(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070947
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】システム
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20240517BHJP
B60L 50/75 20190101ALI20240517BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20240517BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240517BHJP
B60P 1/04 20060101ALI20240517BHJP
B62D 53/00 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60L50/75
H01M8/00 Z
H01M8/04 Z
H01M8/04 J
B60P1/04 Z
B62D53/00 B
B62D53/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181594
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星野 佑太
(72)【発明者】
【氏名】石川 悠喜
(72)【発明者】
【氏名】前田 良輔
(72)【発明者】
【氏名】黒田 将史
(72)【発明者】
【氏名】上阪 周平
【テーマコード(参考)】
3D235
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
3D235AA06
3D235AA19
3D235AA26
3D235CC22
3D235DD32
3D235FF43
3D235HH02
5H125AA12
5H125AC07
5H125AC12
5H125BE03
5H125FF09
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC07
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA60
5H127BB02
(57)【要約】
【課題】燃料を大量に搭載することができ、且つ、全体の運行の中での無駄の発生を抑制することができる。
【解決手段】システムは、燃料電池を搭載した作業車両に前記燃料電池の燃料を供給するシステムにおいて、前記作業車両と、前記燃料を搭載する台車と、前記作業車両と前記台車との間で着脱可能に設けられ、前記台車に搭載された前記燃料を前記作業車両に供給可能な供給配管と、を備え、前記作業車両は、前記供給配管により前記台車を牽引しながら走行している状態で、前記台車に搭載された前記燃料の供給を受ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池を搭載した作業車両に前記燃料電池の燃料を供給するシステムにおいて、
前記作業車両と、
前記燃料を搭載する台車と、
前記作業車両と前記台車との間で着脱可能に設けられ、前記台車に搭載された前記燃料を前記作業車両に供給可能な供給配管と、を備え、
前記作業車両は、前記台車を牽引しながら走行している状態で、前記供給配管により前記台車に搭載された前記燃料の供給を受ける、
システム。
【請求項2】
前記供給配管は、
前記作業車両に設けられた第1配管と、
前記台車に設けられ、前記第1配管と着脱可能な第2配管と、を備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記作業車両は、ダンプトラックであり、
前記ダンプトラックは、
前記燃料電池を搭載した車体フレームと、
前記車体フレームと回動部で回動自在に結合され、積載物を搭載するダンプボディと、
後輪を支持する後輪車軸を有する走行装置と、を備え、
前記台車は、前記ダンプトラックの後方に配置され、
前記第1配管の少なくとも一部は、前記後輪車軸の上方に配置される、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1配管の後端は、前記ダンプボディの後端より前方に配置される、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記供給配管は、前記台車を牽引するための牽引アームを兼ねる、
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項6】
前記ダンプトラックは、
前記積載物の排出時又は積込時には、前記台車を切り離し、
前記積載物の排出又は積込の作業完了後は、前記台車を接続して走行する、
請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記台車は、前記作業車両からの指令で、前記作業車両との切り離し又は接続が行われる、
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項8】
前記台車は、カートリッジ式のタンクを複数搭載可能に構成される、
請求項1又は2に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンニュートラルに向けて、鉱山機械及び建設機械等のゼロエミッション化が急務である。ゼロエミッション化を図るための手段の一つとして、燃料電池システムがある。例えば、燃料電池システムは、燃料電池(FC: Fuel Cell)と、バッテリと、燃料である水素を貯蔵する水素タンクと、を備える。燃料である水素は、軽油等の他の燃料と比べて体積エネルギー密度が低い。例えば、現状の軽油タンクの体積に高圧水素(約70MPa)を貯蔵したとしても、この搭載エネルギーは、軽油の場合の10分の1以下となる。つまり、水素を燃料とする場合は、軽油を燃料とする場合と比べて、稼働時間が短くなってしまうことを意味する。また、水素の充填にも課題がある。例えば、水素を高速で充填することは、現状の技術では難しい。そのため、24時間稼働する現場では、水素の補給に時間がかかることで、実際に稼働できる時間が減ってしまう懸念がある。
【0003】
例えば、水素を燃料とする場合の課題は、以下の2つがある。
