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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070980
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】音声ミキシング装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
H04R3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181649
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】片山 貴夫
(72)【発明者】
【氏名】倍賞 文仁
(72)【発明者】
【氏名】野中 勉
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220EE15
5D220EE21
5D220EE25
5D220EE31
(57)【要約】
【課題】複数の音声データをいずれも遅延させずに出力可能な音声ミキシング装置を提供すること。
【解決手段】nを3以上の整数とし、pを2以上n未満の整数としたとき、第1~第nの音声データのうちの第1~第pの音声データに含まれる再生対象の複数の音声データが同じ期間に入力された場合に当該複数の音声データをミキシングしてミキシング信号を出力するミキシング回路と、前記第1~第nの音声データのうちの第p+1~第nの音声データの前記ミキシング回路への入力を調停する調停回路と、を備える、音声ミキシング装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
nを3以上の整数とし、pを2以上n未満の整数としたとき、第1~第nの音声データのうちの第1~第pの音声データに含まれる再生対象の複数の音声データが同じ期間に入力された場合に当該複数の音声データをミキシングしてミキシング信号を出力するミキシング回路と、
前記第1~第nの音声データのうちの第p+1~第nの音声データの前記ミキシング回路への入力を調停する調停回路と、
を備える、音声ミキシング装置。
【請求項2】
請求項1において、
再生対象の音声データが前記第1~第pの音声データに含まれるか前記第p+1~第nの音声データに含まれるかを特定する情報を記憶する記憶回路を備える、音声ミキシング装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記調停回路は、前記第1~第pの音声データに含まれる第jの音声データが再生中であるときに前記第p+1~第nの音声データに含まれる第kの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、前記第jの音声データの再生が終了するまで前記第kの音声データの前記ミキシング回路への入力を遅延させる、音声ミキシング装置。
【請求項4】
請求項1において、
外部から入力されるコマンドに基づいて、前記第1~第pの音声データの各々に対する第1~第pのゲインを設定するゲイン設定回路を備える、音声ミキシング装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記ゲイン設定回路は、前記第p+1~第nの音声データの各々に対する第p+1~第nのゲインをさらに設定し、
前記第p+1~第nの音声データに含まれる第kの音声データを再生中に、前記第1~第pの音声データに含まれる第jの音声データの再生を開始する前記コマンドが入力された場合、
前記調停回路は、前記第jの音声データの前記ミキシング回路への入力を開始するとともに、前記第kの音声データの前記ミキシング回路への入力を継続し、
前記ゲイン設定回路は、前記第p+1~第nのゲインのうちの第kのゲインを、前記第1~第pのゲインのうちの第jのゲインよりも小さい値に設定する、音声ミキシング装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記第p+1~第nの音声データに含まれる第kの音声データを再生中に、前記第1~第pの音声データに含まれる第jの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、
前記調停回路は、前記第jの音声データの前記ミキシング回路への入力を開始するとともに、前記第kの音声データの前記ミキシング回路への入力を停止し、前記第jの音声データの前記ミキシング回路への入力を終了した後、前記第kの音声データの前記ミキシング回路への入力を先頭から開始する、音声ミキシング装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記第p+1~第nの音声データに含まれる第kの音声データを再生中に、前記第1~第pの音声データに含まれる第jの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、
前記調停回路は、前記第jの音声データの前記ミキシング回路への入力を開始するとともに、前記第kの音声データの前記ミキシング回路への入力を中断し、前記第jの音声データの前記ミキシング回路への入力を終了した後、前記第kの音声データの前記ミキシング回路への入力を、中断した位置から再開する、音声ミキシング装置。
【請求項8】
請求項4において、
前記ゲイン設定回路は、
前記第1~第pのゲインのうちの第jのゲインに第1の値を設定して前記第1~第pの音声データのうちの第jの音声データを再生中に、前記第1~第pの音声データのうちの、前記第jの音声データよりも優先順位の高い音声データの再生を開始又は停止する前記コマンドが入力された場合、前記第jのゲインを前記第1の値とは異なる第2の値に設定する、音声ミキシング装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記第1~第nの音声データの基となるn個の音源データを保管するメモリーを備える、音声ミキシング装置。
【請求項10】
請求項1において、
前記第1~第nの音声データの基となるn個の音源データを保管する外部のメモリーから前記n個の音源データを受信するメモリーインターフェース回路を備える、音声ミキシング装置。
【請求項11】
請求項1において、
外部のマイクロコントロールユニットから前記第1~第nの音声データの基となるn個の音源データを受信する通信インターフェース回路を備える、音声ミキシング装置。
【請求項12】
請求項1において、
前記ミキシング信号を音声信号に変換して第1の音声再生装置に出力する音声アンプを備える、音声ミキシング装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記音声アンプは、前記音声信号が正常であるか異常であるかを判定し、前記音声信号が異常であると判定した場合、前記ミキシング回路に異常検知信号を出力し、
mを2以上の整数とし、前記ミキシング回路は、前記異常検知信号が入力された場合、前記ミキシング信号を第2~第mの音声再生装置のいずれか1つに出力する、音声ミキシング装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記整数mは3以上の整数であり、
前記ミキシング回路は、前記異常検知信号が入力された場合、前記第2~第mの音声再生装置の各々を選択する優先順位が指定された優先選択テーブルに基づいて、前記第2~第mの音声再生装置のいずれか1つを選択し、選択した前記第2~第mの音声再生装置のいずれか1つに前記ミキシング信号を出力する、音声ミキシング装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の音声ミキシング装置を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声ミキシング装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、先発の音声情報の有意の内容を伝え終わる予定時刻に関する終了時刻情報を取得し、後発の音声情報の出力要求の発生時点から出力が開始されるまでの遅延の許容時間に関する遅延許容情報を取得し、終了時刻情報と遅延許容情報とに基づく時間的関係に応じて後発の音声情報の出力の待機の可否を判断し、待機可能と判断されたことを条件に後発の音声情報の出力を待機させ、先発の音声情報の出力を優先的に行った後で後発の音声情報の出力を行う、音声出力制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-137790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置では、先発の音声情報と後発の音声情報がいずれも緊急性を要する重要な情報である場合でもいずれかの出力を遅延させるため、遅延して出力される音声情報に対してユーザーによる必要な処置が遅れるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る音声ミキシング装置の一態様は、
nを3以上の整数とし、pを2以上n未満の整数としたとき、第1~第nの音声データのうちの第1~第pの音声データに含まれる再生対象の複数の音声データが同じ期間に入力された場合に当該複数の音声データをミキシングしてミキシング信号を出力するミキシング回路と、
前記第1~第nの音声データのうちの第p+1~第nの音声データの前記ミキシング回路への入力を調停する調停回路と、
を備える。
【0006】
本発明に係る電子機器の一態様は、
前記音声ミキシング装置の一態様を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の音声ミキシング装置の構成例を示す図。
図2】ミキシング回路の具体的な構成例を示す図。
図3】チャネル-優先順位設定テーブル、優先順位-ゲイン設定テーブル、調停設定情報及びゲイン参照テーブルの一例を示す図。
図4】第1実施形態において、緊急性の高い複数の音声データが第1の音声再生装置によって同時に再生される具体例を示す図。
図5】第1実施形態において、緊急性の低い複数の音声データが第1の音声再生装置によって同時に再生される具体例を示す図。
図6】第2実施形態において、第1の音声再生装置によって緊急性の低い音声データの再生中に緊急性の高い音声データが再生される具体例を示す図。
図7】第2実施形態において、第1の音声再生装置によって緊急性の低い音声データの再生中に緊急性の高い音声データが再生される他の具体例を示す図。
図8】第2実施形態において、第1の音声再生装置によって緊急性の低い音声データの再生中に緊急性の高い音声データが再生される他の具体例を示す図。
図9】第3実施形態の音声ミキシング装置の構成例を示す図。
図10】第3実施形態におけるミキシング回路、音声アンプ及び保護回路の具体的な構成例を示す図。
図11】優先選択テーブルの一例を示す図。
図12】第4実施形態の音声ミキシング装置の構成例を示す図。
図13】第5実施形態の音声ミキシング装置の構成例を示す図。
図14】変形例の音声ミキシング装置の構成を示す図。
図15】他の変形例の音声ミキシング装置の構成を示す図。
図16】本実施形態の電子機器の機能ブロック図。
図17】電子機器の一例である警告装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.音声ミキシング装置
1-1.第1実施形態
図1は、第1実施形態の音声ミキシング装置の構成例を示す図である。図1に示すように、第1実施形態の音声ミキシング装置1は、通信インターフェース回路10、メモリー20、デコーダー30、調停回路40、ミキシング回路50、記憶回路60、ゲイン設定回路70及び音声アンプ80を備える。音声ミキシング装置1は、1チップの半導体集積回路装置であってもよいし、複数チップの半導体集積回路装置で構成されてもよいし、少なくとも一部が半導体集積回路装置以外の電子部品で構成されてもよい。
【0010】
メモリー20は、n個の音源データ21-1~21-nを保管する。すなわち、メモリー20には、n個の音源データ21-1~21-nが記憶されている。nは3以上の任意の整数である。メモリー20が保管する音源データ21-1~21-nは、後述するミキシング回路50に入力される第1~第nの音声データの基となるデータである。メモリー20は、例えば、フラッシュメモリーであってもよい。音源データ21-1~21-nは、それぞれ、例えば、パルス符号変調(PCM)された音声データであってもよいし、適応的差分パルス符号変調(ADPCM)された音声データであってもよい。PCMはPulse Code Modulationの略であり、ADPCMはAdaptive differential Pulse Code Modulationの略である。音源データ21-1~21-nは、例えば、人が発話する際の声を模した音声、機械的な警告音や効果音等の各種の音の基となるデータであってもよい。
【0011】
本実施形態では、n個の音源データ21-1~21-nのうちのp個の音源データは、相対的に緊急性の高い状況で再生される音源データであり、n個の音源データ21-1~21-nのうちのn-p個の音源データは、相対的に緊急性の低い状況で再生される音源データである。pは2以上n未満の任意の整数である。以下では、前者を「緊急性の高い音源データ」と称し、後者を「緊急性の低い音源データ」と称する。
【0012】
例えば、音声ミキシング装置1が自動車に搭載されるシステムに用いられる場合、緊急性の高い音源データとしては、自動車の部品の故障や走行の異常などを通知する警告音の音源データなどが想定され、緊急性の低い音源データとしては、各種のガイダンスの音源データなどが想定される。
【0013】
通信インターフェース回路10は、マイクロコントロールユニット2とデータ通信を行う回路である。通信インターフェース回路10は、例えば、SPIインターフェース回路であってもよいし、I2Cインターフェース回路であってもよい。SPIはSerial Peripheral Interfaceの略であり、I2CはInter-Integrated Circuitの略である。
【0014】
通信インターフェース回路10は、マイクロコントロールユニット2から送信された各種のコマンドを受信し、受信したコマンドに応じた各種の制御信号を生成する。例えば、通信インターフェース回路10は、メモリー20が保管するn個の音源データ21-1~21-nのうちの音源データ21-iに対する音声再生コマンド又は音声停止コマンドを受信した場合、音源データ21-iに対する音声再生又は音声停止を指示する制御信号を生成し、デコーダー30、調停回路40及びゲイン設定回路70に出力する。また、例えば、通信インターフェース回路10は、チャネル-優先順位設定テーブル61、優先順位-ゲイン設定テーブル62又は調停設定情報63に対するデータ書き込みコマンドを受信した場合、コマンドで指定されたアドレスに指定されたデータを書き込むための制御信号を生成する。
【0015】
デコーダー30は、第1~第nの入力チャネル及び第1~第nの出力チャネルを有する。デコーダー30は、通信インターフェース回路10から出力される音源データ21-iに対する音声再生を指示する制御信号に応じて、メモリー20から第iの入力チャネルに音源データ21-iを読み出し、音源データ21-iをデコードして音声データDIiを復調する。デコーダー30は、復調した音声データDIiを第iの出力チャネルに出力する。また、デコーダー30は、通信インターフェース回路10から出力される音源データ21-iに対する再生停止を指示する制御信号に応じて、第iの出力チャネルへの音声データDIiの出力を停止する。また、デコーダー30は、音源データ21-iの末尾まで復調を終了した場合に、第iの出力チャネルへの音声データDIiの出力を停止してもよい。
【0016】
音源データ21-iが緊急性の高い音源データであれば、復調された音声データDIiは緊急性の高い音声データであり、音源データ21-iが緊急性の低い音源データであれば、復調された音声データDIiは緊急性の低い音声データである。すなわち、デコーダー30の第1~第nの出力チャネルに出力されるn個の音声データDI1~DInのうち、p個の音声データは緊急性の高い音声データであり、n-p個の音声データは緊急性の低い音声データである。
【0017】
調停回路40は、通信インターフェース回路10から出力される音源データ21-iに対する音声再生を指示する制御信号に応じて、デコーダー30が復調した音声データDIiをミキシング回路50の第iの入力チャネルに出力する。調停回路40は、再生対象の音声データDIiが緊急性の高い音声データである場合は、音声データDIiをミキシング回路50の第iの入力チャネルに直ちに出力する。
【0018】
また、調停回路40は、再生対象の音声データDIiが緊急性の低い音声データである場合は、緊急性の高いp個の音声データの少なくとも1つが再生中であれば、当該p個の音声データのいずれも再生中でなくなるまで待ってから、音声データDIiをミキシング回路50の第iの入力チャネルに出力する。一方、調停回路40は、緊急性の高いp個の音声データのいずれも再生中でなければ、音声データDIiをミキシング回路50の第iの入力チャネルに直ちに出力する。
