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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071037
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20240517BHJP
   A62C 3/07 20060101ALI20240517BHJP
   H01M 50/317 20210101ALI20240517BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240517BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240517BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20240517BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
A62C3/07 Z
H01M50/317 201
H01M50/204 401F
H01M50/249
H01M50/35 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022181755
(22)【出願日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 龍弥
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 律夫
【テーマコード(参考)】
3D235
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB10
3D235BB22
3D235BB43
3D235BB45
3D235CC15
3D235FF43
3D235HH02
3D235HH08
3D235HH63
5H012AA07
5H012BB08
5H012CC08
5H012CC10
5H012DD01
5H040AA37
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY08
(57)【要約】
【課題】高電圧電池パックの発煙や発火に対してより効率良く対処することの可能な車両を提供する。
【解決手段】本開示の一実施の形態に係る車両は、排煙口および排煙口を開閉可能に塞ぐ弁部が設けられた高電圧電池パックと、ボディに設けられた充電口と、排煙口と充電口とに連結された排煙ダクトとを備えている。排煙ダクトは、弁部が開いたときに弁部と重なる箇所に開口を有する。弁部は、当該弁部が開いたときに開口の端部に接する箇所に設けられた爪部を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排煙口および前記排煙口を開閉可能に塞ぐ弁部が設けられた高電圧電池パックと、
ボディに設けられた充電口と、
前記排煙口と前記充電口とに連結された排煙ダクトと
を備え、
前記排煙ダクトは、前記弁部が開いたときに前記弁部と重なる箇所に開口を有し、
前記弁部は、当該弁部が開いたときに前記開口の端部に接する箇所に設けられた爪部を有する
車両。
【請求項2】
前記弁部は、当該弁部が開いたときに前記開口を塞ぐ板部を有し、
前記爪部は、前記板部のうち、前記弁部が開いたときに前記開口の端部に接する箇所に設けられている
請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記充電口は、前記高電圧電池パックに連結された1または複数の電源ケーブルと車両外部の消火剤供給部とを互いに連結するコンセントと、前記排煙ダクトの前記充電口側の端部を固定するソケットとを含んで構成されたインレットを有し、
前記ソケットは、前記消火剤供給部と直接連結される
請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記弁部に回動可能に連結された支持部を更に備え、
前記弁部のうち、前記支持部によって回動可能に連結されている箇所以外の箇所が、摩擦力によって前記支持部に固定される
請求項1に記載の車両。
【請求項5】
前記弁部に回動可能に連結された支持部と、
前記弁部のうち、前記支持部によって回動可能に連結されている箇所以外の箇所の少なくとも一部を、前記支持部に固定する接着剤と
を更に備えた
