IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産コパル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-組立体及びその製造方法 図1A
  • 特開-組立体及びその製造方法 図1B
  • 特開-組立体及びその製造方法 図2
  • 特開-組立体及びその製造方法 図3
  • 特開-組立体及びその製造方法 図4A
  • 特開-組立体及びその製造方法 図4B
  • 特開-組立体及びその製造方法 図5
  • 特開-組立体及びその製造方法 図6
  • 特開-組立体及びその製造方法 図7
  • 特開-組立体及びその製造方法 図8A
  • 特開-組立体及びその製造方法 図8B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071026
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】組立体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/70 20060101AFI20240517BHJP
   B29C 65/56 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B29C65/70
B29C65/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181734
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸洋
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AG01
4F211AG28
4F211AH33
4F211AR13
4F211TD16
4F211TN23
(57)【要約】
【課題】2つの部材が着脱自在に接合された組立体を提供する。
【解決手段】第1のベース部材110の突起12を第2のベース部材120の円形孔12に係合させつつ、保持部114A,114Bの起立片116A,116Bが第2のベース部材120の縁部21A,21Bにそれぞれ対向するようにZ方向に第2のベース部材120を第1のベース部材110の基部11上に載置する。第1のベース部材110の保持部114A,114Bの起立片116A,116Bの端部を熱カシメにより変形させて起立片116A,116Bから基部11に載置された第2のベース部材120上に張り出す熱カシメ部117Aを形成することにより、第2のベース部材120を第1のベース部材110に接合して組立体1を構成する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材と、
前記第1の部材に取付可能な第2の部材と
を備える組立体であって、
前記第2の部材には、第1の移動規制孔が形成され、
前記第1の部材は、
第1の方向に前記第2の部材が載置される基部と、
前記基部から前記第1の方向に延び、前記第2の部材の前記第1の移動規制孔に係合して前記第1の部材の前記第1の方向に垂直な方向に沿った移動を規制可能な第1の係合部と、
前記基部に載置された前記第2の部材の少なくとも1つの縁部を保持する少なくとも1つの保持部と
を有し、
前記第1の部材の少なくとも1つの保持部は、
前記基部から前記第1の方向に垂直な第2の方向に延びて弾性変形可能な延出片と、
前記延出片から前記第1の方向に延び、前記第2の方向において前記第2の部材の前記少なくとも1つの縁部に対向する側片と、
熱カシメにより前記側片から前記基部に載置された前記第2の部材上に張り出すように形成される熱カシメ部と
を含む、
組立体。
【請求項2】
前記第1の部材は、前記基部から前記第1の方向に延びる第2の係合部をさらに有し、
前記第2の部材には、前記第1の部材の前記第2の係合部に係合可能な第2の移動規制孔が形成される、
請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記第1の部材の前記少なくとも1つの保持部は、前記第2の方向における前記第2の部材の両側の縁部を保持するように構成される1対の保持部を含む、請求項1又は2に記載の組立体。
【請求項4】
基部と、前記基部から第1の方向に延びる第1の係合部と、前記基部から前記第1の方向に垂直な第2の方向に延びて弾性変形可能な延出片及び前記延出片から前記第1の方向に延びる起立片とを含む少なくとも1つの保持部とを有する第1のベース部材を用意し、
