IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メディカルシステムズ株式会社の特許一覧 ▶ 独立行政法人国立がん研究センターの特許一覧

特開2024-70953医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム
<>
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図1
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図2
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図3
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図4
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図5
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図6
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図7
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図8
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図9
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図10
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図11
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図12
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図13
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図14
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図15
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図16
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図17
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図18
  • 特開-医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070953
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20240517BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181607
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510097747
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立がん研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中谷 文彦
(72)【発明者】
【氏名】三宅 基隆
(72)【発明者】
【氏名】霜村 侑香
(72)【発明者】
【氏名】中津川 実
(72)【発明者】
【氏名】朴 龍勲
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】ユーザが素早く適切な判断を行うことができること。
【解決手段】本実施形態に係る医用情報表示装置は、記憶部と、取得部と、特定部と、表示制御部とを備える。前記記憶部は、診療データに関する情報の組み合わせごとに表示情報が対応付けられたデータベースを記憶する。前記取得部は、患者に関する診療情報と、ユーザに関する行動情報とを取得する。前記特定部は、前記データベースに基づいて、前記診療情報と前記行動情報とに対応した対応表示情報を、前記データベースに記憶された表示情報の中から特定する。前記表示制御部は、前記対応表示情報を表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療データに関する情報の組み合わせごとに表示情報が対応付けられたデータベースを記憶する記憶部と、
患者に関する診療情報と、ユーザに関する行動情報とを取得する取得部と、
前記データベースに基づいて、前記診療情報と前記行動情報とに対応した対応表示情報を、前記データベースに記憶された表示情報の中から特定する特定部と、
前記対応表示情報を表示させる表示制御部と、
を備える医用情報表示装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記データベースに基づいて、前記診療情報と前記行動情報とに対して、前記ユーザの意思決定に互いに関連する前記対応表示情報を特定する、
請求項1に記載の医用情報表示装置。
【請求項3】
前記データベースは、前記診療データに関する情報と前記対応表示情報とに対応する複数のノードを有するグラフ構造である、
請求項1に記載の医用情報表示装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記行動情報に関連する前記診療情報を取得する、
請求項1に記載の医用情報表示装置。
【請求項5】
前記特定部は、前記グラフ構造において、前記診療情報に対応する第1のノードと、前記行動情報に対応する第2のノードとを特定し、前記第1のノードと前記第2のノードとの関連度が所定の閾値よりも高いノードに対応する表示情報を前記対応表示情報として特定する、
請求項3に記載の医用情報表示装置。
【請求項6】
前記特定部は、前記グラフ構造において、前記診療情報に対応する第1のノードと、前記行動情報に対応する第2のノードとを特定し、前記第1のノードと前記第2のノードとの間に位置する第3のノードを特定し、前記第1のノードまたは前記第2のノードと前記第3のノードとの関連度が所定の閾値よりも高いノードに対応する表示情報を前記対応表示情報として特定する、
請求項3に記載の医用情報表示装置。
【請求項7】
前記特定部は、前記グラフ構造において前記診療情報に対応する第1のノードを複数特定した場合、特定した複数の第1のノードそれぞれを含む部分グラフ構造と前記診療情報との関連度を算出し、関連度が最も高い部分グラフ構造において前記対応表示情報を特定する、
請求項3に記載の医用情報表示装置。
【請求項8】
前記特定部は、前記行動情報が変更された場合、変更後の行動情報に対応するノードを前記第2のノードとして特定し、当該特定した第2のノードを含む部分グラフ構造において前記診療情報に対応するノードを前記第1のノードとして特定し、前記第1のノードと前記第2のノードとの関連度が所定の閾値よりも高いノードに対応する表示情報を前記対応表示情報として特定する、
請求項5に記載の医用情報表示装置。
【請求項9】
前記特定部は、前記診療情報と前記行動情報とに基づいて、前記ユーザの次の行動を予測し、前記診療情報と、前記予測した行動とに基づいて、前記対応表示情報を特定する、
請求項1に記載の医用情報表示装置。
【請求項10】
前記特定部は、前記グラフ構造において、前記対応表示情報が含まれるノードより下位の階層に位置し、当該ノードと関連するノードに対応する表示情報を追加の前記対応表示情報として特定する、
請求項3に記載の医用情報表示装置。
【請求項11】
前記特定部は、前記グラフ構造において、前記対応表示情報が含まれるノードと同じ階層に位置し、当該ノードと関連するノードに対応する表示情報を追加の前記対応表示情報として特定する、
請求項3に記載の医用情報表示装置。
【請求項12】
診療データに関する情報の組み合わせごとに表示情報が対応付けられたデータベースを記憶し、
患者に関する診療情報と、ユーザに関する行動情報とを取得し、