請求項1に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次電池の冷却機構を備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車には、エネルギー源として、Liイオン二次電池を含む高電圧電池パックが搭載される。この高電圧電池パックは、高エネルギーを蓄えているため、衝突や短絡等で発火する可能性がある。Liイオン二次電池において、電解液が沸点を超えた場合、発煙が生じる。発煙による高電圧電池パックの内圧上昇を抑えるためには、排煙用のダクトを電動車内に設けることが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-135720号公報
【特許文献2】国際公開WO2013/187277
【特許文献3】特開2020-119649号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の一実施の形態に係る車両は、排煙口および排煙口を開閉可能に塞ぐ弁部が設けられた高電圧電池パックと、ボディに設けられた充電口と、排煙口と充電口とに連結された排煙ダクトとを備えている。排煙ダクトは、弁部が開いたときに弁部と重なる箇所に開口を有する。弁部は、当該弁部が開いたときに開口の端部に接する箇所に設けられた爪部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付図面は、本開示をさらに理解するために設けられており、本明細書に組み込まれるとともに、本明細書の一部を構成するものである。図面は、一実施の形態を示し、明細書とともに、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0006】
図1】本開示の一実施の形態に係る車両の概略構成例を表す図である。
図2図1の排煙・給水機構の概略構成例を表す図である。
図3図2の排煙・給水機構の一部を拡大して表す図である。
図4図2の排煙・給水機構の動作の一例を表す図である。
図5図1の排煙・給水機構の概略構成の一変形例を表す図である。
図6図5の排煙・給水機構の動作の一例を表す図である。
図7図6の排煙・給水機構の動作の一例を表す図である。
図8図6の排煙・給水機構の動作の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
近年、電動車の火災事故を想定して、Liイオン二次電池の発火時に消火しやすい電池パック構造にすることが検討されている。しかし、現状では、高電圧電池パックの発煙、発火の際は、高電圧電池パックの筐体に水をかけたり、電動車ごと水没させたりすることでしか、冷却や消火の対応を行うことができないという問題があった。高電圧電池パックの発煙や発火に対してより効率良く対処することの可能な車両を提供することが望ましい。
【0008】
以下、本開示のいくつかの例示的な実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明は、本開示の一具体例を示すものであり、本開示を限定するものと解釈されてはならない。例えば、数値、形状、材料、部品、各部品の位置および各部品の接続方法等を含む各要素は、一例にすぎず、本開示を限定するものと解釈されてはならない。また、以下の例示的な実施の形態において、本開示の最上位概念に基づく独立項に記載されていない構成要素は、任意的なものであり、必要に応じて設けられ得る。図面は模式的なものであり、原寸通りの図示を意図してはいない。本明細書および図面の全般において、略同じ機能および略同じ構成を有する構成要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、本開示の一実施の形態に直接関係の無い構成要素は、図面に図示してはいない。説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(図1図4
2.変形例(図5図8
【0009】
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る車両100の概略構成の一例を表したものである。車両100は、バッテリ10を電力源に走行を行う電動車両である。車両100は、バッテリ10と、バッテリ10のエネルギーで駆動輪を駆動する走行用の電動モータとを備えている。バッテリ10は、車両100とは別個に設けられた充電装置によって充電される。
【0010】
バッテリ10は、例えば、図2に示したように、二次バッテリ11と、煙を検知する検知器13と、二次バッテリ11および検知器13を収容する筐体12とを有する高電圧電池パックである。二次バッテリ11は、例えば、多数のLiイオン二次電池が積層された電池スタックである。二次バッテリ11には、二次バッテリ11へ充電電力を導く充電ケーブル40が接続されている。充電ケーブル40は、1または複数の電源ケーブルによって構成されている。検知器13は、煙を検知するセンサ部と、このセンサ部からの出力(検出信号)を後述の蓋部30に出力する出力部とを有している。
【0011】