【0019】
また、調停回路40は、再生対象の音声データDIiが緊急性の低い音声データである場合、緊急性の低いn-p個の音声データのうちの音声データDIi以外の音声データDIjが再生中であれば、音声データDIjの再生が終了するまで待ってから、音声データDIiをミキシング回路50の第iの入力チャネルに出力する。
【0020】
また、調停回路40は、音源データ21-iに対する再生停止を指示する制御信号に応じて、ミキシング回路50の第iの入力チャネルへの音声データDIiの出力を停止する。また、調停回路40は、デコーダー30からの音声データDIiの末尾までの入力が終了した場合に、ミキシング回路50の第iの入力チャネルへの音声データDIiの出力を停止してもよい。
【0021】
本実施形態では、調停回路40は、記憶回路60に記憶されているチャネル-優先順位設定テーブル61及び調停設定情報63に基づいて、再生対象の音声データDIiが緊急性の高い音声データであるか緊急性の低い音声データであるかを判断する。チャネル-優先順位設定テーブル61は、ミキシング回路50の第1~第nの入力チャネルと優先順位との対応関係を規定するテーブルである。調停設定情報63は、ミキシング回路50の第1~第nの入力チャネルのうち、優先順位がp番目又はp+1番目の入力チャネルの情報を含む。チャネル-優先順位設定テーブル61及び調停設定情報63は、記憶回路60の不図示のRAMやレジスターに記憶されており、音声ミキシング装置1の外部から入力されるコマンドによって書き換えられる。RAMは、Random Access Memoryの略である。
【0022】
調停回路40は、チャネル-優先順位設定テーブル61を参照し、再生対象の音声データDIiを出力する、ミキシング回路50の第iの入力チャネルの優先順位を特定する。さらに、調停回路40は、調停設定情報63を参照し、特定した第iの入力チャネルの優先順位が1番目からp番目までに含まれるかp+1番目からn番目までに含まれるかを特定する。そして、調停回路40は、特定した第iの入力チャネルの優先順位が1番目からp番目までに含まれる場合は音声データDIiが緊急性の高い音声データであると判断し、特定した第iの入力チャネルの優先順位がp+1番目からn番目までに含まれる場合は音声データDIiが緊急性の低い音声データであると判断する。すなわち、本実施形態では、n個の音声データDI1~DInのうちの緊急性の高いp個の音声データである第1~第pの音声データは、ミキシング回路50の第1~第nの入力チャネルのうちの優先順位が1番目からp番目までのp個の入力チャネルにそれぞれ入力される。また、n個の音声データDIi~DInのうちの緊急性の低いn-p個の音声データである第p+1~第nの音声データは、ミキシング回路50の第1~第nの入力チャネルのうちの優先順位がp+1番目からn番目までのn-p個の入力チャネルにそれぞれ入力される。
【0023】
このように、本実施形態では、チャネル-優先順位設定テーブル61及び調停設定情報63は、再生対象の音声データDIiが緊急性の高い第1~第pの音声データに含まれるか緊急性の低い第p+1~第nの音声データに含まれるかを特定する情報である。そして、調停回路40は、前述のように、緊急性の低い第p+1~第nの音声データのミキシング回路50への入力を調停する。具体的には、調停回路40は、緊急性の高い第1~第pの音声データに含まれる第jの音声データが再生中であるときに、緊急性の低い第p+1~第nの音声データに含まれる第kの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、第jの音声データの再生が終了するまで第kの音声データのミキシング回路50への入力を遅延させる。
【0024】
ミキシング回路50は、第1~第nの入力チャネルを有し、第iの入力チャネルにゲインGiが設定され、第iの入力チャネルに音声データDIiが入力される。そして、ミキシング回路50は、n個の音声データDI1~DInのうちの緊急性の高い第1~第pの音声データに含まれる再生対象の複数の音声データが同じ期間に入力された場合に当該複数の音声データをミキシングしてミキシング信号DO1を出力する。また、ミキシング回路50は、第1~第mの出力チャネルを有し、第1の出力チャネルから音声アンプ80にミキシング信号DO1を出力する。mは2以上の整数である。
【0025】
音声アンプ80は、ミキシング回路50から出力されるミキシング信号DO1を音声信号DOX1に変換して第1の音声再生装置3-1に出力する。これにより、第1の音声再生装置3-1から、音声信号DOX1に応じた音声が出力される。例えば、第1の音声再生装置3-1は、スピーカーであってもよい。
【0026】
また、ミキシング回路50は、第2~第mの出力チャネルから、n個の音声データDI1~DInから選択されたm-1個の音声データを音声信号DO2~DOmとして第2~第mの音声再生装置3-2~3-mに出力してもよい。これにより、第2~第mの音声再生装置3-2~3-mから、音声信号DO2~DOmに応じた音声が出力される。例えば、第2~第mの音声再生装置3-2~3-mは、それぞれブザーであってもよい。
【0027】
なお、第1~第mの音声再生装置3-1~3-mの各々から出力される音声は、例えば、人が発話する際の声を模した音声であってもよいし、機械的な警告音や効果音等の各種の音であってもよい。
【0028】
ゲイン設定回路70は、音声ミキシング装置1の外部から入力されるコマンドに基づいて、ミキシング回路50に入力されるn個の音声データDI1~DInのうちの緊急性の高い第1~第pの音声データの各々に対する第1~第pのゲインを設定する。ゲイン設定回路70は、音声データDI1~DInのうちの緊急性の低い第p+1~第nの音声データの各々に対する第p+1~第nのゲインをさらに設定してもよい。本実施形態では、ゲイン設定回路70は、音声ミキシング装置1の外部から入力されるコマンドに基づいて、ミキシング回路50の第1~第nの入力チャネルに、それぞれゲインG1~Gnを設定する。n個のゲインG1~Gnのうち、p個のゲインは緊急性の高い第1~第pの音声データに設定される第1~第pのゲインであり、n-p個のゲインは緊急性の低い第p+1~第nの音声データに設定される第p+1~第nのゲインである。
【0029】
具体的には、ゲイン設定回路70は、通信インターフェース回路10から出力される、音源データ21-kに対する音声再生又は音声停止を指示する制御信号を受け取ると、記憶回路60に記憶されているチャネル-優先順位設定テーブル61、優先順位-ゲイン設定テーブル62、調停設定情報63及びゲイン参照テーブル64を参照し、音声データDI1~DInのうちの再生中のすべての音声データ及び音声データDIkの間の優先順位を決定し、各チャネルに当該優先順位に応じた値の各ゲインを設定する。
【0030】
優先順位-ゲイン設定テーブル62は、チャネル-優先順位設定テーブル61において指定可能な優先順位と、ゲイン設定値との対応関係を規定するテーブルである。ゲイン参照テーブル64は、優先順位-ゲイン設定テーブル62において指定可能なゲイン設定値と、ゲインの値との対応関係を規定するテーブルである。優先順位-ゲイン設定テーブル62は、記憶回路60の不図示のRAMやレジスターに記憶されており、音声ミキシング装置1の外部から入力されるコマンドによって書き換えられる。ゲイン参照テーブル64は、記憶回路60の不図示のROMに記憶されており、書き換えられない。ROMは、Read Only Memoryの略である。
【0031】
なお、音声データDI1~DInのうちの音声データDIiが再生対象ではない場合、ゲイン設定回路70がゲインGiを0に設定してもよいし、デコーダー30が第iの出力チャネルに0を出力してもよい。
【0032】
本実施形態では、ゲイン設定回路70は、ゲインG1~Gnのうちの第jのゲインに第1の値を設定して緊急性の高い第1~第pの音声データのうちの第jの音声データを再生中に、音声ミキシング装置1の外部から、第1~第pの音声データのうちの、第jの音声データよりも優先順位の高い音声データの再生を開始又は停止するコマンドが入力された場合、第jのゲインを第2の値に設定する。ここで、優先順位の高い音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合は第2の値は第1の値よりも小さくなり、優先順位の高い音声データの再生を停止するコマンドが入力された場合は第2の値は第1の値よりも大きくなる。
【0033】
図2は、ミキシング回路50の具体的な構成例を示す図である。図2の例では、ミキシング回路50は、16個の入力チャネルと5個の出力チャネルを有する。すなわち、図2は、図1において、整数nが16であり、整数mが5の場合の例を示している。
【0034】
図2の例において、ミキシング回路50は、16個の乗算器51-1~51-16と、16個のスイッチ回路52-1~52-16と、加算器53と、選択回路54と、を含む。
【0035】
第1~第16の入力チャネルのうちの第iの入力チャネルには、音声データDI1~DInのうちの音声データDIiが入力されるとともに、ゲイン設定回路70によってゲインGiが設定される。第iの入力チャネルには、乗算器51-1~51-16のうちの乗算器51-iが設けられており、乗算器51-iは、音声データDIiにゲインGiを乗算した乗算データDXiを出力する。
【0036】
スイッチ回路52-1~52-16のうちのスイッチ回路52-iは、乗算データDXiを加算器53に出力するか否かを切り替える。スイッチ回路52-1~52-16は、通信インターフェース回路10から出力される制御信号に応じて切り替えられる。すなわち、マイクロコントロールユニット2は、音声ミキシング装置1に所定のコマンドを出力することによって、乗算データDX1~DX16を加算器53に出力するか否かをそれぞれ設定可能である。
【0037】
加算器53には、スイッチ回路52-1~52-16を介して、乗算データDX1~DX16が入力される。すなわち、1以上16以下の各整数iに対して、スイッチ回路52-iが導通状態であれば乗算データDXiが加算器53に入力され、スイッチ回路52-iが非導通状態であれば乗算データDXiは加算器53に入力されない。そして、加算器53は、乗算データDX1~DX16のうちの入力されるすべての乗算データを加算したミキシング信号DO1を出力する。
【0038】
加算器53から出力されるミキシング信号DO1は、第1の出力チャネルから音声アンプ80に出力され、音声アンプ80は、ミキシング信号DO1を音声信号DOX1に変換して第1の音声再生装置3-1に出力する。これにより、第1の音声再生装置3-1から、音声信号DOX1に応じた音声が出力される。
【0039】
選択回路54は、乗算データDX1~DX16からいずれか1つを選択して音声信号DO2として第2の出力チャネルから第2の音声再生装置3-2に出力し、あるいは、乗算データDX1~DX16のいずれも選択せずに無音の音声信号DO2を第2の音声再生装置3-2に出力する。前者の場合、第2の音声再生装置3-2から音声信号DO2に応じた音声が出力される。
【0040】
また、選択回路54は、乗算データDX1~DX16からいずれか1つを選択して音声信号DO3として第3の出力チャネルから第3の音声再生装置3-3に出力し、あるいは、乗算データDX1~DX16のいずれも選択せずに無音の音声信号DO3を第3の音声再生装置3-3に出力する。前者の場合、第3の音声再生装置3-3から音声信号DO3に応じた音声が出力される。
【0041】
また、選択回路54は、乗算データDX1~DX16からいずれか1つを選択して音声信号DO4として第4の出力チャネルから第4の音声再生装置3-4に出力し、あるいは、乗算データDX1~DX16のいずれも選択せずに無音の音声信号DO4を第4の音声再生装置3-4に出力する。前者の場合、第4の音声再生装置3-4から音声信号DO4に応じた音声が出力される。
【0042】
また、選択回路54は、乗算データDX1~DX16からいずれか1つを選択して音声信号DO5として第5の出力チャネルから第5の音声再生装置3-5に出力し、あるいは、乗算データDX1~DX16のいずれも選択せずに無音の音声信号DO5を第5の音声再生装置3-5に出力する。前者の場合、第5の音声再生装置3-5から音声信号DO5に応じた音声が出力される。
【0043】
選択回路54は、通信インターフェース回路10から出力される制御信号に応じて、乗算データDX1~DX16を、それぞれ音声信号DO2~DO5のいずれかとして出力するか否かを選択する。すなわち、マイクロコントロールユニット2は、音声ミキシング装置1に所定のコマンドを出力することによって、乗算データDX1~DX16を、それぞれ音声信号DO2~DO5のいずれかとして出力するか否かを設定可能である。
【0044】
図3は、ミキシング回路50が図2のように構成されている場合のチャネル-優先順位設定テーブル61、優先順位-ゲイン設定テーブル62、調停設定情報63及びゲイン参照テーブル64の一例を示す図である。図3において、Ch1~Ch16は、それぞれミキシング回路50の第1~第16の入力チャネルである。
【0045】
図3の例では、チャネル-優先順位設定テーブル61において、第1の入力チャネルには優先順位Pr7が対応づけられ、第2の入力チャネルには優先順位Pr5が対応づけられ、第3の入力チャネルには優先順位Pr9が対応づけられ、第4の入力チャネルには優先順位Pr12が対応づけられ、第5の入力チャネルには優先順位Pr6が対応づけられ、第6の入力チャネルには優先順位Pr2が対応づけられている。また、第7の入力チャネルには優先順位Pr10が対応づけられ、第8の入力チャネルには優先順位Pr11が対応づけられ、第9の入力チャネルには優先順位Pr1が対応づけられ、第10の入力チャネルには優先順位Pr3が対応づけられ、第11の入力チャネルには優先順位Pr8が対応づけられ、第12の入力チャネルには優先順位Pr4が対応づけられている。また、第13の入力チャネルには優先順位Pr16が対応づけられ、第14の入力チャネルには優先順位Pr15が対応づけられ、第15の入力チャネルには優先順位Pr14が対応づけられ、第16の入力チャネルには優先順位Pr13が対応づけられている。優先順位Pr1~Pr16のうち、Priはi番目に高い優先順位を表している。すなわち、優先順位Pr1が最も高く、優先順位Pr16が最も低いので、優先順位が高い順に、第9の入力チャネル、第6の入力チャネル、第10の入力チャネル、第12の入力チャネル、第2の入力チャネル、第5の入力チャネル、第1の入力チャネル、第11の入力チャネル、第3の入力チャネル、第7の入力チャネル、第8の入力チャネル、第4の入力チャネル、第16の入力チャネル、第15の入力チャネル、第14の入力チャネル、第13の入力チャネルとなっている。
【0046】
また、図3の例では、優先順位-ゲイン設定テーブル62において、優先順位Pr1にはゲイン設定値0x00が対応づけられ、優先順位Pr2にはゲイン設定値0x0Cが対応づけられ、優先順位Pr3にはゲイン設定値0x18が対応づけられ、優先順位Pr4にはゲイン設定値0x24が対応づけられ、優先順位Pr5にはゲイン設定値0x30が対応づけられ、優先順位Pr6にはゲイン設定値0x3Cが対応づけられている。また、優先順位Pr7にはゲイン設定値0x48が対応づけられ、優先順位Pr8にはゲイン設定値0x54が対応づけられ、優先順位Pr9にはゲイン設定値0x60が対応づけられ、優先順位Pr10にはゲイン設定値0x6Cが対応づけられ、優先順位Pr11にはゲイン設定値0x78が対応づけられ、優先順位Pr12にはゲイン設定値0x84が対応づけられている。また、優先順位Pr13にはゲイン設定値0x90が対応づけられ、優先順位Pr14にはゲイン設定値0x9Cが対応づけられ、優先順位Pr15にはゲイン設定値0xA8が対応づけられ、優先順位Pr16にはゲイン設定値0xB4が対応づけられている。
【0047】
また、図3の例では、ゲイン参照テーブル64において、ゲイン設定値0x00には0dBのゲイン値が対応づけられ、ゲイン設定値0x01~0xFEには、それぞれ-0.25dB刻みに-0.25dB~-63.5dBのゲイン値が対応づけられ、ゲイン設定値0xFFには「nosound」が対応づけられている。「nosound」は-∞dBのゲイン値に相当する。
【0048】
