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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071030
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 23/00 20060101AFI20240517BHJP
   B62J 41/00 20200101ALI20240517BHJP
   B62J 50/30 20200101ALI20240517BHJP
【FI】
B62J23/00 H
B62J41/00
B62J23/00 C
B62J50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181748
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】岡田 芳貴
(57)【要約】
【課題】鞍乗型車両において、ラジエータファンによるラジエータの冷却効果を向上させると共に、ファンカバーの大型化を抑える。
【解決手段】鞍乗型車両は、ラジエータと、ラジエータファンと、ファンカバーとを備える。ラジエータファンは、ラジエータの後方に配置される。ファンカバーは、ラジエータファンを後方から覆う。ファンカバーは、カバー本体と、膨出部と、吹出口とを含む。膨出部は、カバー本体から後方に向かって膨出している。吹出口は、カバー本体と膨出部とに亘って設けられる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジエータと、
前記ラジエータの後方に配置されるラジエータファンと、
前記ラジエータファンを後方から覆うファンカバーと、
を備え、
前記ファンカバーは、
カバー本体と、
前記カバー本体から後方に向かって膨出した膨出部と、
前記カバー本体と前記膨出部とに亘って設けられる吹出口と、
を含む、
鞍乗型車両。
【請求項2】
前記本体部は、前記ラジエータファンの後方に配置される上背面を含み、
前記膨出部は、前記上背面の下方に配置され、前記上背面から後方へ膨出している、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記吹出口は、前記ファンカバーの第1側方に向かって開口した第1横吹出口を含み、
前記第1横吹出口は、前記カバー本体と前記膨出部とに亘って設けられる、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記膨出部は、前記第1横吹出口へ向かって延びる第1背面を含み、
前記第1背面は、前記第1側方へ向かって後方へ傾斜している、
請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記ファンカバーは、前記ファンカバー内に配置され前記第1横吹出口へ向かって延びる横ガイドリブを含む、
請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記ラジエータを側方から覆うサイドカウルをさらに備え、
前記サイドカウルは、少なくとも一部が前記ファンカバーよりも上方に位置する開口を含み、
前記横ガイドリブは、前記ラジエータファンによる排風を、前記サイドカウルの開口へ向かって前記第1横吹出口から斜め上方へ吹き出すように配置されている、
請求項5に記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記吹出口は、前記ファンカバーの前記第1側方と反対の第2側方に向かって開口した第2横吹出口をさらに含み、
前記第2横吹出口は、前記カバー本体と前記膨出部とに亘って設けられる、
請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
前記膨出部は、前記第2横吹出口へ向かって延びる第2背面を含み、
前記第2背面は、前記第2側方へ向かって後方へ傾斜している、
請求項7に記載の鞍乗型車両。
【請求項9】
前記第2横吹出口は、前記ラジエータファンの回転方向に合わせて、前記ラジエータファンによる排風を、前記第2横吹出口から斜め上方へ吹き出すように開口している、
請求項7に記載の鞍乗型車両。
【請求項10】
前記ラジエータを側方から覆うサイドカウルをさらに備え、
前記サイドカウルは、少なくとも一部が前記ファンカバーよりも上方に位置する開口を含み、
前記第2横吹出口は、前記ラジエータファンの回転方向に合わせて、前記ラジエータファンによる排風を、前記第2横吹出口から前記開口へ向けて吹き出すように開口している、