筐体12は、例えば、樹脂部材もしくは金属部材によって構成されており、二次バッテリ11および検知器13を外部の衝撃から保護する。筐体12内には、二次バッテリ11および検知器13以外に空隙が存在している。筐体12には、後述の排煙ダクト50が接続された排煙口12Aと、筐体12内に満たされた水を排出する排水口12Bとが設けられている。排煙口12Aは、例えば、筐体12の側面もしくは上面に設けられている。排水口12Bは、例えば、筐体12の側面もしくは上面に設けられている。排水口12Bには、排水口12Bを開閉可能に塞ぐ蓋部が設けられている。
【0012】
排煙口12Aは、例えば、図2に示したように、支持部121と、支持部121に回動可能に連結された弁部122とを有している。弁部122のうち、支持部121に連結されている箇所が、弁部122にとって構造力学における支点SPとなっている。支持部121には、さらに、後述の排煙ダクト50の一端が連結されている。排煙口12Aでは、さらに、例えば、図2に示したように、弁部122のうち、支持部121に連結されている箇所(支点SP)以外の箇所が、通常時、摩擦力によって支持部121に固定されている。例えば、図2に示したように、支持部121が開口Hを有しているとき、弁部122を支持部121の開口Hに嵌合させることにより、弁部122が、摩擦力によって支持部121に固定される。
【0013】
弁部122は、筐体12内の圧力によって弁部122に加えられる力が上記の摩擦力を越えたときに、例えば、図2に示したように、弁部122が支持部121から外れ、弁部122が支持部121から外れた勢いで排煙ダクト50の排水口50A(後述)を塞ぐようになっている。弁部122が排煙ダクト50の排水口50Aを塞いだとき(つまり、弁部122が開いたとき)に、弁部122は、排水口50Aに対して摩擦力によって固定されるようになっている。以下では、弁部122が支持部121に固定されている状態を、弁部122が閉じていると表現する。また、弁部122が支持部121から外れた状態を、弁部122が開いていると表現する。
【0014】
弁部122は、例えば、図3に示したように、板部122aと、爪部122bとを有している。板部122aは、弁部122が閉じているときに排煙ダクト50の端部を塞ぐことができるようになっており、弁部122が開いたときに排煙ダクト50の排水口50Aを塞ぐことができるようになっている。爪部122bは、板部122aのうち、端部以外の箇所に設けられている。爪部122bは、弁部122が開いたときに排水口50Aの端部に接する箇所に設けられている。これにより、爪部122bを、排煙ダクト50の排水口50Aに対して摩擦力によって固定することができる。爪部122bは、例えば、図3に示したように、排水口50Aの端縁のうち、排煙口12Aから最も離れた箇所に対して摩擦力によって固定される。
【0015】
車両100は、さらに、例えば、図1に示したように、ボディに設けられた充電口20と、充電口20を開閉可能に塞ぐ蓋部30と、充電ケーブル40と、排煙ダクト50とを備えている。充電口20は、ボディのうち、バッテリ10よりも高い位置に設けられている。充電ケーブル40は、二次バッテリ11と充電口20とに連結されている。充電ケーブル40は、排煙ダクト50の外側に(つまり、排煙ダクト50とは別体で)設けられている。排煙ダクト50は、排煙口12Aと充電口20とに連結されている。
【0016】
充電口20は、インレット21を有している。インレット21は、例えば、成型された樹脂によって構成されている。インレット21は、充電ケーブル40と充電装置とを互いに連結するコンセント22と、排煙ダクト50の充電口20側の端部を固定するソケット23とを含んで構成されている。コンセント22およびソケット23は、例えば、図2に示したように、インレット21内の互いに異なる位置に配置されている。ソケット23は、車両外部の消火剤供給部(例えば、消火用放水ホース)を直接連結することの可能な構造となっている。
【0017】
充電口20は、さらに、例えば、図2に示したように、排煙ダクト50のうち、充電口20側の端部を着脱可能に覆うキャップ部24を有している。キャップ部24は、例えば、ソケット23に対して開閉可能に固定されている。キャップ部24は、筐体12内の圧力が所定の閾値を超えたときに充電口20側の端部を開放する。キャップ部24は、例えば、ソケット23に対して摩擦力によって固定されている。キャップ部24は、筐体12内の圧力によってキャップ部24に加えられる力が上記の摩擦力を越えたときに、キャップ部24が排煙ダクト50の、充電口20側の端部を開放するようになっている。
【0018】
蓋部30は、例えば、検知器13から所定の検出信号(例えば煙を検知したことを示す信号)が入力されると、所定のタイミングで充電口20を開放するようになっている。蓋部30は、例えば、検知器13から所定の検出信号(例えば煙を検知したことを示す信号)が入力されると、所定のタイミングで充電口20を開放するようになっている。これにより、例えば、二次バッテリ11から発煙が生じたときに、蓋部30が開くようになっている。
