(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000710
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20231226BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20231226BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20231226BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20231226BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H05K7/20 H
H05K5/03 A
G06F1/20 B
G06F1/20 C
G06F1/16 312E
G06F1/16 312Z
H01Q1/24 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099567
(22)【出願日】2022-06-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 修
(72)【発明者】
【氏名】宮本 旅人
(72)【発明者】
【氏名】梅島 一哉
(72)【発明者】
【氏名】佐野 哲也
【テーマコード(参考)】
4E360
5E322
5J047
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360AB04
4E360AB05
4E360AB51
4E360AC01
4E360BA01
4E360BD03
4E360CA02
4E360EA12
4E360EA24
4E360ED02
4E360ED07
4E360EE03
4E360FA02
4E360FA12
4E360FA13
4E360GA24
4E360GA35
4E360GB46
4E360GC02
4E360GC08
4E360GC14
5E322AA01
5E322AA02
5E322AB01
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5E322DB10
5E322EA11
5J047AA12
5J047EF05
(57)【要約】
【課題】アンテナエレメントによる好適な電波の送受信性能と十分な筐体強度とを両立することができ、さらに、筐体の小型化やレイアウト自由度を向上させることのできる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器10は、扁平形状をなす筐体14と、筐体14の側面に設けられた横長形状で樹脂材のルーバー50と、筐体14内に設けられてルーバー50から排気をする送風ファン38と、ルーバー50における送風ファン38とは反対側の面に設けられたアンテナエレメント60と、送風ファン38とルーバー50との間で上カバー材20と下カバー材22との間を支持し、複数が横方向に不等間隔で配列されている金属材の支柱86a~86dと、を有する。アンテナエレメント60は、少なくとも一部が横方向に延在する形状であり、側面視で支柱86a~86dの間隔が最も長い通風孔82の箇所に最も長く配置されている
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
第1カバーと第2カバーとが組み合わさって扁平形状をなす筐体と、
前記筐体の側面に設けられた横長形状で樹脂材のルーバーと、
前記筐体内に設けられて前記ルーバーから排気をする送風ファンと、
前記ルーバーにおける前記送風ファンとは反対側の面に設けられたアンテナエレメントと、
前記送風ファンと前記ルーバーとの間で前記第1カバーと前記第2カバーとの間を支持し、複数が横方向に不等間隔で配列されている金属材の支柱と、
を有し、
前記アンテナエレメントは、少なくとも一部が横方向に延在する形状であり、側面視で前記支柱の間隔が最も長い箇所に最も長く配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記第2カバーは載置面に載置する脚部が設けられる側を形成する金属材の下カバー材であり、
前記第1カバーは前記第2カバーと反対側を形成する金属材の上カバー材であり、
前記脚部は前記アンテナエレメントの下方部にあり、
前記第2カバーは、前記脚部の内部で下方に向けて突出し、前記アンテナエレメントから離間するように上面が凹形状をなす離間部を備える
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
複数の前記支柱は横方向に関して対称位置に配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器において、