(1)体積エネルギー密度が低い水素を貯蔵する水素タンクを、限られたスペースに大量に搭載することは困難である。
(2)水素の充填には時間がかかり、全体の運行の中での無駄(例えば、燃料補給)が発生する。
そのため、上記の2つの課題を解決するためのシステムが要求されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、車両と、車両と連結された移動体と、を備えるシステムが開示されている。車両は、水素を燃料にして発電を行う燃料電池と、水素を貯蔵する水素供給部と、を搭載する。移動体は、牽引走行かつエネルギー授受を可能に車両と連結される。移動体は、人に利用される空間及び設備を有する。移動体は、蓄熱部及び蓄電部を備える。蓄熱部は、燃料電池の発電時に発生する熱を車両から回収し、回収した熱で所定の水を加熱し、加熱した温水を貯湯槽に貯めて蓄熱する。蓄電部は、燃料電池の発電時に発生する電力のうち車両の駆動に不要な余剰電力を車両から回収し、蓄電池に蓄積する。システムは、燃料電池で発生する車両の駆動に供しないエネルギーを移動体に蓄積して利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、体積エネルギー密度が低い水素を貯蔵する水素供給部を、車両の限られたスペースに大量に搭載することは困難である。また、車両に搭載された水素供給部に水素を高速で充填することは困難であり、水素の補給に時間がかかる。そのため、上記の2つの課題を解決する上で改善の余地がある。
【0007】
そこで本発明は、燃料を大量に搭載することができ、且つ、全体の運行の中での無駄の発生を抑制することができるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るシステムは、燃料電池を搭載した作業車両に前記燃料電池の燃料を供給するシステムにおいて、前記作業車両と、前記燃料を搭載する台車と、前記作業車両と前記台車との間で着脱可能に設けられ、前記台車に搭載された前記燃料を前記作業車両に供給可能な供給配管と、を備え、前記作業車両は、前記台車を牽引しながら走行している状態で、前記供給配管により前記台車に搭載された前記燃料の供給を受ける。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、燃料を大量に搭載することができ、且つ、全体の運行の中での無駄の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施形態に係るシステムにおいて積載物の排出時の側面図。
【
図4】実施形態に係るシステムの稼働の一例を示すフローチャート。
【
図5】実施形態に係るシステムの稼働の一例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態においては、作業車両を備えるシステムの一例として、鉱山などの作業現場を走行して積荷を運搬する運搬車両であるダンプトラックを作業車両に適用した例を挙げて説明する。
【0012】
<システム>
図1は、実施形態に係るシステム1の側面図である。
図2は、実施形態に係るシステム1において積載物の排出時の側面図である。
図1及び
図2を併せて参照し、システム1は、ダンプトラック2と、台車3と、供給配管4と、ハーネス5と、牽引アーム6と、着脱機構7と、を備える。システム1は、燃料電池36(以下「FC」ともいう。)を搭載したダンプトラック2に燃料電池36の燃料を供給する。ダンプトラック2は、台車3を牽引しながら走行している状態で、台車3に搭載された燃料の供給を受ける。
【0013】
<ダンプトラック>
ダンプトラック2は、燃料電池36を搭載した車体フレーム10と、車体フレーム10と回動部11で回動自在に結合され、積載物を搭載するダンプボディ12(ベッセルに相当)と、後輪22を支持する後輪車軸23を有する走行装置13と、を備える。例えば、ダンプトラック2は、運転者による運転操作によらずに無人で駆動する無人ダンプトラックでもよいし、運転者による運転操作に基づいて駆動する有人ダンプトラックでもよい。
【0014】
以下、ダンプトラック2の前進方向(車体前方)、後進方向(車体後方)及び車両幅方向(車体左右方向)を「車両前方(車両前後方向一方側)」、「車両後方(車両前後方向他方側)」及び「車両幅方向」と称する。車両幅方向は、「左側(車両幅方向一方側)」又は「右側(車両幅方向他方側)」と称する場合もある。ダンプトラック2が前進する方向に対して右手を右側、ダンプトラック2が前進する方向に対して左手を左側と称する。ダンプトラック2の車両上下方向(車体上下方向)、車両上方(車体上方)及び車両下方(車体下方)を単に「上下方向」、「上方」及び「下方」と称する。図の例では、ダンプトラック2は、水平面(水平な地面)に配置されている。ダンプトラック2の車両上下方向(車体上下方向)、車両上方(車体上方)及び車両下方(車体下方)は、ダンプトラック2が水平面に配置された状態の上下方向(鉛直方向)、鉛直上方及び鉛直下方とそれぞれ一致する。
【0015】
車体フレーム10は、車両前後方向に延びている。車体フレーム10は、回動部11を介して、ダンプボディ12を回動自在に支持する。回動部11は、車体フレーム10上において車両幅方向に延びる軸部(ダンプボディ12の回動中心軸に相当)を含む部分である。車体フレーム10は、走行装置13に支持されている。
【0016】
ダンプボディ12は、車体フレーム10と回動部11で回動自在に結合される。ダンプボディ12は、積荷が積載される部材(荷台に相当)である。ダンプボディ12の少なくとも一部は、車体フレーム10よりも上方に配置される。ダンプボディ12は、ダンプ動作及び下げ動作を行うことが可能である。
【0017】
ダンプ動作とは、ダンプボディ12を車体フレーム10から離隔させてダンプ方向に傾斜させる動作を意味する。ダンプ方向は、車体フレーム10の後方である。実施形態において、ダンプ動作は、ダンプボディ12の前端部を上昇させて、ダンプボディ12を後方に傾斜させることを含む。ダンプ動作により、ダンプボディ12の積載面は、後方に向かって下方に傾斜する。
【0018】
下げ動作とは、ダンプボディ12を車体フレーム10に接近させる動作を意味する。下げ動作は、ダンプ動作とは逆方向の動作である。実施形態において、下げ動作は、ダンプボディ12の前端部を下降させることを含む。