【0019】
排煙ダクト50は、例えば、図2に示したように、筒状のパイプとなっている。排煙ダクト50は、例えば、排煙口12Aの近傍に、排煙ダクト50内に生じる結露水を排出する排水口50Aを有している。排水口50Aは、排煙ダクト50内の空隙と、排煙ダクト50の外部とを連通する開口である。排水口50Aは、例えば、弁部122が開いたときに弁部122と重なる箇所に設けられている。排水口50Aは、例えば、排煙ダクト50のうち、地面と対向する箇所に設けられている。排水口50Aの端縁には、弁部122が支持部121から外れたときに爪部122bが摩擦力によって固定される。
【0020】
[動作]
図4(A)~図4(C)は、排煙・給水機構の動作の一例を表したものである。
【0021】
通常時、例えば、図4(A)に示したように、排煙ダクト50内に結露水Wrが生じたとする。このとき、弁部122は摩擦力によって支持部121に固定されており、排煙口12Aが弁部122によって塞がれている。そのため、排煙ダクト50内の結露水Wrは、排水口50Aを介して外部に排出され、バッテリ10内には侵入しない。
【0022】
二次バッテリ11が衝突や短絡等で発火し、二次バッテリ11から発煙が生じたとする。このとき、煙ガスGが筐体12内に充満し、筐体12内の圧力が上昇する。その結果、煙ガスGの圧力によって弁部122に加えられる力が上記の摩擦力を越えたときに、例えば、図4(B)に示したように、弁部122が支持部121から外れ、弁部122が支持部121から外れた勢いで排煙ダクト50の排水口50Aを塞ぐ。このとき、爪部122bは、排煙ダクト50の排水口50Aに対して摩擦力によって固定される。
【0023】
その後、消防士等が車両外部の消火剤供給部(例えば、消火用放水ホース)をソケット23に連結し、例えば、図4(C)に示したように、消火用水Wを、ソケット23を介して排煙ダクト50に流入させる。これにより、消火用水Wが排煙ダクト50を流れ、筐体12内に流入する。その結果、消火用水Wが二次バッテリ11に直接触れ、消火用水Wによって二次バッテリ11が冷却される。その後、筐体12内の空隙が消火用水Wによって満たされると、消火用水Wが排水口12Bから排出される。このようにして、排煙ダクト50を用いた排煙・給水が行われる。
【0024】
なお、弁部122は、爪部122bの摩擦力によって排水口50Aに固定されている。そのため、消火用水Wによって弁部122が排水口50Aから外れることはない。
【0025】
[効果]
次に、車両100の効果について説明する。
【0026】
電動車には、エネルギー源として、Liイオン二次電池を含む高電圧電池パックが搭載される。この高電圧電池パックは、高エネルギーを蓄えているため、衝突や短絡等で発火する可能性がある。Liイオン二次電池において、電解液が沸点を超えた場合、発煙が生じる。発煙による高電圧電池パックの内圧上昇を抑えるためには、排煙用のダクトを電動車内に設けることが必要となる。
【0027】
ところで、近年、電動車の火災事故を想定して、Liイオン二次電池の発火時に消火しやすい電池パック構造にすることが検討されている。しかし、現状では、高電圧電池パックの発煙、発火の際は、高電圧電池パックの筐体に水をかけたり、電動車ごと水没させたりすることでしか、冷却や消火の対応を行うことができないという問題があった。
【0028】
一方、本実施の形態では、バッテリ10の排煙口12Aとボディの充電口20とに排煙ダクト50が連結されており、排煙ダクト50には、弁部122が開いたときに弁部122と重なる箇所に排水口50Aが設けられている。さらに、排煙口12Aには、排煙口12Aを塞ぐ弁部122が設けられており、弁部122には、弁部122が開いたときに排水口50Aの端部に接する位置に、排煙口12A対して摩擦力によって固定される爪部122bが設けられている。これにより、通常時は、排煙ダクト50内の結露水Wrをバッテリ10内に侵入させることなく、排水口50Aを介して外部に排出することができる。また、発火・発煙時は、二次バッテリ11から生じた煙ガスGによる筐体12内の圧力上昇に伴って、弁部122が支持部121から外れ、弁部122が支持部121から外れた勢いで排煙ダクト50の排水口50Aを塞ぐ。これにより、煙ガスGを、排水口50Aを介して外部に排出することができる。
【0029】