請求項7に記載の鞍乗型車両。
【請求項11】
前記吹出口は、前記ファンカバーの下方に向かって開口した下吹出口をさらに含む、
請求項7に記載の鞍乗型車両。
【請求項12】
前記ラジエータファンは、背面視で左回りに回転し、
前記第1横吹出口は、前記ラジエータファンの左方に配置され、
前記第2横吹出口は、前記ラジエータファンの右方に配置され、
前記ファンカバーは、
前記ラジエータファンによる排風を、前記第1横吹出口から左斜め上方へ向かって吹き出すように配置された横ガイドリブを含み、
前記第2横吹出口は、前記ラジエータファンによる排風を、前記第2横吹出口から右斜め上方へ向けて吹き出すように開口している、
請求項7に記載の鞍乗型車両。
【請求項13】
前記第1横吹出口の上端は、前記第2横吹出口の上端よりも下方に位置する、
請求項12に記載の鞍乗型車両。
【請求項14】
前記ラジエータの後方に配置されるエンジンと、
前記ラジエータの下方に配置され、前記ラジエータを通過せずに前記ラジエータに沿って下方に流れる走行風を前記ラジエータの下方を通って前記エンジンに向けて導く導風板と、
前記導風板上において前後方向に延びるフィンと、
をさらに備える請求項1に記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗型車両には、ラジエータと、ラジエータファンと、ファンカバーとを備えるものがある。ラジエータファンは、ラジエータを通る空気の流れを生成する。ファンカバーは、ラジエータファンを覆うように配置され、ラジエータを通過した空気(以下、「排風」と呼ぶ)を案内する。例えば、特許文献1の車両は、ラジエータファンを覆う導風板を備えている。導風板は、下部開口部を含み、下部開口部から排風を排出するように排風を案内する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-013149号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラジエータファンによるラジエータの冷却効果を向上させるためには、ファンカバーに設けられる吹出口の開口面積が大きいことが望ましい。しかし、ファンカバーの大型化を抑えながら、吹出口の開口面積を増大させることは困難である。本発明の目的は、鞍乗型車両において、ラジエータファンによるラジエータの冷却効果を向上させると共に、ファンカバーの大型化を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る鞍乗型車両は、ラジエータと、ラジエータファンと、ファンカバーとを備える。ラジエータファンは、ラジエータの後方に配置される。ファンカバーは、ラジエータファンを後方から覆う。ファンカバーは、カバー本体と、膨出部と、吹出口とを含む。膨出部は、カバー本体から後方に向かって膨出している。吹出口は、カバー本体と膨出部とに亘って設けられる。
【0006】
本態様に係る鞍乗型車両では、ファンカバーにおいて、吹出口が、カバー本体と膨出部とに亘って設けられる。それにより、カバー本体のみに吹出口が設けられる場合と比べて、吹出口の開口面積が増大する。また、膨出部によってファンカバー内の空間の容積が増大する。それにより、ラジエータファンによるラジエータの冷却効果が増大する。さらに、膨出部は、カバー本体から膨出した形状を有している。すなわち、膨出部は、ファンカバーの一部を膨出させることで形成される。そのため、吹出口の開口面積を増大させるためにファンカバー全体を大きくする場合と比べて、ファンカバーの大型化が抑えられる。
【0007】
本体部は、ラジエータファンの後方に配置される上背面を含んでもよい。膨出部は、上背面の下方に配置され、上背面から後方へ膨出していてもよい。この場合、ラジエータカバーの背面全体が膨出している場合と比べて、ラジエータカバーが小型化される。
【0008】
吹出口は、ファンカバーの第1側方に向かって開口した第1横吹出口を含んでもよい。第1横吹出口は、カバー本体と膨出部とに亘って設けられてもよい。この場合、開口面積の増大により、ラジエータファンによるラジエータの冷却効果が向上する。また、第1横吹出口から第1側方に向かって排風が吹き出されるため、ラジエータファンの後方に配置された部品への熱影響が抑えられる。
【0009】
膨出部は、第1横吹出口へ向かって延びる第1背面を含んでもよい。第1背面は、第1側方へ向かって後方へ傾斜していてもよい。この場合、第1横吹出口の開口面積が増大する。それにより、ラジエータファンによるラジエータの冷却効果が増大する。
【0010】
