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特開2024-7099電気自動車充電器設計支援システム、電気自動車充電器設計支援方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007099
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】電気自動車充電器設計支援システム、電気自動車充電器設計支援方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/20 20200101AFI20240111BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20240111BHJP
【FI】
G06F30/20
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108314
(22)【出願日】2022-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】品田 小有里
(72)【発明者】
【氏名】平下 英里
【テーマコード(参考)】
5B146
5L049
【Fターム(参考)】
5B146AA21
5B146DE16
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】最低限の情報入力でキュービクル受電容量、初期費用およびランニングコストの情報を得られるようにする。
【解決手段】電気自動車充電器設計支援システムは、電気自動車用充電器が追加される前のキュービクル受電容量と電気自動車用充電器に関する情報とに基づき、電気自動車用充電器が追加された後のキュービクル受電容量を算出し、電気自動車用充電器の台数と電気自動車用充電器に関する情報とキュービクルに関する情報とに基づき、電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用を算出し、電気自動車用充電器の台数と電気自動車用充電器の想定充電時間と電気自動車1台あたりの必要充電量と電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分と電気自動車充電情報と電気料金単価とに基づき、電気自動車用充電器が追加される前の電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後の電気料金の増加分に相当するランニングコストを算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車用充電器の設計を支援する電気自動車充電器設計支援システムであって、
前記電気自動車用充電器の設計に用いられる情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された情報から算出項目を算出する算出部とを備え、
前記取得部によって取得される情報には、前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器における想定充電時間と、電気自動車1台あたりの必要充電量と、前記電気自動車用充電器に関する情報と、前記電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量と、電気自動車充電情報と、電気料金単価とが少なくとも含まれ、
前記算出部は、
前記電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量と、前記電気自動車用充電器に関する情報とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量を算出するキュービクル受電容量算出部と、
少なくとも前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器に関する情報と、キュービクルに関する情報とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用を算出する初期費用算出部と、
少なくとも前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器における想定充電時間と、電気自動車1台あたりの必要充電量と、前記電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分と、電気自動車充電情報と、電気料金単価とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する前記電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストを算出するランニングコスト算出部とを備える、
電気自動車充電器設計支援システム。
【請求項2】
前記キュービクル受電容量算出部は、
前記電気自動車用充電器のデマンド制御が行われる場合の前記電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量を算出する機能と、
前記電気自動車用充電器のデマンド制御が行われない場合の前記電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量を算出する機能とを有し、
前記初期費用算出部は、
前記電気自動車用充電器のデマンド制御が行われる場合の前記電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用を算出する機能と、
前記電気自動車用充電器のデマンド制御が行われない場合の前記電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用を算出する機能とを有し、
前記ランニングコスト算出部は、
前記電気自動車用充電器のデマンド制御が行われる場合の前記電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する前記電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分を算出する機能と、
前記電気自動車用充電器のデマンド制御が行われない場合の前記電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する前記電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分を算出する機能とを有する、
請求項1に記載の電気自動車充電器設計支援システム。
【請求項3】
前記キュービクル受電容量算出部は、
前記電気自動車用充電器が蓄電池に蓄電された電力を電気自動車の充電に用いる場合の前記電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量を算出する機能と、
前記電気自動車用充電器が蓄電池に蓄電された電力を電気自動車の充電に用いない場合の前記電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量を算出する機能とを有し、
前記初期費用算出部は、
前記電気自動車用充電器が蓄電池に蓄電された電力を電気自動車の充電に用いる場合の前記電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用を算出する機能と、
前記電気自動車用充電器が蓄電池に蓄電された電力を電気自動車の充電に用いない場合の前記電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用を算出する機能とを有し、
前記ランニングコスト算出部は、
前記電気自動車用充電器が蓄電池に蓄電された電力を電気自動車の充電に用いる場合の前記電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する前記電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分を算出する機能と、
前記電気自動車用充電器が蓄電池に蓄電された電力を電気自動車の充電に用いない場合の前記電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する前記電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分を算出する機能とを有する、
請求項1に記載の電気自動車充電器設計支援システム。
【請求項4】
前記キュービクル受電容量算出部は、
前記電気自動車用充電器が発電設備の発電電力を電気自動車の充電に用いる場合の前記電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量を算出する機能と、
前記電気自動車用充電器が発電設備の発電電力を電気自動車の充電に用いない場合の前記電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量を算出する機能とを有し、
前記初期費用算出部は、
前記電気自動車用充電器が発電設備の発電電力を電気自動車の充電に用いる場合の前記電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用を算出する機能と、
前記電気自動車用充電器が発電設備の発電電力を電気自動車の充電に用いない場合の前記電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用を算出する機能とを有し、
前記ランニングコスト算出部は、
前記電気自動車用充電器が発電設備の発電電力を電気自動車の充電に用いる場合の前記電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する前記電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分を算出する機能と、
前記電気自動車用充電器が発電設備の発電電力を電気自動車の充電に用いない場合の前記電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する前記電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分を算出する機能とを有する、
請求項1に記載の電気自動車充電器設計支援システム。
【請求項5】
電気自動車用充電器の設計を支援する電気自動車充電器設計支援方法であって、
前記電気自動車用充電器の設計に用いられる情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された情報から算出項目を算出する算出ステップとを備え、
前記取得ステップにおいて取得される情報には、前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器における想定充電時間と、電気自動車1台あたりの必要充電量と、前記電気自動車用充電器に関する情報と、前記電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量と、電気自動車充電情報と、電気料金単価とが少なくとも含まれ、
前記算出ステップには、
前記電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量と、前記電気自動車用充電器に関する情報とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量を算出するキュービクル受電容量算出ステップと、
少なくとも前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器に関する情報と、キュービクルに関する情報とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用を算出する初期費用算出ステップと、