チャネル-優先順位設定テーブル61の優先順位Pr1~Pr16の各々は、優先順位-ゲイン設定テーブル62の優先順位Pr1~Pr16の各々にリンクしており、優先順位-ゲイン設定テーブル62の各ゲイン設定値は、ゲイン参照テーブル64の各ゲイン設定値にリンクしている。したがって、優先順位Pr7の第1の入力チャネルにはゲイン設定値0x48に対応する-18dBのゲイン値が対応づけられ、優先順位Pr5の第2の入力チャネルにはゲイン設定値0x30に対応する-12dBのゲイン値が対応づけられ、優先順位Pr9の第3の入力チャネルにはゲイン設定値0x60に対応する-24dBのゲイン値が対応づけられ、優先順位Pr12の第4の入力チャネルにはゲイン設定値0x84に対応する-33dBのゲイン値が対応づけられる。また、優先順位Pr6の第5の入力チャネルにはゲイン設定値0x3Cに対応する-15dBのゲイン値が対応づけられ、優先順位Pr2の第6の入力チャネルにはゲイン設定値0x0Cに対応する-3dBのゲイン値が対応づけられ、優先順位Pr10の第7の入力チャネルにはゲイン設定値0x6Cに対応する-27dBのゲイン値が対応づけられ、優先順位Pr11の第8の入力チャネルにはゲイン設定値0x78に対応する-30dBのゲイン値が対応づけられる。また、優先順位Pr1の第9の入力チャネルにはゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値が対応づけられ、優先順位Pr3の第10の入力チャネルにはゲイン設定値0x18に対応する-6dBのゲイン値が対応づけられ、優先順位Pr8の第11の入力チャネルにはゲイン設定値0x54に対応する-21dBのゲイン値が対応づけられ、優先順位Pr4の第12の入力チャネルにはゲイン設定値0x24に対応する-9dBのゲイン値が対応づけられる。また、優先順位Pr16の第13の入力チャネルにはゲイン設定値0xB4に対応する-45dBのゲイン値が対応づけられ、優先順位Pr15の第14の入力チャネルにはゲイン設定値0xA8に対応する-42dBのゲイン値が対応づけられ、優先順位Pr14の第15の入力チャネルにはゲイン設定値0x9Cに対応する-39dBのゲイン値が対応づけられ、優先順位Pr13の第16の入力チャネルにはゲイン設定値0x90に対応する-36dBのゲイン値が対応づけられる。すなわち、チャネル-優先順位設定テーブル61、優先順位-ゲイン設定テーブル62及びゲイン参照テーブル64により、第1~第16の入力チャネルには、順に、-18dB,-12dB,-24dB,-33dB,-15dB,-3dB,-27dB,-30dB,0dB,-6dB,-21dB,-9dB,-45dB,-42dB,-39dB,-36dBのゲイン値が対応づけられる。
【0049】
また、図3の例では、調停設定情報63において、緊急性の高いp個の音声データと緊急性の低いn-p個の音声データとの境界となる優先順位として、緊急性の高いp個の音声データが入力されるp個の入力チャネルにそれぞれ対応づけられたp個の優先順位のうち最も低い優先順位Pr10が設定されている。すなわち、この調停設定情報63に設定される優先順位Pr10は、緊急性の高い音声データの個数pが10であり、優先順位Pr1~Pr10がそれぞれ対応づけられる10個の入力チャネルに入力される10個の音声データが緊急性の高い第1~第10の音声データであり、優先順位Pr11~Pr16がそれぞれ対応づけられる6個の入力チャネルに入力される6個の音声データが緊急性の高い第11~第15の音声データであることを示している。ただし、調停設定情報63において、緊急性の高いp個の音声データと緊急性の低いn-p個の音声データとの境界となる優先順位として、緊急性の低いn-p個の音声データが入力されるn-p個の入力チャネルにそれぞれ対応づけられたp個の優先順位のうち最も高い優先順位Pr11が設定されてもよい。
【0050】
図3の例では、優先順位Pr1~Pr10が順に対応づけられる第9の入力チャネル、第6の入力チャネル、第10の入力チャネル、第12の入力チャネル、第2の入力チャネル、第5の入力チャネル、第1の入力チャネル、第11の入力チャネル、第3の入力チャネル、第7の入力チャネルにそれぞれ入力される音声データDI9,DI6,DI10,DI12,DI2,DI5,DI1,DI11,DI3,DI7が、緊急性の高い第1~第10の音声データに相当する。また、第9の入力チャネル、第6の入力チャネル、第10の入力チャネル、第12の入力チャネル、第2の入力チャネル、第5の入力チャネル、第1の入力チャネル、第11の入力チャネル、第3の入力チャネル、第7の入力チャネルにそれぞれ設定されるゲインG9,G6,G10,G12,G2,G5,G1,G11,G3,G7が、第1~第10のゲインに相当する。また、優先順位Pr11~Pr16が順に対応づけられる第8の入力チャネル、第4の入力チャネル、第16の入力チャネル、第15の入力チャネル、第14の入力チャネル、第13の入力チャネルにそれぞれ入力される音声データDI8,DI4,DI16,DI15,DI4,DI13が、緊急性の低い第11~第16の音声データに相当する。また、第8の入力チャネル、第4の入力チャネル、第16の入力チャネル、第15の入力チャネル、第14の入力チャネル、第13の入力チャネルにそれぞれ設定されるゲインG8,G4,G16,G15,G4,G13が、第11~第15のゲインに相当する。
【0051】
そして、ゲイン設定回路70は、緊急性の高い第1~第10の音声データに相当する音声データDI9,DI6,DI10,DI12,DI2,DI5,DI1,DI11,DI3,DI7が第1の音声再生装置3-1によって同時に再生される期間において、第1~第10のゲインに相当するゲインG9,G6,G10,G12,G2,G5,G1,G11,G3,G7に、上記のようにチャネル-優先順位設定テーブル61、優先順位-ゲイン設定テーブル62及びゲイン参照テーブル64により対応付けられる、0dB,-3dB,-6dB,-9dB,-12dB,-15dB,-18dB,-21dB,-24dB,-27dBの各ゲイン値を設定する。その結果、音声データDI9,DI6,DI10,DI12,DI2,DI5,DI1,DI11,DI3,DI7が、優先順位が高い入力チャネルに入力される音声データほど大きい音量で合成された音声が、第1の音声再生装置3-1によって再生される。
【0052】
また、ゲイン設定回路70は、緊急性の高い第1~第10の音声データに相当する音声データDI9,DI6,DI10,DI12,DI2,DI5,DI1,DI11,DI3,DI7の一部のみが第1の音声再生装置3-1によって同時に再生される期間においては、第1の音声再生装置3-1によって同時に再生される各音声データに対応する各入力チャネルにあらためて優先順位を設定する。具体的には、ゲイン設定回路70は、チャネル-優先順位設定テーブル61を参照し、第1の音声再生装置3-1によって同時に再生される各音声データが入力される各入力チャネルに優先順位が高い順に優先順位Pr1、Pr2、・・・を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、チャネル-優先順位設定テーブル61に代えて、各入力チャネルに再設定した優先順位Pr1、Pr2、・・・を、優先順位-ゲイン設定テーブル62の優先順位Pr1、Pr2、・・・の各々にリンクさせて、各入力チャネルに対応する各ゲインに、優先順位-ゲイン設定テーブル62及びゲイン参照テーブル64により対応付けられる各ゲイン値を設定する。
【0053】
なお、ゲイン設定回路70は、緊急性の高い第1~第10の音声データに相当する音声データDI9,DI6,DI10,DI12,DI2,DI5,DI1,DI11,DI3,DI7のうちの音声データDIiが、第1の音声再生装置3-1によって再生されず、かつ、第2~第5の音声再生装置3-2~3-5のいずれかによって再生される期間においては、ゲインGiに、最も高い優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定してもよい。
【0054】
また、ゲイン設定回路70は、緊急性の低い第11~第16の音声データに相当する音声データDI8,DI4,DI16,DI15,DI4,DI13のいずれか1つの音声データDIiが第1の音声再生装置3-1によって再生される期間において、音声データDIiに対応する第iの入力チャネルにあらためて優先順位を設定してもよい。例えば、ゲイン設定回路70は、第iの入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定し、ゲインGiに最も高い優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定してもよい。ただし、ゲイン設定回路70は、当該第iの入力チャネルに優先順位を再設定せずに、例えば、優先順位-ゲイン設定テーブル62において、優先順位Pr11~Pr16にゲイン設定値0x00が対応づけられていてもよい。
【0055】
図4に、チャネル-優先順位設定テーブル61、優先順位-ゲイン設定テーブル62、調停設定情報63及びゲイン参照テーブル64が図3のように構成されている場合に、緊急性の高い複数の音声データが第1の音声再生装置3-1によって同時に再生される具体例を示す。図4において、Ch6,Ch9,Ch10,Ch12は、それぞれミキシング回路50の第6の入力チャネル、第9の入力チャネル、第10の入力チャネル、第12の入力チャネルである。
【0056】
図4の例では、時刻t0において、第6の入力チャネルに入力される音声データDI6の再生が開始する。時刻t0から時刻t2までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI6のみであるので、ゲイン設定回路70は、第6の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG6に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0057】
次に、緊急性の高い音声データDI6の再生中の時刻t1において、通信インターフェース回路10が音源データ21-8に対する音声再生コマンドを受信し、デコーダー30が音源データ21-8を復調した音声データDI8を出力するが、音声データDI8は緊急性の低い音声データであるため、調停回路40は、音声データDI8をミキシング回路50の第8の入力チャネルに出力せずに保持する。
【0058】
次に、時刻t2において、第10の入力チャネルに入力される緊急性の高い音声データDI10の再生が開始する。その結果、時刻t2から時刻t3までの期間において、音声データDI6と音声データDI10とが第1の音声再生装置3-1によって同時に再生されることになる。第6の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr2は、第10の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr3よりも高いので、ゲイン設定回路70は、第6の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定し、第10の入力チャネルに2番目に高い優先順位Pr2を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG6に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定し、ゲインG10に、優先順位Pr2に対応づけられるゲイン設定値0x0Cに対応する-3dBのゲイン値を設定する。
【0059】
次に、時刻t3において、第12の入力チャネルに入力される緊急性の高い音声データDI12の再生が開始する。その結果、時刻t3から時刻t4までの期間において、音声データDI6と音声データDI10と音声データDI12とが第1の音声再生装置3-1によって同時に再生されることになる。第6の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr2は、第10の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr3及び第12の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr4よりも高く、第10の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr3は第12の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr4よりも高いので、ゲイン設定回路70は、第6の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定し、第10の入力チャネルに2番目に高い優先順位Pr2を再設定し、第12の入力チャネルに3番目に高い優先順位Pr3を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG6に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定し、ゲインG10に、優先順位Pr2に対応づけられるゲイン設定値0x0Cに対応する-3dBのゲイン値を設定し、ゲインG12に、優先順位Pr3に対応づけられるゲイン設定値0x18に対応する-6dBのゲイン値を設定する。
【0060】
次に、時刻t4において、音声データDI6の再生が停止する。その結果、時刻t4から時刻t5までの期間において、音声データDI10と音声データDI12とが第1の音声再生装置3-1によって同時に再生されることになる。第10の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr3は、第12の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr4よりも高いので、ゲイン設定回路70は、第10の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定し、第12の入力チャネルに2番目に高い優先順位Pr2を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG10に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定し、ゲインG12に、優先順位Pr2に対応づけられるゲイン設定値0x0Cに対応する-3dBのゲイン値を設定する。
【0061】
このように、ゲイン設定回路70は、ゲインG6,G10,G12にそれぞれ0dB,-3dB,-6dBのゲイン値を設定して音声データDI6,DI10,DI12を再生中に、時刻t4において音声データDI10,DI12よりも優先順位の高い音声データDI6の再生が停止する場合、ゲインG10,G12をそれぞれ-3dB,-6dBのゲイン値とは異なる、より高い0dB,-3dBのゲイン値に設定する。なお、音声データDI6の再生が停止する前にゲインG10,G12にそれぞれ設定される-3dB,-6dBのゲイン値はそれぞれ「第1の値」の一例であり、音声データDI6の再生が停止した後にゲインG10,G12にそれぞれ設定される0dB,-3dBのゲイン値はそれぞれ「第2の値」の一例である。
【0062】
また、時刻t4において、緊急性の高い音声データDI6の再生が停止しても、緊急性の高い音声データDI10,DI12が再生中であるため、調停回路40は、緊急性の低い音声データDI8をミキシング回路50の第8の入力チャネルに出力せずに保持する。
【0063】
次に、時刻t5において、音声データDI10の再生が停止する。その結果、時刻t5から時刻t6までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI12のみとなるので、ゲイン設定回路70は、第12の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG12に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0064】
このように、ゲイン設定回路70は、ゲインG10,G12にそれぞれ0dB,-3dBのゲイン値を設定して音声データDI10,DI12を再生中に、時刻t5において音声データDI12よりも優先順位の高い音声データDI10の再生が停止する場合、ゲインG12を-3dBのゲイン値とは異なる、より高い0dBのゲイン値に設定する。なお、音声データDI10の再生が停止する前にゲインG12に設定される-3dBのゲイン値は「第1の値」の一例であり、音声データDI10の再生が停止した後にゲインG12に設定される0dBのゲイン値は「第2の値」の一例である。
【0065】
また、時刻t5において、緊急性の高い音声データDI10の再生が停止しても、緊急性の高い音声データDI12が再生中であるため、調停回路40は、緊急性の低い音声データDI8をミキシング回路50の第8の入力チャネルに出力せずに保持する。
【0066】
次に、時刻t6において、第9の入力チャネルに入力される音声データDI9の再生が開始する。その結果、時刻t6から時刻t7までの期間において、音声データDI12と音声データDI9とが第1の音声再生装置3-1によって同時に再生されることになる。第9の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr1は、第12の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr4よりも高いので、ゲイン設定回路70は、第9の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定し、第12の入力チャネルに2番目に高い優先順位Pr2を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG9に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定し、ゲインG12に、優先順位Pr2に対応づけられるゲイン設定値0x0Cに対応する-3dBのゲイン値を設定する。