ファンカバーは、ファンカバー内に配置され第1横吹出口へ向かって延びる横ガイドリブを含む。この場合、第1横吹出口から効率よく排風が吹き出されるように、ファンカバー内の排風を整流することができる。
【0011】
鞍乗型車両は、サイドカウルをさらに備えてもよい。サイドカウルは、ラジエータを側方から覆ってもよい。サイドカウルは、少なくとも一部がファンカバーよりも上方に位置する開口を含んでもよい。横ガイドリブは、ラジエータファンによる排風を、サイドカウルの開口へ向かって第1横吹出口から斜め上方へ吹き出すように配置されてもよい。この場合、第1横吹出口から吹き出される排風が、サイドカウルの開口に向けて効率よく案内される。
【0012】
吹出口は、第2横吹出口をさらに含んでもよい。第2横吹出口は、ファンカバーの第1側方と反対の第2側方に向かって開口していてもよい。第2横吹出口は、カバー本体と膨出部とに亘って設けられてもよい。この場合、開口面積の増大により、ラジエータファンによるラジエータの冷却効果が向上する。また、第2横吹出口から第2側方に向かって排風が吹き出されるため、ラジエータファンの後方に配置された部品への熱影響が抑えられる。
【0013】
膨出部は、第2横吹出口へ向かって延びる第2背面を含んでもよい。第2背面は、第2側方へ向かって後方へ傾斜していてもよい。この場合、第2横吹出口の開口面積が増大する。それにより、ラジエータファンによるラジエータの冷却効果が増大する。
【0014】
第2横吹出口は、ラジエータファンの回転方向に合わせて、ラジエータファンによる排風を、第2横吹出口から斜め上方へ吹き出すように開口していてもよい。この場合、ラジエータファンの回転方向に合わせて、第2横吹出口から効率よく排風が吹き出される。
【0015】
鞍乗型車両は、サイドカウルをさらに備えてもよい。サイドカウルは、ラジエータを側方から覆ってもよい。サイドカウルは、少なくとも一部がファンカバーよりも上方に位置する開口を含んでもよい。第2横吹出口は、ラジエータファンの回転方向に合わせて、ラジエータファンによる排風を、第2横吹出口から開口へ向けて吹き出すように開口していてもよい。この場合、ラジエータファンの回転方向に合わせて、第2横吹出口から排風が吹き出され、サイドカウルの開口から効率よく排出される。
【0016】
吹出口は、ファンカバーの下方に向かって開口した下吹出口をさらに含んでもよい。この場合、開口面積の増大により、ラジエータファンによるラジエータの冷却効果が向上する。また、ラジエータファンの下方に配置された下吹出口から排風が吹き出されるため、ラジエータファンの後方に配置された部品への熱影響が抑えられる。
【0017】
ラジエータファンは、背面視で左回りに回転してもよい。第1横吹出口は、ラジエータファンの左方に配置されてもよい。第2横吹出口は、ラジエータファンの右方に配置されてもよい。ファンカバーは、横ガイドリブを含んでもよい。横ガイドリブは、ラジエータファンによる排風を、第1横吹出口から左斜め上方へ向かって吹き出すように配置されてもよい。第2横吹出口は、ラジエータファンによる排風を、第2横吹出口から右斜め上方へ向けて吹き出すように開口していてもよい。この場合、第1横吹出口から吹き出される排風は、横ガイドリブによって案内されることで、第1横吹出口から左斜め上方へ向かって案内される。また、第2横吹出口からの排風は、ラジエータファンの左回りの回転によって生成される流れにより、右斜め上方へ向けて吹き出される。
【0018】
第1横吹出口の上端は、第2横吹出口の上端よりも下方に位置してもよい。この場合、ラジエータファンの左回りの回転によって生成される流れは、第1横吹出口において左斜め下方へ流れやすい。第1横吹出口の上端が低い位置に配置されることで、排風が、第1横吹出口から左斜め下方へ流れることが抑えられる。それにより、第1横吹出口から左斜め上方へ向かって吹き出される排風の風量を増大させることができる。
【0019】
鞍乗型車両は、エンジンと、導風板と、フィンとをさらに備えてもよい。エンジンは、ラジエータの後方に配置されてもよい。導風板は、ラジエータの下方に配置されてもよい。導風板は、ラジエータを通過せずにラジエータに沿って下方に流れる走行風をラジエータの下方を通ってエンジンに向けて導いてもよい。フィンは、導風板上において前後方向に延びていてもよい。この場合、ラジエータを通過せずにラジエータに沿って下方に流れる走行風を、エンジンの冷却に利用することができる。また、フィンにより走行風を整流することで、走行風の流速を上げてエンジンに送ることができる。それにより、エンジンの冷却効率が向上する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、鞍乗型車両において、ラジエータファンによるラジエータの冷却効果が向上すると共に、ファンカバーの大型化が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る鞍乗型車両の側面図である。
