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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070936
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/06 20060101AFI20240517BHJP
   D06F 33/36 20200101ALI20240517BHJP
   D06F 33/37 20200101ALI20240517BHJP
【FI】
D06F39/06
D06F33/36
D06F33/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181568
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】安倍 瞬平
(72)【発明者】
【氏名】矢田 好宏
【テーマコード(参考)】
3B166
3B167
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA04
3B166AA05
3B166AB23
3B166AB30
3B166AB32
3B166AB33
3B166AE04
3B166AE07
3B166BA08
3B166BA42
3B166BA45
3B166BA52
3B166BA58
3B166BA82
3B166BA83
3B166CA01
3B166CA11
3B166CA21
3B166CB02
3B166CB12
3B166CB13
3B166CC02
3B166DA04
3B166DA12
3B166DA28
3B166DA35
3B166DB03
3B166DB17
3B166DC03
3B166DC12
3B166DC47
3B166DD01
3B166DD02
3B166DD06
3B166DE01
3B166DE02
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3B166EA03
3B166EA14
3B166EA17
3B166EB14
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3B166FA01
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3B166FA12
3B166FA14
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3B167AA04
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3B167AB32
3B167AB33
3B167AE04
3B167AE07
3B167BA08
3B167BA42
3B167BA45
3B167BA52
3B167BA58
3B167BA82
3B167BA83
3B167JA01
3B167JA11
3B167JA32
3B167JA36
3B167JA52
3B167JA63
3B167JB02
3B167JC22
3B167KA02
3B167KA12
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3B167KA52
3B167KA63
3B167KA65
3B167KA71
3B167KB01
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3B167LA38
3B167LA39
3B167LC05
3B167LC14
3B167LC20
3B167LD03
3B167LE05
3B167LF00
3B167LF11
3B167LG05
(57)【要約】
【課題】洗浄能力を高めつつ消費電力軽減が可能な洗濯機を提供する。
【解決手段】筐体と、筐体内に配置される外槽2と、外槽2に回転可能に内包され、遠心脱水用の貫通孔3bが形成されたドラム3と、外槽2内の洗剤液に泡を発生させる泡発生装置80と、外槽2内の洗剤液を加熱するヒータと、泡発生装置80およびヒータを制御する制御装置と、を備える。制御装置は、洗い中の水位をドラム3の最下面より下側に設定し、ヒータによって加熱した洗剤液を泡発生装置80によって泡立てて、洗濯物を泡83を用いて洗う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置される外槽と、
前記外槽に回転可能に内包され、遠心脱水用の貫通孔が形成されたドラムと、
前記外槽内の洗剤液に泡を発生させる泡発生装置と、
前記外槽内の洗剤液を加熱する加熱手段と、