【0019】
ダンプ動作及び下げ動作により、ダンプボディ12は、ダンプ姿勢及び積載姿勢に調整される。ダンプ姿勢とは、ダンプボディ12が上昇している姿勢を意味する。積載姿勢とは、ダンプボディ12が下降している姿勢を意味する。
図2の例では、積載姿勢のダンプボディ12を実線で示し、ダンプ姿勢のダンプボディ12を二点鎖線で示している。
【0020】
例えば、排土作業を実施する場合、ダンプボディ12は、積載姿勢からダンプ姿勢に変化するように、ダンプ動作する。ダンプボディ12に積荷が積載されている場合、積荷は、ダンプ動作により、ダンプボディ12の後端部から後方に排出される。一方、積込作業が実施される場合、ダンプボディ12は、積載姿勢に調整される。
【0021】
ダンプボディ12は、運転室15を上方から保護するプロテクタ16を備える。プロテクタ16は、ダンプボディ12が積載姿勢にあるときは運転室15を上方から覆うように配置される。プロテクタ16は、ダンプボディ12の前端側に設けられている。プロテクタ16は、運転室15よりも上方に配置されている。プロテクタ16は、車両幅方向に延びている。例えば、運転室15は、車両幅方向中央よりも車両左側に配置されている。
【0022】
運転室15は、プラットフォーム17に支持されている。プラットフォーム17は、オペレータの運転室15への乗降時の足場確保のために設けられている。プラットフォーム17は、ダンプトラック2の搭載機器の整備時の足場確保のために設けられている。プラットフォーム17は、プロテクタ16よりも下方に配置されている。プラットフォーム17は、車輪21,22よりも上方に配置されている。プラットフォーム17は、車両幅方向に延びている。プラットフォーム17は、車両前後方向及び車両幅方向に平行な板状に形成されている。
【0023】
走行装置13は、車体フレーム10を支持する。走行装置13は、ダンプトラック2を走行させる。走行装置13は、ダンプトラック2を前進又は後進させる。走行装置13の少なくとも一部は、車体フレーム10よりも下方に配置される。走行装置13は、複数の車輪21,22を備える。複数の車輪21,22は、前輪21と、前輪21よりも後方に配置される後輪22と、を含む。
【0024】
前輪21は、ダンプトラック2の進行方向を変えるために操舵される操舵輪である。前輪21は、左右一対配置されている。左右一対の前輪21は、車体フレーム10の前部を介して車両幅方向に間隔をあけて配置されている。前輪21は、左右に1つずつ(計2つ)設けられている。
【0025】
後輪22は、走行モータ39(
図3参照)により駆動される駆動輪である。後輪22は、左右一対配置されている。左右一対の後輪22は、車体フレーム10の後部を介して車両幅方向に間隔をあけて配置されている。後輪22は、左右に2つずつ(計4つ)設けられている。
【0026】
後輪22は、後輪車軸23(リアアクスルに相当)に支持されている。後輪車軸23は、左右一対の後輪22を支持するように車両幅方向に延びている。例えば、後輪車軸23は、不図示のリアアクスルハウジングに内蔵されている。
【0027】
<台車>
台車3は、燃料を搭載する。台車3は、ダンプトラック2の後方に配置される。台車3は、ダンプトラック2からの指令で、ダンプトラック2との切り離し又は接続が行われる。例えば、ダンプトラック2が有人ダンプトラックである場合は、ダンプトラック2からの指令には、運転者による運転操作に基づいた指令が含まれる。
【0028】
台車3は、カートリッジ式の水素タンク25(タンクの一例)を複数搭載可能に構成される。水素タンク25は、燃料である水素を貯蔵する。
図1の例では、6個(複数の一例)の水素タンク25が縦置きで配置されている。
【0029】
なお、水素タンク25の個数及び配置は、上記に限らない。例えば、水素タンク25の数は、5個以下又は7個以上であってもよい。例えば、水素タンク25は、横置きで配置されていてもよい。例えば、水素タンク25の個数及び配置は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0030】
台車3は、水素タンク25を搭載する水素タンク搭載台車3(以下単に「水素台車3」ともいう。)として機能する。台車3は、水素タンク25を搭載した状態でダンプトラック2によって牽引される水素貯蔵牽引台車3(以下単に「牽引台車3」ともいう。)としても機能する。
【0031】
<供給配管>
供給配管4は、台車3に搭載された燃料をダンプトラック2に供給可能に構成される。例えば、供給配管4は、金属配管で構成されている。供給配管4は、ダンプトラック2と台車3との間で着脱可能に設けられる。
【0032】
供給配管4は、ダンプトラック2に設けられた第1配管4Aと、台車3に設けられ、第1配管4Aと着脱可能な第2配管4Bと、を備える。第1配管4Aの後端と第2配管4Bの前端とは、着脱機構7により互いに着脱可能に結合されている。
【0033】
第1配管4Aの少なくとも一部は、後輪車軸23の上方に配置される。側面視で、第1配管4Aの少なくとも一部は、ダンプボディ12と後輪車軸23との間に配置されている。側面視で、第1配管4Aは、着脱機構7に結合された部分から燃料電池36に向かって前方に延びている。
【0034】
第1配管4Aの後端は、ダンプボディ12の後端より前方に配置される。例えば、ダンプボディ12がダンプ姿勢の場合において、第1配管4Aの後端は、ダンプボディ12の後端より前方に配置されることが好ましい。この構成によれば、積載物の排出時(ダンプボディ12のダンプ時)に、第1配管4Aが邪魔になることを抑制することができる。
【0035】
<ハーネス>
ハーネス5は、ダンプトラック2に搭載されたコントローラ30からの制御信号を台車3に伝送可能に構成される。例えば、ハーネス5は、複数の電線(例えば電線束)で構成されている。ハーネス5は、ダンプトラック2と台車3との間で着脱可能に設けられる。
【0036】
ハーネス5は、ダンプトラック2に設けられた第1ハーネス5Aと、台車3に設けられ、第1ハーネス5Aと着脱可能な第2ハーネス5Bと、を備える。第1ハーネス5Aの後端と第2ハーネス5Bの前端とは、着脱機構7により互いに着脱可能に結合されている。
【0037】