少なくとも前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器における想定充電時間と、電気自動車1台あたりの必要充電量と、前記電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分と、電気自動車充電情報と、電気料金単価とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する前記電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストを算出するランニングコスト算出ステップとが含まれる、
電気自動車充電器設計支援方法。
【請求項6】
コンピュータに、
電気自動車用充電器の設計に用いられる情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された情報から算出項目を算出する算出ステップとを実行させるためのプログラムであって、
前記取得ステップにおいて取得される情報には、前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器における想定充電時間と、電気自動車1台あたりの必要充電量と、前記電気自動車用充電器に関する情報と、前記電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量と、電気自動車充電情報と、電気料金単価とが少なくとも含まれ、
前記算出ステップには、
前記電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量と、前記電気自動車用充電器に関する情報とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量を算出するキュービクル受電容量算出ステップと、
少なくとも前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器に関する情報と、キュービクルに関する情報とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用を算出する初期費用算出ステップと、
少なくとも前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器における想定充電時間と、電気自動車1台あたりの必要充電量と、前記電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分と、電気自動車充電情報と、電気料金単価とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する前記電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストを算出するランニングコスト算出ステップとが含まれる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車充電器設計支援システム、電気自動車充電器設計支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一般住宅において電気自動車の充電装置を設置する際に現状の契約容量を変更する必要があるかどうかを把握するための電力シミュレーションシステムについて記載されている。特許文献1に記載された技術では、電気自動車の充電装置を設置する際に現状の契約容量を変更する必要があるかどうかを把握するために、最初に、電路に流れている現状の電流値が一定時間測定され、電力使用状況が把握される。次に、電気自動車の充電を行う時間帯および充電中の電流値が設定される。次に、電気自動車の充電を行う時間帯の充電電流値が、測定された現状の電流値に加算される。次に、電気自動車の充電を行う時間帯の充電電流値と測定された現状の電流値とを加算した合計の電流値の最大値に基づいて、現状の契約容量を変更する必要があるかどうかが判定される。
特許文献1に記載された技術では、一般住宅に電気自動車の充電装置を新たに設置する場合に現状の契約容量を変更する必要があるか否かを判定することができるものの、電気自動車の充電装置が新たに設置された後のキュービクル受電容量、電気自動車の充電装置を新たに設置するために必要な初期費用、および、電気自動車の充電装置が新たに設置される前の電気料金に対する電気自動車の充電装置が新たに設置された後の電気料金の増加分に相当するランニングコストを算出することができない。
【0003】
ところで、電気自動車の充電装置の設計者などは、電気自動車の充電装置を新たに設置することを検討する顧客に対して、電気自動車の充電装置が新たに設置された後のキュービクル受電容量、電気自動車の充電装置を新たに設置するために必要な初期費用、電気自動車の充電装置が新たに設置される前の電気料金に対する電気自動車の充電装置が新たに設置された後の電気料金の増加分に相当するランニングコスト等を提示する必要がある。そのため、最低限の情報を入力するだけで、電気自動車の充電装置が新たに設置された後のキュービクル受電容量、電気自動車の充電装置を新たに設置するために必要な初期費用、および、電気自動車の充電装置が新たに設置される前の電気料金に対する電気自動車の充電装置が新たに設置された後の電気料金の増加分に相当するランニングコストの情報を得ることができる技術が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-020498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した点に鑑み、本発明は、最低限の情報を入力するだけで、電気自動車用充電器が追加された後のキュービクル受電容量、電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用、および、電気自動車用充電器が追加される前の電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後の電気料金の増加分に相当するランニングコストの情報を得ることができる電気自動車充電器設計支援システム、電気自動車充電器設計支援方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、電気自動車用充電器の設計を支援する電気自動車充電器設計支援システムであって、前記電気自動車用充電器の設計に用いられる情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された情報から算出項目を算出する算出部とを備え、前記取得部によって取得される情報には、前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器における想定充電時間と、電気自動車1台あたりの必要充電量と、前記電気自動車用充電器に関する情報と、前記電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量と、電気自動車充電情報と、電気料金単価とが少なくとも含まれ、前記算出部は、前記電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量と、前記電気自動車用充電器に関する情報とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量を算出するキュービクル受電容量算出部と、少なくとも前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器に関する情報と、キュービクルに関する情報とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用を算出する初期費用算出部と、少なくとも前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器における想定充電時間と、電気自動車1台あたりの必要充電量と、前記電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分と、電気自動車充電情報と、電気料金単価とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する前記電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストを算出するランニングコスト算出部とを備える、電気自動車充電器設計支援システムである。
【0007】
本発明の一態様は、電気自動車用充電器の設計を支援する電気自動車充電器設計支援方法であって、前記電気自動車用充電器の設計に用いられる情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得された情報から算出項目を算出する算出ステップとを備え、前記取得ステップにおいて取得される情報には、前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器における想定充電時間と、電気自動車1台あたりの必要充電量と、前記電気自動車用充電器に関する情報と、前記電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量と、電気自動車充電情報と、電気料金単価とが少なくとも含まれ、前記算出ステップには、前記電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量と、前記電気自動車用充電器に関する情報とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量を算出するキュービクル受電容量算出ステップと、少なくとも前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器に関する情報と、キュービクルに関する情報とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用を算出する初期費用算出ステップと、少なくとも前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器における想定充電時間と、電気自動車1台あたりの必要充電量と、前記電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分と、電気自動車充電情報と、電気料金単価とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する前記電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストを算出するランニングコスト算出ステップとが含まれる、電気自動車充電器設計支援方法である。
【0008】
本発明の一態様は、コンピュータに、電気自動車用充電器の設計に用いられる情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得された情報から算出項目を算出する算出ステップとを実行させるためのプログラムであって、前記取得ステップにおいて取得される情報には、前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器における想定充電時間と、電気自動車1台あたりの必要充電量と、前記電気自動車用充電器に関する情報と、前記電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量と、電気自動車充電情報と、電気料金単価とが少なくとも含まれ、前記算出ステップには、前記電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量と、前記電気自動車用充電器に関する情報とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量を算出するキュービクル受電容量算出ステップと、少なくとも前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器に関する情報と、キュービクルに関する情報とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用を算出する初期費用算出ステップと、少なくとも前記電気自動車用充電器の台数と、前記電気自動車用充電器における想定充電時間と、電気自動車1台あたりの必要充電量と、前記電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分と、電気自動車充電情報と、電気料金単価とに基づき、前記算出項目として、前記電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する前記電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストを算出するランニングコスト算出ステップとが含まれる、プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、最低限の情報を入力するだけで、電気自動車用充電器が追加された後のキュービクル受電容量、電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用、および、電気自動車用充電器が追加される前の電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後の電気料金の増加分に相当するランニングコストの情報を得ることができる電気自動車充電器設計支援システム、電気自動車充電器設計支援方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1の一例を示す図である。