【0067】
このように、ゲイン設定回路70は、ゲインG12に0dBのゲイン値を設定して音声データDI12を再生中に、時刻t6において音声データDI12よりも優先順位の高い音声データDI9の再生が開始する場合、ゲインG12を0dBのゲイン値とは異なる、より低い-3dBのゲイン値に設定する。なお、音声データDI9の再生が開始する前にゲインG12に設定される0dBのゲイン値は「第1の値」の一例であり、音声データDI9の再生が開始した後にゲインG12に設定される-3dBのゲイン値は「第2の値」の一例である。
【0068】
次に、時刻t7において、音声データDI12の再生が停止する。その結果、時刻t7から音声データDI9の再生が停止する時刻t8までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI9のみとなるので、ゲイン設定回路70は、第9の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG9に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0069】
また、時刻t7において、緊急性の高い音声データDI12の再生が停止しても、緊急性の高い音声データDI9が再生中であるため、調停回路40は、緊急性の低い音声データDI8をミキシング回路50の第8の入力チャネルに出力せずに保持する。
【0070】
次に、時刻t8において、音声データDI9の再生が停止する。その結果、緊急性の高い10個の音声データDI9,DI6,DI10,DI12,DI2,DI5,DI1,DI11,DI3,DI7のいずれも再生中ではなくなるので、調停回路40は、保持していた緊急性の低い音声データDI8をミキシング回路50の第8の入力チャネルに出力し、音声データDI8の再生が開始する。時刻t8から音声データDI8の再生が停止する時刻t9までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI8のみとなるので、ゲイン設定回路70は、第8の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG8に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0071】
このように、本実施形態では、調停回路40は、緊急性の高い第1~第pの音声データに含まれる第jの音声データが再生中であるときに、緊急性の高い第iの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、第iの音声データのミキシング回路50への入力を開始するとともに、第jの音声データのミキシング回路50への入力を継続する。したがって、ミキシング回路50は、第iの音声データと第iの音声データに第iとをミキシングしたミキシング信号DO1を出力する。その結果、緊急性の高い第iの音声データ及び第jの音声データが、それぞれ遅延なく再生される。
【0072】
一方、調停回路40は、緊急性の高い第1~第pの音声データに含まれる第jの音声データが再生中であるときに、緊急性の低い第p+1~第nの音声データに含まれる第kの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、第jの音声データの再生が終了するまで第kの音声データのミキシング回路50への入力を遅延させる。さらに、緊急性の高い第jの音声データの再生が終了した時点において、緊急性の高い第iの音声データが再生中であれば、調停回路40は、第iの音声データの再生が終了するまで第kの音声データのミキシング回路50への入力を遅延させる。すなわち、調停回路40は、緊急性の高い第jの音声データが再生中であるときに、緊急性の低い第kの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、緊急性の高い第1~第pの音声データのいずれも再生中でなくなるまで待ってから、第kの音声データのミキシング回路50への入力を開始する。その結果、緊急性の高い第1~第pの音声データが再生中でないときに、緊急性の低い第kの音声データが再生される。
【0073】
図5に、チャネル-優先順位設定テーブル61、優先順位-ゲイン設定テーブル62、調停設定情報63及びゲイン参照テーブル64が図3のように構成されている場合に、緊急性の低い複数の音声データが第1の音声再生装置3-1によって再生される具体例を示す。図5において、Ch16,Ch15,Ch4,Ch14,Ch8は、それぞれミキシング回路50の第16の入力チャネル、第15の入力チャネル、第4の入力チャネル、第14の入力チャネル、第8の入力チャネルである。
【0074】
図5の例では、時刻t0において、第16の入力チャネルに入力される音声データDI16の再生が開始する。時刻t0から時刻t3までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI16のみであるので、ゲイン設定回路70は、第16の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG16に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0075】
次に、緊急性の低い音声データDI16の再生中の時刻t1において、通信インターフェース回路10が音源データ21-15に対する音声再生コマンドを受信し、デコーダー30が音源データ21-15を復調した音声データDI15を出力するが、音声データDI15は緊急性の低い音声データであるため、調停回路40は、音声データDI15をミキシング回路50の第15の入力チャネルに出力せずに保持する。
【0076】
次に、緊急性の低い音声データDI16の再生中の時刻t2において、通信インターフェース回路10が音源データ21-4に対する音声再生コマンドを受信し、デコーダー30が音源データ21-4を復調した音声データDI4を出力するが、音声データDI4は緊急性の低い音声データであるため、調停回路40は、音声データDI4をミキシング回路50の第4の入力チャネルに出力せずに保持する。
【0077】
次に、時刻t3において、音声データDI16の再生が停止する。このとき、第4の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr12は、第15の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr14よりも高いので、調停回路40は、保持していた緊急性の低い音声データDI16,DI4のうち、音声データDI4をミキシング回路50の第4の入力チャネルに出力し、音声データDI4の再生が開始する。時刻t3から音声データDI4の再生が停止する時刻t5までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI4のみとなるので、ゲイン設定回路70は、第4の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG4に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0078】
次に、緊急性の低い音声データDI4の再生中の時刻t4において、通信インターフェース回路10が音源データ21-14に対する音声再生コマンドを受信し、デコーダー30が音源データ21-14を復調した音声データDI14を出力するが、音声データDI14は緊急性の低い音声データであるため、調停回路40は、音声データDI14をミキシング回路50の第14の入力チャネルに出力せずに保持する。
【0079】
次に、時刻t5において、音声データDI4の再生が停止する。このとき、第15の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr14は、第14の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr15よりも高いので、調停回路40は、保持していた緊急性の低い音声データDI15,DI14のうち、音声データDI15をミキシング回路50の第15の入力チャネルに出力し、音声データDI15の再生が開始する。時刻t5から音声データDI15の再生が停止する時刻t6までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI15のみとなるので、ゲイン設定回路70は、第15の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG15に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0080】
次に、時刻t6において、音声データDI15の再生が停止する。これにより、調停回路40は、保持していた緊急性の低い音声データDI14をミキシング回路50の第14の入力チャネルに出力し、音声データDI14の再生が開始する。時刻t6から音声データDI14の再生が停止する時刻t8までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI14のみとなるので、ゲイン設定回路70は、第14の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG14に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0081】
次に、緊急性の低い音声データDI14の再生中の時刻t7において、通信インターフェース回路10が音源データ21-8に対する音声再生コマンドを受信し、デコーダー30が音源データ21-8を復調した音声データDI8を出力するが、音声データDI8は緊急性の低い音声データであるため、調停回路40は、音声データDI8をミキシング回路50の第8の入力チャネルに出力せずに保持する。
【0082】
次に、時刻t8において、音声データDI14の再生が停止する。これにより、調停回路40は、保持していた緊急性の低い音声データDI8をミキシング回路50の第8の入力チャネルに出力し、音声データDI8の再生が開始する。時刻t8から音声データDI8の再生が停止する時刻t9までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI8のみとなるので、ゲイン設定回路70は、第8の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG8に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0083】
なお、図5の例では、時刻t3及び時刻t5において、調停回路40は、保持している緊急性の低い2つの音声データのうちの優先順位の高い方の再生を優先しているが、保持を開始した時刻の早い方の再生を優先してもよい。この場合、音声データDI16,DI15,DI4,DI14,DI8は、この順に再生される。
【0084】
このように、本実施形態では、調停回路40は、緊急性の低い第p+1~第nの音声データに含まれる第jの音声データが再生中であるときに、緊急性の低い第kの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、第jの音声データの再生が終了するまで第kの音声データのミキシング回路50への入力を遅延させる。その結果、第jの音声データ及び第kの音声データは、いずれも単独で再生される。さらに、緊急性の低い第jの音声データの再生が終了した時点において、優先順位がより高く、かつ、緊急性の低い第iの音声データの再生要求があれば、調停回路40は、第iの音声データのミキシング回路50への入力を開始するとともに、第iの音声データの再生が終了するまで第kの音声データのミキシング回路50への入力を遅延させてもよい。すなわち、調停回路40は、緊急性の低い第jの音声データが再生中であるときに、緊急性の低い第kの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、優先順位がより高く、かつ、緊急性の低い音声データのいずれも再生中でなくなるまで待ってから、第kの音声データのミキシング回路50への入力を開始する。その結果、緊急性の低い複数の音声データの再生が待たされている場合、優先順位の高い順に各音声データが単独で再生される。
【0085】
以上に説明した第1実施形態の音声ミキシング装置1では、ミキシング回路50が、緊急性の高い第1~第pの音声データに含まれる再生対象の複数の音声データをミキシングしたミキシング信号DO1を出力し、音声アンプ80が、ミキシング信号DO1を音声信号DO1Xに変換して第1の音声再生装置3-1に出力する。したがって、第1実施形態の音声ミキシング装置1によれば、第1の音声再生装置3-1が、第1~第pの音声データに含まれる再生対象の複数の音声データを、いずれも遅延させずに再生させることができる。
【0086】
また、第1実施形態の音声ミキシング装置1によれば、調停回路40は、記憶回路60に記憶されているチャネル-優先順位設定テーブル61及び調停設定情報63に基づいて、再生対象の音声データをミキシングの対象とする必要があるか否かを判断することができる。また、マイクロコントロールユニット2がチャネル-優先順位設定テーブル61及び調停設定情報63を設定することにより、各音声データをミキシング対象とするか否かを任意に選択することができる。
【0087】
また、第1実施形態の音声ミキシング装置1によれば、ゲイン設定回路70が、緊急性の高い第1~第pの音声データの各々に対して、同一のゲインではなく第1~第pのゲインの各々を設定するので、ユーザーは同時に再生される複数の音声データの各々を判別しやすくなる。特に、ゲイン設定回路70が、同時に再生する複数の音声データに対して優先順位の高い音声データほど高いゲインを設定することにより、ユーザーは優先順位の高い音声データを聞き取りやすくなる。
【0088】
また、第1実施形態の音声ミキシング装置1では、ゲイン設定回路70は、第1~第pのゲインのうちの第jのゲインに第1の値を設定して緊急性の高い第1~第pの音声データのうちの第jの音声データを再生中に、第1~第pの音声データのうちの、第jの音声データよりも優先順位の高い音声データの再生が開始又は停止するコマンドが入力された場合、第jのゲインを第1の値とは異なる第2の値に設定する。したがって、第1実施形態の音声ミキシング装置1によれば、再生中の第jの音声データの優先順位が上昇又は低下した場合に、第jの音声データの再生音量を適切に変更することができる。
【0089】
また、第1実施形態の音声ミキシング装置1によれば、緊急性の低い第p+1~第nの音声データに含まれる第kの音声データの再生を、緊急性の高い第1~第pの音声データに含まれる第jの音声データの再生が終了するまで遅らせることができるので、ユーザーによる緊急性の低い第kの音声データの再生音の聞き取りが緊急性の高い第jの音声データの再生音によって妨げられるおそれが低減される。
【0090】
また、第1実施形態の音声ミキシング装置1は、音声データDI1~DInの基となる音源データ21-1~21-nを保管するメモリー20を備える。したがって、第1実施形態の音声ミキシング装置1によれば、外部から音源データ21-1~21-nを取得する必要がないので、音声データDI1~DInの再生を開始するタイミングを早めることができる。
【0091】
1-2.第2実施形態
以下、第2実施形態の音声ミキシング装置1について、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、第1実施形態と同様の説明は省略又は簡略し、主として第1実施形態と異なる内容について説明する。
【0092】
第2実施形態の音声ミキシング装置1の構成は、図1と同様であるため、その図示及び説明を省略する。また、第2実施形態におけるミキシング回路50の構成は、図2と同様であるため、その図示及び説明を省略する。
【0093】
第1実施形態では、緊急性の低い第p+1~第nの音声データに含まれる第kの音声データを再生中に、緊急性の高い第1~第pの音声データに含まれる第jの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合の調停回路40の動作について限定されていないが、第2実施形態では、調停回路40は、調停設定情報63に設定された調停モードで動作する。
【0094】