第1の移動規制孔が形成された第2のベース部材を用意し、
前記第1のベース部材の前記第1の係合部を前記第2のベース部材の前記第1の移動規制孔に係合させつつ、前記少なくとも1つの保持部の前記起立片が前記第2のベース部材の少なくとも1つの縁部に対向するように前記第1の方向に前記第2のベース部材を前記第1のベース部材の前記基部上に載置し、
前記第1のベース部材の前記少なくとも1つの保持部の前記起立片の端部を熱カシメにより変形させて前記起立片から前記基部に載置された前記第2のベース部材上に張り出す熱カシメ部を形成することにより、前記第2のベース部材を前記第1のベース部材に接合する、
組立体の製造方法。
【請求項5】
前記第1のベース部材は、前記基部から前記第1の方向に延びる第2の係合部をさらに有し、
前記第2のベース部材には、前記第1のベース部材の前記第2の係合部に係合可能な第2の移動規制孔が形成され、
前記第2のベース部材を前記第1のベース部材の前記基部上に載置する際に、前記第1のベース部材の前記第2の係合部を前記第2のベース部材の前記第2の移動規制孔に係合させる、
請求項4に記載の組立体の製造方法。
【請求項6】
前記第1のベース部材の前記少なくとも1つの保持部は、前記第2の方向における前記第2のベース部材の両側の縁部を保持するように構成される1対の保持部を含む、請求項4又は5に記載の組立体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立体及びその製造方法に係り、特にベース部材とこれに取付可能な取付部材とを含む組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2つの部材を接合する際に用いられる手法として熱カシメが知られている。一般的に、このような熱カシメは、図1Aに示すように、一方の部材500に設けられたピン510を別の部材520に形成された孔530に挿通し、部材520から突出したピン510の先端510Aに加熱したホーン(図示せず)を押し当て、図1Bに示すように、ピン510の先端510Aを押し潰すことにより2つの部材500,520を互いに接合するものである。このような熱カシメは、回路基板を樹脂製のハウジングに固定するときなどをはじめとして様々な場面で使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このような方法では、ピン510の先端510Aを押し潰すことで部材520が部材500に対して固定されるので、一度熱カシメにより2つの部材500,520を接合してしまうと、部材520を部材500から取り外すことができない。このため、例えば、上述のように回路基板を熱カシメによりハウジングに固定した後に、この回路基板を交換する必要が生じた場合などには、ハウジングも一緒に交換する必要が生じるため、交換コストが高くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-298106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、2つの部材が着脱自在に接合された組立体を提供することを第1の目的とする。
【0006】
また、本発明は、2つの部材が着脱自在に接合された組立体を簡単に製造することができる組立体の製造方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、2つの部材が着脱自在に接合された組立体が提供される。この組立体は、第1の部材と、上記第1の部材に取付可能な第2の部材とを備える。上記第2の部材には、第1の移動規制孔が形成される。上記第1の部材は、第1の方向に上記第2の部材が載置される基部と、上記基部から上記第1の方向に延び、上記第2の部材の上記第1の移動規制孔に係合して上記第1の部材の上記第1の方向に垂直な方向に沿った移動を規制可能な第1の係合部と、上記基部に載置された上記第2の部材の少なくとも1つの縁部を保持する少なくとも1つの保持部とを有する。上記第1の部材の少なくとも1つの保持部は、上記基部から上記第1の方向に垂直な第2の方向に延びて弾性変形可能な延出片と、上記延出片から上記第1の方向に延び、上記第2の方向において上記第2の部材の上記少なくとも1つの縁部に対向する側片と、熱カシメにより上記側片から上記基部に載置された上記第2の部材上に張り出すように形成される熱カシメ部とを含む。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、2つの部材が着脱自在に接合された組立体を簡単に製造することができる組立体の製造方法が提供される。