前記データベースに基づいて、前記診療情報と前記行動情報とに対応した対応表示情報を、前記データベースに記憶された表示情報の中から特定し、
前記対応表示情報を表示させる、
ことを含む医用情報表示方法。
【請求項13】
診療データに関する情報の組み合わせごとに表示情報が対応付けられたデータベースを記憶し、
患者に関する診療情報と、ユーザに関する行動情報とを取得し、
前記データベースに基づいて、前記診療情報と前記行動情報とに対応した対応表示情報を、前記データベースに記憶された表示情報の中から特定し、
前記対応表示情報を表示させる、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報表示装置、医用情報表示方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院において、医師であるユーザは、複数の診療情報を参照することで、各診療情報から統合的に患者の状態を適切に判断して意思決定を行う。ここで、例えば、各診療情報を組み合わせてユーザが参照できるよう、ユーザが必要な情報を一画面上に表示するビューアが提案されている。しかし、画面上に表示される情報は、各診療情報の関係性を考慮したものではない可能性がある。このため、情報を羅列して表示するだけでは、ユーザが各診療情報を統合的に参照できず、ユーザが判断を行う際に大きな負荷がかかってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/102949号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、ユーザが素早く適切な判断を行うことである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る医用情報表示装置は、記憶部と、取得部と、特定部と、表示制御部とを備える。前記記憶部は、診療データに関する情報の組み合わせごとに表示情報が対応付けられたデータベースを記憶する。前記取得部は、患者に関する診療情報と、ユーザに関する行動情報とを取得する。前記特定部は、前記データベースに基づいて、前記診療情報と前記行動情報とに対応した対応表示情報を、前記データベースに記憶された表示情報の中から特定する。前記表示制御部は、前記対応表示情報を表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態に係る医用情報表示装置を含む医用情報表示システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る医用情報表示装置の構成の一例を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る医用情報表示装置による処理の手順を示すフローチャートである。
図4図4は、本実施形態におけるグラフ構造の生成の一例を説明するための図である。
図5図5は、本実施形態におけるグラフ構造の生成の一例を説明するための図である。
図6図6は、本実施形態におけるグラフ構造の生成の一例を説明するための図である。
図7図7は、本実施形態におけるグラフ構造の生成の一例を説明するための図である。
図8図8は、本実施形態におけるグラフ構造の生成の一例を説明するための図である。
図9図9は、本実施形態におけるグラフ構造の生成の一例を説明するための図である。
図10図10は、本実施形態におけるグラフ構造の生成の一例を説明するための図である。
図11図11は、本実施形態におけるグラフ構造の生成の一例を説明するための図である。
図12図12は、本実施形態における特定処理及び表示処理の一例を説明するための図である。
図13図13は、本実施形態における特定処理及び表示処理の一例を説明するための図である。
図14図14は、本実施形態における特定処理及び表示処理の一例を説明するための図である。
図15図15は、本実施形態における特定処理及び表示処理の一例を説明するための図である。
図16図16は、本実施形態における表示切り替えの一例を説明するための図である。
図17図17は、本実施形態における表示切り替えの一例を説明するための図である。
図18図18は、本実施形態における表示切り替えの一例を説明するための図である。
図19図19は、本実施形態の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、医用情報表示装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下、医用情報表示装置を含む医用情報表示システムを例に挙げて説明する。図1に示す医用情報表示システムにおいては、各装置が1台ずつ示されているが、実際にはさらに複数の装置を含むことができる。
【0008】
図1に示す医用情報表示システムは、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)と、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiology Information System)と、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication System)とを含むシステムである。医用情報表示システムは、HISサーバ10、RISサーバ20、医用画像診断装置30、PACSサーバ40、端末50、及び、医用情報表示装置100を備える。
【0009】
HISサーバ10、RISサーバ20、医用画像診断装置30、PACSサーバ40、端末50、及び、医用情報表示装置100は、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)に接続され、所定の装置へ情報を送信すると共に、所定の装置から送信される情報を受信する。なお、HISサーバ10は、院内LANに加え、外部のネットワークに接続してもよい。
【0010】
例えば、端末50は、患者の診療に関わるユーザにより用いられる。例えば、ユーザは、医師や看護師などの医療従事者である。例えば、端末50は、PC(Personal Computer)やタブレット式PC、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯端末等を含む。
【0011】
HISにおいて、図1に示すHISサーバ10は、病院内で発生する情報を管理する。病院内で発生する情報には、患者情報、及び検査オーダ情報等が含まれる。
【0012】
患者情報は、患者の基本情報と診療情報と検査実施情報とを含む。基本情報は、患者ID、氏名、生年月日、性別、血液型、身長、体重等を含む。患者IDには、患者を一意に識別する識別情報が設定される。患者の診療情報には、数値(計測値)や診療記録等の情報と、それらの記録日時を示す情報とが含まれる。例えば、患者の診療情報としては、医師による薬剤の処方や、看護師による看護記録や、検査部門に対する検査や、入院時の食事の手配等の情報が挙げられる。例えば、処方については、医師により電子カルテに記録され、看護記録については、看護師により電子カルテに記録される。検査実施情報には、過去に実施された検査及び当該検査による検査結果等の情報と、当該検査の実施日とを示す情報とが含まれる。
【0013】
検査オーダ情報は、検査実施情報を生成するために発行される。検査オーダ情報は、検査ID、患者ID、検査コード、診療科目、検査種類、検査部位、及び検査予定日時等等を含む。検査IDは、検査オーダ情報を一意に特定するための識別子である。検査コードは、検査を一意に特定するための識別子である。診療科目は、診療の専門分野区分を示すものである。検査種類は、医用画像を用いた検査を示す。例えば、検査種類には、X線検査、CT(Computed Tomography)検査、及びMRI(Magnetic Resonance Imaging)検査等が含まれる。検査部位には、脳、腎臓、肺、肝臓、及び骨等が含まれる。
【0014】
HISサーバ10は、例えば検査依頼医から検査オーダ情報が入力された場合、入力された検査オーダ情報と、当該検査オーダ情報により特定される患者情報とをRISに送信する。また、この場合、HISサーバ10は、当該患者情報をPACSに送信する。
