燃焼器422へ導かれる排燃料ガスL3が減少したためである。
図7に実線で示すように、発電室215が所定の予熱状態となった時刻T2の後に、触媒燃焼器422へ供給される燃料ガスの流量が0からFL1に変化する。
【0115】
ステップS111で、制御装置20は、SOFC313で生成される電力を電力変換装置(例えば、インバータ装置)により所定の交流電力へと変換し、電力供給先(例えば、負荷設備や電力系統)への電力供給を開始するよう制御する。制御装置20は、発電室215の温度(例えば、複数の計測箇所のうち最低温度)が規定温度Te2(例えば700℃)に到達し、燃料極109および空気極113の運転状態が所定条件に到達した後、SOFC313の発電を開始させる。空気極113に燃料ガスL1を添加供給することによる触媒燃焼による発熱と、発電の両方による発熱とによって発電室215の温度を上昇させる。
【0116】
ステップS112で、制御装置20は、発電室215が所定の加熱状態であるかどうかを判断し、YESであればステップS113に処理を進める。所定の加熱状態とは、例えば、発電室215の温度が発電による自己発熱で温度維持ができる所定温度Te3(例えば、750℃)以上となった状態をいう。制御装置20は、発電室215の温度が所定温度以上に上昇をした後は、空気極113へ添加供給される燃料ガスL1の供給量を徐々に減少させ、例えば、目標負荷到達と同時に空気極113への燃料ガスL1の添加供給がゼロになるように制御する。
【0117】
ステップS113で、制御装置20は、燃料電池システム310の起動が完了したかを判断し、YESであれば本フローチャートの処理を終了させる。制御装置20は、SOFC313の発電室215の温度が目標温度に到達し、負荷が定格負荷などの目標負荷に到達したと判断した場合、燃料電池システム310の起動が完了したと判断する。このようにして、燃料電池システム310が起動される。
【0118】
以上のように、本実施形態の燃料電池システム310は、燃料極109への燃料ガスL1の供給を開始する際にブロー弁445を開状態とすることで、空気極113へ供給される酸化性ガスの供給量が燃料極109へ供給される燃料ガスL1の供給量に対して過多となって起動時間が長くなることを防止する。
【0119】
以下、
図7から
図12を参照して、本実施形態の燃料電池システム310と比較例の燃料電池システムとを対比する。比較例の燃料電池システムは、発電室215における発電を開始する際にブロー弁445を閉状態に維持するものである。
【0120】
図7に示すように、本実施形態では、燃料極109への燃料ガスL1の供給を開始する時刻T1に先立って、触媒燃焼器422へ供給される燃料ガスL1の流量はFL1から0に変化する。一方、比較例では、燃料極109への燃料ガスL1の供給を開始する時刻T1に先立って、触媒燃焼器422へ供給される燃料ガスL1の流量はFL1から0より大きい最小流量に変化する。最小流量は、触媒燃焼器422の着火状態を維持するための流量である。
【0121】
触媒燃焼器422への燃料ガスL1の供給を再開するタイミングは、本実施形態では時刻T2であるのに対し、比較例では時刻T2よりも遅い時刻T4の経過後である。時刻T4は、比較例の燃料電池システムの発電室が所定の加熱状態となるタイミングである。
【0122】
図8に示すように、本実施形態では、燃料極109への燃料ガスL1の供給を開始する時刻T1の後に、ブロー弁445の開度を0からOP1となるように制御する。一方、比較例では、燃料極109への燃料ガスL1の供給を開始する際にブロー弁445を閉状態に維持する。
【0123】
図9に示すように、本実施形態では、時刻T1で燃料極109への燃料ガスL1の供給が開始される。時刻T1から時刻T5までの期間において、燃料極109へ供給される燃料ガスL1の流量はFL2で一定である。時刻T5でSOFC313の発電室が目標温度に到達した後、燃料極109へ供給される燃料ガスL1の流量は目標負荷に応じて増減する。
図9は、時刻T5から目標負荷が漸次増加する例を示している。なお、比較例において、燃料極109へ供給される燃料ガスL1の流量は、本実施形態と同様である。
【0124】
図10に示すように、本実施形態では、時刻T1から発電室215の温度がTe1から漸次増加し、時刻T2においてTe2に到達し、時刻T3において目標温度であるTe3に到達する。一方、比較例では、時刻T1から発電室215の温度がTe1から漸次増加し、時刻T2よりも後にTe2に到達し、時刻T3よりも遅い時刻T5において目標温度であるTe3に到達する。
【0125】
図10から明らかなように、時刻T1から発電室215の温度が目標温度であるTe2に到達するまでの起動時間は、本実施形態の燃料電池システム310の方が比較例の燃料電池システムよりも短い。これは、本実施形態では時刻T1から時刻T4の期間でブローライン444から酸化性ガスが排出されるのに対し、比較例では、時刻T1から時刻T4の期間でブローライン444から酸化性ガスが排出されず発電室215の昇温に時間がかかるからである。
