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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070948
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】排水装置、トイレ装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/28 20060101AFI20240517BHJP
   E03C 1/294 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
E03C1/28 Z
E03C1/294
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181595
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】東田 豊三
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏和
(72)【発明者】
【氏名】松浦 大介
(72)【発明者】
【氏名】勝俣 貴之
(72)【発明者】
【氏名】小久保 等
(72)【発明者】
【氏名】小西 孝英
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA02
2D061DA10
2D061DD03
2D061DD14
2D061DD17
(57)【要約】
【課題】排水管の管内圧力の圧力変動を抑えて封水の跳ね出し及び破封を防止する。
【解決手段】排水装置(20)は、水廻り器具(10)の排水口(11)と排水管(12)の間に設けられている。排水装置には、排水口からの排水を溜めて封水(22)を形成する排水トラップ(21)と、封水よりも排水方向の下流側と上流側の間で空気を流通させる流路(26)と、が設けられている。流路の一端(27)が排水方向の下流側の封水面(23)よりも上方の上部空間に連なり、流路の他端(28)が排水方向の上流側の封水面(24)よりも下方の封水空間に連なっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水廻り器具の排水口と排水管の間に設けられた排水装置であって、
前記排水口からの排水を溜めて封水を形成する排水トラップと、
前記封水よりも排水方向の下流側と上流側の間で空気を流通させる流路と、を備え、
前記流路の一端が排水方向の下流側の封水面よりも上方の上部空間に連なり、前記流路の他端が排水方向の上流側の封水面よりも下方の封水空間に連なっていることを特徴とする排水装置。
【請求項2】
前記流路の他端が前記排水方向の上流側の封水面からの封水深よりも浅い位置に連なっていることを特徴とする請求項1に記載の排水装置。
【請求項3】
前記流路の他端が前記排水方向の上流側の封水面からの封水深の1/2の深さよりも浅い位置に連なっていることを特徴とする請求項2に記載の排水装置。
【請求項4】
前記排水管の圧力上昇によって前記排水方向の上流側の封水面が上がったときに、前記流路の他端からの空気の抜けによって前記封水が跳ね出さない範囲で、前記流路の他端が前記排水方向の上流側の封水面に近づけられていることを特徴とする請求項2に記載の排水装置。
【請求項5】
前記排水管の圧力低下によって前記排水方向の上流側の封水面が下がったときに、前記流路の他端が前記排水方向の上流側の封水面よりも上方に露出する範囲で、前記流路の他端が前記排水方向の上流側の封水面から離されていることを特徴とする請求項4に記載の排水装置。
【請求項6】
前記排水口が形成された前記水廻り器具としての便器本体と、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の排水装置と、を備えていることを特徴とするトイレ装置。
【請求項7】
水廻り器具の排水口と排水管の間に設けられた排水装置であって、
前記排水口からの排水を溜めて封水を形成する排水トラップと、
所定量の水を溜める容器と、
前記封水よりも排水方向の下流側の空気を前記容器に導く流路と、を備え、
前記流路の一端が排水方向の下流側の封水面よりも上方の上部空間に連なり、前記流路の他端が前記容器内の水面よりも下方の貯水空間に連なり、前記流路の他端が前記流路の一端よりも低く位置付けられていることを特徴とする排水装置。
【請求項8】
複数の水廻り器具の排水口と排水管の間に設けられた排水装置であって、
前記複数の排水口からの排水を溜めて封水を形成する複数の排水トラップと、
前記複数の排水トラップの前記封水よりも排水方向の下流側と所定の排水トラップの前記封水よりも排水方向の上流側の間で空気を流通させる流路と、を備え、
前記流路の一端が前記複数の排水トラップの排水方向の下流側の封水面よりも上方の上部空間に連なり、前記流路の他端が前記所定の排水トラップの排水方向の上流側の封水面よりも下方の封水空間に連なっていることを特徴とする排水装置。
【請求項9】
一対の水廻り器具の排水口と排水管の間に設けられた排水装置であって、
前記一対の排水口からの排水を溜めて封水を形成する一対の排水トラップと、
一方の排水トラップの前記封水よりも排水方向の下流側と他方の排水トラップの前記封水よりも排水方向の上流側の間で空気を流通させる流路と、を備え、