図2】鞍乗型車両の正面図である。
図3】鞍乗型車両の拡大左側面図である。
図4】第1サイドカウルの斜視図である。
図5】鞍乗型車両の拡大右側面図である。
図6】ファンカバーの斜視図である。
図7】ファンカバーの上面図である。
図8】ファンカバーの下面図である。
図9】ファンカバーの正面図である。
図10】ファンカバーの左側面図である。
図11】ファンカバーの右側面図である。
図12】変形例に係るラジエータユニットを示す側面図である。
図13】導風板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して実施形態にかかる鞍乗型車両について説明する。図1は、実施形態に係る鞍乗型車両1の側面図である。図2は、鞍乗型車両1の正面図である。図1に示すように、鞍乗型車両1は、ステアリング装置2と、前輪3と、燃料タンク4と、シート5と、エンジン6と、後輪7と、リアアーム8と、車体カバー9とを含む。なお、本実施形態において、前後左右の方向は、シート5に着座したライダーから見た前後左右の方向を意味するものとする。
【0023】
ステアリング装置2は、ライダーによって操舵される。ステアリング装置2は、フロントフォーク11と、ハンドル部材12とを含む。フロントフォーク11は、前輪3を回転可能に支持している。ハンドル部材12は、フロントフォーク11に接続されている。図2に示すように、フロントフォーク11は、第1サスペンション13と第2サスペンション14とを含む。
【0024】
燃料タンク4は、ハンドル部材12の後方に配置されている。シート5は、燃料タンク4の後方に配置されている。エンジン6は、前輪3と後輪7との間に配置される。エンジン6は、燃料タンク4の下方に配置されている。エンジン6は、後輪7を回転させる駆動力を発生させる。後輪7は、エンジン6の後方に配置される。後輪7は、リアアーム8に回転可能に支持されている。
【0025】
車体カバー9は、フロントカバー17と、第1サイドカウル18と、第2サイドカウル19とを含む。フロントカバー17は、ステアリング装置2の前方に配置される。第1サイドカウル18と第2サイドカウル19とは、フロントカバー17から後方へ延びている。第1サイドカウル18と第2サイドカウル19とは、ステアリング装置2とエンジン6とを側方から覆う。
【0026】
図3は、鞍乗型車両1の拡大左側面図である。図4は、第1サイドカウル18の斜視図である。図3及び図4に示すように、第1サイドカウル18は、第1アウターカウル21と第1インナーカウル22とを含む。第1アウターカウル21は、第1インナーカウル22の外側方に配置される。第1アウターカウル21は、第1インナーカウル22から隙間を置いて配置される。第1インナーカウル22は、第1開口23を含む。第1開口23は、車体カバー9の内部空間に連通している。第1アウターカウル21は、第1開口23を側方から覆う。車両側面視で、第1アウターカウル21は、第1開口23と重なる。
【0027】
図5は、鞍乗型車両1の拡大右側面図である。図5に示すように、第2サイドカウル19は、第2アウターカウル24と第2インナーカウル25とを含む。第2アウターカウル24は、第2インナーカウル25の外側方に配置される。第2アウターカウル24と第2インナーカウル25とは、それぞれ第1アウターカウル21と第1インナーカウル22と同様の構造を有している。第2インナーカウル25は、第2開口26を含む。第2開口26は、車体カバー9の内部空間に連通している。
【0028】
図3に示すように、鞍乗型車両1は、ラジエータユニット30を備えている。ラジエータユニット30は、フロントフォーク11の後方に配置されている。ラジエータユニット30は、エンジン6の前方に配置されている。ラジエータユニット30は、第1サイドカウル18と第2サイドカウル19とに側方から覆われている。ラジエータユニット30は、ラジエータ31と、ラジエータファン32と、ファンモータ33と、ファンカバー34とを含む。
【0029】
ラジエータ31は、エンジン6の冷却液を冷却する。上述した第1サイドカウル18と第2サイドカウル19とは、ラジエータ31を側方から覆う。図2に示すように、車体カバー9は、前開口27を含む。前開口27は、鞍乗型車両1の前方に向かって開口している。前開口27は、車両正面視で、フロントカバー17の下方に配置される。前開口27は、第1サイドカウル18と第2サイドカウル19との間に配置される。ラジエータ31は、第1サイドカウル18と第2サイドカウル19との間において、前開口27に面して配置される。
