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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070928
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】壁枠組みの連結構造及び工法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/38 20060101AFI20240517BHJP
   E04B 1/18 20060101ALI20240517BHJP
   E04B 1/10 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
E04B1/38 400Z
E04B1/18 E
E04B1/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181558
(22)【出願日】2022-11-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-09
(71)【出願人】
【識別番号】522444438
【氏名又は名称】株式会社須賀建設
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】須賀 修一
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA20
2E125AA53
2E125AB12
2E125AC23
2E125AD01
(57)【要約】
【課題】工場で組み立てられた高断熱・高気密壁枠組みを、専門の技術無しで施工でき、外観上の品位を維持できる壁枠組みの連結構造を提供する。
【解決手段】壁枠組みと、床根太と、端根太と、から成り、壁枠組みには、予め断熱材と気密シートが付されており、端根太は、壁枠組み側板材と床根太側板材から成り、壁枠組み側の広面の端に床根太側板材の端面が当接し、壁枠組み側板材の広面側から釘又はネジで床根太側板材を固定し、壁枠組み側板材の広面は、壁枠組みの端部に対応する位置にあり、床根太側板材の広面は、床根太の端部に対応する位置にあり、壁枠組みと壁枠組み側板材とを、壁枠組み側板材側で屋外側から斜めに釘又はネジで固定し、床根太側板材が隠れるように補足材を挿入し、少なくとも補足材を覆うように外板を設ける構成を採用する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め他の場所でツーバイ材により作られた壁枠組みを連結して壁を形成する構造において、
壁枠組みと、床根太と、端根太と、から成り、
該壁枠組みには、予め断熱材と気密シートが付されており、
該端根太は、壁枠組み側板材と床根太側板材から成り、該壁枠組み側板材の広面の端に該床根太側板材の端面が当接し、
該壁枠組み側板材の広面側から釘又はネジで該床根太側板材を固定し、
該壁枠組み側板材の広面は、該壁枠組みの端部に対応する位置にあり、
該床根太側板材の広面は、該床根太の端部に対応する位置にあり、
該壁枠組みと該壁枠組み側板材とを、該壁枠組み側板材側で屋外側から斜めに釘又はネジで固定し
該床根太側板材が隠れるように補足材を挿入し、
少なくとも該補足材を覆うように外板を設けることを特徴とする壁枠組みの連結構造。
【請求項2】
前記端根太は、端面から見た際、逆L字状であり、前記壁枠組み側板材は1階用壁枠組みの下端部に対応し、
前記床根太は1階の床根太であり、土台に載置されていることを特徴とする請求項1に記載の壁枠組みの連結構造。
【請求項3】
前記壁枠組み側板材は、前記床根太側板材の上下に配置され、前記端根太は端面から見た際、コの字状であり、
前記床根太は2階の床根太であり、
一方の前記壁枠組み側板材は1階用壁枠組みの上端部に対応し、他方の前記壁枠組み側板材は2階用壁枠組みの下端部に対応することを特徴とする請求項1に記載の壁枠組みの連結構造。
【請求項4】
前記ツーバイ材が、2x4材又は2x6材であることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の壁枠組みの連結構造。
【請求項5】
前記壁枠組みの荷重の一部を前記補足材が負っていることを特徴とする請求項1に記載の壁枠組みの連結構造。
【請求項6】
前記床根太側板材が、前記壁枠組みの厚さ方向の中心上にあることを特徴とする請求項1に記載の壁枠組みの連結構造。
【請求項7】