複数の前記支柱は前記第1カバーまたは前記第2カバーと一体構成である
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の側面にアンテナエレメントを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PC(ノートブック型パーソナルコンピュータ)のような電子機器は、WWAN(Wireless Wide Area Network)やWLAN(Wireless Local Area Network)等の各種無線通信のアンテナを搭載している。アンテナエレメントは筐体の側面に設けると外部との送受信を行うのに障壁がなくて好適である(特許文献1参照)。
【0003】
また、ノート型PCはCPU等の発熱体を搭載しており、筐体内に冷却モジュールを搭載し、発熱体が発生する熱を吸熱し外部に放熱する。放熱手段としては、例えば送風ファンが用いられて排気口から排気・排熱する。排気口には筐体の強度担保、異物進入の防止および通風などを目的としたルーバーが設けられることが多い。送風ファンは扁平形状の筐体に適合した平型形状となっている。また、ルーバーも送風ファンの送気口に応じて横長形状となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ノート型PCには小型化の要請がある。ところが、アンテナエレメントおよび排気口はいずれも筐体の側面部分に設けられることがあり、しかも筐体の四周の全長は限られていることから両者が所定の長さ範囲を占有すると一層の小型化は困難となる。また、アンテナエレメントについてはなるべくレイアウトスペースを削減できることが望ましいが送受信波長などの関係上から極度に小型化することは難しい。このため、アンテナエレメントをルーバーに設けることが検討されている。これによりアンテナエレメントが単体で所定のスペースを占有することがなくなり、筐体内のレイアウト自由度が高まる。ルーバーにアンテナエレメントを設けるためには、ルーバー自体は樹脂材で構成することが好適である。
【0006】
ところで、上記のとおりルーバーは横長形状となっており、筐体の上カバーと下カバーとの間を支持するには樹脂材では強度が不十分となることが懸念される。上カバーと下カバーとの間に数多くの樹脂壁を設けると強度を向上させることができるが、通風抵抗が増大する。
【0007】
そのため、ルーバーの近傍に上カバーと下カバーとの間を支持する金属の支柱を設けることが望ましいが、金属の支柱はアンテナエレメントに近すぎると電波の送受信に影響を与えてしまう。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、アンテナエレメントによる好適な電波の送受信性能と十分な筐体強度とを両立することができ、さらに、筐体の小型化やレイアウト自由度を向上させることのできる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の実施態様に係る電子機器は、電子機器であって、第1カバーと第2カバーとが組み合わさって扁平形状をなす筐体と、前記筐体の側面に設けられた横長形状で樹脂材のルーバーと、前記筐体内に設けられて前記ルーバーから排気をする送風ファンと、前記ルーバーにおける前記送風ファンとは反対側の面に設けられたアンテナエレメントと、前記送風ファンと前記ルーバーとの間で前記第1カバーと前記第2カバーとの間を支持し、複数が横方向に不等間隔で配列されている金属材の支柱と、を有し、前記アンテナエレメントは、少なくとも一部が横方向に延在する形状であり、側面視で前記支柱の間隔が最も長い箇所に最も長く配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記態様によれば、複数の金属材の支柱によって第1カバーと第2カバーとの間の強度が担保されている。また、支柱は金属材であるが不等間隔で配列されており、特に、アンテナエレメントは、側面視で支柱の間隔が最も長い箇所に最も長く配置されていることから、アンテナエレメントによる好適な電波の送受信性能と筐体の強度とを両立することができる。さらに、アンテナエレメントはルーバーに設けられることから、アンテナエレメント単体でスペースを占有することがなく、筐体の小型化やレイアウト自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、下カバー材を取り外して内部を露呈させた状態の筐体の底面図である。
【
図3】
図3は、排気構造を斜め上方から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、ルーバーを分離した状態の排気構造を斜め下方から見た分解斜視図である。
【
図5】