【0126】
図11に示すように、本実施形態では、タービン423の回転数[rpm]は、時刻T0でr4であったものが、ブロー弁445が開状態となったことに応じて低下し、時刻T1でr1となる。その後、時刻T1からタービン423の回転数が増加してr3となる。その後、タービン423の回転数は、漸次減少してr2となり、ブロー弁445を閉状態に切り替える時刻T2の後に再び増加して一定の回転数となる。タービン423の回転数がr3からr2に減少するのは、発電室215において燃料ガスL1が十分に反応することで排燃料ガスL3に含まれる未燃成分が減少し、触媒燃焼器422で生成される燃焼ガスGが減少するからである。
【0127】
一方、
図11に示すように、比較例では、タービン423の回転数は、時刻T1から時刻T4まで漸次増加し、その後に低下して一定の回転数となる。タービン423の回転数が時刻T1から時刻T4まで漸次増加するのは、時刻T1以降もブロー弁445の閉状態が維持されるからである。
【0128】
図12に示すように、本実施形態では、発電室215へ供給される酸化性ガスの流量は、時刻T0でFL6であったものが、ブロー弁445が開状態となったことに応じて低下し、時刻T1でFL3となる。その後、時刻T1から酸化性ガスの流量が増加してFL5となる。その後、酸化性ガスの流量は、漸次減少してFL4となり、ブロー弁445を閉状態に切り替える時刻T2の後に再び増加して一定の回転数となる。
【0129】
一方、
図12に示すように、比較例では、発電室215へ供給される酸化性ガスの流量は、時刻T1から時刻T4まで漸次増加し、その後に低下して一定の流量となる。酸化性ガスの流量が時刻T1から時刻T4まで漸次増加するのは、時刻T1以降もブロー弁445の閉状態が維持されるからである。
【0130】
前述したフローチャートのステップS108では、発電室215の温度が発電による自己発熱で温度維持ができる所定温度以上となった場合に、発電室215が所定の加熱状態であると判断したが、他の態様であってもよい。例えば、
図11に示すように、タービン423(ターボチャージャ411)の単位時間当たりの回転数が上昇傾向(r2からr3への変化)から低下傾向(r3からr2への変化)に変化したことに応じて、発電室215が所定の加熱状態であると判断してもよい。この場合、制御装置20は、タービン423の単位時間当たりの回転数が上昇傾向から低下傾向に変化したことに応じて、ブロー弁445を閉状態に切り替える。
【0131】
以上で説明した本実施形態の燃料電池システム310が奏する作用および効果について説明する。
【0132】
本実施形態の燃料電池システム310によれば、制御弁342を閉状態から開状態に切り替えて燃料極109への燃料ガスL1の供給を開始する際に、ブロー弁445が開状態となる。圧縮機421で圧縮されて酸化性ガス供給ライン331に導かれた酸化性ガスA2の一部が開状態のブロー弁445から外部に排出されるため、ブロー弁445を閉状態とする場合に比べ、酸化性ガス供給ライン331により空気極113へ供給される酸化性ガスA2の供給量が減少する。
【0133】
そのため、空気極113へ供給される酸化性ガスA2の供給量が燃料極109へ供給される燃料ガスの供給量に対して過多となって起動時間が長くなることを防止することができる。そして、燃料極109へ燃料ガスL1の供給を開始してから発電室215が所定の加熱状態となるまでに要する起動時間を短縮することができる。
【0134】
本実施形態の燃料電池システム310によれば、燃料電池の発電室215が起動用加熱器458により加熱された酸化性ガスA2により所定の加熱状態となったことに応じてブロー弁445が閉状態に切り替えられる。ブロー弁445が閉状態となると空気極113に供給される酸化性ガスA2の流量が増加するが、発電室215が所定の加熱状態となって燃料電池の触媒の活性が高まっている。そのため、空気極113に供給される酸化性ガスA2と燃料極109に供給される燃料ガスL1とを適切に反応させることができる。
【0135】
本実施形態に係る燃料電池システム310によれば、発電室215の温度が所定温度以上となったことに応じてブロー弁445を閉状態に切り替えることにより、空気極113に供給される酸化性ガスA2の流量を増加する。発電室215の温度が所定温度以上となって燃料電池の触媒の活性が高まっているため、空気極113に供給される酸化性ガスA2と燃料極109に供給される燃料ガスL1とを適切に反応させることができる。
【0136】
本実施形態に係る燃料電池システム310によれば、ターボチャージャ411の単位時間当たりの回転数が上昇傾向から低下傾向に変化したことに応じてブロー弁445を閉状態に切り替える。上昇傾向から低下傾向への変化は、燃料電池の触媒の活性が高まったことにより未反応の排燃料ガスL3が減少したことを示す。ブロー弁445を閉状態とすることにより空気極113に供給される酸化性ガスA2の流量を増加するが、空気極113に供給される酸化性ガスA2と燃料極109に供給される燃料ガスL1とを適切に反応させることができる。