予め他の場所でツーバイ材により作られた壁枠組みを連結して壁を形成する工法において、
壁枠組みと、床根太と、端根太と、から成り、
該壁枠組みには、予め断熱材と気密シートが付されており、
該端根太は、壁枠組み側板材と床根太側板材から成り、該壁枠組み側板材の広面の端に該床根太側板材の端面が当接し、
該壁枠組み側板材の広面側から釘又はネジで該床根太側板材を固定し、
該壁枠組み側板材の広面は、該壁枠組みの端部に対応する位置にあり、
該床根太側板材の広面は、該床根太の端部に対応する位置にあり、
該壁枠組みと該壁枠組み側板材とを、該壁枠組み側板材側で屋外側から斜めに釘又はネジで固定し
該床根太側板材が隠れるように補足材を挿入し、
少なくとも該補足材を覆うように外板を設けることを特徴とする壁枠組みの工法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁枠組みの連結構造に関し、詳しくは、予め工場等で組まれた壁枠組みを容易に連結する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ツーバイ工法(木造枠組壁工法)では、均一サイズの角材と合板を接合して、柱や梁の代わりに壁、床、天井、屋根部分を構成するので、単純な工法であり、高度な技術の必要は無く、従来の木造建築についての専門的な技術を用いることなく、施工ができるようになった。
省エネ基準の引き上げに伴う高断熱・高気密工事の作業については、屋根、壁、床枠組みに断熱性、気密性を持たせるための重要な作業で、専門的な技術が必要である。正しい知識や技術を習得した作業者を確保することが必要であり、施工上の制限となっていた。
【0003】
対応する方法の一つとして、壁枠組みの内部への断熱材の充填と気密工事を工場等で予め行う方法がある。この方法を用いることによって、気密、断熱材を充填する作業を行う作業者を確保する必要は無くなる。しかし、壁枠組みの内部に断熱材を充填するので、壁枠組みを床等に固定する際、壁枠組みの内側から釘等で固定することができなくなる。
新たな固定方法として、外側から床等と壁枠組みとを、金具等で固定する方法も考えられるが、作業工数が増える上に、外観の一部が変わる可能性があり、最適な方法とは言えなかった。
そこで、予め、工場で、気密・断熱材の充填も含めて、組み立てられた壁枠組みを、専門の技術無しで、容易に施工でき、かつ、外観上の品位も維持できる工法が求められていた。
【0004】
このような問題に対して、従来からも様々な技術が提案されている。例えば、工場で作られた壁枠組みを施工する技術(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。より詳しくは、工場で作られた壁枠組みを施工する際、壁パネルの屋外側の下端部に取り付けた連結部材と基礎に取り付けられた被連結部材とを固定し、連結部材を隠蔽するように仕上げカバーを取り付けるものである。
【0005】
しかしながら、本先行技術による構造では、金具を用いるので作業工数が増えるし、仕上げカバーにより、他の施工部分との違いが発生し、外観が変わる恐れがあり、上記問題の解決には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4-343948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、予め工場で組み立てられた断熱材と気密シートが付された壁枠組みについて、専門の技術無しで施工可能とする壁枠組みの連結構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る壁枠組みの連結構造は、壁枠組みと、床根太と、端根太と、から成り、壁枠組みには、予め断熱材と気密シートが付されており、端根太は、壁枠組み側板材と床根太側板材から成り、壁枠組み側の広面の端に床根太側板材の端面が当接し、壁枠組み側板材の広面側から釘又はネジで床根太側板材を固定し、壁枠組み側板材の広面は、壁枠組みの端部に対応する位置にあり、床根太側板材の広面は、床根太の端部に対応する位置にあり、壁枠組みと壁枠組み側板材とを、壁枠組み側板材側で屋外側から斜めに釘又はネジで固定し、床根太側板材が隠れるように補足材を挿入し、少なくとも補足材を覆うように外板を設ける手段を採用する。
【0009】
また、本発明は、前記端根太が、端面から見た際逆L字状であり、壁枠組み側板材は1階用壁枠組みの下端部に対応し、床根太は1階の床根太であり、土台に載置されている手段を採用する。
【0010】