【0015】
RISにおいて、図1に示すRISサーバ20は、放射線検査業務に係る情報を管理する。例えば、RISサーバ20は、HISサーバ10から送信される検査オーダ情報を受信し、受信した検査オーダ情報に各種設定情報を付加して集積し、集積した情報を検査予約情報として管理する。具体的には、RISサーバ20は、HISサーバ10から送信される患者情報及び検査オーダ情報を受信した場合、受信した患者情報及び検査オーダ情報に基づいて、医用画像診断装置30を動作させるために必要な検査予約情報を生成する。検査予約情報には、例えば、検査ID、患者ID、検査種類、及び、検査部位等の検査の実施に必要な情報が含まれる。RISサーバ20は、生成した検査予約情報を医用画像診断装置30に送信する。
【0016】
図1に示す医用画像診断装置30は、臨床検査技師が患者を撮影等することにより検査を実施する装置である。医用画像診断装置30としては、超音波診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT-CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET-CT装置などが挙げられる。なお、医用画像診断装置30は、モダリティ装置とも呼ばれる。
【0017】
医用画像診断装置30は、例えばRISサーバ20から送信される検査予約情報に基づいて検査を実施する。そして、医用画像診断装置30は、検査の実施を表す検査実施情報を生成し、RISサーバ20に送信する。この場合、RISサーバ20は、医用画像診断装置30から検査実施情報を受信し、受信した検査実施情報を最新の検査実施情報としてHISサーバ10に出力する。例えば、HISサーバ10は、最新の検査実施情報を受信し、受信した検査実施情報を管理する。検査実施情報には、検査予約情報(検査ID、患者ID、検査種類、検査部位等)、及び、検査の実施日時等が含まれる。
【0018】
また、医用画像診断装置30は、検査の実施において、臨床検査技師が被検体(患者)を撮影することにより、医用画像データを生成する。医用画像データは、例えばX線CT画像データ、X線画像データ、MRI画像データ、核医学画像データ、及び超音波画像データ等である。医用画像診断装置30は、生成した医用画像データを例えばDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格に準拠した形式に変換する。すなわち、医用画像診断装置30は、付帯情報としてDICOMタグが付加された医用画像データを生成する。医用画像診断装置30は、生成した医用画像データをPACSに送信する。
【0019】
付帯情報は、例えば、患者ID、検査ID、装置ID、画像シリーズID、撮影に関する条件等を含み、DICOM規格に従って規格化されている。装置IDは、医用画像診断装置30を識別するための情報である。画像シリーズIDは、医用画像診断装置30による1回の撮影を識別するための情報であり、例えば、撮影された被検体(患者)の部位、画像生成時刻、スライス厚、スライス位置等を含む。例えば、CT検査やMRI検査を行うことにより、複数のスライス位置の各々における断層画像が医用画像データとして得られる。
【0020】
PACSにおいて、図1に示すPACSサーバ40は、例えば、HISサーバ10から送信された患者情報を受信し、受信した患者情報を管理する。PACSサーバ40は、患者情報を管理するための記憶回路を備えている。PACSサーバ40は、例えば、医用画像診断装置30から送信された医用画像データを受信し、受信した医用画像データを患者情報に対応付けて、自身の記憶回路に格納する。PACSサーバ40は、例えば、医用情報表示装置100からの取得要求に応じた医用画像データを自身の記憶回路から読み出して、医用情報表示装置100に送信する。なお、PACSサーバ40に保存された医用画像データには、患者ID、検査ID、装置ID、画像シリーズID等の付帯情報が付加されている。このため、ユーザは、患者ID等を用いた検索を行うことで、必要な患者情報をPACSサーバ40から取得することができる。ユーザは、患者ID、検査ID、装置ID、画像シリーズID等を用いた検索を行うことで、必要な医用画像データをPACSサーバ40から取得することができる。
【0021】
図1に示す医用情報表示装置100は、患者の診療に関わる情報として、患者の診療情報や、医用画像データに基づく画像(医用画像)等を、端末50のディスプレイに表示させるためのワークステーションである。
【0022】
以下、本実施形態に係る医用情報表示装置100の詳細について説明する。図2は、本実施形態に係る医用情報表示装置100の構成の一例を示す図である。図2に示すように、医用情報表示装置100は、処理回路110、記憶回路120、通信インターフェース130を有する。
【0023】
記憶回路120は、処理回路110に接続されており、各種情報を記憶する。具体的には、記憶回路120は、各システムから受信した患者情報を記憶する。例えば、記憶回路120は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。ここで、記憶回路120は、記憶部の一例である。通信インターフェース130は、例えば、NIC(Network Interface Card)等であり、他の装置との間で通信を行う。
【0024】
処理回路110は、医用情報表示装置100の構成要素を制御する。例えば、処理回路110は、図2に示すように、取得機能111、特定機能112、表示制御機能113を実行する。ここで、例えば、処理回路110の構成要素である取得機能111、特定機能112、表示制御機能113が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路120に記録されている。処理回路110は、各プログラムを記憶回路120から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路110は、図2の処理回路110内に示された各機能を有することとなる。なお、取得機能111、特定機能112、表示制御機能113は、それぞれ、取得部、特定部、表示制御部の一例である。
【0025】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等の回路を意味する。また、「プロセッサ」という文言は、プログラマブル論理デバイス等の回路を意味する。プログラマブル論理デバイスとして、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)が挙げられる。また、プログラマブル論理デバイスとして、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))が挙げられる。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路120に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路120にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムが直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図2における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0026】
以上、本実施形態に係る医用情報表示装置100を含む医用情報表示システムの全体構成について説明した。このような構成のもと、本実施形態に係る医用情報表示装置100では、医師等の医療従事者であるユーザが素早く適切な判断を行うことができるように、以下の処理を行う。まず、本実施形態に係る医用情報表示装置100では、記憶回路120は、診療データに関する情報の組み合わせごとに表示情報が対応付けられたデータベースを記憶する。取得機能111は、患者に関する診療情報と、ユーザに関する行動情報とを取得する。特定機能112は、データベースに基づいて、診療情報と行動情報とに対応した対応表示情報を、データベースに記憶された表示情報の中から特定する。表示制御機能113は、対応表示情報を表示させる。
