(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024070985
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】直進フィーダ用のトラフ及びこれを備えた組合せ計量装置
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
G01G19/387 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181657
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】末道 亮
(72)【発明者】
【氏名】上田 裕也
(57)【要約】
【課題】物品に付着した水による影響を可及的に低減して、精度の高い組合せ計量を行うことができる組合せ計量装置、及び、直進フィーダ用のトラフを提供する。
【解決手段】物品を載置して振動搬送する直進フィーダ用のトラフ7は、底部に水抜き用の貫通孔20が形成されており、複数の直進フィーダと、物品を一時保持して排出する複数の供給ホッパと、供給ホッパから排出された物品を一時保持して物品の重量を計量する複数の計量ホッパとを備える組合せ計量装置は、前記直進フィーダ用のトラフ7を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置して振動搬送する直進フィーダ用のトラフであって、
底部に水抜き用の貫通孔が形成されている、
ことを特徴する直進フィーダ用のトラフ。
【請求項2】
前記貫通孔が、当該トラフの前記物品の搬送方向の終端側に形成されている、
請求項1に記載の直進フィーダ用のトラフ。
【請求項3】
前記貫通孔が、前記物品の搬送方向に交差する方向に沿って形成されている、
請求項2に記載の直進フィーダ用のトラフ。
【請求項4】
前記貫通孔が、前記搬送方向に直交する当該トラフの幅方向の全幅に亘って形成されている、
請求項3に記載の直進フィーダ用のトラフ。
【請求項5】
前記底部の上面は、前記貫通孔の前記搬送方向の下手側の縁が、前記搬送方向の上手側の縁よりも下がっている、
請求項4に記載の直進フィーダ用のトラフ。
【請求項6】
前記底部の上面の前記搬送方向の下手側の前記縁、及び、前記搬送方向の上手側の前記縁から下方へ向けて流下ガイド片がそれぞれ延出されている、
請求項5に記載の直進フィーダ用のトラフ。
【請求項7】
供給される物品をそれぞれ振動搬送する複数の直進フィーダと、前記複数の各直進フィーダにそれぞれ対応して設けられ、前記各直進フィーダからの前記物品を一時保持して排出する複数の供給ホッパと、前記複数の各供給ホッパにそれぞれ対応して設けられ、前記各供給ホッパから排出された物品を一時保持して物品の重量を計量する複数の計量ホッパとを備える組合せ計量装置であって、
前記複数の直進フィーダは、前記請求項1ないし6のいずれか一項に記載の直進フィーダ用のトラフを備える、
ことを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項8】
前記複数の直進フィーダは、前記物品の搬送方向の上手側の複数の上段直進フィーダと、前記複数の上段直進フィーダからの前記物品を、前記複数の供給ホッパにそれぞれ振動搬送する複数の下段直進フィーダとを備える、
請求項7に記載の組合せ計量装置。
【請求項9】
前記直進フィーダ用のトラフの前記貫通孔の下方に、前記貫通孔からの水を回収する回収容器を備える、
請求項8に記載の組合せ計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を載置して振動搬送する直進フィーダ用のトラフ及びこれを備えた組合せ計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、組合せ計量装置においては、分散フィーダで分散搬送した物品を、その周囲に配備した複数の直進フィーダに送り込み、直進フィーダで振動搬送した物品を、供給ホッパを介して計量ホッパに送り込んで計量し、計量ホッパの計量値に基づいて組合せ演算を行って、所定重量範囲となる複数の計量ホッパを選択し、選択した複数の計量ホッパから物品を包装機等へ排出するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、物品を搬送する直進フィーダのトラフと、トラフが着脱自在に連結され、かつトラフを振動させる振動部を有する支持部材とを有する搬送機構が開示されている。この搬送機構を洗浄する際の洗浄水が、平面状のプレート部分を有する支持部材に残らないように、支持部材側に貫通穴を形成して排水することが記載されている。