具体的には、緊急性の低い第kの音声データを再生中に、緊急性の高い第jの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、調停回路40は、調停設定情報63に第1調停モードが設定されていれば、第jの音声データのミキシング回路50への入力を開始するとともに、第kの音声データのミキシング回路50への入力を継続する。したがって、ミキシング回路50は、第jの音声データと第kの音声データとをミキシングしたミキシング信号DO1を出力する。その結果、第1の音声再生装置3-1によって、第jの音声データと第kの音声データとが同時に再生される。この場合、緊急性の高い第jの音声データの音量が緊急性の低い第kの音声データよりも小さくなるように、ゲイン設定回路70は、第kのゲインを第jのゲインよりも小さい値に設定する。
【0095】
また、緊急性の低い第kの音声データを再生中に、緊急性の高い第jの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、調停回路40は、調停設定情報63に第2調停モードが設定されていれば、第jの音声データのミキシング回路50への入力を開始するとともに、第kの音声データのミキシング回路50への入力を停止し、第jの音声データのミキシング回路50への入力を終了した後、第kの音声データのミキシング回路50への入力を先頭から開始する。したがって、ミキシング回路50は、第jの音声データを含み、かつ、第kの音声データを含まないミキシング信号DO1を出力した後、あらためて、第kの音声データを含み、かつ、第jの音声データを含まないミキシング信号DO1を出力する。その結果、第1の音声再生装置3-1によって、第jの音声データが再生された後に第kの音声データが再生される。
【0096】
また、緊急性の低い第kの音声データを再生中に、緊急性の高い第jの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、調停回路40は、調停設定情報63に第3調停モードが設定されていれば、第jの音声データのミキシング回路50への入力を開始するとともに、第kの音声データのミキシング回路50への入力を中断し、第jの音声データのミキシング回路50への入力を終了した後、第kの音声データのミキシング回路50への入力を、中断した位置から再開する。したがって、ミキシング回路50は、第kの音声データを含み、かつ、第jの音声データを含まないミキシング信号DO1の出力を開始してから終了するまでの間の一部の期間に、第jの音声データを含み、かつ、第kの音声データを含まないミキシング信号DO1を出力する。その結果、第1の音声再生装置3-1によって、第kの音声データの再生が中断されて、第jの音声データが再生される。
【0097】
図6に、調停設定情報63に第1調停モードが設定されている場合に、第1の音声再生装置3-1によって緊急性の低い音声データの再生中に緊急性の高い音声データが再生される具体例を示す。図6の例では、チャネル-優先順位設定テーブル61、優先順位-ゲイン設定テーブル62、調停設定情報63及びゲイン参照テーブル64が図3のように構成されているものとする。
【0098】
図6の例では、時刻t0において、第8の入力チャネルに入力される緊急性の低い音声データDI8の再生が開始する。時刻t0から時刻t1までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI8のみであるので、ゲイン設定回路70は、第8の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG8に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0099】
次に、時刻t1において、第10の入力チャネルに入力される緊急性の高い音声データDI10の再生が開始する。その結果、時刻t1から時刻t2までの期間において、音声データDI8と音声データDI10とが第1の音声再生装置3-1によって同時に再生されることになる。第10の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr3は、第8の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr11よりも高いので、ゲイン設定回路70は、第10の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定し、第8の入力チャネルに2番目に高い優先順位Pr2を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG10に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定し、ゲインG8に、優先順位Pr2に対応づけられるゲイン設定値0x0Cに対応する-3dBのゲイン値を設定する。
【0100】
次に、時刻t2において、第9の入力チャネルに入力される緊急性の高い音声データDI9の再生が開始する。その結果、時刻t2から時刻t3までの期間において、音声データDI8と音声データDI10と音声データDI9とが第1の音声再生装置3-1によって同時に再生されることになる。第9の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr1は、第10の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr3及び第8の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr11よりも高く、第10の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr3は、第8の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr11よりも高いので、ゲイン設定回路70は、第9の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定し、第10の入力チャネルに2番目に高い優先順位Pr2を再設定し、第8の入力チャネルに3番目に高い優先順位Pr3を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG9に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定し、ゲインG10に、優先順位Pr2に対応づけられるゲイン設定値0x0Cに対応する-3dBのゲイン値を設定し、ゲインG8に、優先順位Pr3に対応づけられるゲイン設定値0x18に対応する-6dBのゲイン値を設定する。
【0101】
次に、時刻t3において、音声データDI10の再生が停止する。その結果、時刻t3から時刻t4までの期間において、音声データDI8と音声データDI9とが第1の音声再生装置3-1によって同時に再生されることになる。第9の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr1は、第8の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr11よりも高いので、ゲイン設定回路70は、第9の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定し、第8の入力チャネルに2番目に高い優先順位Pr2を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG9に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定し、ゲインG8に、優先順位Pr2に対応づけられるゲイン設定値0x0Cに対応する-3dBのゲイン値を設定する。
【0102】
次に、時刻t4において、音声データDI9の再生が停止する。その結果、時刻t4から音声データDI8の再生が停止する時刻t5までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI8のみとなるので、ゲイン設定回路70は、第8の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG8に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0103】
このように、本実施形態では、緊急性の低い第kの音声データを再生中に、緊急性の高い第jの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、調停回路40は、調停設定情報63に第1調停モードが設定されていれば、第jの音声データのミキシング回路50への入力を開始するとともに、第kの音声データのミキシング回路50への入力を継続する。したがって、ミキシング回路50は、第jの音声データと第kの音声データとをミキシングしたミキシング信号DO1を出力する。その結果、緊急性の高い第jの音声データと緊急性の低い第kの音声データが、それぞれ遅延なく再生される。
【0104】
図7に、調停設定情報63に第2調停モードが設定されている場合に、第1の音声再生装置3-1によって緊急性の低い音声データの再生中に緊急性の高い音声データが再生される具体例を示す。図7の例では、チャネル-優先順位設定テーブル61、優先順位-ゲイン設定テーブル62、調停設定情報63及びゲイン参照テーブル64が図3のように構成されているものとする。
【0105】
図7の例では、時刻t0において、第8の入力チャネルに入力される緊急性の低い音声データDI8の再生が開始する。時刻t0から時刻t1までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI8のみであるので、ゲイン設定回路70は、第8の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG8に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0106】
次に、時刻t1において、第10の入力チャネルに入力される緊急性の高い音声データDI10の再生が開始するとともに、緊急性の低い音声データDI8の再生が停止する。その結果、時刻t1から時刻t2までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI10のみとなるので、ゲイン設定回路70は、第10の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG10に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0107】
次に、時刻t2において、第9の入力チャネルに入力される緊急性の高い音声データDI9の再生が開始する。その結果、時刻t2から時刻t3までの期間において、音声データDI10と音声データDI9とが第1の音声再生装置3-1によって同時に再生されることになる。第9の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr1は、第10の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr3よりも高いので、ゲイン設定回路70は、第9の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定し、第10の入力チャネルに2番目に高い優先順位Pr2を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG9に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定し、ゲインG10に、優先順位Pr2に対応づけられるゲイン設定値0x0Cに対応する-3dBのゲイン値を設定する。
【0108】
次に、時刻t3において、音声データDI10の再生が停止する。その結果、時刻t3から時刻t4までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI9のみとなるので、ゲイン設定回路70は、第9の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG9に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0109】
次に、時刻t4において、音声データDI9の再生が停止するとともに、緊急性の低い音声データDI8の再生が先頭から開始する。その結果、時刻t4から音声データDI8の再生が停止する時刻t5までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI8のみとなるので、ゲイン設定回路70は、第8の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG8に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0110】
このように、本実施形態では、緊急性の低い第kの音声データを再生中に、緊急性の高い第jの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、調停回路40は、調停設定情報63に第2調停モードが設定されていれば、第jの音声データのミキシング回路50への入力を開始するとともに、第kの音声データのミキシング回路50への入力を停止し、第jの音声データのミキシング回路50への入力を終了した後、第kの音声データのミキシング回路50への入力を先頭から開始する。したがって、ミキシング回路50は、第jの音声データを含み、かつ、第kの音声データを含まないミキシング信号DO1を出力した後、あらためて、第kの音声データを含み、かつ、第jの音声データを含まないミキシング信号DO1を出力する。その結果、第1の音声再生装置3-1によって、緊急性の高い第jの音声データが遅延なく再生された後に、緊急性の低い第kの音声データが先頭から再生される。なお、調停回路40は、デコーダー30から入力される第kの音声データを先頭から保持しておき、第jの音声データの再生が終了した後、保持していた第kの音声データを先頭からミキシング回路50に出力する。
【0111】
図8に、調停設定情報63に第3調停モードが設定されている場合に、第1の音声再生装置3-1によって緊急性の低い音声データの再生中に緊急性の高い音声データが再生される具体例を示す。図8の例では、チャネル-優先順位設定テーブル61、優先順位-ゲイン設定テーブル62、調停設定情報63及びゲイン参照テーブル64が図3のように構成されているものとする。
【0112】
図8の例では、時刻t0において、第8の入力チャネルに入力される緊急性の低い音声データDI8の再生が開始する。時刻t0から時刻t1までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI8のみであるので、ゲイン設定回路70は、第8の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG8に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0113】
次に、時刻t1において、第10の入力チャネルに入力される緊急性の高い音声データDI10の再生が開始するとともに、緊急性の低い音声データDI8の再生が中断する。その結果、時刻t1から時刻t2までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI10のみとなるので、ゲイン設定回路70は、第10の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG10に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0114】
次に、時刻t2において、第9の入力チャネルに入力される緊急性の高い音声データDI9の再生が開始する。その結果、時刻t2から時刻t3までの期間において、音声データDI10と音声データDI9とが第1の音声再生装置3-1によって同時に再生されることになる。第9の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr1は、第10の入力チャネルに対応づけられる優先順位Pr3よりも高いので、ゲイン設定回路70は、第9の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定し、第10の入力チャネルに2番目に高い優先順位Pr2を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG9に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定し、ゲインG10に、優先順位Pr2に対応づけられるゲイン設定値0x0Cに対応する-3dBのゲイン値を設定する。
【0115】