【0137】
〔第2実施形態〕
以下、本開示の第2実施形態の燃料電池システム310について図面を参照して説明する。本実施形態の燃料電池システム310は、第1実施形態の燃料電池システム310の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0138】
本実施形態の燃料電池システム310は、制御弁342を閉状態から開状態に切り替えるのに先立って、制御弁457の開度を増加させることにより、空気極に供給される酸化性ガスの温度を増加させ、発電を開始する際の発電室215の温度を上昇させるものである。
【0139】
図13は、制御弁(加熱制御弁)457の開度の変化を示すグラフである。
図14は、制御弁(酸化性ガス制御弁)335の開度の変化を示すグラフである。
図15は、発電室215の温度変化を示すグラフである。時刻T0,T1,T2,T3,T4,T5は、第1実施形態で説明したものと同様である。時刻T1は、燃料極109への燃料ガスL1の供給が開始される時刻である。時刻T2は、発電室215が所定の加熱状態となる時刻である。
【0140】
図13に示すように、本実施形態の制御装置20は、制御弁342を閉状態から開状態に切り替えるのに先立つ時刻T1aにおいて、制御弁457の開度をOP2からOP3に増加させる。その後、制御装置20は、発電室215が所定の加熱状態となる時刻T2において、制御弁457の開度をOP3からOP2に減少させる。
【0141】
第1実施形態において、制御装置20は、時刻T2以降は、制御弁457の開度をOP2で維持している。また、時刻T1aは、SOFC313の起動完了後のある時刻における運転状態から負荷要求により予め設定された運転状態へ移行(例えば、50%負荷から100%負荷へ変化)するのに先立つ時刻であってもよい。制御弁(加熱制御弁)457及び制御弁(酸化性ガス制御弁)335の開度を負荷要求により予め設定された開度に制御することで発電室215の温度の変動を抑制することができる。
【0142】
制御装置20は、例えば、50%負荷から100%負荷へ変化させる場合は制御弁342の開度を増加させるのに先立って加熱制御弁457および酸化性ガス制御弁335の開度を予め設定された100%負荷運転時の開度となるように、それぞれの開度を増加および減少させることで負荷上昇に伴う発電室温度の過昇温およびターボチャージャ411の過回転を抑制することができる。
【0143】
また、制御装置20は、例えば、100%負荷から50%負荷へ変化させる場合は制御弁342の開度を減少させるのに先立って加熱制御弁457および酸化性ガス制御弁335の開度を予め設定された50%負荷運転時の開度となるように、それぞれの開度を減少および増加させることで負荷減少に伴う発電室温度の維持およびターボチャージャ411の必要回転数の確保を行うことができる。
【0144】
図14に示すように、本実施形態の制御装置20は、制御弁342を閉状態から開状態に切り替えるのに先立つ時刻T1aにおいて、制御弁335の開度をOP5からOP4に減少させる。その後、制御装置20は、発電室215が所定の加熱状態となる時刻T2において、制御弁335の開度をOP4からOP5に増加させる。第1実施形態において、制御装置20は、制御弁335の開度をOP5で維持している。
【0145】
制御弁335の開度OP4は、制御弁457の開度がOP2からOP3に増加することによる酸化性ガスの増加量と、制御弁335の開度がOP5からOP4に減少することによる酸化性ガスの減少量とが一致するように設定される。すなわち、制御弁335の開度OP4は、起動用空気加熱ライン455から酸化性ガス供給ライン331に供給される酸化性ガスの増加量を相殺するように設定される。
【0146】
図15に示すように、第1実施形態では、時刻T1における発電室215の温度はTe1であり、時刻T3において、発電室215の温度が目標温度である時刻Te3に到達する。一方、第2実施形態では、時刻T1における発電室215の温度はTe1よりも高いTe1aであり、時刻T3よりも早いタイミングで、発電室215の温度が目標温度である時刻Te3に到達する。このように、本実施形態の制御装置20は、時刻T1aにおいて、制御弁457の開度をOP2からOP3に増加させるとともに制御弁335の開度をOP5からOP4に減少させるよう制御弁457および制御弁335を制御する。
【0147】
本実施形態の制御装置20は、時刻T1aにおいて、制御弁(加熱制御弁)457の開度を増加させるとともに制御弁(酸化性ガス制御弁)335の開度を減少させるよう制御弁457および制御弁335を制御する第1制御工程を実行する。また、制御装置20は、時刻T1において、制御弁457の開度がOP2からOP3に増加し、かつ制御弁335の開度がOP5からOP4に減少した状態で、制御弁342を閉状態から開状態に切り替えるよう制御弁342を制御する。本実施形態の制御装置20は、時刻T1において制御弁457の開度が増加し、かつ制御弁335の開度が減少した状態で、制御弁342を閉状態から開状態に切り替えるよう制御弁342を制御する第2制御工程を実行する。