【0005】
この特許文献1では、洗浄水については考慮されているが、計量対象である物品に付着した水分については、全く考慮されていない。
【0006】
計量対象である物品が、例えば、茹でた野菜などの場合、時間の経過に伴って、付着した水分が、物品を振動搬送する直進フィーダのトラフの底面に滞留して円滑な搬送を阻害することがある。また、トラフ上の水が、供給ホッパを介して計量ホッパへ投入され、水分を含む重量を、物品の重量として計量してしまう場合がある。この場合、水分が、計量ホッパやその下方のシュート等に付着し、また蒸発することによって、組合せ演算によって選択して排出した物品の重量と、最終製品としての物品の重量とに差異が発生して、重量不良につながる虞がある。
【0007】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、物品に付着した水による影響を可及的に低減して、精度の高い組合せ計量を行うことができる組合せ計量装置、及び、組合せ計量装置に備えられる直進フィーダ用のトラフを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0009】
(1)本発明は、物品を載置して振動搬送する直進フィーダ用のトラフであって、底部に水抜き用の貫通孔が形成されている。
【0010】
本発明に係る直進フィーダ用のトラフによると、物品に付着した水は、当該トラフに載置されて振動搬送される間に滴下してトラフ底面に沿って流れ、貫通孔から排出されることになる。これによって、物品に付着した水が、トラフの底面に滞留して物品の円滑な搬送を妨げたり、あるいは、物品に付着した水が、トラフから物品の搬送方向の下手側の計量ホッパへ投入されて計量に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0011】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記貫通孔が、当該トラフの前記物品の搬送方向の終端側に形成されている。
【0012】
この実施態様によると、貫通孔は、当該トラフの物品の搬送方向の終端側に形成されているので、物品は、当該トラフの物品の搬送方向の始端から終端側の貫通孔に至る迄に、振動搬送作用を受けることになる。これによって、物品に付着している水は振動を十分受けて当該トラフ内に滴り落ちて、当該トラフ底面に沿って流下して貫通孔から排出される。
【0013】
(3)本発明の他の実施態様では、前記貫通孔が、前記物品の搬送方向に交差する方向に沿って形成されている。
【0014】
この実施態様によると、貫通孔は、物品の搬送方向に交差する方向に沿って形成されているので、当該トラフの底部は、貫通孔によって、搬送方向の上手側と下手側とに分断されることになる。したがって、貫通孔より物品の搬送方向の上手側の当該トラフの底面の水は、貫通孔に至ると、貫通孔から排出される。
【0015】
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記貫通孔が、前記搬送方向に直交する当該トラフの幅方向の全幅に亘って形成されている。
【0016】
この実施態様によると、当該トラフの底部は、物品の搬送方向に直交する貫通孔によって完全に分断されることになるので、貫通孔より搬送方向の上手側の当該トラフの底面の水は、貫通孔に至ると、残らず排出される。
【0017】
(5)本発明の好ましい実施態様では、前記底部の上面は、前記貫通孔の前記搬送方向の下手側の縁が、前記搬送方向の上手側の縁よりも下がっている。
【0018】
この実施態様によると、当該トラフの上面、すなわち、底面は、貫通孔の搬送方向の下手側の縁が、上手側の縁に比べて低くなっているので、貫通孔の上を移動する物品は、搬送方向下手側の縁に引っ掛かることなく、貫通孔を円滑に通過する。
【0019】
(6)本発明の他の実施態様では、前記底部の上面の前記搬送方向の下手側の前記縁、及び、前記搬送方向の上手側の前記縁から下方へ向けて流下ガイド片がそれぞれ延出されている。