前記流路の一端が前記一方の排水トラップの排水方向の下流側の封水面よりも上方の上部空間に連なり、前記流路の他端が前記他方の排水トラップの排水方向の上流側の封水面よりも下方の封水空間に連なっていることを特徴とする排水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水装置、トイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に水回り器具の器具配管が排水管に接続されており、器具配管の排水トラップに溜まった封水よって排水管からの悪臭の侵入が防がれている。排水管では様々な要因によって圧力変動が生じており、排水管の管内圧力が上昇することで排水トラップの封水が破封して排水口側に跳ね出してしまう恐れがある。このため、排水管の空気を一時的に袋体に退避させて圧力変動を緩和する排水装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の排水装置では排水管の途中にT字継手を介して退避ケースが取り付けられ、退避ケース内の袋体に排水管の空気を逃がすように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-163634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の排水装置では、袋体の膨張限界を超える圧力上昇が排水管に生じた場合には封水が跳ね出し、袋体の収縮限界を超える圧力低下が排水管に生じた場合には封水が破封する恐れがある。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、排水管の管内圧力の圧力変動を抑えて封水の跳ね出し及び破封を防止することができる排水装置及びトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の排水装置は、水廻り器具の排水口と排水管の間に設けられた排水装置であって、前記排水口からの排水を溜めて封水を形成する排水トラップと、前記封水よりも排水方向の下流側と上流側の間で空気を流通させる流路と、を備え、前記流路の一端が排水方向の下流側の封水面よりも上方の上部空間に連なり、前記流路の他端が排水方向の上流側の封水面よりも下方の封水空間に連なっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様の排水装置は、排水管の管内圧力が高くなると、排水管の空気が流路の一端から入り込む。流路を通じて排水トラップの排水方向の下流側から上流側に空気が抜けて、流路の他端から排水方向の上流側の封水面に気泡が発生する。また、排水管の管内圧力が低くなると、排水方向の上流側の封水面の水位が下がって排水口側の空気が流路の他端から入り込む。流路を通じて排水トラップの排水方向の上流側から下流側に空気が抜けて、流路の一端から排水方向の下流側の封水面の上方に空気が取り込まれる。これにより、排水管の管内圧力の圧力変動が抑えられて封水の跳ね出し及び破封が防止される。また、排水管の管内圧力が大気圧のときには流路の他端が水没しており、封水によって流路の他端が閉じられている。流路を通じて排水トラップの排水方向の下流側と上流側が通気することがなく、排水管から排水口への臭気の漏れ等が抑えられている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態の排水装置の模式図である。
図2】第1の実施形態の管内圧力の上昇時の排水装置の模式図である。
図3】第1の実施形態の管内圧力の低下時の排水装置の模式図である。
図4】第2の実施形態の排水装置の模式図である。
図5】第3の実施形態のトイレ装置の模式図である。
図6】第4の実施形態の排水装置の模式図である。
図7】第5の実施形態の排水装置の模式図である。
図8】変形例1-6の排水装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態の排水装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、第1の実施形態の排水装置の模式図である。
【0010】
図1に示すように、水廻り器具10の底面の排水口11と壁裏等に設置された排水立て管(排水管)12の間には排水装置20が設けられており、排水装置20を通じて排水口11から排水立て管12に排水が流されている。排水装置20には排水トラップ21が設けられており、排水トラップ21には排水口11からの排水を溜めて封水22が形成されている。排水トラップ21は、U字管の上流側を水廻り器具10の排水口11に向けて縦方向に延ばし、U字管の下流側を壁裏等に設置された排水立て管12に向けて横方向に延ばしたトラップである。排水トラップ21の封水22によって排水立て管12から排水口11への臭気漏れ等が抑えられている。
【0011】
排水立て管12では排水の流れ等の様々な要因によって管内圧力が変動する。排水立て管12の管内圧力の変動によって封水22の跳ね出しや破封が生じるおそれがあり、封水22の跳ね出しや破封が起きる前に排水立て管12の管内圧力の変動が緩和されることが望ましい。このため、本実施形態の排水装置20には、封水22の排水方向の下流側と上流側の間で空気を流通させる均圧管(流路)26が設けられている。均圧管26を通じて排水トラップ21の下流側と上流側が連通することで、排水立て管12の管内圧力の変動が緩和されて排水口11からの封水22の跳ね出しや破封が防止されている。なお、封水22の跳ね出しとは、排水口11側に封水22の一部が飛び出す現象をいう。
【0012】
排水立て管12が大気圧である場合には、排水方向の下流側の封水面23の水位と排水方向の上流側の封水面24の水位が同じになっている。均圧管26の一端27は排水方向の下流側の封水面23よりも上方の上部空間に連なり、均圧管26の他端28は排水方向の上流側の封水面24よりも下方の封水空間に連なっている。すなわち、均圧管26の一端27は排水方向の下流側の封水面23の上方で開放されており、均圧管26の他端28は排水トラップ21の封水22によって塞がれている。封水22が排水トラップ21の排水方向の下流側と上流側の通気を防ぐ弁体として機能している。