【0027】
ここで、対応表示情報の表示例としては、ユーザが患者の治療の経過を観察したいときは、変化が大きい検体検査を時系列に表示させる場合や、直近の検体検査を一覧表示させる場合などが挙げられる。あるいは、ユーザが治療方法を決定したいときは、患者の投与歴や治療歴を表示させる場合、患者の全身状態を表す画像や局所的な部位を表す画像を表示させる場合などが挙げられる。以下、いくつかの例を挙げて説明する。
【0028】
まず、本実施形態に係る医用情報表示装置100の処理について説明する。図3は、本実施形態に係る医用情報表示装置100による処理の手順を示すフローチャートである。
【0029】
図3のステップS101は、処理回路110が記憶回路120から取得機能111に対応するプログラムを呼び出して実行されるステップである。ステップS101の取得処理において、取得機能111は、患者に関する診療情報と、ユーザに関する行動情報とを取得する。例えば、取得機能111は、HISサーバ10から、患者の直近の診療情報と、ユーザの行動情報とを取得する。取得処理の詳細については後述する。
【0030】
図3のステップS102は、処理回路110が記憶回路120から特定機能112に対応するプログラムを呼び出して実行されるステップである。ステップS102の特定処理において、特定機能112は、診療データに関する情報の組み合わせごとに表示情報が対応付けられたデータベースに基づいて、ステップS101により取得された診療情報と行動情報とに対応した対応表示情報を、データベースに記憶された表示情報の中から特定する。特定処理の詳細については後述する。
【0031】
図3のステップS103は、処理回路110が記憶回路120から表示制御機能113に対応するプログラムを呼び出して実行されるステップである。ステップS103の表示処理において、表示制御機能113は、ステップS102により特定された対応表示情報を、ユーザが使用する端末50のディスプレイに表示させる。表示処理の詳細については後述する。
【0032】
ここで、上述のデータベースは、予め生成され、記憶回路120に記憶される。例えば、データベースは、診療データに関する情報と表示情報とに対応する複数のノードを有するグラフ構造である。図4図11は、本実施形態におけるグラフ構造の生成の一例を説明するための図である。
【0033】
グラフ構造のノードは、表示形態から、診療情報の種類と表示方法とを組み合わせることによって抽出される。例えば、1つの表示形態から複数のノードが抽出されてもよい。具体的には、着目する情報の粒度、表示方法のカテゴリ、あるいは、それらの組み合わせによって、複数のノードが抽出される。例えば、図4に示すように、ユーザの行動情報として、ユーザが患者の検体検査を参照しているとする。この場合、例えば、表示されている検体検査から、患者の診療情報の種類として、検体検査の項目「Ca(カルシウム)」、「LDH(lactate dehydrogenase)」、「CaとLDH」などの項目と、検体検査の数値的特徴「変化の大きい検体検査」、「基準値外の検体検査」、「変化がない検体検査」などの特徴とが抽出される。また、表示方法として、例えば、時系列の表示方法「時系列表示(表)」、「時系列表示(グラフ)」、「期間内の平均値」、「期間内の最小値」などの表示方法が抽出される。そこで、例えば、検体検査の項目「CaとLDH」と時系列の表示方法「時系列表示(グラフ)」との組み合わせによって、検体検査の項目「CaとLDH」のグラフを時系列で表示させるためのノードが抽出される。また、例えば、検体検査の数値的特徴「変化の大きい検体検査」と時系列の表示方法「時系列表示(グラフ)」との組み合わせによって、変化の大きい検体検査のグラフを時系列で表示させるためのノードが抽出される。なお、患者の診療情報、ユーザの行動情報、表示方法は、診療データに関する情報の一例である。
【0034】
ここで、診療情報の種類のバリエーションとして、医療オントロジー等を活用して、診療情報の臨床的な上下関係から、異なる粒度で、ノードを抽出してもよい。例えば、図5に示すように、検体検査から、患者の診療情報の種類として、検体検査の項目「Ca」、「LDH」、「CaとLDH」などの項目と、検体検査の数値的特徴「変化の大きい検体検査」、「基準値外の検体検査」、「変化がない検体検査」などの特徴とが抽出される。更に、患者の診療情報の種類として、検体検査の項目の上位タイプ「血液検査」、「尿検査」、「腫瘍マーカ」、「骨転移関連指標」などのタイプと、検体検査の関連疾患「肺がん」、「乳がん」、「骨転移」などの疾患とが抽出される。この場合、例えば、検体検査の項目「CaとLDH」と検体検査の項目の上位タイプ「血液検査」と検体検査の関連疾患「骨転移」と表示方法との組み合わせによって、ノードが抽出される。また、臨床的分類だけではなく、例えば検査結果などの数値的な特徴、「新着」、「検査中」、「疑い」、「確定」といった診療情報のステータス的な情報、緊急度や重要度を組み合わせることによって、ノードを抽出してもよい。
【0035】
また、表示方法のバリエーションとして、例えば、図6に示すように、表示方法「時系列表示」、「一覧表示」、「サマリ表示」などが挙げられる。時系列の表示方法として、上述のように、「時系列表示(表)」、「時系列表示(グラフ)」、「期間内の平均値」、「期間内の最小値」などが挙げられる。また、領域の表示方法として、「全身状態」、「部位別の状態」、「プロブレム別の状態」などが挙げられる。更に、表示方法のバリエーションとして、表示期間「直近」、「入院期間中」、「既往歴」などに限定してもよい。また、表示方法のバリエーションとして、表示する複数の情報の配置を「横に配列」、「縦に配列」、「サムネイル表示」などに指定してもよい。
【0036】
また、グラフ構造の生成として、各ノードをグルーピングやラベル付けしてもよい。例えば、複数のノードが同等の意味合いを持つ場合、それらをグルーピングして、1つのノードとしてまとめてもよい。その際に、ノードに共通した上位概念でラベル付けをしてもよい。例えば、図7に示すように、上位概念のノードが「腫瘍マーカの変化の確認」であり、その下位概念のノードが「乳がん腫瘍マーカの変化の確認」、「骨転移腫瘍マーカの変化の確認」であり、更に、それらの下位概念のノードが「CEA(carcinoembryonic antigen)の時系列グラフ表示」である。また、上位概念のノードが「腫瘍マーカの変化の確認」であり、その下位概念のノードが「骨転移腫瘍マーカの変化の確認」、「前立腺がん腫瘍マーカの変化の確認」であり、更に、それらの下位概念のノードが「PSA(prostate specific antigen)の時系列グラフ表示」である。なお、ガイドラインや臨床オントロジーを活用してラベル付けしてもよいし、ラベル付けは、臨床的な状態や行動と結び付けたラベルでもよい。また、各ノードは複数のグループに分類される場合がある。
【0037】
また、グラフ構造の生成として、過去に医師が参照した表示形態(表示形態の参照歴)から、統計的にノードの絞り込みを行ってもよい。例えば、医師(ユーザ)毎、患者毎、疾患毎、診療科毎、診療フェーズ毎(診断フェーズ、化学療法フェーズ、経過観察フェーズ)などのユーザの表示形態の参照歴から、重要なノードだけが抽出される。ここで、参照の頻度や、TF-IDF(term frequency-inverse document frequency)などの指標を活用してもよく、自然言語処理における共起関係や、教師なし学習によるクラスタリング手法を活用してもよい。また、ガイドラインや論文情報から、臨床的に重要な意思決定に必要なノードを抽出してもよい。例えば、緊急度などを考慮して、ガイドラインや論文情報から、ノードが抽出される。
【0038】