次に、時刻t3において、音声データDI10の再生が停止する。その結果、時刻t3から時刻t4までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI9のみとなるので、ゲイン設定回路70は、第9の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG9に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0116】
次に、時刻t4において、音声データDI9の再生が停止するとともに、緊急性の低い音声データDI8の再生が、時刻t1において中断した位置から開始する。その結果、時刻t4から音声データDI8の再生が停止する時刻t5までの期間において、第1の音声再生装置3-1によって再生される音声データは音声データDI8のみとなるので、ゲイン設定回路70は、第8の入力チャネルに最も高い優先順位Pr1を再設定する。そして、ゲイン設定回路70は、ゲインG8に、優先順位Pr1に対応づけられるゲイン設定値0x00に対応する0dBのゲイン値を設定する。
【0117】
このように、本実施形態では、緊急性の低い第kの音声データを再生中に、緊急性の高い第jの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、調停回路40は、調停設定情報63に第3調停モードが設定されていれば、第jの音声データのミキシング回路50への入力を開始するとともに、第kの音声データのミキシング回路50への入力を中断し、第jの音声データのミキシング回路50への入力を終了した後、第kの音声データのミキシング回路50への入力を、中断した位置から再開する。したがって、ミキシング回路50は、第kの音声データを含み、かつ、第jの音声データを含まないミキシング信号DO1の出力を開始してから終了するまでの間の一部の期間に、第jの音声データを含み、かつ、第kの音声データを含まないミキシング信号DO1を出力する。その結果、第1の音声再生装置3-1によって、緊急性の低い第kの音声データの再生が中断されて、緊急性の高い第jの音声データが再生される。なお、調停回路40は、デコーダー30から入力される第kの音声データを、再生を中断した位置から保持しておき、第jの音声データの再生が終了した後、保持していた第kの音声データを、中断した位置からミキシング回路50に出力する。
【0118】
以上に説明した第2実施形態の音声ミキシング装置1によれば、第1実施形態の音声ミキシング装置1と同様の効果を奏する。さらに、第2実施形態の音声ミキシング装置1によれば、緊急性の低い第kの音声データを再生中に、緊急性の高い第jの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、調停設定情報63に第1調停モードが設定されていれば、緊急性の高い第jの音声データと緊急性の低い第kの音声データをいずれも遅延させずに再生することができる。さらに、第kの音声データの再生音量が第jの音声データの再生音量よりも小さくなるので、ユーザーによる緊急性の高い第jの音声データの再生音の聞き取りが緊急性の低い第kの音声データの再生音によって妨げられるおそれが低減される。
【0119】
また、第2実施形態の音声ミキシング装置1によれば、緊急性の低い第kの音声データを再生中に、緊急性の高い第jの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、調停設定情報63に第2調停モード又は第3調停モードが設定されていれば、緊急性の高い第jの音声データを遅延させずに再生することができる。さらに、第jの音声データの再生が終了した後に第kの音声データが先頭又は中断した位置から再生されるので、ユーザーによる緊急性の低い第kの音声データの再生音の聞き取りが緊急性の高い第jの音声データの再生音によって妨げられるおそれが低減される。
【0120】
1-3.第3実施形態
以下、第3実施形態の音声ミキシング装置1について、第1実施形態又は第2実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、第1実施形態又は第2実施形態と同様の説明は省略又は簡略し、主として第1実施形態及び第2実施形態と異なる内容について説明する。
【0121】
図9は、第3実施形態の音声ミキシング装置1の構成例を示す図である。図9に示すように、第3実施形態の音声ミキシング装置1は、第1実施形態又は第2実施形態と同様、通信インターフェース回路10、メモリー20、デコーダー30、調停回路40、ミキシング回路50、記憶回路60、ゲイン設定回路70及び音声アンプ80を備え、保護回路90をさらに備える。第3実施形態の音声ミキシング装置1は、1チップの半導体集積回路装置であってもよいし、複数チップの半導体集積回路装置で構成されてもよいし、少なくとも一部が半導体集積回路装置以外の電子部品で構成されてもよい。
【0122】
メモリー20、デコーダー30、調停回路40及びゲイン設定回路70の機能及び構成は、第1実施形態又は第2実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0123】
記憶回路60には、第1実施形態又は第2実施形態と同様、チャネル-優先順位設定テーブル61、優先順位-ゲイン設定テーブル62、調停設定情報63及びゲイン参照テーブル64が記憶されており、さらに、優先選択テーブル65が記憶されている。チャネル-優先順位設定テーブル61、優先順位-ゲイン設定テーブル62、調停設定情報63及びゲイン参照テーブル64の機能及び構成は、第1実施形態又は第2実施形態と同様であるため、その説明を省略する。優先選択テーブル65の機能及び構成については後述する。
【0124】
通信インターフェース回路10は、第1実施形態と同様、マイクロコントロールユニット2から、音源データ21-iに対する音声再生コマンド又は音声停止コマンド、チャネル-優先順位設定テーブル61、優先順位-ゲイン設定テーブル62又は調停設定情報63に対するデータ書き込みコマンドを受信し、受信した各コマンドに応じた制御信号を生成する。さらに、第3実施形態では、通信インターフェース回路10は、優先選択テーブル65に対するデータ書き込みコマンドを受信した場合、コマンドで指定されたアドレスに指定されたデータを書き込むための制御信号を生成する。
【0125】
音声アンプ80は、第1実施形態と同様、ミキシング回路50から出力されるミキシング信号DO1を音声信号DOX1に変換して第1の音声再生装置3-1に出力する。さらに、第3実施形態では、音声アンプ80は、音声信号DOX1が正常であるか異常であるかを判定し、音声信号DOX1が異常であると判定した場合、ミキシング回路50に異常検知信号ERR1を出力する。
【0126】
ミキシング回路50は、第1実施形態と同様、ミキシング信号DO1を出力し、さらに、音声信号DO2~DOmを第2~第mの音声再生装置3-2~3-mに出力してもよい。さらに、第3実施形態では、ミキシング回路50は、音声アンプ80から出力される異常検知信号ERR1が入力された場合、ミキシング信号DO1を第2~第mの音声再生装置3-2~3-mのいずれか1つに出力する。特に、整数mを3以上の整数とし、ミキシング回路50は、異常検知信号ERR1が入力された場合、優先選択テーブル65に基づいて、第2~第mの音声再生装置3-2~3-mのいずれか1つを選択し、選択した第2~第mの音声再生装置3-2~3-mのいずれか1つにミキシング信号DO1を出力する。
【0127】
記憶回路60に記憶されている優先選択テーブル65は、ミキシング回路50に異常検知信号ERR1が入力された場合に、ミキシング信号DO1の出力先として第2~第mの出力チャネルの各々を選択する優先順位が設定されたテーブルである。優先選択テーブル65は、不図示のRAMやレジスターに記憶されており、音声ミキシング装置1の外部から入力されるコマンドによって書き換えられる。
【0128】
例えば、ミキシング回路50は、異常検知信号ERR1が入力された場合、第2~第mの音声再生装置3-2~3-mのうち、優先選択テーブル65において最も高い優先順位が指定された第iの音声再生装置3-iを選択し、選択した第iの音声再生装置3-iにミキシング信号DO1を出力してもよい。
【0129】
保護回路90は、音声信号DO2~DOmをそれぞれ音声信号DOX2~DOXmとして第2~第mの音声再生装置3-2~3-mに出力するとともに、音声信号DOX2~DOXmの各々が正常であるか異常であるかを判定する。そして、保護回路90は、音声信号DOX2~DOXmがそれぞれ異常であると判定した場合、ミキシング回路50に異常検知信号ERR2~ERRmを出力する。
【0130】
例えば、ミキシング回路50は、異常検知信号ERR1が入力された場合、異常検知信号ERR2~ERRmのうちの異常検知信号ERRjが入力されていれば、第2~第mの音声再生装置3-2~3-mのうち、優先選択テーブル65において第jの音声再生装置3-jを除いて最も高い優先順位が指定された第kの音声再生装置3-kにミキシング信号DO1を出力してもよい。
【0131】
なお、音声ミキシング装置1は、保護回路90を備えていなくてもよい。
【0132】
図10は、第3実施形態におけるミキシング回路50、音声アンプ80及び保護回路90の具体的な構成例を示す図である。図10の例では、ミキシング回路50は、16個の入力チャネルと5個の出力チャネルを有する。すなわち、図10は、図9において、整数nが16であり、整数mが5の場合の例を示している。
【0133】
図10の例において、音声アンプ80は、駆動回路81と、保護回路82と、を含む。駆動回路81は、ミキシング信号DO1を音声信号DOX1に変換して第1の音声再生装置3-1に出力する。図10の例では、音声信号DOX1は、差動の音声信号DOX1_P,DOX1_Nである。これにより、第1の音声再生装置3-1から、音声信号DOX1_P,DOX1_Nに応じた音声が出力される。
【0134】
保護回路82は、音声信号DOX1_P,DOX1_Nが正常であるか異常であるかを判定し、音声信号DOX1_P,DOX1_Nが異常であると判定した場合、ミキシング回路50のスイッチ制御回路57に異常検知信号ERR1を出力する。例えば、保護回路82は、音声信号DOX1_P,DOX1_Nが出力される信号線や駆動回路81の内部の信号線を流れる電流を計測し、計測値が所定の値よりも高い場合に過電流を検知して異常検知信号ERR1を出力してもよい。また、保護回路82は、音声信号DOX1_P,DOX1_Nの論理レベルが所定時間以上ハイレベルである場合に異常検知信号ERR1を出力してもよい。
【0135】
保護回路90は、4個の波形比較回路91-1~91-4を含む。
【0136】
波形比較回路91-1は、音声信号DO2を音声信号DOX2として第2の音声再生装置3-2に出力する。また、波形比較回路91-1は、音声信号DOX2の波形を音声信号DO2の波形と比較し、これらの波形の差に基づいて音声信号DOX2が正常であるか異常であるかを判定し、音声信号DOX2が異常であると判定した場合、ミキシング回路50のスイッチ制御回路57に異常検知信号ERR2を出力する。
【0137】
波形比較回路91-2は、音声信号DO3を音声信号DOX3として第3の音声再生装置3-3に出力する。また、波形比較回路91-2は、音声信号DOX3の波形を音声信号DO3の波形と比較し、これらの波形の差に基づいて音声信号DOX3が正常であるか異常であるかを判定し、音声信号DOX3が異常であると判定した場合、ミキシング回路50のスイッチ制御回路57に異常検知信号ERR3を出力する。
【0138】
波形比較回路91-3は、音声信号DO4を音声信号DOX4として第4の音声再生装置3-4に出力する。また、波形比較回路91-3は、音声信号DOX4の波形を音声信号DO4の波形と比較し、これらの波形の差に基づいて音声信号DOX4が正常であるか異常であるかを判定し、音声信号DOX4が異常であると判定した場合、ミキシング回路50のスイッチ制御回路57に異常検知信号ERR4を出力する。
【0139】
波形比較回路91-4は、音声信号DO5を音声信号DOX5として第5の音声再生装置3-5に出力する。また、波形比較回路91-4は、音声信号DOX5の波形を音声信号DO5の波形と比較し、これらの波形の差に基づいて音声信号DOX5が正常であるか異常であるかを判定し、音声信号DOX5が異常であると判定した場合、ミキシング回路50のスイッチ制御回路57に異常検知信号ERR5を出力する。
【0140】
ミキシング回路50は、図2と同様、16個の乗算器51-1~51-16と、16個のスイッチ回路52-1~52-16と、加算器53と、選択回路54と、を含む。さらに、図10の例では、ミキシング回路50は、スイッチ回路55と、4個のスイッチ回路56-1~56-4と、スイッチ制御回路57と、を含む。
【0141】
乗算器51-1~51-16及びスイッチ回路52-1~52-16の機能及び構成は、図2と同様であるため、その説明を省略する。
【0142】
加算器53には、スイッチ回路52-1~52-16を介して、乗算データDX1~DX16が入力される。そして、加算器53は、乗算データDX1~DX16のうちの入力されるすべての乗算データを加算したミキシング信号DO1’を出力する。
【0143】
選択回路54は、乗算データDX1~DX16からいずれか1つを選択して音声信号DO2’として第2の出力チャネルからスイッチ回路56-1に出力し、あるいは、乗算データDX1~DX16のいずれも選択せずに無音の音声信号DO2’をスイッチ回路56-1に出力する。
【0144】
また、選択回路54は、乗算データDX1~DX16からいずれか1つを選択して音声信号DO3’として第3の出力チャネルからスイッチ回路56-2に出力し、あるいは、乗算データDX1~DX16のいずれも選択せずに無音の音声信号DO3’をスイッチ回路56-2に出力する。
【0145】
また、選択回路54は、乗算データDX1~DX16からいずれか1つを選択して音声信号DO4’として第4の出力チャネルからスイッチ回路56-3に出力し、あるいは、乗算データDX1~DX16のいずれも選択せずに無音の音声信号DO4’をスイッチ回路56-3に出力する。
【0146】
また、選択回路54は、乗算データDX1~DX16からいずれか1つを選択して音声信号DO5’として第5の出力チャネルからスイッチ回路56-4に出力し、あるいは、乗算データDX1~DX16のいずれも選択せずに無音の音声信号DO5’をスイッチ回路56-4に出力する。
【0147】
選択回路54は、通信インターフェース回路10から出力される制御信号に応じて、乗算データDX1~DX16を、それぞれ音声信号DO2’~DO5’のいずれかとして出力するか否かを選択する。すなわち、マイクロコントロールユニット2は、音声ミキシング装置1に所定のコマンドを出力することによって、乗算データDX1~DX16を、それぞれ音声信号DO2’~DO5’のいずれかとして出力するか否かを設定可能である。
【0148】
スイッチ回路55は、加算器53から出力されるミキシング信号DO1’を、ミキシング信号DO1として第1の出力チャネルから音声アンプ80の駆動回路81に出力するか、スイッチ回路56-1~56-4に出力するかを切り替える。
【0149】
スイッチ回路56-1は、音声信号DO2’とミキシング信号DO1’のいずれかを選択し、音声信号DO2として第2の出力チャネルから第2の音声再生装置3-2に出力する。
【0150】
スイッチ回路56-2は、音声信号DO3’とミキシング信号DO1’のいずれかを選択し、音声信号DO3として第3の出力チャネルから第3の音声再生装置3-3に出力する。
【0151】
スイッチ回路56-3は、音声信号DO4’とミキシング信号DO1’のいずれかを選択し、音声信号DO4として第4の出力チャネルから第4の音声再生装置3-4に出力する。
【0152】
スイッチ回路56-4は、音声信号DO5’とミキシング信号DO1’のいずれかを選択し、音声信号DO5として第5の出力チャネルから第5の音声再生装置3-5に出力する。
【0153】
スイッチ制御回路57は、異常検知信号ERR1~ERR5に基づいて、スイッチ回路55及びスイッチ回路56-1~56-4を制御する。具体的には、スイッチ制御回路57は、異常検知信号ERR1が入力されない場合、すなわち、第1の音声再生装置3-1に出力される音声信号DOX1が正常である場合は、ミキシング信号DO1’がミキシング信号DO1として第1の出力チャネルから出力されるようにスイッチ回路55を制御するとともに、音声信号DO2’~DO5’がそれぞれ音声信号DO2~DO5として第2~第5の出力チャネルから出力されるようにスイッチ回路56-1~56-4を制御する。
【0154】
また、スイッチ制御回路57は、異常検知信号ERR1が入力された場合、すなわち、第1の音声再生装置3-1に出力される音声信号DOX1が異常である場合は、ミキシング信号DO1’がスイッチ回路56-1~56-4に出力されるようにスイッチ回路55を制御するとともに、異常検知信号ERR2~ERR5及び優先選択テーブル65に基づいて、ミキシング信号DO1’が第2~第5の出力チャネルのいずれか1つから出力されるようにスイッチ回路56-1~56-4を制御する。具体的には、スイッチ制御回路57は、異常検知信号ERR1が入力された場合、優先選択テーブル65を参照し、対応する異常検知信号が入力されていない1又は複数の出力チャネルのうち、最も優先順位の高い第iの出力チャネルを特定し、ミキシング信号DO1’が第iの出力チャネルから出力されるようにスイッチ回路55,56-1~56-4を制御する。