第1ハーネス5Aの少なくとも一部は、後輪車軸23の上方に配置される。側面視で、第1ハーネス5Aの少なくとも一部は、ダンプボディ12と後輪車軸23との間に配置されている。側面視で、第1ハーネス5Aは、着脱機構7に結合された部分からコントローラ30に向かって前方に延びている。
【0038】
第1ハーネス5Aの後端は、ダンプボディ12の後端より前方に配置される。例えば、ダンプボディ12がダンプ姿勢の場合において、第1ハーネス5Aの後端は、ダンプボディ12の後端より前方に配置されることが好ましい。この構成によれば、積載物の排出時(ダンプボディ12のダンプ時)に、第1ハーネス5Aが邪魔になることを抑制することができる。
【0039】
<牽引アーム>
牽引アーム6は、ダンプトラック2が台車3を牽引するための部材である。例えば、牽引アーム6は、金属部材で構成されている。牽引アーム6は、ダンプトラック2と台車3との間で着脱可能に設けられる。
【0040】
牽引アーム6は、ダンプトラック2に設けられた第1アーム6Aと、台車3に設けられ、第1アーム6Aと着脱可能な第2アーム6Bと、を備える。第1アーム6Aの後端と第2アーム6Bの前端とは、着脱機構7により互いに着脱可能に結合されている。
【0041】
第1アーム6Aの少なくとも一部は、後輪車軸23の上方に配置される。側面視で、第1アーム6Aは、着脱機構7に結合された部分から車体フレーム10の後部に向かって前方かつ上方に延びている。例えば、第1アーム6Aの前端は、リアアクスルハウジング(不図示)の上部に対して回動自在に結合されている。
【0042】
第1アーム6Aの後端は、ダンプボディ12の後端より前方に配置される。例えば、ダンプボディ12がダンプ姿勢の場合において、第1アーム6Aの後端は、ダンプボディ12の後端より前方に配置されることが好ましい。この構成によれば、積載物の排出時(ダンプボディ12のダンプ時)に、第1アーム6Aが邪魔になることを抑制することができる。
【0043】
<着脱機構>
例えば、着脱機構7は、クイックカプラ等のコネクティングツールである。着脱機構7は、供給配管4、ハーネス5及び牽引アーム6のそれぞれの途中に設けられている。着脱機構7は、ダンプトラック2と台車3との間で、供給配管4、ハーネス5及び牽引アーム6をそれぞれの途中で着脱可能に構成される。着脱機構7は、ダンプトラック2からの指令で、ダンプトラック2と台車3との切り離し又は接続を行う。
【0044】
図2の例では、着脱機構7は、第1配管4A、第1ハーネス5A及び第1アーム6Aの後端に結合されている。着脱機構7は、ダンプボディ12の後端より前方に配置される。例えば、ダンプボディ12がダンプ姿勢の場合において、着脱機構7の全部は、ダンプボディ12の後端より前方に配置されることが好ましい。この構成によれば、積載物の排出時(ダンプボディ12のダンプ時)に、着脱機構7が邪魔になることを抑制することができる。
【0045】
図3は、実施形態に係るシステム1のブロック図である。
図3を併せて参照し、システム1の構成要素は、車体フレーム10及び牽引台車3に搭載されている。なお、
図3においては、牽引アーム6等の図示を省略している。
【0046】
<車体側システム構成>
車体フレーム10には、第1ハーネス5A(以下「車体側ハーネス5A」ともいう。)と、コントローラ30と、作動油タンク31と、油圧ポンプ32と、ホイストバルブ33と、ホイストシリンダ34と、第1配管4A(以下「車体側水素供給用配管4A」ともいう。)と、減圧バルブ35と、燃料電池36(FC)と、FC用DCDCコンバータ37と、インバータ38と、走行モータ39と、バッテリ40と、バッテリ用DCDCコンバータ41と、が搭載されている。
【0047】
車体側ハーネス5Aの一端(着脱機構7に結合される端部とは反対側の端部)は、コントローラ30に接続されている。例えば、コントローラ30は、CPU等のプロセッサである処理部と、RAM 、ROM及びこれらの組合せ等の記憶部と、入出力部とを有する。処理部は、システム1の構成要素の動作を制御する。記憶部は、処理部の機能を実現するためのコンピュータプログラム及び処理部の処理に必要な情報を記憶している。入出力部は、コントローラ30と他の装置とのインターフェース回路である。
【0048】
作動油タンク31は、作動油を貯留する。作動油タンク31は、油圧ポンプ32に接続されている。油圧ポンプ32から吐出された作動油は、ホイストバルブ33を介してホイストシリンダ34に供給される。ホイストバルブ33は、コントローラ30に電気的に接続されている。ホイストシリンダ34は、ダンプボディ12のダンプ動作又は下げ動作を行う動力を発生する。
【0049】
車体側水素供給用配管4Aの一端(着脱機構7に結合される端部とは反対側の端部)は、燃料を減圧するための減圧バルブ35に接続されている。減圧バルブ35は、燃料電池36に接続されている。減圧バルブ35は、車体側水素供給用配管4A内(一次側)の高い圧力を逃がして燃料電池36側(二次側)の圧力を所定圧力に保つ機能を持つ。
【0050】
燃料電池36は、燃料ガスである水素と酸化ガスである酸素とを化学反応させて発電する。例えば、燃料電池36は、複数の単位セルが積層されたスタック構造を有する。例えば、燃料電池36は、外気に含まれる酸素を利用して発電する。なお、燃料電池36は、酸化ガス供給装置(不図示)により酸素を含む空気が供給されてもよい。
【0051】
FC用DCDCコンバータ37は、燃料電池36が出力する電圧を調整する。FC用DCDCコンバータ37は、燃料電池36に電気的に接続されている。例えば、FC用DCDCコンバータ37は、燃料電池36で発電された電圧を昇圧する。FC用DCDCコンバータ37は、燃料電池36で発電された直流電流をインバータ38に供給する。
【0052】
インバータ38は、FC用DCDCコンバータ37からの直流電流を三相交流電流に変換して各モータ(例えば、不図示のポンプ駆動モータ及び走行モータ39)に供給する。ポンプ駆動モータ及び走行モータ39のそれぞれは、インバータ38から供給された三相交流電流に基づいて駆動される。
【0053】
ポンプ駆動モータは、油圧ポンプ32を駆動する。油圧ポンプ32から吐出された作動油は、ステアリングシリンダ(不図示)及びホイストシリンダ34のそれぞれに供給される。ステアリングシリンダは、前輪21を操舵する動力を発生する。走行モータ39は、走行装置13の後輪22に接続されている。走行モータ39が発生した回転力は、走行装置13の後輪22に伝達される。
