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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071019
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】グミ組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 21/10 20160101AFI20240517BHJP
   A23G 3/34 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A23L21/10
A23G3/34 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181714
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松尾 平三
【テーマコード(参考)】
4B014
4B041
【Fターム(参考)】
4B014GG12
4B014GL09
4B014GL10
4B014GL11
4B041LC10
4B041LD02
4B041LK12
4B041LK16
4B041LK17
4B041LK33
(57)【要約】
【課題】コラーゲンペプチドを含有しつつ、原料を混合した溶液を型に充填する際の作業性の低下を抑制する。
【解決手段】グミ組成物は、ゼラチンを配合している。グミ組成物は、食物繊維と、コラーゲンペプチドと、二糖以下の糖アルコールと、を含有している。当該グミ組成物における固形分当たりの含有量として、食物繊維の含有量が10質量%以上70質量%以下であり、コラーゲンペプチドの含有量が5質量%以上20質量%以下であり、二糖以下の糖アルコールの含有量が6質量%以上50質量%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼラチンを配合するグミ組成物であって、
食物繊維と、コラーゲンペプチドと、二糖以下の糖アルコールと、を含有し、
当該グミ組成物における固形分当たりの含有量として、
前記食物繊維の含有量が10質量%以上70質量%以下であり、
前記コラーゲンペプチドの含有量が5質量%以上20質量%以下であり、
前記二糖以下の糖アルコールの含有量が6質量%以上50質量%以下である
グミ組成物。
【請求項2】
前記ゼラチンのブルーム値が120以上350以下である
請求項1に記載のグミ組成物。
【請求項3】
前記コラーゲンペプチドの質量平均分子量が6000以下である
請求項1又は2に記載のグミ組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グミ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コラーゲンペプチドを含有するグミキャンディ様構造物が開示されている。このようなグミキャンディは、原料を混合した溶液を型に充填した後に乾燥させることで得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5429033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているようなコラーゲンペプチドを配合する場合には、原料を混合した溶液の粘性にコラーゲンペプチドが影響を与えやすいという事情がある。具体的には、原料を混合した溶液の粘性が高くなりやすいため、溶液を型に充填する際に、糸状に延びやすくなる。言い換えれば、溶液の曳糸性が高くなりやすい。溶液の曳糸性が高くなることによって、型へ充填する際の作業性が低下するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのグミ組成物は、ゼラチンを配合するグミ組成物であって、食物繊維と、コラーゲンペプチドと、二糖以下の糖アルコールと、を含有し、当該グミ組成物における固形分当たりの含有量として、前記食物繊維の含有量が10質量%以上70質量%以下であり、前記コラーゲンペプチドの含有量が5質量%以上20質量%以下であり、前記二糖以下の糖アルコールの含有量が6質量%以上50質量%以下であることを要旨とする。
【0006】