前記泡発生装置および前記加熱手段を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、洗い中の水位を前記ドラムの最下面より下側に設定し、前記加熱手段によって加熱した前記洗剤液を前記泡発生装置によって泡立てて、洗濯物を前記泡を用いて洗うことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記洗濯物の負荷量を検出する負荷量検出手段を備え、
前記制御部は、前記負荷量検出手段によって検出された負荷量に基づいて前記泡の生成量を制御することを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項2に記載の洗濯機において、
前記泡の生成量は、前記泡発生装置の稼働時間に基づいて判定することを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項2に記載の洗濯機において、
前記泡の生成量は、電極センサを用いて推定することを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の洗濯機において、
前記制御部は、前記洗剤液の加熱中または加熱終了後に前記泡発生装置を介して前記泡を発生することを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、温水洗い時に温水ヒータで槽下部の洗剤液をあたため、循環ポンプを用いて衣類に洗剤液を振りかけて含浸させることで洗浄性能を確保する洗濯機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-100504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の洗濯機では、洗浄性能確保のため、循環ポンプを使用した場合、水量を多くする必要があり、節水が図れないとともに、水量が多くなることから高濃度での洗浄ができない課題があった。また、水量が多くなることで、温水生成に時間がかかり、消費電力が増加するという課題があった。
【0005】
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、洗浄能力を高めつつ消費電力軽減が可能な洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筐体と、前記筐体内に配置される外槽と、前記外槽に回転可能に内包され、遠心脱水用の貫通孔が形成されたドラムと、前記外槽内の洗剤液に泡を発生させる泡発生装置と、前記外槽内の洗剤液を加熱する加熱手段と、前記泡発生装置および前記加熱手段を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、洗い中の水位を前記ドラムの最下面より下側に設定し、前記加熱手段によって加熱した前記洗剤液を前記泡発生装置によって泡立てて、洗濯物を前記泡を用いて洗うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、洗浄能力を高めつつ消費電力軽減が可能な洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る洗濯機を示す外観斜視図である。
図2】本実施形態の洗濯機の内部を示す概略構成図である。
図3】泡発生装置を示す構成図である。
図4】洗剤液の液面とドラムとの位置関係を示す図である。
図5】本実施形態の洗濯機の洗濯動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例もその範囲に含むものである。また、以下では、図1に示す方向を基準にして説明する。
図1は、本実施形態に係る洗濯機を示す外観斜視図である。
図1に示すように、洗濯機100は、ドラム式の洗濯乾燥機であり、合成樹脂製のベース1hの上部に、主に鋼板で形成された左右側と背側に設けられる側板1a及び補強材(不図示)などを組み合わせて骨格を構成し、さらにその上に樹脂成形品で作られた前面カバー1c、下部前面カバー1f、上面カバー1eを取り付けることで筐体1を構成している。また、前面カバー1cには、洗濯物を出し入れする際に開閉されるドア9が設けられている。
【0010】
図2は、本実施形態の洗濯機の内部を示す概略構成図である。
図2に示すように、洗濯機100は、筐体1内に配置される外槽2と、外槽2に回転可能に内包されるドラム3と、外槽2内の洗剤液に泡を発生させる泡発生装置80(図3参照)と、外槽2内の洗剤液を加熱するヒータ60(加熱手段)と、泡発生装置80およびヒータ60を制御する制御装置90と、を備える。
【0011】
外槽2は、有底円筒状に形成され、前面に開口が形成されている。また、外槽2には弾性体からなるゴム製のベローズ(不図示)が取り付けられ、ドア9を閉じることで、ドア9がベローズ10に密着し、外槽2内とドア9との水密性を維持する役割をしている。