【0054】
バッテリ40は、燃料電池36において発生した電力を蓄える。バッテリ40は、燃料電池36と同様、ダンプトラック2の電源として機能する。バッテリ40は、蓄えた電力を各モータ(例えば、ポンプ駆動モータ及び走行モータ39)に供給する。例えば、バッテリ40は、リチウムイオンバッテリ等の二次電池である。
【0055】
例えば、バッテリ40は、コントローラ30の制御により、ダンプトラック2の始動時に走行モータ39を駆動する。例えば、バッテリ40は、ダンプトラック2の減速回生時に回生電力を蓄える。例えば、バッテリ40は、負荷に応じて燃料電池36からの給電により充電される。
【0056】
バッテリ用DCDCコンバータ41は、バッテリ40が出力する電圧を調整する。バッテリ用DCDCコンバータ41は、バッテリ40に電気的に接続されている。例えば、バッテリ用DCDCコンバータ41は、バッテリ40の電圧を昇圧する。バッテリ用DCDCコンバータ41は、バッテリ40が燃料電池36と一体となってインバータ38へ電力供給ができるように、バッテリ40の充放電を制御する。
【0057】
例えば、バッテリ40がダンプトラック2の主な動力源となる場合は、燃料電池36はバッテリ40を充電するために機能してもよい。これにより、燃料電池36の搭載量を抑えることができる。加えて、燃料電池36の搭載量を抑えることにより、燃料電池36の制御が容易となる。
【0058】
<台車側システム構成>
牽引台車3には、水素タンク25と、水素充填用コネクタ50と、水素充填用上流配管51と、水素充填用マニホールド52と、水素充填用下流配管53と、水素充填用圧力センサ54と、台車側水素供給用上流配管55と、水素供給用マニホールド56と、第2配管4B(以下「台車側水素供給用下流配管4B」ともいう。)と、電磁バルブ57と、水素放出管58と、水素供給用圧力センサ59と、第2ハーネス5B(以下「台車側ハーネス5B」ともいう。)と、が搭載されている。
【0059】
水素タンク25は、燃料電池36へ供給する水素を貯留する。燃料電池36には、供給配管4を構成する台車側水素供給用下流配管4B及び車体側水素供給用配管4A等を通じて、水素タンク25の水素が供給される。燃料電池36は、供給配管4を通じて供給される水素と、外気に含まれる酸素と、を電気化学反応させて電力を発生する。
【0060】
水素充填用コネクタ50は、水素充填用上流配管51を介して、水素充填用マニホールド52に接続されている。水素充填用マニホールド52は、水素充填用下流配管53を介して、水素タンク25に接続されている。水素充填用マニホールド52は、1本の管(水素充填用上流配管51に相当)を複数本の管(複数の水素タンク25に対応する複数本の水素充填用下流配管53に相当)に分岐させる構造を持つ。水素タンク25には、水素充填用コネクタ50、水素充填用上流配管51、水素充填用マニホールド52及び水素充填用下流配管53を通じて、水素が充填される。
【0061】
水素充填用圧力センサ54は、水素充填用マニホールド52に接続されている。水素充填用圧力センサ54は、水素充填用マニホールド52内の圧力を測定する。
【0062】
水素タンク25は、台車側水素供給用上流配管55を介して、水素供給用マニホールド56に接続されている。水素供給用マニホールド56は、台車側水素供給用下流配管4B等を介して、燃料電池36に接続されている。水素供給用マニホールド56は、複数本の管(複数の水素タンク25に対応する複数本の台車側水素供給用上流配管55に相当)を1本の管(台車側水素供給用下流配管4Bに相当)に集合させる構造を持つ。燃料電池36には、水素タンク25、台車側水素供給用上流配管55、水素供給用マニホールド56及び台車側水素供給用下流配管4B等を通じて、水素が供給される。
【0063】
水素放出管58は、水素供給用マニホールド56から分岐して設けられている。水素放出管58は、電磁バルブ57を介して水素供給用マニホールド56に接続されている。例えば、緊急時には、水素放出管58を通じて、水素供給用マニホールド56内の水素ガスが外部に放出されてもよい。
【0064】
水素供給用圧力センサ59は、水素供給用マニホールド56に接続されている。水素供給用圧力センサ59は、水素供給用マニホールド56内の圧力を測定する。
【0065】
台車側ハーネス5Bは、水素充填用圧力センサ54、水素供給用圧力センサ59及び電磁バルブ57に電気的に接続されている。水素充填用圧力センサ54及び水素供給用圧力センサ59の検知結果(圧力の検知信号)は、ハーネス5を構成する台車側ハーネス5B及び車体側ハーネス5A等を通じて、コントローラ30に入力される。
【0066】
<システムの構成要素の配置>
図1を併せて参照し、燃料電池36は、減圧バルブ35よりも車体前方に配置されている。バッテリ40は、燃料電池36よりも下方に配置されている。燃料電池36及びバッテリ40は、プラットフォーム17よりも下方に配置されている。コントローラ30は、燃料電池36よりも上方に配置されている。コントローラ30は、プラットフォーム17よりも上方に配置されている。
【0067】
燃料電池36、バッテリ40及び減圧バルブ35は、車体フレーム10の上に搭載されている。燃料電池36、バッテリ40及び減圧バルブ35は、車体フレーム10の車両幅方向の範囲内に配置されていることが好ましい。この構成によれば、燃料電池36、バッテリ40及び減圧バルブ35が車体下方から車体フレーム10によって覆われる。そのため、燃料電池36、バッテリ40及び減圧バルブ35に対して車体下方から外乱(例えば、飛び石等)が及ぶことを抑制することができる。
【0068】
<システムの稼働の一例>
図4は、実施形態に係るシステム1の稼働の一例を示すフローチャートである。
図5は、実施形態に係るシステム1の稼働の一例の説明図である。
図6は、比較例に係る車両の稼働の一例の説明図である。
図4から
図6を併せて参照し、実施形態に係るシステム1において、ダンプトラック2は、積載物の排出時には、台車3を切り離し、積載物の排出の作業完了後は、台車3を接続して走行する。
【0069】
先ず、ダンプトラック2を始動する(ステップS1)。例えば、ステップS1では、バッテリ40は、コントローラ30の制御により、ダンプトラック2の走行モータ39を駆動する。ステップS1の後、ステップS2に移行する。