図2】第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図3】初期費用算出部12Bによる演算の一例を説明するための図である。
図4】「契約電力算出式」の一例を示す図である。
図5】「受電設備情報」の一例を示す図である。
図6】ランニングコスト算出部12Cによる演算の一例を説明するための図である。
図7】追加される電気自動車用充電器を急速充電器にするかあるいは普通充電器にするかを決定するために電気自動車充電器設計支援システム1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図8】追加される電気自動車用充電器を急速充電器にするかあるいは普通充電器にするかを決定するために電気自動車充電器設計支援システム1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図9】追加される電気自動車用充電器を急速充電器にするかあるいは普通充電器にするかを決定するために電気自動車充電器設計支援システム1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図10】追加される電気自動車用充電器を急速充電器にするかあるいは普通充電器にするかを決定するために電気自動車充電器設計支援システム1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図11】制御なし普通充電器が用いられる場合と制御付き普通充電器が用いられて蓄電池が導入される場合とで比較して初期費用算出部12Bによる演算などの一例を説明するための図である。
図12】制御なし普通充電器が用いられる場合と制御付き普通充電器が用いられて蓄電池が導入される場合とで比較してランニングコスト算出部12Cによる演算などの一例を説明するための図である。
図13】算出部12が電気自動車用充電器(普通充電器)の費用を算出するために用いる情報の一例を示す図である。
図14】算出部12が電気自動車用充電器(急速充電器)の費用を算出するために用いる情報の一例を示す図である。
図15】電気自動車用充電器およびキュービクルと組み合わせて利用可能な設備(太陽光発電設備、蓄電池設備)の費用を算出するために算出部12によって用いられる情報の一例を示す図である。
図16】算出部12が追加される電気自動車用充電器の設置などにかかる施工費用(人件費、部材費)を算出するために用いる情報の一例を示す図である。
図17】電気自動車用充電器が追加される建物の用途がファミリー向けマンションである場合に算出部12が施工費用(人件費、部材費)を算出するために用いる情報の一例を示す図である。
図18】初期費用算出部12Bが電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用B1を「設備費用」と「施工費用」との和として算出する一例を示す図である。
図19】キュービクル受電容量算出部12Aおよび初期費用算出部12Bによる演算の一例を説明するための図である。
図20】算出部12によるランニングコストC1の算出に用いられる情報の一例(電気料金単価C6)を示す図である。
図21】算出部12によるランニングコストC1の算出に用いられる情報の他の例(建物用途別電気自動車充電情報(例えば充電使用時間(想定充電時間C2)など)を示す図である。
図22】算出部12によるランニングコストC1の算出に用いられる情報の他の例(建物用途別電気自動車充電情報(例えば充電使用時間(想定充電時間C2)など))を示す図である。
図23図21および図22に示す数値をグラフ化した図である。
図24】算出部12によるランニングコストC1の算出に用いられる情報の更に他の例(建物用途別電気自動車充電情報(例えば充電使用時間(想定充電時間C2)など))を示す図である。
図25】算出部12によるランニングコストC1の算出に用いられる情報の更に他の例(建物用途別電気自動車充電情報(例えば充電使用時間(想定充電時間C2)など))を示す図である。
図26図24および図25に示す数値をグラフ化した図である。
図27】ランニングコスト算出部12Cによる演算などの一例を説明するための図である。
図28図12のステップSKにおいて電気自動車充電器設計支援システム1において実行されるシミュレーション終了判定(STEP4.5)の一例を説明するための図である。
図29】キュービクルの受電容量を増加させてシミュレーションをやり直す必要がある場合について説明するための図である。
図30】システム構成図生成部15によって生成されるシステム構成図の各例を示す図である。
図31】システム構成図生成部15によって生成されるシステム構成図の各例を示す図である。
図32】システム構成図生成部15によって生成されるシステム構成図の各例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、本発明の電気自動車充電器設計支援システム、電気自動車充電器設計支援方法およびプログラムの第1実施形態について説明する。
【0012】
図1は第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1の一例を示す図である。図2は第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図1に示す例では、第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1が、電気自動車用充電器の設計を支援する。
図2に示す例では、ステップSAにおいて、電気自動車充電器設計支援システム1が、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者(例えば電気自動車用充電器の設計者)による電気自動車用充電器が必要であるか否か(入力項目)の入力を受け付ける。
【0013】
図1に示す例では、電気自動車充電器設計支援システム1は、取得部11と、算出部12と、判定部13と、処理部14と、システム構成図生成部15とを備えている。
取得部11は、電気自動車用充電器の設計に用いられる情報(「入力項目」および後述する「記憶項目」)を取得する。取得部11によって取得される情報には、例えば後述する、追加される電気自動車用充電器の台数B2、電気自動車用充電器における想定充電時間C2、電気自動車1台あたりの必要充電量C3、電気自動車用充電器に関する情報(例えば電気自動車用充電器の定格電圧A3、電気自動車用充電器の定格電流A4、追加される電気自動車用充電器の単価B3など)、電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量A2、電気自動車充電情報C5、電気料金単価C6等が含まれる。
【0014】
算出部12は、取得部11によって取得された情報(入力項目および記憶項目)から算出項目を算出する。算出部12は、キュービクル受電容量算出部12Aと、初期費用算出部12Bと、ランニングコスト算出部12Cと、充電出力算出部12Dとを備えている。
判定部13は、例えば図7図10に示すフローチャート中の判定の処理を行う。処理部14は、例えば図7図10に示すフローチャート中の保存などの処理を行う。システム構成図生成部15は例えば図30図32に示すようなシステム構成図(キュービクル、電気自動車用充電器などを含むシステム構成図)を生成する。
【0015】
図2に示す例では、ステップSBにおいて、電気自動車充電器設計支援システム1が、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者により追加される電気自動車用充電器の台数B2、追加される電気自動車用充電器における想定充電時間C2、電気自動車1台あたりの必要充電量C3の入力を受け付ける(入力項目)。つまり、電気自動車充電器設計支援システム1の取得部11が、電気自動車用充電器の設計に用いられる情報である、追加される電気自動車用充電器の台数B2、追加される電気自動車用充電器における想定充電時間C2、電気自動車1台あたりの必要充電量C3を取得する。
ステップSCでは、電気自動車充電器設計支援システム1が、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者により電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量A2、電気自動車用充電器が導入される建物の用途の入力を受け付ける(入力項目)。つまり、電気自動車充電器設計支援システム1の取得部11が、電気自動車用充電器の設計に用いられる情報である、電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量A2、電気自動車用充電器が導入される建物の用途を取得する。
他の例では、ステップSCにおいて、取得部11が、電気自動車充電器設計支援システム1の内部または外部に記憶されている電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量A2、電気自動車用充電器が導入される建物の用途を取得してもよい(記憶項目)。
【0016】
図7図10は追加される電気自動車用充電器を急速充電器にするかあるいは普通充電器にするかを決定するために電気自動車充電器設計支援システム1において実行される処理「STEP0」の一例を説明するためのフローチャートである。
図7図10に示す例では、処理「STEP0」が開始されると、ステップS1において、電気自動車充電器設計支援システム1が、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者(例えば電気自動車用充電器の設計者)に対して電気自動車用充電器が必要であるか否かの入力を求める。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者が、電気自動車用充電器が必要である旨を入力した場合には、ステップS2に進み、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者が、電気自動車用充電器が必要ではない旨を入力した場合には、処理「STEP0」が終了する。
【0017】
ステップS2において、判定部13は、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって電気自動車用充電器が導入される建物の用途が入力されたか否かを判定する。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって電気自動車用充電器が導入される建物の用途が入力された場合には、ステップS3に進む。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって電気自動車用充電器が導入される建物の用途が入力されていない場合には、電気自動車充電器設計支援システム1が、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者に対して電気自動車用充電器が導入される建物の用途の入力を要求し、ステップS2に戻る。