【0020】
この実施態様によると、貫通孔から流れ出る水は、搬送方向の上手側及び下手側の流下ガイド片に沿って所定の箇所に流下案内されて排出される。
【0021】
(7)本発明に係る組合せ計量装置は、供給される物品をそれぞれ振動搬送する複数の直進フィーダと、前記複数の各直進フィーダにそれぞれ対応して設けられ、前記各直進フィーダからの前記物品を一時保持して排出する複数の供給ホッパと、前記複数の各供給ホッパにそれぞれ対応して設けられ、前記各供給ホッパから排出された物品を一時保持して物品の重量を計量する複数の計量ホッパとを備える組合せ計量装置であって、
前記複数の直進フィーダは、上記(1)ないし(6)のいずれかの直進フィーダ用のトラフを備える。
【0022】
本発明に係る組合せ計量装置によると、物品に付着した水は、直進フィーダ用のトラフに載置されて振動搬送される間に滴下してトラフ底面に沿って流れ、貫通孔から排出されることになる。これによって、物品に付着した水が、トラフの底面に滞留して物品の円滑な搬送を妨げたり、あるいは、物品に付着した水が、トラフから物品の搬送方向の下手側の供給ホッパを介して計量ホッパへ投入されるのを阻止することができる。これによって、物品に付着した水が計量に与える影響を低減して、精度の高い組合せ計量を行うことができる。
【0023】
(8)本発明の他の実施態様では、前記複数の直進フィーダは、前記物品の搬送方向の上手側の複数の上段直進フィーダと、前記複数の上段直進フィーダからの前記物品を、前記複数の供給ホッパにそれぞれ振動搬送する複数の下段直進フィーダとを備える。
【0024】
この実施態様によると、物品に付着している水は、上段直進フィーダによって振動搬送される間に、そのトラフに形成されている貫通孔から排出され、更に、搬送方向の下手側の下段直進フィーダによって振動搬送される間に、そのトラフに形成されている貫通孔によって、排出されるので、物品に付着している水を、上段及び下段の各直進フィーダのトラフによって効果的に排出することができる。
【0025】
(9)本発明の好ましい実施態様では、前記直進フィーダ用のトラフの前記貫通孔の下方に、前記貫通孔からの水を回収する回収容器を備える。
【0026】
この実施態様によると、貫通孔から流出した水は、回収容器に回収されるので、貫通孔からの水が周辺に流れ広がることを防止し、電気系における防水に悪影響を及ぼすことを回避することができる。
【発明の効果】
【0027】
このように、本発明によれば、物品に付着した水は、トラフに載置されて振動搬送される間に物品から分離されて、トラフに形成されている貫通孔から排出されるので、トラフの底面に滞留した水によって、物品の円滑な搬送が妨げられたり、物品に付着した水が、トラフから物品の搬送方向の下手側の計量ホッパへ投入されて計量に悪影響を及ぼすのを防止して、精度の高い組合せ計量を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係る組合せ計量装置の斜視図である。
【
図3】
図3は組合せ計量装置の一部を示す平面図である。
【
図4】
図4は組合せ計量装置の上段直進フィーダの要部の縦断側面図である。
【
図5】
図5は組合せ計量装置の下段直進フィーダの要部の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は本発明に係る組合せ計量装置Aの斜視図であり、
図2はその概略側面図であり、
図3はその一部の平面図ある。
【0030】
この実施形態の組合せ計量装置Aは、例えば、茹でたブロッコリーやアスパラガスといった野菜等を計量対象物品とするのに好適であって、物品を所定重量範囲になるように組合せ計量して排出し、次段装置の一例である包装機Bに投入するものである。
【0031】
この組合せ計量装置Aには、床面上の任意の位置に据付け固定される基台1が備えられている。この基台1の、包装機Bが設けられている側とは反対側である後方の上部に、物品を貯留する貯留ホッパ2が設置されている。また、基台1の上部には、貯留ホッパ2から送り出された物品を複数列(この例では6列)の搬送経路に沿って前方へ直線状に搬送する複数の直進フィーダ3群が並列配備されている。更に、基台1の前面外側には、各直進フィーダ3から個別に物品供給を受ける複数連(この例では6連)の計量ユニット4が装備されている。