さらに、本発明は、前記壁枠組み側板材が、床根太側板材の上下に配置され、端根太は、端面から見た際コの字状であり、床根太は2階の床根太であり、一方の壁枠組み側板材は1階用壁枠組みの上端部に対応し、他方の壁枠組み側板材は2階用壁枠組みの下端部に対応する手段を採用する。
【0011】
またさらに、本発明は、前記ツーバイ材が、2x4材又は2x6材である手段を採用する。
【0012】
さらにまた、本発明は、壁枠組みの荷重の一部を補足材が負っている手段を採用する。
【0013】
またさらに、本発明は、前記床根太側板材が、壁枠組みの厚さ方向の中心上にある手段を採用する。
【0014】
そしてまた、本発明は、予め他の場所でツーバイ材により作られた壁枠組みを嵌め込んで壁を形成する工法において、壁枠組みと、床根太と、端根太と、から成り、壁枠組みには、予め断熱材と気密シートが付されており、端根太は、壁枠組み側板材と床根太側板材から成り、壁枠組み側の広面の端に床根太側板材の端面が当接し、壁枠組み側板材の広面側から釘又はネジで床根太側板材を固定し、壁枠組み側板材の広面は、壁枠組みの端部に対応する位置にあり、床根太側板材の広面は床根太の端部に対応する位置にあり、壁枠組みと壁枠組み側板材とを、壁枠組み側板材側で屋外側から斜めに釘又はネジで固定し、床根太側板材が隠れるように補足材を挿入し、少なくとも補足材を覆うように外板を設ける手段を採用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る壁枠組みの連結構造によれば、予め工場で組み立てられた壁枠組みを専門の技術無しで施工でき、従来工法の知識のみを持つ大工等であっても、断熱性、気密性を持つ壁枠組みを施工することができるので、施工可能な職人を増やすことができ、施工作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る壁枠組みの連結構造の実施形態を示す断面図である。
図2】本発明に係る壁枠組みの連結構造の実施形態を示す全体斜視図である。
図3】本発明に係る壁枠組みの連結構造の変形例を示す断面図である。
図4】本発明に係る壁枠組みの連結構造の変形例を示す断面図である。
図5】本発明に係る壁枠組みの連結構造の実施工程を示す説明図である。
図6】本発明に係る壁枠組みの連結構造の作用効果を示す説明図である。
図7】壁枠組みの連結構造の従来例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る壁枠組みの連結構造は、予め工場等で組まれた断熱材と気密シートが付された壁枠組みについて、専門の技術無しで施工可能であることを最大の特徴とする。
以下、本発明に係る壁枠組みの連結構造の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0018】
なお、以下に示される壁枠組みの連結構造の全体構成及び各部の構成は、下記に述べる実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状や寸法、構造等の範囲内で適宜変更することができるものである。
【0019】
図1から図7に従って、本発明を説明する。
図1は、本発明に係る壁枠組みの連結構造の実施形態を示す断面図である。図2は、本発明に係る壁枠組みの連結構造の実施形態を示しており、(a)は壁枠組みの連結構造の全体斜視図、(b)は壁枠組みを室内側から見た斜視図である。図3は、本発明に係る壁枠組みの連結構造の変形例を示しており、(a)は2階床付近の連結構造の断面図、(b)は壁、屋根取り合い付近の連結構造の断面図である。図4は、本発明に係る壁枠組みの連結構造の変形例を示しており、(a)は壁、出隅取り合い付近の連結構造の断面図、(b)は壁同士の取り合い付近の連結構造の断面図、(c)は屋根枠同士の取り合い付近の連結構造の断面図である。図5は、本発明に係る壁枠組みの連結構造の実施工程を示す説明図であり、(a)から(e)にかけて工程の流れを示している。図6は、本発明に係る壁枠組みの連結構造の作用効果を示す説明図であり、(a)は本実施例の構造の作用効果を示し、(b)は従来の構造を対比説明する図である。図7は、壁枠組みの連結構造の従来例を示す説明図である。
【0020】
まず、本発明との対比のため、ツーバイ工法における従来の構造について、図8に沿って説明する。
床面と、それに連結される壁用枠の関係を示している。床根太40と端根太の上に、構造用合板41が釘等で固定されている。次に、下端部13と上端部12と縦枠11と外装板14から成る壁枠組み(断熱材無し)を、構造用合板41を介して端根太に釘Kで固定する。