【0030】
ラジエータファン32は、ラジエータ31の後方に配置されている。ラジエータファン32は、回転することで、ラジエータ31を前方から後方へ通過する空気の流れを生成する。
【0031】
ファンモータ33は、ラジエータファン32の後方に配置されている。ファンモータ33は、ラジエータファン32を支持している。ファンモータ33は、ラジエータファン32を回転させる。ファンモータ33は、ファンカバー34に取り付けられている。ファンモータ33は、ラジエータファン32を、車両背面視で左回りに回転させる。
【0032】
ファンカバー34は、ラジエータファン32の後方に配置されている。ファンカバー34は、ラジエータファン32を後方から覆う。図3及び図5に示すように、上述した第1サイドカウル18と第2サイドカウル19とは、ファンカバー34を側方から覆う。ファンカバー34の後方には、エンジン6が配置されている。詳細には、エンジン6は、シリンダヘッド15を含む。ファンカバー34の後方には、シリンダヘッド15が配置されている。上述した第1開口23と第2開口26とは、少なくとも一部がファンカバー34よりも上方に位置する。
【0033】
図6は、ファンカバー34の斜視図である。図7は、ファンカバー34の上面図である。図8は、ファンカバー34の下面図である。図9は、ファンカバー34の正面図である。図10は、ファンカバー34の左側面図である。図11は、ファンカバー34の右側面図である。図6から図11に示すようにファンカバー34は、カバー本体37と、膨出部38とを含む。カバー本体37は、前面41と、上面42と、第1側面43と、第2側面44と、底面45と、上背面46とを含む。
【0034】
前面41は、開口している。前面41は、ラジエータ31に面して配置され、ラジエータ31によって閉じられる。上面42は、ラジエータファン32の上方に配置される。上面42は、ラジエータファン32を上方から覆う。上面42は、上方へ向かって湾曲した形状を有する。上面42は、ラジエータファン32の外形に沿って湾曲した形状を有する。上面42は、閉じられている。
【0035】
第1側面43は、ラジエータファン32の左方に配置される。第1側面43は、ラジエータファン32を左方から覆う。第1側面43は、後方且つ左方へ向かって傾斜している。第1側面43は、第1横吹出口51と、第1側壁52と、複数の横ガイドリブ54,55とを含む。第1横吹出口51は、ラジエータファン32の左方に配置されている。第1横吹出口51は、左方に向かって開口している。第1側壁52において第1横吹出口51の上方は、第1側壁52によって閉じられている。
【0036】
横ガイドリブ54,55は、前後方向において第1横吹出口51に亘って配置されている。図9に示すように、横ガイドリブ54,55の一部は、ファンカバー34内に配置されている。横ガイドリブ54,55は、第1横吹出口51へ向かって延びている。横ガイドリブ54,55は、上方、且つ、左方へ向かって延びている。ラジエータファン32が車両背面視で左回りに回転する場合、ラジエータファン32による排風は、第1側面43の内側において、左斜め下方へ向かって流れる。横ガイドリブ54,55は、このようなラジエータファン32による排風を、第1横吹出口51から左斜め上方へ向かって吹き出すように配置されている。
【0037】
第2側面44は、ラジエータファン32の右方に配置される。第2側面44は、ラジエータファン32を右方から覆う。第2側面44は、下方且つ右方へ向かって傾斜している。第2側面44は、第2横吹出口56と、第2側壁57と、複数の補強リブ58,59とを含む。第2横吹出口56は、ラジエータファン32の右方に配置されている。第2横吹出口56は、右方に向かって開口している。ラジエータファン32が車両背面視で左回りに回転する場合、ラジエータファン32による排風は、第2側面44の内側において、右斜め上方へ向かって流れる。第2横吹出口56は、ラジエータファン32の回転方向に合わせて、ラジエータファン32による排風を、第2横吹出口56から右斜め上方へ吹き出すように開口している。第2側面44において第2横吹出口56の上方は、第2側壁57によって閉じられている。
【0038】
上下方向において、第2横吹出口56は、第1横吹出口51よりも長い。第2横吹出口56の上端は、第1横吹出口51の上端よりも上方に位置する。言い換えれば、第1横吹出口51の上端は、第2横吹出口56の上端よりも下方に位置する。第2横吹出口56の開口面積は、第1横吹出口51の開口面積よりも大きい。なお、第2横吹出口56は、第1横吹出口51と同様の大きさであってもよい。補強リブ58,59は、前後方向において第2横吹出口56に亘って配置されている。補強リブ58,59は、下方、且つ、右方へ向かって延びている。