【0013】
均圧管26の他端28は、排水方向の上流側の封水面24からの封水深D1(例えば、50[mm])よりも浅い位置に連なっている。この場合、均圧管26の他端28が排水方向の上流側の封水面24からの封水深D1の1/2の深さよりも浅い位置に連なることが好ましい。これにより、排水立て管12の管内圧力の上昇時に均圧管26を通じて排水トラップ21の下流側から上流側に空気が抜け易くなっている。このとき、均圧管26の他端28が水没しているため、均圧管26を通じて排水トラップ21の排水方向の下流側と上流側が通気することがなく、排水立て管12から排水口11への臭気の漏れ等が抑えられている。
【0014】
さらに、均圧管26の他端28が封水面24に近づけられると、排水立て管12の管内圧力の変動が素早く緩和されるが、排水立て管12の管内圧力の上昇によって封水面24が上がったときに封水22が跳ね出して排水口11の周囲を汚すおそれがある。一方で、均圧管26の他端28が封水面24から下方に離されると、封水面24付近での封水22の跳ね出しが抑えられるが、排水立て管12の管内圧力の低下によって封水面24が下がったときに均圧管26の他端28が封水面24の上方に露出せずに、排水立て管12の管内圧力の変動を緩和させることができない。
【0015】
このため、排水立て管12の圧力上昇によって封水面24が上がったときに、均圧管26の他端28からの空気の抜けによって封水22が跳ね出さない範囲で、均圧管26の他端28が封水面24に近づけられていることが好ましい。さらに、排水立て管12の圧力低下によって封水面24が下がったときに、均圧管26の他端28が封水面24よりも上方に露出する範囲で、均圧管26の他端28が封水面24から離されていることが好ましい。これにより、封水22の跳ね出しや破封を起こすことなく排水立て管12の管内圧力の変動が緩和される。
【0016】
なお、本実施形態の水廻り器具10は排水口11が形成された器具であればよく、水廻り器具10はキッチンの流し台、洗面所の洗面台、浴室の床面、浴室の浴槽、トイレの便器、洗濯機パン、洗濯機等でもよい。また、本実施形態の排水装置20には排水トラップ21としてPトラップが用いられたが、水廻り器具10の種類や構造に応じて排水装置20に他の排水トラップが用いられてもよい。さらに、本実施形態の排水管の構造は特に限定されず、例えば排水立て管、排水横枝管、その他の配管を組み合わせて排水管が形成されていてもよい。
【0017】
図1から図3を参照して、管内圧力の変動時の排水装置の動作について説明する。図2は、第1の実施形態の管内圧力の上昇時の排水装置の模式図である。図3は、第1の実施形態の管内圧力の低下時の排水装置の模式図である。
【0018】
図1に示すように、通常時には排水立て管12の管内圧力が大気圧になっており、排水トラップ21の排水方向の下流側及び上流側の封水面23、24の水位が同じになっている。この状態で均圧管26の一端27は排水方向の下流側の上部空間に連なっており、均圧管26の他端28は排水方向の上流側の封水空間に連なっている。均圧管26の一端27よりも他端28が低くなっており、均圧管26の他端28から一端27に封水22が逆流しない程度の高低差が設けられている。均圧管26の一端27は管内に開放されており、均圧管26の他端28は水没して封水22によって塞がれている。
【0019】
図2に示すように、排水立て管12の管内圧力が上昇すると、管内圧力によって排水トラップ21の排水方向の下流側の封水面23が押し込まれる。このとき、排水トラップ21の排水方向の下流側の空気が均圧管26の一端27に入り込み、気泡となって均圧管26の他端28から排水方向の上流側の封水面24に排出される。排水トラップ21の排水方向の下流側から上流側に空気が抜けることで管内圧力の上昇が抑えられる。排水トラップ21の排水方向の下流側の封水面23よりも上流側の封水面24の水位が高くなるが、管内圧力の上昇によって排水口11から封水22が跳ね出すことがない。
【0020】
図3に示すように、排水立て管12の管内圧力が低下すると、管内圧力によって排水トラップ21の排水方向の下流側の封水面23が引き込まれて、排水方向の上流側の封水面24の上方に均圧管26の他端28が露出する。このとき、排水トラップ21の排水方向の上流側の空気が均圧管26の他端28に入り込み、均圧管26の一端27から排水方向の下流側の封水面23の上方空間に排出される。排水トラップ21の排水方向の上流側から下流側に空気が抜けることで管内圧力の低下が抑えられる。排水トラップ21の排水方向の下流側の封水面23よりも上流側の封水面24の水位が低くなるが、管内圧力の低下によって封水22が破封することがない。
【0021】
以上のように、第1の実施形態の排水装置20によれば、排水立て管12の管内圧力の上昇時には、均圧管26を通じて排水トラップ21の排水方向の下流側から上流側に空気が抜ける。排水立て管12の管内圧力の低下時には、均圧管26を通じて排水トラップ21の排水方向の上流側から下流側に空気が抜ける。これにより、排水管の管内圧力の圧力変動が抑えられて封水の跳ね出し及び破封が防止される。また、排水立て管12の管内圧力が大気圧のときには均圧管26の他端28が水没しているため、均圧管26を通じて排水トラップ21の排水方向の下流側と上流側が通気することがなく、排水立て管12から排水口11への臭気の漏れ等が抑えられている。