この組立体の製造方法においては、基部と、上記基部から第1の方向に延びる第1の係合部と、上記基部から上記第1の方向に垂直な第2の方向に延びて弾性変形可能な延出片及び上記延出片から上記第1の方向に延びる起立片とを含む少なくとも1つの保持部とを有する第1のベース部材を用意する。また、この方法では、第1の移動規制孔が形成された第2のベース部材を用意し、上記第1のベース部材の上記第1の係合部を上記第2のベース部材の上記第1の移動規制孔に係合させつつ、上記少なくとも1つの保持部の上記起立片が上記第2のベース部材の少なくとも1つの縁部に対向するように上記第1の方向に上記第2のベース部材を上記第1のベース部材の上記基部上に載置する。この方法では、上記第1のベース部材の上記少なくとも1つの保持部の上記起立片の端部を熱カシメにより変形させて上記起立片から上記基部に載置された上記第2のベース部材上に張り出す熱カシメ部を形成することにより、上記第2のベース部材を上記第1のベース部材に接合する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、熱カシメにより2つの部材を接合する工程を示す模式的断面図である。
図1B図1Bは、熱カシメにより2つの部材を接合する工程を示す模式的断面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態における組立体を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示す組立体の分解斜視図である。
図4A図4Aは、図2に示す組立体における第1の部材の平面図である。
図4B図4Bは、図4AのA-A線断面図である。
図5図5は、図2に示す組立体の図4Bに対応する断面図である。
図6図6は、図5に示す組立体の保持部を弾性変形させたときの状態を示す断面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態における組立体を製造するための第1のベース部材及び第2のベース部材を示す斜視図である。
図8A図8Aは、本発明の一実施形態における組立体の製造工程を説明する断面図である。
図8B図8Bは、本発明の一実施形態における組立体の製造工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る組立体の実施形態について図2から図8Bを参照して詳細に説明する。図2から図8Bにおいて、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図2から図8Bにおいては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0011】
図2は本発明の一実施形態における組立体1を示す斜視図、図3は分解斜視図である。図2及び図3に示すように、組立体1は、平板状の第1の部材10と、第1の部材10に取付可能な平板状の第2の部材20とを備えている。例えば、第1の部材10は、樹脂からなるケーシングの一部を構成し、第2の部材20は回路基板である。
【0012】
図4Aは第1の部材10の平面図、図4B図4AのA-A線断面図である。図3図4A、及び図4Bに示すように、第1の部材10は、第2の部材20が載置される基部11と、基部11から+Z方向に突出する第1の突起12(第1の係合部)と、基部11から+Z方向に突出する第2の突起13(第2の係合部)と、基部11に載置された第2の部材20のX方向における縁部21A,21Bを保持する1対の保持部14A,14Bとを備えている。
【0013】
保持部14Aは、基部11から-X方向に延びて弾性変形が可能な延出片15Aと、延出片15Aの-X方向側の端部から+Z方向に延びる側片16Aと、側片16Aの+Z方向側の端部に形成された熱カシメ部17Aとを含んでいる。この熱カシメ部17Aは、図2に示すように、側片16Aから+X方向に向かって第2の部材20上に張り出すように形成されている。同様に、保持部14Bは、基部11から+X方向に延びて弾性変形が可能な延出片15Bと、延出片15Bの+X方向側の端部から+Z方向に延びる側片16Bと、側片16Bの+Z方向側の端部に形成された熱カシメ部17Bとを含んでいる。この熱カシメ部17Bは、図2に示すように、側片16Bから-X方向に向かって第2の部材20上に張り出すように形成されている。図4Aに示すように、保持部14A及び保持部14Bは、基部11のX方向の両側にそれぞれ形成されているが、保持部14Bの方が保持部14Aよりも+Y方向側に位置している。