壁枠組み(断熱材無し)を固定した後、壁枠組みの内部に断熱材15を充填し、気密シート16で固定し、さらに、内壁を固定する。
断熱材を充填する作業は、専門的な技術が必要である。そのため、ツーバイ工法自体は、高度な技術は必要ないにも関わらず、断熱材の充填について、専門的な知識と経験が必要であり、施工上の制限となっている。
【0021】
本実施形態について、図1から図7に沿って説明する。
ツーバイ材としては、主に、2x4材又は2x6材が用いられる。
壁枠組み連結構造1は、木造建築において、予め、工場等の他の場所で、ツーバイ材によって組まれた壁枠組み10を、連結する構造である。壁枠組み連結構造1は、壁枠組み10と床根太40と逆L字端根太20と補足材30から構成されている。
壁枠組み10は、壁部分を構成する部分である。予め、工場等の他の場所で組まれるものである。壁枠組み10は、縦枠11と上端部12(以下、上枠ともいう)と下端部13(以下、下枠ともいう)と外装板14と断熱材15と気密シート16とからなる。
縦枠11と上端部12と下端部13とによって枠が構成され、外装板14を枠に固定することで、壁構造となる。枠と枠との間となる壁枠組みの内側に、断熱材15を充填する。室内側の面を気密シート16で覆うことで、壁枠組みの内側は断熱材15を充填された状態で密閉される。
この作業を予め行うことで、現場で壁枠組みに断熱材を充填するための専門的な技術は不要となる。
但し、この構成となると、壁枠組みの内側が断熱材15で充填され、気密シート16で覆われてしまうので、図8に示すような釘の打ち方ができなくなる。そのため、本実施形態の構造が必要となる。
【0022】
本実施形態では、壁枠組み10を1階用壁枠組みとして、床根太40を1階用床根太として使う場合を説明する。
床根太40は、構造のベースとなる部分である。基礎51の上に土台50が渡され、土台50間を渡すように床根太40が載置される。床根太40が傾くことを防ぐための規制板として、土台50付近にころび止め42が配置される。床根太40の一部には、金物等による保持によって断熱材43が配置されている。
床根太40の端部には、逆L字端根太20が配置されている。
【0023】
逆L字端根太20は、本発明の要部である。壁枠組み10を支え、固定する部分である。端面から見た際、逆L字状である。逆L字端根太20は、壁枠組み側板材21と、床根太側板材22から成り、壁枠組み側の広面の端に床根太側板材22の端面が当接している。
壁枠組み側板材21の上側広面側から釘又はネジで、床根太側板材22を固定している。壁枠組み側板材21の広面は、構造用合板41を通して、壁枠組み10の下端部13に対応する位置にある。
床根太側板材22の広面は、床根太40の端部に対応する位置にあり、接している。
壁枠組み側板材21の下側には、屋外側に、壁枠組み側板材21と床根太側板材22と土台50で囲まれた水平方向に延びる溝が生成される。
この溝を利用して、壁枠組み10と壁枠組み側板材21とを、壁枠組み側板材21側で、屋外側から斜めに釘Kで固定する。言い換えれば、屋外側の斜め下から壁枠組み10を固定する。
【0024】
壁枠組み側板材21の屋外側端辺は、壁枠組み10の下端部13の屋外側の辺と、上面視で重なる位置である。
壁枠組み側板材21の厚さと床根太側板材22の長手方向の長さとの合計である逆L字端根太20の上下方向の長さは、床根太40の上下方向の長さと同じ寸法とする。逆L字端根太20の長さが床根太40の長さよりも短い場合は、高さ調整材24を用いて、長さを調整する。
壁枠組み10は、構造用合板41と逆L字端根太20と床根太40によって、支持される。
【0025】
補足材30は、壁枠組み側板材21の下側から壁枠組み10を釘Kで固定した後、逆L字端根太20と土台50との隙間を埋めるものであり、床根太側板材22が隠れるように挿入される。
壁枠組み側板材21の端面、補足材30の広面、土台50の側面によって、外装材32を設置するための平面を形成する。
外装材32である外板は、少なくとも補足材30を覆うように設けられる。
外装材32は外装板14と同質の合板であり、色等も同様のすることによって、外観上、外装板14と外装材32が一体と認識されるようにすることができる。
また、補足材30は、壁枠組み10の荷重の一部を負担しても良い。
【0026】
壁枠組み連結構造1の工程を、図5に沿って説明する。
壁枠組み側板材21と床根太側板材22を、逆L字状になるように釘Kで固定する。壁枠組み側板材21と床根太側板材22を同じ寸法の部材とすることで、手配、管理が容易とすることができる(図5(a))。