【0022】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態の排水装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。図4は、第2の実施形態の排水装置の模式図である。なお、第2の実施形態の排水装置は、管内圧力の上昇時の空気を圧力緩和用の容器に逃がす点で第1の実施形態の排水装置と相違している。したがって、第2の実施形態については、第1の実施形態と同様な構成については極力説明を省略する。
【0023】
図4に示すように、水廻り器具30の底面の排水口31と壁裏等に設置された排水立て管(排水管)32の間には排水装置40が設けられており、排水装置40には排水口31から排水立て管32に排水を流す排水流路が形成されている。排水装置40の排水流路には排水トラップ41が設けられており、排水トラップ41には排水口31からの排水が溜まって封水42が形成されている。排水装置40には所定量の水36を溜めた圧力緩和用の容器35が設けられており、容器35は排水装置40の排水流路とは別の場所に設置されている。均圧管46によって封水42の排水方向の下流側の空気が容器35に導かれている。
【0024】
均圧管46の一端47が排水方向の下流側の封水面43よりも上方の上部空間に連なり、均圧管46の他端48が容器35の水面37よりも下方の貯水空間に連なっている。すなわち、均圧管46の一端47は排水方向の下流側の封水面43よりも上方で開放されており、均圧管46の他端48は容器35内の水36によって塞がれている。容器35は排水トラップ41の側方に設置されており、排水トラップ41に連なる均圧管46の一端47よりも容器35に連なる均圧管46の他端48が低くなっている。なお、均圧管46の他端48は、容器35からの水36の跳ね出しが生じない範囲で水面37に近づけられることが好ましい。
【0025】
排水立て管32の管内圧力が上昇すると、管内圧力によって排水トラップ41の排水方向の下流側の封水面43が押し込まれる。このとき、排水トラップ41の排水方向の下流側の空気が均圧管46の一端47に入り込み、気泡となって均圧管46の他端48から容器35の水面37に排出される。排水トラップ41の排水方向の下流側から容器35内に空気が抜けることで管内圧力の上昇が抑えられる。排水トラップ41の排水方向の下流側の封水面43よりも上流側の封水面44の水位が高くなるが、管内圧力の上昇によって封水42が排水口31から跳ね出すことがない。
【0026】
以上のように、第2の実施形態の排水装置40においても、第1の実施形態の排水装置20と同様に、排水立て管32の管内圧力の上昇が緩和されて封水42の跳ね出しが防止される。
【0027】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態のトイレ装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。図5は、第3の実施形態のトイレ装置の模式図である。
【0028】
図5に示すように、トイレ装置50にはボウル状の便器本体51が設けられている。便器本体51の底面には排水口52が形成されており、排水口52には略U字状に屈曲した排水トラップ61が連なっている。排水トラップ61の下流側は下方に屈曲して排水横枝管54に連なっている。排水トラップ61には排水口52からの排水が溜まって封水62が形成されており、封水62によって排水横枝管54から排水口52への臭気漏れ等が抑えられている。便器本体51には排水トラップ61の排水方向の下流側と上流側を連ねる貫通穴(流路)66が形成されている。この排水トラップ61と貫通穴66によって排水装置60が構成されている。
【0029】
排水横枝管54が大気圧である場合には、排水方向の下流側の封水面63の水位と排水方向の上流側の封水面64の水位が同じになっている。貫通穴66の一端67は排水方向の下流側の封水面63よりも上方の上部空間に連なり、貫通穴66の他端68は排水方向の上流側の封水面64よりも下方の封水空間に連なっている。すなわち、貫通穴66の一端67が他端68よりも高くなるように貫通穴66が斜めに延びており、貫通穴66の一端67は排水方向の下流側の封水面63よりも上方で開放されており、貫通穴66の他端68は排水トラップ61の封水62によって塞がれている。
【0030】
貫通穴66の他端68は、排水方向の上流側の封水面64からの封水深D2よりも浅い位置に連なっている。この場合、貫通穴66の他端68が排水方向の上流側の封水面64からの封水深D2の1/2の深さよりも浅い位置に連なることが好ましい。さらに、封水面64が上がったときに、貫通穴66の他端68からの空気の抜けによって封水62が跳ね出さない範囲で、貫通穴66の他端68が封水面64に近づけられていることが好ましい。封水面64が下がったときに、貫通穴66の他端68が封水面64よりも上方に露出する範囲で、貫通穴66の他端68が封水面64から離されていることが好ましい。なお、トイレ装置50は、排水装置60が適用可能であればよく、便座を有する洋式のトイレ装置に限らず、便座を有さない和式のトイレ装置でもよい。
【0031】
排水横枝管54の管内圧力が上昇すると、管内圧力によって排水トラップ61の排水方向の下流側の封水面63が押し込まれる。このとき、排水トラップ61の排水方向の下流側の空気が貫通穴66の一端67に入り込み、気泡となって貫通穴66の他端68から排水方向の上流側の封水面64に排出される。排水トラップ61の排水方向の下流側から上流側に空気が抜けることで管内圧力の上昇が抑えられる。排水トラップ61の排水方向の下流側の封水面63よりも上流側の封水面64の水位が高くなるが、管内圧力の上昇によって便器本体51の封水62が排水口52から跳ね出して便フタ53を汚すことがない。
【0032】