【0070】
ステップS2では、コントローラ30は、ダンプトラック2が水素台車3に接続しているか否かを判定する。ダンプトラック2が水素台車3に接続している場合は、ダンプトラック2が着脱機構7等を介して水素台車3に接続されている場合に相当する。ダンプトラック2が水素台車3に接続している場合は(ステップS2のYES)、ステップS5に移行する。一方、ダンプトラック2が水素台車3に接続していない場合は(ステップS2のNO)、ステップS3に移行する。
【0071】
ステップS3では、ダンプトラック2は、水素台車充填エリアにバッテリモードで移動する。水素台車充填エリアは、水素台車3又は水素を充填するためのエリア(水素充填ステーションに相当)である。バッテリモードは、バッテリ40を動力源としてダンプトラック2が稼働するモードである。例えば、水素台車充填エリア(
図5に示すステーション)には、充填完了済の水素台車3が複数(
図5の例では3台)設けられている。例えば、水素台車3を外している間は水素が供給されないため、ダンプトラック2は、バッテリ40のみで走行、積込、又は、排土を行う。ステップS3の後、ステップS4に移行する。
【0072】
ステップS4では、充填完了済の水素台車3を選定、接続する。例えば、ステップS4では、着脱機構7は、ダンプトラック2からの指令で、ダンプトラック2と水素台車3との接続を行う。ステップS4の後、ステップS5に移行する。
【0073】
例えば、水素台車3に搭載した水素量は大量になることが予想されるため、通常であれば水素の充填に時間がかかる。例えば、高圧ガス水素充填速度が8~10kg/minとすると、500kgの水素を充填するには約1時間かかることになる。これに対し本実施形態では、水素台車充填エリアには、事前に充填完了済の水素台車3が複数設けられている。これにより、水素台車3の交換のみで済むため、水素の充填に時間がかかることはない。
【0074】
ステップS5では、ダンプトラック2は、積込場/排土場の水素台車一時待機エリアへFCモードで走行する。水素台車一時待機エリアは、積込場又は排土場の近傍に設けられたエリアであって水素台車3を一時的に待機させるためのエリアである。FCモードは、燃料電池36(FC)を動力源としてダンプトラック2が稼働するモードである。例えば、水素台車3を接続している間は水素が供給されるため、ダンプトラック2は、燃料電池36で走行、積込、又は、排土を行う。例えば、登坂時又は降坂時は、ダンプトラック2は、水素台車3を牽引した状態で走行する。ステップS5の後、ステップS6に移行する。
【0075】
ステップS6では、コントローラ30は、水素台車3の水素残量が閾値以上あるか否かを判定する。水素台車3の水素残量が閾値以上ある場合は、ダンプトラック2がFCモードで所定時間以上稼働を継続することができる場合に相当する。水素台車3の水素残量が閾値以上ある場合は(ステップS6のYES)、ステップS7に移行する。一方、水素台車3の水素残量が閾値以上ない場合は(ステップS6のNO)、ステップS10に移行する。
【0076】
ステップS10では、ダンプトラック2は、水素台車充填エリアにFCモードで移動する。ステップS10の後、ステップS11に移行する。
【0077】
ステップS11では、水素台車充填エリアで現在の水素台車3とダンプトラック2との接続を解除する。例えば、ステップS11では、着脱機構7は、ダンプトラック2からの指令で、ダンプトラック2と水素台車3との切り離しを行う。ステップS11の後、ステップS12に移行する。
【0078】
ステップS12では、充填完了済の水素台車3を選定、接続する。例えば、ステップS12では、着脱機構7は、ダンプトラック2からの指令で、ダンプトラック2と水素台車3との接続を行う。ステップS12の後、ステップS5に移行する(戻る)。
【0079】
ステップS7では、コントローラ30は、バッテリモードで稼働するだけの充電があるか否かを判定する。バッテリモードで稼働するだけの充電がある場合は、ダンプトラック2がバッテリモードで所定時間以上稼働を継続することができるようにバッテリ40が充電されている場合に相当する。バッテリモードで稼働するだけの充電がある場合は(ステップS7のYES)、ステップS9に移行する。一方、バッテリモードで稼働するだけの充電がない場合は(ステップS7のNO)、ステップS8に移行する。
【0080】
ステップS8では、バッテリ40の充電の為、一定時間接続状態で待機する。一定時間は、バッテリモードで稼働するだけの充電に必要な時間に相当する。接続状態は、ダンプトラック2が着脱機構7等を介して水素台車3に接続されている状態に相当する。ステップS8の後、ステップS7に移行する(戻る)。
【0081】
ステップS9では、水素台車3とダンプトラック2との接続を解除する。例えば、ステップS9では、着脱機構7は、ダンプトラック2からの指令で、ダンプトラック2と水素台車3との切り離しを行う。ステップS9の後、ステップS13に移行する。
【0082】
ステップS13では、ダンプトラック2は、積込場/排土場にバッテリモードで移動する。積込場/排土場は、積載物の積込又は排出の作業を行うための地点に相当する。ステップS13の後、ステップS14に移行する。
【0083】
ステップS14では、ダンプトラック2は、積込又は排土を行う。ダンプトラック2が積込を行う場合は(ステップS14の積込)、ステップS17に移行する。一方、ダンプトラック2が排土を行う場合は(ステップS14の排土)、ステップS15に移行する。
【0084】
ステップS15では、コントローラ30は、水素台車3とダンプトラック2との接続が切れているか否かを判定する。水素台車3とダンプトラック2との接続が切れている場合は、水素台車3が着脱機構7等を介してダンプトラック2に接続されていない場合に相当する。水素台車3とダンプトラック2との接続が切れている場合は(ステップS15のYES)、ステップS16に移行する。一方、水素台車3とダンプトラック2との接続が切れていない場合は(ステップS15のNO)、ステップS5に移行する(戻る)。
【0085】
ステップS16では、ダンプトラック2は、排土(ダンプ)を行う。本実施形態では、事前に水素台車3がダンプトラック2から外されるため、積載物の排出時(ダンプボディ12のダンプ時)に、台車3が邪魔になることを抑制することができる。ステップS16の後、ステップS17に移行する。