図5は、排気構造周辺におけるルーバーおよび上カバー材の斜視図である。
【
図6】
図6は、排気構造とその周辺部の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。
図1に示すように、電子機器10は、ディスプレイ筐体12と筐体14とをヒンジ16で相対的に回動可能に連結したクラムシェル型のノート型PCである。本発明に係る電子機器は、ノート型PC以外、タブレット型PC、携帯電話、スマートフォン、又は携帯用ゲーム機等でもよい。
【0014】
ディスプレイ筐体12は、筐体14よりも薄い扁平な箱体である。ディスプレイ筐体12には、ディスプレイ18が搭載されている。ディスプレイ18は、例えば有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)や液晶で構成される。
【0015】
以下、筐体14及びこれに搭載された各構成要素について、
図1に示すようにディスプレイ筐体12を所定角度に開いてディスプレイ18を視認する状態を基準とし、手前側を「前」、奥側を「後」、幅方向を「左右」、厚み方向を上下または「縦」、と呼んで説明する。また、後述する排気構造56の説明では筐体14の厚み方向に直交する方向を「横」とする。
【0016】
筐体14は、その後端部にヒンジ16が連結されている。筐体14は、上面及び四周側面を形成する上カバー材20と、下面を形成する下カバー材22とで構成されている。筐体14は上カバー材20と下カバー材22とが組み合わさって扁平な箱体をなしている。筐体14の上面には、キーボード24及びタッチパッド26が設けられている。
【0017】
図2は、下カバー材22を取り外して内部を露呈させた状態の筐体14の底面図である。冷却モジュール28は、筐体14内のマザーボード30に実装された発熱体32が発生する熱を吸熱及び拡散し、さらに筐体14外へと放熱する冷却装置である。発熱体32は、例えばCPU,GPUなどである。マザーボード30は発熱体32等の各種半導体チップが実装されたプリント基板である。発熱体32は筐体14内で最大級の発熱体である。冷却モジュール28は、2本のヒートパイプ34,36と、2個の送風ファン38,40と、2つの冷却フィン42,44と、ヒートスプレッダ46とを備える。
図2の符号48はバッテリーである。
【0018】
ヒートパイプ34,36はパイプ状の熱輸送装置である。ヒートパイプ34,36は、一部が近接又は当接した状態で並列されている。ヒートパイプ34は一端が発熱体32から吸熱可能に配置され他端が冷却フィン42と熱的につながっている。ヒートパイプ36は一端が発熱体32と熱的に接続され、他端が冷却フィン44と熱的に接続されている。発熱体32とヒートパイプ34,36との間には伝熱材や放熱材が介在していてもよい。ヒートパイプ34,36は、それぞれ扁平な金属パイプの内部に形成された密閉空間に作動流体を封入した構成であり、密閉空間内で作動流体が相変化を生じながら流通し、これにより効率よく熱を輸送する。
【0019】
送風ファン38,40は、ヒートパイプ34,36が輸送した熱を冷却フィン42,44を介し、ルーバー50,52から外へと排気・放熱するものである。ルーバー50,52は筐体14の外壁の一部を形成するように設けられている。本実施の形態ではルーバー50,52が排気口を兼ねているが、筐体14の外壁に排気口を設けてその内部にルーバー50,52を設けてもよい。
【0020】
送風ファン38,40は筐体14の後端近傍で、且つ左右に分かれて配置されている。送風ファン38,40は扁平形状の筐体14に適合した平型形状となっている。ルーバー50は送風ファン38の排気位置に対応した箇所に形成されており、冷却フィン42はルーバー50と送風ファン38との間に設けられている。ルーバー52は送風ファン40の排気位置に対応した箇所に形成されており、冷却フィン44はルーバー52と送風ファン40との間に設けられている。冷却フィン42,44は送風ファン38,40と一体的に構成されていてもよい。送風ファン38,40の各下面の縁部はスポンジ材54で囲われている。スポンジ材54は下カバー材22に当接し、空気の逆流を防止している。送風ファン38,40は下カバー材22に形成された吸気口(図示略)から吸気をする。
【0021】
次に、送風ファン38から送風して冷却フィン42の熱をルーバー50から排気・放熱する排気構造56の構成について説明する。なお、送風ファン40から送風して冷却フィン44の熱をルーバー52から排気・放熱する排気構造58(
図1参照)の構成については同様であるために詳細な説明を省略する。
【0022】
上記のとおり、排気構造56の説明では筐体14の厚み方向を「縦」とし、それに直交する方向を「横」とする。本実例における排気構造56の「横方向」は左右方向であるが、送風ファン40からの排気が左右方向に沿う場合には、「横方向」は筐体14の前後方向になる。