排水横枝管54の管内圧力が低下すると、管内圧力によって排水トラップ61の排水方向の下流側の封水面63が引き込まれて、排水方向の上流側の封水面64の上方に貫通穴66の他端68が露出する。このとき、排水トラップ61の排水方向の上流側の空気が貫通穴66の他端68に入り込み、貫通穴66の一端67から排水方向の下流側の封水面63の上方空間に排出される。排水トラップ61の排水方向の上流側から下流側に空気が抜けることで管内圧力の低下が抑えられる。排水トラップ61の排水方向の下流側の封水面63よりも上流側の封水面64の水位が低くなるが、管内圧力の低下によって封水62が破封することがない。
【0033】
以上のように、第3の実施形態のトイレ装置50においても、第1の実施形態の排水装置20と同様に、排水横枝管54の管内圧力の変動が緩和されて封水62の跳ね出しや破封が防止される。
【0034】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態の排水装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。図6は、第4の実施形態の排水装置の模式図である。なお、第4の実施形態の排水装置は、複数の排水トラップの下流側の空気を所定の排水トラップの上流側に逃がす点で第1の実施形態の排水装置と相違している。したがって、第4の実施形態については、第1の実施形態と同様な構成については極力説明を省略する。ここでは、複数の排水トラップとして2つの排水トラップを例示しているが、排水トラップの数は特に限定されず、3つ以上の水廻り器具の3つ以上の排水トラップでもよい。
【0035】
図6に示すように、水廻り器具130の排水口131と排水管(不図示)の間には第1の排水トラップ(複数の排水トラップのうちの所定の排水トラップ)133が設けられており、第1の排水トラップ133には排水が溜まって封水135が形成されている。第1の均圧管141によって第1の排水トラップ133の封水135よりも排水方向の下流側と上流側の間で空気が流通される。トイレ装置150(水廻り器具)の排水口151と排水管の間には第2の排水トラップ153が形成されており、第2の排水トラップ153には排水が溜まって封水155が形成されている。第2の均圧管161によって第2の排水トラップ153の封水155よりも排水方向の下流側と第1の排水トラップ133の封水135よりも排水方向の上流側の間で空気が流通される。
【0036】
第1の均圧管141の一端142が排水方向の下流側の封水面136よりも上方の上部空間に連なり、第1の均圧管141の他端143が排水方向の上流側の封水面137よりも下方の封水空間に連なっている。すなわち、第1の均圧管141の一端142は排水方向の下流側の封水面136よりも上方で開放され、第1の均圧管141の他端143は封水135に塞がれている。第2の均圧管161の一端162が排水方向の下流側の封水面156よりも上方の上部空間に連なり、第2の均圧管161の他端163が第1の排水トラップ133の排水方向の上流側の封水面137よりも下方の封水空間に連なっている。すなわち、第2の均圧管161の一端162は排水方向の下流側の封水面156よりも上方で開放され、第2の均圧管161の他端163は第1の排水トラップ133の封水135に塞がれている。
【0037】
第1、第2の均圧管141、161の他端143、163は、第1の排水トラップ133の排水方向の上流側の封水面137からの封水深D1よりも浅い位置に連なっている。この場合、第1、第2の均圧管141、161の他端143、163が排水方向の上流側の封水面137からの封水深D1の1/2の深さよりも浅い位置に連なることが好ましい。さらに、封水面137が上がったときに封水135が跳ね出さない範囲で、第1、第2の均圧管141、161の他端143、163が封水面137に近づけられていることが好ましい。封水面137が下がったときに、第1、第2の均圧管141、161の他端143、163が封水面137よりも上方に露出する範囲で、第1、第2の均圧管141、161の他端143、163が封水面137から離されていることが好ましい。
【0038】
排水管の管内圧力が上昇すると、管内圧力によって第1、第2の排水トラップ133、153の排水方向の下流側の封水面136、156が押し込まれる。このとき、第1、第2の排水トラップ133、153の排水方向の下流側の空気が第1、第2の均圧管141、161の一端142、162に入り込み、気泡となって第1、第2の均圧管141、161の他端143、163から第1の排水トラップ133の排水方向の上流側の封水面137に排出される。第1、第2の排水トラップ133、153の排水方向の下流側から第1の排水トラップ133の上流側に空気が抜けることで管内圧力の上昇が抑えられて封水135、155の跳ね出しが防止される。
【0039】
排水管の管内圧力が低下すると、管内圧力によって第1の排水トラップ133の排水方向の下流側の封水面136が引き込まれて、排水方向の上流側の封水面137の上方に第1、第2の均圧管141、161の他端143、163が露出する。このとき、第1の排水トラップ133の排水方向の上流側の空気が第1、第2の均圧管141、161の他端143、163に入り込み、第1、第2の均圧管141、161の一端142、162から第1、第2の排水トラップ133、153の排水方向の下流側の封水面136、156の上方空間に排出される。第1の排水トラップ133の排水方向の上流側から第1、第2の排水トラップ133、153の下流側に空気が抜けることで管内圧力の低下が抑えられて封水135、155の破封が防止される。
【0040】