上記グミ組成物は、前記ゼラチンのブルーム値が120以上350以下であることが好ましい。
上記グミ組成物は、前記コラーゲンペプチドの質量平均分子量が6000以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のグミ組成物によれば、コラーゲンペプチドを含有しつつ、原料を混合した溶液を型に充填する際の作業性の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、グミ組成物の一実施形態について説明する。
本実施形態のグミ組成物は、ゼラチンを配合している。グミ組成物は、食物繊維と、コラーゲンペプチドと、二糖以下の糖アルコールと、を含有している。
【0009】
<グミ組成物>
グミ組成物は、水分を含有している。グミ組成物の製造方法は特に限定されないが、たとえば、原料を混合した溶液を型に充填することでグミ組成物を成型する。型の具体例としては、コーンスターチを用いたスターチモールド、シリコンモールド等が挙げられる。型に流し込んだ溶液の含有する水分量が所望の値になるまで乾燥させることでゲル化したグミ組成物を得ることができる。グミ組成物の水分量は、特に限定されないが、たとえば10質量%以上30質量%以下である。以下では、ゲル化させる前の溶液のことをグミ液という。
【0010】
グミ組成物全体の質量からグミ組成物における水分の質量を除いたものがグミ組成物における全固形分の質量に対応する。以下では、グミ組成物の固形分が含有する各成分の含有量について、ゲル化させたグミ組成物における全固形分に対する含有量を、固形分当たりの含有量として示す。
【0011】
型から取り出したグミ組成物の表面にはコーティングを施してもよい。コーティングとしては、糖衣、光沢剤等によるものが挙げられる。こうしたコーティングの質量は固形分の質量に含まないものとする。
【0012】
<ゼラチン>
ゼラチンは、コラーゲンを加熱して分解することで得られる。
グミ組成物が含有するゼラチンは、特に限定されないが、たとえば、牛、豚、鶏、魚類等の皮、骨等から抽出したコラーゲンを分解したものを使用することができる。コラーゲンからゼラチンを得る方法は、公知の方法を適宜採用することができる。ゼラチンは、市販のゼラチンを用いてもよい。グミ組成物は、上記ゼラチンのうち一種類を単独で含有していてもよいし、二種類以上のゼラチンを組み合わせて含有していてもよい。
【0013】
ゼラチンのブルーム値(ゼリー強度)は、特に限定されないが、たとえば、100以上400以下である。ブルーム値の下限値は、120であることが好ましく、より好ましくは240である。ブルーム値の上限値は、350であることが好ましく、より好ましくは270である。当該範囲の上限値又は下限値は、たとえば120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340又は350であってもよい。
【0014】
なお、ゼラチンのブルーム値とはゼラチンのゼリー強度を示す数値であり、例えば、「にかわ及びゼラチン」JISK6503(2001)に定められた試験方法で測定することができる。具体的には、テクスチャーアナライザー又はレオメータを測定に用いる。専用のゼリーカップに流し込んだ6.67%ゼラチン溶液を、10℃で17時間冷却することで測定用のゼリーを調製する。径12.7mmのプランジャーを用いて、プランジャーの先端とゼリーカップのゼリー表面との間隔を調整した後、測定を開始する。測定条件は、侵入速度1mm/s、侵入距離4mmに設定する。こうして測定した応力数値(g)をゼリー強度とする。
【0015】
グミ組成物における固形分当たりのゼラチンの含有量は、特に限定されないが、たとえば、3質量%以上20質量%以下である。以下では、グミ組成物における固形分当たりの含有量について「質量%」を「%」に省略して表記する。上記含有量の下限値は、8%であることが好ましく、より好ましくは14%である。上記含有量の上限値は、18%であることが好ましく、より好ましくは16%である。当該範囲の上限値又は下限値は、たとえば8、9、10、11、12、13、14、15、16、17又は18%であってもよい。
【0016】
ゼラチンは、グミ組成物の硬さに寄与する成分である。