【0012】
ドラム3は、有底円筒状に形成され、前側に開口が位置するように配置されている。また、ドラム3の回転軸は、前側が後側よりも高くなるように傾斜している。なお、ドラム3の回転軸は、回転軸が略水平となるように構成されていてもよい。
【0013】
また、洗濯機100は、ドラム3内の洗濯物に気流を導く送風ダクト20を備えている。この送風ダクト20には、送風ファン30とヒートポンプユニット40が設けられている。ヒートポンプユニット40の下流側には送風ファン30が位置している。また、送風ダクト20は、外槽2の背部とヒートポンプユニット40とを接続する吸込ダクト21と、外槽2と送風ファン30とを接続する吐出ダクト22と、を備えている。吸込ダクト21は、外槽2とヒートポンプユニット40とを接続する風路を有している。吐出ダクト22は、送風ファン30と乾燥用吐出口25とを接続する風路を有している。また、外槽2と吸込ダクト21との間には、乾燥用フィルタ6a,6bが設けられている。
【0014】
ヒートポンプユニット40は、乾燥運転時に、洗濯物を通過して外槽2から排出された高温、高湿の空気を除湿、加熱して高温、低湿にするものであり、除湿、加熱された温風(乾燥風)は、送風ファン30によって吐出ダクト22を通り、外槽2の上部に設けられた乾燥用吐出口25からドラム3内の洗濯物に吹き付けられる。洗濯物に吹き付けられた温風は、高温高湿の空気となって、吸込ダクト21を通って、ヒートポンプユニット40に戻る。なお、ヒートポンプユニット40に替えて水冷除湿機構を用いて、高温高湿の空気を冷却除湿してもよい。
【0015】
また、ヒートポンプユニット40は、圧縮機(不図示)と、凝縮器42、減圧装置(不図示)と、蒸発器44とを備え、これらの機器を冷媒配管(不図示)により順次接続して冷媒回路を構成している。冷媒は、圧縮機、凝縮器42、減圧装置、蒸発器44の順に流れ、再び圧縮機に戻る。
【0016】
また、洗濯機100は、外槽2内に給水する給水ユニット70(給水手段)、外槽2内の水位を検出する水位センサ71、送風ファン30およびヒータ60などを制御する制御装置90(制御部)を備えている。
【0017】
給水ユニット70は、給水電磁弁を含む複数の電磁弁を備え、第1の電磁弁を開くことにより給水管を介して洗剤ケースの粉末洗剤投入室および液体洗剤投入室に給水し、第2の電磁弁を開くことにより給水管を介して柔軟仕上剤投入室に給水し、第3の電磁弁を開くことにより給水管を介して外槽2の給水口(不図示)に直接給水する。
【0018】
水位センサ71は、外槽2の後部端面の最下部にはエアトラップ(不図示)が設けられ、チューブ(不図示)を介してセンサ部(不図示)と接続することで、外槽2内の水位を検出する。水位センサ71によって検出された信号は、制御装置90に出力される。
【0019】
外槽2の鉛直直下の内底部には、窪み部2dが設けられている。この窪み部2dは、略凹状かつドラム3の軸方向に延在するように設けられている。窪み部2dの底面2d1には、排水口2d2が設けられている。
【0020】
また、外槽2の下方には、循環ポンプ11が設けられている。この循環ポンプ11は、外槽2内の洗濯水を排水口2d2からホース11aを通して吸い込み、ホース11bを通して外槽2の上部までくみ上げて、ドラム3内の洗濯物に散布する機能を有し、筐体1のベース1h(図1参照)側に固定されている。洗濯水は、外槽2の窪み部2dの排水口2d2から、糸屑フィルタ13を通して循環ポンプ11の吸込口側に入り、循環ポンプ11で昇圧されたのち、散水ノズル(不図示)からドラム3内に向けて散水される。また、窪み部2dの排水口2d2は、糸屑フィルタ13(図2参照)と排水弁12を介して、排水ホース12aに通じており、窪み部2d内の水を機外に排出できるようになっている。
【0021】
制御装置90は、図示は省略するが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。また、制御装置90は、給水ユニット70、ダンパ装置50(図3参照)、ヒータ60、泡発生装置80(図3参照)を制御するとともに、温度センサ61、泡センサ62、水位センサ71によって検知された検出値を取得する。
【0022】
図3は、泡発生装置を示す構成図である。
図3に示すように、ドラム3の側壁である円筒部の内壁には、洗濯物を持ち上げる複数個のリフタ3aが設けられている。また、ドラム3は、円筒部に遠心脱水および通風用の多数の貫通孔3bを有している。
【0023】
また、洗濯機100は、外槽2の下部に空気を送り込んで洗剤液に気泡(泡)を発生させる(洗剤液を泡立てる)泡発生装置80を備えている。この泡発生装置80は、送風管81と、この送風管81と接続され、外槽2の下部に設けられる吐出ノズル82と、ダンパ装置50と、前記した送風ファン30と、によって構成されている。