【0032】
貯留ホッパ2は、複数の搬送経路の全てに亘る横幅を有して直進フィーダ3群の後方始端部に配備されている。貯留ホッパ2への物品の投入は、作業者の手作業によって、あるいは、図示しない供給装置によって行われる。
【0033】
直進フィーダ3は、物品の搬送方向の上手側(後方)の上段直進フィーダ5と、物品の搬送方向の下手側(前方)の下段直進フィーダ6とを、搬送方向の下手側に向けて縦列配置して構成されている。
【0034】
上段直進フィーダ5は、物品を載置して搬送する樋状のトラフ7を、基台1に内装配備した加振機構8で振動駆動するように構成されている。加振機構8の振動ヘッド8aは、基台1上に露出されており、この振動ヘッド8aにトラフ7が脱着可能に取り付けられている。
【0035】
同様に、下段直進フィーダ6も、物品を載置して搬送する樋状のトラフ9を、基台1に内装配備した加振機構10で振動駆動するよう構成されている。トラフ9は、基台1上に露出された加振機構10の振動ヘッド10aに脱着可能に取り付けられている
計量ユニット4は、下段直進フィーダ6の終端に臨む供給ホッパ11と、供給ホッパ11の直下方に臨む計量ホッパ12と、計量ホッパ12の下方前側に臨むメモリホッパ13とを備えている。
【0036】
供給ホッパ11は、直進フィーダ3の終端から排出された物品を受け取って一時保持するものであり、次段の計量ホッパ12が空になると、保持した物品を排出する。
【0037】
計量ホッパ12は、供給ホッパ11から排出された物品を保持して、基台1側に装備された図示しない重量センサによって、保持した物品の重量を計量する。また、計量ホッパ12には、独立して開閉制御可能な前ゲート12aと後ゲート12bを備えている。これら前後のゲート12a、12bを独自に開閉制御することで、計量した物品を前方に向かう排出経路aと、後方に向かう排出経路bとへ選択して排出することができる。
【0038】
計量ホッパ12の下方には、組合せ計量に不適な過量の物品が供給された際に、後ゲート12bを開放して過量な物品を排出して回収するように構成されている。
【0039】
すなわち、基台1の前面には、計量ホッパ12から排出経路bを介して排出された過量の物品を流下案内するリジェクトシュート14が固定配備されるとともに、基台1の前面下部にはリジェクトシュート14の下端に臨む収容箱15が取出し可能に配備されている。
【0040】
計量ホッパ12では、該計量ホッパ12に供給された物品の重量が、所定重量を超える過量であるときには、後ゲート12bを開放してリジェクト用の排出経路bに排出し、物品の重量が過量でないときには、前ゲート12aを開放してメモリホッパ13へ物品を供給するための排出経路aに排出する。
【0041】
メモリホッパ13は、計量ホッパ12から供給される物品を一時保持するものであり、開閉制御可能な前後のゲート13a、13bを備えている。
【0042】
メモリホッパ13の下方には、6台全部のメモリホッパ13に亘る横幅を有し、メモリホッパ13から排出される物品を中央に集めて流下排出する集合シュート16が備えられている。
【0043】
上記構成を有する本実施形態に係る組合せ計量装置Aでは、貯留ホッパ2の下端から送出された物品は、上段直進フィーダ5及び下段直進フィーダ6によって6列で前方に搬送され、各計量ユニット4の供給ホッパ11に供給される。
【0044】
供給ホッパ11の物品は、空になった計量ホッパ12に供給され、計量ホッパ12で供給された物品の重量が計量される。計量ホッパ12に供給された物品の重量が、過量でないときには、上記のように前ゲート12aが開放されて、通常の排出経路に配備された空になったメモリホッパ13に物品が供給される。
【0045】
この実施形態では、図示しない制御装置によって、計量ホッパ12及びメモリホッパ13の物品の重量に基づいて、組合せ演算を行なう。この組合せ演算では、計量ホッパ12の物品は、その下流に設けられたメモリホッパ13を経由しなれば集合シュート16に到達できないので、計量ホッパ12が選択される場合には、その下流に設けられたメモリホッパ13も同時に選択するという制約の下で組合せ演算を行なう。
【0046】
組合せ演算によって選択された計量ホッパ12及びメモリホッパ13から排出された物品は、集合シュート16で集められ、包装機Bに投入される。
【0047】