ステップS3において、処理部14は、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって入力された電気自動車用充電器が導入される建物の用途を保存する。
【0018】
次いで、ステップS4において、判定部13は、電気自動車用充電器が導入される建物が契約している電力会社が決まっているか否かを判定する。電気自動車用充電器が導入される建物が契約している電力会社が決まっている場合には、ステップS5に進み、電気自動車用充電器が導入される建物が契約している電力会社が決まっていない場合には、ステップS7に進む。
具体的には、ステップS4において、例えば、判定部13は、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって電気自動車用充電器が導入される建物が契約している電力会社が入力されたか否かを判定する。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって電気自動車用充電器が導入される建物が契約している電力会社が入力された場合には、ステップS5に進む。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって電気自動車用充電器が導入される建物が契約している電力会社が入力されていない場合には、ステップS7に進む。
【0019】
ステップS5において、電気自動車充電器設計支援システム1は、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者による電気料金単価C6の入力を受け付ける。
次いで、ステップS6では、処理部14が、ステップS5において入力された電気料金単価C6を保存する。次いで、ステップS9に進む。
【0020】
ステップS7において、判定部13は、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって電気自動車用充電器が導入される建物の住所(つまり、電気自動車用充電器が導入される建物が、どの電力会社の管轄地域に属するかを示す情報)が入力されたか否かを判定する。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって電気自動車用充電器が導入される建物の住所が入力された場合には、ステップS8に進む。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって電気自動車用充電器が導入される建物の住所が入力されていない場合には、電気自動車充電器設計支援システム1が、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者に対して電気自動車用充電器が導入される建物の住所の入力を要求し、ステップS7に戻る。
ステップS8では、処理部14が、電気料金単価C6を保存し、ステップS9に進む。
【0021】
ステップS9において、判定部13は、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量A2が入力されたか否かを判定する。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量A2が入力された場合には、ステップS10に進む。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量A2が入力されていない場合には、電気自動車充電器設計支援システム1が、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者に対して電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量A2の入力を要求し、ステップS9に戻る。
ステップS10では、処理部14が、電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量A2を保存し、ステップS11に進む。
【0022】
ステップS11において、判定部13は、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって電気自動車用充電器が追加される前における時間帯別使用電力量が入力されたか否かを判定する。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって電気自動車用充電器が追加される前における時間帯別使用電力量が入力された場合には、ステップS12に進む。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって電気自動車用充電器が追加される前における時間帯別使用電力量が入力されていない場合には、電気自動車充電器設計支援システム1が、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者に対して電気自動車用充電器が追加される前における時間帯別使用電力量の入力を要求し、ステップS11に戻る。
ステップS12では、処理部14が、電気自動車用充電器が追加される前における時間帯別使用電力量を保存し、ステップS13に進む。
【0023】
ステップS13では、判定部13が、追加される電気自動車用充電器として急速充電器を選定してよいか否かを判定する。追加される電気自動車用充電器として急速充電器を選定してよい場合には、ステップS24に進む。一方、追加される電気自動車用充電器として急速充電器を選定すべきでない場合(例えば、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって急速充電器の選定がNGである旨の情報が電気自動車充電器設計支援システム1に入力されている場合)には、ステップS14に進む。
【0024】
ステップS14において、判定部13は、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって普通充電器の必要台数が入力されたか否かを判定する。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって普通充電器の必要台数が入力された場合には、ステップS15に進む。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって普通充電器の必要台数が入力されていない場合には、電気自動車充電器設計支援システム1が、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者に対して普通充電器の必要台数の入力を要求し、ステップS14に戻る。
ステップS15では、処理部14が、普通充電器の必要台数を保存し、ステップS16に進む。
【0025】
ステップS16において、判定部13は、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって追加される普通充電器における想定充電時間C2および電気自動車1台あたりの必要充電量C3が入力されたか否かを判定する。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって追加される普通充電器における想定充電時間C2および電気自動車1台あたりの必要充電量C3が入力された場合には、ステップS17に進む。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって追加される普通充電器における想定充電時間C2および電気自動車1台あたりの必要充電量C3が入力されていない場合には、電気自動車充電器設計支援システム1が、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者に対して追加される普通充電器における想定充電時間C2および電気自動車1台あたりの必要充電量C3の入力を要求し、ステップS16に戻る。
ステップS17では、処理部14が、追加される普通充電器における想定充電時間C2および電気自動車1台あたりの必要充電量C3を保存し、ステップS18に進む。
ステップS18では、充電出力算出部12Dが、電気自動車1台あたりの必要充電量C3を、追加される普通充電器における想定充電時間C2で除した値である充電出力(=C3/C2)を算出する。
【0026】
次いで、ステップS19では、判定部13が、ステップS18において算出された充電出力が6kW以下であるか否かを判定する。充電出力が6kW以下である場合には、ステップS20に進む。一方、充電出力が6kWより大きい場合には、ステップS21に進む。
ステップS20では、処理部14が、追加される電気自動車用充電器として普通充電器を選定し、その旨を保存する。
ステップS21では、判定部13が、追加される電気自動車用充電器として急速充電器を選定してよいか否かを判定する。追加される電気自動車用充電器として急速充電器を選定してよい場合には、ステップS22に進む。一方、追加される電気自動車用充電器として急速充電器を選定すべきでない場合(例えば、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって急速充電器の選定がNGである旨の情報が電気自動車充電器設計支援システム1に入力されている場合)には、ステップS23に進む。
ステップS22では、処理部14が、追加される電気自動車用充電器として急速充電器を選定し、その旨を保存する。
ステップS23では、電気自動車充電器設計支援システム1が、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者に対して追加される普通充電器における想定充電時間C2および電気自動車1台あたりの必要充電量C3の再入力を要求し、ステップS16に戻る。
【0027】
ステップS24では、処理部14が、追加される電気自動車用充電器として急速充電器を選定し、その旨を保存する。
【0028】
次いで、ステップS25において、判定部13は、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって急速充電器の必要台数が入力されたか否かを判定する。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって急速充電器の必要台数が入力された場合には、ステップS26に進む。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって急速充電器の必要台数が入力されていない場合には、電気自動車充電器設計支援システム1が、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者に対して急速充電器の必要台数の入力を要求し、ステップS25に戻る。
ステップS26では、処理部14が、急速充電器の必要台数を保存し、ステップS27に進む。
【0029】
ステップS27において、判定部13は、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって追加される急速充電器における想定充電時間C2および電気自動車1台あたりの必要充電量C3が入力されたか否かを判定する。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって追加される急速充電器における想定充電時間C2および電気自動車1台あたりの必要充電量C3が入力された場合には、ステップS28に進む。電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によって追加される急速充電器における想定充電時間C2および電気自動車1台あたりの必要充電量C3が入力されていない場合には、電気自動車充電器設計支援システム1が、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者に対して追加される急速充電器における想定充電時間C2および電気自動車1台あたりの必要充電量C3の入力を要求し、ステップS27に戻る。