【0024】
送風管81の上流側の端部は、吐出ダクト22のダンパ装置50と送風ファン30との間に接続されている。また、送風管81の下流側の端部は、外槽2の下部に設けられた窪み部2dに貫通して接続されている。ダンパ装置50は、吐出ダクト22を閉じることによって、送風ファン30から吐出された空気が送風管81を通って吐出ノズル82に向けて吐出される。また、洗い工程が終了した後の乾燥工程時においては、ダンパ装置50が開くことによって、送風ファン30から吐出された空気が吐出ダクト22を通って、乾燥用吐出口25からドラム3内の洗濯物に高温低湿の空気が吹き付けられる。
【0025】
吐出ノズル82は、外槽2の窪み部2d内に位置している。また、吐出ノズル82には、空気が吐出される吐出孔82aが複数形成されている。
【0026】
このように構成された泡発生装置80では、ダンパ装置50を閉じることで、送風ファン30によって昇圧された空気が吐出ダクト22から送風管81を通り、吐出ノズル82から、外槽2の底部に溜められた洗剤液W(洗濯水)に空気が送り込まれる。洗剤液内の空気は、洗剤液の膜によって形成された泡(気泡)83となって、ドラム3の貫通孔3bを通り、ドラム3内の洗濯物S(衣類など)に接触する。
【0027】
図4は、洗剤液の液面とドラムとの位置関係を示す図である。
図4に示すように、外槽2の窪み部2dには、洗剤液を加熱するヒータ60(加熱手段)が設けられている。このヒータ60は、例えばシーズヒータによって構成され、吐出ノズル82(図3参照)に近い高さ位置に設けられている。
【0028】
また、窪み部2dには、洗剤液の温度を検出する温度センサ61が設けられている。この温度センサ61は、サーミスタによって構成され、窪み部2dの底に近い位置に設けられている。
【0029】
また、外槽2内には、泡発生装置80によって発生した泡の量を検出する泡センサ62(電極センサ)が設けられている。この泡センサ62は、2枚の電極板が距離をおいて配置することで構成され、泡83が電極板の位置まで上昇することで導通する。このときの電圧を検出し、閾値を超えていると判定したときに泡センサ62の高さ位置まで泡が上昇してきたことが検知される。なお、泡センサ62は、外槽2の背面側に設けられ、衣類を泡で覆って洗うことができる高さ位置に設けられている。
【0030】
図5は、本実施形態の洗濯機の洗い工程の動作を示すフローチャートである。まず、ユーザによる洗濯機100の主電源(不図示)投入後、ユーザによる運転コースの選択、設定等を受け付ける。ユーザは、ドラム3内に洗濯物を投入し、操作パネルのスタートボタンを押下して運転開始指示を行う。
図5に示すように、制御装置90は、ステップS10において、布量センシングを実行する。この布量センシングは、洗濯機100に投入された洗濯物の重量(布量)を検出する工程である。具体的には、ドラム駆動用のモータを駆動してドラム3を回転させて、モータの回転速度とモータ電流値に基づいて算出する。例えば、洗濯物の重量が増加することによりドラム3を回転させるための負荷が大きくなり、モータに流れるモータ電流が多く必要になることから、モータのモータ電流と回転速度により洗濯物の重量を算出することができる。なお、ステップS10での布量センシングが負荷量検出手段に相当する。
【0031】
ステップS20において、制御装置90は、高濃度の温水洗剤液を生成する工程を実行する。すなわち、給水ユニット70の給水電磁弁(第1の電磁弁)が開かれ、洗剤を含んだ水が外槽2に投入される。外槽2に投入された洗剤液は、外槽2の底部に位置する窪み部2dに溜められる。また、投入後の洗剤液の液面(水面)Lwは、ドラム3の最下面3s(図4参照)よりも下側に位置するように設定される。なお、水面をドラム3の最下面3sに設定する方法は、水位センサ71によって判定してもよく、給水電磁弁を開弁してからの経過時間によって判定してもよい。つまり、従来の洗濯機では、洗濯物が浸かる程度(ドラム3の最下面よりも上側)に洗剤液の水位が設定されていたが、本実施形態では、洗濯物に泡立て前の洗剤液が浸かることがない、ドラム3の最下面3sの下方に洗剤液の液面(水面)が設定される。洗剤液が投入された後、洗剤を水に溶かす洗剤溶かしが行われる。この洗剤溶かしは、循環ポンプ11(図2図4参照)による公知の方法によって、窪み部2dにおいて洗剤液の攪拌が行われる。
【0032】
また、ステップS20では、制御装置90は、ヒータ60をONにして(通電して)、洗剤液を加熱し、温水洗剤液を生成する。
【0033】