【0086】
ステップS17では、ダンプトラック2は、積込場/排土場付近の水素台車一時待機エリアに移動する。ステップS17の後、ステップS18に移行する。
【0087】
ステップS18では、選択中の水素台車3とダンプトラック2とを接続する。例えば、ステップS18では、着脱機構7は、ダンプトラック2からの指令で、ダンプトラック2と水素台車3との接続を行う。ステップS18の後、ステップS19に移行する。
【0088】
ステップS19では、ダンプトラック2は、積込場/排土場へFCモードで走行する。ステップS19の後、ステップS5に移行する(戻る)。
【0089】
図5及び
図6を併せて参照し、比較例(
図6の例)の作業車両2Xは、本実施形態(
図5の例)の水素台車3を牽引しないダンプトラック(通常車両に相当)である。比較例は、車両本体に水素タンクが搭載される構成である。比較例の場合は、水素搭載量が少ないため、稼働時間が短くなる可能性が高い。稼働時間が短くなると、ステーションに行く回数(頻度)が多くなり、補給時間がかかる可能性が高い。
【0090】
これに対し本実施形態では、水素台車3を備えるため、比較例よりも水素搭載量が多い。そのため、本実施形態では、比較例よりも稼働時間が長い。加えて、ステーションに行く回数(頻度)が少なくなる。加えて、水素台車3を交換するだけで済むため、比較例よりも補給時間が短い。
【0091】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態のシステム1は、燃料電池36を搭載したダンプトラック2に燃料電池36の燃料を供給する。システム1は、ダンプトラック2と、燃料を搭載する台車3と、ダンプトラック2と台車3との間で着脱可能に設けられ、台車3に搭載された燃料をダンプトラック2に供給可能な供給配管4と、を備える。ダンプトラック2は、台車3を牽引しながら走行している状態で、供給配管4により台車3に搭載された燃料の供給を受ける。
この構成によれば、燃料を搭載する台車3を備えることで、燃料をダンプトラック2の限られたスペースに大量に搭載することを要しない。加えて、燃料補給の際は、燃料を搭載する台車3を交換するだけでよいため、補給時間は短く済む。加えて、ダンプトラック2は、供給配管4により台車3を牽引しながら走行している状態で、台車3に搭載された燃料の供給を受けることで、全体の運行の中で燃料補給にかかる時間を可及的に短くすることができる。したがって、燃料を大量に搭載することができ、且つ、全体の運行の中での無駄の発生を抑制することができる。
【0092】
本実施形態では、供給配管4は、ダンプトラック2に設けられた第1配管4Aと、台車3に設けられ、第1配管4Aと着脱可能な第2配管4Bと、を備える。
この構成によれば、第1配管4A及び第2配管4Bを備えた簡単な構成で、ダンプトラック2と台車3との間で供給配管4を着脱することができる。
【0093】
本実施形態では、ダンプトラック2は、燃料電池36を搭載した車体フレーム10と、車体フレーム10と回動部11で回動自在に結合され、積載物を搭載するダンプボディ12と、後輪22を支持する後輪車軸23を有する走行装置13と、を備える。台車3は、ダンプトラック2の後方に配置される。第1配管4Aの少なくとも一部は、後輪車軸23の上方に配置される。
この構成によれば、第1配管4Aの全部が後輪車軸23の下方に配置される場合と比較して、第1配管4Aに対して後輪車軸23の下方から外乱が及ぶことを抑制することができる。したがって、第1配管4Aが損傷することを抑制することができる。例えば、第1配管4Aが地面に接触したり、後輪22によって跳ねられた飛び石等が第1配管4Aに衝突したりする可能性を低減することができる。
【0094】
本実施形態では、第1配管4Aの後端は、ダンプボディ12の後端より前方に配置される。
この構成によれば、第1配管4Aの後端がダンプボディ12の後端より後方に配置される場合と比較して、積載物の排出時(ダンプボディ12のダンプ時)に、第1配管4Aが邪魔になることを抑制することができる。
【0095】
本実施形態では、ダンプトラック2は、積載物の排出時には、台車3を切り離し、積載物の排出の作業完了後は、台車3を接続して走行する。
この構成によれば、積載物の排出時(ダンプボディ12のダンプ時)に、台車3が邪魔になることを抑制することができる。加えて、作業完了後、ダンプトラック2は、台車3に搭載された燃料の供給を受けながら走行することができる。
【0096】
本実施形態では、台車3は、ダンプトラック2からの指令で、ダンプトラック2との切り離し又は接続が行われる。
この構成によれば、ダンプトラック2との切り離し又は接続に人手を要しない。したがって、システム1の自動化に寄与する。例えば、供給配管4の着脱作業を自動で行うことができる。
【0097】
本実施形態では、台車3は、カートリッジ式の水素タンク25を複数搭載可能に構成される。
この構成によれば、台車3が巨大なタンクを1つのみ搭載可能に構成される場合と比較して、台車3に大量の水素タンク25を搭載するとともに、水素タンク25の交換を容易に行うことができる。
【0098】
<変形例>
上述した実施形態では、供給配管は、作業車両に設けられた第1配管と、台車に設けられ、第1配管と着脱可能な第2配管と、を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、供給配管は、第1配管及び第2配管を備えていなくてもよい。例えば、供給配管は、作業車両又は台車のいずれか一方に設けられ、他方と着脱可能に構成されていてもよい。例えば、供給配管の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0099】
上述した実施形態では、作業車両は、ダンプトラックである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、作業車両は、ショベルやブルドーザ、ホイールローダ等の他の作業車両であってもよい。例えば、作業車両の態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0100】