ゼラチンの含有量が少ないほど、グミ組成物の破断強度が低くなりやすい。ゼラチンの含有量が多いほど、グミ組成物の破断強度が高くなりやすい。また、ゼラチンのゼリー強度が小さいほど、グミ組成物の破断強度が低くなりやすい。ゼラチンのゼリー強度が大きいほど、グミ組成物の破断強度が高くなりやすい。
【0017】
グミ組成物の破断強度の数値範囲は、特に限定されないが、たとえば、40N以上250N以下であることが好ましい。グミ組成物の破断強度が上記数値範囲であると、グミ組成物の噛み応えが良好になりやすい。また、ゼラチンのブルーム値が、120以上350以下であると、グミ組成物の破断強度を上記数値範囲にすることが容易になる。
【0018】
<食物繊維>
食物繊維としては、たとえば、ポリデキストロース、難消化性グルカン、難消化性デキストリン、イヌリン等の水溶性食物繊維を用いることができる。食物繊維は、市販の食物繊維を用いてもよい。食物繊維は、還元処理された食物繊維でもよいし、非還元の食物繊維でもよい。グミ組成物は、上記食物繊維のうち一種類を単独で含有していてもよいし、二種類以上の食物繊維を組み合わせて含有していてもよい。
【0019】
グミ組成物における固形分当たりの食物繊維の含有量は、10%以上70%以下である。上記含有量の下限値は、13%であることが好ましく、より好ましくは14%である。上記含有量の上限値は、60%であることが好ましく、より好ましくは50%である。当該範囲の上限値又は下限値は、たとえば10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60又は70%であってもよい。
【0020】
<コラーゲンペプチド>
コラーゲンペプチドは、コラーゲン又はゼラチンを加水分解することで得られる低分子化された可溶性タンパク質である。加水分解の手段としては、酸、アルカリ及び酵素等による公知の処理を挙げることができる。コラーゲンペプチドは、市販のコラーゲンペプチドを用いてもよい。
【0021】
コラーゲンペプチドは、分子量の異なる複数のペプチドが混合しているものが好ましい。また、コラーゲンペプチドの質量平均分子量は、20000以下であるとよい。上記質量平均分子量は、6000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましく、さらに好ましくは2000以下である。コラーゲンペプチドの質量平均分子量が6000以下であると、グミ液の曳糸性が高くなることを抑制しやすくなる。なお、質量平均分子量は、たとえば、写真用ゼラチン試験法合同審議会が定めるPAGI法に従って算出することができる。
【0022】
グミ組成物における固形分当たりのコラーゲンペプチドの含有量は、5%以上20%以下である。上記含有量の下限値は、5.5%であることが好ましく、より好ましくは6%である。上記含有量の上限値は、19%であることが好ましく、より好ましくは18%である。当該範囲の上限値又は下限値は、たとえば5、5.5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、18.5、19又は20%であってもよい。
【0023】
<二糖以下の糖アルコール>
グミ組成物は、低分子の糖アルコール、すなわち単糖の糖アルコール及び二糖の糖アルコールからなる群より選択される少なくとも一種の糖アルコールを含有している。単糖の糖アルコールとしては、たとえば、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。二糖の糖アルコールとしては、たとえば、マルチトール(還元麦芽糖)、ラクチトール等が挙げられる。
【0024】
グミ組成物は、還元水飴として二糖以下の糖アルコールを含有していてもよい。還元水飴は、二糖以下の糖アルコールの含有量が多いことが好ましい。すなわち、高糖化の還元水飴を採用することが好ましい。高糖化の還元水飴として、たとえば還元麦芽糖水飴が挙げられる。
【0025】
グミ組成物は、上記糖アルコール及び還元水飴のうち一種のみを単独で含有していてもよいし、二種以上を組み合わせて含有していてもよい。糖アルコール及び還元水飴は、市販の糖アルコール及び還元水飴を用いてもよい。
【0026】
グミ組成物における固形分当たりの二糖以下の糖アルコールの含有量は、6%以上50%以下である。上記含有量の下限値は、6.5%であることが好ましく、より好ましくは7%である。上記含有量の上限値は、40%であることが好ましく、より好ましくは35%である。当該範囲の上限値又は下限値は、たとえば6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45又は50%であってもよい。