ステップS30において、制御装置90は、洗剤液の加熱中、送風ファン30をONし(通電し)、ダンパ装置50によって吐出ダクト22を閉じる。これによって、送風ファン30から昇圧された空気が送風管81を通り、吐出ノズル82に供給される(図3参照)。吐出ノズル82の吐出孔82aから吐出された空気が洗剤液に供給されることで洗剤液が泡立つ。泡83は、増えることで上方(ドラム3側)に向けて上昇し、ドラム3に形成された貫通孔3bを通して、ドラム3の内側に入り込む。ドラム3内に入り込んだ泡83は、ドラム3内に投入された洗濯物(衣類)を覆うようにして接触し、洗濯物に泡状の洗剤液が含浸する。
【0034】
このように、ドラム3内の洗濯物に対して、気泡(泡沫)を発生させることで、洗浄力を高めることができる。これは、泡同士が密着した界面(プラトー境界)は洗剤濃度が高く、泡が破裂することで洗濯物に高濃度の洗剤液を与えるとともに、破泡時(泡が破裂するときの)の衝撃によって機械力が洗濯物に作用して、洗浄効果を高めることができる。また、泡による潤滑作用によって衣類同士の摩擦による布痛みを抑制することができる。
【0035】
そして、ステップS40において、制御装置90は、洗剤液の水温が所定温度を超えているか否かを判定する。なお、所定温度とは、投入された洗剤による洗浄効果が最も発揮される温度であり、例えば30℃程度に設定される。制御装置90は、洗剤液の温度が所定温度を超えていない場合には(S40、No)、洗剤液の温度が所定温度を超えるまでステップS40の処理を繰り返し、洗剤液の温度が所定温度を超えた場合には(S40、Yes)、ステップS50の処理に進む。
【0036】
ステップS50において、制御装置90は、ヒータ60をOFF(オフ)する。これにより、洗剤液の加熱が停止し、温水洗剤液が生成される。
【0037】
ステップS60において、制御装置90は、泡量が所定量を超えたかを判定する。なお、所定量は、泡センサ62によって判定され、泡がドラム3内の所定の高さ位置に設定される。所定の高さとは、洗濯物(衣類)を泡で覆うことができる高さである。制御装置90は、泡量が所定量を超えていない場合には(S60、No)、泡量が所定量を超えるまでステップS60の処理を繰り返し、泡量が所定量を超えている場合には(S60、Yes)、ステップS70の処理に進む。
【0038】
ステップS70において、制御装置90は、送風ファン30をOFF(オフ)する。これによって、吐出ノズル82への空気の供給が停止し、泡の発生(泡の生成)が停止する。
【0039】
ステップS80において、制御装置90は、槽攪拌を実行する。すなわち、ドラム3を所定の回転速度で正逆方向に回転させ、洗濯物の入れ替えを行いながら洗い運転を行う。なお、この洗い運転では、循環ポンプ11を作動させない。
【0040】
ステップS90において、制御装置90は、所定時間経過したかを判定する。なお、所定時間とは、洗い運転を開始してからの経過時間であり、例えば、洗濯物の布量(負荷量)に応じて決定される。つまり、負荷量が多ければ所定時間を長く設定し、負荷量が少なければ所定時間を短く設定する。制御装置90は、所定時間が経過した場合には(S90、Yes)、ステップS100の処理に進み、所定時間が経過していない場合には(S90、No)、ステップS120の処理に進む。
【0041】
ステップS100において、制御装置90は、すすぎ工程を実行する。すなわち、制御装置90は、排水弁12を開いて外槽2内の洗剤液(洗濯水)を排出する。そして、外槽2内の水位が水位センサ71によって所定水位を下回ったことが検知されると、排水弁12を開いたままドラム3を高速回転させ、衣類に含まれる洗濯水を脱水する。そして、制御装置90は、所定時間が経過したことを判断すると、脱水を終了し、排水弁12を閉じて、給水ユニット70の給水電磁弁を開いて外槽2に給水する。そして、制御装置90は、水位センサ71によって所定水位まで給水されたことを検知すると、給水を停止し、モータを制御してドラム3を正逆方向に回転させ、衣類の入れ替えを行いながらすすぎを実行する。
【0042】
ステップS110において、制御装置90は、脱水工程を実行する。すなわち、制御装置90は、排水弁12を開いて外槽2内の水を排出し、外槽2の水位が水位センサ71によって所定水位を下回ったことが検知されると、排水弁12を開いたままドラム3を高速回転させ、衣類に含まれる洗濯水を脱水する。そして、制御装置90は、所定時間が経過したことを判断すると、脱水を終了する。
【0043】
ステップS120において、制御装置90は、洗剤液の温度(水温)が所定温度以下であるかを判定する。なお、所定温度は、ステップS40における所定温度よりも低い温度に設定される。制御装置90は、洗剤液の温度が所定温度以下である場合には(S120、Yes)、ステップS130の処理に進み、洗剤液の温度が所定温度以下ではない場合には(S120、No)、ステップS80の処理に戻る。