ステップS28では、処理部14が、追加される急速充電器における想定充電時間C2および電気自動車1台あたりの必要充電量C3を保存し、ステップS29に進む。
ステップS29では、充電出力算出部12Dが、電気自動車1台あたりの必要充電量C3を、追加される急速充電器における想定充電時間C2で除した値である充電出力(=C3/C2)を算出する。
【0030】
図1に示す例では、キュービクル受電容量算出部12Aは、電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量A2と、電気自動車用充電器に関する情報とに基づき、算出項目として、電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量A1を算出する。電気自動車用充電器に関する情報には、電気自動車用充電器の定格電圧A3と、電気自動車用充電器の定格電流A4と、追加される電気自動車用充電器の台数B2とが含まれる。キュービクル受電容量算出部12Aによって算出される電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量A1は、例えば下記の(1)式によって表される。
A1=A2+A3×A4×B2 (1)
【0031】
電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分C4(=A3×A4×B2)は、追加される電気自動車用充電器の台数B2と、各電気自動車用充電器の充電最大出力との積(総充電出力)によっても表すことができる。
後述する電気自動車用充電器のデマンド制御などを実行することによって、電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分C4(=A3×A4×B2)を抑制することができる。
【0032】
図2に示す例では、ステップSEにおいて、電気自動車充電器設計支援システム1がキュービクル受電容量のシミュレーションを行う。つまり、ステップSEでは、キュービクル受電容量算出部12Aが、例えば図3および図11に示すように、電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量A1を算出する。
【0033】
図1に示す例では、初期費用算出部12Bは、少なくとも電気自動車用充電器の台数(追加される電気自動車用充電器の台数)B2と、電気自動車用充電器に関する情報と、キュービクルに関する情報とに基づき、算出項目として、電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用B1を算出する。電気自動車用充電器に関する情報には、追加される電気自動車用充電器の単価B3が含まれる。キュービクルに関する情報には、電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分に相当する費用である受電設備増加分費用B4(受電容量増加分費用)が含まれる。初期費用算出部12Bによって算出される電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用B1は、例えば下記の(2)式によって表される。
B1=B3×B2+B4 (2)
【0034】
図3は初期費用算出部12Bによる演算の一例を説明するための図である。
図3に示す例では、初期費用算出部12Bが、ファミリー向けマンションに電気自動車用充電器を追加する場合の初期費用B1を算出する。
電気自動車充電器設計支援システム1の利用者(例えば電気自動車用充電器の設計者)は、電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量A2「600kVA」と、電気自動車用充電器の台数(追加される電気自動車用充電器の台数)B2「10台」と、追加される電気自動車用充電器の単価B3「17万円」(図3には図示せず)と、電気自動車用充電器(追加される電気自動車用充電器)における想定充電時間C2「6時間」と、電気自動車1台あたりの必要充電量C3「36kWh」と、電気自動車用充電器の定格電圧A3と、電気自動車用充電器の定格電流A4とを、入力項目として電気自動車充電器設計支援システム1に入力する。取得部11は、入力されたそれらの情報と、電気自動車充電器設計支援システム1の内部または外部に記憶項目として記憶されている「契約電力算出式」と「受電設備情報」を取得する。
他の例では、電気自動車用充電器の定格電圧A3と、電気自動車用充電器の定格電流A4とが記憶項目であってもよい。
【0035】
図4は「契約電力算出式」の一例を示す図である。
図4に示すように、記憶項目としての「契約電力算出式」は、契約電力Pと設備容量Po(例えば電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量A2等)との関係を示す式である。
【0036】
図5は「受電設備情報」の一例を示す図である。
図5に示すように、記憶項目としての「受電設備情報」は、受電設備容量(例えば、電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量A2、電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量A1等)と受電設備の価格との関係を示す情報である。
【0037】
図3において、充電出力「6kW(=36kWh/6時間)」は、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者(例えば電気自動車用充電器の設計者)によって入力された電気自動車用充電器(追加される電気自動車用充電器)における想定充電時間C2「6時間」と、電気自動車1台あたりの必要充電量C3「36kWh」とから得られる情報(充電出力算出部12Dによって算出される値)である。
図3に示す例では、初期費用算出部12Bが、充電出力「6kW」と電気自動車用充電器の台数(追加される電気自動車用充電器の台数)B2「10台」との積である総充電出力「60kW」を算出する。また、初期費用算出部12Bは、追加される電気自動車用充電器の単価B3「17万円」と電気自動車用充電器の台数(追加される電気自動車用充電器の台数)B2「10台」との積である充電設備コスト「170万円」を算出する。更に、キュービクル受電容量算出部12Aは、電気自動車用充電器の定格電圧A3と電気自動車用充電器の定格電流A4と追加される電気自動車用充電器の台数B2との積である電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分(増加受電容量)C4「60kVA」を算出する。
【0038】
また、初期費用算出部12Bは、電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量A2「600kVA」(図4に示す設備容量Po)と、図4に示す「契約電力算出式」とに基づいて、電気自動車用充電器が追加される前における契約電力「345(=0.5×600+45)kW」を算出する。キュービクル受電容量算出部12Aは、電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量A2「600kVA」と電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分(増加受電容量)C4「60kVA」との和である電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量A1「660(=600+60)kVA」を算出する。
また、初期費用算出部12Bは、電気自動車用充電器が追加される前における契約電力「345kW」と総充電出力「60kW」との和である電気自動車用充電器が追加された後における契約電力「405(=345+60)kW」を算出する。更に、初期費用算出部12Bは、図5に示す受電設備情報から、電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分に相当する費用である受電設備増加分費用B4(つまり、電気自動車用充電器が追加された後における受電設備(キュービクル)の価格「800万円」と電気自動車用充電器が追加される前における受電設備(キュービクル)の価格「700万円」との差額(増加受電設備コスト)「100(=800-700)万円」を算出する。
【0039】
図2に示す例では、ステップSFにおいて、算出部12が、例えば追加される電気自動車用充電器の費用(B2×B3)などの設備費用を算出する。
【0040】
図13は算出部12が電気自動車用充電器(普通充電器)の費用を算出するために用いる情報の一例を示す図である。
図13に示す例では、普通充電器の費用を算出するための情報(例えば記憶項目)として、「充電出力」、「定格電圧」、「定格電流」、「充電台数」、「デマンド制御のありなし」、「価格」が含まれている。
【0041】
図14は算出部12が電気自動車用充電器(急速充電器)の費用を算出するために用いる情報の一例を示す図である。
図14に示す例では、急速充電器の費用を算出するための情報(例えば記憶項目)として、「入力電圧」、「入力電流」、「最大出力電力」、「出力電圧」、「出力電流」、「価格」が含まれている。
【0042】
図15は電気自動車用充電器およびキュービクルと組み合わせて利用可能な設備(太陽光発電設備、蓄電池設備)の費用を算出するために算出部12によって用いられる情報の一例を示す図である。
図15(A)に示す例では、太陽光発電設備の費用を算出するための情報(例えば記憶項目)として、「容量」、「価格」が含まれている。
図15(B)に示す例では、蓄電池設備の費用を算出するための情報(例えば記憶項目)として、「容量」、「価格」が含まれている。
【0043】
図2に示す例では、ステップSGにおいて、算出部12が、追加される電気自動車用充電器の設置などにかかる施工費用(人件費、部材費)を算出する。
【0044】
図16は算出部12が追加される電気自動車用充電器の設置などにかかる施工費用(人件費、部材費)を算出するために用いる情報の一例を示す図である。
図16に示す例では、追加される電気自動車用充電器の設置などにかかる施工費用(人件費、部材費)を算出するための情報(例えば記憶項目)として、「歩掛人工」、「人件費単価」、「部材費単価」が含まれている。
【0045】
図17は電気自動車用充電器が追加される建物の用途がファミリー向けマンションである場合に算出部12が施工費用(人件費、部材費)を算出するために用いる情報の一例を示す図である。
図17に示す「人件費」は、図16に示す「歩掛人工」および「人件費単価」のルール(例えば記憶項目)を、図17に示す「普通充電器10台」に適用することによって得られる(算出項目)。図17に示す「部材費」は、図16に示す「部材費単価」のルール(例えば記憶項目)を、図17に示す「普通充電器10台」に適用することによって得られる(算出項目)。
図17中の「制御付き普通充電器」および「制御付き普通充電器+太陽光+蓄電池導入」については後述する。
【0046】
図2に示す例では、ステップSHにおいて、初期費用算出部12Bが、例えば図3および図11に示すように、電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用B1(=B3×B2+B4)を算出する。
他の例では、ステップSHにおいて、初期費用算出部12Bが、電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用B1を、ステップSFにおいて算出された「設備費用」とステップSGにおいて算出された「施工費用」との和として算出してもよい。
【0047】
図18は初期費用算出部12Bが電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用B1を「設備費用」と「施工費用」との和として算出する一例を示す図である。