【0014】
図3に戻って、第2の部材20には、第1の部材10の第1の突起12に対応する位置に円形孔22(第1の移動規制孔)が形成されており、第1の部材10の第2の突起に対応する位置に溝孔23(第2の移動規制孔)が形成されている。本明細書における「移動規制孔」は、円形孔22や溝孔23のような貫通孔だけではなく、第2の部材20を貫通しない凹部も含むものであり、また、円形孔22のようにその周囲が第2の部材20の一部で取り囲まれているものだけではなく、溝孔23のようにその一部が第2の部材20の縁部で開放されているものも含むものである。
【0015】
第2の部材20の円形孔22の内径は、第1の部材10の突起12の外径よりもわずかに大きい程度であり、第1の部材10の突起12は、第2の部材20の円形孔22に係合している。このように第1の部材10の突起12が第2の部材20の円形孔22に係合することにより、第2の部材20のX方向及びY方向への移動が規制されている。
【0016】
第2の部材20の溝孔23のX方向の幅は、第1の部材10の突起13の外径よりもわずかに大きい程度であり、第1の部材10の突起13は、X方向において第2の部材20の溝孔23に係合している。このように、上記の第1の部材10の突起12と第2の部材20の円形孔22との係合に加えて、第1の部材10の突起13がX方向において第2の部材20の溝孔23に係合することにより、第2の部材20の移動がより効果的に規制される。
【0017】
図5は、組立体1の図4Bに対応する断面図である。図5に示すように、第1の部材10の保持部14Aの熱カシメ部17Aは、第2の部材20上に張り出しており、Z方向において第2の部材20に係合している。同様に、第1の部材10の保持部14Bの熱カシメ部17Bも第2の部材20上に張り出しており、Z方向において第2の部材20に係合している。このように、第2の部材20は、保持部14Aの熱カシメ部17Aと基部11との間及び保持部14Bの熱カシメ部17Bと基部11との間で保持される。
【0018】
また、第1の部材10の保持部14Aの側片16Aは、X方向において第2の部材20の縁部21Aに対向し、この縁部21Aに当接している。同様に、図示はしないが、第1の部材10の保持部14Bの側片16BもX方向において第2の部材20の縁部21Bに対向し、この縁部21Bに当接している。このように、第2の部材20は、X方向の両側においてそれぞれ保持部14A,14Bの側片16A,16Bに当接しており、これらの側片16A,16Bによって保持される。
【0019】
ここで、保持部14A,14Bの延出片15A,15Bはそれぞれ弾性変形が可能であるため、保持部14A,14Bに力を加えて延出片15A,15Bを変形させることで、図6に示すように、熱カシメ部17A,17Bと第2の部材20との係合を解除することができる。この状態で第2の部材20を+Z方向に引き上げることで、第2の部材20を第1の部材10から取り外すことができる。
【0020】
このように、本実施形態の組立体によれば、第1の部材10の突起12,13と第2の部材20の円形孔22及び溝孔23との係合により第2の部材20を第1の部材10に対して位置決めするとともに、第1の部材10の保持部14A,14Bの熱カシメ部17A,17Bと基部11との間に第2の部材20を保持することができる。また、必要に応じて、第1の部材10の保持部14A,14Bの延出片15A,15Bに力を加えて弾性変形させることで、熱カシメ部17A,17Bと第2の部材20との係合を解除することができるため、第2の部材20を第1の部材10から取り外すことも可能である。
【0021】
次に、上記のような構成の組立体1を製造する方法について説明する。組立体1を製造する際は、まず、図7に示すような第1のベース部材110と第2のベース部材120とを用意する。第1のベース部材110は、図3に示す第1の部材10と略同一の構成を有しているが、第1の部材10の保持部14A,14Bとは異なる保持部114A,114Bを有している。第2のベース部材120は、図3に示す第2の部材20と同一の構成を有するものである。
【0022】
第1のベース部材110の保持部114Aは、基部から-X方向に延びて弾性変形が可能な延出片115Aと、延出片115Aの-X方向側の端部から+Z方向に延びる起立片116Aとを含んでいる。同様に、保持部114Bは、基部から+X方向に延びて弾性変形が可能な延出片115Bと、延出片115Bの+X方向側の端部から+Z方向に延びる起立片116Bとを含んでいる。
【0023】