また、グラフ構造の生成において、ノード間のエッジの強さを抽出してもよい。例えば、エッジの強さ(重み)は、関連度に相当し、当該関連度は、同時に参照される確率と同等である。例えば、図8に示すように、患者の診療情報としてノード「痛みの変化」が抽出され、ユーザが患者に対する薬剤の投与歴を参照することにより、ユーザの行動情報としてノード「抗がん剤の治療実施状況」が抽出され、これらの組み合わせにより、ノード「検体検査の変化」が抽出される。図8に示す例では、ノード「痛みの変化」とノード「抗がん剤の治療実施状況」とのエッジの強さは「0.3」であり、ノード「痛みの変化」とノード「検体検査の変化」とのエッジの強さは「0.6」であり、ノード「抗がん剤の治療実施状況」とノード「検体検査の変化」とのエッジの強さは「0.3」である。
【0039】
ここで、エッジの強さの例として、有向グラフにして、参照の順序関係を表してもよいし、ノード間の関係性からエッジのタイプを定義してもよい。エッジのタイプとしては、is-a関係、因果、相関、副作用、症状、治療方法、上位、下位などが挙げられる。また、医師などの医療従事者が、同時に参照したいノードの組み合わせを、手動で決定してもよいし、ガイドラインや既存のオントロジーからルールベースで生成してもよい。ルールベースで生成する場合、ガイドラインの章立てやクリニカルクエスチョンごとに、関連するノードをまとめてもよいし、臨床オントロジーは多種のエッジ(疾患名、薬剤、症状など)を持つため、オントロジー上で関係が近いノードの組み合わせを抽出してもよい。また、表示形態の参照歴から共起関係など統計的手法やクラスタリングなど機械学習を活用してもよい。
【0040】
また、グラフ構造の生成において、グラフ(部分グラフ)を臨床的な上位概念でラベル付けしてもよい。例えば、関連度の高いエッジ群を部分グラフとして抽出する。ここで、部分グラフを、手動でラベル付けしてもよいし、部分グラフの参照頻度の高い臨床シーンに紐づけてラベル付けするなど、ルールベースでラベル付けしてもよい。例えば、部分グラフのラベル付けとして、図9におけるグラフ構造「時系列に着目したグラフ」では、患者の診療情報から抽出されたノード「痛みの変化」と、ユーザの行動情報から抽出されたノード「抗がん剤の治療実施状況」と、これらの組み合わせにより抽出されたノード「検体検査の変化」とに対して、ユーザの意思決定として、ラベル「治療のモニタリング」が付与されている。また、部分グラフのラベル付けとして、図9におけるグラフ構造「局所に着目したグラフ」では、患者の診療情報から抽出されたノード「痛みの検査」と、ユーザの行動情報から抽出されたノード「検査適用可否」と、これらの組み合わせにより抽出されたノード「検査に必要なプロファイル情報」とに対して、ユーザの意思決定として、ラベル「検査の実施」が付与されている。なお、ユーザの意思決定は、診療データに関する情報の一例である。
【0041】
また、グラフ構造は、手動で生成されてもよいし、表示形態の参照歴から統計処理あるいは機械学習を用いることによって自動的に生成されてもよいし、手動と統計処理や機械学習などの組み合わせにより生成されてもよい。また、組み合わせのパターンからノードおよび隣接ノードを決定してもよい。機械学習を用いる場合、Graph Neural Networkを用いることによって自動的にグラフ構造を生成してもよいし、Attentionモデルを用いることによって臨床的な文脈情報から診療データおよび行動情報のコンテキストな関係を抽出してグラフ構造を生成してもよい。例えば、がん治療における診療パターンから、診断から治療、治療からフォローアップなど、臨床的フェーズやシーンに応じて、コンテキストな関係を抽出することによって、グラフ構造が生成される。
【0042】
機械学習を用いる場合、表示形態の参照履歴を学習データとして使用し、表示形態を入力としてもよいし、図10に示すように、Attentionモデルを活用した教師なし学習により特徴抽出を行ってもよい。図10に示す例では、表示形態を入力とすることで、診療情報の種類だけではなく、表示方法も組み合わせた特徴抽出が可能になる。
【0043】
教師なし学習を用いる場合、グラフの最適化を行ってもよい。例えば、教師なし学習を用いる場合、ベテラン医師の表示形態の参照履歴のデータによって学習してもよいし、多職種の表示形態の参照履歴のデータで学習することによって、その違いを抽出してもよい。また、予後予測などを用いて、患者の治療に最適な情報の見せ方を提供してもよい。具体的には、教師なし学習ではなく、患者の予後を教師データとして学習する。図11に示す例では、ユーザが、当該ユーザの行動情報として、患者の検体検査などを参照して、その後、スコアなどを参照し、そして、治療歴などを参照した場合、予後が良かった割合が65%であったことを表している。
【0044】
なお、グラフの構成として、グラフは1つでも複数でもよい。この場合、上位レベル、下位レベルでグラフを分けてもよい。また、アプリケーションの設計に応じて、画面毎にグラフを用意してもよい。例えば、画面毎のグラフとしては、患者選択画面用のグラフ、患者画面(患者毎の診療情報の表示)用のグラフなどが挙げられる。
【0045】
次に、取得機能111の処理(取得処理)について説明する。例えば、取得機能111は、HISサーバ10から、患者に関する診療情報と、ユーザに関する行動情報とを取得する。ユーザの行動情報は、例えば、ユーザが現在参照している情報(参照情報)を含み、当該情報としては、患者の投与歴や治療歴、患者への検体検査、患者の全身や局所的な部位を表す画像などが挙げられる。また、ユーザの行動情報は、例えば、患者に対する診療行為や検査オーダなどを含む。また、ユーザの行動情報は、例えば、アプリケーションの利用(解析アプリケーションの起動など)を含む。
【0046】
次に、特定機能112の処理(特定処理)、及び、表示制御機能113の処理(表示処理)について説明する。上述のように、データベースは、診療データに関する情報(患者の診療情報、ユーザの行動情報、表示方法、ユーザの意思決定など)の組み合わせと表示情報とに対応する複数のノードを有するグラフ構造である。そこで、特定機能112は、データベースに基づいて、取得機能111により取得された診療情報と行動情報とに対して、ユーザの意思決定に互いに関連する対応表示情報を、データベースに記憶された表示情報の中から特定する。表示制御機能113は、特定機能112により特定された対応表示情報を、ユーザが使用する端末50のディスプレイに表示させる。図12図15は、本実施形態における特定処理及び表示処理の一例を説明するための図である。
【0047】
例えば、特定機能112は、患者の診療情報、ユーザの行動情報、ユーザの意思決定などのノードを結び付けて、対応表示情報を特定する。また、例えば、特定機能112は、ノードが持つ診療情報の種類と表示方法が、診療情報や行動情報と一致するか判定する。ここで、各ノードに対する診療情報や行動情報との該当数や、臨床的な緊急度や重要度によって、一致度のグレードをつけてもよい。例えば、図12に示すように、特定機能112は、患者の診療情報から抽出された「痛みの悪化」に対応するノードが、「痛みの悪化」との一致度が「0.6」であるノード「痛みの変化」であると特定する。また、特定機能112は、ユーザの行動情報である「薬剤の投与歴」の参照に対応するノードが、「薬剤の投与歴」との一致度が「0.8」であるノード「抗がん剤の治療実施状況」であると特定する。ここで、図12では、ノード「痛みの変化」とノード「抗がん剤の治療実施状況」との双方に隣接するノードが「検体検査の変化」であり、これら3つのノードに、ユーザの意思決定として、ラベル「治療のモニタリング」が付与されていることが示されている。
【0048】
そして、特定機能112は、ノード「痛みの変化」とノード「抗がん剤の治療実施状況」との周辺ノードから、ノード「痛みの変化」とノード「抗がん剤の治療実施状況」との関連度が所定の閾値よりも高いノードを特定する。周辺ノードの関連度は、当該周辺ノードに隣接する全隣接ノードにおいて、隣接ノードの一致度とエッジの重みとを乗算し、全隣接ノードの乗算結果の合計値を算出することにより、求めることができる。図13に示す例では、ノード「痛みの変化」とノード「抗がん剤の治療実施状況」とのエッジの強さ(重み)は「0.3」であり、ノード「痛みの変化」とノード「検体検査の変化」とのエッジの強さは「0.6」であり、ノード「抗がん剤の治療実施状況」とノード「検体検査の変化」とのエッジの強さは「0.3」である。