上述した実施形態では、台車は、ダンプトラックの後方に配置される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、台車は、ダンプトラックの前方又は側方に配置されてもよい。例えば、台車の配置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0101】
上述した実施形態では、第1配管の少なくとも一部は、後輪車軸の上方に配置される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1配管の全部は、後輪車軸の下方に配置されてもよい。例えば、第1配管の配置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0102】
上述した実施形態では、第1配管の後端は、ダンプボディの後端より前方に配置される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1配管の後端は、ダンプボディの後端より後方に配置されてもよい。例えば、第1配管の後端の配置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0103】
上述した実施形態では、ダンプトラックは、積載物の排出時には、台車を切り離す例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ダンプトラックは、積載物の積込時に、台車を切り離してもよい。例えば、ダンプトラックは、積載物の排出時又は積込時に、台車の接続を維持してもよい。例えば、台車を切り離すタイミングは、設計仕様に応じて変更することができる。
【0104】
上述した実施形態では、台車は、ダンプトラックからの指令で、ダンプトラックとの切り離し又は接続が行われる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ダンプトラックとの切り離し又は接続に人手を要してもよい。例えば、供給配管の着脱作業を手動で行ってもよい。例えば、ダンプトラックとの切り離し又は接続の対応手段は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0105】
上述した実施形態では、台車は、カートリッジ式の水素タンクを複数搭載可能に構成される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、台車は、巨大なタンクを1つのみ搭載可能に構成されてもよい。例えば、台車に搭載される水素タンクの態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0106】
上述した実施形態では、台車に搭載されるタンクは、燃料である水素を貯蔵する水素タンクである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、台車に搭載されるタンクは、水素以外の燃料(例えば、作動油等)を貯蔵するものを含んでもよい。例えば、タンクが貯蔵する燃料の態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0107】
上述した実施形態では、供給配管とは別に牽引アームを設ける例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、供給配管は、台車を牽引するための牽引アームを兼ねてもよい。例えば、牽引アームの内部に供給配管を通してもよい。例えば、牽引アームの内部に燃料の供給路を設けてもよい。
この構成によれば、供給配管は、台車を牽引するための牽引アームを兼ねることで、供給配管とは別に牽引アームを設ける必要がない。したがって、部品点数を削減することができる。
【0108】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であり、上述した実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0109】
(付記1)
燃料電池を搭載した作業車両に前記燃料電池の燃料を供給するシステムにおいて、
前記作業車両と、
前記燃料を搭載する台車と、
前記作業車両と前記台車との間で着脱可能に設けられ、前記台車に搭載された前記燃料を前記作業車両に供給可能な供給配管と、を備え、
前記作業車両は、前記台車を牽引しながら走行している状態で、前記供給配管により前記台車に搭載された前記燃料の供給を受ける、
システム。
【0110】
(付記2)
前記供給配管は、
前記作業車両に設けられた第1配管と、
前記台車に設けられ、前記第1配管と着脱可能な第2配管と、を備える、
付記1に記載のシステム。
【0111】
(付記3)
前記作業車両は、ダンプトラックであり、
前記ダンプトラックは、
前記燃料電池を搭載した車体フレームと、
前記車体フレームと回動部で回動自在に結合され、積載物を搭載するダンプボディと、
後輪を支持する後輪車軸を有する走行装置と、を備え、
前記台車は、前記ダンプトラックの後方に配置され、
前記第1配管の少なくとも一部は、前記後輪車軸の上方に配置される、
付記2に記載のシステム。
【0112】
(付記4)
前記第1配管の後端は、前記ダンプボディの後端より前方に配置される、
付記3に記載のシステム。
【0113】
(付記5)
前記供給配管は、前記台車を牽引するための牽引アームを兼ねる、
付記1から4の何れか一つに記載のシステム。
【0114】
(付記6)
前記ダンプトラックは、
前記積載物の排出時又は積込時には、前記台車を切り離し、
前記積載物の排出又は積込の作業完了後は、前記台車を接続して走行する、
付記3から5の何れか一つに記載のシステム。
【0115】
(付記7)
前記台車は、前記作業車両からの指令で、前記作業車両との切り離し又は接続が行われる、
付記1から6の何れか一つに記載のシステム。
【0116】
(付記8)
前記台車は、カートリッジ式のタンクを複数搭載可能に構成される、
付記1から7の何れか一つに記載のシステム。
【符号の説明】
【0117】
1…システム、2…ダンプトラック(作業車両)、3…台車、4…供給配管、4A…車体側水素供給用配管(第1配管)、4B…台車側水素供給用下流配管(第2配管)、6…牽引アーム、10…車体フレーム、11…回動部、12…ダンプボディ、13…走行装置、22…後輪、23…後輪車軸、25…水素タンク(タンク)、36…燃料電池