そして、第2のベース部材120を第1のベース部材110の+Z方向側から第1のベース部材110の基部11上に載置する。このとき、第1のベース部材110の突起12を第2のベース部材120の円形孔22に挿入し、第1のベース部材110の突起13を第2のベース部材120の溝孔23に挿入することで、第2のベース部材120を第1のベース部材110に対して位置決めする。このとき、図8Aに示すように、保持部114Aの起立片116Aは、第2のベース部材120の縁部21Aに対向し、この縁部21Aに当接している。図示はしないが、保持部114Bの起立片116Bも、第2のベース部材120の縁部21Bに対向し、この縁部21Bに当接している。
【0024】
次に、保持部114A,114Bの起立片116A,116Bに対して熱カシメを行う。保持部114Aの起立片116Aに対する熱カシメにおいては、図8Aに示すようなホーン150が用いられる。このホーン150の-Z方向側の面には、図4Bに示す第1の部材10の保持部14Aの熱カシメ部17Aの形状に対応する凹部151が形成されている。このホーン150を加熱し、第1のベース部材110の+Z方向側から保持部114Aの起立片116Aの端部に押し当てることで、ホーン150の熱により保持部114Aの起立片116Aが溶融し、図8Bに示すように、ホーン150の凹部151の形状に成型されて熱カシメ部117Aとなる。保持部114Bの起立片116Bの端部に対しても同様のホーンを用いて熱カシメが行われ、第1の部材10の保持部14Bの熱カシメ部17Bの形状に対応する熱カシメ部が形成される。
【0025】
このような熱カシメにより形成された熱カシメ部は、Z方向において第2のベース部材120の縁部21A,21Bに係合し、これにより第2のベース部材120は第1のベース部材110の基部11上に保持される。すなわち、第1の部材10としての第1のベース部材110と、第2の部材20としての第2のベース部材120とを有する組立体1が完成する。この組立体1においては、上述したように、保持部14A,14Bに力を加えて変形させることで、熱カシメ部17A,17Bと第2の部材20との係合を解除することができるため、第2の部材20を第1の部材10から取り外すことも可能である。
【0026】
上述した実施形態においては、第1の部材10(第1のベース部材110)が2つの保持部14A,14B(114A,114B)を有する例を説明したが、第1の部材10は少なくとも1つの保持部を有していればよく、保持部の数は図示の例に限られるものではない。第2の部材20をしっかりと保持するという観点からは、第1の部材10は、第2の部材20の両側の縁部を少なくとも1対の保持部により保持することが好ましい。
【0027】
また、上述した実施形態においては、第1の部材10(第1のベース部材110)が2つの突起12,13を有する例を説明したが、第1の部材10は第2の部材20(第2のベース部材120)に形成される移動規制孔に係合する突起を少なくとも1つ有していればよい。したがって、突起の数は図示の例に限られるものではないが、第1の部材10の突起及び第2の部材20の移動規制孔を2つ以上とすることで、第1の部材10に対する第2の部材20の位置決めをより確実に行うことができる。また、第1の係合部及び第2の係合部としての突起12,13の形状も図示のものに限られるものではない。
【0028】
以上述べたように、本発明の第1の態様によれば、2つの部材が着脱自在に接合された組立体が提供される。具体的には、本発明に係る組立体は、以下のような構成を採用することができる。
【0029】
(構成1)
組立体は、第1の部材と、上記第1の部材に取付可能な第2の部材とを備える。上記第2の部材には、第1の移動規制孔が形成される。上記第1の部材は、第1の方向に上記第2の部材が載置される基部と、上記基部から上記第1の方向に延び、上記第2の部材の上記第1の移動規制孔に係合して上記第1の部材の上記第1の方向に垂直な方向に沿った移動を規制可能な第1の係合部と、上記基部に載置された上記第2の部材の少なくとも1つの縁部を保持する少なくとも1つの保持部とを有する。上記第1の部材の少なくとも1つの保持部は、上記基部から上記第1の方向に垂直な第2の方向に延びて弾性変形可能な延出片と、上記延出片から上記第1の方向に延び、上記第2の方向において上記第2の部材の上記少なくとも1つの縁部に対向する側片と、熱カシメにより上記側片から上記基部に載置された上記第2の部材上に張り出すように形成される熱カシメ部とを含む。
【0030】