【0049】
図13に示す例では、特定機能112は、ノード「検体検査の変化」の関連度を、0.6×0.6+0.8×0.3=0.6と算出する。そして、特定機能112は、ノード「検体検査の変化」の関連度「0.6」が所定の閾値よりも高いことから、ノード「検体検査の変化」に対応する表示情報を対応表示情報として特定する。ここで、図13におけるノード「痛みの変化」、「抗がん剤の治療実施状況」、「検体検査の変化」は、それぞれ、第1のノード、第2のノード、第1のノードと第2のノードとの関連度が所定の閾値よりも高いノードの一例である。なお、特定されるノードは、上位から優先して特定されるように、個数で制限してもよい。
【0050】
このように、特定機能112は、グラフ構造において、診療情報に対応する第1のノードと、行動情報に対応する第2のノードとを特定し、第1のノードと第2のノードとの関連度が所定の閾値よりも高いノードに対応する表示情報を対応表示情報として特定する。そして、表示制御機能113は、特定機能112により特定された対応表示情報を、ユーザが使用する端末50のディスプレイに表示させる。
【0051】
また、特定機能112が関連度を算出する周辺ノードは、第1ノードと第2ノードとに隣接するノードに限定するものではない。例えば、以下のように関連度を伝搬させることで、第1ノードとは隣接していないノードも含めて、対応表示情報が含まれるノードを探索してもよい。
【0052】
即ち、特定機能112は、グラフ構造において、診療情報に対応する第1のノードと、行動情報に対応する第2のノードとを特定し、第1のノードと第2のノードとの間に位置する第3のノードを特定し、第1のノードまたは第2のノードと第3のノードとの関連度が所定の閾値よりも高いノードに対応する表示情報を対応表示情報として特定する。
【0053】
具体的には、特定機能112は、図14に示すように、患者の診療情報「痛みの悪化」との一致度が「0.6」である第1のノード「痛みの変化」と、ユーザが患者のこれまでの治療歴の一覧を参照したという行動情報との一致度が「0.8」である第2のノード「これまでの治療歴」を特定する。そして、特定機能112は、第1のノード「痛みの変化」と第2のノード「これまでの治療歴」との間に位置する第3のノード「痛みの緩和」を特定する。
【0054】
ここで、図14に示すように、第3のノード「痛みの緩和」は、第1のノード「痛みの変化」とのエッジの強さが「0.7」であり、第2のノード「痛みの変化」とのエッジの強さが「0.3」である。このことから、特定機能112は、第1のノード「痛みの変化」との関連性が高い第3のノード「痛みの緩和」と第2のノード「これまでの治療歴」との関連度が所定の閾値よりも高いノードを特定する。
【0055】
例えば、第3のノード「痛みの緩和」と第2のノード「痛みの変化」との双方に隣接するノード「検体検査の変化」の関連度は、ノード「検体検査の変化」と第3のノード「痛みの緩和」との関連度と、ノード「検体検査の変化」と第2のノード「痛みの変化」との関連度との和として算出される。なお、図14では、これら3つのノードにラベル「治療方法の判断」が付与されていることが示されている。
【0056】
ここで、ノード「検体検査の変化」と第3のノード「痛みの緩和」との関連度は、『「痛みの悪化」と第1のノード「痛みの変化」との一致度0.6』と『第1のノード「痛みの変化」と第3のノード「痛みの緩和」とのエッジの強さ0.7』と『第3のノード「痛みの緩和」とノード「検体検査の変化」のエッジの強さ0.5』とを乗算した「0.21」となる。
【0057】
また、ノード「検体検査の変化」と第2のノード「これまでの治療歴」との関連度は、『「痛みの悪化」と第1のノード「痛みの変化」との一致度0.6』と『第1のノード「痛みの変化」と第3のノード「痛みの緩和」とのエッジの強さ0.7』と『第3のノード「痛みの緩和」と第2のノード「これまでの治療歴」とのエッジの強さ0.3』とを乗算した値と、『治療歴の一覧という行動情報と第2のノード「痛みの変化」との一致度0.8』との和に、『第2のノード「これまでの治療歴」とノード「検体検査の変化」のエッジの強さ0.3』を乗算した「0.1852≒0.19」となる。
【0058】
これにより、ノード「検体検査の変化」の関連度は、「0.4」となり、「0.4」が所定の閾値よりも高いことから、特定機能112は、ノード「検体検査の変化」に対応する表示情報を対応表示情報として特定する。そして、表示制御機能113は、特定機能112により特定された対応表示情報を、ユーザが使用する端末50のディスプレイに表示させる。
【0059】
また、特定機能112は、各部分木で関連度を総評して、関連度の高い部分木のノードを抽出してもよい。例えば、特定機能112は、グラフ構造において診療情報に対応する第1のノードを複数特定した場合、特定した複数の第1のノードそれぞれを含む部分グラフ構造(部分木)と、診療情報との類似度を算出する。そして、特定機能112は、関連度が最も高い部分グラフ構造において、対応表示情報を特定する。例えば、図15において、特定機能112は、グラフ構造において診療情報に対応する複数の第1のノード「痛みの変化」、「痛みの緩和」を特定する。
【0060】
特定機能112は、第1のノード「痛みの変化」と、第1のノード「痛みの変化」と隣接するノード「抗がん剤の治療実施状況」およびノード「検体検査の変化」とを、関連度を算出する部分木として特定する。なお、当該部分木には、ラベル「治療のモニタリング」が付与されており、この部分木での表示形態は、「時系列に着目したグラフ」である。また、ノード「抗がん剤の治療実施状況」は、医師の行動情報(参照情報)である「薬剤の投与歴」に対応する第2のノードでもある。
【0061】
ここで、図15に示すように、ノード「痛みの変化」、「抗がん剤の治療実施状況」、「検体検査の変化」の関連度が、それぞれ「0.5」、「0.3」、「0.2」であることから、図15の上側の部分木の関連度は、これらの総和である「1」として算出される。
【0062】
また、特定機能112は、第1のノード「痛みの緩和」と、第1のノード「痛みの緩和」と隣接するノード「これまでの治療歴」およびノード「検体検査による全身状態の評価」とを、関連度を算出する部分木として特定する。なお、当該部分木には、ラベル「治療のモニタリング」が付与されており、この部分木での表示形態は、「現在の状態に着目したグラフ」である。
【0063】
ここで、図15に示すように、ノード「痛みの緩和」、「これまでの治療歴」、「検体検査による全身状態の評価」の関連度が、それぞれ、「0.3」、「0.1」、「0.1」であることから、図15の下側の部分木の関連度は、これらの総和である「0.5」として算出される。
【0064】
これにより、特定機能112は、図15の上側の部分木において、対応表示情報を特定する。図15に示す一例では、第1のノード「痛みの変化」と、第2のノード「薬剤の投与歴」とに隣接するノード「検体検査の変化」の表示情報を、対応表示情報として特定する。そして、表示制御機能113は、特定機能112により特定された対応表示情報を、ユーザが使用する端末50のディスプレイに表示させる。
【0065】
図16図18は、本実施形態における表示切り替えの一例を説明するための図である。例えば、特定機能112は、行動情報が変更された場合、変更後の行動情報に対応するノードを第2のノードとして特定し、当該特定した第2のノードを含む部分グラフ構造において診療情報に対応するノードを第1のノードとして特定し、第1のノードと第2のノードとの関連度が所定の閾値よりも高いノードに対応する表示情報を対応表示情報として特定する。
【0066】
図16は、ユーザが参照する情報に応じて表示を切り替える例であって、例えば、グラフ構造「時系列に着目したグラフ」から対応表示情報を表示させる場合、又は、グラフ構造「現在の状態に着目したグラフ」から対応表示情報を表示させる場合を示している。
【0067】