本実施の形態では、発火・発煙時は、爪部122bは、排煙ダクト50の排水口50Aに対して摩擦力によって固定される。これにより、消火用水Wがソケット23を介して排煙ダクト50に流入した場合であっても、消火用水Wによって弁部122が排水口50Aから外れて閉じることはない。その結果、消火用水Wを、排煙ダクト50を介して筐体12内に流入させることができるので、消火用水Wを二次バッテリ11に直接、供給することができる。このように、本実施の形態では、排煙と消火を1つの排煙ダクト50で行うことができるだけでなく、消火用水Wを、二次バッテリ11に直接、供給することもできる。従って、バッテリ10の発煙や発火に対してより効率良く対処することができる。
【0030】
本実施の形態では、爪部122bは、板部122aのうち、端部以外の箇所に設けられている。これにより、爪部122bによる、排水口50Aに対する固定性を向上させることができる。その結果、消火用水Wがソケット23を介して排煙ダクト50に流入した場合であっても、消火用水Wによって弁部122が排水口50Aから外れることはない。その結果、消火用水Wを、排煙ダクト50を介して筐体12内に流入させることができるので、消火用水Wを二次バッテリ11に直接触れさせることができ、消火用水Wによって二従って、バッテリ10の発煙や発火に対してより効率良く対処することができる。
【0031】
本実施の形態では、充電ケーブル40と充電装置とを互いに連結するコンセント22と、排煙ダクト50の充電口20側の端部を固定するソケット23とを含んで構成されたインレット21が充電口20に設けられている。これにより、従来の設計を大きく変更することなく、排煙や消火を効率良く行うことができる。
【0032】
本実施の形態では、ソケット23が車両外部の消火剤供給部(例えば、消火用放水ホース)を直接連結することの可能な構造となっている。これにより、消火を効率良く行うことができる。
【0033】
<2.変形例>
以上、実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示はこの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。
【0034】
[変形例A]
上記実施の形態では、弁部122が、通常時は摩擦力によって支持部121に固定されていた。しかし、上記実施の形態において、弁部122が、例えば、図5に示したように、通常時は接着剤123によって固定部121に固定されていてもよい。このとき、弁部122のうち、支持部121に連結されている箇所(支点SP)以外の箇所の少なくとも一部が、通常時、接着剤123によって支持部121に固定されている。例えば、図5に示したように、支持部121が開口Hを有しているとき、弁部122で開口Hを覆うとともに、弁部122と支持部121とを接着剤123によって互いに固定する。このようにした場合であっても、例えば、図6に示したように、排煙ダクト50内に生じた結露水Wrを、排水口50Aを介して外部に排出することができ、さらに、結露水Wrのバッテリ10内への侵入を防止することができる。
【0035】
本変形例では、接着剤123が二次バッテリ11から生じた煙ガスGの熱によって溶解し、煙ガスGの圧力によって弁部122に加えられる力が接着剤123による固定力を越えたときに、例えば、図7に示したように、弁部122が支持部121から外れ、弁部122が支持部121から外れた勢いで排煙ダクト50の排水口50Aを塞ぐようになっている。弁部122が排煙ダクト50の排水口50Aを塞いだとき(つまり、弁部122が開いたとき)に、弁部122は、排水口50Aに対して摩擦力によって固定されるようになっている。これにより、例えば、図8に示したように、消火用水Wによって弁部122が排水口50Aから外れることを防止することができる。
【0036】
[変形例B]
上記実施の形態では、排水口50Aは結露水Wrを排出するために設けられたものであった。しかし、上記実施の形態およびその変形例において、排水口50Aは結露水Wrではなく、排煙ダクト50内に侵入してきた雨水を排出するために設けられたものであってもよい。また、上記実施の形態において、排水口50Aは結露水Wrだけでなく、排煙ダクト50内に侵入してきた雨水も排出するために設けられたものであってもよい。
【0037】
[変形例C]
上記実施の形態では、充電ケーブル40が排煙ダクト50の外側に設けられていた。しかし、上記実施の形態およびその変形例において、充電ケーブル40が排煙ダクト50内に設けられていてもよい。
【0038】
[変形例D]
上記実施の形態では、コンセント22およびソケット23がインレット21内の互いに異なる位置に配置されていた。しかし、上記実施の形態およびその変形例において、ソケット23がコンセント22の周囲を囲むように形成されていてもよい。このとき、コンセント22およびソケット23は、同心円状に配置されていてもよい。
【0039】
[変形例E]