【0148】
なお、制御装置20は、制御弁342を閉状態から開状態に切り替えるのに先立つ時刻T1aにおいて、制御弁(接続制御弁)456の開度を減少させるようにしてもよい。この場合、制御装置20は、時刻T2において、制御弁456の開度を増加させて元の開度に戻すよう制御する。制御弁456は、排酸化性ガスライン333と起動用空気加熱ライン455とを接続する接続ラインに配置されている。
【0149】
本実施形態の燃料電池システム310によれば、制御弁342を閉状態から開状態に切り替えるのに先立って、制御弁457の開度を増加させることにより、空気極113に供給される酸化性ガスA2の温度を増加させることができる。そのため、制御弁457の開度を増加させない場合に比べ、制御弁342を閉状態から開状態に切り替える際の発電室215の温度が上昇する。発電室215の温度が上昇することにより燃料電池の触媒の活性が高まるため、未反応の排燃料ガスL3が減少し、排燃料ガスL3により回転駆動されるタービン423の単位時間当たりの回転数の増加を抑制することができる。
【0150】
また、本実施形態の燃料電池システム310によれば、制御弁335の開度を減少させることにより、起動用空気加熱ライン455ら酸化性ガス供給ライン331に供給される酸化性ガスの増加量を相殺することができる。そのため、酸化性ガス供給ライン331から空気極113に供給される酸化性ガスA2の供給量が過剰に増加して起動時間が長くなることを防止することができる。
【0151】
以上説明した各実施形態に記載の燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法は例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る燃料電池システム(310)は、空気極と燃料極を有する燃料電池(313)と、前記燃料電池から排出された排燃料ガス及び排酸化性ガスが燃焼ガスとして供給されるタービン及び前記タービンにより駆動される圧縮機を有するターボチャージャ(411)と、前記圧縮機で圧縮した酸化性ガスを前記空気極へ供給する酸化性ガス供給ライン(331)と、燃料ガスを前記燃料極へ供給する燃料ガスライン(341)と、前記燃料ガスラインに配置される燃料ガス制御弁(342)と、前記酸化性ガス供給ラインを流通する前記酸化性ガスを加熱する加熱部(455、457,458)と、前記酸化性ガス供給ラインに接続されるとともに前記酸化性ガスを外部へ排出するブローライン(444)と、前記ブローラインに配置されるブロー弁(445)と、前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えて前記燃料極への前記燃料ガスの供給を開始する際に前記ブロー弁を開状態とし、前記燃料電池の発電室(215)が前記加熱部により加熱された前記酸化性ガスにより所定の加熱状態となったことに応じて前記ブロー弁を閉状態に切り替えるよう前記燃料ガス制御弁および前記ブロー弁を制御する制御装置(20)と、を備える。
【0152】
本開示の第1態様に係る燃料電池システムによれば、燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えて燃料極への燃料ガスの供給を開始する際に、ブロー弁が開状態となる。圧縮機で圧縮されて酸化性ガス供給ラインに導かれた酸化性ガスの一部が開状態のブロー弁から外部に排出されるため、ブロー弁を閉状態とする場合に比べ、酸化性ガス供給ラインにより空気極へ供給される酸化性ガスの供給量が減少する。
【0153】
そのため、空気極へ供給される酸化性ガスの供給量が燃料極へ供給される燃料ガスの供給量に対して過多となって起動時間が長くなることを防止することができる。そして、燃料極へ燃料ガスの供給を開始してから発電室が所定の加熱状態となるまでに要する起動時間を短縮することができる。
【0154】
本開示の第1態様に係る燃料電池システムによれば、燃料電池の発電室が加熱部により加熱された酸化性ガスにより所定の加熱状態となったことに応じてブロー弁が閉状態に切り替えられる。ブロー弁が閉状態となると空気極に供給される酸化性ガスの流量が増加するが、発電室が所定の加熱状態となって燃料電池の触媒の活性が高まっている。そのため、空気極に供給される酸化性ガスと燃料極に供給される燃料ガスとを適切に反応させることができる。
【0155】
本開示の第2態様に係る燃料電池システムは、第1態様において、前記制御装置が、前記発電室の温度が所定温度以上となったことに応じて前記ブロー弁を閉状態に切り替える。
本開示の第2態様に係る燃料電池システムによれば、発電室の温度が所定温度以上となったことに応じてブロー弁を閉状態に切り替えることにより、空気極に供給される酸化性ガスの流量を増加する。発電室の温度が所定温度以上となって燃料電池の触媒の活性が高まっているため、空気極に供給される酸化性ガスと燃料極に供給される燃料ガスとを適切に反応させることができる。
【0156】