まず、図16に示すように、例えば、特定機能112は、患者の診療情報「痛みの悪化」に対応するノードを第1のノード「痛みの変化」として特定する。また、特定機能112は、ユーザの行動情報「薬剤の投与歴」に対応するノードを第2のノード「抗がん剤の治療実施状況」として特定する。ここで、図16の上側では、第1のノード「痛みの変化」と第2のノード「抗がん剤の治療実施状況」との双方に隣接するノードが「検体検査の変化」であり、これら3つのノードに、ユーザの意思決定として、ラベル「治療のモニタリング」が付与されており、この部分木での表示形態は、「現在の状態に着目したグラフ」であることが示されている。ここで、特定機能112は、第1のノード「痛みの変化」と第2のノード「抗がん剤の治療実施状況」との関連度が所定の閾値よりも高いノード「検体検査の変化」に対応する表示情報を対応表示情報として特定する。この場合、表示制御機能113は、特定機能112により特定された対応表示情報として、変化の大きい検体検査のグラフを時系列で表示させる。
【0068】
次に、図16に示すように、ユーザが患者の治療歴の一覧を参照した場合、即ち、行動情報が変更された場合、特定機能112は、変更後の行動情報「これまでの治療歴の一覧」に対応するノードを第2のノード「これまでの治療歴」として特定し、当該特定した第2のノード「これまでの治療歴」を含む部分グラフ構造において診療情報「痛みの悪化」に対応するノードを第1のノード「痛みの緩和」として特定する。ここで、図16の下側では、第1のノード「痛みの緩和」と第2のノード「これまでの治療歴」との双方に隣接するノードが「検体検査による全身状態の評価」であり、これら3つのノードに、ユーザの意思決定として、ラベル「治療方法の判断」が付与されており、この部分木での表示形態は、「時系列に着目したグラフ」であることが示されている。ここで、特定機能112は、第1のノード「痛みの緩和」と第2のノード「これまでの治療歴」との関連度が所定の閾値よりも高いノード「検体検査による全身状態の評価」に対応する表示情報を対応表示情報として特定する。この場合、表示制御機能113は、特定機能112により特定された対応表示情報として、直近の検体検査を一覧表示させる。
【0069】
図17は、ユーザが参照する情報に応じて表示を切り替える他の例であって、例えば、全身状態に着目したグラフ構造から対応表示情報を表示させる場合、又は、局所に着目したグラフ構造から対応表示情報を表示させる場合を示している。
【0070】
まず、図17に示すように、例えば、特定機能112は、患者の診療情報「痛みの悪化」に対応するノードを第1のノード「痛みの評価」として特定する。また、特定機能112は、ユーザの行動情報「リスク評価(全身)」に対応するノードを第2のノード「SRE(skeletal related event)リスク評価」として特定する。ここで、図17の上側では、第1のノード「痛みの評価」と第2のノード「SREリスク評価」との双方に隣接するノードが「全身への転移」であり、これら3つのノードに、ユーザの意思決定として、ラベル「潜在的リスク評価」が付与されており、この部分木での表示形態は、「全身状態に着目したグラフ」であることが示されている。ここで、特定機能112は、第1のノード「痛みの評価」と第2のノード「SREリスク評価」との関連度が所定の閾値よりも高いノード「全身への転移」に対応する表示情報を対応表示情報として特定する。この場合、表示制御機能113は、特定機能112により特定された対応表示情報として、患者の全身状態を表す画像(例えば、全身の骨シンチグラフィの画像、全身のPET-CT画像)を表示させる。
【0071】
次に、図17に示すように、ユーザが患者の治療歴の一覧を参照した場合、即ち、行動情報が変更された場合、特定機能112は、変更後の行動情報「部位ごとの症状」に対応するノードを第2のノード「症状のある部位の確認」として特定し、当該特定した第2のノード「症状のある部位の確認」を含む部分グラフ構造において診療情報「痛みの悪化」に対応するノードを第1のノード「痛みの評価」として特定する。ここで、図17の下側では、第1のノード「痛みの評価」と第2のノード「症状のある部位の確認」との双方に隣接するノードが「部位ごとの腫瘍占拠率」であり、これら3つのノードに、ユーザの意思決定として、ラベル「局所的リスク評価」が付与されており、この部分木での表示形態は、「局所に着目したグラフ」であることが示されている。ここで、特定機能112は、第1のノード「痛みの評価」と第2のノード「症状のある部位の確認」との関連度が所定の閾値よりも高いノード「部位ごとの腫瘍占拠率」に対応する表示情報を対応表示情報として特定する。この場合、表示制御機能113は、特定機能112により特定された対応表示情報として、患者の局所的な部位を表す画像(例えば、脊椎T1のCT断面画像、脊椎T2のCT断面画像)を表示させる。
【0072】
図18は、ユーザが参照する情報に応じて表示を切り替える他の例であって、例えば、検索した情報のタイプにより、結果の表示形式を変える場合を示している。
【0073】
まず、図18に示すように、例えば、特定機能112は、患者の診療情報「痛みの悪化」に対応するノードを第1のノード「痛みの変化」として特定する。また、特定機能112は、ユーザが検索ワード「疼痛」に関する情報を参照したときのユーザの行動情報に対応するノードを第2のノード「過去の症状の確認」として特定する。ここで、図18の上側では、第1のノード「痛みの変化」と第2のノード「過去の症状の確認」との双方に隣接するノードが「症状の変化を俯瞰」であり、これら3つのノードに、ユーザの意思決定として、ラベル「症状の把握」が付与されており、この部分木での表示形態は、「全身状態に着目したグラフ」であることが示されている。ここで、特定機能112は、第1のノード「痛みの変化」と第2のノード「過去の症状の確認」との関連度が所定の閾値よりも高いノード「症状の変化を俯瞰」に対応する表示情報を対応表示情報として特定する。この場合、表示制御機能113は、特定機能112により特定された対応表示情報として、痛みの時系列変化を表す情報を表示させる。
【0074】
次に、図18に示すように、ユーザが患者の治療歴の一覧を参照した場合、即ち、行動情報が変更された場合、特定機能112は、変更後の行動情報として、ユーザが検索ワード「アレルギー」に関する情報を参照したときのユーザの行動情報に対応するノードを第2のノード「検査適用可否」として特定し、当該特定した第2のノード「検査適用可否」を含む部分グラフ構造において診療情報「痛みの悪化」に対応するノードを第1のノード「痛みの検査」として特定する。ここで、図18の下側では、第1のノード「痛みの検査」と第2のノード「検査適用可否」との双方に隣接するノードが「検査に必要なプロファイル情報」であり、これら3つのノードに、ユーザの意思決定として、ラベル「検査の実施」が付与されており、この部分木での表示形態は、「局所に着目したグラフ」であることが示されている。ここで、特定機能112は、第1のノード「痛みの検査」と第2のノード「検査適用可否」との関連度が所定の閾値よりも高いノード「検査に必要なプロファイル情報」に対応する表示情報を対応表示情報として特定する。この場合、表示制御機能113は、特定機能112により特定された対応表示情報として、患者のプロファイルを表す情報を表示させる。
【0075】
以上の説明により、本実施形態に係る医用情報表示装置100では、取得機能111は、患者に関する診療情報と、ユーザに関する行動情報とを取得する。特定機能112は、診療データに関する情報の組み合わせごとに表示情報が対応付けられたデータベースに基づいて、患者の診療情報とユーザの行動情報とに対応した対応表示情報を、データベースに記憶された表示情報の中から特定する。表示制御機能113は、対応表示情報を、ユーザが使用する端末50のディスプレイに表示させる。このように、本実施形態に係る医用情報表示装置100では、患者の診療情報とユーザの行動情報とに対応した対応表示情報をユーザに提示する。このため、本実施形態に係る医用情報表示装置100によれば、ユーザは、対応表示情報を参照することで、素早く適切な判断を行うことができる。
【0076】