図18に示す例では、「設備費用合計」が、「充電設備コスト(追加される電気自動車用充電器の費用(B3×B2))」と「増加受電設備コスト(電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分に相当する費用である受電設備増加分費用B4)」と「付帯設備コスト(デマンド制御、太陽光発電設備、蓄電池設備の費用)」との和として算出される(算出項目)。「施工費用合計」は、図17に示す「人件費」と「材料費」との和として算出される(算出項目)。「初期費用合計」は、図18に示す「設備費用合計」と「施工費用合計」との和として算出される(算出項目)。
図18中の「制御付き普通充電器」および「制御付き普通充電器+太陽光+蓄電池導入」についても後述する。
【0048】
上述したように、第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1では、電気自動車用充電器として、普通充電器と、急速充電器とが選択(設計)され得る。第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1では、キュービクル受電容量算出部12Aが、電気自動車用充電器として、急速充電器が用いられる場合の電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量A1を算出する機能と、電気自動車用充電器として、普通充電器が用いられる場合の電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量A1を算出する機能とを有する。
また、第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1では、初期費用算出部12Bが、電気自動車用充電器として、急速充電器が用いられる場合の電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用B1を算出する機能と、電気自動車用充電器として、普通充電器が用いられる場合の電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用B1を算出する機能とを有する。
【0049】
図11は制御なし普通充電器が用いられる場合と制御付き普通充電器が用いられて蓄電池が導入される場合とで比較して初期費用算出部12Bによる演算などの一例を説明するための図である。
図11に示す制御付き普通充電器が用いられて蓄電池が導入される場合では、後述するデマンド制御(ピークシフト制御)も適用されている。
【0050】
図19はキュービクル受電容量算出部12Aおよび初期費用算出部12Bによる演算の一例を説明するための図である。
図19において、「制御付き」は、ピークシフトおよび/またはピークカットのデマンド制御が電気自動車用充電器に適用される場合を示している。
電気自動車用充電器の「デマンド制御」とは、例えば下記のURLが示すサイトに記載されているように、デマンド値(30分間に使われた電力から求められる平均使用電力)を超えないよう給電量をリアルタイムでコントロールする制御である。
https://www.kawamura.co.jp/wp/wp-content/uploads/2019/06/Release_20190614.pdf
【0051】
「普通充電器」にデマンド制御を適用したものである「制御付き普通充電器」の例では、「普通充電器」の例よりも、電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量A1を抑制する(図19に示す例では、ゼロにする)ことができるため、電気自動車用充電器が追加された後における契約電力の増加を抑制(図19に示す例では、回避)することができ、電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分に相当する費用である受電設備増加分費用B4の増加を抑制(図19に示す例では、回避)することができる。
【0052】
例えば下記のURLが示すサイトに記載されているように、図19に示す「ピークシフト」は、電気自動車用充電器が追加される建物において電力を多く使用される例えば昼間の時間帯から、電力の使用量が少ない例えば夜間などの時間帯に、電気自動車の充電が行われる時間帯をシフトさせた場合を示している。
例えば下記のURLが示すサイトに記載されているように、図19に示す「ピークカット」は、電気自動車用充電器が追加される建物において電力を多く使用される例えば日中の時間帯に、太陽光発電設備において発電された電力または蓄電池に蓄電された電力を用いることによって、電気自動車用充電器の導入に伴う契約電力の増加などを抑制する場合を示している。
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/summary/pdf/140401_syouenehoukaisei.pdf
【0053】
第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1では、図19に示すように、キュービクル受電容量算出部12Aは、電気自動車用充電器のデマンド制御が行われる場合の電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量A1(図19の「制御付き普通充電器」の行の「EV追加後の受電設備容量600kVA」)を算出する機能と、電気自動車用充電器のデマンド制御が行われない場合の電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量A1(図19の「制御なし普通充電器」の行の「EV追加後の受電設備容量660kVA」)を算出する機能とを有する。
更に、図19に示すように、初期費用算出部12Bは、電気自動車用充電器のデマンド制御が行われる場合の電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用B1(図19の「制御付き普通充電器」の行の「充電設備コスト453万円」+「増加受電設備コスト0万円」)を算出する機能と、電気自動車用充電器のデマンド制御が行われない場合の電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用B1(図19の「制御なし普通充電器」の行の「充電設備コスト170万円」+「増加受電設備コスト100万円」)を算出する機能とを有する。
【0054】
また、第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1では、図19に示すように、キュービクル受電容量算出部12Aは、電気自動車用充電器にデマンド制御および蓄電池が導入された場合の電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量A1(図19の「制御付き普通充電器+蓄電池導入」の行の「EV追加後の受電設備容量600kVA」)を算出する機能と、電気自動車用充電器にデマンド制御および蓄電池が導入されない場合の電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量A1(図19の「制御なし普通充電器」の行の「EV追加後の受電設備容量660kVA」)を算出する機能とを有する。
更に、図19に示すように、初期費用算出部12Bは、電気自動車用充電器にデマンド制御および蓄電池が導入された場合の電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用B1(図19の「制御付き普通充電器+蓄電池導入」の行の「充電設備コスト453万円」+「増加受電設備コスト0万円」+「付帯設備コスト・蓄電池1200万円」)を算出する機能と、電気自動車用充電器が発電設備の発電電力を電気自動車の充電に用いない場合の電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用B1(図19の「制御なし普通充電器」の行の「充電設備コスト170万円」+「増加受電設備コスト100万円」)を算出する機能とを有する。
【0055】
例えば図19に示す「制御付き普通充電器+蓄電池導入」の例では、電気自動車用充電器が蓄電池に蓄電された電力を電気自動車の充電に用いる。キュービクル受電容量算出部12Aは、電気自動車用充電器が蓄電池に蓄電された電力を電気自動車の充電に用いる場合の電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量を算出する。
例えば図19に示す「制御なし普通充電器」の例では、電気自動車用充電器が蓄電池に蓄電された電力を電気自動車の充電に用いない。キュービクル受電容量算出部12Aは、電気自動車用充電器が蓄電池に蓄電された電力を電気自動車の充電に用いない場合の電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量を算出する。
上述したように、例えば図19に示す「制御付き普通充電器+蓄電池導入」の例では、電気自動車用充電器が蓄電池に蓄電された電力を電気自動車の充電に用いる。初期費用算出部12Bは、電気自動車用充電器が蓄電池に蓄電された電力を電気自動車の充電に用いる場合の電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用を算出する。ランニングコスト算出部12Cは、電気自動車用充電器が蓄電池に蓄電された電力を電気自動車の充電に用いる場合の電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分を算出する。
上述したように、例えば図19に示す「制御なし普通充電器」の例では、電気自動車用充電器が蓄電池に蓄電された電力を電気自動車の充電に用いない。初期費用算出部12Bは、電気自動車用充電器が蓄電池に蓄電された電力を電気自動車の充電に用いない場合の電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用を算出する。ランニングコスト算出部12Cは、電気自動車用充電器が蓄電池に蓄電された電力を電気自動車の充電に用いない場合の電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分を算出する。
【0056】
また、第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1では、図19に示すように、キュービクル受電容量算出部12Aは、電気自動車用充電器が発電設備の発電電力を電気自動車の充電に用いる場合の電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量A1(図19の「制御付き普通充電器+太陽光+蓄電池導入」の行の「EV追加後の受電設備容量600kVA」)を算出する機能と、電気自動車用充電器が発電設備の発電電力を電気自動車の充電に用いない場合の電気自動車用充電器が追加された後におけるキュービクル受電容量A1(図19の「制御なし普通充電器」の行の「EV追加後の受電設備容量660kVA」)を算出する機能とを有する。
更に、図19に示すように、初期費用算出部12Bは、電気自動車用充電器が発電設備の発電電力を電気自動車の充電に用いる場合の電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用B1(図19の「制御付き普通充電器+太陽光+蓄電池導入」の行の「充電設備コスト453万円」+「増加受電設備コスト0万円」+「付帯設備コスト・太陽光1800万円」+「付帯設備コスト・蓄電池1200万円」)を算出する機能と、電気自動車用充電器が発電設備の発電電力を電気自動車の充電に用いない場合の電気自動車用充電器の利用開始に必要な初期費用B1(図19の「制御なし普通充電器」の行の「充電設備コスト170万円」+「増加受電設備コスト100万円」)を算出する機能とを有する。
【0057】