このような構成によれば、第1の部材の第1の係合部と第2の部材の第1の移動規制孔との係合により第2の部材を第1の部材に対して位置決めするとともに、第1の部材の保持部の熱カシメ部と基部との間に第2の部材を保持することができる。また、必要に応じて、第1の部材の保持部の延出片に力を加えて弾性変形させることで、熱カシメ部と第2の部材20との係合を解除することができるため、第2の部材を第1の部材から取り外すことも可能である。
【0031】
(構成2)
上記構成1において、上記第1の部材は、上記基部から上記第1の方向に延びる第2の係合部をさらに有していてもよい。また、上記第2の部材には、上記第1の部材の上記第2の係合部に係合可能な第2の移動規制孔が形成されていてもよい。第1の係合部と第1の移動規制孔との係合に加えて、第2の係合部と第2の移動規制孔との係合により第1の部材に対する第2の部材の位置決めをより確実に行うことができる。
【0032】
上記構成1又は2において、上記第1の部材の上記少なくとも1つの保持部は、上記第2の方向における上記第2の部材の両側の縁部を保持するように構成される1対の保持部を含んでいてもよい。このように1対の保持部により第2の方向の両側で第2の部材の縁部を保持することで、第2の部材をしっかりと保持することが可能となる。
【0033】
本発明の第2の態様によれば、2つの部材が着脱自在に接合された組立体を簡単に製造することができる組立体の製造方法が提供される。具体的には、本発明に係る組立体の製造方法は、以下のような構成を採用することができる。
【0034】
(構成4)
組立体の製造方法においては、基部と、上記基部から第1の方向に延びる第1の係合部と、上記基部から上記第1の方向に垂直な第2の方向に延びて弾性変形可能な延出片及び上記延出片から上記第1の方向に延びる起立片とを含む少なくとも1つの保持部とを有する第1のベース部材を用意する。また、この方法では、第1の移動規制孔が形成された第2のベース部材を用意し、上記第1のベース部材の上記第1の係合部を上記第2のベース部材の上記第1の移動規制孔に係合させつつ、上記少なくとも1つの保持部の上記起立片が上記第2のベース部材の少なくとも1つの縁部に対向するように上記第1の方向に上記第2のベース部材を上記第1のベース部材の上記基部上に載置する。この方法では、上記第1のベース部材の上記少なくとも1つの保持部の上記起立片の端部を熱カシメにより変形させて上記起立片から上記基部に載置された上記第2のベース部材上に張り出す熱カシメ部を形成することにより、上記第2のベース部材を上記第1のベース部材に接合する。
【0035】
このような構成によれば、保持部の起立片が第2のベース部材の少なくとも1つの縁部に対向するように第2のベース部材を第1のベース部材の基部上に載置した状態で、第1のベース部材の保持部の起立片の端部を熱カシメにより変形させて起立片から基部に載置された第2のベース部材上に張り出す熱カシメ部を形成することにより、上述した構成1の組立体を簡単に製造することができる。
【0036】
(構成5)
上記構成4において、上記第1のベース部材は、上記基部から上記第1の方向に延びる第2の係合部をさらに有していてもよい。また、上記第2のベース部材には、上記第1のベース部材の上記第2の係合部に係合可能な第2の移動規制孔が形成されていてもよい。上記第2のベース部材を上記第1のベース部材の上記基部上に載置する際に、上記第1のベース部材の上記第2の係合部を上記第2のベース部材の上記第2の移動規制孔に係合させてもよい。このような方法により上記構成2の組立体を簡単に製造することができる。
【0037】
(構成6)
上記構成4又は5において、上記第1のベース部材の上記少なくとも1つの保持部は、上記第2の方向における上記第2のベース部材の両側の縁部を保持するように構成される1対の保持部を含んでいてもよい。このような方法により上記構成3の組立体を簡単に製造することができる。
【0038】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
1 組立体
10 第1の部材
11 基部
12 第1の突起(第1の係合部)
13 第2の突起(第2の係合部)
14A,14B 保持部
15A,15B 延出片
16A,16B 側片
17A.17B 熱カシメ部
20 第2の部材
21A,21B 縁部
22 円形孔(第1の移動規制孔)
23 溝孔(第2の移動規制孔)
110 第1のベース部材
114A,114B 保持部
115A,115B 延出片
116A,116B 起立片
117A 熱カシメ部
120 第2のベース部材
150 ホーン
151 凹部
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B