【0023】
図3は、排気構造56を斜め上方から見た斜視図である。
図3ではキーボード24およびディスプレイ筐体12を省略している。
図4は、ルーバー50を分離した状態の排気構造56を斜め下方から見た分解斜視図である。
図4ではディスプレイ筐体12を省略している。
図5は、排気構造56周辺におけるルーバー50および上カバー材20の斜視図である。排気構造56は上記の送風ファン38、ルーバー50および冷却フィン42を含み、さらにルーバー仕切部80およびルーバー50に設けられたアンテナエレメント60を含むものとする。アンテナエレメント60は、識別が容易となるように適宜ドット地で示す。
【0024】
ルーバー50は筐体14の後側面に開口するように設けられた横長形状の樹脂材である。ルーバー50は筐体14の強度担保、異物進入の防止および送風ファン38の通風などを目的としている。ルーバー50は筐体14に固定されるユニット式であり、単体でアンテナエレメント60を設けるのに好適である。ルーバー50は基本的に樹脂による一体成型品であるが、成型の都合などによっては複数部材で形成するようにしてもよい。
【0025】
ルーバー50は上壁64、下壁66、横壁68および複数の縦壁70を有している。上壁64は上カバー材20の内面20aに直接的に、またはスポンジ材75(
図6参照)を介して当接する。下壁66は下カバー材22の内面22a(
図6参照)と当接する。上カバー材20および下カバー材22は、全面、又は少なくともルーバー50に当接する箇所とその周辺部が金属材であり、電気的にグランドレベルとなっているものとする。
【0026】
ルーバー50には2箇所のビス止め片72a,72bが形成されている。ビス止め片72a,72bは上カバー材20に対してルーバー50をビスBで固定する部分である。ビス止め片72a,72bはルーバー50の左右両端にある。
【0027】
上壁64にはアンテナエレメント60に対応したアンテナグランドが設けられている。アンテナグランドはビス止め片72a,72bのビス孔を含む箇所に形成されており、ビス止めによって上カバー材20と接触して導通する。アンテナグランドにおけるビス止め片72a,72b以外の部分には導電性のスポンジ材75が設けられており、該スポンジ材75を介して上カバー材20と導通する。スポンジ材75は、例えば導電性粘着テープによって上壁64に固定されている。
【0028】
複数の縦壁70は、上壁64と下壁66とに亘って設けられていて、ルーバー50および筐体14の強度を担保している。縦壁70のうち左右両端のものはルーバー50の側壁となっている。複数の縦壁70は送風ファン38の風をほとんど妨げない程度の数であって、不等間隔に設けられている。
【0029】
横壁68は、上壁64と下壁66との中間部でルーバー50の横方向全長に亘って設けられている。横壁68は複数の縦壁70と交差している。横壁68における筐体14内部の側は、送風ファン38の風の抵抗を軽減させるために鋭角状の断面を形成している。
【0030】
アンテナエレメント60は、ルーバー50の横壁68における外側面(つまり、送風ファン38とは反対側の面)に設けられている。アンテナエレメント60の横幅W1は対応する電波周波数などによって決定される。本実施例では横幅W1はルーバー50における開口幅W4の約半分である。アンテナエレメント60は、横壁68に沿って形成される横幅W1の主部60a以外に、縦壁70に沿った短い副部60bを有している。換言すると、アンテナエレメント60の少なくとも一部は横壁68に沿って設けられている。アンテナエレメント60は、例えばLDS(Laser Direct Structuring)や金属箔などによって形成される。
【0031】
冷却フィン42はブロック形状であって金属材の薄板で構成されている。冷却フィン42は送風ファン38の送風口に対応した形状であって、上板と、下板と、これらの間に亘って設けられる複数の縦板42aとを有する。縦板42aは板面が送風ファン38による風に沿う向きになっており、多数が横方向に狭い間隔で並んでいる。下板はヒートパイプ34の端部と溶接等で固定されている。
【0032】
次に、排気構造56が有するルーバー仕切部80について説明する。
図4,
図5に示すように、ルーバー仕切部80はルーバー50と筐体14の内部とを仕切る箇所に設けられている。具体的には、ルーバー仕切部80の後面がルーバー50前面と当接しており、前面が冷却フィン42の送風口端面と近接する位置にある。仮に、冷却フィン42が設けられていないシステムの場合には、ルーバー仕切部80はルーバー50と送風ファン38との間に設ければよい。
【0033】
ルーバー仕切部80はいわゆる仕切壁ではなく、3つの通風孔82a,82b,82cが横方向に並んで形成されており、送風ファン38の風はほとんど遮られることがなく、ルーバー50に流入可能となっている。