以上のように、第4の実施形態の排水装置においても、第1の実施形態の排水装置20と同様に、排水管の管内圧力の変動が緩和されて封水135、155の跳ね出しや破封が防止される。
【0041】
<第5の実施形態>
次に、第5の実施形態の排水装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。図7は、第5の実施形態の排水装置の模式図である。なお、第5の実施形態の排水装置は、一方の排水トラップの下流側の空気を他方の排水トラップの上流側に逃がす点で第1の実施形態の排水装置と相違している。したがって、第5の実施形態については、第1の実施形態と同様な構成については極力説明を省略する。
【0042】
図7に示すように、水廻り器具170の排水口171と排水管(不図示)の間には第1の排水トラップ(他方の排水トラップ)173が設けられており、第1の排水トラップ173には排水が溜まって封水175が形成されている。トイレ装置180(水廻り器具)の排水口181と排水管の間には第2の排水トラップ(一方の排水トラップ)183が形成されており、第2の排水トラップ183には排水が溜まって封水185が形成されている。均圧管187によって第2の排水トラップ183の封水185よりも排水方向の下流側と第1の排水トラップ173の封水175よりも排水方向の上流側の間で空気が流通される。
【0043】
均圧管187の一端188が第2の排水トラップ183の排水方向の下流側の封水面186よりも上方の上部空間に連なり、均圧管187の他端189が第1の排水トラップ173の排水方向の上流側の封水面177よりも下方の封水空間に連なっている。すなわち、均圧管187の一端188は第2の排水トラップ183の排水方向の下流側の封水面186よりも上方で開放され、均圧管187の他端189は第1の排水トラップ173の封水175に塞がれている。均圧管187の他端189は、第1の排水トラップ173の排水方向の上流側の封水面177からの封水深D1よりも浅い位置に連なっている。この場合、均圧管187の他端189が排水方向の上流側の封水面177からの封水深D1の1/2の深さよりも浅い位置に連なることが好ましい。さらに、封水面177が上がったときに封水175が跳ね出さない範囲で均圧管187の他端189が封水面177に近づけられ、封水面177が下がったときに均圧管187の他端189が封水面177よりも上方に露出する範囲で均圧管187の他端189が封水面177から離されることが好ましい。
【0044】
排水管の管内圧力が上昇すると、管内圧力によって第1、第2の排水トラップ173、183の排水方向の下流側の封水面176、186が押し込まれる。このとき、第2の排水トラップ183の排水方向の下流側の空気が均圧管187の一端188に入り込み、気泡となっての均圧管187の他端189から第1の排水トラップ173の排水方向の上流側の封水面177に排出される。第2の排水トラップ183の排水方向の下流側から第1の排水トラップ173の上流側に空気が抜けることで管内圧力の上昇が抑えられて封水175、185の跳ね出しが防止される。
【0045】
排水管の管内圧力が低下すると、管内圧力によって第1の排水トラップ173の排水方向の下流側の封水面176が引き込まれて、排水方向の上流側の封水面177の上方に均圧管187の他端189が露出する。このとき、第1の排水トラップ173の排水方向の上流側の空気が均圧管187の他端189に入り込み、均圧管187の一端188から第2の排水トラップ183の排水方向の下流側の封水面186の上方空間に排出される。第1の排水トラップ173の排水方向の上流側から第2の排水トラップ183の下流側に空気が抜けることで管内圧力の低下が抑えられて封水175、185の破封が防止される。
【0046】
以上のように、第5の実施形態の排水装置においても、第1の実施形態の排水装置20と同様に、排水管の管内圧力の変動が緩和されて封水175、185の跳ね出しや破封が防止される。
【0047】
<変形例>
次に、他の排水トラップを採用した排水装置の変形例1-6について簡単に説明する。図8は、変形例1-6の排水装置の模式図である。なお、以下に示す排水装置の変形例は一例に過ぎず、この構成に限定されない。また、図8の太矢印は排水の流れの方向を示している。
【0048】
図8(A)に示すように、変形例1の排水装置70には排水トラップとしてワントラップ71が採用されている。ワントラップ71は有底筒状のトラップ皿72と椀状の防臭フタ73によって形成されている。トラップ皿72の底面には封水筒74が貫通しており、防臭フタ73によって封水筒74が上方から覆われている。トラップ皿72と封水筒74の間に封水75が溜められている。防臭フタ73の外側に排水方向の上流側の封水面78が形成され、防臭フタ73の内側に排水方向の下流側の封水面79が形成されている。ワントラップ71では、防臭フタ73の上部空間と防臭フタ73の周囲の封水空間を連ねるように均圧管76が設けられている。
【0049】
図8(B)に示すように、変形例2の排水装置80には排水トラップとして逆ワントラップ81が採用されている。逆ワントラップ81は封水ボックス82と封水筒83によって形成されている。封水ボックス82の上面には封水筒83が貫通しており、封水筒83の下端が封水ボックス82の底面に近づけられている。封水ボックス82の上部側面には流出口84が形成され、封水ボックス82及び封水筒83の内側には流出口84よりも下方に封水85が溜められている。封水筒83の内側に排水方向の上流側の封水面88が形成され、封水筒83の外側に排水方向の下流側の封水面89が形成されている。逆ワントラップ81では、流出口84の内部空間と封水筒83の内側の封水空間を連ねるように均圧管86が設けられている。
【0050】