本開示の第3態様に係る燃料電池システムは、第1態様または第2態様において、前記制御装置は、前記ターボチャージャの単位時間当たりの回転数が上昇傾向から低下傾向に変化したことに応じて前記ブロー弁を閉状態に切り替える構成としてもよい。
【0157】
本開示の第3態様に係る燃料電池システムによれば、ターボチャージャの単位時間当たりの回転数が上昇傾向から低下傾向に変化したことに応じてブロー弁を閉状態に切り替える。上昇傾向から低下傾向への変化は、燃料電池の触媒の活性が高まったことにより未反応の排燃料ガスが減少したことを示す。ブロー弁を閉状態とすることにより空気極に供給される酸化性ガスの流量を増加するが、空気極に供給される酸化性ガスと燃料極に供給される燃料ガスとを適切に反応させることができる。
【0158】
本開示の第4態様に係る燃料電池システムは、空気極と燃料極を有する燃料電池と、前記燃料電池から排出された排燃料ガス及び排酸化性ガスが燃焼ガスとして供給されるタービン及び前記タービンにより駆動される圧縮機を有するターボチャージャと、前記圧縮機で圧縮した酸化性ガスを前記空気極へ供給する酸化性ガス供給ラインと、前記酸化性ガス供給ラインに配置される酸化性ガス制御弁(335)と、燃料ガスを前記燃料極へ供給する燃料ガスラインと、前記燃料ガスラインに配置される燃料ガス制御弁と、前記酸化性ガス供給ラインを流通する前記酸化性ガスを加熱する加熱部と、を備え、前記加熱部は、前記酸化性ガス制御弁の上流側に一端が接続されるとともに前記酸化性ガス制御弁の下流側に他端が接続される酸化性ガス加熱ライン(455)と、前記酸化性ガス加熱ラインに配置される加熱制御弁(457)と、を有し、予め設定された前記燃料電池の運転状態に応じて前記加熱制御弁の開度を増加あるいは減少させるとともに前記酸化性ガス制御弁の開度を減少あるいは増加させるよう前記加熱制御弁および前記酸化性ガス制御弁を制御する制御装置を備える。
【0159】
本開示の第4態様に係る燃料電池システムによれば、予め設定された燃料電池の運転状態に応じて、加熱制御弁の開度を増加させることにより、空気極に供給される酸化性ガスの温度を増加させることができる。そのため、加熱制御弁の開度を増加させない場合に比べ、燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替える際の発電室の温度が上昇する。発電室の温度が上昇することにより燃料電池の触媒の活性が高まるため、未反応の排燃料ガスが減少し、排燃料ガスにより回転駆動されるタービンの単位時間当たりの回転数の増加を抑制することができる。
【0160】
また、本開示の第4態様に係る燃料電池システムによれば、予め設定された燃料電池の運転状態に応じて、酸化性ガス制御弁の開度を減少させることにより、酸化性ガス加熱ラインから酸化性ガス供給ラインに供給される酸化性ガスの増加量を相殺することができる。そのため、酸化性ガス供給ラインから空気極に供給される酸化性ガスの供給量が過剰に増加して起動時間が長くなることを防止することができる。
【0161】
本開示の第5態様に係る燃料電池システムは、第4態様において、前記酸化性ガス供給ラインに接続されるとともに前記酸化性ガスを外部へ排出するブローラインと、前記ブローラインに配置されるブロー弁と、を有し、前記制御装置は、前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えて前記燃料極への前記燃料ガスの供給を開始する際に前記ブロー弁を開状態とし、前記燃料電池の発電室が前記加熱部により加熱された前記酸化性ガスにより所定の加熱状態となったことに応じて前記ブロー弁を閉状態に切り替えるよう前記燃料ガス制御弁および前記ブロー弁を制御する。
【0162】
本開示の第5態様に係る燃料電池システムによれば、燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えて燃料極への燃料ガスの供給を開始する際に、ブロー弁が開状態となる。圧縮機で圧縮されて酸化性ガス供給ラインに導かれた酸化性ガスの一部が開状態のブロー弁から外部に排出されるため、ブロー弁を閉状態とする場合に比べ、酸化性ガス供給ラインにより空気極へ供給される酸化性ガスの供給量が減少する。
【0163】
そのため、空気極へ供給される酸化性ガスの供給量が燃料極へ供給される燃料ガスの供給量に対して過多となって起動時間が長くなることを防止することができる。そして、燃料極へ燃料ガスの供給を開始してから発電室が所定の加熱状態となるまでに要する起動時間を短縮することができる。
【0164】
本開示の第5態様に係る燃料電池システムによれば、燃料電池の発電室が加熱部により加熱された酸化性ガスにより所定の加熱状態となったことに応じてブロー弁が閉状態に切り替えられる。ブロー弁が閉状態となると空気極に供給される酸化性ガスの流量が増加するが、発電室が所定の加熱状態となって燃料電池の触媒の活性が高まっている。そのため、空気極に供給される酸化性ガスと燃料極に供給される燃料ガスとを適切に反応させることができる。
【0165】