【0155】
図11は、ミキシング回路50が図10のように構成されている場合の優先選択テーブル65の一例を示す図である。図11において、Ch2~Ch5は、それぞれミキシング回路50の第2~第5の出力チャネルである。図11の例では、優先選択テーブル65において、第2の出力チャネルには最も高い優先順位Pr1が対応づけられ、第3の出力チャネルには2番目に高い優先順位Pr2が対応づけられ、第4の出力チャネルには3番目に高い優先順位Pr3が対応づけられ、第5の入力チャネルには最も低い優先順位Pr4が対応づけられている。
【0156】
図11の例では、スイッチ制御回路57は、第1の音声再生装置3-1によってミキシング信号DO1’に対応する音声が再生されている時に異常検知信号ERR1が入力された場合、異常検知信号ERR2が入力されていなければ、すなわち、音声信号DOX1が異常であり、かつ、音声信号DOX2が正常であれば、ミキシング信号DO1’が第2の出力チャネルから出力されるようにスイッチ回路55,56-1を切り替える。これにより、第1の音声再生装置3-1による音声再生が停止し、第2の音声再生装置3-2によってミキシング信号DO1’に対応する音声が再生される。
【0157】
また、スイッチ制御回路57は、第1の音声再生装置3-1によってミキシング信号DO1’に対応する音声が再生されている時に異常検知信号ERR1が入力された場合、異常検知信号ERR2が入力されており、かつ、異常検知信号ERR3が入力されていなければ、すなわち、音声信号DOX1,DOX2が異常であり、かつ、音声信号DOX3が正常であれば、ミキシング信号DO1’が第3の出力チャネルから出力されるようにスイッチ回路55,56-2を切り替える。これにより、第1の音声再生装置3-1による音声再生が停止し、第3の音声再生装置3-3によってミキシング信号DO1’に対応する音声が再生される。
【0158】
また、スイッチ制御回路57は、第1の音声再生装置3-1によってミキシング信号DO1’に対応する音声が再生されている時に異常検知信号ERR1が入力された場合、異常検知信号ERR2,ERR3が入力されており、かつ、異常検知信号ERR4が入力されていなければ、すなわち、音声信号DOX1,DOX2,DOX3が異常であり、かつ、音声信号DOX4が正常であれば、ミキシング信号DO1’が第4の出力チャネルから出力されるようにスイッチ回路55,56-3を切り替える。これにより、第1の音声再生装置3-1による音声再生が停止し、第4の音声再生装置3-4によってミキシング信号DO1’に対応する音声が再生される。
【0159】
また、スイッチ制御回路57は、第1の音声再生装置3-1によってミキシング信号DO1’に対応する音声が再生されている時に異常検知信号ERR1が入力された場合、異常検知信号ERR2,ERR3,ERR4が入力されており、かつ、異常検知信号ERR5が入力されていなければ、すなわち、音声信号DOX1,DOX2,DOX3,DOX4が異常であり、かつ、音声信号DOX5が正常であれば、ミキシング信号DO1’が第5の出力チャネルから出力されるようにスイッチ回路55,56-4を切り替える。これにより、第1の音声再生装置3-1による音声再生が停止し、第5の音声再生装置3-5によってミキシング信号DO1’に対応する音声が再生される。
【0160】
以上に説明した第3実施形態の音声ミキシング装置1によれば、第1実施形態又は第2実施形態の音声ミキシング装置1と同様の効果を奏する。さらに、第3実施形態の音声ミキシング装置1では、音声アンプ80は、音声信号DOX1が異常であると判定した場合、ミキシング回路50に異常検知信号ERR1を出力し、ミキシング回路50は、異常検知信号ERR1が入力された場合、ミキシング信号DO1’を第2~第mの音声再生装置3-2~3-mのいずれか1つに出力する。具体的には、ミキシング回路50は、異常検知信号ERR1が入力された場合、優先選択テーブル65と異常検知信号ERR2~ERRmに基づいて、第2~第mの音声再生装置3-2~3-mのうち、再生可能な最も優先順位の高い1つを選択してミキシング信号DO1’を出力する。したがって、第3実施形態の音声ミキシング装置1によれば、第1の音声再生装置3-1又は音声アンプ80に異常が生じた場合でも、第2~第mの音声再生装置3-2~3-mのいずれか1つが、緊急性の高い第1~第pの音声データに含まれる複数の音声データをいずれも遅延させずに再生することができる。
【0161】
1-4.第4実施形態
以下、第4実施形態の音声ミキシング装置1について、第1実施形態、第2実施形態又は第3実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、第1実施形態、第2実施形態又は第3実施形態と同様の説明は省略又は簡略し、主として第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態と異なる内容について説明する。
【0162】
図12は、第4実施形態の音声ミキシング装置1の構成例を示す図である。図12に示すように、第4実施形態の音声ミキシング装置1は、図9に示した第2実施形態の音声ミキシング装置1に対して、メモリー20に代えてメモリーインターフェース回路100を備える。
【0163】
メモリーインターフェース回路100は、音声ミキシング装置1の外部のメモリー110から音源データ111-1~111-nを受信する。メモリーインターフェース回路100は、例えば、QSPIインターフェース回路であってもよい。QSPIはQuad Serial Peripheral Interfaceの略である。
【0164】
メモリーインターフェース回路100は、通信インターフェース回路10から出力される音源データ111-iに対する音声再生を指示する制御信号に応じて、メモリー110から音源データ111-iを読み出し、読み出した音源データ111-iをデコーダー30の第iの入力チャネルに出力する。
【0165】
メモリー110は、n個の音源データ111-1~111-nを保管する。すなわち、メモリー110には、n個の音源データ111-1~111-nが記憶されている。メモリー110は、例えば、フラッシュメモリーであってもよい。音源データ111-1~111-nは、それぞれ、例えば、パルス符号変調(PCM)された音声データであってもよいし、適応的差分パルス符号変調(ADPCM)された音声データであってもよい。音声データは、例えば、人が発話する際の声を模した音声、機械的な警告音や効果音等の各種の音のデータであってもよい。
【0166】
デコーダー30は、通信インターフェース回路10から出力される音源データ111-iに対する音声再生を指示する制御信号に応じて、第iの入力チャネルの音源データ111-iをデコードして音声データDIiを復調する。そして、調停回路40は、音声データDIiが緊急性の高い第1~第pの音声データのいずれかであれば、音声データDIiをミキシング回路50に直ちに出力する。また、調停回路40は、音声データDIiが緊急性の低い第p+1~第nの音声データのいずれかであれば、緊急性の高い第1~第pの音声データのいずれも再生中でなくなるまで待ってから、音声データDIiをミキシング回路50に出力する。このように、メモリー110が保管する音源データ111-1~111-nは、ミキシング回路50に入力される第1~第nの音声データの基となるデータである。
【0167】
第4実施形態の音声ミキシング装置1のその他の構成及び機能は、第3実施形態の音声ミキシング装置1と同様であるため、その説明を省略する。
【0168】
なお、第4実施形態の音声ミキシング装置1は、図1に示した音声ミキシング装置1に対して、メモリー20に代えてメモリーインターフェース回路100を備えた構成であってもよい。
【0169】
以上に説明した第4実施形態の音声ミキシング装置1によれば、第1実施形態、第2実施形態又は第3実施形態の音声ミキシング装置1と同様の効果を奏する。さらに、第4実施形態の音声ミキシング装置1は、外部のメモリー110から音源データ111-1~111-nを受信するメモリーインターフェース回路100を備える。したがって、第4実施形態の音声ミキシング装置1によれば、メモリーインターフェース回路100を介して、外部のメモリー110から音源データ111-1~111-nを受信することができるので、音源データ111-1~111-nを保管するメモリーを内蔵する必要がなく、回路サイズを低減させることができる。
【0170】
1-5.第5実施形態
以下、第5実施形態の音声ミキシング装置1について、第1実施形態、第2実施形態又は第3実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、第1実施形態、第2実施形態又は第3実施形態と同様の説明は省略又は簡略し、主として第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態と異なる内容について説明する。
【0171】
図13は、第5実施形態の音声ミキシング装置1の構成例を示す図である。図13に示すように、第5実施形態の音声ミキシング装置1は、図9に示した第2実施形態の音声ミキシング装置1に対して、メモリー20に代えて通信インターフェース回路12を備える。
【0172】
通信インターフェース回路12は、音声ミキシング装置1の外部のマイクロコントロールユニット2から音源データ121-1~121-nを受信する。通信インターフェース回路12は、例えば、TDMインターフェース回路であってもよいし、I2Sインターフェース回路であってもよい。TDMはtime division multiplexingの略であり、I2SはInter-IC Soundの略である。
【0173】
マイクロコントロールユニット2は、通信インターフェース回路10に、音源データ121-iに対する音声再生コマンドを送信するとともに、通信インターフェース回路12に、音源データ121-iを送信する。通信インターフェース回路12は、マイクロコントロールユニット2から音源データ121-iを受信し、受信した音源データ121-iをデコーダー30の第iの入力チャネルに出力する。
【0174】
マイクロコントロールユニット2は、音源データ121-1~121-nの少なくとも一部を不図示の内蔵メモリーに保管していてもよい。また、マイクロコントロールユニット2の外部の不図示のメモリーが音源データ121-1~121-nの少なくとも一部を保管し、マイクロコントロールユニット2が当該メモリーから音源データ121-iを読み出して通信インターフェース回路12に送信してもよい。
【0175】
デコーダー30は、通信インターフェース回路10から出力される音源データ111-iに対する音声再生を指示する制御信号に応じて、第iの入力チャネルの音源データ111-iをデコードして音声データDIiを復調する。そして、調停回路40は、音声データDIiが緊急性の高い第1~第pの音声データのいずれかであれば、音声データDIiをミキシング回路50に直ちに出力する。また、調停回路40は、音声データDIiが緊急性の低い第p+1~第nの音声データのいずれかであれば、緊急性の高い第1~第pの音声データのいずれも再生中でなくなるまで待ってから、音声データDIiをミキシング回路50に出力する。このように、メモリー110が保管する音源データ111-1~111-nは、ミキシング回路50に入力される第1~第nの音声データの基となるデータである。
【0176】
第5実施形態の音声ミキシング装置1のその他の構成及び機能は、第3実施形態の音声ミキシング装置1と同様であるため、その説明を省略する。
【0177】
なお、第5実施形態の音声ミキシング装置1は、図1に示した音声ミキシング装置1に対して、メモリー20に代えて通信インターフェース回路12を備えた構成であってもよい。また、第5実施形態の音声ミキシング装置1は、通信インターフェース回路10が複数のマイクロコントロールユニット2から各種のコマンドを受信し、通信インターフェース回路12が複数のマイクロコントロールユニット2から複数の音源データを受信してもよい。
【0178】
以上に説明した第5実施形態の音声ミキシング装置1によれば、第1実施形態、第2実施形態又は第3実施形態の音声ミキシング装置1と同様の効果を奏する。さらに、第5実施形態の音声ミキシング装置1は、外部のマイクロコントロールユニット2から音源データ121-1~121-nを受信する通信インターフェース回路12を備える。したがって、第5実施形態の音声ミキシング装置1によれば、通信インターフェース回路12を介して、外部のマイクロコントロールユニット2から音源データ121-1~121-nを受信することができるので、音源データ121-1~121-nを保管するメモリーを内蔵する必要がなく、回路サイズを低減させることができる。
【0179】
1-6.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0180】
例えば、上記の各実施形態では、調停設定情報63は、ミキシング回路50の第1~第nの入力チャネルのうち、優先順位がp番目又はp+1番目の入力チャネルの情報、すなわち、緊急性の高いp個の音声データと緊急性の低いn-p個の音声データとの境界となる優先順位の情報を含むが、これに限られず、調停設定情報63は、調停回路40が第iの入力チャネルへの音声データDIiの入力を調停する必要があるか否かを判断可能な情報であればよい。例えば、調停設定情報63は、第1~第nの入力チャネルのそれぞれと調停の必要性の有無との関係を規定するテーブル情報を含んでもよい。この場合、調停回路40は、調停設定情報63に基づいて、再生対象の音声データDIiの調停の必要性の有無を、第iのチャネルの優先順位とは無関係に判断することができる。
【0181】
また、上記の各実施形態では、チャネル-優先順位設定テーブル61を規定しており、第1~第nの入力チャネルの優先順位を任意に設定可能であるが、第1~第nの入力チャネルの優先順位が固定されていてもよい。例えば、第iの入力チャネルがi番目の優先順位に固定され、記憶回路60は、チャネル-優先順位設定テーブル61に代えて、n個の音源データ21-1~21-nとミキシング回路50の第1~第nの入力チャネルとの対応関係を規定する音源データ-チャネル設定テーブルを記憶しておき、調停回路40は、音源データ-チャネル設定テーブルを参照して、第1~第pの入力チャネルに緊急性の高い第1~第pの音声データを出力し、第p+1~第nの入力チャネルに緊急性の低い第p+1~第nの音声データを出力してもよい。この場合、調停設定情報63は、第pの入力チャネル又は第p+1の入力チャネルの情報を含み、調停回路40は、調停設定情報63に基づいて再生対象の第iの音声データが緊急性の高い音声データであるか緊急性の低い音声データであるかを判断してもよい。
【0182】
また、上記の各実施形態では、調停回路40は、デコーダー30から緊急性の低い音声データが入力された場合、緊急性の高いp個の音声データのいずれも再生中でなくなるまで、当該緊急性の低い音声データを保持してのミキシング回路50への入力を遅延させるが、調停回路40の調停方法はこれに限られない。例えば、調停回路40は、緊急性の高いp個の音声データの少なくとも1つが再生中のときに、緊急性の低い音声データの再生要求を受けた場合、緊急性の高いp個の音声データのいずれも再生中でなくなるまで、デコーダー30がメモリー20から緊急性の低い音源データを読み出す処理を遅延させるように制御してもよい。図14に、この変形例の音声ミキシング装置1の構成を示す。図14において、図9と同じ構成要素には同じ符号が付されている。あるいは、調停回路40が、メモリー20とデコーダー30との間に配置され、緊急性の高いp個の音声データのいずれも再生中でなくなるまで、メモリー20から緊急性の低い音源データを読み出す処理を遅延させてもよい。図15に、この変形例の音声ミキシング装置1の構成を示す。図15において、図9と同じ構成要素には同じ符号が付されている。図14又は図15に示す音声ミキシング装置1によれば、調停回路40が緊急性の低い音声データを保持する必要がなくなるので、回路規模が低減される。
【0183】
また、上記の第3実施形態では、マイクロコントロールユニット2が、調停設定情報63の設定により、調停回路40の動作モードとして第1調停モード、第2調停モード又は第3調停モードを選択可能であるが、調停回路40の動作モードは、音声ミキシング装置1の設計段階又は出荷時に、あらかじめ固定されてもよい。すなわち、調停回路40は、常に第1調停モードで動作してもよいし、常に第2調停モードで動作してもよいし、常に第3調停モードで動作してもよい。
【0184】
2.電子機器
図16は、本実施形態の音声ミキシング装置1を用いた本実施形態の電子機器の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0185】