【0027】
なお、グミ組成物は、三糖以上の糖アルコールを含有していてもよい。しかし、三糖以上の糖アルコールの含有量は、少ないことが好ましい。三糖以上の糖アルコールの含有量は、5%以下であることが好ましい。
【0028】
<その他成分>
グミ組成物は、前述した成分以外のその他成分、たとえば、酸味料、香料、着色料、油脂、高甘味度甘味料、多糖類等の安定剤、グリセリン、果汁、乳製品、コーヒー、紅茶、植物エキス類、機能性成分等を含有していてもよい。これら各成分は、グミ組成物に配合される公知のものを使用することができる。これらの成分は、それぞれ一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
酸味料の具体例としては、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、乳酸等が挙げられる。
機能性成分の具体例としては、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類等が挙げられる。
【0030】
<用途>
グミ組成物の用途は、特に限定されないが、たとえば、一般食品、保健機能食品、特別用途食品等に使用することができる。保健機能食品としては、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等に使用することができる。グミ組成物は、食品に限らず、たとえば医薬品、医薬部外品としても使用することができる。
【0031】
<作用及び効果>
本実施形態の作用について説明する。
食物繊維と、コラーゲンペプチドと、二糖以下の糖アルコールと、を含有しているグミ組成物によれば、コラーゲンペプチドを含有しつつ、ゲル化させる前のグミ液の曳糸性が高くなることを抑制できる。
【0032】
食物繊維と、コラーゲンペプチドと、二糖以下の糖アルコールと、を含有しているグミ組成物によれば、食物繊維を含有しつつ、グミ組成物のゲル強度が低下することを抑制できる。
【0033】
ところで、低分子の糖アルコールをグミ組成物に配合すると、グミ組成物が軟化しやすいことが知られている。
これに対して、本実施形態のグミ組成物によれば、食物繊維と、コラーゲンペプチドと、二糖以下の糖アルコールと、を所定の含有量となるように組み合わせて含有していることによって、グミ組成物の破断強度を高くすることができる。
【0034】
本実施形態の効果について説明する。
(1)グミ組成物を成型する際において、グミ液を型に充填するときに充填しやすい。より詳しく言えば、グミ液を型に充填する際に使用する器具、たとえばシリンジ等にグミ液が付着したまま残ることを抑制できる。これによって、グミ液の損失を軽減することができる。すなわち、コラーゲンペプチドを含有しつつ、原料を混合した溶液を型に充填する際の作業性の低下を抑制することができる。
【0035】
(2)食物繊維を高濃度で含有しつつ、噛み応えのあるグミ組成物を提供することができる。
(3)グミ組成物を成型する際にスターチモールドを使用することがある。この場合には、グミ液の曳糸性が高いと、型に付着したグミ液によって型崩れが引き起こされることがある。これに対して本実施形態によれば、型崩れが生じることを抑制できる。
【0036】
(4)本実施形態によれば、コラーゲンペプチド、食物繊維及び二糖以下の糖アルコールを含有しつつもグミ組成物が軟化しにくい。これによって、噛み応えのあるグミ組成物を提供することができる。
【実施例0037】
グミ組成物について、以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、グミ組成物は、実施例欄に記載の構成に限定されるものではない。
<グミ組成物の製造>
実施例1~10及び比較例1~7のグミ組成物を製造した。各グミ組成物の含有する成分は、表1~3に示すとおりである。表1~3には、得られたグミ組成物における固形分当たりの各成分の含有量を示している。また、各グミ組成物における固形分当たりの二糖以下の糖アルコールの含有量、食物繊維の含有量、コラーゲンペプチドの含有量を算出した値を表1~3に示す。含有量の算出は、各成分における規格書に記載の下限値に基づいて行った。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