本開示の第6態様に係る燃料電池システムは、第5態様において、前記燃料電池から排出された前記排燃料ガスを燃焼させる燃焼器(422)と、前記燃料電池から排出された前記排酸化性ガスを前記燃焼器へ供給する排酸化性ガスライン(333)と、前記排酸化性ガスラインと前記酸化性ガス加熱ラインとを接続する接続ラインに配置される接続制御弁(456)を備え、前記制御装置は、前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えるのに先立って、前記接続制御弁の開度を減少させるよう前記接続制御弁を制御する。
【0166】
本開示の第6態様に係る燃料電池システムによれば、燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えるのに先立って、接続制御弁の開度を減少させることにより、酸化性ガス加熱ラインから酸化性ガス供給ラインに供給される酸化性ガスの流量を増加させ、空気極に供給される酸化性ガスの温度を増加させることができる。
【0167】
本開示の第7態様に係る燃料電池システムの運転方法は、前記燃料電池システムは、空気極と燃料極を有する燃料電池と、前記燃料電池から排出された排燃料ガス及び排酸化性ガスが燃焼ガスとして供給されるタービンおよび前記タービンにより駆動される圧縮機を有するターボチャージャと、前記圧縮機で圧縮した酸化性ガスを前記空気極へ供給する酸化性ガス供給ラインと、燃料ガスを前記燃料極へ供給する燃料ガスラインと、前記燃料ガスラインに配置される燃料ガス制御弁と、前記酸化性ガス供給ラインを流通する前記酸化性ガスを加熱する加熱部と、前記酸化性ガス供給ラインに接続されるとともに前記酸化性ガスを外部へ排出するブローラインと、前記ブローラインに配置されるブロー弁と、を備え、前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えて前記燃料極への前記燃料ガスの供給を開始する工程と、前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えて前記燃料極への前記燃料ガスの供給を開始する際に前記ブロー弁を開状態とする工程と、前記燃料電池の発電室が前記加熱部により加熱された前記酸化性ガスにより所定の加熱状態となったことに応じて前記ブロー弁を閉状態に切り替えるよう前記ブロー弁を制御する制御工程を備える。
【0168】
本開示の第7態様に係る燃料電池システムの運転方法によれば、燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えて燃料極への燃料ガスの供給を開始する際に、ブロー弁が開状態となる。圧縮機で圧縮されて酸化性ガス供給ラインに導かれた酸化性ガスの一部が開状態のブロー弁から外部に排出されるため、ブロー弁を閉状態とする場合に比べ、酸化性ガス供給ラインにより空気極へ供給される酸化性ガスの供給量が減少する。
【0169】
そのため、空気極へ供給される酸化性ガスの供給量が燃料極へ供給される燃料ガスの供給量に対して過多となって起動時間が長くなることを防止することができる。そして、燃料極へ燃料ガスの供給を開始してから発電室が所定の加熱状態となるまでに要する起動時間を短縮することができる。
【0170】
本開示の第7態様に係る燃料電池システムの運転方法によれば、燃料電池の発電室が加熱部により加熱された酸化性ガスにより所定の加熱状態となったことに応じてブロー弁が閉状態に切り替えられる。ブロー弁が閉状態となると空気極に供給される酸化性ガスの流量が増加するが、発電室が所定の加熱状態となって燃料電池の触媒の活性が高まっている。そのため、空気極に供給される酸化性ガスと燃料極に供給される燃料ガスとを適切に反応させることができる。
【0171】
本開示の第8に係る燃料電池システムの運転方法において、前記燃料電池システムは、空気極と燃料極を有する燃料電池と、前記燃料電池から排出された排燃料ガス及び排酸化性ガスが燃焼ガスとして供給されるタービン及び前記タービンにより駆動される圧縮機を有するターボチャージャと、前記圧縮機で圧縮した酸化性ガスを前記空気極へ供給する酸化性ガス供給ラインと、前記酸化性ガス供給ラインに配置される酸化性ガス制御弁と、燃料ガスを前記燃料極へ供給する燃料ガスラインと、前記燃料ガスラインに配置される燃料ガス制御弁と、前記酸化性ガス供給ラインを流通する前記酸化性ガスを加熱する加熱部と、を備え、前記加熱部は、前記酸化性ガス制御弁の上流側に一端が接続されるとともに前記酸化性ガス制御弁の下流側に他端が接続される酸化性ガス加熱ラインと、前記酸化性ガス加熱ラインに配置される加熱制御弁と、を有し、予め設定された前記燃料電池の運転状態に応じて、前記加熱制御弁の開度を増加あるいは減少させるとともに前記酸化性ガス制御弁の開度を減少あるいは増加させるよう前記加熱制御弁および前記酸化性ガス制御弁を制御する制御工程を備える。
【0172】