【0034】
ルーバー仕切部80は上カバー材20の一部として一体的に成型されている。ルーバー仕切部80は上カバー材20と同様に金属材で構成されており十分な強度を有する。設計条件によりルーバー仕切部80は下カバー材22の一部として一体的に成型してもよいし、または上カバー材20および下カバー材22とは別体の構成として内面20aと内面22aとの間に介在するようにしてもよい。
【0035】
ルーバー仕切部80は、上カバー材20の後縁20bより前方で内面20aから小さく突出する上縁部84aと、該上縁部84aから通風孔82a~82cを介して下方に配置されている下縁部84bと、上縁部84aと下縁部84bとの間を接続する4本の支柱86a,86b,86c,86dとを有する。
【0036】
上縁部84aおよび下縁部84は上下幅および前後幅が等しく、それぞれ横方向に延在している。下縁部84bは下カバー材22の内面22a(
図6参照)に当接する。つまり、支柱86a~86dは、送風ファン38とルーバー50との間で、上縁部84aおよび下縁部84bを介して上カバー材20と下カバー材22との間を支持している。
【0037】
上縁部84aおよび下縁部84bはそれぞれ右端部が支柱86aで支持され、左端部が支柱86dで支持されている。支柱86b,86cは支柱86aと支柱86dとの間に配置されている。通風孔82bは支柱86bと支柱86cとの間に形成されており、その間隔は幅W2である。通風孔82aは支柱86aと支柱86bとの間に形成されており、通風孔82cは支柱86cと支柱86dとの間に形成されており、それぞれの間隔は等しく幅W3である。幅W2は幅W3より広い。換言すると、支柱86a~86dは不等間隔で配置されていて、支柱86a~86dによって形成される通風孔82a~82cのうちでは中央の通風孔82bが最も広くなっている。また、4本の支柱86a~86dは横方向に関して対称位置に配置されていて強度的にバランスがよい。
【0038】
さらに、通風孔82bの幅W2はアンテナエレメント60の横幅W1よりもやや広い。アンテナエレメント60は、少なくとも主部60aが後方からの側面視で通風孔82bの範囲内に収まっている。後方側面図は省略するが、主部60aと通風孔82bとの位置関係は
図4により明確となっている。
【0039】
支柱86aは右壁88aとつながっている。右壁88aは支柱86aと同じ高さであり、該支柱86aから後方に延在しており、筐体後面14aとの間に隙間90を形成している。隙間90はヒンジ16が設けられる箇所である。
【0040】
支柱86dは左壁88bとつながっている。左壁88bは支柱86dよりやや低く、該支柱86dとディスプレイ筐体対向面14bとの間をアングル状につないでいる。ディスプレイ筐体対向面14bは、筐体14の後端でディスプレイ筐体12の端部と対向する部分であり、筐体後面14aよりやや前方にある。ルーバー50の後面50aはディスプレイ筐体対向面14bと連続する同一面上にあり(
図3参照)、ディスプレイ筐体12の端部と対向する。ルーバー50の前面50bはルーバー仕切部80と当接する。ルーバー仕切部80とルーバー50とは同じ高さになっている(
図5参照)。支柱86b,86cは、ルーバー50の縦壁70と重なる位置にあって送風ファン38による通風を妨げない。
【0041】
内面20aと右壁88aとにより形成される隅部にはビス止め座92aが設けられており、内面2aと左壁88bとにより形成される隅部にはビス止め座92bが設けられている。ビス止め座92a,92bは、ビス止め片72a,72bがビスBによって固定される座面である。
【0042】
電子機器10では、アンテナエレメント60がルーバー50に設けられていることから、アンテナエレメント60が単体で所定のスペースを占有することがなくなり、筐体14の小型化が可能になる。また、筐体14内のレイアウト自由度が高まり、例えばバッテリー48を大型化することができる。アンテナエレメント60は筐体14の側面に設けられるため、外部との送受信を行うのに障壁がなくて好適である。
【0043】
ルーバー50は横長形状の樹脂材であって筐体14の上カバー材20と下カバー材22との間を支持するのに強度が不十分とも考えられるが、電子機器10ではルーバー50の近傍に設けられた4本の金属材の支柱86a~86dによって強度が担保されている。支柱86a~86dは、上縁部84aおよび下縁部84bを介して上カバー材20および下カバー材22を支持しているため、支持面積が広くなり安定して支持可能となっている。また、支柱86a~86dは金属材であるが不等間隔で配列されており、特に、アンテナエレメント60は後方からの側面視で通風孔82bの範囲内に収まっていることから通風孔82bの両端を形成する支柱86b,86cのアンテナエレメント60に対する電磁的影響は相当に抑制され、好適な電波の送受信性能が可能となる。また、これによりルーバー50の前後幅W5を短縮化することができ、筐体14の小型化を図ることができる。