逆L字端根太20を、床根太40の端部に固定する。逆L字端根太20の長さと床根太40の端部の長さが異なる場合は、高さ調整材24を用いて調整する。逆L字端根太20は、2本の釘Kを用いて床根太40に固定する(図5(b))。
【0027】
構造用合板41を、逆L字端根太20、床根太40の上に渡し、固定する。その上から、壁枠組み10を、構造用合板41の屋外側の縁に仮置きする。逆L字端根太20の屋外側の斜め下から、釘Kで壁枠組み10を固定する(図5(c))。
逆L字端根太20と土台50とでできる隙間に補足材30を挿入し、釘KでL字端根太20の床根太側板材22に固定する。補足材30が荷重の一部を負担する場合は、上下方向の寸法を厳密に合わせる(図5(d))。
外装材32を取り付けて、構造が完成する(図5(e))。
【0028】
このように、本発明によれば、予め工場で組み立てられた壁枠組みを専門の技術無しで施工でき、従来工法の知識のみを持つ大工であっても施工でき、施工可能な職人を増やすことができ、施工作業を効率化することができる。
【0029】
また、同様の構造を他の部分に応用することができる。
図3(a)は、2階床組、壁枠組みの構造である。
壁枠組み側板材21は、床根太側板材22の上下に配置され、端根太71は、端面から見た際、コの字状であり、床根太40は、2階の床根太であり、一方の壁枠組み側板材21は、1階用壁枠組み10の上端部12に対応し、他方の壁枠組み側板材21は2階用壁枠組み10の下端部13に対応している。
釘Kは、1階用壁枠組み10と2階用壁枠組み10のそれぞれに対し、対応する壁枠組み側板材21側から打たれている。
この構成とすることで、1階用壁枠組み10、2階用壁枠組み10とも屋外側から容易に固定することができる。
図3(b)は、壁枠組み、屋根取り合いの構造である。
壁枠組み10の上端部12に対して、タルキ60の端部のころび止め42から釘Kを打つことで、屋根部分の壁枠組み10を容易に固定することができる。
【0030】
図4(a)は、壁枠組み、出隅取り合いの構造である。
壁枠組み10同士を角で固定する際、壁枠組みの片方の縦枠11をL字にして、外側より固定する構造である。L字の隙間は、補足材30によって埋めることで、角部分についても高品位とすることができる。
図4(b)は、壁枠組み同士を連結する構造である。
壁枠組みの片方の縦枠11をL字状にして、外側より固定する構造である。この方法により、壁枠組みを連結する場合にも、事前に断熱材、気密シートを組み込んだ壁枠組みを使用することができる。
図4(c)は、屋根枠組み同士の出隅取り合い構造である。
屋根枠組み片方のタルキをL字にして、外側より固定する構造である。この方法によって、屋根枠組みを連結する場合に、事前に断熱材、気密シートを組み込んだ屋根枠組みを使用することができる。
【0031】
図6に沿って、本実施形態における荷重上の効果について説明する。
図6(a)は、本実施形態の床根太40が無い部分の断面図である。図6(b)は、従来構造の床根太40が無い部分の断面図である。
本実施形態では、床根太40が無い部分については、構造用合板41を介す形ではあるが、逆L字端根太20と補足材30で支えられ、壁枠組み10の底面の半分以上の面積を支えており、且つ、逆L字端根太20の床根太側板材22が壁枠組み10の厚さ方向の中心上にあることから、壁枠組み10を極めて安定して支えることができる。
それに対して、従来の構造では、壁枠組み10が構造用合板41を介して従来の端根太72のみで支えられ、従来の端根太72は、壁枠組み10の厚さ方向の中心上に無いことから、経年時に壁枠組み10のゆがみが発生する可能性がある。
従って、本実施形態の構造は、経年的ゆがみを軽減する効果を持つものである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る壁枠組みの連結構造は、ツーバイ工法の効率化の点から産業上の利用可能性は大きいと解する。
【符号の説明】
【0033】
1 壁枠組み連結構造
10 壁枠組み
11 縦枠
12 上端部(上枠)
13 下端部(下枠)
14 外装板
15 断熱材
16 気密シート
20 逆L字端根太
21 壁枠組み側板材
22 床根太側板材
24 高さ調整材
30 補足材
31 釘用溝
32 外装材
40 床根太
41 構造用合板
42 ころび止め
43 断熱材
50 土台
51 基礎
60 タルキ
61 野地合板
70 屋根枠組み
71 端根太
72 従来の端根太
K 釘

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7