計量ホッパ12で計量された物品の重量が、所定重量を超える過量であるときには、計量ホッパ12における後ゲート12bが開放され、過量の物品はリジェクトシュート14を介して収容箱15に流下回収される。収容箱15に溜まった物品は、適時、箱ごと搬出され、手作業で貯留ホッパ2に再び投入される。
【0048】
上記構成の組合せ計量装置Aにおいて、本実施形態では、例えば、茹でた野菜のような物品に付着した水が、上段直進フィーダ5や下段直進フィーダ6のトラフ7,9の底面7a,9aに滞留して物品の円滑な搬送を妨げたり、計量ホッパ12での計量に悪影響を及ぼすことを回避するために、各直進フィーダ5,6による物品の振動搬送中に、物品に付着した水を排除するように構成されている。以下、その構成について説明する。
【0049】
上段直進フィーダ5のトラフ7は、物品の搬送方向の下手側に向けて若干の前下がり傾斜角度、例えば、1~5度程度をもって配備されている。これによって、物品から分離された水が、トラフ7の底面7aに沿って前方へ流下するようになっている。上段直進フィーダ5のトラフ7には、物品の搬送方向の終端側のトラフ7の底面7aを含む底部に、
図3及び
図4に示すように、スリット状の水抜き用の貫通孔20が形成されている。貫通孔20は、
図4に示すように、トラフ7の終端側であって、かつ、上段直進フィーダ5のトラフ7の終端部と、下段直進フィーダ6のトラフ9の始端部が平面視で重ならない領域に形成されている。
【0050】
この貫通孔20は、物品の搬送方向に直交する方向、すなわち、上段直進フィーダ5のトラフ7の幅方向に沿って横長に形成されている。この貫通孔20は、トラフ7の底面7aの幅方向の全幅に亘って形成されている。
【0051】
このように上段直進フィーダ5のトラフ7には、物品の搬送方向の終端側に、底部を貫通する水抜き用の貫通孔20が形成されているので、トラフ7の底面7aに沿って流下してきた水は、貫通孔20を通ってトラフ7の下方に流出する。
【0052】
基台1の上方には、
図3等に示すように、6台の上段直進フィーダ5に亘る横長箱状の回収容器21が配備されている。各上段直進フィーダ5におけるトラフ7の貫通孔20から流出した水は、この回収容器21にまとめて回収される。
【0053】
ここで、上段直進フィーダ5におけるトラフ7の底面7aの、貫通孔20の物品の搬送方向の上手側の縁e及び下手側の縁fからは、スリット状の貫通孔20のトラフ7の幅方向の全幅に亘る幅広の流下ガイド片22、23が、
図4に示すように、斜め後ろ下方に向けてそれぞれ延出されている。これによって、貫通孔20から排出される水が、トラフ7の下面に回り込んで回収容器21から外れた箇所で滴下して、基台1の上面を汚損するのを防止している。
【0054】
また、トラフ7の底面7aの貫通孔20の物品の搬送方向の下手側の縁fが、上手側の縁eよりも少し低く設定されている。これによって、貫通孔20の上を通過する物品が、貫通孔20の下手の縁fに引っ掛かることなく、円滑に振動搬送されるようにしている。
【0055】
更に、この実施形態では、
図4に示すように、トラフ7の下手側の底面7aと、貫通孔20の下手側の縁fから延出する流下ガイド23とのなす角度αが鈍角に設定されている。これによって、貫通孔20の上を通過する物品が、下手の縁fに引っ掛かることなく、一層円滑に振動搬送されるようになっている。
【0056】
下段直進フィーダ6のトラフ9も、上段直進フィーダ5と同様に搬送方向に向けて若干前下がり傾斜姿勢で配備され、物品から分離された水がトラフ9の底面9aに沿って前方へ流下するようになっている。下段直進フィーダ6のトラフ9にも、物品の搬送方向の終端側のトラフ9の底面9aを含む底部に、
図3及び
図5に示すように、スリット状の貫通孔24が形成されている。貫通孔24は、
図5に示すように、供給ホッパ11と平面視で重ならない終端側の位置に形成されている。
【0057】
この貫通孔24も、物品の搬送方向に直交する方向、すなわち、下段直進フィーダ6のトラフ9の幅方向に沿って横長に形成されている。この貫通孔20は、トラフ9の底面9aの幅方向の全幅に亘って形成されている。
【0058】
このように下段直進フィーダ6のトラフ9には、物品の搬送方向の終端側に、底部を貫通する貫通孔24が形成されているので、トラフ9底面9aに沿って流下してきた水は、貫通孔24を通ってトラフ下方に流出する。
【0059】