グミ組成物の製造方法について説明する。
【0041】
コラーゲンペプチド原料を水に溶解させた。得られた溶液にゼラチンを添加した。70℃湯浴にてゼラチンを完全に溶解させることで、ゼラチン溶液を調製した。
糖アルコール原料又は還元水飴原料と食物繊維原料とを混合して加熱濃縮を行った。Brix値が75~80の濃縮糖液を得た。得られた濃縮糖液を100℃以下まで冷却した後、上記ゼラチン溶液を加えて混合した。さらに、酸味料、香料、高甘味度甘味料を加えた。70℃湯浴にて完全に溶解させることで、Brix値が69~72であるグミ液を調製した。
【0042】
上記グミ液を15mm×15mm×10mmのシリコンモールドにシリンジを用いて充填した。その後、室温で16~24時間静置して乾燥させた。シリコンモールドから取り出すことでゲル化したグミ組成物を得た。
【0043】
<曳糸性の評価>
上記製造方法において実施例1~10及び比較例1~7における各グミ液をシリコンモールドに充填する際の曳糸性を評価した。曳糸性の評価は、三名の評価者によって行った。評価基準は以下のとおりである。なお、曳糸性の評価において、曳糸性が可とは、糸引きが生じにくいことを意味し、曳糸性が良好とは、糸引きがより生じにくいことを意味するものである。評価結果は、全ての評価者で一致した。結果を表1~3に示す。
【0044】
・曳糸性の評価基準
◎(良好):シリンジを用いてグミ液をシリコンモールドに充填する際に、液切れが良く充填が良好であった。
【0045】
〇(可):シリンジを用いてグミ液をシリコンモールドに充填する際に、曳糸性が見られるものの充填が可能であった。
×(不可):シリンジを用いてグミ液をシリコンモールドに充填する際に、高い曳糸性を伴って充填が困難であった。
【0046】
<破断強度の測定>
実施例1~10及び比較例1~7におけるグミ組成物の破断強度を、テクスチャーアナライザーを用いて測定した。評価に用いたグミ組成物の大きさは、縦15mm、横15mm、厚み10mmである。
【0047】
試験機として、EZ-SX((株)島津製作所製、本体負荷容量500N)を使用した。プランジャーには、くさび型のものを使用した。圧縮速度1mm/sec、圧縮距離100%、測定温度20℃の条件で測定を行った。各グミ組成物について測定を3回行い、破断点における強度の平均値を破断強度[N]として表1~3に示す。なお、表中の「-」は、破断点を検出できなかったことを示す。
【0048】
<結果>
曳糸性評価及び破断強度測定の結果について説明する。
(実施例1~3)
実施例1~3は、いずれも曳糸性の評価が可であった。また、実施例1~3の破断強度は、比較例1及び2の破断強度と比較して高い値であった。
【0049】
比較例1及び2は、実施例1~3と比較して、固形分当たりの二糖以下の糖アルコールの含有量が少ない。具体的には、実施例1~3では二糖以下の糖アルコールの含有量が6%以上50%以下であることに対して、比較例1及び2では二糖以下の糖アルコールの含有量が6%未満である。このことから、二糖以下の糖アルコールの含有量が6%以上50%以下であることによって、グミ液の曳糸性が高くなることを抑制できることがわかる。また、二糖以下の糖アルコールの含有量が6%以上50%以下であることによって、破断強度が高くなることがわかる。
【0050】
実施例1~3、比較例1及び2では、いずれもゼリー強度が240~270gのゼラチンを使用している。また、各グミ組成物の固形分当たりのゼラチンの含有量には差異が無い。このことから、二糖以下の糖アルコールの含有量が6%以上50%以下であることによって、ゼリー強度が同じゼラチンを使用しているにもかかわらず破断強度が高い値を示すグミ組成物が得られることがわかる。
【0051】
実施例1では、高糖化還元水飴として二糖以下の糖アルコールを含有している。実施例2では、マルチトールを含有している。実施例3では、ソルビトールを含有している。実施例1~3から、二糖以下の糖アルコールの種類にかかわらずグミ液の曳糸性が高くなることを抑制する効果が得られることがわかる。また、二糖以下の糖アルコールの種類にかかわらず破断強度が高いグミ組成物が得られることがわかる。
【0052】
(実施例4及び5)