【0039】
底面45は、ラジエータファン32の下方に配置される。底面45は、ラジエータファン32を下方から覆う。底面45は、下吹出口61を含む。下吹出口61は、ラジエータファン32の下方に配置される。図9に示すように、左右方向において、下吹出口61は、ファンモータ33より大きい。
【0040】
上背面46は、ラジエータファン32の後方においてラジエータファン32と向かい合う。上背面46は、ラジエータファン32の後方に配置される。上背面46は、ラジエータファン32を後方から覆う。
【0041】
膨出部38は、カバー本体37から後方に向かって膨出している。膨出部38は、上背面46の下方に配置され、上背面46から後方へ膨出している。膨出部38は、第1膨出部47と第2膨出部48とを含む。第1膨出部47と第2膨出部48とは、左右方向に互いに並んで配置されている。第1膨出部47は左側に配置され、第2膨出部48は右側に配置されている。
【0042】
第1膨出部47は、第1上面62と、第1背面63と、第1底面64とを含む。第1上面62は、カバー本体37の上背面46に接続されている。第1上面62は、上背面46から後方へ延びている。第1背面63は、左方へ向かって後方へ傾斜している。第1底面64は、カバー本体37の底面45に接続されている。第1底面64は、底面45から後方へ延びている。第1上面62と第1背面63と第1底面64とは、第1横吹出口51へ向かって延びている。第1膨出部47の左側面は開口しており、上述した第1横吹出口51の一部となっている。すなわち、第1横吹出口51は、カバー本体37と第1膨出部47とに亘って設けられている。
【0043】
第2膨出部48は、第2上面65と、第2背面66と、第2底面67とを含む。第2上面65は、カバー本体37の上背面46に接続されている。第2上面65は、上背面46から後方へ延びている。第2背面66は、右方へ向かって後方へ傾斜している。第2底面67は、カバー本体37の底面45に接続されている。第2底面67は、底面45から後方へ延びている。第2上面65と第2背面66と第2底面67とは、第2横吹出口56へ向かって延びている。第2膨出部48の右側面は開口しており、上述した第2横吹出口56の一部となっている。すなわち、第2横吹出口56は、カバー本体37と第2膨出部48とに亘って設けられている。
【0044】
図9に示すように、ファンカバー34は、複数のラジエータ固定部71-73を含む。ファンカバー34は、複数のラジエータ固定部71-73においてラジエータ31に固定される。複数のラジエータ固定部71-73は、第1ラジエータ固定部71と、第2ラジエータ固定部72と、第3ラジエータ固定部73とを含む。第1ラジエータ固定部71は、上面42に接続されている。第2ラジエータ固定部72と第3ラジエータ固定部73とは、底面45に接続されている。
【0045】
本実施形態に係る鞍乗型車両1では、図3において矢印A1で示すように、前開口27から車体カバー内に、走行風が取り込まれる。走行風は、ラジエータファン32の回転によって、ラジエータ31を通過する。それにより、エンジン6の冷却液がラジエータ31において冷却される。
【0046】
ラジエータ31を通過した走行風は、排風としてファンカバー34内に取り込まれる。図9において矢印A2で示すように、排風の一部は、横ガイドリブ54,55によって案内され、第1横吹出口51から斜め上方へ吹き出される。第1横吹出口51からの排風は、第1サイドカウル18の第1開口23へ向かって吹き出され、図3において矢印A3で示すように、第1アウターカウル21と第1インナーカウル22との間を通って、車両の後方へ向かって排出される。
【0047】
また、図9において矢印A4で示すように、排風の一部は、ラジエータファン32の回転方向に合わせて、第2横吹出口56から斜め上方へ吹き出される。第2横吹出口56からの排風は、第2サイドカウル19の第2開口26へ向かって吹き出され、図5において矢印A5で示すように、第2アウターカウル24と第2インナーカウル25との間を通って、車両の後方へ向かって排出される。
【0048】
図9において矢印A6で示すように、排風の一部は、下吹出口61から下方へ吹き出される。下吹出口61からの排風は、ファンカバー34から下方へ向かって流れ、車体カバー9の内部を通って、車両の後方へ排出される。
【0049】