上段直進フィーダ5のトラフ7と同様に、下段直進フィーダ6におけるトラフ9の底面9aの、貫通孔24の物品の搬送方向の上手側の縁g及び下手側の縁hからは、スリット状の貫通孔20のトラフ9の幅方向の全幅に亘る幅広の流下ガイド片26、27が、
図5に示すように、斜め後ろ下方に向けてそれぞれ延出されている。これによって、貫通孔20から排出される水が、基台1の上方に配備された横長の回収容器25に回収されるようになっている。
【0060】
また、トラフ9の底面の貫通孔24の物品の搬送方向の下手側の縁hが、上手側の縁gよりも少し低く設定されると共に、トラフ9の下手側の底面9aと、貫通孔24の下手側の縁hから延出する流下ガイド27とのなす角度βが鈍角に設定されている。これによって、貫通孔24の上を通過する物品が、下手の縁hに引っ掛かることなく、円滑に振動搬送されるようになっている。
【0061】
なお、回収容器25に溜まった水は、
図1に示される排水チューブ28を介して適時装置外へ排出される。
【0062】
上記のように本実施形態によれば、上段直進フィーダ5のトラフ7及び下段直進フィーダ6のトラフ9の底部には、水抜き用の貫通孔20,24が形成されているので、茹でた野菜などの物品に付着残存している水が、振動搬送によって物品から分離されてトラフ7,9の底面7a,9aに沿って流下し、貫通孔20,24から排出される。これによって、物品から分離した水が、トラフ7,9の底面7a,7bに滞留して物品の搬送を妨げることがない。また、下段直進フィーダ6のトラフ9から供給ホッパ11を介して計量ホッパ12へ水が投入されるのを阻止して、計量に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0063】
各トラフ7,9では、水抜き用の各貫通孔20,24が物品の搬送方向の終端側に形成されているので、物品が始端から終端側へ振動搬送される迄に、物品に付着残存している水が、物品から分離されるので、物品の搬送方向に上手側に貫通孔を形成するのに比べて、物品に付着残存している水の多くを、貫通孔20,24から排出することができる。
【0064】
更に、各貫通孔20,24は、各トラフ7,9の底面7a,9aの幅方向に沿ってその全幅に亘って形成されているので、各トラフ7,9の底面7a,9aは、各貫通孔20,24によって、物品の搬送方向の上手側と下手側とに完全に分断されるので、物品の搬送方向の上手側の水が、各貫通孔20,24よりも下手側へ流下することなく、各貫通孔20,24で残らず排出される。
【0065】
[他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0066】
(1)貫通孔の形状は上記に限らず、円形、楕円形、長円形、その他の形状であってもよい。
【0067】
また、貫通孔は、必ずしもトラフの底面の幅方向の全幅に亘って形成する必要はない。
【0068】
(2)貫通孔の数も一つに限らず、複数であっててもよく、例えば、物品の搬送方向に交差する方向、好ましくは直交する方向に沿って、複数の貫通孔を形成してもよく、複数の貫通孔を千鳥状に形成してもよい。
【0069】
なお、トラフの底面の全域に亘って多数の貫通孔を形成すると、水抜き効果は期待できるが、物品が貫通孔に引っ掛かって搬送抵抗が増大するおそれがあると共に、トラフの洗浄に手数がかかる。また、貫通孔から流出した水の回収が難しくなる。したがって、貫通孔群の形成領域は、小範囲にとどめておくのが望ましい。
【0070】
(3)貫通孔は搬送方向のどこに形成してもよいが、物品から滴下した水を効率よく集めて排出する上では、搬送経路の下手側、特には、終端側に設けるのが望ましい。
【0071】
(4)上記実施形態では、計量ホッパを含む計量ユニットを直線状に並列配置した横型配置の組合せ計量装置を例示しているが、装置中央に配備した分散フィーダの周囲に複数の直進フィーダを放射状に配備し、各直進フィーダに対応して複数連の計量ユニットを円形に配置した円形配置の組合せ計量装置に適用することもできる。
【符号の説明】
【0072】
3 直進フィーダ群
4 計量ユニット
5 上段直進フィーダ
6 下段直進フィーダ
7 上段直進フィーダのトラフ
9 下段直進フィーダのトラフ
20,24 貫通孔
21,25 回収容器
22,23,26,27 流下ガイド片(搬送上手側)
e,g 縁(搬送上手側)
f,h 縁(搬送下手側)