本開示の第8態様に係る燃料電池システムの運転方法によれば、予め設定された燃料電池の運転状態に応じて、加熱制御弁の開度を増加させることにより、空気極に供給される酸化性ガスの温度を増加させることができる。そのため、加熱制御弁の開度を増加させない場合に比べ、燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替える際の発電室の温度が上昇する。発電室の温度が上昇することにより燃料電池の触媒の活性が高まるため、未反応の排燃料ガスが減少し、排燃料ガスにより回転駆動されるタービンの単位時間当たりの回転数の増加を抑制することができる。
【0173】
また、本開示の第8態様に係る燃料電池システムの運転方法によれば、予め設定された燃料電池の運転状態に応じて、酸化性ガス制御弁の開度を減少させることにより、酸化性ガス加熱ラインから酸化性ガス供給ラインに供給される酸化性ガスの増加量を相殺することができる。そのため、酸化性ガス供給ラインから空気極に供給される酸化性ガスの供給量が過剰に増加して起動時間が長くなることを防止することができる。
【0174】
本開示の第9態様に係る燃料電池システムの運転方法において、前記燃料電池システムは、空気極と燃料極を有する燃料電池と、前記燃料電池から排出された排燃料ガス及び排酸化性ガスが燃焼ガスとして供給されるタービン及び前記タービンにより駆動される圧縮機を有するターボチャージャと、前記圧縮機で圧縮した酸化性ガスを前記空気極へ供給する酸化性ガス供給ラインと、前記酸化性ガス供給ラインに配置される酸化性ガス制御弁と、燃料ガスを前記燃料極へ供給する燃料ガスラインと、前記燃料ガスラインに配置される燃料ガス制御弁と、前記酸化性ガス供給ラインを流通する前記酸化性ガスを加熱する加熱部と、を備え、前記加熱部は、前記酸化性ガス制御弁の上流側に一端が接続されるとともに前記酸化性ガス制御弁の下流側に他端が接続される酸化性ガス加熱ラインと、前記酸化性ガス加熱ラインに配置される加熱制御弁と、を有し、前記加熱制御弁の開度を増加させるとともに前記酸化性ガス制御弁の開度を減少させるよう前記加熱制御弁および前記酸化性ガス制御弁を制御する第1制御工程と、前記加熱制御弁の開度が増加し、かつ前記酸化性ガス制御弁の開度が減少した状態で、前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えるよう前記燃料ガス制御弁を制御する第2制御工程と、を備える。
【0175】
本開示の第9態様に係る燃料電池システムの運転方法によれば、燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えるのに先立って、加熱制御弁の開度を増加させることにより、空気極に供給される酸化性ガスの温度を増加させることができる。そのため、加熱制御弁の開度を増加させない場合に比べ、燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替える際の発電室の温度が上昇する。発電室の温度が上昇することにより燃料電池の触媒の活性が高まるため、未反応の排燃料ガスが減少し、排燃料ガスにより回転駆動されるタービンの単位時間当たりの回転数の増加を抑制することができる。
【0176】
また、本開示の第9態様に係る燃料電池システムの運転方法によれば、酸化性ガス制御弁の開度を減少させることにより、酸化性ガス加熱ラインから酸化性ガス供給ラインに供給される酸化性ガスによる酸化性ガスの増加量を相殺することができる。そのため、酸化性ガス供給ラインから空気極に供給される酸化性ガスの供給量が過剰に増加して起動時間が長くなることを防止することができる。
【符号の説明】
【0177】
20 制御装置
109 燃料極
113 空気極
215 発電室
310 燃料電池システム
329 燃焼排ガスライン
331 酸化性ガス供給ライン
333 排酸化性ガスライン
335 制御弁(酸化性ガス制御弁)
341 燃料ガスライン
342 制御弁(燃料ガス制御弁)
343 排燃料ガスライン
346 遮断弁
347 調整弁
348 再循環ブロワ
349 燃料ガス再循環ライン
350 排燃料ガス放出ライン
351 排空気冷却器
411 ターボチャージャ
421 圧縮機
422 触媒燃焼器
423 タービン
424 回転軸
430 熱交換器
441 オリフィス
442 排熱回収装置
443 制御弁
444 酸化性ガスブローライン
445 ブロー弁
451 制御弁
452 ブロワ
455 起動用空気加熱ライン(酸化性ガス加熱ライン)
456 制御弁
457 制御弁(加熱制御弁)
458 起動用加熱器
459 制御弁
460 制御弁
A 空気
A2 酸化性ガス
A3 排酸化性ガス
G 燃焼ガス
L1 燃料ガス
L3 排燃料ガス
T0,T1,T1a,T2,T3,T4,T5 時刻
【手続補正書】
【提出日】2023-01-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気極と燃料極を有する燃料電池と、
前記燃料電池から排出された排燃料ガス及び排酸化性ガスが燃焼ガスとして供給されるタービン及び前記タービンにより駆動される圧縮機を有するターボチャージャと、
前記圧縮機で圧縮した酸化性ガスを前記空気極へ供給する酸化性ガス供給ラインと、