図1に示す例では、ランニングコスト算出部12Cは、少なくとも電気自動車用充電器の台数(追加される電気自動車用充電器の台数)B2と、電気自動車用充電器(追加される電気自動車用充電器)における想定充電時間C2と、電気自動車1台あたりの必要充電量C3と、電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分C4(=A3×A4×B2)と、電気自動車充電情報C5と、電気料金単価C6とに基づき、算出項目として、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1を算出する。
【0058】
図2に示す例では、ステップSIにおいて、算出部12が、ランニングコストC1(電気料金=電力×充電使用時間×電気料金単価)を算出する。
【0059】
図6はランニングコスト算出部12Cによる演算の一例を説明するための図である。
図6に示す例では、ランニングコスト算出部12Cが、ファミリー向けマンションに電気自動車用充電器(制御なし普通充電器)を追加する場合のランニングコストC1を算出する。ランニングコスト算出部12CがランニングコストC1を算出するために、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者(例えば電気自動車用充電器の設計者)は、電気自動車用充電器が追加される前におけるキュービクル受電容量A2「600kVA」と、電気自動車用充電器の台数(追加される電気自動車用充電器の台数)B2「10台」と、電気自動車用充電器(追加される電気自動車用充電器)における想定充電時間C2「6時間」と、電気自動車1台あたりの必要充電量C3「36kWh」とを、入力項目として電気自動車充電器設計支援システム1に入力する。取得部11は、入力されたそれらの情報と、電気自動車充電器設計支援システム1の内部または外部に記憶されている電気自動車充電情報C5と、このファミリー向けマンションが契約している電力会社の電気料金単価C6とを取得する。
電気自動車充電情報C5は、例えば建物用途(ファミリー向けマンション・単身向けマンション・スーパー・複合ビル・小型小売店など)のタイプ別に、電気自動車の充電情報(時間帯別の充電開始台数)を予め予想・推定したものである。
図6において、図3に示す例と同様に、充電出力「6kW(=36kWh/6時間)」は、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者(例えば電気自動車用充電器の設計者)によって入力された電気自動車用充電器(追加される電気自動車用充電器)における想定充電時間C2「6時間」と、電気自動車1台あたりの必要充電量C3「36kWh」とから得られる情報(充電出力算出部12Dによって算出される値)である。
【0060】
図6に示す例では、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、1か月あたりの電気料金の基本料金の増加分(=電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分C4(=A3×A4×B2)×電気料金単価C6)「11万円」を算出する。
また、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、1か月あたりの電気料金の使用料金の増加分(=電気自動車充電情報C5×電気料金単価C6)「16万円」を算出する。
更に、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、12か月(1年)あたりの電気料金の基本料金の増加分(≒11万円/月×12か月)「136万円」を算出する。
また、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、12か月(1年)あたりの電気料金の使用料金の増加分(≒16万円×12か月)「189万円」を算出する。
更に、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、12か月(1年)あたりの電気料金の基本料金の増加分「136万円」と、12か月(1年)あたりの電気料金の使用料金の増加分「189万円」との合計金額「325(=136+189)万円」を算出する。
【0061】
また、第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1では、電気自動車用充電器として、普通充電器と、急速充電器とが選択(設計)され得るため、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器として、急速充電器が用いられる場合の前記電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分(ランニングコストC1)を算出する機能と、電気自動車用充電器として、普通充電器が用いられる場合の電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分(ランニングコストC1)(図12の「制御なし」かつ「普通充電器」の行の「ランニングコスト325万円」)を算出する機能とを有する。
【0062】
図12は制御なし普通充電器が用いられる場合と制御付き普通充電器が用いられて蓄電池が導入される場合とで比較してランニングコスト算出部12Cによる演算などの一例を説明するための図である。
図12に示す制御付き普通充電器が用いられて蓄電池が導入される場合(「制御付き普通充電器+蓄電池導入」で示す場合)では、後述するデマンド制御(ピークシフト制御)も適用されている。
【0063】
図12に示す例では、「制御付き普通充電器+蓄電池導入」で示す場合に、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、1か月あたりの電気料金の基本料金の増加分(=電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分C4(=A3×A4×B2=0円)×電気料金単価C6)「0万円」を算出する。
また、「制御付き普通充電器+蓄電池導入」で示す場合に、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、1か月あたりの電気料金の使用料金の増加分(=電気自動車充電情報C5×電気料金単価C6)「14万円(<16万円)」を算出する。ピークシフト制御が実行されるため、「制御なし普通充電器」で示す場合よりも使用料金が削減される。
更に、「制御付き普通充電器+蓄電池導入」で示す場合に、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、12か月(1年)あたりの電気料金の基本料金の増加分(≒0万円/月×12か月)「0万円」を算出する。
また、「制御付き普通充電器+蓄電池導入」で示す場合に、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、12か月(1年)あたりの電気料金の使用料金の増加分(≒14万円×12か月)「174万円」を算出する。
更に、「制御付き普通充電器+蓄電池導入」で示す場合に、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、12か月(1年)あたりの電気料金の基本料金の増加分「0万円」と、12か月(1年)あたりの電気料金の使用料金の増加分「174万円」との合計金額「174(=0+174)万円」を算出する。
【0064】
図20は算出部12によるランニングコストC1の算出に用いられる情報の一例(電気料金単価C6)を示す図である。
図20において、「夜間」は22時から8時までの時間帯であり、「夏季」は7月1日から9月30日までの期間であり、「ピーク」は夏季の毎日10時から17時までの時間帯に相当する。
【0065】
図21および図22は算出部12によるランニングコストC1の算出に用いられる情報の他の例(建物用途別電気自動車充電情報(例えば充電使用時間(想定充電時間C2)など)を示す図である。図23図21および図22に示す数値をグラフ化した図である。
例えば図21図23に示すように、建物用途(ファミリー向けマンション・単身向けマンション・スーパー・複合ビル・小型小売店など)のタイプ別に(図21図23に示す例は「ファミリー向けマンション」)、電気自動車の充電情報(時間帯別の充電開始台数)が、記憶項目として、電気自動車充電器設計支援システム1の内部または外部に記憶されている。図21図23は、デマンド制御(ピークシフト)が適用されない普通充電器である「制御なし普通充電器」を導入する場合における、電気自動車用充電器台数を例えば10台としたサンプル値を示している。
図21図23に示す例では、算出部12が、記憶項目としての電気自動車充電情報C5と、入力項目としての充電時間6時間(想定充電時間C2)、充電出力6kW(=C3/C2)から、時間帯別の使用電力量(図21中の「EV使用電力量」)を算出する。
図21図23に示す例では、電気自動車充電器設計支援システム1が、図23に示すように、デマンド制御(ピークシフト)が適用されない普通充電器である「制御なし普通充電器」を導入する場合には契約電力を増加させる必要がある旨をシミュレーション結果として算出する。
【0066】
図24および図25は算出部12によるランニングコストの算出に用いられる情報の更に他の例(建物用途別電気自動車充電情報(例えば充電使用時間(想定充電時間C2)など))を示す図である。図26図24および図25に示す数値をグラフ化した図である。
図24図26は、デマンド制御(ピークシフト)が適用される「制御付き普通充電器」を導入する場合における、電気自動車用充電器台数を例えば10台としたサンプル値を示している。
図24図26に示す例においても、図21図23に示す例と同様に、算出部12が、記憶項目としての電気自動車充電情報C5と、入力項目としての充電時間6時間(想定充電時間C2)、充電出力6kW(=C3/C2)から、時間帯別の使用電力量(図24中の「EV使用電力量」)を算出する。
図24図26に示す例では、電気自動車充電器設計支援システム1が、図24に示すように、デマンド制御(ピークシフト)を適用することによって、「EV追加前の使用電力量」のピークが、変化することなく、電気自動車用充電器が追加された後の「合計使用電力量」になる旨をシミュレーション結果として算出する。
詳細には、図24に示す例では、使用量のピークが契約電力となる点に鑑み、使用量のピークに電気自動車の充電を行わないよう、ピークシフトが行われ、かつ、使用料金の安い時間帯へピークシフトさせられている(つまり、電気自動車の充電時間帯がシフトさせられている)。
図24図26に示す例では、電気自動車充電器設計支援システム1が、図26に示すように、デマンド制御(ピークシフト)が適用される「制御付き普通充電器」を導入する場合には契約電力を増加させる必要がない旨をシミュレーション結果として算出する。
【0067】
図27はランニングコスト算出部12Cによる演算などの一例を説明するための図である。
図27に示す例では、ランニングコスト算出部12Cが、図6に示す「制御なし普通充電器」を追加する場合のランニングコスト、図12に示す「制御付き普通充電器+蓄電池導入」を追加する場合のランニングコストに加えて、「制御付き普通充電器」を追加する場合のランニングコスト、「制御付き普通充電器+太陽光+蓄電池導入」を追加する場合のランニングコストを算出する。
【0068】
図27に示す例では、「制御付き普通充電器」で示す場合に、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、1か月あたりの電気料金の基本料金の増加分(=電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分C4(=A3×A4×B2=0円)×電気料金単価C6)「0万円」を算出する。
また、「制御付き普通充電器」で示す場合に、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、1か月あたりの電気料金の使用料金の増加分(=電気自動車充電情報C5×電気料金単価C6)「14万円(<16万円)」を算出する。ピークシフト制御が実行されるため、「制御なし普通充電器」で示す場合よりも使用料金が削減される。