実施例4及び5では、曳糸性の評価が良好であった。また、実施例4及び5の破断強度は、実施例1~3の破断強度と比較して、さらに高い値を示した。
【0053】
実施例4及び5では、実施例1~3と比較して、固形分当たりの二糖以下の糖アルコールの含有量をより多くしている。一方で、実施例4及び5では、実施例1~3と比較して、固形分当たりの食物繊維の含有量を少なくしている。このことから、実施例4及び5が奏する良好な曳糸性と高い破断強度は、二糖以下の糖アルコールの含有量を多くすることによって得られる効果であることがわかる。
【0054】
(実施例6及び7)
実施例6及び7では、曳糸性の評価が可であった。また、実施例6の破断強度は、比較例3の破断強度と比較して高い値であった。比較例4では破断強度を測定できなかったが、実施例7の破断強度は、実施例6の破断強度と同等の水準である値を示した。
【0055】
実施例1~5では食物繊維として還元ポリデキストロースを採用していたのに対して、実施例6では、食物繊維として還元難消化性グルカンを採用している。比較例3でも同様に食物繊維として還元難消化性グルカンを採用している。また、実施例7では、食物繊維として還元難消化性デキストリンを採用している。比較例4でも同様に食物繊維として還元難消化性デキストリンを採用している。なお、比較例3及び4では二糖以下の糖アルコールの含有量が6%未満である。
【0056】
実施例6及び7から、食物繊維の種類にかかわらず曳糸性が高くなることを抑制する効果が得られることがわかる。また、食物繊維の種類にかかわらず破断強度が高いグミ組成物が得られることがわかる。
【0057】
(実施例8)
実施例8では、曳糸性の評価が可であった。また、実施例8の破断強度は、比較例5の破断強度と比較して高い値であった。
【0058】
実施例1~7では質量平均分子量が2000であるコラーゲンペプチドを採用していたのに対して、実施例8では、質量平均分子量が5000であるコラーゲンペプチドを採用している。比較例5でも同様に質量平均分子量が5000であるコラーゲンペプチドを採用している。なお、比較例5では二糖以下の糖アルコールの含有量が6%未満である。
【0059】
実施例8から、質量平均分子量がより大きいコラーゲンペプチドを採用した場合でも曳糸性が高くなることを抑制する効果が得られることがわかる。また、質量平均分子量がより大きいコラーゲンペプチドを採用した場合でも破断強度が高いグミ組成物が得られることがわかる。
【0060】
(実施例9及び10)
実施例9では、曳糸性の評価が良好であった。実施例10では、曳糸性の評価が可であった。また、実施例9の破断強度は、比較例6の破断強度と比較して高い値であった。実施例10の破断強度は、比較例7の破断強度と比較して高い値であった。
【0061】
実施例1~8では、ゼリー強度が240~270gのゼラチンを採用していたのに対して、実施例9では、ゼリー強度が140~160gのゼラチンを採用している。比較例6でも同様にゼリー強度が140~160gのゼラチンを採用している。また、実施例10では、ゼリー強度が320~350gのゼラチンを採用している。比較例7でも同様にゼリー強度が320~350gのゼラチンを採用している。なお、比較例6及び7では二糖以下の糖アルコールの含有量が6%未満である。
【0062】
実施例9及び10から、ゼラチンのゼリー強度にかかわらず曳糸性が高くなることを抑制する効果が得られることがわかる。また、ゼラチンのゼリー強度にかかわらず破断強度が高いグミ組成物が得られることがわかる。
【0063】
(むすび)
以上の結果から、曳糸性が高くなることを抑制する効果は、ゼラチンを配合するグミ組成物であって、食物繊維と、コラーゲンペプチドと、二糖以下の糖アルコールと、を含有し、当該グミ組成物における固形分当たりの含有量として、食物繊維の含有量が10質量%以上70質量%以下であり、コラーゲンペプチドの含有量が5質量%以上20質量%以下であり、二糖以下の糖アルコールの含有量が6質量%以上50質量%以下であるグミ組成物によって得られる効果であることがわかる。また、破断強度が高く良好な噛み応えを提供できる効果は、上記グミ組成物によって得られる効果であることがわかる。
【0064】
<処方例>
グミ組成物の処方例を表4に示す。表4に示すように、処方例1~12では、非還元の食物繊維原料を採用している。
【0065】
【表4】