燃料ガスを前記燃料極へ供給する燃料ガスラインと、
前記燃料ガスラインに配置される燃料ガス制御弁と、
前記酸化性ガス供給ラインを流通する前記酸化性ガスを加熱する加熱部と、
前記酸化性ガス供給ラインに接続されるとともに前記酸化性ガスを外部へ排出するブローラインと、
前記ブローラインに配置されるブロー弁と、
前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えて前記燃料極への前記燃料ガスの供給を開始する際に前記ブロー弁を開状態とし、前記燃料電池の発電室が前記加熱部により加熱された前記酸化性ガスにより所定の加熱状態となったことに応じて前記ブロー弁を閉状態に切り替えるよう前記燃料ガス制御弁および前記ブロー弁を制御する制御装置と、を備える燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記発電室の温度が所定温度以上となったことに応じて前記ブロー弁を閉状態に切り替える請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記ターボチャージャの単位時間当たりの回転数が上昇傾向から低下傾向に変化したことに応じて前記ブロー弁を閉状態に切り替える請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
空気極と燃料極を有する燃料電池と、
前記燃料電池から排出された排燃料ガス及び排酸化性ガスが燃焼ガスとして供給されるタービン及び前記タービンにより駆動される圧縮機を有するターボチャージャと、
前記圧縮機で圧縮した酸化性ガスを前記空気極へ供給する酸化性ガス供給ラインと、
前記酸化性ガス供給ラインに配置される酸化性ガス制御弁と、
燃料ガスを前記燃料極へ供給する燃料ガスラインと、
前記燃料ガスラインに配置される燃料ガス制御弁と、
前記酸化性ガス供給ラインを流通する前記酸化性ガスを加熱する加熱部と、を備え、
前記加熱部は、
前記酸化性ガス制御弁の上流側に一端が接続されるとともに前記酸化性ガス制御弁の下流側に他端が接続される酸化性ガス加熱ラインと、
前記酸化性ガス加熱ラインに配置される加熱制御弁と、を有し、
予め設定された前記燃料電池の運転状態に応じて、前記加熱制御弁の開度を増加あるいは減少させるとともに前記酸化性ガス制御弁の開度を減少あるいは増加させるよう前記加熱制御弁および前記酸化性ガス制御弁を制御する制御装置と、
前記酸化性ガス供給ラインに接続されるとともに前記酸化性ガスを外部へ排出するブローラインと、
前記ブローラインに配置されるブロー弁と、を備え、
前記制御装置は、前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えて前記燃料極への前記燃料ガスの供給を開始する際に前記ブロー弁を開状態とし、前記燃料電池の発電室が前記加熱部により加熱された前記酸化性ガスにより所定の加熱状態となったことに応じて前記ブロー弁を閉状態に切り替えるよう前記燃料ガス制御弁および前記ブロー弁を制御する燃料電池システム。
【請求項5】
前記燃料電池から排出された前記排燃料ガスを燃焼させる燃焼器と、
前記燃料電池から排出された前記排酸化性ガスを前記燃焼器へ供給する排酸化性ガスラインと、
前記排酸化性ガスラインと前記酸化性ガス加熱ラインとを接続する接続ラインに配置される接続制御弁を備え、
前記制御装置は、前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えるのに先立って、前記接続制御弁の開度を減少させるよう前記接続制御弁を制御する請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
燃料電池システムの運転方法であって、
前記燃料電池システムは、
空気極と燃料極を有する燃料電池と、
前記燃料電池から排出された排燃料ガス及び排酸化性ガスが燃焼ガスとして供給されるタービンおよび前記タービンにより駆動される圧縮機を有するターボチャージャと、
前記圧縮機で圧縮した酸化性ガスを前記空気極へ供給する酸化性ガス供給ラインと、
燃料ガスを前記燃料極へ供給する燃料ガスラインと、
前記燃料ガスラインに配置される燃料ガス制御弁と、
前記酸化性ガス供給ラインを流通する前記酸化性ガスを加熱する加熱部と、
前記酸化性ガス供給ラインに接続されるとともに前記酸化性ガスを外部へ排出するブローラインと、
前記ブローラインに配置されるブロー弁と、を備え、
前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えて前記燃料極への前記燃料ガスの供給を開始する工程と、
前記燃料ガス制御弁を閉状態から開状態に切り替えて前記燃料極への前記燃料ガスの供給を開始する際に前記ブロー弁を開状態とする工程と、
前記燃料電池の発電室が前記加熱部により加熱された前記酸化性ガスにより所定の加熱状態となったことに応じて前記ブロー弁を閉状態に切り替えるよう前記ブロー弁を制御する制御工程を備える燃料電池システムの運転方法。