【0044】
ステップS130において、制御装置90は、泡量が所定量以下であるかを判定する。なお、所定量は、ステップS60における所定量よりも少ない量に設定される。制御装置90は、泡量が所定量以下である場合には(S130、Yes)、ステップS140の処理に進み、泡量が所定量以下ではない場合には(S130,No)、ステップS80の処理に戻る。
【0045】
ステップS140において、制御装置90は、ヒータ60をON(通電)する。これにより、洗剤液の温度が洗浄に最適な温度まで再び上昇する。
【0046】
ステップS150において、制御装置90は、送風ファン30をON(通電)する。これにより、送風ファン30からの空気が送風管81を通って吐出ノズル82から吐出され、洗剤液による泡83が生成される。
【0047】
そして、ステップS150の処理の後、制御装置90は、ステップS40に戻り、水温が所定温度を超えているかを判定し、超えていれば(S40、Yes)、ヒータ60をOFFする(S50)。また、制御装置90は、ステップS60において、泡量が所定量を超えているかを判定し、超えていれば(S60、Yes)、送風ファン30をOFFする(S70)。また、制御装置90は、ステップS80の槽攪拌を継続し、所定時間経過した場合には(S90、Yes)、ステップS100のすすぎ工程、ステップS110の脱水工程に移行し、洗濯工程を終了する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の洗濯機100は、筐体1と、筐体1内に配置される外槽2と、外槽2に回転可能に内包され、遠心脱水用の貫通孔3bが形成されたドラム3と、外槽2内の洗剤液に泡83を発生させる泡発生装置80と、外槽2内の洗剤液を加熱するヒータ60(加熱手段)と、泡発生装置80およびヒータ60を制御する制御装置90(制御部)と、を備える。制御装置90は、洗い中の水位をドラム3の最下面3sより下側に設定し、ヒータ60によって加熱した洗剤液を泡発生装置80によって泡立てて、洗濯物Sを泡83を用いて洗う。これによれば、循環ポンプ11を動作させずに洗剤液を衣類に浸透させることができるので、水量を低減することができ、より高濃度での温水洗いが可能になる(洗浄性能向上が可能になる)。さらに、洗い時の水量を減らすことができるので、水温の上昇速度が向上し、温水洗い時間を短縮することができ、節水が可能になるとともに消費電力を軽減することができる。
【0049】
また、本実施形態は、洗濯物Sの布量(負荷量)を検出する負荷量検出手段を備え、制御装置90は、負荷量検出手段によって検出された布量(負荷量)に基づいて泡83の生成量を決定する。これによれば、布量(負荷量)が多い場合には、泡83の生成量を多くし、布量(負荷量)が少ない場合には、泡83の生成量を少なくできるので、布量(負荷量)に応じて泡量を過不足なくした状態で洗浄することができる。
【0050】
また、本実施形態は、泡83の生成量は、泡センサ62(電極センサ)を用いて推定する。これによれば、泡83の生成量を確実に検出することができる。
【0051】
なお、泡83の生成量は、泡発生装置80の稼働時間に基づいて判定してもよい。稼働時間とは、送風ファン30を作動させる時間である。これによれば、泡を検出する泡センサ62を用いることなく、泡83の生成量を検出することができ、洗濯機100の構成を簡略化できる。
【0052】
また、本実施形態において、制御装置90は、洗剤液の加熱中に泡を発生する。これによれば、加熱前に泡を発生させると泡の温度が上がりきらずに洗浄効果が低減するが、加熱中にすることで洗浄効果を高めることができる。なお、泡発生装置80によって泡を生成するタイミングは、洗剤液の加熱終了後に行ってもよい。この場合には、洗剤液の加熱中よりも洗浄効果を高めることができる。
【0053】
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、温水生成時の目標水温(ステップS40の所定温度)は、コース選択時にユーザによって設定された水温に基づいて決定されるが、投入された洗剤の種類(粉末/液体)、予め登録された洗剤の銘柄情報を基づいて決定してもよい。洗剤の種類によって決定するのは、洗浄において最適な温度が異なるからである。粉末か液体かの判定は、例えば、外槽2の下部に設けた電導度センサによって水の電導度を測定することで行うことができる。
【符号の説明】
【0054】
1 筐体
2 外槽
3 ドラム
3b 貫通孔
21 吸込ダクト
22 吐出ダクト(ダクト)
25 乾燥用吐出口
30 送風ファン
40 ヒートポンプユニット
70 給水ユニット
71 水位センサ
80 泡発生装置
81 送風管
82 吐出ノズル
83 泡
90 制御装置(制御部)
100 洗濯機
図1
図2
図3
図4
図5