なお、本実施形態に係る医用情報表示装置100では、特定機能112は、患者の直近の診療情報と、ユーザの行動情報としてユーザが参照している情報とを組み合わせて、ユーザに提示するための対応表示情報を特定しているが、これに限定されない。例えば、本実施形態に係る医用情報表示装置100では、取得機能111は、ユーザの行動情報としてユーザが参照している情報を基に、行動情報に関連する診療情報を取得してもよい。例えば、取得機能111は、患者の複数の診療情報の中から、行動情報に関連する診療情報を検索する。そして、特定機能112は、取得した診療情報と、ユーザの行動情報とを組み合わせて、ユーザに提示するための対応表示情報を特定する。この場合においても、本実施形態に係る医用情報表示装置100では、患者の診療情報とユーザの行動情報とに対応した対応表示情報をユーザに提示する。このため、本実施形態に係る医用情報表示装置100によれば、ユーザは、対応表示情報を参照することで、素早く適切な判断を行うことができる。
【0077】
また、本実施形態では、グラフ構造が機械学習で学習したモデルである場合、特定機能112は、取得機能111により取得された診療情報と行動情報とをモデルに入力したときの推論結果から、関連度の高いノードを抽出してもよい。
【0078】
また、本実施形態では、患者の状態に応じて、複数の表示情報の組み合わせを提案してもよい。例えば、手術の際に患者に麻酔が使用される場合がある。この場合、データベースとして、診療データに関する情報(患者の診療情報、ユーザの行動情報、表示方法、ユーザの意思決定など)の組み合わせと表示情報と共に、手術の際に患者に麻酔が使用される情報として緊急処置情報を対応付けるグラフ構造を生成しておく。そこで、患者の状態として、当該患者に麻酔が使用される場合、取得機能111が、HISサーバ10から、患者の診療情報とユーザの行動情報とを取得すると共に緊急処置情報を取得し、特定機能112は、データベースに基づいて、取得機能111により取得された診療情報と行動情報と緊急処置情報とに対応した表示情報の候補を特定する。表示制御機能113は、特定機能112により特定された対応表示情報の候補を表示させる。
【0079】
(その他の実施形態)
これまで実施形態について説明したが、上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0080】
(第1の変形例)
上述した実施形態では、特定機能112は、データベースに基づいて、取得機能111により取得された診療情報と行動情報とに対応した対応表示情報を、データベースに記憶された表示情報の中からする。即ち、特定機能112は、ユーザの行動を基に対応表示情報を特定している。しかし、外来診療でユーザの時間がない場合や、ユーザが緊急処置を行う必要が場合、単にユーザの行動を基に表示情報を決定するのは、診療行為の遅延に繋がる可能性がある。
【0081】
そこで、特定機能112は、取得機能111により取得された診療情報と行動情報とに基づいて、ユーザの次の行動を予測し、診療情報と、予測した行動とに基づいて、対応表示情報を特定する。ここで、ユーザの次の行動の予測は、例えば、ルールベースや機械学習などを活用することによって行われる。例えば、データベースのグラフ構造がルールベースを基に機械学習で学習したモデルである場合、特定機能112は、取得機能111により取得された診療情報と行動情報とをモデルに入力したときの推論結果から、ユーザの次の行動を行動情報として予測し、診療情報と、予測した行動情報とに対応した対応表示情報を特定する。表示制御機能113は、特定機能112により特定された対応表示情報を、ユーザが使用する端末50のディスプレイに表示させる。
【0082】
このように、本実施形態に係る医用情報表示装置100では、ユーザの次の行動を予測することにより、患者の診療情報とユーザの次の行動情報とに対応した対応表示情報をユーザに提示する。このため、本実施形態に係る医用情報表示装置100によれば、ユーザは、対応表示情報を参照することで、素早く適切な判断を行うことができる。
【0083】
(第2の変形例)
ユーザが情報を参照する際、例えば、階層的に情報を参照する場合や、同じ粒度の情報を参照する場合がある。ユーザが階層的に情報を参照する場合、例えば、ユーザは、全体像を把握するために俯瞰的な情報やサマリ情報を参照してから、詳細な情報を参照する。具体的には、ユーザは、患者の全身の画像を参照し、次に、全身の画像から症状に変化のある部位を選択して、各部位の詳細な画像を参照する。ユーザが同じ粒度の情報を参照する場合、例えば、ユーザは、各情報を比較するために同じ粒度の診療情報を並べて参照する。具体的には、ユーザは、特定の部位の症状を比較するために当該部位に関する診療情報を並べて参照する。
【0084】
そこで、記憶回路120は、データベース(グラフ構造)を階層的に記憶し、特定機能112は、ユーザが参照した表示情報に基づいて、ノード間の階層性を判断する。ここで、ノード間の階層性の判断は、ガイドライン、既存のオントロジーや機械学習などを活用することによって行われる。例えば、データベースのグラフ構造がガイドラインや既存のオントロジーを基に機械学習で学習したモデルである場合、特定機能112は、表示制御機能113により表示された表示情報をモデルに入力したときの推論結果から、次に表示させる対応表示情報を特定する。図19は、本実施形態の変形例を説明するための図である。
【0085】
例えば、特定機能112は、グラフ構造において、対応表示情報が含まれるノードより下位の階層に位置し、当該ノードと関連するノードに対応する表示情報を追加の対応表示情報として特定する。例えば、図19において、ユーザが、「リスクの高い部位の一覧」の対応表示情報を参照した後に、当該対応表示情報よりも下位の階層に位置する「部位A」の表示情報を参照したとする。即ち、ユーザが階層的に情報を参照したとする。この場合、特定機能112は、「部位A」の表示情報よりも下位の階層に位置する「△年△月放射線治療計画」の表示情報を追加の対応表示情報として特定する。表示制御機能113は、特定機能112により特定された対応表示情報を、ユーザが使用する端末50のディスプレイに表示させる。
【0086】
また、例えば、特定機能112は、グラフ構造において、対応表示情報が含まれるノードと同じ階層に位置し、当該ノードと関連するノードに対応する表示情報を追加の対応表示情報として特定する。例えば、図19において、ユーザが、「リスクの高い部位の一覧」の対応表示情報を参照した後に、当該対応表示情報よりも下位の階層に位置する「部位A」の表示情報及び「部位B」の表示情報を参照したとする。即ち、ユーザが同じ粒度の情報を参照したとする。この場合、特定機能112は、「部位A」の表示情報よりも下位の階層に位置する「△年△月放射線治療計画」の表示情報と、「部位B」の表示情報よりも下位の階層に位置する「△年△月放射線治療計画」、「〇年〇月放射線治療計画」の表示情報と、追加の対応表示情報として特定する。表示制御機能113は、特定機能112により特定された対応表示情報を、ユーザが使用する端末50のディスプレイに表示させる。
【0087】
このように、本実施形態に係る医用情報表示装置100では、データベースを階層的に記憶し、ユーザが参照した表示情報に基づいて、ノード間の階層性を判断し、判断の結果に対応した対応表示情報をユーザに提示する。このため、本実施形態に係る医用情報表示装置100によれば、ユーザは、階層的に情報を参照したり、同じ粒度の情報を参照したりすることができ、素早く適切な判断を行うことができる。
【0088】
なお、本実施形態で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0089】
また、本実施形態で説明した方法は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0090】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、ユーザが素早く適切な判断を行うことができる。
【0091】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0092】
100 医用情報表示装置
111 取得機能
112 特定機能
113 表示制御機能
120 記憶回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19