図8(C)に示すように、変形例3の排水装置90には排水トラップとしてボトルトラップ91が採用されている。ボトルトラップ91は外筒92と内筒93の二重筒構造になっている。外筒92に対して上方から内筒93が挿し込まれており、内筒93の下端が外筒92の底面に近づけられている。外筒92の上部側面には流出口94が形成され、外筒92及び内筒93の内側には流出口94よりも下方に封水95が溜められている。内筒93の内側に排水方向の上流側の封水面98が形成され、内筒93の外側に排水方向の下流側の封水面99が形成されている。ボトルトラップ91では、流出口94の内部空間と内筒93の内側の封水空間を連ねるように均圧管96が設けられている。
【0051】
図8(D)に示すように、変形例4の排水装置100には排水トラップとしてドラムトラップ101が採用されている。ドラムトラップ101は封水ドラム102と流入管103によって形成されている。封水ドラム102の下部側面に流入管103が連なっており、封水ドラム102の上部側面に流出口104が形成されている。封水ドラム102と流入管103の内側には流出口104よりも下方に封水105が溜められている。流入管103の内側に排水方向の上流側の封水面108が形成され、封水ドラム102の内側に排水方向の下流側の封水面109が形成されている。ドラムトラップ101では、封水ドラム102の上部空間と流入管103の内側の封水空間を連ねるように均圧管106が設けられている。
【0052】
図8(E)に示すように、変形例5の排水装置110には排水トラップとしてSトラップ111が採用されている。Sトラップ111はU字管112と逆U字管113を連ねてS字状に形成されている。排水方向の上流側にU字管112が位置付けられ、排水方向の下流側に逆U字管113が位置付けられている。U字管112には封水114が溜められており、逆U字管113の上部は封水114よりも上方に位置している。U字管112側に排水方向の上流側の封水面118が形成され、逆U字管113側に排水方向の下流側の封水面119が形成されている。Sトラップ111では、逆U字管113の上部空間とU字管112の上流側の封水空間を連ねるように均圧管115が設けられている。
【0053】
図8(F)に示すように、変形例6の排水装置120には排水トラップとしてUトラップ121が採用されている。Uトラップ121は流入管122、U字管123、流出管124を連ねて形成されている。U字管123の上流に流入管122が連なり、U字管123の下流に流出管124が連なっている。U字管123には封水125が溜められており、流入管122及び流出管124は封水125よりも上方に位置している。流入管122側に排水方向の上流側の封水面128が形成され、流出管124側に排水方向の下流側の封水面129が形成されている。Uトラップ121では、流出管124の内部空間とU字管123の上流側の封水空間を連ねるように均圧管126が設けられている。
【0054】
これら変形例1-6の排水装置70、80、90、100、110、120においても、管内圧力の変動が緩和されて封水の跳ね出しや破封が防止される。
【0055】
なお、排水トラップにおいて、排水方向の上流側の封水面とは排水口側の封水面を示し、排水方向の下流側の封水面とは排水管(排水立て管や排水横枝管)側の封水面を示している。
【0056】
また、第1、第2、第4、第5の実施形態では、均圧管が排水トラップに設けられているが、均圧管は封水よりも排水方向の下流側と上流側の間で空気が流通されるように形成されていればよい。例えば、均圧管の一端が排水トラップよりも排水方向の下流側の器具配管の管路に連なり、均圧管の他端が排水方向の上流側の封水面よりも下方の封水空間に連なっていてもよい。
【0057】
以上の通り、第1態様は、水廻り器具(10)の排水口(11)と排水管(排水立て管12)の間に設けられた排水装置(20)であって、排水口からの排水を溜めて封水(22)を形成する排水トラップ(21)と、封水よりも排水方向の下流側と上流側の間で空気を流通させる流路(均圧管26)と、を備え、流路の一端(27)が排水方向の下流側の封水面(23)よりも上方の上部空間に連なり、流路の他端(28)が排水方向の上流側の封水面(24)よりも下方の封水空間に連なっている。この構成によれば、排水管の管内圧力が高くなると、排水管の空気が流路の一端から入り込む。流路を通じて排水トラップの排水方向の下流側から上流側に空気が抜けて、流路の他端から排水方向の上流側の封水面に気泡が発生する。また、排水管の管内圧力が低くなると、排水方向の上流側の封水面の水位が下がって排水口側の空気が流路の他端から入り込む。流路を通じて排水トラップの排水方向の上流側から下流側に空気が抜けて、流路の一端から排水方向の下流側の封水面の上方に空気が取り込まれる。これにより、排水管の管内圧力の圧力変動が抑えられて封水の跳ね出し及び破封が防止される。また、排水管の管内圧力が大気圧のときには流路の他端が水没しており、封水によって流路の他端が閉じられている。流路を通じて排水トラップの排水方向の下流側と上流側が通気することがなく、排水管から排水口への臭気の漏れ等が抑えられている。
【0058】
第2態様は、第1態様において、流路の他端が排水方向の上流側の封水面からの封水深よりも浅い位置に連なっている。この構成によれば、流路を通じて排水トラップの下流側から上流側に空気が抜け易くなる。
【0059】
第3態様は、第2態様において、流路の他端が排水方向の上流側の封水面からの封水深の1/2の深さよりも浅い位置に連なっている。この構成によれば、流路を通じて排水トラップの下流側から上流側により空気が抜け易くなる。
【0060】