更に、「制御付き普通充電器」で示す場合に、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、12か月(1年)あたりの電気料金の基本料金の増加分(≒0万円/月×12か月)「0万円」を算出する。
また、「制御付き普通充電器」で示す場合に、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、12か月(1年)あたりの電気料金の使用料金の増加分(≒14万円×12か月)「174万円」を算出する。
更に、「制御付き普通充電器」で示す場合に、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、12か月(1年)あたりの電気料金の基本料金の増加分「0万円」と、12か月(1年)あたりの電気料金の使用料金の増加分「174万円」との合計金額「174(=0+174)万円」を算出する。
【0069】
つまり、第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1では、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器のデマンド制御が行われる場合の電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する前記電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分(ランニングコストC1)(図27の「制御付き普通充電器」の行の「ランニングコスト174万円」)を算出する機能と、電気自動車用充電器のデマンド制御が行われない場合の電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分(ランニングコストC1)(図27の「制御なし普通充電器」の行の「ランニングコスト325万円」)を算出する機能とを有する。
【0070】
また、図27に示す例では、「制御付き普通充電器+太陽光+蓄電池導入」で示す場合に、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、1か月あたりの電気料金の基本料金の増加分(=電気自動車用充電器の追加に伴うキュービクル受電容量の増加分C4(=A3×A4×B2=0円)×電気料金単価C6)「0万円」を算出する。
また、「制御付き普通充電器+太陽光+蓄電池導入」で示す場合に、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、1か月あたりの電気料金の使用料金の増加分(=電気自動車充電情報C5×電気料金単価C6)「14万円(<16万円)」を算出する。ピークシフト制御が実行されるため、「制御なし普通充電器」で示す場合よりも使用料金が削減される。
更に、「制御付き普通充電器太陽光+蓄電池導入」で示す場合に、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、12か月(1年)あたりの電気料金の基本料金の増加分(≒0万円/月×12か月)「0万円」を算出する。
また、「制御付き普通充電器+太陽光+蓄電池導入」で示す場合に、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、12か月(1年)あたりの電気料金の使用料金の増加分(≒14万円×12か月)「174万円」を算出する。
更に、「制御付き普通充電器+太陽光+蓄電池導入」で示す場合に、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分に相当するランニングコストC1として、12か月(1年)あたりの電気料金の基本料金の増加分「0万円」と、12か月(1年)あたりの電気料金の使用料金の増加分「174万円」との合計金額「174(=0+174)万円」を算出する。
【0071】
つまり、第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1では、ランニングコスト算出部12Cが、電気自動車用充電器が発電設備の発電電力を電気自動車の充電に用いる場合の電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分(ランニングコストC1)(図27の「制御付き普通充電器+太陽光+蓄電池導入」の行の「ランニングコスト174万円」)を算出する機能と、電気自動車用充電器が発電設備の発電電力を電気自動車の充電に用いない場合の電気自動車用充電器が追加される前における電気料金に対する電気自動車用充電器が追加された後における電気料金の増加分(ランニングコストC1)(図27の「制御なし普通充電器」の行の「ランニングコスト325万円」)を算出する機能とを有する。
【0072】
図2に示す例では、ステップSJにおいて、算出部12が、デマンド制御による電気料金削減額(=電気料金×デマンド制御削減割合)を算出する。
【0073】
図27に示す例では、「制御付き普通充電器+蓄電池導入」で示す場合に、算出部12が、「制御なし普通充電器」で示す場合と比較したランニングコストの削減分「151(=325-174)万円/年」を算出する。また、算出部12は、「制御付き普通充電器+蓄電池導入」で示す場合に、「制御なし普通充電器」で示す場合と比較した初期費用合計(図18参照)の割高分「1,183(=1,550-367)万円」を算出する。更に、算出部12は、「制御付き普通充電器+蓄電池導入」で示す場合に、「制御なし普通充電器」で示す場合と比較した初期費用合計の割高分を回収する期間「7.8年(≒1,183万円/151(万円/年)」を算出する。
「制御付き普通充電器」で示す場合に、算出部12は、「制御なし普通充電器」で示す場合と比較したランニングコストの削減分「151(=325-174)万円/年」を算出する。また、算出部12は、「制御付き普通充電器」で示す場合に、「制御なし普通充電器」で示す場合と比較した初期費用合計(図18参照)の割高分「183(=550-367)万円」を算出する。更に、算出部12は、「制御付き普通充電器」で示す場合に、「制御なし普通充電器」で示す場合と比較した初期費用合計の割高分を回収する期間「1.2年(≒183万円/151(万円/年)」を算出する。
「制御付き普通充電器+太陽光+蓄電池導入」で示す場合に、算出部12は、「制御なし普通充電器」で示す場合と比較したランニングコストの削減分「151(=325-174)万円/年」を算出する。また、算出部12は、「制御付き普通充電器+太陽光+蓄電池導入」で示す場合に、「制御なし普通充電器」で示す場合と比較した初期費用合計(図18参照)の割高分「2,683(=3,050-367)万円」を算出する。更に、算出部12は、「制御付き普通充電器」で示す場合に、「制御なし普通充電器」で示す場合と比較した初期費用合計の割高分を回収する期間「17.7年(≒2,683万円/151(万円/年)」を算出する。
【0074】
図1に示す例では、充電出力算出部12Dが、電気自動車1台あたりの必要充電量C3(図3および図6に示す例では「36kWh」)を、追加される電気自動車用充電器における想定充電時間C2(図3および図6に示す例では「6時間」)で除した値である充電出力(図3および図6に示す例では「6kW(=36kWh/6時間)」)を算出する。
【0075】
図2に示す例では、ステップSKにおいて、電気自動車充電器設計支援システム1が、シミュレーションを終了するか否かを判定するシミュレーション終了判定(STEP4.5)を実行する。
【0076】
図28図2のステップSKにおいて電気自動車充電器設計支援システム1において実行されるシミュレーション終了判定(STEP4.5)の一例を説明するための図である。
図28に示す例では、ステップS30において、判定部13は、シミュレーションを終了するか否かを判定する。
【0077】
図29はキュービクルの受電容量を増加させてシミュレーションをやり直す必要がある場合について説明するための図である。
図29に示すように、電気自動車用充電器追加前の使用電力量のグラフに、高い山がなく、なだらかな山の中のピークで基本料金(契約電力)が決まっているような建物用途の場合、ピークシフトしたとしても、余力部分に電気自動車用充電器使用電力量が収まりきらず、ピークが変化してしまい、契約電力を増加させざるを得ないシミュレーション結果もある。
【0078】
そこで、図28に示す例では、ステップS30において判定部13がシミュレーションを終了するか否かを判定し、図29に示す例のような場合には、判定部13がシミュレーションを終了しないと判定し、ステップS31に進む。一方、判定部13がシミュレーションを終了すると判定した場合には、ステップS34に進む。
ステップS31では、判定部13がキュービクルの受電容量を増加させるか否かを判定する。図29に示す例のようにキュービクルの受電容量を増加させて契約電力を増加させる必要がある場合には、ステップS32に進む。一方、キュービクルの受電容量を増加させない場合には、図8のステップS13に戻る。
ステップS32では、電気自動車充電器設計支援システム1が、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者によるキュービクルの増加容量の入力を受け付ける。
次いで、ステップS33では、処理部14が、ステップS32において入力されたキュービクルの増加容量を保存し、図7図10に示す処理「STEP0」を終了する。
【0079】
ステップS34では、システム構成図生成部15が、追加される電気自動車用充電器などを含むシステムを示すシステム構成図を生成する。
【0080】
図30図32はシステム構成図生成部15によって生成されるシステム構成図の各例を示す図である。詳細には、図30は「制御なし-普通充電器」(デマンド制御が行われない電気自動車用充電器)を含むシステムの一例を示しており、図31は「制御あり-普通充電器」(デマンド制御が行われる電気自動車用充電器)を含むシステムの一例を示しており、図32は「急速充電器」を含むシステムの一例を示している。
【0081】
第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1によれば、電気自動車用充電器の設計者などは、電気自動車充電器設計支援システム1に最低限の情報を入力することによって、キュービクル受電容量、初期費用およびランニングコストの情報を得ることができる。
【0082】
<第2実施形態>
以下、本発明の電気自動車充電器設計支援システム、電気自動車充電器設計支援方法およびプログラムの第2実施形態について説明する。
第2実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1と同様の効果を奏することができる。
【0083】
上述した第1実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1は、例えば電気自動車充電器設計支援サービスを提供する事業者が管理するサーバ装置の内部などに配置されている。
一方、第2実施形態の電気自動車充電器設計支援システム1は、電気自動車充電器設計支援システム1の利用者(例えば電気自動車用充電器の設計者)が利用する例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォンなどの端末装置によって構成されている。
【0084】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0085】
なお、上述した実施形態における電気自動車充電器設計支援システム1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0086】
1…電気自動車充電器設計支援システム、11…取得部、12…算出部、12A…キュービクル受電容量算出部、12B…初期費用算出部、12C…ランニングコスト算出部、12D…充電出力算出部、13…判定部、14…処理部、15…システム構成図生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32