本実施形態に係る鞍乗型車両1では、ファンカバー34において、第1横吹出口51が、カバー本体37と膨出部38とに亘って設けられる。それにより、カバー本体37のみに第1横吹出口51が設けられる場合と比べて、第1横吹出口51の開口面積が増大する。また、膨出部38によってファンカバー34内の空間の容積が増大する。それにより、ラジエータファン32によるラジエータ31の冷却効果が増大する。さらに、膨出部38は、カバー本体37から膨出した形状を有している。すなわち、膨出部38は、ファンカバー34の一部を膨出させることで形成される。そのため、第1横吹出口51の開口面積を増大させるためにファンカバー34全体を大きくする場合と比べて、ファンカバー34の大型化が抑えられる。また、第1背面63の傾斜によって、排風を滑らかに流せることにより、ラジエータファン32によるラジエータ31の冷却効果が増大する。第2横吹出口56についても、第1横吹出口51と同様の効果が得られる。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
上述した実施形態に係る鞍乗型車両1は、いわゆるフルカウル型のモーターサイクルである。しかし、鞍乗型車両は、フルカウル型のモーターサイクルに限らず、ハーフカウル、或いはネイキッド型のモーターサイクルであってもよい。或いは、鞍乗型車両は、スクータ或いはモペッドなどの車両であってもよい。
【0052】
ファンカバー34の構造は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、第1横吹出口51の形状が変更されてもよい。第1横吹出口51は省略されてもよい。第2横吹出口56の形状が変更されてもよい。第2横吹出口56は省略されてもよい。下吹出口61の形状が変更されてもよい。下吹出口61は省略されてもよい。
【0053】
第1膨出部47と第2膨出部48とは、上記の実施形態と左右逆に配置されてもよい。ファンカバー34において、第1膨出部47と第2膨出部48との一方のみが設けられてもよい。下吹出口61が、カバー本体37の底面45と膨出部38とに亘って設けられてもよい。
【0054】
上記の実施形態では、ラジエータファン32は、左回りラジエータファンであるが、右回りラジエータファンであってもよい。その場合、ファンモータ33は、ラジエータファン32を、車両背面視で右回りに回転させてもよい。また、ファンカバー34において、第1側面43と第2側面44とは、上記の実施形態と左右逆に配置されてもよい。すなわち、ラジエータファン32が、背面視で右回りに回転する場合には、ファンカバー34において、第1横吹出口51と第2横吹出口56とは、上記の実施形態と左右逆に配置されてもよい。すなわち、上記の実施形態では第1側方は左方であり、第2側方は右方である。しかし、第1側方が右方であり、第2側方が左方であってもよい。
【0055】
ラジエータユニット30の構造は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。図12は、変形例に係るラジエータユニット30を示す側面図である。図12に示すように、ラジエータユニット30は、導風板35を含んでもよい。
【0056】
導風板35は、ラジエータ31の下方に配置される。導風板35の前端は、上方へ向かって屈曲している。導風板35は、矢印A9で示すように、ラジエータ31を通過せずにラジエータ31に沿って下方に流れる走行風をラジエータ31の下方を通ってエンジン6のシリンダヘッド15に向けて導く。それにより、ラジエータ31を通過していない走行風が、エンジン6の冷却に利用される。
【0057】
図13は、導風板35の斜視図である。図13に示すように、導風板35は、複数のフィン36を含む。なお、図面においては、複数のフィン36の1つのみに符号36が付されており、他のフィン36の符号は省略されている。フィン36は、導風板35上において前後方向に延びている。フィン36によって導風板35を通過する走行風を整流することで、エンジン6の冷却効率が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、鞍乗型車両において、ラジエータファンによるラジエータの冷却効果が向上すると共に、ファンカバーの大型化が抑えられる。
【符号の説明】
【0059】
6:エンジン
18:第1サイドカウル
19:第2サイドカウル
23:第1開口
26:第2開口
31:ラジエータ
32:ラジエータファン
34:ファンカバー
35:導風板
36:フィン
37:カバー本体
38:膨出部
46:上背面
51:第1横吹出口
54:横ガイドリブ
56:第2横吹出口
61:下吹出口
63:第1背面
66:第2背面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13