図16に示すように、本実施形態の電子機器300は、音声ミキシング装置1、第1~第mの音声再生装置3-1~3-m、処理部310、操作部320、記憶部330及び表示部340を含んで構成されている。なお、本実施形態の電子機器300は、図16の構成要素の一部を省略又は変更し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0186】
処理部310は、電子機器300の各部の制御処理や種々のデータ処理を行う。例えば、処理部310は、音声ミキシング装置1に各種のコマンドを送信し、音声ミキシング装置1の動作を制御する。また、処理部310は、操作部320からの操作信号に応じた各種の処理、表示部340に各種の情報を表示させるための表示信号を送信する処理等を行う。例えば、処理部310は、前述のマイクロコントロールユニット2であってもよい。
【0187】
操作部320は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号を処理部310に出力する。
【0188】
記憶部330は、処理部310が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。例えば、記憶部330にはn個の音源データが記憶されており、処理部310は、記憶部330に記憶されているn個の音源データのうちのいずれかの音源データを読み出して、音声ミキシング装置1に送信してもよい。記憶部330は、例えば、ハードディスク、フレキシブルディスク、MO、MT、各種のメモリー、CD-ROM、又は、DVD-ROM等によって実現される。
【0189】
表示部340は、LCD等により構成される表示装置であり、入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。LCDは、Liquid Crystal Displayの略である。表示部340には操作部320として機能するタッチパネルが設けられていてもよい。
【0190】
音声ミキシング装置1は、処理部310から送信される各種のコマンドに基づいて、前述のミキシング信号DO1を生成し、ミキシング信号DO1に対応する音声信号DOX1を第1の音声再生装置3-1に出力する。また、音声ミキシング装置1は、処理部310から送信される各種のコマンドに基づいて、前述の音声信号DO2~DOm又は音声信号DOX2~DOXmを生成し、第2~第mの音声再生装置3-2~3-mに出力する。これにより、第1~第mの音声再生装置3-1~3-mにより音声が再生される。
【0191】
このような電子機器300としては種々の電子機器が考えられ、例えば、警告装置、炊飯器、IHクッキングヒーター、掃除機、洗濯機等の各種の家庭用電気製品、電子時計、モバイル型、ラップトップ型、タブレット型などのパーソナルコンピューター、スマートフォンや携帯電話機などの移動体端末、ディジタルカメラ、インクジェットプリンターなどのインクジェット式吐出装置、ルーターやスイッチなどのストレージエリアネットワーク機器、ローカルエリアネットワーク機器、移動体端末基地局用機器、テレビ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、カーナビゲーション装置、リアルタイムクロック装置、ページャー、電子手帳、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ゲーム用コントローラー、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡等の医療機器、魚群探知機、各種測定機器、車両、航空機、船舶等の計器類、フライトシミュレーター、ヘッドマウントディスプレイ、モーショントレース、モーショントラッキング、モーションコントローラー、歩行者自律航法装置等が挙げられる。
【0192】
図17は、電子機器300の一例である警告装置300Aの構成例を示す図である。図17において、図16と同じ構成要素には同じ符号が付されている。図17に示す警告装置300Aは、車両400に搭載されている。第1の音声再生装置3-1はスピーカーであり、第2~第5の音声再生装置3-2~3-5はそれぞれブザーである。
【0193】
処理部310は、不図示の各種センサーからの信号に基づいて、各種の音声の再生コマンド等を音声ミキシング装置1に送信する。各種の音声には、例えば、ブレーキ、エンジンオイル、パワーステアリング、ブレーキオーバーライドシステム等の異常、半ドアでの走行、ふらつき走行、パーキングブレーキの未解除での走行、シートベルトの未着用、先行車への接近等を通知するための人の声を模した音声や警告音、ウィンカー、ハザード、バック等を通知するための効果音、各種のガイダンスの音声等が含まれる。
【0194】
音声ミキシング装置1は、処理部310からのコマンドに基づいて、各種の音声に対応するn個の音源データの一部に基づいてミキシング信号DO1を生成し、ミキシング信号DO1に対応する音声信号DOX1を第1の音声再生装置3-1に出力する。
【0195】
また、音声ミキシング装置1は、n個の音源データの他の一部に基づいて、音声信号DO2~DO5又は音声信号DOX2~DOX5を生成し、第2~第5の音声再生装置3-2~3-5に出力する。これにより、第1~第5の音声再生装置3-1~3-5により各種の音声が再生される。
【0196】
警告装置300Aは、再生要求を受けた緊急性の高い複数の音声データをいずれも遅延させずに出力可能な音声ミキシング装置1を備えていることにより、緊急性が高いため再生の遅延が許されない複数の音声を、第1の音声再生装置3-1によって遅延なく同時に再生することができる。また、警告装置300Aは、再生要求を受けた緊急性の低い音声データを遅延させて出力可能な音声ミキシング装置1を備えていることにより、運転手が緊急性の高い音声を聞き取る妨げとならないように、緊急性の低い音声を、第1の音声再生装置3-1によって緊急性の高い音声の再生と異なるタイミングで再生することができる。
【0197】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0198】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0199】
上述した実施形態及び変形例から以下の内容が導き出される。
【0200】
音声ミキシング装置の一態様は、
nを3以上の整数とし、pを2以上n未満の整数としたとき、第1~第nの音声データのうちの第1~第pの音声データに含まれる再生対象の複数の音声データが同じ期間に入力された場合に当該複数の音声データをミキシングしてミキシング信号を出力するミキシング回路と、
前記第1~第nの音声データのうちの第p+1~第nの音声データの前記ミキシング回路への入力を調停する調停回路と、
を備える。
【0201】
この音声ミキシング装置によれば、ミキシング回路が第1~第pの音声データに含まれる再生対象の複数の音声データをミキシングするので、当該複数の音声データをいずれも遅延させずに出力することができる。
【0202】
前記音声ミキシング装置の一態様は、
再生対象の音声データが前記第1~第pの音声データに含まれるか前記第p+1~第nの音声データに含まれるかを特定する情報を記憶する記憶回路を備えてもよい。
【0203】
この音声ミキシング装置によれば、調停回路は、記憶回路に記憶されている情報に基づいて、再生対象の音声データをミキシングの対象とする必要があるか否かを判断することができる。また、外部装置がこの情報を設定することにより、各音声データをミキシング対象とするか否かを任意に選択することができる。
【0204】
前記音声ミキシング装置の一態様において、
前記調停回路は、前記第1~第pの音声データに含まれる第jの音声データが再生中であるときに前記第p+1~第nの音声データに含まれる第kの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、前記第jの音声データの再生が終了するまで前記第kの音声データの前記ミキシング回路への入力を遅延させてもよい。
【0205】
この音声ミキシング装置によれば、第kの音声データの再生を、第jの音声データの再生が終了するまで遅らせることができるので、ユーザーによる第kの音声データの再生音の聞き取りが第jの音声データの再生音によって妨げられるおそれが低減される。
【0206】
前記音声ミキシング装置の一態様は、
外部から入力されるコマンドに基づいて、前記第1~第pの音声データの各々に対する第1~第pのゲインを設定するゲイン設定回路を備えてもよい。
【0207】
この音声ミキシング装置によれば、第1~第pの音声データの各々に対して、同一のゲインではなく第1~第pのゲインの各々が設定されるので、ユーザーは同時に再生される複数の音声データの各々を判別しやすくなる。
【0208】
前記音声ミキシング装置の一態様において、
前記ゲイン設定回路は、前記第p+1~第nの音声データの各々に対する第p+1~第nのゲインをさらに設定し、
前記第p+1~第nの音声データに含まれる第kの音声データを再生中に、前記第1~第pの音声データに含まれる第jの音声データの再生を開始する前記コマンドが入力された場合、
前記調停回路は、前記第jの音声データの前記ミキシング回路への入力を開始するとともに、前記第kの音声データの前記ミキシング回路への入力を継続し、
前記ゲイン設定回路は、前記第p+1~第nのゲインのうちの第kのゲインを、前記第1~第pのゲインのうちの第jのゲインよりも小さい値に設定してもよい。
【0209】
この音声ミキシング装置によれば、ミキシング回路が第kの音声データと第jの音声データをミキシングするので、第kの音声データと第jの音声データをいずれも遅延させずに出力することができる。また、この音声ミキシング装置によれば、第kの音声データの再生音量を第jの音声データの再生音量よりも小さくすることができるので、ユーザーによる第jの音声データの再生音の聞き取りが第kの音声データの再生音によって妨げられるおそれが低減される。
【0210】
前記音声ミキシング装置の一態様において、
前記第p+1~第nの音声データに含まれる第kの音声データを再生中に、前記第1~第pの音声データに含まれる第jの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、
前記調停回路は、前記第jの音声データの前記ミキシング回路への入力を開始するとともに、前記第kの音声データの前記ミキシング回路への入力を停止し、前記第jの音声データの前記ミキシング回路への入力を終了した後、前記第kの音声データの前記ミキシング回路への入力を先頭から開始してもよい。
【0211】
この音声ミキシング装置によれば、第jの音声データを遅延させずに出力することができる。また、この音声ミキシング装置によれば、第jの音声データの再生が終了した後に第kの音声データを先頭から再生するので、ユーザーによる第kの音声データの再生音の聞き取りが第jの音声データの再生音によって妨げられるおそれが低減される。
【0212】
前記音声ミキシング装置の一態様において、
前記第p+1~第nの音声データに含まれる第kの音声データを再生中に、前記第1~第pの音声データに含まれる第jの音声データの再生を開始するコマンドが入力された場合、
前記調停回路は、前記第jの音声データの前記ミキシング回路への入力を開始するとともに、前記第kの音声データの前記ミキシング回路への入力を中断し、前記第jの音声データの前記ミキシング回路への入力を終了した後、前記第kの音声データの前記ミキシング回路への入力を、中断した位置から再開してもよい。
【0213】
この音声ミキシング装置によれば、第jの音声データを遅延させずに出力することができる。また、この音声ミキシング装置によれば、第jの音声データの再生が終了した後に第kの音声データを中断した位置から再生するので、ユーザーによる第kの音声データの再生音の聞き取りが第jの音声データの再生音によって妨げられるおそれが低減される。
【0214】
前記音声ミキシング装置の一態様において、
前記ゲイン設定回路は、
前記第1~第pのゲインのうちの第jのゲインに第1の値を設定して前記第1~第pの音声データのうちの第jの音声データを再生中に、前記第1~第pの音声データのうちの、前記第jの音声データよりも優先順位の高い音声データの再生を開始又は停止する前記コマンドが入力された場合、前記第jのゲインを前記第1の値とは異なる第2の値に設定してもよい。
【0215】
この音声ミキシング装置によれば、再生中の第jの音声データの優先順位が上昇又は低下した場合に、第jの音声データの再生音量を適切に変更することができる。
【0216】
前記音声ミキシング装置の一態様は、
前記第1~第nの音声データの基となるn個の音源データを保管するメモリーを備えてもよい。
【0217】
この音声ミキシング装置によれば、外部から第1~第nの音声データの基となるn個の音源データを取得する必要がないので、第1~第nの音声データの再生を開始するタイミングを早めることができる。
【0218】
前記音声ミキシング装置の一態様は、
前記第1~第nの音声データの基となるn個の音源データを保管する外部のメモリーから前記n個の音源データを受信するメモリーインターフェース回路を備えてもよい。
【0219】
この音声ミキシング装置によれば、メモリーインターフェース回路を介して、外部のメモリーから第1~第nの音声データの基となるn個の音源データを受信することができるので、当該n個の音源データを保管するメモリーを内蔵する必要がなく、回路サイズを低減させることができる。
【0220】
前記音声ミキシング装置の一態様は、
外部のマイクロコントロールユニットから前記第1~第nの音声データの基となるn個の音源データを受信する通信インターフェース回路を備えてもよい。
【0221】
この音声ミキシング装置によれば、通信インターフェース回路を介して、外部のマイクロコントロールユニットから第1~第nの音声データの基となるn個の音源データを受信することができるので、当該n個の音源データを保管するメモリーを内蔵する必要がなく、回路サイズを低減させることができる。
【0222】
前記音声ミキシング装置の一態様は、
前記ミキシング信号を音声信号に変換して第1の音声再生装置に出力する音声アンプを備えてもよい。
【0223】
この音声ミキシング装置によれば、第1の音声再生装置が第1~第pの音声データに含まれる複数の音声データをいずれも遅延させずに再生することができる。
【0224】
前記音声ミキシング装置の一態様において、
前記音声アンプは、前記音声信号が正常であるか異常であるかを判定し、前記音声信号が異常であると判定した場合、前記ミキシング回路に異常検知信号を出力し、
mを2以上の整数とし、前記ミキシング回路は、前記異常検知信号が入力された場合、前記ミキシング信号を第2~第mの音声再生装置のいずれか1つに出力してもよい。
【0225】
この音声ミキシング装置によれば、第1の音声再生装置又は音声アンプに異常が生じた場合でも、第2~第mの音声再生装置のいずれか1つが第1~第pの音声データに含まれる複数の音声データをいずれも遅延させずに再生することができる。
【0226】
前記音声ミキシング装置の一態様において、
前記整数mは3以上の整数であり、
前記ミキシング回路は、前記異常検知信号が入力された場合、前記第2~第mの音声再生装置の各々を選択する優先順位が指定された優先選択テーブルに基づいて、前記第2~第mの音声再生装置のいずれか1つを選択し、選択した前記第2~第mの音声再生装置のいずれか1つに前記ミキシング信号を出力してもよい。
【0227】
この音声ミキシング装置によれば、第1の音声再生装置又は音声アンプに異常が生じた場合でも、第2~第mの音声再生装置のうちのより優先順位の高いいずれか1つが第1~第pの音声データに含まれる複数の音声データをいずれも遅延させずに再生することができる。
【0228】
電子機器の一態様は、
前記音声ミキシング装置の一態様を備える。
【符号の説明】
【0229】
1…音声ミキシング装置、2…マイクロコントロールユニット、3-1~3-m…第1~第mの音声再生装置、10…通信インターフェース回路、12…通信インターフェース回路、20…メモリー、21-1~21-n…音源データ、30…デコーダー、40…調停回路、50…ミキシング回路、51-1~51-16…乗算器、52-1~52-16…スイッチ回路、53…加算器、54…選択回路、55…スイッチ回路、56-1~56-4…スイッチ回路、57…スイッチ制御回路、60…記憶回路、61…チャネル-優先順位設定テーブル、62…優先順位-ゲイン設定テーブル、63…調停設定情報、64…ゲイン参照テーブル、65…優先選択テーブル、70…ゲイン設定回路、80…音声アンプ、81…駆動回路、82…保護回路、90…保護回路、91-1~91-4…波形比較回路、100…メモリーインターフェース回路、110…メモリー、111-1~111-n…音源データ、121-1~121-n…音源データ、300…電子機器、300A…警告装置、310…処理部、320…操作部、330…記憶部、340…表示部、400…車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17