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか1態様において、排水管の圧力上昇によって排水方向の上流側の封水面が上がったときに、流路の他端からの空気の抜けによって封水が跳ね出さない範囲で、流路の他端が排水方向の上流側の封水面に近づけられている。この構成によれば、流路の他端が封水面付近に位置付けられているため、排水管の管内圧力の上昇を素早く緩和することができる。また、排水管が圧力上昇しても封水が跳ね出さないため排水口の周囲を汚すことがない。
【0061】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか1態様において、排水管の圧力低下によって排水方向の上流側の封水面が下がったときに、流路の他端が排水方向の上流側の封水面よりも上方に露出する範囲で、流路の他端が排水方向の上流側の封水面から離されている。この構成によれば、排水管が圧力低下しても封水が破封することがない。
【0062】
第6態様は、排水口(52)が形成された水廻り器具としての便器本体(51)と、第1態様から第5態様のいずれか1態様の排水装置(60)と、を備えているトイレ装置(50)である。この構成によれば、便器本体の封水の跳ね出しが抑えられて便フタ等への排水の付着が防止され、破封によるトイレ装置の悪臭が防止される。
【0063】
第7態様は、水廻り器具(30)の排水口(31)と排水管(排水立て管32)の間に設けられた排水装置(40)であって、排水口からの排水を溜めて封水(42)を形成する排水トラップ(41)と、所定量の水(36)を溜める容器(35)と、封水よりも排水方向の下流側の空気を容器に導く流路(均圧管46)と、を備え、流路の一端(47)が排水方向の下流側の封水面(43)よりも上方の上部空間に連なり、流路の他端(48)が容器内の水面(37)よりも下方の貯水空間に連なり、流路の他端が流路の一端よりも低く位置付けられている。この構成によれば、排水管の管内圧力が高くなると、排水管の空気が流路の一端側に入り込む。流路を通じて排水トラップの排水方向の下流側から容器内に空気が抜けて、流路の他端から容器の水面に気泡が発生する。これにより、排水管の管内圧力の圧力変動が緩和されて封水の跳ね出し及び破封が防止される。
【0064】
第8態様は、複数の水廻り器具(130、トイレ装置150)の排水口(131、151)と排水管の間に設けられた排水装置であって、前記複数の排水口からの排水を溜めて封水(135、155)を形成する複数の排水トラップ(第1、第2の排水トラップ133、153)と、前記複数の排水トラップの前記封水よりも排水方向の下流側と所定の排水トラップ(第1の排水トラップ133)の前記封水よりも排水方向の上流側の間で空気を流通させる流路(第1、第2の均圧管141、161)と、を備え、前記流路の一端(142、162)が前記複数の排水トラップの排水方向の下流側の封水面(136、156)よりも上方の上部空間に連なり、前記流路の他端(143、163)が前記所定の排水トラップの排水方向の上流側の封水面(137)よりも下方の封水空間に連なっている。この構成によれば、排水管の管内圧力の圧力変動が緩和されて複数の水廻り器具において封水の跳ね出し及び破封が防止される。
【0065】
第9態様は、一対の水廻り器具(170、トイレ装置180)の排水口(171、181)と排水管の間に設けられた排水装置であって、前記一対の排水口からの排水を溜めて封水(175、185)を形成する一対の排水トラップ(第1、第2の排水トラップ173、183)と、一方の排水トラップの前記封水よりも排水方向の下流側と他方の排水トラップの前記封水よりも排水方向の上流側の間で空気を流通させる流路(均圧管187)と、を備え、前記流路の一端(188)が前記一方の排水トラップ(第2の排水トラップ183)の排水方向の下流側の封水面(186)よりも上方の上部空間に連なり、前記流路の他端(189)が前記他方の排水トラップ(第1の排水トラップ173)の排水方向の上流側の封水面(177)よりも下方の封水空間に連なっている。この構成によれば、排水管の管内圧力の圧力変動が緩和されて一対の水廻り器具において封水の跳ね出し及び破封が防止される。
【0066】
なお、本実施形態及び変形例を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0067】
また、本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0068】
10、30、130、170 :水廻り器具
11、31、52、131、151、171、181:排水口
12、32 :排水立て管(配管)
20、40、60 :排水装置
21、41、61 :排水トラップ
133、173:第1の排水トラップ(所定の排水トラップ、他方の排水トラップ)
153、183:第2の排水トラップ(一方の排水トラップ)
22、42、62、135、155、175、185:封水
23、43、63、136、156、176、186:下流側の封水面
24、44、64、137、157、177 :上流側の封水面
26、46、187 :均圧管(流路)
27、47、188 :均圧管の一端
28、48、189 :均圧管の他端
141 :第1の均圧管(流路)
142 :第1の均圧管の一端
143 :第1の均圧管の他端
161 :第2の均圧管(流路)
162 :第2の均圧管の一端
163 :第2の均圧管の他端
35 :容器
36 :水
37 :水面
50、150、180:トイレ装置
51 :便器本体(水廻り器具)
54 :排水横枝管(排水管)
66 :貫通穴(流路)
67 :貫通穴の一端
68 :貫通穴の他端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8