【0044】
このようにして、電子機器10ではアンテナエレメント60による好適な電波の送受信性能と十分な筐体14の強度とを両立することができる。なお、ルーバー50の前後幅W5をある程度長く確保可能であるなどの条件によっては、アンテナエレメント60は後方からの側面視で、横方向に関して通風孔82bの範囲から多少ははみ出ていても相応の効果が得られる。換言すれば、アンテナエレメントは、側面視で複数の支柱86a~86dのうち間隔が最も長い箇所(本例の場合は支柱86bと支柱86cとの間に形成される通風孔82bの箇所)に最も長く配置されているとよい。
【0045】
図6は、排気構造56とその周辺部の模式断面側面図である。下カバー材22の後端部には下方に突出する脚部94が設けられている。同様の脚部は下カバー材22の前端近傍にも設けられている。脚部94は下面が載置面Gに当接して載置され、筐体14を水平に支持する。脚部94は、例えばゴム材で形成されている。
図6の符号98はアンテナエレメント60のフィード線である。
【0046】
脚部94はルーバー50およびアンテナエレメント60の下方部にある。下カバー材22は、脚部94の内部で下方に向けて突出し、アンテナエレメント60から離間するように上面96aが凹形状をなす離間部96を備える。離間部96は下カバー材22の一部であり、金属材である。ルーバー50の下面は離間部96の上面96aに当接している。上面96aは下カバー材22の内面22aの一部である。
【0047】
アンテナエレメント60は、安定した電波の送受信のために金属材である上カバー材20の内面20aからの距離Luが一定以上確保され、さらに金属材である下カバー材22の内面22aからの距離Ldが一定以上確保されていることが望ましい。また、載置面Gが人体である場合を考慮すると、アンテナエレメント60からある程度強い電波を照射するためには載置面Gからの距離Lgが一定以上(例えば8mm以上)確保されていることが望ましい。
【0048】
仮に、離間部96設けられていない場合には内面20aと内面22aとの距離(つまり、Lu+Ld)が短くなり、レイアウトの自由度が小さいために上記の要件を満たすことができないが、本実施の形態では離間部96が設けられていることから、内面20aと内面22aとが離間してレイアウト自由度が大きくなり、距離Lu,Ld,Lgを適度に大きく確保することができる。
【0049】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0050】
10 電子機器
14 筐体
20 上カバー材
20a 内面
22 下カバー材
22a 内面
38,40 送風ファン
42,44 冷却フィン
50,52 ルーバー
56,58 排気構造
60 アンテナエレメント
60a 主部
80 ルーバー仕切部
82a,82b,82c 通風孔
84a 上縁部
84b 下縁部
86a,86b,86c,86d 支柱
94 脚部
96 離間部
【手続補正書】
【提出日】2023-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
第1カバーと第2カバーとが組み合わさって扁平形状をなす筐体と、
前記筐体の側面に設けられた横長形状で樹脂材のルーバーと、
前記筐体内に設けられて前記ルーバーから排気をする送風ファンと、
前記ルーバーにおける前記送風ファンとは反対側の面に設けられたアンテナエレメントと、
前記送風ファンと前記ルーバーとの間で前記第1カバーと前記第2カバーとの間を支持し、複数が横方向に不等間隔で配列されている金属材の支柱と、
を有し、
前記アンテナエレメントは、少なくとも一部が横方向に延在する形状であり、側面視で間隔が最も長い2本の前記支柱の間に最も長く配置され、且つその他の前記支柱と対向しない範囲内に配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記第2カバーは載置面に載置する脚部が設けられる側を形成する金属材の下カバー材であり、
前記第1カバーは前記第2カバーと反対側を形成する金属材の上カバー材であり、
前記脚部は前記アンテナエレメントの下方部にあり、
前記第2カバーは、前記脚部の内部で下方に向けて突出し、前記アンテナエレメントから離間するように上面が凹形状をなす離間部を備える
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
前記アンテナエレメントは、側面視で前記支柱の間隔が最も長い箇所の範囲内に配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器において、
複数の前記支柱は前記第1カバーまたは前記第2カバーと一体構成である
ことを特徴とする電子機器。