上記実施の形態およびその変形例において、煙を検知する検知器13の代わりに、筐体12内の圧力を検知する検知器が設けられていてもよい。このようにした場合には、筐体12内の圧力を検知する検知器から所定の検出信号(例えば所定の圧力を検知したことを示す信号)が蓋部30に入力されると、所定のタイミングで蓋部30が開放される。その結果、煙ガスGを充電口20から外部に放出することができる。
【0040】
[変形例F]
上記実施の形態およびその変形例では、車両100は電動車両であった。しかし、上記実施の形態およびその変形例において、車両100は、ガソリンもしくは軽油等で動作するエンジンと、走行用の電動モータとを有するハイブリッド車両であってもよい。このようにした場合であっても、上記実施の形態およびその変形例と同様の効果を得ることができる。
【0041】
[変形例G]
上記実施の形態およびその変形例において、排水口50Aの代わりに、排水口50Aとは異なる用途の開口が排煙ダクト50に設けられていてもよい。この開口は、排水口50Aと同様の構成となっている。このようにした場合であっても、上記実施の形態およびその変形例と同様の効果を得ることができる。
【0042】
本明細書中に記載された効果はあくまで例示であり、本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されない。よって、本開示に関して、他の効果が得られてもよい。
【0043】
さらに、本開示は、以下の態様を取り得る。
【0044】
(1)
排煙口および前記排煙口を開閉可能に塞ぐ弁部が設けられた高電圧電池パックと、
ボディに設けられた充電口と、
前記排煙口と前記充電口とに連結された排煙ダクトと
を備え、
前記排煙ダクトは、前記弁部が開いたときに前記弁部と重なる箇所に開口を有し、
前記弁部は、当該弁部が開いたときに前記開口の端部に接する箇所に設けられた爪部を有する
車両。
(2)
前記弁部は、当該弁部が開いたときに前記開口を塞ぐ板部を有し、
前記爪部は、前記板部のうち、前記弁部が開いたときに前記開口の端部に接する箇所に設けられている
前記(1)に記載の車両。
(3)
前記充電口は、前記高電圧電池パックに連結された1または複数の電源ケーブルと車両外部の消火剤供給部とを互いに連結するコンセントと、前記排煙ダクトの前記充電口側の端部を固定するソケットとを含んで構成されたインレットを有し、
前記ソケットは、前記消火剤供給部と直接連結される
前記(1)または前記(2)に記載の車両。
(4)
前記弁部に回動可能に連結された支持部を更に備え、
前記弁部のうち、前記支持部によって回動可能に連結されている箇所以外の箇所が、摩擦力によって前記支持部に固定される
前記(1)ないし前記(3)のいずれかに記載の車両。
(5)
前記弁部に回動可能に連結された支持部と、
前記弁部のうち、前記支持部によって回動可能に連結されている箇所以外の箇所の少なくとも一部を、前記支持部に固定する接着剤と
を更に備えた
前記(1)ないし前記(3)のいずれかに記載の車両。
【0045】
図2に示す検知器13は、少なくとも1つのプロセッサ(例えば、中央演算処理装置(CPU))、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)および/または少なくとも1つのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の、少なくとも1つの半導体集積回路を含む回路によって実施可能である。少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの非一時的かつ有形のコンピュータ可読媒体から指示を読み込むことによって、図2に示す検知器13における各種機能のうちの全部または一部を実行するように構成可能である。そのような媒体は、ハードディスク等の各種磁気媒体、CDまたはDVD等の各種光媒体、揮発性メモリまたは不揮発性メモリ等の各種半導体メモリ(すなわち、半導体回路)を含む様々な形態をとり得るが、これらには限定されない。揮発性メモリは、DRAMおよびSRAMを含み得る。不揮発性メモリは、ROMおよびNVRAMを含み得る。ASICは、図2に示す検知器13における各種機能のうちの全部または一部を実行するように特化された集積回路(IC)である。FPGAは、図2に示す検知器13における各種機能のうちの全部または一部を実行するように、製造後に構成可能に設計された集積回路である。
【符号の説明】
【0046】
10…バッテリ、11…二次バッテリ、12…筐体、12A…排煙口、12B…排水口、13…検知器、20…充電口、21…インレット、22…コンセント、23…ソケット、24…キャップ部、30…蓋部、40…充電ケーブル、50…排煙ダクト、50A…排水口、100…車両、121…支持部、122…弁部、122a…板部、122b…爪部、123…接着剤、H…開口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8